説明

ボール供給装置

【課題】 トレイを用いた従来のボール供給装置が有する人手により排出不良の原因を除去しなければならないという問題の無いボール供給装置の提供を課題とする。
【解決手段】 ホッパーと、該ホッパーの下部に設けられた電磁フィーダーと、電磁フィーダーのボール払い出し口の直下にボール受け入れ口を有し、他端に排出口を有し、樋内をボールが受入口から排出口に自然に回転していくように傾斜して設けられた樋と、樋の排出口の下部に、それぞれ別個に上下可動に設けられた一組のストッパーと、該ストッパーより排出側で樋の上部に設けられた非接触式センサと、樋のボール排出端下部に設けられた搬送パイプとからボール供給装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本考案はボールをホッパーから安定的に切り出し、搬送して、事前に設定した数量まで自動で、ボールミル等の磨鉱・粉砕設備に供給する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ボ−ルミルへボ−ルを供給する場合には、所定時間運転後にボ−ルを所定数、運転中に原料と同時に装入するか、または、一旦運転を中止してボ−ルだけを装入している。
【0003】
いずれの場合も、作業員が所望量のボールを計量してボ−ルミルの近辺まで運搬して少量ずつ装入していた。しかし、この作業は手数と時間がかかるのみならず、騒音や粉塵の多い環境で重量物を取扱う作業なので、作業員の安全衛生上も問題のある作業であり、改善策の提案が望まれていた。
【0004】
特許文献1はこうした問題を解決すべく、ボ−ルミルへ供給するボ−ルを回動自在なシュ−トに一時貯溜してから、このシュ−トの前面に設けられた整列機によって順次ボ−ルを一列に並べて取り出し、これを一括してチェーンコンベアに移載し、その後チェーンコンベアよりバケットコンベアに1つずつ移載し、その際に光電管によって移載したボールの数を計測し、所望数のボールをバケットコンベアによってボ−ルミルに装入する装置を開示する。そして、この装置を用いれば、ボ−ルの種類別に所望数を制御盤に入力しておくことにより自動的にボ−ルミルへボ−ルを供給することができるとしている。
【0005】
しかしながら、この装置は比較的大きな設置面積を必要とし、大型のボールミルにボールを投入する際には有効であるものの、中小型のボールミルにボールを投入するには必ずしも適しているとは言えない。
【0006】
この視点から、別のボール供給装置が提案され、実用化されている。図2にこの要部の概要を示した。図2において1はボール、2はボールを溜めるトレイ、3は搬送パイプ、4はゲートである。本装置の使用に際しては、まず、図示しないホッパーに溜められているボール1の1日分が抜き出されトレイ2に溜められる。トレイ2は傾斜しており、ボール1はゲート4の方向に回転していく。ゲート4はボール1個が通過可能とされており、ゲート4を介して1個ずつ搬送パイプ3内に投入され、図示しないボールミルに供給される。
【0007】
この装置は、設置面積も少なく、中小型のボールミルへのボールの供給に適しているものの、トレイ2内でのボールの整列不良やゲート4でのボールの詰まりにより排出不良が起きることがあり、そうした際には人手により排出不良の原因を除去しなければならないという問題があった。
【特許文献1】実開平05−049046号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、こうした問題を発生させないボール供給装置の提案を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決する本発明は、ホッパーと、該ホッパーの下部に設けられた電磁フィーダーと、電磁フィーダーのボール払い出し口の直下にボール受け入れ口を有し、他端に排出口を有し、樋内をボールが受入口から排出口に自然に回転していくように傾斜して設けられた樋と、樋の排出口の下部に、それぞれ別個に上下可動に設けられた一組のストッパーと、該ストッパーより排出側で樋の上部に設けられた非接触式センサと、樋のボール排出端下部に設けられた搬送パイプとからなるボール供給装置である。
【0010】
そして、本発明の別の態様は、前記発明に加えて、前記一組のストッパー間の間隔を、1つのボールが存在しうる間隔とするものである。
【0011】
そして、本発明の別の態様は、前記発明に加えて、非接触式センサによりストッパーの開動作の数を数え、所望回数となったときに前記電磁フィーダーの振動を停止するようにされたものである。
【0012】
そして、本発明の別の態様は、前記発明に加えて、非接触式センサを光電センサとするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の装置を用いれば、ホッパー内にボールを一日に必要とされる数のボールより多くのボール溜めておくことが出来る。そして、ボールミルへの投入作業が自動化でき、ボール供給に伴う詰まり等のトラブルはなく、人手の介在が不要とされる。従って、本発明の装置を用いれば、省力化が出来ると共に、ボールの投入過多も防止でき、粉砕精度の向上にも有効である。よって、本発明の工業的効果は大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1に本発明例の構成概要図を示した。
図1において、1はボールであり、3は搬送パイプ、5はホッパー、6は電磁フィーダー、7は樋、8はストッパーA、9はストッパーB、10は非接触式のセンサである。なお、本例では非接触式センサとして光電センサを用いた。ホッパー5の排出口下部に電磁フィーダー6が設けられており、電磁フィーダー6のボール1払い出し口の直下にボール受け入れ口を有する樋7と、樋7の排出端の下部に、それぞれ別個に上下可動に設けられた一組のストッパー、ストッパーA8とストッパーB9とが設けられている。そして、ストッパーBより排出側で樋の上部に光電センサ10が設けられている。そして、樋7のボール排出端下部に搬送パイプ3が設けられている。尚、樋7はボールが自然に回転してホール排出端側に移動するだけの傾きが設けられている。
【0015】
次に図1に例示した本発明の装置の作動状況を示す。
ホッパー5内には多くのボール1が溜められる。特に1日分として限定する必要はない。電磁フィーダー6の作動電源をONとすることにより、電磁フィーダー6が作動し、電磁フィーダー6より樋7にボール1が供給される。本例では、ボール1は傾斜した樋7内に1列になるように供給されるが、樋に供給された後樋内で一列に整列されるようにしてもよい。
【0016】
樋7内で整列させられたボール1は、樋の先端、即ち排出端まで自転し、樋の先端下部より上方に突き出たストッパーB9で堰き止められる。次に、堰き止められた1番目のボール1と2番目のボール1との間になるような位置に設けられたストッパーA8が上死点まで突き上げる。これにより2番目以降のボール1がストッパーA8により堰き止められる。ストッパーA8が上死点にあるのを確認した後、ストッパーB9が下死点まで下がり、ボール1が搬送パイプ3に投入されて図示しないボールミルに供給される。この際に樋7先端に設けたストッパーB9の開動作を光電センサ10で検出し、カウントする。次いで、ストッパーB9が上死点まで上昇し、ストッパーA8が下死点まで降下し、ボール1がストッパーB9にて堰き止められる。そして、前記一連の動作が繰り返され、光電センサ10で得られたカウント数が事前に設定したボールの投入個数と同じ値になると電磁フィーダー6が停止してボール1の投入作業が自動にて終了する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は本発明例の構成概要を示した図である。
【図2】従来のボール供給装置の要部の概要を示した図である。
【符号の説明】
【0018】
1――――ボール
2――――トレイ
3――――搬送パイプ
4――――ゲート
5――――ホッパー
6――――電磁フィーダー
7――――樋
8――――ストッパーA
9――――ストッパーB
10――――センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホッパーと、該ホッパーの下部に設けられた電磁フィーダーと、電磁フィーダーのボール払い出し口の直下にボール受け入れ口を有し、他端に排出口を有し、樋内をボールが受入口から排出口に自然に回転していくように傾斜して設けられた樋と、樋の排出口の下部に、それぞれ別個に上下可動に設けられた一組のストッパーと、該ストッパーより排出側で樋の上部に設けられた非接触式センサと、樋のボール排出端下部に設けられた搬送パイプとからなることを特徴とするボール供給装置。
【請求項2】
前記一組のストッパーを構成する2つのストッパーの間隔を、1つのボールが存在しうる間隔とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
非接触式センサによりストッパーの開動作の数を数え、所望回数となったときに前記電磁フィーダーの振動を停止するようにされた請求項1又は2記載の装置。
【請求項4】
非接触式センサを光電センサとする請求項3記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−263125(P2009−263125A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−118006(P2008−118006)
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【出願人】(000183303)住友金属鉱山株式会社 (2,015)
【Fターム(参考)】