説明

ポインティングスティック

【課題】ポインティングスティック周囲のキーボードの無理な操作によって生じる外力の影響を受け難く、更には薄型化した状態でベースプレートに取付け可能なポインティングスティックを提供する。
【解決手段】キーボードのキー取付け用のベースプレート500の一部であってポインティングスティック1の取り付け位置に対応して形成された切欠き部501にこのポインティングスティックが取り付けられるようになっており、ポインティングスティックをベースプレートに取り付けるための板状の第1及び第2の支持材110,120とを備え、第1及び第2の支持材とは相互の寸法関係を有しながら固着される固着部131を備え、固着部を介して第1の支持材及び第2の支持材を固着することで形成される挟持部132にベースプレートを挟み込んでポインティングスティックをベースプレートに固定可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばノート型コンピュータ等のディスプレイ上のカーソル移動制御に利用するポインティングスティックに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えばノート型コンピュータ(ノートパソコン)の普及に伴い、そのディスプレイ上のカーソル移動の制御においてポインティングスティックを備えたポインティングデバイスが用いられるようになっている。
【0003】
このポインティングスティックを有するノートパソコンは、ディスプレイ上のカーソルを移動する際にマウスを用いる必要がないので、机の上での場所をとらず、作業スペース上の観点から省スペース化が図られ、自宅やオフィスでの使い勝手が良く、また、飛行機や電車等の公共移動手段で移動中に用いる際にも使い勝手が良いとされている。
【0004】
なお、このようなポインティングスティックは、ノートパソコンへの利用に限らず家庭用ゲーム機のディスプレイ上のカーソル等の移動制御にも用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−214985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ポインティングスティックのひずみゲージが備わった操作部を取付部材を介して直接ベースプレートに溶着する場合、ポインティングスティック周囲の無理なキーボード操作等に起因して発生したベースプレートのひずみが、ベースプレート及び取付部材を介して操作部のひずみゲージに伝達し易く、誤動作が発生することが懸念されていた。
【0007】
特にノートパソコンの場合、携帯性に優れるため電車や自動車、飛行機等の公共交通機関において移動中に利用する場合が多く、移動手段から受ける振動によってポインティングスティック周囲のキーボードを無理に押してしまうことがあり、このような問題が顕在化していた。
【0008】
また、従来技術に係るポインティングスティックをベースプレートに取り付けた場合、取付部材を介して操作部をベースプレートに重ね合わせた状態で取り付けているので、この部分がどうしても厚くなってしまう。具体的には、取付部材の厚みが0.3mmで、ベースプレートの厚みが0.5mmの場合、この部分の厚みは合計で0.8mmとなってしまう。パソコンが特にノートパソコンの場合、携帯性を向上させるために少しでも薄型化して軽量化すると共に、持ち運びし易くすることが求められている。
【0009】
図8は、従来のポインティングスティック6をベースプレート600に取り付けた構造を示す断面図である。同図から明らかなように、ベースプレート600には、ポインティングスティック6の取付場所に対応する位置であって図8中下向きに底面が平面を有する深さの浅い凹み部610が形成され、この凹み部610にポインティングスティック6の操作部60の突出部61,62を挿通する貫通孔611,612がそれぞれ穿設されている。
【0010】
ポインティングスティック6をベースプレート600に取り付けるにあたっては、操作部60の突出部61,62を貫通孔611,612に通した後、突出部61,62の先端61a,62aを溶着等により潰すことで、ポインティングスティック6をベースプレート600に取り付けるようになっている。このような従来型の構成によると、ポインティングスティック6がベースプレート600に直接取り付けられているので、ポインティングスティック周囲のキーボード(図示せず)からベースプレート600に伝わった外力がポインティングスティック6の底面に備わったひずみゲージ65に伝達し易く、ひずみゲージ65の出力誤差の要因となっている。
【0011】
本発明の目的は、ポインティングスティック周囲のキーボードの無理な操作によって生じる外力の影響を受け難く、更には薄型化した状態でキーボードのベースプレートに取付け可能なポインティングスティックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するために、本発明の請求項1に記載のポインティングスティックは、
キーボードに取り付けられて少なくともカーソル移動操作を行うポインティングスティックにおいて、
前記ポインティングスティックは、キーボードのキー取付け用のベースプレートの一部であって前記ポインティングスティックの取り付け位置に対応して形成された切欠き部に取り付けられるようになっており、かつ当該ポインティングスティックを前記ベースプレートに取り付けるための板状の第1の支持材と第2の支持材とを備え、
前記第1の支持材と第2の支持材とはこれらの相互の寸法関係を有しながら互いに固着される固着部を備え、
前記固着部を介して前記第1の支持材と第2の支持材を固着することで形成される挟持部に前記ベースプレートを挟み込んで前記ポインティングスティックを前記ベースプレートに固定可能とすることを特徴としている。
【0013】
請求項1に記載のポインティングスティックがこのような構成を有することで、ポインティングスティックのスティック周囲に備わったキーボードを不意に強く押したりしても、これによってベースプレートに伝わった予期せぬ外力がポインティングスティック自体に伝達され難く、ポインティングスティックによるカーソル操作の移動量検知に悪影響を与えることが従来のポインティングスティックに比べて格段に少なくなる。
【0014】
また、本発明の請求項2に係るポインティングスティックは、請求項1に記載のポインティングスティックにおいて、
前記ポインティングスティックの操作部は、当該操作部に面する第1の支持材側に操作部を取り付けるための突出部を有し、前記第1の支持材と第2の支持材には、前記操作部の突出部を貫通させる突出部貫通孔を有し、前記第1の支持材の突出部貫通孔の孔径よりも前記第2の支持材の突出部貫通孔の孔径が大きくなっており、前記2つの突出部貫通孔に前記突出部を貫通させ、前記突出部の、前記第2の支持材の突出部貫通孔から突出した部分を潰すことで、前記第1の支持材に前記操作部が取り付けられるようになっていることを特徴としている。
【0015】
請求項2に記載のポインティングスティックがこのような構成を有することで、操作部を第1の支持材に簡単に取り付けることができ、ポインティングスティックのベースプレートへの組み付け作業性を向上させることができる。
【0016】
また、本発明の請求項3に係るポインティングスティックは、請求項2に記載のポインティングスティックにおいて、
前記突出部の先端部を潰した状態の潰れ部が前記第2の支持材の前記操作部と反対側面から飛び出ないようになっていることを特徴としている。
【0017】
請求項3に記載のポインティングスティックがこのような構成を有することで、突出部の潰れた部分が第2の支持材から突出しなくなり、ポインティングスティックの部分の厚さを厚くせずに済む。これによって、このような突出部を筐体等の他の部品との干渉を避けるための余分なスペース(間隙)をキーボードの取付部に設けなくても良く、パソコン自体の薄型化を図ることができる。特に携帯性が重要視されるノートパソコンの場合、このような薄型化のメリットは大きくなる。
【0018】
また、突出部を収納する特別な構造をキーボード部分に設けることもなくパソコンの薄型化を図ることができ、パソコンの製造コストの低減に貢献できる。
【0019】
また、本発明の請求項4に係るポインティングスティックは、請求項1乃至請求項3の何れかに記載のポインティングスティックにおいて、
少なくとも前記操作部が位置決め固定される第1の支持材の、前記ベースプレートとの重なり合う部分の少なくとも2箇所に、前記ポインティングスティックを当該ベースプレートに所定の位置関係で取り付けるための取付け用位置決め部を有したことを特徴としている。
【0020】
請求項4に記載のポインティングスティックがこのような構造を有することで、第1の支持材及びこれに固定される操作部をキーボード部分のベースプレートに所望の寸法関係で取り付けることができ、ポインティングスティックを設計通りの位置関係でキーボード部分に取り付けることが可能となる。
【0021】
また、このような取付け用位置決め部を設けることで、ベースプレートに対するポインティングスティックのガタ付き発生を防止することができる。
【0022】
また、本発明の請求項5に係るポインティングスティックは、請求項1乃至請求項4の何れかに記載のポインティングスティックにおいて、
請求項4の位置決め部を設ける代わりに、前記ベースプレートのポインティングスティック取付け用の切欠きに前記第1の支持材の位置合わせ部を設け、かつ前記第1の支持材に段部を形成し、前記切欠きの位置合わせ部に前記第1の支持材の段部を係合させることで、前記ベースプレートに前記第1の支持材を所望の位置関係で取り付けると共に、前記第1の支持材に取り付けられた操作部が所定の位置で取り付けられるようになったことを特徴としている。
【0023】
請求項5に記載のポインティングスティックがこのような構成を有していても、請求項4と同等の作用を発揮することが可能となる。
【0024】
また、本発明の請求項6に係るポインティングスティックは、請求項1に記載のポインティングスティックにおいて、
前記第1の支持材と第2の支持材との間に前記ベースプレートを挟んだ状態で当該第1の支持材と第2の支持材と挟持するデバイス取付用挟持部に加えて、第1の支持材には操作部を外部に突出させるための開口部を有し、かつ前記第2の支持材と第1の支持部とで前記操作部を挟み込む操作部取付用挟持部を有することを特徴としている。
【0025】
請求項6に記載のポインティングスティックがこのような構成を有することで、ポインティングスティックをベースプレートに取り付ける際、上述した操作部の突出部を第1及び第2の支持材の貫通孔に挿通して先端部を潰す工程を省略できる。即ち、ポインティングスティックをベースプレートに取り付ける工程中、工程を一工程減らすことができ、ポインティングスティックのパソコンへの組み付け作業の効率化を図ることができるようになる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によると、ポインティングスティック周囲のキーボードの無理な操作によって生じる外力の影響を受け難く、更には薄型化した状態でキーボードのベースプレートに取付け可能なポインティングスティックを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係るポインティングスティックをベースプレートに取り付けた状態で操作部側斜め上方から示す斜視図である。
【図2】図1に示したポインティングスティックを操作部と反対側の斜め上方から示す斜視図である。
【図3】図1に示したポインティングスティックをベースプレートと共に示す断面図である。
【図4】図1に示したポインティングスティックをベースプレートに取り付ける直前の状態を示す分解斜視図である。
【図5】図4に示したポインティングスティックを操作部と反対側の斜め上方から示す分解斜視図である。
【図6】図1に示したポインティングスティックの上側支持材と下側支持材との固着部を示す断面図である。
【図7】図1に示したポインティングスティックの変形例を示す図3に対応する断面図である。
【図8】従来のポインティングスティックを示す図3に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態に係るポインティングスティックについて図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るポインティングスティックをベースプレートに取り付けた状態で操作部側斜め上方から示す斜視図である。また、図2は、図1に示したポインティングスティックを操作部と反対側の斜め上方から示す斜視図である。また、図3は、図1に示したポインティングスティックをベースプレートと共に示す断面図である。
【0029】
本発明の一実施形態に係るポインティングスティック1は、ディスプレイを有したノート型コンピュータ(ノートパソコン)に備わっている。そして、このポインティングスティック1は、ノートパソコンのディスプレイに表示されるカーソルの位置決め制御やマウスを用いた場合の左クリック操作に相当するスティック操作の検知を行うようになっている。
【0030】
ポインティングスティック1の操作部10は、スティック15と、スティック15を支持する可撓性のスティック支持部16とを有し、可撓性のスティック支持部16にはスティック15の動きに応じて抵抗値が変わる4つのひずみゲージ(図面ではひずみゲージ17として図示)が並列して配置されている。この4つのひずみゲージ17は、スティック15を操作することで、それぞれ後述するノートパソコンのディスプレイのカーソルを所望の方向に移動させると共に、マウスを用いた場合の左クリック操作に相当するスティック操作を検知するようになっている。以上の構成要素により本実施形態のポインティングスティック1における操作部10を構成している。
【0031】
そして、ポインティングスティック1は、操作部10をベースプレート500に取り付けるための板状の第1の支持材110と第2の支持材120とを備えている。ここで第1の支持材110と第2の支持材120は、本実施形態ではステンレスの板材からなり、ベースプレート500とは別材をなしている。
【0032】
また、第1の支持材110と第2の支持材120は、これらの相互の寸法関係を有しながら互いに固着される固着部131を備えている。本実施形態では、スポット溶接によりこの固着部131が形成されているが、必ずしもこの形態に限定されず、一方の支持材の所定位置に凸部を設けると共に他方の支持材の所定位置に凹部や孔部を設け、これらを互いに嵌合させてかしめることでこの固着部を形成しても良い。
【0033】
本実施形態に係るポインティングスティック1は、キーボードのキー取付け用のベースプレート500の一部であってポインティングスティック1の取り付け位置に対応して形成された切欠き部501に取り付けられるようになっている。なお、このベースプレート500は、一般に厚さの比較的厚いアルミニウム合金の板材でできている。
【0034】
また、第1の支持材110の図中左右方向両端近傍には、第1の支持材110をベースプレート500に所望の位置関係で取り付けると共に、突出部貫通孔111と協働して操作部10をベースプレート500に所望の位置関係で取り付ける位置決め用突起部117が形成されている。この位置決め用突起部117は、ベースプレート500の位置決め用孔部517に係合して、上述の所望の取り付け位置関係を確保するようになっている。
【0035】
具体的には、固着部131を介して第1の支持材110及び第2の支持材120を固着することで形成される挟持部132にベースプレート500を挟み込んでポインティングスティック1をベースプレート500に固定するようになっている。
【0036】
ポインティングスティック1の操作部10は、例えば樹脂材でできており、操作部下面に上述した4つのひずみゲージ17を備えると共に、第1の支持材110への取り付け状態で第1の支持材側に面する操作部10の下部に、操作部取付用の突出部11がキーボードのキー配置に関して左右方向と手前側に間隔を隔てて3箇所突出形成されている。また、第1の支持材110と第2の支持材120は、操作部10の突出部11を貫通させる突出部貫通孔111,121を有している。そして、第1の支持材110の突出部貫通孔111の孔径よりも第2の支持材120の突出部貫通孔121の孔径が大きくなっている。そして、2つの突出部貫通孔111,121に突出部11を貫通させ、第2の支持材120の突出部貫通孔121から突出した突出部の部分を潰すことで、潰れ部11aを第2の支持材の突出部貫通孔内に形成させる。これによって、この潰れ部11aが、第1の支持材110の突出部貫通孔111から抜けなくなり、第1の支持材110に操作部10がしっかりと取り付けられるようになっている。
【0037】
また、突出部11の先端部を潰した状態の潰れ部11aが第2の支持材120の操作部10と反対側面120aから飛び出ないようになっている。
【0038】
続いて、上述した実施形態に係るポインティングスティック1のベースプレート500への取り付け手順について説明する。図4は、図1に示したポインティングスティックをベースプレートに取り付ける直前の状態を示す分解斜視図である。また、図5は、図4に示したポインティングスティックを操作部と反対側の斜め上方から示す分解斜視図である。
【0039】
最初に図4及び図5に示す第1の支持材110をベースプレート500の上側からベースプレート500の切欠き部501に位置合わせする。この際、第1の支持材110に備わった2つの位置決め用突起部117をそれぞれ対応して形成されたベースプレート500の位置決め用孔部517に係合させる。
【0040】
次いで、ベースプレート500の下側から第2の支持材120をベースプレート500の切欠き部501に位置合わせする。この際、第2の支持材120の操作部取付用の突出部貫通孔121を第1の支持材の突出部貫通孔111に対して同心となるように位置合わせする。
【0041】
次いで、第1の支持材と第2の支持材の所定位置をスポット溶接により互いに溶着してこの部分を両者の固着部131として形成すると共に、第1の支持材110と第2の支持材120を一体化させる。これによって、第1及び第2の支持材110,120の端部隙間が挟持部132として形成され、挟持部132を介して第1及び第2の支持材110,120がベースプレート500をしっかりと挟み込み、これらの間のガタ付きの発生を防止する。
【0042】
次いで、スティック15やひずみゲージ17の備わった操作部10を第1の支持材110に取り付ける。この際、操作部10の底面3箇所に形成された突出部11を第1の支持材110と第2の支持材120の操作部取付用の突出部貫通孔111,121にそれぞれ挿通し、この先端部を第2の支持材120の操作部取付用の突出部貫通孔121からベースプレート500の下方に突出させる。そして、この先端部分に熱を加えて変形させて潰れ部11aを形成させる。この際、この潰れ部11aが第2の支持材120の操作部取付用の突出部貫通孔121内に収まるように熱を加える。
【0043】
このような簡単な手順によってポインティングスティックを上述したようにベースプレート500のポインティングスティック取付け用の切欠き部501に簡単に取り付けることができる。
【0044】
以下、上述した構成を有するポインティングスティック1の作用について説明する。本実施形態に係るポインティングスティック1が上述した構成、即ち操作部10をベースプレート500に直接取り付けるのではなく、第1の支持材110と第2の支持材120を介して操作部10を支持し、第1の支持材110と第2の支持材120とで形成される挟持部132を介してこれら支持材110,120をベースプレート500に取り付けているので、操作部10がベースプレート500に間接的に取り付けられることになる。これによって、ベースプレート500に伝わった予期せぬ外力がポインティングスティック自体に伝達され難く、ポインティングスティック1によるカーソル操作の移動量検知に悪影響を与えることが従来のポインティングスティックに比べて格段に少なくなる。
【0045】
また、ポインティングスティック1の操作部10は、第1の支持材に面する下側面13に操作部10を取り付けるための突出部11を有し、第1の支持材110と第2の支持材120には、操作部10の突出部11を貫通させる突出部貫通孔111,121を有し、第1の支持材110の突出部貫通孔111の孔径よりも第2の支持材120の突出部貫通孔121の孔径が大きくなっている。これによって、2つの突出部貫通孔111,121に突出部11を貫通させ、突出部11の、第2の支持材120の突出部貫通孔121から突出した部分を潰すことで、第1の支持材110に操作部10が取り付けられている。これによって、ポインティングスティック1の操作部10を第1の支持材110に簡単に取り付けることができ、ポインティングスティック1の組み付け作業性を向上させることができる。
【0046】
また、突出部11の先端部を潰した状態の潰れ部11aが第2の支持材120の操作部と反対側面120aから飛び出ないようになっている。これにより、突出部11の潰れ部11aが第2の支持材120から突出させないことで、ポインティングスティック1の部分の厚さを厚くせずに済む。これによって、このような突出部11が筐体等の他の部品との干渉を避けるための余分なスペース(間隙)をキーボードの取付部に設けなくても良く、パソコン自体の薄型化を図ることができる。特に携帯性が重要視されるノートパソコンの場合、このような薄型化のメリットは大きくなる。
【0047】
また、ノートパソコン自体の薄型化を図るための余分な工夫、具体的には突出部11を収容する特別な構造をキーボードの取付部に設けることなくパソコンの薄型化を図ることができ、パソコンの製造コストの低減に貢献する。
【0048】
また、操作部10が位置決め固定される第1の支持材110の、ベースプレート500との重なり合う部分の2箇所に、ポインティングスティック1をベースプレート500に所定の位置関係で取り付けるための位置決め用突起部117を有することで、第1の支持材110及びこれに固定される操作部10をベースプレート500に所望の寸法関係で取り付けることができ、ポインティングスティック1を設計通りの位置関係でパソコンのキーボード部分に取り付けることが可能となる。また、このような位置決め用突起部117を設けることで、ベースプレート500にポインティングスティック1を組み付けた後の両者間のガタ付き発生を防止することができる。
【0049】
なお、本実施形態によると、第1の支持材110及び第2の支持材120の2枚でポインティングスティック1を支える構成を有しているので、上述したようにポインティングスティック1をベースプレート500に取り付ける際にこの部分の薄型化を十分に達成できる。具体的には、第1の支持材110の厚みが0.3mmで第2の支持材120の厚みが0.3mmの場合、この部分の厚みが合計0.6mmとなり、上述した従来のポインティングスティック1に比べてこの部分の厚みを薄くすることができるようになった。
【0050】
続いて、上述の実施形態の第1の変形例について説明する。この第1の変形例は、ここでは図示しないが、上述した実施形態のような第1の支持材110に位置決め用突起部117を設ける代わりに、ベースプレートのポインティングスティック取付け用の切欠きに第1の支持材の位置合わせ部を設け、かつ第1の支持材に段部を形成し、切欠きの位置合わせ部に第1の支持材の段部を係合させるようになっている。これによって、ベースプレートに第1の支持材を所望の位置関係で取り付けることができ、上述した実施形態と同等の作用を発揮することが可能となる。
【0051】
続いて、第2の変形例について説明する。なお、上述の実施形態と同等の構成については、対応する符号を付して詳細な説明を省略する。図7は、この第2の変形例を説明する図3に対応する断面図である。
【0052】
第2の変形例においては、第1の支持材210と第2の支持材220との間にベースプレート500を挟んだ状態でこれを第1の支持材210と第2の支持材220とで挟持する挟持部に加えて、第1の支持材210には操作部10を外部に突出させるための開口部210aが備わっている。また、第1の支持材210の開口部近傍には立ち上がり部211が備わり、この立ち上がり部211と第2の支持材220との間に隙間を形成し、この隙間を利用して第1の支持材210と第2の支持材220とで操作部10を挟み込む更なる操作部取付用挟持部233が備わっている。
【0053】
第2の変形例がこのような構成を有することで、操作部10の第2の支持材220への溶着作業を無くすことが可能になるので、ベースプレート500へのポインティングスティック取付作業において、第1の支持材210と第2の支持材220を溶接すると同時に、ベースプレート500と操作部10を両支持材210,220で挟み込むことができ、作業工程の簡略化、ひいては製造コストの低減を達成できる。
【0054】
以上説明したように、本発明に係るポインティングスティックによると、従来のポインティングスティックには備わっていない特別な構成、具体的には、操作部の下に複数のひずみゲージが取付けられている構造を有するポインティングスティックにおいて、操作部には取付脚としての複数の突出部が備わり、第1の支持材と第2の支持材でベースプレートを挟み込み、操作部の取付脚を第1の支持材の貫通孔に通し、その先端を溶着して固定し、第1の支持材と第2の支持材は溶接又はかしめ構造で一体化し、溶着部は、第2の支持材と同一面になるように形成する。
【0055】
これによって、2枚の支持材(取付部材)でベースプレートを挟み込み、一方の取付部材にポインティングスティックを溶着する構造を実現する。操作部がベースプレートに直接溶着されない構造としたので、ベースプレートのひずみが検出素子としてのひずみゲージに伝わり難く、誤動作が発生する可能性が減少すると共に、特にノートパソコンで代表される携帯型パソコンの薄型化に寄与するポインティングスティックの取付構造を実現することが可能になった。
【0056】
なお、本実施形態においては、ノートパソコンに装着されるポインティングスティックについて説明したが、ポインティングスティックの周囲のキー操作による不必要な外力の伝達による操作部の出力の悪影響が懸念されるものであって特に携帯のために薄型化を要求されるものであれば、本発明を適用可能である。
【0057】
また、操作部が位置決め固定される第1の支持材の、ベースプレートとの重なり合う部分にポインティングスティックをベースプレートに所定の位置関係で取り付けるための取付け用位置決め部は、2箇所に限定されず、キーボードの左右方向と直交する方向等に対応する位置に更に設け、3箇所以上としても良い。しかしながら、取付用位置決め部を本実施形態のように最低限2箇所設けることで、ベースプレートに対するポインティングスティックの所望の位置関係を保つと共に、両者間のガタ付きの発生を防止することができる。
【0058】
また、上述した実施形態及びその変形例において紹介した具体的寸法関係及び材質名はあくまで例示したものに過ぎず、本発明の作用効果を発揮し得る範囲、即ち本発明を逸脱しない範囲内で適宜変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0059】
1,6 ポインティングスティック
10 操作部
11 突出部
11a 潰れ部
13 下側面
15 スティック
16 スティック支持部
17 ひずみゲージ
60 操作部
61,62 突出部
61a,62a 先端
65 ひずみゲージ
110 第1の支持材
111 突出部貫通孔
117 位置決め用突起部
120 第2の支持材
120a 反対側面
121 突出部貫通孔
131 固着部
132 挟持部
210 第1の支持材
210a 開口部
211 立ち上がり部
220 第2の支持材
233 操作部取付用挟持部
500 ベースプレート
501 切欠き部
517 位置決め用孔部
600 ベースプレート
610 凹み部
611,612 貫通孔



【特許請求の範囲】
【請求項1】
キーボードに取り付けられて少なくともカーソル移動操作を行うポインティングスティックにおいて、
前記ポインティングスティックは、キーボードのキー取付け用のベースプレートの一部であって前記ポインティングスティックの取り付け位置に対応して形成された切欠き部に取り付けられるようになっており、かつ当該ポインティングスティックを前記ベースプレートに取り付けるための板状の第1の支持材と第2の支持材とを備え、
前記第1の支持材と第2の支持材とはこれらの相互の寸法関係を有しながら互いに固着される固着部を備え、
前記固着部を介して前記第1の支持材と第2の支持材を固着することで形成される挟持部に前記ベースプレートを挟み込んで前記ポインティングスティックを前記ベースプレートに固定可能とすることを特徴とするポインティングスティック。
【請求項2】
前記ポインティングスティックの操作部は、当該操作部に面する第1の支持材側に操作部を取り付けるための突出部を有し、前記第1の支持材と第2の支持材には、前記操作部の突出部を貫通させる突出部貫通孔を有し、前記第1の支持材の突出部貫通孔の孔径よりも前記第2の支持材の突出部貫通孔の孔径が大きくなっており、前記2つの突出部貫通孔に前記突出部を貫通させ、前記突出部の、前記第2の支持材の突出部貫通孔から突出した部分を潰すことで、前記第1の支持材に前記操作部が取り付けられるようになっていることを特徴とする、請求項1に記載のポインティングスティック。
【請求項3】
前記突出部の先端部を潰した状態の潰れ部が前記第2の支持材の前記操作部と反対側面から飛び出ないようになっていることを特徴とする、請求項2に記載のポインティングスティック。
【請求項4】
少なくとも前記操作部が位置決め固定される第1の支持材の、前記ベースプレートとの重なり合う部分の少なくとも2箇所に、前記ポインティングスティックを当該ベースプレートに所定の位置関係で取り付けるための取付け用位置決め部を有したことを特徴とする、請求項1乃至請求項3の何れかに記載のポインティングスティック。
【請求項5】
請求項4の位置決め部を設ける代わりに、前記ベースプレートのポインティングスティック取付け用の切欠きに前記第1の支持材の位置合わせ部を設け、かつ前記第1の支持材に段部を形成し、前記切欠きの位置合わせ部に前記第1の支持材の段部を係合させることで、前記ベースプレートに前記第1の支持材を所望の位置関係で取り付けると共に、前記第1の支持材に取り付けられた操作部が所定の位置で取り付けられるようになったことを特徴とする、請求項1乃至請求項4の何れかに記載のポインティングスティック。
【請求項6】
前記第1の支持材と第2の支持材との間に前記ベースプレートを挟んだ状態で当該第1の支持材と第2の支持材と挟持するデバイス取付用挟持部に加えて、第1の支持材には操作部を外部に突出させるための開口部を有し、かつ前記第2の支持材と第1の支持部とで前記操作部を挟み込む操作部取付用挟持部を有することを特徴とする、請求項1に記載のポインティングスティック。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−175390(P2011−175390A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−38024(P2010−38024)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(000114215)ミネベア株式会社 (846)
【Fターム(参考)】