説明

ポインティングデバイス

【課題】 キーベース、保持部材及び弾性変形体に磨耗が生じるのを抑制することができて、安定した出力特性を得ることができるポインティングデバイスを提供する。
【解決手段】 電極22〜24が形成された基板21上に、導電性を有する弾性変形体33を配置する。弾性変形体33上にはキーベース37を、保持部材27にて揺動可能に保持した状態で配置する。キーベース37上の操作キー39の操作によりキーベース37が揺動されたとき、電極23と弾性変形体33との間の間隔の変化に伴う静電容量の変化を出力するように構成する。保持部材27とキーベース37との間には、キーベース37の中心部を通る軸線と直交する面内でのキーベース37の移動を規制するための第1規制構造42と、軸線を中心とするキーベース37の回転を規制するための第2規制構造43とを分離して配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば携帯電話、パーソナルコンピュータ、ゲーム機等の電子機器の入力装置として用いられ、複数の方向性操作を選択して実行できるようにしたポインティングデバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のポインティングデバイスとしては、例えば特許文献1、特許文献2及び特許文献3に開示されるような構成のものが提案されている。
すなわち、特許文献1に記載の構成では、タブレットシート上に操作ボタンが揺動操作可能に配置されている。この操作ボタンは、中央の操作キー部と、その操作キー部の外周に形成された薄肉の弾性連結部と、その弾性連結部の外周に形成されたリング状の支持部とから全体が一体構成されている。そして、この操作ボタンの前記リング状の支持部をタブレットシートとともに、ハウジングと剛体板との間に挟持することにより、操作ボタンがタブレットシート上の所定位置に位置決め固定されている。
【0003】
また、特許文献2に記載の構成では、電極が形成された基板上に導電性を有する弾性変形体が揺動変形可能に配置されている。弾性変形体上には操作キーが配置され、この操作キーの操作により弾性変形体が揺動変形されたとき、その弾性変形体と電極との間の間隔に応じて静電容量が変化し、その静電容量の変化が出力されるようになっている。
【0004】
さらに、特許文献3に記載の構成では、電極が形成された基板上に導電性を有する弾性変形体が配置されるとともに、その弾性変形体上にはキーベースが四角枠状の保持部材により揺動可能に保持した状態で配置されている。この場合、前記保持部材に対する四角板状のキーベースの嵌合構造により、キーベースの中心部を通る軸線と直交する面内でのキーベースの移動と、軸線を中心とするキーベースの回転とがともに規制されるようになっている。そして、キーベースが揺動されたとき、弾性変形体が揺動変形されて、その弾性変形体と電極との間の間隔に応じて静電容量が変化し、その静電容量の変化が出力されるようになっている。
【特許文献1】特開平9−244796号公報
【特許文献2】特開2002−304247号公報
【特許文献3】特開2002−313187号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、これらの従来のポインティングデバイスにおいては、次のような問題があった。
すなわち、特許文献1に記載の構成では、操作ボタンの操作キー部の外周に薄肉の弾性連結部を介してリング状の支持部が一体に形成され、この支持部において操作ボタン全体が位置決め固定されている。このため、操作キー部が弾性連結部を介して拘束された状態にあり、操作キー部に対する揺動操作に際して、弾性連結部をその弾性に抗して変形させることになり、このため、操作感が良くないばかりでなく、多数回操作した場合や、弾性連結部に無理な力が作用した場合には、その弾性連結部が破損して、場合によっては、ポインティングデバイスとしての機能を喪失するおそれがあった。
【0006】
また、特許文献2に記載の構成では、前記特許文献1の構成とは異なり、操作キーが独立していて、操作キーを拘束する弾性連結部が存在しないために、操作感が向上するとともに、弾性連結部の破損というような問題には無縁である。しかしながら、この特許文献2の構成においては、操作キーが独立構成であるため、回転等、移動してしまうことがあるが、移動を規制するための構成が開示されていない。このため、操作キーが回転等によって弾性変形体に対して摩擦接触して、弾性変形体が早期に磨耗したり、破損したりするおそれがあり、このような場合には、弾性変形体を含むその周囲の静電容量が変動して、安定した出力特性を得ることが難しい。
【0007】
さらに、特許文献3に記載の構成では、四角枠状の保持部材に対する四角板状のキーベースの嵌合構造によって、キーベースの軸線と直交する面内の移動を規制する構造と、前記軸線を中心とした回転を規制する構造とが兼用されている。つまり、保持部材の内周面とキーベースの外周面との接触面がキーベースの前記直交移動と回転とを阻止している。このため、キーベースの揺動時に、キーベースと保持部材との接触面が大きなストロークで摩擦接触して、キーベースの外周部等が激しく磨耗する。このため、キーベースと保持部材との間にガタが生じたり、操作感が低下したりする。加えて、キーベース及び保持部材の磨耗によって生じた磨耗粉または磨耗粒がキーベースと弾性変形部材との間に侵入して、砥粒のように作用して、弾性変形部材等が磨耗され、安定した出力特性を得ることができなくなるおそれがあった。
【0008】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、キーベースの揺動操作時に、キーベース、保持部材及び弾性変形体に磨耗が生じるのを抑制することができて、安定した出力特性を得ることができるポインティングデバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、電極が配置された基板上に導電性を有する弾性変形体を配置するとともに、その弾性変形体上にはキーベースを保持部材にて揺動可能に保持した状態で設け、キーベース上の操作キーの操作によりキーベースが揺動されたとき、前記電極と弾性変形体との間の位置関係が変化して、それに応じた電気信号が出力されるようにしたポインティングデバイスであって、前記保持部材とキーベースとの間には、キーベースの中心部を通る軸線と直交する面内でのキーベースの回転以外の移動を規制するための第1規制手段と、前記軸線を中心とするキーベースの回転を規制するための第2規制手段とを分離して設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記第1規制手段は、保持部材の内周面及びキーベースの外周面に形成された円形の規制面であることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記第2規制手段は、保持部材とキーベースとの間に形成された凹凸の嵌合構造であることを特徴とする。
【0012】
(作用)
請求項1に記載の発明においては、キーベースの揺動操作時に、第1規制手段によりキーベースの軸線と直交する面内での回転以外の移動が規制されるとともに、第2規制手段によりキーベースの軸線を中心とする回転が規制される。この場合、第1規制手段と第2規制手段とが兼用の構成でなく、分離して別々に配置されている。このため、第1,第2規制手段の位置関係を適宜に設定することができ、大きな摩擦接触部分が生じないように構成できる。従って、キーベース、保持部材及び弾性変形体に磨耗が生じるのを抑制することができ、安定した出力特性を得ることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明においては、保持部材及びキーベースに円形の規制面を設けるだけなので、第1規制手段の構造が簡単であるとともに、その規制面により、キーベースの移動を確実に規制することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明においては、保持部材とキーベースとの間に凹凸の嵌合関係を設けるだけなので、第2規制手段の構造が簡単であるとともに、キーベースの回転を確実に規制することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、この発明によれば、キーベース、保持部材及び弾性変形体等に磨耗が生じるのを抑制することができて、安定した出力特性を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、この発明の一実施形態を、図1〜図9に基づいて説明する。
図1及び図4に示すように、この実施形態のポインティングデバイスにおいて、絶縁材よりなる基板21の上面には、複数の接地側電極22aと電源側電極22bとが同一円周上で所定間隔おきに配列され、これらの接地側電極22a及び電源側電極22bにより第1電極部22が構成されている。この第1電極部22の内周側において、基板21の上面には、4つの扇形電極23aが第1電極部22と同心状に配列形成され、これらの扇形電極23aにより第2電極部23が構成されている。前記第2電極部23の内側において、基板21の上面には、円環状の接地側電極24a及び円板状の電源側電極24bが同第2電極部23と同心状に配列形成され、これらの接地側電極24a及び電源側電極24bにより第3電極部24が構成されている。また、各電極部22〜24は銅箔をエッチングによりパターン化して形成したものであり、第1電極部22の接地側電極22aと電源側電極22bは、銅箔を露出させた状態となっている。第2電極部23は銅箔上にレジストにて絶縁処理が施されており、第3電極の接地側電極24aの内周側の一部分と電源側電極24bとは銅箔を露出させており、他の部分はレジストにて絶縁処理されている。前記第1電極部22の外側に位置するように、基板21には一対の位置決め孔26が形成されている。
【0017】
図1〜図3、図6及び図7に示すように、前記基板21の上面には合成樹脂製の保持部材27が固定されている。保持部材27の中央の下面側には円形状の第1保持部28が凹設形成されるとともに、中央の上面側には第1保持部28よりも小径の第2保持部29が凹設形成されている。第2保持部29の底面と保持部材27の上面との間には、透孔29aが形成されている。保持部材27の下面外周部には一対の第1位置決めピン30が突設されるとともに、上面外周部には一対の第2位置決めピン31が突設されている。そして、第1位置決めピン30を基板21の前記位置決め孔26に嵌合させることにより、保持部材27が基板21上の所定位置に位置決めされている。基板21の上部には金属製のカバー32がその一部に形成された図示しない位置決め孔を保持部材27の第2位置決めピン31に嵌合させることにより、保持部材27の外周や、他の電装品25等を覆う所定の位置に位置決め固定されている。
【0018】
図1及び図5に示すように、前記基板21の上面には円板状の弾性変形体33が保持部材27の第1保持部28内に収容保持した状態で配置されている。この弾性変形体33は、例えばシリコーンゴムの母材にカーボン等の導電性材を混練することにより、導電性,弾力性及び柔軟性を有するように形成されている。弾性変形体33の下面の外側部には、円環状の突起34が基板21上における第1電極部22の接地側電極22a及び電源側電極22bに対して接触離間可能に対応するように形成されている。前記突起34の内周側において、弾性変形体33の下面には、円環状の傾斜面35が基板21上の第2電極部23に接近離間可能に対応するように形成されている。そして、弾性変形体33が変形して、突起34が接地側電極22a及び電源側電極22bに接触することにより、それらの電極22a,22b間を短絡するようになっている。また、弾性変形体33が変形されることにより、前記傾斜面35と基板21上の第2電極部23との間の間隔が変化するようになっており、その間隔変化に伴って傾斜面35と基板21上の間の静電容量が変化する。
【0019】
弾性変形体33の下面と基板21の上面との間に位置するように基板21の上面には、ドーム形の接点板36が前記第3電極部24の接地側電極24aに接続した状態で配置されている。そして、この接点板36が下方へ凹むようにして変形することにより、第3電極部24の電源側電極24bに接触して、同第3電極部24の電極24a,24b間を短絡するようになっている。
【0020】
図1〜図3及び図6〜図8に示すように、前記弾性変形体33上には合成樹脂よりなる円板状のキーベース37が保持部材27の第2保持部29内に揺動可能に収容保持した状態で載置され、そのキーベース37の上面中央には前記透孔29a内に位置する段差部37aが突出形成されている。前記透孔29aから上方へ突出する取付ボス38が突設されている。キーベース37の取付ボス38には操作キー39が嵌着されて止めピン40により抜け止め固定され、その操作キー39の上面にはゴム製の操作部41が設けられている。
【0021】
そして、図9(a)に示すように、操作者がこの操作キー39の操作部41の上面外周の一部を押圧操作して、キーベース37を任意の方向に揺動させたときには、弾性変形体33が弾性変形される。
【0022】
図1〜図3及び図6〜図8に示すように、前記保持部材27とキーベース37との間には、第1規制手段としての第1規制構造42と第2規制手段としての第2規制構造43とが、分離した状態で別々に配置されている。すなわち、図2に示すように、第1規制構造42は、キーベース37の中心部を通る軸線C1と直交する面内におけるキーベース37の回転以外の移動M1を規制するようになっている。図3に示すように、第2規制構造43は、軸線C1を中心とするキーベース37の回転M2を規制するようになっている。
【0023】
前記第1規制構造42は、保持部材27の第2保持部29の内周面によって形成された円形状の規制面としての規制内周面44と、キーベース37の外周面に形成された円形の規制面としての規制外周面45とから構成されている。そして、図2に示すように、このキーベース37の規制外周面45が保持部材27の規制内周面44に接触係合されることにより、キーベース37の軸線C1と直交する面内での回転以外の移動M1が規制されるようになっている。この場合、図1の円領域に示すように、キーベース37の規制外周面45が上部ほど小径となるテーパー状に形成され、キーベース37の揺動時において、両規制面44,45の干渉を避けるようになっている。
【0024】
また、前記第2規制構造43は、保持部材27の第2保持部29の透孔29aの内周縁に等間隔おきで形成された4つの規制凹部46と、キーベース37の段差部37aの外周に等間隔おきで形成された4つの規制凸部47とから構成されている。ここで、透孔29aの内周面と段差部37aの外周面との間、及び規制凹部46の内底部と規制凸部47の外端部との間にはそれぞれ間隙Sが形成されている。そして、図3に示すように、このキーベース37の規制凹部46に保持部材27の規制凸部47が嵌合されることにより、キーベース37の軸線C1を中心とする回転M2が規制されるようになっている。
【0025】
次に、前記のように構成されたポインティングデバイスの作用を説明する。
さて、このポインティングデバイスにおいて、図9(a)に示すように、操作キー39の操作部41の上面外周の一部が押圧操作されて、キーベース37が揺動されると、弾性変形体33が弾性変形されて、その下面の突起34が操作位置と対応する基板21上の第1電極部22の接地側電極22aと電源側電極22bとに接触され、それらの間を短絡する。これによって、図示しない制御装置の作用により短絡状態を特定する信号が出力され、操作有無の認識が可能となり、例えば制御装置の省電力(スリープモード)の解除を行う。また、この操作キー39の押圧操作時には、その押圧操作量に応じて、操作位置に対応する弾性変形体33の傾斜面35と基板21上の第2電極部23との間の間隔が変化し、その間隔変化に伴い静電容量が変化して、その静電容量の変化が出力される。これによって、操作方向と操作量の認識が可能となる。
【0026】
この操作キー39によるキーベース37の揺動操作時には、規制内周面44及び規制外周面45よりなる第1規制構造42により、キーベース37の軸線C1と直交する面内での回転以外の移動M1が規制される。それとともに、規制凹部46及び規制凸部47よりなる第2規制構造43により、キーベース37の軸線C1を中心とする回転M2が規制される。従って、キーベース37と弾性変形体33,保持部材27との間、弾性変形体33と基板21との間の摩擦接触を防止して、それらの磨耗を防止できる。
【0027】
この場合、第1規制構造42と第2規制構造43とが兼用に構成されることなく、分離して別々に配置されているため、各規制構造42,43の規制部に大きな摩擦抵抗が生じることはない。すなわち、例えば、図3において、操作キー39の位置P1付近が押し下げられるような操作がされた場合、キーベース37は、図9(b)の模式原理図に示すように、位置P1の周辺の外周が最も大きなストロークQ2で移動する。
【0028】
この場合、規制凹部46と規制凸部47とは、キーベース37の軸線C1と直交する面内の回転以外の移動M1を規制する必要がないため、それらの内底部と先端部との間に間隙Sが形成されており、その内底部と先端部とが摩擦接触することはない。また、位置P1と最も近接するところの規制凹部46と規制凸部47とは、それらの側面部P3がその側面の延長方向に沿って摺動するのみで、摩擦は極めて小さく、磨耗はほとんど生じない。さらに、位置P1から離れたところの側面部P3は、ある程度の摩擦接触を避けることができないが、図9(b)から理解されるように、その移動ストロークQ1は極めて少ない。
【0029】
しかも、規制凹部46及び規制凸部47以外の部分においても、キーベース37の段差部37aと保持部材27の透孔29aとの間に間隙Sが形成されているため、磨耗を防止できる。加えて、キーベース37の規制外周面45がテーパー状に形成されて、規制内周面44との間の干渉が防止されているため、この部分の磨耗も防止できる。
【0030】
以上のように、キーベース37、保持部材27及び弾性変形体33等に磨耗が生じるのを抑制することができ、長期間継続使用しても、安定した出力特性を得ることができる。
さらに、操作キー39の上面中央部を押圧操作したときには、弾性変形体33の中央部が弾性変形され、ドーム形の接点板36が下方に反転される。これにより、第3電極部24の接地側電極24aと電源側電極24bとが接続されて、操作を確定する信号等が出力される。
【0031】
以上に述べたこの実施形態の効果を列挙すれば以下の通りである。
・ キーベース37及び操作キー39が独立配置されているため、操作キー39の操作が弾性連結部によって拘束されるようなことはなく、操作感が向上する。
【0032】
・ キーベース37の軸線C1を中心とした回転や、軸線と直交する方向への回転以外の移動を抑止できるため、キーベース37と弾性変形体33との間に摩擦接触をともなう相対移動が生じることはほとんどなく、キーベース37及び弾性変形体33、特に弾性変形体33の磨耗を抑制でき、安定した出力特性を得ることができる。
【0033】
・ キーベース37と保持部材27との間の磨耗を抑制できるため、機械的な耐久性を向上できるとともに、前記と同様に安定した出力特性を得ることができる。
・ 弾性変形体33と基板21との間の磨耗を抑制できるため、前記と同様に、耐久性向上、出力特性の安定化を図ることができる。
【0034】
・ 以上の磨耗抑制のための構成は、保持部材27の内周部とキーベース37の外周部に、第1,第2規制構造42,43を形成しただけであるから、部品点数が増えることはなく、構成は簡単である。
【0035】
(変更例)
なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 保持部材27とキーベース37との間の回転を規制するための規制凹部46及び規制凸部47よりなる第2規制構造43の数を適宜に変更すること。例えば、図10に示すように、第2規制構造43を120度おきに設けたり、図11に示すように、1箇所に設けたり、あるいは、2箇所に設けたり、5箇所以上に設けたりすること。
【0036】
・ 第2規制構造43の凹凸関係を前記実施形態の逆とすること。すなわち、図12に示すように、キーベース37側に規制凹部46を形成するとともに、保持部材27側に規制凸部47を形成すること。
【0037】
・ 図13に示すように、保持部材27とキーベース37との間の第2規制構造43を保持部材27に形成された長孔51とキーベース37に形成された規制ピン52とから構成すること。
【0038】
・ 前記実施形態及び各変更例の構成において、キーベース37の上部に操作キー部を一体に設けること。
第1規制構造42におけるテーパーの構成を変更すること。例えば、キーベース37の規制内周面44を下開きのテーパー面とすること。
【0039】
(他の技術的思想)
前記実施形態及び変形例から把握される技術的思想であって、請求項に記載以外の技術的思想を以下に列挙する。
【0040】
(1) キーベース37の揺動時における前記第1規制手段(42)の対向する規制面(44,45)間の干渉を避けるために、それらの規制面の少なくとも一方にテーパー面を形成した請求項1または2に記載のポインティングデバイス。
【0041】
このように構成すれば、規制面どうし干渉を避けることができて、それらの磨耗を抑制できる。
(2) 保持部材(27)とキーベース(37)との間において、第1規制手段(42)及び第2規制手段(43)の位置を除いて、両者(27)(37)間に間隙(S)を設けた請求項1〜3,前記技術的思想(1)項のうちのいずれか一項に記載のポインティングデバイス。
【0042】
このようにすれば、保持部材とキーベースとの間の干渉を避けて、それらの磨耗を抑制できる。なお、ここで、第2規制手段とは、規制凹部(46)及び規制凸部(47)の側面間の接触部を指すものとする。
【0043】
(3) 電極(22a,22b,23a,23b,24a,24b)が配置された基板(21)上に導電性を有する弾性変形体(33)を配置するとともに、その弾性変形体(33)上にはキーベース(37)を保持部材(27)にて揺動可能に保持した状態で設け、キーベース(37)上の操作キー(39)の操作によりキーベース(37)が揺動されたとき、前記電極と弾性変形体との間の位置関係が変化して、それに応じた電気信号を出力するようにしたポインティングデバイスであって、
前記保持部材とキーベースとの間には、キーベースの中心部を通る軸線(C1)と直交する面内でのキーベースの移動を規制するための第1規制手段(42)と、前記軸線を中心とするキーベースの回転を規制するための第2規制手段(43)とを分離して設け、
前記第1規制手段は、保持部材の内周面及びキーベースの外周面に形成された円形の規制面(44)(45)よりなり、
前記第2規制手段は、保持部材に形成された凹部(46)と、キーベースに形成され前記凹部(46)に嵌合する凸部(47)とよりなり、
前記第1,第2規制手段の部分を除いて、保持部材とキーベースとの対向面間に間隙(S)を設けたポインティングデバイス。
【0044】
以上のように構成すれば、請求項1〜3の作用と同様な作用を得ることができる。ここで、第2規制手段とは、規制凹部(46)及び規制凸部(47)の側面間の接触部を指すものとする。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】一実施形態のポインティングデバイスを示す要部縦断面図。
【図2】図1の2−2線における断面図。
【図3】図1の3−3線における断面図。
【図4】図1のポインティングデバイスにおける基板を示す平面図。
【図5】同じく弾性変形体を示す底面図。
【図6】保持部材を平面側から見て示す斜視図。
【図7】保持部材を底面側から見て示す斜視図。
【図8】キーベースを平面側から見て示す斜視図。
【図9】(a)は、図1のポインティングデバイスの動作状態を示す要部縦断面図、(b)は、作用を示す模式原理図。
【図10】保持部材とキーベースとの間の規制構造の変更例を示す断面図。
【図11】同じく規制構造の別の変更例を示す断面図。
【図12】同じく規制構造の別の変更例を示す断面図。
【図13】同じく規制構造の別の変更例を示す断面図。
【符号の説明】
【0046】
21…基板、22a,22b,23a,24a,24b…電極、27…保持部材、28…第1保持部、29…第2保持部、33…弾性変形体、34…突起、35…傾斜面、36…接点板、37…キーベース、39…操作キー、42…第1規制手段としての第1規制構造、43…第2規制手段としての第2規制構造、44…規制面としての規制内周面、45…規制面としての規制外周面、46…規制凹部、47…規制凸部、51…長孔、52…規制ピン、C1…軸線、M1…移動、M2…回転。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極が配置された基板上に導電性を有する弾性変形体を配置するとともに、その弾性変形体上にはキーベースを保持部材にて揺動可能に保持した状態で設け、キーベース上の操作キーの操作によりキーベースが揺動されたとき、前記電極と弾性変形体との間の位置関係が変化して、それに応じた電気信号が出力されるようにしたポインティングデバイスであって、
前記保持部材とキーベースとの間には、キーベースの中心部を通る軸線と直交する面内でのキーベースの回転以外の移動を規制するための第1規制手段と、前記軸線を中心とするキーベースの回転を規制するための第2規制手段とを分離して設けたことを特徴とするポインティングデバイス。
【請求項2】
前記第1規制手段は、保持部材の内周面及びキーベースの外周面に形成された円形の規制面であることを特徴とする請求項1に記載のポインティングデバイス。
【請求項3】
前記第2規制手段は、保持部材とキーベースとの間に形成された凹凸の嵌合構造であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のポインティングデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−331326(P2006−331326A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−157851(P2005−157851)
【出願日】平成17年5月30日(2005.5.30)
【出願人】(000107642)スター精密株式会社 (253)
【Fターム(参考)】