説明

ポジションセンサ

本発明は、磁気素子(34)用の少なくとも1つのガイドレール(36,38)を有するガイドハウジング(14)を備えたポジションセンサ(10)に関する。ガイドハウジング(14)には、リードフレーム構造部(50)および/または導体路(40)を電気絶縁しかつ/または固定する射出成形部(48)が収容されている。射出成形部(48)は、磁気素子(34)用の紛失防止手段(42,44)を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポジションセンサに関する。
【0002】
背景技術
ドイツ連邦共和国特許出願公開第102006059741号明細書は、モジュール式に構成されたセンサ支持構造に関するものである。センサ支持構造は、少なくとも1つのベースハウジングとベースハウジングとは個別に製造される少なくとも1つのセンサ支持モジュールとを備えている。センサ支持モジュールは、鋳造にとって適切な材料から製造されていて、機械式にセンサ支持構造のベースハウジングに固定可能である。
【0003】
自動車に使用する際に、特に変速機制御装置用のポジションセンサでは、センサは、電子モジュールに組み込まれる。自動変速機においてたとえば組み込まれたセンサは、そこに存在する運転要求状況に応じて設計する必要がある。センサは、−40℃〜+150℃の周辺温度に耐え、さらに、攻撃的な周辺の変速機油(ATF=オートマチックトランスミッションフルード)、30gまでの高い機械荷重ならびに変速機内で生じる摩耗金属片もしくは粒子に耐える必要がある。
【0004】
このような使用状況において、媒体耐性および温度耐性は、電子装置の耐油性の封入ならびに高温基板の使用により保証される。様々な変速機のトポロジに関する複雑な要求ならびに構成スペースおよび機能に関する要求に基づいて、様々な物理学的な測定原理が利用される。直線的な位置検出は、たとえばホールスイッチに基づいて行うことができる。これに関して、デジタルの4つのホールスイッチが用いられ、これらのホールスイッチは、直線状に移動可能な多極の永久磁石の磁気コードを検出するように、回路基板上に配置される。磁気スライダは、直線状に操作されるセレクタ、変速機制御板に設けられた液圧シフタまたはパーキングロックシリンダと連結されている。ホールスイッチの他に、回路基板に、診断機能を形成するための抵抗およびEMVコンデンサが設けられている。
【0005】
センサ電子装置は、耐油性の密なエポキシ樹脂の流し込みにより、変速機油の流入に対して保護されている。手動のシフト(Mシフトとも云う)を備えた自動変速機では、ポジションセンサは、セレクタの位置P,R,N,D,4,3,2ならびに中間域を検出する。セレクタの位置ならびに中間域は、4ビットコードとして、変速機制御装置に出力される。安全性の理由から、位置設定のコード化が1つのステップで行われ、つまり新たな位置を検出するまで常に1回のビット変化が要求されている。機能エラーに起因する簡単なビット変化は、妥当性を考慮して制御装置によりエラーとして検出することができる。変速機制御装置のこのようなポジションセンサの構成は、出版物"Sensoren im Kraftfahrzeug",Robert Bosch GmbH,2007年度版,Fachwissen Kfz−Technik,Elektrik und Elektronik fuer Kfz,ISBN−10 3−7782−2031−4,136〜138頁において公知である。
【0006】
発明の開示
本発明により提案される構成によれば、磁気スライダ用の紛失防止手段を形成する追加的な構成要素の代わりに、PAから製造された射出成形部がそのような紛失防止手段として構成される。したがってPA射出成形部は、変速機油(ATF=オートマチックトランスミッションフルード)に対するセンサユニットのシールならびに磁気スライダ用の紛失防止手段として働く。選択された材料組み合わせ、PPSから成るガイドハウジングの製造ならびにPAから成るユニットシールの製造に基づいて、PAから射出成形される紛失防止フックは、PPSから成るガイドハウジングに付着しない。
【0007】
特に変速機油(ATF=オートマチックトランスミッションフルード)を包含する車両変速機に使用される、本発明により提案されるポジションセンサの構成により、変速機制御装置において、使用される構成要素の数ならびに製造コストもしくは所要製造時間が大幅に低減させられる。本発明により提案される構成によれば、PA射出成形部により、リードフレームまたはフレックスシートのみならず相互に前射出成形された導体路として構成された電気的な構造技術部品および/または結合技術部品が固定されるだけでなく、センサユニット位置も固定される。さらにPA射出成形部により、特に周辺の媒体の汚染に起因する短絡接続を排除する相互の電気絶縁性が保証される。このことは、変速機油がたとえば歯車および軸の可動の構成要素の摩耗金属片を含有して、上述の短絡接続を生じさせる恐れがあるので、十分にATFに当てはまる。
【0008】
本発明により提案されるポジションセンサに使用されるガイドハウジングの特に好適な態様によれば、構造技術部品および結合技術部品をカバーするPA射出成形部に、弾性的な係止フックが成形される。このことは、本発明により提案されるポジションセンサの、射出成形によりプラスチックから製造されるガイドハウジングにおいて、製造技術的に極めて簡単に実現することができる。係止フックは、PA射出成形部に組み込まれた構成要素であり、それゆえ特別な構成要素を成していないので、本発明により提案されるポジションセンサを製造する際に、製造コストを好適に削減することができる。特に係止フックとして形成された紛失防止手段は、特に好適には、磁気素子、たとえば磁気化されるかまたは磁気特性を有する磁気スライダの横方向の移動距離を制限する。磁気スライダは、ガイドハウジングの、構造技術部品および結合技術部品とは反対側で、ガイドレールもしくはガイドリブに側方に移動可能にガイドされる。紛失防止手段、特に係止フックが、PA射出成形部を組み付けたあとでガイドハウジングの開口を貫通するので、紛失防止手段のフック状の突起は、磁気素子または磁気化された素子の運動平面に突入し、磁気素子または磁気化された素子の横方向の移動距離を制限する。
【0009】
特に好適には、本発明により提案される構成によれば、ガイドハウジングに窓状の開口が形成され、開口は、一方ではセンサユニット(センサユニットはリードフレーム構造部および導体路構造部として構成された構造技術部品および結合技術部品と材料結合で結合されている)に対向し、他方では開口により、ガイドハウジングの別の側で、特に磁気スライダとして構成された磁気素子の横方向の移動が検出される。
【0010】
前製造、つまり前射出成形されたリードフレームまたは前射出成形された導体路として構成された構造技術部品および結合技術部品とのセンサユニットの材料結合による接合において、前付けされた構成群がガイドハウジングに、またセンサユニットがガイドハウジングの窓に対向するように組み付けられる。センサユニットおよびリードフレーム構造部や導体路構造部から成る前付けされた構成群は、特に簡単にガイドハウジングにクリップ止めすることができる。次いで、PA射出成形部が形成され、PA射出成形部に、好適にはプラスチック材料から製造されたスナップ要素が形成され、スナップ要素は、プラスチック材料が硬化したあとで、工具を用いることなく簡単にガイドハウジングの相応に構成された開口に掛止される。
【0011】
ガイドハウジングに設けられた点状の載設部またはリブ状に構成された位置決め補助手段に、センサユニットが、組付状態で、横方向に移動可能な磁気スライダとは反対側で、ガイドハウジングの窓状の開口に関して所定の間隔を置いて配置されている。
【0012】
ガイドハウジングの窓は、好適には、センサユニットと磁気スライダとの間の空隙を縮小するために働く。適切に形成された開口を介してガイドハウジングにクリップ止めされる射出成形部は、オートマチックフルードに対してセンサユニットをシールするように働く。PA射出成形部は、ポジションセンサのガイドハウジングに組み付けた状態で前射出成形されたリードフレームまたは前射出成形された導体路として構成された構造技術部品および結合技術部品を保護し、PA射出成形部は、オートマチックフルードが含有する金属粒子による短絡を防止するよう働く。PA射出成形部は、さらに温度変動が生じる場合でも自動車の運転時に起こる必然的な震動が生じる場合でも、組付状態でセンサユニットを位置固定するように働く。
【0013】
本発明により提案されるポジションセンサの製造は、PPSからセンサハウジング12を製造することにより行われる。PPSは、高精度で製造可能であるが、高価な材料である。センサハウジングの機能は、残りの構成要素の収容ならびに耐用期間にわたる磁石の精確なガイドにある。PPS材料から成るセンサハウジングに、前射出成形されたリードフレーム構造部ならびにセンサユニットがクリップ止めされる。センサユニットは、開口22にクリップ止めされる。このように前付けされた構成群は、射出成形金型に導入され、別のプラスチック材料(好適にはPAである)により射出成形で包囲される。前付けされた構成群の射出成形過程の間に掛止要素54が形成され、これにより前射出成形されたリードフレーム構造部50ならびに前付けされたセンサユニット56は、ガイドハウジングと材料結合で結合される。同時に射出成形により、フック状の少なくとも1つの突起44が形成される。このようにして射出成形された構成群に、磁気スライダが、側方に移動可能に組み付けられる。
【0014】
以下に、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】センサユニット用の位置決め補助手段と、あとで構成されるガイドハウジングのPA射出成形部を掛止するための開口とを備えた、本発明により提供されるポジションセンサのガイドハウジングを示す図である。
【図2】既に組み立てられた電気的な構造技術部品および結合技術部品として形成されたガイドレールもしくはガイドリブに収容された磁気素子もしくはガイドスライダを備えた、図1に示すガイドスリーブの反対側を示す図である。
【図3】射出成形されて完成した構成群を示す図である。
【図4】組み付けられた、図3に示す磁気スライダ、ガイドハウジングおよびPA射出成形部から成る構造を通る、図3に示すIV−IV線に沿った断面図である。
【図5】センサユニットおよびリードフレームもしくは前射出成形された導体路構造部の、ガイドハウジングに設けられた窓に対する前付けおよび位置決めを示す図である。
【図6】PA射出成形部と、センサユニットを備え前付けされたリードフレームと、ガイドハウジングと、ガイドハウジングとは別体の、特に磁気スライダとして形成された磁気素子とを備えた、本発明により提供されるセンサの構成要素の分解図である。
【0016】
発明の実施の形態
図1から看取されるように、ポジションセンサのセンサハウジング12が、ガイドハウジング14として形成されている。ガイドハウジング14は、プラスチック材料、たとえばPPS(GF+M)65またはPPS(GF+M)55から製作されている。PPSは、ポリフェニレンスルフィドであり、これは、特に耐用期間にわたる形状安定性に関して極めて良好な特性を有する極めて高価なプラスチック材料である。PA射出成形部58は、後述するように、ポリアミドから成る射出成形部を形成し、これは、比較的安価なプラスチック材料である。
【0017】
図1から看取されるように、ポジションセンサのガイドハウジング14は、窓状に形成された幾つかの開口を備えている。さらにガイドハウジング14に窓20が形成されており、ポジションセンサの組立状態では、窓20の内側において、後述するセンサユニット56、ならびにセンサユニット56に対して横向きに移動可能な、特にマグネットスライダ34として形成された磁気素子34が対向する。ガイドハウジング14における窓20の構成により、センサユニット56(図5参照)とマグネットスライダ(図2参照)との間の距離を縮小することができる。
【0018】
ガイドハウジング14には、位置決め要素16が設けられており、位置決め要素16は、リブ18として構成するか、または点状の載設部として構成してよく、位置決め要素16に、センサユニット56(図5参照)が、センサユニット56の組付状態で当接する。上述の窓20は、磁気素子34とセンサユニット56との間の空隙を縮小するように働き、窓20の他に、ハウジングは、幾つかの固定窓もしくは固定開口30を備えている。固定窓もしくは固定開口30は、図1に概略的に示すように、たとえば長孔として形成されている。固定窓もしくは固定開口30は、正方形、長方形またはきのこ形の外観を有してもよく、射出成形工程において、射出成形材料を図3もしくは図6に示すPA射出成形部48と掛止させるために用いられる。さらにセンサハウジング12のガイドハウジング14には、図1に示すように、窓28が設けられている。窓28は、あとで詳しく言及するように、紛失防止機能を実現するために用いられる。さらにガイドハウジング14は、結合ブシュ24を備えている。結合ブシュ24は、センサハウジング12を位置決めする。さらに結合ブシュ24は、雌ねじ山を備えることができるので、センサハウジング12のねじ止め性能を保証する。さらにガイドハウジング14には窓22が設けられている。窓22は、前射出成形されたリードフレーム50(図5参照)、前射出成形された導体路構造部40または別の構造技術部品および結合技術部品を含む前付けされた構成群を係止するために用いられる。窓22には、図3に示すPA射出成形部48が製作されるまえに、構造技術部品および結合技術部品から成る前付けされた構成群およびセンサユニット56をクリップ止めすることができる。
【0019】
図2は、完成した構成群を示し、図1に概略的に示すガイドハウジングを反対側から示している。
【0020】
ガイドハウジング14の、図2に示す背面には、横向きに移動可能な磁気素子または磁化可能な素子34が設けられている。図2に示す態様では、磁気素子または磁化可能な素子34は、スライダ状に形成されていて、ガイドハウジング14の背面に射出成形されたガイドリブ32に沿って横向きに移動可能である。磁気素子34の、それぞれ反対側の端部は、ガイドハウジング14に形成された第1のガイドレール36もしくは第2のガイドレール38にガイドされている。磁気素子34は、切欠58を備えており、切欠58は、磁気素子34の側面32に設けられたストッパ面60により画設されている。ストッパ面60は、紛失防止手段42,44と協働し、紛失防止手段42,44は、PA射出成形部48が完全に射出成形された状態で(図3参照)、ガイドハウジング14に形成された、係止フック用の窓28を貫通する。横向きに可動の磁気素子34の運動平面に突出する紛失防止手段42の突起44が、ガイドハウジング14に沿った磁気素子34の側方の移動距離を制限する。さらに図2から判るように、前射出成形された導体路40もしくは前射出成形されたリードフレーム構造部50として構成された構造技術部品および結合技術部品の組付状態で、ガイドハウジング14の端部において、接触のための導体路端部が、ポジションセンサの平らなガイドハウジング14から突出している。
【0021】
図3には、嵌め込まれたセンサユニットとクリップ止めされたPA射出成形部とを備えたガイドハウジングを示している。
【0022】
図3では、PA射出成形部48は、完全にガイドハウジング14に射出成形されている。符号46で支持点を示しており、支持点46により、リードフレーム構造部50もしくは前射出成形された導体路40に対して所定の間隔を有してセンサユニット56が配置されて、収容される。PA射出成形部48は、図3には図示していない、ガイドハウジング14寄りの面に、幾つかのスナップ要素54を備えており、スナップ要素54は、図6の分解図から良好に看取される。図3から判るように、PA射出成形部48に、係止フック44の構成をした紛失防止手段42が形成されており、係止フック44は、PA射出成形部48の窓28に掛止されていて、磁気素子用の、図2に関して上述する紛失防止手段を形成する。掛止は、PAプラスチック材料のために設けられた窓状の開口28にPAプラスチック材料が入り込むことにより、形成される。
【0023】
図3において、紛失防止手段42とガイドハウジング14とPA射出成形部48とを通って延びるIV−IV線が看取される。
【0024】
図4には、ガイドハウジング14とPA射出成形部48と磁気素子34とを備えた構成群を通る、図3のIV−IV線に沿った断面を示している。図4から看取されるように、前射出成形されたリードフレーム構造部40もしくは前射出成形された導体路構造部40およびPA射出成形部48の組付状態で、紛失防止手段42は、ガイドハウジング14の窓28を貫通する。これにより紛失防止手段42のフック状の突起44が形成され、突起44は、磁気素子34の切欠58を画設するストッパ面60と協働する。磁気素子34の運動平面に突入する突起44にストッパ面60が当接することにより、特にスライダ状に形成された磁気素子34の、ガイドリブ32に沿って横向きに延在する移動距離が制限される。さらに図4の断面図から判るように、紛失防止手段42の、延長されたアームに基づいて、アームは、組立を簡単にすると共に機能性を向上させる弾性を有している。符号46で支持点を示しており、支持点46で、図5の分解図に示すセンサユニット56が、リードフレーム構造部50もしくは前射出成形された導体路構造部40と材料結合されている。
【0025】
さらに図4の断面図から判るように、完成状態で、前射出成形された導体路構造部40もしくは前射出成形されたリードフレーム構造部50は、PA射出成形部48により固定されている。センサユニット56、前射出成形されたリードフレーム構造部50および/または前射出成形された導体路構造部40から成る前付けされた構成群を固定して電気絶縁するPA射出成形部48は、ガイドハウジング14に面状に接触し、ガイドハウジング14の背面では、ガイドリブ32に沿って、特にスライダ状に形成された磁気素子34が移動可能である。図5の分解図から判るように、前射出成形されたリードフレーム構造部50は、幾つかの導体路を備えることができる。構造技術部品および結合技術部品は、前射出成形されたリードフレーム構造部50の代わりに、幾つかの導体路40を備えることができる。図5から判るように、図3に示すようにしてPA射出成形部48を組み付けるまえに、センサユニット56は、支持点46でもって、前射出成形されたリードフレーム構造部50もしくは前射出成形された導体路構造部40と電気接続される。支持点46は、ピン状にセンサユニット56の背面から突出する突起により形成される。支持点46の付近に設けられたピン状の突起の長さは、センサユニット46が、組立状態で、窓20を介して、図4に示すようにガイドハウジング14の背面に沿って横向きに移動可能な磁気素子34に対して占める間隔を規定する。この空隙は、縮小可能である。図5において、符号52によって、ポジションセンサのガイドハウジング14に設けられたガイドリブ32もしくはガイドレール36,38に沿った、図4に示す磁気素子34の取付方向が看取される。
【0026】
図6の分解図には、本発明により提供されるポジションセンサ10の個々の構成群を示している。
【0027】
図6から、同様に図5の分解図に示すセンサユニット56が看取され、センサユニット56は、前射出成形されたリードフレーム構造部50もしくは前射出成形された導体路構造部40と材料結合により結合されている。前付けされた構成群は、先ずガイドハウジング14とクリップ止めされる。クリップ止めは、ガイドハウジング14の、図1に示す窓22にスナップ要素を導入することにより行われるので、センサユニット56、前射出成形されたリードフレーム構造部50もしくは前射出成形された導体路構造部40から成る前付けされた構成群は、ガイドハウジング14に固定される。次いで、PA射出成形部48により構成群がカバーされる。図6の分解図から明確に判るように、PA射出成形部58の内側面に、アンダカットを有するきのこ形の構成をした掛止要素54が形成されている。掛止要素54は、PA射出成形部48をガイドハウジング14に形成する際に、流動性であり、あとで硬化するPA材料により形成される。PA射出成形部48を形成する際に、センサ要素56は、正面でもって、位置決め要素16に押し付けられる。位置決め要素16は、点状の載設部またはリブ18として構成することができる。PA射出成形部48を組み付ける際に、紛失防止手段42のフック状の突起44は、ガイドハウジング14の対応する窓28を貫通する。次いで、下位のガイドレール38、場合によってはガイドハウジング14の背面に形成されたガイドリブ32ならびに場合によってはガイドレール36への磁気素子34の差込が行われる。磁気素子34は、正面64を備えており、正面64は、既に図2に関して説明した切欠58(切欠58はストッパ面60により画設される)ならびに側面62(側面62は磁気素子34の正面64を画設する)を備えている。
【0028】
係止フック状の突起44が差込方向に傾斜部を有していることに基づいて、横向きに移動可能な磁気素子34が特に簡単に突起44の上を移動可能であるので、ガイドレール38もしくは36もしくはガイドリブ32への磁気素子34の差込は特に簡単に行われるが、逆方向に、紛失防止手段42の、真っ直ぐに延びるフック状の突起44に基づいて、ストッパ面60(ストッパ面60は切欠58により画設される)は、紛失防止手段42のフック状の突起44の真っ直ぐに延びる面に当接する。これにより横向きにガイドハウジング14に沿って移動可能な磁気素子34は、紛失不能であるが、移動可能に収容されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング、特に磁気素子(34)用の少なくとも1つのガイドレール(36,38)を有するガイドハウジング(14)を備えたポジションセンサ(10)において、
前記ガイドハウジング(14)には、リードフレーム構造部(50)および/または導体路(40)を電気絶縁して固定する射出成形部(48)が収容されており、該射出成形部(48)は、前記磁気素子(34)用の紛失防止手段(42,44)を形成することを特徴とする、ポジションセンサ。
【請求項2】
前記ガイドハウジング(14)は、開口(30)を備えており、該開口(30)において、プラスチック材料、特にポリアミドが、掛止点または掛止要素(54)を形成する、請求項1記載のポジションセンサ。
【請求項3】
前記射出成形部(48)は、前記ガイドハウジング(14)に設けられた窓(28)を貫通するフック状の突起(44)を備えており、該突起(44)は、真っ直ぐな面と斜めの面とを備えている、請求項1記載のポジションセンサ。
【請求項4】
前記紛失防止手段(42)のフック状の前記突起(44)は、前記磁気素子(34)の運動平面に突入して、該磁気素子(34)の横向きの移動距離(52)を制限する、請求項3記載のポジションセンサ。
【請求項5】
前記磁気素子(34)は、前記ガイドハウジング(14)のガイドリブ(32)に沿って、前記ガイドハウジング(14)に設けられた少なくとも1つのガイドレール(36,38)にガイドされている、請求項1記載のポジションセンサ。
【請求項6】
前記ガイドハウジング(14)は、窓(20)を備えており、該窓(20)は、センサユニット(56)に対向して位置しており、該センサユニット(56)は、前記リードフレーム構造部(50)および/または前記導体路構造部(40)と電気接続されている、請求項1記載のポジションセンサ。
【請求項7】
前記ガイドハウジング(14)は、前記リードフレーム構造部(50)および/または前記導体路構造部(40)の掛止を実現する開口(22)を備えている、請求項1記載のポジションセンサ。
【請求項8】
前記ガイドハウジング(14)は、特にリブ(18)として形成された、前記センサユニット(56)のため位置決め要素(16)を備えている、請求項1記載のポジションセンサ。
【請求項9】
前記磁気素子(34)は、切欠(58)を備えており、該切欠(58)は、少なくとも1つのストッパ面(60)により画設されている、請求項1記載のポジションセンサ。
【請求項10】
開口(20,22,28,30)を備えた支持体ハウジング(14)にポジションセンサ(10)を組み付ける方法において、
以下の方法ステップ、即ち:
a)支持点(46)の形成により、前射出成形されたリードフレーム構造部(50)または前射出成形された導体路構造部(40)にセンサユニット(56)を材料結合で接合し、
b)前記ガイドハウジング(14)に設けられた少なくとも1つのガイドレール(36,38)および/またはガイドリブ(32)に磁気素子(34)を組み付け、
c)前記センサユニット(56)、前記前射出成形されたリードフレーム構造部(50)および/または前記前射出成形された導体路構造部(40)から成る前付けされた構成群を電気絶縁して固定する射出成形部(48)を射出成形プロセスにより成形し、その際、該射出成形部(48)の掛止点(54)は、前記ガイドハウジング(14)の開口(30)に突入し、
d)前記ガイドハウジング(14)に沿った前記磁気素子(34)の側方の移動距離(52)を制限する紛失防止手段(42,44)を、前記ガイドハウジング(14)の窓状の開口(28)に嵌め込む、
ステップを有することを特徴とする、ポジションセンサを組み付ける方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−513116(P2013−513116A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542411(P2012−542411)
【出願日】平成22年10月11日(2010.10.11)
【国際出願番号】PCT/EP2010/065175
【国際公開番号】WO2011/069712
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】