説明

ポビドンヨード、眼科用組成物のための新規代替保存剤

本発明には、眼科用調製物を保存するのに十分な濃度のポビドンヨード(PVP−I)と、ステロイド性抗炎症化合物、非ステロイド性抗炎症化合物、抗菌化合物、抗アレルギー化合物、及び抗緑内障化合物からなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含んでなる、保存眼科用調製物が含まれる。本発明にはまた、眼科用組成物を保存するために該組成物へPVP−Iを加えることが含まれ、ここでPVP−Iは、該組成物を保存するのに十分な濃度で加えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国仮特許出願第61/129,222号(2008年6月12日出願)と米国仮特許出願第61/201,854号(2008年12月15日出願)に対する優先権を主張して、このいずれもその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
保存剤は、現在、眼科用調製物の必須成分である。頻回用量パッケージの汚染を防ぐために、典型的には、好適な抗微生物保存剤を加える。このような薬剤には、塩化ベンザルコニウム、チメロサール、クロロブタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、フェニルエチルアルコール、EDTA、ソルビン酸、オナマー(Onamer)M、当業者に知られている他の薬剤、又はこれらの組合せを含めてよい。塩化ベンザルコニウム(BAK又はBACとも呼ばれる)は、眼科用調製物に使用される最も一般的な保存剤である。典型的には、このような保存剤は、0.001〜1.0重量%のレベルで利用される。しかしながら、最近の証拠により、薬物性眼疾患(ocular medicamentosa)、緑内障手術の成功の減少、又は眼科用医薬品へのコンプライアンス低下といった深刻な医療問題をもたらす、BAKの潜在的な角膜及び結膜毒性が注目されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明には、眼科用調製物を保存するのに十分な濃度のポビドンヨード(PVP−I)と、ステロイド性抗炎症化合物、非ステロイド性抗炎症化合物、抗菌化合物、抗アレルギー化合物、及び抗緑内障化合物からなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含んでなる、保存(preserved)眼科用調製物が含まれる。
【0004】
ある態様では、PVP−Iが、0.01%〜10%、0.1%〜2.5%、0.2〜1.5%、0.3%〜1.0%からなる群より選択される濃度で存在する。別の態様では、PVP−Iが濃度0.5%の濃度で存在する。
【0005】
ある態様では、PVP−I濃度が調製物全体に対して重量/重量ベースで測定される。別の態様では、PVP−I濃度が調製物全体に対して重量/容量ベースで測定される。
ある態様では、調製物に、フマル酸ケトチフェン、ジクロフェナクナトリウム、ネパフェナク、ブロムフェナク、フルルビプロフェンナトリウム、スプロフェン、セレコキシブ、ナプロフェン、ロフェコキシブ、及びこれらのあらゆる組合せからなる群より選択される抗炎症化合物が含まれる。
【0006】
ある態様では、調製物に、デキサメタゾン、デキサメタゾンアルコール、リン酸デキサメタゾンナトリウム、酢酸フルロメタロン、フルロメタロンアルコール、エタボン酸ロトプレンドール、メドリゾン、酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、ジフルプレドナート、リメキソロン、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、ロドキサミドトロメタミン、及びこれらのあらゆる組合せからなる群より選択される抗炎症化合物が含まれる。
【0007】
ある態様では、調製物に、塩化ベンザルコニウム、チメロサール、クロロブタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、フェニルエチルアルコール、EDTA、ソルビン酸、オナマーM、及びこれらのあらゆる組合せからなる群より選択される抗微生物保存剤がさらに含まれる。
【0008】
ある態様では、調製物に増粘剤がさらに含まれる。ある態様では、増粘剤が、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びこれらのあらゆる組合せからなる群より選択される。
【0009】
ある態様では、調製物に、少なくとも1つの人工涙液ベースの潤滑剤がさらに含まれる。
本発明にはまた、眼科用調製物を保存する方法が含まれ、該方法は、眼科用調製物を保存するのに十分な量でPVP−Iを眼科用調製物へ加えることを含んでなる。ある態様では、この方法には、0.01%〜10%、0.1%〜2.5%、0.2〜1.5%、及び0.3%〜1.0%からなる群より選択される濃度で存在するようにPVP−Iを加えることが含まれる。ある態様では、PVP−Iが0.5%の濃度で存在する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書に使用するように、「約」という用語は、基準値を含めて、その数値のプラス又はマイナス10%を意味する。
本明細書に示す範囲には、2つの終端基準値を含めて、その数値の間のあらゆる数値が含まれると企図される。
【0011】
本明細書では、ポビドンヨードが様々な医薬組成物のための保存剤として役立ち得ることをこれから示す。本発明の1つの側面では、ポビドンヨードが眼科用調製物のための保存剤であることを示す。故に、ある態様において、本発明は、ポビドンヨード組成物を含んでなる、保存眼科用組成物を提供する。
【0012】
ある態様において、ポビドンヨードは、様々な医薬組成物のための少なくとも1つの保存剤として機能する。ある態様において、ポビドンヨードは、眼科用組成物中の保存剤である。眼科用組成物中の保存剤としてのポビドンヨードの濃度は、0.01%〜10%(重量/重量又は重量/容量)とその中のすべての濃度の範囲に及び得る。ある態様において、ポビドンヨード濃度は、0.1%〜2.5%であり、別の態様では、0.2%〜1.5%であり、そしてなお別の態様では、0.3%〜1.0%である。ある態様において、ポビドンヨード濃度は、約0.5%である。
【0013】
本発明のある側面において、ポビドンヨードは、眼科用調製物に対して抗微生物特性を提供する。別の側面において、ポビドンヨードは、眼科用調製物に1以上の抗微生物ではない保存特性(例、抗酸化剤)を提供する。
【0014】
ある態様において、本発明はまた、本明細書に示すように、ポビドンヨード成分に加えて1以上の成分を含んでなるポビドンヨード組成物を提供する。
ある側面において、本発明は、例えば、マイコバクテリア、ウイルス、真菌、及びアメーバによって引き起こされる眼の結膜又は角膜感染症の症例に使用すべき保存剤としてポビドンヨードを含んでなる、広域スペクトルのポビドンヨード眼科用組成物を提供する。別の側面において、本発明の組成物は、他の眼科手技の中でも、直近の眼科手術より回復している患者の感染予防に有用である。
【0015】
様々な態様において、本発明によるポビドンヨード眼科用組成物には、限定されないが、以下のものが含まれる。
1.ポビドンヨードを保存剤として含んでなる人工涙液調製物。人工涙液ベースの構成成分には、限定されないが、眼科で許容される潤滑剤、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、デキストラン、混和ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、軽鉱油、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒプロメロース、カルボポール、カルボマー940(ポリアクリル酸)、ポリビニルピロリドン、白色ワセリン、大豆レシチン、及びナトリウムカルボキシルメチルセルロース、並びに当業者に知られている他の薬剤、又はこれらのあらゆる組合せが含まれる。典型的には、そのような構成成分は、0.1〜2重量%のレベルで利用する。ある態様において、構成成分は、1.0%プロピレングリコール、0.3%グリセリン、2.7%混和ポリビニルアルコール、1%ポリビニルアルコール、1%ポリエチレングリコール、軽鉱油、0.3%ヒドロキシプロピルメチルセルロース、1.0%大豆レシチン、0.25%又は0.5%ナトリウムカルボキシルメチルセルロースである。別の態様において、PVP−I、人工涙液ベースの構成成分の全重量は、組成物の全重量の0.1%〜4.5%である。
【0016】
2.ポビドンヨードを保存剤として含んでなる抗炎症性及びステロイド調製物。好適な抗炎症剤の非限定的な例には、フマル酸ケトチフェン、ジクロフェナクナトリウム、ネパフェナク、ブロムフェナク、フルルビプロフェンナトリウム、スプロフェン、セレコキシブ、ナプロフェン、又はロフェコキシブが含まれる。好適なステロイドの非限定的な例には、デキサメタゾンアルコール、リン酸デキサメタゾンナトリウム、酢酸フルロメタロン、フルロメタロンアルコール、エタボン酸ロトプレンドール、メドリゾン、酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、ジフルプレドナート、リメキソロン、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、ロドキサミドトロメタミンが含まれる。抗炎症性及びステロイド構成成分は、典型的には、全組成物の0.01〜2.0重量%の濃度で使用する。ある側面では、保存眼科用調製物において約0.1%デキサメタゾンを使用する。
【0017】
3.ポビドンヨードを保存剤として含んでなる、緑内障を治療するためのBAK非含有(free)眼科用組成物。好適な緑内障治療薬の非限定的な例には、βブロッカー(レボブノロール、チモロールヘミ水和物、塩酸ベタキソロール、マレイン酸チモロール、及びその関連塩);プロスタグランジン類似体(例えば、ビマトプロスト、トラボプロスト、ラタノプロスト);αアゴニスト(ブリモニジン、イオピジン、アプラクロニジン);炭酸脱水酵素阻害剤(ブリンゾラミド、ドルゾラミド)が含まれる。このような構成成分は、当該技術分野で典型的に使用される濃度で使用する。
【0018】
4.ポビドンヨードを保存剤として含んでなる、抗生/抗微生物の眼科用薬。好適な抗生/抗微生物薬の非限定的な例には、フルオロキノロン(シプロフロキサシン、レボフロキサシン、オフロキサシン、モキシフロキサシン、ガチフロキサシン、等);アミノグリコシド(トブラマイシン、ゲンタマイシン、ネオマイシン、等);ポリミキシンB組合せ(ポリミキシンB/トリメトプリム、ポリスポリン ポリミキシンB/バシトラシン ネオスポリン ポリミキシンB/ネオマイシン/グラミシジン、等)、及び他の抗生物質(アジスロマイシン、イロチシン、エリスロマイシン、バシトラシン、等)が含まれる。典型的には、そのような抗生及び抗微生物の構成成分は、全組成物の0.001〜1.0重量%のレベルで利用する。
【0019】
5.ポビドンヨードを保存剤として含んでなる抗アレルギー調製物。好適な成分の非限定的な例には、エピナスチン、ジフマル酸エメダスチン、塩酸アゼラスチン、塩酸オロパタジン、オロパタジン、フマル酸ケトチフェン、ペミロラストカリウム、ネドクロミル、ロドキサミド、クロモリン、及びクロモリン塩が含まれる。このような構成成分は、当該技術分野で典型的に使用される濃度で使用する。
【0020】
6.ポビドンヨードを保存剤として含んでなる、複数の保存剤眼科用調製物。好適な成分の非限定的な例には、抗微生物保存剤が含まれる。ある態様では、抗微生物保存剤が、塩化ベンザルコニウム、チメロサール、クロロブタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、フェニルエチルアルコール、EDTA、ソルビン酸、オナマーM、及びこれらの組合せからなる群より選択される。このような構成成分は、当該技術分野で典型的に使用される濃度で使用する。
【0021】
追加的に、本発明のポビドンヨード組成物に適した賦形剤の非限定的な例には、共溶媒/界面活性剤、粘度調整剤、及び/又は生体接着剤が含まれる。このような構成成分は、当該技術分野で典型的に使用される濃度で使用する。
【0022】
ある側面において、本発明の組成物には、共溶媒又は界面活性剤を含めてもよい。ある態様では、共溶媒が界面活性剤と同じであっても異なっていてもよい。ある態様において、本組成物の成分の溶解性は、界面活性剤又は適正な共溶媒を組成物に含めることによって高めることができる。このような共溶媒/界面活性剤には、限定されないが、ポリソルベート−20、60、及び80、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン界面活性剤(例、Pluronic F−68、F−84、及びP−103)、シクロデキストリン、チロキサポール、PEG 35 ヒマシ油(Cremophor EL)、ポリオキシル40ステアレート(Myrj52)、並びに当業者に知られている他の薬剤、又はこれらのあらゆる組合せが含まれる。典型的には、このような共溶媒は、0.01〜2重量%のレベルで利用する。
【0023】
別の側面において、本発明の組成物は、任意選択の増粘剤又は粘度低下剤を含んでもよい。単純な水溶液の粘度より高い粘度は、活性化合物の眼への吸収を高めるために、製剤を調剤するときのばらつきを減らすために、製剤の懸濁液又はエマルジョンの成分の物理的な分離を減らすために、及び/又は眼科用製剤を他のやり方で改善するために望ましい可能性がある。このような増粘剤には、限定されないが、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、当業者に知られている他の薬剤、及び/又はこれらのあらゆる組合せが含まれる。このような薬剤は、典型的には、0.01〜2重量%のレベルで利用する。
【0024】
別の側面において、生体接着剤は、薬物勾配の生体基質上での保持時間を高めるために、上記組成物を含んでよい。生体接着剤には、限定されないが:ポリビニルピロリドン(PVP)、キサンタンゴム、ローカストビーンガム、アカシアゴム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、ゼラチン、カルボマー、ポリビニルアルコール、ジェランガム、トラガカント、アカシア、及びナトリウムカルボキシメチルセルロース、並びに当業者に知られている他の薬剤、又はこれらのあらゆる組合せが含まれる。
【0025】
さらに、本組成物は、ポビドンヨード溶液を眼へ適用するときに、冷感を与えて、軽微な眼刺激を緩和し、眼の快適さを高め、清涼効果や感覚の改善をもたらすために、有効量の化学薬剤と組み合わせてもよい。このような薬剤には、様々な化学品と化合物群が含まれて、限定されないが、メントール、メントングリセリンアセチル及びメンチルエステルが含まれるメントール誘導体、カルボキサミド、メンタングリセロールケタール、アルキル置換尿素、スルホンアミド、テルペン類似体、フラノン、及びホスフィンオキシドのような清涼剤;又はショウノウ(camphor)、及びボルネオールが含まれる。
【0026】
ポビドンヨードを含んでなる組成物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、軟膏、クリーム、ゲル、又は制御放出/持続放出ビヒクルの形態であってよい。例えば、該組成物は、コンタクトレンズ溶液、洗眼薬、点眼薬、等の形態であってよい。
【0027】
眼への局所投与のような局所投与用の本開示の組成物のいずれにおいても、その混合物は、pHが3.5〜6.5の範囲にある水溶液として製剤化することができる。本明細書に列挙する範囲は、その範囲の上限と下限がそれらを入れて含まれることを意味すると理解される。ある態様において、そのpHは、4〜5の範囲にある。このpH範囲は、この溶液への酸/塩基の添加によって達成され得る。別の態様において、pHは、3〜7の範囲にある。
【0028】
本発明はまた、ポビドンヨードを含んでなる組成物を使用する方法を提供する。ある態様において、被検者へ投与する投薬容量は、約10マイクロリットル〜約200マイクロリットルであってよく、別の態様では、約20マイクロリットル〜約100マイクロリットルであってよく、そして別の態様では、約50マイクロリットル〜約80マイクロリットルであってよく、そして別の態様では、約1滴/眼であってよい。ある側面において、1滴は、約50マイクロリットル〜約80マイクロリットルであってよい。
【0029】
ある態様において、投与頻度は、1日につき1〜100回の範囲のどの場合であってもよい。別の態様において、投与頻度は、1日につき2回〜24回であってよい。別の態様において、投与頻度は、1日につき2回〜4回であってよい。正確なレジメンは当業者によって確定され得るが、本組成物は、1滴を各眼に1日約1〜約24回入れることによって局所適用することができる。例えば、本溶液は、1日につき1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、48、又は96回適用することができる。
【実施例】
【0030】
以下の実施例を参照して本発明についてこれから記載する。これらの実施例は、例示の目的のためにのみ提供されるのであって、本発明は、これらの実施例に限定されるものとして解釈してはならず、むしろ、本明細書に提供する教示の結果として明らかになるありとあらゆる変形形態が含まれると解釈すべきである。
【0031】
実施例1:PVP−I保存人工涙液の抗微生物保存有効性試験
本発明による少なくとも1つの人工涙液構成成分が含まれて、PVP−Iをさらに含んでなる組成物を保存剤として使用することができる。PVP−Iを含んでなる眼科用調製物のような、本発明の組成物の保存特性は、例えば、USP<51>を使用して、又は抗微生物保存剤の有効性を判定する当該技術分野で知られたどの方法によっても試験することができる。約0.36重量%の濃度を有するPVP−I溶液を本明細書に示すように調製する。非限定的な実施例として、最終生成物において所望されるように、約0.36重量%のPVP−Iを使用して、このPVP−Iを0.01%エデト酸二ナトリウム、1.2%硫酸ナトリウム、0.25%ヒドロキシエチルセルロース、0.5%チロキサポール、0.35%塩化ナトリウムと合わせて重量オスモル濃度を300〜350mOsm/kg内に調整し、水酸化ナトリウム及び/又は硫酸を合わせてpHを約4.0へ調整して、十分な精製水を合わせて全量を全100%として、PVP−I含有溶液を調製する。
【0032】
この試験溶液に、選択した既知数の標準実験室株を投与する。周期的な間隔(0、7、14、及び28日)で試料を取り出して検定して、生存を判定する。
実施例2:PVP−I保存0.1%デキサメタゾン懸濁液の抗微生物保存有効性試験
PVP−Iを含んでなる眼科用調製物のような、本発明の組成物の保存特性は、例えば、USP<51>を使用して、又は抗微生物保存剤の有効性を判定する当該技術分野で知られたどの方法によっても試験することができる。約0.18重量%及び0.36重量%の濃度を有するPVP−I溶液を本明細書に示すように調製する。非限定的な実施例として、最終生成物において所望されるように、約0.18重量%又は約0.36重量%のPVP−Iを使用して、このPVP−Iを0.1%デキサメタゾン、0.01%エデト酸二ナトリウム、1.2%硫酸ナトリウム、0.25%ヒドロキシエチルセルロース、0.5%チロキサポール、0.35%塩化ナトリウムと合わせて重量オスモル濃度を300〜350mOsm/kg内に調整し、水酸化ナトリウム及び/又は硫酸を合わせてpHを約4.0へ調整して、十分な精製水を合わせて全量を全100%として、PVP−I含有溶液を調製する。この試験溶液に、選択した既知数の標準実験室株を投与する。周期的な間隔(0、7、14、及び28日)で試料を取り出して検定して、生存を判定する。
【0033】
実施例3:保存PVP−I溶液の抗微生物活性
非限定的な実施例として、約0.36重量%の濃度を有するPVP−I溶液を本明細書に示すように調製する。非限定的な実施例として、最終生成物において所望されるように、約0.36重量%のPVP−Iを使用して、このPVP−Iを0.1%デキサメタゾン、0.01%エデト酸二ナトリウム、1.2%硫酸ナトリウム、0.25%ヒドロキシエチルセルロース、0.5%チロキサポール、0.35%塩化ナトリウムと合わせて重量オスモル濃度を300〜350mOsm/kg内に調整し、水酸化ナトリウム及び/又は硫酸を合わせてpHを約4.0へ調整して、十分な精製水を合わせて全量を全100%として、PVP−I含有溶液を調製する。次いで、これらの溶液について、in vitro 微生物学的活性を試験する。微生物学的活性については、例えば、口中に見出される細菌(P. gingivalis)又は他の細菌に対する抗微生物活性を試験することができる。別の実施例では、ゲンタマイシン耐性緑膿菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、大腸菌、トラコーマクラミジアが含まれるグラム陰性及びグラム陽性微生物、及び特定のウイルスにかかる一連の対数期培養物を用いて、死滅時間試験(killing time test)を実施する。使用するコントロールには、市販の抗微生物製品の眼科用調製物を含めてよい。細菌の試料を30秒、1、2、5、10、及び15分で取って、ヨウ素の不活性化剤を含有する培養基へ移す。同様に、ウイルス死滅時間試験では、1分で試料を採取して不活性化培養基へ移す。実験試料で得られる結果をコントロール試料と比較して、本発明の組成物の抗微生物活性のレベルを評価する。
【0034】
実施例4:PVP−I保存0.3%トブラマシン及び0.1%デキサメタゾン懸濁液の調製
約0.36重量%〜約0.6重量%の範囲にある濃度のPVP−Iで保存したBAK非含有Tobradex(登録商標)眼科用懸濁液を本明細書に示すように調製する。非限定的な実施例として、最終生成物において所望されるように、0.36重量%、0.48重量%、又は0.6重量%のPVP−Iを使用して、0.3%トブラマイシン、0.1%デキサメタゾン、0.01%エデト酸二ナトリウム、1.2%硫酸ナトリウム、0.25%ヒドロキシエチルセルロース、0.5%チロキサポール、0.35%塩化ナトリウムと合わせて重量オスモル濃度を300〜350mOsm/kg内に調整し、水酸化ナトリウム及び/又は硫酸を合わせてpHを約4.0へ調整して、十分な精製水を合わせて全量を全100%として、組成物を調製する。
【0035】
実施例5:PVP−I保存0.3%トブラマシン溶液の調製
約0.36重量%〜約0.6重量%の濃度範囲にあるPVP−Iで保存したBAK非含有トブラマイシン眼科用溶液を本明細書に示すように調製する。非限定的な実施例として、最終生成物において所望されるように、0.36重量%、0.48重量%、又は0.6重量%のPVP−Iを使用して、0.3%トブラマイシン、ホウ酸、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、チロキサポール、水酸化ナトリウム、及び/又は硫酸(pHを調整する)、及び精製水と合わせて、組成物を調製する。
【0036】
実施例6:PVP−I保存0.5%塩酸モキシフロキサシン眼科用溶液の調製
約0.36重量%〜約0.6重量%の濃度範囲にあるPVP−Iで保存したBAK非含有塩酸モキシフロキサシン眼科用溶液を本明細書に示すように調製する。非限定的な実施例として、最終生成物において所望されるように、0.36重量%、0.48重量%、又は0.6重量%のPVP−Iを使用して、0.5%塩酸モキシフロキサシン、ホウ酸、塩化ナトリウム、及び精製水と合わせて、組成物を調製する。ある態様において、保存眼科用溶液は、pHを調整するための塩酸及び/又は水酸化ナトリウムを含む。
【0037】
実施例7:PVP−I保存1.0%酢酸プレドニゾロン懸濁液の調製
約0.36重量%〜約0.6重量%の濃度範囲にあるPVP−Iで保存したBAK非含有酢酸プレドニゾロン懸濁液を本明細書に示すように調製する。非限定的な実施例として、最終生成物において所望されるように、0.36重量%、0.48重量%、又は0.6重量%のPVP−Iを使用して、1.0%酢酸プレドニゾロン、ホウ酸、エデト酸二ナトリウム、ヒプロメロース、ポリソルベート80、重亜硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、及び精製水と合わせて、組成物を調製する。
【0038】
本発明について、ある種の態様を参照にして本明細書に記載した。しかしながら、当業者には、本明細書に示す開示が与えられるときにその変形形態が明らかになるので、本発明をそれに限定されるものとみなしてはならない。本明細書に引用するすべての特許、特許出願、及び参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.眼科用調製物を保存するのに十分な濃度のポビドンヨード(PVP−I)と、
b.ステロイド性抗炎症化合物、非ステロイド性抗炎症化合物、抗菌化合物、抗アレルギー化合物、及び抗緑内障化合物からなる群より選択される少なくとも1つのメンバーと、
を含んでなる、保存眼科用調製物。
【請求項2】
前記PVP−Iが、0.01%〜10%、0.1%〜2.5%、0.2〜1.5%、0.3%〜1.0%からなる群より選択される濃度で存在する、請求項1の眼科用調製物。
【請求項3】
前記PVP−Iが、0.5%の濃度で存在する、請求項1の眼科用調製物。
【請求項4】
前記PVP−I濃度が、調製物全体に対して重量/重量ベースで測定される、請求項2の眼科用調製物。
【請求項5】
前記PVP−I濃度が、調製物全体に対して重量/容量ベースで測定される、請求項2の眼科用調製物。
【請求項6】
前記抗炎症化合物が、フマル酸ケトチフェン、ジクロフェナクナトリウム、ネパフェナク、ブロムフェナク、フルルビプロフェンナトリウム、スプロフェン、セレコキシブ、ナプロフェン、ロフェコキシブ、及びこれらのあらゆる組合せからなる群より選択される、請求項1の眼科用調製物。
【請求項7】
前記抗炎症化合物が、デキサメタゾン、デキサメタゾンアルコール、リン酸デキサメタゾンナトリウム、酢酸フルロメタロン、フルロメタロンアルコール、エタボン酸ロトプレンドール、メドリゾン、酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、ジフルプレドナート、リメキソロン、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、ロドキサミドトロメタミン、及びこれらのあらゆる組合せからなる群より選択される、請求項1の眼科用調製物。
【請求項8】
塩化ベンザルコニウム、チメロサール、クロロブタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、フェニルエチルアルコール、EDTA、ソルビン酸、オナマーM、及びこれらのあらゆる組合せからなる群より選択される抗微生物保存剤をさらに含む、請求項1の眼科用調製物
【請求項9】
増粘剤をさらに含む、請求項1の眼科用調製物。
【請求項10】
前記増粘剤が、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びこれらのあらゆる組合せからなる群より選択される、請求項9の眼科用調製物。
【請求項11】
人工涙液ベースの潤滑剤を少なくとも1つ含む、請求項1の眼科用調製物。
【請求項12】
眼科用調製物を保存するのに十分な量でPVP−Iを眼科用調製物へ加えることを含んでなる、眼科用調製物を保存する方法。
【請求項13】
前記PVP−Iが、0.01%〜10%、0.1%〜2.5%、0.2〜1.5%、0.3%〜1.0%からなる群より選択される濃度で存在する、請求項12の方法。
【請求項14】
前記PVP−Iが、0.5%の濃度で存在する、請求項12の方法。
【請求項15】
前記PVP−I濃度が、調製物全体に対して重量/重量ベースで測定される、請求項12の方法。
【請求項16】
前記PVP−I濃度が、調製物全体に対して重量/容量ベースで測定される、請求項12の方法。

【公表番号】特表2011−522891(P2011−522891A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513502(P2011−513502)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【国際出願番号】PCT/US2009/003521
【国際公開番号】WO2009/151619
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(510326599)フォーサイト・バイオセラピューティクス・インコーポレーテッド (3)
【Fターム(参考)】