説明

ポリアミド樹脂の製造方法

【課題】固相重合技術を代替することの出来る、高品質で高重合度のポリアミド樹脂を均一な品質で工業的に安定して、低コストで製造する溶融重合技術の提供を目標とする。
【解決手段】ポリアミド樹脂の製造方法において、重合中間体を溶融状態にて原料供給口から重合器に供給し、多孔板の孔から吐出させた後、重合器内に設置された支持体に沿わせて落下させながら、該重合中間体の結晶融点−10℃以上、結晶融点+60℃以下の温度にて、減圧下にて、下記(A)または(B)の条件を満足して重合するポリアミド樹脂の製造方法。(A)該支持体に沿って落下するポリアミド樹脂の表面積Sと該支持体とポリアミド樹脂が接触している面積Sが、S/S>1の関係を満たす。(B)重合されたポリアミド樹脂の該重合器の底部での滞留時間が、10秒〜1時間の範囲内。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高品質のポリアミド樹脂及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66樹脂)に代表される種々のポリアミド樹脂は、優れた耐熱性、機械的物性等の特徴を有し、衣料用繊維の他にも、産業資材用繊維やフィルム、シートや、エンジニアリングプラスチックとして様々な用途の射出成形体等に広く用いられている。これらの用途には、重合度が高く、着色の少ない高品質のものが要求される。また、工業的に安定して、生産性良く低コストで製造できることも望まれている。
通常高重合度のポリアミド樹脂は、先ず溶融重合で中重合度の樹脂のペレットを製造し、次にこれを長時間不活性ガス気流中、あるいは減圧下で加熱して高重合度化する固相重合によって製造する(例えば特許文献1参照)。長時間で複雑な製造工程を要し、製造コストが高いにもかかわらず、固相重合が実施されているのは、融点以下で重合するために熱分解反応が起こりにくく、着色しにくいので、高重合度で高品質の樹脂を製造できるためである。
【0003】
一方、これまでに固相重合を行わないで、溶融重合のみで低コストで高重合度のポリアミド樹脂を製造しようとする試みもなされてきた。
ポリアミド樹脂の重縮合反応は、基本的には下記式1のアミド化平衡反応に基づくため、重縮合反応を効果的に進行させるには重合装置において副生する水分を速やかに除去する必要がある。
[式1]
−NH + −COOH → −CONH− + H
【0004】
従って、例えば反応液の薄膜を形成して表面積を大きくし、且つ、高効率で表面更新することによって効果的に水分を除去することが出来る横型のテーパーロール式薄膜蒸発器(例えば特許文献2参照)、横型一軸攪拌型装置(例えば特許文献3〜6参照)、横型二軸攪拌型装置(例えば特許文献7〜10参照)を用いた技術がある。しかしながら、このような攪拌型装置ではポリアミド樹脂の溶融粘度が重合に伴い極度に上昇するため、高重合度のポリアミド樹脂表面更新が困難になるばかりか、撹拌により生じる液温上昇及び高せん断力によってポリマーの分子鎖の切断もおこり、十分な高分子量のポリアミド樹脂を製造することは困難である。しかも回転駆動部分を完全にシールする事ができないため、微量の空気の漏れ込みを防止できず、樹脂の着色が避けられない。空気の漏れ込みを防ぐ為にシール液を使用する場合は、シール液の混入が避けられず、やはり樹脂の品質低下は避けられない。また、運転当初はシール性が高い場合でも、長時間運転を続ける間にシール性が低下するなど、メンテナンス上の問題も深刻である。
上記のような回転駆動部分によって重縮合反応を促進させる装置を用いる以外に、重合反応器の上部から重合中間体を重力落下させながら薄膜を形成させて効果的に水分を除去し、重合する方法も提案されている。
【0005】
例えばポリアミド樹脂重合中間体を重合器の壁面または支持体に沿わせて流下させながら揮発物を脱気して、重縮合反応をなす技術がある(例えば特許文献11〜15参照)。しかしながらこのような装置は、脱気部(壁面にて薄膜を形成してポリマー中の水分を低減する部分)と液滞留部(重合器底部にポリマーが滞留し、ポリマー中の水分と平衡状態に達するまで、重合度上昇が進行する部分)から成るが、上記特許文献11〜13では液滞留部のポリマー流れは完全混合槽になっており、均一な重合度のポリアミド樹脂が得られないうえ、高温で長時間滞留されるためにゲル化物の生成や色相の悪化などの品質低下も避けられない。特許文献14では液滞留部に撹拌羽根を設けることによって均一な重合度のポリアミド樹脂を製造しようとするものであるが、重合器低部に回転駆動部分を設けたことによって、空気の漏れ込みにより品質が一層悪化するという問題がある。特許文献15は、ポリアミド樹脂重合中間体に不活性ガス吸収装置にて不活性ガスを吸収させた後、ガイド接触落下落下重合反応ゾーンを有する重合装置にて減圧下で重縮合反応を行う技術であるが、この方法であっても液滞留部で長時間滞留させた場合には均一な重合度のポリアミド樹脂が得られないうえ、ゲル化物の生成や色相の悪化などの品質低下も避けられない。
このように従来の溶融重合技術では、固相重合技術を代替することの出来る、高品質で高重合度のポリアミド樹脂を工業的に安定して、生産性良く製造することはできなかった。
【0006】
【特許文献1】特表2001−507048号公報
【特許文献2】特公昭49−33358号公報
【特許文献3】特公昭45−16473号公報
【特許文献4】特開平10−259242号公報
【特許文献5】特開平11−130869号公報
【特許文献6】特開平11−130870号公報
【特許文献7】特開昭48−84781号公報
【特許文献8】特公昭50−15275号公報
【特許文献9】特公昭50−21514号公報
【特許文献10】特公昭53−15753号公報
【特許文献11】米国特許3361537号明細書
【特許文献12】米国特許3477094号明細書
【特許文献13】米国特許3044993号明細書
【特許文献14】特公昭50−9834号公報
【特許文献15】再公表特許WO99/65970号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、固相重合技術を代替することの出来る、高品質で高重合度のポリアミド樹脂を均一な品質で工業的に安定して、低コストで製造する溶融重合技術の提供を目標とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究した結果、ポリアミド樹脂重合中間体を溶融状態にて原料供給口から重合器に供給し、多孔板の孔から吐出させた後、支持体に沿わせて落下させながら減圧下にて重合させる方法による、新規な原理に基づく重合方法を開発し、液滞留部にポリマーを長時間滞留させることなしに高重合度のポリアミド樹脂が得られることを見出した。また本発明の重合方法を用いると、従来の重合方法では到底なしえなかった低い反応温度での溶融重合が可能になる。
我々はさらに検討をすすめ、重合器の液滞留部にポリマーを長時間滞留させることなく抜き出す方法と組み合わせることによって、高品質で高重合度のポリアミド樹脂を均一な品質で、工業的規模で安定に製造出来ることを見出し、本発明をなすに至った。
【0009】
すなわち、本発明は以下のとおりのものである。
(1)ポリアミド樹脂重合中間体を溶融状態にて原料供給口から重合器に供給し、多孔板の孔から吐出させた後、重合器内に設置された支持体の表面に沿わせて落下させながら、該重合中間体の結晶融点−10℃以上、結晶融点+60℃以下の温度にて、減圧下にて重合させる方法であって、下記(A)および(B)の条件を満たすことを特徴とする、ポリアミド樹脂の製造方法、
(A)該支持体に沿って落下するポリアミド樹脂の表面積Sと該支持体とポリアミド樹脂が接触している面積をSが、S/S>1の関係を満たす。
(B)重合されたポリアミド樹脂の該重合器の底部での滞留時間が、10秒〜1時間の範囲内である。
(2)該重合器の底部に滞留しているポリアミド樹脂を排出するに際し、該重合器の内壁面と接している上端の線を線Lとし、線L以下の該重合器の容積Uと底部に滞留しているポリマーの容積Vの比(V/U)を、0.00001〜0.95の範囲に制御することを特徴とする、(1)に記載のポリアミド樹脂の製造方法、
(3)ポリアミド樹脂重合中間体の分子量が、相対粘度にして1.5〜3.0であることを特徴とする、(1)または(2)に記載のポリアミド樹脂の製造方法、
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方法により製造されたポリアミド樹脂、
(5)(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方法により製造された相対粘度が、2.5〜6.0のポリアミド樹脂、
(6)(4)または(5)に記載のポリアミド樹脂から製造された成形体。
【発明の効果】
【0010】
本発明の製造方法を用いると、固相重合技術を代替することの出来る、高品質で高重合度のポリアミド樹脂を均一な品質で工業的に安定して、低コストな溶融重合によって製造することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明について、以下に(A)重合方法の原理、(B)ポリアミド樹脂重合中間体の説明、(C)重合器の説明、(D)重合方法の説明の順に具体的に説明する。
(A)重合方法の原理:
本発明の重合方法は、ポリアミド樹脂重合中間体を溶融状態にて原料供給口から重合器に供給し、多孔板の孔から吐出させた後、支持体に沿わせて重力落下させながら減圧下にて重合する方法である。
後述するように重合器の構造や、重合方法が適切な条件を満たすことで、支持体に沿って落下する重合中間体が多量の泡を含んだ状態となり、重合の進行に伴ってポリマーが泡玉(塊)状の構造となって重合器の下方に向かって転がり落ちる挙動を示す。
【0012】
この結果、ポリマー液相の気相との接触面積と、ポリマー液表面の更新効果が飛躍的に増大し、重縮合反応により副生する水を重合中間体から効率的に除去出来、重合速度が飛躍的に増大する。この結果、液滞留部にポリマーを長時間滞留させることなしに高重合度のポリアミド樹脂を製造出来るうえに、従来の重合方法では到底なしえなかった低い重合温度での溶融重合が可能になる利点を有する。
本発明ではポリアミド樹脂が多量の泡を含んでいるために、高重合度化しても支持体上及び重合器の底部での流動性が良く、これらの箇所で長期滞留しないため色相の悪化やゲルの生成が起こりにくい。また、高重合化されたポリアミド樹脂を重合器から抜き出す際にも、高せん断力が発生しにくく液温上昇や分子鎖の切断による品質低下も少ない。
さらにオリゴマーや熱分解物などの不純物の含有量も少ない、高品質のポリアミド樹脂を製造出来る利点もある。
【0013】
(B)ポリアミド樹脂重合中間体の説明:
本発明で用いられるポリアミド樹脂重合中間体とは、主鎖中にアミド結合(−NHCO−)を有する重合中間体であれば特に限定されない。より具体的には、主鎖中にアミド結合(−NHCO−)を有する重合体を製造するために用いられている周知の原料、例えば、重合可能なアミノ酸、重合可能なラクタム、あるいは重合可能なジアミンとジカルボン酸との塩あるいは混合物、及びこれら重合可能なオリゴマーを原料とし得られる重合中間体であり、製品のポリアミド樹脂に比べ重合度が低いポリアミド樹脂である。該重合中間体にはオリゴマーやモノマーも含んでいてもよい。該重合中間体の製造方法は、例えば、従来公知の縦型攪拌重合器、1軸又は2軸の攪拌翼を有した横型攪拌反応器、棚段を有する自然流下式の薄膜重合器、傾斜した平面を自然流下する薄膜重合器、濡壁塔等の装置、ニーダー、溶融混練機等、あるいはこれらの装置を組み合わせて所望の重合度まで予備重合されたものである。また重合形態はバッチ式であっても連続式のいずれを用いてもかまわない。
【0014】
本発明において好ましく用いるポリアミド樹脂は、ポリカプロラクタム(ナイロン6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ナイロン116)、ポリウンデカラクタム(ナイロン11)、ポリドデカラクタム(ナイロン12)、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロンTMHT)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6I)、ポリノナンメチレンテレフタルアミド(9T)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(6T)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイロンPACM12)、ポリビス(3−メチル−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイロンジメチルPACM12)、ポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)、ポリウンデカメチレンヘキサヒドロテレフタルアミド(ナイロン11T(H))、およびこれらのうち少なくとも2種の異なったポリアミド原料を含むポリアミド共重合体、およびこれらの混合物などである。
【0015】
前記ポリアミド樹脂原料である重合可能なアミノ酸としては、例えば6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸をより具体的に挙げることができる。本発明では、これらの重合可能なアミノ酸を1種で用いても良いし、2種類以上組み合わせて用いても良い。
重合可能なラクタムとしては、例えばブチルラクタム、ピバロラクタム、カプロラクタム、カプリルラクタム、エナントラクタム、ウンデカノラクタム、ドデカノラクタムなどをより具体的に挙げることができる。本発明では、これらの重合可能なラクタムを1種を用いても良いし、2種類以上組み合わせて用いても良い。
【0016】
重合可能なジアミンとジカルボン酸との塩あるいは混合物のジアミンとしては、例えばテトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ノナンメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、2,4−ジメチルオクタメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミンメチル)シクロヘキサン、3,8−ビス(アミノメチル)トリシクロデカン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5,−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンなどを挙げることができる。本発明では、これらの重合可能なジアミンを1種で用いても良いし、2種類以上組み合わせて用いても良い。
【0017】
重合可能なジアミン・ジカルボン酸塩のジカルボン酸としては、例えばマロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジエチルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸、ドデカン二酸、エイコジオン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ジグリコール酸などを挙げることができる。本発明では、これらの重合可能なジカルボン酸は1種を用いても良いし、2種類以上組み合わせて用いても良い。
【0018】
またエステル結合、アミド結合、カーボネート結合等の異なる結合がランダム又はブロック状に存在するコポリマーであっても良い。このようなコポリマーの具体例としては、ポリエステルアミドが挙げられる。
またこれら全ての重合中間体について、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコールを予め共重合させたものも含まれる。
上記の重合中間体の具体的な製造方法に関しては、例えば、“Polymer Synthesis,vol.1,second edition”、1992(米国 Academic Press,Inc.社発行)を参照することが出来る。
【0019】
本発明に適した重合中間体の相対粘度は、JIS−K6810に従って評価された98%硫酸中濃度1%、25℃で測定した値であり、好ましくは1.5〜3.0、より好ましくは1.7〜2.7、最も好ましくは2.0〜2.5である。重合器の多孔板の孔から吐出させた重合中間体が激しく発泡・飛散して重合器の内壁面に付着して重合器を汚染することを抑制するためには相対粘度が1.5以上であることが好ましく、前記のように多量の泡を含んだ状態を維持しながら落下させて重合速度を飛躍的に高めるためには相対粘度が1.7以上であることがより好ましく、2.0以上であることが更に好ましい。一方、重合器内で樹脂が長期滞留することによる品質悪化を抑制するには、重合中間体は相対粘度が3.0以下であることが好ましく、重合時に多量の泡を発生させて効率的に重合させるためには副生する水の量が多い方が良いことから、相対粘度が2.7以下であることがより好ましく、2.5以下であることが更に好ましい。
【0020】
(C)重合器の説明:
本発明の重合器は、上記の重合中間体を溶融状態にて重合器に供給して、多孔板の孔から吐出させた後、支持体に沿わせて落下させながら減圧下にて溶融重縮合を行うことを特徴とする装置である。
(C−1)多孔板:
多孔板とは、複数の貫通孔がある板状体である。多孔板を用いることによって重合中間体の偏流を抑制するとともに重合器内での局所滞留を防止出来、高品質で均質なポリアミド樹脂を製造出来る。
【0021】
多孔板の構造について、厚みは特に限定されるものではないが、通常0.1〜300mm、好ましくは1〜200mm、さらに好ましくは5〜150mmの範囲である。多孔板は、溶融重合中間体の供給室の圧力に耐えると共に、重合室の支持体が多孔板に固定されている場合には、支持体及び落下する重合中間体の重量を支えるための強度が必要であり、リブ等によって補強されていることも好ましい様態の一つである。
多孔板の孔は、通常、円状、長円状、三角形状、スリット状、多角形状、星形状などの形状から選ばれる。孔の断面積は、通常、0.01〜100cmであり、好ましくは0.05〜10cmであり、特に好ましくは0.1〜5cmの範囲である。また、孔に接続するノズル等を備えることも含む。
【0022】
孔と孔との間隔は、孔の中心と中心の距離で通常、1〜500mmであり、好ましくは10〜100mmである。多孔板の孔は、多孔板を貫通させた孔であっても、多孔板に管を取り付けた場合でもよい。また、テーパー状になっていてもよい。重合中間体が多孔板を通過する際の圧力損失が、0.1〜50kg/cmである様に孔の大きさや形状を決めることが好ましい。
多孔板の孔の数に特に制限はなく、反応温度や圧力などの条件、触媒の量、重合させる分子量の範囲等によっても異なるが、通常ポリマーを例えば100kg/hr製造する際、10〜10個、より好ましくは50〜10個、さらに好ましくは10〜103個の孔が必要である。
【0023】
多孔板の材質は、通常、ステンレススチール製、カーボンスチール製、ハステロイ製、ニッケル製、チタン製、クロム製、及びその他の合金製等の金属材質が好ましい。
このような多孔板を通じて重合中間体を吐出させる方法としては、液ヘッドまたは自重で落下させる方法、またはポンプなどを使って加圧して押し出す方法等が挙げられるが、落下する重合中間体量の変動を抑えるためにギアポンプなどの計量能のあるポンプを用いて押し出すことが好ましい。
尚、多孔板より上流側の流路にはフィルターを設けることが好ましい。フィルターにより、多孔板の孔を閉塞する異物を除去出来る。フィルターの種類は、多孔板の孔径以上の異物を除去出来且つ、重合中間体の通過によって破損しないよう適宜選定する。
【0024】
(C−2)支持体:
多孔板の孔から吐出された重合中間体は、支持体に沿って落下する。このとき、該支持体に沿って落下するポリアミド樹脂の表面積をS、該支持体とポリアミド樹脂が接触している面積をSとすると、S/S>1の関係を満たす条件で重合させる必要がある。
ここで、S:落下するポリアミド樹脂の表面積とは、支持体の表面に沿って落下するポリアミド樹脂が、気相と接触している面の平均表面積のことであり、例えばワイヤー状の支持体表面に沿ってポリアミド樹脂を落下させた場合には、ワイヤーを包み込んで円筒状あるいは円錐台状に流下するポリアミド樹脂の、ワイヤーを中心とした平均半径から、幾何学的に算出される。上記「ポリアミド樹脂の、ワイヤーを中心とする平均半径」については、重合器に設置されたのぞき窓から測定する方法や、重合器内部に滞留する樹脂重量と支持体の形状から計算する方法などによって求めることが出来る。
【0025】
:支持体とポリアミド樹脂が接触している面積値は、支持体の全てをポリアミド樹脂が包み込んでいる場合は支持体の表面積に等しい。本発明はS/S2>1の関係にあることが必要である。S/S2≦1の場合、例えば従来公知の濡壁重合器の場合はS/S2<1であるが、重縮合反応を促進させる目的でSの値を大きくすると、必然的にSの値も大きくなり、ポリアミド樹脂が高重合度化するにつれて落下が困難になる。その結果、落下に伴う表面更新が十分行われなわれず、落下時の発泡も起こりにくいために、重合反応が失速するうえ重合中間体が支持体に沿って落下する際、片流れが起こりやすく均一な品質のポリアミド樹脂が得られにくい。また支持体上でゲルが生成してこれに付着するため、長期間連続運転することが困難である。高重合度のポリアミド樹脂を得ようとする場合ほど、この傾向は顕著である。逆に落下を容易にして表面更新性を向上させようとするためには、膜厚を厚くせざるを得ず、結果的にSの値が小さくなってしまい、やはり高重合度のポリアミド樹脂を製造することは困難である。
【0026】
これに対し、本発明はワイヤー等の支持体を用いることによって、S/S2の値を1よりも大きくすることに特徴がある。S/S2の値は支持体の形状や、重合中間体の供給量によって任意に調整できるが、より好ましくは1.5以上であり、さらに好ましくは2以上であり、特に好ましくは3以上であり、最も好ましくは4以上であり、特に最も好ましくは5以上である。濡壁重合器の場合とは異なり、Sの値を大きくすることで表面積を拡大する効果と、Sの値を小さくして重合中間体の落下を容易にして表面更新性を増大する効果を両立できるために、重合速度を飛躍的に改善できる。もちろん落下時の片流れも阻止でき、ゲルの付着も起きないので、高品質のポリアミド樹脂を長期間連続して製造出来る。
【0027】
支持体の具体的な構造としては、「ワイヤー状」、ワイヤー状の材料を組み合わせた「チェーン状」や「格子状(金網状)」、ワイヤー状の材料をいわゆるジャングルジムのように連結した「立体格子状」、平坦あるいは曲率を有した「薄板状」、「多孔板状」などが挙げられる。その他にも反応副生物や重合中の熱分解により生じた不純物等を効率的に抜き出すために、落下させる樹脂の表面積を大きくすると共に、重合中間体の落下方向に対して凹凸のある支持体に沿わせて落下させることによって攪拌と表面更新を積極的に起こさせることが好ましく、「樹脂の落下方向に対して凹凸のあるワイヤー状」など、樹脂の落下を邪魔する構造のある支持体も好ましい。これらの支持体を組み合わせて用いることも出来る。
【0028】
「ワイヤー状」とは、断面の外周の平均長さに対する該断面と垂直方向の長さの比率が非常に大きい材料を表すものである。断面の面積に特に制限はないが、通常10−3〜10cmの範囲であり、好ましくは10−3〜10cmの範囲であり、特に好ましくは10−3〜1cmの範囲である。断面の形状に特に制限はなく、通常、円状、長円状、三角形状、四角形状、多角形状、星形状などの形状から選ばれる。断面の形状は長さ方向に同一であるもの、異なっているもののいずれも含む。また、ワイヤーは中空状のものも含む。ワイヤーは、針金状等の単一なものも、捩り合わせる等の方法によって複数組み合わせたものも含む。ワイヤーの表面は平滑なもの、凹凸があるもの、部分的に突起等を有するものなどが挙げられる。
【0029】
「チェーン状」とは前記したワイヤー状材料よりできた輪を連結させた材料を表すものである。輪の形状は円形、楕円形、長方形、正方形等が挙げられる。連結のさせ方は一次元、二次元、三次元いずれも含む。
「格子状(金網状)」とは前記したワイヤー状の材料を格子状に組み合わせた材料を表すものである。組み合わせるワイヤーは直線状の場合も曲率している場合も含み、組み合わせる角度は任意に選ぶことができる。格子状(金網状)の材料を面に対して垂直方向より投影した際の、材料と空間との面積比は特に制限はないが、通常1:0.5〜1:5000の範囲であり、好ましくは1:1〜1:3000の範囲であり、特に好ましくは1:5〜1:1000の範囲である。面積比は水平方向には等しいことが好ましく、鉛直方向には等しいか、あるいは下部ほど空間の比率が大きくなることが好ましい。
【0030】
「立体格子状」とは、ワイヤー状の材料をいわゆるジャングルジムのように立体的な格子状に三次元に組み合わせた材料を表すものである。組み合わせるワイヤーは直線状であっても、曲率している場合も含み、組み合わせる角度は任意に選ぶことができる。
「ポリマーの落下方向に凹凸が付いたワイヤー状」とは、ワイヤーに丸断面や多角形断面の棒状物を直角に取り付けたものや、ワイヤーに円盤状物あるいは円筒状物を取り付けたものなどである。凹凸の段差は5mm以上のものが好ましい。具体的な例としては、直径がワイヤー径より5mm以上大きく100mm以下で、厚みが1〜50mmの円盤の中心をワイヤーが貫通し、該円盤の間隔が1〜500mmである円盤付きワイヤー等が挙げられる。
【0031】
反応器内に設置された支持体の体積と、反応器の内容積との比には特に制限はないが、通常1:0.5〜:10の範囲であり、好ましくは1:10〜1:10の範囲であり、特に好ましくは1:50〜1:10の範囲である。支持体の体積:反応器の内容積比は水平方向には等しいことが好ましく、鉛直方向には等しいか、あるいは下部ほど反応器の内容積の比率が大きくなることが好ましい。
支持体は形状によって単数設ける場合と複数設ける場合とを適宜選択できる。「ワイヤー状」や「チェーン状」の場合は通常1〜10個であり、好ましくは3〜10個である。「格子状」、「2次元に連なったチェーン状」、「薄板状」、「多孔板状」の場合は通常1〜10個であり、好ましくは2〜10個である。「3次元に連なったチェーン状」、「立体格子状」の場合は単数とするか、分割して複数とするかは、装置の大きさや、設置スペース等を考慮して適宜選択できる。
【0032】
支持体が複数の場合、適宜スペーサー等を用いて指示体同士が接触しないようにする事も好ましい。
支持体の材質に特に制限はないが、通常、ステンレススチール、カーボンスチール、ハステロイ、チタン等の中から選ばれる。また、ワイヤーは、メッキ、ライニング、不働態処理、酸洗浄等必要に応じて種々の表面処理がなされている場合も含む。
本発明において、通常、1つの支持体に対して多孔板の孔1個以上から重合中間体が供給されるが、孔の数は支持体の形状に応じて適宜選択することもできる。また、1個の孔を通過した重合中間体を複数の支持体に沿って落下させることも可能である。
支持体の位置は重合中間体が支持体に沿って落下できる位置であれば特に制限はなく、支持体の多孔板への取り付け方は、多孔板の孔を貫通して設置される場合と貫通せず多孔板の孔の下部に設置される場合を適宜選択できる。
孔を通過した重合中間体を支持体に沿わせて落下させる高さは、好ましくは0.5〜50mの範囲であり、さらに好ましくは1〜20mの範囲であり、より好ましくは2〜10mの範囲である。
【0033】
(C−3)排出口:
排出口は、重合器の底部に設けられ、ギアポンプおよび/又はスクリュー型ポンプ等の重合したポリアミド樹脂を重合器外に排出する装置が設置されている。重合器の底部に落下した樹脂を長期滞留させずに、順次流下する樹脂によって置換しながら抜き出すには、重合器の底部が斜面になっていることが好ましく、重合器の底部の斜面と鉛直線とのなす角が0〜85°の範囲であることがより好ましい。
また重合器の底部は異物の生成を抑制するためには滑らかであることが好ましく、より好ましくはJIS B0601に規定された十点平均の表面粗さが500μm以下である。
排出口及び、これに設置された排出装置の数は1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。生産性の大きな大型の重合器の場合2つ以上設置することがより好ましい。排出口及び、これに設置された排出装置の数には特に制限はなく、重合器の規模によっても異なるが、通常1〜100の範囲が好ましい。
【0034】
(C−4)加熱装置:
重合温度は、支持体を覆っている重合器壁面に配したヒーター又は熱媒ジャケットの温度を制御したり、支持体内部にヒーター又は熱媒を入れ、これらの温度を制御したりすることで適切に設定できる。
(C−5)減圧装置:
重合器の減圧度は、重合器の任意の箇所に設置したベント口を真空ラインに接続し、減圧度を制御することで適切に設定できる。ベント口からは重合副生物や、重合時の熱分解により発生する不純物や、重合速度を増大させる目的で必要に応じて重合器内に少量導入した不活性ガスが排出される。
(C−6)不活性ガス供給装置:
重合速度を増大させる目的で重合器内に不活性ガスを直接導入する場合には、重合器の任意の箇所に設置した導入口から供給出来る。不活性ガス導入口の位置は多孔板より遠く、ポリアミド樹脂の抜出口の近くとすることが望ましい。また、ベント口から離れていることも望ましい。
【0035】
或いは、あらかじめ重合中間体に不活性ガスを吸収及び/又は含有させる方法も可能であり、この場合不活性ガス供給装置を本発明の重合器の上流に増設する。不活性ガス供給装置は例えば、化学装置設計・操作シリーズNo.2、改訂ガス吸収49〜54頁(昭和56年3月15日、化学工業社発行)に記載の充填塔型吸収装置、棚段型吸収装置、スプレー塔式吸収装置等の公知の吸収装置を用いる方法や重合中間体を移送する配管内に不活性ガスを圧入する方法などが挙げられる。最も好ましいのは、不活性ガス雰囲気下で重合中間体を支持体に沿わせて落下させながら不活性ガスを吸収させる装置を用いる方法である。この方法では、不活性ガスを吸収させる装置の内部に重合器内部より高い圧力の不活性ガスを導入する。この時の圧力は0.01〜1MPaが好ましく、0.05〜0.5MPaがより好ましく、0.1〜0.2MPaが更に好ましい。
【0036】
(D)重合方法の説明:
本発明者らは、前記した重合中間体を、前記の重合器を用いて、後述する重合温度、減圧度の範囲で重合させることで、驚くべきことに、支持体に沿って落下するポリアミド樹脂が多量の泡を含んだ状態になって、「ポリマーの表面積が拡大する」とともに「支持体上をポリマーが泡玉状になって転がり落ちる」現象を見出した。またこれに伴い重合速度の飛躍的な増大と、重合されたポリアミド樹脂の色相の改善を確認した。本発明ではポリアミド樹脂が高重合度化しても、多量の泡を含んだ状態で重合されるために支持体上及び重合器の底部での流動性が良く、これらの箇所で長期滞留しないために色相が改善されたものと考えられる。重合時にゲル生成が起こりにくいのも同じ理由によると考えられる。しかも高重合化されたポリアミド樹脂を重合器から抜き出す際にも、高せん断力が発生しにくく液温上昇や分子鎖の切断による製品の品質低下が少ない。
【0037】
(D−1)重合温度:
重合温度はポリアミド樹脂重合中間体の融点−10℃以上、融点+60℃以下とすることが好ましい。融点−10℃以上とすることで、反応物の固化や、反応時間が長くなることを防ぎ、融点+60℃以下にすることで、熱分解を抑え優れた色調のポリアミド樹脂を製造できる。温度は融点−5℃以上、融点+40℃以下がより好ましく、融点−3℃以上、融点+30℃以下がさらに好ましく、融点−2℃以上、融点+20℃以下が特に好ましく、融点−1℃以上、融点+10℃以下が最も好ましい。
このように比較的低い重合温度の方が本発明において好ましい理由は、ポリアミド樹脂が重合時に多量の泡を含んだ状態になりやすく、重合速度を飛躍的に高めることが可能になるためである。
ここで融点とは、Perkin Elmer社製Pyris 1 DSC(入力補償型示差熱量計)を用いて、下記の条件にて測定した時の、結晶の融解に由来する吸熱ピークのピーク温度である。ピーク温度は、付属の解析ソフトを用いて決定した。
測定温度 : 0〜320℃
昇温速度 : 10℃/分
【0038】
(D−2)重合圧力:
本発明の溶融重合反応は、重合時のポリアミド樹脂を多量の泡を含んだ状態にするためにも、減圧下にて行う必要がある。減圧度は、ポリアミド樹脂や副生成物やオリゴマー等の昇華状態や反応速度に応じて適宜調節する。減圧度は100000Pa以下が好ましく、80000Pa以下がより好ましく、50000Pa以下がさらに好ましく、20000Pa以下が特に好ましい。下限は特に制限させるものではないが、重合器内を減圧とするための設備の規模などから考え0.1Pa以上とすることが好ましい。
また、減圧下で、重合反応に悪影響を及ぼさない不活性なガスを重合器内に少量導入して、重合副生物や重合時の熱分解により発生した不純物等をこれらのガスに随伴させて除去するのも好ましい方法である。
【0039】
不活性ガスの重合器内への導入は、従来、重合副生物の分圧を下げ、平衡をずらすことによって反応を有利に進めるためであると理解されている。しかし、本発明において導入する不活性ガス量は極めて少なくて良く、分圧低下効果によって重合速度を高める効果はほとんど期待できないほどの微量であり、不活性ガスの役割は従来の理解では説明できない。本発明者らの検討によると、驚くべきことに、不活性ガスを重合器内に導入することにより、支持体に沿って溶融状態で落下する重合中間体の発泡現象が激しくなり、該重合中間体の表面積が飛躍的に増加するとともに、その表面更新状態が極めて良くなることが観察された。原理は定かではないが、この重合中間体の内部及び表面状態の変化が重合速度を飛躍的に高める原因になっているものと推定される。
【0040】
導入する不活性ガスとしてはポリアミド樹脂に着色や変成、分解等の悪影響を及ぼさないガスが良く、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素や低級炭化水素ガス及び、これらの混合ガスを含む。不活性ガスとしては窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素がより好ましく、中でも入手の容易さから窒素が特に好ましい。
本発明で導入する不活性ガスの量は、極めて少量でよく、重合反応器より抜き出すポリアミド樹脂1g当たり0.05〜100mgとすることが好ましい。不活性ガスの量は抜き出すポリアミド樹脂1g当たり0.05mg以上とすることで樹脂の発泡が十分となって重合度を高める効果が高くなる。一方100mg以下とすることで減圧度を高くすることが容易になる。不活性ガスの量は抜き出すポリアミド樹脂1g当たり0.1〜50mgとすることがより好ましく、0.2〜10mgとすることが特に好ましい。
【0041】
不活性ガスを導入する方法としては、重合器内に直接導入する方法、あらかじめ不活性ガスを重合中間体に吸収及び/又は含有させ、該吸収及び/又は含有させたガスを減圧下にて重合中間体より放出させて重合器内に導入する方法、及びこれらを併用する方法が挙げられる。ここで吸収とは重合中間体中に不活性ガスが溶解し、気泡として存在しない場合を指し、含有とは気泡として存在していることを指す。気泡として存在する場合は、気泡の大きさが細かいほど好ましく、平均気泡径が5mm以下とすることが好ましく、2mm以下とすることがより好ましい。
【0042】
(D−3)重合時間:
重合時にポリアミド樹脂を支持体に沿わせて落下させるのに要する時間と、重合器の底部での滞留時間の合計が重合時間であり、30秒〜100時間の範囲が好ましく、1分〜10時間の範囲がより好ましく、5分〜5時間の範囲がさらに好ましく、20分〜3時間の範囲が特に好ましい。
特に本発明では、液滞留部にポリマーを長時間滞留させることなしに高重合度のポリアミド樹脂を製造することが可能であり、重合器の底部での長時間の滞留による製品の重合度のばらつきや、ゲル化物の生成や、色相の悪化などの品質低下及び、高重合度化されたポリアミド樹脂を重合器から抜き出す際の高せん断力の発生を抑制するためには、重合されたポリアミド樹脂の、重合器の底部での滞留時間を10秒〜1時間の範囲とすることが好ましい。重合器の底部での滞留時間は20秒〜40分間の範囲であることがより好ましく、30秒〜20分間の範囲であることがさらに好ましく、40秒〜10分間の範囲であることが特に好ましく、1分〜5分間の範囲であることが最も好ましい。
本発明では、重合中間体から重合したポリアミド樹脂をワンパスで重合器から全て抜き出す方法、重合したポリアミド樹脂の一部を循環させて再び重合器に導入する方法等が挙げられるが、ワンパスで全て抜き出す方法がより好ましい。循環させる場合には、重合器底部や循環ライン等での熱分解を抑えるために、これらの場所での滞留時間を短くし、温度を下げることが好ましい。
【0043】
(D−4)重合レート:
本発明の重合器の重合能力は、ワイヤー状の支持体の場合、重合器内に設置した本数に比例して増大する特徴があり、スケールアップの設計が容易である特長を有する。
ワイヤー状の支持体の場合、1本の支持体当たりの重合中間体流量は、好ましくは10−2〜10リットル/hrであり、この範囲とすることによって充分な生産能力が確保出来るとともに重合速度も飛躍的に高めることが出来る。より好ましくは、0.1〜50リットル/hrの範囲である。
格子状(金網状)など、ワイヤーを組み合わせた支持体の場合には、支持体を構成する垂直方向のワイヤー構造1本当たり、好ましくは10−2〜10リットル/hrであり、より好ましくは、0.1〜50リットル/hrの範囲である。
薄板状等の、ワイヤーを組み合わせた構造ではない支持体の場合には、支持体に重合中間体を供給する多孔板の孔1個当たり、好ましくは10−2〜10リットル/hrであり、より好ましくは、0.1〜50リットル/hrの範囲である。
【0044】
(D−5)ポリアミド樹脂の排出方法:
前記のように本発明では、重合器の底部での長時間の滞留による製品の品質低下及び、高重合度のポリアミド樹脂を重合器から抜き出す際の高せん断力の発生を抑制する目的で重合されたポリアミド樹脂の、重合器の底部での滞留時間を10秒〜1時間の範囲とすることが好ましいが、さらに、該重合器の底部に落下して滞留しているポリアミド樹脂が、該重合器の内壁面と接している上端の線を線Lとし、線L以下の該重合器の容積をU、底部に滞留しているポリマーの容積をVとしたときの容積の比(V/U)を0.00001〜0.95の範囲となるように排出することによって、重合器の底部でのポリアミド樹脂流がピストン流れとなり、上記目的を一層達成出来るので好ましい。V及びUの値については、重合器に設置されたのぞき窓から測定する方法や、重合器の底部に滞留する樹脂重量から計算する方法などによって求めることが出来、(V/U)の値は、ポリアミド樹脂の排出速度及び重合器の底部の形状によって調整することが出来る。
【0045】
(V/U)を0.00001以上とすることでポリアミド樹脂の排出量を一定に保つことが容易になる。(V/U)を0.95以下とすることでピストン流れの効果が発現される。(V/U)は、より好ましくは0.00002〜0.90の範囲であり、さらに好ましくは0.00005〜0.80の範囲であり、特に好ましくは0.0001〜0.70の範囲である。
排出されたポリアミド樹脂は、一旦、ペレットとした後、再溶融して成形に用いることも出来るし、溶融状態のままで成形機や紡糸機に移送し成形する方法によって、一段と高品質の成形品を低コストで製造することも出来る。
【0046】
ペレットにする場合は、ロスが少なく、且つ、押出成型機にて均一に押し出せることが望まれる。このようなペレットを得るためには、溶融樹脂をストランド状、あるいはシート状に押出し、水等の冷媒中に速やかに入れて冷却した後、カットすることが好ましい。冷媒の温度は60℃以下が好ましく、50℃以下がより好ましく、40℃以下が更に好ましい。冷媒としては経済性、取扱性を考えると水が好ましく、このため冷媒温度は0℃以上が好ましい。ペレット状とするためのカットは、樹脂を押出してから180秒以内に100℃以下に冷却した後行うことが好ましい。
【0047】
(D−6)その他:
本発明は、上記した重合器の多孔板から供給する方法以外にも、重合器と成形機の間に一軸または二軸の混錬機やスタティックミキサー等を設置して必要に応じて、安定剤や核剤、顔料等の添加剤を樹脂に添加する場合も含む。
本発明の製造方法により得られるポリアミド樹脂の相対粘度は、生産性及び品質の観点から、好ましくは2.5〜6.0であり、より好ましくは2.7〜5.7であり、更に好ましくは2.8〜5.5である。上記範囲を外れた場合には、ポリアミド樹脂を成形し目的の用途に活用しようとした場合に、成形しにくかったり、得られる製品の品質が低下する等の不具合が発生しやすい傾向にある。
本発明では、必要に応じて各種の添加剤、例えば重合触媒、重合抑制剤、熱安定剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤、消泡剤、整色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、結晶核剤、増白剤、不純物の捕捉剤、艶消しなどを共重合または混合する場合も含む。これらの添加剤は任意の段階で添加することができる。
【0048】
また、本発明により製造されたポリアミド樹脂は高重合度であるうえ、色相に優れ、さらに低不純物含有量であることから種々の用途、例えば繊維、フィルム、シート、プレート、容器、食品容器、玩具、ペン軸やキャップやクリップやボードなどの文房具、机や椅子や鞄などの事務用品の部品、ファスナーやボタンやクリップなどの衣料部品、歯車やカムやばねなどの機械部品、ソケットやコネクタなどの電子機器部品、電気器具等のケーシングや金属部品などとインサート成形またはアウトサート成形されてなる複合部品、ボードや人工大理石やハンドルなどの建材部品、バンパーやパネルやハンドルや安全ベルトなどの自動車部品など広範な分野に好ましく使用することが出来る。
【0049】
次に本発明の好ましい例として、ポリアミド樹脂の重合を図に基づき説明する。
図1以下に本発明の方法を達成する好ましい組み合わせの態様を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図1においてポリアミド樹脂重合中間体は、移送ポンプ1を介して原料供給口2より重合器に供給され、多孔板3を通って重合器内部に導入され支持体5に沿って落下する。重合器内部は所定の減圧度にコントロールされており、副生した水等や、必要に応じて不活性ガス供給口6より導入した窒素等の不活性ガスなどは減圧排気口7より排出される。重合されたポリアミド樹脂は、排出ポンプ8により排出され、排出口9から抜き出された後、水等の冷媒と速やかに接触させて冷却した後、ペレット状にカットされる。
【0050】
支持体に沿って落下しつつ重合されたポリアミド樹脂は、重合器下部に落下した後、排出ポンプによって排出口より抜き出されるが、この際、重合されたポリアミド樹脂の、重合器の底部での滞留時間が10秒〜1時間の範囲内となり、且つ、できるだけ一定となるよう制御することが好ましい。滞留量を制御する方法としては、のぞき窓から滞留量を監視したり、静電容量式等のレベル計を用いて滞留量を監視したりして、移送ポンプと排出ポンプの送液量を調整することによって実施する。
移送ポンプ、重合器本体、排出ポンプ、樹脂の移送配管などはヒーター又はジャケットにより加熱され、かつ保温されている。
【0051】
本発明に用いる重合器は、重合器ボトムに撹拌器などを備えることも可能であるが特に必要ではない。従って、重合器本体での回転駆動部をなくす事が可能であり、高真空下でも良好にシールされた条件で重合できる。排出ポンプの回転駆動部は排出するポリアミド樹脂によって覆われているため、重合器本体に回転駆動部がある場合に比べてシール性ははるかに良好である。
本発明の方法は、重合器1基で行う事も可能であるが、2基以上で行ってもかまわない。また、1基の重合基を竪型または横型に仕切って、多段の重合器とする事も可能である。
【0052】
本発明において、ポリアミド樹脂重合中間体から目的とする高重合度のポリアミド樹脂まで分子量を高めていく工程を、全て多孔板の孔から支持体に沿わせて落下させながら重合させる方法で行う事も可能であるが、他の重合方法、例えば撹拌槽型重合器、横型攪拌重合器等と組み合わせて行う事も出来る。
横型攪拌重合器としては、スクリュータイプ、独立翼タイプ、一軸タイプ、二軸タイプ等、例えば「反応工学研究会研究レポート:リアクティブプロセッシングPart2」(高分子学会;1992)第4章記載の重合器などが挙げられる。
また、撹拌槽型重合器としては、例えば化学装置便覧(化学工学協会編;1989年)11章等に記載された撹拌槽のいずれも使用する事ができる。槽の形状に特に制限はなく、通常、縦型や横型の円筒型が用いられる。また、撹拌翼の形状にも特に制限はなく、パドル型、アンカー型、タービン型、スクリュー型、リボン型、ダブル翼型等が用いられる。
【0053】
原料から重合中間体を製造するまでの工程は、バッチ式で行うことも、連続式に行うこともできる。バッチ式に行う場合は、原料や反応物を全量反応器に供給して所定時間反応させた後、反応物の全量を次の反応器に全量移送することでできる。一方、連続式に行う場合は、各反応器へ原料や反応物の連続的に供給し、反応物を連続的に排出することで行うことでできる。均一な品位のポリアミド樹脂を大量に製造する場合は連続式に行うことが好ましい。
【0054】
図2は不活性ガス吸収装置を使用した場合の、ポリアミド樹脂を製造する重合器の具体例である。重合中間体は、移送ポンプN1を介して原料供給口N2より不活性ガス吸収装置N10に供給され、多孔板N3を通って不活性ガス吸収装置内部に導入され支持体N5に沿って落下する。不活性ガス吸収装置内部は減圧排気口N7によって所定の減圧度にコントロールされており、重合中間体は落下しながら不活性ガス供給口N6から導入した窒素等の不活性ガスを吸収し、排出・移送ポンプN8を介して原料供給口2から重合器10に供給され、多孔板3を通って重合器内部に導入され支持体5に沿って落下する。重合器内部は所定の減圧度にコントロールされており、副生した水等は減圧排気口7より排出される。製造されたポリアミド樹脂は、排出ポンプ8により排出口9から排出され、水等の冷媒と速やかに接触させて冷却した後、ペレット状にカットされる。
移送ポンプ、不活性ガス吸収装置本体、重合器本体、排出ポンプ、樹脂の移送配管などはヒーター又はジャケットにより加熱され、かつ保温されている。
【実施例】
【0055】
本発明を実施例に基づいて説明する。
なお、実施例中の主な測定値は以下の方法で測定した
(1)相対粘度
JIS−K6810に準じて実施した。具体的には、98%硫酸を用いて、1%の濃度の溶解液((ポリアミド樹脂1g)/(98%硫酸100ml)の割合)を作成し、25℃の温度条件下で測定した。
(2)結晶融点
結晶融点はPerkin Elmer社製Pyris 1 DSC(入力補償型示差熱量計)を用いて、下記の条件にて測定し、結晶の融解に由来する吸熱ピークのピーク値を結晶融点とした。ピーク値は、付属の解析ソフトを用いて決定した。
測定温度 : 0〜320℃
昇温速度 : 10℃/分
(3)白色度
日本電色工業(株)製 ND−100DPを用い、下記式により得られたポリアミド樹脂ペレットの白色度を求めた。
W=100−[(100−L)+a+b1/2
(L、a、bは、R.S.Hunterにより提案された色相の尺度で、それぞれ明るさ、赤色度、黄色度を示す。)
【0056】
[実施例1]
図1に示す装置を用いて、相対粘度が2.9、結晶融点が260℃のナイロン66樹脂の重合中間体を、移送ポンプ1により原料供給口2より重合器10に供給し、270℃の溶融状態にて多孔板3の孔より各孔当たり10g/分の量にて吐出させた後、吐出温度と同じ雰囲気温度にて支持体の沿わせて落下させながら40000Paの減圧度にて重合させ、排出ポンプ8によって排出口9より抜き出しペレタイズして、48時間連続運転してナイロン66樹脂ペレットを製造した。
多孔板は厚み50mmであり、直径1mmの孔が30mm間隔で直線状に4個配列されたものを用いた。支持体は直径2mm、長さ8mのワイヤーを各孔の直近に1本ずつ取り付けて垂直に垂らし、該ワイヤーと直行するように直径2mm、長さ150mmのワイヤーを50mm間隔で取り付けた格子状のものを用いた。支持体の材質はステンレススチールを用いた。
【0057】
重合器の底部にナイロン66樹脂が長時間滞留せず、且つその滞留量が一定であるようにのぞき窓から監視しながら排出ポンプを運転した。このときの重合器での滞留時間は130分であった。滞留時間は重合器内部にある樹脂量を供給量によって除した値を用いた。またこのとき重合器の底部での滞留時間については、のぞき窓から底部をビデオ撮影したところ、3分間隔の静止画像5枚から重合器の底部での滞留時間は3.2分と計算された。同じ静止画像を用いて(V/L)値も評価したところ、0.85であった。
重合中は多孔板より吐出した重合中間体の激しい発泡、及びこれによる口金面や壁面等の汚染は極めて少なかった。落下する樹脂は多量の泡を含んでおり、支持体の縦方向のワイヤーを包み込みつつ、泡玉状になって支持体を転げ落ちる挙動が観察された。このときのぞき窓から落下する樹脂をビデオ撮影し、3分間隔の静止画像5枚から縦方向のワイヤーを中 心とする樹脂流れの平均半径を計算したところ1.35cmであり、これからS=27130cmと計算された。一方、支持体の全表面積(S)が5357cmであることから、S/Sの値は5.1と計算された。
高い重合度、良好な白色度を有する高品質なナイロン66樹脂ペレットが安定して製造出来た。結果を表1に示す。
なお、実験終了後に重合器の底部を観察したが、清浄でありゲル等の異物の付着は認められなかった。
【0058】
[比較例1]
重合器の底部に多量のナイロン66樹脂を滞留させた以外は、実施例1と同様にして48時間連続運転してナイロン66樹脂ペレットを製造した。このとき排出ポンプ8の電流値が実施例1に比べ50%以上、上昇したうえ、電流値の変動幅も増大した。
また、製造されたペレットのRVと白色度が低下したうえ、特性値の変動も見られた。結果を表1に示す。
なお、実験終了後に重合器の底部を観察すると周辺部に少量のゲル状物が付着していた。
【0059】
[実施例2〜4]
実施例1の多孔板に比べて孔数が2倍の8個であって、その配列が30mm間隔で直線状に4個配列させた列が100mm間隔で平行に2列並んだものであって、実施例1と同じ格子状の支持体が2枚、100mm間隔で平行に設置された以外、実施例1と同じ重合器を用いた。そして表1に示した、種々の重合中間体、種々の重合条件で実施した以外、実施例1と同じ操作によって、48時間連続運転してナイロン66樹脂ペレットを製造した。
実施例2〜4では(V/L)値が0.50以下であった。このとき排出ポンプ8の電流値の変動幅は実施例1と比較して小さくなった。実施例2〜4の全てについて、高い重合度、良好な白色度を有する高品質なナイロン66樹脂ペレットが安定して製造出来た。結果を表1に示す。
【0060】
[実施例5]
実施例2〜4と同じ重合器を用い、表1に示した条件でナイロン6樹脂の重合中間体を重合した以外、実施例1と同じ操作によって、48時間連続運転してナイロン6樹脂ペレットを製造した。
高い重合度、良好な白色度を有する高品質なナイロン6樹脂ペレットが安定して製造出来た。結果を表1に示す。
【0061】
[比較例2〜3]
表1に示した条件で実施した以外、実施例5と同じ操作によって、48時間連続運転してナイロン6樹脂ペレットを製造した。
比較例2では、重合温度が高温すぎるためにペレットのRVと白色度が低下したうえ、特性値の変動も見られた。また実験終了後に重合器の底部を観察すると周辺部にゲル状物が付着していた。
比較例3では、重合温度が低すぎるために重合器内に導入された重合中間体が固化してしまい、実施することが出来なかった。
【0062】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、固相重合技術を代替することの出来る、高品質で高重合度のポリアミド樹脂を均一な品質で工業的に安定して、低コストで製造する溶融重合技術である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明で用いる重合器の一例を示す模式図である。
【図2】本発明で用いる重合器の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0065】
1.移送ポンプ
2.原料供給口
3.多孔板
4.のぞき窓
5.支持体及び落下樹脂
6.不活性ガス供給口
7.減圧排気口
8.排出ポンプ
9.排出口
10.重合器
N1.移送ポンプ
N2.原料供給口
N3.多孔板
N5.支持体及び落下ポリマー
N6.不活性ガス導入口
N7.減圧排気口
N8.排出・移送ポンプ
N10.不活性ガス吸収装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミド樹脂重合中間体を溶融状態にて原料供給口から重合器に供給し、多孔板の孔から吐出させた後、重合器内に設置された支持体の表面に沿わせて落下させながら、該重合中間体の結晶融点−10℃以上、結晶融点+60℃以下の温度にて、減圧下にて重合させる方法であって、下記(A)および(B)の条件を満たすことを特徴とする、ポリアミド樹脂の製造方法。
(A)該支持体に沿って落下するポリアミド樹脂の表面積Sと該支持体とポリアミド樹脂が接触している面積Sが、S/S>1の関係を満たす。
(B)重合されたポリアミド樹脂の該重合器の底部での滞留時間が、10秒〜1時間の範囲内である。
【請求項2】
該重合器の底部に滞留しているポリアミド樹脂を排出するに際し、該重合器の内壁面と接している上端の線を線Lとし、線L以下の該重合器の容積Uと底部に滞留しているポリマーの容積Vの比(V/U)を0.00001〜0.95の範囲に制御することを特徴とする、請求項1に記載のポリアミド樹脂の製造方法。
【請求項3】
ポリアミド樹脂重合中間体の分子量が、相対粘度にして1.5〜3.0であることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリアミド樹脂の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法により製造されたポリアミド樹脂。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法により製造された相対粘度2.5〜6.0のポリアミド樹脂。
【請求項6】
請求項4または5に記載のポリアミド樹脂から製造された成形体。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−225602(P2006−225602A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−44296(P2005−44296)
【出願日】平成17年2月21日(2005.2.21)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】