説明

ポリアミド逆浸透複合膜及びその製造方法

【課題】本発明は、ポリアミド逆浸透複合膜及びその製造方法に関するものである。
【解決手段】本発明のポリアミド逆浸透複合膜は、多孔性ポリスルホン支持体を、2重量%のメタフェニレンジアミン(MPD)及び0.1重量%のジ(エチレングリコール)ヘキシルメチルエーテルを含有する水溶液にコーティングした後、余剰の溶液を除去し、コーティングされた支持体を8〜12個の炭素原子を有するアルカン混合物のうち0.1重量%のトリメソイルクロライド(TMC)の有機溶液に浸漬し、前記余剰の有機溶液を除去し、結果として形成された複合膜を風乾し、塩基水溶液で洗浄する界面重合を通したポリアミド逆浸透複合膜を製造する。前記方法で製造された逆浸透複合膜は、塩化ナトリウム(NaCl)2,000ppm濃度の流入水で、225psiで加圧透過した実験によって、21.3gfdの透過流量及び98.9%の塩排除率を示した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆浸透膜に関するもので、特に、新規のポリアミド逆浸透複合膜及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、溶解された物質は、多様な種類の膜を選択的に用いることで、その溶媒から分離することができる。このような膜には、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノ分離膜及び逆浸透膜が含まれる。従来、逆浸透膜は、半塩水または海水の脱塩工程に用いられており、この脱塩工程は、工業、農業、または、家庭用に相対的に適した淡水または純水の大量供給を可能にする。逆浸透膜を用いた半塩水または海水の脱塩工程は、塩水から塩及び他の溶解されたイオンまたは分子をろ過する工程を含む。このろ過工程では、塩水の水は通過させるが、塩及びその他の溶解されたイオンまたは分子は通過させないように加圧・分離する。逆浸透工程では浸透圧が必然的に発生し、このとき、一層濃度の高い原水には一層高い浸透圧が発生するため、これを処理するために一層高い圧力が必要となる。
【0003】
逆浸透膜は、商業的に半塩水及び海水を大量に脱塩化するために、いくつかの条件を備えて用いられるべきである。すなわち、第一に、高い塩排除率を備えるべであり、商業的に適用するためには、少なくとも約97%の塩排除率、さらに少なくとも約98.5%以上の塩排除率を有することが好ましい。第二に、高流量特性、すなわち、比較的低い圧力下でも、相対的に多量の水を膜を通して通過できる能力を備えるべきである。一般に、膜の透過流量は、海水に対しては800psiの圧力で10gallon/ftday(gfd)以上、半塩水に対しては220psiの圧力で15gallon/ftday(grd)以上が要求される。用途によっては、塩排除率よりも高い透過流量が重要になったり、これと反対に塩排除率が重要になったりする。
【0004】
一般的な逆浸透膜の類型の一つは、多孔性支持体と、この多孔性支持体上に形成されたポリアミド薄膜と、を含む複合膜である。一般に、ポリアミド複合膜は、多孔性支持体上に多官能性アミンと多官能性アシルハライドとを界面重合して得られる。
【0005】
参考として、Cadotteによる米国特許第4,277,344号(1981年7月7日登録)には、従来の逆浸透複合膜の一例が開示されている。すなわち、二つの1級アミン基を含有する芳香族多官能性アミンと、少なくとも三つ以上のアシルハライド官能基を有する芳香族のアシルハライドとの界面重合によって得られる芳香族ポリアミド複合膜に関する技術が開示されている。好ましい態様によると、逆浸透膜は、ポリスルホン材質の微細多孔性支持体上にメタフェニレンジアミンをコーティングし、余剰のメタフェニレンジアミン溶液を前記微細多孔性支持体から除去した後、“フレオン(FREON)”TF溶媒(トリクロロトリフルオルエタン)に溶解されたトリメソイルクロライド(TMC)の有機溶液を、前記コーティングされた支持体に接触させる。このとき、界面重合反応のための前記水溶液と前記有機溶液との接触時間は10秒であるが、実質的に反応は1秒内に終了する。その結果、ポリスルホン/ポリアミド複合物は、風乾される。
【0006】
Cadotteの特許に開示された膜は、優れた透過流量及び塩排除率を示しているが、一層改善した膜を提供するために、ポリアミド逆浸透複合膜の透過流量増加及び塩排除率向上に関して多様な研究が行われ、膜の透過性能の他にも、膜の耐化学性を改善するための研究も行われてきた。主に、これら研究は、界面での縮合重合反応時に用いられる溶液に、多様な添加剤を添加する方法に関するものである。
【0007】
例えば、参考として、Tomashkeによる米国特許第4,872,984号(1989年10月10日登録)には、(a)微細多孔性支持体上に水溶液層を形成するために、二つ以上のアミン官能基を有するモノマーであり、多官能性芳香族アミン及びアミン塩を同時に含有する水溶液で微細多孔性支持体を塗布する段階と、(b)アミンと反応する官能基であるアシルハライドを平均的に反応分子当り少なくとも約2.2個以上有する多官能性アシルハライド単一物質またはその混合物を含み、実質的に芳香族モノマーからなるアミン反応性反応物の有機溶液を前記水溶液層に接触させる段階と、(c)前記段階(b)の生成物を60〜110℃の温度で1〜10分間乾燥して透水性膜を形成する段階と、からなる逆浸透複合膜の製造方法が開示されている。
【0008】
界面重合時に用いられる溶液に添加剤を添加して製膜を試みた例として、Chauなどによる米国特許第4,983,291号(1991年1月8日登録)には、多孔性支持体の内部及び表面上で界面重合する方法を提示している。すなわち、多孔性支持体を多官能性アミン水溶液に浸漬するとき、水溶液の組成中にアミンと反応しない極性非プロトン性溶媒として、多価化合物(polyhydric compound)または酸受容体(acid acceptor)を添加した溶液に浸漬した後、前記コーティングされた支持体から余剰の溶液を除去する。その後、ポリアシルハライド有機溶液に所定期間の間浸漬し、多孔性支持体の表面または内部で界面重合を誘導して重合された反応生成物を形成する。また、製造された複合膜をヒドロキシポリカルボキシル酸、ポリアミノアルケン、ポリカルボキシル酸、スルホン酸、アミン酸塩、アミノ酸、アミノ酸塩、ポリマー酸または無機酸に浸漬した後、洗浄して乾燥する方法が開示された。
【0009】
参考として、Hiroseなどによる米国特許第5,576,057号(1998年3月31日登録)には、多孔性支持体を分子当り少なくとも2個以上のアミノ基を有するアミン水溶液(a)でコーティングし、多官能性アシルハライドを溶解した有機溶液(b)に、前記アミン水溶液がコーティングされた支持体を浸漬して架槁結合を誘導し、架橋ポリアミドスキン膜を形成する。ここで、架橋反応は、溶解度係数(solubility parameter)が8〜14(cal/cm1/2である添加剤(S)の存在下で行う。上記方法の他の実施例には、アルコール(−OH)基またはエーテル(−O−)基を有する添加剤(S)を前記溶液(a)及び(b)のうち少なくとも一つ以上に添加する方法が開示されている。
【0010】
また、参考として、Kooなどによる米国特許第6,015,495号(2000年1月18日登録)には、ポリアミド逆浸透複合膜及びその製造方法が開示されている。すなわち、その一態様において、前記複合膜は、多孔性支持体及びこの多孔性支持体上に形成されたポリアミド薄膜と、を含む。ここで、多孔性支持体を浸漬するときに用いられる(i)単量体当り2個以上のアミノ基を有するアミン水溶液に、ジ(プロピレングリコール)モノアルキルエーテル、アルキル置換1,3−プロパンジオール、1,2−アルカンジオール、ジ(エチレングリコール)ヘキシルエーテル、ジ(エチレングリコール)−t−ブチルメチルエーテル、トリ(エチレングリコール)ジメチルエーテル及び1,x−シクロヘキサンジメタノール(ここで、xは、2〜4の整数)からなる群から選択される極性化合物を添加した後、(ii)多官能性アシルハライド、多官能性スルホニルハライド及び多官能性イソシアネートからなる群から選択されるアミン反応性化合物を含有した有機溶液に順次接触して製造される、界面重合による逆浸透複合膜の製造方法が開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、上記の従来の問題点を解決するための新規のポリアミド膜を提供することにある。
本発明の他の目的は、新規のポリアミド逆浸透複合膜を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、ポリアミド逆浸透複合膜を製造する新規の方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の1つの特徴によるポリアミド膜は、(i)多官能性アミンを含む水溶液及び(ii)多官能性アシルハライド、多官能性スルホニルハライド及び多官能性イソシアネートからなる群から選択されるアミン反応性反応物を含む有機溶液の界面重合法で形成された薄膜を含み、(iii)上述したアミン水溶液及び有機溶液の少なくとも1つが極性化合物を含む。前記極性化合物は、ジ(エチレングリコール)デシルメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)オクチルメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)ベンジルメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)ヘプチルメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)ヘキシルメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)ペンチルメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)ブチルメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)プロピルメチルエーテル、トリ(エチレングリコール)デシルメチルエーテル、トリ(エチレングリコール)オクチルメチルエーテル、トリ(エチレングリコール)ベンジルメチルエーテル、トリ(エチレングリコール)ヘプチルメチルエーテル、トリ(エチレングリコール)ヘキシルメチルエーテル、トリ(エチレングリコール)ペンチルメチルエーテル、トリ(エチレングリコール)ブチルメチルエーテル、トリ(エチレングリコール)プロピルメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)デシルメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)オクチルメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)ベンジルメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)ヘプチルメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)ヘキシルメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)ペンチルメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)ブチルメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)プロピルメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)ジメチルエーテル、ポリ(エチレングリコール)ジメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)ジビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)ジビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)ジビニルエーテル及びポリ(エチレングリコール)ジビニルエーテルからなる群から選択される。
【0013】
少なくとも1つの極性化合物は、前記水溶液に添加されて混合溶媒を形成する。ここで、一つ以上の極性化合物の添加量は、前記混合溶媒に対して約5重量%以下であることが好ましく、さらに約3重量%以下であることが好ましい。
【0014】
少なくとも1つの極性化合物は、前記有機溶液に添加されて混合溶媒を形成する。ここで、一つ以上の極性化合物の添加量は、前記混合溶媒に対して約5重量%以下であることが好ましく、さらに約3重量%以下であることが好ましい。本発明者らは、多孔性支持体と、この多孔性支持体上に積層された前記ポリアミド膜を含む逆浸透複合膜が、予想外に良好な塩排除特性及び透過流量特性を示すことを見出した。
【0015】
本発明はまた、多孔性支持体及び前記ポリアミド膜を含むポリアミド逆浸透複合膜に関する。
本発明はさらに、前記のタイプのポリアミド逆浸透複合膜の製造方法に関する。
本発明の他の目的、特性、特徴及び効果は、後述する発明の詳細な説明で明らかにされる。本発明の各実施例は、本発明の技術分野に属する者によって充分に実行できる程度に開示されており、本発明の範囲内の構造または変化を有する他の実施例も、充分に理解できる程度に開示されている。後述する発明の詳細な説明は、本発明の保護範囲を制限するものではなく、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって規定される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によるポリアミド逆浸透複合膜は、多孔性支持体と、この多孔性支持体上に前記水溶液及び有機溶液を順次コーティングした界面重合によって得られる前記ポリアミド薄膜と、を含むことで、高い塩排除率及び高い透過流量性能を示すという効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の1つの特徴によるポリアミド逆浸透複合膜は、(a)多孔性支持体と、(b)前記多孔性支持体上に形成されたポリアミド層と、を含む。前記ポリアミド層は、(i)多官能性アミンを含む水溶液と、(ii)多官能性アシルハライド、多官能性スルホニルハライド及び多官能性イソシアネートからなる群から選択されるアミン反応性反応物を含む有機溶液と、の界面重合によって形成され、(iii)前記水溶液及び有機溶液のうち一つ以上が上述した極性化合物を一つ以上含む。
【0018】
本発明による多孔性支持体は、一般的に微細孔性の支持体である。本発明に用いられる多孔性支持体の材質及び製造方法には制限がないが、透過液が透過できるのに十分な大きさであり、その上に形成された超薄膜の架橋を妨害する程度には大きくないことが好ましい。一般に、前記支持体の孔径は1〜300nmであり、孔径が300nmを超えると、薄膜の形成後、前記超薄膜がその孔径内に陥没し、要求される平坦なシート構造を達成できなくなる。本発明に用いられる微細孔性の多孔性支持体は、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニリデンフロライドなどの多様なハロゲン化ポリマーからなる。その他の多孔性支持体の材料は、参考として記載された特許文献から発見できる。
【0019】
また、本発明による多孔性支持体の厚さには制限がないが、約25μm〜125μmの範囲、特に40μm〜75μmであることが好ましい。
本発明によるポリアミド逆浸透複合膜は、多孔性支持体と、この多孔性支持体上に前記水溶液及び有機溶液を順次コーティングした界面重合によって得られる前記ポリアミド薄膜と、を含み、高い塩排除率及び高い透過流量性能を示している。
【0020】
本発明は、多孔性支持体及びポリアミド薄膜を含むポリアミド逆浸透複合膜を提供する。また、本発明は、前記ポリアミド逆浸透複合膜の製造方法を提供する。
【0021】
一般に、本発明のポリアミド膜は、多官能性アミン及びアミン反応性反応物を用いた界面重合によって製造される。このとき、多官能性アミンは、単量体当り2以上のアミン官能基、好ましくは2〜3のアミン官能基を有する物質である。ここで、アミン官能基は、1級アミン基または2級アミン基であるが、1級アミン基であることが好ましい。本発明に用いられる特定の多官能性アミン基は、特に制限されないが、単一の多官能性アミン基またはその組み合わせである。本発明に適した多官能性アミン基には、例えば、メタフェニレンジアミン及びパラフェニレンジアミンなどの芳香族1級ジアミン、及びこれらの置換誘導体が挙げられる。ここで、前記芳香族1級置換誘導体の置換基には、メチル基またはエチル基などのアルキル基、メトキシ基またはエトキシ基などのアルコキシ基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシ基またはハロゲン原子を含む。さらに、本発明に適した多官能性アミン基には、例えば、1,3−プロパンジアミン及びN−アルキルまたはアリル置換基を有するか有してない類似体などのアルカンジアミンと、シクロヘキサンジアミンなどの脂環族1級ジアミンと、ピペラジン及びそのアルキル誘導体などの脂環族2級アミンと、N、N’−ジメチル−1,3−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニルエチレンジアミン、ベンジジン、キシレンジアミン及びその誘導体などの芳香族2級ジアミンと、が含まれる。その他の適した多官能性アミンは、本発明の明細書に参考として記載された特許文献で発見できる。本発明の多官能性アミンは、芳香族1級ジアミンであることが好ましく、さらに、m−フェニレンジアミンであることが好ましい。
【0022】
本発明における多官能性アミンの種類には制限がないが、多官能性アミンは、芳香族1級ジアミンであるメタフェニレンジアミン、または、脂環族2級ジアミンであるピペラジンであることが好ましい。多官能性アミンとしてピペラジンを用いた場合、逆浸透膜よりも孔径が比較的大きいナノろ過範囲でポリアミド複合膜が形成される。ナノ分離膜は、逆浸透膜に比べると、1価イオンの塩排除率は低いが、2価イオン及び分子量300以上の有機物質の除去には効果的であるため、カルシウム、マグネシウムなどの硬度成分を除去する軟水化工程及び飲用水に適用したとき、トリハロメタンなどの発癌物質の前駆体であるフミン酸を除去するのに効果的に用いられる。
【0023】
本発明における多官能性アミンは、水溶液に対して約0.1〜20重量%であり、さらに0.5〜8重量%で前記水溶液に存在することが好ましい。前記多官能性アミン水溶液のpHは約7〜13の範囲であり、前記pHは、0.001〜5重量%の塩基性酸受容体の存在により調節できる。また、多官能性アミン水溶液には、界面重合時に発生する酸(HCl)を中和できる塩基性酸受容体を添加することもあるが、この塩基性酸受容体には、例えば、アルカリ金属の水酸化物、カルボン酸塩、炭酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、及びトリアルキルアミンなどが用いられる。他の添加剤として、極性溶媒、アミン塩、ポリ3級アミンなどを添加して用いることもある。
【0024】
本発明における多官能性アミンと反応するアミン反応性反応物は、多官能性アシルハライド、多官能性スルホニルハライド及び多官能性イソシアネートからなる群から一つ以上選択される。ここで、アミン反応性反応物は、実質的にモノマーであり、芳香族であることが好ましく、例えば、トリメソイルクロライド(TMC)、イソフタロイルクロライド(IPC)、テレフタロイルクロライド(TPC)及びその混合物などのジまたはトリ官能基を有する多官能性アシルハライドである。その他のアミン反応性反応物の例は、本発明の明細書に参考として記載された特許文献で発見できる。
【0025】
アミン反応性反応物は、水と混合されない有機溶媒に0.005〜5重量%で溶解して用いており、0.01重量%〜0.5重量%のアミン反応性反応物を溶解して用いることが好ましい。有機溶媒には、フレオン類などのハロゲン化ハイドロカーボン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、または、炭素数8〜12のアルカンなどが含まれる。前記有機溶媒の他の例は、本発明の明細書に参考として記載された特許文献で発見できる。フレオン類のオゾン破壊などの環境問題及び低い沸点による火災発生などを考慮すると、イソパー(ISOPAR(登録商標)、Exxon Corp.)などの炭素数8〜12のアルカン及びその混合物を用いることが好ましい。
【0026】
本発明に用いられた極性化合物は、三つに分類される。第一の部類は、炭素数の異なる二つのアルキル基が非対称に置換されたジアルキルジ(エチレングリコール)エーテル、ジアルキルトリ(エチレングリコール)エーテル、ジアルキルテトラ(エチレングリコール)エーテル及びジアルキルポリ(エチレングリコール)エーテルなどである。具体的な例として、ジ(エチレングリコール)デシルメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)オクチルメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)ベンジルメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)ヘプチルメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)ヘキシルメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)ペンチルメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)ブチルメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)プロピルメチルエーテル、トリ(エチレングリコール)デシルメチルエーテル、トリ(エチレングリコール)オクチルメチルエーテル、トリ(エチレングリコール)ベンジルメチルエーテル、トリ(エチレングリコール)ヘプチルメチルエーテル、トリ(エチレングリコール)ヘキシルメチルエーテル、トリ(エチレングリコール)ペンチルメチルエーテル、トリ(エチレングリコール)ブチルメチルエーテル、トリ(エチレングリコール)プロピルメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)デシルメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)オクチルメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)ベンジルメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)ヘプチルメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)ヘキシルメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)ペンチルメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)ブチルメチルエーテル及びテトラ(エチレングリコール)プロピルメチルエーテルなどである。
【0027】
第二の部類は、テトラ(エチレングリコール)ジメチルエーテル及びポリ(エチレングリコール)ジメチルエーテルなどである。
【0028】
第三の部類は、ジ(エチレングリコール)ジビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)ジビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)ジビニルエーテル及びポリ(エチレングリコール)ジビニルエーテルなどである。
【0029】
このとき、上述した極性化合物と同一または異なる部類の化合物を2種以上混合して用いることもできる。
【0030】
本発明の目的及び特許請求の範囲を明確にするために、上述した第一の部類の極性化合物におけるアルキル基は、特別な言及がない場合、ノルマルアルキル基(n−アルキル基)である。また、ポリ(エチレングリコール)は、テトラ(エチレングリコール)よりも大きいペンタ(エチレングリコール)、ヘキサ(エチレングリコール)、ヘプタ(エチレングリコール)などの反復単位が大きいもの、または、これらの混合物であるエチレングリコール類似体をいう。
【0031】
上述したジ(エチレングリコール)ジビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)ジビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)ジメチルエーテル、ポリ(エチレングリコール)ジメチルエーテル及びポリ(エチレングリコール)ジビニルエーテルなどのいくつかの主な極性混合物は、例えば、シグマ−アルドリッチ株式会社(Sigma−Aldrich、St.Louis、MO)から商業的に得られる。炭素数の異なる二つのアルキル基が非対称に付いたジ(エチレングリコール)、トリ(エチレングリコール)、テトラ(エチレングリコール)及びポリ(エチレングリコール)などのその他の主な極性混合物は、下記の実施例に記載された方法に基づいて合成できる。
【0032】
本発明では、上述した1種以上の極性化合物を、多官能性アミンが溶解された水溶液または前記アミン反応性反応物が溶解された有機溶液に添加するか、または、二つの溶液の全てに添加する。前記アミン水溶液に1種以上の極性化合物が添加された混合溶液における極性化合物の濃度は、0.001〜5重量%であることが好ましく、さらに、0.01〜3重量%であることが好ましい。前記有機溶液に極性化合物が添加された混合溶液の極性化合物の濃度は、0.001〜5重量%であることが好ましく、さらに、0.01〜3重量%であることが好ましい。
【0033】
本発明によるポリアミド逆浸透複合膜を製造するために、前記多孔性支持体を前記多官能性アミン水溶液でコーティング(好ましくは、手動コーティングまたは連続コーティング)し、前記多孔性支持体の表面から余剰の溶液をローリング、スポンジ、エアーナイフまたはその他の適当な方法で除去した後、アミン反応性反応物を含有した有機溶液に浸漬またはスプレーなどの方法によって約5秒〜10分、好ましくは約20秒〜4分間接触させる。このような方法で生成された生成物(膜)を40℃以下の常温で約1分間風乾した後、0.2重量%の炭酸ナトリウムなどの塩基性水溶液に常温〜95℃の液温で1〜30分間浸漬した後、蒸溜水で水洗して目的とする逆浸透複合膜を得る。
【0034】
本発明における前記製造方法以外の製造方法では、前記一つ以上の極性化合物のみを溶解した水溶液で前記多孔性支持体をコーティングした後、このコーティングされた多孔性支持体を上述した方法によって多官能性アミンを含む水溶液でコーティングし、前記多孔性支持体上に二重コーティングされた液体層を形成する。この二重コーティングされた多孔性支持体は、その後、前記アミン反応性反応物を含む有機溶液に上述した方法によって接触させ、前記多孔性支持体上に界面ポリアミド薄膜を形成する。
下記の実施例は、本発明を一層具体的に説明するものであり、本発明の保護範囲を制限するものではない。
【0035】
[実施例1]
不織布上にキャスティングされた140μm厚さの多孔性ポリスルホン支持体を2重量%のメタフェニレンジアミン(MPD)及び0.1重量%のジ(エチレングリコール)ヘキシルメチルエーテル(実施例1−a〜1−bで言及された方法によって製造)を含有する水溶液に30秒間浸し、支持体から余剰の前記水溶液を除去した後、前記支持体を、溶媒としてイソパー溶媒(Isopar solvent、Exxon Corp.)を用いた0.1重量%のトリメソイルクロライド有機溶液に1分間浸漬する。その後、余剰の有機溶液を除去し、1分間風乾した後、40〜60℃で0.2%の炭酸ナトリウム水溶液で30分間浸漬した。その後、再び純水で充分に水洗して目的とするポリアミド逆浸透複合膜を製造した。
【0036】
前記方法で製造された逆浸透複合膜の性能を評価するために、2,000ppm塩化ナトリウム水溶液を25℃、225psiの圧力条件で交差流れ方式で透過させ、透過流量及び塩排除率を測定して透過性能を確認した。その結果、98.9%の塩排除率及び213gfdの透過性能が確認された。
【0037】
[実施例1−a]ジ(エチレングリコール)ヘキシルメチルエーテルの製造方法I
150mlの水に水酸化ナトリウム60gを溶解した水溶液を撹拌しながらジ(エチレングリコール)ヘキシルエーテル120gを投入した後、硫酸ジメチル80gを水溶液に約2時間の間徐々に添加した。硫酸ジメチルを全て添加した後、窒素パージ条件で連続的に撹拌しながら50〜55℃で加熱して24時間反応し、放冷して常温に調節した後、前記有機層を分液漏斗を用いて分離した。この分離された有機溶液を150mmHgの減圧条件で148〜158℃で分別蒸溜し、ジ(エチレングリコール)ヘキシルメチルエーテルを約90g得た。
【0038】
[実施例1−b]ジ(エチレングリコール)ヘキシルメチルエーテルの製造方法II
53mlの水に水酸化ナトリウム33gを窒素雰囲気下で溶解した水溶液にジ(エチレングリコール)メチルエーテル50gを撹拌しながら添加した後、窒素雰囲気下で60℃で1時間の間継続して撹拌し、1−ブロモヘキサン140gを3時間にかけて前記混合溶液に添加した後、温度を70〜80℃に上昇して24時間の間反応した。次いで、反応混合物を放冷して反応混合物を常温に調節し、有機層を分液漏斗で分離した後、まず、150mmHgの減圧条件で反応されてないジ(エチレングリコール)メチルエーテル及び1−ブロモヘキサンを分別蒸溜して148〜158℃で目的とするジ(エチレングリコール)ヘキシルメチルエーテル60gを得た。
【0039】
[実施例2〜12及び比較例A〜L]
実施例2〜12及び比較例A〜Lは、上述した実施例1の0.1重量%のジ(エチレングリコール)ヘキシルメチルエーテルの代りに、下記の表1及び表2に開示された極性化合物を用いたことを除けば、実施例1と同様に行った。実施例1〜12及び比較例A〜Lの多様な極性化合物によるポリアミド逆浸透複合膜の透過流量及び塩排除率は、下記の表1及び表2にそれぞれ記載した。
【0040】
【表1】

【0041】
【表2】

【0042】
[実施例13]
ジ(エチレングリコール)ヘキシルメチルエーテルを、MPDを含有する水溶液に添加する代りに、0.5重量%のジ(エチレングリコール)ジビニルエーテルをイソパー溶媒(Isopar(登録商標)solvent)中の0.1重量%のトリメソイルクロライド有機溶液に添加することを除けば、実施例1と同一方法で目的とするポリアミド逆浸透複合膜を製造した。前記表1から分かるように、透過流量は32.3gfdで、塩排除率は98.4%であった。
【0043】
[実施例14]
ジ(エチレングリコール)ヘキシルメチルエーテルを、MPDを含有する水溶液に添加する代りに、0.5重量%のトリ(エチレングリコール)ジビニルエーテルをイソパー溶媒(Isopar(登録商標)solvent)中の0.1重量%のトリメソイルクロライド有機溶液に添加することを除けば、実施例1と同一方法で目的とするポリアミド逆浸透複合膜を製造した。前記表1から分かるように、透過流量は33.1gfdで、塩排除率は98.2%であった。
【0044】
上述したデータから分かるように、本発明の極性化合物を添加して製造された逆浸透複合膜は、期待以上の高い塩排除率及び高い透過流量を示した。例えば、実施例1のジ(エチレングリコール)ヘキシルメチルエーテルを用いた場合(塩排除率98.9%、塩透過率1.1%)には、比較例Bでジ(エチレングリコール)ヘキシルエーテルを用いた場合(塩排除率97.7%、塩透過率2.3%)及び比較例Dでジ(エチレングリコール)ジメチルエーテルを用いた場合(塩排除率98.2%、塩透過率1.8%)に比べて塩の除去効率が増加する。実施例1は、塩排除率側面において、比較例B及び比較例Dに比べて1.2%及び0.7%程度に除去性能がそれぞれ上昇し、性能の増加幅が数値上では微々たるものに見えるが、塩透過率側面においては、比較例B及び比較例Dに比べて塩透過程度がそれぞれ52%以上及び38%以上少ない塩透過率を示している。
【0045】
このような塩除去効率の増加(塩透過率の減少)は、実施例2〜6においても確認することができる。具体的な例として、実施例5のジ(エチレングリコール)ブチルメチルエーテルを用いた場合(塩排除率98.9%、塩透過率1.1%)には、比較例Gのジ(エチレングリコール)t−ブチルメチルエーテルを用いた場合(塩排除率98.5%、塩透過率1.5%)に比べて塩の除去効率が高いことを確認できる。また、実施例5及び比較例Gの透過流量は、それぞれ20.3gfd、19.2gfdであって、実施例5においては、比較例Gに比べて一層高い透過流量を確認できる。すなわち、実施例5においては、比較例Gに比べて塩透過率が26%以上少ないことが分かる。
【0046】
実施例7のように、ジ(エチレングリコール)ジビニルエーテルを用いた場合(塩排除率98.8%、塩透過率1.2%)には、比較例D、E及びFのジ(エチレングリコール)ジメチルエーテルを用いた場合(塩排除率98.3%、塩透過率1.7%)、ジ(エチレングリコール)ジエチルエーテルを用いた場合(塩排除率98.3%、塩透過率1.7%)、ジ(エチレングリコール)ジブチルエーテルを用いた場合(塩排除率98.2%、塩透過率1.8%)に比べて高い塩排除率を示している。すなわち、塩透過率は、比較例D及びEに比べて29%以上少なく、比較例Fに比べて33%以上少ないことが分かる。
【0047】
実施例8及び実施例9のように、トリ(エチレングリコール)ジビニルエーテル及びトリ(エチレングリコール)ブチルメチルエーテルをそれぞれ用いた場合、塩排除率がそれぞれ98.7%(塩透過率1.3%)及び99.0%(塩透過率1.0%)であって、比較例H、I及びJのトリ(エチレングリコール)、トリ(エチレングリコール)モノエチルエーテル、トリ(エチレングリコール)ジメチルエーテルを用いた場合の塩排除率である98.2%(塩透過率1.8%)、98.3%(塩透過率17%)及び98.2%(塩透過率1.8%)に比べて高いことを確認できる。実施例8の塩透過率は、比較例H及びJに比べて27%少なく、比較例1に比べて23%以上少ないことが分かる。また、実施例9の塩透過率は、比較例H及びJに比べて44%以上少なく、比較例1に比べて41%以上少ないことが分かる。
【0048】
実施例10のテトラ(エチレングリコール)ジメチルエーテルを用いた場合と、トリ(エチレングリコール)ジメチルエーテルを用いた比較例J及びテトラ(エチレングリコール)を用いた比較例Kと、を比較すると、実施例10においては、塩排除率が98.9%(塩透過率1.1%)であって、比較例J及び比較例Kの塩排除率である98.2%(塩透過率1.8%)及び98.0%(塩透過率2.0%)に比べて優れた塩排除性能を示す。また、塩透過率は、比較例J及び比較例Kに比べてそれぞれ38%以上及び45%以上少ないことが分かる。
【0049】
ポリ(エチレングリコール)ジメチルエーテルを用いた実施例11及びポリ(エチレングリコール)ジビニルエーテルを用いた実施例12と、トリ(エチレングリコール)ジメチルエーテルを用いた比較例J及びポリ(エチレングリコール)ブチルエーテルを用いた比較例Lと、を比較すると、実施例11及び実施例12においては、塩排除率が全て98.8%(塩透過率1.2%)であって、比較例J及び比較例Lの塩排除率である98.2%(塩透過率1.8%)及び98.1%(塩透過率1.9%)に比べて優れた塩排除性能を示す。また、塩透過率は、比較例J及び比較例Lに比べてそれぞれ33%以上及び36%以上少ないことが分かる。
【0050】
最後に、ジ(エチレングリコール)ジビニルエーテル及びトリ(エチレングリコール)ジビニルエーテルをそれぞれ有機溶液に添加して製造する実施例13及び14の場合、それぞれ塩排除率が98.4%(塩透過率1.6%)及び98.2%(塩透過率1.8%)で、透過流量が32.3gfd及び33.1gfdであって、極性化合物を水溶液及び有機溶液に全て添加してない比較例Aに比べると、比較的優れた塩除去性能を示し、特に、透過流量が大きく上昇することを確認できる。実施例13においては、比較例Aに比べて塩透過率が44%以上少なく、透過流量が112%以上増加した。また、実施例14においては、比較例Aに比べて塩透過率が37%以上少なく、透過流量が117%以上増加した。
本発明の詳細な説明で記載された製造方法及びケミカルは、単純な例示に過ぎなく、本発明が属する技術分野の技術者であれば、本発明の技術的思想内で多様な変形及び改善が可能である。また、このような変形及び改善は、特許請求の範囲によって本発明の保護範囲に属する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)多官能性アミンを含む水溶液;及び
(ii)多官能性アシルハライド、多官能性スルホニルハライド及び多官能性イソシアネートからなる群から選択されるアミン反応性反応物を含む有機溶液;
の反応生成物を含み、
(iii)前記水溶液及び前記有機溶液の少なくとも1つは、ジ(エチレングリコール)デシルメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)オクチルメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)ベンジルメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)ヘプチルメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)ヘキシルメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)ペンチルメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)ブチルメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)プロピルメチルエーテル、トリ(エチレングリコール)デシルメチルエーテル、トリ(エチレングリコール)オクチルメチルエーテル、トリ(エチレングリコール)ベンジルメチルエーテル、トリ(エチレングリコール)ヘプチルメチルエーテル、トリ(エチレングリコール)ヘキシルメチルエーテル、トリ(エチレングリコール)ペンチルメチルエーテル、トリ(エチレングリコール)ブチルメチルエーテル、トリ(エチレングリコール)プロピルメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)デシルメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)オクチルメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)ベンジルメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)ヘプチルメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)ヘキシルメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)ペンチルメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)ブチルメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)プロピルメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)ジメチルエーテル、ポリ(エチレングリコール)ジメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)ジビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)ジビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)ジビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)ジビニルエーテル及びその混合物からなる群から選択される極性化合物をさらに含む、ポリアミド膜。
【請求項2】
前記極性化合物が、前記水溶液に存在する、請求項1に記載のポリアミド膜。
【請求項3】
前記極性化合物が、前記水溶液に存在し、前記有機溶液に存在しない、請求項2に記載のポリアミド膜。
【請求項4】
前記極性化合物が、前記有機溶液に存在する、請求項1に記載のポリアミド膜。
【請求項5】
前記極性化合物が、前記有機溶液に存在し、前記水溶液に存在しない、請求項4に記載のポリアミド膜。
【請求項6】
前記極性化合物が、前記水溶液及び前記有機溶液のそれぞれに存在する、請求項1に記載のポリアミド膜。
【請求項7】
前記水溶液中の前記極性化合物が、前記有機溶液中の前記極性化合物と相異なる、請求項6に記載のポリアミド膜。
【請求項8】
前記極性化合物が、ジ(エチレングリコール)ヘキシルメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)ヘプチルメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)ベンジルメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)ペンチルメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)ブチルメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)プロピルメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)ジビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)ジビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)ブチルメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)ジメチルエーテル、ポリ(エチレングリコール)ジメチルエーテル及びポリ(エチレングリコール)ジビニルエーテルからなる群から選択される、請求項1に記載のポリアミド膜。
【請求項9】
前記極性化合物が、前記水溶液に存在し、混合溶媒を形成し、前記水溶液の0.001〜5重量%である、請求項1に記載のポリアミド膜。
【請求項10】
前記極性化合物が、前記水溶液の0.01〜3重量%である、請求項9に記載のポリアミド膜。
【請求項11】
前記極性化合物が、前記有機溶液に存在し、混合溶媒を形成し、前記有機溶液の0.001〜5重量%である、請求項1に記載のポリアミド膜。
【請求項12】
前記極性化合物が、前記有機溶液の0.01〜3重量%であることを特徴とする請求項11に記載のポリアミド膜。
【請求項13】
前記多官能性アミンが、芳香族1級ジアミン及びその置換された誘導体、アルカン1級ジアミン、脂環族1級ジアミン、脂環族2級ジアミン、芳香族2級ジアミン及びキシレンジアミンからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1に記載のポリアミド膜。
【請求項14】
前記多官能性アミンが、メタフェニレンジアミンである、請求項13に記載のポリアミド膜。
【請求項15】
前記アミン反応性反応物が、イソフタロイルハライド、テレフタロイルハライド、トリメソイルハライド及びその混合物からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1に記載のポリアミド膜。
【請求項16】
前記アミン反応性反応物が、トリメソイルハライドである、請求項15に記載のポリアミド膜。
【請求項17】
前記少なくとも1つの極性化合物が、ジ(エチレングリコール)デシルメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)オクチルメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)ベンジルメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)ヘプチルメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)ヘキシルメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)ペンチルメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)ブチルメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)プロピルメチルエーテル、トリ(エチレングリコール)デシルメチルエーテル、トリ(エチレングリコール)オクチルメチルエーテル、トリ(エチレングリコール)ベンジルメチルエーテル、トリ(エチレングリコール)ヘプチルメチルエーテル、トリ(エチレングリコール)ヘキシルメチルエーテル、トリ(エチレングリコール)ペンチルメチルエーテル、トリ(エチレングリコール)ブチルメチルエーテル、トリ(エチレングリコール)プロピルメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)デシルメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)オクチルメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)ベンジルメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)ヘプチルメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)ヘキシルメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)ペンチルメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)ブチルメチルエーテル及びテトラ(エチレングリコール)プロピルメチルエーテルからなる群から選択される、請求項1に記載のポリアミド膜。
【請求項18】
前記少なくとも1つの極性化合物が、ジ(エチレングリコール)ジビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)ジビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)ジビニルエーテル及びポリ(エチレングリコール)ジビニルエーテルからなる群から選択される、請求項1に記載のポリアミド膜。
【請求項19】
(a)多孔性支持体;及び
(b)前記多孔性支持体上に形成された請求項1に記載のポリアミド層;
を含むことを特徴とする逆浸透複合膜。
【請求項20】
前記多孔性支持体が、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリビニリデンフロライド及びポリテトラフロライドからなる群から選択される物質によって形成されることを特徴とする請求項19に記載の逆浸透複合膜。
【請求項21】
(a)多官能性アミンを含む水溶液で多孔性支持体をコーティングし、前記多孔性支持体上に液体層を形成する段階;
(b)前記液体層を、多官能性アシルハライド、多官能性スルホニルハライド及び多官能性イソシアネートからなる群から選択されるアミン反応性反応物を含む有機溶液に接触させ、前記アミン反応性反応物が前記多官能性アミンと界面縮重合し、前記多孔性支持体上に架橋されたポリアミド層を形成する段階;及び
(c)前記段階(b)の反応生成物を乾燥する段階;
を含み、
前記水溶液及び前記有機溶液の少なくとも1つは、ジ(エチレングリコール)デシルメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)オクチルメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)ベンジルメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)ヘプチルメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)ヘキシルメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)ペンチルメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)ブチルメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)プロピルメチルエーテル、トリ(エチレングリコール)デシルメチルエーテル、トリ(エチレングリコール)オクチルメチルエーテル、トリ(エチレングリコール)ベンジルメチルエーテル、トリ(エチレングリコール)ヘプチルメチルエーテル、トリ(エチレングリコール)ヘキシルメチルエーテル、トリ(エチレングリコール)ペンチルメチルエーテル、トリ(エチレングリコール)ブチルメチルエーテル、トリ(エチレングリコール)プロピルメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)デシルメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)オクチルメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)ベンジルメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)ヘプチルメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)ヘキシルメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)ペンチルメチルエーテル、テトラ(エチレングリニール)ブチルメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)プロピルメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)ジメチルエーテル、ポリ(エチレングリコール)ジメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)ジビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)ジビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)ジビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)ジビニルエーテル及びその混合物からなる群から選択される極性化合物をさらに含む、逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項22】
前記段階(c)の反応生成物を塩基性水溶液で洗浄する段階をさらに含む、請求項21に記載の逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項23】
前記水溶液及び前記有機溶液のうち、水溶液のみが前記極性化合物をさらに含む、請求項21に記載の逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項24】
前記水溶液及び前記有機溶液うち、有機溶液のみが前記極性化合物をさらに含む、請求項21に記載の逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項25】
前記水溶液及び前記有機溶液が、それぞれ前記極性化合物をさらに含むことを特徴とする請求項21に記載の逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項26】
(a)多孔性支持体を、水及び少なくとも1つの極性化合物を含む混合溶媒でコーティングして前記多孔性支持体上に液体層を形成する段階であって、前記少なくとも1つの極性化合物が、ジ(エチレングリコール)デシルメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)オクチルメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)ベンジルメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)ヘプチルメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)ヘキシルメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)ペンチルメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)ブチルメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)プロピルメチルエーテル、トリ(エチレングリコール)デシルメチルエーテル、トリ(エチレングリコール)オクチルメチルエーテル、トリ(エチレングリコール)ベンジルメチルエーテル、トリ(エチレングリコール)ヘプチルメチルエーテル、トリ(エチレングリコール)ヘキシルメチルエーテル、トリ(エチレングリコール)ペンチルメチルエーテル、トリ(エチレングリコール)ブチルメチルエーテル、トリ(エチレングリコール)プロピルメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)デシルメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)オクチルメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)ベンジルメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)ヘプチルメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)ヘキシルメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)ペンチルメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)ブチルメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)プロピルメチルエーテル、テトラ(エチレングリコール)ジメチルエーテル、ポリ(エチレングリコール)ジメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)ジビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)ジビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)ジビニルエーテル、ポリ(エチレングリコール)ジビニルエーテル及びその混合物からなる群から選択される、前記段階;
(b)前記液体層を多官能性アミンを含む水溶液でコーティングして前記多孔性支持体上に二重コーティング液体層を形成する段階;
(c)前記二重コーティング液体層を、多官能性アシルハライド、多官能性スルホニルハライド及び多官能性イソシアネートからなる群から選択されるアミン反応性反応物を含む有機溶液に接触させ、前記アミン反応性反応物を前記多官能性アミンと界面縮重合し、前記多孔性支持体上に架橋されたポリアミド層を形成する段階;及び
(d)前記段階(c)の反応生成物を乾燥し、逆浸透複合膜を形成する段階;
を含む、逆浸透複合膜の製造方法。

【公開番号】特開2010−17714(P2010−17714A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−240856(P2009−240856)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【分割の表示】特願2006−73103(P2006−73103)の分割
【原出願日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(506091573)セハン インダストリーズ インコーポレーション (2)
【氏名又は名称原語表記】SAEHAN INDUSTRIES INCORPORATION
【Fターム(参考)】