説明

ポリアミド逆浸透複合薄膜の製造方法及び該方法によって製造されたポリアミド逆浸透複合薄膜

アミン水溶液とアミン反応性化合物とを界面重合して、ポリアミド逆浸透複合薄膜を製造する方法において、(a)多官能性芳香族アミン単量体を含むアミン水溶液とアミン反応性化合物である多官能性ハロゲン化アシル単量体を含むアミン反応性化合物の有機溶液とを多孔性支持体の表面に接触させて、界面重合によって活性層を形成する工程;(b)前記活性層の形成後に、多官能性3級アルコールアミン0.1〜100重量%未満を含む水溶液に、前記界面重合によって形成された逆浸透複合薄膜の活性層を接触させて後処理する工程を含むことを特徴とするポリアミド逆浸透複合薄膜の製造方法及び該方法によって製造されたポリアミド逆浸透複合薄膜を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアミド逆浸透複合薄膜(TFC)の製造方法及びこの方法によって製造されたポリアミドTFC逆浸透膜に関し、より詳細には、多官能性3級アルコールアミンを後処理剤とすることによって、各種の後処理剤または後処理方法を用いた従来例に比べて、より向上した透水性と塩排除率を有するポリアミド逆浸透複合薄膜の製造を可能にするポリアミド逆浸透複合薄膜の製造方法及び該方法によって製造されたポリアミド逆浸透複合薄膜に関する。
【背景技術】
【0002】
水及び空気は、人間をはじめとする地球上のあらゆる生物が生きていく上で欠かせないものであり、その有用性と質は人間を含め、地球上の生命体に非常に大きな影響を及ぼす。科学と産業の発達に伴って水資源の活用範囲がより広くなり、その重要性が一層高まっている。このような状況下、良質の水資源確保は、地球生命体の維持という側面で極めて重要な要件とされる。全世界的に水不足と汚染という二重苦に悩んでいるにもかかわらず、水使用量は引続き増加傾向にあり、現実的に使用可能な水資源の確保はより一層困難な状況である。UNの調査によると、世界人口の約1/5である12億人を超える人々が、安全な飲用水(Safe Drinking Water)不足に陥っており、これより2倍も多い24億人が下水道施設のない状態で水を飲んでいるとされている。このような水資源管理の不備による非衛生的な水の飲用から、毎年、全世界で3百万人以上の人々が生命を失っている。
【0003】
一方、海水は、全世界水量の70%以上を占めると報告されている。しかし、海水には各種塩等を含め、不純物が多量含まれているため、海水をそのまま産業用水、農業用水、家庭用水などに使用することは不可能である。したがって、海水や塩水を人間の実生活において各種用途に利用するためには、海水や塩水から各種塩等の不純物を除去して淡水化する過程が必須とされるが、このような淡水化過程に逆浸透複合薄膜が核心部品として用いられる。
【0004】
一般の逆浸透複合薄膜(TFC)構造は、機械的強度を提供する多孔性構造の高分子支持体上に分離特性をもつ薄い活性層が形成されてなる。特に、ポリアミド活性層は、多官能性アミン水溶液と多官能性ハロゲン化アシル有機溶液との界面で形成される。このようなポリアミドTFC逆浸透複合膜の例が、Cadotteによる米国特許第4,277,344号(1981年)に記述されている。この特許では、少なくとも2つの1級アミン基を有する多官能性芳香族アミン単量体と少なくとも3つのハロゲン化アシル基をもつ多官能性ハロゲン化アシル単量体間の界面重合による芳香族ポリアミド活性層の形成を記述している。この特許に記述されている方法では、具体的に、ポリスルホン支持体を1,3−フェニレンジアミン(1,3-phenylenediamine:MPD)の水溶液に浸漬した後、支持体表面の過量のメタフェニレンジアミン(MPD)水溶液を除去し、塩化トリメソイル(Trimesoyl chloride:TMC)が溶解したフレオン溶液(”FREON”TF:tricholorotrifluoroethane)を塗布して、界面重合を行う。この時、界面重合時間は10秒とする。界面重合が完了した後には、得られたTFC逆浸透膜を常温で乾燥する。このような方法で製造されたCadotteの逆浸透複合薄膜は、高い流量と塩排除率性能を呈したが、これに止まらず、以降、多様な方法で流量と塩排除率性能を向上させようとする多くの研究がなされてきた。
【0005】
その一例に、米国特許第4,872,984号(1989年)において、Tomaschkeは、多孔性支持体上に少なくとも2つの反応性アミン基を持つ多官能性芳香族アミン単量体及び単量体3級アミンと強酸とによって形成されるアミン塩化合物を含む水溶液と、芳香族多官能性ハロゲン化アシル化合物が含まれている有機溶液とを界面で接触させ、界面重合によって逆浸透複合薄膜を製造した。この時、水溶液に含まれるアミン塩化合物は単量体(monomeric)アミンで、3級アミンと強酸によって形成される3級アミン塩または4級アミン塩で構成される。また、この時に使われたアミンのうち、単量体3級アミン類には、トリアルキルアミン類であるトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、N−アルキル脂環式アミン類として1−メチルピペリジン、N,N−ジアルキルアミン類としてN,N−ジメチルエチルアミン、N,N−ジエチルメチルアミン、N,N−ジアルキルエタノールアミン類としてN,N−ジメチルエタノールアミンなどが用いられ、4級アミン類としては、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド類であるテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリアルキルアンモニウムヒドロキシド類であるベンジルトリエチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリプロピルアンモニウムヒドロキシドまたはこれらの混合物などが使われた。
【0006】
他の例に、1996年にHiroseは、逆浸透複合薄膜の製造において、アミン水溶液にアルコールを10〜50重量%添加することによって膜の流量を改善できるという米国特許第5,576,057号を提示した。ここでは、アルコールとしては、エタノール、プロパノール、ブタノール、ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、2−エチルブタノール、2−エチルヘキサノール、オクタノール、シクロヘキサノール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ネオペンチルグリコール、t−ブタノール、ベンジルアルコール、4−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−2−ブタノール、ペンチルアルコール、アーリルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、グリセロールまたはこれらの混合物などを好ましく用いた。しかし、1次溶液にアルコールを添加して逆浸透複合薄膜を製造する場合、1次溶液と2次溶液との溶解度差は7〜15(cal/cm31/2でなければならず、15(cal/cm31/2を越えると、両溶液の表面で界面重合法によって活性層は形成されるが、透水性が減少するという問題点につながる。このような方法で製造されたポリアミド逆浸透複合薄膜の性能は、29〜42[LMH]の透過量と99.4〜99.5%の除去率を表し、アルコールを添加しない場合(25[LMH]の透過量と99.6%の除去率)と比較して、透水性が向上した結果を示したが、既存のポリアミド逆浸透複合薄膜性能と比較して、微量のアルコール添加時にその効果が微小であり、過量のアルコール添加時にはアミン水溶液とハロゲン化アシル有機溶液との溶解度差の減少によって界面での重合反応がなされず、相対的に製造されたポリアミド逆浸透複合薄膜の塩排除率が減少するという欠点があった。
【0007】
さらに他の例として、米国特許第4,950,404号においてChauは、アミン水溶液に極性非プロトン性溶媒を添加し、多官能性ハロゲン化アシルを含む有機溶液と接触させて、支持体表面で界面重合法によって逆浸透複合薄膜を製造する方法を提示した。ここで、極性非プロトン性溶媒としては、N−メチルピロリドン、2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジオキサン、ピリジン、ルチジン、ピコリン、テトラヒドロフラン、スルホラン、スルホレン、ヘキサメチルホスホアミド、トリエチルホスファート、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミドを好ましく用いた。
【0008】
また、Chauは、米国特許第4,983,291号で、製造された逆浸透複合薄膜をアスコルビン酸、塩酸、クエン酸、スルファミン酸(sulfamic acid)、酒石酸(tartaric acid)、エチレンジアミン四酢酸(ethylenediaminetetraacetic acid)、p−トルエンスルホン酸(p-toluenesulfonic acid)、塩酸L−リシン(L-lysine hydrochloride)、グリシン(glycine)のような酸が含まれている溶液と接触させて、後処理工程工程を経たのち一定温度(常温〜170℃)で一定時間(1分〜120分)乾燥する製造方法を提示した。しかし、製造されたポリアミド逆浸透複合薄膜に高透水性を持たせるべく非プロトン性溶媒を添加する場合、非プロトン性溶媒の組成比が増加することから、相対的に逆浸透複合薄膜の塩排除率が減少する結果を示した。製造された逆浸透複合薄膜を酸含有溶液と接触させ、100℃で乾燥した場合、酸を微量添加すると、膜の性能効果は無視できるほどであり、逆に、酸を過量添加すると、膜の透水性は増加したが、相対的に塩排除率が減少する結果を示した。また、逆浸透複合薄膜を酸含有溶液と接触させた後、170℃高温の乾燥した場合、逆浸透複合薄膜の透水性が減少する結果を示した。
【0009】
さらに他の例として、米国特許第6,245,234号(2001年)においてJa-Young Kooは、逆浸透複合薄膜の透水性向上のために、アミン水溶液に、炭化水素アルカン主鎖に置換された3級アミンが2つ以上からなる多官能性3級アミンを強酸と共に添加することによって、多官能性3級アミン塩を形成し、また、極性溶媒を添加することによってポリアミド逆浸透複合薄膜の透水性向上を図ろうとした。ここで、アミン水溶液に添加される多官能性3級アミンとしして、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミン(N,N,N',N'-tetramethyl-1,6-hexanediamine)、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,4−ブタンジアミン(N,N,N',N'-tetramethyl-1,4-buthanediamine)、N,N,N’,N’−テトラメチル−2−ブテン−1,4−ジアミン(N,N,N',N'-tetramethyl-2-butene-1,4-diamine)、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン(N,N,N',N'-tetramethyl-1,3-buthanediamine)、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−プロパンジアミン(N,N,N',N'-tetramethyl-1,3-propanediamine)、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,8−オクタンジアミン(N,N,N',N'-tetramethyl-1,8-octanediamine)、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,7−ヘプタンジアミン(N,N,N',N'-tetramethyl-1,7-heptanediamine)、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,5−ペンタンジアミン(N,N,N',N'-tetramethyl-1,5-pentanediamine)、N,N,N’,N’−テトラエチル−1,4−ブタンジアミン(N,N,N',N'-tetraethyl-1,4-buthanediamine)、N,N,N’,N’−テトラエチル−1,3−ブタンジアミン(N,N,N',N'-tetraethyl-1,3-buthanediamine)、N,N,N’,N’−テトラエチル−1,3−プロパンジアミン(N,N,N',N'-tetraethyl-1,3-propanediamine)、1,4−ジメチルピペラジン(1,4-dimethylpiperazine)、N,N,N’,N’−テトラエチルエチレンジアミン(N,N,N',N'-tetraethylethylenediamine)からなる群から選択されるものが好ましい。この時、3級アミンと強酸とのモル比は1:0〜1:1の範囲で反応させた。また、極性溶媒には、2−メトキシエタノール(2-methoxyethanol)、2−エトキシエタノール(2-ethoxyethanol)、2−プロポキシエタノール(2-propoxyethanol)、2−ブトキシエタノール(2-butoxyethanol)、t−ブチルメチルエーテル(t-butylmethyl ether)、1,3−ヘプタンジオール(1,3-heptanediol)、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(2-ethyl-1,3-hexanediol)、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide)、テトラメチルスルホキシド(tetramethyl sulfoxide)、ブチルスルホキシド(butyl sulfoxide)、メチルフェニルスルホキシド(methylphenyl sulfoxide)などを提示した。
【0010】
なお、米国特許第6,368,507号(2002年)においてJa-Young Kooは、逆浸透複合薄膜製造において、多官能性アミン、極性溶媒、3級アミン塩と3級アミンを含む塩化合物を含むアミン水溶液と、多官能性ハロゲン化アシル、多官能性ハロゲン化スルホニルまたは多官能性イソシアネートを含む有機溶液との反応によって逆浸透複合薄膜を製造する方法を提示した。ここで、多官能性アミンと強酸とのモル比は、1:1から多官能性3級アミンのアミン基の数(n)よりも少ない1:nの範囲で製造することを提示した。
【0011】
また、米国特許第5,755,964号(1998年 )でMickolsは、逆浸透複合薄膜の透水性向上のために、ポリアミド活性層をアンモニアまたは特定のアルキルアミンで処理した。つまり、この特許では、ポリアミド識別層を持つ逆浸透複合薄膜またはナノろ過複合膜の流量を増加させる方法を提示した。この発明で提示する有用なアミンとしては、アルキル基の炭素原子1個から2個が、ヒドロキシ、フェニル及びアミノから選ばれた置換体1個以上で任意に追加されうるアルキル基1個以上に置換されたアンモニア、ブチルアミン、シクロへキシルアミン、1,6−ヘキサンジアミン及びそれらの混合物などを用いた。また、好ましいアンモニア物質には、ジメチルアミン(dimethylamine)、トリメチルアミン(trimethylamine)、エチルアミン(ethylamine)、トリエタノールアミン(triethanolamine)、N,N−ジメチルエタノールアミン(N,N−dimethylethanolamine)、エチレンジアミン(ethylenediamine)及びベンジルアミン(benzylamine)を挙げた。この特許で提案した逆浸透複合薄膜及びナノろ過複合膜の製造方法において、Mickolsは、多官能性芳香族アミン単量体を含むアミン水溶液と多官能性ハロゲン化アシル単量体を含む有機溶液とを多孔性支持体の表面で接触させ、界面重合法によってポリアミド逆浸透複合薄膜を製造し、ポリアミド識別層と接触させる後処理工程で使われるアミンとしてヒドロキシ、フェニル及びアミノ基から選ばれた置換体1個以上でさらに置換されうる炭素数1〜2のアルキル基1〜3個に置換されたアミン、ブチルアミン、シクロへキシルアミン、1,6−ヘキサンジアミン及びそれらの混合物からなる群より選ばれるアミン水溶液をポリアミド識別層と接触させるが、この時、アミン水溶液の濃度は5〜100重量%であり、pH7〜12のアミンと0〜130℃で15秒〜5日間接触させる工程を必須としている。また、Mickolsは、ポリアミド識別層がアミン水溶液と接触した後、60〜80℃の温度でさらに乾燥工程を実施してもよいとした。このような方法で複合膜が逆浸透膜またはナノろ過膜(nanofiltration membrane)とされることを提示した。
【0012】
以上説明した従来のポリアミド逆浸透複合薄膜の透水性向上方法を要約すると、大きく2種類に分類される。その一つは、1次槽に、アミン塩やアルコールなどの添加剤を添加する方法で、具体的には、アミン水溶液に、単量体3級アミンと強酸による単量体3級アミン塩または単量体4級アミン塩を添加する方法、主鎖の炭素数が2〜10であるアルカンに2個以上の3級アミン側鎖で構成される多官能性3級アミンと強酸によって形成される多官能性3級アミン塩と極性溶媒をアミン水溶液に添加する方法、または、アミン水溶液に極性非プロトン性溶媒、アルコールなどを添加する方法である。もう一つは、製造された逆浸透複合薄膜を後処理する方法で、製造されたポリアミド逆浸透複合薄膜活性層を、アルキル基の炭素原子1〜2個がヒドロキシ、フェニル及びアミノから選ばれる置換体1個以上で任意に追加されうるアルキル基1個以上に置換されたアミン水溶液に接触させる方法である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、上述した2種類の方法のいずれによっても透水性及び塩排除率の両方を希望の水準に向上させることができなかった。特に、膜製造後の後処理によって透水性と塩排除率とを同時に向上させることに焦点を合せた特許は殆どない。上記の米国特許第5,755,964号でMickolsが提示した方法によっては、ポリアミド逆浸透複合薄膜の透水性向上結果が得られたが、相対的に低い塩排除率を見せたため逆浸透複合薄膜としては不適合であった。しかし、分子量200以上の有機物を效果的に除去できるナノろ過膜製造のために、既存の反応性アミン単量体の変化無しに逆浸透膜をナノろ過膜に切り替えうるナノろ過膜製造方法として分類可能であるが、このMickols特許は、逆浸透複合薄膜性能と比較して相対的に低い塩排除率性能を示すのみである。
【0014】
本発明は上記の問題点を解決するためのもので、その目的は、(1)炭化水素側鎖にアルコール基が置換された3級アミンが2個以上含まれている多官能性3級アルコールアミンを、後処理工程工程でポリアミド活性層と接触させ、及び/又は得られた生成物を乾燥させることによって、従来各類の後処理剤または後処理方法を使用した場合に比べて、逆浸透複合薄膜の透水性を向上させ、95%以上のNaCl排除率の達成が可能なポリアミド逆浸透複合薄膜の製造方法を提供することである。
本発明の他の目的は、上記ポリアミド逆浸透複合薄膜の製造方法によって製造されたポリアミド逆浸透複合薄膜を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明は、
アミン水溶液とアミン反応性化合物とを界面重合して、ポリアミドTFC逆浸透膜を製造する方法を提供し、その製造方法は、
(a)多官能性芳香族アミン単量体を含むアミン水溶液とアミン反応性化合物である多官能性ハロゲン化アシル単量体を含む有機溶液とを多孔性支持体の表面に接触させ、界面重合によってポリアミド活性層を形成し、
(b)多官能性3級アルコールアミン0.1〜100重量%を含む水溶液に、ポリアミド活性層を接触させてポリアミド活性層を形成することによって後処理する工程を備える。
また、本発明は、
上記の方法で製造された高性能ポリアミドTFC逆浸透膜を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明のポリアミドTFC逆浸透膜によれば、多官能性3級アルコールアミンを後処理剤として使用し、また、後処理後に高温での乾燥工程をさらに実施したため、各種の後処理剤または後処理方法を使用する従来の場合に比べて、より向上した透水性と塩排除率を有するポリアミド逆浸透複合薄膜の製造を可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明についてより詳細に説明する。
本発明の発明者らは、公知のポリアミド逆浸透複合薄膜の製造方法で製造された膜に後処理剤として多官能性3級アルコールアミンを使用することにより、従来各種の後処理剤または後処理方法を使用した場合に比べて、より向上した透水性と塩排除率を有するポリアミド逆浸透複合薄膜の製造が可能となる事実を発見した。さらに、上記の方法で膜の後処理後に、常温〜150℃で10秒〜1時間膜を乾燥させることにより、膜の透水性と塩排除率がより向上するという事実を発見し、本発明を完成するに至った。
【0018】
本発明のポリアミド逆浸透複合薄膜の製造方法は、公知のアミン水溶液とアミン反応性化合物とを界面重合して、ポリアミド逆浸透複合薄膜を製造する方法において、(a)多官能性芳香族アミン単量体を含むアミン水溶液とアミン反応性化合物である多官能性ハロゲン化アシル単量体を含む有機溶液とを多孔性支持体の表面で接触させ、界面重合によってポリアミド活性層を形成し、(b)前記活性層の形成後に、多官能性3級アルコールアミン0.1〜100重量%を含む水溶液に、ポリアミド活性層を接触させてポリアミド活性層を形成することによって後処理を行う工程を備える。
【0019】
前記多官能性芳香族アミン単量体は、1,4−フェニレンジアミン(1,4-phenylenediamine)、1,3−フェニレンジアミン(1,3-phenylenediamine)、2,5-ジアミノトルエン(2,5-diaminotoluene)、ジフェニルジアミン(diphenyldiamine)、4−メトキシ−m−フェニレンジアミン(4-methoxy-m-phenylenediamine)、またはこれらの混合物とすることが好ましい。
【0020】
また、前記多官能性芳香族アミン単量体を含むアミン水溶液と界面重合してポリアミド活性層を形成するアミン反応性化合物は、TMC(trimesoyl chloride)、TPC(terephthaloy lchloride)、IPC(isophthaloyl chloride)、またはそれらの混合物などの多官能性ハロゲン化アシルとすることが好ましい。また、アミン反応性化合物の有機溶媒としては、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、炭素数8〜12のアルカン、フレオン類のハロゲン置換炭化水素またはそれらの組合わせが好ましく、特に、アイソパー(ISOPAR)シリーズが好ましい。
【0021】
後処理剤として使われる多官能性3級アルコールアミンの例としては、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン(N,N,N',N'-tetrakis(2-hydroxylpropyl)ethylenediamine)、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン(N,N,N',N'-tetrakis(2-hydroxylethyl)ethylenediamine)、N,N,N’,N”,N'''−ペンタキス(2−ヒドロキシプロピル)ジエチレントリアミン(N,N,N’,N”,N'''-pentakis(2-hydroxypropyl)diethylenetriamine)、2,2',2”,2'''−エチレンジニトリロテトラエタノール(2,2',2”,2'''-ethylenedinitrilotetraethanol)、それらの混合物などが好ましい。
【0022】
本発明で提示する多官能性3級アルコールアミンは、アルコール基が置換された炭化水素側鎖(side-chain)を持つ3級アミン基を2個以上含む構造であることが好ましく、好ましくは、下記の一般式1及び2で表される。下記の一般式1及び2のように、本発明の多官能性3級アルコールアミンは、炭化水素アルカン側鎖に2個以上の3級アミンを含み、3級アミンの炭化水素側鎖に1個以上のアルコール基を含む。あるいは、本発明の多官能3級アルコールアミンは、一般式2のように、3級アミンの炭化水素側鎖に1個以上3級アミンを有し、3級アミンの炭化水素側鎖または置換された3級アミンの炭化水素側鎖に1個以上のアルコール基を含む。下記の一般式1及び2で、多官能性3級アルコールアミンを構成する炭化水素側鎖に置換されたRはアルコール基を表す。
【0023】
すなわち、後処理剤としてアルコールを添加した効果が、適切に発揮されて最終製品であるポリアミド逆浸透複合薄膜の透水性と塩排除率とを両方とも高めるために、多官能性3級アルコールアミン構造においてアルコール基が側鎖に位置することが好ましい。
【0024】
【化1】

【0025】
【化2】

【0026】
上記のような構造の多官能性3級アルコールアミンを後処理剤として使用すると、多官能性3級アルコールアミンを構成しているアルコール基の影響によって、ポリアミド逆浸透複合薄膜の透水性及び塩排除率を顕著に向上させる結果が期待できる。トリエタノールアミンのようなアミンを後処理剤とした場合、一般的に3級アミンの側鎖末端に置換されたアルコール基の数が増加するほど膜の透水性は増加するが、塩排除率が減少する。しかし、本発明では、3級アミン側鎖末端に1個のアルコール基が存在するアミンを使用した従来の場合に比べて、3級アミンの数を2以上とするため、つまり、置換されたアルコール基の数を増加させることによって、膜の透水性向上が著しくなる。また、後処理後に高温で乾燥をさらに実施することによって、多官能性3級アルコールアミン添加に伴う塩排除率減少を最小限に抑えることができる。
【0027】
後処理は、ポリアミド活性層を形成した後、多官能性3級アルコールアミン0.1〜100重量%を含む水溶液に、前記界面重合によって形成された逆浸透複合薄膜のポリアミド活性層を接触させることにより行なわれる。つまり、多官能性3級アルコールアミンの濃度が100重量%の場合、多官能性3級アルコールアミンだけで後処理が実施される。多官能性3級アルコールアミン水溶液中の多官能性3級アルコールアミンの濃度は、1〜50重量%がより好ましい。ポリアミドTFC逆浸透膜高濃度の多官能性3級アルコールアミン水溶液をポリアミド活性層と接触させて製造する場合、高透水性を持つ反面、塩排除率が減少する。
以上説明した後処理方法は、ポリアミド逆浸透複合薄膜の透水性と塩排除率を同時向上させることができるが、後処理後に乾燥をさらに実施すると、逆浸透複合薄膜の透水性と塩排除率がより一層向上する。
【0028】
逆浸透複合薄膜製造時において、乾燥は常温で行われるのが一般的である。本発明で乾燥をさらに実施する場合には、乾燥条件を常温〜150℃で10秒〜1時間とする。乾燥温度が常温未満であれば、後処理剤として使用した多官能性3級アルコールアミンの添加効果が得られず、ポリアミド逆浸透複合薄膜が相対的に高透水性を持つ反面、塩排除率が減少する。乾燥温度が150℃を超過すると、ポリアミド逆浸透複合薄膜が収縮して膜の透水性が顕著に減少する。また、乾燥時間を10秒未満とすると、ポリアミド逆浸透複合薄膜表面の多官能性3級アルコールアミン水溶液が十分に乾燥されず、膜性能向上効果が微小となる。一方、乾燥時間が1時間を超過すると、ポリアミド逆浸透複合薄膜が収縮して膜の透水性が減少する。したがって、高透水性及び優れた塩排除率を持つポリアミド逆浸透複合薄膜製造のために、多官能性3級アルコールアミンで後処理を行なったのち乾燥を実施する場合、上記に提示した本発明の乾燥条件で膜を乾燥させることが最も好ましい。
【0029】
要するに、本発明のポリアミド逆浸透複合薄膜は、多官能性3級アルコールアミンを後処理剤とし、また、後処理後に高温での乾燥をさらに実施することによって、各種の後処理剤または各種方法で後処理を行なった従来の場合に比べて、より向上した透水性と塩排除率を持つポリアミド逆浸透複合薄膜の製造を可能にする。
以下、具体的な実施例及び比較例に挙げて本発明をより詳しく説明する。ただし、下記の実施例及び比較例は、本発明をより明確に説明するために例示されたもので、本発明の内容を限定するためのものではない。
【0030】
1.ポリアミド逆浸透複合薄膜の製造
(実施例1)
ポリスルホン溶液を不織布上にコーティングした後、相転移方法によって多孔質ポリスルホン支持層を製造する。この多孔質ポリスルホン支持層を2.0重量%の1,3−フェニレンジアミン(1,3-phenylenediamine、MPD)が含まれている1次槽アミン水溶液に1分間浸漬した。ポリスルホン支持層上の剰余水溶液をゴムローラで除去し、0.1重量%のTMC(trimesoyl chloride)を含むアイソパー有機溶液に10秒間浸漬し、常温で乾燥してポリアミド逆浸透膜を製造した。後処理として、10重量%のN,N,N’,N’−テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン(N,N,N’,N’-tetrakis(2-hydroxylpropyl)ethylenediamine、TKHPEA)が溶解した水溶液に、製造された逆浸透複合薄膜を10分間浸漬した後、95℃に維持したオーブンで5分間乾燥させてポリアミド逆浸透複合薄膜を製造した。
【0031】
(比較例1)
ポリスルホン支持体を、2.0重量%MPDを含むアミン水溶液に浸漬した後、支持体の表面から過量のアミン水溶液を除去した後、0.1重量%TMCが溶けてあるフレオン(FREON TF:トリクロロトリフルオロエタン)溶液と表面で10秒間界面重合を進行させて、ポリアミド逆浸透複合薄膜を製造した。
【0032】
(実施例2〜5)
後処理剤として、用いたTKHPEAの含量を20〜100重量%範囲で調整して実施例1とその含量を異ならせた以外は、実施例1と同じ製造方法でポリアミド逆浸透複合薄膜を製造した。実施例2〜5のそれぞれにおいて、TKHPEAの含量は、下記の表1のようにした。
【0033】
【表1】

【0034】
(実施例6〜16)
実施例1と同じ方法によって製造したポリアミド逆浸透複合薄膜を、下記の表2に示す条件で乾燥させる工程をさらに行った。実施例6〜16の乾燥条件を、下記の表2に示す。
【0035】
【表2】

【0036】
(実施例17及び18)
後処理剤としてTKHPEAの代わりに下記の表3に示す多官能性3級アルコールアミンを使用する以外は、実施例3と同じ方法でポリアミド逆浸透複合薄膜を製造した。
【0037】
【表3】

* TKHEEA:N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン(N,N,N’,N’-tetrakis(2-hydroxyethyl)ethylenediamine)
* PKHPDETA:N,N,N’,N”,N'''-ペンタキス(2-ヒドロキシプロピル)ジエチレントリアミン(N,N,N’,N”,N'''-pentakis(2-hydroxypropyl)diethylenetriamine)
【0038】
(比較例2)
微細多孔性ポリスルホン支持体を、2.0重量%MPD、2.0重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(tetramethylammonium hydroxide、TMAH)、0.1重量%ソジウムドデシルベンジルスルホネート(sodium dodecyl benzyl sulfonate、SDBS)を含む1次槽アミン水溶液に2分間浸漬した後、過量のアミン水溶液を除去したし、0.05重量%TMC、0.075重量%IPCを溶解して含むアイソパー溶液と接触させた後、約95℃オーブンで6分間乾燥させてポリアミド逆浸透複合薄膜を製造した。
【0039】
(比較例3)
多孔性ポリスルホン支持体を、1.6重量%MPD、0.6重量%N、N、N’,N’−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミン(N,N,N',N'-tetramethyl-1,6-hexanediamine、TMHD)、0.06重量%トルエンスルホン酸(toluene sulfonic acid、TSA)を含むアミン水溶液に40秒間浸漬したのち過量のアミン水溶液を除去し、0.1重量%TMCが溶解したアイソパー有機溶液と支持体表面で界面重合させて、ポリアミド逆浸透複合薄膜を製造した。
【0040】
(比較例4)
多孔性ポリスルホン支持体を、2.0重量%MPD、2.3重量%CSA、1.1重量%TEA、2.0重量%2−ブトキシエタノール(2-butoxyethanol、BE)を含むアミン水溶液に40秒間浸漬したのち過量のアミン水溶液を除去し、0.1重量%TMCが溶解したアイソパー有機溶液と表面で界面重合を進行させた後、90℃で3分30秒間乾燥させてポリアミド逆浸透複合薄膜を製造した。
【0041】
(比較例5)
製造されたFT−30(FilmTec社)逆浸透複合薄膜を100重量%トリエタノールアミン(triethanolamine、TEA)溶液に浸漬して60℃で1時間処理する後処理を実施して、ポリアミド逆浸透複合薄膜を製造した。
【0042】
(実施例19〜21)
比較例2〜4と同様にして製造したポリアミド逆浸透複合薄膜を、後処理として、10重量%のN,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン(N,N,N’,N’-tetrakis(2-hydroxylpropyl)ethylenediamine、TKHPEA)が溶解した水溶液に10分間浸漬した後、95℃に維持したオーブンで5分間乾燥させて、ポリアミド逆浸透複合薄膜を製造した。
【0043】
2.ポリアミド逆浸透複合薄膜の透水性と塩排除率の測定
上記実施例1〜20及び比較例1〜5で製造したポリアミド逆浸透複合薄膜の透水性と塩排除率を、2,000ppmのNaCl水溶液を用いて225psi圧力下で測定し、その結果を下記の表4に示した。
【0044】
【表4】

【0045】
表4からわかるように、本発明の実施例によるポリアミド逆浸透複合薄膜はいずれも、透水量が70L/m2hrを上回り、また、塩排排除率も90%をはるかに上回った。したがって、本発明のポリアミド逆浸透複合薄膜は、高い透水性と塩排除率を同時に要求する膜適用条件に好適に用いることができる。特に、本発明の実施例1〜18の逆浸透複合薄膜は、トリエタノールアミンで膜を後処理したのち60℃で1時間乾燥させて製造した比較例5の逆浸透複合薄膜に比べて、多官能性3級アルコールアミンで膜を後処理することによって透水量と塩排除率の両方において優れた向上効果を得た。
【産業上の利用可能性】
【0046】
上述したように、本発明のポリアミド逆浸透複合薄膜(TFC)では、多官能性3級アルコールアミンを後処理剤とし、後処理後に高温乾燥工程を行うことによって、各種の後処理剤または後処理方法を用いた従来例に比べて、より向上した透水性と塩排除率を有するポリアミド逆浸透複合薄膜を得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミン水溶液とアミン反応性化合物を界面重合して、ポリアミド逆浸透複合膜を製造する方法であって、その方法は、
(a)多官能性芳香族アミン単量体を含むアミン水溶液とアミン反応性化合物である多官能性ハロゲン化アシル単量体を含む有機溶液とを多孔性支持体表面に接触させ、界面重合によってポリアミド活性層を形成する工程と、
(b)多官能性3級アルコールアミン0.1〜100重量%を含む水溶液に、ポリアミド活性層を接触させてポリアミド活性層を形成する後処理を行う工程とを備えるポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項2】
前記多官能性芳香族アミン単量体は、1,4−フェニレンジアミン(1,4-phenylenediamine)、1,3−フェニレンジアミン(1,3-phenylenediamine)、2,5−ジアミノトルエン(2,5-diaminotoluene)、ジフェニルジアミン(diphenyldiamine)、4−メトキシ−m−フェニレンジアミン(4-methoxy-m-phenylenediamine)からなる群より選ばれる請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記アミン反応性化合物である多官能性ハロゲン化アシルは、TMC(trimesoyl chloride)、TPC(terephthaloyl chloride)及びIPC(isophthaloyl chloride)からなる群より選ばれる請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記多官能性3級アルコールアミンは、アルコール基が置換された炭化水素側鎖を有する3級アミン基を2個以上含む請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記多官能性3級アルコールアミンは、下記一般式1または2
【化1】

で表される請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
多官能性3級アルコールアミンは、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン(N,N,N',N'-tetrakis(2-hydroxylpropyl)ethylenediamine)、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン(N,N,N',N'-tetrakis(2-hydroxylethyl)ethylenediamine)、N,N,N’,N”,N'''−ペンタキス(2−ヒドロキシプロピル)ジエチレントリアミン(N,N,N’,N”,N'''-pentakis(2-hydroxypropyl)diethylenetriamine)及び2,2',2”,2'''−エチレンジニトリロテトラエタノール(2,2',2”,2'''-ethylenedinitrilotetraethanol)、
からなる群より選ばれる請求項1の製造方法。
【請求項7】
前記後処理工程で、多官能性3級アルコールアミンの含量が0.1〜100重量%である請求項1に記載のポリアミド逆浸透複合膜の製造方法。
【請求項8】
前記後処理工程後、ポリアミド逆浸透複合膜を乾燥させる工程をさらに備える請求項1の製造方法。
【請求項9】
乾燥条件は、室温〜150℃で10秒〜1時間とする請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
請求項1による方法で製造されたポリアミド逆浸透複合膜。

【公表番号】特表2008−505765(P2008−505765A)
【公表日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−536622(P2007−536622)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【国際出願番号】PCT/KR2005/004546
【国際公開番号】WO2007/035019
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(507011183)ウンジンコウェー カンパニー リミテッド (2)
【Fターム(参考)】