説明

ポリアルファオレフィンの粘度を制御する方法

本発明は、アルミノキサン、活性化剤及びメタロセンの存在下で、少なくとも1種のC〜C12のモノマー、好ましくは、1−デセンなどのデセンを重合させて、ポリアルファオレフィンを形成するステップを含み、アルミノキサンのメタロセンに対するモル比が250:1未満である、ポリアルファオレフィンを形成する方法に関する。本発明はまた、アルミノキサン、有機ホウ素化合物及びメタロセンの存在下で、少なくとも1種のモノマーから、所望の動粘性率を有するポリアルファオレフィンを形成する方法に関する。この方法は、予測可能な粘度を有するポリアルファオレフィンを形成するために、特に(i)アルミノキサンの有機ホウ素化合物及びメタロセンの少なくとも一方に対するモル比と、(ii)ポリアルファオレフィンの動粘性率との間の相関を提供するステップを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年8月31日に出願した米国特許出願第12/540,974号からの優先権を請求し、その開示は、参照により本出願に組み込まれる。
本発明は、メタロセン前駆触媒及びアルミノキサン助触媒を用いるポリアルファオレフィンの調製に関する。特に、本発明は、メタロセン前駆触媒及び、場合により、有機ホウ素化合物などの活性化剤に対するアルミノキサン助触媒のモル比を調整することにより、ポリアルファオレフィンの粘度を制御することに関する。
【背景技術】
【0002】
オレフィンの触媒オリゴマー化は、潤滑剤として有用な炭化水素基礎材料(ベースストック)を製造するための公知の技術である。オリゴマー炭化水素の流体を合成することによって天然鉱油を基礎とする潤滑剤の性能を改善しようとする努力は、数十年の間、石油産業における重要な研究開発の主題であり、最近の多くの優れたポリアルファオレフィン(以後「PAO」と表す)合成潤滑剤の商業的な製造をもたらした。これらの材料は、主として、C〜C12のオレフィンなどのアルファオレフィンのオリゴマー化に基づいている。合成潤滑剤に関する産業上の研究努力は、一方で、鉱油と同様な又はそれより優れた潤滑性、熱及び酸化安定性並びに流動点を示しながら、広範な温度範囲で有用な粘度、すなわち、改善された粘度指数(VI)を示す流体に、一般に、焦点を向けてきた。これらのより新しい合成潤滑剤は、より低い摩擦を与え、そのために力学的負荷の全スペクトルに亘って力学的効率を高めるものであり、鉱油潤滑剤より広い操作条件範囲でもそうである。
【0003】
高分子物質に関する構造と物性の周知の相関関係は、改善された潤滑性能を与えるために必要と考えられている構造を有するオリゴマーの合成のための有望な研究分野として、アルファオレフィンへの方向を示している。主として、プロペン及びビニルモノマーの重合に関する研究により、アルファオレフィンの重合メカニズム及びポリマー構造に対するそのメカニズムの影響がかなりよく理解され、潜在的に有用なオリゴマー化法及びオリゴマー構造へ標的を向けることに強力な資源を提供している。その資源の上に立って、6から12個までの炭素原子を有するアルファオレフィンのオリゴマーが、例えば、1−デセンのオリゴマー化により、商業的に有用な合成潤滑剤に調製され、陽イオン性又はチーグラーのどちらかの触媒による重合を経由して明らかに優れた潤滑剤製品を与えている。
【0004】
合成潤滑剤の製造における重要な問題点は、好ましい粘度範囲(特に、低温において)にある潤滑剤を、高収率で、触媒を過剰に不活性化することなく製造することである。当業界において、粘度指数の制御方法が、特に、低粘度潤滑剤を製造する場合の問題点を克服するために探索されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
良好な粘度特性を有する潤滑剤を調製するための効率的な方法は、メタロセン前駆触媒(procatalyst)、アルミノキサン助触媒、例えば、トリイソブチルアルミノキサン又はメチルアルミノキサンなどのアルキルアルミノキサン、及び活性化剤、例えば、有機ホウ素化合物、好ましくは、ボレート化合物を用い、メタロセン前駆触媒及び/若しくは活性化剤のどちらか又はその両方に対するアルミノキサン助触媒のモル比を減少させて、PAOを形成することによるということが今や見出された。さらに、PAOポリマーの粘度特性は、前駆触媒、助触媒及び活性化剤のモル比を制御することにより、注意深く制御され得ることが見出された。
【0006】
一実施形態では、本発明は、アルミノキサン、活性化剤及びメタロセンの存在下で、少なくとも1種のC〜C12のモノマー、好ましくは、1−デセンを重合させて、ポリアルファオレフィンを形成するステップを含み、アルミノキサンのメタロセンに対するモル比が、250:1未満、例えば、100:1未満、50:1未満、又は25:1未満である、ポリアルファオレフィンを形成する方法に関する。
【0007】
他の実施形態では、本発明は、アルミノキサン、有機ホウ素化合物及びメタロセンの存在下で、少なくとも1種のC〜C12のモノマー、好ましくは、1−デセンを重合させて、ポリアルファオレフィンを形成するステップを含み、アルミノキサンの、有機ホウ素化合物とメタロセンとの組合せに対するモル比が、125:1未満、例えば、100:1未満、50:1未満、25:1未満、又は12.5:1未満である、ポリアルファオレフィンを形成する方法を対象とする。
【0008】
他の実施形態では、本発明は、アルミノキサン、メタロセン及び、場合により、有機ホウ素化合物の存在下で、少なくとも1種のC〜C12のモノマー、好ましくは、1−デセンから、所望の動粘性率を有するポリアルファオレフィンを形成するための方法であって、(a)(i)アルミノキサンのメタロセンに対するモル比と(ii)ポリアルファオレフィンの動粘性率との間の相関関係を提供するステップ、(b)その相関関係から、ポリオレフィンの所望の動粘性率を与えるであろうアルミノキサンのメタロセンに対する標的モル比を決定するステップ、(c)少なくとも1種のモノマー、アルミノキサン、メタロセン及び、場合により、有機ホウ素化合物を含み、反応混合物中のアルミノキサンのメタロセンに対する相対比が、標的モル比に対応している反応混合物を形成するステップ、並びに(d)所望の動粘性率を有するポリアルファオレフィンを形成するために反応混合物中の少なくとも1種のモノマーを重合させるステップを含む、上記方法を対象とする。
【0009】
他の実施形態では、本発明は、アルミノキサン、メタロセン及び有機ホウ素化合物の存在下で、少なくとも1種のC〜C12のモノマー、好ましくは、1−デセンから、所望の動粘性率を有するポリアルファオレフィンを形成する方法であって、(a)(i)アルミノキサンの、メタロセンと有機ホウ素化合物との組合せに対するモル比と(ii)ポリアルファオレフィンの動粘性率との間の相関関係を提供するステップ、(b)その相関関係から、ポリオレフィンの所望の動粘性率を与えるであろうアルミノキサンのメタロセンと有機ホウ素化合物との組合せに対する標的モル比を決定するステップ、(c)少なくとも1種のモノマー、アルミノキサン、メタロセン及び有機ホウ素化合物を含み、反応混合物中のアルミノキサンのメタロセンと有機ホウ素化合物との組合せに対する相対比が、標的モル比に対応している反応混合物を形成するステップ、並びに(d)所望の動粘性率を有するポリアルファオレフィンを形成するために反応混合物中の少なくとも1種のモノマーを重合させるステップを含む、上記方法を対象とする。
【0010】
他の実施形態では、本発明は、アルミノキサン、メタロセン及び有機ホウ素化合物の存在下で、少なくとも1種のC〜C12のモノマー、好ましくは、1−デセンから、所望の動粘性率を有するポリアルファオレフィンを形成するための方法であって、(a)(i)アルミノキサンの有機ホウ素化合物に対するモル比と(ii)ポリアルファオレフィンの動粘性率との間の相関関係を提供するステップ、(b)その相関関係から、ポリオレフィンの所望の動粘性率を与えるであろうアルミノキサンの有機ホウ素化合物に対する標的モル比を決定するステップ、(c)少なくとも1種のモノマー、アルミノキサン、メタロセン及び有機ホウ素化合物を含み、反応混合物中のアルミノキサンの有機ホウ素化合物に対する相対モル比が、標的モル比に対応している反応混合物を形成するステップ、並びに(d)所望の動粘性率を有するポリアルファオレフィンを形成するために反応混合物中の少なくとも1種のモノマーを重合させるステップを含む、上記方法を対象とする。
【0011】
本発明の方法により形成されるポリアルファオレフィンは、好ましくは、500センチストークス未満、例えば、400センチストークス未満、300センチストークス未満、又は200センチストークス未満の動粘性率を有する。
【0012】
好ましく使用される前駆触媒は、下式のメタロセン化合物である。
(Cp)R(Cp)MX
(式中、リガンド(Cp)のCp及びリガンド(Cp)のCpは、同一又は異なるシクロペンタジエニル環であり、
及びRはそれぞれ独立に、20個までの炭素原子を含む、ヒドロカルビル、ハロカルビル、ヘテロカルビル、ヒドロカルビル置換有機メタロイド、又はハロカルビル置換有機メタロイド基であり、
mは、0から5までの整数であり、
pは、0から5までの整数であり、
結合しているシクロペンタジエニル環の隣接した炭素原子上の、2個のR及び/又はR置換基は、共に結合してシクロペンタジエニル環に縮合した環を形成していてもよく、該縮合環は、4から20個までの炭素原子を含み、
は、CpとCpとをつなぐ橋掛け基であり、
Mは、3から6までの原子価を有する遷移金属であり、
各Xは、非シクロペンタジエニルリガンドであり、独立に、ハロゲン、又は20個までの炭素原子を含む、ヒドロカルビル、オキシヒドロカルビル、ハロカルビル、ヒドロカルビル置換有機メタロイド、オキシヒドロカルビル置換有機メタロイド若しくはハロカルビル置換有機メタロイド基であり、
qは、M−2の原子価に等しい。)
【0013】
ある好ましい態様では、メタロセン触媒は、ジフェニルメチレン(インデニル)(フルオレニル)二塩化ジルコニウム;ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル−9−フルオレニル)二塩化ジルコニウム;ジフェニルメチレン(3−メチル−シクロペンタジエニル−9−フルオレニル)二塩化ジルコニウム;ジフェニルメチレン(3−エチル−シクロペンタジエニル−9−フルオレニル)二塩化ジルコニウム;ジフェニルメチレン(3−プロピル−シクロペンタジエニル−9−フルオレニル)二塩化ジルコニウム;ジフェニルメチレン(3−ブチル−シクロペンタジエニル−9−フルオレニル)二塩化ジルコニウム;ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル−インデニル)二塩化ジルコニウム;ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(4,5,6,7−テトラヒドロ−インデニル)二塩化ジルコニウム;ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2−メチルインデニル)二塩化ジルコニウム;ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2−フェニルインデニル)二塩化ジルコニウム;ジフェニルメチレン(2,4−ジメチルシクロ−ペンタジエニル)(3’,5’−ジメチルシクロペンタジエニル)二塩化ジルコニウム;ジフェニルメチレン(2−メチル−4−tert−ブチルシクロ−ペンタジエニル)(3’−tert−ブチル−5’−メチルシクロペンタジエニル)二塩化ジルコニウム;ジキシリルメチレン(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2’,4’,5’−トリメチルシクロペンタジエニル)二塩化ジルコニウム;ジキシリルメチレン(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,5’−ジメチルシクロペンタジエニル)二塩化ジルコニウム;ジキシリルメチレン(2−メチル−4−tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3’−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)二塩化ジルコニウム;ジキシリルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)二塩化ジルコニウム;ジ−o−トリルメチレン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチル−シクロペンタジエニル)二塩化ジルコニウム;ジ−o−トリルメチレン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチル−シクロペンタジエニル)二塩化ジルコニウム;ジ−o−トリルメチレン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)二塩化ジルコニウム;ジ−o−トリルメチレン(シクロペンタジエニル)(インデニル)二塩化ジルコニウム;ジベンジルメチレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)二塩化ジルコニウム;ジベンジルメチレン(シクロペンタジエニル)(インデニル)二塩化ジルコニウム;ジベンジルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)二塩化ジルコニウム;ジシクロヘキシルメチレン(シクロペンタジエニル)(インデニル)二塩化ジルコニウム;ジシクロヘキシル(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)二塩化ジルコニウム;ジシクロヘキシルメチレン(2−メチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)二塩化ジルコニウム;ジフェニルシリル(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,5’−ジメチル−シクロペンタジエニル)二塩化ジルコニウム;ジフェニルシリル(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,5’−ジメチル−シクロペンタジエニル)二塩化ジルコニウム;ジフェニルシリル(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)二塩化ジルコニウム;テトラフェニルジシリル(シクロペンタジエニル)(インデニル)二塩化ジルコニウム;テトラフェニルジシリル(3−メチルシクロペンタジエニル)(インデニル)二塩化ジルコニウム;テトラフェニルジシリル(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)二塩化ジルコニウム;ジ−o−トリルシリル(シクロペンタジエニル)(トリメチルシクロペンタジエニル)二塩化ジルコニウム;ジ−o−トリルシリル(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)二塩化ジルコニウム;ジ−o−トリルシリル(シクロペンタジエニル)(3,4−ジエチルシクロペンタジエニル)二塩化ジルコニウム;ジ−o−トリルシリル(シクロペンタジエニル)(トリエチルシクロペンタジエニル)二塩化ジルコニウム;ジベンジルシリル(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)二塩化ジルコニウム;ジベンジルシリル(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−フルオレニル)二塩化ジルコニウム;及びジシクロヘキシルシリル(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)二塩化ジルコニウムからなる群から選択される触媒である。
【0014】
ある好ましい実施形態では、活性化剤化合物は、リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、リチウムテトラキス(トリフルオロメチルフェニル)ボレート、リチウムテトラキス(3,5−ジ{トリフルオロメチル}フェニル)ボレート、ナトリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、カリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、マグネシウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、チタニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、すずテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、及びジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートからなる群から選択される有機ホウ素化合物を含む。好ましい実施形態においては、有機ホウ素化合物のメタロセンに対するモル比が、0.3:1から4:1まで、例えば、0.6:1から2:1までである。
【0015】
本発明は、以下に示す非制限的な図を参照することによりよく理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、(i)アルミノキサンのメタロセンに対するモル比、及び(ii)本発明の好ましい実施形態の方法に従って製造されるポリアルファオレフィンの動粘性率のプロット図である。
【0017】
【図2】図2は、(i)アルミノキサンのメタロセンに対するモル比、及び(ii)比較例の方法に従って製造されるポリアルファオレフィンの動粘性率のプロット図である。
【0018】
【図3】図3は、(i)アルミノキサンのメタロセンに対するモル比、(ii)連続的プロセスを用いる本発明の好ましい実施形態の方法に従って製造されるポリアルファオレフィンの動粘性率、及び(iii)このポリアルファオレフィンの固体分のプロット図である。
【0019】
【図4】図4は、(i)アルミノキサンのメタロセンに対するモル比、(ii)連続的プロセスを用いる比較例の方法に従って製造されるポリアルファオレフィンの動粘性率、及び(iii)このポリアルファオレフィンの固体分のプロット図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、ポリアルファオレフィンを形成する方法に関する。ある実施形態では、方法は、アルミノキサン(例えば、メチルアルミノキサン(MAO))、有機ホウ素化合物(例えば、有機ボレート)及びメタロセンの存在下で、少なくとも1種のC〜C12のモノマー、例えば、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、又は1−ドセン、好ましくは、1−デセンを重合させてポリアルファオレフィンを形成するステップを含み、アルミノキサンのメタロセンに対するモル比が、250:1未満、例えば、100:1未満、又は25:1未満である。MAOが減少するにつれて粘度が増加する、有機ホウ素化合物を用いないで行われる重合反応とは対照的に、アルミノキサンのメタロセンに対するモル比が低下すると、このような方法を用いて調製されるポリアルファオレフィンの粘度は減少し、有機ホウ素化合物を用いない重合反応に比べてポリマーの収率が増加する。得られるポリアルファオレフィンは、良好な粘度特性(例えば、動粘性率及びブルックフィールド粘度)を有し、粘度調節剤として使用し得る。上記方法のさらなる利点は、高価なアルミノキサン助触媒を少量しか使わないことである。したがって、上記方法は、良好な粘度特性を有するPAOを製造するだけでなく、好ましいことであるが、安価にPAOを製造する。
【0021】
別の態様においては、本発明は、アルミノキサン、メタロセン及び有機ホウ素化合物の存在下で、少なくとも1種のC〜C12のモノマー、好ましくは、1−デセンから、所望の動粘性率を有するポリアルファオレフィンを形成するための方法に関する。この態様では、方法は、(a)(i)アルミノキサンの有機ホウ素化合物及びメタロセンの少なくとも1方に対するモル比と、(ii)ポリアルファオレフィンの動粘性率との間の相関関係を提供するステップ、(b)その相関関係から、ポリオレフィンの所望の動粘性率を与えるであろうアルミノキサンの有機ホウ素化合物及びメタロセンの少なくとも1方に対する標的モル比を決定するステップ、(c)少なくとも1種のモノマー、アルミノキサン、有機ホウ素化合物及びメタロセンを含み、反応混合物中のアルミノキサン、有機ホウ素化合物及びメタロセンの相対比が標的モル比に対応している反応混合物を形成するステップ、並びに(d)所望の動粘性率を有するポリアルファオレフィンを形成するために反応混合物中の少なくとも1種のモノマーを重合させるステップを含む。
【0022】
ある実施形態では、相関関係は、アルミノキサンの有機ホウ素化合物に対するモル比とポリアルファオレフィンの粘度との間のものである。アルミノキサンの有機ホウ素化合物に対する標的モル比は、この場合、好ましくは、250:1未満、例えば、100:1未満、又は25:1未満である。他の実施形態では、相関関係は、アルミノキサンのメタロセンに対するモル比とポリアルファオレフィンの粘度との間のものである。アルミノキサンのメタロセンに対する標的モル比は、この場合、好ましくは、250:1未満、例えば、100:1未満、又は25:1未満である。他の実施形態では、相関関係は、(i)アルミノキサンのメタロセン及び有機ホウ素化合物に対するモル比と、(ii)ポリアルファオレフィンの粘度との間のものである。アルミノキサンの、メタロセンと有機ホウ素化合物との組合せに対する標的モル比は、この場合、好ましくは、125:1未満、例えば、100:1未満、50:1未満、25:1未満、又は12.5:1未満である。
【0023】
本発明の好ましい実施形態のPAOの粘度(例えば、動粘性率)は、ASTM D−445を用いて100℃で、500cSt未満、例えば、400cSt未満、又は300cSt未満である。このような動粘性率を有するPAOは、例えば、粘稠な油又は流体特性を有する不活性材料を必要とする製品などの種々の製品に利用し得る。そのような製品としては、分散剤、熱交換液、化粧品又はその他の同様な消費材製品等が含まれる。PAOが、潤滑油の全重量基準で、例えば、約1から約99重量%までの粘度調節量で用いられる潤滑油の粘度調節剤として、本発明のPAOは特に有用である。好ましくは、PAOの濃度は、潤滑油の全重量基準で、約5から約85重量%までである。
【0024】
好ましい実施形態におけるPAOは、実質的に非晶性であり、これは、得られるポリオレフィンには、走査示差熱量計(DSC)実験における発熱ピークの観察で定義されるような結晶性の相は実質的に存在しないことを意味する。実質的に非晶性であることに加えて、PAOは、好ましくは、低い重量平均分子量(M)(例えば、約1000から約30000まで、約2000から約25000まで、又は約5000から約25000g/モルまで)、低い数平均分子量(M)(例えば、約500から約15000まで、約1000から約12000まで、又は約2500から約11000g/モルまで)、低い多分散性指数(M/M)(例えば、約1.4から約5.0まで、約1.7から約3.0まで、又は約1.9から約2.3まで)、及び低いヨウ素価の特異な組合せを有する。さらに、本発明の好ましい実施形態のPAOの動粘性率を、アルミノキサンのメタロセンに対する比を250:1未満、例えば、100:1未満、50:1未満、又は25:1以下に保つことにより、及び/又は、アルミノキサンの、メタロセンと有機ホウ素化合物との組合せに対する比を125:1未満、例えば、50:1未満、25:1未満又は12.5:1未満に抑えることにより、低く抑えることが可能である。
【0025】
ある実施形態では、本発明のPAOは、実質的に飽和であり、すなわち、低いヨウ素価を有する。任意選択の実施形態においては、実質的に飽和であることは、水素ガスの存在下でPAOを形成するためのプロセスを実行することにより保証され得る。
【0026】
本発明の好ましい実施形態のPAOは、C〜C12モノマー、好ましくは、1−デセンそれ自身を重合させることによって、又は、場合により、C〜C12モノマー、好ましくは、1−デセンと、1種又は複数の他のオレフィン、好ましくは、アルファオレフィンとを、適切な助触媒でメタロセン前駆触媒を活性化することにより形成される触媒組成物の存在下で、共重合させることによって得ることができる。ある実施形態では、1種又は複数の他のアルファオレフィンとしては、3から20個までの炭素原子、及び好ましくは、約6から12個までの炭素原子を含むアルファオレフィンが含まれ得るが、これらに限られるわけではない。適切なアルファオレフィンとしては、例えば、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン等、スチレン、α−メチルスチレン等などのビニル芳香族モノマーが含まれる。好ましい実施形態では、1種又は複数の他のデセンも、単独で又は1−デセンと組み合わせて用いてもよいが、主たるモノマーは、1−デセンである。デセンが他のアルファオレフィンと共重合される場合には、他のアルファオレフィンは、好ましくは、プロペンである。
【0027】
デセンが、1種又は複数の他のアルファオレフィンの存在下で共重合される場合は、製造されるPAOは、好ましくは、約75重量%から約99重量%までのデセン、例えば、約80重量%から約90重量%までのデセン、約85重量%から約95重量%までのデセン、又は約90重量%から約99重量%までのデセンを、及び約1重量%から約25重量%までの1種又は複数のアルファオレフィン、例えば、約10重量%から約20重量%までの1種又は複数のアルファオレフィン、約5重量%から約15重量%までの1種又は複数のアルファオレフィン、又は約1重量%から約10重量%までの1種又は複数のアルファオレフィンを含む。
【0028】
本明細書で使用される触媒組成物は、適切な助触媒でメタロセン前駆触媒を活性化することにより形成される。本明細書で使用する場合、「メタロセン」及び「メタロセン前駆触媒」という用語は、遷移金属M、少なくとも1種の非シクロペンタジエニル由来のリガンド及び0又は1個の複素原子を含むリガンドを有する化合物を指し、リガンドはMに配位し、その数においてその原子価に対応している。そのような化合物、ポリオレフィンホモポリマー及びコポリマーを提供するためのオレフィンの重合反応のために、並びに/又は、1種若しくは複数のメタロセン触媒を使用する重合反応プロセスのために使用され得るメタロセン触媒を提供するためのその活性化のために有用な助触媒は、他にもあるが、米国特許番号4,752,597;4,892,851;4,931,417;4,931,517;4,933,403;5,001,205;5,017,714;5,026,798;5,034,549;5,036,034;5,055,438;5,064,802;5,086,134;5,087,677;5,126,301;5,126,303;5,132,262;5,132,380;5,132,381;5,145,819;5,153,157;5,155,080;5,225,501;5,227,478;5,241,025;5,243,002;5,278,119;5,278,265;5,281,679;5,296,434;5,304,614;5,308,817;5,324,800;5,328,969;5,329,031;5,330,948;5,331,057;5,349,032;5,372,980;5,374,753;5,385,877;5,391,629;5,391,789;5,399,636;5,401,817;5,406,013;5,416,177;5,416,178;5,416,228;5,427,991;5,439,994;5,441,920;5,442,020;5,449,651;5,453,410;5,455,365;5,455,366;5,459,117;5,466,649;5,470,811;5,470,927;5,477,895;5,491,205;及び、5,491,207中に記載されており、これらの内容は、参照により、本明細書に組み込まれる。
【0029】
本発明のPAOを製造するために用いられる好ましい触媒組成物は、適切な助触媒でメタロセン前駆触媒を活性化することにより形成され、該メタロセン前駆触媒は、式(I)のメタロセン化合物の1種又は混合物である。
(Cp)R(Cp)MX (I)
(式中、リガンド(Cp)のCp及びリガンド(Cp)のCpは、同一又は異なるシクロペンタジエニル環であり、
及びRはそれぞれ、独立に、20個までの炭素原子を含む、ヒドロカルビル、ハロカルビル、ヘテロカルビル、ヒドロカルビル置換有機メタロイド、又はハロカルビル置換有機メタロイド基であり、
mは、0から5までの整数であり、
pは、0から5までの整数であり、
結合しているシクロペンタジエニル環の隣接した炭素原子上の、2個のR及び/又はR置換基は、共に結合してシクロペンタジエニル環に縮合した環を形成することが可能で、該縮合環は、4から20個までの炭素原子を含み、
は、CpとCpとをつなぐ橋掛け基であり、
Mは、3から6までの原子価を有する遷移金属であり、
各Xは、非シクロペンタジエニルリガンドであり、独立に、ハロゲン又は20個までの炭素原子を含む、ヒドロカルビル、オキシヒドロカルビル、ハロカルビル、ヒドロカルビル置換有機メタロイド、オキシヒドロカルビル置換有機メタロイド若しくはハロカルビル置換有機メタロイド基であり、
qは、M−2の原子価に等しい。)
これらの及び他の有用なメタロセン前駆触媒を調製する方法は、当業界で公知である。
【0030】
前述のメタロセン前駆触媒を使用し、助触媒が完全にアルミノキサンである場合、リガンド(Cp)は、リガンド(Cp)とは異なっていることが好ましく、橋掛け基Rは、少なくとも2個の嵩高い基を含むことが好ましい。これらの橋掛け構造のメタロセンについては、橋掛け基Rは、下記の構造、
【化1】


(式中、嵩高い基R及びRは、それぞれ、独立に、20個まで、好ましくは、6から12個までの炭素原子及び0から3個までの酸素、イオウ、三級窒素、ホウ素又はリンなどの複素原子を含むシクロヒドロカルビル基であるか又はそれらを含み、特に、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、アルカリール、アルキルヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル等である。)
を有することが好ましい。式(I)の化合物中のMは、チタニウム、ジルコニウム又はハフニウムであり、qは2であり、それぞれのXはハロゲンである。
【0031】
橋掛け構造のメタロセンのこの好ましい群の中では、リガンド(Cp)は置換又は非置換のシクロペンタジエニルであり、リガンド(Cp)はインデニル又はフルオレニルであり、Mはジルコニウムであり、R及びRはそれぞれ置換又は非置換のフェニルであり、Xリガンドのそれぞれは塩素であるものが特に好ましい。
【0032】
本発明の実施形態の重合プロセスに用い得る式(I)の橋掛け構造のメタロセンの例としては、ジフェニルメチレン(インデニル)(フルオレニル)二塩化ジルコニウム、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(4,5,6,7−テトラヒドロ−インデニル)二塩化ジルコニウム、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2−メチルインデニル)二塩化ジルコニウム、ジフェニルメチレン(2,4−ジメチルシクロ−ペンタジエニル)(3’,5’−ジメチルシクロペンタジエニル)二塩化ジルコニウム、ジフェニルメチレン(2−メチル−4−tert−ブチルシクロ−ペンタジエニル)(3’−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)二塩化ジルコニウム、ジキシリルメチレン(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2’,4,5’−トリメチルシクロペンタジエニル)二塩化ジルコニウム、ジキシリルメチレン(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,5’−ジメチルシクロペンタジエニル)二塩化ジルコニウム、ジキシリルメチレン(2−メチル−4−tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3’−tert−ブチル−5−メトリイルシクロペンタジエニル)二塩化ジルコニウム、ジキシリルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)二塩化ジルコニウム、ジ−o−トリルメチレン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチル−シクロペンタジエニル)二塩化ジルコニウム、ジ−o−トリルメチレン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチル−シクロペンタジエニル)二塩化ジルコニウム、ジ−o−トリルメチレン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)二塩化ジルコニウム、ジ−o−トリルメチレン(シクロペンタジエニル)(インデニル)二塩化ジルコニウム、ジベンジルメチレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)二塩化ジルコニウム、ジベンジルメチレン(シクロペンタジエニル)(インデニル)二塩化ジルコニウム、ジベンジルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)二塩化ジルコニウム、ジシクロヘキシルメチレン(シクロペンタジエニル)(インデニル)二塩化ジルコニウム、ジシクロヘキシル(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)二塩化ジルコニウム、ジシクロヘキシルメチレン(2−メチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)二塩化ジルコニウム、ジフェニルシリル(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,5−ジメチルシクロペンタジエニル)二塩化ジルコニウム、ジフェニルシリル(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,5’−ジメチルシクロペンタジエニル)二塩化ジルコニウム、ジフェニルシリル(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2,4−トリメチルシクロペンタジエニル)二塩化ジルコニウム、テトラフェニルジシリル(シクロペンタジエニル)(インデニル)二塩化ジルコニウム、テトラフェニルジシリル(3−メチルシクロペンタジエニル)(インデニル)二塩化ジルコニウム、テトラフェニルジシリル(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)二塩化ジルコニウム、ジ−o−トリルシリル(シクロペンタジエニル)(トリメチルシクロペンタジエニル)二塩化ジルコニウム、ジ−o−トリルシリル(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)二塩化ジルコニウム、ジ−o−トリルシリル(シクロペンタジエニル)(3,4−ジエチルシクロペンタジエニル)二塩化ジルコニウム、ジ−o−トリルシリル(シクロペンタジエニル)(トリエチルシクロペンタジエニル)二塩化ジルコニウム、ジベンジルシリル(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)二塩化ジルコニウム、ジベンジルシリル(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−フルオレニル)二塩化ジルコニウム、及びジシクロヘキシルシリル(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)二塩化ジルコニウムが含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0033】
式(I)のメタロセン前駆触媒と共に用いる、助触媒、又は活性化剤は、メタロセン前駆触媒を活性化すると知られているアルミノキサンのどれでもよい。アルミノキサン助触媒の例としては、メチルアルミノキサン(MAO)又はトリイソブチルアルミノキサン(TIBAO)などのアルキルアルミノキサンが含まれる。例えば、米国特許第5,229,478号を参照されたいが、その全体は、本明細書に完全に記載したかのように、参照により組み込まれる。
【0034】
一般に、橋掛け構造のメタロセン前駆触媒は、反応容器中に、遷移金属含量で表現して、約0.0001mmol/Lから約0.05mmol/Lまで、好ましくは、約0.0002mmol/Lから約0.025mmol/Lまで、及びさらに好ましくは、約0.00025mmol/Lから約0.01mmol/Lまでの量で存在し得る。
【0035】
これらの遷移金属の量に対応して、アルミノキサン助触媒は、約0.01mmol/Lから約12.5mmol/Lまで、好ましくは、約0.02mmol/Lから約3.5mmol/Lまで、及びより好ましくは、約0.025mmol/Lから約1.0mmol/Lまでの量で使用できる。橋掛け構造のメタロセン前駆触媒及びアルミノキサン助触媒の最適な水準は、選択された特定の前駆触媒及び助触媒並びに他の重合プロセスの変数に、ある程度依存する。
【0036】
範囲で表して、アルミノキサン助触媒のメタロセン前駆触媒に対するモル比は、約500:1未満、約400:1未満、約300:1未満、約200:1未満、約100:1未満、約50:1未満、又は約25:1未満であってよい。ある実施形態では、アルミノキサン助触媒のメタロセン前駆触媒に対するモル比は、好ましくは、約250:1未満、例えば、約100:1未満、又は約25:1未満である。
【0037】
アルミノキサン助触媒を使用する場合は、メタロセン前駆触媒の適切な活性化のために必要なアルミノキサンの量を減らすために、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ(n−プロピル)アルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ(n−ブチル)アルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等などのトリアルキルアルミニウム化合物を含むのが有利であり得る。一般に、任意選択のトリアルキルアルミニウムは、メタロセン前駆触媒に対するモル比で、約1から約1000まで、及び、好ましくは約2から約500までで使用することができる。
【0038】
本発明に従えば、活性化剤、例えば、中性又は陰イオン性のメタロイド含有成分が、アルミノキサン助触媒と共に使用され、メタロセン前駆触媒を活性化する。好ましい実施形態では、中性又は陰イオン性のメタロイド含有成分は、有機ホウ素化合物、すなわち、有機ボラン又は有機ボレートである。
【0039】
中性のメタロイド含有成分の例としては、パーフルオロアリールボラン化合物、例えば、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(メトキシフェニル)ボラン、トリス(トリフルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(3,5−ジ[トリフルオロメチル]フェニル)ボラン、トリス(テトラフルオロキシリル)ボラン、トリス(テトラフルオロ−o−トリル)ボラン等などのボランが含まれる。前述したボランの中では、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン及びトリス(3,5−ジ[トリフルオロメチル]フェニル)ボランが好ましい。有用な第2の成分としては、前述の化合物のアルミニウム同族体が含まれる。
【0040】
陰イオン性のメタロイド含有成分の例としては、パーフルオロアリールボレート、例えば、リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、リチウムテトラキス(トリフルオロメチルフェニル)ボレート、リチウムテトラキス(3,5−ジ[トリフルオロメチル]フェニル)ボレート、ナトリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、カリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、マグネシウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、チタニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、すずテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等などのボレートが含まれる。前述のボレートの中では、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、並びに、リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート及びリチウムテトラキス(3,5−ジ[トリフルオロメチル]フェニル)ボレートなどのアルカリ金属ボレートが好ましい。ある実施形態では、前述の化合物のアルミナート同族体を使用し得る。
【0041】
一般に、中性又は陰イオン性のメタロイド含有成分、例えば、有機ホウ素化合物は、メタロセン前駆触媒に対するモル比で、約1:2、約1:1.5、約1:1、又は約1:0.5で使用できる。範囲で表して、中性又は陰イオン性のメタロイド含有成分、例えば、有機ホウ素化合物の、メタロセンに対するモル比は、場合により、0.3:1から4:1まで、例えば、0.6:1から2:1までである。陰イオン性のメタロイド含有成分が、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートである場合は、ホウ素化合物のメタロセン前駆触媒に対する比は、1:1である。中性又は陰イオン性のメタロイド含有成分、例えば、有機ホウ素化合物が使用される場合、アルミノキサン助触媒の、メタロセン前駆触媒と有機ホウ素化合物との組合せに対する比は、約125:1未満、約50:1未満、約25:1未満、又は約12.5:1未満であり得る。
【0042】
活性化されたメタロセン触媒組成物を得るためのメタロセンの活性化は、前述したメタロセン前駆触媒をアルミノキサン助触媒と組み合わせることにより、及び中性又は陰イオン性のメタロイド含有活性化剤の存在下で、同時に又はどのような順序のどちらでも及びその間のいかなる時間間隔でも、並びにオレフィンモノマー(単数又は複数)及び水素の存在下又は不存在下のどちらででも、達成できる。
【0043】
ある実施形態では、活性化されたメタロセン触媒組成物が前もって調製され、その後、組成物が、オレフィンモノマー(単数又は複数)と共に、場合により、水素の存在下で、重合反応器中に導入される。
【0044】
活性化されたメタロセン触媒を発生させるために、好ましくは、活性化剤の存在下で、アルミノキサン助触媒とのメタロセン前駆触媒の反応は、約0から約100℃まで、例えば、約0から約80℃まで、約10から約50℃まで、又は約25から約50℃までの温度範囲、約1分から約72時間まで、例えば、約1分から約50時間まで、約1分から約30時間まで、又は約1分から約24時間までの時間の間で実行され得る。
【0045】
活性化されたメタロセン触媒を用いて、場合により、水素の存在下で、前述したモノマーの重合又は共重合反応は、公知のいかなる方法、例えば、液相中(すなわち、溶液又はスラリープロセス中で)又は懸濁液プロセス中で、連続的に又はバッチでのどちらかで実行し得る。これらのプロセスは、一般に、約0℃から約200℃まで、例えば、約0℃から約150℃まで、約10℃から約100℃まで、又は約50℃から約150℃までの温度範囲で実行される。重合又は共重合反応が水素の存在下で実行される場合、用いられる水素の圧力の例としては、約10psig(69kPag)から約3000psig(20700kPag)まで、例えば、約10psig(69kPag)から約500psig(3450kPag)まで、約10psig(69kPag)から約200psig(1380kPag)まで、約50psig(345kPag)から約150psig(1034kPag)まで、又は約10psig(69kPag)から約60psig(414kPag)までが含まれる。
【0046】
重合反応の温度の制御は、重合反応の品質、例えば活性、並びに、ヨウ素価により判るポリマー中の不飽和の水準を含む最終製品の特性に直接の関係を有することが、認識されるべきである。一般に、重合反応温度が150℃又はそれ以上に近づくにつれて、重合反応中に到達する最高温度は、発熱が存在するような状況下であっても、実質的に初期の重合反応温度近辺であるべきである。しかし、ある場合には、150℃を超える重合反応温度では、発熱が存在するような状況下であっても、重合反応温度は、初期の重合反応温度よりも約20℃以上高くならないように注意が払われるべきである。
【0047】
最終のポリオレフィンの性質のため、重合反応は、液体モノマーの原液の状態で(すなわち、溶媒なしで)又は、所望ならば、溶媒の存在下で、実行し得る。使用し得る希釈溶媒としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等などの直鎖及び分岐の炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘプタン等などの環状及び非環状の炭化水素、及びトルエン、キシレン等などのアルキル置換芳香族化合物、並びにこれらの混合物が含まれる。
【0048】
典型的なバッチでの溶液重合反応プロセスは、最初に、液体のC〜C12モノマー、例えば、1−デセンを、単独で又は任意選択の炭化水素溶媒、例えば、ヘキサン、キシレン等と組み合わせて、撹拌されているタンク反応器に導入することにより実施し得る。共重合反応を、追加の液体モノマー、例えば、1−オクテンの存在下で実施する場合、これは他のモノマーと連続的に又は同時に添加し得る。共重合反応を、気体モノマー、例えば、プロペンの存在下で実施する場合、気体モノマーは、他のモノマー(気体状又は液体状)の溶液中又は液体モノマーの原液中のどちらかに散布し得る。気体モノマーの典型的な圧力は、約10psigから約100psig(690kPag)まで、例えば、約10psig(69kPag)から約80psig(552kPag)まで、約10psig(69kPag)から約60psig(414kPag)まで、又は約10psig(69kPag)から約50psig(345kPag)までである。
【0049】
少量の不活性の不純物捕捉剤、例えば、前述のトリアルキルアルミニウム化合物を、場合により、添加することができる。反応器を、次いで、所望の温度に加熱又は冷却し、計量した水素を、場合により及び別途に、撹拌しているタンク反応器に導入し得る。水素の存在下で重合反応を実行することにより、水素化のステップが除かれ、及び本発明のいくつかの実施形態の液体のポリアルファオレフィンは、実質的に飽和され、それゆえに低ヨウ素価、例えば、約0.0から約10まで、好ましくは、約0.1から約5まで、及び最も好ましくは、約0.2から約3までのヨウ素価を有する。
【0050】
所望の条件が確立されたら、次いで、必要量の触媒の炭化水素溶液を反応器中の液体相へ添加する。重合反応の速度は、重合反応中に存在する又は添加される、触媒及びモノマー(単数又は複数)の濃度により制御される。反応器の温度は冷却コイル等の手段で制御され、反応器中の初期圧力を、水素、不活性ガス、気体モノマー(単数又は複数)又はこれらの組合せを定常的に流して保つ。重合反応が完了した後、反応器を除圧し、触媒を通常の方法で不活性化する。使用済みの触媒成分は反応生成物から、例えば、アルコール、水、又は両者の混合物を混合することにより、次いで、水性成分からヒドロカルビル成分を相分離することにより単離し得る。代わりの方法としては、酸化カルシウム又は酸性粘土などの塩基性又は酸性の固体を反応生成物と混合し、ろ過し得る。液体のポリオレフィンは、次いで、ヒドロカルビル成分から通常の方法、例えば、蒸発、蒸留等により回収でき、次いで所望のようにさらに処理できる。
【0051】
モノマー転化量及び反応器内容物の粘度に従い、生成物の液体ポリオレフィンを除去する補助のために炭化水素溶媒を添加することができる。使用済みの触媒成分は、反応生成物から、例えば、アルコール、水、又は両者の混合物を混合することにより、次いで、水性の成分からヒドロカルビル成分を相分離することにより単離し得る。液体のポリオレフィンは、次いで、ヒドロカルビル成分から通常の方法、例えば、蒸発、蒸留等により回収でき、次いで所望のようにさらに処理できる。
【0052】
以下の非制限的な実施例を参照して、本発明をさらに記載する。
【0053】
例1(比較例)
グローブボックス中で、0.02gのジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド(以後、PhC(Cp−9−Flu)ZrClと表記)を25mlのバイアル中へ秤取した。12mlの1.5MのMAO溶液を加え、混合物を少なくとも10分間、室温でシェーカーを用いて溶解した。
【0054】
湿気と空気を含まない3Lのビュッヒ(Buchi)反応器に、670gの乾燥した1−デセンモノマーを入れた。反応器を窒素でパージした。反応器を温度90℃にした。反応器を排気してほぼ0気圧とした。水素を加え反応器の圧力を50psig(345kPag)とした。乾燥した5mlの注射器と針を用いて、5mlの触媒溶液を反応器に加えた。550rpmで撹拌しながら30分間反応を進めた。反応器を排気し窒素ガスでパージして、生成物を除去するのに安全な温度まで冷却した。
【0055】
次いで、反応器の内容物を、撹拌機を備えた容器に移し、13.4gの粉末酸化カルシウムを加え、120℃に加熱し、溶液を30分間混合し、次いでろ過した。ロータリーエバポレーター中で減圧下で蒸発させて、残存する有機溶液からポリマーを得た。100℃で399cStの動粘性率を有する、609.7gのポリオレフィン材料を得た。
【0056】
例2〜6
PhC(Cp−9−Flu)ZrClに対して等モル基準(0.0288gのジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート)でボレートを、及びMAO(表1に記載したように減らし、その残りをトルエンで置換した)を加える以外は、例1と同様にして、例2から6までを実施した。
【表1】

【0057】
表1のデータは、全体として、ボレート活性化剤を含んでおり、アルミノキサンのメタロセンに対する比が、250:1から25:1に減少するに従って得られるPAOの動粘性率が著しく減少することを示している。アルミノキサンのメタロセンに対する比が500:1で良好な動粘性率を有するPAOが得られるけれども、本発明の好ましい実施形態の方法の利点の1つは、一方で、アルミノキサンのメタロセンに対する比が100:1未満、例えば、25:1である時に、PAOを製造するために用いる高価なアルミノキサンの量を減少させながら、等価又はさらに低い動粘性率を得ることができることは注目するべきである。
【0058】
表1のデータを、図1に図解としてまとめている。(i)アルミノキサンのメタロセンに対するモル比と、(ii)製造されるポリアルファオレフィンの動粘性率との間の相関関係が示されている。このような相関関係は、製造されるポリオレフィンの所望の動粘性率を与える、例えば、アルミノキサンのメタロセンに対する標的モル比を決定するのに使用できる。
【0059】
例A〜C(比較例)
乾燥した3Lのビュッヒ反応器を、アルゴン下で、750mlの乾燥した1−デセンモノマーで満たした。これに、湿気と不純物を捕捉するために、1.15mlの25重量%のヘキサン中のトリイソブチルアルミニウム溶液を加え、反応器温度を70℃に上昇させた。温度が70℃に達すると、1モルの水素ガスを既知容積の容器から圧力減少を経て反応器に加えた。次いで、0.007gのPhC(Cp−9−Flu)ZrClの溶液を、0.44mmoleのトリイソブチルアルミニウムを用いて、MAOの触媒に対する比が250:1から1000:1までになるように、10重量%のトルエン中のMAO溶液に溶解した。触媒溶液を使用前30分に調製し、200psig(1379kPag)のアルゴン圧下で撹拌反応器中に注入した。反応器を30分間、温度70℃、200psig(1379kPag)に保った。
【0060】
完了後、反応器を除圧し、移送を助けるために、重合したデセンの溶液に400mlのヘキサンを加えた。次いで、反応器内容物を、100mlの酸性化したイソプロパノールを含む撹拌機付きの容器中に圧力移送し、2分間撹拌した。アルミニウムアルコキシドと考えられる白色の綿状材料が沈殿し、水相中に沈んだ。次いで、1Lの脱イオン水を洗浄した混合物に加え、撹拌し、沈ませ、アルミニウム残渣を含んだ水層から有機層を除いた。
【0061】
ロータリーエバポレーター中で減圧下で蒸発により、残存する有機溶液からポリマーを得た。
【表2】

【0062】
表2のデータは、ボレート活性化剤の有利さを使わないでアルミノキサンのメタロセンに対する比を減少させると、製造されるPAOの動粘性率が著しく増加することを示している。
【0063】
表2のデータが、図2に図解としてまとめられている。図2は、(i)アルミノキサンのメタロセンに対するモル比と、(ii)活性化剤なしで製造されるポリアルファオレフィンの動粘性率との相関関係を示している。この相関関係は、MAOの低水準では所望の良好な粘度性能を有するポリマーを作成する難しさを示している。
【0064】
例7〜9
オイル加熱型の2Lのステンレススチール製オートクレーブ反応器に、撹拌機、1−デセン導入装置(加圧流及び質量流量制御器)、触媒、並びに300psig(2068kPa)の圧力及び150℃を達成可能であり、かつ1Lの液体容積のオーバーフローが可能な水素導入装置(加圧流及び表面下水素散布系を有する質量流量制御器)を装着した。系には、温度、圧力及び流量(水素、デセン及び触媒について)の閉回路制御器が装着されていた。続いて触媒不活性化及び分析を行うために、生成物を生成物タンクに集めた。
【0065】
触媒溶液は、以下のようにして前もって作成しておいた。酸素を除いたグローブボックス中で、PhC(Cp−9−Flu)ZrCl触媒、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、乾燥トルエン及びトルエン中10%のメチルアルミノキサン(MAO)を、浸漬管キャップを装着した1Lの清浄なボトルに加えた。得られた混合物を30分間、混合した。ボトルを浸漬管キャップで封じた。
【0066】
1Lの粗ポリデセン残渣を含む反応器を115℃に加熱し、水素で240psig(1655kPag)に加圧した。触媒溶液のボトルを、反応器に触媒を供給するのに使用する高圧液体クロマトグラフィ(HPLC)のピストンポンプに接続した。10Lのデセンの供給タンクを、乾燥した1−デセンで満たし、3Åの分子ふるいとアルミナを充填したカラムを通してポンプで送ることで処理した。触媒供給ポンプによる供給、1−デセン流量制御器及び水素流量制御器を同時に開始することにより、反応が開始(時間=0)した。2.0時間後、反応器は定常状態になり、サンプルを採取した。触媒を不活化するためにサンプルの一部を水で処理し、得られた白色綿状物をろ過して除いた。残存の溶液から減圧下で蒸発させてポリマーを得た。サンプルの粘度をASTM D445により測定した。固体含量は、サンプル2gを直径2インチのアルミニウムの秤量皿に秤取し、ホットプレート上で約200℃に20分間サンプルを加熱して求めた。出発物重量で最終重量を除したものが%固体分である。表3に、異なるMAO:メタロセン比、及びボレート活性化剤の触媒に対するモル比1:1で作成された3種のポリマーをまとめてある。
【表3】

【0067】
表3からのデータは、ボレート活性化剤を用いた場合、減らしたMAOの水準で良好な粘度特性を有するPAOを作成し得る能力を示している。また、ボレート活性化剤を用いMAOの水準を減少させることにより、%固体分で示されるように、より高い収率が得られることも明らかである。
【0068】
表3のデータが、図3に図解としてまとめられている。図3は、MAO:メタロセンのモル比が減少するにつれて生成されるポリマーの量(%固体分)が増加する一方で、MAO:メタロセンのモル比を変化させても、動粘性率がいかに相対的に安定しているかを明らかにしており、助触媒の低水準で生成物の収率が改善されることを示している。
【0069】
例D〜F(比較例)
例7〜9で用いられたサンプルの手順が、活性化剤を使用しないことを除いて使用された。表4に、異なるMAO:メタロセンモル比で、ボレート活性化剤の利点を用いないで作製した3種のポリマーをまとめてある。
【表4】

【0070】
表4のデータは、ボレート活性化剤の利点を用いないでMAO水準を減少させると、生成物の収率をわずかに減少させながらより高粘度のPAOが得られることを示している。
【0071】
表4のデータを、図4に図解としてまとめている。図4は、製造されるポリマーの量(%固体分)がわずかしか減少せず、活性化剤によって見られる良好な粘度特性又はポリマー収率の改善が見られない一方で、MAO:メタロセン比が減少すると動粘性率がいかに大きく増加するかを示している。
【0072】
開示されたいずれかの実施に関して記載されている又は権利請求されているいかなる特徴も、他に開示されたいかなる実施(単数又は複数)に関して記載され又は権利請求されているいずれの1個又は複数の特徴とのいかなる組合せにもなるように、その特徴が技術的に必ずしも両立しないものではない程度において、組み合わせることが可能であり、そのようなすべての組合せは、本発明の範囲内である。さらに、本発明の範囲内の特徴の非制限的な組合せのいくらかを示すだけでなく、本発明の範囲内であると想定されている以下に付属する特許請求の範囲は、組合せが必ずしも技術的に両立しないものではないという条件下で、いかなる可能な組合せにおいても、2個以上のいずれかの請求項の内容のすべての可能な組合せである。本明細書に引用したすべての特許、特許出願及び出版物は、その全体として参照により本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミノキサン、活性化剤及びメタロセンの存在下で少なくとも1種のC〜C12のモノマーを重合させてポリアルファオレフィンを形成するステップを含み、アルミノキサンのメタロセンに対するモル比が、250:1未満である、ポリアルファオレフィンを形成する方法。
【請求項2】
アルミノキサンのメタロセンに対するモル比が、100:1未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
アルキルアルミノキサン、有機ホウ素化合物及びメタロセンの存在下で少なくとも1種のC〜C12のモノマーを重合させてポリアルファオレフィンを形成するステップを含み、アルミノキサンの、有機ホウ素化合物とメタロセンとの組合せに対するモル比が、125:1未満である、請求項1に記載のポリアルファオレフィンを形成する方法。
【請求項4】
アルミノキサンの、有機ホウ素化合物とメタロセンとの組合せに対するモル比が、50:1未満である、請求項4に記載の方法。
【請求項5】
ポリアルファオレフィンが、100℃で500センチストークス未満の動粘性率を有する、請求項1から4までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
メタロセンが下式の化合物である、請求項1から5までのいずれか一項に記載の方法:
(Cp)R(Cp)MX
(式中、リガンド(Cp)のCp及びリガンド(Cp)のCpは、同一又は異なるシクロペンタジエニル環であり、
及びRはそれぞれ独立に、20個までの炭素原子を含む、ヒドロカルビル、ハロカルビル、ヘテロカルビル、ヒドロカルビル置換有機メタロイド、又はハロカルビル置換有機メタロイド基であり、
mは、0から5までの整数であり、
pは、0から5までの整数であり、
結合しているシクロペンタジエニル環の隣接した炭素原子上の2個のR及び/又はR置換基は、共に結合してシクロペンタジエニル環に縮合した環を形成することでき、該縮合環は、4から20個までの炭素原子を含み、
は、CpとCpとをつなぐ橋掛け基であり、
Mは、3から6までの原子価を有する遷移金属であり、
各Xは、非シクロペンタジエニルリガンドであり、独立に、ハロゲン、又は20個までの炭素原子を含む、ヒドロカルビル、オキシヒドロカルビル、ハロカルビル、ヒドロカルビル置換有機メタロイド、オキシヒドロカルビル置換有機メタロイド若しくはハロカルビル置換有機メタロイド基であり、
qは、M−2の原子価に等しい)。
【請求項7】
メタロセン触媒が、ジフェニルメチレン(インデニル)(フルオレニル)二塩化ジルコニウム;ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル−9−フルオレニル)二塩化ジルコニウム;ジフェニルメチレン(3−メチル−シクロペンタジエニル−9−フルオレニル)二塩化ジルコニウム;ジフェニルメチレン(3−エチル−シクロペンタジエニル−9−フルオレニル)二塩化ジルコニウム;ジフェニルメチレン(3−プロピル−シクロペンタジエニル−9−フルオレニル)二塩化ジルコニウム;ジフェニルメチレン(3−ブチル−シクロペンタジエニル−9−フルオレニル)二塩化ジルコニウム;ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル−インデニル)二塩化ジルコニウム;ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(4,5,6,7−テトラヒドロ−インデニル)二塩化ジルコニウム;ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2−メチルインデニル)二塩化ジルコニウム;ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2−フェニルインデニル)二塩化ジルコニウム;ジフェニルメチレン(2,4−ジメチルシクロ−ペンタジエニル)(3’,5’−ジメチルシクロペンタジエニル)二塩化ジルコニウム;ジフェニルメチレン(2−メチル−4−tert−ブチルシクロ−ペンタジエニル)(3’−tert−ブチル−5’−メチルシクロペンタジエニル)二塩化ジルコニウム;ジキシリルメチレン(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2’,4’,5’−トリメチルシクロペンタジエニル)二塩化ジルコニウム;ジキシリルメチレン(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,5’−ジメチルシクロペンタジエニル)二塩化ジルコニウム;ジキシリルメチレン(2−メチル−4−tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3’−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)二塩化ジルコニウム;ジキシリルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)二塩化ジルコニウム;ジ−o−トリルメチレン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチル−シクロペンタジエニル)二塩化ジルコニウム;ジ−o−トリルメチレン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチル−シクロペンタジエニル)二塩化ジルコニウム;ジ−o−トリルメチレン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)二塩化ジルコニウム;ジ−o−トリルメチレン(シクロペンタジエニル)(インデニル)二塩化ジルコニウム;ジベンジルメチレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)二塩化ジルコニウム;ジベンジルメチレン(シクロペンタジエニル)(インデニル)二塩化ジルコニウム;ジベンジルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)二塩化ジルコニウム;ジシクロヘキシルメチレン(シクロペンタジエニル)(インデニル)二塩化ジルコニウム;ジシクロヘキシル(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)二塩化ジルコニウム;ジシクロヘキシルメチレン(2−メチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)二塩化ジルコニウム;ジフェニルシリル(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,5’−ジメチル−シクロペンタジエニル)二塩化ジルコニウム;ジフェニルシリル(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,5’−ジメチル−シクロペンタジエニル)二塩化ジルコニウム;ジフェニルシリル(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)二塩化ジルコニウム;テトラフェニルジシリル(シクロペンタジエニル)(インデニル)二塩化ジルコニウム;テトラフェニルジシリル(3−メチルシクロペンタジエニル)(インデニル)二塩化ジルコニウム;テトラフェニルジシリル(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)二塩化ジルコニウム;ジ−o−トリルシリル(シクロペンタジエニル)(トリメチルシクロペンタジエニル)二塩化ジルコニウム;ジ−o−トリルシリル(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)二塩化ジルコニウム;ジ−o−トリルシリル(シクロペンタジエニル)(3,4−ジエチルシクロペンタジエニル)二塩化ジルコニウム;ジ−o−トリルシリル(シクロペンタジエニル)(トリエチルシクロペンタジエニル)二塩化ジルコニウム;ジベンジルシリル(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)二塩化ジルコニウム;ジベンジルシリル(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−フルオレニル)二塩化ジルコニウム;及びジシクロヘキシルシリル(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)二塩化ジルコニウムからなる群から選択される触媒である、請求項1から6までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
アルミノキサンが、アルキルアルミノキサンである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
アルキルアルミノキサンが、トリイソブチルアルミノキサン又はメチルアルミノキサンである、請求項4から8までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
有機ホウ素化合物が、リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、リチウムテトラキス(トリフルオロメチルフェニル)ボレート、リチウムテトラキス(3,5−ジ{トリフルオロメチル}フェニル)ボレート、ナトリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、カリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、マグネシウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、チタニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、すずテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、及びジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートからなる群から選択される、メチルアルミノキサン、メチルアルミノキサン、請求項4、請求項4から9までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
有機ホウ素化合物が、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(メトキシフェニル)ボラン、トリス(トリフルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(3,5−ジ[トリフルオロメチル]フェニル)ボラン、トリス(テトラフルオロキシリル)ボラン、及びトリス(テトラフルオロ−o−トリル)ボランからなる群から選択される、請求項4から9までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
〜C12のモノマーが、1−デセンである、請求項1、請求項1から11までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
モノマーとしてプロペンをさらに含む、請求項1から11までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
メタロセンが、遷移金属含量で表して、約0.0001mmol/Lから約0.05mmol/Lまでの量で存在する、請求項1から11までのいずれか一項に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2013−501846(P2013−501846A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524741(P2012−524741)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【国際出願番号】PCT/US2010/044187
【国際公開番号】WO2011/019541
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(508201282)ケムチュア コーポレイション (69)
【Fターム(参考)】