説明

ポリウレタン水分散液およびハードワックスを含有するマスカラ

【課題】適用時に快適であり、まつ毛にポリュームを出すことが改善され、カール性とカール保持性を有するマスカラの提供。
【解決手段】ポリウレタン水分散液と少なくとも1つのハードワックスとを含む組成物であり、該組成物がエマルジョンで、8以上のHLB値を有する少なくとも2つの界面活性剤を更に含むマスカラ組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2009年12月18日に出願された米国特許仮出願第61/288003号の優先権を主張し、その内容全体は引用により本願明細書の一部をなす。
【0002】
本発明は、少なくとも1つのポリウレタン水分散液と少なくとも1つのハードワックスとを含有するマスカラ組成物に関連する。該マスカラ組成物は、適用時に快適であり、まつ毛にポリュームを出すことが改善されているというような、有用な化粧品特性を有する。特に有用又は改善された特性は、非常に改善されたカール性とカール保持性を含む。
【背景技術】
【0003】
これまで、長持ちし、にじみ耐性のあるマスカラは、水で落とせなかった。このようなマスカラは通常、無水性であった。一方、水で落とせるマスカラ組成物では、長持ちせず、にじみ耐性がなかった。このようなマスカラは通常、かなりの量の水分を含有していた(たとえば水中油型乳剤)。
【0004】
マスカラは通常2つのタイプの配合に従って調製されるが、それらは、クリームマスカラとして知られ、水中ワックスエマルジョン型である水系マスカラと、耐水性マスカラとして知られ、有機溶媒中ワックス分散物型である無水マスカラ又は低含水量マスカラである。
【0005】
増量又は充填マスカラは一般に公知であり、これらのマスカラは睫毛にボリュームを与えることができる。この効果は、一般に、睫毛に最大量の固体物質を堆積することにより達成される。一般的に言って、特に、該固体粒子、特にワックスの定性的かつ定量的選択によって、メイクアップ組成物に求められる、その適用性能、例えばその流動性又は稠度、その被覆力又はその増量能力(これは、また充填若しくはメイクアップ力とも呼ばれる)を調節することができる。
【0006】
これら組成物の該稠度及び美容性を調節するためには、所謂「ソフト」ワックス、例えば蜜ろう又はパラフィンワックスを、いわゆる「ハード」ワックスとの組合せで使用して、高い固体含有率及び中程度から高い稠度を呈するマスカラを得ている。これらの特性は、充填用のマスカラにとって必要とされるものである。
【0007】
さらに、水性マスカラは、主として水性相中で凝集したワックス粒子の安定な分散物を得ることを可能とする、界面活性剤系、例えばトリエタノールアミンステアレートを主成分とするものを含んでいる。この系は、このような分散物を得る上で、特に界面における、ワックス粒子間の相互作用において、重要な役割を演じている。
【0008】
しかし、上記マスカラは、とりわけ、乾燥性、劣った柔軟性及び/又は劣った稠度を有するという欠点を持つ。
従って、睫毛上にスムース且つ均一な付着を得ることができ、適用後は容易に動く稠度を示す、特に睫毛のメイクアップ用の化粧品組成物であって、改良されたボリューム性、カール性及び/又はカール保持性を有する化粧用組成物を開発する必要性がある。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、少なくとも1つのポリウレタン水分散液と少なくとも1つのハードワックスを含む、ケラチン物質(毛髪、睫毛、眉毛)用の組成物に関する。好ましくは、該組成物はマスカラ組成物である。
【0010】
本発明は、少なくとも1つのポリウレタン水分散液と少なくとも1つのハードワックスと少なくとも1つの8以上のHLB値を有する界面活性剤を含む、ケラチン物質(毛髪、睫毛、眉毛)用の組成物に関する。好ましくは、該組成物はマスカラ組成物である。
【0011】
本発明は、少なくとも1つのポリウレタン水分散液と少なくとも1つのハードワックスと少なくとも2つの8以上のHLB値を有する界面活性剤を含む、ケラチン物質(毛髪、睫毛、眉毛)用の組成物に関する。好ましくは、該組成物はマスカラ組成物である。
【0012】
本発明は、更に、ケラチン物質(毛髪、睫毛、眉毛)を処理、ケア及び/又はメイクアップするための十分量の本発明の組成物を、ケラチン物質(毛髪、睫毛、眉毛)に適用することにより、睫毛を処理、ケア及び/又はメイクアップする方法に関する。好ましくは、該組成物はマスカラ組成物である。
【0013】
本発明は、更に、ケラチン物質(毛髪、睫毛、眉毛)用の組成物のポリューム付与性、カール性、及び/又はカール保持性を改良する方法であって、該組成物に少なくとも1つのポリウレタン水分散液と少なくとも1つのハードワックスを加えることを含む、方法。好ましくは、少なくとも1つの8以上のHLB値を有する界面活性剤を、好ましくは2つを更に加える。好ましくは、該組成物はマスカラ組成物である。
【0014】
本発明は、更に、ケラチン物質(毛髪、睫毛、眉毛)用の組成物を作成する方法であって、該組成物を形成するために少なくとも1つのポリウレタン水分散液と少なくとも1つのハードワックスを反応させることを含む、方法。好ましくは、少なくとも1つの8以上のHLB値を有する界面活性剤を、好ましくは2つを更に加える。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本願明細書で用いる「少なくとも1つの」という語句は、1または複数であることを意味し、個々の組成物と混合物/組み合わせを含める。
【0016】
実施例以外では、あるいはこれ以外に明示していない限り、成分および/または反応条件の量を表現する数はいずれも、示した数の10〜15%を意図する用語「約」によっていずれの場合も修飾するとして理解される。
【0017】
本願明細書に用いる「皮膜形成物(film former)」または「皮膜形成剤(film forming agent)」とは、たとえば、皮膜形成物を含有する溶媒が、気化し、基質に吸収され、および/または、基質で消散したのちに、塗布した基質に皮膜を残すポリマーまたは樹脂を意味する。
【0018】
本発明では、「水溶性溶媒」という用語は、周囲温度で液体であり、水と混和性(25℃および大気圧で50重量%超の水混和性)である化合物を表す。
【0019】
本願明細書に用いる「耐移動性」とは、たとえば摂食時または飲用時に、たとえばコップ、衣服または皮膚などの別の物質と接触しても容易に除去されない組成物が示す特性を言う。耐移動性は、このような特性を評価する当該技術分野で知られているあらゆる方法によって評価することができる。たとえば、「キス」テストによって組成物の耐移動性を評価してもよい。「キス」テストでは、毛髪、皮膚または口唇などのヒトの角質物質に組成物を塗布し、物質、たとえば1枚の紙を塗布後2分後など、塗布後特定時間経過後に毛髪、皮膚または口唇に対して擦り付けてもよい。また、組成物を毛髪、皮膚または口唇に塗布してから特定時間経過後に、衣服を着用している各被験者の毛髪、皮膚または口唇から襟への転移など、被験者からあらゆる被着体に転移する生成物の量によって転移抵抗組成物を評価してもよい。次に、被着体(たとえば襟または紙)に転移した組成物の量を評価して比較してもよい。たとえば、生成物のほとんどが被験者の毛髪、皮膚または口唇に残留している場合、耐移動性があるとしてもよい。さらに、転移量は、市販の組成物などの他の組成物による転移量と比較してもよい。本発明の好ましい実施形態では、組成物は毛髪、皮膚または口唇から被着体にほとんど転移しないか、全く転移しない。
【0020】
本願明細書に用いる「長持ち性のある」組成物とは、長時間経過後に肉眼で確認して発色が塗布時と同じか、実質的に同じ状態である組成物を示す。長持ち性は、このような特性を評価する当該技術分野で知られているあらゆる方法によって評価することができる。たとえば、長持ち性は、ヒトの毛髪、皮膚または口唇に組成物と塗布して、長期間経過後に組成物の発色を評価する試験によって評価してもよい。たとえば、毛髪、皮膚または口唇に塗布直後に組成物の発色を評価してもよく、特定時間経過後にこのような特性を再評価して比較してもよい。さらに、このような特性は、市販の組成物などの組成物に対して評価してもよい。
【0021】
本願明細書に用いる「粘着性」とは、2つの物質間の接着性を示す。たとえば、2つの物質間の粘着性が増大すると、その接着性も増大する。「粘着性」を定量化するために、IUPACによって定義される2つの物質がかかわる「接着仕事」を測定することが有用となる。一般には、接着仕事は、2つの物質を分離するのに必要な仕事量によって測定される。このため、2つの物質がかかわる接着仕事が増大すると、2つの物質間の接着性は増大し、これは2つの物質間の粘着性も増大することを意味する。
【0022】
接着の働き、言わば粘着性は、接着性を測定するのに一般に使用されるのに好ましい技術や方法によって定量化することができ、通常、力時間(たとえばグラム秒(「gs」))単位で報告される。たとえば、Stable Micro Systems社製のTA−XT2を使用し、2000年1月に改訂され、内容全体が引用により本願明細書の一部をなすTA−XT2 Application Study(MATI/PO.25を参照)に記載される手順に従って接着性を測定することができる。この方法によれば、実質的に非粘着性物質の接着仕事の望ましい値には、約0.5gs未満、約0.4gs未満、約0.3gs未満および約0.2gs未満が挙げられる。当該技術分野で知られているように、このほかの同じような方法では、同じような分析装置を用いて接着性を測定することができる。
【0023】
本願明細書に用いる「耐水性」とは、水分をはじく能力と、水分に対する耐久性を示す。耐水性は、このような特性を評価する当該技術分野で知られているあらゆる方法によって評価することができる。たとえば、マスカラ組成物をつけ睫毛に塗布し、特定時間、たとえば20分間水に浸漬してもよい。所定時間経過後、つけ睫毛を水から除去し、物質、たとえば1枚の紙に置いてもよい。次に、物質に残留する残留物の量を他の組成物、たとえば市販の組成物などを評価して、比較してもよい。また、たとえば、皮膚に組成物を塗布し、その皮膚を特定時間水中に浸してもよい。次に、所定時間後の皮膚に残留する組成物の量を評価し、比較してもよい。たとえば、生成物のほとんどが被験者の睫毛、皮膚などに残留する場合、耐水性があるとしてもよい。本発明の好ましい実施形態では、組成物は被験者からほとんど転移しないか、全く転移しない。
【0024】
本願明細書に用いる「置換された」とは、少なくとも1つの置換基を含むことを意味する。置換基の非限定例には、酸素原子および窒素原子などの原子や、水酸基、エーテル基、アルコキシ基、アシルオキシアルキル群、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミン基、アシルアミノ基、アミド基、ハロゲン含有基、エステル基、チオール基、スルホン酸基、チオ硫酸基、シロキサン基およびポリシロキサン基などの官能基が挙げられる。置換基はさらに置換されていてもよい。
【0025】
本願明細書に用いる「揮発性」とは、引火点が約100℃より低いという意味である。
【0026】
本願明細書に用いる「不揮発性」とは、引火点が約100℃より高いという意味である。
【0027】
本発明の組成物および方法は、本願明細書に記載する不可欠な要素および限定のほかに、本願明細書に記載しているか、このほかに有用な他の成分または任意の成分、構成要素または限定を含むか、これらから成るか、基本的にこれらから成ることができる。
【0028】
ポリウレタン水分散液
本発明によれば、少なくとも1つのポリウレタン水分散液を含有する組成物が提供される。本願明細書に用いる「ポリウレタン水分散液」とは、米国特許第7445770号明細書および/または米国特許第7452770号明細書で開示されているポリウレタン水分散液を意味し、その内容全体は引用により本願明細書の一部をなす。
【0029】
具体的には、本発明のポリウレタン水分散液は、以下のものの反応生成物が好ましい。
A)次式によるプレポリマー

(式中、Rはジヒドロキシル官能化合物の二価基であり、Rは脂肪族または脂環式ポリイソシアネートの炭化水素基であり、Rは低分子量ジオールの基であり、場合によりイオン基で置換され、nは0〜5であり、mは>1である)。
B)式HN−R−NHによる少なくとも1つの鎖延長剤(式中、Rはイオン基または潜在的なイオン基で置換されないアルキレン基またはアルキレンオキシド基である)。
C)式HN−R−NHによる少なくとも1つの鎖延長剤(式中、Rはイオン基または潜在的なイオン基で置換されるアルキレン基である)。
【0030】
二価基Rを得るのに適したジヒドロキシル化合物は、2つのヒドロキシ基を有するもの、且つ約700〜約16000、好ましくは約750〜約5000の数平均分子量を有するものである。高分子化合物の例には、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリヒドロキシポリカーボネート、ポリヒドロキシポリアセタール、ポリヒドロキシポリアクリレート、ポリヒドロキシポリエステルアミド、ポリヒドロキシポリアルカジエンおよびポリヒドロキシポリチオエーテルが挙げられる。ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールおよびポリヒドロキシポリカーボネートが好ましい。また、本発明の範囲には、このような化合物のさまざまな混合物が含まれる。
【0031】
炭化水素基Rを得るのに適したポリイソシアネートには、数平均分子量が約112〜1,000、好ましくは約140〜400である有機ジイソシアネートが含まれる。好ましいジイソシアネートは、上に示す一般式R(NCO)によって表されるものであり、Rは4〜18個の炭素原子を有する2価の脂肪族炭化水素基、5〜15個の炭素原子を有する2価の脂環式炭化水素基、7〜15個の炭素原子を有する2価の芳香脂肪族炭化水素基または6〜15個の炭素原子を有する2価の芳香族炭化水素基である。好適な有機ジイソシアネートの例には、テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−ジイソシアネートおよびシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、1−イソシアナート3−イソシアナートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネートまたはIPDI)、ビス−(4−イソシアナートシクロヘキシル)−メタン、1,3−ビス(イソシアナートメチル)−シクロヘキサンおよび1,4−ビス(イソシアナートメチル)−シクロヘキサン、ビス−(4−イソシアナート3−メチル−シクロヘキシル)−メタン、2,4−ジイソシアナートトルエン、2,6−ジイソシアナートトルエンなどのトルエンジイソシアネート(TDI)の異性体、このような異性体の混合物、水素化TDI、4,4’−ジイソシアナートジフェニルメタンおよびこの異性体と2,4’−ジイソシアナートジフェニルメタンおよび任意に2,2’−ジイソシアナートジフェニルメタンとの混合物ならびに1,5−ジイソシアナートナフタレンが挙げられる。ジイソシアネートの混合物を使用できるのは言うまでもない。好ましいジイソシアネートは、脂肪式ジイソシアネートと脂環式ジイソシアネートである。1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートおよびイソホロンジイソシアネートが特に好ましい。
【0032】
の「低分子量ジオール」は、分子量が62〜700、好ましくは62〜200のジオールを意味し、脂肪族基、脂環式基または芳香族基を含んでもよい。好ましい化合物は、脂肪族基のみ含む。低分子量ジオールは、1分子あたり最大20個の炭素原子を有し、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロパン1,2−ジオール、プロパン1,3−ジオール、ブタン1,4−ジオール、ブチレン1,3−グリコール、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルプロパンジオール、シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ヘキサン1,6−ジオール、ビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン)、水素化ビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシルメチル)プロパン)およびこの混合物が挙げられる。必要に応じて、低分子量ジオールはイオン基または潜在的イオン基を含むことができる。イオン基または潜在的イオン基を含む好適な低分子量ジオールは、米国特許第3412054号明細書で開示されており、その内容は引用により本願明細書の一部をなす。好ましい化合物には、ジメチロールブタン酸(DMBA)、ジメチロールプロピオン酸(DMBA)およびカルボキシル含有カプロラクトンポリエステルジオールが挙げられる。イオン基または潜在的イオン基を含む低分子量ジオールが使用される場合、ポリウレタン分散液のポリウレタン中にCOOHが0.30meq/g未満になるように使用されるのが好ましい。
【0033】
プレポリマーは、2つのクラスの鎖延長剤を使用し、鎖を延長したものである。第1のクラスでは、化合物は式HN−R−NHで表され、式中、Rはイオン基または潜在的イオン基で置換されないアルキレン基またはアルキレンオキシド基である。アルキレンジアミンには、ヒドラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,4−ブチレンジアミンおよびピペラジンが挙げられる。アルキレンオキシドジアミンには、3−{2−[2−(3−アミノプロポキシ)エトキシ]エトキシ}プロピルアミン(Tomah Products社(ミルトン、ウィスコンシン州)から市販されているジプロピルアミンジエチレングリコールやDPA−DEGとしても知られる)、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン(DuPont社製Dytec A)、ヘキサンジアミン、イソホロンジアミンおよび4,4−メチレンジ−(シクロヘキシルアミン)ならびにジプロピルアミンプロピレングリコール、ジプロピルアミンジプロピレングリコール、ジプロピルアミントリプロピレングリコール、ジプロピルアミンポリ(プロピレングリコール)、ジプロピルアミンエチレングリコール、ジプロピルアミンポリ(エチレングリコール)、ジプロピルアミン1,3−プロパンジオール、ジプロピルアミン2−メチル−1,3−プロパンジオール、ジプロピルアミン1,4−ブタンジオール、ジプロピルアミン1,3−ブタンジオール、ジプロピルアミン1,6−ヘキサンジオールおよびジプロピルアミンシクロヘキサン−1,4−ジメタノールが挙げられるTomah Products社(ミルトン、ウィスコンシン州)から市販されているDPA−シリーズエーテルアミンが挙げられる。また、このようなジアミンの混合物を使用してもよい。
【0034】
第2のクラスの鎖延長剤は、式HN−R−NHで表され、(式中、Rはイオン基または潜在的なイオン基で置換されるアルキレン基である。このような化合物には、イオン基または潜在的なイオン基と、イソシアネート基と反応する2つの基がある。このような化合物は、2つのイソシアネート反応基と、イオン基またはイオン基を形成可能な基を含む。イオン基または潜在的なイオン基は、第三級アンモニウム基または第四級アンモニウム基、このような基に変換可能な基、カルボキシル基、カルボキシラート基、スルホン酸基およびスルホネート基から成る群を選択することができる。記載した種類の塩に変換可能な基は、水との混合前または混合時に少なくとも部分変換される。具体的な化合物には、ジアミノスルホネート、たとえばN−(2−アミノエチル)−2−アミノエタンスルホン酸(AAS)のナトリウム塩またはN−(2−アミノエチル)−2−アミノプロピオン酸のナトリウム塩が挙げられる。
【0035】
また、本発明によるポリウレタンは、米国特許第7445770号明細書および/または米国特許第7452770号明細書に記載されているように、いずれの場合も鎖末端に位置し、その鎖を終端する化合物(連鎖停止剤)を挙げることができる。
【0036】
好ましい実施態様によれば、ポリウレタン水分散液は、粘着性が23℃で好ましくは2000mPa.s未満、好ましくは1500mPa.s未満、好ましくは1000mPa.s未満であり、この間の全範囲およびサブレンジを含む。2つ以上のポリウレタン水分散液がある場合には、組成物に存在するポリウレタン水分散液は、粘着性が23℃で好ましくは2000mPa.s未満、好ましくは1500mPa.s未満、好ましくは1000mPa.s未満であり、この間の全範囲およびサブレンジを含む。
【0037】
好ましい実施態様によれば、ポリウレタン水分散液には、分散液の重量に対して好ましくは20〜60%、さらに好ましくは25〜55%、最も好ましくは30〜50%の固形分があり、この間の全範囲およびサブレンジを含む。2つ以上のポリウレタン水分散液がある場合には、組成物に存在するポリウレタン水分散液は、散液の重量に対して好ましくは20〜60%、さらに好ましくは25〜55%、最も好ましくは30〜50%の固形分があり、この間の全範囲およびサブレンジを含む。
【0038】
本発明に用いられる適切なポリウレタン水分散液は、バイエル社によってBAYCUSAN(R)の名の下で販売されるポリウレタン水分散液を含むが、これに限定されるものではない。例えば、BAYCUSAN(R)C1000(ポリウレタン−34)、BAYCUSAN(R)C1001(ポリウレタン−34)、BAYCUSAN(R)C1003(ポリウレタン−32)及びBAYCUSAN(R)C1004(ポリウレタン−35)。
【0039】
好ましい実施態様において、2つ以上のポリウレタン水分散液がある場合には、各ポリウレタン水分散液は、本発明の組成物に、該組成物に存在するお互いのポリウレタン水分散液に関して約5:1から約1:5の範囲、好ましくは約3:1から約1:3の範囲、より好ましくは約1:1の重量比で存在し、この間の全範囲およびサブレンジを含む。
【0040】
好ましい実施態様において、2つ以上のポリウレタン水分散液がある場合には、少なくとも1つのポリウレタン類は親水性部分を含む。例えば、市販されているBAYCUSAN(R)C1000(ポリウレタン−34)及びBAYCUSAN(R) C1004(ポリウレタン−35)。したがって、特に本発明の好適な組合せは、(1) BAYCUSAN(R)C1000(ポリウレタン−34)および/またはBAYCUSAN(R)C1004(ポリウレタン−35);及び(2)BAYCUSAN(R) C1001(ポリウレタン−34)および/またはBAYCUSAN(R)C1003(ポリウレタン−32)を含む。特に好適な組合せは、BAYCUSAN(R)C1004(ポリウレタン−35)及びBAYCUSAN(R)C1003(ポリウレタン−32)である。
【0041】
好ましい実施態様において、ポリウレタン水分散液は、組成物の総重量に対して、約1から35重量%の範囲の量で、より好ましくは約2から30重量%の範囲の量で、より好ましくは約3から20重量%の範囲の量で本発明の組成物に存在し、この間の全範囲およびサブレンジを含む。
【0042】
ハードワックス
本発明によれば、少なくとも1つのハードワックスを含んで成る組成物が提供される。
「ワックス」は、周囲温度(25℃)で固体であり、状態が可逆性の固体/液体の状態変化を有し、30℃以上の融解点を有する親油性化合物を意味する。
「ハードワックス」は、20℃で、5MPaより大きく、特に5Maから30MPaの範囲の、好ましくは6MPaより大きい、更に好ましくは6MPaから25MPaの範囲の硬度を示す。ワックスの硬度は、2mmの直径を有し、0.1mm/sの測定速度で動作し、0.3mmの針入深度でワックス内に針入するステンレススチールシリンダーを備えた、RHEO社によりTA−XT2の名称で販売されているテクスチュロメータを使用して、20℃で測定された圧縮力を測定することによって決定される。適切な硬度測定のプロトコルは以下の通りである:ワックスは、ワックスの融点+10℃に等しい温度で溶解される。溶解したワックスを、25mmの直径と20mmの深さを有する容器に注ぐ。ワックスを24時間室温(25℃)で再結晶化し、それによりワックスの表面は平らで平滑となり、次いで硬度又は粘着性の測定を実施する前に、ワックスを20℃で少なくとも1時間保持する。テクスチュロメータの可動エレメントは、速度0.1mm/sで作動し、0.3mmの針入深度でワックスに針入する。可動エレメントが0.3mmの深度までワックスに針入した場合、可動エレメントは(緩和時間に対応する)1秒間静止して保たれて、次に0.5mm/sの速度で引き出される。硬度の値は、測定された最大圧縮力を、ワックスと接触するテクスチュロメータシリンダの面積によって除した値である。
ワックスは、炭化水素、フッ化されたもの、および/またはシリコン、植物、鉱物、動物および/または合成起源のものである。ハードワックスの適切な例は、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、BIS−PEG−12ジメチコーンキャンデリレート(DIMETHICONE CANDELILLATE)ワックス、例えばコスターケーネン(KOSTER KEUNEN)社により市販されているシリコニルキャンデリラ(Siliconyl Candelilla)ワックス、例えばデザートホエール(DESERT WHALE)社により市販されている水添ホホバ(Jojoba)ワックス、例えばSIO社により市販されている水添パーム油、米糠ワックス、スマック(Sumac;漆)ワックス、セレシンワックス、ローレルワックス、イボタロウムシのワックス、セラックワックス、水添オリーブ油、例えばソリアンス(SOLIANCE)社から入手できるワックスオリーブ(Waxolive)、C12〜C18鎖の脂肪アルコールでエステル化したオリーブ油の水添により得られるワックス、例えばソフィム(SOPHIM)社により、フィトワックスオリーブ(Phytowax Olive)12L44、14L48、16L55及び18L57なる商品名の下で市販されているもの、セチル又はベヘニルアルコールでエステル化したヒマシ油の水添により得られるワックス、例えばソフィム(SOPHIM)社により、フィトワックスリシン(Phytowax Ricin)16L64及びフィトワックスリシン22L73なる名称で市販されているもの、水添カメリン(Cameline)ワックス、オーリキュリー(Ouricury)ワックス、モンタンワックス、オゾケライトワックス、例えばストラール&ピッシュ(Strahl&Pitsch)社により販売されているワックス(Wax)SP1020P、マイクロクリスタリンワックス、例えばパラメルト(PARAMELT)社により、マイクロワックス(Microwax)HWなる商品名の下で販売されているもの、ラウリン酸、パルミチン酸、セチル酸及びステアリン酸のトリグリセライド(INCI名:水添ココグリセライド)、例えばサソール(SASOL)社によりソフティザン(Softisan)100なる商品名の下に市販されているもの、ポリメチレンワックス、例えばサソール社によりシレベル(Cirebelle)303なる商品名の下で販売されているもの、ポリエチレンワックス、例えばニューフェイズテクノロジーズ(New Phase Technologies)社により、パーフォルマレン(Performalene)400ポリエチレン、パーフォルマレン655ポリエチレン及びパーフォルマレン500−Lポリエチレンなる商品名の下で販売されているもの、アルコール/ ポリエチレンワックス、例えばバレコ(BARECO)社によりパーフォルマコール(Performacol)425アルコール(Alcohol)なる名称の下で販売されているもの、ハニーウエル(Honeywell)社によりAC 540ワックスなる商品名の下で市販されている95/5エチレン/アクリル酸コポリマー、ヒドロキシオクタコサニルヒドロキシステアレート、例えばアクゾ(AKZO)社によりエルファコス(Elfacos)C26なる商品名の下で市販されているもの、オクタコサニルステアレート、例えばコスターケーネン(KOSTER KEUNEN)社により、ケスターワックス(Kester Wax)K82Hなる名称の下で市販されているもの、ステアリルステアレート、例えばリポケミカルズ(LIPO CHEMICALS)社により、リポネート(Liponate) SSなる名称の下で市販されているもの、ペンタエリスリトールジステアレート、例えばコグニス(COGNIS)社により、クチナ(Cutina)PESなる名称の下で販売されているもの、ジベヘニルアジペート、ジオクタデシルアジペート及びジ−エイコサニルアジペートの混合物(INCI名:C18−22ジアルキルアジペート)、ジラウリルアジペート及びジテトラデシルアジペートの混合物(INCI名:C12−14ジアルキルアジペート)、ジオクタデシルセバケート、ジドコシルセバケート及びジエイコシルセバケートの混合物(INCI名:C18−22ジアルキルセバケート)、及びジオクタデシルオクタデカンジオエート、ジドコシルオクタンジオエート及びジエイコシルオクタンジオエートの混合物(INCI名:C18−22ジアルキルオクタンジオエート)、例えばコグニス(COGNIS)社により市販されているもの、ペンタエリスリチルテトラステアレート、例えばリポケミカルズ社から入手できるリポネートPS−4、テトラコンタニルステアレート、例えばコスターケーネン社から入手できる、ケスターワックス(Kester Wax) K76H、ステアリルベンゾエート、例えばファインテックス(FINETEX)社から入手できる、フィンソルブ(Finsolv)116、ベヘニルフマレート、例えばアクゾバーネル(AKZO BERNEL)社から入手できる、マリックス(Marrix) 222、ジ−(トリメチロール−1,1,1−プロパン)テトラステアレート、例えばヘテレン(HETERENE)社により、「へスト(HEST) 2T−4S」なる名称の下で販売されているもの、ジドトリアコンタニルジステアレート、例えばコスターケーネン社から入手できる、ケスターワックス(Kester Wax)K82D、4個のエチレンオキシド単位(PEG−4)を持つポリエチレングリコールのモンタネート、例えばクラリアントリコワックス(Clariant Licowax)KST1なる商品名の下で販売されているもの、ヘキサンジオールジサリチレート、例えばCP(Hall)社により販売されている、ベータワックス(Betawax)RX−13750、ジペンタエリスリトールヘキサステアレート、例えばヘテレン社により、ヘスト(Hest)2P−6Sなる商品名の下で販売されているもの、ジトリメチロールプロパンテトラベヘネート、例えばヘテレン社により、ヘスト(Hest)2T−4Bなる商品名の下で販売されているもの、ホホバエステル、例えばフローラテック(FLORATECH)社により、フローラエステル(Floraester)HIPなる名称の下で販売されているもの、直鎖(C20−40)カルボン酸/飽和炭化水素(INCI名:C20−40酸ポリエチレン)、例えばニューフェイズテクノロジーズ社から入手できるパーフォルマシッド(Performacid)350、フィッシャー−トロプシュ型の合成ワックス、例えばロス(ROSS)社によりロスワックス(Rosswax)100なる名称の下で販売されているもの、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ジオクタデシルカーボネート、例えばクチナ(Cutina)KE 3737、サッカロースポリベヘネート、例えばクロダ(CRODA)社から入手できるクロダデルム(Crodaderm)B、及びこれらの混合物をあげることがでるが、これらに限定されない。上記ワックスはまた、米国特許出願公開番号2009/0142289に記載されており、その全ての内容は本願明細書に引用したものとする。
【0043】
植物起源のワックス、例えばカルナウバワックス、キャンデリラワックス、水添ホホバワックス、はぜろう、フィトワックスの範囲内(12L44、14L48、16L55及び18L57)の、ソフィム(SOPHIM)社により市販されている、C12〜C18鎖脂肪アルコールでエステル化した、オリーブ油の水添により得られるワックス、米糠ワックス、セチル、ステアリル及びベヘニルアルコール、ローレルワックス及びオーリキュリーワックスを使用することが好ましい。
【0044】
ハードワックスは、好ましくは本発明の組成物の全質量に対して、少なくとも12質量%、好ましくは12〜30質量%なる範囲、好ましくは14〜25質量%なる範囲内の量で存在する。
8以上のHLB値を有する界面活性剤本発明によれば、8以上のHLB値を有する少なくとも一つの界面活性剤を含んで成る組成物が提供される。好ましくは、組成物は少なくとも2つの界面活性剤を、少なくとも3つの界面活性剤を、少なくとも4つの界面活性剤などを含む。「HLB」は親水性−疎水性バランスを意味する。HLB値は、GRIFFIN(J.Soc.Cosm.Chem.,1954,5:249−256)において定義されている。
【0045】
これら界面活性剤は、非イオン性、アニオン性、カチオン性及び両性界面活性剤から選択することができる。該界面活性剤の諸特性及び乳化機能の定義に関しては、文献:「化学技術辞典(Encyclopedia of Chemical Technology), KIRK-OTHMER」, 1979, 22:333-432,第3版,ウイリー出版社を参照することができ、アニオン性、両性及び非イオン性界面活性剤に関しては、この参考文献のpp.347−377を参照できる。上記ワックスはまた、米国特許出願公開番号2009/0142289に記載されており、その全ての内容は本願明細書に引用したものとする。
【0046】
単独で又は混合物として使用される、8以上のHLBを持つ非イオン性界面活性剤は、以下を含む:
・1〜150のエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド単位を含むことができる、エトキシル化及び/又はプロポキシル化グリセロールエーテル;
・脂肪アルコール、特にC8−C24、及び好ましくはC12−C18脂肪アルコールのエトキシル化及び/又はプロポキシル化エーテル(1〜150のエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド単位を含むことができる)、例えば20のエチレンオキシド単位を持つステアリルアルコールのエトキシル化エーテル(CTFA名:ステアレス(Steareth)−20)、例えばユニケマ(UNIQEMA)社により市販されているBRIJ 78、30のエチレンオキシド単位を持つセテアリル(cetearyl)アルコールのエトキシル化エーテル(CTFA名:セテアレス (Ceteareth)−30)及び7のエチレンオキシド単位を持つC12−C15脂肪アルコール混合物のエトキシル化エーテル(CTFA名:C12−C15パレス(Pareth)−7)、例えばシェルケミカルズ(SHELL CHEMICALS)社によりネオドール(NEODOL) 25−7TMなる名称の下に市販されているもの;
・脂肪酸エステル、特にC8−C24、及び好ましくはC16−C22のもの、及びポリエチレングリコール(又はPEG)(1〜150のエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド単位を含むことができる)、例えばユニケマ(UNIQEMA)社により、MYRJ 52PTMなる名称の下に市販されている、PEG−50ステアレート及びPEG−40モノステアレート;
・脂肪酸エステル、特にC8−C24、及び好ましくはC16−C22のもの、及びグリセロールのエトキシル化及び/又はプロポキシル化エーテル(1〜150のエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド単位を含むことができる)、例えばセピック(SEPPIC)社により、シマルゾル(Simulsol)220TM(登録商標)なる名称の下に市販されている、200のエチレンオキシド単位を持つポリエトキシル化グリセリルモノステアレート、30のエチレンオキシド単位を持つポリエトキシル化グリセリルステアレート、例えばゴールドシュミット(GOLDSCHMIDT)社により市販されている、製品タガット(TAGAT)S(登録商標)、30のエチレンオキシド単位を持つポリエトキシル化グリセリルオレエート、例えばゴールドシュミット社により市販されている、製品タガット(TAGAT)O(登録商標)、30のエチレンオキシド単位を持つポリエトキシル化グリセリルココエート、例えばシェレックス(SHEREX)社により市販されている、製品バリオニック(VARIONIC)LI13(登録商標)、30のエチレンオキシド単位を持つポリエトキシル化グリセリルイソステアレート、例えばゴールドシュミット社により市販されている、製品タガット(TAGAT)L(登録商標)、30のエチレンオキシド単位を持つポリエトキシル化グリセリルラウレート、例えばゴールドシュミット社から入手できる、製品タガット(TAGAT)I(登録商標);
・脂肪酸エステル、特にC8−C24、及び好ましくはC16−C22のもの、及びソルビトールのエトキシル化及び/又はプロポキシル化エーテル(1〜150のエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド単位を含むことができる)、例えばユニケマ(UNIQEMA)社により、ツイーン(Tween) 60(登録商標)なる名称の下に市販されている、ポリソルベート60;
・ジメチコーンコポリオール、例えばダウコーニング(DOW CORNING)社により、Q2−5220TMなる名称の下に市販されているもの;
・ジメチコーンコポリオールベンゾエート、例えばフィンテックス(FINTEX)社により、フィンソルブ(FINSOLV)SLB101(登録商標)及び201(登録商標)なる名称の下に市販されているもの;
・プロピレンオキシドとエチレンオキシドとのコポリマー、EO/PO重縮合物とも呼ばれる;及び
・これらの混合物。
【0047】
適切なアニオン性界面活性剤は、以下を非限定的に含む:C16−C30脂肪酸の塩、特にアミン塩、例えばトリエタノールアミンステアレート、又は2−アミノ−2−メチルプロパン−1,3−ジ−オールステアレート;ポリエトキシル化脂肪酸の塩、特にアミン塩又はアルカリ金属塩、及びこれらの混合物;リン酸エステル及びその塩、例えば「DEAオレス(oleth)−10ホスフェート」(クロダ(CRODA)社からのクロダフォス(Crodafos) N 10N)又はモノセチルホスフェート一カリウム(ジボダン(Givaudan)社からのアンフィゾル(Amphisol)K又はユニケマ社からの、アルラトンマップ(ARLATONE MAP)160K);・スルホサクシネート、例えば「二ナトリウムPEG−5シトレートラウリル」スルホサクシネート及び「二ナトリウムリシノレアミドMEAスルホサクシネート」;アルキルエーテルスルホネート、例えばラウリルエーテル硫酸ナトリウム;・イセチオネート;及び・アシルグルタメート、例えば「二ナトリウム水添タロウグルタメート」(アジノモト(AJINOMOTO)社により市販されているアミソフト(AMISOFT)HS−21 R(登録商標))及びこれらの混合物。
適切なカチオン性界面活性剤は、以下を非限定的に含む:アルキルイミダゾリジニウム、例えばイソステアリルエチルイミドニウムエトサルフェート;アンモニウム塩、例えば(C12−30アルキル)−トリ(C1−4アルキル)アンモニウムハライド、例えばN,N,N−トリメチル−1−ドコサンアミニウムクロリド(又はベヘントリモニウムクロリド)。
【0048】
適切な両性界面活性剤、例えばN−アシルアミノ酸、例えばN−アルキルアミノアセテート及び二ナトリウムココアンフォジアセテート、及びアミンオキシド、例えばステアラミドオキシド、又はさらにシリコーン界面活性剤、例えばジメチコーンコポリオールホスフェート、例えばフェニックスケミカル(PHOENIX CHEMICAL)社により、ペコシル(PECOSIL)PS 100(登録商標)なる名称の下で市販されているものを非限定的に含む。
【0049】
好ましい実施態様によれば、本発明に係る組成物は、界面活性剤の以下の組合せを含む:(1)少なくとも一つのリン酸エステルまたはその塩、例えば「DEAオレス(oleth)−10ホスフェート」またはモノセチルホスフェート1カリウム;及び(2)少なくとも一つの、特にC8−C24、好ましくはC16−C22の脂肪酸アルコールのエトキシル化及び/又はプロポキシル化エーテル(1〜150のエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド単位を含むことができるもの)。
【0050】
好ましい実施態様によれば、8以上のHLB値を有する界面活性剤が、本発明の組成物中に、組成物の全質量に対して、約0.5から15重量%の範囲の量で、より好ましくは約2から10重量%の範囲の量で、約3から8重量%の範囲の量で存在し、全範囲及びこれらの範囲の内のサブレンジを含む。
【0051】
本発明の組成物は、考慮される分野において通常使用される任意の添加剤を、場合により更に含むことができる。例えば、ポリ(12−ヒドロキシステアリン酸)のような分散剤、抗酸化剤、油、サンスクリーン、保存剤、香料、繊維、フィラー、中和剤、美容学及び皮膚科学的活性薬剤のために、エモリエント、モイスチャライザー、ビタミン、必須脂肪酸、8未満のHLB値を有する界面活性剤、シリコーンエラストマー、糊のような化合物、粘性を増大させる薬剤(例えば追加のワックス(例えば軟性又は粘着性ワックス)または脂溶性/脂質分散性ポリマー、皮膜形成剤、着色剤及びその混合物は、加えることができる。上記の成分の非網羅的なリストは、米国特許出願公開番号2004/0170586及び2009/0142289に記載されており、その全ての内容物は本願明細書に引用して組み込まれたものとする。適切な追加的な成分の更なる例は、本出願において引用したして組み入れたものとした他の参考文献に記載されている。上記の追加的な成分のなお更なる例は、International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook(2002年9版)に記載されている。
【0052】
8未満のHLB値を有する適切な界面活性剤は、これに限定されるものではないが、サッカロース・ステアレート、サッカロース・ココエート、ソルビタン・ステアレート及びそれらの混合物などの糖のエステルとエーテル;特にC8−C24、好ましくはC16−C22の脂肪酸のエステル、及びポリオール、特にグリセリンまたはソルビトール、例えばグリセリル・ステアラート、グリセリル・ラウレート、ポリグリセリル−2ステアラート、ソルビタン・トリステアレート、及びグリセリル・リシノレアート; エトキシル化および/またはプロポキシル化エーテル、例えば2つのエチレンオキシド・ユニットを有するステアリルアルコールのエトキシル化エーテル(CTFA名「Steareth−2」);及び例えばダウ・コーニング社によってQ2−3225C(R)の名の下で販売されているシクロメチコン/ジメチコンポリオールの混合物を含む。
【0053】
好適な油には、揮発油および/または非揮発油が挙げられる。このような油は、シリコン油および/または炭化水素油をはじめとするあらゆる好ましい油であってよいが、これに限定されない。
【0054】
特定の実施形態によれば、油担体は1または複数の揮発性シリコーン油を含有する。このような揮発性シリコーン油の実施例には、室温での粘着性が6cSt以上であり、2〜7個のケイ素原子を有する直鎖状シリコーン油または環状シリコーン油が挙げられ、このようなシリコーンは、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基またはアルコキシ基で任意に置換される。本発明に使用可能な具体的な油には、オクタメチルテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサンおよびその混合物が挙げられる。使用可能な他の揮発油には、粘着性が6cStのKF 96Aが挙げられ、引火点が94℃のシンエツ社製の市販品である。揮発性シリコーン油は、引火点が少なくとも40℃であるのが好ましい。
【0055】
以下の表1に、揮発性シリコーン油の非限定例を記載する。
表1

【0056】
さらに、本発明では、揮発性直鎖状シリコーン油を使用してもよい。好適な揮発性直鎖状シリコーン油は米国特許第6338839号明細書および国際公開第03/042221号パンフレットに記載されるものが挙げられ、その内容は引用により本願明細書の一部をなす。一実施形態では、揮発性直鎖状シリコーン油はデカメチルテトラシロキサンである。別の実施形態では、デカメチルテトラシロキサンは、デカメチルテトラシロキサンより揮発性が高い別の溶媒でさらに混合される。
【0057】
他の実施形態によると、油担体は、1または複数の非シリコーン揮発性油を含有し、揮発性炭化水素油、揮発性エステルおよび揮発性エーテルから選択してもよい。このような非シリコーン揮発性油の実施例には、8〜16個の炭素原子を有する揮発性炭化水素油とその混合物、特にC〜C16イソアルカン(イソパラフィンとしても知られている)、イソドデカン、イソデカンなどの分枝状C〜C16アルカン、たとえばIsoparまたはPermethylの商号で市販される油が挙げられる。非シリコーン揮発性油は、引火点が少なくとも40℃である。
【0058】
以下の表2に、非シリコーン揮発性油の非限定例を記載する。
表2

【0059】
溶媒/油の揮発度は、米国特許第6338839号明細書に記載する蒸発速度を使用して測定することができ、その内容は引用により本願明細書の一部をなす。
【0060】
本発明の他の実施形態によれば、油担体は少なくとも1つの非揮発油を含む。本発明に使用可能な非揮発油の実施例には、以下の極性油が挙げられるが、これに限定されない。
・グリセロールの脂肪酸エステルから成るトリグリセリド高含有炭化水素系植物油。この脂肪酸は鎖長がさまざまとなることがあり、このような鎖は、直鎖状または分岐鎖状および飽和または不飽和となり得る。このような油は、特に小麦胚種油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、カリテバター、ヒマシ油、甘扁桃油、マカデミア油、アプリコット油、ダイズ油、ナタネ油、綿実油、アルファルファ油、ケシ油、カボチャ油、ゴマ油、マロー油、アボカド油、ヘーゼルナッツ油、グレープシード油、ブラックカラント種子油、月見草油、キビ油、大麦油、キノア油、オリブ油、ライ麦油、サフラワー油、ククイナッツ油、トケイソウ油またはジャコウバラ油である。もしくは、カプリル酸トリグリセリド/カプリン酸トリグリセリド、たとえばStearineries Dubois社によって市販されるものまたはDynamit Nobel社によってMiglyol 810、812および818の名で市販されるものである。
・式RCOORの合成油または合成エステル。式中、Rが1〜40個の炭素原子を含む直鎖高級脂肪酸または分岐鎖高級脂肪酸の残基であり、7〜19個の炭素原子を含み、Rは1〜40個の炭素原子を含む分岐鎖炭化水素鎖であり、3〜20個の炭素原子を含み、R+R≧10であり、たとえばPurcellin oil(セトステアリルオクタノエート)、イソノナン酸イソノニル、C12〜C15安息香酸アルキル、イソプロピルミリステート、パルミチン酸2−エチルヘキシルおよびアルコールまたはポリアルコールのオクタノン酸塩、デカン酸塩またはリシノール酸塩、ヒドロキシル化エステル、たとえばイソステアリルラクテートまたはジイソステアリルマレートならびにペンタエリスリトールエステル。
・10〜40個の炭素原子を含む合成エーテル。
・C〜C26脂肪アルコール、たとえばオレイルアルコールならびにこれらの混合物。
【0061】
さらに、本発明に使用可能な非揮発油の実施例には、ポリオレフィン、特にVaseline(ペトロラタム)、パラフィン油、スクアラン、スクアレン、水添ポリイソブテン、水添ポリデセン、ポリブテン、鉱油、ペンタヒドロスクワレンおよびその混合物など、分岐鎖状および非分岐鎖状の炭化水素および炭化水素ワックスなどの非極性油が挙げられるが、これに限定されない。
【0062】
本発明の好ましい実施形態によれば、組成物は所望の薬剤をさらに含有することができる。たとえば、所望の薬剤は、あらゆる着色剤(顔料、染料など)、あらゆる薬理的活性剤またはあらゆる化粧活性剤もしくは当該技術分野で知られているあらゆる皮膜形成剤であってよい。たとえば、使用時に、着色剤を含有する化粧品組成物または塗料組成物によって、被着体(皮膚、口唇、壁、フレームなど)に着色剤および/または皮膜形成剤を塗布し、所望の薄膜および/または発色を被着体に与えることができる。また、使用時に、薬理的活性剤を含有する医薬組成物または化粧品組成物によって、患者や消費者にこのような活性剤を提供することができる。
【0063】
好ましい着色剤には、脂溶性染料、パール顔料、真珠剤などの顔料や染料が挙げられる。
【0064】
本発明に従って使用可能な代表的な脂溶性染料には、スーダンレッド、DCレッド17、DCグレーン6、β−カロテン、ダイズ油、スーダンブラウン、DCイエロー11、DCバイオレット2、DCオレンジ5、アナトーおよびキノリンイエローが挙げられる。
【0065】
代表的なパール顔料には、チタニウムまたはオキシ塩化ビスマスによってコーティングされたマイカなどの白いパール顔料、酸化鉄を含有するチタニウムマイカ、フェリックブルーまたは酸化クロムを含有するチタニウムマイカ、上に記載したものから選択される有機顔料を含有するチタニウムマイカなどの着色パール顔料およびオキシ塩化ビスマスベースのパール顔料が挙げられる。
【0066】
代表的な顔料には、白色顔料、着色顔料、無機顔料、有機顔料、ポリマー顔料、非ポリマー顔料、コーティング顔料および非コーティング顔料が挙げられる。無機顔料の代表例には、任意に表面処理され、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄、酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物およびフェリックブルーが挙げられる。有機顔料の代表例には、カーボンブラック、D&C型顔料およびコチニールカーマインベース、バリウムベースのレーキが挙げられる。
【0067】
好ましい皮膜形成剤および/またはレオロジー剤には、当該技術分野で知られており、内容全体を引用して本願明細書の一部をなす米国特許出願第2004/0170586号明細書に開示されるものが挙げられるが、これに限定さない。
【0068】
皮膜形成/レオロジー剤の非限定的な代表例には、たとえば、開示内容を引用して本願明細書の一部をなす米国特許第6045782号明細書、米国特許第5334737号明細書および米国特許第4725658号明細書に開示されているものなどのMQ樹脂(たとえばトリメチルシロキシケイ酸)、T−プロピルシルセスキオキサン、MK樹脂(たとえばポリメチルシルセスキオキサン)、シリコーンエステルなどのシリコーン樹脂と、開示内容を引用して本願明細書の一部をなす米国特許第5209924号明細書、米国特許第4693935号明細書、米国特許第4981903号明細書、米国特許第4981902号明細書および米国特許第4972037号明細書および国際公開第01/32737号パンフレットで開示されているものなどのビニルポリマー、メタクリルポリマーおよびアクリルポリマーから選択される主鎖ならびにペンダントシロキサン基およびペンダントフルオロケミカル基から選択される少なくとも1つの鎖を含むポリマーと、開示内容を引用して本願明細書の一部をなす米国特許第5,468,477号明細書に記載されているものなどのポリマー(このようなポリマーの非限定例は、ポリ(ジメチルシロキサン)−g−ポリ(イソブチルメタクリレート)であり、3M社から商号VS 70 IBMで市販されている)が挙げられる。
【0069】
好ましい脂溶性ポリマーの好適例には、ポリアルキレン、ポリビニルピロリドン(PVP)またはビニルピロリドン(VP)のホモポリマーまたはコポリマーと、C〜C22アルケンなどのC〜C30のコポリマーと、その組み合わせとが挙げられるが、これに限定されない。本発明に使用できるVPコポリマーの具体例には、VP/ビニルアセテート、VP/メタクリル酸エチル、ブチル化ポリビニルピロリドン(PVP)、VP/メタクリル酸エチル/メタクリル酸、VP/エイコセン、VP/ヘキサデセン、VP/トリアコンテン、VP/スチレンまたはVP/アクリル酸/メタクリル酸ラウリルのコポリマーが挙げられる。
【0070】
本発明の組成物に使用可能な1つの種類のブロックコポリマーは、熱可塑性エラストマーである。熱可塑性エラストマーのハードセグメントは通常、ビニルモノマーをさまざまな量で含有する。好適なビニルモノマーの実施例には、スチレン、メタクリレート、アクリレート、ビニールエステル、ビニルエーテル、酢酸ビニルなどが挙げられるが、これに限定されない。
【0071】
熱可塑性エラストマーのソフトセグメントには、飽和または不飽和となりうるオレフィンポリマーおよび/またはオレフィンコポリマーもしくはその組み合わせが挙げられる。好適なオレフィンコポリマーには、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/ブチレンコポリマー、プロピレン/ブチレンコポリマー、ポリブチレン、ポリイソプレン、水添ブタンおよびイソプレンのポリマーならびにその混合物が挙げられるが、これに限定されない。
【0072】
本発明で有用な熱可塑性エラストマーには、ブロックコポリマー、たとえばジブロックコポリマー、トリブロックコポリマー、マルチブロックコポリマー、放射状トリブロックコポリマーおよび星形ブロックコポリマーならびにその混合物および配合物が挙げられる。ジブロック熱可塑性エラストマーは通常、A−B型コポリマーとして形成されるか、ハードセグメント(A)に連続して続くソフトセグメント(B)から成る。トリブロック熱可塑性エラストマーは通常、A−B−A型コポリマーとして形成されるか、1つのハードセグメントと、1つのソフトセグメントと、1つのハードセグメントの比から成る。マルチブロック熱可塑性エラストマーまたは放射状ブロック熱可塑性エラストマーまたは星形ブロック熱可塑性エラストマーは、あらゆる組み合わせのハードセグメントとソフトセグメントを含むが、このようなエラストマーは、ハード特性およびソフト特性を併せ持つ。
【0073】
好ましい実施形態では、本発明の熱可塑性エラストマーは、KratonTMゴム(Shell Chemicals社製)のクラスや同じような熱可塑性エラストマーから選択することができる。KratonTMゴムは、熱可塑性エラストマーであり、ポリマー鎖はジブロック構成、トリブロック構成、マルチブロック構成、放射状ブロック構成、星形ブロック構成またはその多数の組み合わせが挙げられる。Kratonトリブロックゴムは、ゴム(ソフト)セグメントの各端部にポリスチレン(ハード)セグメントがあり、KratonTMジブロックゴムは、ポリスチレン(ハード)セグメントにゴム(ソフト)セグメントに結合している。KratonTMの放射状構造または星形構造は、ゴムセグメントの各端部に結合したポリスチレンセグメントを有する4点または多点で形成される星形のゴムでありうる。Kratonゴムそれぞれの構造は、ポリスチレンドメインとゴムドメインを分離している。
【0074】
KratonTMゴムの各分子はスチレンモノマーユニットとゴムモノマーユニットおよび/またはゴムコモノマーユニットのブロックセグメントを含むと言われている。KratonTMトリブロックコポリマーの最もよくみられる構造は、直鎖状A−B−Aブロック型のスチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−イソプレン−スチレン、スチレン−エチレンプロピレン−スチレンまたはスチレン−エチレンブチレン−スチレンである。Kratonジブロックは、スチレン−エチレンプロピレン、スチレン−エチレンブチレン、スチレン−ブタジエンジまたはスチレン−イソプレンなどのABブロック型であるのが好ましい。KratonTMゴムの構造は、当該技術分野でよく知られており、本発明の実施内に同じような構造のあらゆるブロックコポリマーエラストマーがある。他のブロックコポリマーは、(SEEPSとして知られているエラストマーであり、Kurary社によって)Septonの商号で市販され、Exxon Dow社によってVectorTMの名で市販されている。
【0075】
本発明に有用な他の熱可塑性エラストマーには、スチレン−ブチレン/エチレン−スチレンコポリマー(トリブロック)、エチレン/プロピレン−スチレンコポリマー(放射状ブロックまたは星形ブロック)もしくはその2つの混合物または配合物を含有するブロックコポリマーエラストマーが挙げられる。(一部の製造者らが、水添ブロックコポリマー、たとえば水添スチレン−ブチレン/エチレン−スチレンコポリマー(トリブロック)としてブロックコポリマーを示す)。
【0076】
また、好ましい皮膜形成剤/レオロジー剤は、たとえば、アクリル酸の高分子量架橋ホモポリマーおよびCarbopol(登録商標)やPemulen(登録商標)などのアクリレート/C10〜30アルキルアクリレートクロスポリマーと、Salcare(登録商標)ASTなどのアニオン系アクリル酸エステルポリマーおよびSalcare SC96などのカチオン系アクリル酸エステルポリマー、アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリルアミド、ヒドロキシエチルメタクリル酸エステルポリマー、Steareth−10アリルエーテル/アクリレートコポリマーと、Aculyn(登録商標)28として知られているアクリレート/Beheneth−25メタクリレートコポリマー、グリセリルポリメタクリレート、アクリレート/Steareth−20メタクリレートコポリマー、ベントナイト、アルギナート、カラギーナン、アカシアゴム、アラビアゴム、ガッティゴム、カラヤゴム、トラガントゴム、グアーゴムなどのゴムと、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、キサンタンゴムまたはゲランゴムと、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルカルボキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルカルボキシプロピルセルロース、エチルセルロース、硫酸化セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶セルロースなどのセルロース誘導体、カンテン、ペクチン、ゼラチン、スターチおよびその誘導体、キトサンおよびヒドロキシエチルキトサンなどのキトサン誘導体と、ポリビニルアルコール、PVM/MAコポリマー、PVM/MAデカジエンクロスポリマー、ポリ(エチレンオキシド)系増粘剤、ナトリウムカルボマーならびにその混合物などの水溶性高分子を含有する。
【0077】
本発明の組成物は、また少なくとも1つの繊維を含むことができ、これは延長効果の改善を可能とする。「繊維」とは、長さL及び径Dを持つ物体において、LがDよりもかなり大きく、Dが、該繊維の断面を内接する円の径を表すような、該物体を意味するものと理解すべきである。特に、これらの比:L/D(又は形状因子)は、3.5〜2500なる範囲、特に5〜500なる範囲、及びより特定的には5〜150なる範囲内に入るように選択される。本発明の組成物において使用可能な該繊維は、合成又は天然起源の、無機又は有機繊維であり得る。これらは、短繊維、長繊維、単一繊維又は構造化繊維、例えば編組、中空又は中実繊維であり得る。これらは、任意の形状、及び特に意図した特定の用途に依存して、円形又は多角形の断面(四角形、六角形又は八角形) を持つことができる。特に、その端部は、傷の形成を防止するために、鈍角化され及び/又は研磨される。本発明の組成物において使用できる該繊維は、剛性又は非-剛性繊維から選択することができる。これらは、合成又は天然起源の、無機又は有機繊維であり得る。さらに、該繊維は、表面処理又は表面未処理繊維、また被覆又は未被覆繊維、さらに着色又は非-着色繊維であり得る。
【0078】
本発明の好ましい実施形態によれば、組成物はかなりの量の水分を含有することができる。本発明の組成物は油中水乳剤を生成するのに十分な水分を含有するのが好ましい。本発明の組成物は、組成物の総重量に対して、好ましくは約5〜約80重量%、さらに好ましくは約15〜約60重量%、最も好ましくは約20〜約50重量%で含有し、この間の全範囲および一部の範囲を含む。
【0079】
本発明の一実施形態では、本発明の組成物はシリコーン油を実質的に含有していない(言わば、約0.5%未満で含有する)。本発明の別の実施形態では、本発明の組成物は非シリコーン油を実質的に含有していない(言わば、約0.5%未満で含有する)。本発明の別の実施形態では、本発明の組成物は非揮発油を実質的に含有していない(言わば、約0.5%未満で含有する)。
【0080】
本発明の別の実施形態では、本発明の組成物はTEA−ステアラートをほとんど勧誘しないので、TEA−ステアラートの存在は組成物の化粧品特性に影響しない。好ましくは、組成物は実質的にTEA−ステアラートを含まないか(すなわち、約0.5%未満のTEA−ステアラートを含有する)、本質的にTEA−ステアラートを含まないか(すなわち、約0.25%未満のTEA−ステアラートを含有する)か、TEA−ステアラートを含まない(すなわち、TEA−ステアラートを含有しない)。
【0081】
他の好ましい実施形態によれば、角質物質に本発明の組成物を角質物質の外観を整え、保護し、および/または、高めるのに十分な量で塗布することによって、角質物質の外観を整え、保護し、および/または、高める方法が提供される。この好ましい実施形態によれば、本発明の組成物は、角質物質の外観を整え、保護し、および/または、高めるのに十分な量で角質物質の所望の領域に局所塗布される。組成物は、所望の領域に必要に応じて、好ましくは1日に1〜2回、さらに好ましくは1日に1回塗布し、衣服などの物体(たとえばコップまたはトップコート)などに接触する前に乾燥させることが可能であるのが好ましい。組成物は、好ましくは約1分以下、さらに好ましくは約45秒以下で乾燥させることができる。組成物は、乾燥しているか、塗布前に乾燥していたか、ベースコートを予め塗布した所望の領域に塗布されるのが好ましい。
【0082】
本発明の好ましい実施形態によれば、向上した化粧品特性、たとえば、向上した耐水性、向上した塗布時の感覚(たとえば抵抗性または粘着性が低い感触)、増大したにじみ耐性、増大したボリューム付与性、増大したカール性、増大したカール保持性および/または、増大した長持ち性を有する組成物が提供される。
【0083】
本発明の他の実施形態では、組成物のにじみ耐性、ボリューム付与性、耐水性、耐移動性、カール性、カール保持性および/または長持ち性を改善する方法であって、少なくとも1つのハードワックスおよび少なくとも2つのアルコキシル化脂肪アルコールを組成物に添加することを含む。
【0084】
本願の明細書および特許請求の範囲に用いる成分の量、反応条件などを示す全数字は、ほかに明示していないかぎり、いずれの場合も「約」という用語によって修飾されるとして理解する必要がある。このため、ほかに明示していないかぎり、本願の明細書および特許請求の範囲に記載される数字のパラメターは近似値であり、本発明によって得ようとする所望の属性に応じて変化させることができる。
【0085】
本発明の範囲を記載する数字の範囲とパラメターは近似値であるが、具体例に記載する数値は、可能なかぎり正確に報告している。しかし、いずれの数値も、個々の測定値にみられる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本来含む。以下の実施例は、結果として範囲を限定することなく本発明を説明することが意図される。割合は重量ベースで与えられる。
【実施例】
【0086】
実施例、マスカラ組成物
工程1:ベースマスカラ組成物の調製


手順:
1.適切なサイズ金属コンテナに、フェーズB成分(酸化鉄以外)を加えて、90℃まで(全ての固体が溶けて均一になるまで)加熱した。
2.酸化鉄を加え、バッチは少なくとも1時間、900RPMで均質化した。
3.ウォーターバスを有するサイドタンク中で、ゴムは水に前もって浸し、次にフェーズAの全ての材料を加えて、内容物を90℃まで加熱した。
4.両方のタンクが該温度になった場合、フェーズA(水相)は、500RPMで均質化しながら、ゆっくりとB(油相)に加えた。
5.混合物が均一になった後、軌道回転する刃を使用して、50RPMで均質化され、機械的にかき混ぜ棒により混ぜ合わせた。
6.フェノキシエタノールは55℃で加えた。
【0087】
工程2:マスカラベースにポリウレタン分散液を混合する


手順:
1.工程1から55℃までマスカラベースを加熱する。
2.バッチが均一になるまで、低せん断速度50RPMで、ポリウレタン水分散液をマスカラベースに混合する。
3.全てのケースにおいて、ポリウレタンの固体濃度は約7%の固体である。
【0088】
カール及びカール保持の研究
該組成物は、同一方向へ30ストロークで組成物を適用することによって、偽睫毛上へ直接適用された。次に、「カール」するか、又は睫毛を曲げるために、力を同じ方向に睫毛にかけた。次に、屈曲またはカールの量(通常に対する角度によって定まる)は、30分後に測定され、再び3時間後に測定された。
C1000を含む組成物は、30分後に12°及び3時間後に10°の初期角度を有していた。この組成物は、良好なカール性及びカール保持性を示した。
C1003を含む組成物は、30分後に19°及び3時間後に16°の初期角度を有していた。この組成物は、良好なカール性及びカール保持性を示した。
C1004を含む組成物は、30分後に21°及び3時間後に22°の初期角度を有していた。この組成物は、良好なカール性及びカール保持性を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのポリウレタン分散液と少なくとも一つのハードワックスとを含んで成る組成物。
【請求項2】
マスカラの形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
該組成物がエマルジョンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
8以上のHLB値を有する少なくとも2つの界面活性剤を更に含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
脂肪族アルコールを更に含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
8未満のHLB値を有する少なくとも1つの界面活性剤を更に含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
該組成物がエマルジョンである、請求項2に記載の組成物。
【請求項8】
少なくとも1つの顔料を更に含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項9】
8以上のHLB値を有する少なくとも2つの界面活性剤を更に含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
脂肪族アルコールを更に含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
8未満のHLB値を有する少なくとも1つの界面活性剤を更に含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
ポリウレタン水分散液は、組成物の総重量の1%から35%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
ポリウレタン水分散液は、組成物の総重量の1%から35%の量で存在する、請求項2に記載の組成物。
【請求項14】
ポリウレタン水分散液が親水性部分を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
ポリウレタン水分散液が親水性部分を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項16】
少なくとも2つのポリウレタン水分散液が存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
各々のポリウレタン水分散液は、組成物に存在する互いのポリウレタン水分散液に関して、3:1から1:3の範囲の重量比で組成物に存在する、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
少なくとも2つのポリウレタン水分散液はポリウレタン−35及びポリウレタン−32である、請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
睫毛に請求項1に記載の組成物を適用することを含んで成る睫毛のカールを保持する方法。
【請求項20】
睫毛に請求項2に記載の組成物を適用することを含んで成る睫毛をメイクアップする方法。

【公開番号】特開2011−126884(P2011−126884A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−282810(P2010−282810)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】