説明

ポリウレタン複合体、その製造方法及びその用途

硬質ポリウレタン及び該硬質ポリウレタン上に形成された軟質表皮一体(表面気泡閉塞)ポリウレタン発泡体を含んでなるポリウレタン複合体であって、硬質ポリウレタンは、600kg/m〜1200kg/mの密度、90〜99のショアA硬度、40〜80のショアD硬度、10MPa〜60MPaの引張り強さ、20MPa〜60MPaの曲げ強さ、800MPa〜2500MPaの曲げ弾性率、10%〜100%の伸び率及び10%〜100%の破断時伸びを有し、軟質表皮一体(表面気泡閉塞)ポリウレタン発泡体は、60kg/m〜200kg/mの密度、60kPa〜250kPaの引張り強さ、70%〜180%の破断時伸び、130N/m〜220N/mの引裂強度、40%〜70%の落球レジリエンス、200N〜600NのIFD25%及び600N〜1800NのIFD65%を有するポリウレタン複合体が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタン複合体、その製造方法、並びに例えば自転車用サドル及び装飾材料の製造におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の自転車用サドルは、一般に、以下の2つの構造を有する:
(I)ポリプロピレンライナー、その上に積層された連続気泡ポリウレタン発泡体及びポリウレタン/PVC最外層を含む構造;又は
(II)ポリプロピレンライナー及び一体(表面気泡閉塞)ポリウレタン発泡体を含む構造。
【0003】
ポリプロピレンライナーは、荷重の支え及び耐衝撃のために使用され、一方、ポリウレタン最外層は、柔らかさ、快適性及び耐磨耗のために使用される。製造に際し、まず、ポリプロピレン及びポリウレタンは、通常、それぞれ所望の形状に成形され、次いで、相互に接着される。接着性を改良するために、ポリプロピレンライナーの表面は、粗面化するための表面処理、又は、例えば火炎による表面処理に付されなければならない。
【0004】
そのような方法で製造された自転車用サドルには、以下のような欠点がある:
1.手動操作の故に、ポリプロピレンライナーの表面処理を完全に行うことはできず、ライナーとポリウレタンとが十分に接着されず、その結果、不良品発生率が高くなる。加えて、サドルの生産性が低い。
2.ポリプロピレンライナーとポリウレタン発泡体をと接着して製造したサドルは、長期間使用すると、サドルと乗り手の足との間の摩擦の結果、サドル底部で接着不良が起こり、使用期間が短くなる。
3.コストは別にして、接着剤の使用は、環境上の問題を引き起こすことがある。
4.環境保護への関心の高まり及び環境保護に関する法令の厳格化に伴い、「リサイクル及び処理に関する製造者の責任」を目指した規定が、多くの国で制定されている。すなわち、製造者は、廃プラスチック(プラスチックサドルを含む)をリサイクル及び処理しなければならない。現在のところ、サドルのリサイクルは、ポリウレタン最外層からポリプロピレンライナーを剥離し、それぞれを処理することを含む。そのような方法を、大規模に機械的に行うことは困難である。更に、例えば剥離には大量の作業と人的労力が必要であり、従って、製造コストが上昇する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の1つの目的は、従来から存在している上記のような技術的課題を解決し、ポリプロピレン含有材料をポリウレタン複合体により代替し、それより、製造方法を簡略化し、生産性及び品質を向上し、接着剤の使用を回避して接着剤による環境問題をなくすことである。
【0006】
本発明の別の目的は、ポリプロピレン材料の表面処理における手作業により生じる欠点の無い、ポリウレタン複合体の製造方法を提供することである。
【0007】
本発明の更なる目的は、自転車用サドル及び装飾材料の製造におけるポリウレタン複合体の使用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの態様によれば、ライナーとしての硬質ポリウレタン層及び該硬質ポリウレタンライナー上に直接発泡させた軟質一体(表皮一体)(表面気泡閉塞)ポリウレタン発泡体層を含んでなるポリウレタン複合体であって、
硬質ポリウレタンは、ポリイソシアネート、ポリエーテルポリオール/ポリエステルポリオール及び連鎖延長剤の反応生成物であり、600kg/m〜1200kg/mの密度、40〜80のショアD硬度、10MPa〜60MPaの引張り強さ、20MPa〜60MPaの曲げ強さ、800MPa〜2500MPaの曲げ弾性率及び25%〜150%の破断時伸びを有し、
軟質一体(表面気泡閉塞)又はHRポリウレタン発泡体は、発泡剤としての水の存在下でのジイソシアネート/ポリイソシアネートとポリオールとの反応生成物であり、60kg/m〜180kg/mの密度、60kPa〜250kPaの引張り強さ、70%〜180%の破断時伸び、130N/m〜220N/mの引裂強度、40%〜70%の落球レジリエンス、200N〜600NのIFD25%及び600N〜1800NのIFD65%を有する、ポリウレタン複合体が提供される。
【0009】
本発明の別の態様に寄れば、ポリウレタン複合体を製造する方法であって、
1)複合金型の上部ダイに、ポリイソシアネート、ポリエーテルポリオール又はポリエステルポリオール及び連鎖延長剤を加えて、硬質ポリウレタンのライナーを形成し、
おいて硬質ポリウレタンのライナーを形成し、
2)複合金型の下部ダイに、軟質ポリオール発泡体を生成するための、ジイソシアネート/ポリイソシアネート、ポリオール及び発泡剤としての水を加え、
3)複合金型を閉鎖して、軟質ポリウレタン発泡体を、硬質ポリウレタンライナーの表面上で直接発泡させて、軟質一体(表面気泡閉塞)ポリウレタン発泡体の層を形成する
工程を含む方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を、その好ましい実施態様を参照して、説明する。
1つの態様において、本発明は、ライナーとしての硬質ポリウレタンの層、及びその上に発泡された軟質ポリウレタン発泡体の層を有するポリウレタン複合体を提供する。
【0011】
本発明のポリウレタン複合体の硬質ポリウレタンは、ポリイソシアネート、ポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリオール並びに連鎖延長剤の反応生成物である。
【0012】
ポリイソシアネートは、常套のものであり、その非限定的な例は、トルエンジイソシアネート、例えば2,4−トルエンジイソシアネート及び2,6−トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、例えばジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネート及び18%〜33.6%のNCO含量を有するジフェニルメタンジイソシアネートの変性生成物である。
【0013】
本発明の硬質ポリウレタンのライナーの製造に使用するポリイソシアネートは、市販されており、その非限定的な例は、以下の製品である:
SBU J243、Desmodur 3133、Desmodur 3230、Desmodur 44P01、Desmodur PU1511L及びDesmodur 44V20の商品名でBayer から入手できる製品;
PAPI M227及びISONATE M 143の商品名でDow Chemicals から入手できる製品;
Lupranate M20Sの商品名でBASF から入手できる製品;並びに
SUPRASEC 5005の商品名でHuntsman から入手できる製品。
【0014】
本発明において適しているポリエーテルポリオールの非限定的な例は、2〜8、好ましくは2〜6の官能価及び20〜800のヒドロキシル価を有し、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、蔗糖、ソルビトール、エチレンジアミン又はトルエンジアミンなどを原料として使用して生成されるポリエーテルポリオールである。ポリエーテルポリオールの好ましいヒドロキシル価は、100〜700である。
【0015】
ポリエステルポリオールの非限定的な例は、アジピン酸及び/又は無水フタル酸とエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トロメチロールプロパン、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキシレングリコール、ペンタンジオールなどとの縮合重合により得られる主鎖を有し、2〜4の官能価及び50〜500のヒドロキシル価を有するポリエステルポリオールである。
【0016】
適当なポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリオールは、市販されており、その非限定的な例は、Baydur CSP EF 0801-1、Baydur TTPU601 K20B及びBaydur PU 85BD04 の商品名でBayer から入手できる製品である。
【0017】
本発明において適している連鎖延長剤は、例えば、2価アルコール、3価アルコール及びジアミンである。2価/3価アルコール連鎖延長剤の非限定的な例は、エチレングリコール、ブタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジエチレングリコール及びジプロピレングリコールであり、ジアミンの非限定的な例は、芳香族ジアミン又は脂肪族ジアミン、例えば、エチレンジアミン及びトルエンジアミンなどである。
【0018】
本発明のポリウレタン複合体の硬質ポリウレタンにおいて、ポリイソシアネート対ポリオールのモル比は、100〜130:100、好ましくは105〜120:100、より好ましくは108〜115:100である。
【0019】
本発明のポリウレタン複合体の硬質ポリウレタンは、600〜1200kg/m、好ましくは1000〜1200kg/mの密度、90〜99、好ましくは95〜98のショアA硬度、40〜80、好ましくは65〜75のショアD硬度、10〜60MPa、好ましくは35〜45MPaの引張り強さ、10〜25%、好ましくは12〜20%の破断時伸びを有する。
【0020】
必要により、付加的な添加剤を、本発明のポリウレタン複合体の硬質ポリウレタンに添加することができる。添加剤は、例えば、難燃剤(例えば、トリ(2−クロロエチル)ホスフェート(TECP)、トリ(1,3−ジクロロ−2−プロピル)ホスフェート、トリ(1−クロロ−2−プロピル)ホスフェート(TCPP)及びジメチルプロピルホスフェート(DMPP)である。
【0021】
本発明のポリウレタン複合体は、更に、軟質一体(表面気泡閉塞)ポリウレタン発泡体を含む。この発泡体は、発泡剤としての水の存在下でのジイソシアネートとポリオールの反応生成物である。
【0022】
ジイソシアネートは、常套のものであり、その非限定的な例は、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、及びジフェニルメタンジイソシアネートである。好ましいジイソシアネートは、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、24〜33%、好ましくは18〜30%のNCO含量を有するジフェニルメタンジイソシアネートの変性生成物、及び26%〜42%、好ましくは30〜40%のNCO含量を有するジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)とトルエンジイソシアネート(TDI)との混合物からなる群から選択される。
【0023】
ポリオールは、2〜4の官能価、及び18〜60、好ましくは20〜50のヒドロキシル価を有する。好ましい形態において、ポリオールは、2種以上のモノマーによりグラフトされたポリオールである。2種以上のモノマーによりグラフトされたポリオールの非限定的な例は、2〜4の官能価、18〜25のヒドロキシル価及び25〜46%の固形分を有するもの(ポリスチレンPS、ポリアクリロニトリルPA、ポリウレア)である。
【0024】
軟質ポリウレタン発泡体を生成するのに使用されるポリオールは、市販されている。その非限定的な例は、Bayfit 2856-LY、Bayfit HM 1124及びBayfit 2873-LYの商品名でBayer から入手できる製品である。
【0025】
本発明の軟質一体(表面気泡閉塞)ポリウレタン発泡体を生成するのに使用されるポリオール系は、ポリオール系の合計量に対して0.4〜1.0質量%、好ましくは0.6〜0.8質量%の水を含む。重合中、水は発泡剤として作用する。
【0026】
本発明の軟質一体(表面気泡閉塞)又はHR(高弾性軟質)ポリウレタン発泡体は、60〜200kg/m、好ましくは70〜150kg/mの密度、60kPa〜250kPa、好ましくは80kPa〜200kPaの引張り強さ、70〜180%、好ましくは87〜160%の破断時伸び、130〜220N/m、好ましくは150〜200N/mの引裂強度、40〜70%、好ましくは50〜65%の落球レジリエンス、200〜600N、好ましくは300〜500NのIFD25%、及び600〜1800N、好ましくは900〜1100NのIFD65%を有する。
【0027】
本発明のポリウレタン複合体の軟質ポリウレタン発泡体に、UV安定剤を加えることもできる。UV安定剤は、特定の種類に限定されず、常套のUV安定剤のいずれであってもよい。UV安定剤の非限定的な例は、Irganox 565[2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリン)−4,6−ジ(n−ヘキシルチオ)−1,3,5−トリアジンなどである。
【0028】
必要なら、他の添加剤を、本発明の硬質ポリウレタン及び軟質ポリウレタン発泡体の両方に添加することができる。添加剤は、例えば、難燃剤(例えば、トリ(2−クロロエチル)ホスフェート(TECP)、トリ(1,3−ジクロロ−2−プロピル)ホスフェート、トリ(1−クロロ−2−プロピル)ホスフェート(TCPP)及びジメチルプロピルホスフェート(DMPP))、着色剤、気泡安定剤などである。当業者なら、必要に応じて、適切な添加剤を容易に選択することができる。
【0029】
他の態様において、本発明は、以下の工程を含む、ポリウレタン複合体の製造方法を提供する:
(1)複合金型の上部ダイに、ポリイソシアネート及びポリオールの混合物を加え、ダイを2〜6分間閉じ、ダイを開いて、硬質ポリウレタンのライナーを得る工程;
本明細書で使用する場合、「複合金型」は、上部ダイ及び下部ダイを有する金型を意味し、上部ダイは、ある形状を有する物品、通常、硬質ポリウレタンのライナーを形成するのに使用でき、下部ダイは、金型を閉じた後に硬質ポリウレタンのライナーの表面で直接軟質ポリウレタン発泡体が形成できるように、ポリウレタン発泡体の反応混合物を保持することができる。
【0030】
上部ダイの形状は、最終用途に依存する。ポリウレタン複合体が自転車用サドルである場合、上部ダイの形状は、金型を閉じた後、下部ダイ中の軟質ポリウレタン発泡体が硬質ポリウレタンライナーの表面上で直接発泡でき、発泡した表面層を形成するように、自転車用サドルの形状に対応していなければならない。ポリウレタン複合体が装飾材料、例えば、柱(円柱)のカバーパネルである場合、上部ダイの形状は、柱の円弧の形状に対応していなければならない。実際上、上部ダイ及び下部ダイの位置は入れ替えることができる。
【0031】
(2)複合金型の下部ダイに、軟質一体(表面気泡閉塞)ポリウレタン発泡体を生成するためのジイソシアネートとポリオールの混合物を加える工程;
(3)複合金型を閉鎖して、軟質一体(表面気泡閉塞)ポリウレタンを、硬質ポリウレタンライナーの上で直接発泡させる工程。
【0032】
上記のように、本発明のポリウレタン複合体は、荷重を支え、衝撃に耐え得る硬質ポリウレタンと、その上に直接形成された軟質一体(表面気泡閉塞)ポリウレタン発泡体とを含む。例えば自転車用サドルを製造するのに使用する場合、硬質ポリウレタンは、耐衝撃性の機能を提供し、荷重を支え、一方、軟質一体(表面気泡閉塞)ポリウレタン発泡体は、快適さと耐摩耗性を提供する。このようなポリウレタン複合体は、ポリプロピレンライナーの表面を手動で処理しなければならないという従来技術の欠点を解消でき、従って、生産性と生産量とを向上する。加えて、2種の共通したポリウレタンの故に、本発明のポリウレタン複合体は、リサイクルに際して剥離する必要がないので、労働費を低減でき、大量生産に適している。更に、ポリウレタン複合体は接着剤を使っていないので、接着剤のコストを削減でき、環境への悪影響を排除することができる。一方、装飾材料(例えば、装飾壁パネル)として使用する場合、柔らかい感触に加え、本発明の複合体の軟質ポリウレタン発泡体表面は、吸音特性を有している。従って、本発明のポリウレタン複合体は、防炎効果及びコスト削減効果を得るために、装飾布製品と置き換えることができる。
【実施例】
【0033】
以下、実施例を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【0034】
実施例1
硬質ポリウレタン発泡体の製造
成分A:
SBU J243、変性MDI−変性ポリフェニルメタンジイソシアネート(Bayer (China) Limited から入手)
NCO% 32%
粘度(25℃) 25mPa.s
成分B:
Baydur CSP EF0801-1(Bayer (China) Limited から入手)
ヒドロキシル価 約370mgKOH/g
水含量 <0.15質量%
粘度(25℃) 約1700mPa.s
【0035】
Baydur CSP EF0801-1(成分B、ポリエーテルブレンド)100重量部を、SBU J243(成分A、反応指数110)100重量部と、室温で10秒間反応させ、得られた混合物を、50℃に予熱した複合金型に注入し、金型を10分間閉鎖し、脱型する。成型物品は、次の性質を有する。
【0036】
【表1】

【0037】
実施例2
硬質ポリウレタン発泡体の製造
成分A:
Desmodur 44P01、変性MDI−変性ポリフェニルメタンジイソシアネート(Bayer (China) Limited から入手)
性質 公称値(単位)
NCO含量 19.0±0.5(質量%)
粘度(DIN 35015, 25℃) 140±30(mPa.s)
酸価 <400(ppmHCl)
成分B:
Baydur TP.PU 601K20(Bayer (China) Limited から入手)
性質 公称値(単位)
ヒドロキシル価 515±25(mgKOH/g)
水含量 0.55±0.1(質量%)
粘度(25℃) 1450±200(mPa.s)
【0038】
Baydur TP.PU 601K20 混合物(成分B)100重量部を、Desmodur 44P01(成分A、反応指数110)140重量部と、高圧容器中でブレンドした。典型的な加工条件は以下のとおりである:
原料の温度[ポリオール/イソシアネート](℃):30〜35/30〜35
原料の圧力[ポリオール/イソシアネート](MPa):約15/約15
金型温度(℃):60〜70
射出時間(秒):<5
【0039】
10分間成型した後、脱型して得た物品は以下の性質を有していた。
【0040】
【表2】

【0041】
実施例3
硬質ポリウレタン発泡体の製造
成分A:
Desmodur PU1511L、変性MDI(Bayer (China) Limited から入手)
NCO% 約31%
粘度(25℃) 約120mPa.s
成分B:
Baydur PU 85BD04(Bayer (China) Limited から入手)
ヒドロキシル価 約370mgKOH/g
水含量 <0.15質量%
粘度(25℃) 約1700mPa.s
【0042】
Baydur PU 85BD04ポリエーテル混合物(成分B)100重量部を、Desmodur PU1511L(成分A、反応指数110)100重量部と、室温で10秒間反応させ、得られた混合物を、50℃に予熱した複合金型に注入し、金型を10分間閉鎖し、脱型する。成型物品は、次の性質を有する。
【0043】
【表3】

【0044】
実施例4
軟質ポリウレタン発泡体の製造
成分A:
SBU J243、変性MDI−変性ポリフェニルメタンジイソシアネート(Bayer (China) Limited から入手)
NCO% 約32%
粘度(25℃) 約25mPa.s
成分B:
Bayfit 2856-LY(Bayer (China) Limited から入手)
ヒドロキシル価 約33mgKOH/g
水含量 約2.5質量%
粘度(25℃) 約1100mPa.s
【0045】
Bayfit 2856-LYポリエーテル混合物(成分B)100重量部を、SBU J243(成分A、反応指数90)35重量部と、室温で7秒間反応させ、得られた混合物を、45℃に予熱した複合金型に注入し、金型を10分間閉鎖し、脱型する。成型物品は、次の性質を有する。
【0046】
【表4】

【0047】
実施例5
軟質ポリウレタン発泡体の製造
成分A:
SBU J243、変性MDI−変性ポリフェニルメタンジイソシアネート(Bayer (China) Limited から入手)
NCO% 約32%
粘度(25℃) 約25mPa.s
成分B:
Bayfit HM 1124(Bayer (China) Limited から入手)
ヒドロキシル価 約29mgKOH/g
水含量 約1.0質量%
粘度(25℃) 約1100mPa.s
【0048】
Bayfit HM 1124ポリエーテルポリオール混合物100重量部を、SBU J243(成分A、反応指数90)18.5重量部と、室温で7秒間反応させ、得られた混合物を、45℃に予熱した複合金型に注入し、金型を10分間閉鎖し、脱型する。成型物品は、次の性質を有する。
【0049】
【表5】

【0050】
実施例6
軟質ポリウレタン発泡体の製造
成分A:
SBU J243、変性MDI−変性ポリフェニルメタンジイソシアネート(Bayer (China) Limited から入手)
NCO% 約32%
粘度(25℃) 約25mPa.s
成分B:
Bayfit 2873-LY(Bayer (China) Limited から入手)
ヒドロキシル価 約33mgKOH/g
水含量 約0.8質量%
粘度(25℃) 約1100mPa.s
【0051】
Bayfit 2873-LYポリエーテル混合物(成分B)100重量部を、SBU J243(成分A、反応指数90)16重量部と、室温で7秒間反応させ、得られた混合物を、45℃に予熱した複合金型に注入し、金型を10分間閉鎖し、脱型する。成型物品は、次の性質を有する。
【0052】
【表6】

【0053】
実施例7
自転車用サドルの製造
自転車用サドルの製造に使用する複合金型の上部ダイに、生成した硬質ポリウレタンを脱型せずに上部ダイに残しておくこと以外は実施例1に記載したようにして、硬質ポリウレタンを製造する。この複合金型の下部ダイに、実施例4に記載した反応混合物を添加し、金型を10分間閉じ、脱型して、本発明の複合体から作られた自転車用サドルを得る。このサドルは、本発明の硬質ポリウレタンと軟質ポリウレタンの両方の性質を有する。
【0054】
実施例8
円弧形金型を用いて、実施例2に記載した硬質ポリウレタン及び実施例6に記載した軟質ポリウレタンを使用すること以外は実施例7に記載した方法により、ポリウレタン複合体を製造する。脱型して、アーク形の複合体を得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライナーとしての硬質ポリウレタン層及び該硬質ポリウレタンライナー上に直接発泡させた軟質一体(表面気泡閉塞)ポリウレタン発泡体層を含んでなるポリウレタン複合体であって、
硬質ポリウレタンは、ポリイソシアネートと、3価アルコール、4価アルコール及び5価アルコールからなる群から選択されるポリオールとの反応生成物であり、600kg/m〜1200kg/mの密度及び40〜80のショアD硬度を有し、
軟質ポリウレタン発泡体は、発泡剤としての水の存在下でのジイソシアネートとポリオールとの反応生成物であり、60kg/m〜200kg/mの密度、60kPa〜250kPaの引張り強さ、70%〜180%の破断時伸び及び130N/m〜220N/mの引裂強度を有する、ポリウレタン複合体。
【請求項2】
硬質ポリウレタンは、900kg/m〜1200kg/mの密度、92〜99のショアA硬度、50〜80のショアD硬度、20MPa〜60MPaの引張り強さ、10%〜100%、好ましくは10%〜25%の破断時伸び、20MPa〜60MPaの曲げ強さ、及び800MPa〜2500MPaの曲げ弾性率を有し、
軟質一体(表面気泡閉塞)ポリウレタン発泡体層は、70kg/m〜150kg/mの密度、80kPa〜200kPaの引張り強さ、87%〜160%の破断時伸び、150N/m〜200N/mの引裂強度、50%〜65%の落球レジリエンス、300N〜600NのIFD25%、及び900N〜1700NのIFD65%を有する、
請求項1に記載のポリウレタン複合体。
【請求項3】
硬質ポリウレタン中のポリイソシアネートとポリオールのモル比は、105:100〜130:100である請求項1又は2に記載のポリウレタン複合体。
【請求項4】
硬質ポリウレタンを生成するためのポリイソシアネートは、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート及び18%〜33.6%のNCO含量を有するジフェニルメタンジイソシアネートの変性生成物からなる群から選択され、
硬質ポリウレタンを生成するためのポリオールは、2〜8の官能価及び20〜800のヒドロキシル価を有し、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、蔗糖、ソルビトール、エチレンジアミン又はトルエンジアミンを原料として使用して生成されるポリエーテルポリオール、並びにアジピン酸及び/又は無水フタル酸とエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トロメチロールプロパン、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキシレングリコール、ペンタンジオールとの縮合重合により得られる主鎖を有し、2〜4の官能価及び50〜500のヒドロキシル価を有するポリエステルポリオールからなる群から選択される、
請求項1又は2に記載のポリウレタン複合体。
【請求項5】
ポリエーテルポリオールは、ポリプロピレンオキシドの主鎖構造を有し、該ポリプロピレンオキシド構造は、10〜20%のポリエチレンオキシドセグメントを含むか、又は該ポリプロピレンオキシド構造は、10〜20%のポリエチレンオキシドセグメントにより末端化されている、請求項4に記載のポリウレタン複合体。
【請求項6】
軟質一体ポリウレタン発泡体を生成するために使用されるジイソシアネートは、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、24〜33%のNCO含量を有するジフェニルメタンジイソシアネートの変性生成物、及び26%〜42%のNCO含量を有するジフェニルメタンジイソシアネートとトルエンジイソシアネートとの混合物からなる群から選択され、
軟質一体ポリウレタン発泡体を生成するために使用されるポリオールは、2〜4の官能価、18〜60のヒドロキシル価、及び10〜20%のポリエチレンオキシドセグメントを有するか又は10〜20%のポリエチレンオキシドセグメントにより末端化されているポリプロピレンオキシドの主鎖構造を有する、
請求項1又は2に記載のポリウレタン複合体。
【請求項7】
軟質一体ポリウレタン発泡体を生成するために使用されるポリオールは、2種以上のモノマーによりグラフトされ、2〜4の官能価、18〜25のヒドロキシル価及び20〜46%の固形分を有するポリオールである、請求項1又は2に記載のポリウレタン複合体。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載のポリウレタン複合体を製造する方法であって、
1)複合金型の上部ダイにおいて硬質ポリウレタンのライナーを形成し、
2)複合金型の下部ダイに、軟質ポリオール発泡体を生成するのに使用するジイソシアネート、ポリオール及び発泡剤を加え、
3)複合金型を閉鎖して、軟質ポリウレタン発泡体を、硬質ポリウレタンライナーの表面上で直接発泡させる
工程を含む方法。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれかに記載のポリウレタン複合体から製造された自転車用サドル。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれかに記載のポリウレタン複合体から製造された装飾材料。

【公表番号】特表2008−514460(P2008−514460A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−533854(P2007−533854)
【出願日】平成17年9月26日(2005.9.26)
【国際出願番号】PCT/CN2005/001571
【国際公開番号】WO2006/034640
【国際公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】