説明

ポリエステルモノフィラメント

【課題】 スクリーン紗用途における品質要求を満足するために、製織におけるヒゲ状物や粉末状のスカムの少ないポリエステルモノフィラメントを提供することにある。
【解決手段】 処理剤有効成分に対する含有率が1〜10重量%であるポリオキシアルキレン基を有する共重合体と、処理剤有効成分に対する含有率が1〜10重量%である脂肪酸金属塩を必須成分とする処理剤が有効成分換算で0.1〜1.0重量%付与されたことを特徴とするポリエステルモノフィラメント。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン紗用途に用いられるポリエステルモノフィラメントに関するものであり、さらに詳しくは電極基板の電極ペースト塗布などに使用するスクリーン紗およびCD印刷や織り密度が300メッシュ以上の高密度織物で構成されるスクリーン紗などに用いられるポリエステルモノフィラメントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
印刷スクリーン紗用織物としては、従来シルクなどの天然繊維やステンレスなどの無機繊維からなる織物が広く使用されてきたが、近年は柔軟性や耐久性、コストパフォーマンスに優れる合成繊維メッシュが使用され、中でもポリエステルモノフィラメントは寸法安定性に優れるなどスクリーン紗用に好適であり、広く普及している。
【0003】
近年、家電業界における家庭用大画面薄型テレビの普及に伴い、これらテレビを構成する電極基板へのペーストの塗布や電子回路印刷、コンパクトディスクの普及やコンピューターグラフィックスによるデザイン印刷・刊行物が主流となる中で感熱孔版印刷などに合成繊維メッシュを用いる試みがなされており、メッシュ・線径がより細かいポリエステルモノフィラメントが要求されている。しかし、メッシュの細かい高密度の織物については高速で製織するため、特に合成繊維と小ピッチ配列の筬の接触頻度および摩擦・擦過が増加し、ポリエステルモノフィラメントの表面が削り取られてヒゲ状あるいは粉末状のスカムが発生し易い状態にある。
【0004】
これらヒゲ状物や粉末状のスカムはペースト塗布用途においては、メッシュの欠点が直ちにペースト厚みムラになり、家庭用大画面薄型テレビの電極基板においては画像欠点に繋がる。また、コンパクトディスク印刷やグラフィック印刷においては、メッシュの欠点がそのまま印刷欠点となり、商品価値が失われてしまう。
【0005】
すなわち、前記用途における品質要求を満足するために、製織におけるヒゲ状物や粉末状のスカムの少ないポリエステルモノフィラメントを提供することが重要な課題となる。
【0006】
従来、スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメントについては、スカム発生の低減を目的とする技術が数多く提案されている。
【0007】
例えば、ポリエステルモノフィラメントを製造するに際し、特定の側鎖変性シリコーン樹脂を付与する方法(特許文献1参照)、レッドウッド粘度100秒以下の鉱物油を主成分としたエマルションに水溶性シリコンを1〜5重量%含有し、濃度10%以下で付与する方法(特許文献2参照)、ポリエステルモノフィラメント高密度織物を製織するに際して、脂肪酸変性ポリオルガノシロキサンを含有する油剤をポリエステルモノフィラメントに付与する方法(特許文献3参照)などが提案されているが、確かにこれら化合物を含有する油剤を付与したポリエステルモノフィラメントは平滑性に富み、製織時に発生する筬、綜絖などとの擦過を抑制する効果があり、当時の品質要求、織機の洗浄周期の要求は満たしていたが、近年の製織速度向上、品質要求、織機の洗浄周期延長の要求は益々高いものとなり、これら提案では満足できるものはなくなってきている。
【特許文献1】特開平06−108318号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開昭63−042912号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】特開昭61−063775号公報(特許請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、上記従来技術の欠点を解消し、前記スクリーン紗用途における品質要求を満足するために、製織におけるヒゲ状物や粉末状のスカムの発生の少ないポリエステルモノフィラメントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、処理剤有効成分に対する含有率が1〜10重量%であるポリオキシアルキレン基を有する共重合体と、処理剤有効成分に対する含有率が1〜10重量%である脂肪酸金属塩を必須成分とする処理剤が有効成分換算で0.1〜1.0重量%付与されたことを特徴とするポリエステルモノフィラメントにより達成することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の特定処理剤を付与したモノフィラメントをスクリーン紗に製織した際に、ヒゲ状物や粉末状のスカムの発生の少ないポリエステルモノフィラメントを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
処理剤の有効成分であるポリオキシアルキレン基を有する共重合体は、処理剤の膜形成を強化しポリエステルモノフィラメントと筬や綜絖等の金属との擦過において、ポリエステルモノフィラメントの削れや金属の摩耗を防止する効果がある。処理剤有効成分に対する含有率が1〜10重量%、共重合体の分子量は3000〜15000が好ましく、より好ましくは10000以下、さらに好ましくは5000以下である。含有率が10重量%を超えると、処理剤が高粘度化してモノフィラメントから脱離し、紡糸機や織機に堆積し、モノフィラメントと筬や綜絖等との摩擦が高くなり、ヒゲ状物や粉末状のスカムが発生し、製織の効率が低下するので好ましくない。更に、高粘度化した処理剤はモノフィラメント表面に均一に付着しにくく、処理剤付着むらとなって製糸時および製織時の張力変動等により性能ムラが発生するので好ましくない。好ましくは8重量%以下である。また、含有率が1重量%未満では、膜形成が不十分でモノフィラメント表面が直接筬や綜絖等と接触することになり、モノフィラメント表面の削れが発生する他、筬や綜絖自体も摩耗するので好ましくない。好ましくは5重量%以上である。
【0012】
ポリオキシアルキレン基を有する共重合体は、分子中にポリオキシアルキレン基を有するポリエーテルモノオール、ポリエーテルジオール、ポリエーテルトリオール等が挙げられる。中でも炭素数1〜18の1〜3価ヒドロキシ化合物のエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等を1種あるいは複数種、ブロックまたはランダムに共重合したものが好ましい。
【0013】
また、本発明は、処理剤有効成分に対する含有率が1〜10重量%である脂肪酸金属塩を含有する。脂肪酸金属塩はモノフィラメントに制電性を付与するばかりでなく、モノフィラメントと筬や綜絖等の金属との擦過において、金属の摩耗を防止する効果がある。筬や綜絖等の金属摩耗が進行すると、モノフィラメントの表面が削れ易くなり、ヒゲ状物や粉末状のスカムの発生原因となる。
【0014】
脂肪酸金属塩としては、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸の中から選ばれる1種または2種以上の混合体であり、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、カプリン酸、オレイン酸、リノレン酸、リノール酸、リシノレイン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等のアルカリ金属塩が挙げられる。脂肪酸金属塩の含有率としては処理剤有効成分に対して1〜10重量%であり、2〜5重量%が好ましい。1重量%未満では、制電性能が不足するばかりか、金属摩耗が増加し、スカムの発生、糸切れに繋がる。10重量%を超えると、延伸の熱セットの際にホットロールやヒーターの汚れが増加し、製品品位が低下する。金属塩の種類としては、Na、K、Li等が挙げられる。
【0015】
処理剤はモノフィラメントに、有効成分換算で0.1〜2.0重量%付与するものであり、1.0重量%以下が好ましく、0.5重量%以下が好ましい。0.1重量%未満では平滑性、集束性、制電性が不足してモノフィラメントの擦過による毛羽、糸切れの増加、張力の増加、金属摩耗の増加、静電気が発生し操業上好ましくない。2.0重量%を超えると、操業中に処理剤が飛散し作業環境を悪化させる他、紡糸機の汚れによる糸切れの発生や製織時に処理剤に起因するスカム発生の原因となる。
【0016】
ポリエステルモノフィラメントへの処理剤の付与方法は、従来公知の方法を採用することができる。溶融紡糸プロセスでは、0.1〜30.0重量%の水系エマルションで付与する方法が好ましいが、ストレート処理剤の状態やその他の溶媒を用いて付与しても良く、計量ポンプを用い、ガイドを介して付与する方法や、ローラーを介して付与する方法の方法を用いることができる。
【0017】
本発明の処理剤の有効成分である有機基含有ホスフェート金属塩は、モノフィラメントに制電性を付与するばかりでなく、モノフィラメントと筬や綜絖等の金属との擦過において、金属の摩耗を防止する効果がある他、金属以外のガイド類との擦過を抑制する効果もある。前記脂肪酸金属塩との併用により筬や綜絖等の金属摩耗防止効果が更に増大し、筬や綜絖等の金属との擦過、摩擦後の張力低減効果もある。また、製糸工程、特に延伸工程での加熱ローラーや熱セットプレート等でモノフィラメントが加熱される部分では有機基含有ホスフェート金属塩に起因する着色汚れが発生し易く、あるいは熱処理により処理剤が酸化して製品が部分的に淡黄色〜褐色に着色し易くなるので、有機基含有ホスフェート金属塩の含有率は10重量%以下が好ましい。より好ましくは処理剤有効成分に対する含有率は1〜5重量%であり、2重量%以上が更に好ましい。
【0018】
金属塩の種類としては、Na、K、Li等が挙げられる。また、有機基としては、炭素数10〜18のアルキル基、アルキレン基やアリール基等であり、有機基含有ホスフェート金属塩がエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等の1種または2種以上を共重合していると、処理剤原液および水系エマルションの安定性が向上するのでより好ましい。
【0019】
また、本発明の処理剤は、処理剤有効成分に対する含有率が1〜5重量%である有機基含有スルホネート金属塩を含有することが好ましい。有機基含有スルホネート金属塩は、モノフィラメントに制電性を付与する他、前記有機基含有ホスフェート金属塩との併用により、制電性の向上と製糸工程、特に延伸工程での加熱ローラーや熱セットプレート等モノフィラメントが加熱される部分の着色汚れを低減する効果がある。有機基含有ホスフェート金属塩と有機基含有スルホネート金属塩とを合わせた含有率は10重量%以下が好ましい。より好ましくは処理剤有効成分に対する含有率は1〜5重量%であり、2重量%以上が更に好ましい。
【0020】
金属塩の種類としては、Na、K、Li等が挙げられる。また、有機基としては、炭素数10〜18のアルキル基、アルキレン基やアリール基等であり、有機基含有ホスフェート金属塩がエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等の1種または2種以上を共重合していると、処理剤原液および水系エマルションの安定性が向上するのでより好ましい。
【0021】
本発明の処理剤には、本発明の効果の範囲内で、防腐剤、酸化防止剤やその他の添加剤を含有しても良い。また本発明のポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。更に、酸化チタン、酸化ケイ素、炭酸カルシウム、チッ化ケイ素、クレー、タルク、カオリン、カーボンブラック等の粒子のほか、着色防止剤、安定剤、抗酸化剤、有機系顔料、無機系顔料等の添加剤を含有していてもよい。
【0022】
本発明のポリエステルモノフィラメントの固有粘度は、0.6〜1.0であることが好ましい。固有粘度が0.6以上であることで繊維強伸度が高くなるため、ポリエステルモノフィラメントの細繊度化が可能である。また固有粘度が1.0以下であると曳糸性が向上するので好ましい。
【0023】
また、繊維の断面形状は丸断面、3葉以上の異形断面や凸部、凹部、凹凸部とこれらが複合した異形断面であってもよく、2種類以上の組み合わせから成る芯鞘糸、サイドバイサイド糸、海島糸、割繊糸、ポリマブレンド糸、中空部を有する糸、C型断面糸等の複合繊維であってもよい。
【0024】
本発明のポリエステルモノフィラメントの製造方法としては従来公知の方法で製造することができ、押し出し機については、一般的にポリマ排出性が高くデッドスペースでのポリマ滞留時間が短いエクストルダー押し出し機を用いることが好ましい。また、紡糸温度やポリマ溶融温度については、目的とする物性が得られ、安定紡糸可能な範囲内で低温化することが好ましく、ポリマの熱劣化を抑制することが好ましく、紡糸温度は260〜300℃が好ましい。
【0025】
本発明の延伸方法については、用いるポリマの固有粘度(IV)や、得ようとする強伸度によって、適宜、延伸温度、熱処理温度、延伸倍率、延伸工程での張力、ローラー構成等を変更できる。また、未延伸糸をいったん巻き取ることなく直接延伸する直接紡糸延伸法であってもよい。
【実施例】
【0026】
以下実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例中の特性値は以下に述べる方法で測定した。
(1)ポリマ固有粘度(IV)
オルソクロロフェノール10ml中に試料ポリマを0.8g溶かし、25℃にてオストワルド粘度計を用いて相対粘度ηγを次式により算出した値である。
ηγ=η/η0=(t×q)/(t0×q0)
IV=0.0242ηγ+0.2634
但し、η:ポリマ溶融粘度、η0:OCPの粘度、t:溶液の落下時間(秒)、q:溶液密度(g/cm)、t0:OCPの落下時間(秒)、q0:OCPの密度(g/cm)。
(2)スカム評価
スルーザー型製織機を使用し、350メッシュ〜500メッシュのスクリーン紗織物を連続で製織し、筬の汚れが進行して正常な製織を維持できず、停機せざるを得なくなった時点までの製織長を求め、350メッシュの場合は、300mを超えるものを◎、250m以上300m未満を○、250m未満を×とし、355メッシュ〜500メッシュの製織の場合は、180mを超えるものを◎、150m以上180m未満を○、150m未満を×とし判定を行った。
(3)延伸機ローラー汚れ
延伸工程でポリエステルモノフィラメントの熱セット温度を130℃に設定、14日間連続運転した際の熱セット部分の汚れと該ヒーター部のポリエステルモノフィラメントの走行状態を下記の通り判定した。
【0027】
なお、着色汚れとは熱板上の堆積物の色が白色、微黄色、褐色、黒褐色等の色を呈する状態である。
◎:14日間連続運転で着色汚れなし。ヒーター部ポリエステルモノフィラメントの走行状態安定
○:14日間連続運転で着色汚れあり。ヒーター部ポリエステルモノフィラメントの走行状態安定
×:14日間連続運転で着色汚れあり。ヒーター部ポリエステルモノフィラメントの走行状態不安定
(4)処理剤付着量
ポリエステルモノフィラメント10gを採取し、ソックスレー抽出管を用いて、メタノールを溶媒として30分間処理剤を抽出した。抽出物の重量と採取したポリエステルモノフィラメントの重量から処理剤付着量を算出した。
(5)製品着色
ポリエステルモノフィラメント延伸パーンの表面品位を色相の均一性及び淡黄色〜褐色に着色した部分がないかを熟練者5名による3段階判定で評価した。
◎:パーン前面および部分的着色なし
○:パーン前面着色無し、または部分的着色2カ所以下あり
×:パーン前面着色あり、または部分的着色3カ所以上あり
(6)制電性
350メッシュ〜500メッシュのスクリーン紗織物用にポリエステルモノフィラメントを500m/分の速度で30分間整経したときに、経糸同士が寄り付く現象の有無を確認した。
◎:寄り付き発生無し
○:寄り付き断続的な発生あり
×:寄り付き常時発生
実施例1
IV=0.8のポリエチレンテレフタレート(PET)を用いて、紡糸温度295℃にて口金から溶融PETを吐出した後、吹き出し長100cmの前面開放型チムニーを用いて、25℃、35m/分の冷却風で糸条を冷却した後、表1の実施例1記載の処理剤を所定量付与後、1000m/分で一旦、未延伸糸として巻き取った。
【0028】
この未延伸糸を表面温度91℃の第1ホットローラーと表面温度130℃の第2ホットローラー間で4.2倍、第2ホットローラーと室温の冷却ローラー間で0.6%のストレッチを付与して延伸熱セットし、繊度13デシテックスのモノフィラメントを得た。紡糸時の処理剤飛散はほとんどなく、延伸ホットローラーの汚れもなかった。また、得られた製品には着色はなかった。
【0029】
次いでスルーザー型製織機を使用し、350メッシュのスクリーン紗織物を連続で製織し、筬の汚れが進行して正常な製織を維持できず、停機せざるを得なくなるまで製織し、その時点の製織長を算出した。製織長は300mを超えていた。結果を表1に示す。
【0030】
実施例2、比較例1、2
実施例2はポリオキシアルキレン基を有する共重合体の含有率を変えた以外は実施例1と同様の方法でポリエステルモノフィラメントを得た。実施例1同様、紡糸、延伸時の汚れ発生はなく、製品の着色はなかった。製織長は300mを超えていた。
【0031】
比較例1、2はポリオキシアルキレン基を有する共重合体の含有率を変えた以外は実施例1と同様の方法でポリエステルモノフィラメントを得た。
【0032】
比較例1のポリエステルモノフィラメントは、製織すると、筬部分のスカム堆積が著しく、製織長は250mに満たなかった。また、比較例2のポリエステルモノフィラメントは若干製品が着色し、スカムが若干発生していた。結果を表1に示す。
【0033】
実施例3、4、5、6
実施例3、4、5、6は脂肪酸K塩の添加率を変えた以外は実施例1と同様の方法でポリエステルフィラメントを得た。
【0034】
実施例3、4、5、6のポリエステルフィラメントは紡糸、延伸時の汚れ発生、製品の着色はなく、製織長は250mを超えていた。また、実施例5、6のポリエステルモノフィラメントの製織長は300mを超えていた。結果を表1に示す。
【0035】
実施例7、8
実施例7、8はホスフェートK塩及びスルホネートNa塩の添加率を変えた以外は実施例1と同様の方法でポリエステルモノフィラメントを得た。
【0036】
実施例7、8のポリエステルフィラメントは延伸時の汚れはなく、整経での走行状態も安定していた。また、製織長は250mを超えていた。
【0037】
比較例3、4、実施例9
比較例3、4、実施例9は処理剤の付着量を変えた以外は実施例1と同様の方法でポリエステルモノフィラメントを得た。
【0038】
比較例3のポリエステルモノフィラメントは制電性が不足しており、整経での走行状態が不安定だった。比較例4のポリエステルモノフィラメントは、制電性には問題なかったが、延伸ローラー汚れが著しく発生した。
【0039】
実施例9のポリエステルフィラメントは延伸時の汚れ発生、製品の着色もなく、整経での走行状態も安定していた。また、製織長は250mを超えていた。結果を表2に示す。
【0040】
実施例10、11
実施例10、11はポリオキシアルキレン基を有する共重合体の分子量を変えた以外は実施例1と同様の方法でポリエステルモノフィラメントを得た。
【0041】
実施例10、11はいずれも紡糸、延伸時の汚れ発生、製品の着色もなく、整経での走行状態も安定していた。また、製織長は250mを超えていた。結果を表2に示す。
【0042】
【表1】

【0043】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理剤有効成分に対する含有率が1〜10重量%であるポリオキシアルキレン基を有する共重合体と、処理剤有効成分に対する含有率が1〜10重量%である脂肪酸金属塩を必須成分とする処理剤が有効成分換算で0.1〜1.0重量%付与されたことを特徴とするポリエステルモノフィラメント。
【請求項2】
処理剤有効成分に対する含有率が1〜5重量%である有機基含有ホスフェート金属塩を含有する請求項1記載のポリエステルモノフィラメント。
【請求項3】
処理剤有効成分に対する含有率が1〜5重量%である有機基含有スルホネート金属塩を含有する請求項1または2記載のポリエステルモノフィラメント。
【請求項4】
スクリーン紗用であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載のポリエステルモノフィラメント。

【公開番号】特開2008−190087(P2008−190087A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−26936(P2007−26936)
【出願日】平成19年2月6日(2007.2.6)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】