説明

ポリエーテルイミド組成物、フィルム、方法及び物品

【課題】 寸法安定性の向上したポリマー組成物を提供すること。
【解決手段】 ポリマー組成物の様々な実施形態が提供される。一実施形態では、ポリマー組成物は、約50重量%〜約95重量%のポリエーテルイミドと約5重量%〜約50重量%の無機物を含む。ポリマー組成物はフィルム形成時に約50ppm/℃未満の熱膨張係数を有する。フィルムはANSI B46.1に準拠して測定して2.0μm未満の平均粗さを有する。本発明のフィルムは溶液キャスティング法又は押出法によって製造し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリエーテルイミド組成物、フィルム、方法及び物品に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエーテルイミドは優れた寸法安定性及び熱安定性を有するので、ポリエーテルイミド(PEI)を含む高性能ポリマー組成物は高温環境で広く使用されている。例えば、ポリエーテルイミドは低い誘電率、低い燃焼性、低い吸水性のような優れた特性を有しているので、ポリエーテルイミドを含むポリマー組成物は、通信産業や自動車産業など広範な産業域での電気用途に多用されている。具体的には、フレキシブルプリント回路(FPC)用途では、ポリエーテルイミドを含むポリマー組成物をフレキシブル回路用のベース基板であるフィルムとして使用できる。そうした場合、熱膨張係数(CTE)は、温度変化時の層間剥離、カール、しわを防止するため、積層物の他の構成層のCTEに近いことが望ましい。高性能用途では温度要件及び熱散逸速度が高くなるので、熱サイクル時の温度変化の増大に伴って、ポリマーフィルムは、例えば、ポリマー基板上に積層し得る銅層のような他の構成層の変化に近づける必要がある。また、FPCのような用途では、フィルムが終始一定の物理的及び電気的特性を保ち、二次的用途、例えば積層体の製造における加工性が良好となるようにフィルムの表面粗さが低いことも必要とされることがある。
【特許文献1】米国特許第3803085号明細書
【特許文献2】米国特許第3838097号明細書
【特許文献3】米国特許第3843867号明細書
【特許文献4】米国特許第3905942号明細書
【特許文献5】米国特許第4107147号明細書
【特許文献6】米国特許第3972902号明細書
【特許文献7】米国特許第4455410号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、様々な用途での使用に際して寸法安定性の向上したポリマー組成物を製造することができれば望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、フィルムに加工したときの寸法安定性の向上したポリマー組成物を提供する。一実施形態では、ポリマー組成物は約50重量%〜約95重量%のポリエーテルイミド樹脂と約5重量%〜約50重量%の無機物を含む。ポリマー組成物はフィルム形成時に約50ppm/℃未満の熱膨張係数(CTE)を有する。
別の実施形態では、本発明は、約50%〜約95%のポリエーテルイミドと約5%〜約50%の無機物を含むフィルムを提供する。フィルムはANSI B46.1に準拠して測定して2.0μm未満の平均粗さを有する。
【0005】
ポリマーフィルムの製造方法は、上述のポリマー組成物を含有する溶液を調製し、溶液の層を基板上にキャスティングし、溶液の層から例えば溶媒を例えば蒸発によって除去することを含む。別の実施形態では、上記ポリマーフィルムは、ポリマー組成物を押出して約750μm以下の厚さのフィルムを形成することによって製造される。
【0006】
また、本発明は基板上に上記フィルム層を設けた物品も提供する。このフィルムは熱サイクル時の積層体の寸法安定性を向上させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
今回、ポリエーテルイミドと約5重量%〜約50重量%の無機物を含むポリマー組成物が熱安定性の向上したフィルムに形成できることが判明した。本発明のポリエーテルイミド組成物は、一実施形態では約50重量%〜約95重量%、別の実施形態では約60重量%〜約90重量%、別の実施形態では約65重量%〜約85重量%、さらに別の実施形態では約60重量%〜約70重量%のポリエーテルイミドと、一実施形態では約5重量%〜約50重量%、別の実施形態では約10重量%〜約40重量%、別の実施形態では約15重量%〜約35重量%、さらに別の実施形態では約20重量%〜約30重量%の無機物を含んでおり、これらの範囲の部分的範囲もすべて含む。
【0008】
本発明のポリマー組成物は、約50ppm/℃未満のCTE、ある実施形態では約24〜約48ppm/℃、別の実施形態では約34〜約48ppm/℃、さらに別の実施形態では約34〜約39ppm/℃を有することが判明した。ポリマー組成物を例えば約750μm以下のフィルムに形成したときの平均表面粗さ(Ra)は、ポリマー組成物中の無機物の量に応じて、ANSI B46.1に従って測定して約2.0μm未満である。
【0009】
本発明での使用に適したポリエーテルイミド樹脂としては、例えば米国特許第3803085号、同第3838097号、同第3843867号、同第3905942号及び同第4107147号に記載されているような当技術分野で周知のポリエーテルイミドが挙げられる。ポリエーテルイミド樹脂は、式(I)の構造単位を2以上、典型的には約10〜約1000もしくそれ以上、さらに具体的には約10〜約500含む。
【0010】
【化1】

【0011】
式中、T及びRは置換及び非置換二価芳香族基から独立に選択される。一実施形態では、Tは−O−又は式−O−Z−O−基であり、−O−又はO−Z−O−基の二価結合は3,3′位、3,4′位、4,3′位又は4,4′位にあり、Zには以下の式(II)の二価基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0012】
【化2】

【0013】
式中、Qとしては、特に限定されないが、−O−、−S−、−C(O)−、−SO−、−SO−、−C2y−(yは1〜5の整数)及びそのハロゲン化誘導体(例えば特に限定されないがペルフルオロアルキレン基など)からなる群から選択される二価基、又は式−O−Z−O−の基が挙げられ、式中、−O−又は−O−Z−O−基の二価結合は3,3′位、3,4′位、4,3′位又は4,4′位にあり、Zとしては、特に限定されないが、以下の式(II)の二価基がある。
【0014】
式(I)のRは、特に限定されないが、炭素原子数約6〜約20の芳香族炭化水素基及びそのハロゲン化誘導体、炭素原子数約2〜約20の直鎖又は枝分れアルキレン基、炭素原子数約3〜約20のシクロアルキレン基、又は次の一般式(III)の二価基のような置換又は非置換二価有機基がある。
【0015】
【化3】

【0016】
ポリエーテルイミドは、以下の式(IV)の芳香族ビス(エーテル無水物)と式(V)の有機ジアミンとの反応を始めとする当業者に公知の様々な方法で製造できる。
【0017】
【化4】

【0018】
N−R−NH (V)
【0019】
式中、T及びRはそれぞれ式(I)及び(III)で定義した通りである。式(I)のポリエーテルイミドはポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリレート、フルオロポリマーのような他のポリマーと共重合してもよい。
【0020】
芳香族ビス(エーテル無水物)及び有機ジアミンの具体例は、例えば米国特許第3972902号及び同第4455410号に開示されている。式(I)の芳香族ビス(エーテル無水物)の具体例としては、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、4,4′−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物、4,4′−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4′−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物、4,4′−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、4,4′−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物、4,4′−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4′−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物、4,4′−ビス(2,3−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4′−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニル−2,2−プロパン二無水物、4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4′−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルエーテル二無水物、4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4′−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4′−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゾフェノン二無水物及び4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)−4′−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、並びにこれらの2種以上を含む混合物が挙げられる。
【0021】
ビス(エーテル無水物)は、双極性非プロトン溶媒存在下でのニトロ置換フェニルジニトリルと二価フェノール化合物の金属塩との反応生成物の加水分解及びその後での脱水反応によって製造することができる。式(I)に属する好ましい芳香族ビス(エーテル無水物)としては、特に限定されないが、Tが次の式(VI)のもので、エーテル結合が例えば3,3′位、3,4′位、4,3′位もしくは4,4′位にある化合物又はこれらの1種以上を含む混合物が挙げられる。
【0022】
【化5】

【0023】
ただし、Qは上記で定義した通りである。
【0024】
あらゆるジアミノ化合物を使用し得る。適当な化合物の例は、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、1,18−オクタデカンジアミン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、4−メチルノナメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、N−メチル−ビス(3−アミノプロピル)アミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン、1,2−ビス(3−アミノプロポキシ)エタン、ビス(3−アミノプロピル)スルフィド、1,4−シクロヘキサンジアミン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、2−メチル−4,6−ジエチル−1,3−フェニレン−ジアミン、5−メチル−4,6−ジエチル−1,3−フェニレン−ジアミン、ベンジジン、3,3′−ジメチルベンジジン、3,3′−ジメトキシベンジジン、1,5−ジアミノナフタレン、ビス(4−アミノフェニル)メタン、ビス(2−クロロ−4−アミノ−3,5−ジエチルフェニル)メタン、ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,4−ビス(b−アミノ−t−ブチル)トルエン、ビス(p−b−アミノ−t−ブチルフェニル)エーテル、ビス(p−b−メチル−o−アミノフェニル)ベンゼン、ビス(p−b−メチル−o−アミノペンチル)ベンゼン、1、3−ジアミノ−4−イソプロピルベンゼン、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノフェニル)スルホン及びビス(4−アミノフェニル)エーテルである。これらの化合物の1種以上を含む混合物が存在してもよい。ジアミノ化合物は具体的には芳香族ジアミンとすることができる。さらに具体的にはジアミノ化合物は特にm−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン及びこれらの混合物である。
【0025】
一般に、有用なポリエーテルイミドは、米国材料試験協会(ASTM)D1238に準拠して測定して約0.1〜約10グラム毎分(g/min)のメルトインデックスを有する。ポリエーテルイミド樹脂は、ポリスチレン標準を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフで測定して、約5000〜約500000グラム毎モル(g/mol)の重量平均分子量(Mw)、さらに具体的には約10000〜約80000g/molのMwを有することができる。かかるポリエーテルイミド樹脂は、25℃のm−クレゾール中で測定して、典型的には約0.2デシリットル毎グラム(dl/g)を超える固有粘度、好ましくは約0.35〜約0.7dl/gの固有粘度を有する。かかるポリエーテルイミドの具体例を幾つか挙げると、ULTEM(登録商標)1000(数平均分子量(Mn)21000g/mol、Mw54000g/mol、多分散度2.5)、ULTEM(登録商標)1010(Mn19000g/mol、Mw47000g/mol、多分散度2.5)、ULTEM(登録商標)1040(Mn12000g/mol、Mw34000〜35000g/mol、多分散度2.9)、ULTEM(登録商標)XH6050(Mn23000〜26000g/mol、Mw52000〜58000g/mol、多分散度2.2)(すべてGE Plastics社から市販)又はこれらの1種以上を含む混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
好適な無機物としては、特に限定されないが、シリカ(例えばヒュームドシリカ及び溶融シリカなど)、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、マイカ(例えばマイカ粉及び板状マイカなど)、ガラス(例えばAガラス、Eガラスなど)、炭素繊維、ナノ粒子(例えばポリマー−クレイナノコンポジット、オキソ金属ナノコンポジット、層剥離型ナノコンポジットなど)、二酸化ケイ素、二酸化チタン、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、フルオロポリマー、ゼオライト、カーボン(例えば炭素繊維及びカーボンナノチューブなど)、ケイ酸塩(例えばタルクなど)、並びにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。別の実施形態では、ヒュームドシリカ及び溶融シリカは化学的に処理されたものでもよい。シリカはシリコーンで処理したものであってもよく、例えばジメチルシリコーン流体で処理したヒュームドシリカでもよい。また、シリカは、例えば1以上の官能基を有するシランで処理したものでもよい。シリカの処理に使用できるシランとしては、特に限定されないが、アミノシラン、フェニルシラン、エステルシラン、例えばアルキルシラン、メタクリルオキシプロピルシラン、アセトキシプロピルシランなど、グリシドキシプロピルシラン、例えばビニルシクロヘキセンオキシドのヒドロシリル化で得られるもの、アミノプロピルトリメトキシシラン及びそのアミド及びイミド、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0027】
無機物は約0.01μm〜約2.0μmの範囲内の平均粒度を有し、別の実施形態では約0.1μm〜約2.0μm、別の実施形態では約0.2μm〜約1.6μm、さらに別の実施形態では約0.25〜約1.6μmの平均粒度を有し、これらの部分的範囲も包含される。
【0028】
上述のポリマー組成物のフィルムは、溶液キャスティングで製造できる。別法として、例えば無機物が溶融混合でポリエーテルイミドと混合できるものであれば、以下でさらに詳しく説明する通り、押出又は溶液キャスティングのいずれかによってフィルムを製造することもできる。
【0029】
一実施形態では、フィルムの製造方法は、ポリエーテルイミド及び無機物を含有するポリマー組成物と溶媒とを含むキャスティング液を調製し、キャスティング液の層を基板上にキャスティングし、溶媒を例えば蒸発によってキャスティング液層から除去することを含む。キャスティング液は、上述の例示的な実施形態のいずれかのポリマーコンパウンドと溶媒を含有するものであればよい。例えば、キャスティング液中のポリマー組成物は約50重量%〜約95重量%のポリエーテルイミドと約5重量%〜約50重量%の無機物を含むものであればよい。キャスティング液中のポリマー組成物と溶媒の相対量は、使用される溶媒の種類、無機物に対するポリエーテルイミドの濃度及びポリエーテルイミドの分子量に応じて変化させることができる。例えば、キャスティング液は約5重量%〜約30重量%のポリマー組成物と約70重量%〜約95重量%の溶媒を含むことができ、ポリエーテルイミドの重量平均分子量(Mw)は約34000〜65000の範囲内とすることができる。
【0030】
キャスティング液は、例えば、ポリエーテルイミド粒子と無機物粒子のドライブレンドを調製し、次いで混合物を溶媒に溶解することによっても調製できる。別法として、キャスティング液は、ポリエーテルイミドを溶媒に溶解してポリマー溶液を調製し、無機物を溶媒に溶解して無機物溶液を調製し、ポリマー溶液と無機物溶液を混合してキャスティング液を調製することによっても調製できる。ポリマー溶液の調製には1種以上の溶媒を使用できるし、無機物溶液の調製には1種以上の溶媒を使用することができ、これらの溶媒は同一でも又は異なるものであってもよい。
【0031】
別の実施形態では、フィルムは、ポリエーテルイミドと無機物を溶融混合してポリマー組成物の粒子を調製し、次いで粒子を溶媒に溶解してキャスティング液を調製することによっても製造できる。例えば粉体、ペレットその他の適当な形態の粒子のポリエーテルイミドを例えば高剪断ミキサーや二軸押出機のような押出機を用いて樹脂成分を溶融状態にするのに有効な温度で溶融混合し、無機物を加えて所望の均一な混合物を得ればよい。別法として、混合を促進するため、樹脂と無機物成分をまず粉体又はペレットのような固体の形態で混合してから溶融混合してもよい。例えば、乾燥樹脂と無機化合物を混合物として二軸押出機に供給すればよい。無機化合物とポリマーはストランドダイを通して水中に押出し、次いで切断してペレットとし、粉砕してキャスティング液に溶解すればよい。
【0032】
キャスティング液を次いで流延機に供給して溶媒流延フィルムを調製すればよい。キャスティング液は例えばガラス基板のような平滑基板上に薄膜として流延し、溶媒を周囲条件で数秒乃至24時間もしくはそれ以上の制御された期間蒸発させればよいが、その時間は使用した溶媒の蒸気圧と蒸発条件に応じて決まる。
【0033】
ポリエーテルイミドを溶解し無機物の良好な分散を促進することのできる溶媒が使用できる。ポリエーテルイミドを溶解することができ、室温(約20℃〜35℃)及び大気圧力で無機物を良好に分散し得る好適な溶媒としては、特に限定されないが、アセトフェノン、アニソール、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン(DCB)、例えばオルトジクロロベンゼン、パラジクロロベンゼンなど、キシレン、トルエン、メシチレン、ジメチルアクリルアミド、塩化メチレン、極性非プロトン溶媒、例えばN−(C〜C−アルキル)カプロラクタム(例えばN−メチルカプロラクタム、N−エチルカプロラクタム、N−(n−プロピル)カプロラクタム、N−(イソプロピル)カプロラクタム)、N−(C〜C−アルキル)ピロリドン(例えばN−メチルピロリドン)、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホン、スルホラン、テトラメチル尿素など、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0034】
溶液キャスティングで製造したフィルムの厚さは、例えば150μm以下、別の実施形態では約10μm〜約150μm、さらに別の実施形態では約10μm〜約25μmに種々変更させることができ、また、ANSI B46.1に準拠して測定して、約2.0μm以下、別の実施形態では約1.0μm以下、別の実施形態では約0.7μm以下、さらに別の実施形態では約0.45μm以下の平均表面粗さ(Ra)を有する。
【0035】
フィルムを製造したら、アニーリングのような後熱処理を行って、フィルムの溶媒含有量が約0.5重量%未満、好ましくは0.2重量%未満となるように、溶媒を確実に蒸発させればよい。
【0036】
また、本発明のフィルムは、上述の実施形態のポリエーテルイミドと無機物を含有するポリマー組成物を例えば単軸又は二軸押出機を用いて押出すことによって製造することもできる。例えば粉体、ペレットその他の適当な形態のポリマー組成物を、樹脂成分を溶融させるのに有効な温度で溶融し、押出してフィルムとすればよい。別法として、フィルムを押出す際に、無機物をポリエーテルイミド中に溶融コンパウンディングしてポリマー組成物を調製してもよい。ポリマー組成物は様々な厚さ、例えば約750μm以下の厚さ、及び約1.0μm以下、別の実施形態では約0.45μm以下の平均表面粗さ(Ra)を有するフィルムに押出すことができる。
【0037】
本発明の一実施形態に係るフィルムは、約3.1以下の誘電率(Dk)を有し、別の実施形態では誘電率は約2.8〜約3.1の範囲内の誘電率を有し、さらに別の実施形態では誘電率は約2.8〜約2.9の範囲内の誘電率を有する。
【0038】
さらに、例えば熱安定剤、可塑剤などの追加の添加剤を、当技術分野で周知の様々な方法のいずれかで、ポリエーテルイミド、無機物又はその両者に配合してもよい。例えば、添加剤を、従来のドライブレンド法を用いて、無機物及び粉体又はペレット形状のポリエーテルイミドと物理的に混合すればよい。別の具体例として、当技術分野で慣用されているように、ポリエーテルイミド、無機化合物又はその両者を押出機でコンパウンディングし、添加剤を溶融組成物に押出機の供給口から添加すればよい。
【0039】
フィルムを押出法又は溶媒キャスティング法で製造し、さらにアニーリングのような後熱処理を実施して応力を低減又は除去してもよい。本発明で製造したフィルムの用途としては、特に限定されないが、絶縁材、例えばケーブル絶縁及びワイア被覆など、モーター製造、電子回路、例えばフレキシブルプリント回路など、トランス、キャパシタ、コイル、スイッチ、分離膜、コンピュータ、電子及び通信装置、電話、ヘッドホン、スピーカー、記録及び再生装置、照明装置、プリンタ、圧縮機などが挙げられる。フィルムは、適宜、例えばスクラッチ抵抗、表面潤滑性、美観、商標識別、構造的健全性のような物理的、機械的及び美観上の特性を向上させるように設計されたメタライズ膜又は部分的メタライズ膜その他の種類のコーティングで被覆してもよい。例えば、フィルムは印刷インク、導電性インク、その他同様の材料でコーティングしてもよい。メタライズ法としては、例えば、スパッタリング、気相金属堆積法、イオンめっき、アーク気相堆積法、無電解めっき、真空蒸着、電気めっきその他の方法が挙げられる。
【0040】
さらに、フィルムは独立したシートとして使用することもできるし、互いに積層してさらに複雑な構造をなすものとしてもよい。
【実施例】
【0041】
本発明の例示的な実施形態に係るポリマー組成物を用いたフィルムの幾つかの試料を以下の通り調製した。
【0042】
実施例1〜14及び16〜19では、ポリエーテルイミドと40重量%以下の無機物を含むポリマー組成物を溶媒に溶解し、溶液キャスティング法でフィルムを製造した。実施例15では、フィルムはポリマー組成物の押出法で製造した。製造したフィルムの厚さは10〜150μmであった。各試料の熱膨張係数(CTE)及び平均表面粗さ(Ra)を測定し、対照試料としての非充填ポリエーテルイミドの対照A及び対照Bのいずれかと比較した。
【0043】
フィルムのCTEはフィルムを150℃で約12時間アニーリングした後で測定した。CTEは熱機械分析(TMA)装置を用いて20℃〜200℃の温度域で測定し、30℃〜150℃のTMA曲線の直線フィットの傾きを用いて計算した。CTEはASTM E 831−00規格(及びIPC−TM−650 2.4.41)に従って製造したフィルムで、TMA Instruments社(米国デラウェア州ニューキャッスル)から市販のQ400シリーズTMAを用いて測定した。表面粗さは、ANSI B46.1規格に準拠して、Veeco Instruments社(米国カリフォルニア州サンタバーバラ、以前はS
loan Technologies社)から市販のDektak 3ST Stylus
【0044】
Profilometryを用いてカットオフフィルター800μmで測定した。フィルムの表面粗さはフィルムの空気側(Ra−1)と基板側(Ra−2)の両方で測定した。
【0045】
市販の実験室用流延機を用いて、10μm〜150μmの厚さの溶液流延フィルムを製造した。フィルムは平滑なガラス基板上に流延し、水で取り外した。溶媒に対するポリマー組成物の濃度は、約52000〜約57000のPEIポリマーの重量平均分子量に応じて固形分10重量%〜30重量%で変えた。溶液流延機のブレードの高さは、固形分%及び溶液に応じて、必要な厚さが得られるように調整した。
【0046】
実施例1〜7では、15重量%〜40重量%のヒュームドシリカと60重量%〜85重量%のポリエーテルイミドをドライブレンドし、次いでドライブレンドを塩化メチレン溶媒に溶解し、溶液キャスティングすることによって製造した。フィルム試料及び対照Aは、GE Plastics社(米国マサチューセッツ州ピッツフィールド)からUltem(登録商標)1000として市販の重量平均分子量(Mw)52000〜57000のポリエーテルイミドを含んでいた。実施例1では、Cabot社(米国イリノイ州タスコラ)からCAB−O−SIL(登録商標)M−5として市販の未処理ヒュームドシリカを使用した。実施例2〜7では、Cabot社からCAB−O−SIL(登録商標)TS−720として市販のジメチルシリコーン流体で処理した高純度ヒュームドシリカを使用した。ヒュームドシリカの平均粒度は0.2〜0.3μmであった。実施例1〜7の触針式表面形状測定及びCTE測定の結果を表1に示す。
【0047】
実施例8〜14では、フィルムは次の通り製造した。10重量%〜30重量%の溶融シリカと70重量%〜90重量%のポリエーテルイミドを溶融混合してポリマー組成物のペレットを製造した。次いで、ポリマー組成物を塩化メチレンに溶解し、溶液キャスティング法でフィルムを製造した。フィルム試料及び対照Bは、GE Plastics社(米国マサチューセッツ州ピッツフィールド)からUltem(登録商標)XH6050として市販の重量平均分子量(Mw)52000〜57000のポリエーテルイミドを含んでいた。実施例8及び9では、フィルムはそれぞれアミノシラン及びフェニルシランで処理した溶融シリカ10重量%を含んでおり、これらの処理溶融シリカの平均粒度は1.6μmであった。実施例10〜13では、フィルムは、アミノシランで処理した溶融シリカ10重量%を含んでおり、処理した溶融シリカの平均粒度はそれぞれ0.25、0.5、1.0、1.6μmであった。実施例8〜13には、(株)アドマテックスから市販の処理溶融シリカを使用し、実施例14には、(株)アドマテックスから市販の平均粒度10μmの未処理溶融シリカを使用した。実施例15では、ポリエーテルイミド70重量%と平均粒度1.6μmの溶融シリカ30重量%を含有するポリマー組成物を30mmWP二軸押出機でポリエーテルイミドと溶融シリカを押出してペレットとした。次いで、ポリマー組成物のペレットをフィルムに押出した。対照Bの非充填ポリエーテルイミドを含有するフィルム及び実施例8〜15の溶融シリカを含有するポリエーテルイミドの触針式表面形状測定及びCTE測定の結果を表1に示す。
【0048】
実施例16〜19では、フィルムは溶液キャスティング法で製造した。ポリエーテルイミドの粉体とマイカを別々にN−メチルピロリドン(NMP)に溶解し、次いで、溶媒溶液を混合して、混合したポリエーテルイミドとマイカの固体重量基準で、マイカ15重量%〜30重量%とポリエーテルイミド70重量%〜85重量%含有するキャスティング液を製造した。実施例16〜19のフィルムは、GE Plastics社からUltem(登録商標)1000として市販のポリエーテルイミドを含んでいた。実施例16〜17では、Gelest社(米国ペンシルヴァニア州モーリスビル)から市販の汎用マイカ粉を使用した。実施例18〜19では、Gelest社からPowdered Muscoviteとして市販の板状マイカを使用した。マイカ粉及び板状マイカを含有するフィルムのCTE測定結果を表1に示す。
【0049】
【表1】

【0050】
実施例1〜7と対照Aのデータの対比から、15重量%〜40重量%のヒュームドシリカを含有する試料では、対照Aの非充填ポリエーテルイミドに比べてCTEが14%〜38%低下したことが分かる。実施例8〜15と対照Bのデータの対比から、10重量%〜30重量%の溶融シリカを含有する試料では、対照Bの非充填ポリエーテルイミドに比べてCTEが2.7%〜24.2%低下したことが分かる。実施例16〜19と対照Aのデータの対比から、15重量%〜30重量%のマイカを含有する試料では、対照Bの非充填ポリエーテルイミドに比べてCTEが41.9%〜55.7%低下したことが分かる。
【0051】
幾つかの実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本明細書の教示内容から均等及び変更は当業者には明らかである。本発明はこうしたあらゆる均等及び変更を包含し、特許請求の範囲によってのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
50重量%〜95重量%のポリエーテルイミド樹脂と、
5重量%〜50重量%の無機物と
を含むポリマー組成物であって、フィルムに加工したときに50ppm/℃未満のCTEを有するポリマー組成物。
【請求項2】
前記フィルムが750μm以下の厚さを有する、請求項1記載のポリマー組成物。
【請求項3】
10%〜40%のポリエーテルイミド樹脂を含み、フィルムが48〜24ppm/℃の範囲内のCTEを有する、請求項1記載のポリマー組成物。
【請求項4】
前記フィルムがANSI B46.1に準拠して測定して2.0μm以下の平均表面粗さを有する、請求項1記載のポリマー組成物。
【請求項5】
前記無機物が、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、マイカ、シリカ、ガラス、カーボン、ナノコンポジット、二酸化ケイ素、二酸化チタン、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、フルオロポリマー、ゼオライト、ケイ酸塩及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項6】
ポリマー組成物が10%〜40%の無機物を含み、フィルムが48〜24ppm/℃の範囲内のCTEを有する、請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項7】
前記無機物が、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、マイカ、シリカ、ガラス、ナノコンポジット及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項6記載の樹脂組成物。
【請求項8】
前記無機物がマイカを含む、請求項7記載の樹脂組成物。
【請求項9】
前記フィルムがANSI B46.1に準拠して測定して1.0μm未満の平均表面粗さを有する、請求項6記載の樹脂組成物。
【請求項10】
前記無機物の粒度が0.01μm〜2.0μmの範囲内の平均粒度を有する、請求項1記載の樹脂組成物。
【請求項11】
前記ポリエーテルイミド樹脂が次式の繰返し単位を含む、請求項1記載のポリマー組成物。
【化1】

式中、T及びRは置換及び非置換二価芳香族基から独立に選択される。
【請求項12】
押出によってフィルムに加工される、請求項1記載のポリマー組成物。
【請求項13】
溶液キャスティングによってフィルムに形成される、請求項1記載のポリマー組成物。
【請求項14】
前記フィルムが、10μm〜150μmの範囲内の厚さと1.0μm以下の平均表面粗さを有する、請求項6記載のポリマー組成物。
【請求項15】
前記無機物がシリカを含む、請求項13記載のポリマー組成物。
【請求項16】
前記フィルムがANSI B46.1に準拠して測定して0.7μm以下の平均表面粗さを有する、請求項15記載のポリマー組成物。
【請求項17】
シリコーンで処理したヒュームドシリカを含む、請求項16記載のポリマー組成物。
【請求項18】
20%〜40%のヒュームドシリカを含み、フィルムが46〜34ppm/℃の範囲内のCTEを有する、請求項17記載のポリマー組成物。
【請求項19】
前記ヒュームドシリカの平均粒度が0.01〜2.0μmの範囲内である、請求項18記載のポリマー組成物。
【請求項20】
前記シリカが、アミノシラン、フェニルシラン、アルキルシラン、メタクリルオキシプロピルシラン、グリシドキシプロピルシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物で処理される、請求項16記載のポリマー組成物。
【請求項21】
シランで処理した溶融シリカを含み、フィルムがANSI B46.1に準拠して測定して0.45μm未満の平均表面粗さを有する、請求項16記載のポリマー組成物。
【請求項22】
前記溶融シリカが0.1〜2.0μmの範囲内の平均粒度を有する、請求項21記載のポリマー組成物。
【請求項23】
フィルムが溶液キャスティングで製造される、請求項22記載のポリマー組成物。
【請求項24】
50%〜95%のポリエーテルイミド樹脂と、
5%〜50%の無機物と
から基本的になるポリマー組成物であって、フィルム形成時に50ppm/℃未満のCTEを有するポリマー組成物。
【請求項25】
50重量%〜95重量%のポリエーテルイミド樹脂と、
5%〜50%の無機物と
を含むフィルム。
【請求項26】
50ppm/℃未満のCTEを有する、請求項25記載のフィルム。
【請求項27】
ANSI B46.1に準拠して測定して約2.0μm未満の平均表面粗さを有する、請求項25記載のフィルム。
【請求項28】
10μm〜750μmの範囲内の厚さを有する、請求項27記載のフィルム。
【請求項29】
10%〜40%の無機物を含み、48〜24ppm/℃の範囲内のCTEを有する、請求項25記載のフィルム。
【請求項30】
前記無機物が、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、マイカ、シリカ、ガラス、カーボン、ナノコンポジット、二酸化ケイ素、二酸化チタン、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、フルオロポリマー、ゼオライト、ケイ酸塩及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項29記載のフィルム。
【請求項31】
前記無機物がマイカを含む、請求項29記載のフィルム。
【請求項32】
48〜34ppm/℃の範囲内のCTEを有する、請求項30記載のフィルム。
【請求項33】
前記無機物が、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、マイカ、シリカ、ガラス、ナノコンポジット及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項32記載のフィルム。
【請求項34】
約10μm〜150μmの範囲内の厚さを有し、ANSI B46.1に準拠して測定して1.0μm以下の平均表面粗さを有する、請求項32記載のフィルム。
【請求項35】
前記無機物が0.01μm〜2.0μmの範囲内の平均粒度を有する、請求項25記載の樹脂組成物。
【請求項36】
前記ポリエーテルイミドが次式(I)の繰返し単位を含む、請求項25記載のフィルム。
【化2】

式中、Tは−O−又は式−O−Z−O−の基であって、−O−又は−O−Z−O−基の二価結合は3,3′位、3,4′位、4,3′位又は4,4′位にあり、Zは以下の式(III)の二価基からなる群から選択される。
【化3】

式中、Qは−O−、−S−、−C(O)−、−SO−、−SO−、−C2y−(ただし、yは1〜5の整数である)及びそのハロゲン化誘導体からなる群から選択される二価基、又は式−O−Z−O−の基であって、式中、−O−又はO−Z−O−基の二価結合は3,3′位、3,4′位、4,3′位又は4,4′位にあり、Zは式(II)の二価基を含む。
【請求項37】
前記無機物がシリカであり、48〜34ppm/℃の範囲内のCTEを有する、請求項25記載のフィルム。
【請求項38】
前記フィルムがANSI B46.1に準拠して測定して0.7μm以下の平均表面粗さを有する、請求項37記載のフィルム。
【請求項39】
前記無機物がシリコーンで処理したヒュームドシリカを含む、請求項37記載のフィルム。
【請求項40】
20%〜40%のヒュームドシリカを含み、46〜34ppm/℃の範囲内のCTEを有する請求項39記載のフィルム。
【請求項41】
前記ヒュームドシリカの平均粒度が0.01〜2.0μmの範囲内であり、ヒュームドシリカがジメチルシリコーン流体で処理される、請求項40記載のフィルム。
【請求項42】
前記無機物がシランで処理した溶融シリカを含む、請求項38記載のフィルム。
【請求項43】
ANSI B46.1に準拠して測定して0.45μm以下の平均表面粗さを有する、請求項42記載のフィルム。
【請求項44】
前記溶融シリカが0.1〜2.0μmの範囲内の平均粒度を有し、溶融シリカがアミノシランとフェニルシランからなる群から選択される化合物で処理される、請求項43記載のフィルム。
【請求項45】
溶液キャスティングで製造される、請求項25記載のフィルム。
【請求項46】
ポリマーフィルムの製造方法であって、当該方法が、
50重量%〜95重量%のポリエーテルイミドと5重量%〜50重量%の無機物からなる固体及び溶媒を含むキャスティング液を調製する段階と、
基板上にキャスティング液の層を流延する段階と、
キャスティング液の層から溶媒を除去する段階と
を含んでなる方法。
【請求項47】
前記キャスティング液が5重量%〜30重量%の固体と70重量%〜95重量%の溶媒を含む、請求項46記載の方法。
【請求項48】
ポリエーテルイミド及び無機物の粒子を溶媒と混合してキャスティング液を調製することをさらに含む、請求項46記載の方法。
【請求項49】
ポリエーテルイミドと無機物を溶融混合してポリマー組成物を製造し、
ポリマー組成物を溶媒と混合してキャスティング液を製造すること
をさらに含む、請求項46記載の方法。
【請求項50】
前記溶媒が、アセトフェノン、アニソール、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、キシレン、トルエン、メシチレン、ジメチルアクリルアミド、塩化メチレン、極性非プロトン溶媒及びこれらの混合物からなる群から選択される請求項49記載の方法。
【請求項51】
前記無機物が、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、マイカ、シリカ、ガラス、カーボン、ナノコンポジット、二酸化ケイ素、二酸化チタン、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、フルオロポリマー、ゼオライト、ケイ酸塩及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項46記載の方法。
【請求項52】
前記無機物が、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、マイカ、シリカ、ガラス、ナノコンポジット及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項46記載の方法。
【請求項53】
前記フィルムが10%〜40%の無機物を含み、フィルムが48〜24ppm/℃の範囲内のCTEを有する、請求項52記載の方法。
【請求項54】
前記フィルムが48〜34ppm/℃の範囲内のCTEを有し、フィルムの平均表面粗さがANSI B46.1に準拠して測定して2.0μm以下である、請求項53記載の方法。
【請求項55】
前記フィルムの厚さが10μm〜150μmの範囲内であり、無機物が0.01〜2.0μmの範囲内の平均粒度を有する、請求項54記載の方法。
【請求項56】
ポリマーフィルムの製造方法であって、当該方法が、
50重量%〜95重量%のポリエーテルイミドと5重量%〜50重量%の無機物からなるポリマー組成物を含むフィルムを押出す段階
を含んでなる方法。
【請求項57】
前記ポリマー組成物が10%〜40%の無機物を含み、フィルムが48〜24ppm/℃の範囲内のCTEを有する、請求項56記載の方法。
【請求項58】
前記フィルムが48〜34ppm/℃の範囲内のCTEを有し、フィルムの平均表面粗さがANSI B46.1に準拠して測定して1.0μm以下である、請求項57記載の方法。
【請求項59】
基板と、
基板上に配設された50%〜95%のポリエーテルイミドと5%〜50%の無機物を含むフィルムと
を含む物品。
【請求項60】
前記フィルムが48〜24ppm/℃の範囲内のCTEを有する、請求項59記載の物品。
【請求項61】
前記フィルムが48〜34ppm/℃の範囲内のCTEを有し、フィルムの平均表面粗さがANSI B46.1に準拠して測定して2.0μm以下である、請求項60記載の物品。

【公開番号】特開2006−117935(P2006−117935A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−302676(P2005−302676)
【出願日】平成17年10月18日(2005.10.18)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】