説明

ポリジアセチレンポリマーブレンド

ジアセチレン・セグメントを含むポリマーブレンド組成物が提供される。ジアセチレン・セグメントを含有するポリマーは、ポリマーまたは添加剤などの他の材料とブレンドされているにもかかわらず、熱、検体またはある種の環境因子への暴露などの刺激に応答して比色表示が可能である。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ポリジアセチレン・セグメントを含むポリマー組成物は様々な用途に使用される。ジアセチレンは典型的には無色であり、熱的にか化学線によってかのどちらかで、付加重合を受ける。重合が進行するにつれて、これらの化合物は、青または紫への対比色変化を受ける。熱、物理的応力または溶媒もしくは対イオンの変更などの外部刺激に曝されたときに、ポリジアセチレンは、平面主鎖配座の歪みによって生み出されるさらなる変色を示す。ポリジアセチレン・アセンブリは、ミノ(Mino)ら著、Langmuir、8巻(1992)、594ページ;チャンス(Chance)ら著、Journal of Chemistry and Physics、71巻(1979)、206ページ;シブタッグ(Shibutag)著、Thin Solid Films、179巻(1989)、433ページ;カネコ(Kaneko)ら著、Thin Solid Films、210巻(1992)、548ページ;および米国特許第5,672,465号明細書に記載されているように、共役主鎖での配座変化のために温度の上昇またはpHの変化で青から赤へ変色することが知られている。このクラスの化合物の利用は、米国特許第5,622,872号明細書および公報国際公開第02/00920号パンフレットに記載されているように生体色素インジケーターとしての使用について公知である。
【0002】
単量体ジアセチレンの重合に加えて、ジアセチレン官能性はポリマー主鎖の繰り返し構造に組み入れ得ることが実証された。これらのタイプのポリマーは、UV放射線への露光で固相クロス重合を受けて、ポリジアセチレン鎖を形成する。これらの材料は、初期のポリマーの主鎖構造内でのジアセチレン単位の系統的な重合のためにマクロモノマーと言われてきた。その1つがジアセチレン基を含有する適切な二官能性モノマーを一緒に連結することによって形成されたポリマー主鎖の繰り返し構造に反応性ジアセチレン官能性を含有するポリマーの例には、米国特許第4,215,208号明細書および米国特許第4,242,440号明細書に記載されているジアセチレン−ウレタンコポリマー;米国特許第4,721,769号明細書に記載されているエラストマープレポリマーと反応させられたジイソシアネートから形成され、そしてジアセチレンで鎖延長されたセグメント化コポリマー;米国特許第4,767,826号明細書に記載されているようなソフトセグメント(ポリエーテル、ポリエステル、ポリジエン、ポリジメチルシロキサン)とジアセチレン含有ハードセグメント(ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレア)とを有する線状ブロックコポリマー;ならびに米国特許第4,849,500号明細書および米国特許第4,916,211号明細書に記載されているようなポリアミド−ジアセチレンコポリマーが挙げられる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、少なくとも2つのジアセチレン・セグメントを含む発色性コポリマー、および少なくとも1つの機能特性を有する添加剤を含むポリマーブレンド組成物であって、ジアセチレン含有コポリマーの発色特性と添加剤の機能特性とを示すポリマーブレンドならびにそれらの製造および使用方法に関する。添加剤には、可塑剤、粘着付与剤、および/またはエラストマーなどのポリマー添加剤が含まれるが、それらに限定されない。
【0004】
少なくとも2つのジアセチレン・セグメント、結合セグメント、および少なくとも1つの反応性乳化セグメントを含む発色性コポリマーもまた提供される。少なくとも1つの反応性乳化セグメントを有する発色性コポリマーおよび少なくとも1つの機能特性を有する添加剤を含むポリマーブレンドもまた提供される。
【0005】
一実施形態では、反応性乳化セグメントは式V
【化1】

(式中、Gは、OH、NHRおよびSHからなる群から選択され、XおよびYのそれぞれは、同じまたは異なるものであってもよく、XおよびYのそれぞれは独立して、反応性官能基なしの、約1〜約20個の炭素原子を有する脂肪族有機基、およびそれらの組み合わせから選択され、そしてRは、水素または反応性官能基なしの、約1〜約20個の炭素原子を有する脂肪族有機基であることができる)
で表される反応性乳化化合物から形成される。
【0006】
別の実施形態では、反応性乳化セグメントは式IV
【化2】

(式中、Gは、OH、NHRおよびSHからなる群から選択され、Qは、COO-およびSO3-から選択された負に帯電した部分、またはイオン化時にかかる負に帯電した部分を形成することができる基であり、X、YおよびR1のそれぞれは同じまたは異なるものであってもよく、X、Y、R、およびR1は独立して、好ましくは約1〜約20個の炭素原子を有する、反応性官能基なしの脂肪族有機基、およびそれらの組み合わせから選択され、Rは水素であることができ、そしてR1は、QがCOO-およびSO3-である場合には存在してもしなくてもよい)
で表される反応性乳化化合物から形成される。
【0007】
本明細書で用いるところでは、単数形(「a」、「an」、「the」)、「少なくとも1つの」、および「1つもしくはそれ以上の」は同じ意味で用いられる。また本明細書では、終点による数値域の列挙には、当該範囲内に包含されるすべての数が含まれる(すなわち、1〜5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などが含まれる)。
【0008】
本発明の上記概要は、本発明のそれぞれの開示される実施形態またはあらゆる実施を説明することを意図されない。次の説明は、例示的な実施形態をより具体的に示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明はジアセチレン・セグメントを含むポリマーブレンド組成物を提供する。具体的には、本発明は、ポリマーまたは添加剤などの他の材料とブレンドされているにもかかわらず、熱、検体またはある種の環境因子への暴露などの刺激に応答して比色表示できるポリマーネットワークを提供するジアセチレン・セグメントを含有するポリマーに関する。
【0010】
ジアセチレン・セグメントは自己集合して規則正しいアセンブリを形成し、それは、例えば、電磁スペクトルのUVまたは可視範囲の電磁放射線などの任意の化学線を用いて重合させることができる。規則正しいアセンブリへ自己集合するジアセチレン・セグメントの能力は、重合をトポケミカル的に進行させる。ジアセチレンの自己集合は主に2つ因子:ジアセチレン出発原料の分子構造、およびコポリマーセグメントの性質に依存する。本発明のジアセチレン出発原料は、規則正しいアセンブリへ凝集するためのジアセチレン分子への「改変された」分子間親和力を提供することによって、自己集合するそれらの能力を高めるだけでなく、それらの能力を導く分子構造を有するようにデザインされる。ジアセチレン材料のためのコポリマーセグメントの例は、ジアセチレンの規則正しいアセンブリの形成のための水素結合テンプレートを提供することによってジアセチレンの自己集合に寄与するポリウレタンポリマーシステムである。
【0011】
ジアセチレン含有ポリマーは規則正しいモルホロジーへ分子レベルで自己集合するコポリマーの性向に基づく着色を示すと考えられる。その結果として、ポリマー主鎖内に含有されるジアセチレン部分は、架橋がジアセチレン官能性の全域で起こり、共役ネットワークをもたらすことができるような程度まで整列させられる。続いて起こる観察される着色は、特定システムに存在する共役の程度の直接表示であることができる。ポリマーネットワーク中の架橋ジアセチレンは、多くの用途で望ましい2つの材料特性:1)高められた完全性、2)着色を提供する。
【0012】
ジアセチレン成分の重合は、可視スペクトルで、すなわち、400nm〜600nmの波長で、それらの配座および外部因子への暴露に依存してクロマ(C*)によって測定されるような様々な強度および色相角(h°)によって測定されるような様々な色相の色を有する重合反応生成物をもたらす。L*、C*およびh°は、観察された色を定量化するためにおよびロット毎の一貫性を監視するために塗料および繊維工業でしばしば用いられる測定値である。L*は、0、または純黒から100、または純白までの尺度での色の明るさである。C*(クロマ)は、ある特定の色相または観察色の彩度または強度の尺度である。クロマはまた、より正式には同じ値の中間(灰)色から有彩色の起程点の距離と定義されてもよい。クロマスケールはゼロで始まるが、終わりを全く持たない。C*値が増加するにつれて、相対的彩度もまた増加する。クロマは、どれだけ多くの特定色が存在するかの尺度の単位としての量と考えるのが最も良いかもしれない。色相(h°)は表現される色の色相角を表し、0°〜360°の範囲である。
【0013】
ジアセチレン成分を含有するポリマーは、可逆的な変色および/または3状態変色を示すことができる。例えば、重合後に、生じた青相ポリマーネットワークは、熱、溶媒もしくは対イオンの変更、または物理的応力への暴露時に赤みを帯びたオレンジ状態に変色することができる。この赤みを帯びたオレンジのポリマーネットワークは次に、熱、溶媒もしくは対イオンの変更、または物理的応力への暴露時に黄色がかったオレンジ状態に変色することができる。さらに、本明細書に開示されるポリマーネットワークは、これらの赤みを帯びたオレンジ状態と黄色がかったオレンジ状態との間を可逆的に循環することができる。
【0014】
紫外光、物理的応力、溶媒の変更および対イオンの変更をはじめとする、様々な要素への暴露時に目に見える変色を受けるポリジアセチレン含有ポリマーの能力は、例えば、それらを様々な検出装置の製造のための理想的な候補にする。かかる検出装置は、ジアセチレン含有ポリマーを溶液でまたはそれらの固体状態で用いることができる。
【0015】
ある所与の検出用途のためのジアセチレンポリマーの構造要件は、典型的には用途に特有である。全体鎖長、溶解性、極性、結晶化度、およびさらなる分子修飾のための官能基の存在などの特徴がすべて協働して、有用な検出材料としての機能を果たすジアセチレン含有ポリマーの能力を決定する。
【0016】
ジアセチレン化合物は、重合が進行するにつれて、青または紫などの色を発現するポリジアセチレン含有ポリマーへ容易にかつ効率よく重合させることができる。ポリジアセチレン含有ポリマーは、熱、溶媒または対イオンの変更、可能な場合、または物理的応力などの外部刺激に応答して所望の変色をさらに受けることができる。
【0017】
ポリジアセチレン含有ポリマーの着色および刺激に対するポリジアセチレン含有ポリマーの二次色応答の両方はある程度、分子レベルでのシステムの、自己集合の固有の程度、または秩序化の関数である。所望のレベルの自己集合は、ポリウレタンなどのコポリマーセグメントの水素結合によって促進され得る。自然発生的なアセンブリのための水素結合サイトを欠く材料などの、秩序化を推し進めないポリマーシステムは、自己集合の観点からあまり望ましくない。
【0018】
本発明は、ポリジアセチレン含有ポリマーと発色特性を保持する他の材料とのブレンドを提供する。ポリジアセチレン含有ポリマーを所望の用途目的に適うための他の材料とブレンドすることが望ましいかもしれない。一般に、本ポリマーブレンドは、ジアセチレン含有ポリマーの発色特性を保持しながら、添加剤の機能特性を含有するであろう。本明細書で用いるところでは、用語「機能特性」は、レオロジー特性(例えば、粘弾性、弾性)、機械的特性(例えば、剛性、硬度)、熱特性、および接着特性(例えば、剪断強度、接着力)などの添加剤の物理的特性を意味する。例えば、ジアセチレン含有ポリマーは、外部刺激に発色応答する感圧接着剤を形成するために粘着付与剤および/またはアクリルポリマーとブレンドされてもよい。ジアセチレン含有ポリマーおよび添加される材料の両方の選択に依存して、得られたブレンドの着色は影響を受け得る。本発明のポリマーブレンドは、ある種の炭化水素基に言及するように、化学技術者によって理解されるある種の用語に関連して、下にさらに説明される。本明細書の全体にわたってそのポリマーバージョンについても言及される。当該ケースでは、接頭辞「ポリ」は、相当する炭化水素基の名前の前に挿入される。
【0019】
特に記載される場合を除き、かかる炭化水素基は、本明細書で用いるところでは、官能基(例えば、オキシム、エステル、カーボネート、アミド、エーテル、ウレタン、ウレア、カルボニル基、もしくはそれらの混合)だけでなく、1つもしくはそれ以上のヘテロ原子(例えば、酸素、窒素、硫黄、もしくはハロゲン原子)を含んでもよい。
【0020】
用語「脂肪族基」は、飽和もしくは不飽和の、線状、分岐、または環式の炭化水素基を意味する。この用語は、例えば、アルキル、アルキレン(例えば、オキシアルキレン)、アラルキレン、およびシクロアルキレン基を包含するために用いられる。
【0021】
用語「アルキレン基」は、飽和の、線状または分岐の、二価炭化水素基を意味する。特に好ましいアルキレン基はオキシアルキレン基である。
【0022】
用語「オキシアルキレン基」は、末端酸素原子を有する飽和の、線状または分岐の、二価炭化水素基を意味する。
【0023】
用語「アラルキレン基」は、少なくとも1つの芳香族基を含有する飽和の、線状または分岐の、二価炭化水素基を意味する。
【0024】
用語「シクロアルキレン基」は、少なくとも1つの環式基を含有する飽和の、線状または分岐の、二価炭化水素基を意味する。
【0025】
用語「オキシシクロアルキレン基」は、少なくとも1つの環式基および末端酸素原子を含有する飽和の、線状または分岐の、二価炭化水素基を意味する。
【0026】
用語「芳香族基」は、単核芳香族炭化水素基または多核芳香族炭化水素基を意味する。該用語には、アリーレン基が含まれる。
【0027】
用語「アリーレン基」は二価芳香族基を意味する。
【0028】
ジアセチレン含有ポリマー
ポリウレタンシステムは、重合中の着色に寄与する、および得られたポリマーでの発色応答に寄与するために必要な自己集合特性を提供することができるシステムの一例である。ジアセチレン含有ポリマーを製造するために用いることができる一重合方法は、2004年8月19日出願の、表題「Polydiacetylene Polymer Compositions and Methods of Manufacture(ポリジアセチレンポリマー組成物および製造方法)」の出願者の同時係属出願、米国特許出願第10/922,092号明細書に記載されているポリウレタン−ベースのシステムである。ウレタン−ベースのジアセチレン−セグメント化コポリマーの別の例は、ミラー(Miller)、J.A.、リン(Lin)、S.B.、ウォン(Hwang)、K.S.、ウー(Wu)、K.S.、ギブソン(Gibson)、P.E.、およびクーパー(Cooper)、S.L.著、MACROMOLECULES、18、(1985)に記載される2段階溶液重合技術である。
【0029】
ジアセチレン含有ポリマーの他の製造方法は、米国特許第4,849,500号明細書、米国特許第4,721,769号明細書、および米国特許第4,767,826号明細書に開示されている。ヒドロキシル、カルボキシル、アミノなどの好適な反応性末端基付きのプレポリマーは、多数の十分に確立された合成技術を用いて容易に製造することができる。例えば、プレポリマーは、以下のものによって合成することができる。
1.4,4’−アゾビス(4−シアノ−n−ペンタノール)および4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)などの−OHまたは−COOH末端基を供給する開始剤でのビニルモノマーのフリーラジカル重合、
2.開始剤および−OH末端基へ容易に変換することができる−Cl末端基を生み出すための連鎖移動剤の両方として機能するp−ジ(2−クロロプロピル)ベンゼンなどのジクロロ化合物を用いるモノマーのカチオン重合、
3.それぞれ、エチレンオキシド、二酸化炭素、およびホスゲンなどの求電子試薬との反応によってその後に−OH、−COOH、−COCl末端基でフィットされ得る反応性末端基を生み出すナフタレンナトリウムなどの二官能性開始剤を用いるアニオン重合、
4.分子の末端で望まれる官能基を含有する僅かに過剰のモノマーでの段階成長重合。例えば、−NH2末端基を得るために過剰のジアミンが二酸と重合させられるときに使用されるであろう。
【0030】
セグメント化コポリマーは次に、プレポリマーと好適な反応性末端基を含有するジアセチレンモノマーとの反応によって形成される。例えば、次のものは、反応してポリマー鎖中に結合セグメントを形成する共通の官能基である:アルコール+カルボン酸=エステル結合、アルコール+イソシアネート=ウレタン結合、アミン+イソシアネート=ウレア結合、アミン+カルボン酸=アミド結合、カルボン酸+イソシアネート=アミド結合。
【0031】
着色を示すジアセチレン含有コポリマーの能力は、プレポリマーによって寄与される結合セグメントの構造によって影響を及ぼされるであろう。幾つかの実施形態では、プレポリマー・セグメントは、米国特許第4,721,769号明細書に記載されているように相分離可能である、またはジアセチレン含有セグメントと非相溶性である。
【0032】
ジアセチレン成分の選択に加えて、使用されるポリマーのタイプは、得られるジアセチレン含有コポリマーの、着色などの、特性に影響を及ぼすかもしれない。セグメントの柔軟性および分布の両方は、選択されるポリマーマトリックスに基づいて影響を受ける。セグメントの構造、すなわち、環置換および直線性もまた、ジアセチレン含有コポリマーの、着色などの、特性に影響を及ぼすかもしれない。
【0033】
多くの実施形態では、ジアセチレン含有ポリマーは少なくとも1つの反応性乳化化合物を含有してもよい。反応性乳化化合物は、少なくとも1つのアニオン性官能基、カチオン性官能基、アニオン性官能基もしくはカチオン性官能基、またはそれらの混合を形成することができる基を含有する。本明細書で用いるところでは、用語「反応性乳化化合物」は、それが少なくとも1つのイオン化可能な基を含有するので内部乳化剤としての機能を果たす化合物を表現する。
【0034】
反応性乳化化合物は、成分の少なくとも1つと反応してジアセチレン含有ポリマー中へ組み入れることができる。従って、反応性乳化化合物は少なくとも1つの、好ましくは少なくとも2つの活性水素−反応性(例えば、ヒドロキシ−反応性)基を含有する。ヒドロキシ−反応性基には、例えば、イソシアネート、ヒドロキシル、メルカプト、およびアミン基が含まれる。
【0035】
ポリマーへの反応性乳化化合物の組み入れは生じたポリマーの親水性を向上させる。例えば、ポリマー中の反応性乳化化合物は、生じたポリマーの水分散性を可能にする。さらに、かかる分散は一般に、安定性のために、界面活性剤などの外部乳化剤を必要としない。
【0036】
好ましくは、十分な量の反応性乳化化合物が、約0.5〜約5重量パーセント、より好ましくは約0.75〜約3重量パーセントの、反応性乳化化合物から誘導されたセグメントを含む貯蔵安定性ジアセチレン含有ポリマーを製造するために外部乳化剤が必要でないように反応させられる。ポリエチレンオキシドを含有するポリオールが使用される場合、この好ましい実施形態で使用される反応性乳化化合物の量は、安定な分散系を形成するためにより少なくてもよい。
【0037】
ある種の実施形態では、反応性乳化化合物は少なくとも1つのアニオン性官能基または他のポリマー成分と反応させられたときにかかる基を形成することができる基(すなわち、アニオン形成基)を含有する。反応性乳化化合物のアニオン性官能基またはアニオン形成基は、反応性乳化化合物のイオン化に寄与する任意の好適な基であることができる。例えば、好適な基には、カルボキシレート、スルフェート、スルホネート、ホスフェート、および類似の基が含まれる。
【0038】
アニオン性官能基を有する反応性乳化化合物に好ましい構造は式IV
【化3】

(式中、Gは、OH、NHRまたはSHであり、Qは、COO-およびSO3-から選択された負に帯電した部分、またはイオン化時にかかる負に帯電した部分を形成することができる基である。X、Y、およびR1のそれぞれは同じまたは異なるものであってもよい。X、Y、R、およびR1は独立して、好ましくは約1〜約20個の炭素原子を有する、反応性官能基なしの脂肪族有機基(例えば、反応性官能基を含まないアルキレン基)、およびそれらの組み合わせから選択される。ただし、(i)Rは水素であることができ、そして(ii)R1は、QがCOO-およびSO3-である場合には必要とされない)
で一般的に表される。
【0039】
例として、ジメチロールプロピオン酸(DMPA)は、本発明のある種の実施形態に有用な反応性乳化化合物である。さらに、2,2−ジメチロール酪酸、ジヒドロキシマレイン酸、およびスルホポリエステルジオールは他の有用な反応性乳化化合物である。
【0040】
ある種の実施形態では、反応性乳化化合物は、少なくとも1つのカチオン性官能基または他のポリマー成分と反応したときにかかる基を形成することができる基(すなわち、カチオン形成基)を含有する。反応性乳化化合物のカチオン性官能基またはカチオン形成基は、反応性乳化化合物のイオン化に寄与する任意の好適な基であることができる。ほとんどの実施形態では、反応性乳化化合物はアミンである。
【0041】
カチオン性官能基を有する反応性乳化化合物に好ましい構造は式V
【化4】

(式中、Gは、OH、NHRまたはSHである。XおよびYのそれぞれは、同じまたは異なるものであってもよい。X、Y、およびRは独立して、好ましくは約1〜約20個の炭素原子を有する、反応性官能基なしの脂肪族有機基(例えば、反応性官能基を含まないアルキレン基)、およびそれらの組み合わせから選択される。ただし、Rは水素であることができる)
で一般的に表される。
【0042】
所望の用途に依存して、アニオン性またはカチオン性の反応性乳化化合物が好ましいかもしれない。例えば、生物学的用途で使用されるとき、反応性乳化剤はカチオン性官能基を含有することが好ましいかもしれない。それらの状況では、ポリマーのカチオン特性は、抗菌剤などの、他の添加剤との相互作用の可能性を最小限にするかもしれない。これは、例えば、医療用途で特に懸念されるかもしれない。
【0043】
反応性乳化化合物のための他の有用な化合物には、参照により本明細書に援用される、米国特許第5,554,686号明細書で水可溶化化合物として記載されているものが含まれる。当業者は、多種多様な反応性乳化化合物が本発明で有用であることを理解するであろう。
【0044】
ポリマー添加剤
ジアセチレン含有ポリマーは、エラストマーなどの他のポリマーとブレンドしてジアセチレン含有ポリマーおよびポリマー添加剤の両方の望ましい機能特性を有する生成ブレンドを得ることができる。一般に、ジアセチレン含有ポリマーはポリマーブレンドの5重量%より多くを占める。好ましい実施形態では、ジアセチレン含有ポリマーはポリマーブレンドの10重量%より多くを占める。得られたブレンド中のジアセチレン含有ポリマーの量は、ジアセチレン含有ポリマー中のジアセチレン・セグメントの数または自己集合するジアセチレン含有ポリマーの性向によって影響され得る。
【0045】
好適なポリマー添加剤の具体的な例には、ポリエチレンナフタレート(PEN)およびその異性体(例えば、2,6−、1,4−、1,5−、2,7−、および2,3−PEN)、ポリアルキレンテレフタレート(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、およびポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)、ポリイミド(例えば、ポリアクリルイミド)、ポリエーテルイミド、アタクチックポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメタクリレート(例えば、ポリイソブチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、およびポリメチルメタクリレート)、ポリアクリレート(例えば、ポリブチルアクリレートおよびポリメチルアクリレート)、シンジオタクチックポリスチレン(sPS)、シンジオタクチックポリ−アルファ−メチルスチレン、シンジオタクチックポリジクロロスチレン、これらのポリスチレンの任意のもののコポリマーおよびブレンド、セルロース誘導体(例えば、エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、およびセルロース硝酸エステル)、ポリアルキレンポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン、およびポリ(4−メチル)ペンテン)、フッ素化ポリマー(例えば、パーフルオロアルコキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレン−プロピレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン、およびポリクロロトリフルオロエチレン)、塩素化ポリマー(例えば、ポリ塩化ビニリデンおよびポリ塩化ビニル)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアセテート、ポリエーテル−アミド、アイオノマー樹脂、エラストマー(例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、およびネオプレン)、ならびにポリウレタンが挙げられるかもしれない。コポリマー、例えば、PENのコポリマー(コPEN)(例えば、2,6−、1,4−、1,5−、2,7−、および/または2,3−ナフタレンジカルボン酸、もしくはそれらのエステルと、(a)テレフタル酸、もしくはそのエステル、(b)イソフタル酸、もしくはそのエステル、(c)フタル酸、もしくはそのエステル、(d)アルカングリコール、(e)シクロアルカングリコール(例えば、シクロヘキサンジメタンジオール)、(f)アルカンジカルボン酸、および/または(g)シクロアルカンジカルボン酸(例えば、シクロヘキサンジカルボン酸)とのコポリマー)、ポリアルキレンテレフタレートのコポリマー(例えば、テレフタル酸、もしくはそのエステルと、(a)ナフタレンジカルボン酸、もしくはそのエスエル、(b)イソフタル酸、もしくはそのエステル、(c)フタル酸、もしくはそのエステル、(d)アルカングリコール、(e)シクロアルカングリコール(例えば、シクロヘキサンジメタンジオール)、(f)アルカンジカルボン酸、および/または(g)シクロアルカンジカルボン酸(例えば、シクロヘキサンジカルボン酸)とのコポリマー)、ならびにスチレンコポリマー(例えば、スチレン−ブタジエンコポリマーおよびスチレン−アクリロニトリルコポリマー)、4,4’−ビ安息香酸およびエチレングリコールもまた好適であるだろう。
【0046】
例示的な非フッ素化ポリマーには、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリイミド、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリケトン、ポリウレア、ポリアクリレート、およびそれらの混合物などが含まれるかもしれない。幾つかの実施形態では、非フッ素化ポリマーは、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)、ブタジエンゴム、塩素化およびクロロスルホン化ポリエチレン、クロロプレン、エチレン−プロピレンモノマー(EPM)ゴム、エチレン−プロピレン−ジエンモノマー(EPDM)ゴム、エピクロロヒドリン(ECO)ゴム、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、ポリスルフィド、ポリウレタン、シリコーンゴム、ポリ塩化ビニルとNBRとのブレンド、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、エチレン−アクリレートコポリマーゴム、ならびにエチレン−ビニルアセテートゴムなどの、非フッ素化エラストマーであってもよい。好適なエチレン−ビニルアセテートコポリマーには、イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(デラウェア州ウィルミントン)(E.I.du Pont de Nemours and Co.(Wilmington,Del.))から入手可能なエルバックッス(ELVAX)が含まれるかもしれない。
【0047】
非フッ素化ポリマーとしてもまた有用であるかもしれない多くのポリアミドは一般に商業的に入手可能である。例えば、周知のナイロンの任意のものなどのポリアミドは多数の製造業者から入手可能である。特に望ましいポリアミドは、ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−11、およびナイロン−12であるかもしれない。特定のポリアミド材料の選択は特定の用途の物理的要件に基づくべきであることに留意されたい。例えば、ナイロン−6およびナイロン−6,6はナイロン−11およびナイロン−12より良好な耐熱性を提供するが、ナイロン−11およびナイロン−12はより良好な耐化学薬品性および耐湿性を提供する。加えて、ナイロン−6,12、ナイロン−6,9、ナイロン−4、ナイロン−4,2、ナイロン−4,6、ナイロン−7、およびナイロン−8、ならびにナイロン−6,Tおよびナイロン−6,Iなどの環含有ポリアミドなどの他のナイロン材料が使用されてもよい。好適なナイロンには、クリーノバ社(ニュージャージー州サマセット)(Creanova,Inc.(Somerset,N.J.))から入手可能な、ヴェスタミド(VESTAMID)L2140、ナイロン12が含まれる。アトケム・ノースアメリカ(ペンシルバニア州フィラデルフィア)(Atochem North America(Philadelphia,Pa.))から入手可能な、商品名ペバックス(PEBAX)を有するポリエーテル含有ポリアミドもまた使用されてもよい。
【0048】
有用なポリウレタンには、脂肪族、脂環式、芳香族、および多環式ポリウレタンが含まれるかもしれない。これらのポリウレタンは典型的には、周知の反応メカニズムに従って多官能性イソシアネートとポリオールとの反応によって製造される。ポリウレタンの製造での使用に有用なジイソシアネートには、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、および4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが含まれる。1つもしくはそれ以上の多官能性イソシアネートの組み合わせもまた使用されてもよい。有用なポリオールには、ポリペンチレンアジペートグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリカプロラクトンジオール、ポリ−1,2−ブチレンオキシドグリコール、およびそれらの組み合わせが含まれる。ブタンジオールまたはヘキサンジオールなどの鎖延長剤もまた反応に使用されてもよい。有用な商業的に入手可能なウレタンポリマーには、モートン・インターナショナル(ニューハンプシャー州シーブルック)(Morton International(Seabrook,N.H.))製のモータン(MORTHANE)L424.167(MI=9.7)、PN−04または3429、およびB.F.グッドリッチ社(オハイオ州クリーブランド)(B.F.Goodrich Co.,Cleveland,Ohio)製のX−4107が含まれる。
【0049】
有用なポリオレフィンには、エチレン、プロピレンなどのホモポリマー、ならびにこれらのモノマーと、例えば、アクリルモノマーならびにビニルアセテートおよび高級アルファ−オレフィンなどの他のエチレン性不飽和モノマーとのコポリマーが含まれることができる。かかるポリマーおよびコポリマーは、かかるエチレン性不飽和モノマーの通常のフリーラジカル重合または触媒作用によって製造されてもよい。ポリマーの結晶性の程度は変わってもよい。ポリマーは、例えば、半結晶性の高密度ポリエチレンであってもよいし、またはエチレンとプロピレンとのエラストマーコポリマーであってもよい。カルボン酸、酸無水物、またはイミド官能基は、アクリル酸または無水マレイン酸などの官能性モノマーを重合させるもしくは共重合させることによって、または重合後に、例えば、グラフト化により、酸化により、もしくはアイオノマーの形成によりポリマーを変性することによってポリマー中へ組み入れられてもよい。例には、酸変性エチレン・アクリレートコポリマー、酸無水物変性エチレン・ビニルアセテートコポリマー、酸無水物変性ポリエチレンポリマー、および酸無水物変性ポリプロピレンポリマーが挙げられる。かかるポリマーおよびコポリマーは一般に、例えば、商品名エンゲージ(ENGAGE)(ダウ−デュポン・エラストマーズ、デラウェア州ウィルミントン(Dow−DuPont Elastomers,Wilmington,Del.))またはイグザクト(EXACT)(エクソンモービル、ニュージャージー州リンデン(ExxonMobil,Linden,N.J.))で商業的に入手可能である。好適な酸無水物変性ポリエチレンポリマーは、バイネル(BYNEL)共押出可能接着樹脂で、イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(デラウェア州ウィルミントン)から商業的に入手可能である。
【0050】
有用なポリアクリレートには、アクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、アクリルアミド、メタクリル酸、メチルメタクリレート、エチルメタクリレートなど、およびそれらの混合物のポリマーが含まれるかもしれない。
【0051】
有用なポリカーボネートには、ポリエステルカーボネート、ポリエーテルカーボネートなどの脂肪族ポリカーボネート、およびビスフェノール−A由来ポリカーボネートなどが含まれるかもしれない。
【0052】
有用なポリイミドには、商品名カプトン(KAPTON)でイー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニーから入手可能な、ピロメリット酸の酸無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとから製造されたポリイミドポリマーが含まれることができる。変形には、とりわけ、カプトンH、カプトンE、およびカプトンVが含まれる。
【0053】
上で指摘されたような、有用な非フッ素化ポリマーの追加の例には、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリケトン、およびポリウレアが挙げられる。例示的な商業的に入手可能なポリマーには、商品名セラー(SELAR)を有するポリエステル(イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー)、商品名レキサン(LEXAN)を有するポリカーボネート(ゼネラル・エレクトリック社、マサチューセッツ州ピッツフィールド(General Electric Co.,Pittsfield,Mass.))、商品名カデル(KADEL)を有するポリケトン(アモコ社、イリノイ州シカゴ(Amoco Corp.,Chicago,Ill.))、および商品名スペクトリム(SPECTRIM)を有するポリウレア(ダウ・ケミカル社、ミシガン州ミッドランド(Dow Chemical Co.,Midland,Mich.))が含まれる。
【0054】
例示的な商業的に入手可能なエラストマーには、商品名ニポール(NIPOL)1052NBR、ハイドリン(HYDRIN)C2000エピクロロヒドリン−エチレンオキシドゴム、およびゼットポール(ZETPOL)水素化NBR(ゼオン・ケミカル、ケンタッキー州ルイビル(Zeon Chemical,Louisville,Ky.));ハイパロン(HYPALON)48クロロスルホン化ポリエチレンゴムおよびヴァマック(VAMAC)エチレン−アクリレートエラストマー(イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー、デラウェア州ウィルミントン);ノーデル(NORDEL)EPDM(R.T.ヴァンダービルト社、コネチカット州ノーウォーク(R.T.Vanderbilt Co.,Inc.,Norwalk,Conn.));クリナック(KRYNAC)NBR、パーブナン(PERBUNAN)NBR/PVCブレンドおよびサーバン(THERBAN)水素化NBR(バイエル社、ペンシルバニア州ピッツバーグ(Bayer Corp.,Pittsburgh,Pa.));サントプレーン(SANTOPRENE)熱可塑性エラストマー(アドバンスト・エラストマー・システムズ、オハイオ州アクロン(Advanced Elastomer Systems,Akron,Ohio));クレイトン(KRATON)熱可塑性エラストマー(シェル・ケミカル社、テキサス州ヒューストン(Shell Chemical Co.,Houston,TX));ならびにケルタン(KELTAN)EPDM(DSMエラストマーズ・アメリカス、ルイジアナ州アディス(DSM Elastomers Americas,Addis,La.))を有するものが含まれる。
【0055】
ジアセチレン含有ポリマーブレンドの所望の特性は、バランスをとらせる必要がある。ポリマー添加剤の増加した量は、生じたジアセチレン含有ポリマー/添加剤ブレンドの着色を弱くするかもしれない希釈効果をもたらし得る。この希釈効果は、ジアセチレン含有ポリマー中の相対的ジアセチレン・セグメントを増やすことによって最小にすることができる。一方、過剰量のジアセチレン含有ポリマーは、ポリマー添加剤の所望の特性を最小にするまたはマスクするかもしれない。
【0056】
感圧接着剤
ジアセチレン含有ポリマー、またはジアセチレン含有ポリマーブレンドは、粘着付与剤および可塑剤とブレンドしてジアセチレン含有ポリマーの固有の発色性を危うくすることなく感圧接着組成物(PSA)を形成することができる。例えば、相溶性の粘着付与剤および/または可塑剤が、ジアセチレン含有PSAの究極的な粘着性および剥離性を最適化するのを助けるために添加されてもよい。一般に、ジアセチレン含有ポリマー、またはそのポリマーブレンドは、PSA組成物の少なくとも30%を占める。
【0057】
かかる粘着改質剤の使用は、ドナタス・セイタス(Donatas Satas)によって編集された、Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology(感圧接着剤技術ハンドブック)(1982)に記載されているように、当該技術では一般的である。有用な粘着付与剤の例には、ロジン、ロジン誘導体、ポリテルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂などが挙げられるが、それらに限定されない。本発明の接着剤に加えられてもよい可塑剤は、多種多様な商業的に入手可能な材料から選択されてもよい。代表的な可塑剤には、ポリオキシエチレンアリールエーテル、ジアルキルアジペート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、t−ブチルフェニルジフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルアジペート、トルエンスルホンアミド、ジプロピレングリコールジベンゾエート、ポリエチレングリコールジベンゾエート、ポリオキシプロピレンアリールエーテル、ジブトキシエトキシエチルホルマール、およびジブトキシエトキシエチルアジペートが含まれる。当該技術で知られているようなUV安定剤もまた添加されてもよい。
【0058】
他の材料もまた、ジアセチレン含有PSAで所望の特性を得るために添加されてもよい。例えば、溶融シリカ、繊維(例えば、ガラス、金属、無機、または有機繊維)、カーボンブラック、ガラスまたはセラミックビーズ/バブル、粒子(例えば、金属、無機、または有機粒子)、ポリアラミド(例えば、商品名ケブラー(KEVLAR)でデュポン・ケミカル・カンパニー(DuPont Chemical Company)、デラウェア州ウィルミントンから入手可能なもの)などのフィラーを、一般に、ジアセチレン含有ポリマーの百重量部当たり約50部以下の量で添加することができる。ただし、かかる添加剤は最終PSA組成物に望まれる特性に害を及ぼさない。
【0059】
染料、不活性流体(例えば、炭化水素オイル)、顔料、難燃剤、安定剤、酸化防止剤、相溶化剤、抗菌剤(例えば、酸化亜鉛)、導電体、熱導体(例えば、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、およびニッケル粒子)などの他の添加剤を、一般に組成物の総容量の約1〜約50パーセントの量で、これらの組成物中へブレンドすることができる。
【0060】
用途
いったんポリマーブレンドが形成されると、それは基材へ容易に塗布され、次に乾燥されてコーティングを形成する。乾燥は、室温(すなわち、約20℃)でか、高温(例えば、約25℃〜約150℃)でかのどちらかで実施することができる。乾燥は場合により強制空気または真空の使用を含むことができる。これには、強制空気および真空オーブンなどの、オーブン中での静電気被覆基材の乾燥、または強制空気、高強度ランプなどによって加熱されたチャンバーを通して連続的に搬送される被覆基材の乾燥が含まれる。乾燥はまた、減圧(すなわち周囲圧未満)で行われてもよい。
【0061】
ジアセチレン含有ポリマーブレンドのコーティングは、多種多様な基材上に形成することができる。例えば、コーティングは、シーティング製品(例えば、装飾、反射およびグラフィック)、ラベルストック、およびテープバッキングに塗布することができる。基材は、所望の用途に依存して任意の好適なタイプの材料であることができる。典型的には、基材は不織布、紙、ポリマーフィルム(例えば、ポリプロピレン(例えば、二軸延伸ポリプロピレン(BOPP))、ポリエチレン、ポリウレア、ポリウレタン、またはポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート))、または剥離ライナー(例えば、シリコーン処理ライナー)を含む。
【0062】
コートされたポリマーのポスト−架橋が望ましい場合、アミノシランを使用することができる。ポリマーブレンドをコートし、乾燥させるとすぐに、アミノシランは架橋を起こさせる。
【0063】
ジアセチレン含有ポリマー、および/またはポリマーブレンドの放射線への暴露は、無色透明から典型的には赤または青の着色をもたらす。放射線源には、UV、ガンマ、電子ビーム(e−ビーム)、および太陽源が含まれる。ほとんどの実施形態では、紫外(UV)放射線源がポリマーを硬化させるために用いられる。ポリマーに観察される着色は、利用される照射源に無関係であるが、色強度、すなわち、クロマは加えられる用量によってある程度決定される。
【0064】
ポリマーは、例えば、溶媒(ソルバトクロミズム)、温度変化(サーモクロミズム)および加えられる応力(ピエゾクロミズム)になど、刺激に応答してポスト−放射、または二次発色を示すことができる。刺激への暴露時に、ポリマーネットワークは、発現色から黄などの二次色へのさらに別の変色を受ける。この二次変色は、出発原料の選択に依存して、可逆的であるかもしれない。
【0065】
着色のための時間は、出発原料の選択に影響を及ぼすかもしれない。速い着色が決定的に重要ではないそれらの用途については、ポリマーシステムの自己集合を可能にするためのより長い時間はより広範囲の出発原料の使用を可能にするかもしれない。
【0066】
本発明の目的および利点は次の実施例によってさらに例示されるが、これらの実施例で列挙される特定の材料およびその量、ならびに他の条件および詳細は本発明を不当に限定すると解釈されるべきではない。
【実施例】
【0067】
これらの実施例は、あくまで例示のためのものであり、添付される特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。実施例および本明細書の残りの部分でのすべての部、百分率、比などは、特に記載のない限り、重量による。さらに、実施例および本明細書の残りでの分子量は、特に記載のない限り、重量平均分子量である。使用した溶媒は、アルドリッチ・ケミカル・カンパニー、ウィスコンシン州ミルウォーキー(Aldrich Chemical Company;Milwaukee,Wisconsin)から入手した。
【0068】
180°剥離接着力
この剥離接着力試験は、該試験に記載されるステンレススチール基材をガラス基材に置き換えて、ASTM(米国材料試験協会)D3330−90に記載される試験方法に類似している。この試験は、本文書の目的のためには「ガラス基材剥離接着力試験」と呼ばれるであろう。PSAテープを1.27センチメートル×15センチメートル・ストリップへカットした。各ストリップを次に、ストリップの一面に2キログラム・ローラーを一回通すことによって10センチメートル×20センチメートルのきれいな、溶媒洗浄したガラスクーポンに接着させた。接着されたアセンブリは室温で約1分間一時休止した。
【0069】
そのように調製した各サンプルを、イマス(IMASS)スリップ/剥離試験機(モデル3M90、インスツルメンターズ社、オハイオ州ストロングスヴィル(Instrumentors Inc.;Strongsville,OH)から商業的に入手可能な)を2秒データ収集時間を用いて2.3メートル/分(90インチ/分)の速度でおよび/または5秒データ収集時間を用いて30.5センチメートル/分(12インチ/分)の速度で180°剥離接着力について試験した。各組成物の2サンプルを試験した。報告される剥離接着力値は、2サンプルのそれぞれからの剥離接着力値の平均である。
【0070】
剪断強度
この剪断強度試験は、ASTM D3654−88に記載される試験方法に類似している。上記のように調製したPSAテープを、1.27センチメートル×15センチメートル・ストリップへカットした。各ストリップを次に、各ストリップの1.27センチメートル×1.27センチメートル部分がパネルとしっかり接触し、そしてストリップの一端部分が自由に垂れ下がるようにステンレススチール・パネルへ接着させた。
【0071】
付着したストリップ付きパネルを、パネルがストリップの伸びた自由端と178°の角度を形成するようにラックに入れた。ストリップの自由端から垂れ下がる重りとして加えられた1キログラムの力を加えることによってストリップをぴんと張った。試験中のテープの保持力をより正確に測定しようとして、いかなる剥離力も無にし、こうして、剪断強度力だけが測定されることを確実にするために180°より2°少ない角度を用いた。
【0072】
各テープサンプルについて試験パネルから分離するための経過時間を剪断強度として記録した。各試験は、接着剤がより早い時間に(書き留められるように)破壊しない限り、10,000分で打ち切った。
【0073】
【表1】

【0074】
合成実施例1
取り扱いを容易にするために、シェルL−2203を約40℃の対流オーブン中へ約45分間入れた。磁気バーを含有する、そして温度計および還流冷却器を備え付けたガラス反応容器を窒素でパージし、窒素注入口を冷却器上に置いた。この容器にシェルL−2203(41.12g、23.85meq)、DAD n=4(すなわち、5,7−ドデカジイン−1,12−ジオール)(0.9720グラム、10.02meq)およびTHF(塩基性アルミナに通すことによって乾燥させた)(200ミリリットル)を加えた。混合物を、ジオールを溶解されるために穏やかに加熱しながら撹拌し、そしてHDI(2.85グラム、33.87meq)および1滴のDBTDLを加えた。混合物を還流条件下(約65℃)で約19時間反応するに任せた。得られたポリマーは34,000の数平均分子量(Mn)を有した。
【0075】
合成実施例2
磁気バーを含有する、そして温度計および還流冷却器を備え付けたガラス反応容器を窒素でパージし、窒素注入口を冷却器上に置いた。この容器にトルエン(塩基性アルミナに通すことによって精製した)(30ミリリットル)およびHDI(1.262グラム、15.0meq)を加えた。アルゴンパージした滴下ロート中へ、トルエン(塩基性アルミナに通すことによって精製した)(15ミリリットル)およびPBHTO(7.5グラム、7.5meq)を入れた。滴下ロートを反応容器に取り付け、1滴のDBTDLをHDI溶液に加え、PBHTO溶液を約1時間にわたってHDI溶液に滴下し、反応容器を還流温度(約110℃)に加熱した。混合物を還流条件下に約3時間反応するに任せた。DAD n=4(すなわち、5,7−ドデカンジイン−1,12−ジオール)(0.7275グラム、7.5meq)を反応容器に加え、内容物を約60℃で追加の3時間反応するに任せた。得られたポリマーは8,300の数平均分子量(Mn)を有した。
【0076】
合成実施例3
ACCLAIM 4220NおよびDAD n=4(すなわち5,7−ドデカジイン−1,12−ジオール)の原液を、97:3のACCLAIM 4220N:DADの重量比でTHF中に調製した。THF中のHDIの原液もまた調製した。これらの原液を、カニューレによってボーダン(Bohdan)連結反応器に取り付けた。原液を使用して所望量のOH(ACCLAIM 4220NとDADとの組み合わせ)およびNCO(HDI)を供給した。全OHの量は0.60meqであり、全NCOの量は0.60meqであった。得られたポリマーは22,500の分子量(Mn)を有した。
【0077】
合成実施例4
全OHの量が0.58meqであり、そして全NCOの量が0.60meqであることを除き、合成実施例3について記載された同じ手順に従った。得られたポリマーは90,700の分子量Mnを有した。
【0078】
実施例1〜9および比較例C1
パートI:PSAブレンドの光学的スクリーニング
合成実施例1で製造したポリマーと粘着付与剤とのブレンドの光学的特性を試験するために、ポリマーおよび粘着付与剤とブレンドしたポリマーのサンプルを、表Iに示すようなTHF中の20%固形分溶液として調製した。以下の実施例に記載される分散系を、窒素コロナ処理したPET上に51マイクロメートル(2ミル)の乾燥フィルム厚さにナイフコーターを用いてコートした。コートしたフィルムを70℃で10分間乾燥させ、23℃および50%R.H.で一晩貯蔵した。フィルムに300W Hランプ、80FPMでワンパスを用いてUV照射した。クロマ値だけでなくUV照射前後のコーティングの色も書き留めた。クロマ値(C*)は、エックス−ライト(X−Rite)スペクトロ濃度計、モデル#528Lを用いて露光の前後に測定した(C*はサンプル中に存在する色の量を表現するものである)。
【0079】
【表2】

【0080】
パートII:PSAテープ試験
合成実施例1からのポリマーおよび合成実施例1からのポリマーと上記の粘着付与剤とのブレンドのテープサンプルを製造し、上記の試験方法を用いて180°剥離および剪断強度について試験した。データを表2に提示する。
【0081】
【表3】

【0082】
実施例10
95重量部のブロックコポリマーおよび5重量部の合成実施例2で製造したポリマーの溶液をトルエン中で調製し、シリコーン剥離ライナー上へコートし、70℃で10分間乾燥させ、600W硬化ライン、80FPMでワンパスを用いてUV照射した。材料は青になった。
【0083】
実施例11〜15
合成実施例3および合成実施例4のポリマーの一連のブレンドを、表3に示す比に従ってトルエン中で調製した。ブレンドをシリコーン剥離ライナー上へコートし、70℃で10分間乾燥させ、600W硬化ライン、80FPMでワンパスを用いてUV照射した。観察された変色を表3に列挙する。
【0084】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのジアセチレン・セグメントを含む発色性コポリマー、および
少なくとも1つの機能特性を有する添加剤
を含むポリマーブレンドであって、
該ジアセチレン含有コポリマーの発色特性と該添加剤の機能特性とを示すポリマーブレンド。
【請求項2】
前記添加剤が粘着付与剤である、請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項3】
前記添加剤がポリマーである、請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項4】
前記発色特性が可逆的である、請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項5】
前記ジアセチレン・セグメントがウレタン結合で連結される、請求項4に記載のポリマーブレンド。
【請求項6】
前記ジアセチレン・セグメントがエステル結合で連結される、請求項4に記載のポリマーブレンド。
【請求項7】
前記ジアセチレン・セグメントがアミド結合で連結される、請求項4に記載のポリマーブレンド。
【請求項8】
前記機能特性が前記添加剤の接着特性である、請求項1に記載のポリマーブレンド。
【請求項9】
前記接着特性が引張強度、接着力、剥離強度、および凝集力からなる群から選択される、請求項8に記載のポリマーブレンド。
【請求項10】
少なくとも2つのジアセチレン・セグメント、
結合セグメント、および
少なくとも1つの反応性乳化セグメント
を含む発色性コポリマー。
【請求項11】
請求項10に記載の発色性コポリマー、および
少なくとも1つの機能特性を有する添加剤
を含むポリマーブレンドであって、該ジアセチレン含有コポリマーの発色特性と該添加剤の機能特性とを示すポリマーブレンド。
【請求項12】
前記添加剤が粘着付与剤である、請求項11に記載のポリマーブレンド。
【請求項13】
前記添加剤がポリマーである、請求項11に記載のポリマーブレンド。
【請求項14】
前記発色特性が可逆的である、請求項11に記載のポリマーブレンド。
【請求項15】
前記ジアセチレン・セグメントがウレタン結合で連結される、請求項10に記載のポリマーブレンド。
【請求項16】
前記ジアセチレン・セグメントがエステル結合で連結される、請求項10に記載のコポリマー。
【請求項17】
前記ジアセチレン・セグメントがアミド結合で連結される、請求項10に記載のコポリマー。
【請求項18】
前記機能特性が前記添加剤の接着特性である、請求項11に記載のポリマーブレンド。
【請求項19】
前記接着特性が引張強度、接着力、剥離強度、および凝集力からなる群から選択される、請求項18に記載のポリマーブレンド。
【請求項20】
前記反応性乳化セグメントが式V
【化1】

(式中、Gは、OH、NHRおよびSHからなる群から選択され、
XおよびYのそれぞれは、同じまたは異なるものであってもよく、
XおよびYのそれぞれは独立して、反応性官能基なしの、約1〜約20個の炭素原子を有する脂肪族有機基、およびそれらの組み合わせから選択され、そして
Rは、水素または反応性官能基なしの、約1〜約20個の炭素原子を有する脂肪族有機基、およびそれらの組み合わせであることができる)
で表される反応性乳化化合物から形成される、請求項10に記載のポリマーブレンド。
【請求項21】
前記反応性乳化セグメントが式IV
【化2】

(式中、Gは、OH、NHRおよびSHからなる群から選択され、
Qは、COO-およびSO3-から選択された負に帯電した部分、またはイオン化時にかかる負に帯電した部分を形成することができる基であり、
X、YおよびR1のそれぞれは同じまたは異なるものであってもよく、
X、Y、R、およびR1は独立して、好ましくは約1〜約20個の炭素原子を有する、反応性官能基なしの脂肪族有機基、およびそれらの組み合わせから選択され、
Rは水素であることができ、そして
1は、QがCOO-およびSO3-である場合には存在してもしなくてもよい)
で表される反応性乳化化合物から形成される、請求項10に記載のコポリマー。
【請求項22】
前記ジアセチレン・セグメントが一般構造
−[C≡CC≡C]n
(式中、nは1〜9である)
を含む、請求項10に記載のコポリマー。
【請求項23】
ジアセチレン・セグメント間の結合の少なくとも80%がウレタンおよびウレア結合である、請求項15に記載のポリマーブレンド。
【請求項24】
ジアセチレン・セグメント間の結合の少なくとも95%がウレタンおよびウレア結合である、請求項23に記載のポリマーブレンド。
【請求項25】
請求項10に記載のコポリマーを含む感圧接着剤。
【請求項26】
請求項11に記載のポリマーブレンドを含む感圧接着剤。
【請求項27】
外部刺激に曝されたときに発色応答を示す、請求項26に記載の感圧接着剤。
【請求項28】
水分散性である、請求項10に記載のコポリマー。

【公表番号】特表2008−510851(P2008−510851A)
【公表日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−528012(P2007−528012)
【出願日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/029408
【国際公開番号】WO2006/023652
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】