説明

ポリビニルアルコール濾材

水-可溶性のポリビニルアルコール材料を含むフィルターが開示されている。水-可溶性のポリビニルアルコール材料から形成されたフィルターの製造方法及び使用方法も開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2002年12月24日に出願された米国出願第60/436,318号の優先権を主張して、2003年12月24日に全ての国を指定してマイクロテック メディカル ホールディングス,インコーポレイテッドの名前でPCT国際特許出願として出願されたものである。
【0002】
本発明は、一般的にポリビニルアルコール材料から製造された濾材に関するものである。
【背景技術】
【0003】
過去60年間に渡って、国際条約、法令、行政命令が、仕事場における環境保全及び健康と安全の実践に関する全ての面を規制する数多くの規則と標準をもたらしてきた。特に、産業廃棄物の処分が重く規制され、そして監視されるに至っている。全国的な廃棄物の埋立場が閉鎖されてしまい、産業界が、節約、リサイクル、燃料ブレンド、深穴注入及び焼却のような別法の採用に切り替ることを余儀無くされて来ている。このような状況下で、一般的に産業界は、増強した作業者の安全と曝露制御を提供する一方で、処理及び廃棄コストの増加に直面する危険で且つ毒性の廃棄物の放出を減少させるための努力を増してきている。仕事場の安全規制が、発生する危険で且つ毒性の廃棄物に対する曝露抑制への視点を生んだように、産業界が今負わなければならない「ゆりかごから墓場までの責任」が、廃棄物を最小にすることの重要性を大幅に増加させた。高いレベルの職場の安全と曝露抑制を維持しながら、危険な廃棄物処理問題を管理する手段として多くの産業界の焦点になって来ているのが、ちょうどそのような「廃棄物の最小化」である。
【0004】
代表的な例が、毎年数百ポンドの廃棄物を生じている医療産業である。その廃棄物の多くが、体液、排泄物、及び/又は再使用にとって不安全にする化学品で汚染される、患者介護用の保護被服、装置、及びアクセサリーのような使い捨て材料の使用に関係している。病気の蔓延を防ぐためには、前記の物の汚染レベルを考慮することなく、これらの材料が廃棄処分されて再利用されないことが、必須であり、且つ法律によって求められている。
【0005】
加えて、原子力産業もまた、毎年数百ポンドの廃棄物を生じている。その原子力産業では、廃棄物の多くが同様に、低レベルであっても放射性材料で汚染されそのために再利用には不安全で実際的ではない、保護被服(personal protective clothing)、バッグ、モップヘッド、布切れ(rags)、及び他のアクセサリーのような使い捨て材料の使用に関連している。原子力産業の廃棄物処理及び埋立ての実施が高度に規制されており、そして核廃棄物埋設のスペースが次第に乏しくなり、且つより多くのコストを要するようになってきている。
【0006】
他の種々の産業界でも、同様な性質を有する廃棄物の流れが生じている。埋立て及び焼却に代わる方法を求めて、水‐可溶性生成物が開発されてきた。いくつかのケースでは、水‐可溶性生成物が従来の水処理設備又は類似のもので処理され得る。従って、あるケースでは、水‐可溶性生成物が従来の廃棄物処理方法に代わる便利でコスト的に有効な方法を与える。そのような物は、汚染を分離するための手段を提供し、そしてより多くの汚染されていない部分を都市ゴミ又は定期的なゴミの流れに便利で且つ安く処理して、かくして特別に規制された(且つ高価な)処理方法で扱わねばならない危険な廃棄物の全堆積を大幅に減少させる。
【0007】
ポリビニルアルコール(PVA)は、衣料品、アパレル、リネン、ドレープ、タオル、スポンジ、ガーゼ、家庭用品(utensils)、布切れ、モップ、及び産業界の環境内で通常使用される他の有用な物品のような使い捨てパーソナル用品を製造するために通常用いられる材料である。これらの物品はしばしば、水‐可溶性で上記の処理上の利益を与える、不織布状、織布状、ニット状の或いはそうでなければ成形された熱可塑性ポリビニルアルコールポリマーのフィルム、布、及び繊維から製造される。
【0008】
産業界によって、特に危険な又は毒性のある廃棄物をろ過するのに特に使用される通常の濾材は、水‐不溶性の材料から出来ており、そして上記のような水‐可溶性生成物の利点を提供しない。増加した処理コスト及び規制により、多くの核ユーティリティ施設が、埋設に代わる方法として長期間の現場保管の利用を選択することによるフィルター格納プログラムを実施してきた。これは、常に縮小する核廃棄物埋設スペースにおけるフィルター廃棄の目前の問題と闘うのに供するが、長期の不利益を有している。従来の濾材は、時の経過と共に分解する傾向がある。何年もの保管の後に、最終的にこれらのフィルターが処理されねばならない。不安定な濾材による放射能放出の可能性が保管期間と共に増加する。
【0009】
従来の濾材の使用に関するもう一つの懸念は、従来の濾材の長期保管に付随する一般管理費である。特別な施設が建設され、維持及び監視されねばならない。そのような手順から、増加する保険の掛け金が生じる。
【0010】
当技術において必要なものは、(1)従来の濾材に付随する一つ以上の問題を無くし、そして(2)一つ以上の可能な利益、例えば(a)危険で毒性のある廃棄物の発生の低減、(b)廃棄物処理の低減された費用、(c)廃棄物の最小化のための規制遵守、及び(d)増加した作業場と個人の安全及び曝露抑制、を提供する濾材である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、ポリビニルアルコール(PVA)材料を含む新規な濾材の発見によって、上記に議論された困難性及び問題点のいくつかについて対処するものである。本発明の濾材は、(a)危険で毒性のある廃棄物の発生の低減、(b)廃棄物処理の低減された費用、(c)廃棄物の最小化のための規制遵守、及び(d)増加した作業場と個人の安全及び曝露抑制を非制限的に含む、一つ以上の利点を提供するものである。その濾材は、種々のフィルター構成を取り得るものであって、PVA以外の付加的な材料を含んでも良い。本発明の一つの望ましい態様において、その濾材は90重量%以上ほどもの多くの水‐可溶性PVAを含む。
【0012】
本発明はまた、PVA材料を含む濾材を、製造する方法及び使用する方法に向けられている。一つの例示的な方法において、核廃棄物を処理するためのプロセスにおいてその濾材が使用される。この態様では、その濾材が特定の目的(即ち濾過)を達成するために使用され、次いでその濾材を可溶化することによって処分され得る。放射性廃棄物は、その濾材の水‐可溶性部材から分離され得て、放射性廃棄物の量及び廃棄物の体積を実質上低減させる。
【0013】
本発明は、汚染フィルターによって発生される放射性廃棄物の低減方法に更に向けられており、そこではその方法が、そのフィルターの少なくとも一部が可溶性になるような条件下で、フィルターを水性浴中に据えることによって、そのフィルターを処分することを含んでいる。望ましくは、そのフィルターの水‐可溶性成分がPVAである。その方法は、水性浴中でフィルターの可溶化部分から放射性材料を分離する工程を非限定的に含む、一つ以上の付加的な工程を更に含んでも良い。
【0014】
本発明は更に、少なくとも1種の汚染された製品によって発生した放射性廃棄物の量を減少させる方法にも向けられており、そこではその方法が、(i)その製品の少なくとも一部が可溶性になるような条件下で、少なくとも1種の汚染された製品を水性浴中に据えることによって、その少なくとも1種の汚染された製品を処分する工程;及び(ii)水‐可溶性ポリビニルアルコール材料を含む少なくとも1種のフィルターを使用してその水性浴からいかなる非‐可溶化材料をも濾過する工程を含む。後に続く操作、又は工程において、水‐可溶性ポリビニルアルコール材料を含むその少なくとも1種のフィルターが、その少なくとも1種のフィルターの水‐可溶性部材を可溶化することによって処理し、更にそのプロセスにおける放射性廃棄物の量を減少させても良い。
【0015】
本発明は更に、(i)少なくとも1種の酸化剤、及び少なくとも1種のポリマーを含む材料を水性の環境中に導入する工程であって、そこではその少なくとも1種のポリマーが少なくとも1種の分解生成物に反応され、分解され又は砕かれることが可能なポリマーである、工程;(ii)少なくとも1種の分解生成物を提供するのに有効な条件下で、その少なくとも1種のポリマーの少なくとも一部を反応し、分解し又は砕く工程;及び(iii)水‐可溶性ポリビニルアルコール材料を含むフィルターを使用してその水性環境を濾過する工程、を含む、少なくとも1種のポリマーを含む材料を処理するプロセスに向けられている。後に続く操作、又は工程において、水‐可溶性ポリビニルアルコール材料を含むフィルターが、そのフィルターの水‐可溶性部材を可溶化することによって処理して、更にそのプロセスにおいて発生した放射性廃棄物の量を減少させても良い。
【0016】
本発明のこれらの特徴及び他の特徴並びに利点は、開示される態様に関する以下の詳細な説明及び添付の請求の範囲の精査の後に明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、ポリビニルアルコール(PVA)材料を含む濾材に向けられている。本発明は、PVA材料を含む濾材を製造する方法及び使用する方法にも向けられている。ポリビニルアルコールは、濾材を製造するための、いくつかのユニークで、且つ肯定的な物理的及び化学的特徴を呈する。化学材料、酸及び塩基、溶剤、並びに油及びグリースに対するポリビニルアルコール優れた抵抗性は、PVAを、原子力の環境、産業界の環境及びその他の環境における用途のための優れた材料とする。
【0018】
例えば、以下の表は、充分に加水分解されたPVA樹脂上での通常の油及び溶剤の影響力を比較したものである。その表が示すように、PVA樹脂は、エステル、エーテル、ケトン、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素及び一価のより高級なアルコールのほとんどによって実質上影響されない。一価の低級アルコールがその樹脂に対していくらかの膨潤を生じさせるが、その効果は無視し得る。普通のグレードのPVAは、動物油、植物油、グリース、及び石油炭化水素によって影響を受けない。以下の表において、無可塑化成形PVAが25〜35℃で10日間溶剤中に浸漬されたときに、その増加重量%が測定された。その数値が低いほど、化学材料に対するPVAの抵抗性が良い。
【0019】
【表1】

【0020】
本発明における使用のためのPVA繊維は、望ましくは充分に加水分解されたPVA樹脂から製造される。そのPVA樹脂の耐薬品性に加えて、得られる繊維の特性が、加熱及び繊維の延伸のような物理的処理によって更に強化され得る。PVA繊維の耐薬品性はPVA樹脂よりもさらに優れている。
【0021】
PVA繊維は、核(nuclear)濾過操作において通常見られるレベルの電離線(ionizing radiation)によって影響を受けず、そのことが高い放射性及び低レベルの核濾過操作の両方においてPVA繊維を有用なものにしている。
【0022】
I.PVAフィルター‐製造及び応用
PVA系フィルターは、現状のフィルターと同様の方式で製造され、使用され、そして処分され得る。但し、PVA濾材は、その形状を変更させ、そして化学的酸化又は単なる溶解を用いて体積を減少させることが出来ると言う特異な利点を有する。両方の場合に、その成分は、フィルターの形状中に存在しなくなり、むしろその濾材が液化され、排出又は濾過されて、そして放射性又は他の汚染が除去される。原子力及び他の産業での用途において、このことがその濾過された放射性又は危険な汚染物をより安定で所望の廃棄物の形にする。それを使用する者は、高度な放射性、又は危険な材料を含有するフィルターの処分を統治する規制がもはや適用されないことによる、経済的に大きな利点を理解するであろう。従来の形でこれらのフィルターを処分するのに設備に代金を支払うことをもはや要さず、そのことがその取り扱い、包装、輸送及び処分における大幅な額の金銭の節約になる。
【0023】
PVAフィルターは、例えば約0.1〜約2500ミクロンの広範囲の濾過能力をカバーするように製造され得る。PVAは、粒子の除去及び保持における高い効率を呈する。例えば、従来の濾材(例えばポリプロピレン、綿及び/又はポリエステル)の代わりに、PVAヤーン(yarn)がコードを巻いたフィルター上に用いられ、特定のミクロン等級について同様の仕様に巻かれる場合に、PVAは通常、当初の濾材に期待される性能設計パラメーラを上回る。これは、水の曝されたときのPVA濾材の少しの膨張によるものであり、濾過し得る粒子についてより締まった、よりくねった通路、並びにそれによる改良された濾過効率を生む。
【0024】
PVA繊維の強度は、PVA繊維を、高流量の条件下での圧力の急増又は高い差圧による故障に対して非常に抵抗性があるものにしている。PVAの溶解温度もまた、濾過操作中に見られる温度範囲全体に渡って濾材集結性を確保するように、製造プロセスの間に設定され得る。本発明のPVAフィルターの能力及び処理量は、従来の濾材と同一又は非常に整合し得る。
【0025】
本発明のPVAフィルターは、原子力の用途を含めて、いかなる水又は空気の濾過にも使用され得る。本発明の水フィルターについての他の用途には、電子部品の生産、医療、排水処理、飲み水、産業用冷却水システム、及び家庭での用途が、非限定的に含まれる。本発明の空気フィルターには、産業用ガス濾過、呼吸マスク、ビル/家庭用換気、及び自動車を非限定的に含む用途に用いられる繊維が含まれる。
【0026】
本発明のPVA含有フィルターは、液体用途及びガス用途の両方に適合し得る色々な構成及びデザインに製造され得る。本発明の一つの態様において、そのフィルターは、巻き型カートリッジのデザインを有する。そのようなデザインが図1〜3に示されている。この濾材10において、PVA繊維がロービング(roving)/ヤーン11に紡がれて、次いでそれが中心の支持コアー12の周りに巻かれる。そのコアー12は、金属、プラスチック、又は別の材料であり得る。図3に示されるように、コアー12が貫通13を有し、そこにフィルター10を通る流路を提供する。このフィルタータイプは、家庭用のような既存の水フィルターのデザインの多くのタイプに共通している。これらの同様のフィルターは、原子力産業全体に渡るBoiling Water Reactors(BWR)での低活性濾過用途において広範に使用される。コードを巻いたフィルターは、いかなる既存のフィルターハウジングにも対応するいかなる長さにも製造され得る。濾過能力(ミクロン等級)は、ヤーン密度、並びに巻繊張力及び巻繊パターンのような製造設定によって非常に広い範囲に渡って変更され得る。約0.1ミクロン(μm)以下の濾過等級が達成可能である。溶解されたときに、元のフィルターアセンブリーから、その中心の支持コアーのみが残る。
【0027】
本発明のある態様において、中心支持コアー12が、水‐可溶性、水‐分解性又は水‐分散性材料から製造され得る。好適な水‐可溶性材料には、本発明のフィルターの濾過部材(例えば図1〜3に示される濾材10のロービング/ヤーン11)を製造するのに使用されるポリビニルアルコールが、非限定的に含まれる。そのような態様において、その中心支持コアー12は、PVA材料のみを、或いは1種以上の水‐分解性又は水‐分散性材料と組み合わせて使用して、射出成形され得る。好適な水‐分解性又は水‐分散性材料には、ここでの言及で全体がここに組み込まれる、マイクロテック メディカル ホールディングス,インコーポレイテッドに付与された米国特許第6,162,852号明細書に開示されるポリマー類が、非限定的に含まれる。この態様では、約37℃より高い水温を有するアルカリに曝されたときに、中心支持コアー12も可溶化及び/又は分散し、その濾材から結果的に生ずる廃棄物の量を更に減少させる。
【0028】
図1〜3のフィルター10が円柱状の巻き型カートリッジのデザインを有するが、フィルター10が円柱状(例えば円形断面の構成)以外のいかなる容積形状を有していても良いことに、注目されるべきである。巻き型カートリッジのデザインについての円形断面の構成以外の好適な断面構成には、三角形、正方形、長方形、長円形、楕円形、星型、平行四辺形、斜方形、六角形、及び八角形の断面構成が、非限定的に含まれる。更に、巻き型カートリッジのデザインフィルターを通して断面の面積が、そのフィルターの長手方向に沿って実質上一定であっても良く、又はフィルターの長手方向に沿って変化しても良い。
【0029】
本発明の更なる態様において、PVA材料を含むフィルターは、空気及び水の両方の用途での使用のためのプリーツ状フィルターである。そのようなデザインが、図4に示されている。プリーツ状フィルター40は、ハウジング42内に濾材41を含む。これらのフィルター40は、ケージタイプのハウジング42を有しても良く、そこでは濾材41が全ての側面(又は一つより多い側面の組合せ)から充分に支持されて、フィルターの集結性を確保する。ハウジング42は、金属、プラスチック、又は別の材料であり得る。濾材41は、織布、編布又は不織布のシートとして、単一層又は多層で存在し、それは支持を強化し、濾過面積を最大にするためにプリーツ状にされている。濾材41はまた、押出し成形されたモノフィラメントのデザインとしても存在する。このフィルターの変形物が、空気によって運ばれた放射性汚染物が懸念される、放射性真空掃除機、又は他の用途における放射性の系に排出口を付ける場合の、High Efficiency Particulate Air(HEPA)フィルターにおいて使用される。プリーツ状のフィルターのもう一つの変形物が、反応器における精製システム、使用済み燃料プールの洗浄、及び補給水の濾過のような水の用途において使用される。プリーツ状のフィルターは、上記のような家庭及び産業の用途において普通に使用される。
【0030】
本発明のある態様では、ハウジング42が上記の中心支持コアー12に類似の水‐可溶性、水‐分解性、水‐分散性の材料から製造され得る。上記議論のように、好適な水‐可溶性材料には、本発明のフィルターの濾過部材(例えば図4に示されるプリーツ状フィルター40の濾材41)を製造するのに用いられるポリビニルアルコールが、非限定的に含まれる。好適な水‐分解性又は水‐分散性材料には、ここでの言及で全体がここに組み込まれる、マイクロテック メディカル ホールディングス,インコーポレイテッドに付与された米国特許第6,162,852号明細書に開示されるポリマー類が、非限定的に含まれる。
【0031】
この態様において、ハウジング42もまた、約37℃より高い水温を有するアルカリに曝されたときに、可溶化及び/又は分散し、その濾材から結果的に生ずる廃棄物の量を更に減少させる。
【0032】
図4のフィルター40は円柱状のハウジングデザインを有するが、フィルター40が円柱状(例えば円形断面の構成)以外のいかなる容積形状を有していても良いことに、注目されるべきである。プリーツ状デザインについての円形断面の構成以外の好適な断面構成には、三角形、正方形、長方形、長円形、楕円形、星型、平行四辺形、斜方形、六角形、及び八角形の断面構成が、非限定的に含まれる。更に、プリーツ状デザインフィルターを通して断面の面積が、そのフィルターの長手方向に沿って実質上一定であっても良く、又はフィルターの長手方向に沿って変化しても良い。
【0033】
更なる態様において、フィルターは、上記のいかなる面構成をも有する平坦な又はプリーツ状のフィルターであっても良い。言い換えれば、フィルターは、円形、三角形、正方形、長方形、長円形、楕円形、星型、平行四辺形、斜方形、六角形、又は八角形を有し得る。そのフィルターは、それに接触する構造的な支持体を有していても良く、或いは自己支持状(即ちフィルターが支持構造物を必要としない)であっても良い。そのようなフィルターは、空気濾過用に特に有用であって、そこでは空気が第1の主要な表面に入り、第2の主要な表面を出て行くことによって、そのフィルターを通過する。そのようなフィルターの非限定的な例は、60cmの長さ、30cmの高さ、及び約3cmの厚さを有する長方形でプリーツ状のフィルターである。
【0034】
他の構成が、フィルター製造に関する当業者にとってありふれた技術を使用して同様に製造され得る。フィルター材料として、従来の水‐不溶性材料の代わりにPVAを使用して、一体式のフィルター構造、膜フィルター、及び他の通常の形状の種々のフィルターが構成され得る。
【0035】
上記のいかなるフィルターにおいても、そのフィルターが、PVAのような水‐可溶性の材料を90重量%(pbw)以上もの多量に含み得る。本発明の一つの態様において、そのフィルターが、フィルターの全重量基準で、少なくとも約50重量%の水‐可溶性材料を含む。本発明の他の態様において、フィルターが、フィルターの全重量基準で、60重量%より多い(望ましくは少なくとも約70重量%;より望ましくは少なくとも約80重量%;更により望ましくは少なくとも約90重量%;更により望ましくは少なくとも約95重量%;そして更により望ましくは100重量%)のPVAのような水‐可溶性材料を含む。
【0036】
本発明のPVAフィルターは、上述のように、PVAのみを、或いは他の水‐可溶性、水‐分解性又は水‐分散性の材料と組み合わせて含み得る。PVAと組み合わせて使用され得る好適な材料には、ポリアクリル酸;ポリメタクリル酸;ポリアクリルアミド;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びカルボキシメチルセルロースを含む水‐可溶性セルロース誘導体;カルボキシメチルキチン;ポリビニルピロリドン;エステルガム;ヒドロキシプロピルデンプン及びカルボキシメチルデンプンを含むデンプンの水‐可溶性誘導体;水‐可溶性ポリエチレンオキシド;アクリル酸のエチレンコポリマー(EAA)及びメタクリル酸のエチレンコポリマー(EMAA)、並びにそれらの塩を含むアルカリ水‐可溶性材料;並びにアクリル酸及び/又はメタクリル酸を含有するイオノマーが、非限定的に含まれる。
【0037】
本発明の一つの態様において、フィルターの濾材がPVA材料を含んでいる。望ましくは、そのPVA材料が、アセチル基を有する又は有さない、架橋された又は架橋されていないポリビニルアルコールを含むものである。本発明の別の態様において、フィルターの濾材がPVA材料から実質的に成る、又はPVA材料から成る。本発明の更に別の態様において、濾材を含めて、フィルターの全ての部材が、PVA材料から実質的に、又はPVA材料から成る。
【0038】
II.PVAを含有する濾材の処分
PVAの熱水溶解性と化学的分解性が、所望の条件下で本発明のフィルターを分解可能にして、全廃棄物の体積と重量を最小にする。本発明のフィルターについての例示的な処分方法、及び本発明のフィルターの例示的な使用が、ここでの言及でその全体の主題事項がここに組み込まれる、米国特許第6,623,643号明細書;国際公開第WO03/074432号パンフレット;米国特許第5,181,967号明細書、第5,207,837号明細書、第5,650,219号明細書、及び第5,885,907号明細書に記載されている。
【0039】
濾材の処分のための処理装置は、所望のいかなるサイズであっても良い。以下に記載されるように、処分のある方法は、酸化工程を含んでも良く、そこでは廃棄物処理の流れ内でポリマーを分解するために酸化剤が使用される。以下に記載されるその処理工程において、酸化剤濃度が変化し得て、流出物が濾過されても、或いは濾過されなくても良い。処理は、使用者の施設で行われ、或いは離れた場所に移され得る。流出物は、イオン交換されても、或いはされなくても良い。
【0040】
熱水溶解性:
この例示的なシナリオにおいて、本発明のフィルターは、小さい処理装置(公称、60ガロン(227リットル))中に据えられる。その処理装置は、処分用に準備されている放射性イオン交換樹脂を用いた容器ハウジングの上部に設置されても良い。そのフィルター処理装置は、水を充填され、そのフィルターの可溶化温度まで加熱される。その可溶化温度は、(i)約37℃より高い、(ii)約50℃より高い、(iii)約75℃より高い、(iv)約90℃より高い、或いは(v)使用される材料の水‐可溶性に依存する沸騰条件近くであり得る。濾材は、完全に溶解し、多くてそのフィルターハウジング及び/又は支持構造体のみを残す。但し、本発明のある態様においては、そのフィルターハウジング及び/又は支持構造体も溶解し得る。薄い溶液状のPVAを含有する液状混合物は、適宜冷却され、次いで排出される。一つの態様では、その流出物がイオン交換樹脂を含有する容器へ向けられても良い。PVA及び放射性アイソトープは、樹脂マトリックス中に堆積されて、イオン交換サイトに付着すると同様に曲がりくねった通路全体に渡って機械的に結合する。そのフィルターハウジングと支持構造体は、次いで除去され、低レベルの放射性で小型化可能な廃棄物として処分される。
【0041】
化学的分解
この例示的なシナリオにおいて、本発明のフィルターは、小さい処理装置(公称、60ガロン(227リットル))中に据えられる。その処理装置は、処分用に準備されている放射性樹脂を用いた容器ハウジングの上部に設置されても良い。そのフィルター処理装置は、水を充填され、以下の成分がその処理装置に添加される。即ち、ポリマー分解‐強化性反応体、ポリマー分解‐強化性反応体の先駆体、酸化剤、オゾン、又はそれらの組合せである。望ましくは、化学的酸化剤(例えば過酸化水素)、及び任意の触媒(例えば、硫酸第一鉄又はフェントン試薬)がフィルター処理装置に添加される。その水性浴は、上記されたように沸騰条件近くまで加熱され得る。
【0042】
濾材は、完全に溶解し、その化学的形態が有機酸の薄い水性混合物に変えられて、多くてそのフィルターハウジング及び/又は支持構造体のみを残す。但し、本発明のある態様においては、そのフィルターハウジング及び/又は支持構造体も溶解し得る。結果的に得られる有機酸含有の液状混合物は、適宜冷却され、次いで樹脂コンテナへ排出される。その有機酸は、樹脂マトリックス中に堆積されて、放射能と酸がイオン交換サイトに結合する。そのフィルターハウジングと支持構造体は、次いで適用可能な場合に除去され、低レベルの放射性で小型化可能な廃棄物として処分される。
【0043】
上記の両方のシナリオにおいて、フィルターハウジング及び/又はコアー部材が、上記のような水‐可溶性及び/又は水‐分解性のポリマー材料をも含み得ることは、注目されるべきである。この場合には、処分用に残るフィルターハウジング及び/又は支持構造体が無いかもしれない。
【0044】
プリーツ状のカートリッジフィルターは、燃料交換プール(Refueling Pools)及び使用済み燃料プール(Spent Fuel Pools)における水の純度を維持するために原子力ユーティリティにおいて普通に用いられる。これらのフィルターは、フィルターハウジング中に収納され、適当なプール中に浸される。水は、放射能濃度を許容可能なレベルに維持するために、ポンプで(一体的に結合されたポンプにより)フィルターに通される。そのフィルターが操作から除去されるとき、遠隔操作でそのハウジングから取り出されて、処理コンテナ内の水中に置かれる。このコンテナがそのプールから除去され、そしてフィルターが、最後の処分のために処理され得るまでの保管のための高集結容器(High Integrity Container)に移される。厳しい規制のために、少数のフィルターのみが高集結容器中に包装されることが出来て、その数は全放射能、放射線量率及び物理的形状による。これはフィルター処分容器中に大きな不使用空間を残すものであり、そのスペースについてかまわずにユーティリティの費用が支払われるであろう。これらの厳しい規制のために、フィルターが、最終的な熟慮であるフィルターの埋設を伴う、放射線量率、有用でない寿命に基づくサービスからはずされる。本発明の濾材は、従来のフィルター及び従来のフィルターの取り扱い方法に伴う多くの問題点を解消する。
【0045】
本発明の濾材は、より高い線量率を採るためにそのフィルターが活用され得ると言う以外の利点を有している。本発明の濾材がフィルターの形で埋設される必要が無く、線量率の上限(cap)は必要でない。これは、同様の仕事を行うのにより少ないフィルターを用いることを可能にし、余分のフィルターのコストを節約し、そしてより重要なことには、より多くのフィルターを換えて、操作しそして処分することについての中断時間(downtime)と労力を節約する。
【0046】
III.原子力産業における特定の使用
本発明の濾材は、水性の環境中に存在し得る、分解‐強化性反応体(類)又はその先駆体と同様に、ポリマー(類)の処理を非限定的に含む多くの用途において使用され得る。このタイプのプロセスは、ここでの言及でその全体の主題事項がここに組み込まれる、米国特許第6,623,643号明細書及び国際公開第WO03/074432号パンフレットに記載される。
【0047】
米国特許第6,623,643号明細書及び国際公開第WO03/074432号パンフレットには、ポリマーが水性環境中で完全に可溶化されないプロセスが記載されている。その不可溶化ポリマーは、任意に濾過のような好適な手段によってその環境から取り除かれて、次いでリサイクル又は再利用され得る。本発明の濾材が、この濾過工程において使用されても良い。米国特許第6,623,643号明細書及び国際公開第WO03/074432号パンフレットは更に、ポリマーが分解‐強化性反応体又はその先駆体の投入前に可溶化される態様を開示している。これらの態様においては、本発明の濾材を使用して、分解‐強化性反応体又はその先駆体の投入前に、水溶液から不可溶化材料を濾過することが望ましい。
【0048】
同様に、米国特許第6,623,643号明細書及び国際公開第WO03/074432号パンフレットに開示されているプロセスは、水性環境の「後処理」(post-treatment)をも含むことが出来る。高精度タイプの後処理は、その水性環境の性質に依存し得る。一般に、ポリマーが1種以上の有機酸を含む生成物に分解されるが、その酸は次いで有機酸の生分解によって使い尽くされ得る。
【0049】
水性環境が生分解される場合には、そのpHが、約3.0〜約10.0のおよその範囲内、又はより好ましくは約5.0〜約8.0のおよその範囲内、更に最も好ましくは約6.0〜約7.0のおよその範囲内の値に調整されるべきである。その生分解の後に、水性の廃棄物流れを逆浸透装置に通すことが望ましい。
【0050】
生分解は、好気性でヘテロトロピック菌、又は嫌気性菌のような微生物を水性廃棄物流れに接種することを含み得る。接種された水性環境又は廃棄物流れは、微粉砕された活性炭又はプラスチックバイオビーズのような支持材料を含むバイオリアクターにおける曝気された流動床にかけても良い。接種された水性廃棄物流れは、固定材反応器又は活性汚泥プロセスにかけても良い。従来の長期間(extended)エアレーション、ステップエアレーション、逐次バッチ反応及び接触安定化も用いられて、その接種された水性廃棄物流れの有機炭素含有量を減少させても良い。
【0051】
微生物の生物活性は、窒素、燐、カリウム又は微量のミネラルを含有する養分をバイオリアクターに注入することによって強化され得る。最終的に生じた廃棄物流れは、有機炭素の使いつくされた中和水を含み、それは廃棄物処理施設への引渡し或いは再利用又はリサイクルに好適である。
【0052】
米国特許第6,623,643号明細書及び国際公開第WO03/074432号パンフレットに開示された、核施設から生じた廃棄物の処理を含む別の態様において、濾過及び/又はイオン交換プロセスが、その溶液から放射性材料を除去するために用いられ得る。例えば、放射性材料を除去する工程が、放射性材料を除去するための約10〜約100ミクロンの範囲の呼称細孔寸法を有するミクロンフィルターにより溶液を濾過することによって達成され得る。任意に、約0.1ミクロン〜約1.0ミクロンの呼称細孔寸法を有する第2のパティキュレートフィルター、逆浸透装置、或いは使い尽くされるべき放射性同位体を原子レベルで減少させるアニオンベッド、カチオンベッド又はアニオン/カチオン組合せベッドから成るイオン交換装置が使用されても良い。これらの濾過工程にいずれかにおいて、本発明の濾材が使用され得る。
【0053】
望ましくは、廃棄物流れが、より高いpHに調整され得る。更に望ましくは、そのpH調整された廃棄物流れが、生分解されて、有機酸を無くするようにもされ得る。廃棄物流れが生分解されるべきである場合には、そのpHが、約3.0〜約10.0、好ましくは約5.0〜約8.0、更により好ましくは約6.0〜約7.0のおよその範囲内に調整されるまで、水酸化ナトリウムを添加することによってその廃棄物流れを中和することが望ましい。
【0054】
米国特許第6,623,643号明細書及び国際公開第WO03/074432号パンフレットに開示された、放射能に曝露されてしまったかもしれない入手経路から来た材料を処理するための態様において、潜在的な放射性の材料が本発明の濾材を使用して濾過され得る。その濾過工程は、そのプロセスのいかなる時点で、例えば、水性廃棄物流れに分解‐強化性反応体(例えば酸化剤)を添加する前、ポリマーから分解生成物(例えば有機酸)を生成させた後、或いは分解生成物の処理、例えば有機酸の生分解の後で、成されても良い。汚染された製品(即ち放射能に曝露された製品)には、少なくとも1種の布又はフィルム、スポンジ、モップヘッド、ウエブ、バッグ、ガーゼ、パッド、拭取り用品(wipe)、枕、包帯、本発明のフィルター、又はそれらの組合せを含有する、衣料品、保護被服、カバーオール、ブーティ、フェイスマスク、手袋、アパレル、リネン、ドレープ、タオル、布、フィルム、ラミネートの少なくとも1種が非限定的に含まれる。
【0055】
潜在的な放射性の材料(例えば超ウラン元素、核分裂生成物、天然放射性元素、核プロセスからの放射化生成物、医療用アイソトープ、又はそれらの組合せ)を除去するためにフィルターには、廃棄物流れが循環される、約10ミクロン〜約100ミクロンの呼称細孔寸法を有する本発明のパティキュレートフィルター、及び任意に約0.1ミクロン〜約1.0ミクロンの呼称細孔寸法を有する本発明の第2のパティキュレートフィルターが含まれる。濾過は、イオン交換床に水性廃棄物流れを循環させることも含み得る。例えば、一つの態様において、そのプロセスが、(a)水性廃棄物流れから潜在的な放射性の材料を濾過すること、(b)有機酸の生成後に水性廃棄物流れのpHを中和すること、及び(c)そのpHの中和後に水性廃棄物流れから有機酸を枯渇させることが含まれる。濾過を必要とする上記のプロセス工程のいずれにおいても、本発明の濾材が使用され得る。
【0056】
米国特許第6,623,643号明細書及び国際公開第WO03/074432号パンフレットに開示された一つの例示的なプロセスは、
(1)必要であれば、ポリマー又はポリマー含有材料を水溶液中に導入する工程;
(2)必要であれば、その溶液に分解‐強化性反応体又はその先駆体を添加する工程;
(3)必要であれば、その先駆体を反応させて分解‐強化性反応体を形成するように水性環境を加熱し、そしてそのポリマーを反応させて、分解生成物を形成する工程;
(4)任意に、その水性環境から非‐可溶化材料を濾過する工程;
(5)任意に、その水性環境中のポリマー材料の濃度を示すパラメータを測定する工程;
(6)任意に、その水性環境から材料、例えば放射性材料を濾過する工程;
(7)任意に、その水性環境のpHを変更、例えば中和する工程;
(8)任意に、その水性環境中で結果的に生じる分解生成物を生分解する、例えば有機酸がCO2、H2O及びバイオマスを形成する工程;及び
(9)その反応器から不溶性部材を除去する工程
を含む。
【0057】
工程(4)において、水性環境が望ましくは、ストレーナ(strainers)によって濾過されて、その溶液中の溶解されなかったポリマー材料及び非‐水‐可溶性ポリマー部材を除去する。一方、そのストレーナは、本発明の濾材を形成するための上記PVAを用いて製造され得る。望ましい態様では、そのストレーナが約20〜約50メッシュのおよその範囲内のメッシュサイズを有する。更に望ましい態様では、そのストレーナがおよそ約30メッシュのメッシュサイズを有する。そのストレーナに捕獲された溶解されなかったポリマー材料は、最終的な可溶化のために再循環され得る。望ましい態様において、ポリマー材料がその溶液において0〜約10.0重量%のおよその範囲を成す。更に好ましい態様では、ポリマー材料がその溶液において約4.0〜約6.0重量%のおよその範囲を成す。更により好ましい態様では、ポリマー材料がその溶液中に約5.0重量%の量で存在する。加えて、より望ましい態様において、濾過工程中の溶液の温度が、約150°F(約66℃)以上に維持されて、その分解前にPVAが溶液から沈殿するのを防ぐ。
【0058】
工程(6)において、本発明の濾材は、溶液中の放射能を濾過及び枯渇させるのに使用され得る。このプロセスは、任意であって、水‐可溶性ポリマー材料が潜在的な放射性の廃棄物を含有する場合のみに適用可能である。この工程は、例えば核施設で必要、又は必要でないかもしれない。ポリマー材料が、その溶液の処分性に影響のある放射能に曝された場合には、次いでこの工程が追加されるべきである。この工程の追加に伴って、低レベル放射性の廃棄物管理システムが作製される。この廃棄物管理システムは、現状の乾燥活性放射性廃棄物処理方法の代わりのアプローチとして使用され得る。放射能除去のプロセス工程は、典型的は生分解前に行われる。このプロセスのより詳細な望ましい態様は、
(a)溶液の濾過;及び
(b)溶液のイオン交換
の基本的な工程を含む。
【0059】
核施設では、放射能が元素及び粒子の両方の形でプロセス流体内に存在し得る。溶液の濾過は放射性粒子を除去する。望ましい態様において、その溶液が約10〜約100ミクロンのおよその範囲の呼称細孔寸法を有するパティキュレートフィルターに通される。より望ましい態様において、その溶液が次いで約0.1ミクロン〜約1.0ミクロンのおよその範囲の呼称細孔寸法を有する第2のパティキュレートフィルターに通される。上記のように、本発明の濾材がこれらの濾過工程に使用され得る。
【0060】
米国特許第6,623,643号明細書及び国際公開第WO03/074432号パンフレットに開示されたもう一つの例示的なプロセスは、
(1)必要であれば、水‐可溶性ポリマー材料を水性環境中に可溶化する工程;
(2)その水性環境から非‐可溶化された材料を濾過する工程;
(3)その濾過された環境に分解‐強化性反応体又はその先駆体を添加する工程;
(4)その分解‐強化性反応体の先駆体が採用される場合、その先駆体を反応させて分解‐強化性反応体を形成させ、そしてそのポリマーを反応させる工程;
(5)任意に、その水性環境中のポリマー材料の濃度を示すパラメータを測定する工程;
(6)任意に、その水性環境から材料、例えば放射性材料を濾過する工程;
(7)任意に、その水溶液のpHを変更、例えば中和する工程;
(8)任意に、その水溶液中の分解生成物、例えば有機酸を生分解して、CO2、H2O及びバイオマスを形成する工程;及び
(9)その反応器から不溶性部材を除去する工程
を含む。
【0061】
このプロセスは、分解‐強化性反応体/先駆体の導入前にポリマーを可溶化すること、及びその先駆体から分解‐強化性反応体を形成することを含む、工程(1)〜(5)の関連で前に議論されたプロセスと異なる。米国特許第6,623,643号明細書及び国際公開第WO03/074432号パンフレットにおいて説明されているように、先駆体からの分解‐強化性反応体の形成は、電磁線での溶液の照射、加熱、又はそれらの組合せが含まれ得る。上記のプロセスのように、本発明の濾材がこの特別のプロセスの工程(2)及び(6)において使用され得る。
【0062】
上記議論の第2のプロセスを実施するための好適なシステムが図5により説明されており、そこでは参照番号100が一般に溶液の容器を示す。望ましい態様では、溶液容器100がオートクレーブである。溶液容器100が、望ましくはステンレス鋼又は類似の耐蝕性材料で出来たものである。溶液容器100は、給排水管102によってフィルターシステム104に連結されている。フィルターシステム104は、給排水管106によってポンプ108に連結されている。望ましい態様では、給排水管112が、給排水管110に交わり、熱交換器114と連結する。熱交換器114は、給排水管116によって溶液容器100に連結されて、再循環経路を形成する。
【0063】
ポンプ108は、給排水管110によって光化学反応容器200に連結されている。反応容器200が、望ましくはステンレス鋼又は類似の耐蝕性材料で出来たものである。一つの態様では、光化学反応容器200は、その反応容器内に配列された個々の光化学反応器(図示されず)のバンクから成る。この態様では、機械的攪拌機(図示されず)が反応容器200内に設置されて、内容物の循環を提供する。各反応器が、少なくとも一つの高輝度紫外線照明素子を含む。更に望ましい態様では、反応容器200内の光化学反応器が約185〜約250ナノメータの波長で紫外線を生ずる。
【0064】
酸化剤注入システム300が、給排水管302によって反応容器200に連結されている。望ましい態様では、酸化剤注入システム300が、化学工業界で周知のような、プログラマブルコントローラ、センサー、レコーダ、及び計量分配装置を含む。光化学反応容器200は、給排水管202によってポンプ204に連結されている。ポンプ204は、給排水管206によって中和容器400に連結されている。任意の態様では、給排水管208が給排水管206に交わり、そして反応容器200に連結されて、ポンプが光化学処理溶液を再循環する操作を可能にする。
【0065】
pH中和システム402は、給排水管404によって中和容器400に連結されている。より望ましい態様では、pH中和システム402が、自動pHコントローラを含む。中和容器400は、給排水管406によってポンプ408に連結されている。ポンプ408は、給排水管410によって中和容器400に連結されて、再循環経路を形成している。中和容器400は、給排水管412によってバイオセル500に連結されている。バイオセル500は、望ましくは固定材好気性タイプ(fixed media aerobic type)又は活性汚泥プロセスである。入り口装置は、当産業界で周知の手段によって、空気、微生物、及び養分をバイオセルへ投与するために設けられている。バイオセル500は、給排水管502によってポンプ504に連結されている。ポンプ504は、給排水管506によってバイオセル500に連結されて、再循環経路を形成している。バイオセル500は、給排水管508によって排出側へ連結されている。
【0066】
別の望ましい態様では、給排水管602が給排水管206に交わり、そして放射性材料濾過システム600に連結されている。放射性材料濾過システム600は、給排水管604によって給排水管206に連結されて、再循環経路を形成している。任意に、放射性材料濾過システム600が、給排水管606によって反応容器200に連結されて、再循環経路を形成し、それによって、その溶液の酸化‐還元と一致して、溶液中の放射能の枯渇を達成し得る。放射性材料濾過システム600は、代わりに、溶液容器100と中和容器400の間のいかなる場所において、開示された系内で結合されても良い。
【0067】
特定の態様に関して明細が詳細に記載されてきたが、前述のものの理解に至る当業者が、これらの態様に関して変更、修正、及び均等なものに容易に想到し得ることが理解されるであろう。従って、本発明の範囲は、付随される請求の範囲及びそれに均等なものとして評価されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】巻き型カートリッジのデザインを有する、本発明の例示的な濾材を示す。
【図2】図1の例示的な濾材の線A‐Aに沿った端面図を示す。
【図3】図1の例示的な濾材の切り取り図を示すものであり、そこでは巻かれた繊維材料の一部がコアーから除去されている。
【図4】プリーツ状のフィルターデザインを有する、本発明の例示的な濾材を示す。
【図5】本発明の1種以上の濾材を用いる廃棄物流れを処理するための例示的な処理システムの系統図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリビニルアルコールを含むフィルター。
【請求項2】
(a)ポリビニルアルコールから形成された繊維材料の濾材;及び
(b)該繊維材料のための支持体、
を含む、請求項1に記載のフィルター。
【請求項3】
前記濾材がポリビニルアルコールのヤーン又はロービングを含み、前記支持体がコアーを含むものであって、そこでは該ヤーン又はロービングが該コアー上に巻かれている、請求項2に記載のフィルター。
【請求項4】
前記コアーが水‐可溶性又は水‐分解性のポリマーを含む、請求項3に記載のフィルター。
【請求項5】
前記濾材がポリビニルアルコール繊維の織布、不織布又は編布を含み、前記支持体が該布材と接触した構造用支持体を含む、請求項2に記載のフィルター。
【請求項6】
前記構造用支持体が水‐可溶性又は水‐分解性のポリマーを含む、請求項5に記載のフィルター。
【請求項7】
約0.1μm〜約2500μmの範囲の呼称細孔寸法を有する、請求項1に記載のフィルター。
【請求項8】
約0.1μm〜約1.0μmの範囲の呼称細孔寸法を有する、請求項1に記載のフィルター。
【請求項9】
約10.0μm〜約100μmの範囲の呼称細孔寸法を有する、請求項1に記載のフィルター。
【請求項10】
前記濾材がポリビニルアルコールから形成された繊維材料から実質上成るものである、請求項2に記載のフィルター。
【請求項11】
前記濾材がポリビニルアルコールから形成された繊維材料から成るものである、請求項2に記載のフィルター。
【請求項12】
前記濾材及び前記支持体がポリビニルアルコールを含むものである、請求項2に記載のフィルター。
【請求項13】
前記濾材及び前記支持体がポリビニルアルコールから実質上成るものである、請求項2に記載のフィルター。
【請求項14】
汚染されたフィルターによって発生した放射性廃棄物の量を減少させる方法であって、
(a)該フィルターを、該フィルターの少なくとも一部が可溶性になるような条件下で水性浴中に据えることによって該フィルターを処理する工程、
を含む方法。
【請求項15】
前記水性浴が約37℃より高い浴温度を有するものである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記水性浴が約50℃より高い浴温度を有するものである、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記水性浴が約75℃より高い浴温度を有するものである、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記水性浴が約90℃より高い浴温度を有するものである、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記水性浴が、ポリマー分解‐強化性反応体、ポリマー分解‐強化性反応体の先駆体、酸化剤、オゾン、又はそれらの組合せを含有するものである、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記フィルターが、水‐可溶性ポリビニルアルコール材料を含有する、繊維、布、フィルム又はそれらの組合せを含むものである、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記フィルターが、水‐可溶性ポリビニルアルコール材料を含有する不織布を含むものである、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記フィルターが、水‐可溶性ポリビニルアルコール材料を含有する織布を含むものである、請求項14に記載の方法。
【請求項23】
前記フィルターが、水‐可溶性ポリビニルアルコール材料を含有する編布を含むものである、請求項14に記載の方法。
【請求項24】
前記フィルターが、水‐可溶性ポリビニルアルコール材料を含むものである、請求項14に記載の方法。
【請求項25】
前記フィルターが、ポリアクリル酸;ポリメタクリル酸;ポリアクリルアミド;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びカルボキシメチルセルロースを含む水‐可溶性セルロース誘導体;カルボキシメチルキチン;ポリビニルピロリドン;エステルガム;ヒドロキシプロピルデンプン及びカルボキシメチルデンプンを含むデンプンの水‐可溶性誘導体;水‐可溶性ポリエチレンオキシド;アクリル酸のエチレンコポリマー(EAA)及びメタクリル酸のエチレンコポリマー(EMAA)、並びにそれらの塩を含むアルカリ水‐可溶性材料;並びにアクリル酸及び/又はメタクリル酸を含有するイオノマーから成る群から選択される1種以上の追加材料を更に含むものである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記水‐可溶性材料が、アセチル基を有する又は有さない、架橋された又は架橋されていないポリビニルアルコールを含むものである、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記フィルターが放射性材料への曝露により汚染されたものであり、そこでは、該放射性材料が、超ウラン元素、核分裂生成物、天然放射性元素、核プロセスからの放射化生成物、医療用アイソトープ、又はそれらの組合せを含むものである、請求項14に記載の方法。
【請求項28】
(i)前記フィルターを処理反応器中に据える工程;
(ii)該反応器中に水を導入して、水溶液を形成する工程;
(iii)1種以上の成分を該処理容器に添加する工程、そこでは、該1種以上の成分がポリマー分解‐強化性反応体、ポリマー分解‐強化性反応体の先駆体、酸化剤、オゾン、又はそれらの組合せを含むものである;
(iv)該水溶液を加熱して、(a)任意に、該先駆体が存在する場合に、該先駆体を該分解‐強化性反応体に転化し、そして(b)該分解‐強化性反応体を該水‐可溶性ポリマーと反応させて1種以上の分解生成物を形成する工程;
(v)第2の水溶液から非‐可溶化材料を濾過する工程;
(vi)任意に、パラメータを測定して該水溶液中のポリマー材料の濃度を示す工程;
(vii)分離技術によって該水溶液から放射性材料を分離する工程;
(viii)適切な処理のために該放射性材料を収集する工程;
(ix)任意に、放射性材料を実質的に含まない該水溶液のpHを変更又は中和する工程;
(x)放射性材料を実質的に含まない該水溶液中の1種以上の分解生成物を生分解して、CO2、水及びバイオマスを形成する工程;及び
(xi)該反応器から不溶性部材を除去する工程
の一つ以上を更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項29】
少なくとも1種の汚染された製品によって発生した放射性廃棄物の量を減少させる方法であって、
該少なくとも1種の汚染された製品を、該製品の少なくとも一部が可溶性になるような条件下で水性浴中に据えることによって、該少なくとも1種の汚染された製品を処理する工程;及び
水‐可溶性ポリビニルアルコール材料を含む少なくとも1種のフィルターを使用して該水性浴から非‐可溶化材料を濾過する工程、
を含む方法。
【請求項30】
前記水性浴が、前記処理工程の間、約37℃より高い浴温度を有するものである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記水性浴が、前記処理工程の間、約50℃より高い浴温度を有するものである、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記水性浴が、前記処理工程の間、約75℃より高い浴温度を有するものである、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記水性浴が、前記処理工程の間、約90℃より高い浴温度を有するものである、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記処理工程における前記水性浴が、ポリマー分解‐強化性反応体、ポリマー分解‐強化性反応体の先駆体、酸化剤、オゾン、又はそれらの組合せを含有するものである、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記少なくとも1種の汚染された製品が、繊維、布、フィルム又はそれらの組合せである、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
前記少なくとも1種の汚染された製品が不織布である、請求項29に記載の方法。
【請求項37】
前記少なくとも1種の汚染された製品が織布である、請求項29に記載の方法。
【請求項38】
前記少なくとも1種の汚染された製品が編布である、請求項29に記載の方法。
【請求項39】
前記少なくとも1種の汚染された製品が、少なくとも1種の布又はフィルム、スポンジ、モップヘッド、ウエブ、バッグ、ガーゼ、パッド、拭取り用品、枕、包帯、又はそれらの組合せを含有する、衣料品、保護被服、カバーオール、ブーティ、フェイスマスク、手袋、アパレル、リネン、ドレープ、タオル、布、フィルム、ラミネートの少なくとも1種を含むものである、請求項29に記載の方法。
【請求項40】
前記少なくとも1種の汚染された製品がカバーオールを含むものである、請求項29に記載の方法。
【請求項41】
前記少なくとも1種の汚染された製品が、ポリビニルアルコール;ポリアクリル酸;ポリメタクリル酸;ポリアクリルアミド;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びカルボキシメチルセルロースを含む水‐可溶性セルロース誘導体;カルボキシメチルキチン;ポリビニルピロリドン;エステルガム;ヒドロキシプロピルデンプン及びカルボキシメチルデンプンを含むデンプンの水‐可溶性誘導体;水‐可溶性ポリエチレンオキシド;アクリル酸のエチレンコポリマー(EAA)及びメタクリル酸のエチレンコポリマー(EMAA)、並びにそれらの塩を含むアルカリ水‐可溶性材料;並びにアクリル酸及び/又はメタクリル酸を含有するイオノマーから成る群から選択される水‐可溶性材料を含むものである、請求項29に記載の方法。
【請求項42】
前記水‐可溶性材料が、アセチル基を有する又は有さない、架橋された又は架橋されていないポリビニルアルコールを含むものである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記少なくとも1種の汚染された製品が放射性材料への曝露により汚染されたものであり、そこでは、該放射性材料が、超ウラン元素、核分裂生成物、天然放射性元素、核プロセスからの放射化生成物、医療用アイソトープ、又はそれらの組合せを含むものである、請求項29に記載の方法。
【請求項44】
(i)前記少なくとも1種の汚染された製品を処理反応器中に据える工程;
(ii)該反応器中に水を導入して、水溶液を形成する工程;
(iii)1種以上の成分を該処理容器に添加する工程、そこでは、該1種以上の成分がポリマー分解‐強化性反応体、ポリマー分解‐強化性反応体の先駆体、酸化剤、オゾン、又はそれらの組合せを含むものである;
(iv)該水溶液を加熱して、(a)任意に、該先駆体が存在する場合に、該先駆体を該分解‐強化性反応体に転化し、そして(b)該分解‐強化性反応体を該水‐可溶性ポリマーと反応させて1種以上の分解生成物を形成する工程;
(v)任意に、パラメータを測定して該水溶液中のポリマー材料の濃度を示す工程;
(vi)分離技術によって該水溶液から放射性材料を分離する工程;
(vii)適切な処理のために該放射性材料を収集する工程;
(viii)任意に、放射性材料を実質的に含まない該水溶液のpHを変更又は中和する工程;
(ix)放射性材料を実質的に含まない該水溶液中の1種以上の分解生成物を生分解して、CO2、水及びバイオマスを形成する工程;及び
(x)該反応器から不溶性部材を除去する工程
の一つ以上を更に含む、請求項29に記載の方法。
【請求項45】
前記濾過工程が、約10μm〜約100μmの呼称細孔寸法を有するパティキュレートフィルターに前記水溶液を通過させることを含み、そこでは該フィルターが水‐可溶性ポリビニルアルコール材料を含むものである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記分離工程(vi)が、約0.1μm〜約1.0μmの呼称細孔寸法を有する第2のパティキュレートフィルターに前記水溶液を通過させ、次いで該水溶液をイオン交換床に通して循環させることを含み、そこでは該第2のパティキュレートフィルターが水‐可溶性ポリビニルアルコール材料を含むものである、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
少なくとも1種の酸化剤、及び少なくとも1種のポリマーを含む材料を水性の環境中に導入する工程、そこでは前記の少なくとも1種のポリマーが少なくとも1種の分解生成物に反応され、分解され又は砕かれることが可能なポリマーである;
少なくとも1種の分解生成物を提供するのに有効な条件下で、該少なくとも1種のポリマーの少なくとも一部を反応し、分解し又は砕く工程;及び
水‐可溶性ポリビニルアルコール材料を含むフィルターを使用して該水性環境を濾過する工程、
を含む、少なくとも1種のポリマーを含む材料を処理するプロセス。
【請求項48】
前記の少なくとも1種のポリマーがポリビニルアルコールである、請求項47に記載のプロセス。
【請求項49】
前記導入工程が、前記水性環境中で前記少なくとも1種のポリマーの少なくとも一部を溶解することを更に含むものである、請求項47に記載のプロセス。
【請求項50】
前記導入工程が、前記水性環境に熱を加えることを更に含むものである、請求項47に記載のプロセス。
【請求項51】
前記水性環境がおよそ180°F(82℃)〜250°F(121℃)の温度に加熱される、請求項50に記載のプロセス。
【請求項52】
前記導入工程が、前記水性環境中に導入された後に、少なくとも1種のポリマーを含む前記材料の表面積を増加させることを更に含むものである、請求項47に記載のプロセス。
【請求項53】
前記導入工程の前に、少なくとも1種のポリマーを含む前記材料の表面積を増加させる工程を更に含む、請求項47に記載のプロセス。
【請求項54】
前記導入工程が、前記少なくとも1種のポリマーを含む乳濁液、分散液、又は溶液を形成することを含むものである、請求項47に記載のプロセス。
【請求項55】
前記反応工程が、前記水性環境を熱、電磁線、金属触媒、オゾン、又はそれらの組合せで処理することを含むものである、請求項47に記載のプロセス。
【請求項56】
前記反応工程が、前記水性環境をおよそ180°F(82℃)〜250°F(121℃)の温度に加熱することを含むものである、請求項55に記載のプロセス。
【請求項57】
前記少なくとも1種の分解生成物の少なくとも一部を生分解する工程、
を更に含む、請求項47に記載のプロセス。
【請求項58】
前記の少なくとも1種の酸化剤が過酸化水素を含むものである、請求項47に記載のプロセス。
【請求項59】
過酸化水素のミリリッター数の前記少なくとも1種のポリマーのグラム数に対する比が少なくとも0.5である、請求項58に記載のプロセス。
【請求項60】
前記の少なくとも1種の酸化剤を反応させて、ヒドロキシルラジカル、分子状酸素、又はそれらの組合せを生成する工程を更に含む、請求項47に記載のプロセス。
【請求項61】
前記反応工程が、前記少なくとも1種のポリマーをヒドロキシルラジカル、分子状酸素、又はそれらの組合せと接触させることを含むものである、請求項47に記載のプロセス。
【請求項62】
少なくとも1種の水‐可溶性ポリマーから成る、少なくとも部分的に可溶化した、潜在的に放射性の材料を含有する水性の環境を処理するプロセスであって、
少なくとも1種の水可溶性ポリマーから成る、少なくとも部分的に可溶化した、潜在的に放射性の材料を含有する水性の環境を提供する工程;
水‐可溶性ポリビニルアルコール材料を含む少なくとも1種のフィルターを使用して、該水性環境から非‐可溶化材料の少なくとも一部を濾過する工程;
反応速度を増加させる量の少なくとも1種の酸化剤を該水性環境に添加する工程;
少なくとも1種の有機酸を形成するのに充分な長さの時間で該水性環境を加熱する工程;
該水性環境中の該水可溶性ポリマーの濃度を測定する工程;
水‐可溶性ポリビニルアルコール材料を含む少なくとも1種のフィルターを使用して、該水性環境から放射性材料の少なくとも一部を濾過する工程;
該水性環境のpHを中和する工程;及び
該水性環境中の該少なくとも1種の有機酸の少なくとも一部を生分解して、CO2、水及びバイオマスを形成する工程、
を含むプロセス。
【請求項63】
少なくとも部分的に可溶化した、潜在的に放射性の材料を含有する前記水性環境が処理され、前記第1の濾過工程が約10μm〜約100μmの呼称細孔寸法を有する水‐可溶性ポリビニルアルコール材料含有パティキュレートフィルターによって遂行される、請求項62に記載のプロセス。
【請求項64】
前記水性環境が、約0.1μm〜約1.0μmの呼称細孔寸法を有する、水‐可溶性ポリビニルアルコール材料含有の、第2のパティキュレートフィルターに通過循環されて、次いで該水溶液をイオン交換床に通過循環される、請求項62に記載のプロセス。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性系の濾過に好適なフィルターであって、前記フィルターが、
(a)水-可溶性ポリビニルアルコールのヤーン又はロービングを含む濾材;及び
(b)該濾材のための支持体
を含み、そこでは該支持体が、その側壁を通って伸びる流路を有する管状のコアーを含み、前記流路が該管状コアー及び該流路を通って水性流れの流動を可能にするものであって、該ヤーン又はロービングが該コアー上に及び該流路に渡って巻かれている、フィルター。
【請求項2】
前記コアーが水‐可溶性又は水‐分解性のポリマーを含む、請求項1に記載のフィルター。
【請求項3】
約0.1μm〜約2500μmの範囲の呼称細孔寸法を有する、請求項1に記載のフィルター。
【請求項4】
約0.1μm〜約1.0μmの範囲の呼称細孔寸法を有する、請求項1に記載のフィルター。
【請求項5】
約10.0μm〜約100μmの範囲の呼称細孔寸法を有する、請求項1に記載のフィルター。
【請求項6】
前記濾材がポリビニルアルコールから形成された繊維材料から実質上成るものである、請求項1に記載のフィルター。
【請求項7】
前記濾材がポリビニルアルコールから形成された繊維材料から成るものである、請求項1に記載のフィルター。
【請求項8】
前記濾材及び前記支持体がポリビニルアルコールを含むものである、請求項1に記載のフィルター。
【請求項9】
前記濾材及び前記支持体がポリビニルアルコールから実質上成るものである、請求項1に記載のフィルター。
【請求項10】
前記濾材中又は前記濾材上に放射性材料を更に含む、請求項1に記載のフィルター。
【請求項11】
汚染されたフィルターによって発生した放射性廃棄物の量を減少させる方法であって、
(a)放射性材料を含有する水性流れを、水-可溶性ポリビニルアルコール繊維材料を含むフィルターで濾過する工程、そこでは前記濾過工程が汚染されたフィルターをもたらすものである;
(b)該汚染されたフィルターの少なくとも一部が可溶性になるような条件下で、該汚染されたフィルターを水性浴中に据えることによって該汚染されたフィルターを処理する工程;及び
(c)分離技術によって該水性浴内で可溶化された材料から該放射性材料を分離する工程
を含む方法。
【請求項12】
前記水性浴が約37℃より高い浴温度を有するものである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記水性浴が約50℃より高い浴温度を有するものである、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記水性浴が約75℃より高い浴温度を有するものである、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記水性浴が約90℃より高い浴温度を有するものである、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記水性浴が、ポリマー分解‐強化性反応体、ポリマー分解‐強化性反応体の先駆体、酸化剤、オゾン、又はそれらの組合せを含有するものである、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記フィルターが、水‐可溶性ポリビニルアルコール材料を含有する、繊維、布、フィルム又はそれらの組合せを含むものである、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記フィルターが、水‐可溶性ポリビニルアルコール材料を含有する不織布を含むものである、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記フィルターが放射性材料への曝露により汚染されたものであり、そこでは、該放射性材料が、超ウラン元素、核分裂生成物、天然放射性元素、核プロセスからの放射化生成物、医療用アイソトープ、又はそれらの組合せを含むものである、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
(i)前記フィルターを処理反応器中に据える工程;
(ii)該反応器中に水を導入して、水溶液を形成する工程;
(iii)1種以上の成分を該処理容器に添加する工程、そこでは、該1種以上の成分がポリマー分解‐強化性反応体、ポリマー分解‐強化性反応体の先駆体、酸化剤、オゾン、又はそれらの組合せを含むものである;
(iv)該水溶液を加熱して、(a)任意に、該先駆体が存在する場合に、該先駆体を該分解‐強化性反応体に転化し、そして(b)該分解‐強化性反応体を該水‐可溶性ポリマーと反応させて1種以上の分解生成物を形成する工程;
(v)第2の水溶液から非‐可溶化材料を濾過する工程;
(vi)任意に、パラメータを測定して該水溶液中のポリマー材料の濃度を示す工程;
(vii)適切な処理のために該放射性材料を収集する工程;
(viii)任意に、放射性材料を実質的に含まない該水溶液のpHを変更又は中和する工程;
(ix)放射性材料を実質的に含まない該水溶液中の1種以上の分解生成物を生分解して、CO2、水及びバイオマスを形成する工程;及び
(x)該反応器から不溶性部材を除去する工程
の一つ以上を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
少なくとも1種の汚染された製品によって発生した放射性廃棄物の量を減少させる方法であって、
該製品の少なくとも一部が可溶性になるような条件下で、該少なくとも1種の汚染された製品を水性浴中に据えることによって、該少なくとも1種の汚染された製品を処理する工程;及び
水‐可溶性ポリビニルアルコール材料を含む少なくとも1種のフィルターを使用して該水性浴から非‐可溶化材料を濾過する工程、
を含む方法。
【請求項22】
前記水性浴が、前記処理工程の間、約37℃より高い浴温度を有するものである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記水性浴が、前記処理工程の間、約50℃より高い浴温度を有するものである、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記水性浴が、前記処理工程の間、約75℃より高い浴温度を有するものである、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記水性浴が、前記処理工程の間、約90℃より高い浴温度を有するものである、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記処理工程における前記水性浴が、ポリマー分解‐強化性反応体、ポリマー分解‐強化性反応体の先駆体、酸化剤、オゾン、又はそれらの組合せを含有するものである、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記少なくとも1種の汚染された製品が、繊維、布、フィルム又はそれらの組合せである、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記少なくとも1種の汚染された製品が不織布である、請求項21に記載の方法。
【請求項29】
前記少なくとも1種の汚染された製品が、少なくとも1種の布又はフィルム、スポンジ、モップヘッド、ウエブ、バッグ、ガーゼ、パッド、拭取り用品、枕、包帯、又はそれらの組合せを含有する、衣料品、保護被服、カバーオール、ブーティ、フェイスマスク、手袋、アパレル、リネン、ドレープ、タオル、布、フィルム、ラミネートの少なくとも1種を含むものである、請求項21に記載の方法。
【請求項30】
前記少なくとも1種の汚染された製品がカバーオールを含むものである、請求項21に記載の方法。
【請求項31】
前記少なくとも1種の汚染された製品が、ポリビニルアルコール;ポリアクリル酸;ポリメタクリル酸;ポリアクリルアミド;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びカルボキシメチルセルロースを含む水‐可溶性セルロース誘導体;カルボキシメチルキチン;ポリビニルピロリドン;エステルガム;ヒドロキシプロピルデンプン及びカルボキシメチルデンプンを含むデンプンの水‐可溶性誘導体;水‐可溶性ポリエチレンオキシド;アクリル酸のエチレンコポリマー(EAA)及びメタクリル酸のエチレンコポリマー(EMAA)、並びにそれらの塩を含むアルカリ水‐可溶性材料;並びにアクリル酸及び/又はメタクリル酸を含有するイオノマーから成る群から選択される水‐可溶性材料を含むものである、請求項21に記載の方法。
【請求項32】
前記水‐可溶性材料が、アセチル基を有する又は有さない、架橋された又は架橋されていないポリビニルアルコールを含むものである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記少なくとも1種の汚染された製品が放射性材料への曝露により汚染されたものであり、そこでは、該放射性材料が、超ウラン元素、核分裂生成物、天然放射性元素、核プロセスからの放射化生成物、医療用アイソトープ、又はそれらの組合せを含むものである、請求項21に記載の方法。
【請求項34】
(i)前記少なくとも1種の汚染された製品を処理反応器中に据える工程;
(ii)該反応器中に水を導入して、水溶液を形成する工程;
(iii)1種以上の成分を該処理容器に添加する工程、そこでは、該1種以上の成分がポリマー分解‐強化性反応体、ポリマー分解‐強化性反応体の先駆体、酸化剤、オゾン、又はそれらの組合せを含むものである;
(iv)該水溶液を加熱して、(a)任意に、該先駆体が存在する場合に、該先駆体を該分解‐強化性反応体に転化し、そして(b)該分解‐強化性反応体を該水‐可溶性ポリマーと反応させて1種以上の分解生成物を形成する工程;
(v)任意に、パラメータを測定して該水溶液中のポリマー材料の濃度を示す工程;
(vi)分離技術によって該水溶液から放射性材料を分離する工程;
(vii)適切な処理のために該放射性材料を収集する工程;
(viii)任意に、放射性材料を実質的に含まない該水溶液のpHを変更又は中和する工程;
(ix)放射性材料を実質的に含まない該水溶液中の1種以上の分解生成物を生分解して、CO2、水及びバイオマスを形成する工程;及び
(x)該反応器から不溶性部材を除去する工程
の一つ以上を更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項35】
前記濾過工程が、約10μm〜約100μmの呼称細孔寸法を有するパティキュレートフィルターに前記水溶液を通過させることを含み、そこでは該フィルターが水‐可溶性ポリビニルアルコール材料を含むものである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記分離工程(vi)が、約0.1μm〜約1.0μmの呼称細孔寸法を有する第2のパティキュレートフィルターに前記水溶液を通過させ、次いで該水溶液をイオン交換床に通して循環させることを含み、そこでは該第2のパティキュレートフィルターが水‐可溶性ポリビニルアルコール材料を含むものである、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
少なくとも1種の酸化剤、及び少なくとも1種のポリマーを含む材料を水性の環境中に導入する工程、そこでは前記の少なくとも1種のポリマーが少なくとも1種の分解生成物に反応され、分解され又は砕かれることが可能なポリマーである;
少なくとも1種の分解生成物を提供するのに有効な条件下で、該少なくとも1種のポリマーの少なくとも一部を反応し、分解し又は砕く工程;及び
水‐可溶性ポリビニルアルコール材料を含むフィルターを使用して該水性環境を濾過する工程、
を含む、少なくとも1種のポリマーを含む材料を処理するプロセス。
【請求項38】
前記の少なくとも1種のポリマーがポリビニルアルコールである、請求項37に記載のプロセス。
【請求項39】
前記導入工程が、前記水性環境中で前記少なくとも1種のポリマーの少なくとも一部を溶解することを更に含むものである、請求項37に記載のプロセス。
【請求項40】
前記導入工程が、前記水性環境に熱を加えることを更に含むものである、請求項37に記載のプロセス。
【請求項41】
前記水性環境がおよそ180°F(82℃)〜250°F(121℃)の温度に加熱される、請求項40に記載のプロセス。
【請求項42】
前記導入工程の前または後に、少なくとも1種のポリマーを含む前記材料の表面積を増加させる工程を更に含むものである、請求項37に記載のプロセス。
【請求項43】
前記反応工程が、前記水性環境を熱、電磁線、金属触媒、オゾン、又はそれらの組合せで処理することを含むものである、請求項37に記載のプロセス。
【請求項44】
前記反応工程が、前記水性環境をおよそ180°F(82℃)〜250°F(121℃)の温度に加熱することを含むものである、請求項43に記載のプロセス。
【請求項45】
前記少なくとも1種の分解生成物の少なくとも一部を生分解する工程、
を更に含む、請求項37に記載のプロセス。
【請求項46】
前記の少なくとも1種の酸化剤が過酸化水素を含むものである、請求項37に記載のプロセス。
【請求項47】
過酸化水素のミリリッター数の前記少なくとも1種のポリマーのグラム数に対する比が少なくとも0.5である、請求項46に記載のプロセス。
【請求項48】
前記の少なくとも1種の酸化剤を反応させて、ヒドロキシルラジカル、分子状酸素、又はそれらの組合せを生成する工程を更に含む、請求項37に記載のプロセス。
【請求項49】
前記反応工程が、前記少なくとも1種のポリマーをヒドロキシルラジカル、分子状酸素、又はそれらの組合せと接触させることを含むものである、請求項37に記載のプロセス。
【請求項50】
少なくとも1種の水‐可溶性ポリマーから成る、少なくとも部分的に可溶化した、潜在的に放射性の材料を含有する水性の環境を処理するプロセスであって、
少なくとも1種の水可溶性ポリマーから成る、少なくとも部分的に可溶化した、潜在的に放射性の材料を含有する水性の環境を提供する工程;
水‐可溶性ポリビニルアルコール材料を含む少なくとも1種のフィルターを使用して、該水性環境から非‐可溶化材料の少なくとも一部を濾過する工程
を含むプロセス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−521911(P2006−521911A)
【公表日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−564007(P2004−564007)
【出願日】平成15年12月24日(2003.12.24)
【国際出願番号】PCT/US2003/041099
【国際公開番号】WO2004/058374
【国際公開日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(503433121)マイクロテック メディカル ホールディングス,インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】