説明

ポリプロピレンコポリマ−及びポリプロピレンと親和性のないポリマ−の巻き付けフィルム

本発明は、少なくとも1つのポリプロピレンコポリマ−、少なくとも1つの無機難燃剤、及びポリプロピレンコポリマ−と親和性のない少なくとも1つのポリマ−1−30phr、好ましくは5−15phrを含んでなる難燃性で、ハロゲンを含まない巻き付けフィルムに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリプロピレンコポリマ−及びポリプロピレンと親和性のないポリマ−から作られ、例えばエアコンの換気パイプまたはワイヤまたはケーブルに巻き付けるために、また特に車のケーブルル−ム(loom)または受像管の磁場を被覆するために使用され、そして随時感圧接着剤コ−ティングの塗布されている、充填剤入り、軟質、無ハロゲン、難燃性の巻き付けフィルムに関する。本巻き付けフィルムは束ね、絶縁、標識化、シ−ル、または保護に役立つ。本発明は更に本発明のフィルムの製造法も包含する。
【背景技術】
【0002】
ケーブルの巻き付け(winding)テープ及び絶縁テープは普通片面に感圧接着剤が塗布された可塑化PVCフィルムからなる。しかしこれらの製品の欠点を解決することがますます期待されている。これらの欠点は可塑剤の蒸発、高ハロゲン含量、及び低熱安定性を含む。
【0003】
通常のPVC絶縁テープ及びPVCケーブル巻き付けテープ中の可塑剤は、徐々に蒸発して健康に危険である。特に通常に使用されるDOPは不快な物質である。更に、その蒸気は自動車のガラスに付着し、視界(及びかなりの程度で運転の安全性)を損なう。これは同業者には曇り(fogging)(DIN75201)として公知である。例えば自動車のエンジンルームにおける高温の結果として蒸発の高い場合、または電気部品の絶縁テープの場合、巻き付けフィルムは付随する可塑剤の消失によって脆くなる。
【0004】
可塑剤はアンアディタイズド(unadditized)PVCの性能を損ねるが、そのいくらかは一部毒性の観点から非常に望ましくないアンチモン化合物の添加により、または塩素または燐含有可塑剤の使用により相殺はされる。
【0005】
プラスチック廃棄物、例えば車のリサイクルからのシュレッダ−処理した廃棄物の燃焼に関する議論の背景において、例えばハロゲン含量を減じる、即ちダイオキシンの生成を減じる動きが見られる。ケーブルの被覆の場合に包囲物の厚さは減じられ、PVCフィルムの厚さは包装に使用されるテープでも減じられる。巻き付けテープに対するPVCの標準的な厚さは85−200μmである。85μm未満では、カレンダ−操作においてかなりの問題が生じ、結果として実質的にPVC含量の減じられたそのような製品は現存しない。
【0006】
通常の巻き付けテープは、有毒な重金属、普通鉛、よりまれにはカドミウムまたはバリウムに基づく安定剤を含んでいる。
【0007】
一連のリード線の巻き付け物に対する技術事情は接着剤コ−ティングを有するまたは有しない巻き付けフィルムであり、このフィルムはかなりの量の(30−40重量%の)可塑剤を含むPVC担体材料からなる。この担体材料は普通SBRゴムに基づく自己接着剤物質で片面が塗布されている。これらの接着性PVC巻き付けテープの重大な欠点は、その低い老化安定性、可塑剤の移行及び蒸発、高いハロゲン含量、そして燃焼の場合の高い煙密度である。
【0008】
特許文献1、特許文献2、特許文献3、及び特許文献4は、典型的な可塑剤入りのPVCテープを記述する。この可塑化されたPVC材料においては、より高い難燃性を得るために、例えば特許文献4に記述されるように高毒性のアンチモン酸化物を使用するのが普
通である。
【0009】
更にPVCは熱安定性に関する今日の必要条件の制限について議論されている。巻き付けフィルムは今日もっぱらカレンダ−リングによって商業的規模で製造されている。新しい材料があれば、製造費が安価であり、層の厚さが減じられ、そして多層構造(共押出し)の結果として多様化しうる押出しを利用することも可能である。
【0010】
現代的な車の構造では、ハ−ネス(harness)は、一方で電気の消費が多様化し且つ車内の情報の肥大化の結果としてますます薄く且つ硬くなり、一方それらの絶縁のための空間が更に大きく制限され、結果として組立て物(車体内にケーブルを配置する時の誘導路(guidethrough))がより問題になりつつある。従って、薄いフィルムテープが有利である。更に有効で、価格性能の高いハ−ネスの製造に対して、ケ−ブルの巻き付けテープは容易に且つ迅速に使える品質を有することが期待される。
【0011】
可塑化されたPVCの代わりに織り布または不織布を使用する試みがある。しかしながら、そのような試みに由来する製品は、比較的高価であり、且つ取扱性(例えば手での引裂き性、弾性)に関して及び使用条件(例えば使用流体に対する耐性、電気的性質)において常用の製品と非常に異なり、特に後に述べるように厚さが重要であるから、実際には少ししか使用されない。
【0012】
特許文献5、特許文献6及び特許文献7は、布様(織り布)またはウェッブ様(不織布)担体材料を含んでなる接着巻き付けテープを記述している。これらの材料は非常に高い張力で特徴付けられる。しかしながらその結果は、取り扱っている時、接着テープを、挟みやナイフを用いずに手で引裂くことができないという欠点である。延伸性(stretching)と柔軟性は、接着巻き付けテープに課された主要な2つの要求であり、該性質により、しわの無い柔軟なケーブルハーネスの製造が可能となる。更にこれらの材料は関連する燃焼保護基準、例えばFMVSS302に合格しない。改良された燃焼性は、特許文献8に記述されているようにハロゲン化難燃剤またはポリマ−を用いて初めて具現化できる。
【0013】
同様に熱可塑性ポリエステルは巻き付けフィルム及びケ−ブル絶縁物を製造するために試行的に使用されている。それはその柔軟性、加工性、手での引裂き性、老化安定性、またはケ−ブル材料との親和性に関してかなりの欠点を有する。しかしながらポリエステルの最も重大な欠点は、安全基準において自動車での使用ができない加水分解にかなり敏感なことである。特許文献9、特許文献10、特許文献11、及び特許文献12はハロゲンを含まない熱可塑性担体フィルムの使用を記述している。
【0014】
特許文献にはポリオレフィンを含んでなる巻き付けテープも記述されている。しかしながらこれらは、容易に燃焼し、またはハロゲン化難燃剤を含んでなる。更に、エチレンコポリマ−から製造される材料は低すぎる軟化点を有し(一般にそれは熱老化に対する安定性の試験の試み中においてさえ溶融し)、またポリプロピレンポリマ−を使用する場合には材料が柔軟でなくなり過ぎる。
【0015】
特許文献13は、フィルムがエチレンコポリマ−に基づく材料からなる接着巻き付けテープを記述している。この担体フィルムはハロゲン化難燃剤デカブロモジフェニルオキシドを含んでなる。このフィルムは95℃の温度未満で軟化するが、エンジン部分で使用するル場合の普通の使用温度はしばしば100℃以上または短期間でも130℃以上になる。
【0016】
特許文献14は担体フィルムが低密度ポリエチレンとエチレン/ポリ酢酸ビニルまたは
エチレン/アクリレ−トコポリマ−とのポリマ−ブレンドからなるハロゲンを含まない接着巻き付けテープを記述している。この使用されている難燃剤は、重量で水酸化アルミニウム48−90phrである。この場合にも、この担体フィルムの重大な欠点は、ポリエチレンとエチレン/ポリ酢酸ビニルコポリマ−のポリマ−ブレンドによる低軟化温度である。この問題に対処するために、シランカップリング剤の使用が記述されているが、この架橋法は複雑で、実際には非常に不均一な架橋の材料しか得られず、安定な製造工程または均一な製品の性質を具現化することはできない。
【0017】
不適当な耐熱歪性及び貧弱な手での引裂き性の同様の問題は、特許文献15特許文献16に記述される電気用の接着テープの場合にも起こる。記述される担体フィルム材料はEPDM及びEVAの、難燃剤としてのエチレンジアミンジホスフェ−トと組み合わせたブレンドである。この難燃剤は、ポリリン酸アンモニウムと同様に、加水分解に対して非常に敏感である。更に、EVAとの組合わせにおいては、老化時に脆くなる。ポリオレフィン及び水酸化アルミニウムまたは水酸化マグネシウムの標準的なケーブルへの適用は貧弱な親和性しかもたらさない。更に、そのようなケ−ブルハ−ネスの燃焼性能は、これらの金属水酸化物が下に述べる様に燐化合物と拮抗的に作用するから、貧弱となる。また記述される絶縁テープは、ケーブルハ−ネスの巻き付けテープには厚すぎ、硬すぎる。
【0018】
過度に低い軟化温度と柔軟性及び無ハロゲンとの間のジレンマを解決するための試みは、以下の特許に記述されている。
【0019】
特許文献17は、ケ−ブル絶縁材として及びフィルム材料としての用途にLLDPE及びEVAのポリマ−ブレンドを特許請求している。記述されている難燃剤は、特別な表面積の水酸化マグネシウムと赤燐の組合わせ物を含んでなる。しかしながら、比較的低温での軟化は解決されない。
【0020】
ポリオレフィンとEVAの組合わせは、特許文献18に記述されている。この場合には、LLDPEの代わりにPPポリマ−が使用される。この核心になる思想は、PPポリマ−により100℃においてある機械的性質を達成することである。これは、具体的な観点によれば、ポリプロピレンホモポリマ−及びポリエチレンコポリマ−のブレンドの耐熱歪性の欠ける問題を解決すべきであることを意味する。この結果、低柔軟性となる。この発明の欠点は、再試行した実施例での測定値によっても確認することができた。ブレンドの第三の成分(PPコポリマ−及び難燃剤と並んで)はEVAまたはEEAである。これは同業者が文献から気付くように且つ実施例のLOIから知れるようにポリエチレンまたはポリプロピレン及び充填剤の組合わせ物の難燃性を改善するのに役立つ。これらのフィルムは、その組成のために、硬く、柔軟でない。1%伸長における流れ方向の力の試験は再試行時に10N/cm以上の値を与えた。技術的に現在使用されているPVC巻き付けフィルムの場合、約1N/cmの値を有する生成物が得られるようになった。これは実際的使用に対してこのフィルムが柔軟でなさすぎるという事実を裏付ける。再試行の場合、手によるフィルムの引裂きは、実質的な力を適用した場合にだけ可能である。結果として耐熱歪性の改善にもかかわらず、問題の解決にはならず、この発明では0.6−5N/cmの値を目指したにすぎない。記述される生成物は0.2mmのフィルムの厚さを有する。柔軟性は厚さの三乗が関係するから、この厚さだけで充填剤入りのポリオレフィンフィルムの場合にはもっぱら柔軟性がないとされる。使用するポリプロピレンは非常に低いメルト指数を有するが、記述される押出し工程は製造押出し装置で行うのが実質的に不可能であり、特に技術的に100μmまたはそれ以下の薄いフィルムに対して、は確かに記述される板状の微粉砕された充填剤を高量で組み合わせた場合不可能である。更に非常に粘度を増大させる赤燐との組合わせは加工を妨害する。結果として、日本の自動車工業分野での多量な需用にも関わらず、この製品は十分な使用実績を獲得できなかった。
【0021】
上述した文献で試みられた解答は赤燐と水酸化マグネシウムとの公知の難燃性相乗効果を足場にしたものである。しかしながら元素状燐の使用はかなりの欠点を含んでいる。加工過程において、非常に有毒なホスフィンを遊離することである。更なる欠点は、燃焼の場合に非常に濃密な白色の煙を出すことである。更に、色で識別するための巻き付けフィルムでは広範の色で使用されるのに、褐色ないし黒色の製品だけしか製造できない。
【特許文献1】日本国特許第10001583A1号
【特許文献2】日本国特許第05250947A1号
【特許文献3】日本国特許第2000198895A1号
【特許文献4】日本国特許第2000200515A1号
【特許文献5】独国特許第20022272U1号
【特許文献6】ヨ−ロッパ特許第1123958A1号
【特許文献7】WO第99/61541A1号
【特許文献8】米国特許第4992331A1号
【特許文献9】独国特許第10002180A1号
【特許文献10】日本国特許第10149725A1号
【特許文献11】日本国特許第09208906A1号
【特許文献12】日本国特許第05017727A1号
【特許文献13】WO第00/71643A1号
【特許文献14】WO第97/05206A1号
【特許文献15】WO第99/35202A1号
【特許文献16】米国特許第5498476A号
【特許文献17】ヨ−ロッパ特許第0953599A1号
【特許文献18】ヨ−ロッパ特許第1097976A1号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
従来法の上述した文献は、特記した欠点にもかかわらず、更なる必要条件、例えば手での引裂き性、熱安定性、絶縁用ポリオレフィンケ−ブルとの親和性、または適当な巻き解き力も達成するフィルムを意図してない。その上、フィルムの製造操作に関わる工程の特性、高曇り数、及び絶縁破壊のおこる耐電圧性は不確かなままである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の目的は、PVC巻き付けテープの難燃性、耐摩耗性、耐電圧性、及び機械的性質(例えば弾性、柔軟性、及び手での引裂き性)の利点と織物巻き付けテープの無ハロゲンの性質とを組み合わせて持ち、更にフィルムが工業的に製造でき、またある用途に対して高い絶縁破壊電圧及び高曇り数を有することを保証するための必要性と共に優れた耐熱老化性示す、巻き付けフィルムに対しての解答を発見することにある。
【0024】
本発明の更なる目的は、従来法の欠点を起こさないまたは同一の程度まで起こさない、標識化、保護、絶縁、シーリングまたは束ねの目的で、ワイヤ及びケーブルの巻き付けを特に信頼性よく且つ迅速に行える軟質、無ハロゲン、難燃性の巻き付けフィルムを提供することである。
【0025】
増大する複雑な電子製品及び増大する数の自動車における電子装置とあいまって、多数の組のリード線はますます複雑になりつつある。ケーブルハ−ネスの断面増大につれて、誘導加熱がますます大きくなり、一方でこの熱の除去が減りつつある。結果として使用材料の熱安定性の必要性が高まっている。標準的な接着巻き付けテープとしてのPVC材料はここで限界に達しつつある。それゆえに更なる目的はPVCの手での引裂き性に対応するばかりでなく、それを凌駕する添加剤組合わせ物を有するポリプロピレンコポリマ−を発見することである。
【0026】
本発明の目的は主の特許請求で特定したような巻き付けフィルムを用いて達成される。その従の特許請求は、本発明の巻き付けフィルムの有利な発展、その巻き付けフィルムの、軟質、難燃性接着剤テープにおける使用法、その更なる使用法、及びそのような巻き付けフィルムの製造法に関するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明は、
・少なくとも1つのポリプロピレンコポリマ−、
・少なくとも1つの無機難燃剤、及び
・ポリプロピレンコポリマ−と親和性のない少なくとも1つのポリマ−1−30phr、好ましくは5−15phr
を含んでなる、難燃性のハロゲンを含まない巻き付けフィルムを提供する。
【0028】
ここにphrで以下に示す量はフィルムのすべてのポリマ−成分100重量部当たりの、問題の成分の重量部を示す。
【0029】
コ−ティング(例えば接着剤)を有する巻き付けフィルムの場合、ポリオレフィン含有層のすべてのポリマ−成分の重量部だけが考慮される。
【0030】
本発明のフィルムの厚さは、30−180μm、好ましくは50−150μm、特に55−100μmの範囲である。この表面は織り目模様か、平面である。好ましくは表面は僅かに艶消しにされている。これは十分に高い粒子径の充填剤を用いて、またはあるローラー(例えばカレンダ−処理におけるエンボス加工ロ−ラ−、艶消しの冷ロ−ラ−、または押出し中のエンボス加工ロ−ラ−)を用いて達成できる。
【0031】
好適な態様において、フィルムは、適用を容易にするために、巻き付け操作の終わりに巻き付けフィルムを固定する必要がないように、片面または両面に感圧接着剤層が付与される。
【0032】
同業者の予知できないことであり且つ驚くべきことに、本発明の巻き付けフィルムはポリプロピレンコポリマ−から、難燃性充填剤から、及びポリプロピレンコポリマ−と親和性のないポリマ−から製造できる。更に特記すべきことに、熱老化安定性は、高性能の材料のPVCと比べて貧弱でないばかりか、それに匹敵しまたはそれより良好である。
【0033】
本発明の巻き付けフィルムは、1%伸長における流れ方向の力が1−4N/cm及び100%伸長における力が2−20N/cm、好ましくは3−15N/cmを有する。
【0034】
特に1%伸長における力は1N/cm以上であり、また100%伸長における力は3−15N/cm以下である。1%の力はフィルムの硬さの尺度であり、100%の力は鋭い変形物を巻き付けるときの、高い巻き付け張力の結果としての適合性の尺度である。100%の力は、引張り強度が不適当になるから、低すぎてもいけない。
【0035】
これらの力値を達成するために、巻き付けフィルムは好ましくは500MPa未満、特に好ましくは80MPa以下、特に30MPa以下の曲げモジュラス(flexural
modulus)を有する軟質ポリプロピレンコポリマ−を含んでなる。しかしながら軟質のポリオレフィンと混合されたホモポリマ−も使用できる。
【0036】
コポリマ−の結晶領域は、好ましくはランダム構造、特に6−10モル%のエチレン含量を有するポリプロピレンである。(例えばエチレンで)改変されたポリプロピレンラン
ダムコポリマ−はポリプロピレンのブロック長及び非晶相のコモノマ−含量に依存して100−145℃(これは市販品に対する範囲)の結晶融点(crystallite melting point)を有する。分子量及びタクティシティ−に依存して、ポリプロピレンホモポリマ−のそれは163−166℃に入る。ホモポリマ−が低分子量であり且つEPゴムで改変(例えばグラフト、反応ブレンド)されているならば、融点の低下は約148−163℃の範囲の結晶融点をもたらす。
【0037】
それゆえに本発明のポリプロピレンコポリマ−の場合、好適な結晶融点は145℃未満であり、結晶相及びコポリマ−非晶相においてランダム構造を有するコモノマ−で改変されたポリプロピレンを用いて最良に達成される。
【0038】
このようなコポリマ−においては、結晶相と非晶相の両方のコモノマ−含量、曲げモジュラス、及び製造された巻き付けフィルムの1%伸長値に、ある関係が存在する。非晶相中の高モノマ−含量は、特に低い1%力値を可能にする。驚くべきことに、硬い結晶相におけるコノマ−の存在も、充填剤入りのフィルムの柔軟性に正の効果を与える。
【0039】
しかしながら、結晶融点は、換気パイプ、スクリーンコイル、または車のケーブルへ使用する場合、溶融の危険があるから、EPM及びEPDMに対する場合のように120℃未満であってはならない。それゆえに、EPM及びEPDM種からのエチレン−プロピレンコポリマ−を含んでなる巻き付けフィルムは、本発明に従うものではない。但しこれは、本発明のポリプロピレンコポリマ−と一緒に機械的性質を微調整するためにそのようなポリマ−を使用することを排除するものではない。
【0040】
プロピレンポリマ−のコモノマ−には、制限はないが、α−オレフィン、例えばエチレン、1−ブチレン、イソブチレン、4−メチル−1−ペンテン、ヘキセンまたはオクテンを使用することが好適である。3種以上のコモノマ−を有するコポリマ−は本発明の目的に包含される。ポリプロピレンコポリマ−に対するモノマ−としてはエチレンが特に好適である。ポリマ−は、例えば加工性または機械的性質を改善する目的で例えば無水マレイン酸またはアクリレ−トモノマ−をグラフトさせることによって更に改変されていてもよい。ここに、ポリプロピレンコポリマ−とは、高分子化学での厳密な意味でのコポリマ−、例えばブロックコポリマ−ばかりでなく、広範な構造または性質を有する市販の熱可塑性PP弾性体も意味する。この種の材料は、例えばプレカ−サ−としてのPPホモポリマ−またはランダムコポリマ−から、同一の反応器でのまたは続く反応器での気相におけるエチレン及びプロピレンとの更なる反応により製造できる。ランダムコポリマ−の出発材料を使用する場合、生成するEPゴム相におけるエチレン及びプロピレンのモノマ−分布はより均一で、改良された機械的性質を誘導する。これは、結晶性のランダムコポリマ−相を有するポリマ−が本発明の巻き付けポリマ−にとって好適であるという他の理由である。製造に対しては、通常の方法が使用できる。その例は、気相法、キャタロイ(Cataloy)法、スフェリポ−ル(Spheripol)法、ノボレン(Novolen)法、及びハイポ−ル(Hypol)法であり、ウルマン(Ullmann)の工業化学辞典、第6版、ワイリ−(Wiley)−VCH社、2002年に記述されている。
【0041】
適当なブレンド成分は、例えば0.86−0.92g/cm、好ましくは0.86−0.88g/cmの密度を持つ軟質のエチレンコポリマ−、例えばLDPE、LLDPE、メタロセンPE、EPM、またはEPDMである。エチレン、(置換または未置換)スチレン及びブタジエンの軟質、水素化、ランダムまたはブロックコポリマ−も、巻き付けフィルムの柔軟性、1%伸長での力、及び特に力/伸長曲線の形を最適な範囲にもたらすのに適当である。本発明のポリプロピレンポリマ−の他に、更なるエチレンまたはプロピレンコポリマ−を使用する場合、それは好ましくはポリプロピレンポリマ−のメルト指数の±50%の範囲の特定のメルト指数を有する。これはエチレンコポリマ−のメルト指
数が一般に190℃に特定され、そしてポリプロピレンの場合のように230℃に特定されないという事実を考慮しないでである。
【0042】
担体フィルムの貧弱な引裂き性及び関連する巻き付け操作の繁雑さの増加に関する問題は、ポリプロピレンコポリマ−と親和性のない少なくとも1つのポリマ−を添加することにより本発明で回避される。この親和性のないポリマ−は、非常に長いフィブリル化引裂き端を普通形成させないで、巻き付けフィルムが手で容易に引裂ける、担体フィルム内の予め決めたミクロン範囲の破断点を付与する。驚くべきことに向上した引裂き性にもかかわらず、機械的性質、例えば柔軟性及び引張り強度はこの親和性のないポリマ−によって悪影響を受けない。
【0043】
同業者によれば、高極性のポリマ−はポリプロピレンと親和性がないと考え付くであろう。ここに親和性のないポリマーとは、ポリマ−が2つのポリマ−相を形成することを意味する。この第2の相は、例えば電子顕微鏡、DSC(示差走査型熱量計/熱天秤計)、または動的機械測定装置を使用すれば明白である。外部から見える、見掛けの均質な混和性は、親和性の尺度として使用すべきでない。ポリマ−の非親和性または非混和性も、同様に溶解パラメ−タ−(ヒルデブランド(Hildebrand)パラメ−タ−)の差において反映される。ポリマ−の溶解パラメーターσが少なくとも19J1/2/cm3/2である場合に、そのポリマ−はポリプロピレン(コ)ポリマ−と親和性がない。溶解パラメーターとその記述は、中でも「ポリマ−ハンドブック」、第4版、ワイリ−・アンド・サン社、またはファン・クレベレン(van Krevelen)の「ポリマ−の性質」、エルセビア・サイエンティフィック出版社、1976年に見出だされる。
【0044】
本発明の親和性のないポリマ−がオレフィン性コモノマ−、例えばエチレンを含んでいる場合、その量は非親和性を保証するのに十分低量でなければならず、従って好適にはオレフィン性コモノマ−を含まないポリマ−である。
【0045】
驚くべきことに、これらの高極性ポリマ−、例えば酸素含有及び窒素含有ポリマ−は、同時にフィルムの機械的性質、例えば柔軟性及び破断伸長を損なわせないで巻き付けフィルムの手による引裂き性に正の影響を与えるのに特に適当であることが判明した。更に、これらの酸素含有及び窒素含有ポリマ−はポリオレフィン及び水酸化マグネシウムとのブレンドにおける難燃性に関しても相乗的に作用する。
【0046】
本発明において、ポリプロピレンポリマ−と親和性のない少なくとも1つのポリマ−は1−30phr、更に好ましくは5−15phrで使用される。非親和性のポリマ−の例は、(ポリプロピレンの加工温度と調和する)十分低い軟化点を有するポリアミド及びポリエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、酢酸ビニル−ビニルアルコールコポリマ−、ポリ(メト)アクリレ−ト、ポリエチレン−ビニルアルコ−ル、エチレン−酢酸ビニルまたはポリウレタンであり、これらは架橋されていてもよい。またこれらはコア−シェル構造を有していてもよい。例えば、炭素数2−8のアルコールのポリアクリレ−トのコア及びポリメチルメタクリレ−トのシェルからなっていてよい。特にPVCを改変するために調整(conditioning)されるアクリレ−ト衝撃改良剤は特に適当であることが判明した。好適にはポリ(メト)アクリレ−ト及び特にポリ酢酸ビニルである。更にポリ酢酸ビニルを使用することにより、驚くことに、難燃剤の水酸化マグネシウムの濡れ性も達成でき、均質な混合物を作るのに要する加工時間が減じられる。加工工程において、小孔やシミができる傾向が著しく減じられる結果として、これらのフィルム材料のより高い絶縁破壊電圧が観察される。他の好適な具体例において、分散粉末は、少量でも手による引裂き性及び難燃性に関して、巻き付けフィルムの柔軟性を実質的に損なわずに且つその極性にもかかわらず溶融物のカレンダ−ロールまたは冷ロールへの粘着を増大させないで明白な改善が見られるから、(例えばプラスタ−や
セメント製品に対する改変剤として使用されるようにポリビニルアルコールシェルと共に用いられる)酢酸ビニルに基づく分散粉末である。
【0047】
使用される難燃剤は、合成または天然水酸化マグネシウムである。改良されたポリマーとの親和性のために、水酸化マグネシウムは好ましくは表面コ−ティングが付与される。ここにその例は、脂肪酸またはアミノシランを含むコ−ティングである。水酸化マグネシウムに更なる難燃剤又は充填剤を組み合わせてもよい。好適には特定の水酸化マグネシウムと窒素含有難燃剤との組合わせ物である。その例は、ジシアンアミド、メラミンシアヌレ−ト、及び立体障害されたアミン、例えばHA(L)S種からのものである。
【0048】
水酸化マグネシウムと赤燐は相乗的に作用し、従って使用することもできる。しかしながら、それは欠点を有する。それは色をつけた製品を製造できなく、その代わりに黒色及び褐色の製品となる。またこの混練りはホスフィンを発生させる。これは健康の害をさけるために保護手段を必要とし、火災の際に濃密な白色の煙を発生する。それゆえに赤燐を使用せず、代わりに充填剤画分を増やす、または酸素含有ポリマ−を使用または添加することが好適である。
【0049】
水酸化マグネシウムの量は、好ましくは70−200phr、より好ましくは110−150phrの範囲である。
【0050】
燃焼性能は他の因子、
・接着剤コ−ティング
・ポリオレフィン種
・カ−ボンブラックの種類及び量
並びに
・他の添加剤
に大きく依存する。それゆえに水酸化マグネシウムの量は、巻き付けフィルムが難燃性である、即ち遅延可燃性または自己消火性であるように選択される。接着剤の塗布された巻き付けフィルムの、水平に置いた試料に対するFMVSS302による火炎伝播速度は、300mm/分未満、より好ましくは200mm/分未満、更に好ましくは70mm/分未満である。巻き付けフィルムのある際立った具体例においては、それはこれらの試験条件下に自己消火性である。フィルムの酸素指数(LOI)は好ましくは19%超、特に21%超、より好ましくは23%超である。
【0051】
フィルムの場合に通常の更なる添加剤、例えば充填剤、顔料、老化防止剤、核剤、衝撃改良剤、または滑剤などは、巻き付けフィルムの製造に使用できる。これらの添加剤は、例えばH.セヒトリング(Saechtling)編の「プラスティックハンドブック」、第28版、ハンザ−出版、或いはH.ツバイフェル(Zweifel)編の「プラスてぃっく添加剤ハンドブック」、第5版、ハンザ−出版に記述されている。
【0052】
本発明の主たる目的はハロゲン及び揮発性可塑剤を使用しないことである。前述したように、熱に関する必要条件は、更に向上した耐性が通常のPVCフィルムまたは試験されているPVCを含まない巻き付けフィルムに関して達成できるように高まりつつある。それゆえに本発明は以下に詳細にこれに関して記述する。
【0053】
本発明の巻き付けフィルムは、有利には3000時間後に少なくとも105℃の熱安定性を有し、これはこの貯蔵後に依然少なくとも100%の破断伸長が存在することを意味する。このフィルムは更に136℃(促進試験)で20日後に少なくとも100%の破断伸長及び/または170℃(30分)の耐熱性を有するべきである。記述される酸化防止剤及び随時更に金属不活性化剤を含むある際立った形態において、2000時間後に12
5℃または3000時間後でも125℃が達成される。DOPに基づく通常のPVC巻き付けフィルムは、85℃の熱安定性を有し、一方ポリマ−可塑剤に基づく高性能製品は105℃(エンジン室)を達成している。巻き付けフィルムと他のケ−ブル−ハ−ネス成分、例えばケ−ブルの鞘、プラグ、及びフルート管(fluted tube)の間の親和性も同様に必要であり、特に添加剤に関して処方を適合させることによって達成できる。列挙できる負の例は、不適当な巻き付けポリプロピレンフィルムの、銅で安定化されたポリアミドフルート管との組合わせである。この場合、フル−ト管と巻き付けフィルムの両方は105℃で3000時間後に脆くなる。
【0054】
効果的な老化安定性及び親和性を達成するためには、特別な役割に対して正しい老化防止剤が試用される。この関連において、巻き付けテープを製造する従来の実験では、他のフィルムの製造の場合に普通のように老化防止剤が全然使用されず、または0.3phr以下でしか使用されなかったから、安定剤の全量を考慮することも必要である。好適な具体例において、本発明の巻き付けテープは0.3phr超の、特に1phr超(随意の金属不活性化剤を含まない)の酸化防止剤を含む。ある好適な具体例において、二次酸化防止剤の画分は0.3phr超である。PVC製品に対する安定剤はポリプロピレンに当てはめられない。二次酸化防止剤は過酸化物を分解し、したがってジエン弾性体の場合に老化防止剤パッケ−ジの一部として使用されている。驚くべきことに、一次酸化防止剤(例えば立体障害フェノールまたはCラジカル捕捉剤)及び二次酸化防止剤(例えば硫黄化合物、ホスファイトまたは立体障害アミン)の組合わせは、一つの分子内に両機能を結合したものも可能であるが、ジエンを含まないポリオレフィン、例えばポリプロピレンの場合にも意図する目的を達成することが発見された。特に好適には、一次酸化防止剤、好ましくは分子量500g/モル超(特に>700g/モル)の立体障害フェノールの、ホスファイト二次酸化防止剤(特に分子量>600g/モル)との組合わせである。ホスファイト或いは一次及び2つ以上の二次老化防止剤の組合わせ物は、今日までポリプロピレンコポリマ−を含んでなる巻き付けフィルムに使用されてこなかった。低揮発性の一次フェノール系酸化防止剤及び1つの、それぞれ硫黄化合物種(好ましくは分子量400g/モル超、特に>500g/モル)からの及びホスファイト種からの二次酸化防止剤の組合わせ物は適当である。この場合、フェノール、硫黄含有物及びホスファイト機能物は3つの異なる分子で存在する必要はない。その代わりに1つよりも多い機能が1つの分子内で一体化されていてもよい。
【0055】
本発明の巻き付けフィルムは、好ましくは顔料入りで、特に黒色である。着色は基本フィルムで、接着剤層で、またはいずれかの他の層で行ってよい。有機顔料または染料の、巻き付けフィルムへの使用が可能であり、カ−ボンブラックの使用は好適である。このカ−ボンブラックの画分は、それが驚くことに燃焼性にかなり影響するから、好ましくは少なくとも5phr、特に10phrである。カ−ボンブラックとして、すべての種類のもの、例えばガスブラック、アセチレンブラック、熱(thermal)ブラック、ファーネス(furnace)ブラック、及びランプ(lamp)ブラックを使用できるが、ファーネスブラックがフィルムの着色に普通であるという事実にもかかわらず、ランプブラックが好適である。最適な老化に対しては、6−8の範囲のpHを有するカ−ボンブラック、特にランプブラックが好適である。
【0056】
巻き付けフィルムは、カレンダ−で、または押出し、例えばブローまたはキャスト操作で製造される。これらの方法は、例えばウルマンの「工業化学辞典」、第6版、ワイリ−−VCH、2002年に記述されている。主成分またはすべての成分を含んでなる化合物は、混合または混練り機(例えばプランジャ−混合機)または押出し機(例えば2軸またはプラネタリ−ロ−ル押出し機)で製造でき、次いで固体形(例えば粒状物)に変えられる。次いでこれをフィルム押出し装置でまたは押出し機、混合機、またはカレンダ−装置のロ−ルミルで溶融し、更に加工する。高量の充填剤は、絶縁破壊電圧を鋭く低下させる
僅かな不均一性部(欠陥)を生成する。それゆえに混合操作は、混合物から作られるフィルムが少なくとも3kV/100μm、好ましくは5kV/100μmの絶縁破壊電圧を達成するのに十分なように完全に行わねばならない。混合物とフィルムは一の操作で製造されるのが好ましい。溶融物は混合機から直接押出し装置またはカレンダ−に供給されるが、所望により補助装置、例えばフィルター、金属検知器、またはロ−ルミルを通過させてもよい。製造操作の過程において、フィルムは、手による引裂き性を達成するために、1%伸長の低力値及び低収縮で、できるだけ少ししか配向せしめない。
【0057】
巻き付けフィルムの流れ方向の収縮は、熱貯蔵(125℃の炉中、タルクの層上に置いて30分間)後に、5%未満、好ましくは3%未満である。
【0058】
本発明の巻き付けフィルムの機械的性質は好ましくは次の範囲にある。
・md(流れ方向)における破断伸長、300−1000%、好ましくは500−800%
・mdにおける破断強度、4−15、より好ましくは5−8N/cm。
試験フィルムは、データを得るために鋭い刃を用いて寸法に切断した。
【0059】
好適な具体例において、巻き付けフィルムは片面または両面、好ましくは片面に、巻き付け端を接着剤テープ、ワイヤ、または結び目で固定する必要がないように、シールまたは感圧接着剤コ−ティングが付与される。この接着剤層の量は、それぞれの場合10−40g/m、好ましくは18−28g/m(即ち必要ならば水または溶媒除去後の量、数値は凡そμmの厚さにも相当)である。接着剤コ−ティングを有する場合、ここで厚さに対して示される数値及び厚さに依存する機械的性質の数値は、接着剤層または接着剤層との関係で有用な他の層を考慮しないで、もっぱら巻き付けフィルムのポリプロピレン含有層に関するものである。コ−ティングは全面積を被覆する必要なく、部分的被覆のために修正してもよい。言及しうる例は、横端に感圧接着剤細片を有する巻き付けフィルムである。この細片は切り取って複数の凡そ四角のシートにしてもよい。1つの接着剤細片をケ−ブルの束に接着し、次いで他の接着剤細片が巻き付けフィルムの反対側に接合する。この種のホースに似た包囲は、包装の柔軟性と同様に、包み込みの結果としてケ−ブルハ−ネスの柔軟性の低下が実質的にないという利点を持つ。
【0060】
適当な接着剤はすべての通常の種類、特にゴムに基づくものを含む。この種のゴムは例えばイソブチレン、1−ブテン、酢酸ビニル、エチレン、アクリルエステル、ブタジエン、またはイソプレンのホモポリマ−またはコポリマ−であってよい。特に適当な処方は、アクリルエステル、酢酸ビニル、またはイソプレンに基づくポリマ−自体に基づくものである。
【0061】
性質を最適化するために、用いる自己接着剤を、1つまたはそれ以上の添加剤、例えば増粘剤(樹脂)、可塑剤、充填剤、難燃剤、顔料、UV吸収剤、光安定剤、老化防止剤、光開始剤、架橋剤、または架橋促進剤と混合してもよい。増粘剤は例えば炭化水素樹脂 (例えば不飽和C−Cモノマ−に基づくポリマ−)、テルペン−フェノ−ル樹脂、原料、例えばα−またはβ−ピネンから作られるポリテルペン樹脂、例えば芳香族樹脂、例えばクマロン−インデン樹脂、またはスチレンまたはα−メチルスチレンに基づく樹脂、例えばロジン及びその誘導体、不均化、二量化またはエステル化樹脂、例えばグリコ−ル、グリセロ−ル、またはペンタエリスリト−ルとの反応生成物である。これらは数少なく列挙したに過ぎず、更なる樹脂(例えばウルマンの「工業化学辞典」、第12巻、525−555ページ、第4版、ワインハイム、に列挙されるもの)も含む。好適には容易に酸化される二重結合を含まない樹脂、例えばテルペン−フェノ−ル樹脂、芳香族樹脂であり、特に好適には水素化で作られる樹脂、例えば水素化芳香族樹脂、水素化ポリシクロペンタジエン樹脂、水素化ロジン樹脂、または水素化テルペン樹脂である。
【0062】
適当な充填剤及び顔料の例は、カ−ボンブラック、二酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、ケイ酸塩またはシリカを含む。適当な混合できる可塑剤は、例えば脂肪族、脂環族、及び芳香族油、フタル酸、トリメリット酸またはアジピン酸のジエステルまたはポリエステル、液体ゴム(例えば低分子量のニトリルゴムまたはポリイソプレンゴム)、ブテン及び/またはイソブテンの液体ポリマー、アクリルエステル、ポリビニルエーテル液体樹脂、及び増粘剤樹脂の原料、ラノリン、及び他のワックスまたは液体シリコーンに基づく軟質樹脂である。架橋剤の例はイソシアネ−ト、フェノ−ル樹脂、またはハロゲン化フェノ−ル樹脂、メラミン樹脂、及びホルムアルデヒド樹脂を含む。適当な架橋促進剤は、例えばマレイミド、アリルエステル、例えばトリアリルシアヌレ−ト、及びアクリル及びメタクリル酸の多官能性エステルである。老化防止剤の例は、例えば商品名イルガノックス(IrganoxTM)で知られる立体障害フェノ−ルを含む。
【0063】
架橋は、剪断強度(例えば保持力として表示)を増加させ、かくして貯蔵時のロ−ル中での変形に対する傾向(収縮(telescoping)またはギャップとも呼ばれる空洞の形成)が低下するから有利である。感圧接着剤物体の浸出も減じられる。これはケ−ブルの回りにらせんに巻かれた巻き付けフィルムの場合、ロールの粘着性のない側端及び粘着性のない端において明白である。保持力は好ましくは150分超である。
【0064】
スチールに対する結合強度は、1.5−3N/cmの範囲にあるべきである。
【0065】
要約すると、好適な具体例は、共押出し、溶融コ−ティングまたは分散コ−ティングの結果としてもたらされる無溶媒の自己接着剤物体を片面に有する。分散接着剤、特にポリアクリレ−トに基づくものは好適である。
【0066】
巻き付けフィルムと接着剤物体との間には、接着剤物体の巻き付けフィルムへの付着を改善し、かくしてロールの巻き解き中の、接着剤のフィルムの反対側への移行を防ぐために、プライマ−層を使用することが有利である。使用できるプライマ−は、例えばイソプレンまたはブタジエンゴム及び/またはシクロゴムに基づく公知の分散液及び溶媒に基づく系である。イソシアネ−トまたはエポキシ樹脂添加剤は、付着を改善し、一部感圧接着剤の剪断力も向上させる。物理的な表面処理、例えば火炎、コロナ、またはプラズマ処理、或いは共押出し層も、同様に付着を改善するのに適当である。特に好適には、そのような方法を無溶媒接着剤層、特にアクリレ−トに基づくものに適用することである。
【0067】
反対の面は公知の剥離剤(適当な場合には他のポリマ−と混合)で被覆することができる。その例は、ステアリル化合物(例えばポリビニルステアリルカ−バメ−ト、遷移金属、例えばCrまたはZrのステアリル化合物、及びポリエチレンイミンとステアリルイソシアネ−トから製造される尿素化合物)、ポリシロキサン(例えばポリウレタンとのコポリマ−としてまたはポリオレフィンへのグラフトコポリマ−として)、及び熱可塑性フルオロポリマ−である。ステアリルという術語は、少なくともC数10を有するすべての直鎖または分岐鎖アルキルまたはアルケニルに対する同義語、例えばオクタデシルを表す。
【0068】
通常の接着剤物体及び更に逆相コ−ティング及びプライマ−の記述は、例えばD.サタス(Satas)の「感圧接着剤技術ハンドブック」、第3版に見出だすことができる。記述されている逆相プライマ−コ−ティング及び接着剤コ−ティングは、1つの具体例では共押出しで可能である。
【0069】
しかしながらフィルムの反対の面の形態は、(例えば巻き解き力を制御する目的で)接着剤マスの、巻き付けフィルムの反対面への付着を向上させるのにも役立つ。極性接着剤、例えばアクリレ−トポリマ−に基づくものの場合、反対面の、ポリプロピレンポリマ−に基づくフィルムへの付着はしばしば十分でない。巻き解き力を向上させる目的で、極性の反対面表面はコロナ処理、火炎予備処理、または極性原料でのコ−ティング/それとの共押出しによって達成されるある具体例が主張される。他にログ(log)製品が切断に先立って調整された(熱条件下に貯蔵された)巻き付けフィルムが主張される。両方の方法を組み合わせて使用してもよい。本発明の巻き付けフィルムは、300mm/分の巻き解き速度において、好ましくは1.2−6.0N/cm、非常に好ましくは1.6−4.0N/cm、特に1.8−2.5N/cmの巻き解き力を有する。この調整はPVC巻き付けテープの場合に公知であるが、異なる理由のためである。部分的結晶性のポリプロピレンコポリマ−フィルムと対比して、可塑剤入りのPVCは広い軟化範囲を有し、接着剤マスが移動性の可塑剤のためにより低い剪断強度を有するから、PVC巻き付けテープは収縮の傾向がある。この、コアがロールから横へ押し出される不利なロールの変形は、材料を切断に先立って比較的長時間貯蔵する、或いは短く調整に供する(限られた時間熱条件下に貯蔵する)場合に防ぐことができる。しかしながら、本発明の方法の場合、調整の目的は、接着剤マスがPVCに比べてポリプロピレンに対しては非常に低い反対面付着性を示すから、非極性ポリプロピレンの反対面との及び極性の接着剤マス、例えばポリアクリレ−トまたはEVAとの材料の巻き解き力を増加させることである。調整または物理的処理による巻き解き力の増加は、普通使用される接着剤が極性のPVC表面に対して十分高い付着力を有するから、可塑化されたPVC巻き付けテープの場合不必要である。ポリオレフィン巻き付けテープの場合には、(難燃剤の存在と通常の可塑剤の不在による)1%伸長においてのより高い力のため、適用するために巻き解いている際十分な延伸を与える目的で、PVCフィルムと対比して、非常に高い反対面付着性と巻き解き力が必要であるから、反対面付着の重要性が特に顕著である。それゆえに巻き付けフィルムの好適な具体例は、際立った巻き解き力と巻き解き中の延伸を達成するために、調整または物理的表面処理によって作られる。300mm/分における巻き解き力はそのような手段のない時より、好ましくは少なくとも50%高くなる。
【0070】
本発明の巻き付けフィルムは、高柔軟性がワイヤ、ケーブル、リベット、ビーズまたは起伏物への良好な形態適合性を保証するから、長い材料、例えば空調の換気パイプ、フィールドコイル、または車のケーブルルームの包囲に関して際立って適当である。
【0071】
本発明はハロゲン化された原料を使用しないから、今日の職業上の衛生及び環境の必要条件に適合する。このことは、量が少量で曇り数が90%以上であるとしても、その揮発性可塑剤にも当てはまる。ハロゲンの不在はそのような巻き付けテープを含む廃棄物からの熱の回収(例えば車のリサイクルからのプラスチック画分の燃焼)にとって非常に重要である。本発明の製品は、原料のハロゲン含量が、難燃性に役割を果たさないほど低いという意味においてハロゲンを含まない。例えば不純物としてまたは(例えばポリマ−の重合からの)触媒残渣としてまたは加工助剤として、例えば弗素弾性体として存在するような痕跡量のハロゲンは無視することとする。ハロゲンを排除すれば、電気品、例えば家庭の器具または車における安全基準に一致しない容易な可燃性の性質がつきまとう。通常のPVC代替物、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、またはポリイミドを巻き付けフィルムに使用した時のこの不十分な柔軟性と貧弱な難燃性は、(低曲げモジュラスを有する)軟質のポリプロピレンコポリマ−及び難燃剤、好ましくは水酸化マグネシウムの混合物を使用することによって解決される。それゆえに柔軟性を完全に脆い点まで劇的に損なうことが公知である難燃効果を有する充填剤を使用することさえできるということは特に驚くべきことである。しかしながら巻き付けフィルムの柔軟性は、ワイヤ及びケーブルへの適用がらせん形の巻き付けだけではなく、分岐点、プラグ、または締付けクリップでの皺のよらない局面において柔軟な巻き付けを必要とするから、決定的に重要である。更に、巻き付けフィルムはケ−ブル線を一緒に弾性的に延伸することが望ましい。この挙動は換気パイプのシールにも必要とされる。これらの機械的性質は軟質で、柔軟性の巻き付けテープで初めて達成することができる。
【0072】
これらの必要条件に加えて、巻き付けテープの取扱性も重要である。巻き付けテープは主に手で取り扱うから、経済的な理由のために、取扱者は高柔軟性を有する巻き付けフィルム及び挟みまたはナイフのような道具の助けを借りずに手で容易に引裂けるフィルムが必要である。
【0073】
「手による引裂き性」とは、2本の手を用いる親指と人差し指間での横方向の引裂きばかりでなく、長さ方向での鋭い引裂きを包含する。同業者が熟知するように、フィルムまたはそれから製造される接着テープを用いると、容易な延伸性と容易な手による引裂き性を同時に必要とする条件は相容れないものである。もっと簡単に表現すれば、フィルムは普通軟質で延伸性であるか、脆くて、手で引裂けるかのいずれかである。接着テープのロールを製造する時、手による引裂き性を改善するためには、顕微鏡的に見て引裂きの伝播を促進する切れ目を形成する粗い切断端を作ることが可能である。これは切れ難いまたは限定された鋸歯を有する回転ナイフを使用する押し型切断で、或いは鈍い固定された歯を有する分割切断で可能である。しかしながら、この手による引裂き性を改善する方法は、硬い(脆い)または準硬いフィルムの場合にだけ有効である。本発明の場合のような軟質のフィルムの場合、この方法は手による引裂き性に関しては実質的に有効でない。
【0074】
接着テープのロールを製造する場合、手による引裂き性を改善するために、顕微鏡的に見た時引裂きの伝播を促進する切れ目を形成する粗い切断端を作ることが普通である。これは切れ難いまたは限定された鋸歯を有する回転するナイフを使用する押し型切断により、或いは鈍い固定された歯を有する分割切断により可能である。しかしながら、この方法は硬い及び準硬い担体材料、例えば可塑化されてないPVCフィルムまたは延伸されたポリプロピレンフィルムに限られる。これに対し、非常に柔軟な材料、例えば巻き付けフィルムの場合、満足できる結果は達成されない。
【0075】
試験法
測定は23±1℃及び相対湿度50±5%の試験条件下に行った。
【0076】
巻き付けフィルムの引張り伸長挙動は、DIN EN ISO527−3/2/300に従い、試験速度300mm/分、クランプ長100mm、及び予めの張力0.3N/cmにおいて、タイプ2の試験試料(長さ150mm及びできる限り幅15mmの四角い試験細片)で決定した。粗い切断端を有する試料の場合には、その端は引張り試験前に鋭い刃で整えておくべきである。これから逸脱する場合には、1%伸長における力または張力を決定する場合、試験速度10mm/分及び予めの張力0.5N/cmを用い、Z 010型引張り試験機(ツビック(Zwick)製)により測定した。1%値は評価プログラムによっていくらか影響されるから、試験機を指定した。断らない限り、引張り伸長挙動は、流れ方向(MD)で試験した。力はN/細片の幅で表現し、張力はN/細片の断面で示した。また破断伸長は%で示した。試験結果、特に破断伸長は十分な数の測定で、統計学的に確定しなければならない。
【0077】
結合強度はAFERA4001に従い、(できる限り)幅15mmの試験細片を用い、180°の剥離角度で決定した。試験基材としては、特定される他の基材の不在下に、AFERA標準スチール板を使用した。
【0078】
巻き付けフィルムの厚さは、DIN53370に従って決定した。感圧接着剤層は、測定した全暑さから差し引いて決定した。
【0079】
保持力はPSTC107(10/2001)に従って決定した。重りは20Nであり、結合面積の寸法は高さ20mm及び幅13mmであった。
【0080】
巻き解き力はDIN EN1944に従い300mm/分で測定した。
【0081】
手による引裂き性は、破断力、破断伸長及び伸長下の衝撃強度が実質的に影響する(すべての測定は機械方向)から、数で表現できなかった。
評価
+++ = 非常に容易
++ = 良好
+ = 依然取扱い可能
− = 取扱い困難
−− = 非常に力をかけて初めて引裂ける、端は粗雑
−−− = 取扱い不能
燃焼性能はMVSS302に従い、試料を水平にして測定した。感圧接着剤コ−ティングが片面の場合、その面を上にした。更なる試験として、酸素指数(LOI)の試験を行った。この目的のための試験はJIS K7201の条件で行った。
【0082】
熱安定性は、ISO/DIN 6722に基づく方法で決定した。炉はASTM D2436−1985に従い、175回の空気交換/時で操作した。試験時間は3000時間に相当した。選んだ試験時間は、85℃(クラスA)、105℃(クラスBと同様、但し100℃でない)、及び125℃(クラスC)であった。促進老化は136℃で行った。この試験は、破断伸長が20日の老化後に依然少なくとも100%である場合に合格である。
【0083】
親和性の試験の場合、熱条件下での貯蔵は、自動車のポリオレフィン絶縁材(ポリプロピレンまたは照射架橋したポリエチレン)を有する市販のリード線(ケーブル)について行った。この目的のために、断面積3−6mm及び長さ350mmを有する5本のリード線から、巻き付けフィルムを用い、50%の重なりで被覆して製造した。強制空気炉中、3000時間(熱安定性試験に関する条件)における試料の老化後、これを23℃で調整し、ISO/DIN6722に従って手により直径5mmの心棒の回りに巻き付けた。重りは5kgであり、巻き付け速度は1回転/分であった。続いてこの試料を巻き付けフィルムにおける且つ巻き付けフィルム下のワイヤ絶縁性における欠陥を観察した。この試験は、亀裂がワイヤの絶縁材中に見られる場合、特にこれが巻き付け心棒上で曲がる前でさえ明白な場合、不合格である。巻き付けフィルムが亀裂を有し或いは炉内で溶融してしまった場合にも、この試験は不合格と分類する。125℃の試験において、試料はいくつかの場合に異なる時間でも試験した。試験時間は、それぞれの場合、断らない限り3000時間であった。
【0084】
短期間の熱安定性は、ISO6722に記述されるように、断面積0.5mmを有するTW型のワイヤ19本を含んでなるケーブルの束で測定した。この目的のために、巻き付けフィルムを50%重なるようにケーブルの束に巻き付け、このケーブルの束を直径80mmの心棒の回りに曲げ、強制空気炉中において140℃で貯蔵した。168時間後、試料を炉から取り出し、損傷(亀裂)に関して試験した。
【0085】
耐熱性を決定するために、巻き付けフィルムを170℃で30分間貯蔵し、室温まで30分間冷却し、そして少なくとも3巻きで且つ50%重なるように直径10mmの心棒の回りに曲げた。次いで試料を損傷(亀裂)に関して試験した。
【0086】
低温試験の場合、上述した試料を、ISO/DIS6722に基づく方法で、−40℃まで4時間冷却し、この試料を直径5mmの心棒の回りに手で巻きつけた。この試料を接着テープにおける損傷(亀裂)に関して試験した。
【0087】
絶縁破壊電圧をASTM D1000に従って測定した。採用した値は、試料が1分間耐える電圧の最高値である。数値は試料の厚さ100μmに換算した。
例:
厚さ200μmの試料が最高電圧6kVに1分間耐えた。計算される絶縁破壊電圧は3kV/100μmに相当する。
【0088】
曇り数はDIN75201Aに従って測定した。
【0089】
以下の実施例は、本発明の範囲を限定するものでなく、それを例示するものである。
【0090】
【表1】

【0091】
【表2】

【0092】
【表3】

【0093】
【表4】

【実施例1】
【0094】
担体フィルムを製造するために、先ずポリマ−Aの90phr、ビンナパスB100の10phr、マグニフィンH5GVの160phr、フラムルス101の10phr、イルガノクス1010の0.8phr、イルガノクスPS802の0.8phr、及びイルガフォス168の0.3phrを、共働回転2軸押し出し機中で混合した。マグニフィンは、領域1、3、及び5において1/3ずつ添加した。
【0095】
コンパウンドの溶融物を押し出し機の口金からロ−ルミルへ取り出し、そこから緊張機を通して、コンベアベルトで「逆L型」のカレンダ−ニップに供給した。カレンダ−ロールにより、滑らかな表面を有するフィルムを幅1500mm及び厚さ0.08mm(80μm)で形成させ、熱固定ロールで後結晶化させた。このフィルムを1週間貯蔵し、平面性を改善するためにロールを含むコ−ティング装置上において60℃下で平らにし、コロナ処理後水性アクリレ−トPSAのプライマルPS83Dをコ−ティングナイフにより使用量24g/mで塗布した。この接着剤相をトンネル乾燥機により70℃で乾燥した。最終の巻き付けフィルムを1インチ(25mm)のコア上に33mの巻き取り長さ(running length)を有するログロ−ルに巻いた。このログロールを、非常には鋭角でない固定刃(ストレ−ト・ナイフ)を用いて幅29mmのロールに分割することによって切断した。続く実施例の場合にも同様に、分割切断には、本発明の記述において述べた理由から、自動装置を使用した。
【0096】
高充填剤画分にもかかわらず、この自己接着巻き付けフィルムは良好な柔軟性を示す。この巻き付けフィルムは非常に良好な取扱性と手による引裂き性が特色である。老化安定性及びPP及びPAケーブル及びポリアミドのフルート管との親和性は際立っていた。
【実施例2】
【0097】
コンパウンドは、カ−ボンブラックを用いないで、水中粒状化で、ピン押出し機により製造した。乾燥後、このコンパウンドをカ−ボンブラックのマスタ−バッチと混合した。
【0098】
担体フィルムを、ポリマ−Bの75phr、パクレル637の15phr、マグニフィンH5GVの160phr、50%フラムルス101及び50%ポリエチレンのマスタ−バッチの20phr、イルガノクス1076の0.8phr、イルガノクスPS802の0.8phr、及びウルトラノクス626の0.2phrを用いてブロ−フィルム押出し機で製造した。このフィルムのバブルをトライアンブル(triangle)で切り開いて平らなウェッブとし、これを熱固定部を通過させ、片面をコロナ処理し、後結晶化のために1週間貯蔵した。平らにする(平面性を改善する)ために、フィルムをコ−ティングライン上の5つの予熱ロールに誘導し、実施例1と同じ方法で、但し更にメラプアMC25の10重量%を含ませて、感圧接着剤を塗布した。次いで、ログロ−ルを65℃で5時間調整し、実施例1におけるように切断した。
【0099】
熱固定をしてないフィルムは、乾燥操作中に著しい収縮(幅で5%、長さ方向は測定してない)を示した。新しく製造したフィルムの平面配置性は良好であり、押出し後すぐに
コ−ティングできた。しかし悪いことに23℃で3週間貯蔵後にロールはすでに著しく収縮していた。この問題はログロールでの調整(70℃で10時間)によっても無くすことはできなかった。
【0100】
上記の収縮(telescoping)はコ−ティングに先立つフィルムの1週間の貯蔵により、またコ−ティングしたフィルムのフォーム被覆コア上への巻き付けにより防ぐことができた。
【0101】
フィルムは手による引裂き性を含めて優秀な取扱性及び非常に良好な耐老化性が顕著であった。
【実施例3】
【0102】
以下のことを除いて実施例1と同様の製造法にしたがった。
コンパウンドは、ポリマ−Aの90phr、PEG6000の10phr、ブルサイト15μの120phr、フラムルス101の15phr、イルガノクス1010の0.8phr、イルガノクスPS802の0.8phr、イルガフォス168の0.3phr及びイルガノクスMD1024の1phrからなった。ブルサイトは領域1及び5において1/2ずつ添加した。
【0103】
このコンパウンドから製造したフィルムの片面を火炎処理し、10日間の貯蔵後にロ−ル塗布機を用いて、アクロナルDS3458を50m/分で塗布した。担体の温度負荷を冷却した逆圧ローラーで低下させた。適用量は約35g/mであった。巻き取り前に同一ラインでそれぞれ120W/cmの6つの中圧Hgランプを照射して適当に架橋させた。この照射したウェッブを、31mmのコア上に33mの巻き取り長さで巻き付けてログロ−ルとした。巻き解き力を向上させる目的で、ログロ−ルを60℃の炉で、5時間調整した。
【0104】
この巻き付けフィルムは実施例1のものよりも更に大きい柔軟性が特徴であった。火災伝播速度は使用に十分過ぎるものであった。このフィルムは僅かに艶のない表面を示した。またフィルムは、使用時に取り扱いやすく、手で容易に裂けた。
【実施例4】
【0105】
製造は次のものを除いて実施例2にしたがった。
コンパウンドは、ポリマ−Aの80phr、エバフレクスA702の10phr、EVA1 105Bの10phr、フラムルス101の10phr、イルガノクス1010の0.8phr、イルガノクスPS802の0.8phr、及びイルガフォス168の0.3phrからなった。
【0106】
フィルムを、カレンダ−巻き取りの上流でコロナ処理し、この面に接着剤リキダインBDF505を23g/mで適用した(但し固体含量で計算して接着剤100重量部当たりデスモデュアZ4470MPA/Xの1重量%を添加)。接着剤を加熱トンネルで乾燥した。この際化学的架橋が起こった。これを乾燥機の終わりに大きいロールに巻き取り、1週間後コ−ティングしてない面を穏やかにコロナ処理し、その段階で再巻き取りして巻き取り長さ25mのログロ−ルとした。これらのログロールは100℃の炉で1時間保ち次いでロールに切断した。
【0107】
この巻き付けフィルムは柔軟性、取扱性、及び手による引裂き性のバランスのとれていることが特徴であった。
【実施例5】
【0108】
製造は以下のことを除いて実施例1のように行った。
コンパウンドはポリマ−Aの72phr、RPT200の10phr、マグニフィンH5GVの120phr、ラベンPFEBの30phr、イルガノクス1010の2phr、イルガノクスPS802の1.0phr、及びイルガフォス168の0.4phrからなった。
【0109】
1週間の貯蔵後、フィルムを片面だけ火炎処理し、エアフレックスEAF60を80g/m塗布した(乾式塗布)。このウェッブを最初IRランプで乾燥し、次いで100℃のトンネルで乾燥を完結した。続いてテープを巻き取って、大きいロールとした。次の段階でこの大きいロールを解き、巻き付けのコ−ティングしてない面を、巻き解き力を増加させる目的で、切断機において弱いコロナ処理に供した。そして内径37mmのコア上に巻き取り長さ33mで幅19mmのロールを得た。
【実施例6】
【0110】
製造は以下のことを除いて実施例1のように行った。
フィルムはポリマ−Cの75phr、エスコレンUL00119の20phr、RPT1800の5phr、キスマ5Aの150phr、フラムルス101の15phr、イルガノクス1010の0.8phr、イルガノクスPS802の0.8phr、及びイルガフォス168の0.3phrを含んだ。
【0111】
この担体フィルムを片面だけコロナ処理し、1週間貯蔵した。この予備処理した面に、天然ゴム、シクロゴム及び4、4´−ジイソシアナトジフェニルメタン(溶媒トルエン)を含んでなる接着促進剤層を0.6g/m塗布し、乾燥した。この接着促進剤層に直接、コンマ(comma)バ−を用いて接着剤を18g/m(固体基準)の量で塗布した。接着剤は固体含量30重量%の天然ゴム接着剤のn−ヘキサン溶液からなった。この固体は天然ゴム50部、酸化亜鉛10部、ロジン3部、アルキルフェノ−ル樹脂6部、テルペン−フェノ−ル樹脂17部、ポリ−β−ピネン樹脂12部、イルガノクス1076酸化防止剤1部、及び鉱油2部からなった。続いてコ−ティングを100℃の乾燥トンネルで乾燥した。この直後の下流で、19mmの間隔で鋭い刃を有するナイフバ−を持つ複合物切断機フィルムを切断して、標準的な接着テープコア(3インチ)上にロールとした。
【0112】
この巻き付けフィルムは、高充填剤画分にもかかわらず、1%伸長における低力値に反映されるように非常に高い柔軟性を示した。この巻き付けフィルムは可塑剤入りのPVC巻き付けテープと同様の機械的性質を有し、しかも難燃性と熱安定性に関してはそれより優れていた。保持力は1500分であり、30m/分(300mm/分ではない)での巻き解き力は5.0N/cmであった。曇り数は62%(多分接着剤中の鉱油の結果として)であった。大直径のロールのため、このロールは巻き付け板とケ−ブルハ−ネス間で斜めにしか引き出すことができず、巻き付けにおいて皺がよった。
【実施例7】
【0113】
フィルムの個々の層に対するコンパウンドは、押出し機と水中粒状化を含む混練り機中で、カ−ボンブラックなしに製造した。均質化前の混合時間は2分間であり、一方粒状化押出し機への取り出し前の全混練り時間は4分間であった。層2及び3に対する化合物の場合、充填剤を半分ずつ、開始時と1分後に添加した。乾燥後コンポウンドの粒状体をコンクリートミキサ−でカ−ボンブラックマスタ−バッチと混合し、混合物をキャスト法 (口金幅1400mm、口金頭溶融温度190℃、冷却ロール温度30℃、速度30m/分)にしたがって3層共押出しに供した。
【0114】
担体フィルムの成分は次の通りであった。
層1
15μm:エバフレックスP1905の100phr、マグニフィンH5GVの40ph
r、50%フラムルス101及び50%ポリエチレンのマスタ−バッチの20phr、イルガノクス1076の0.4phr及びイルガフォス168の0.2
層2
40μm:ポリマ−Bの70phr、ビンナパスB100の20phr、マグニフィンH5GVの160phr、50%フラムルス101及び50%ポリエチレンのマスタ−バッチの20phr、イルガノクス1076の0.8phr、イルガノクスPS802の0.8phr、及びイルガフォス168の0.2phr
層3
40μm:層2と同じ
層4
15μm:エスコレンUL02133の100phr、イルガノクス1076の0.4phr、及びイルガフォス168の0.2phr
層5
20μm:レバプレン450
ブロ−フィルムで起こった問題のため、フィルムを熱固定した。23℃で1週間貯蔵した後、フィルムを、平面化ロールを使用する以外実施例1のようにコ−ティングした。このようにして得た巻き付けフィルムを、巻き取り長さ20mのログロ−ルに巻き取り、40℃で1週間調整した。このログロ−ルを固定刃(直線ナイフ)で分割切断した。
【0115】
予備実験においては、2分間の混合時間を選んだ。フィルムは均質(充填剤のシミなし)であったが、絶縁破壊電圧は3kV/100μmにすぎなかった。それゆえに、劣化の危険性があるにもかかわらず、混合時間を長くした(劣化の尺度としてのメルト指数は、長い時間の結果として、ホスファフィト安定剤のおかげで、とるにたらない増加を示すにすぎなかった)。この材料はスチールへの結合強度を持たず、その反対側へは貧弱に付着した。この付着は、巻きが互いに相対的にずれないことを保証するのに十分であったが、巻き付けの終わりに感圧接着巻き付けフィルムで最後の固定をすることが必要であった。
【0116】
巻き解き力は、調整の結果として、巻き付けフィルムが僅かな緊張下に適用できる程度まで上昇した。この具体例は無溶媒であり、コ−ティングが必要ないので容易に行えた。
【0117】
ほとんど難燃剤を含んでいない着色した層1の結果として、巻き付けフィルムは高伸長においても実質的に応力白化を示さなかった。曇り数は97%であった。
【0118】
他の本発明の実施例及びポリオレフィン及び水酸化マグネシウムに基づく対照実施例と比べて、このフィルムは、20%以上の伸長時に、最上層が低充填剤画分しか有しないから応力白化が目立たず、極性ポリマ−に効果的に付着するという特徴を示した。極性ポリマ−の存在の結果として、それにもかかわらず火災性能は優秀であり、ポリプロピレン含有層はフィルムの溶融を防止した。親和性のないポリマ−が中間層に存在するだけであるけれど、この巻き付けテープは良好な手による引裂き性を示した。
【0119】
【表5】

【0120】
(対照実施例1)
シンガポ−ルプラスチックプロダクツ(Singapore Plastic Products Pte)からF2104Sの商品名で売られている絶縁テープ用の通常のフィルムを用いてコ−ティングを行った。製造業者によれば、このフィルムはK値63−65の分散PVC100phr(樹脂100部当たりの部)、DOP(ジ−2−エチルヘキシルフタレ−ト)43phr、三塩基性硫酸鉛(TLB、安定剤)5phr、粉砕チョーク(ブキブタムラ−マレ−シア(Bukit Buta Murah Malausia)、脂肪酸コ−ティング)25phr、炉ブラック1phr、及びステアリン酸(滑剤)0.3phrを用いてコーティングした。名目上の暑さは100μmであり、表面は平滑であったが、艶がなかった。
【0121】
片面にフォアピラ−ズエンタ−プライズ(Four Pillars Enterprise、台湾)からのプライマ−Y01(分析ではアクリレ−ト改変SBRゴムのトルエン溶液)を適用し、その上にフォアピラ−ズエンタ−プライズからの接着剤IV9(分析で決定できる主成分:トルエン中SBR及び天然ゴム、テルペン樹脂、及びアルキルフェノ−ル樹脂)を23g/m塗布した。乾燥機のすぐ下流で、フィルムを、25mmの間隔で鋭い刃を持つナイフバ−を有する自動複合物切断機でロールに切断した。
【0122】
105℃、3000時間後の破断伸長は、可塑剤の蒸発の結果として試料が小片に崩壊したため測定できなかった。85℃、3000時間後の破断伸長は150%であった。
(対照実施例2)
ヨ−ロッパ特許第1097976A1号の実施例4を再試行。
【0123】
次の原料を混練り機で混合した。キャタロイKS−021Pの80phr、エバフレクスP1905の20phr、マグシズN−3の100phr、ノバエクセルF−5の8phr、及びシ−スト3Hの2phr。
【0124】
予備実験において、4分間の混合時間の場合、コンパウンドのメルト指数は30%も増加した(これはホスファイト安定剤の不在のため或いは非常に低いメルト指数のポリプロピレンポリマ−による、より大きな機械的劣化のためである)。充填剤を予め乾燥し、換気装置を混練り機の上部に配置したが、混練り中ラインでは刺激性のホスフィン臭がした。
【0125】
続いて実施例7(すべて3つの押出し機に同一の化合物を供給)に記述した押出し機を用いて狭い口金から担体フィルムを製造し、冷却ロールを通して厚さ0.20mmのフィルムを得た。押出し機の回転速度はフィルムが2m/分の速度に達するまで減じた。予備実験において、ラインが過剰圧力(過度の粘度)のために停止したので実施例7のような30m/分の速度を達成することができなかった。更なる予備実験において、フィルムを10m/分で製造した。この場合、流れ方向及び横方向における機械的データは、コ−ティングの過程において流れ方向に20%収縮することで確認できるように、強い長さ方向への配向を示した。それゆえに更に低速で実験を繰り返した。これは技術的に無傷(シミの不在を含む)であったが、経済的に支持できないフィルムを与えた。
【0126】
コ−ティングは実施例3のように行い、接着剤を30g/mで適用した(この接着剤の組成は再試行した特許の実施例の接着剤と同様であった)。乾燥機のすぐ下流で、鋭い刃を持つナイフバ−によって幅25mmに分割し、同一の操作でロールに巻き取った。
【0127】
この自己接着巻き付けテープは顕著に柔軟性に欠けた。実施例5または6と比べて、対照実施例2の硬さは、それぞれ4030%または19000%高かった。公知のように、硬さは厚さと1%伸長における力(弾性モジュラスに比例)から容易に計算できる。それが含む赤燐のために、また比較的厚いために、試料は非常に良好な火災性能を示した(注:接着剤を有する厚さ0.2mmの試料でLOI値を測定した。一方上記特許の30%のLOI値は接着剤を有しない厚さ3mmの試験試料に由来する)。
(対照実施例2a)
対照実施例2に対する2kV/100μmの絶縁破壊電圧は、許容しうる柔軟性を可能にする厚さで適切な絶対絶縁破壊電圧を達成する絶縁テープとして使用するには低すぎる。この低破断伸長は、手による引裂き性に有利であっても、絶縁破壊電圧に悪影響する不均質性の証拠である。
【0128】
補充実験において、コンパウンドを激しく混合した。これによって絶縁破壊電圧は4kV/100μmまで改善されたが、同時に手による引裂き性が悪化し、破断伸長が570%へ増大した。
【0129】
ヨ−ロッパ特許第1097976A1号の実施例は、300%程度の破断伸長を示しているが、これは一般に貧弱な混合及びかくして低破断伸長と低絶縁破壊電圧を裏付ける。(対照実施例2b)
起こる技術的問題をかんがみて、カレンダ−法を用いる実施例1におけるような条件下の製造を試みた。低メルト指数はポリプロピレンポリマ−の場合カレンダ−法に対して問題はなかったが、その代わりにそれが事実ほとんど義務的な前提条件となるということが、予め偶然にも見出だされた。
【0130】
ヨ−ロッパ特許第1097976A1号の実施例4の処方は機械的性質に関して不適当であるから、実験1からの処方で試みた:キャタロイKS−353Pの80phr、エバフレックスP702の20phr、マグシズN−3の100phr、ノバエクセルF−5の8phr、及びシ−スト3Hの2phr。
【0131】
この混合物は、フィルム資料を作ることができないほどカレンダ−ロ−ルに粘着した。それゆえに最初にステアリン酸0.2phrを通常の滑剤として添加し、改善のないまま、ベロスタブUBZ639(ベルロヒャ−社の安定剤及び滑剤からなる通常のカレンダ−用添加剤パッケージ)5phrも添加したが、同様に加工問題を解決できなかった。
【0132】
この理由は、EEA及びEVAがクロム及びスチールに高い付着性を示すから多量のEEAポリマ−に原因があると見なされる。同業者が気付くように、この問題は多分充填剤の量的増加によって解決できるかもしれない。しかしながら、上記化合物から製造される厚さ0.2mmの圧縮成形物は硬すぎるように見えるから、高充填剤含量のフィルムは確かに十分な柔軟性の見込みがないであろう。
(対照実施例3)
WO第97/052061号の実施例Aを再試行した。
【0133】
コンパウンドの製造は記述されてない。それゆえに各成分を、長さ50cm及びL/D比1:10の実験室用2軸押出し機で混合した。エバテイン2805の9.59phr、アテインSL4100の8.3phr、エバテイン1005VN4の82.28phr、マ−チナル99200−08の74.3phr、イルガノクス1010の1.27phr、アメオTの0.71phr、ブラックマスタ−バッチ(MFI=50のポリエチレン60重量%及びファ−ネスシ−スト3H40重量%から製造)の3.75phr、ステアリン酸の0.6phr、及びルワクスAL3の0.60phr。
【0134】
このコンパウンドを粒状化し、乾燥し、実験室のラインでブローして、フィルムバブルを得、この両端を切開した。このフィルムを実施例1のようにコロナ予備処理後接着剤でコ−ティングすることを試みた。しかしながら、このフィルムは横及び機械方向で過度に収縮し、また過度な巻き解き力のために4週間後ロールを巻き解くことはほとんど可能でなかった。
【0135】
それゆえにこれに続いて、実施例6におけるように非極性のゴム接着剤でコーティングすることを試みたが、フィルムが溶媒に過敏であったから失敗に終わった。上記文献は接着剤でのコーティングを記述せず、目指せる接着性を記述しているにすぎないから、フィルムをシェア機により2つの回転ナイフ対間において切断し、幅25mmの細片とし、巻
き取った。
【0136】
この自己接着巻き付けテープは、良好な柔軟性と難燃性が特徴であった。しかしながら、手による引裂き性は不適当であった。特別な欠点は、低い耐熱歪性であり、老化試験を行った時接着テープが溶融してしまった。更にこの巻き付けテープは、脆化の結果としてケーブルの絶縁寿命がかなり短かった。またコンパウンドの不適当なメルト指数のため、高収縮傾向を示した。より高いメルト指数の原料を用いて、結果として収縮が非常に低下するという事実があっても、文献ではフィルムが低軟化点にもかかわらず熱固定が考察されていないから、問題は同様であった。この製品は有意な巻き解き力を示さないから、ワイヤ束に適用することはほとんど不可能であり、曇り数は73%であった(多分パラフィンワックスに原因)。
(対照実施例4)
ヨ−ロッパ特許第0953599A1号の実施例1を再試行。
コンパウンドの製造は実験室用単軸押出し機で記述されるように行った:ルポレクス18EFAの85phr、エスコレンUL00112の6phr、タフテクM−1943の9phr、マグニフィン1h5の63phr、ステアリン酸マグネシウムの1.5phr、ノバエクセルF5の11phr、カ−ボンブラックFEFの4phr、イルガノクス1010の0.2phr、及びチヌビン622LDの0.2phr。
【0137】
フィルムの製造は対照実施例3のように行った。
【0138】
しかしながら、フィルムは多数の充填剤のシミや小さな孔があり、実験中バブルは数回破けた。絶縁破壊電圧は0−3kV/100μmで広く変動した。それゆえに更なる均質化のために、粒状物を再び押出し機で溶融し、粒状化した。ここで得られたコンパウンドは少数のシミしか示さなかった。コ−ティングと固定は実施例1のように行った。
【0139】
赤燐の使用により、この自己接着巻き付けフィルムは、非常に良好な難燃性を示した。コノ製品は巻き解き力を有しないから、ワイヤ束に使用するのは実質的に不可能であった。また熱安定性は低融点のため不適当であった。
(対照実施例5)
アクロナルDS3458型のUVで架橋できるアクリレ−トホットメルト接着剤を、ノズルコ−ティングにより、マリワット(Maliwatt)ステッチ接合したニットウェッブ種(80g/m、22デニル、黒色、厚さ約0.3mm)の織物担体に50m/分で適用した。担体の温度負荷は冷却した逆圧ロールで減じた。適用量は約65g/mであった。ライン中において、巻き取り工程に先立って、それぞれ120W/cmの6つの中圧Hgランプを備えたUV装置での照射により適切な架橋を行った。このベ−ル(bale)をシェア機(次いで僅かに離れた一組の回転する刃間)で切断して、標準的な3インチのコア上にロールにした。
【0140】
この巻き付けテープは良好な接着、性及び異なるケーブル絶縁材料(PVC、PE、PP)及びフル−ト管と非常に良好な親和性を有した。しかしながら、性能の観点から見ると、高い厚さと手での引裂き性の欠如は非常に欠点となった。
(対照実施例6)
担体フィルムを製造するために、ポリマ−Aの100phr、マグニフィンH5GVの150phr、フラムルス101の10phr、イルガノクス1010の0.8phr、イルガノクスPS802の0.8phr及びイルガフォス168の0.3phrを先ず共回転する2軸押出し機で混練りした。マグニフィンは、領域1、3、及び5において1/3ずつ添加した。
【0141】
コンパウンドの溶融物を押し出し機の口金からロ−ルミルへ取り出し、そこから緊張機
を通して、コンベアベルトで「逆L型」のカレンダ−ニップに供給した。カレンダ−ロールにより、滑らかな表面を有するフィルムを幅1500mm及び厚さ0.08mm(80μm)で形成させ、熱固定ロールで後結晶化させた。このフィルムを1週間貯蔵し、平面配置性を改善するためにロールを含むコ−ティング装置上において60℃下に平らにし、コロナ処理後水性アクリレ−トPSAのプライマルPS83Dをコ−ティングナイフにより使用量24g/mで塗布した。この接着剤層をトンネル乾燥機により70℃で乾燥した。最終の巻き付けフィルムを巻き付けて、1インチ(25mm)のコア上に33mの巻き取り長さ(running length)を有するログロ−ルにした。このログロールを、非常には鋭角でない固定刃(ストレ−ト・ナイフ)を用いて幅29mmのロールに分割することによって切断した。続く実施例の場合にも同様に、分割切断には、本発明の記述において述べた理由から、自動装置を使用した。
【0142】
高い充填剤画分にもかかわらず、この自己接着性巻き付けフィルムは良好な柔軟性を示した。老化安定性及びPP及びPAケーブル及びポリアミドのフルート管との親和性は際立っていた。適用試験において不適切な手による引裂き性は、手による取扱において明白となった。
(対照実施例7)
WO第00/71634A1号の実施例1を再試行。
【0143】
次の混合物を混練り機で製造した:ESI DE200の80.8phr、アドフレクスKS359Pの19.2phr、炭酸カルシウムマスタ−バッチSH3の30.4phr、ペトロセンPM92049の4.9phr、酸化アンチモンTMSの8.8phr、及びDE83−Rの17.6phr。この化合物を実験室用キャストラインで平らなフィルムにし、コロナ予備処理し、JB720を20g/mで塗布し、3インチコアのログロ−ルに巻き、固定刃により(手動で進めて)切断した。
【0144】
この巻き付けテープはPVCに似た機械的性質、即ち高柔軟性と手による引裂き性を示した。欠点はブロム化難燃剤の使用である。更に95℃以上における耐熱歪性は低く、フィルムは老化及び親和性の試験中に溶融した。
【0145】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのポリプロピレンコポリマ−、
少なくとも1つの無機難燃剤、及び
ポリプロピレンコポリマ−と親和性のない少なくとも1つのポリマ−1−30phr、好ましくは5−15phr
を含んでなる、難燃性のハロゲンを含まない巻き付けフィルム。
【請求項2】
ポリプロピレンと親和性のないポリマ−が少なくとも25重量%の酸素を含む、請求項1の巻き付けフィルム。
【請求項3】
親和性のないポリマ−の溶解パラメーターσが少なくとも19J1/2/cm3/2である、請求項1または2の巻き付けフィルム。
【請求項4】
親和性のないポリマ−がポリ酢酸ビニルであり、またはポリエステルもしくはポリアミドを含む、請求項1から3の少なくとも1つの巻き付けフィルム。
【請求項5】
難燃性充填剤が70−200phr、好ましくは110−150phrで添加され、特に水酸化マグネシウムである、請求項1から4の少なくとも1つの巻き付けフィルム。
【請求項6】
接着剤の塗布された巻き付けフィルムの酸素指数(LOI)が少なくとも19%、好ましくは>21%、より好ましくは>23%であり、FMVSS302に従う火炎伝播速度が300mm/分未満、好ましくは<200mm/分、より好ましくは<70である、請求項1から5の少なくとも1つの巻き付けフィルム。
【請求項7】
巻き付けフィルムがポリプロピレンコポリマ−ばかりでなくEPM及びEPDMポリマ−種からのエチレン−プロピレンコポリマ−も含んでなる、請求項1から6の少なくとも1つの巻き付けフィルム。
【請求項8】
巻き付けフィルムがカ−ボンブラック、好ましくはpH6−8を有するカ−ボンブラックを少なくとも5phr、好ましくは少なくとも10phr含む、請求項1から7の少なくとも1つの巻き付けフィルム。
【請求項9】
ポリプロピレンコポリマ−が500MPa未満、好ましくは80MPa以下、より好ましくは30MPa以下の曲げモジュラス、及び/または120−166℃、好ましくは148℃まで、より好ましくは145℃までの結晶融点を有する、請求項1から8の少なくとも1つの巻き付けフィルム。
【請求項10】
巻き付けフィルムの厚さが50−150μm、特に55−100μmであり、そして1%伸長における流れ方向の力が1−4N/cm及び/または100%伸長における力が3−15N/cmである、請求項1から9の少なくとも1つの巻き付けフィルム。
【請求項11】
巻き付けフィルムが好ましくはポリイソプレン、エチレン−酢酸ビニルコポリマ−及び/またはポリアクリレ−トを主成分とする自己接着剤層を片面または両面、特に片面に有し且つ所望によりフィルムと接着剤層の間にプライマ−層を有し、そしてそれぞれの場合接着剤層の量が10−40g/m、好ましくは18−28g/mであり、またスチ−ルへの結合強度が1.5−3N/cmである、請求項1から10の少なくとも1つの巻き付けフィルム。
【請求項12】
巻き付けフィルムが共押出し、溶融コ−ティングまたは分散コ−ティングで付与される
無溶媒感圧接着剤、好ましくは感圧分散接着剤、特にポリアクリレ−トを主成分とするものを含んでなり、但しこの接着剤層が火炎またはコロナ予備処理によって或いは共押出しまたはコ−ティングで適用された接着促進層によって担体フィルムの表面に接している、請求項1から11の少なくとも1つの巻き付けフィルム。
【請求項13】
巻き付けフィルムが可塑剤を含まない、または可塑剤含量が曇り数が90%超であるように低量である、請求項1から12の少なくとも1つの巻き付けフィルム。
【請求項14】
換気パイプ或いはワイヤまたはケーブルを束ね、保護し、標識化し、絶縁しまたはシ−ルするために、また車のケーブルハ−ネスまたは受像管の磁場を被覆するために、請求項1から13の少なくとも1つの巻き付けフィルムを使用すること。

【公表番号】特表2007−508431(P2007−508431A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534739(P2006−534739)
【出願日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【国際出願番号】PCT/EP2004/052210
【国際公開番号】WO2005/037918
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(501237327)テサ・アクチエンゲゼルシヤフト (62)
【Fターム(参考)】