ポリベンゾオキサジン系化合物、これを含んだ電解質膜とその製造方法、及びこれを採用した燃料電池
【課題】酸トラップ能、機械的及び化学的安定性、高温でのリン酸保液能の向上したポリベンゾオキサジン系化合物、これを含んだ電解質膜、及びこれを採用した燃料電池を提供する。
【解決手段】一官能性第1ベンゾオキサジン系モノマー、多官能性第2ベンゾオキサジン系モノマーのうち選択された一つ、及び架橋性化合物の重合生成物であることを特徴とするポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体、これを含む電解質膜、及びその製造方法、該ポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体を含む電解質膜を具備した燃料電池を提供する。これにより、該ポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体は、ベンゾオキサジン系化合物の強い酸トラップ能を有し、架橋により機械的特性向上及びポリリン酸に対する溶解性質が除去されて化学的に非常に安定する。これを利用して製造された電解質膜は、高温でリン酸保液能にすぐれるだけではなく、機械的、化学的安定性が非常に改善される。
【解決手段】一官能性第1ベンゾオキサジン系モノマー、多官能性第2ベンゾオキサジン系モノマーのうち選択された一つ、及び架橋性化合物の重合生成物であることを特徴とするポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体、これを含む電解質膜、及びその製造方法、該ポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体を含む電解質膜を具備した燃料電池を提供する。これにより、該ポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体は、ベンゾオキサジン系化合物の強い酸トラップ能を有し、架橋により機械的特性向上及びポリリン酸に対する溶解性質が除去されて化学的に非常に安定する。これを利用して製造された電解質膜は、高温でリン酸保液能にすぐれるだけではなく、機械的、化学的安定性が非常に改善される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリベンゾオキサジン系化合物、これを含んだ電解質膜とその製造方法、及び前記電解質膜を採用した燃料電池に係り、さらに詳細には、新規のポリベンゾオキサジン系化合物と、これを含んだ高温無加湿用燃料電池の電解質膜、及びこれを採用した燃料電池とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電圧を印加することによってイオンが移動するイオン伝導体が知られている。このイオン伝導体は、電池や電気化学センサのような電気化学装置として広く利用されている。
【0003】
例えば、燃料電池においては、発電効率、システム効率、構成部材の長期耐久性の観点から、100〜300℃の作動温度で無加湿あるいは相対湿度50%以下の低加湿作動条件で良好なプロトン伝導性を長期安定的に示すプロトン伝導体が要求されている。
【0004】
従来の固体高分子型燃料電池の開発においては、前記要求を勘案して検討されてきたが、高フッ化カーボンスルホン酸膜を電解質膜として利用した固体高分子型燃料電池では、100〜300℃の作動温度で、相対湿度50%以下では、十分な発電性能を得られないという短所がある。
【0005】
また、従来、プロトン伝導性付与剤を含有させた電解質膜を使用した燃料電池、シリカ分散膜を使用した燃料電池、無機−有機複合膜を使用した燃料電池、リン酸ドープトグラフト膜を使用した燃料電池、またはイオン性液体複合膜を使用した燃料電池などがある。
【0006】
また、リン酸などの強酸をドーピングさせたポリベンズイミダゾール(PBI)からなる固体高分子電解質膜が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,525,436号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、前述の電解質膜は、リン酸ドーピングによってイオン伝導度は向上するが、電解質膜の機械的特性が劣化するという問題点がある。特に、リン酸のような強酸がドーピングされたPBIは、高温での機械的及び化学的安定性が欠如し、リン酸の保液能も低下してしまうという問題点がある。
【0009】
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的は、酸トラップ能、機械的及び化学的安定性、高温でのリン酸保液能の向上したポリベンゾオキサジン系化合物、これを利用した電解質膜、及びその製造方法を提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、前記電解質膜を採用することによって燃料の効率及び発電効率の向上した燃料電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の第1の観点によれば、下記化学式1で示される第1ベンゾオキサジン系モノマーと下記化学式2で示される第2ベンゾオキサジン系モノマーとのうちから選択された一つと、架橋性化合物との重合生成物であるポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体が提供される。
【0012】
【化1】
【0013】
前記式中、R1は、水素、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC4−C20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、ハロゲン原子、水酸基またはシアノ基であり、
R2は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC7−C20のアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環アルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、または置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環アルキル基である。
【0014】
【化2】
【0015】
前記式中、R2は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC7−C20のアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環アルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、または置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環アルキル基であり、
R3は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキレン基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニレン基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニレン基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリーレン基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリーレン基または−C(=O)−、−SO2−である。
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の第2の観点によれば、下記化学式1で示される第1ベンゾオキサジン系モノマーと下記化学式2で示される第2ベンゾオキサジン系モノマーとのうちから選択された一つの重合生成物であるポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体が提供される。
【0017】
【化3】
【0018】
前記式中、R1は、水素、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC4−C20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、ハロゲン原子、水酸基またはシアノ基であり、
R2は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC7−C20のアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環アルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、または置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環アルキル基である。
【0019】
【化4】
【0020】
前記式中、R2は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC7−C20のアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環アルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、または置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環アルキル基であり、
R3は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキレン基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニレン基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニレン基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリーレン基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリーレン基または−C(=O)−、−SO2−である。
【0021】
上記課題を解決するために、本発明の第3の観点によれば、前述のベンゾオキサジン系化合物の架橋体を含む電解質膜が提供される。
【0022】
上記課題を解決するために、本発明の第4の観点によれば、下記化学式1で示される第1ベンゾオキサジン系モノマーと下記化学式2で示される第2ベンゾオキサジン系モノマーとのうちから選択された一つと、架橋性化合物とを混合する段階と;前記混合された結果物を硬化し、これをプロトン伝導体に含浸して電解質膜を形成する段階と;を含み、下記化学式1で示される第1ベンゾオキサジン系モノマーと下記化学式2で表示される第2ベンゾオキサジン系モノマーとのうちから選択された一つ、及び架橋性化合物の重合生成物であるポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体を含む電解質膜を得るための電解質膜の製造方法が提供される。
【0023】
【化5】
【0024】
前記式中、R1は、水素、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC4−C20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、ハロゲン原子、水酸基またはシアノ基であり、
R2は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC7−C20のアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環アルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、または置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環アルキル基である。
【0025】
【化6】
【0026】
前記式中、R2は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC7−C20のアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環アルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、または置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環アルキル基であり、
R3は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキレン基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニレン基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニレン基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリーレン基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリーレン基または−C(=O)−、−SO2−である。
【0027】
上記課題を解決するために、本発明の第5の観点によれば、下記化学式1で表示される第1ベンゾオキサジン系モノマーと下記化学式2で表示される第2ベンゾオキサジン系モノマーとのうちから選択された一つ、及び架橋性化合物を混合する段階と;前記混合された結果物を用いて膜を形成し、当該膜を硬化してプロトン伝導体に含浸する段階と;を含み、下記化学式1で表示される第1ベンゾオキサジン系モノマーと下記化学式2で表示される第2ベンゾオキサジン系モノマーとのうちから選択された一つ、及び架橋性化合物の重合生成物であるポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体を含む電解質膜を得るための電解質膜の製造方法が提供される。
【0028】
【化7】
【0029】
前記式中、R1は、水素、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC4−C20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、ハロゲン原子、水酸基またはシアノ基であり、
R2は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC7−C20のアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環アルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、または置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環アルキル基である。
【0030】
【化8】
【0031】
前記式中、R2は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC7−C20のアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環アルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、または置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環アルキル基であり、
R3は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキレン基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニレン基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニレン基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリーレン基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリーレン基または−C(=O)−、−SO2−である。
【0032】
前記膜を形成する段階は、前記第1ベンゾオキサジン系モノマー及び第2ベンゾオキサジン系モノマーと、架橋性化合物との混合物をテープキャスティングして実施されるか、または、前記第1ベンゾオキサジン系モノマー及び第2ベンゾオキサジン系モノマーと、架橋性化合物との混合物を支持体上にキャスティングして実施され得る。
【0033】
本発明において、支持体上にキャスティングした場合には、支持体から硬化結果物を剥離して支持体を除去する段階をさらに含む。
【0034】
本発明において、前記プロトン伝導体は、リン酸、C1−C10のアルキルリン酸からなる群から選択された一つ以上であり、前記プロトン伝導体の含有量は、ポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体100質量部を基準として、100〜1,000質量部であることが好ましい。
【0035】
上記課題を解決するために、本発明の第6の観点によれば、前述のポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体を含む電解質膜を具備した燃料電池が提供される。
【発明の効果】
【0036】
本発明によるポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体は、ベンゾオキサジン系化合物の強い酸トラップ能を有し、架橋により機械的特性の向上及びポリリン酸に対する溶解性が除去されるため化学的に非常に安定する。これを利用して製造された電解質膜は、高温でリン酸保液能及び機械的、化学的安定性が非常に改善される。
【0037】
また、本発明のポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体は、他の重合開始剤や架橋剤を使用せずに、単純な熱を介した重合過程を経て得ることができ、別途の架橋剤をさらに必要としないために、工程上から見るとき、量産面で望ましい。また、前記架橋体合成時に使われる出発物質が非常に低廉であって製造コストがあまりかからないという利点がある。
【0038】
本発明のポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体からなる電解質膜は、高温無加湿用燃料電池に有用に使われうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0040】
本発明は、下記化学式1で表示される第1ベンゾオキサジン系モノマーと下記化学式2で表示される多官能性第2ベンゾオキサジン系モノマーとのうちから選択された一つを、架橋剤と重合して得たベンゾオキサジン系化合物の架橋体を利用して電解質膜を完成し、リン酸のようなプロトンキャリアを限界含浸量以上に付加した場合でも、機械的、化学的安定性にすぐれる電解質膜を得ることができる。
【0041】
【化9】
【0042】
前記式中、R1は、水素、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC4−C20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、ハロゲン原子、水酸基またはシアノ基であり、
R2は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC7−C20のアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環アルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、または置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環アルキル基である。
【0043】
【化10】
【0044】
前記式中、R2は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC7−C20のアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環アルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、または置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環アルキル基であり、
R3は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキレン基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニレン基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニレン基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリーレン基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリーレン基または−C(=O)−、−SO2−である。
【0045】
また、本発明は、前記化学式1で表示される第1ベンゾオキサジン系モノマーと前記化学式2で表示される多官能性第2ベンゾオキサジン系モノマーとのうちから選択された一つを重合して得たベンゾオキサジン系化合物の架橋体を利用して電解質膜を完成し、リン酸のようなプロトンキャリアを限界含浸量以上に付加した場合でも、機械的、化学的安定性にすぐれる電解質膜を得ることができる。
【0046】
前記化学式1で、R1は、三級ブチル基(tert−ブチル基)であることが望ましい。
【0047】
前記化学式1及び化学式2で、R2は、フェニル基、−CH2−CH=CH2、または下記化学式で表示される基のいずれかであることが望ましい。
【0048】
【化11】
【0049】
前記化学式2で、R3は、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−C(=O)−、−SO2−、−CH2−、−C(CCl3)−、−CH(CH3)−、−CH(CF3)−である場合には、ベンゾオキサジン環を2個含有する二官能性ベンゾオキサジン化合物であり、R3が下記構造式1(R2は、前記化学式1、化学式2で定義された通りである)で表示される基である場合には、ベンゾオキサジン環を3個含有する三官能性ベンゾオキサジン系化合物である。
【0050】
【化12】
【0051】
前記化学式1で表示される第1ベンゾオキサジン系モノマーの例として、下記化学式3〜12で表示される化合物を挙げることができる。
【0052】
【化13】
【0053】
【化14】
【0054】
【化15】
【0055】
【化16】
【0056】
【化17】
【0057】
【化18】
【0058】
【化19】
【0059】
【化20】
【0060】
【化21】
【0061】
【化22】
【0062】
前記化学式2で表示される第2ベンゾオキサジン系モノマーの具体的な例として、下記化学式13〜17で表示される化合物がある。
【0063】
【化23】
【0064】
【化24】
【0065】
【化25】
【0066】
【化26】
【0067】
【化27】
【0068】
前記式で、R2は、フェニル基、−CH2−CH=CH2、または下記化学式で表示される基のいずれかである。
【0069】
【化28】
【0070】
本発明で使われる架橋性化合物は、ベンゾオキサジン系モノマーと架橋結合を形成できる化合物ならば、いずれも使用可能である。
【0071】
前記架橋性化合物の非制限的な例として、ポリベンズイミダゾール(PBI)、ポリベンズチアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミド系のうち選択された一つ以上を挙げることができる。
【0072】
前述の化学式1で表示される第1ベンゾオキサジン系モノマーと化学式2で表示される第2ベンゾオキサジン系モノマーとのうちから選択された一つと、架橋性化合物との重合生成物であるポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体を合成する過程について述べれば、次の通りである。
【0073】
前記化学式1で表示される第1ベンゾオキサジン系モノマーと化学式2で表示される第2ベンゾオキサジン系モノマーとのうちから選択された一つと、架橋性化合物とを所定混合比で混合する。ここで、架橋性化合物の含有量は、第1ベンゾオキサジン系モノマーと第2ベンゾオキサジン系モノマーとのうちから選択された一つの重量100質量部を基準として、5〜95質量部であることが望ましい。
【0074】
もし架橋性化合物の含有量が5質量部未満であるならば、リン酸が含浸されずにプロトン伝導性が低下し、95質量部を超えれば、過剰なリン酸の存在下で架橋体がポリリン酸に溶解し、気体透過が発生するため望ましくない。
【0075】
次に、前記混合物の硬化反応を実施すれば、図1Aまたは図1Bに図示されているように、それらの相互架橋反応を介してポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体を得ることができる。これをさらに説明すれば、それらの相互架橋反応を介してポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体を得ることができる。すなわち、第1ベンゾオキサジン系モノマー及び第2ベンゾオキサジン系モノマー中から選択された一つは、熱的開環重合(thermal ring opening polymerization)を介したポリベンズイミダゾールのような架橋性化合物と重合(硬化)して高分子マトリックスを形成し、前記重合反応は、順次的な温度調節反応によって進められ、硬化反応のための温度で、少なくとも1時間以上の反応時間が確保されていれば網状構造を形成できる。
【0076】
図1Cまたは図1Dは、本発明の一実施形態による第1ベンゾオキサジン系モノマー及び第2ベンゾオキサジン系モノマーと、ポリベンズイミダゾールとの反応メカニズムを説明するための図面である。
【0077】
図1C及び図1Dを参照すると、第1ベンゾオキサジン系モノマー及び第2ベンゾオキサジン系モノマーは、熱によってオキサジン環が開きつつポリベンズイミダゾール(nは、100〜10、000の数である)のフェニル環のオルト位に結合しつつ、図面に示されているような成長方向に成長する相互架橋反応が起こる。
【0078】
前記硬化反応の温度は、第1ベンゾオキサジン系モノマー、第2ベンゾオキサジン系モノマー、架橋性化合物の種類によって可変的であるが、50〜250℃の範囲内で実施する。もし、硬化反応の温度が50℃未満であるならば、硬化反応自体が進まず、250℃の範囲を超えれば、副反応物質が得られるため望ましくない。
【0079】
前記硬化反応時間は、硬化反応温度に依存的であるが、前述の温度範囲で1時間以上、特に8〜20時間実施することが望ましい。
【0080】
前述の化学式1の第1ベンゾオキサジン系モノマー及び化学式2の第2ベンゾオキサジン系モノマーと、架橋性化合物との重合生成物であるポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体の化学的及び物理的特性について述べれば、次の通りである。
【0081】
本発明によって得たポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体は、有機溶媒、酸、塩基にも溶解しない熱硬化性特性がある。従って、既存の高分子の分子量についての情報を得る最も一般的な方法であるGPC(Gel Permeation Chromatography)では、分子量測定が不可能である。
【0082】
ベンゾオキサジン系モノマーが重合されて生成されるポリベンゾオキサジンの架橋体は、前述のように、熱硬化性(thermo setting)樹脂系列であるから、高分子化が進んでしまえば、いかなる溶液にも溶解しないだけではなく、ガラス転移温度のような高分子固有の温度特性も示されないために、熱硬化性樹脂として重合されてしまえば、一般的な方法では分析が不可能であると知られている。また、熱可塑性樹脂であっても、熱硬化性樹脂系と共重合体をなしてしまえば、全体的な高分子の特性が熱硬化性樹脂のそれと同じようになってしまうと予想されるために、本発明によるベンゾオキサジンとPBIとの共重合体形成を証明することは、一般的な分析方法では不可能である。
【0083】
従って、本発明では、ベンゾオキサジンとPBIとの共重合体形成を証明するために、次のような実験を介してベンゾオキサジン−PBI共重合体の形成を証明した。
【0084】
前述のように、熱硬化性樹脂の重合反応の最終生成物は、熱硬化性樹脂の特性上、溶解度問題によって分析が不可能であるために、重合反応の初期生成物を分析することにより、ベンゾオキサジンとPBIとの結合形成の有無を分析した。すなわち、ベンゾオキサジンとPBIとの結合形成の有無を判断するために、反応初期に、ベンゾオキサジンがきわめて一部分で結合し、全体的なPBIの高分子物性が大きく変化していない状態を分析することにより、ベンゾオキサジン−PBI共重合体の形成を証明した。
【0085】
図16は、反応物であるベンゾオキサジンモノマー(図16 A))及びPBI(図16 B))それぞれの核磁気共鳴(NMR)スペクトルを示し、図16 C)は、ベンゾオキサジンモノマーとPBIとを一定の割合で混ぜた後、100℃で約30分加熱して重合させた後で得たNMRスペクトルである。図面から容易に分かるように、溶媒によるピークを除外した各成分によるピークの現れる位置から、ベンゾオキサジンとPBIとの存在を容易に確認することができる。言い換えれば、図16 A)の(a)〜(d)で表示したベンゾオキサジンの水素に起因するピークは、PBIのNMRスペクトル(図16 B))で示されるものとは全く異なる位置で現れるので、混合状態でも、それらの存在を容易に確認することができる(図16 C))。
【0086】
特に注目すべきことは、図16 A)の(a)で表示したピークは、本発明の実施例で提示している代表的なベンゾオキサジンモノマー(t−BuPh−a)のフェニル基についている三級ブチル基(−C(CH3)3)によるものであり、9個の水素に該当する積分値を有するので、少量が存在しても相対的に容易に検出が可能である。従って、PBIとベンゾオキサジンとの結合の有無を判断する基準として、このピークに注目して分析に利用した。
【0087】
DOSY−NMR(Diffusion−Ordered NMR Spectroscopy)は、溶液中に溶解している成分の流体運動体積(hydrodynamic volume)(あるいは、拡散係数)の差により、各成分のスペクトルを区分することができるように、最近考案されたNMR測定技法である。特に、試料に対する特別な事前処理なしにも、溶液中に存在する混合物を区分することができるという長所のために、高分子混合物分析を容易にすることができるということが知られている(参考文献:B.Antalek,Concepts in Magnetic Resonance,14(4),225−258(2002);S.Viel,D.Capitani,L.Mannina,A.Segre,Biomacromolecules,4,1843−1847(2003);D.A.Jayawickrama,C.K.Larive,E.F.Macord,D.C.Roe,Magn.Reson.Chem.,36,755−760(1998);K.Nishinari,K.Kohyama,P.A.Williams,G.O.Phillips,W.Burchard,K.Ogino,Macromolecules,24,5590−5593(1991);C.M.Leon,V.Gorkom,T.M.Hancewicz,J.Magn.Reson.,130,125−130(1998);A.Chen,D.Wu,C.S.Johnson,Jr.,J.Am.Chem.Soc.117,7965−7970(1995)。
【0088】
本発明によるベンゾオキサジン−PBI共重合体の形成は、前記のDOSY−NMR法を利用して確認することができる。図17は、重合反応初期に得たベンゾオキサジンとPBIとの混合物のDOSY−NMRスペクトルである。DOSY−NMRの原理上、NMRスペクトルで同じサイズの分子や結合反応によって互いに連結された分子は、y軸上の同一線上に示される。従って、図17にはっきりと示されているように、(a)で表示した水、DMSO及びDMAcのような溶媒によるピークは、分子のサイズがはるかに小さいので、y軸上の約−9.0〜−9.2間に示され、(b)で表示された反応をまだ始めていないベンゾオキサジンのモノマーは、およそ−9.5〜−9.6間で同一線上(e)に示されている。すなわち、DOSY−NMR技法を介し、図16の一次元NMRで示されたスペクトル上のピークを分子の種類及びサイズ別に区分することができる。
【0089】
一方、(c)で表示されたPBIによるピークにより、ベンゾオキサジンのモノマーよりはるかに小さな約−10.6ほどに示されている。DOSY−NMRの原理により、y軸の値は、拡散係数と関係した値であり、サイズがさらに大きい分子であるほど、この値が負方向に大きくなる。従って、高分子であるPBIが単一分子である反応前のベンゾオキサジンより大きい負の値を有することは当然である。特に注目する点は、前述のベンゾオキサジンモノマーの三級ブチル基(星印表示)に該当するプロトンピークがPBIの同一線上(点線(d)で確認されるという点である。これは、本発明で提示する方法により、ベンゾオキサジンがPBIに直接結合して新種の共重合体を形成するということを証明する決定的な証拠である。
【0090】
DOSYスペクトルで得た結果を再確認するために、図17の(d)線上のDOSY−NMR条件で一次元NMRスペクトルを得て、それを一般的なNMR条件で得たスペクトルと比較して図18に表した。この条件では、PBIの分子より小さなサイズの分子によるピークは消えるために、図18 A)では、ベンゾオキサジンモノマーに該当するピークと溶媒分子によるピークは、見当たらない。それにもかかわらず、図18 A)では、(a)で表示したPBIに該当するピークと共に、前述の三級ブチル基に該当するピーク(星印表示)を、たとえ非常に小さなサイズであるとしても、明確に確認することができる。図18 B)と比較してみれば、図18 A)に示された三級ブチル基は、図18 B)でも確認することができるほどの量が反応初期にすでに生成されているということが分かるだけではなく、PBIとの反応により、0.2ppmほど上方にシフトしているということが分かる。このようなNMRスペクトル上の化学シフトは、化学反応が進むにつれて発生する典型的な現象であり、単にベンゾオキサジンモノマーがPBIの周辺に存在するとして起こるものではないという現象でもある。従って、このような一連のNMR結果を基に、本発明で提示する方法で、これまで全く知られていなかったベンゾオキサジンとPBIとの共重合であるポリベンゾオキサジン−コ−ポリベンズイミダゾール(PBOA−co−PBI)が作られるということが分かる。
【0091】
図9から図11は、本発明の一実施形態によるポリベンゾオキサジンモノマーの1H−NMRデータを表したものである。
【0092】
前述の重合生成物は、燃料電池の電解質膜として利用可能であり、このような電解質膜の製造過程について述べれば、次の通りである。本発明の電解質膜は、下記の二種の方法により製造可能であり、架橋性化合物としては、ポリベンズイミダゾールを例にして説明する。
【0093】
第一の方法によれば、前述の化学式1で表示される第1ベンゾオキサジン系モノマーと化学式2の第2ベンゾオキサジン系モノマーとのうちから選択された一つと、PBIのような架橋性化合物とを混合した後、それを50〜250℃、特に、80〜220℃の範囲で硬化反応を実施する。次に、これに酸のようなプロトン伝導体を含浸して電解質膜を形成する。
【0094】
第二の方法によれば、化学式1で表示される第1ベンゾオキサジン系モノマーと化学式2の第2ベンゾオキサジン系モノマーとのうちから選択された一つと、PBIのような架橋性化合物との混合物を利用して膜を形成する。
【0095】
前記膜を形成する方法としては、テープキャスティング法を利用することも可能であり、一般的なコーティング法を利用することも可能である。前記コーティング法の例としては、支持体上にドクターブレードを利用して前記混合物をキャスティングする方法を挙げることができる。ここで、ドクターブレードとしては、250−500μmギャップを有するものを使用する。
【0096】
もし、前記膜を形成する過程でドクターブレードを利用したキャスティング法を利用する場合には、硬化後に、酸を含浸する段階以前に支持体から電解質膜を分離し、支持体を除去する段階がさらに実施される。かように支持体を除去しようとする場合には、60〜80℃の蒸溜水に浸漬する過程を経る。
【0097】
前記支持体としては、電解質膜を支持する役割を果たすことができるものならば、いずれも使用可能であり、支持体の例として、ガラス基板、ポリイミドフィルムなどを使用する。テープキャスティング法を利用する場合には、テープキャスティングされた膜を硬化されたポリエチレンテレフタレートのような支持体から分離した後、硬化のためのオーブンに入れるので、支持体が不要となり、支持体を除去する段階が不要である。
【0098】
また、ベンゾオキサジン系モノマーとポリベンズイミダゾールとからなる混合物を利用し、膜をテープキャスティング法によって形成する場合、混合物を濾過する段階をさらに経ることができる。
【0099】
このように形成された膜を熱処理して硬化反応を実施した後、それを酸のようなプロトン伝導体に含浸して電解質膜を形成する。
【0100】
前記プロトン伝導体の非制限的な例としては、リン酸、C1−C10のアルキルリン酸などを使用する。前記C1−C10のアルキルリン酸の例として、エチルリン酸などがある。
【0101】
前記プロトン伝導体の含有量は、電解質膜の総質量100質量部対比で、300〜1,000質量部で使われる。本発明で使用する酸の濃度は、特別に制限されるものではないが、リン酸を使用する場合、85質量%のリン酸水溶液を使用し、リン酸含浸時間は、80℃で2.5時間〜14時間の範囲である。
【0102】
本発明において、前述の架橋性化合物なしに、化学式1で表示される第1ベンゾオキサジン系モノマーと化学式2の第2ベンゾオキサジン系モノマーとのうちから選択された一つの重合反応を介してポリベンゾオキサジン系モノマーの架橋体を利用した電解質膜の製造時、前述の製造過程で、PBIのような架橋性化合物だけを除いたことを除外しては、同じ反応条件によって形成することが可能である。
【0103】
前記電解質膜は、燃料電池の水素イオン伝導膜として使われうる。これを利用し、燃料電池用の電極−膜接合体を製造する過程について述べれば、次の通りである。本発明で使用する用語である「電極−膜接合体(MEA:Membrane and Electrode Assembly)」は、電解質膜を中心で、この両面に触媒層と拡散層とから構成された電極が積層されている構造を指す。
【0104】
本発明のMEAは、触媒層を具備している電極を、前記過程によって得た電解質膜の両面に位置させた後、高温と高圧とで接合して形成するか、または電気化学的の触媒反応の起こる触媒金属を高分子膜上にコーティングした後、ここに、燃料拡散層を接合して形成できる。
【0105】
このとき、前記接合のための加熱温度及び圧力は、電解質膜が軟化する温度まで加熱した状態で、0.1〜3ton/cm2、特に、約1ton/cm2の圧力で加圧して実行する。
【0106】
その後、前記MEAにそれぞれバイポーラプレートを装着して燃料電池を完成する。ここで、バイポーラプレートは、燃料供給用溝を有しており、集電体の機能を有している。
【0107】
前記MEAの製造時、触媒としては、Pt単独、またはAu、Pd、Rh、Ir、Ru、Sn、Mo、Co、Crからなる群から選択された一種以上の金属と、Ptとの合金、あるいは混合物を使用する。
【0108】
本発明の燃料電池は、特別にその用途が限定されるものではないが、望ましい一面によれば、高分子電解質膜(PEM)燃料電池として使われる。
【0109】
一方、本発明で使用する化学式1で表示される第1ベンゾオキサジン系モノマーの合成過程について述べれば、次の通りである。
【0110】
【化29】
【0111】
前記式中、R1及びR2は、前記化学式1で定義された通りである。
【0112】
前記反応式1で、R1は、三級ブチル基であり、前記R2は、フェニル基、−CH2−CH=CH2、または下記化学式で表示される基のいずれかでありうる。
【0113】
【化30】
【0114】
前記反応式1を参照し、フェノール化合物(A)とp−ホルムアルデヒドとアミン誘導体(B)とを混合した後、これを溶媒なしに加熱する工程を経るか、または溶媒を添加して還流し、これに対するワークアップ(work−up)工程を経て目的とする化学式1のベンゾオキサジン系モノマーを得ることができる。
【0115】
前記反応で溶媒が使われる場合、溶媒として、1,4−ジオキサン、クロロホルム、ジクロロメタン、トルエン、THFなどを使用する。そして、前記加熱温度は、使われた溶媒が還流されうる温度範囲に調節するが、望ましくは、50〜90℃の範囲、特に、約80℃になるように調節する。
【0116】
前記アミン誘導体(B)の具体的な例として、R2が下記化学式のいずれかで表示される化合物がある。
【0117】
【化31】
【0118】
また、化学式2で表示される第2ポリベンゾオキサジン系モノマーの合成過程について述べれば、次の通りである。
【0119】
【化32】
【0120】
前記式中、R2及びR3は、前記化学式2で定義された通りであり、特に、R3は、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−C(=O)−、−SO2−、−CH2−、−C(CCl3)−、−CH(CH3)−、−CH(CF3)−、または下記構造式1で示される連結基である。
【0121】
【化33】
【0122】
前記R2は、フェニル基、−CH2−CH=CH2、または下記化学式で表示される基のいずれかであることが望ましい。
【0123】
【化34】
【0124】
前記反応式2を参照し、フェノール化合物(A’)とp−ホルムアルデヒドとアミン誘導体(B)とを混合した後、これを溶媒なしに加熱する工程を経るか、または溶媒を付加して還流し、これに対するワークアップ工程を経て目的とするベンゾオキサジン系モノマーを得ることができる。
【0125】
前記反応で溶媒が使われる場合、溶媒として、1,4−ジオキサン、クロロホルム、ジクロロメタン、トルエン、THFなどを使用する。そして、前記加熱温度は、使われた溶媒が還流されうる温度範囲に調節するが、望ましくは、50〜90℃、特に、約80℃になるように調節する。
【0126】
前記アミン誘導体(B)の具体的な例は、前記第1ベンゾオキサジン系モノマーの合成が利用されたアミン誘導体と同一である。
【0127】
本発明の化学式1及び化学式2で使われる置換基の定義について述べれば、次の通りである。
【0128】
本発明の化学式で、前記非置換のC1−C20のアルキル基の具体的な例としては、メチル、エチル、プロピル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソアミル、ヘキシルなどを挙げることができ、前記アルキルのうち一つ以上の水素原子は、ハロゲン原子、ハロゲン原子に置換されたC1−C20のアルキル基(例:CCF3、CHCF2、CH2F、CCl3など)、水酸基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン、ヒドラゾン、カルボン酸基やその塩、スルホン酸基やその塩、リン酸やその塩、またはC1−C20のアルキル基、C2−C20のアルケニル基、C2−C20のアルキニル基、C1−C20のヘテロアルキル基、C6−C20のアリール基、C6−C20のアリールアルキル基、C6−C20のヘテロアリール基、またはC6−C20のヘテロアリールアルキル基に置換されうる。
【0129】
本発明の化学式で、前記非置換のC1−C20のアルケニル基の具体的な例としては、ビニレン、アリレンなどを挙げることができ、前記アルケニルのうち一つ以上の水素原子は、前述のアルキル基の場合と同じ置換基に置換されうる。
【0130】
本発明の化学式で、前記非置換のC1−C20のアルキニル基の具体的な例としては、アセチレンなどを挙げることができ、前記アルキニルのうち一つ以上の水素原子は、前述のアルキル基の場合と同じ置換基に置換されうる。
【0131】
本発明の化学式で、前記非置換のC1−C20のアルキレン基の具体的な例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、イソブチレン、sec−ブチレン、ペンチレン、イソアミレン、ヘキシレンなどを挙げることができ、前記アルキレンのうち一つ以上の水素原子は、前述のアルキル基の場合と同じ置換基に置換されうる。
【0132】
本発明の化学式で、前記非置換のC1−C20のアルケニレン基の具体的な例としては、アリル基などを挙げることができ、前記アルケニレンのうち一つ以上の水素原子は、前述のアルキル基の場合と同じ置換基に置換可能である。
【0133】
本発明の化学式で、前記非置換のC1−C20のアルキニレン基の具体的な例としては、アセチレン基などを挙げることができ、前記アルキニレンのうち一つ以上の水素原子は、前述のアルキル基の場合と同じ置換基に置換可能である。
【0134】
本発明で使われるアリール基は、単独または組み合わせて使われ、一つ以上の環を含むC6−C20の炭素環芳香族系を意味し、前記環は、ペンダント法で共に付着されるか、または融合されうる。アリールという用語は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチルのような芳香族ラジカルを含む。前記アリール基は、ハロアルキレン、ニトロ、シアノ、アルコキシ及び低級アルキルアミノのような置換基を有することができる。また、前記アリール基のうち一つ以上の水素原子は、前述のアルキル基の場合と同じ置換基に置換可能である。
【0135】
本発明で使われるアリーレン基は、単独または組み合わせて使われ、一つ以上の環を含むC6からC20の炭素環芳香族系を意味し、前記環は、ペンダント法で共に付着されるか、または融合されうる。アリーレンという用語は、フェニレン、ナフチレン、テトラヒドロナフチレンのような芳香族ラジカルを含む。前記アリーレン基は、ハロアルキレン、ニトロ、シアノ、アルコキシ及び低級アルキルアミノのような置換基を有することができる。また、前記アリール基のうち一つ以上の水素原子は、前述のアルキル基の場合と同じ置換基に置換可能である。
【0136】
本発明で使われるアリールアルキル基は、前記定義されたようなアリール基で、水素原子のうち一部が低級アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピルのようなラジカルに置換されたものを意味する。例えば、ベンジル、フェニルエチルなどがある。前記アリールアルキル基のうち一つ以上の水素原子は、前述のアルキル基の場合と同じ置換基に置換可能である。
【0137】
本発明で使われるヘテロアリール基は、N、O、PまたはSのうち選択された1個、2個または3個のヘテロ原子を含み、残りの環原子がCであるC1からC20の一価の単環または二環の芳香族二価有機化合物を意味する。前記ヘテロ原子のうち一つ以上の水素原子は、前述のアルキル基の場合と同じ置換基に置換可能である。
【0138】
本発明で使われるヘテロアリーレン基は、N、O、PまたはSのうちから選択された1個、2個または3個のヘテロ原子を含み、残りの環原子がCである炭素数1から20の一価単環または二環の芳香族二価有機化合物を意味する。前記ヘテロ原子のうち一つ以上の水素原子は、前述のアルキル基の場合と同じ置換基に置換可能である。
【0139】
本発明で使われるヘテロアリールアルキル基は、前記ヘテロアリール基の水素原子の一部がアルキル基に置換されたものを意味する。前記ヘテロアリールアルキル基のうち一つ以上の水素原子は、前述のアルキル基の場合と同じ置換基に置換可能である。
【0140】
本発明で使われる炭素環基は、シクロヘキシル基のように、C5からC10により構成された環基を指し、前記炭素環のうち一つ以上の水素原子は、前述のアルキル基の場合と同じ置換基に置換可能である。
【0141】
本発明で使われる炭素環アルキル基は、前記炭素環基の水素原子一部がアルキル基に置換されたものを意味する。前記炭素環アルキル基のうち一つ以上の水素原子は、前述のアルキル基の場合と同じ置換基に置換可能である。
【0142】
本発明で使われるヘテロ環基は、N、S、P、Oのようなヘテロ原子を含有しているC5からC10からなる環基を指し、このようなヘテロ環基のうち一つ以上の水素原子は、前述のアルキル基の場合と同じに置換可能である。
【0143】
本発明で使われるヘテロ環アルキル基は、前記ヘテロ炭素環基の水素原子一部がアルキル基に置換されたものを意味する。前記ヘテロ環アルキル基のうち一つ以上の水素原子は、前述のアルキル基の場合と同じ置換基に置換可能である。
【実施例】
【0144】
以下、本発明を下記実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明は下記実施例のみに限定されるものではない。
【0145】
(合成例1.化学式3のベンゾオキサジン系モノマーの製造)
フェノール1mol、p−ホルムアルデヒド2.2mol及びアニリン1.1molを混合し、これを110℃で1時間撹拌して粗生成物を得た。
【0146】
前記粗生成物を1N NaOH水溶液で2回、蒸溜水で1回洗浄する過程を順次に実施した後、これを硫酸マグネシウムを利用して乾燥させた。次に、前記結果物を濾過してから溶媒を除去して真空乾燥し、化学式3のベンゾオキサジン系モノマーを収得した(収率=95%)。
【0147】
(合成例2.化学式4のポリベンゾオキサジン系モノマーの製造)
三級ブチルフェノール1mol、p−ホルムアルデヒド2.2mol及びアニリン1.1molを混合し、これを110℃で1時間溶媒なしに撹拌し,粗生成物を得た。
【0148】
前記粗生成物を1N NaOH水溶液で2回、蒸溜水で1回洗浄する過程を順次に実施した後、これを硫酸マグネシウムを利用して乾燥させた。次に、前記結果物を濾過してから溶媒を除去して真空乾燥し、化学式4のベンゾオキサジン系モノマーを95%の収率で収得した。
【0149】
(合成例3.化学式5のポリベンゾオキサジン系モノマーの製造)
三級ブチルフェノール1mol、p−ホルムアルデヒド2.2mol及び3−アミノプロピルイミダゾール1.1molを混合し、これを110℃で1時間溶媒なしに溶融(melt)状態で撹拌して粗生成物を得た。
【0150】
前記粗生成物を1N NaOH水溶液で2回、蒸溜水で1回洗浄する過程を順次に実施した後、これを硫酸マグネシウムを利用して乾燥させた。次に、前記結果物を濾過してから溶媒を除去して真空乾燥し、化学式5のベンゾオキサジン系モノマーを95%の収率で収得した。
【0151】
(合成例4.化学式13のベンゾオキサジン系モノマー(R2=アニリンである場合)の製造)
ビスフェノールA(BP)1mol、p−ホルムアルデヒド4.4mol及びアニリン2.2molを混合し、これを110℃で1時間撹拌して粗生成物を得た。
【0152】
前記粗生成物を1N NaOH水溶液で2回、蒸溜水で1回洗浄する過程を順次に実施した後、これを硫酸マグネシウムを利用して乾燥させた。次に、前記結果物を濾過してから溶媒を除去して真空乾燥し、化学式13のベンゾオキサジン系モノマー(R2=アニリンである場合)を収得した(収率=95%)。
【0153】
(合成例5.化学式14のポリベンゾオキサジン系モノマー(R2=アニリンである場合)の製造)
4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフェノール(4,4’−HFIDPH)1mol、p−ホルムアルデヒド4.4mol及びアニリン2.2molを混合し、これを110℃で1時間溶媒なしに撹拌して粗生成物を得た。
【0154】
前記粗生成物を1N NaOH水溶液で2回、蒸溜水で1回洗浄する過程を順次に実施した後、これを硫酸マグネシウムを利用して乾燥させた。次に、前記結果物を濾過してから溶媒を除去して真空乾燥し、化学式14のベンゾオキサジン系モノマーを96%の収率で収得した。
【0155】
(合成例6.化学式15のポリベンゾオキサジン系モノマー(R2=(3−アミノプロピルイミダゾール)の場合)の製造)
4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン1mol、p−ホルムアルデヒド2.2mol及び3−アミノプロピルイミダゾール1.1molを混合し、これを110℃で1時間溶媒なしに溶融状態で撹拌して粗生成物を得た。
【0156】
前記粗生成物を1N NaOH水溶液で2回、蒸溜水で1回洗浄する過程を順次に実施した後、これを硫酸マグネシウムを利用して乾燥させた。次に、前記結果物を濾過してから溶媒を除去して真空乾燥し、化学式15のベンゾオキサジン系モノマーを80%の収率で収得した。
【0157】
(合成例7.化学式16のポリベンゾオキサジン系モノマー(R2=3−アミノベンズイミダゾールである場合)の製造)
ビスフェノールS(BS)1mol、p−ホルムアルデヒド4.4mol及び1−(3−アミノプロピル)イミダゾール2.2molを混合し、これを110℃で1時間溶媒なしに溶融状態で撹拌して粗生成物を得た。
【0158】
前記粗生成物を1N NaOH水溶液で2回、蒸溜水で1回洗浄する過程を順次に実施した後、これを硫酸マグネシウムを利用して乾燥させた。次に、前記結果物を濾過してから溶媒を除去して真空乾燥し、化学式16のベンゾオキサジン系モノマーを98%の収率で収得した。
【0159】
(合成例8.化学式17のポリベンゾオキサジン系モノマー(R2=アリルアミンである場合)の製造)
1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(THPE)1mol、p−ホルムアルデヒド6.6mol及びアリルアミン3.3molを混合し、これを110℃で1時間溶媒なしに溶融状態で撹拌して粗生成物を得た。
【0160】
前記粗生成物を1N NaOH水溶液で2回、蒸溜水で1回洗浄する過程を順次に実施した後、これを硫酸マグネシウムを利用して乾燥させた。次に、前記結果物を濾過してから溶媒を除去して真空乾燥し、化学式17のベンゾオキサジン系モノマーを95%の収率で収得した。
【0161】
(実施例1:電解質膜及びこれを利用した燃料電池の製造)
前記合成例1によって得た化学式3のベンゾオキサジン系モノマー65質量部とPBI35質量部とを混合した後、これを20℃/hrの昇温速度で220℃まで加熱した後、この温度で硬化反応を実施し、ポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体を合成した。
【0162】
前記ポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体を85質量%のリン酸に80℃で2時間30分ほど含浸して電解質膜を形成した。ここで、リン酸の含有量は、電解質膜総質量100質量部に対して約500質量部であった。
【0163】
前記電解質膜の両面に電極を積層してMEAを製造した。前記電極は、下記3種を使用した。
【0164】
第一に、カソード及びアノードとして下記過程によって得た第1電極を使用した。
【0165】
第1電極は、Pt、PBI及びPVDFを混合して触媒層形成用のスラリーを製作してこれを微細多孔層のコーティングされたカーボンペーパー上にバーコーターでコーティングして製作した。完成された電極のPtローディング量は1.0〜2.0mg/cm2値を有する。第1電極は、リン酸含浸なしにそのまま使用する。本発明でPBI電極とは、第1電極を意味する。
【0166】
第二に、カソード及びアノードとして、E−TEK社のリン酸型燃料電池用電極を使用した。前記電極は、Ptローディング量は、2.0mg/cm2値を有し、電極総質量100質量部対比で110質量部のリン酸を110℃、真空で1時間110℃、常圧で10時間含浸させた後で使用する。
【0167】
第三に、アノードとして前述の第1電極を使用し、カソードとして下記過程によって得た第2電極を使用した。
【0168】
第2電極は、Pt−Co合金とPVDFとを混合して触媒層形成用スラリーを製作し、これを微細多孔層のコーティングされたカーボンペーパー上にドクターブレードでコーティングして製作した。完成された電極のPt−Co合金のローディング量は、2.2〜3.5mg/cm2値を有する。第2電極は、リン酸含浸なしにそのまま使用する。
【0169】
(実施例2:電解質膜及びこれを利用した燃料電池の製造)
化学式3のベンゾオキサジン系モノマーの代わりに、合成例2によって得た化学式4のベンゾオキサジン系モノマーを使用したことを除いては、実施例1と同じ方法によって実施し、電解質膜及びこれを採用した燃料電池を製造した。
【0170】
(実施例3:電解質膜及びこれを利用した燃料電池の製造)
化学式3のベンゾオキサジン系モノマーの代わりに、合成例3によって得た化学式5のベンゾオキサジン系モノマーを使用したことを除いては、実施例1と同じ方法によって実施し、電解質膜及びこれを採用した燃料電池を製造した。
【0171】
(実施例4:電解質膜及びこれを利用した燃料電池の製造)
前記合成例4によって得た化学式13のベンゾオキサジン系モノマー65質量部とPBI 35質量部とを混合した後、これを20℃/hrの昇温速度で220℃まで加熱した後、この温度で硬化反応を実施し、ポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体を合成した。
【0172】
前記ポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体を85質量%リン酸に80℃で2時間30分ほど含浸し、電解質膜を形成した。ここで、リン酸の含有量は、電解質膜総質量100質量部に対して約500質量部であった。
【0173】
前記電極は、下記三種を使用した。
【0174】
第一に、カソード及びアノードとして、下記過程によって得た第1電極を使用した。
【0175】
第1電極は、Pt、PBI及びPVDFを混合して触媒層形成用スラリーを製作し、これを微細多孔層のコーティングされたカーボンペーパー上にバーコーターでコーティングして製作した。完成された電極のPtローディング量は、1.0〜2.0mg/cm2値を有する。第1電極は、リン酸含浸なしにそのまま使用する。本発明でPBI電極とは、第1電極を意味する。
【0176】
第二に、カソード及びアノードとして、E−TEK社のリン酸型燃料電池用電極を使用した。前記電極は、Ptローディング量は2.0mg/cm2値を有し、電極総質量100質量部対比で110質量部のリン酸を110℃、真空で1時間110℃、常圧で10時間含浸させた後で使用した。
【0177】
第三に、アノードとして前述の第1電極を使用し、カソードとして下記過程によって得た第2電極を使用した。
【0178】
第2電極は、Pt−Co合金とPVDFとを混合して触媒層形成用スラリーを製作し、これを微細多孔層のコーティングされたカーボンペーパー上にドクターブレードでコーティングして製作した。完成された電極のPt−Co合金のローディング量は、2.2〜3.5mg/cm2値を有する。第2電極は、リン酸含浸なしにそのまま使用する。
【0179】
(実施例5:電解質膜及びこれを利用した燃料電池の製造)
化学式13のベンゾオキサジン系モノマーの代わりに、化学式14のベンゾオキサジン系モノマーを使用したことを除いては、実施例4と同じ方法によって実施し、電解質膜及びこれを採用した燃料電池を製造した。
【0180】
(実施例6:電解質膜及びこれを利用した燃料電池の製造)
化学式13のベンゾオキサジン系モノマーの代わりに、化学式15のベンゾオキサジン系モノマーを使用したことを除いては、実施例4と同じ方法によって実施し、電解質膜及びこれを採用した燃料電池を製造した。
【0181】
(実施例7:電解質膜及びこれを利用した燃料電池の製造)
化学式13のベンゾオキサジン系モノマーの代わりに、化学式16のベンゾオキサジン系モノマーを使用したことを除いては、実施例4と同じ方法によって実施し、電解質膜及びこれを採用した燃料電池を製造した。
【0182】
(実施例8:電解質膜及びこれを利用した燃料電池の製造)
化学式13のベンゾオキサジン系モノマーの代わりに、化学式17のベンゾオキサジン系モノマーを使用したことを除いては、実施例4と同じ方法によって実施し、電解質膜及びこれを採用した燃料電池を製造した。
【0183】
(比較例1)
PBI(CELAZOLE(商品名)、Celanese Corp.)を使用してPBI膜を作り、85質量%リン酸に常温で4時間含浸させ、リン酸が含浸されたPBI電解質膜を形成した。
【0184】
前記実施例1で製造された一対の第1電極間にリン酸が含浸されたPBI膜を導入してMEAを製作した。
【0185】
(比較例2)
PBI(CELAZOLE(商品名)、Celanese Corp.)を使用してPBI膜を作り、85質量%リン酸に常温で4時間含浸させ、リン酸が含浸されたPBI電解質膜を形成した。
【0186】
前記実施例1に記載された一対のE−TEK社のリン酸型燃料電池用電極間にリン酸が含浸されたPBI膜を導入し、MEAを製作した。
【0187】
前記過程によって得た電解質膜の高温安定性は、高温での時間によるイオン伝導度変化を測定して評価し、イオン伝導度の測定方法は、次の通りである。
【0188】
1Hz〜1MHz周波数範囲で10mV(vs.O.C.V)電圧バイアスを印加した状態で抵抗を測定し、電極は、主にステンレススチール金属を使用し、Ptを電極として使用して再現性を評価する。
【0189】
前記実施例1から3(ステンレススチール金属電極を使用)の電解質膜のイオン伝導度の評価結果をそれぞれ図2から図4に表した。
【0190】
図2から4を参照すれば、ベンゾオキサジン系化合物を15〜85質量部の範囲で使用し、PBIを変化させつつ添加した後、実施例1のようなプロセスで製造された架橋高分子は、純粋PBIに比べて高いプロトン伝導特性を示した。ベンゾオキサジン系化合物の含有量が85質量部である場合に得られたポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体が最も高いプロトン伝導度を有し、PBI−H3PO4電解質膜対比で最高10倍以上のプロトン伝導度向上を示した。機械強度及び伝導度の側面で、前記ポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体の最適組成は、ベンゾオキサジン系化合物の含有量が65質量部、PBIが35質量部で使用した場合であった。
【0191】
参考までに、図2でSYRI PBIは、ベンゾオキサジン系化合物の添加されていない純粋なPBIを意味し、15PBXZN−85PBIは、15質量部のベンゾオキサジン系モノマーと85質量部のPBIとを利用して作った高分子電解質についてのものであり、75PBXZN−25PBIは、75質量部のベンゾオキサジン系モノマーと25質量部のPBIとを利用して作った高分子電解質についてのものである。図2は、ベンゾオキサジン系化合物としてフェノールアニリンを使用したものについてのものであり、図3は、三級ブチルフェノールアニリン、図4は、三級ブチルフェノールアミノ−イミダゾールをベンゾオキサジンモノマーとして使用したものについてのものである。
【0192】
一方、前記実施例2から4(一対の第1電極及び一対のE−TEK社のリン酸型燃料電池の電極を使用する)及び比較例1、2によって製造された燃料電池の性能は、初期特性を評価した後、0.2A/cm2で16時間エイジングした後、再測定して評価した。ここで、性能を電流密度による電圧変化を調べて評価し、電流−電圧特性評価中の抵抗変化は、1kHzで交流抵抗を測定して評価した。燃料電池の性能評価は、水素燃料及び空気を加湿しないまま電池温度を150℃で維持して実施した。PBI電極を使用した場合と、実施例4のように空気極にPtCo触媒を採用した場合とでは、水素流量を100ccm(cm3/min)、空気流量を200ccm固定した後で電流−電圧特性を評価した。E−TEK社の電極を使用した場合、水素流量は100ccm、空気流量は300ccmに固定して電流−電圧特性を評価した。
【0193】
前記実施例1(一対の第1電極及び一対のE−TEK社のリン酸型燃料電池の電極を使用する)及び比較例1、2によって製造された燃料電池の性能評価結果は、それぞれ図5から図7に示された通りである。
【0194】
図5から図7から、ベンゾオキサジン系化合物として三級ブチルフェノールアニリンを利用して得た高分子電解質は、PBI−H3PO4システムに比べて優秀なMEA性能を示す。三級ブチルフェノールアミノ−イミダゾールを基本とする架橋高分子電解質は、PBI−リン酸システムと同等なレベルのMEA性能を表した。ポリリン酸(105質量部のリン酸)を含浸させたE−TEK電極を使用してMEAを評価した場合には、ベンゾオキサジン系化合物として三級ブチルフェノールアニリン及び三級ブチルフェノールアミノ−イミダゾールを利用して得た高分子電解質いずれでも電流−電圧性能の向上を示した。PBI−リン酸MEAの性能低下は、電極側のポリリン酸がPBIを溶かして気体透過現象を発生させるためである。E−TEK電極は、撥水性処理がなされており、リン酸の電極側への移動を防ぎ、余剰のリン酸が電解質膜に存在するようになる。温度が上昇しつつ、余剰のリン酸がポリリン酸に変わりつつ、PBI膜を溶解する。
【0195】
前記ポリリン酸含有E−TEK電極を適用すれば、電解質膜の化学的安定性を評価でき、ポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体からなる高分子電解質膜は、ポリリン酸に対してすぐれた化学安定性を有していることが分かった。
【0196】
図5及び図6で、Reference(PBI電解質膜/PBI電極)は、比較例1で製造されたPBI電極、及びPBI−リン酸電解質膜を採用したMEAの場合についてのものであり、Reference(PBI電解質膜/E−TEK電極)は、比較例2でのように製作されたMEAについてのものをそれぞれ示す。図5で、t−BuPh−a/PBI電極(除膜プロセス#1)は、実施例2についてのものを表し、図6で、t−BuPh−AIMDZ/PBI電極(除膜プロセス#1)は、実施例3についてのものを示す。
【0197】
また、図7で、Reference(PBI電解質膜/E−TEK電極)は、比較例2で製作されたMEAの場合についてのものを表し、t−BuPh−AIMDZ/E−TEK電極(除膜プロセス#2)は、実施例3で製造された高分子電解質と、水素極及び空気極の電極としてPtローディング量2mg/cm2のE−TEK社のリン酸型燃料電池用電極とを採用したMEAについてのものを表し、t−BuPh−a/E−TEK電極(除膜プロセス#2)は、実施例2で製作された架橋高分子電解質と、水素極及び空気極の電極としてPtローディング量2mg/cm2のE−TEK社のリン酸型燃料電池用電極とを採用したMEAについてのものを示す。
【0198】
図8は、前記実施例4の燃料電池において、経時的なセル性能変化を表したものである。
【0199】
これを参照すれば、空気極にPt−Co触媒を導入することにより、150mV以上の性能を向上させることができ、開放回路電位(open circuit potential)が3日間持続的に増加した後で安定するということが分かる。すなわち、150時間以上、気体透過による電位低下は観察されていない。このような結果から、ポリベンゾオキサジンを採用した架橋高分子が化学的に非常に安定しているということが分かった。高温無加湿条件で0.3A/cm2で0.7Vと非常に高い性能を得ることができた。
【0200】
前記実施例4から実施例8(ステンレススチールの金属電極を使用)の電解質膜のイオン伝導度の評価結果をそれぞれ図10に表した。
【0201】
図12から、ポリベンゾオキサジン化合物架橋体からなる電解質膜の場合、ポリベンズイミダゾール電解質膜に比べて高いプロトン伝導度を有していることということが分かった。
【0202】
参考までに、図12で、□BP−aは、ビスフェノールA−アニリンの場合についてのものであり、○4,4−HFIDPH−aは、4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフェノールの場合についてのものであり、△4,4O−aは、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン−アニリンの場合についてのものであり、◇4,4O−aaは、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン−アリルアミンの場合についてのものであり、●BS−aaは、ビスフェノールS−アリルアミンの場合についてのものであり、■BP−aaは、ビスフェノールA−アリルアミンの場合についてのものであり、●4,4−HFIDPH−aaは、4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフェノール−アリルアミンの場合についてのものであり、▲4,4O−AIMDZは、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン−1−(3−アミノプロピル)イミダゾールの場合についてのものであり、◆BS−AIMDZは、ビスフェノールS−1−(3−アミノプロピル)イミダゾールの場合についてのものであり、■THPE−aは、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン−アニリンの場合についてのものである。
【0203】
一方、前記実施例5から8及び比較例1、2によって製造された燃料電池の性能は、初期特性を評価した後、0.3A/cm2で16時間エイジングした後、再測定して評価した。ここで、性能を電流密度による電圧変化を調べて評価し、電流−電圧特性評価中の抵抗変化は、1kHzで交流抵抗を測定して評価した。燃料電池の性能評価は、水素燃料及び空気を加湿しないまま電池温度を150℃で維持して実施した。PBI電極を使用したり、または空気極にPtCo触媒を採用した場合には、水素流量を100ccm(cm3/min)、空気流量を200ccmに固定した後で電流−電圧特性を評価した。
【0204】
前記実施例5から8及び比較例1、2によって製造された燃料電池の性能評価の結果を調べ、その結果は、図13から図15に示されている。
【0205】
図13と図14は、44HFIDPh−aと44HFIDPh−aaBOAのモノマーの標準電極(PBI電極)を使用したとき、PBIとの性能を比較したものであり、referenceに定めたPBIに対し、少なくとも同等ないしは多少優秀なセル性能を示し、図15は、44HFIDPh−aをモノマーとしてPBIと架橋混合物を形成したとき、特に、空気極にPtCoを電極に使用したとき、エイジング効果によるセル性能の向上を示したグラフである。
【0206】
図13から図15を参照し、実施例5の燃料電池は、比較例1、2の場合と比較して燃料電池の性能が優秀であるということが分かった。
【0207】
前記実施例5によって製造された燃料電池の性能評価結果を調べた結果、実施例5の燃料電池は、0.3A/cm2で作動電圧0.67Vの非常にすぐれた性能と、330時間いかなる電圧の降下もない卓越した耐久性とを示しているということが分かる。
【0208】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0209】
本発明のポリベンゾオキサジン系化合物、これを含んだ電解質膜、及びこれを採用した燃料電池は、例えば、燃料電池関連の技術分野に効果的に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0210】
【図1A】本発明の一実施例による、ベンゾオキサジン系モノマーとポリベンズイミダゾールとの硬化反応を説明するための図面である。
【図1B】本発明の一実施例による、ベンゾオキサジン系モノマーとポリベンズイミダゾールとの硬化反応を説明するための図面である。
【図1C】本発明の他の一実施例による、ベンゾオキサジン系モノマーとポリベンズイミダゾールとの反応メカニズムを説明するための図面である。
【図1D】本発明の他の一実施例による、ベンゾオキサジン系モノマーとポリベンズイミダゾールとの反応メカニズムを説明するための図面である。
【図2】本発明の一実施例による電解質膜のイオン伝導度特性を表した図面である。
【図3】本発明の一実施例による電解質膜のイオン伝導度特性を表した図面である。
【図4】本発明の一実施例による電解質膜のイオン伝導度特性を表した図面である。
【図5】本発明の一実施例による燃料電池のセル性能を表した図面である。
【図6】本発明の一実施例による燃料電池のセル性能を表した図面である。
【図7】本発明の一実施例による燃料電池のセル性能を表した図面である。
【図8】発明の一実施例による燃料電池において、経時的なセル性能変化を表した図面である。
【図9】本発明のポリベンゾオキサジンモノマーの1H−NMRデータを示す図面である。
【図10】本発明のポリベンゾオキサジンモノマーの1H−NMRデータを示す図面である。
【図11】本発明のポリベンゾオキサジンモノマーの1H−NMRデータを示す図面である。
【図12】本発明の一実施例による電解質膜のイオン伝導度特性を表した図面である。
【図13】本発明の一実施例による燃料電池のセル性能を表した図面である。
【図14】本発明の一実施例による燃料電池のセル性能を表した図面である。
【図15】本発明の一実施例による燃料電池のセル性能を表した図面である。
【図16】ベンゾオキサジンモノマー、ポリベンズイミダゾール(PBI)、そして本発明によるベンゾオキサジン系化合物の架橋体に対するNMRスペクトル資料である。
【図17】ベンゾオキサジンとポリベンズイミダゾール(PBI)との混合物のDOSY−NMRスペクトルである。
【図18】ベンゾオキサジン−PBIの熱処理混合物のNMRスペクトルを表したものである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリベンゾオキサジン系化合物、これを含んだ電解質膜とその製造方法、及び前記電解質膜を採用した燃料電池に係り、さらに詳細には、新規のポリベンゾオキサジン系化合物と、これを含んだ高温無加湿用燃料電池の電解質膜、及びこれを採用した燃料電池とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電圧を印加することによってイオンが移動するイオン伝導体が知られている。このイオン伝導体は、電池や電気化学センサのような電気化学装置として広く利用されている。
【0003】
例えば、燃料電池においては、発電効率、システム効率、構成部材の長期耐久性の観点から、100〜300℃の作動温度で無加湿あるいは相対湿度50%以下の低加湿作動条件で良好なプロトン伝導性を長期安定的に示すプロトン伝導体が要求されている。
【0004】
従来の固体高分子型燃料電池の開発においては、前記要求を勘案して検討されてきたが、高フッ化カーボンスルホン酸膜を電解質膜として利用した固体高分子型燃料電池では、100〜300℃の作動温度で、相対湿度50%以下では、十分な発電性能を得られないという短所がある。
【0005】
また、従来、プロトン伝導性付与剤を含有させた電解質膜を使用した燃料電池、シリカ分散膜を使用した燃料電池、無機−有機複合膜を使用した燃料電池、リン酸ドープトグラフト膜を使用した燃料電池、またはイオン性液体複合膜を使用した燃料電池などがある。
【0006】
また、リン酸などの強酸をドーピングさせたポリベンズイミダゾール(PBI)からなる固体高分子電解質膜が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,525,436号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、前述の電解質膜は、リン酸ドーピングによってイオン伝導度は向上するが、電解質膜の機械的特性が劣化するという問題点がある。特に、リン酸のような強酸がドーピングされたPBIは、高温での機械的及び化学的安定性が欠如し、リン酸の保液能も低下してしまうという問題点がある。
【0009】
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的は、酸トラップ能、機械的及び化学的安定性、高温でのリン酸保液能の向上したポリベンゾオキサジン系化合物、これを利用した電解質膜、及びその製造方法を提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、前記電解質膜を採用することによって燃料の効率及び発電効率の向上した燃料電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の第1の観点によれば、下記化学式1で示される第1ベンゾオキサジン系モノマーと下記化学式2で示される第2ベンゾオキサジン系モノマーとのうちから選択された一つと、架橋性化合物との重合生成物であるポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体が提供される。
【0012】
【化1】
【0013】
前記式中、R1は、水素、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC4−C20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、ハロゲン原子、水酸基またはシアノ基であり、
R2は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC7−C20のアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環アルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、または置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環アルキル基である。
【0014】
【化2】
【0015】
前記式中、R2は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC7−C20のアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環アルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、または置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環アルキル基であり、
R3は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキレン基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニレン基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニレン基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリーレン基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリーレン基または−C(=O)−、−SO2−である。
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の第2の観点によれば、下記化学式1で示される第1ベンゾオキサジン系モノマーと下記化学式2で示される第2ベンゾオキサジン系モノマーとのうちから選択された一つの重合生成物であるポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体が提供される。
【0017】
【化3】
【0018】
前記式中、R1は、水素、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC4−C20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、ハロゲン原子、水酸基またはシアノ基であり、
R2は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC7−C20のアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環アルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、または置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環アルキル基である。
【0019】
【化4】
【0020】
前記式中、R2は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC7−C20のアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環アルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、または置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環アルキル基であり、
R3は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキレン基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニレン基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニレン基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリーレン基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリーレン基または−C(=O)−、−SO2−である。
【0021】
上記課題を解決するために、本発明の第3の観点によれば、前述のベンゾオキサジン系化合物の架橋体を含む電解質膜が提供される。
【0022】
上記課題を解決するために、本発明の第4の観点によれば、下記化学式1で示される第1ベンゾオキサジン系モノマーと下記化学式2で示される第2ベンゾオキサジン系モノマーとのうちから選択された一つと、架橋性化合物とを混合する段階と;前記混合された結果物を硬化し、これをプロトン伝導体に含浸して電解質膜を形成する段階と;を含み、下記化学式1で示される第1ベンゾオキサジン系モノマーと下記化学式2で表示される第2ベンゾオキサジン系モノマーとのうちから選択された一つ、及び架橋性化合物の重合生成物であるポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体を含む電解質膜を得るための電解質膜の製造方法が提供される。
【0023】
【化5】
【0024】
前記式中、R1は、水素、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC4−C20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、ハロゲン原子、水酸基またはシアノ基であり、
R2は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC7−C20のアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環アルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、または置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環アルキル基である。
【0025】
【化6】
【0026】
前記式中、R2は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC7−C20のアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環アルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、または置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環アルキル基であり、
R3は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキレン基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニレン基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニレン基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリーレン基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリーレン基または−C(=O)−、−SO2−である。
【0027】
上記課題を解決するために、本発明の第5の観点によれば、下記化学式1で表示される第1ベンゾオキサジン系モノマーと下記化学式2で表示される第2ベンゾオキサジン系モノマーとのうちから選択された一つ、及び架橋性化合物を混合する段階と;前記混合された結果物を用いて膜を形成し、当該膜を硬化してプロトン伝導体に含浸する段階と;を含み、下記化学式1で表示される第1ベンゾオキサジン系モノマーと下記化学式2で表示される第2ベンゾオキサジン系モノマーとのうちから選択された一つ、及び架橋性化合物の重合生成物であるポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体を含む電解質膜を得るための電解質膜の製造方法が提供される。
【0028】
【化7】
【0029】
前記式中、R1は、水素、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC4−C20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、ハロゲン原子、水酸基またはシアノ基であり、
R2は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC7−C20のアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環アルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、または置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環アルキル基である。
【0030】
【化8】
【0031】
前記式中、R2は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC7−C20のアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環アルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、または置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環アルキル基であり、
R3は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキレン基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニレン基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニレン基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリーレン基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリーレン基または−C(=O)−、−SO2−である。
【0032】
前記膜を形成する段階は、前記第1ベンゾオキサジン系モノマー及び第2ベンゾオキサジン系モノマーと、架橋性化合物との混合物をテープキャスティングして実施されるか、または、前記第1ベンゾオキサジン系モノマー及び第2ベンゾオキサジン系モノマーと、架橋性化合物との混合物を支持体上にキャスティングして実施され得る。
【0033】
本発明において、支持体上にキャスティングした場合には、支持体から硬化結果物を剥離して支持体を除去する段階をさらに含む。
【0034】
本発明において、前記プロトン伝導体は、リン酸、C1−C10のアルキルリン酸からなる群から選択された一つ以上であり、前記プロトン伝導体の含有量は、ポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体100質量部を基準として、100〜1,000質量部であることが好ましい。
【0035】
上記課題を解決するために、本発明の第6の観点によれば、前述のポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体を含む電解質膜を具備した燃料電池が提供される。
【発明の効果】
【0036】
本発明によるポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体は、ベンゾオキサジン系化合物の強い酸トラップ能を有し、架橋により機械的特性の向上及びポリリン酸に対する溶解性が除去されるため化学的に非常に安定する。これを利用して製造された電解質膜は、高温でリン酸保液能及び機械的、化学的安定性が非常に改善される。
【0037】
また、本発明のポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体は、他の重合開始剤や架橋剤を使用せずに、単純な熱を介した重合過程を経て得ることができ、別途の架橋剤をさらに必要としないために、工程上から見るとき、量産面で望ましい。また、前記架橋体合成時に使われる出発物質が非常に低廉であって製造コストがあまりかからないという利点がある。
【0038】
本発明のポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体からなる電解質膜は、高温無加湿用燃料電池に有用に使われうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0040】
本発明は、下記化学式1で表示される第1ベンゾオキサジン系モノマーと下記化学式2で表示される多官能性第2ベンゾオキサジン系モノマーとのうちから選択された一つを、架橋剤と重合して得たベンゾオキサジン系化合物の架橋体を利用して電解質膜を完成し、リン酸のようなプロトンキャリアを限界含浸量以上に付加した場合でも、機械的、化学的安定性にすぐれる電解質膜を得ることができる。
【0041】
【化9】
【0042】
前記式中、R1は、水素、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC4−C20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、ハロゲン原子、水酸基またはシアノ基であり、
R2は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC7−C20のアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環アルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、または置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環アルキル基である。
【0043】
【化10】
【0044】
前記式中、R2は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC7−C20のアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環アルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、または置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環アルキル基であり、
R3は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキレン基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニレン基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニレン基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリーレン基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリーレン基または−C(=O)−、−SO2−である。
【0045】
また、本発明は、前記化学式1で表示される第1ベンゾオキサジン系モノマーと前記化学式2で表示される多官能性第2ベンゾオキサジン系モノマーとのうちから選択された一つを重合して得たベンゾオキサジン系化合物の架橋体を利用して電解質膜を完成し、リン酸のようなプロトンキャリアを限界含浸量以上に付加した場合でも、機械的、化学的安定性にすぐれる電解質膜を得ることができる。
【0046】
前記化学式1で、R1は、三級ブチル基(tert−ブチル基)であることが望ましい。
【0047】
前記化学式1及び化学式2で、R2は、フェニル基、−CH2−CH=CH2、または下記化学式で表示される基のいずれかであることが望ましい。
【0048】
【化11】
【0049】
前記化学式2で、R3は、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−C(=O)−、−SO2−、−CH2−、−C(CCl3)−、−CH(CH3)−、−CH(CF3)−である場合には、ベンゾオキサジン環を2個含有する二官能性ベンゾオキサジン化合物であり、R3が下記構造式1(R2は、前記化学式1、化学式2で定義された通りである)で表示される基である場合には、ベンゾオキサジン環を3個含有する三官能性ベンゾオキサジン系化合物である。
【0050】
【化12】
【0051】
前記化学式1で表示される第1ベンゾオキサジン系モノマーの例として、下記化学式3〜12で表示される化合物を挙げることができる。
【0052】
【化13】
【0053】
【化14】
【0054】
【化15】
【0055】
【化16】
【0056】
【化17】
【0057】
【化18】
【0058】
【化19】
【0059】
【化20】
【0060】
【化21】
【0061】
【化22】
【0062】
前記化学式2で表示される第2ベンゾオキサジン系モノマーの具体的な例として、下記化学式13〜17で表示される化合物がある。
【0063】
【化23】
【0064】
【化24】
【0065】
【化25】
【0066】
【化26】
【0067】
【化27】
【0068】
前記式で、R2は、フェニル基、−CH2−CH=CH2、または下記化学式で表示される基のいずれかである。
【0069】
【化28】
【0070】
本発明で使われる架橋性化合物は、ベンゾオキサジン系モノマーと架橋結合を形成できる化合物ならば、いずれも使用可能である。
【0071】
前記架橋性化合物の非制限的な例として、ポリベンズイミダゾール(PBI)、ポリベンズチアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミド系のうち選択された一つ以上を挙げることができる。
【0072】
前述の化学式1で表示される第1ベンゾオキサジン系モノマーと化学式2で表示される第2ベンゾオキサジン系モノマーとのうちから選択された一つと、架橋性化合物との重合生成物であるポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体を合成する過程について述べれば、次の通りである。
【0073】
前記化学式1で表示される第1ベンゾオキサジン系モノマーと化学式2で表示される第2ベンゾオキサジン系モノマーとのうちから選択された一つと、架橋性化合物とを所定混合比で混合する。ここで、架橋性化合物の含有量は、第1ベンゾオキサジン系モノマーと第2ベンゾオキサジン系モノマーとのうちから選択された一つの重量100質量部を基準として、5〜95質量部であることが望ましい。
【0074】
もし架橋性化合物の含有量が5質量部未満であるならば、リン酸が含浸されずにプロトン伝導性が低下し、95質量部を超えれば、過剰なリン酸の存在下で架橋体がポリリン酸に溶解し、気体透過が発生するため望ましくない。
【0075】
次に、前記混合物の硬化反応を実施すれば、図1Aまたは図1Bに図示されているように、それらの相互架橋反応を介してポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体を得ることができる。これをさらに説明すれば、それらの相互架橋反応を介してポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体を得ることができる。すなわち、第1ベンゾオキサジン系モノマー及び第2ベンゾオキサジン系モノマー中から選択された一つは、熱的開環重合(thermal ring opening polymerization)を介したポリベンズイミダゾールのような架橋性化合物と重合(硬化)して高分子マトリックスを形成し、前記重合反応は、順次的な温度調節反応によって進められ、硬化反応のための温度で、少なくとも1時間以上の反応時間が確保されていれば網状構造を形成できる。
【0076】
図1Cまたは図1Dは、本発明の一実施形態による第1ベンゾオキサジン系モノマー及び第2ベンゾオキサジン系モノマーと、ポリベンズイミダゾールとの反応メカニズムを説明するための図面である。
【0077】
図1C及び図1Dを参照すると、第1ベンゾオキサジン系モノマー及び第2ベンゾオキサジン系モノマーは、熱によってオキサジン環が開きつつポリベンズイミダゾール(nは、100〜10、000の数である)のフェニル環のオルト位に結合しつつ、図面に示されているような成長方向に成長する相互架橋反応が起こる。
【0078】
前記硬化反応の温度は、第1ベンゾオキサジン系モノマー、第2ベンゾオキサジン系モノマー、架橋性化合物の種類によって可変的であるが、50〜250℃の範囲内で実施する。もし、硬化反応の温度が50℃未満であるならば、硬化反応自体が進まず、250℃の範囲を超えれば、副反応物質が得られるため望ましくない。
【0079】
前記硬化反応時間は、硬化反応温度に依存的であるが、前述の温度範囲で1時間以上、特に8〜20時間実施することが望ましい。
【0080】
前述の化学式1の第1ベンゾオキサジン系モノマー及び化学式2の第2ベンゾオキサジン系モノマーと、架橋性化合物との重合生成物であるポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体の化学的及び物理的特性について述べれば、次の通りである。
【0081】
本発明によって得たポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体は、有機溶媒、酸、塩基にも溶解しない熱硬化性特性がある。従って、既存の高分子の分子量についての情報を得る最も一般的な方法であるGPC(Gel Permeation Chromatography)では、分子量測定が不可能である。
【0082】
ベンゾオキサジン系モノマーが重合されて生成されるポリベンゾオキサジンの架橋体は、前述のように、熱硬化性(thermo setting)樹脂系列であるから、高分子化が進んでしまえば、いかなる溶液にも溶解しないだけではなく、ガラス転移温度のような高分子固有の温度特性も示されないために、熱硬化性樹脂として重合されてしまえば、一般的な方法では分析が不可能であると知られている。また、熱可塑性樹脂であっても、熱硬化性樹脂系と共重合体をなしてしまえば、全体的な高分子の特性が熱硬化性樹脂のそれと同じようになってしまうと予想されるために、本発明によるベンゾオキサジンとPBIとの共重合体形成を証明することは、一般的な分析方法では不可能である。
【0083】
従って、本発明では、ベンゾオキサジンとPBIとの共重合体形成を証明するために、次のような実験を介してベンゾオキサジン−PBI共重合体の形成を証明した。
【0084】
前述のように、熱硬化性樹脂の重合反応の最終生成物は、熱硬化性樹脂の特性上、溶解度問題によって分析が不可能であるために、重合反応の初期生成物を分析することにより、ベンゾオキサジンとPBIとの結合形成の有無を分析した。すなわち、ベンゾオキサジンとPBIとの結合形成の有無を判断するために、反応初期に、ベンゾオキサジンがきわめて一部分で結合し、全体的なPBIの高分子物性が大きく変化していない状態を分析することにより、ベンゾオキサジン−PBI共重合体の形成を証明した。
【0085】
図16は、反応物であるベンゾオキサジンモノマー(図16 A))及びPBI(図16 B))それぞれの核磁気共鳴(NMR)スペクトルを示し、図16 C)は、ベンゾオキサジンモノマーとPBIとを一定の割合で混ぜた後、100℃で約30分加熱して重合させた後で得たNMRスペクトルである。図面から容易に分かるように、溶媒によるピークを除外した各成分によるピークの現れる位置から、ベンゾオキサジンとPBIとの存在を容易に確認することができる。言い換えれば、図16 A)の(a)〜(d)で表示したベンゾオキサジンの水素に起因するピークは、PBIのNMRスペクトル(図16 B))で示されるものとは全く異なる位置で現れるので、混合状態でも、それらの存在を容易に確認することができる(図16 C))。
【0086】
特に注目すべきことは、図16 A)の(a)で表示したピークは、本発明の実施例で提示している代表的なベンゾオキサジンモノマー(t−BuPh−a)のフェニル基についている三級ブチル基(−C(CH3)3)によるものであり、9個の水素に該当する積分値を有するので、少量が存在しても相対的に容易に検出が可能である。従って、PBIとベンゾオキサジンとの結合の有無を判断する基準として、このピークに注目して分析に利用した。
【0087】
DOSY−NMR(Diffusion−Ordered NMR Spectroscopy)は、溶液中に溶解している成分の流体運動体積(hydrodynamic volume)(あるいは、拡散係数)の差により、各成分のスペクトルを区分することができるように、最近考案されたNMR測定技法である。特に、試料に対する特別な事前処理なしにも、溶液中に存在する混合物を区分することができるという長所のために、高分子混合物分析を容易にすることができるということが知られている(参考文献:B.Antalek,Concepts in Magnetic Resonance,14(4),225−258(2002);S.Viel,D.Capitani,L.Mannina,A.Segre,Biomacromolecules,4,1843−1847(2003);D.A.Jayawickrama,C.K.Larive,E.F.Macord,D.C.Roe,Magn.Reson.Chem.,36,755−760(1998);K.Nishinari,K.Kohyama,P.A.Williams,G.O.Phillips,W.Burchard,K.Ogino,Macromolecules,24,5590−5593(1991);C.M.Leon,V.Gorkom,T.M.Hancewicz,J.Magn.Reson.,130,125−130(1998);A.Chen,D.Wu,C.S.Johnson,Jr.,J.Am.Chem.Soc.117,7965−7970(1995)。
【0088】
本発明によるベンゾオキサジン−PBI共重合体の形成は、前記のDOSY−NMR法を利用して確認することができる。図17は、重合反応初期に得たベンゾオキサジンとPBIとの混合物のDOSY−NMRスペクトルである。DOSY−NMRの原理上、NMRスペクトルで同じサイズの分子や結合反応によって互いに連結された分子は、y軸上の同一線上に示される。従って、図17にはっきりと示されているように、(a)で表示した水、DMSO及びDMAcのような溶媒によるピークは、分子のサイズがはるかに小さいので、y軸上の約−9.0〜−9.2間に示され、(b)で表示された反応をまだ始めていないベンゾオキサジンのモノマーは、およそ−9.5〜−9.6間で同一線上(e)に示されている。すなわち、DOSY−NMR技法を介し、図16の一次元NMRで示されたスペクトル上のピークを分子の種類及びサイズ別に区分することができる。
【0089】
一方、(c)で表示されたPBIによるピークにより、ベンゾオキサジンのモノマーよりはるかに小さな約−10.6ほどに示されている。DOSY−NMRの原理により、y軸の値は、拡散係数と関係した値であり、サイズがさらに大きい分子であるほど、この値が負方向に大きくなる。従って、高分子であるPBIが単一分子である反応前のベンゾオキサジンより大きい負の値を有することは当然である。特に注目する点は、前述のベンゾオキサジンモノマーの三級ブチル基(星印表示)に該当するプロトンピークがPBIの同一線上(点線(d)で確認されるという点である。これは、本発明で提示する方法により、ベンゾオキサジンがPBIに直接結合して新種の共重合体を形成するということを証明する決定的な証拠である。
【0090】
DOSYスペクトルで得た結果を再確認するために、図17の(d)線上のDOSY−NMR条件で一次元NMRスペクトルを得て、それを一般的なNMR条件で得たスペクトルと比較して図18に表した。この条件では、PBIの分子より小さなサイズの分子によるピークは消えるために、図18 A)では、ベンゾオキサジンモノマーに該当するピークと溶媒分子によるピークは、見当たらない。それにもかかわらず、図18 A)では、(a)で表示したPBIに該当するピークと共に、前述の三級ブチル基に該当するピーク(星印表示)を、たとえ非常に小さなサイズであるとしても、明確に確認することができる。図18 B)と比較してみれば、図18 A)に示された三級ブチル基は、図18 B)でも確認することができるほどの量が反応初期にすでに生成されているということが分かるだけではなく、PBIとの反応により、0.2ppmほど上方にシフトしているということが分かる。このようなNMRスペクトル上の化学シフトは、化学反応が進むにつれて発生する典型的な現象であり、単にベンゾオキサジンモノマーがPBIの周辺に存在するとして起こるものではないという現象でもある。従って、このような一連のNMR結果を基に、本発明で提示する方法で、これまで全く知られていなかったベンゾオキサジンとPBIとの共重合であるポリベンゾオキサジン−コ−ポリベンズイミダゾール(PBOA−co−PBI)が作られるということが分かる。
【0091】
図9から図11は、本発明の一実施形態によるポリベンゾオキサジンモノマーの1H−NMRデータを表したものである。
【0092】
前述の重合生成物は、燃料電池の電解質膜として利用可能であり、このような電解質膜の製造過程について述べれば、次の通りである。本発明の電解質膜は、下記の二種の方法により製造可能であり、架橋性化合物としては、ポリベンズイミダゾールを例にして説明する。
【0093】
第一の方法によれば、前述の化学式1で表示される第1ベンゾオキサジン系モノマーと化学式2の第2ベンゾオキサジン系モノマーとのうちから選択された一つと、PBIのような架橋性化合物とを混合した後、それを50〜250℃、特に、80〜220℃の範囲で硬化反応を実施する。次に、これに酸のようなプロトン伝導体を含浸して電解質膜を形成する。
【0094】
第二の方法によれば、化学式1で表示される第1ベンゾオキサジン系モノマーと化学式2の第2ベンゾオキサジン系モノマーとのうちから選択された一つと、PBIのような架橋性化合物との混合物を利用して膜を形成する。
【0095】
前記膜を形成する方法としては、テープキャスティング法を利用することも可能であり、一般的なコーティング法を利用することも可能である。前記コーティング法の例としては、支持体上にドクターブレードを利用して前記混合物をキャスティングする方法を挙げることができる。ここで、ドクターブレードとしては、250−500μmギャップを有するものを使用する。
【0096】
もし、前記膜を形成する過程でドクターブレードを利用したキャスティング法を利用する場合には、硬化後に、酸を含浸する段階以前に支持体から電解質膜を分離し、支持体を除去する段階がさらに実施される。かように支持体を除去しようとする場合には、60〜80℃の蒸溜水に浸漬する過程を経る。
【0097】
前記支持体としては、電解質膜を支持する役割を果たすことができるものならば、いずれも使用可能であり、支持体の例として、ガラス基板、ポリイミドフィルムなどを使用する。テープキャスティング法を利用する場合には、テープキャスティングされた膜を硬化されたポリエチレンテレフタレートのような支持体から分離した後、硬化のためのオーブンに入れるので、支持体が不要となり、支持体を除去する段階が不要である。
【0098】
また、ベンゾオキサジン系モノマーとポリベンズイミダゾールとからなる混合物を利用し、膜をテープキャスティング法によって形成する場合、混合物を濾過する段階をさらに経ることができる。
【0099】
このように形成された膜を熱処理して硬化反応を実施した後、それを酸のようなプロトン伝導体に含浸して電解質膜を形成する。
【0100】
前記プロトン伝導体の非制限的な例としては、リン酸、C1−C10のアルキルリン酸などを使用する。前記C1−C10のアルキルリン酸の例として、エチルリン酸などがある。
【0101】
前記プロトン伝導体の含有量は、電解質膜の総質量100質量部対比で、300〜1,000質量部で使われる。本発明で使用する酸の濃度は、特別に制限されるものではないが、リン酸を使用する場合、85質量%のリン酸水溶液を使用し、リン酸含浸時間は、80℃で2.5時間〜14時間の範囲である。
【0102】
本発明において、前述の架橋性化合物なしに、化学式1で表示される第1ベンゾオキサジン系モノマーと化学式2の第2ベンゾオキサジン系モノマーとのうちから選択された一つの重合反応を介してポリベンゾオキサジン系モノマーの架橋体を利用した電解質膜の製造時、前述の製造過程で、PBIのような架橋性化合物だけを除いたことを除外しては、同じ反応条件によって形成することが可能である。
【0103】
前記電解質膜は、燃料電池の水素イオン伝導膜として使われうる。これを利用し、燃料電池用の電極−膜接合体を製造する過程について述べれば、次の通りである。本発明で使用する用語である「電極−膜接合体(MEA:Membrane and Electrode Assembly)」は、電解質膜を中心で、この両面に触媒層と拡散層とから構成された電極が積層されている構造を指す。
【0104】
本発明のMEAは、触媒層を具備している電極を、前記過程によって得た電解質膜の両面に位置させた後、高温と高圧とで接合して形成するか、または電気化学的の触媒反応の起こる触媒金属を高分子膜上にコーティングした後、ここに、燃料拡散層を接合して形成できる。
【0105】
このとき、前記接合のための加熱温度及び圧力は、電解質膜が軟化する温度まで加熱した状態で、0.1〜3ton/cm2、特に、約1ton/cm2の圧力で加圧して実行する。
【0106】
その後、前記MEAにそれぞれバイポーラプレートを装着して燃料電池を完成する。ここで、バイポーラプレートは、燃料供給用溝を有しており、集電体の機能を有している。
【0107】
前記MEAの製造時、触媒としては、Pt単独、またはAu、Pd、Rh、Ir、Ru、Sn、Mo、Co、Crからなる群から選択された一種以上の金属と、Ptとの合金、あるいは混合物を使用する。
【0108】
本発明の燃料電池は、特別にその用途が限定されるものではないが、望ましい一面によれば、高分子電解質膜(PEM)燃料電池として使われる。
【0109】
一方、本発明で使用する化学式1で表示される第1ベンゾオキサジン系モノマーの合成過程について述べれば、次の通りである。
【0110】
【化29】
【0111】
前記式中、R1及びR2は、前記化学式1で定義された通りである。
【0112】
前記反応式1で、R1は、三級ブチル基であり、前記R2は、フェニル基、−CH2−CH=CH2、または下記化学式で表示される基のいずれかでありうる。
【0113】
【化30】
【0114】
前記反応式1を参照し、フェノール化合物(A)とp−ホルムアルデヒドとアミン誘導体(B)とを混合した後、これを溶媒なしに加熱する工程を経るか、または溶媒を添加して還流し、これに対するワークアップ(work−up)工程を経て目的とする化学式1のベンゾオキサジン系モノマーを得ることができる。
【0115】
前記反応で溶媒が使われる場合、溶媒として、1,4−ジオキサン、クロロホルム、ジクロロメタン、トルエン、THFなどを使用する。そして、前記加熱温度は、使われた溶媒が還流されうる温度範囲に調節するが、望ましくは、50〜90℃の範囲、特に、約80℃になるように調節する。
【0116】
前記アミン誘導体(B)の具体的な例として、R2が下記化学式のいずれかで表示される化合物がある。
【0117】
【化31】
【0118】
また、化学式2で表示される第2ポリベンゾオキサジン系モノマーの合成過程について述べれば、次の通りである。
【0119】
【化32】
【0120】
前記式中、R2及びR3は、前記化学式2で定義された通りであり、特に、R3は、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−C(=O)−、−SO2−、−CH2−、−C(CCl3)−、−CH(CH3)−、−CH(CF3)−、または下記構造式1で示される連結基である。
【0121】
【化33】
【0122】
前記R2は、フェニル基、−CH2−CH=CH2、または下記化学式で表示される基のいずれかであることが望ましい。
【0123】
【化34】
【0124】
前記反応式2を参照し、フェノール化合物(A’)とp−ホルムアルデヒドとアミン誘導体(B)とを混合した後、これを溶媒なしに加熱する工程を経るか、または溶媒を付加して還流し、これに対するワークアップ工程を経て目的とするベンゾオキサジン系モノマーを得ることができる。
【0125】
前記反応で溶媒が使われる場合、溶媒として、1,4−ジオキサン、クロロホルム、ジクロロメタン、トルエン、THFなどを使用する。そして、前記加熱温度は、使われた溶媒が還流されうる温度範囲に調節するが、望ましくは、50〜90℃、特に、約80℃になるように調節する。
【0126】
前記アミン誘導体(B)の具体的な例は、前記第1ベンゾオキサジン系モノマーの合成が利用されたアミン誘導体と同一である。
【0127】
本発明の化学式1及び化学式2で使われる置換基の定義について述べれば、次の通りである。
【0128】
本発明の化学式で、前記非置換のC1−C20のアルキル基の具体的な例としては、メチル、エチル、プロピル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソアミル、ヘキシルなどを挙げることができ、前記アルキルのうち一つ以上の水素原子は、ハロゲン原子、ハロゲン原子に置換されたC1−C20のアルキル基(例:CCF3、CHCF2、CH2F、CCl3など)、水酸基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン、ヒドラゾン、カルボン酸基やその塩、スルホン酸基やその塩、リン酸やその塩、またはC1−C20のアルキル基、C2−C20のアルケニル基、C2−C20のアルキニル基、C1−C20のヘテロアルキル基、C6−C20のアリール基、C6−C20のアリールアルキル基、C6−C20のヘテロアリール基、またはC6−C20のヘテロアリールアルキル基に置換されうる。
【0129】
本発明の化学式で、前記非置換のC1−C20のアルケニル基の具体的な例としては、ビニレン、アリレンなどを挙げることができ、前記アルケニルのうち一つ以上の水素原子は、前述のアルキル基の場合と同じ置換基に置換されうる。
【0130】
本発明の化学式で、前記非置換のC1−C20のアルキニル基の具体的な例としては、アセチレンなどを挙げることができ、前記アルキニルのうち一つ以上の水素原子は、前述のアルキル基の場合と同じ置換基に置換されうる。
【0131】
本発明の化学式で、前記非置換のC1−C20のアルキレン基の具体的な例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、イソブチレン、sec−ブチレン、ペンチレン、イソアミレン、ヘキシレンなどを挙げることができ、前記アルキレンのうち一つ以上の水素原子は、前述のアルキル基の場合と同じ置換基に置換されうる。
【0132】
本発明の化学式で、前記非置換のC1−C20のアルケニレン基の具体的な例としては、アリル基などを挙げることができ、前記アルケニレンのうち一つ以上の水素原子は、前述のアルキル基の場合と同じ置換基に置換可能である。
【0133】
本発明の化学式で、前記非置換のC1−C20のアルキニレン基の具体的な例としては、アセチレン基などを挙げることができ、前記アルキニレンのうち一つ以上の水素原子は、前述のアルキル基の場合と同じ置換基に置換可能である。
【0134】
本発明で使われるアリール基は、単独または組み合わせて使われ、一つ以上の環を含むC6−C20の炭素環芳香族系を意味し、前記環は、ペンダント法で共に付着されるか、または融合されうる。アリールという用語は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチルのような芳香族ラジカルを含む。前記アリール基は、ハロアルキレン、ニトロ、シアノ、アルコキシ及び低級アルキルアミノのような置換基を有することができる。また、前記アリール基のうち一つ以上の水素原子は、前述のアルキル基の場合と同じ置換基に置換可能である。
【0135】
本発明で使われるアリーレン基は、単独または組み合わせて使われ、一つ以上の環を含むC6からC20の炭素環芳香族系を意味し、前記環は、ペンダント法で共に付着されるか、または融合されうる。アリーレンという用語は、フェニレン、ナフチレン、テトラヒドロナフチレンのような芳香族ラジカルを含む。前記アリーレン基は、ハロアルキレン、ニトロ、シアノ、アルコキシ及び低級アルキルアミノのような置換基を有することができる。また、前記アリール基のうち一つ以上の水素原子は、前述のアルキル基の場合と同じ置換基に置換可能である。
【0136】
本発明で使われるアリールアルキル基は、前記定義されたようなアリール基で、水素原子のうち一部が低級アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピルのようなラジカルに置換されたものを意味する。例えば、ベンジル、フェニルエチルなどがある。前記アリールアルキル基のうち一つ以上の水素原子は、前述のアルキル基の場合と同じ置換基に置換可能である。
【0137】
本発明で使われるヘテロアリール基は、N、O、PまたはSのうち選択された1個、2個または3個のヘテロ原子を含み、残りの環原子がCであるC1からC20の一価の単環または二環の芳香族二価有機化合物を意味する。前記ヘテロ原子のうち一つ以上の水素原子は、前述のアルキル基の場合と同じ置換基に置換可能である。
【0138】
本発明で使われるヘテロアリーレン基は、N、O、PまたはSのうちから選択された1個、2個または3個のヘテロ原子を含み、残りの環原子がCである炭素数1から20の一価単環または二環の芳香族二価有機化合物を意味する。前記ヘテロ原子のうち一つ以上の水素原子は、前述のアルキル基の場合と同じ置換基に置換可能である。
【0139】
本発明で使われるヘテロアリールアルキル基は、前記ヘテロアリール基の水素原子の一部がアルキル基に置換されたものを意味する。前記ヘテロアリールアルキル基のうち一つ以上の水素原子は、前述のアルキル基の場合と同じ置換基に置換可能である。
【0140】
本発明で使われる炭素環基は、シクロヘキシル基のように、C5からC10により構成された環基を指し、前記炭素環のうち一つ以上の水素原子は、前述のアルキル基の場合と同じ置換基に置換可能である。
【0141】
本発明で使われる炭素環アルキル基は、前記炭素環基の水素原子一部がアルキル基に置換されたものを意味する。前記炭素環アルキル基のうち一つ以上の水素原子は、前述のアルキル基の場合と同じ置換基に置換可能である。
【0142】
本発明で使われるヘテロ環基は、N、S、P、Oのようなヘテロ原子を含有しているC5からC10からなる環基を指し、このようなヘテロ環基のうち一つ以上の水素原子は、前述のアルキル基の場合と同じに置換可能である。
【0143】
本発明で使われるヘテロ環アルキル基は、前記ヘテロ炭素環基の水素原子一部がアルキル基に置換されたものを意味する。前記ヘテロ環アルキル基のうち一つ以上の水素原子は、前述のアルキル基の場合と同じ置換基に置換可能である。
【実施例】
【0144】
以下、本発明を下記実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明は下記実施例のみに限定されるものではない。
【0145】
(合成例1.化学式3のベンゾオキサジン系モノマーの製造)
フェノール1mol、p−ホルムアルデヒド2.2mol及びアニリン1.1molを混合し、これを110℃で1時間撹拌して粗生成物を得た。
【0146】
前記粗生成物を1N NaOH水溶液で2回、蒸溜水で1回洗浄する過程を順次に実施した後、これを硫酸マグネシウムを利用して乾燥させた。次に、前記結果物を濾過してから溶媒を除去して真空乾燥し、化学式3のベンゾオキサジン系モノマーを収得した(収率=95%)。
【0147】
(合成例2.化学式4のポリベンゾオキサジン系モノマーの製造)
三級ブチルフェノール1mol、p−ホルムアルデヒド2.2mol及びアニリン1.1molを混合し、これを110℃で1時間溶媒なしに撹拌し,粗生成物を得た。
【0148】
前記粗生成物を1N NaOH水溶液で2回、蒸溜水で1回洗浄する過程を順次に実施した後、これを硫酸マグネシウムを利用して乾燥させた。次に、前記結果物を濾過してから溶媒を除去して真空乾燥し、化学式4のベンゾオキサジン系モノマーを95%の収率で収得した。
【0149】
(合成例3.化学式5のポリベンゾオキサジン系モノマーの製造)
三級ブチルフェノール1mol、p−ホルムアルデヒド2.2mol及び3−アミノプロピルイミダゾール1.1molを混合し、これを110℃で1時間溶媒なしに溶融(melt)状態で撹拌して粗生成物を得た。
【0150】
前記粗生成物を1N NaOH水溶液で2回、蒸溜水で1回洗浄する過程を順次に実施した後、これを硫酸マグネシウムを利用して乾燥させた。次に、前記結果物を濾過してから溶媒を除去して真空乾燥し、化学式5のベンゾオキサジン系モノマーを95%の収率で収得した。
【0151】
(合成例4.化学式13のベンゾオキサジン系モノマー(R2=アニリンである場合)の製造)
ビスフェノールA(BP)1mol、p−ホルムアルデヒド4.4mol及びアニリン2.2molを混合し、これを110℃で1時間撹拌して粗生成物を得た。
【0152】
前記粗生成物を1N NaOH水溶液で2回、蒸溜水で1回洗浄する過程を順次に実施した後、これを硫酸マグネシウムを利用して乾燥させた。次に、前記結果物を濾過してから溶媒を除去して真空乾燥し、化学式13のベンゾオキサジン系モノマー(R2=アニリンである場合)を収得した(収率=95%)。
【0153】
(合成例5.化学式14のポリベンゾオキサジン系モノマー(R2=アニリンである場合)の製造)
4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフェノール(4,4’−HFIDPH)1mol、p−ホルムアルデヒド4.4mol及びアニリン2.2molを混合し、これを110℃で1時間溶媒なしに撹拌して粗生成物を得た。
【0154】
前記粗生成物を1N NaOH水溶液で2回、蒸溜水で1回洗浄する過程を順次に実施した後、これを硫酸マグネシウムを利用して乾燥させた。次に、前記結果物を濾過してから溶媒を除去して真空乾燥し、化学式14のベンゾオキサジン系モノマーを96%の収率で収得した。
【0155】
(合成例6.化学式15のポリベンゾオキサジン系モノマー(R2=(3−アミノプロピルイミダゾール)の場合)の製造)
4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン1mol、p−ホルムアルデヒド2.2mol及び3−アミノプロピルイミダゾール1.1molを混合し、これを110℃で1時間溶媒なしに溶融状態で撹拌して粗生成物を得た。
【0156】
前記粗生成物を1N NaOH水溶液で2回、蒸溜水で1回洗浄する過程を順次に実施した後、これを硫酸マグネシウムを利用して乾燥させた。次に、前記結果物を濾過してから溶媒を除去して真空乾燥し、化学式15のベンゾオキサジン系モノマーを80%の収率で収得した。
【0157】
(合成例7.化学式16のポリベンゾオキサジン系モノマー(R2=3−アミノベンズイミダゾールである場合)の製造)
ビスフェノールS(BS)1mol、p−ホルムアルデヒド4.4mol及び1−(3−アミノプロピル)イミダゾール2.2molを混合し、これを110℃で1時間溶媒なしに溶融状態で撹拌して粗生成物を得た。
【0158】
前記粗生成物を1N NaOH水溶液で2回、蒸溜水で1回洗浄する過程を順次に実施した後、これを硫酸マグネシウムを利用して乾燥させた。次に、前記結果物を濾過してから溶媒を除去して真空乾燥し、化学式16のベンゾオキサジン系モノマーを98%の収率で収得した。
【0159】
(合成例8.化学式17のポリベンゾオキサジン系モノマー(R2=アリルアミンである場合)の製造)
1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(THPE)1mol、p−ホルムアルデヒド6.6mol及びアリルアミン3.3molを混合し、これを110℃で1時間溶媒なしに溶融状態で撹拌して粗生成物を得た。
【0160】
前記粗生成物を1N NaOH水溶液で2回、蒸溜水で1回洗浄する過程を順次に実施した後、これを硫酸マグネシウムを利用して乾燥させた。次に、前記結果物を濾過してから溶媒を除去して真空乾燥し、化学式17のベンゾオキサジン系モノマーを95%の収率で収得した。
【0161】
(実施例1:電解質膜及びこれを利用した燃料電池の製造)
前記合成例1によって得た化学式3のベンゾオキサジン系モノマー65質量部とPBI35質量部とを混合した後、これを20℃/hrの昇温速度で220℃まで加熱した後、この温度で硬化反応を実施し、ポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体を合成した。
【0162】
前記ポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体を85質量%のリン酸に80℃で2時間30分ほど含浸して電解質膜を形成した。ここで、リン酸の含有量は、電解質膜総質量100質量部に対して約500質量部であった。
【0163】
前記電解質膜の両面に電極を積層してMEAを製造した。前記電極は、下記3種を使用した。
【0164】
第一に、カソード及びアノードとして下記過程によって得た第1電極を使用した。
【0165】
第1電極は、Pt、PBI及びPVDFを混合して触媒層形成用のスラリーを製作してこれを微細多孔層のコーティングされたカーボンペーパー上にバーコーターでコーティングして製作した。完成された電極のPtローディング量は1.0〜2.0mg/cm2値を有する。第1電極は、リン酸含浸なしにそのまま使用する。本発明でPBI電極とは、第1電極を意味する。
【0166】
第二に、カソード及びアノードとして、E−TEK社のリン酸型燃料電池用電極を使用した。前記電極は、Ptローディング量は、2.0mg/cm2値を有し、電極総質量100質量部対比で110質量部のリン酸を110℃、真空で1時間110℃、常圧で10時間含浸させた後で使用する。
【0167】
第三に、アノードとして前述の第1電極を使用し、カソードとして下記過程によって得た第2電極を使用した。
【0168】
第2電極は、Pt−Co合金とPVDFとを混合して触媒層形成用スラリーを製作し、これを微細多孔層のコーティングされたカーボンペーパー上にドクターブレードでコーティングして製作した。完成された電極のPt−Co合金のローディング量は、2.2〜3.5mg/cm2値を有する。第2電極は、リン酸含浸なしにそのまま使用する。
【0169】
(実施例2:電解質膜及びこれを利用した燃料電池の製造)
化学式3のベンゾオキサジン系モノマーの代わりに、合成例2によって得た化学式4のベンゾオキサジン系モノマーを使用したことを除いては、実施例1と同じ方法によって実施し、電解質膜及びこれを採用した燃料電池を製造した。
【0170】
(実施例3:電解質膜及びこれを利用した燃料電池の製造)
化学式3のベンゾオキサジン系モノマーの代わりに、合成例3によって得た化学式5のベンゾオキサジン系モノマーを使用したことを除いては、実施例1と同じ方法によって実施し、電解質膜及びこれを採用した燃料電池を製造した。
【0171】
(実施例4:電解質膜及びこれを利用した燃料電池の製造)
前記合成例4によって得た化学式13のベンゾオキサジン系モノマー65質量部とPBI 35質量部とを混合した後、これを20℃/hrの昇温速度で220℃まで加熱した後、この温度で硬化反応を実施し、ポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体を合成した。
【0172】
前記ポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体を85質量%リン酸に80℃で2時間30分ほど含浸し、電解質膜を形成した。ここで、リン酸の含有量は、電解質膜総質量100質量部に対して約500質量部であった。
【0173】
前記電極は、下記三種を使用した。
【0174】
第一に、カソード及びアノードとして、下記過程によって得た第1電極を使用した。
【0175】
第1電極は、Pt、PBI及びPVDFを混合して触媒層形成用スラリーを製作し、これを微細多孔層のコーティングされたカーボンペーパー上にバーコーターでコーティングして製作した。完成された電極のPtローディング量は、1.0〜2.0mg/cm2値を有する。第1電極は、リン酸含浸なしにそのまま使用する。本発明でPBI電極とは、第1電極を意味する。
【0176】
第二に、カソード及びアノードとして、E−TEK社のリン酸型燃料電池用電極を使用した。前記電極は、Ptローディング量は2.0mg/cm2値を有し、電極総質量100質量部対比で110質量部のリン酸を110℃、真空で1時間110℃、常圧で10時間含浸させた後で使用した。
【0177】
第三に、アノードとして前述の第1電極を使用し、カソードとして下記過程によって得た第2電極を使用した。
【0178】
第2電極は、Pt−Co合金とPVDFとを混合して触媒層形成用スラリーを製作し、これを微細多孔層のコーティングされたカーボンペーパー上にドクターブレードでコーティングして製作した。完成された電極のPt−Co合金のローディング量は、2.2〜3.5mg/cm2値を有する。第2電極は、リン酸含浸なしにそのまま使用する。
【0179】
(実施例5:電解質膜及びこれを利用した燃料電池の製造)
化学式13のベンゾオキサジン系モノマーの代わりに、化学式14のベンゾオキサジン系モノマーを使用したことを除いては、実施例4と同じ方法によって実施し、電解質膜及びこれを採用した燃料電池を製造した。
【0180】
(実施例6:電解質膜及びこれを利用した燃料電池の製造)
化学式13のベンゾオキサジン系モノマーの代わりに、化学式15のベンゾオキサジン系モノマーを使用したことを除いては、実施例4と同じ方法によって実施し、電解質膜及びこれを採用した燃料電池を製造した。
【0181】
(実施例7:電解質膜及びこれを利用した燃料電池の製造)
化学式13のベンゾオキサジン系モノマーの代わりに、化学式16のベンゾオキサジン系モノマーを使用したことを除いては、実施例4と同じ方法によって実施し、電解質膜及びこれを採用した燃料電池を製造した。
【0182】
(実施例8:電解質膜及びこれを利用した燃料電池の製造)
化学式13のベンゾオキサジン系モノマーの代わりに、化学式17のベンゾオキサジン系モノマーを使用したことを除いては、実施例4と同じ方法によって実施し、電解質膜及びこれを採用した燃料電池を製造した。
【0183】
(比較例1)
PBI(CELAZOLE(商品名)、Celanese Corp.)を使用してPBI膜を作り、85質量%リン酸に常温で4時間含浸させ、リン酸が含浸されたPBI電解質膜を形成した。
【0184】
前記実施例1で製造された一対の第1電極間にリン酸が含浸されたPBI膜を導入してMEAを製作した。
【0185】
(比較例2)
PBI(CELAZOLE(商品名)、Celanese Corp.)を使用してPBI膜を作り、85質量%リン酸に常温で4時間含浸させ、リン酸が含浸されたPBI電解質膜を形成した。
【0186】
前記実施例1に記載された一対のE−TEK社のリン酸型燃料電池用電極間にリン酸が含浸されたPBI膜を導入し、MEAを製作した。
【0187】
前記過程によって得た電解質膜の高温安定性は、高温での時間によるイオン伝導度変化を測定して評価し、イオン伝導度の測定方法は、次の通りである。
【0188】
1Hz〜1MHz周波数範囲で10mV(vs.O.C.V)電圧バイアスを印加した状態で抵抗を測定し、電極は、主にステンレススチール金属を使用し、Ptを電極として使用して再現性を評価する。
【0189】
前記実施例1から3(ステンレススチール金属電極を使用)の電解質膜のイオン伝導度の評価結果をそれぞれ図2から図4に表した。
【0190】
図2から4を参照すれば、ベンゾオキサジン系化合物を15〜85質量部の範囲で使用し、PBIを変化させつつ添加した後、実施例1のようなプロセスで製造された架橋高分子は、純粋PBIに比べて高いプロトン伝導特性を示した。ベンゾオキサジン系化合物の含有量が85質量部である場合に得られたポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体が最も高いプロトン伝導度を有し、PBI−H3PO4電解質膜対比で最高10倍以上のプロトン伝導度向上を示した。機械強度及び伝導度の側面で、前記ポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体の最適組成は、ベンゾオキサジン系化合物の含有量が65質量部、PBIが35質量部で使用した場合であった。
【0191】
参考までに、図2でSYRI PBIは、ベンゾオキサジン系化合物の添加されていない純粋なPBIを意味し、15PBXZN−85PBIは、15質量部のベンゾオキサジン系モノマーと85質量部のPBIとを利用して作った高分子電解質についてのものであり、75PBXZN−25PBIは、75質量部のベンゾオキサジン系モノマーと25質量部のPBIとを利用して作った高分子電解質についてのものである。図2は、ベンゾオキサジン系化合物としてフェノールアニリンを使用したものについてのものであり、図3は、三級ブチルフェノールアニリン、図4は、三級ブチルフェノールアミノ−イミダゾールをベンゾオキサジンモノマーとして使用したものについてのものである。
【0192】
一方、前記実施例2から4(一対の第1電極及び一対のE−TEK社のリン酸型燃料電池の電極を使用する)及び比較例1、2によって製造された燃料電池の性能は、初期特性を評価した後、0.2A/cm2で16時間エイジングした後、再測定して評価した。ここで、性能を電流密度による電圧変化を調べて評価し、電流−電圧特性評価中の抵抗変化は、1kHzで交流抵抗を測定して評価した。燃料電池の性能評価は、水素燃料及び空気を加湿しないまま電池温度を150℃で維持して実施した。PBI電極を使用した場合と、実施例4のように空気極にPtCo触媒を採用した場合とでは、水素流量を100ccm(cm3/min)、空気流量を200ccm固定した後で電流−電圧特性を評価した。E−TEK社の電極を使用した場合、水素流量は100ccm、空気流量は300ccmに固定して電流−電圧特性を評価した。
【0193】
前記実施例1(一対の第1電極及び一対のE−TEK社のリン酸型燃料電池の電極を使用する)及び比較例1、2によって製造された燃料電池の性能評価結果は、それぞれ図5から図7に示された通りである。
【0194】
図5から図7から、ベンゾオキサジン系化合物として三級ブチルフェノールアニリンを利用して得た高分子電解質は、PBI−H3PO4システムに比べて優秀なMEA性能を示す。三級ブチルフェノールアミノ−イミダゾールを基本とする架橋高分子電解質は、PBI−リン酸システムと同等なレベルのMEA性能を表した。ポリリン酸(105質量部のリン酸)を含浸させたE−TEK電極を使用してMEAを評価した場合には、ベンゾオキサジン系化合物として三級ブチルフェノールアニリン及び三級ブチルフェノールアミノ−イミダゾールを利用して得た高分子電解質いずれでも電流−電圧性能の向上を示した。PBI−リン酸MEAの性能低下は、電極側のポリリン酸がPBIを溶かして気体透過現象を発生させるためである。E−TEK電極は、撥水性処理がなされており、リン酸の電極側への移動を防ぎ、余剰のリン酸が電解質膜に存在するようになる。温度が上昇しつつ、余剰のリン酸がポリリン酸に変わりつつ、PBI膜を溶解する。
【0195】
前記ポリリン酸含有E−TEK電極を適用すれば、電解質膜の化学的安定性を評価でき、ポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体からなる高分子電解質膜は、ポリリン酸に対してすぐれた化学安定性を有していることが分かった。
【0196】
図5及び図6で、Reference(PBI電解質膜/PBI電極)は、比較例1で製造されたPBI電極、及びPBI−リン酸電解質膜を採用したMEAの場合についてのものであり、Reference(PBI電解質膜/E−TEK電極)は、比較例2でのように製作されたMEAについてのものをそれぞれ示す。図5で、t−BuPh−a/PBI電極(除膜プロセス#1)は、実施例2についてのものを表し、図6で、t−BuPh−AIMDZ/PBI電極(除膜プロセス#1)は、実施例3についてのものを示す。
【0197】
また、図7で、Reference(PBI電解質膜/E−TEK電極)は、比較例2で製作されたMEAの場合についてのものを表し、t−BuPh−AIMDZ/E−TEK電極(除膜プロセス#2)は、実施例3で製造された高分子電解質と、水素極及び空気極の電極としてPtローディング量2mg/cm2のE−TEK社のリン酸型燃料電池用電極とを採用したMEAについてのものを表し、t−BuPh−a/E−TEK電極(除膜プロセス#2)は、実施例2で製作された架橋高分子電解質と、水素極及び空気極の電極としてPtローディング量2mg/cm2のE−TEK社のリン酸型燃料電池用電極とを採用したMEAについてのものを示す。
【0198】
図8は、前記実施例4の燃料電池において、経時的なセル性能変化を表したものである。
【0199】
これを参照すれば、空気極にPt−Co触媒を導入することにより、150mV以上の性能を向上させることができ、開放回路電位(open circuit potential)が3日間持続的に増加した後で安定するということが分かる。すなわち、150時間以上、気体透過による電位低下は観察されていない。このような結果から、ポリベンゾオキサジンを採用した架橋高分子が化学的に非常に安定しているということが分かった。高温無加湿条件で0.3A/cm2で0.7Vと非常に高い性能を得ることができた。
【0200】
前記実施例4から実施例8(ステンレススチールの金属電極を使用)の電解質膜のイオン伝導度の評価結果をそれぞれ図10に表した。
【0201】
図12から、ポリベンゾオキサジン化合物架橋体からなる電解質膜の場合、ポリベンズイミダゾール電解質膜に比べて高いプロトン伝導度を有していることということが分かった。
【0202】
参考までに、図12で、□BP−aは、ビスフェノールA−アニリンの場合についてのものであり、○4,4−HFIDPH−aは、4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフェノールの場合についてのものであり、△4,4O−aは、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン−アニリンの場合についてのものであり、◇4,4O−aaは、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン−アリルアミンの場合についてのものであり、●BS−aaは、ビスフェノールS−アリルアミンの場合についてのものであり、■BP−aaは、ビスフェノールA−アリルアミンの場合についてのものであり、●4,4−HFIDPH−aaは、4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフェノール−アリルアミンの場合についてのものであり、▲4,4O−AIMDZは、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン−1−(3−アミノプロピル)イミダゾールの場合についてのものであり、◆BS−AIMDZは、ビスフェノールS−1−(3−アミノプロピル)イミダゾールの場合についてのものであり、■THPE−aは、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン−アニリンの場合についてのものである。
【0203】
一方、前記実施例5から8及び比較例1、2によって製造された燃料電池の性能は、初期特性を評価した後、0.3A/cm2で16時間エイジングした後、再測定して評価した。ここで、性能を電流密度による電圧変化を調べて評価し、電流−電圧特性評価中の抵抗変化は、1kHzで交流抵抗を測定して評価した。燃料電池の性能評価は、水素燃料及び空気を加湿しないまま電池温度を150℃で維持して実施した。PBI電極を使用したり、または空気極にPtCo触媒を採用した場合には、水素流量を100ccm(cm3/min)、空気流量を200ccmに固定した後で電流−電圧特性を評価した。
【0204】
前記実施例5から8及び比較例1、2によって製造された燃料電池の性能評価の結果を調べ、その結果は、図13から図15に示されている。
【0205】
図13と図14は、44HFIDPh−aと44HFIDPh−aaBOAのモノマーの標準電極(PBI電極)を使用したとき、PBIとの性能を比較したものであり、referenceに定めたPBIに対し、少なくとも同等ないしは多少優秀なセル性能を示し、図15は、44HFIDPh−aをモノマーとしてPBIと架橋混合物を形成したとき、特に、空気極にPtCoを電極に使用したとき、エイジング効果によるセル性能の向上を示したグラフである。
【0206】
図13から図15を参照し、実施例5の燃料電池は、比較例1、2の場合と比較して燃料電池の性能が優秀であるということが分かった。
【0207】
前記実施例5によって製造された燃料電池の性能評価結果を調べた結果、実施例5の燃料電池は、0.3A/cm2で作動電圧0.67Vの非常にすぐれた性能と、330時間いかなる電圧の降下もない卓越した耐久性とを示しているということが分かる。
【0208】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0209】
本発明のポリベンゾオキサジン系化合物、これを含んだ電解質膜、及びこれを採用した燃料電池は、例えば、燃料電池関連の技術分野に効果的に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0210】
【図1A】本発明の一実施例による、ベンゾオキサジン系モノマーとポリベンズイミダゾールとの硬化反応を説明するための図面である。
【図1B】本発明の一実施例による、ベンゾオキサジン系モノマーとポリベンズイミダゾールとの硬化反応を説明するための図面である。
【図1C】本発明の他の一実施例による、ベンゾオキサジン系モノマーとポリベンズイミダゾールとの反応メカニズムを説明するための図面である。
【図1D】本発明の他の一実施例による、ベンゾオキサジン系モノマーとポリベンズイミダゾールとの反応メカニズムを説明するための図面である。
【図2】本発明の一実施例による電解質膜のイオン伝導度特性を表した図面である。
【図3】本発明の一実施例による電解質膜のイオン伝導度特性を表した図面である。
【図4】本発明の一実施例による電解質膜のイオン伝導度特性を表した図面である。
【図5】本発明の一実施例による燃料電池のセル性能を表した図面である。
【図6】本発明の一実施例による燃料電池のセル性能を表した図面である。
【図7】本発明の一実施例による燃料電池のセル性能を表した図面である。
【図8】発明の一実施例による燃料電池において、経時的なセル性能変化を表した図面である。
【図9】本発明のポリベンゾオキサジンモノマーの1H−NMRデータを示す図面である。
【図10】本発明のポリベンゾオキサジンモノマーの1H−NMRデータを示す図面である。
【図11】本発明のポリベンゾオキサジンモノマーの1H−NMRデータを示す図面である。
【図12】本発明の一実施例による電解質膜のイオン伝導度特性を表した図面である。
【図13】本発明の一実施例による燃料電池のセル性能を表した図面である。
【図14】本発明の一実施例による燃料電池のセル性能を表した図面である。
【図15】本発明の一実施例による燃料電池のセル性能を表した図面である。
【図16】ベンゾオキサジンモノマー、ポリベンズイミダゾール(PBI)、そして本発明によるベンゾオキサジン系化合物の架橋体に対するNMRスペクトル資料である。
【図17】ベンゾオキサジンとポリベンズイミダゾール(PBI)との混合物のDOSY−NMRスペクトルである。
【図18】ベンゾオキサジン−PBIの熱処理混合物のNMRスペクトルを表したものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で示される第1ベンゾオキサジン系モノマーと下記化学式2で示される第2ベンゾオキサジン系モノマーとのうちから選択された一つと、架橋性化合物との重合生成物であることを特徴とする、ポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体。
【化1】
前記式中、R1は、水素、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC4−C20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、ハロゲン原子、水酸基またはシアノ基であり、
R2は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC7−C20のアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環アルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、または置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環アルキル基である。
【化2】
前記式中、R2は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC7−C20のアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環アルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、または置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環アルキル基であり、
R3は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキレン基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニレン基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニレン基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリーレン基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリーレン基または−C(=O)−、−SO2−である。
【請求項2】
前記化学式1で、R1は、C1−C10のアルキル基、アリル基、C6−C20のアリール基、tert−ブチル基、C1−C10のアルケニル基、またはC1−C10のアルキニル基であることを特徴とする、請求項1に記載のポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体。
【請求項3】
前記化学式1及び前記化学式2で、R2は、フェニル基、−CH2−CH=CH2、または下記化学式で示される置換基のいずれかであることを特徴とする、請求項1に記載のポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体。
【化3】
【請求項4】
前記化学式2で、R3は、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−C(=O)−、−SO2−、−CH2−、−C(CCl3)−、−CH(CH3)−、−CH(CF3)−または下記構造式1で示される連結基(R2は、請求項1で定義された通りである)であることを特徴とする、請求項1に記載のポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体。
【化4】
【請求項5】
前記化学式1の化合物が、下記化学式3〜12で示される化合物のうちから選択された一つであることを特徴とする、請求項1に記載のポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体。
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【請求項6】
前記化学式2で示される化合物が、下記化学式13〜17で示される化合物のうちから選択された一つであることを特徴とする、請求項1に記載のポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体。
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
R2は、フェニル基、−CH2−CH=CH2、または下記化学式で示される置換基のいずれかである。
【化20】
【請求項7】
前記架橋性化合物が、ポリベンズイミダゾール、ポリベンズチアゾール、ポリベンゾオキサゾール及びポリイミドからなる群から選択された一つ以上であることを特徴とする、請求項1に記載のポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体。
【請求項8】
前記架橋性化合物の含有量が、第1ベンゾオキサジン系モノマーと第2ベンゾオキサジン系モノマーとのうちから選択された一つの総質量100質量部を基準として、5〜95質量部であることを特徴とする、請求項1に記載のポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体。
【請求項9】
請求項1から請求項8のうちいずれか1項に記載のポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体を含む電解質膜。
【請求項10】
前記電解質膜が、プロトン伝導体を含むことを特徴とする、請求項9に記載の電解質膜。
【請求項11】
前記プロトン伝導体が、リン酸、C1−C10のアルキルリン酸からなる群から選択された一つ以上であり、
前記プロトン伝導体の含有量が、ポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体100質量部を基準として、100〜1,000質量部であることを特徴とする、請求項9に記載の電解質膜。
【請求項12】
下記化学式1で示される第1ベンゾオキサジン系モノマーと下記化学式2で示される第2ベンゾオキサジン系モノマーとのうちから選択された一つと、架橋性化合物とを混合する段階と、
前記混合された結果物を硬化し、これをプロトン伝導体に含浸して電解質膜を形成する段階と、
を含み、
下記化学式1で示される第1ベンゾオキサジン系モノマーと下記化学式2で表示される第2ベンゾオキサジン系モノマーとのうちから選択された一つ、及び架橋性化合物の重合生成物であるポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体を含む電解質膜を得ることを特徴とする、電解質膜の製造方法。
【化21】
前記式中、R1は、水素、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC4−C20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、ハロゲン原子、水酸基またはシアノ基であり、
R2は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC7−C20のアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環アルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、または置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環アルキル基である。
【化22】
前記式中、R2は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC7−C20のアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環アルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、または置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環アルキル基であり、
R3は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキレン基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニレン基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニレン基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリーレン基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリーレン基または−C(=O)−、−SO2−である。
【請求項13】
前記架橋性化合物の含有量が、前記第1ベンゾオキサジン系モノマーと前記第2ベンゾオキサジン系モノマーとのうちから選択された一つの質量100質量部を基準として、5〜95質量部であることを特徴とする、請求項12に記載の電解質膜の製造方法。
【請求項14】
前記硬化が、50〜250℃でなされることを特徴とする、請求項12に記載の電解質膜の製造方法。
【請求項15】
前記プロトン伝導体の含有量が、前記架橋性化合物100質量部を基準として、100〜1,000質量部であることを特徴とする、請求項12に記載の電解質膜の製造方法。
【請求項16】
前記プロトン伝導体が、リン酸、C1−C10のアルキルリン酸からなる群から選択された一つ以上であり、
前記プロトン伝導体の含有量が、前記ポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体100質量部を基準として、100〜1,000質量部であることを特徴とする、請求項12に記載の電解質膜の製造方法。
【請求項17】
下記化学式1で表示される第1ベンゾオキサジン系モノマーと下記化学式2で表示される第2ベンゾオキサジン系モノマーとのうちから選択された一つ、及び架橋性化合物を混合する段階と、
前記混合された結果物を用いて膜を形成し、当該膜を硬化してプロトン伝導体に含浸する段階とを含み、
下記化学式1で表示される第1ベンゾオキサジン系モノマーと下記化学式2で表示される第2ベンゾオキサジン系モノマーとのうちから選択された一つ、及び架橋性化合物の重合生成物であるポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体を含む電解質膜を得ることを特徴とする、電解質膜の製造方法。
【化23】
前記式中、R1は、水素、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC4−C20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、ハロゲン原子、水酸基またはシアノ基であり、
R2は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC7−C20のアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環アルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、または置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環アルキル基である。
【化24】
前記式中、R2は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC7−C20のアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環アルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、または置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環アルキル基であり、
R3は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキレン基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニレン基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニレン基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリーレン基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリーレン基または−C(=O)−、−SO2−である。
【請求項18】
前記膜を形成する段階が、前記第1ベンゾオキサジン系モノマーと前記第2ベンゾオキサジン系モノマーとのうちから選択された一つと、前記架橋性化合物との混合物をテープキャスティングして実施されることを特徴とする、請求項17に記載の電解質膜の製造方法。
【請求項19】
前記膜を形成する段階が、前記第1ベンゾオキサジン系モノマーと前記第2ベンゾオキサジン系モノマーとのうちから選択された一つと、前記架橋性化合物との混合物を支持体上にキャスティングして実施されることを特徴とする、請求項17に記載の電解質膜の製造方法。
【請求項20】
前記支持体から前記硬化された結果物を剥離し、前記支持体を除去する段階をさらに含むことを特徴とする、請求項19に記載の電解質膜の製造方法。
【請求項21】
前記架橋性化合物の含有量が、前記第1ベンゾオキサジン系モノマーと前記第2ベンゾオキサジン系モノマーとのうちから選択された一つの質量100質量部を基準として、5〜95質量部であることを特徴とする、請求項17に記載の電解質膜の製造方法。
【請求項22】
前記硬化が、50〜250℃でなされることを特徴とする、請求項17に記載の電解質膜の製造方法。
【請求項23】
前記プロトン伝導体の含有量が、前記架橋性化合物100質量部を基準として、100〜1,000質量部であることを特徴とする、請求項17に記載の電解質膜の製造方法。
【請求項24】
前記プロトン伝導体が、リン酸、C1−C10のアルキルリン酸からなる群から選択された一つ以上であり、
前記プロトン伝導体の含有量が、前記ポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体100質量部を基準として、100〜1,000質量部であることを特徴とする、請求項17に記載の電解質膜の製造方法。
【請求項25】
請求項1から請求項8のうちいずれか1項に記載のポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体を含む電解質膜を具備した燃料電池。
【請求項26】
下記化学式1で示される第1ベンゾオキサジン系モノマーと下記化学式2で示される第2ベンゾオキサジン系モノマーとのうちから選択された一つの重合生成物であることを特徴とする、ポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体。
【化25】
前記式中、R1は、水素、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC4−C20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、ハロゲン原子、水酸基またはシアノ基であり、
R2は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC7−C20のアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環アルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、または置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環アルキル基である。
【化26】
前記式中、R2は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC7−C20のアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環アルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、または置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環アルキル基であり、
R3は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキレン基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニレン基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニレン基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリーレン基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリーレン基または−C(=O)−、−SO2−である。
【請求項27】
前記化学式1で、R1は、C1−C10のアルキル基、アリル基、C6−C20のアリール基、tert−ブチル基、C1−C10のアルケニル基、またはC1−C10のアルキニル基であることを特徴とする、請求項26に記載のポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体。
【請求項28】
前記化学式1及び前記化学式2で、R2は、フェニル基、−CH2−CH=CH2、または下記化学式で示される置換基のいずれかであることを特徴とする、請求項26に記載のポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体。
【化27】
【請求項29】
前記化学式2で、R3は、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−C(=O)−、−SO2−、−CH2−、−C(CCl3)−、−CH(CH3)−、−CH(CF3)−または下記構造式1(R2は、前記定義された通りである)で示される連結基であることを特徴とする、請求項26に記載のポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体。
【化28】
【請求項30】
前記化学式1の化合物が、下記化学式3〜12で示される化合物のいずれかであることを特徴とする、請求項26に記載のポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体。
【化29】
【化30】
【化31】
【化32】
【化33】
【化34】
【化35】
【化36】
【化37】
【化38】
【請求項31】
前記化学式2で表示される化合物が、下記化学式13〜17で表示される化合物のうちから選択された一つであることを特徴とする請求項26に記載のポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体。
【化39】
【化40】
【化41】
【化42】
【化43】
R2は、フェニル基、−CH2−CH=CH2、または下記化学式で示される基のいずれかである。
【化44】
【請求項32】
請求項26から請求項31のうちいずれか1項に記載のポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体を含む電解質膜。
【請求項33】
前記電解質膜が、プロトン伝導体を含むことを特徴とする、請求項32に記載の電解質膜。
【請求項34】
前記プロトン伝導体が、リン酸、C1−C10のアルキルリン酸からなる群から選択された一つ以上であり、
前記プロトン伝導体の含有量が、前記ポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体100質量部を基準として、100〜1,000質量部であることを特徴とする、請求項32に記載の電解質膜。
【請求項35】
請求項26から請求項31のうちいずれか1項に記載のポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体を含む電解質膜を具備した燃料電池。
【請求項1】
下記化学式1で示される第1ベンゾオキサジン系モノマーと下記化学式2で示される第2ベンゾオキサジン系モノマーとのうちから選択された一つと、架橋性化合物との重合生成物であることを特徴とする、ポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体。
【化1】
前記式中、R1は、水素、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC4−C20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、ハロゲン原子、水酸基またはシアノ基であり、
R2は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC7−C20のアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環アルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、または置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環アルキル基である。
【化2】
前記式中、R2は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC7−C20のアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環アルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、または置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環アルキル基であり、
R3は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキレン基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニレン基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニレン基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリーレン基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリーレン基または−C(=O)−、−SO2−である。
【請求項2】
前記化学式1で、R1は、C1−C10のアルキル基、アリル基、C6−C20のアリール基、tert−ブチル基、C1−C10のアルケニル基、またはC1−C10のアルキニル基であることを特徴とする、請求項1に記載のポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体。
【請求項3】
前記化学式1及び前記化学式2で、R2は、フェニル基、−CH2−CH=CH2、または下記化学式で示される置換基のいずれかであることを特徴とする、請求項1に記載のポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体。
【化3】
【請求項4】
前記化学式2で、R3は、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−C(=O)−、−SO2−、−CH2−、−C(CCl3)−、−CH(CH3)−、−CH(CF3)−または下記構造式1で示される連結基(R2は、請求項1で定義された通りである)であることを特徴とする、請求項1に記載のポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体。
【化4】
【請求項5】
前記化学式1の化合物が、下記化学式3〜12で示される化合物のうちから選択された一つであることを特徴とする、請求項1に記載のポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体。
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【請求項6】
前記化学式2で示される化合物が、下記化学式13〜17で示される化合物のうちから選択された一つであることを特徴とする、請求項1に記載のポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体。
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
R2は、フェニル基、−CH2−CH=CH2、または下記化学式で示される置換基のいずれかである。
【化20】
【請求項7】
前記架橋性化合物が、ポリベンズイミダゾール、ポリベンズチアゾール、ポリベンゾオキサゾール及びポリイミドからなる群から選択された一つ以上であることを特徴とする、請求項1に記載のポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体。
【請求項8】
前記架橋性化合物の含有量が、第1ベンゾオキサジン系モノマーと第2ベンゾオキサジン系モノマーとのうちから選択された一つの総質量100質量部を基準として、5〜95質量部であることを特徴とする、請求項1に記載のポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体。
【請求項9】
請求項1から請求項8のうちいずれか1項に記載のポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体を含む電解質膜。
【請求項10】
前記電解質膜が、プロトン伝導体を含むことを特徴とする、請求項9に記載の電解質膜。
【請求項11】
前記プロトン伝導体が、リン酸、C1−C10のアルキルリン酸からなる群から選択された一つ以上であり、
前記プロトン伝導体の含有量が、ポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体100質量部を基準として、100〜1,000質量部であることを特徴とする、請求項9に記載の電解質膜。
【請求項12】
下記化学式1で示される第1ベンゾオキサジン系モノマーと下記化学式2で示される第2ベンゾオキサジン系モノマーとのうちから選択された一つと、架橋性化合物とを混合する段階と、
前記混合された結果物を硬化し、これをプロトン伝導体に含浸して電解質膜を形成する段階と、
を含み、
下記化学式1で示される第1ベンゾオキサジン系モノマーと下記化学式2で表示される第2ベンゾオキサジン系モノマーとのうちから選択された一つ、及び架橋性化合物の重合生成物であるポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体を含む電解質膜を得ることを特徴とする、電解質膜の製造方法。
【化21】
前記式中、R1は、水素、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC4−C20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、ハロゲン原子、水酸基またはシアノ基であり、
R2は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC7−C20のアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環アルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、または置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環アルキル基である。
【化22】
前記式中、R2は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC7−C20のアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環アルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、または置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環アルキル基であり、
R3は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキレン基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニレン基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニレン基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリーレン基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリーレン基または−C(=O)−、−SO2−である。
【請求項13】
前記架橋性化合物の含有量が、前記第1ベンゾオキサジン系モノマーと前記第2ベンゾオキサジン系モノマーとのうちから選択された一つの質量100質量部を基準として、5〜95質量部であることを特徴とする、請求項12に記載の電解質膜の製造方法。
【請求項14】
前記硬化が、50〜250℃でなされることを特徴とする、請求項12に記載の電解質膜の製造方法。
【請求項15】
前記プロトン伝導体の含有量が、前記架橋性化合物100質量部を基準として、100〜1,000質量部であることを特徴とする、請求項12に記載の電解質膜の製造方法。
【請求項16】
前記プロトン伝導体が、リン酸、C1−C10のアルキルリン酸からなる群から選択された一つ以上であり、
前記プロトン伝導体の含有量が、前記ポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体100質量部を基準として、100〜1,000質量部であることを特徴とする、請求項12に記載の電解質膜の製造方法。
【請求項17】
下記化学式1で表示される第1ベンゾオキサジン系モノマーと下記化学式2で表示される第2ベンゾオキサジン系モノマーとのうちから選択された一つ、及び架橋性化合物を混合する段階と、
前記混合された結果物を用いて膜を形成し、当該膜を硬化してプロトン伝導体に含浸する段階とを含み、
下記化学式1で表示される第1ベンゾオキサジン系モノマーと下記化学式2で表示される第2ベンゾオキサジン系モノマーとのうちから選択された一つ、及び架橋性化合物の重合生成物であるポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体を含む電解質膜を得ることを特徴とする、電解質膜の製造方法。
【化23】
前記式中、R1は、水素、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC4−C20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、ハロゲン原子、水酸基またはシアノ基であり、
R2は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC7−C20のアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環アルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、または置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環アルキル基である。
【化24】
前記式中、R2は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC7−C20のアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環アルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、または置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環アルキル基であり、
R3は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキレン基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニレン基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニレン基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリーレン基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリーレン基または−C(=O)−、−SO2−である。
【請求項18】
前記膜を形成する段階が、前記第1ベンゾオキサジン系モノマーと前記第2ベンゾオキサジン系モノマーとのうちから選択された一つと、前記架橋性化合物との混合物をテープキャスティングして実施されることを特徴とする、請求項17に記載の電解質膜の製造方法。
【請求項19】
前記膜を形成する段階が、前記第1ベンゾオキサジン系モノマーと前記第2ベンゾオキサジン系モノマーとのうちから選択された一つと、前記架橋性化合物との混合物を支持体上にキャスティングして実施されることを特徴とする、請求項17に記載の電解質膜の製造方法。
【請求項20】
前記支持体から前記硬化された結果物を剥離し、前記支持体を除去する段階をさらに含むことを特徴とする、請求項19に記載の電解質膜の製造方法。
【請求項21】
前記架橋性化合物の含有量が、前記第1ベンゾオキサジン系モノマーと前記第2ベンゾオキサジン系モノマーとのうちから選択された一つの質量100質量部を基準として、5〜95質量部であることを特徴とする、請求項17に記載の電解質膜の製造方法。
【請求項22】
前記硬化が、50〜250℃でなされることを特徴とする、請求項17に記載の電解質膜の製造方法。
【請求項23】
前記プロトン伝導体の含有量が、前記架橋性化合物100質量部を基準として、100〜1,000質量部であることを特徴とする、請求項17に記載の電解質膜の製造方法。
【請求項24】
前記プロトン伝導体が、リン酸、C1−C10のアルキルリン酸からなる群から選択された一つ以上であり、
前記プロトン伝導体の含有量が、前記ポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体100質量部を基準として、100〜1,000質量部であることを特徴とする、請求項17に記載の電解質膜の製造方法。
【請求項25】
請求項1から請求項8のうちいずれか1項に記載のポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体を含む電解質膜を具備した燃料電池。
【請求項26】
下記化学式1で示される第1ベンゾオキサジン系モノマーと下記化学式2で示される第2ベンゾオキサジン系モノマーとのうちから選択された一つの重合生成物であることを特徴とする、ポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体。
【化25】
前記式中、R1は、水素、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC4−C20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、ハロゲン原子、水酸基またはシアノ基であり、
R2は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC7−C20のアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環アルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、または置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環アルキル基である。
【化26】
前記式中、R2は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニル基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニル基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリール基、置換もしくは非置換のC7−C20のアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリールアルキル基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環基、置換もしくは非置換のC4−C20の炭素環アルキル基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環基、または置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロ環アルキル基であり、
R3は、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキレン基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルケニレン基、置換もしくは非置換のC1−C20のアルキニレン基、置換もしくは非置換のC6−C20のアリーレン基、置換もしくは非置換のC2−C20のヘテロアリーレン基または−C(=O)−、−SO2−である。
【請求項27】
前記化学式1で、R1は、C1−C10のアルキル基、アリル基、C6−C20のアリール基、tert−ブチル基、C1−C10のアルケニル基、またはC1−C10のアルキニル基であることを特徴とする、請求項26に記載のポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体。
【請求項28】
前記化学式1及び前記化学式2で、R2は、フェニル基、−CH2−CH=CH2、または下記化学式で示される置換基のいずれかであることを特徴とする、請求項26に記載のポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体。
【化27】
【請求項29】
前記化学式2で、R3は、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−C(=O)−、−SO2−、−CH2−、−C(CCl3)−、−CH(CH3)−、−CH(CF3)−または下記構造式1(R2は、前記定義された通りである)で示される連結基であることを特徴とする、請求項26に記載のポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体。
【化28】
【請求項30】
前記化学式1の化合物が、下記化学式3〜12で示される化合物のいずれかであることを特徴とする、請求項26に記載のポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体。
【化29】
【化30】
【化31】
【化32】
【化33】
【化34】
【化35】
【化36】
【化37】
【化38】
【請求項31】
前記化学式2で表示される化合物が、下記化学式13〜17で表示される化合物のうちから選択された一つであることを特徴とする請求項26に記載のポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体。
【化39】
【化40】
【化41】
【化42】
【化43】
R2は、フェニル基、−CH2−CH=CH2、または下記化学式で示される基のいずれかである。
【化44】
【請求項32】
請求項26から請求項31のうちいずれか1項に記載のポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体を含む電解質膜。
【請求項33】
前記電解質膜が、プロトン伝導体を含むことを特徴とする、請求項32に記載の電解質膜。
【請求項34】
前記プロトン伝導体が、リン酸、C1−C10のアルキルリン酸からなる群から選択された一つ以上であり、
前記プロトン伝導体の含有量が、前記ポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体100質量部を基準として、100〜1,000質量部であることを特徴とする、請求項32に記載の電解質膜。
【請求項35】
請求項26から請求項31のうちいずれか1項に記載のポリベンゾオキサジン系化合物の架橋体を含む電解質膜を具備した燃料電池。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図4】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図4】
【公開番号】特開2007−70631(P2007−70631A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−239572(P2006−239572)
【出願日】平成18年9月4日(2006.9.4)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月4日(2006.9.4)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】
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