説明

ポリマーの製造のための担持ビス(ヒドロキシアリールアリールオキシ)触媒

【課題】高分子量ポリマーを形成するための付加重合性モノマーの重合における使用のための担持不均一触媒組成物を提供する。
【解決手段】高分子量ポリマーを形成するための付加重合性モノマーの重合における使用のための担持不均一触媒組成物であって、1)固体微粒子化高表面積表面変性無機酸化物化合物を含む担体、2)ビス(ヒドロキシアリールアリールオキシ)リガンドの第4族金属錯体;お
よび場合により3)前記金属錯体のための活性化助触媒を含む組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(相互参照文献の記載)
本願は、それぞれ2004年8月9日および2004年12月1日に出願された、米国
仮出願第60/600,091号および米国仮出願第60/632,100号の利益を享
受するものである。
【0002】
本発明は、担持オレフィン重合触媒およびポリプロピレンならびにそれらから得られる
他のオレフィンポリマーの製造方法に関する。得られるポリマーは、商業的に周知であり
、成形、押し出し、または他の方法による、固体物品、例えば成形品、フィルム、シート
、および発泡物体などの製造において有用である。得られる製品としては、自動車用部品
、例えばバンパー;包装材料;および他の用途などが含まれる。
【背景技術】
【0003】
米国特許出願公開第2004/0005984号明細書、米国特許出願公開第2004
/0010103号明細書、および米国特許出願公開第2004/0014950号明細
書(国際公開第03/091262号パンフレットに対応)において、オレフィン重合触
媒の成分として用いられるいくつかの遷移金属ビス(ビフェニルフェノール)ドナー錯体
が開示された。各公報のパラグラフ0120において、このような金属錯体の不均一バー
ジョンの調製のための担体、例えばシリカまたはアルミナの使用が教示された。
【0004】
その担持バージョンを包含する前記金属錯体によってもたらされた当分野における進歩
にもかかわらず、このような担持金属錯体および触媒を調製するためのこれらの多くの形
態におけるシリカまたはアルミナの使用は、問題があることがわかっている。特に、重合
反応器の中の担体からのその後の早期喪失を防ぐような方法で金属錯体を不活性担体上に
担持することは、これまでに達成できていない。さらには、重合活性の喪失を防ぐような
方法で金属錯体およびこれを含む触媒組成物を担持することも、難しいことがわかってい
る。他方で、驚くべきことに、先行技術の方法にしたがって前記金属錯体およびこれを含
む触媒組成物を担持させると、活性が強すぎる担持触媒組成物を生じることがあり、過剰
な局部的熱生成およびポリマー粒子の融合につながり、これによって、ポリマー凝集塊(c
lump)もしくは塊(chunk)の形成および低い反応器操作性を招くことが知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
反応器操作性およびポリマー特性における上記の問題を考慮し、本発明者らは、重合反
応器、特に気相反応器の改良された操作性および改良されたポリマー特性を与える前記の
タイプの担持金属錯体および触媒を提供するために鋭意努力した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、高分子量ポリマーを形成するための付加重合性モノマーの重合におけ
る使用のための担持不均一触媒組成物であって、
1)固体微粒子化高表面積表面変性無機酸化物化合物(solid, particulated, high su
rface area, surface modified, inorganic oxide compound)を含む担体、
2)ビス(ヒドロキシアリールアリールオキシ)リガンドの第4族金属錯体;および場
合により、
3)前記金属錯体のための活性化助触媒
を含む組成物が提供される。
【0007】
本発明のさらに一つの実施形態において、1種以上の付加重合性モノマー、特にプロピ
レン、2−メチル−4−ブテンおよびエチレンと1種以上のC3-8α−オレフィンとの混
合物、特にプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、2−メチル−4−ブテンまたは1−
オクテンの高分子量ポリマーの製造方法であって、1種以上の付加重合性モノマーを付加
重合条件下で、
1)固体微粒子化高表面積表面変性無機酸化物化合物を含む担体、
2)ビス(ヒドロキシアリールアリールオキシ)リガンドの第4族金属錯体;および場
合により、
3)前記金属錯体のための活性化助触媒
を含む触媒組成物と接触させる工程を含む方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本明細書における元素周期表への言及はすべて、CRCプレス社が2003年に出版し
、かつ著作権を有する元素周期表のことを言うものとする。また、1または複数の族への
あらゆる参照は、これらの族または族の番号付けのためのIUPACシステムを用いて上
記元素周期表に反映された族のことを言うものとする。米国特許プラクティスのために、
本明細書において参照されたあらゆる特許、特許出願または文献の内容、特に合成技術、
公知化合物および当分野における一般的知識に関する内容は、参照によりその全体が本明
細書に組み込まれる(あるいは対応の米国バージョンが同様に参照により組み込まれる)

【0009】
「含む(comprising)」という用語およびその派生語は、これが本明細書において開示さ
れていてもいなくても、あらゆる追加成分、工程、または手順の存在を除外することが意
図されているわけではない。あらゆる疑問を避けるために、「含む」という用語の使用を
通して本発明において特許請求されたすべての組成物は、その逆のことが記載されていな
いかぎり、ポリマーであれ、他のものであれ、あらゆる追加添加剤、アジュバント、また
は化合物を包含しうる。これとは対照的に、「本質的に〜からなる(consisting essentia
lly of)」という用語は、あらゆるそれに続く列挙の範囲から、操作性に必須でないもの
以外、あらゆる他の成分、工程、または手順を除外する。「〜からなる」という用語は、
具体的に描写されるかまたは列挙されていないあらゆる成分、工程、または手順を除外す
る。「または」という用語は、特に記載がなければ、個別に、ならびにあらゆる組み合わ
せで列挙された要素をいう。
【0010】
「ポリマー」という用語は、両方のホモポリマー、すなわち、単一の反応性化合物から
調製されたポリマーおよびコポリマーを包含する。コポリマーは、少なくとも2つのポリ
マー形成反応性モノマー化合物の反応によって調製されたポリマーを意味する。より具体
的には、「ポリプロピレン」という用語は、プロピレンのホモポリマーおよびプロピレン
と1種以上のオレフィンとのコポリマーを包含する。ただし、上記コモノマーがエチレン
を含む場合、上記ポリマー単位の少なくとも60パーセントは、プロピレン、すなわちメ
チル置換エチレン基に由来するものである。「結晶質(crystalline)」という用語が用い
られる場合、これは、25℃においてX線回折パターンを示し、一次転移(first order t
ransition)または結晶融点(Tm)を有するポリマーのことを言う。この用語は、「半結
晶質」という用語と同義的に用いてもよい。「粒子」という用語は、気相重合方法から直
接生成され、かつ5mm、好ましくは3mmの平均最大横断面サイズを有する、不規則で
ほぼ球形状のポリマー断片またはそのアグロメレートのことを言う。
【0011】
本発明によるポリマーは特に、少なくとも90重量%の重合プロピレンを含有する、プ
ロピレンとエチレンとのコポリマーを包含し、好ましくは狭い分子量分布、すなわち3.
0以下、好ましくは2.8以下のMw/Mnを有する。これに加えて、これらは、高い結
晶化度、特に少なくとも155℃、より好ましくは少なくとも160℃のTmを特徴とす
る。非常に望ましくは、上記ポリマーは、繊維およびフィルム、特に、改良されたヒート
シール特性および高い透明性または清澄性を有する包装フィルムの調製における使用に適
した粒子の形態にある。
【0012】
好適な固体微粒子化高表面積無機酸化物化合物は、金属酸化物、メタロイド酸化物およ
びこれらの混合物を包含する。これらの例としては、タルク、シリカ、アルミナ、マグネ
シア、チタニア、ジルコニア、Sn23、アルミノシリケート、ボロシリケート、粘土お
よびこれらの混合物が包含され、これらは後述するように表面変性されている。本発明に
適した無機酸化物は好ましくは、B.E.T法を用いた窒素細孔測定法によって測定した場
合、10〜1,000m2/g、好ましくは100〜600m2/gの表面積を有する。上
記無機酸化物の細孔容積、ならびに得られる触媒組成物の細孔容積は、窒素吸着によって
測定した場合、典型的には5cm3/gまで、有利には0.1〜3cm3/g、好ましくは
0.2〜2cm3/gである。平均粒子径は、後述するように、所望の用途に応じて選択
され、典型的には0.1〜500μm、好ましくは1〜200μm、より好ましくは10
〜100μmである。
【0013】
本発明における使用に好ましい無機酸化物は、非常に多孔質のシリカ、アルミナ、アル
ミノシリケート、およびこれらの混合物を包含する。最も好ましい担体材料はシリカであ
る。上記担体材料は、グラニュール状、アグロメレート化、ペレット化、またはあらゆる
その他の物理的形態にあってもよい。好適な材料は、グレース・ダビソン(Grace Davison
)(W.R.Grace&Co.の一部門)からSD3216.30、ダビソン・サイロ
イド(Syloid)(商標)245、ダビソン948、ダビソン952、およびダビソン955
という名称で、イネオス・シリカス(Ineos Silicas,Inc.)からイネオス70および757
という名称で、カボット社(Cabot Corporation)からカボシル(Cabosil) (商標)という
名称で、デグッサ(Degussa)AGからアエロシル(Aerosil) (商標)812という名称で
入手しうるシリカ;およびアクゾ・ケミカルズ社(Akzo Chemicals Inc.)からケッツェン(
Ketzen) (商標)という名称で入手しうるアルミナを包含するが、これらに限定されるわ
けではない。
【0014】
上記無機酸化物は、好ましくは空気の存在下または非存在下、あるいは不活性雰囲気下
、当該分野において周知のように加熱または焼成することによって脱水または乾燥され、
物理的に吸収された (physi-sorbed)水、酸素、二酸化炭素、または他の分子が除去され
る。しかしながらまた、一つの実施形態において、上記無機酸化物は初期、20重量パー
セントまでの少量の水を含有していてもよく、これは、本発明による表面変性化合物と注
意深く反応させられる。熱処理を行う場合、好適な熱処理は、100℃〜1,000℃、
好ましくは200℃〜850℃での加熱である。不活性雰囲気または減圧下で行うことが
好ましい。典型的にはこの処理は、10分〜72時間、好ましくは0.5時間〜24時間
実施される。
【0015】
上記固体無機酸化物はその後、表面変性化合物、好ましくはルイス酸、最も好ましくは
、理想的には各オルガノ基中に20個までの炭素を有する、オルガノアルミニウム−、オ
ルガノ亜鉛−、またはヒドロカルビルシラン−化合物またはこれらの化合物あるいは処理
の混合を用いて処理される。好適なオルガノアルミニウム化合物は、周知のトリヒドロカ
ルビルアルミニウム、例えばトリアルキルアルミニウム、特にトリメチルアルミニウム、
トリエチルアルミニウム、およびトリイスブチル(triisbutyl)アルミニウム;トリハロヒ
ドロカルビルアルミニウム化合物、例えばトリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウ
ム;および酸素含有オルガノアルミニウム化合物、例えばアルモキサンを包含する。好適
なオルガノ亜鉛化合物は、ジアルキル亜鉛化合物、特にトリエチル亜鉛、トリi−ブチル
亜鉛またはトリベンジル亜鉛を包含する。好適なオルガノシラン化合物は、トリメチルシ
ランおよびトリ−n−ブチルシランを包含する。こうして得られる生成物を、本明細書で
は「表面変性された(surface modified)」と言う。
【0016】
本発明における無機酸化物担体の処理に適したアルモキサンは、ポリマーもしくはオリ
ゴマーアルモキサン、特にメチルアルモキサン、および中性ルイス酸変性ポリマーもしく
はオリゴマーアルモキサン、例えばC1-30ヒドロカルビル置換第13族化合物の添加によ
って修飾されたアルキルアルモキサン、特にトリ(ヒドロカルビル)アルミニウム−もし
くはトリ(ヒドロカルビル)ホウ素−化合物、または各ヒドロカルビルまたはハロゲン化
ヒドロカルビル基中に1〜10個の炭素を有する、これらのハロゲン化(ペルハロゲン化
を包含する)誘導体、より特別にはトリアルキルアルミニウム化合物、ペルフルオロトリ
(アリール)ホウ素化合物、またはペルフルオロトリ(アリール)アルミニウム化合物を
包含する。その例は、変性メタルモキサン(modified methalumoxane)またはMMAOと呼
ばれることがある、トリイソブチルアルミニウム−またはトリ−n−ブチルアルミニウム
−変性されたメチルアルモキサンを包含する。上記無機酸化物担体の処理に最も好ましい
アルモキサンは、メタルモキサンまたはトリアルキルアルミニウム変性メタルモキサンで
ある。アルモキサンは、金属錯体用の活性化剤もしくは活性化剤の一部としても機能しう
ることから、本発明における使用に好ましい表面変性剤である。
【0017】
上記無機酸化物は、場合により高温において、妨害物質、例えば酸素、水または他の極
性化合物の実質的非存在下で、表面変性化合物の溶液または分散液と固体無機酸化物とを
接触させることによって、表面変性化合物で処理される。該有機金属化合物は、望ましく
は、不活性液体、例えば炭化水素中に溶解または分散され、上記無機酸化物物質が浸漬さ
れ、コーティングされ、スプレーされるか、または1分〜数日の好適な接触期間の間、こ
の溶液または分散液と接触させられる。得られた固体は回収され、所望であれば使用に先
立って、不活性希釈剤、特に脂肪族炭化水素で揮発分を除去しまたは洗浄して、過剰な表
面変性化合物を除去してもよい。典型的には、無機酸化物に関連して用いられる表面変性
化合物の量は、無機酸化物1gあたり0.1〜50μmol、好ましくは1〜10μmo
l/gの濃度を生じるのに十分なものである。表面変性化合物の使用量は、脂肪族炭化水
素液体との接触によって除去されうる有意量の物質を付着させずに、担体表面の無機酸化
物の利用可能な水酸化物または他のルイス塩基部位と反応させるのに十分なものであるこ
とが望ましい。望ましくは、表面変性担体のわずか10パーセント、好ましくはわずか5
パーセント、最も好ましくはわずか1パーセントが、25℃で15分間のへキサンとの接
触によって除去される。
【0018】
本発明における使用に適したビス(ヒドロキシアリールアリールオキシ)リガンドの金
属錯体は、第4族金属誘導体、特に式:
(HOAr1O)21
(式中、T1は、水素原子は数えずに2〜20個の原子の二価架橋基であり;かつAr1
、各々独立して、C6-20アリーレンまたは不活性置換されたアリーレン基である)のビス
(ヒドロキシアリールアリールオキシ)化合物のハフニウム誘導体を包含する。
【0019】
好ましくはこのような錯体は、式(I):
【化4】

(式中、T2は、水素原子は数えずに2〜20個の原子の二価架橋基、好ましくは置換ま
たは非置換のC3-6アルキレン基であり;かつ
Ar2は、各々独立して、水素原子は数えずに6〜20個の原子のアリーレン、または
アルキル−もしくはアリール置換アリーレン基であり;
Mは、第4族金属、好ましくはハフニウムであり;
Xは、各々独立して、アニオン性、中性、またはジアニオン性リガンド基であり;
xは、1〜5の数であり、前記X基の数を示し;かつ
この式および本明細書に示されたすべての他の式中の結合および電子供与性相互作用は
、それぞれ線および矢印によって表わされる。)
で示される。
【0020】
式(I)の金属錯体の好ましい例は、式:
【化5】

(式中、Ar4は、C6-20アリールまたは不活性置換されたその誘導体、特に3,5−ジ
(イソプロピル)フェニル、3,5−ジ(イソブチル)フェニル、ジベンゾ−1H−ピロ
ール−1−イルまたはアントラセン−5−イルであり、かつ
3は、各々独立して、C3-6アルキレンまたは不活性置換されたその誘導体であり;
14は、各々独立して、水素原子、ハロ、水素原子は数えずに50個までの原子のヒド
ロカルビル、トリヒドロカルビルシリルもしくはトリヒドロカルビルシリルヒドロカルビ
ルであり;かつ
Xは、各々独立して、ハロ、または水素原子は数えずに20個までの原子のヒドロカル
ビルもしくはトリヒドロカルビルシリル基であるか、または2個のX基は共に、前記ヒド
ロカルビルもしくはトリヒドロカルビルシリル基の二価誘導体である。)
で示される。
【0021】
特に好ましいのは、式:
【化6】

(式中、Ar4は、3,5−ジ(イソプロピル)フェニル、3,5−ジ(イソブチル)フ
ェニル、ジベンゾ−1H−ピロール−1−イル、またはアントラセン−5−イルであり、
14は、水素原子、ハロまたはC1-4アルキル、特にメチルであり、
3は、プロパン−1,3−ジイルまたはブタン−1,4−ジイルであり、かつ
Xは、クロロ、メチルまたはベンジルである。)
の化合物である。
【0022】
式(I)の最も高度に好ましい金属錯体は、式:
【化7】

で示される。
【0023】
前記ビス(ヒドロキシアリールアリールオキシ)錯体は都合よくは、第4族金属源、お
よび米国特許出願の教示に開示されているような中性ビス(ヒドロキシアリールアリール
オキシ)源を包含する、標準的金属化(metallation)およびリガンド交換手順によって調
製される。
【0024】
上記金属錯体は、助触媒、例えばカチオン形成助触媒、または好適には遷移金属オレフ
ィン重合錯体と共に用いられる他の助触媒と組み合わせることによって、触媒的に活性化
する。本発明における使用に適したカチオン形成助触媒は、中性ルイス酸、例えばC1-30
ヒドロカルビル置換第13族化合物、特に各ヒドロカルビルまたはハロゲン化ヒドロカル
ビル基中に1〜10炭素を有する、トリ(ヒドロカルビル)アルミニウム−またはトリ(
ヒドロカルビル)ホウ素化合物およびそのハロゲン化(ペルハロゲン化を包含する)誘導
体、より特別にはペルフルオロトリ(アリール)ホウ素化合物、最も特別にはトリス(ペ
ンタフルオロフェニル)ホウ素;非ポリマー適合性非配位性イオン形成化合物(nonpolym
eric, compatible, noncoordinating, ion forming compounds)(酸化条件下のこのよう
な化合物の使用を包含する)、特に適合性非配位性アニオンのアンモニウム−、ホスホニ
ウム−、オキソニウム−、カルボニウム−、シリリウム−、またはスルホニウム−塩、ま
たは適合性非配位性アニオンのフェロセニウム−、鉛−、または銀塩の使用;ポリマーも
しくはオリゴマー線状または環式オルガノアルミニウムオキシ化合物、特にアルモキサン
;および前記の助触媒および技術の組み合わせを包含する。前記活性化助触媒および活性
化技術は、次の引例:欧州特許出願公開第277,003号明細書、米国特許出願公開第
5,153,157号明細書、米国特許出願第5,064,802号明細書、米国特許出
願第5,321,106号明細書、米国特許出願第5,721,185号明細書、米国特
許出願第5,350,723号明細書、米国特許出願第5,425,872号明細書、米
国特許出願第5,625,087号明細書、米国特許出願第5,883,204号明細書
、米国特許出願第5,919,983号明細書、米国特許出願第5,783,512号明
細書、国際公開第99/15534号パンフレット、および国際公開第99/42467
号パンフレットにおいて、オレフィン重合用の異なる金属錯体に関して既に開示されてい
る。
【0025】
中性ルイス酸の組み合わせ、特に各アルキル基中に1〜4個の炭素を有するトリアルキ
ルアルミニウム化合物、および各ヒドロカルビル基中に1〜20個の炭素を有するハロゲ
ン化トリ(ヒドロカルビル)ホウ素化合物、特にトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ
素と、非ポリマー適合性非配位性イオン形成塩化合物との組み合わせ、さらには、このよ
うな中性ルイス酸混合物とポリマーもしくはオリゴマーアルモキサンとの組み合わせ、お
よび中性ルイス酸、特にトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素とポリマーもしくはオ
リゴマーアルモキサンとの組み合わせが、活性化助触媒として用いられてもよい。金属錯
体:トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素:アルモキサンの好ましいモル比は、1:
1:1〜1:5:20、より好ましくは1:1:1.5〜1:5:10である。
【0026】
本発明の一つの実施形態において助触媒として有用な好適なカチオン形成化合物は、プ
ロトン供与性ブレンステッド酸であるカチオン、および適合性非配位性アニオンA-を含
む。本明細書において、「非配位性(noncoordinating)」という用語は、前駆錯体を含有
する遷移金属およびそれから誘導された触媒誘導体に配位しないか、またはこのような錯
体に弱く配位されるだけであり、これによって中性ルイス塩基によって置換されるのに十
分不安定なままに留まるアニオンまたは物質を意味する。非配位性アニオンは、具体的に
は、カチオン金属錯体中の電荷バランスアニオンとして機能する時、アニオン置換基また
はこれの断片を前記カチオンに移動させず、中性錯体を形成するアニオンのことを言う。
「適合性アニオン」とは、初期形成された錯体が分解したときに中性にならず、前記錯体
の所望のその後の重合または他の使用を妨げないアニオンである。
【0027】
好ましいアニオンは、電荷を有する(charge-bearing)金属またはメタロイドコアを含む
単一の配位錯体を含有するアニオンであり、前記2つの成分が組み合わされたときに形成
されうる活性触媒種(金属カチオン)の電荷をバランスさせることができるアニオンであ
る。また、前記アニオンは、オレフィン、ジオレフィン、およびアセチレン性不飽和化合
物、または他の中性ルイス塩基、例えばエーテルまたはニトリルによって置換されるのに
十分不安定であるべきである。好適な金属は、限定されるものではないが、アルミニウム
、金、および白金を包含する。好適なメタロイドは、限定されるものではないが、ホウ素
、リン、およびケイ素を包含する。単一の金属またはメタロイド原子を含有する配位錯体
を含むアニオンを含有する化合物は、当然ながら周知であり、多くの化合物、特にアニオ
ン部分に単一のホウ素原子を含有する化合物が、商業的に入手しうる。
【0028】
好ましくはこのような助触媒は、次の一般式:
(L*−H)g+(A)g-
(式中、L*は、中性ルイス塩基であり;
(L*−H)+は、L*の共役ブレンステッド酸であり;
g-は、g−の電荷を有する非配位性適合性アニオンであり、かつ
gは、1〜3の整数である。)
で表わすことができる。
【0029】
より好ましくは、Ag-は、式:
[M’Q4-
(式中、M’は、形式酸化状態(formal oxidation state) +3のホウ素またはアルミニ
ウムであり;かつ
Qは、各々独立して、ヒドリド、ジアルキルアミド、ハライド、ヒドロカルビル、ヒド
ロカルビルオキシド、ハロ置換−ヒドロカルビル、ハロ置換−ヒドロカルビルオキシ、お
よびハロ置換シリルヒドロカルビル基(ペルハロゲン化ヒドロカルビル−ペルハロゲン化
ヒドロカルビルオキシ−およびペルハロゲン化シリルヒドロカルビル基を包含する)から
選択され、前記Qは、20個までの炭素を有する。ただし、Qの1以下がハライドである
。)で示される。好適なヒドロカルビルオキシドQ基の例は、米国特許出願公開第5,2
96,433号明細書に開示されている。
【0030】
より好ましい実施形態において、dは1である。すなわちこの対イオンは、単一の負電
荷を有し、A-である。本発明の触媒の調製において特に有用なホウ素を含む活性化助触
媒は、次の一般式:
(L*−H)+(BQ4-
(式中、L*は、既に定義されているとおりであり;
Bは、形式酸化状態3のホウ素であり;かつ
Qは、非水素原子が20個までのヒドロカルビル−、ヒドロカルビルオキシ−、フッ素
化ヒドロカルビル−、フルオロヒドロカルビルオキシ−またはフッ素化シリルヒドロカル
ビル−基であり、ただし、Qの1以下がヒドロカルビルである。)で示される。
【0031】
好ましいルイス塩基塩は、アンモニウム塩、より好ましくは1以上のC12-40アルキル
基を含有するトリアルキルアンモニウム塩である。最も好ましくは、Qはそれぞれ、フッ
素化アリール基であり、特にペンタフルオロフェニル基である。
【0032】
本発明の改良された触媒の調製において活性化助触媒として用いることができるホウ素
化合物の、例示的かつ非限定的な例は、次のとおりである:
三置換アンモニウム塩、例えば:
トリメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
トリ(sec−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート

N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N−ジメチルアニリニウムn−ブチルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート

N,N−ジメチルアニリニウムベンジルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(4−(t−ブチルジメチルシリル)−2,
3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、
N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(4−(トリイソプロピルシリル)−2,3
,5,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、
N,N−ジメチルアニリニウムペンタフルオロフェノキシトリス(ペンタフルオロフェ
ニル)ボレート、
N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
N,N−ジメチル−2,4,6−トリメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロ
フェニル)ボレート、
ジメチルオクタデシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
メチルジオクタデシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
ジアルキルアンモニウム塩、例えば:
ジ−(i−プロピル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
メチルオクタデシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
メチルオクタドデシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
および
ジオクタデシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート;
三置換ホスホニウム塩、例えば:
トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
メチルジオクタデシルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
および
トリ(2,6−ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル
)ボレート;
二置換オキソニウム塩、例えば:
ジフェニルオキソニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート;
ジ(o−トリル)オキソニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、およ

ジ(オクタデシル)オキソニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート;
二置換スルホニウム塩、例えば:
ジ(o−トリル)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、およ

メチルオクタデシルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートであ
る。
【0033】
好ましい(L*−H)+カチオンは、メチルジオクタデシルアンモニウムカチオン、ジメ
チルオクタデシルアンモニウムカチオン、および1または2個のC14-18アルキル基を含
有するトリアルキルアミンの混合物に由来するアンモニウムカチオンである。
【0034】
前述したとおり、ルイス酸を有する前記アンモニウム塩化合物の誘導体、特にトリアル
キルアルミニウム化合物、特にトリ(C1-4)アルキルアルミニウム化合物は、本発明の
担持触媒と組み合わせにおいて特に有利に用いられることが見い出された。例えばそのよ
うな化合物の一例として、メチルビス(C18-22アルキル)アンモニウム(p−ヒドロキ
シ−フェニル)トリス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトリエチルアルミニウムア
ダクトまたは反応生成物であり、この化合物は、式:[((C252AlOC64)B-
(C653][N+HMe(C18-2237-452]を有すると考えられる。この種類の助
触媒はさらに、米国特許出願第5,834,393号明細書、米国特許出願第2004/
0220051号明細書、ならびに国際公開第2004/094487号パンフレットに
開示されている。
【0035】
もう1つの好適なイオン形成活性化助触媒は、カチオン性酸化剤の塩、および式:
(Oxh+g(Ag-h
(式中、Oxh+は、h+の電荷を有するカチオン性酸化剤であり;
hは、1〜3の整数であり;かつ
g-およびgは、既に定義されているとおりである。)で表わされる非配位性適合性ア
ニオンを含む。
【0036】
カチオン性酸化剤の例は、フェロセニウム、ヒドロカルビル置換フェロセニウム、Ag
+またはPb+2を包含する。好ましい実施形態は、活性化助触媒、特にテトラキス(ペン
タフルオロフェニル)ボレートを含有するブレンステッド酸に関して既に定義されている
アニオンである。
【0037】
もう1つの好適なイオン形成活性化助触媒は、カルベニウムイオンの塩である化合物、
および式:
[C]+-
(式中、[C]+は、C1-20カルベニウムイオンであり;かつ
-は、−1の電荷を有する非配位性適合性アニオンである。)で表わされる非配位性
適合性アニオンを含む。好ましいカルベニウムイオンは、トリチルカチオン、すなわちト
リフェニルメチリウムである。
【0038】
さらなる好適なイオン形成活性化助触媒は、シリリウムイオンの塩である化合物、およ
び式:
(Q13Si)+-
(式中、Q1は、C1-10ヒドロカルビルであり、A-は、既に定義されているとおりである
。)で表わされる非配位性適合性アニオンを含む。
【0039】
好ましいシリリウム塩活性化助触媒は、トリメチルシリリウムテトラキスペンタフルオ
ロフェニルボレート、トリエチルシリリウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート
、およびこれらのエーテル置換アダクトである。シリリウム塩は、J.Chem Soc.Chem.Comm
.,1993,383-384 及び Lambert,J.B.ら,「Organometallics」,1994,13,2430-2443に既に一
般に開示されている。付加重合触媒用活性化助触媒としての上記シリリウム塩の使用は、
米国特許出願公開第5,625,087号に開示されている。
【0040】
アルコール、メルカプタン、シラノール、およびオキシムとトリス(ペンタフルオロフ
ェニル)ホウ素とのあるいくつかの錯体もまた、効果的な触媒活性化剤であり、本発明に
したがって用いてもよい。このような助触媒は、米国特許出願公開第5,296,433
号に開示されている。
【0041】
本発明において用いるのに適した活性化助触媒はまた、ポリマーもしくはオリゴマーア
ルモキサン、特にメチルアルモキサン(MAO)、トリイソブチルアルミニウム変性メチ
ルアルモキサン(MMAO)、またはイソブチルアルモキサン;およびルイス酸変性アル
モキサン、特に各ヒドロカルビルまたはハロゲン化ヒドロカルビル基中に1〜10個の炭
素を有するペルハロゲン化トリ(ヒドロカルビル)アルミニウム−またはペルハロゲン化
トリ(ヒドロカルビル)ホウ素変性アルモキサン、最も特別にはトリス(ペンタフルオロ
フェニル)ホウ素変性アルモキサンを包含する。このような助触媒は、米国特許出願第6
,214,760号明細書、米国特許出願第6,160,146号明細書、米国特許出願
第6,140,521号明細書、および米国特許出願第6,696,379号明細書に既
に開示されている。
【0042】
さらに米国特許第6,395,671号明細書に開示されている、拡張アニオン(expan
ded anion)と総称的に呼ばれている非配位性アニオンを含む種類の助触媒が、本発明にお
ける使用のための金属錯体を活性化するために好適に用いられてもよい。一般的にこれら
の助触媒(イミダゾリド、置換イミダゾリド、イミダゾリニド、置換イミダゾリニド、ベ
ンズイミダゾリド、または置換ベンズイミダゾリドアニオンを有するものによって例証さ
れる)は、次のように示されてもよい:
【化8】

(式中、A*+は、カチオン、特にプロトン含有カチオンであり、好ましくは1または2個
のC10-40アルキル基を含有するトリヒドロカルビルアンモニウムカチオン、特にメチル
ジ(C14-20アルキル)−アンモニウムカチオンであり、
3は、各々独立して、水素原子またはハロ、または水素原子は数えずに30個までの
原子のヒドロカルビル、ハロカルビル、ハロヒドロカルビル、シリルヒドロカルビル、も
しくはシリル(モノ−、ジ−、およびトリ(ヒドロカルビル)シリルを包含する)基、好
ましくはC1-20アルキルであり、かつ
2は、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランまたはトリス(ペンタフルオロフェ
ニル)アルマンである。)。
【0043】
これらの触媒活性化剤の例は、トリヒドロカルビルアンモニウム塩、特に次のメチルジ
(C14-20アルキル)アンモニウム塩を包含する:
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)イミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)−2−ウンデシルイミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)−2−ヘプタデシルイミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)−4,5−ビス(ウンデシル)イミ
ダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)−4,5−ビス(ヘプタデシル)イ
ミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)イミダゾリニド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)−2−ウンデシルイミダゾリニド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)−2−ヘプタデシルイミダゾリニド

ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)−4,5−ビス(ウンデシル)イミ
ダゾリニド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)−4,5−ビス(ヘプタデシル)イ
ミダゾリニド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)−5,6−ジメチルベンズイミダゾ
リド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)−5,6−ビス(ウンデシル)ベン
ズイミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)イミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)−2−ウンデシルイミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)−2−ヘプタデシルイミダゾリド

ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)−4,5−ビス(ウンデシル)イ
ミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)−4,5−ビス(ヘプタデシル)
イミダゾリド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)イミダゾリニド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)−2−ウンデシルイミダゾリニド

ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)−2−ヘプタデシルイミダゾリニ
ド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)−4,5−ビス(ウンデシル)イ
ミダゾリニド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)−4,5−ビス(ヘプタデシル)
イミダゾリニド、
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)−5,6−ジメチルベンズイミダ
ゾリド、および
ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)アルマン)−5,6−ビス(ウンデシル)ベ
ンズイミダゾリド。
【0044】
他の活性化剤としては、PCT公報国際公開第98/07515号パンフレットに記載
されているもの、例えばトリス(2,2’,2”−ノナフルオロビフェニル)フルオロア
ルミネートなどが挙げられる。活性化剤の組み合わせもまた、本発明では考慮される。例
えばアルモキサンおよびイオン化活性化剤の組み合わせが挙げられ、例えば欧州特許出願
公開第0573120号、PCT公報国際公開第94/07928号パンフレットおよび
濃く再公開第95/14044号パンフレット、および米国特許出願公開第5,153,
157号明細書、および米国特許出願公開第5,453,410号明細書を参照されたい
。国際公開第98/09996号パンフレットでは、ペルクロレート類、ペリオデート類
およびイオデート類(それらの水和物を含む)である活性化化合物について記載されてい
る。国際公開第99/18135号では、オルガノボロアルミニウム活性化剤の使用につ
いて記載されている。国際公開第03/10171号パンフレットでは、ブレンステッド
酸のルイス酸でのアダクトである触媒活性化剤が開示されている。触媒化合物を活性化す
るための他の活性化剤または方法は、例えば米国特許出願公開第5,849,852号明
細書、米国特許出願公開第5,859,653号明細書、米国特許出願公開第5,869
,723号明細書、欧州特許出願公開第615981号明細書、およびPCT公報国際公
開第98/32775号パンフレットに記載されている。前記触媒活性化剤のすべて、な
らびに遷移金属錯体に用いられる他のあらゆる公知の活性化剤は、本発明に従って、単独
で使用することもできるし、組み合わせて用いることもできる。
【0045】
アルモキサン以外の前記活性化助触媒は、好ましくは本発明の組成物中に包含されない
ことに注目すべきである。その理由は、最良の結果が一般に、アルモキサンまたはトリヒ
ドロカルビルアルミニウム化合物、特に無機酸化物表面上での付加的な(adventitious)量
の水との反応、および場合により追加のアルモキサン助触媒との反応によって現場でアル
モキサンを形成すると考えられている、トリアルキルアルミニウム化合物での処理によっ
て表面変性されている無機酸化物担体の使用によって得られたからである。
【0046】
本発明のポリマーの調製方法は、いくつかのファクターによって異なる。重要なファク
ターは、重合のために用いられる温度である。温度は重要であるが、それは、得られるポ
リマーの分子量に対して有意な作用を及ぼすからである。一般に、より低い重合温度の使
用は、より高い分子量を有するポリマーを生じる。本発明においては、70℃〜150℃
の範囲の温度が好ましい。より好ましくは、この温度は、90℃〜135℃の範囲である

【0047】
反応圧力は、選択された方法によって異なるが、一般に大気圧〜10MPa、好ましく
は500kPa〜4MPaの範囲である。用いられるモノマーは、操作温度において大き
い分圧を有していないかもしれないので、不活性物質、例えば窒素、アルゴン、ブタンま
たはヘキサンが、反応器の作業圧力を増加させるために反応器に添加されてもよい。バッ
チ重合における反応時間または連続重合における滞留時間は、1分〜10時間、より好ま
しくは5分〜6時間、最も典型的には15分〜60分の範囲であってもよい。
【0048】
所望であれば、1以上のプロセスまたは製品特性を変えるために、重合調節剤(PM)
組成物が用いられてもよい。最も一般的な意味で本発明における使用に適したPM組成物
は、少なくとも2つの試薬、例えば1種以上のルイス酸と、1種以上の有機プロトン化試
薬との反応生成物を含む。その結果、得られる生成物が、様々な種と動的相互転換化合物
との間の平衡を含む、複数の種の混合物を含有しうることが、当業者によって理解される
べきである。本発明の一つの実施形態において、前記試薬を、適切な希釈剤、好ましくは
炭化水素、例えばヘキサンまたはヘプタン中で組み合わせて形成される反応混合物は、精
製および/または単離された反応生成物それ自体よりもむしろ、重合調節剤としての使用
に好ましい。
【0049】
このようにして本実施形態において、本発明は、高分子量ポリマーを形成するための付
加重合性モノマーの重合における使用のための担持不均一触媒組成物であって、
1)固体微粒子化高表面積表面変性無機酸化物化合物を含む担体、
2)ビス(ヒドロキシアリールアリールオキシ)リガンドの第4族金属錯体;場合によ
り、
3)前記金属錯体のための活性化助触媒、および
4)重合調節剤
を含む組成物を包含する。
【0050】
好適なルイス酸は、
式:[M41x'y'z'
(式中、M4は、第2〜13族の金属、Ge、Sn、またはBiであり;
1は独立して、アニオン性またはポリアニオン性リガンドであり;
x’は、0超であって、6またはそれ以下の数であり;
Gは、場合によりA1へ結合された中性ルイス塩基であり;
y’は、0〜4の数であり;かつ
z’は、1〜10の数である。)で示される化合物である。
【0051】
好ましくは上記ルイス酸は、
一般式:M41x'y'
(式中、M4は、第2〜13族の金属、Ge、Sn、またはBiであり;
1は独立して、アニオン性リガンドであり;
x’は、整数であり、M4の原子価と等しく;
Gは、中性ルイス塩基であり;
y’は、0〜4の数である。)で示される化合物である。
【0052】
より好ましくはM4は、Mg、B、Ga、Al、またはZnであり;A1は、C1-20ヒド
ロカルビル、または不活性置換されたヒドロカルビル、特にC1-12アルキルまたはアリー
ルである。好ましい不活性置換基は、ハライド、トリメチルシリル、ハロアリール、およ
びハロアルキルを包含する。
【0053】
重合調節剤を形成するために用いられる有機プロトン化試薬は、
式:[(H−J1z"2z'"
(式中、J1は、NA3、PA3、S、またはOであり、
z”は、1または2であり、
2は、C1-20ヒドロカルビルもしくは不活性置換ヒドロカルビル、トリ(C1-10ヒド
ロカルビル)シリルまたはその多価誘導体であり、
3は、水素原子、C1-20ヒドロカルビルもしくは不活性置換ヒドロカルビル、または
共有結合(A2が二価リガンド基であり、z”が1であるとき)であり;かつ
z”’は、1〜10の数である。)で示される化合物を包含する。
【0054】
好ましい有機プロトン化試薬は、
式:(H−J1z"2
(式中、J1は、NA3、PA3、S、またはOであり、z”は、1または2であり;かつ
2は、C1-20ヒドロカルビルもしくは不活性置換ヒドロカルビル、トリ(C1-4ヒドロカ
ルビル)シリル、またはその二価誘導体、特にC1-12アルキル、1,4−ブチレン、トリ
(C1-4アルキル)シリル、またはアリールであり、A3は、水素原子、C1-20ヒドロカル
ビルもしくは不活性置換ヒドロカルビル、または共有結合である。)で示される化合物を
包含する。好ましい不活性置換基は、ハライド、トリメチルシリル、ハロアリール、また
はハロアルキルである。
【0055】
前記重合調節剤の例は、カルボン酸、特に長鎖脂肪酸の金属塩、またはこれらの(ポリ
)アルキレンオキシド誘導体を包含する。好ましくはこのようなカルボキシレート金属塩
重合調節剤は、元素周期表の第1〜15族から選択された金属のモノ−、ジ−、またはト
リ−カルボキシレートを包含する。非限定的な例としては、飽和、不飽和、脂肪族、芳香
族、または脂環式カルボン酸塩であって、該カルボキシレートリガンドが、好ましくは2
〜24炭素原子を有し、さらには置換されていてもよいもの、例えばアセテート、プロピ
オネート、ブチレート、バレレート、ピバレート、カプロエート、イソブチルアセテート
、t−ブチル−アセテート、カプリレート、ヘプタネート、ペラルゴネート、ウンデカノ
エート、オレエート、オクトエート、パルミテート、ミリステート、マルガレート、ステ
アレート、アラケート(arachate)、サリチレート、ラクテート、およびテルコサノエート
が含まれる。これらの金属の非限定的な例としては、Li、Na、K、Mg、Ca、Sr
、Sn、Ti、V、Ba、Zn、Cd、Hg、Mn、Fe、Co、Ni、Sb、およびA
lが含まれる。
【0056】
一つの実施形態において、上記カルボキシレート金属塩は、次の一般式によって表わさ
れる:M(Q)x"(OOCR)y"
(式中、Mは、第2〜6および12〜15族、より好ましくは第2、12もしくは13族
の金属であり、最も好ましくはZnまたはAlであり;Qは、ハロゲン、水素原子、ヒド
ロキシド、ヒドロカルビル、ヒドロカルビルオキシ、トリ(ヒドロカルビル)シリル、ト
リ(ヒドロカルビル)シリルオキシ、ジ(ヒドロカルビル)アミド、ジ(ヒドロカルビル
)ホスフィド、前記のもののヒドロキシ−、ハロ−またはヒドロカルビルオキシ−置換誘
導体、またはこれらの混合物であり;Rは、ヒドロカルビル、または2〜100個の炭素
原子、好ましくは4〜50個の炭素原子、最も好ましくは10〜24個の炭素を有する、
ハロ−、ヒドロキシ−、ジヒドロカルビルアミノ−、ヒドロカルビルオキシ−またはポリ
(ヒドロカルビルオキシ)−置換ヒドロカルビル基であり;x”は、0〜3の整数であり
、y”は、1〜4の整数であり、x”とy”との合計は、金属の原子価に等しい。)上記
式の好ましい実施形態において、y”は、1〜3の整数、好ましくは1または2である。
【0057】
上記式中のRの非限定的な例としては、直鎖または分岐鎖のアルキル、シクロアルキル
、アルコキシアルキル、アラルキル、ヒドロキシアリールアルキル、ヒドロキシアルキル
、およびポリ(アルキレンオキシ)アルキル基が含まれる。上記式中のQの非限定的な例
としては、1〜30炭素原子を有する、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニ
ル、アリールアルキル、アリールアルケニルもしくはアルキルアリール、トリアルキルシ
ラン、トリアリールシラン、ジアルキルアミド、ジアリールアミド、ジアルキルホスフィ
ドおよびアルコキシが含まれる。望ましくは、該カルボキシレート金属塩は、30℃〜2
50℃、より好ましくは50℃〜230℃、最も好ましくは100℃〜200℃の融点を
有する。
【0058】
好ましいカルボキシレート金属塩は、亜鉛またはアルミニウムカルボキシレート、例え
ばアルミニウムモノ、ジ−、およびトリ−ステアレート、オクトエート、オレエート、ラ
ウレート、ラクテート、シクロヘキシルブチレート;前記のもののエチレンオキシド誘導
体;またはこれらのグリセロールエステルである。これらの金属カルボキシレート塩のい
くつかは、商業的に入手可能であり、多様な程度のケン化を有する、様々なアルミニウム
および亜鉛ステアレート、オレエート、およびラウレートを包含する。この種類の組成物
は、米国特許出願公開第6,472,342号明細書において重合添加剤およびこれらの
等価物としての使用が既に開示されている。ヒドロキシアルミニウムジステアレートが、
本発明の担持金属錯体触媒と組み合わせた好適な重合調節剤として特に挙げられる。
【0059】
別の好ましい実施形態において、少なくとも1つのR基は、ヒドロキシ−またはN,N
−ジヒドロカルビルアミノ−基、好ましくはヒドロキシ−基で置換されている。すなわち
、望ましくは非共有電子によって金属Mへ配位されている。この対応ヒドロキシカルボキ
シレート金属塩は特に、次式:
【化9】

(式中、ReおよびRfは、各々独立して、水素原子、ハロゲン、またはC1-6アルキルで
あり、かつ
M、Q、x”およびy”は、既に定義されているとおりである。)で示される化合物を
包含する。
【0060】
好ましいヒドロキシ−置換カルボキシレート塩は、前記式(式中、ReおよびRfは、す
べて水素原子であるか、またはC1-4アルキルであり、x”は0であり、y”は2である
)で示される亜鉛塩である。前記金属ヒドロキシカルボキシレート化合物の例としては、
亜鉛ジ(2−プロピオネート)(亜鉛ジ(ラクテート)とも呼ばれる。)、亜鉛ジ(サリ
チレート)、亜鉛ビス−3,5−ジ(i−プロピル)サリチレート、および亜鉛ビス−3
,5−ジ(t−ブチル)サリチレーが含まれる。前記ヒドロキシ−置換カルボキシレート
塩は、国際公開第2004094487号パンフレットにおいて、重合添加剤としての使
用が既に開示されている。
【0061】
一つの実施形態におけるカルボキシレート金属塩は、上記触媒組成物または反応混合物
のさらなる改良のために設計された追加成分と併用してもよい。その例としては、帯電防
止剤、例えば脂肪アミンおよび/またはその誘導体、例えばケマミン(Kemamine)AS99
0/2亜鉛添加剤、エトキシル化ステアリルアミンと亜鉛ステアレートとのブレンド、ま
たはケマミンAS990/3、エトキシル化ステアリルアミン、亜鉛ステアレート、およ
びオクタデシル−3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメートのブレン
ドが含まれる。これらのブレンドはいずれも、テネシー州メンフィスのウイトコ社(Witco
Corporation)から入手しうる。
【0062】
重合調節剤を用いることにより、1以上のプロセスまたは生成物の特性に、有利に影響
する。これらの例としては、同等の重合条件においてより高級もしくはより低級コモノマ
ーの組み込みを有するコポリマーを調製する能力、あるいはまた、より高い重合温度、ま
たは反応混合物中のより低いコモノマー濃度において同等のコポリマーを調製する能力が
含まれる。重合調節剤を使用することによる別の有利な特徴は、ホモポリマーおよびコポ
リマー生成物のより狭いかまたはより幅広い分子量分布(Mw/Mn)、または特定種、
例えば差別化された結晶化度、溶解度、立体規則性、融点、メルトフローインデックス、
または他の物理的性質を有するポリマーフラクションの形成の相対的な欠如またはその形
成の減少によって決定されるような、生成物形成におけるより高い選択性でありうる。P
Mの使用のさらに望ましい結果は、改良されたプロセス特性、例えば重合混合物中に存在
することがある不純物を取り除くことによる、改良されたモノマー転化効率であってもよ
い。非常に望ましくは、このPMは、気相重合におけるポリマー粒子の融合につながるこ
とがある、局部的過熱を防ぐのを補助するために、触媒活性を調節するために用いられる
。このPMは、触媒組成物が、高温においてより活性でなくなるようにする。用いられた
PMのモル量は、一般に、金属錯体1モルあたり0.1〜10モルの量である。
【0063】
重合調節剤に加えて、前記PM組成物について記載されたものを包含する1以上の有利
な結果を得るために、従来の添加剤も、上記反応混合物において用いることができる。例
えば、反応混合物中に存在する有害な不純物(もしあるとすれば)を除去するために、ス
カベンジャーが用いられてもよい。好適なスカベンジャーの例は、金属錯体の活性化また
は完全活性化を生じさせるのに十分ではない量で用いられる、トリ(C1-8アルキル)ア
ルミニウムおよびアルモキサン化合物を包含する。特に好ましいアルモキサンは、アクゾ
・ノーベル社(Akzo Noble Corporation)から商品名MMAO−IPおよびMMAO−3A
として商業的に入手しうる、トリイソプロピルアルミニウム変性メチルアルモキサン、ま
たはトリイソブチルアルミニウム変性メチルアルモキサンを包含する。典型的には、用い
られるそのようなスカベンジャーのモル量は、金属錯体1モルあたり、金属(アルミニウ
ム)価を基準にして1〜10モルである。
【0064】
上記反応混合物における使用のための別の従来の添加剤は、粒子分離を補助しうる界面
活性剤または帯電防止剤である。好適な界面活性剤は、ワックス、例えばカルボン酸、特
にステアリン酸の金属塩、例えばカルシウムステアレート、亜鉛ステアレート、もしくは
マグネシウムステアレート、(ポリ)グリコールエーテル、カーボンブラック、および/
または他の公知の帯電防止剤、またはこれらの混合物を包含する。
【0065】
本発明の一つの実施形態において、上記触媒組成物は、噴霧乾燥法の使用によって離散
粒子として形成される。したがってこれらの成分は、適切な溶媒または希釈剤、例えばト
ルエンまたはテトラヒドロフラン中に分散または分解されてもよい。得られる分散液は、
溶媒もしくは希釈剤の除去および触媒組成物の固体粒子の形成を生成するための温度およ
び圧力条件下、噴霧ノズルを強制的に通過させられる。先行技術の触媒組成物の噴霧乾燥
法、例えば米国特許出願公開第6,187,866号明細書;米国特許出願公開第5,5
67,665号明細書;米国特許出願公開第5,290,745号公報;米国特許出願公
開第5,122,494号明細書;米国特許出願公開第4,990,479号明細書;米
国特許出願公開第4,728,705号明細書;米国特許出願公開第4,508,842
号明細書;米国特許出願公開第4,482,687号明細書;米国特許出願公開第4,3
02,565号明細書;および米国特許出願公開第4,293,673号明細書に開示さ
れている技術は、本発明による噴霧乾燥した触媒組成物の調製に使用するために適合させ
ることができる。
【0066】
より詳しくは、ビス(ヒドロキシアリールアリールオキシ)化合物の溶液またはスラリ
ーは、固体微粒子化高表面積表面変性無機酸化物化合物と混合するが、通常、使用に先立
って、少なくとも100℃、より好ましくは少なくとも150℃の温度で、1〜10時間
、好ましくは2〜5時間の加熱によって乾燥させる。1種以上の活性化剤を、金属錯体の
添加前、添加後または添加と同時に、得られるスラリーに添加してもよい。望ましくは、
用いられる表面変性無機酸化物化合物の量は、全組成物重量の1〜95パーセント、好ま
しくは30〜90パーセントである。噴霧乾燥後、該表面変性無機酸化物化合物は望まし
くは、噴霧乾燥された触媒粒子の重量の70〜99.999パーセント、好ましくは90
〜99パーセントを構成し、該無機酸化物単独では、好ましくは20〜40重量パーセン
ト、好ましくは30〜40重量%を構成する。
【0067】
得られる混合物は、加熱し、次いでほぼ球形の離散粒子を形成するのに適した噴霧装置
によって噴霧してもよい。噴霧は通常、スラリーを、不活性乾燥ガスと共に噴霧器を通過
させることによって実施される。噴霧ノズルまたは遠心分離高速ディスクは、噴霧を実施
するために用いることができる。乾燥ガスの容積流は通常、所望の粒子径を形成し、かつ
過剰量の液体成分を除去するために、スラリーの容積流よりもかなり高い。乾燥ガスは、
噴霧の間に用いられる条件下で非反応性であるべきである。好適なガスは、窒素およびア
ルゴンを包含するが、非反応性であり、かつ触媒の乾燥を所望の程度にすることができる
ものであれば、あらゆる他のガスを用いてもよい。一般にこの乾燥ガスは、高温、好まし
くは100〜300℃、より好ましくは150〜220℃の温度に加熱される。乾燥ガス
の容積流が高い場合は、より低い乾燥ガス温度を用いてもよい。
【0068】
触媒、充填剤および場合により活性化剤を含むスラリーを、加圧下、ノズルまたはほか
の噴霧装置を通って、乾燥ガスが流れるガス流中に放出する。噴霧乾燥装置の寸法は、こ
の機械の内部表面と噴霧触媒混合物とが接触する前に、噴霧触媒混合物から実質的な液体
除去をすることができるようなサイズに設計される。十分に乾燥して得られる粒子は、噴
霧乾燥装置の表面と衝突した時、実質的に球形形状を保持する。噴霧ノズル圧力は、望ま
しい粒子のサイジングを与えるように選択され、乾燥ガスの速度によっても異なる。典型
的な圧力は、1〜200psig(0.01〜1.5MPa)、より好ましくは10〜1
50psig(0.02〜1.1MPa)である。遠心分離噴霧において、噴霧器ホイー
ル直径は典型的には、50〜500mm、好ましくは90〜200mmの範囲にある。ホ
イール速度は、粒子径を制御するように調節されてもよい。典型的なホイール噴霧器速度
は、8,000rpm〜24,000rpmである。
【0069】
本発明の別の実施形態において、噴霧乾燥バージョンを包含する触媒組成物は、制御さ
れた穏やかな重合条件下、1種以上のオレフィンモノマーとの反応によって予備重合され
てもよい。こうして得られる生成物は一般に、より均一な粒子径、より高い粒子構造一体
性、および適度な重合活性を有し、改良された性能特徴をもたらす。本発明において用い
るのに適した予備重合条件は周知であり、多くの公報、例えば米国特許出願第6,040
,260号明細書および米国特許出願第6,841,634号明細書に開示されている。
【0070】
重合の間、モノマーの混合物は、あらゆる適切な重合条件にしたがって、担持活性化触
媒組成物と接触させられる。この方法は一般に、高い温度および圧力の使用を特徴とする
。所望であれば、水素を公知の技術による分子量制御のための連鎖移動剤として用いても
よい。他の同様の重合におけるように、用いられるモノマーおよび溶媒は、触媒失活が発
生しないほど高純度のものを用いることが非常に望ましい。モノマー精製のためのあらゆ
る適切な技術、例えば減圧下での揮発分除去、分子篩または高表面積アルミナとの接触、
または前記の方法の組み合わせを用いてもよい。
【0071】
本発明の好ましい実施形態において、上記担持触媒は、溶液、スラリー、または気相重
合のいずれかにおいて用いられる。この重合は望ましくは、連続重合として実施される。
この場合、触媒成分、モノマー、希釈剤、および場合により溶媒もしくは縮合剤、重合調
節剤、界面活性剤、および/またはスカベンジャーは、連続的に反応帯域へ供給され、ポ
リマー生成物が連続的にそこから取り出される。この状況において用いられているような
「連続」および「連続的に」という用語の範囲内に、反応体または他の成分の断続的な添
加、および短い規則的な間隔での生成物の取り出しがあり、したがって経時的に全体的な
方法が連続的であるプロセスが含まれる。
【0072】
溶液重合法について、用いられる重合条件下でポリマーが可溶である液体希釈剤中の触
媒成分の均一分散を用いることが望ましい。このような均一触媒分散を生成するために極
めて微細なシリカまたは同様の分散剤を用いたそのような方法の一つが、米国特許出願公
開第5,783,512号明細書に開示されており、該担体が本明細書に記載されている
ように表面変性されている限り、本方法に適用可能である。高圧法は通常、100℃〜4
00℃の温度、500バール(50MPa)を超える圧力で実施される。スラリー法は典
型的には、不活性炭化水素希釈剤、および0℃から、得られるポリマーが不活性重合媒質
中に実質的に可溶になる温度のすぐ下の温度までの温度を用いる。スラリー重合における
好ましい温度は、30℃から、好ましくは60℃から115℃まで、好ましくは100℃
までである。圧力は典型的には、大気圧(100kPa)〜500psi(3.4Mpa
)の範囲である。
【0073】
気相重合法における使用のために好ましくは、担体材料および得られる触媒は、10〜
200μm、より好ましくは10μm〜150μm、最も好ましくは10μm〜100μ
mの粒子中央粒径(D50)を有する。スラリー重合法における使用のために好ましくは
、担体は、1μm〜200μm、より好ましくは5μm〜100μm、最も好ましくは1
0μm〜80μmの粒子中央粒径を有する。溶液または高圧重合法における使用のために
好ましくは、担体は、0.1μm〜40μm、より好ましくは1μm〜30μm、最も好
ましくは2μm〜20μmの粒子中央粒径を有する。
【0074】
本発明の担持触媒組成物は、気相重合法に最も有利に用いられる。このような方法は、
ポリプロピレン、エチレン/プロピレンコポリマーの製造および他のオレフィン重合のた
めに商業的に大規模に用いられる。用いられる気相法は、例えば重合反応帯域として機械
的撹拌床またはガス流動床を用いる型のものであってもよい。好ましくは、重合反応が、
流動化ガス流によって、多孔板、流動化グリットの上に支持されているかまたは懸垂され
たポリマー粒子の流動床を含有する垂直円筒重合反応器において実施される方法である。
【0075】
該床を流動化させるために用いるガスは、重合されることになる1または複数のモノマ
ーを含み、また、該床から反応熱を除去するための熱交換媒質として機能する。熱いガス
が、反応器の頂部から、通常は安定化(tranquilization)帯域を介して現われる。この帯
域はまた、速度減少帯域としても知られており、流動床よりも広い直径を有し、ここで、
ガス流中に輸送された細かい粒子が、該床中に重力に引かれて入る機会を有する。熱いガ
ス流から超微細粒子を除去するためにサイクロンを用いることも有利になりうる。次いで
、このガスは通常、ブロワーもしくはコンプレッサー、およびガスから重合熱を奪うため
の1以上の熱交換器によってこの床へ再循環される。
【0076】
冷却された再循環ガスによって与えられる冷却に加えて、この床の好ましい冷却方法は
、該床へ揮発性液体を供給し、縮合モード(condensing mode)での操作と呼ばれることが
多い蒸発的冷却効果を与える方法である。この場合に用いられる揮発性液体は、例えば揮
発性不活性液体、例えば3〜8、好ましくは4〜6個の炭素原子を有する飽和炭化水素で
あってもよい。モノマーまたはコモノマーそれ自体が揮発性液体である場合、または縮合
されてこのような液体を生じうる場合、適切にはこの床へ供給され、蒸発的冷却効果を与
えうる。この揮発性液体は、熱い流動床において蒸発し、ガスを形成し、流動化ガスと混
ざる。この揮発性液体がモノマーまたはコモノマーである場合、この床において何らかの
重合を受けるであろう。この蒸発された液体は次いで、熱い再循環ガスの一部として反応
器から現われ、再循環ループの圧縮/熱交換部分に入る。この再循環ガスは、熱交換器に
おいて冷却され、このガスが冷却される温度が露点以下である場合、気体は液体に凝縮さ
れる。該液体は望ましくは、流動床へ連続的に再循環される。該凝縮液体を該床へ、再循
環ガス流中で輸送される液滴として再循環させることが可能である。このタイプの方法は
、例えば欧州特許第89691号明細書;米国特許第4,543,399号明細書;国際
公開第94/25495号パンフレット、および米国特許出願公開第5,352,749
号明細書に記載されている。該液体を床へ再循環する特に好ましい方法は、液体を再循環
ガス流から分離し、好ましくは該液体の細かい小滴を床中に発生させる方法を用いて、該
液体を床中へ直接再注入する方法である。このタイプの方法は、国際公開第94/280
32号パンフレットに記載されている。
【0077】
ガス流動床中で発生する重合反応は、触媒組成物の連続または半連続添加によって触媒
される。該触媒組成物は、所望であれば、オレフィンポリマー粒子中に埋め込まれた担持
触媒粒子を含む触媒複合材料を得るために、例えば液体不活性希釈剤中で少量のオレフィ
ンモノマーを重合することによって予備重合工程へ付されてもよい。
【0078】
該ポリマーは、該床中の触媒組成物、担持触媒組成物または予備重合触媒組成物の流動
化粒子上のモノマーまたはモノマー混合物の重合によって、流動床において直接生成する
。重合反応の開始は、好ましくは所望のポリマーと類似した、予め形成されたポリマー粒
子の床を用い、触媒組成物、これらのモノマーおよび気相縮合モードで操作されるときに
再循環ガス流中に含まれることが望まれるあらゆる他のガス、例えば希釈剤ガス、水素連
鎖移動剤または不活性縮合性ガスの導入に先立って、不活性ガスまたは窒素での乾燥によ
って該床をコンディショニングすることによって達成される。生成したポリマーは、所望
どおりに流動化床から連続的または半連続的に排出される。
【0079】
本発明の実施に最も適した気相法は、反応体の連続的な供給および反応器の反応帯域か
らの生成物の取り出しを与え、それによってマクロ規模で定常状態環境を与える連続法で
ある。生成物は、公知技術にしたがって、減圧および場合により高温(揮発分の除去)へ
の暴露によって容易に回収される。典型的には該気相法の流動床は、50℃超、好ましく
は60℃〜110℃、より好ましくは70℃〜110℃の温度で操作される。
【0080】
本発明の方法における使用に適合しうる好適な気相法は、米国特許出願公開第4,58
8,790号明細書;米国特許出願公開第4,543,399号明細書;米国特許出願公
開第5,352,749号明細書;米国特許出願公開第5,436,304号明細書;米
国特許出願公開第5,405,922号明細書;米国特許出願公開第5,462,999
号明細書;米国特許出願公開第5,461,123号明細書;米国特許出願公開第5,4
53,471号明細書;米国特許出願公開第5,032,562号明細書;米国特許出願
公開第5,028,670号明細書;米国特許出願公開第5,473,028号明細書;
米国特許出願公開第5,106,804号明細書;米国特許出願公開第5,556,23
8号明細書;米国特許出願公開第5,541,270号明細書;米国特許出願公開第5,
608,019号明細書;および米国特許出願公開第5,616,661号明細書に開示
されている。
【0081】
本発明の次の特定の実施形態がこれによって、添付クレームのサポートとして提供され
る。
【0082】
1.高分子量ポリマーを形成するための付加重合性モノマーの重合における使用のため
の担持不均一触媒組成物であって、
1)固体微粒子化高表面積表面変性無機酸化物化合物を含む担体、
2)ビス(ヒドロキシアリールアリールオキシ)リガンドの第4族金属錯体;および場
合により
3)前記金属錯体のための活性化助触媒
を含む組成物。
【0083】
2.前記金属錯体が、式:
【化10】

(式中、T2は、水素原子は数えずに2〜20個の原子の二価架橋基、好ましくは置換ま
たは非置換C3-6アルキレン基であり;かつ
Ar2は、各々独立して、水素原子は数えずに6〜20個の原子のアリーレン、または
アルキル−もしくはアリール置換アリーレン基であり;
Mは、第4族金属、好ましくはハフニウムであり;
Xは、各々独立して、アニオン性、中性、またはジアニオン性リガンド基であり;
xは、1〜5の数であり、前記X基の数を示し;かつ
結合および電子供与性相互作用は、それぞれ線および破線によって表わされる。)
で示される、実施形態1に記載の組成物。
【0084】
3.前記金属錯体が、式:
【化11】

(式中、Ar4は、C6-20アリールまたは不活性置換されたその誘導体、特に3,5−ジ
(イソプロピル)フェニル、3,5−ジ(イソブチル)フェニル、ジベンゾ−1H−ピロ
ール−1−イルまたはアントラセン−5−イルであり、かつ
3は、各々独立して、C3-6アルキレンまたは不活性置換されたその誘導体であり;
14は、各々独立して、水素原子、ハロ、水素原子は数えずに50個までの原子のヒド
ロカルビル、トリヒドロカルビルシリルもしくはトリヒドロカルビルシリルヒドロカルビ
ルであり;かつ
Xは、各々独立して、ハロ、または水素原子は数えずに20個までの原子のヒドロカル
ビル基もしくはトリヒドロカルビルシリル基であるか、または2個のX基が共に、前記ヒ
ドロカルビル基もしくはトリヒドロカルビルシリル基の二価誘導体である。)
の化合物からなる群より選択される、実施形態2に記載の組成物。
【0085】
4.前記金属錯体が、式:
【化12】

(式中、Ar4は、3,5−ジ(イソプロピル)フェニル、3,5−ジ(イソブチル)フ
ェニル、ジベンゾ−1H−ピロール−1−イルまたはアントラセン−5−イルであり、
14は、水素原子、ハロまたはC1-4アルキル、特にメチルであり、
3は、プロパン−1,3−ジイルまたはブタン−1,4−ジイルであり、かつ
Xは、クロロ、メチルまたはベンジルである。)
で示される化合物から選択される、実施形態3に記載の組成物。
【0086】
5. 前記金属錯体は、プロパン−1,3−ビス[オキシフェニル−2−((N−2,
3,4,5−ジベンゾピロール)−5−メチル−2−オキシ)フェニル]ハフニウムジメ
チルである、実施形態4に記載の組成物。
【0087】
6. 重合変性剤をさらに含む、実施形態1に記載の組成物。
【0088】
7. 前記重合変性剤は、ヒドロキシアルミニウムジ(ステアレート)、亜鉛ジ(2−
プロピオネート)、亜鉛ジ(サリチレート)、亜鉛ビス−3,5−ジ(i−プロピル)サ
リチレート、または亜鉛ビス−3,5−ジ(t−ブチル)サリチレートである、実施形態
1に記載の組成物。
【0089】
8. 上記成分の溶液またはスラリーを噴霧乾燥することによって製造された、実施形
態1に記載の組成物。
【0090】
9. 予備重合された触媒または高分子量ポリマーの製造方法であって、1種以上の付
加重合性モノマーを、付加重合条件下で実施形態1〜8のいずれか1項記載の触媒組成物
と接触させる工程を含む方法。
【0091】
10. エチレンおよび1種以上のC3-8α−オレフィンを含む混合物が重合される、
実施形態9に記載の方法。
【0092】
11. エチレンおよびプロピレンを含む混合物が重合されて、少なくとも90重量パ
ーセントの重合プロピレンを含むポリマーが形成される、実施形態10に記載の方法。
【0093】
12. プロピレンがホモ重合される、実施形態9に記載の方法。
【0094】
13. 粒子形態にあるプロピレン/エチレンコポリマーであって、3.0以下のMw
/Mn、少なくとも90重量パーセントのプロピレン含量、少なくとも155℃のTmを
有し、実施形態11に記載の方法によって調製されたコポリマー。
【実施例】
【0095】
(実施例1〜3)
以下の実施例は、本発明のさらなる例証として提供されるのであって、限定的に解釈さ
れるべきではない。当業者なら、本明細書に開示されている発明は、具体的に開示されて
いないいずれの成分の非存在下にも実施されうることを理解するであろう。逆のことが記
載されていない限り、すべての部およびパーセンテージは、重量ベースで表示されている
。「一晩(overnight)」という用語が用いられている場合、それは、約16〜18時間の
時間のことをいい、「室温」という用語は、20〜25℃の温度のことをいい、「混合ア
ルカン」という用語は、エクソン・ケミカルズ社(Exxon Chemicals Inc.)からイソパー(I
sopar)E(登録商標)という商品名で入手しうるC6-9脂肪族炭化水素の市販の混合物の
ことをいう。本発明における化合物名がこれの構造的表示に合致しない場合、この構造的
表示が優先するものとする。すべての金属錯体の合成およびすべてのスクリーニング実験
の準備は、ドライボックス技術を用い、乾燥窒素雰囲気中で実施された。用いられたすべ
ての溶媒はHPLCグレードであり、その使用前に乾燥した。
【0096】
表面変性シリカの調製
1A.600℃で3時間、窒素パージ下で加熱したダビソン955(商標)シリカ(9
00g、グレース・ダビソン社(Grace Davison Company)から入手しうる)を、メチルア
ルモキサン(MAO、アクゾ・ノーベル社、13.7パーセントトルエン溶液1314m
L)を含有するトルエン(2400g)に添加する。この混合物を30分間撹拌し、この
混合物の温度を70℃に上昇させ、揮発性物質を真空除去する。得られる乾燥粉末を、さ
らに1時間、真空下で加熱する。得られるアルモキサン変性シリカは、アルミニウム含量
4.5mmol/gを有するさらさらの固体である。25℃におけるヘキサンとの接触に
よって、1パーセント未満の減量を生じる。
【0097】
1B.500℃で3時間、窒素パージ下で加熱したダビソン948(商標)シリカ(3
70g)を、軽く撹拌した混合物を得るのに十分な量のイソペンタン中でスラリー化する
。トリ(n−オクチル)アルミニウム変性メチルアルモキサン(MMAO−12、アクゾ
・ノーベル社)の12.9パーセント(4.14M Al)トルエン溶液549mlを、
室温で添加する。この混合物を1時間撹拌し、上澄み液をカニューレを介して除去し、処
理シリカを、イソペンタン(1000ml)で洗浄し、高真空下で乾燥させる。得られる
さらさらの粉末は、アルミニウム含量4.5mmol/gを有する。25℃におけるヘキ
サンとの接触によって、1パーセント未満の減量を生じる。
【0098】
1C.200℃の空気中で24時間加熱したダビソン948(商標)シリカ(39.8
g)を、ガラスバイアル中のヘキサン(250ml)中でスラリー化し、5分間オービタ
ルシェイカー(orbital shaker)で振とうする。トリエチルアルミニウム(16.32mL
、0.119モル、3.0モル/gシリカ)を室温でゆっくりと添加する。この混合物を
、2時間、撹拌せずに振とうし、フィルターで収集し、高真空下で乾燥させる。
【0099】
1D.磁気撹拌棒を備えた500mLサイドアーム(sidearem)フラスコ中の250ml
トルエンに、9gのシラン処理されたヒュームドシリカ(カボット社から入手しうるカボ
シル(Cabosil)(商標)TS−610)を添加する。撹拌を開始し、すべてのシリカが均
一に分散するまで行った。次に、メチルアルモキサン(アクゾ・ノーベル社から入手しう
るMMAO−3A)の10パーセントトルエン溶液60gを添加し、噴霧乾燥された担持
触媒組成物の形成における使用前に、撹拌を最小1時間続行する。
【0100】
1E.ダビソン948(商標)シリカ(6.00g)を、使用前に500℃で3時間、
窒素パージ下で加熱する。
【0101】
担持触媒の調製
実施例1
50mLガラスフラスコに、米国特許出願公開第2004/0005984号明細書の
教示に従って調製し、その後メチルマグネシウムブロマイドとの反応によりジメチル錯体
に転化した、プロパン−1,3−ビス[オキシフェニル−2−((N−2,3,4,5−
ジベンゾピロール)−5−メチル−2−オキシ)フェニル]ハフニウムジメチル(構造に
ついては図1参照)0.105g(10.2μモル)、MAO変性シリカ1A2.01g
、および乾燥脱ガストルエン25mLを混合する。このボトルに蓋をし、オービタルシェ
イカーで4.5時間振とうする。固体生成物を濾過によって分離し、減圧下で乾燥させる

【0102】
比較例A
表面変性されていない担体1Eを用いたことを除いて、実施例1の反応条件を実質的に
繰り返す。
【0103】
実施例2
米国特許出願公開第2004/0005984号明細書の教示に従って調製したプロパ
ン−1,3−ビス[オキシフェニル−2−((N−2,3,4,5−ジベンゾピロール)
−5−メチル−2−オキシ)フェニル]ハフニウムジメチル(構造については図1参照)
の25mLトルエン溶液を調製する。この溶液を、静かに攪拌しながら表面処理されたヒ
ュームドシリカ1Dのスラリーと混合し、この混合物を、さらに1時間撹拌する。この混
合物を、実質的に米国特許出願公開第5,672,669号明細書および米国特許出願公
開第5,674,795号明細書に開示されているように、嫌気性条件下、ドライボック
ス中に配置された実験室用噴霧乾燥機を用いて噴霧乾燥させる。D50粒子径5〜15μ
mおよび平均ハフニウム含量40μmol/gを有する合計11gの丸い粒子を得る。
【0104】
実施例3
実施例2の反応条件を、8フィート(2.4メートル)直径の閉鎖サイクル噴霧乾燥機
を用いてラージスケールで実質的に繰り返す。用いた成分の量は、トルエン17kg、ヒ
ュームドシリカ1.6kg、メチルアルモキサンの10パーセントトルエン溶液11.3
kg、および500gトルエン中の110ミリモルのプロパン−1,3−ビス[オキシフ
ェニル−2−((N−2,3,4,5−ジベンゾピロール)−5−メチル−2−オキシ)
フェニル]ハフニウムジメチルである。このスラリーは、次の条件を用いて、窒素雰囲気
下で噴霧乾燥させる。チャンバー入口温度は145℃であり、チャンバーガス流量は、1
時間あたり450ポンド(204kg)であり、スラリー供給速度は、1時間あたり40
ポンド(18kg)である。噴霧乾燥した材料の粒子径は、最大の50〜90パーセント
の範囲の噴霧器ホイール速度を介して制御され、10〜40μmの範囲の粒子径を生じる
。実質的に丸い粒子(スパン=1〜2)を得る。全収率は、スラリー1kgあたり90g
(乾燥触媒)である。
【0105】
重合
撹拌機を備えた、清潔なパージされた不活性2リットルジャケット重合反応器に、表面
変性シリカ1C0.5g、次いで、H2(600標準cm3)、およびプロピレン680g
が装入される。この混合物を5分間撹拌し、次いで、70℃に加熱する。触媒(0.25
g、ヘキサン中1.25ミリモル)を、窒素圧によって添加する。40分の重合時間後、
反応器を換気し、冷却し、得られるポリマーを反応器から取り出す。結果を表1に示す。
【表1】

【0106】
表1に示された結果を参照して分かるように、表面変性シリカの使用は、活性触媒組成
物を生じさせるが、一方、非変性シリカ担体の使用は、不活性な触媒組成物を生じさせる

【0107】
(実施例4〜19)
成分1)−変性担体の調製
成分1F
窒素パージ下3時間200℃に加熱したダビソン955(商標)シリカ(755g、グ
レース・ダビソン社から入手しうる)を、メタルモキサン(MAO、アクゾ・ノーベル社
;30パーセントトルエン溶液1326g)を含有するトルエン(2599g)に添加す
る。この混合物を、数時間撹拌し、上澄み液をデカントする。固体を、乾燥白色粉末にな
るまで減圧下で乾燥し、最後にさらに1時間、高真空下で加熱する。得られるアルモキサ
ン変性シリカは、アルミニウム含量5.4mmolAl/g(31重量パーセントのMA
O)を有するさらさらの固体である。
【0108】
成分1G
成分1Aの30.0gの量を、200mLのトルエン中、50℃で4時間撹拌し、上澄
み液を、冷却せずにデカントする。次いで、固体を、フリット上に収集し、減圧下の乾燥
前に25℃で100mLのペンタンで洗浄する。白色のさらさらの粉末は、マスバランス
でアルミニウム含量5.2mmol/gを有する。
【0109】
成分1H
窒素パージ下3時間600℃に加熱したダビソン948(商標)シリカ(949g、グ
レース・ダビソン社から入手しうる)を、MAO(13.7パーセントトルエン溶液1,
314g)を含有するトルエン(2,400g)に添加する。この混合物を、30分間撹
拌し、次いで温度を70℃に上昇し、揮発性物質を減圧下除去する。得られる乾燥粉末を
、続いてさらに1時間、真空下で加熱する。得られるアルモキサン変性シリカは、アルミ
ニウム含量4.5mmolAl/gを有する、さらさらの固体である。25℃におけるヘ
キサンとの接触によって、1パーセント未満の減量を生じる。
【0110】
成分1I
窒素パージ下3時間600℃に加熱したイネオス757(商標)シリカ(20.0g、
イネオス・シリカス社から入手しうる)を、トルエン(150mL)に添加する。ゆっく
りとトリイソブチルアルミニウム4.76gを添加し、この混合物を、一晩撹拌する。上
澄み液をデカントし、固体を、150mLのトルエン中、50℃で2時間撹拌し、上澄み
液を、冷却せずにデカントする。固体を、次いでフリット上で収集し、減圧下での乾燥前
に25℃で、トルエン50ml、続いてペンタン150mLで洗浄する。白色のさらさら
の粉末は、マスバランスでアルミニウム含量おおよそ0.7mmol/gを有する。
【0111】
成分2)−金属錯体の調製
成分2A(プロパン−1,3−ビス[オキシフェニル−2−((N−2,3,4,5−
ジベンゾピロール)−5−メチル−2−オキシ)フェニル]ハフニウムジメチル)
65mLエーテル中のハフニウムテトラクロライド0.623gを含有する−20℃の
フラスコに、プロパン−1,3−ビス[オキシフェニル−2−((N−2,3,4,5−
ジベンゾピロール)−5−メチル−2−ヒドロキシ)フェニル]1.50gを添加する。
室温まで加温し、一晩撹拌した後、この混合物を、メチルマグネシウムブロマイドの3.
0Mエーテル溶液2.8mLと接触させる。この混合物を5時間撹拌し、揮発性物質を減
圧下で除去する。固体を、ペンタン55mLで2回洗浄し、減圧下で乾燥させる。この生
成物を、トルエン60mLで抽出し、乾燥珪藻土を通して濾過する。揮発性物質を減圧下
で濾過物から除去し、所望の生成物を白色固体として、75パーセントの収率で得る。
【0112】
成分2B(ブタン−1,4−ビス[オキシフェニル−2−((N−2,3,4,5−ジ
ベンゾピロール)−5−メチル−2−オキシ)フェニル]ハフニウムジクロライド)
ハフニウムテトラベンジルを、等モル量の、エーテル中のハフニウムテトラクロライド
と、7時間、25℃で接触させ、次いで、減圧下で揮発性物質を除去して、ハフニウムジ
ベンジルジクロライドモノ(ジエチルエーテル)アダクトを75パーセントの収率で得る
。60mLのトルエン中、0.290gのこの生成物が入っているフラスコに、ブタン−
1,4−ビス[オキシフェニル−2−((N−2,3,4,5−ジベンゾピロール)−5
−メチル−2−ヒドロキシ)フェニル](米国特許出願公開第2004/0005984
号明細書の教示に従って調製された)0.450gを添加する。75℃で5時間加熱した
後、揮発性物質を減圧下で除去し、所望の生成物を530gの粉末として得る(収率90
パーセント)。
【0113】
成分3)−助触媒の調製
成分3A(メチルビス(C18-22アルキル)アンモニウム(p−ヒドロキシ−フェニル
)トリス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのトリエチルアルミニウムアダクト[((
252AlOC64)B-(C653][N+HMe(C18-2237-452])
ガラスアンプルにおいて、トリエチルアルミニウムの0.1Mトルエン溶液240mg
を、pヒドロキシフェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[(pHOC64
)B-(C653][N+HMe(C18-2237-452]のメチルビス(C18-22アルキル
)−アンモニウム塩の10.4重量パーセントトルエン溶液305mgと混合し、15分
間撹拌する。使用前に、この生成物を505mgのトルエンで希釈する。
【0114】
成分4)−表面変性剤
4Aは、メタルモキサン(MAO、アクゾ・ノーベル社から入手しうる)である。
4Bは、ヘキサン中、1.0Mのトリイソブチルアルミニウム(Al(CH2CHMe2
3)である。
【0115】
成分5)−重合変性剤の調製
5Aは、ヒドロキシアルミニウムジステアレート((HO)Al(CO217352
;MW=615.0g/モルである。
5Bは、亜鉛ラクテート(Zn(O2CCH(OH)Me)2);MW=243.5g/
モルである。
【0116】
重合条件
1リットルの撹拌ジャケット付き重合反応器に、プロピレン400gを装入し、60℃
に加熱し、375psi(2.8MPa)の内部圧力を生じさせる。10mLのヘキサン
溶媒中のスカベンジャー(シリカ担持MAO、成分1A、実施例4またはトリイソブチル
アルミニウムについては2.0ミリモル、実施例5〜19については1.0ミリモル)を
、反応器内容物に添加し、10分間循環させて、不純物を除去する。様々な量の表面変性
担体(1A〜1D)、触媒(2A、2B)、助触媒(MAOまたは3A)、および任意の
重合調節剤(5A、5B)を含有する担持触媒を、ガラスアンプルにおいてトルエンまた
は混合へキサン中で調製し、反応器に添加する。次いで追加の10mLの混合へキサンを
添加し、移送ラインをパージする。実施例13では、この実施例において用いられる表面
変性担体の調製におけるメチルアルモキサンが欠如するため、助触媒3Aを反応器に添加
する。他のすべての実施例において、過剰な表面変性剤(MAO)はまた、助触媒として
も機能する。反応温度を60℃に維持する。30分の重合時間後、反応器を換気し、冷却
し、得られるポリマーを取り出す。
【0117】
担持触媒調製のさらなる詳細は、次のとおりである:
実施例4〜12、14
ガラスバイアルにおいて、所望量(0.1〜5μモル)の触媒成分2Aを、トルエン中
の0.005M溶液として、所望量の担体成分1A、1B、1C、または1D(Hfモル
を基準にして100:1〜10,000:1)と、約2mLのトルエン中に混合し、スラ
リーを生成させる。しばらくして、典型的には10〜60分後、この混合物を、重合容器
中に直接注入する。実施例9では、この調製においてヘキサンをトルエンの代わりに用い
る。
【0118】
実施例13
ガラスアンプルにおいて、十分量の活性化剤成分3Aを、担体成分1D1.0gに添加
する。15分後、ペンタン15mLを添加し、さらに15分後、3mLトルエン中の24
.5mgの触媒成分2Aを添加する。一晩接触後、固体をフィルター上に収集し、減圧下
で乾燥する。定量的収率。Hf負荷(Hf loading)=25μモル/g。成分1DからのAl
:Hfモル比=30。
【0119】
実施例15
ガラスアンプルにおいて、5.0gの担体成分1B、75mLのトルエンおよび50.
8mgの触媒成分2Aを混合する。2.5時間後、固体をフィルター上に収集し、減圧下
での乾燥前に、65mLのトルエンで洗浄する。収率:6.60g。Hf負荷=7.9μ
モル/g。Al:Hfモル比=500。
【0120】
実施例16
ガラスアンプルにおいて、3パーセントの重合調節剤成分4Aを、使用前に単離を行な
わずにトルエン中で4時間、実施例15からの所望量の生成物と接触させる。
【0121】
実施例17
ガラスアンプルにおいて、10パーセントの重合調節剤成分4Aを、使用前に単離を行
なわずに、トルエン中で19時間、実施例15からの所望量の生成物と接触させる。
【0122】
実施例18
ガラスアンプルにおいて、3重量パーセントの重合調節剤成分4Bを、使用前に単離を
行なわずに、トルエン中で4時間、実施例15からの所望量の生成物と接触させる。
【0123】
実施例19
ガラスアンプルにおいて、10重量パーセントの重合調節剤成分4Bを、使用前に単離
を行なわずに、トルエン中で23時間、実施例15からの所望量の生成物と接触させる。
【0124】
結果を表2に示す。
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】図1は、実施例1の担持触媒を製造するために用いられる金属錯体の構造である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子量ポリマーを形成するための付加重合性モノマーの重合における使用のための担
持不均一触媒組成物であって、
1)固体微粒子化高表面積表面変性無機酸化物化合物を含む担体、
2)ビス(ヒドロキシアリールアリールオキシ)リガンドの第4族金属錯体;および場
合により
3)前記金属錯体のための活性化助触媒
を含む組成物。
【請求項2】
前記金属錯体が、式:
【化1】

(式中:
2は、水素原子は数えずに2〜20個の原子の二価架橋基であり;かつ
Ar2は、各々独立して、水素原子は数えずに6〜20個の原子のアリーレン基、また
はアルキル−もしくはアリール置換アリーレン基であり;
Mは、第4族金属であり;
Xは、各々独立して、アニオン性、中性またはジアニオン性リガンド基であり;
xは、1〜5の数であり、前記X基の数を示し;かつ
結合および電子供与性相互作用は、それぞれ線および破線によって表わされる。)
で示される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記金属錯体が、式:
【化2】

(式中、Ar4は、C6-20アリールまたは不活性置換されたその誘導体であり、かつ
3は、各々独立して、C3-6アルキレンまたは不活性置換されたその誘導体であり;
14は、各々独立して、水素原子、ハロ、水素原子は数えずに50個までの原子のヒド
ロカルビル、トリヒドロカルビルシリルもしくはトリヒドロカルビルシリルヒドロカルビ
ルであり;かつ
Xは、各々独立して、ハロ、または水素原子は数えずに20個までの原子のヒドロカル
ビル基もしくはトリヒドロカルビルシリル基であるか、または2個のX基が共に、前記ヒ
ドロカルビル基もしくはトリヒドロカルビルシリル基の二価誘導体である。)
の化合物からなる群より選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記金属錯体が、式:
【化3】

(式中、Ar4は、3,5−ジ(イソプロピル)フェニル、3,5−ジ(イソブチル)
フェニル、ジベンゾ−1H−ピロール−1−イルまたはアントラセン−5−イルであり、
14は、水素原子、ハロまたはC1-4アルキルであり、
3は、プロパン−1,3−ジイルまたはブタン−1,4−ジイルであり、かつ
Xは、クロロ、メチル、またはベンジルである。)
で示される化合物から選択される、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記金属錯体が、プロパン−1,3−ビス[オキシフェニル−2−((N−2,3,4
,5−ジベンゾピロール)−5−メチル−2−オキシ)フェニル]ハフニウムジメチルで
ある、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
重合変性剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記重合変性剤が、ヒドロキシアルミニウムジ(ステアレート)、亜鉛ジ(2−プロピ
オネート)、亜鉛ジ(サリチレート)、亜鉛ビス−3,5−ジ(i−プロピル)サリチレ
ートまたは亜鉛ビス−3,5−ジ(t−ブチル)サリチレートである、請求項6に記載の
組成物。
【請求項8】
前記成分の溶液またはスラリーを噴霧乾燥することによって調製された、請求項1に記
載の組成物。
【請求項9】
予備重合された触媒または高分子量ポリマーの製造方法であって、1種以上の付加重合
性モノマーを、付加重合条件下で請求項1〜8のいずれか1項記載の触媒組成物と接触さ
せる工程を含む方法。
【請求項10】
エチレンおよび1種以上のC3-8α−オレフィンを含む混合物が重合される、請求項9
に記載の方法。
【請求項11】
エチレンおよびプロピレンを含む混合物が重合されて、少なくとも90重量パーセント
の重合プロピレンを含むポリマーが形成される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
プロピレンがホモ重合される、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
粒子形態にあるプロピレン/エチレンコポリマーであって、3.0以下のMw/Mn、
少なくとも90重量パーセントのプロピレン含量、少なくとも155℃のTmを有し、請
求項11に記載の方法によって調製されたコポリマー。

【図1】
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【公開番号】特開2012−255165(P2012−255165A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−180585(P2012−180585)
【出願日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【分割の表示】特願2007−525731(P2007−525731)の分割
【原出願日】平成17年8月9日(2005.8.9)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】