説明

ポリマーレリーフ構造体を作製する方法

本発明は、1または複数の放射線感受性成分を含むコーティング組成物で基材を被覆するステップと、周期的またはランダムな放射線強度パターンを有する電磁放射線でこの被覆基材を局所処理して潜像を形成するステップと、得られた被覆基材を重合および/または架橋するステップとを有する、ポリマーレリーフ構造体を作製する方法であって、前記コーティング組成物は1または複数のRAFT剤を含む、方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、
a)1または複数の放射線感受性成分を含むコーティングで基材を被覆することと、
b)周期的またはランダムな放射線強度パターンを有する電磁放射線でこの被覆基材を局所処理して潜像を形成することと、
c)得られた被覆基材を重合および/または架橋することと
によりポリマーレリーフ構造体を作製する方法に関する。
【0002】
そのような方法(これ以降では「光エンボス加工」とも呼ばれる)は、「複雑な表面レリーフ構造体を得るツールとしての光エンボス加工(photo−embossing as a tool for complex surface relief structures)」 ド・ヴィッツ・クリスティアーネ(De Witz,Christiane);ブリュア・ディルク(Broer,Dirk)著 論文抄録誌(J.,Abstracts of Papers),第226回ACS全国大会(226th ACS National Meeting),米国ニューヨーク州ニューヨーク(New York,NY,United States),2003年9月7〜11日から知られている。
【0003】
表面レリーフ構造体を持つポリマーは、広範囲のアプリケーションを有する。たとえば、データの伝送、保存、および表示に供される光学系で使用されるポリマーに、現在、大きな関心が寄せられている。ポリマーのフィルムまたは層の表面を構造化することにより、これらの層を通過する光を制御することが可能である。たとえば、表面構造体が小さい半球状の素子を含有していれば、透過光を集束させうるレンズアレイが得られる。そのような素子は、たとえば、ディスプレイの透明領域に光を集束させる液晶ディスプレイのバックライトに有用である。これらのタイプの用途では、多くの場合、マイクロメートルの領域まで表面プロファイルの形状を制御することが必要である。さらに、規則的パターンの表面構造体は、透過時にシングルビームをマルチビームに分割するように光を回折しうるので、たとえば、通信機器でビームスプリッタとして使用可能である。表面構造体はまた、光の反射を制御するうえでも重要である。これは、表面の正反射を抑制するように首尾よく適用可能である。このいわゆるアンチグレア効果は、たとえば、テレビのフロントスクリーンに利用される。しかし、板ガラス、車仕上げ材などの用途にも、使用される。輪郭の明瞭な表面プロファイルを有するポリマーフィルムに、蒸着アルミニウムやスパッター銀などのコンフォーマル反射膜を設けることが可能である。このミラーに当たった入射光は、反射されると非常に制御された形で空間内に分配される。これは、たとえば、反射型液晶ディスプレイ用の内部拡散リフレクターを作製するために使用される。表面プロファイルの他の用途は、ロータス効果として知られる防汚構造体を作製するためのものである。それには、1マイクロメートル未満の寸法を有する表面プロファイルが必要とされる。
【0004】
UV光重合のような電磁放射線誘起重合は、たとえば2種の(メタ)アクリレートモノマーと光開始剤との混合物からデバイスを作製する方法である。重合反応は、UV光が光開始剤を活性化しうる領域でのみ開始される。このほか、光強度を空間的に変化させてそれに応じて重合速度を変化させることが可能である。モノマーの反応性、サイズもしくは長さ、架橋能力、およびエネルギー相互作用の差異は、結果として、モノマーの化学ポテンシャルの勾配を生じる。これらの化学ポテンシャルは、照射領域におけるモノマーの移動およびポリマーの膨潤の原動力となる。モノマーの拡散係数は、この移動が起こるタイムスケールを決定する。その後、パターン化UV照射時よりも高い強度を有する均一なUV照射が用いられて膜全体が重合される。
【0005】
特別な場合には、2つの液体モノマーの混合物のパターン化UV光重合を行うことにより、ポリマーレリーフ構造体が生成される。これは、例えばホログラフィーまたはリソグラフィーにより行うことが可能である。パターン化された方法で重合を誘起させる他の方法は、電子またはイオンのビームによる書き込みに基づく。ホログラフィーの場合、2つのコヒーレント光ビームの干渉パターンにより、高低光強度の領域が形成される。リソグラフィーの場合、フォトマスクを用いてこれらの強度差を生成させる。たとえば、ストライプ状マスクを使用すれば、グレーティングが作製される。円孔を有するマスクを使用すれば、マイクロレンズ構造体が形成される。物質移動により表面プロファイルを作製することのほかに、屈折率も変調することができる。屈折率の差は、ポリマー中のモノマー単位濃度の横方向変動により引き起こされる。屈折率プロファイルは、表面形状から得られるレンズ機能をさらにサポートしうる。
【0006】
これらの技術を用いることにより、相−レリーフ構造体を作製することが可能である。モノマーが、照射された領域に向かってまたはそこから離れて移動するようなシステムを設計することも可能である。グレーティングの形成を説明する2つの機構を区別することができる。第一に、全体的な重量移動が起こりえ、このとき両方のモノマーが照射された領域に向かって拡散する。これは、暗い領域からのモノマーの吸い込みによる、照射された領域における成長するポリマーの膨潤により達成される。この機構は、レリーフグレーティングの形成を説明する。第二に、膨潤が起こらない場合、反応性の差によって引き起こされる二方向拡散が、照光されたおよび照光されていない領域におけるモノマーユニット濃度の差異を有する平坦な表面を有するフィルムの形成を説明する。この機構は、フェーズグレーティングの形成を説明する。
【0007】
表面構造体を作製するより良好な方法は、ポリマーとモノマーと開始剤とから基本的になるブレンドを使用することである。ポリマーは、単一のポリマー材料でありうるが、2つ以上のポリマーのブレンドであってもよい。同様に、モノマーは、単一の化合物でありうるが、いくつかのモノマー材料を有してもよい。開始剤は、好ましくはUV光への曝露によりラジカルを生成する光開始剤である。あるいは、光開始剤は、UV光への曝露に際してカチオンを生成する。開始剤は、さらに、光開始剤と熱開始剤との混合物であってもよい。この混合物は、一般的には、加工(たとえば、スピン被覆による薄膜の形成)を促進するために有機溶媒に溶解される。ブレンド条件ならびにポリマーおよびモノマーの性質は、溶媒の蒸発後に固体膜が形成されているように選択される。一般的には、これは、UV光によるパターン化照射時に潜像の形成を可能にするものである。加熱して潜像を現像することにより表面プロファイルを形成することが可能であり、この際、重合と拡散が同時に起こるので、照射領域における材料の体積が増大され、結果として、表面の変形を生じる。
【0008】
この方法の弱点は、そのような光エンボス加工法を用いて製造され得られたレリーフ構造体がいくらか低いアスペクト比を依然として有し、特定のアプリケーションのためには更なる向上を必要とすることである。アスペクト比(AR)は、レリーフの高さと構造体幅との比として定義される。この結果として、目標とする光学的機能または他の機能は、それほど最適なものではない。
【0009】
フォトエンボスプロセスは、たとえば国際公開第2005/081071号、国際公開第2006/085741号および国際公開第2005/008321号から知られている。
【0010】
US2005/032997は、フォトレジストを作製するための組成物を記載する。XP002457741は、有機硫黄化合物、チタノセン化合物および重合可能な化合物を含む光反応性組成物を記載する。これら硫黄化合物は、本願において用いられる化合物とは異なる。
【0011】
可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)剤の存在が、予期しない態様でポリマーレリーフ構造体のARに影響を与えることがわかった。ARが或る量のRAFT剤の適用によって向上することができることがわかった。RAFT剤の不在および多すぎる量のRAFT剤の存在の両方が、低いARを有するレリーフ構造体を生じる。
【0012】
さらに、驚くべきことに、本発明による方法は、環境条件(空気中、室温において)および不活性大気中で実行可能であることがわかった。両方の場合において、これらの条件下で高いアスペクト比が得られることができる。
【0013】
本発明は、
a)1または複数の放射線感受性成分を含むコーティング組成物で基材を被覆するステップと、
b)周期的またはランダムな放射線強度パターンを有する電磁放射線でこの被覆された基材を局所処理して潜像を形成するステップと、
c)得られた被覆された基材を重合および/または架橋するステップと
を有する、ポリマーレリーフ構造体を作製する方法であって、
前記コーティング組成物は式Iの化合物を含み、
【化1】


ここでRは置換または非置換アリールまたはアルキル基であり、Zは1〜100のC原子を有する有機基である、方法に関する。
【0014】
本発明の他の実施形態は、
a)1または複数の放射線感受性成分を含むコーティング組成物で基材を被覆するステップと、
b)周期的またはランダムな放射線強度パターンを有する電磁放射線でこの被覆された基材を局所処理して潜像を形成するステップと、
c)得られた被覆された基材を重合および/または架橋するステップと
を有する、ポリマーレリーフ構造体を作製する方法であって、
前記コーティング組成物は、少なくとも1つのポリマー、少なくとも1つのモノマー、光開始剤、場合により溶媒、および0.5〜20重量%(ポリマー、モノマー、開始剤の混合物に対して)の1または複数の有機RAFT剤の混合物を含む、方法である。
【0015】
RAFT剤は、いくつかの文献、たとえば国際公開第99/31144号またはPolymer International 49:993−1001 (2000)に記載されている。これらの文献において、RAFT剤は、種々のモノマーの制御されたラジカル重合のために用いられている。ポリマーレリーフ構造体を作製するための方法におけるRAFT剤の適用は開示されていない。本発明の方法におけるRAFT剤の存在は、作製されるべきポリマーレリーフ構造体のARを増加させるという予期されない効果をもたらす。
【0016】
本発明において用いられるべきRAFT剤は、式Iに従う一般構造を有する:
【化2】


ここで、Rは置換または非置換アリールまたはアルキル基であり、Zは1〜100のC原子および場合によりO、N、S、P、Siなどのヘテロ原子を有する有機基である。有機基Zの例は、アルキル、アリール、チオール、アミン、ピロール、ピリジン、アルコキシである。本発明の好ましい実施形態において、Rは式−C−(R−Yを持つ化合物であり、ここでRはアルキル基、たとえばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルであり、Yは芳香族基、たとえばフェニル、トルイル、ナフチル基、CN、エーテルまたはエステルである。より好ましくは、Rは、−C−(CH−CN、−C−(CH−Y2であり、ここで、Y2は、フェニル、トルイルもしくはナフチルまたは−C−(CH−COOR基であり、ここでRはC−C10置換または非置換アルキル基である。もっとも好ましくは、Rは−C−(CH−CN−(CH−フェニル、−C−(CH−トルイルおよび−C−(CH−COORからなる群から選択され、ここでRはメチル、エチル、プロピルまたはブチルである。
【0017】
好ましくはZはフェニル、トルイル、ナフチル、チオール、1から10の炭素原子を有するアルキル、ピロール基からなる群から選択されることがわかった。より好ましくは、Zは6〜20の炭素原子を有する芳香族基である。もっとも好ましくはZはフェニルまたはトルイル基である。
【0018】
用いられるべきRAFT剤の量は、ポリマー、モノマーおよび開始剤の混合物に対して一般的に0.1〜20重量%である。
【0019】
組成物に加えられるRAFT剤の最適な量は、本発明の組成物中に存在する光開始剤の量およびポリマーレリーフ構造体を作製するのに用いられる放射量に依存することがわかった。ここで、これらの関係を説明するのにR係数が規定される。
R係数=[RAFT]/([開始剤]*放射線量)
ここで、[RAFT]は組成物(または式Iの化合物)中のRAFT剤の重量%、[開始剤]は該組成物中の光開始剤の重量%、放射線量は該構造体の形成の最中に該組成物に適用される放射線量(mJ.cm−2)である。
【0020】
R係数が0.0001〜0.005の範囲(好ましくは0.0005〜0.004)にあるときに最高のAR値が得られることがわかった。
【0021】
曲線因子0.5を有するラインマスクは、表面の50%が不透明である、平行な線を有するマスクである。
【0022】
本方法のステップa)で使用されるコーティングは、1または複数の放射線感受性成分を含み、この成分は、一般的には、電磁放射線により重合可能なC=C不飽和モノマーである。これらの成分は、そのままの状態で使用可能であるが、溶液の形態で使用することも可能である。
【0023】
コーティングは、(湿式)被覆堆積の技術分野で公知の任意の方法により基材上に適用可能である。好適な方法の例は、スピン被覆法、ディップ被覆法、スプレー被覆法、フロー被覆法、メニスカス被覆法、ドクターブレード被覆法、キャピラリー被覆法、およびロール被覆法である。
【0024】
典型的には、放射線感受性成分を好ましくは少なくとも1つの溶媒と場合により架橋開始剤と混合して、選択された適用方法を用いて基材に適用するのに好適な混合物を調製する。
【0025】
原理的には、多種多様な溶媒を使用しうる。しかしながら、溶媒と混合物中に存在するすべての他の材料との組合せは、選択的に安定な懸濁液または溶液を形成するものでなければならない。
【0026】
好ましくは、使用した溶媒は、基材上にコーティングを適用した後で蒸発させる。本発明に係る方法では、場合により、溶媒の蒸発を促進するために、基材への適用後、コーティングを加熱したりまたは真空中で処理したりすることが可能である。
【0027】
好適な溶媒の例は、1,4−ジオキサン、アセトン、アセトニトリル、クロロホルム、クロロフェノール、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジクロロメタン、ジエチルアセテート、ジエチルケトン、ジメチルカーボネート、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、エタノール、エチルアセテート、m−クレゾール、モノ−およびジ−アルキル置換グリコール、N,N−ジメチルアセトアミド、p−クロロフェノール、1,2−プロパンジオール、1−ペンタノール、1−プロパノール、2−ヘキサノン、2−メトキシエタノール、2−メチル−2−プロパノール、2−オクタノン、2−プロパノール、3−ペンタノン、4−メチル−2−ペンタノン、ヘキサフルオロイソプロパノール、メタノール、メチルアセテート、ブチルアセテート、メチルアセトアセテート、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、n−メチルピロリドン−2、n−ペンチルアセテート、フェノール、テトラフルオロ−n−プロパノール、テトラフルオロイソプロパノール、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、および水である。アルコール、ケトン、およびエステルをベースとする溶媒を使用してもよいが、高分子量アルコールを用いた場合にはアクリレートの溶解性が問題になる可能性がある。ハロゲン化溶媒(たとえば、ジクロロメタンおよびクロロホルム)および炭化水素(たとえば、ヘキサンおよびシクロヘキサン)は好適である。
【0028】
混合物は、好ましくは、ポリマー材料を含有する。実際には、他の成分と共に均一混合物を形成する各ポリマーを使用することが可能である。十分に研究されたポリマーは、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリスチレン、ポリベンジルメタクリレート、ポリイソボルニルメタクリレートである。しかしまた、多くの他のポリマーも適用可能である。混合物はまた、反応性粒子すなわちフリーラジカルまたはカチオン性粒子に接触したときに重合する比較的低分子量すなわち1500未満の分子量の化合物であるモノマー化合物をも含有する。好ましい実施形態では、モノマーまたはモノマー混合物のモノマーのうちの1種は、重合時にポリマー網状構造が形成されるように2個以上の重合性基を含有する。さらに、好ましい実施形態では、モノマーは、次のクラス:ビニル、アクリレート、メタクリレート、エポキシド、ビニルエーテル、またはチオール−エンの反応基を含有する分子である。混合物はまた、化学線を照射したときに反応性粒子すなわちフリーラジカルまたはカチオン性粒子を発生する化合物である感光性成分を含有する。
【0029】
重合性成分として使用するのに好適でありかつ1分子あたり少なくとも2個の架橋性基を有するモノマーの例としては、(メタ)アクリロイル基を含有するモノマー、たとえば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトール(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブタンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、リン酸モノおよびジ(メタ)アクリレート、C〜C20アルキルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート、トリシクロデカンジイルジメチルジ(メタ)アクリレート、および前述のモノマーのいずれかのアルコキシル化体、好ましくはエトキシル化体および/またはプロポキシル化体、さらにはビスフェノールAへのエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドの付加物であるジオールのジ(メタ)アクリレート、水素化ビスフェノールAへのエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドの付加物であるジオールのジ(メタ)アクリレート、ジグリシジルエーテルのビスフェノールAへの(メタ)アクリレート付加物であるエポキシ(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキル化ビスフェノールAのジアクリレート、およびトリエチレングリコールジビニルエーテル、ヒドロキシエチルアクリレートとイソホロンジイソシアネートとヒドロキシエチルアクリレートとの付加物(HIH)、ヒドロキシエチルアクリレートとトルエンジイソシアネートとヒドロキシエチルアクリレートとの付加物(HTH)、ならびにアミドエステルアクリレートが挙げられる。
【0030】
1分子あたりただ1つの架橋基を有する好適なモノマーの例としては、ビニル基を含有するモノマー、たとえば、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン;イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、カプロラクトンアクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、ベータ−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、フタル酸(メタ)アクリレート、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ブチルカルバミルエチル(メタ)アクリレート、n−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、フッ素化(メタ)アクリレート、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル;および次式
CH=C(R)−COO(RO)−R
〔式中、Rは、水素原子またはメチル基であり;Rは、2〜8個、好ましくは2〜5個の炭素原子を含有するアルキレン基であり;そしてmは、0〜12、好ましくは1〜8の整数であり;Rは、水素原子もしくは1〜12個、好ましくは1〜9個の炭素原子を含有するアルキル基であるか;またはRは、1〜2個の炭素原子を有するアルキル基で場合により置換されていてもよい4〜20個の炭素原子を有するテトラヒドロフラン基含有アルキル基であるか;またはRは、メチル基で場合により置換されていてもよい4〜20個の炭素原子を有するジオキサン基含有アルキル基であるか;またはRは、C〜C12アルキル基(好ましくはC〜Cアルキル基)で場合により置換されていてもよい芳香族基である〕により表される化合物、およびアルコキシル化脂肪族単官能性モノマー、たとえば、エトキシル化イソデシル(メタ)アクリレート、エトキシル化ラウリル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0031】
放射線感受性成分として使用するのに好適なオリゴマーは、たとえば、芳香族もしくは脂肪族のウレタンアクリレートまたはフェノール樹脂をベースとするオリゴマー(たとえば、ビスフェノールエポキシジアクリレート)、およびエトキシレートで連鎖延長された上記のオリゴマーのいずれかである。ウレタンオリゴマーは、たとえば、ポリオール主鎖、たとえば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、アクリルポリオールなどをベースとするものでありうる。これらのポリオールは、単独でまたは2種以上の組合せで使用可能である。これらのポリオール中の構造ユニットの重合方法には、とくに制限はない。ランダム重合、ブロック重合、またはグラフト重合のいずれも許容しうる。ウレタンオリゴマーの形成に好適なポリオール、ポリイソシアネート、およびヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートの例は、国際公開第00/18696号パンフレット(参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0032】
一緒になって架橋相の形成を引き起こしうる、したがって、組み合わせて反応性希釈剤として使用するのに好適である化合物の組合せは、たとえば、エポキシと組み合わされたカルボン酸および/またはカルボン酸無水物、ヒドロキシ化合物(とくに2−ヒドロキシアルキルアミド)と組み合わされた酸、イソシアネート(たとえば、ブロック化イソシアネート、ウレトジオン、カルボジイミド)と組み合わされたアミン、アミンまたはジシアンジアミドと組み合わされたエポキシ、イソシアネートと組み合わされたヒドラジンアミド、イソシアネート(たとえば、ブロック化イソシアネート、ウレトジオン、カルボジイミド)と組み合わされたヒドロキシ化合物、無水物と組み合わされたヒドロキシ化合物、(エーテル化)メチロールアミド(「アミノ樹脂」)と組み合わされたヒドロキシ化合物、イソシアネートと組み合わされたチオール、アクリレートまたは他のビニル系種と組み合わされたチオール(場合によりラジカル開始)、アクリレートと組み合わされたアセトアセテート、およびカチオン性架橋が用いられる場合にはエポキシ化合物とエポキシまたはヒドロキシ化合物である。
【0033】
放射線感受性成分として使用しうるさらなる可能な化合物は、湿分硬化性イソシアネート、アルコキシ/アシルオキシ−シラン、アルコキシチタネート、アルコキシジルコネート、またはウレア−、ウレア/メラミン−、メラミン−ホルムアルデヒド、もしくはフェノール−ホルムアルデヒド(レゾールタイプおよびノボラックタイプ)の湿分硬化性混合物、あるいはラジカル硬化性(過酸化物開始または光開始)エチレン性不飽和単官能性および多官能性モノマーならびにポリマー、たとえば、アクリレート、メタクリレート、マレエート/ビニルエーテル、あるいはスチレンおよび/またはメタクリレート中のラジカル硬化性(過酸化物開始または光開始)不飽和(たとえば、マレイン酸またはフマル酸)ポリエステルである。
【0034】
好ましくは、適用されるコーティングはまた、ポリマー(好ましくは、放射線感受性成分の架橋から得られるポリマーと同一の性質のポリマー)を含む。好ましくは、このポリマーは、少なくとも20,000g/molの重量平均分子量(Mw)を有する。
【0035】
ポリマーは、被覆工程a)で使用する場合、好ましくは、少なくとも300Kのガラス転移温度を有する。好ましくは、工程a)で使用されるコーティング中のポリマーは、工程a)の放射線感受性コーティング中に存在するモノマーに溶解されるか、または本発明に係る方法の工程a)のコーティングで使用される溶媒に溶解される。
【0036】
多種多様な基材を本発明に係る方法で基材として使用することが可能である。好適な基材は、たとえば、フラットなもしくは湾曲した、剛性もしくは可撓性のポリマー基材、たとえば、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン(pyrollidone)、ポリビニルクロリド、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリテトラフルオロ−エチレン、ナイロン、ポリノルボルネンのフィルム、またはアモルファス固体たとえばガラス、あるいは結晶性材料たとえばシリコンまたはヒ化ガリウムなどである。金属基材を使用することも可能である。ディスプレイ用途に使用するのに好ましい基材は、たとえば、ガラス、ポリノルボルネン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート(polyethyleneterephtalate)、ポリイミド、セルローストリアセテート、ポリカーボネート、およびポリエチレンナフタレートである。
【0037】
架橋反応を開始するために、コーティング中に開始剤を存在させることが可能である。開始剤の量は、広範にわたりさまざまでありうる。開始剤の好適量は、架橋反応に関与する化合物の全重量を基準にして、たとえば0超〜5重量%である。
【0038】
UV架橋を用いて架橋を開始する場合、混合物は、好ましくは、UV光開始剤を含む。光開始剤は、光を吸収したときに架橋反応を開始することが可能であり;したがって、UV光開始剤は、スペクトルの紫外領域で光を吸収する。任意の公知のUV光開始剤を本発明に係る方法で使用することが可能である。
【0039】
好ましくは、重合開始剤は、光開始剤と熱開始剤との混合物を含む。
【0040】
最終コーティングが形成されるようにコーティングの重合および/または架橋を引き起こしうる架橋方法はいずれも、本発明に係る方法で使用するのに好適である。架橋を開始する好適な方法は、たとえば、電子ビーム線、電磁放射線(UV、可視、および近IR)、熱、および湿分硬化性化合物を使用する場合には湿分添加によるものである。好ましい実施形態では、架橋はUV線により達成される。UV架橋は、フリーラジカル機構を介してもしくはカチオン機構によりまたはそれらの組合せにより行われうる。他の好ましい実施形態では、架橋は熱により達成される。
【0041】
本発明に係る方法の工程b)において、方法工程a)から得られた被覆基材は、周期的もしくは潜在的な放射線強度パターンを有する電磁放射線で局所処理され、その結果として、潜像が形成される。好ましい一実施形態では、この処理は、UV光をマスクと組み合わせて用いて行われる。他の好ましい実施形態では、この処理は、光干渉/ホログラフィーを用いることにより行われる。さらに他の実施形態は、電子ビームリソグラフィーを用いることによる。
【0042】
本発明の必須の特徴は、適切な量のRAFT剤を使用して重合の速度もしくは阻害時間またはその両方を精密に調節し、高いアスペクト比を有するレリーフ構造体を生成することである。
【0043】
方法工程a)−d)を行うべき条件は、放射線重合の技術分野で知られているとおりである。該方法工程に適した温度として、工程b)では好ましくは175〜375Kの温度が使用され、工程c)では好ましくは300〜575Kの温度が使用される。
【0044】
ポリマーレリーフ構造体のARがUV露出放射量を増加させることによりさらに向上させられることができることがわかった。RAFT剤の最適量は、より高い露出放射量が用いられると一般的に増加する。より高い露出放射量およびより高いRAFT剤濃度の組み合わせが、本発明の方法のさらなる改良を生じた。
【0045】
本発明に係るポリマーレリーフ構造体は、改良されたアスペクト比を有する。本発明に係るレリーフのアスペクト比(ARは、レリーフの高さと構造体幅との比であり、いずれもμm単位である)は、一般的には少なくとも0.075、より好ましくは少なくとも0.12であり;さらにより好ましくは、ARは少なくとも0.2である。
【0046】
本発明に係るポリマーレリーフ構造体は、光学素子に適用可能である。その例は、たとえばLCDまたはLEDで利用される1/4波長フィルムおよびワイヤグリッド偏光子である。自己清浄性表面に供されるモスアイ構造体またはロータスフラワー構造体もまた、これにより達成可能である。他のおよび好ましい実施形態は、有機物または無機物における複製目的のマスターとしてのポリマーレリーフ構造体の使用である。他のアプリケーションは、反射防止/グレア防止層、垂直整列ディスプレイ(LCの整列のための突起を作製するために光エンボスが用いられる)、マイクロレンズ、リフレクタ、トランスフレクタ、偏光体、たんぱく質アレイ、DNAアレイおよびマイクロ接触印刷を含む。
【0047】
以下の実施例および比較実験により、本発明についてさらに明確に説明するが、それらにより本発明を限定しようとするものではない。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】放射線量の関数としての最大構造高さ(20μmピッチ)についてのRAFT剤対開始剤比。
【実施例】
【0049】
以下のRAFT剤で実施例を実行した。
1)2−シアノブチ−2−イルジチオベンゾアート
【化3】


2)2−(メトキシカルボニル)プロプ−2−イルジチオベンゾアート
【化4】


3)2−フェニルプロプ−2−イルフェニルジチオアセテート
【化5】


4)2−n−ドデシルスルファニルチオカルボニルスルファニル−2−メチルプロピオン酸
【化6】

【0050】
比較実験1(空気)
フォトポリマーは、ポリマー(ポリベンジルメタクリレート(Mw=70kg/mol))50重量%と、多官能性モノマー(ジ−ペンタエリトリトールペンタ/ヘキサアクリレート)50重量%とを含有する混合物よりなるものであった。このフォトポリマーに、光開始剤(イルガキュア819(Irgacure819)5重量%を添加した。フォトポリマーおよび光開始剤の混合物をプロピレングリコールメチルエーテルアセテートおよびエトキシプロピルアセテートの1:1混合物(50重量%)に溶解させた。以下ではこの混合物をフォトポリマー溶液と呼ぶ。
【0051】
フォトポリマー溶液をガラス基材上に800RPMでスピンコーティングした。スピンコーティング後、サンプルを80℃に加熱して残留する痕跡量の溶媒を除去し、約16μmのフィルムを得た。
【0052】
次に、複数のグレーティング(ピッチ5、8、10、15、20、30および40μm)を有するフォトマスクを固体ポリマー膜に直接接触させた状態で使用した。紫外光(EXFO OmniCureTM Series 2000, Photonic Solutions Inc., Ontario, Canada)の照射をエネルギー照射量2.34J.cm−2で行った。UV光への曝露の後、サンプルを110℃で20分加熱してレリーフ構造体を生成した。最後に、UVランプ(E=0.8J.cm−2)でフラッド露光を110℃で実行してサンプルを固定した。
【0053】
最終的に形成されたレリーフ構造体を白色光スキャニング共焦点顕微鏡(μSurf, Nanofocus, Germany)によって20x対物レンズを用いて特徴付けた。プロファイルを走査型プローブイメージプロセッサ、SPIP(商標)ソフトウェア、バージョン4.1を用いてさらに特徴付けた。レリーフ構造体を表1にまとめる。レリーフ構造体の高さの値はnmで示されている。最大アスペクト比は約0.13である。
【表1】

【0054】
比較例2:(窒素)
比較例1の実験条件を用いた。照射中および加熱ステップ中の両方において、フィルムは窒素雰囲気下に維持した。構造体の最大高さを光学表面形状測定装置で測定し、表2に結果を示す。最大アスペクト比は約0.05であった。
【0055】
【表2】


RAFT剤の存在しない比較例1および2においては、最大アスペクト比0.05〜0.13を達成することができる。
【0056】
例1:(2−シアノブチ−2−イルジチオベンゾアート)
比較例1の実施条件を用いた。処理前に、或る量の2−シアノブチ−イルジチオベンゾアートをフォトポリマー溶液に添加した。RAFT剤対開始剤の比は連続的に0.1〜8に変化させた。照射および加熱ステップの両方の最中に、フィルムは空気雰囲気に維持した。RAFT対開始剤比0.1、0.2、0.5、1、2、4および8のときの光学表面形状測定装置を用いて決定した構造体高さが、以下に表3〜9にそれぞれ示される。RAFT対開始剤比2を用いたときに、レリーフ構造体は最大アスペクト比の約0.32を示した。
【0057】
【表3】


【表4】


【表5】


【表6】


【表7】


【表8】


【表9】

【0058】
さらに、最大構造高さ(20μmピッチ)についてRAFT剤対開始剤比をドーズ(dose)の関数としてプロットすると、線形関係が得られる。グラフは、より高いドーズの使用は、最適な結果を得るのにより高い濃度のRAFT剤(開始剤に対して)を必要とすることを示す。より高い放射ドーズはより多い開始剤ラジカルを開始させ、したがって、より多くのRAFT剤が、モノマー種と反応する際にラジカルを遅くさせるのに必要であると、考えられる。
【0059】
例2:2−シアノブチ−イルジチオベンゾアート
実験の最中に不活性雰囲気を用いた以外は例1の実験条件を用いた。処理前に、或る量の2−シアノブチ−イルジチオベンゾアートをフォトポリマー溶液に添加して、RAFT剤対開始剤の比が0.2:1になるようにした。
【0060】
照射および加熱ステップの両方の最中に、フィルムは不活性雰囲気に維持した。RAFT対開始剤比0.2、0.5および1についての光学表面形状測定装置を用いて決定した構造体高さが、以下に表10〜12にそれぞれ示される。レリーフ構造体は、RAFT剤対開始剤比0.5を用いたときに最大アスペクト比0.42を示した。
【0061】
【表10】


【表11】


【表12】

【0062】
例3:2−(メトキシカルボニル)プロプ−2−イルジチオベンゾアート
比較例1の実験条件を用いた。処理前に、或る量の2−(メトキシカルボニル)プロプ−2−イルジチオベンゾアートをフォトポリマー溶液に添加して、RAFT剤対開始剤の比が2:1になるようにした。照射および加熱ステップの両方の最中に、フィルムは空気雰囲気に維持した。光学表面形状測定装置を用いて決定した構造体高さが、以下に表13に示される。R最大アスペクト比は約0.23であった。
【0063】
【表13】

【0064】
例4:(2−フェニルプロプ−2−イルフェニルジチオアセタート)
比較例1の実験条件を用いた。処理前に、或る量の2−フェニルプロプ−2−イルフェニルジチオアセタートをフォトポリマー溶液に添加して、RAFT剤対開始剤の比が2:1になるようにした。照射および加熱ステップの両方の最中に、フィルムは空気雰囲気に維持した。光学表面形状測定装置を用いて決定した構造体高さが、以下に表14に示される。最大アスペクト比は約0.08であった。
【0065】
【表14】

【0066】
例5:(2−n−ドデシルスルファニルチオカルボニルスルファニル−2−メチルプロピオン酸)
比較例1の実験条件を用いた。処理前に、或る量の2−n−ドデシルスルファニルチオカルボニルスルファニル−2−メチルプロピオン酸をフォトポリマー溶液に添加して、RAFT剤対開始剤の比が2:1になるようにした。照射および加熱ステップの両方の最中に、フィルムは空気雰囲気に維持した。光学表面形状測定装置を用いて決定した構造体高さが、以下に表15に示される。最大アスペクト比は約0.11であった。
【0067】
【表15】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)1または複数の放射線感受性成分を含むコーティング組成物で基材を被覆するステップと、
b)周期的またはランダムな放射線強度パターンを有する電磁放射線でこの被覆基材を局所処理して潜像を形成するステップと、
c)得られた被覆基材を重合および/または架橋するステップと
を有する、ポリマーレリーフ構造体を作製する方法であって、前記コーティング組成物は式Iの化合物を含み、
【化1】


ここでRは置換または非置換アリールまたはアルキル基であり、Zは1〜100のC原子を有する有機基である、方法。
【請求項2】
Rは式−C−(R−Yを持つ化合物であり、ここでRはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル基のようなアルキル基であり、Yはフェニル、トルイル、ナフチル基のような芳香族基、CN基、エーテル基またはエステル基である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Rは、−C−(CH−CN、−C−(CH−Y2であり、ここで、Y2は、フェニル、トルイルもしくはナフチルまたは−C−(CH−COOR基であり、ここでRはC−C10置換または非置換アルキル基である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
Rは−C−(CH−CN、−(CH−フェニル、−C−(CH−トルイルおよび−C−(CH−COORからなる群から選択され、ここでRはメチル、エチル、プロピルまたはブチルである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
Zはフェニル、トルイル、ナフチル、チオール、1から10の炭素原子を有するアルキルおよびピロール基からなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
Zは6から20の炭素原子を有する芳香族基である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
Zはフェニルまたはトルイル基である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記コーティング組成物は、少なくとも1つのポリマー、少なくとも1つのモノマー、光開始剤および0.1〜20重量%(ポリマー、モノマー、開始剤の混合物に対して)の式Iの化合物の混合物を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
式Iの化合物の量、光開始剤濃度および電磁放射線の量は、以下の式
R係数=[RAFT]/([開始剤]*放射線量)
にしたがって互いに関連し、ここで[RAFT]は式Iの化合物の重量%、[開始剤]は該組成物中の光開始剤の重量%であり、放射線量は該構造体の形成の最中に該組成物に適用される放射線量(mJ.cm−2)であり、R係数は0.0001〜0.005の範囲にある、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
R係数は0.0005から0.004の範囲にある、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ステップb)およびc)が組み合わされる、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
溶媒がステップa)とb)との間に除去される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法により作製されたポリマーレリーフ構造体を有する物品。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法により作製されたポリマーレリーフ構造体を有する光学部品。
【請求項15】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法により作製されたポリマーレリーフ構造体を有する有機または無機物質の複製のためのマスタ。

【図1】
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【公表番号】特表2010−532394(P2010−532394A)
【公表日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−511568(P2010−511568)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【国際出願番号】PCT/EP2008/056373
【国際公開番号】WO2008/151915
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(505307806)スティッチング ダッチ ポリマー インスティテュート (18)
【Fターム(参考)】