説明

ポリマー材料

本発明は、式(II):


(式中、R〜R10の1つはA−O−を表し、R〜R10の1つは−O−Bを表し、R〜R10の残りはHを表し、ここで、AおよびBは、ポリマー主鎖の残りを表し、同じものであっても異なるものであってもよい)
の部分をそのポリマー主鎖の一部として含むポリマーに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー材料に、特に再生可能源から誘導される環状化合物を使用して製造されるポリマー材料に関する。
【背景技術】
【0002】
新規なおよび有用な特性を持った新規ポリマー材料に対して継続的需要がある。合成ポリマーの大部分は、石油産業に由来する化合物の重合から形成される。その非再生可能性と相まって、油の価格が変動しやすいことにより、ポリマー合成で用いるための化合物の代替源を発見することに対してかなりの研究努力が向けられてきた。関心の対象となっているそのような源の1つが生物由来材料であり、生物由来材料はポリマー合成で用いるための工業的に有用な化合物として機能するか、またはこれらの化合物へ変換することができる。多くの生物由来材料の再生可能性は、それらを特に魅力的なものにする。
【0003】
しかし、残念ながら、多くの生物由来材料は、それらをポリマー合成に好適な化合物にするであろう特性を持たない。不飽和植物油などの、たとえば多くの生物由来材料は、重合が起こることを容易に可能にする有用な官能性(アミノ、ヒドロキシル、カルボキシ基および好適にも反応性の二重結合などの)を典型的には持たない。たとえばヒドロキシル基を形成するための1つ以上の二重結合の酸化によって、そのような有用な官能性を合成的に導入する過程で、生物由来材料の機械的特性は多くの場合に不利に変性される。一方、幾つかの生物由来材料は、重合のための有用な官能性を有する可能性があるが、新規なおよび有用なポリマー材料に望ましい特性を提供するその他の構造上の特徴を持たない可能性がある。
【0004】
再生可能源から誘導される化合物を使用して製造された、新規なおよび有用な特性を持ったポリマーを提供する機会がそれ故存在する。
【発明の概要】
【0005】
式(I):

(式中、R〜Rの1つはX−O−を表し、R〜Rの1つは−O−Yを表し、R〜Rの残りはHを表し、ここで、XおよびYは、同じものであっても異なるものであってもよく、Hまたは反応性の官能性を含む基を表す)
の特定クラスの環状化合物がポリマー材料の製造に有利に使用できることが今見いだされた。ある実施形態においては、XおよびYは独立して、Hならびに任意選択的に置換されたヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルキルカルボニル、アミノアルキル、アミノアルキルカルボニル、カルボキシアルキル、カルボキシアルキルカルボニル、エポキシアルキルおよびアミノアルキレンなどのそれらの不飽和変形から選択されてもよい。一実施形態においては、XおよびYはそれぞれHである。
【0006】
式(I)の化合物は、α−ピネンおよびソブレロールを含む多数の天然起源のまたは半合成の源から有利に誘導することができ、それらの源は順繰りにマツ、月桂樹、ティー・ツリー、オオヨモギ、スウィートバジル、ヨモギ、ローズマリー、セージおよびユーカリなどの様々な再生可能な植物源から調達されてもよい。
【0007】
一態様においては、本発明はそれ故、式(II):

(式中、R〜R10の1つはA−O−を表し、R〜R10の1つは−O−Bを表し、R〜R10の残りはHを表し、ここで、AおよびBは、ポリマー主鎖の残りを表し、同じものであっても異なるものであってもよい)
の部分をそのポリマー主鎖の一部として含むポリマーを提供する。
【0008】
さらなる態様においては、本発明は、本発明のポリマーを含む製品(シート、繊維またはフィルムなどの)を提供する。
【0009】
別の態様においては、本発明は、本発明のポリマーと少なくとも1つのその他のポリマーとを含むポリマーブレンドを提供する。ある実施形態においては、ポリマーブレンドは物理的ブレンドであってもよい。ある実施形態においては、ポリマーブレンドは溶融混合ブレンドであってもよい。
【0010】
その上さらなる態様においては、本発明は、ポリマーの製造または変性における式(I):

(式中、R〜Rの1つはX−O−を表し、R〜Rの1つは−O−Yを表し、R〜Rの残りはHを表し、ここで、XおよびYは、同じものであっても異なるものであってもよく、Hまたは1つ以上のモノマーとおよび/または1つ以上のポリマーと反応することができる官能性を含む基を表す)
の化合物の使用を提供する。
【0011】
式(I)の化合物がポリマーの「製造」に使用されるとは、式(I)の化合物が1つ以上のモノマーと反応して式(I)の化合物の反応残基を共有結合的に組み込んだポリマーを形成することを意味する。
【0012】
式(I)の化合物がポリマーの変性に使用されるとは、式(I)の化合物が1つ以上のポリマーと反応し、それと共有結合することを意味する。
【0013】
式(I)の化合物が「1つ以上のモノマーまたは1つ以上のポリマーと反応することができる」とは、式(I)の化合物と1つ以上のモノマーおよび/または1つ以上のポリマーとが、反応することができる相性の良い化学官能性を有するであろうことを意味する。たとえば、ポリマーは、1つ以上のモノマーの官能基と(たとえば、重合反応によって)反応する式(I)の化合物の官能基によって製造されてもよい。さらなる例として、ポリマーは、変性される1つ以上のポリマーの官能基と反応する式(I)の化合物の官能基によって変性されてもよい。そのような反応は、任意の好適な手段によって、たとえば、成分を溶融混合することによってかまたは成分を好適な溶媒中で組み合わせることによって促進されてもよい。
【0014】
さらなる態様においては、本発明は、ポリマーの製造またはポリマーの変性方法であって、式(I):

(式中、R〜Rの1つはX−O−を表し、R〜Rの1つは−O−Yを表し、R〜Rの残りはHを表し、ここで、XおよびYは、同じものであっても異なるものであってもよく、Hまたはモノマーおよびポリマーと反応することができる官能性を含む基を表す)
の化合物をモノマーおよび/またはポリマーと反応させる工程を含む方法を提供する。
【0015】
式(I)の化合物がモノマーおよび/またはポリマーと「反応する」とは、式(I)の化合物がモノマーおよび/またはポリマーと反応し、モノマーおよび/またはポリマーと共有結合することを意味する。
【0016】
式(I)の化合物が「モノマーおよびポリマーと反応することができる」とは、式(I)の化合物とモノマーおよびポリマーとが反応することができる相性の良い化学反応性を有するであろうことを意味する。言い換えれば、モノマーおよびポリマーのそれぞれは、式(I)の化合物の関連官能基と反応することができる相性の良い化学官能性を有するであろう。たとえば、ポリマーは、モノマーの官能基と(たとえば、重合反応によって)反応する式(I)の化合物の官能基によって製造されてもよい。さらなる例として、ポリマーは、変性されるポリマーの官能基と反応する式(I)の化合物の官能基によって変性されてもよい。そのような反応は、任意の好適な手段によって、たとえば、成分を溶融混合することによってかまたは成分を好適な溶媒中で組み合わせることによって促進されてもよい。
【0017】
別の態様においては、本発明は、1つ以上のその他のポリマーを変性するために、式(II):

(式中、R〜R10の1つはA−O−を表し、R〜R10の1つは−O−Bを表し、R〜R10の残りはHを表し、ここで、AおよびBは、ポリマー主鎖の残りを表し、同じものであっても異なるものであってもよい)
の部分をそのポリマー主鎖の一部として含む、ポリマーの使用を提供する。
【0018】
便宜上、式(II)の部分をそのポリマー主鎖の一部として含むポリマーは、本明細書においては「式(II)のポリマー」と言われてもよい。
【0019】
式(II)のポリマーが1つ以上のその他のポリマーを変性するために使用されるとは、1つ以上のその他のポリマーの物理的および/または化学的特性が式(II)のポリマーによって変えられることを意味する。
【0020】
1つ以上のその他のポリマーの変性は、本質的に非反応性であっても反応性であってもよい。たとえば、変性は、変性される1つ以上のその他のポリマーを式(II)のポリマーと溶融混合するかまたは溶融ブレンドすることによって達成されてもよい。生じた溶融混合ポリマー組成物は、各ポリマーの均質なおよび一体のブレンド(すなわち、本質的に非反応性の)であってもよいし、またはポリマー間の反応の結果として形成したポリマー(すなわち、本質的に反応性の)を含んでもよい。変性が本質的に反応性である場合、式(II)のポリマーおよび1つ以上のその他のポリマーは、反応を容易にすることができる相性の良い化学官能性をもちろん有するであろう。
【0021】
その上さらなる態様においては、本発明は、ポリマーの変性方法であって、式(II):

(式中、R〜R10の1つはA−O−を表し、R〜R10の1つは−O−Bを表し、R〜R10の残りはHを表し、ここで、AおよびBは、ポリマー主鎖の残りを表し、同じものであっても異なるものであってもよい)
の部分をそのポリマー主鎖の一部として含むポリマーを、1つ以上のその他のポリマーと結合させる工程を含む、方法を提供する。
【0022】
この態様において「ポリマーを変性する」とは、1つ以上のその他のポリマーの物理的および/または化学的特性が、それを式(II)のポリマーと結合させると変わることを意味する。
【0023】
式(II)のポリマーを1つ以上のその他のポリマーと「結合させる」とは、変性される1つ以上のその他のポリマーの物理的および/または化学的特性が変わるように、すべてのポリマーが結合させられることを意味する。これを達成するためにポリマーを結合させる工程は、液体状態で、たとえば、ポリマーを溶融混合することによってかまたはポリマーを好適な溶媒に溶解させることによって一般に行われるであろう。
【0024】
ポリマーを結合させる行為は、ポリマーの変性に関連して本明細書において記載されたように本質的に反応性であっても非反応性であってもよい。
【0025】
さらにさらなる態様においては、本発明は、式(II):

(式中、R〜R10の1つはA−O−を表し、R〜R10の1つは−O−Bを表し、R〜R10の残りはHを表し、ここで、AおよびBは、ポリマー主鎖の残りを表し、同じものであっても異なるものであってもよい)
の部分をそのポリマー主鎖の一部として含むポリマーの製造方法であって、式(I):

(式中、R〜Rの1つはX−O−を表し、R〜Rの1つは−O−Yを表し、R〜Rの残りはHを表し、ここで、XおよびYは、同じものであっても異なるものであってもよく、Hまたはモノマーと反応することができる官能性を含む基を表す)
の1つ以上の化合物をモノマーと重合させる工程を含む方法を提供する。
【0026】
「モノマーと反応することができる官能性を含む基」を有する式(I)の化合物とは、この基がポリマーを形成するためにモノマーと反応することができる相性の良い化学官能性を有するであろうことを意味する。
【0027】
したがって、表現「相性の良い化学官能性」は、この基とモノマーとが、ポリマーを形成するために互いに反応することができるタイプの官能性を有することを意味することを意図される。
【0028】
式(I)の化合物は、ポリマーを形成するためにそれら自体または式(I)のその他の化合物と反応してもよい。言い換えれば、式(I)の化合物は、ポリマーを形成するために、それぞれ、または式(I)のものではないコモノマーと重合してもよい。
【0029】
あらゆる間違いを回避するために、「式(II)の部分」は、AおよびBが式(II)において(i)「部分」がポリマー主鎖の一部を形成することをより明確に表現するために、かつ、(ii)ポリマー主鎖の残りの性質を明確にするために提示される状態で、

への言及であることを意図される。述べられたように、式(II)の部分をそのポリマー主鎖の一部として含むポリマーは本明細書においては便宜上「式(II)のポリマー」と言われてもよい。
【0030】
本明細書において使用される場合、表現「ポリマー主鎖の一部」を形成することは、式(II)の部分(すなわち、AおよびBを除いて)が、線状であっても分岐であってもよいポリマー鎖(すなわち、AおよびBを除いて)を形成するようにそれぞれ連結されている一連の原子の部分であることを意味する。言い換えれば、式(II)の部分は、ポリマー主鎖からペンダントしていない。式(II)の部分がポリマー主鎖からペンダントしていないにもかかわらず、本発明のポリマーは、ポリマー主鎖が式(II)の少なくとも1つの部分を含む限り、式(I)の化合物から形成されるペンダント基を依然として含んでもよい。
【0031】
AおよびBの例は下でより詳細に議論されるが、それらの例としては、ポリウレタン、ポリカーボネートおよびポリエステルポリマー鎖、ポリエーテル−ポリウレタン、ポリエステル−アミド、ポリエーテル−ポリエステルおよびポリエーテル−アミドが挙げられる。
【0032】
本出願によっては、本発明のポリマーは、式(II)の単一部分を有してもよいが、より典型的には本ポリマーは、式(II)の複数の部分(たとえば10以上、25以上、50以上、100以上)を含むであろう。典型的には式(II)の複数の部分のそれぞれは、ポリマー主鎖中にあるものとする。式(II)の複数の部分を含むポリマーにおいては、式(II)の各部分は、同じものであっても異なるものであってもよく、AおよびBで表される各基は、同じものであっても異なるものであってもよい。
【0033】
たとえば、式(II)の部分は、好適なコモノマーとともに、それぞれ、下で一般式(IIa)および(IIb):

(式中、Zは、アルキル、アリールまたはアルキルアリール基であり、ここで、ポリエステルの各繰り返し単位については、Zおよび式(II)の部分はそれぞれ独立して同じものであっても異なるものであってもよい)

(式中、Zは、アルキル、アリールまたはアルキルアリール基であり、ここで、ポリウレタンの各繰り返し単位については、Zおよび式(II)の部分はそれぞれ独立して同じものであっても異なるものであってもよい)
で例示されるようなポリエステルまたはポリウレタンの繰り返し単位を形成してもよい。
【0034】
式(I)の化合物は、新規ポリマー材料を製造するために効果的におよび効率的に使用することができる。式(I)の化合物は有利にも再生可能源から製造することができ、それらから誘導されたポリマーは、エチレングリコールなどのジオールを含む、従来型モノマーを使用して製造されたポリマーと比べて改善された剛さまたは剛性を示すことが分かった。
【0035】
本発明のさらなる態様は、以下により詳細に説明される。
【発明を実施するための形態】
【0036】
式(I)の環状化合物は、便宜上別なふうに、シネオール化合物と本明細書においては言われてもよい。より具体的には、式中、XおよびYはそれぞれHである場合、シネオール化合物は、シネオールジオールと言われてもよい。シネオールの構造は下に示される:

【0037】
シネオールは、多数の天然再生可能源から単離されてもよい天然産物である。たとえば、シネオールは、属ユーカリの木の葉から主として蒸留されるユーカリ油の約90%を構成する。
【0038】
しかし、式(I)の化合物とシネオールとの構造的類似性にもかかわらず、式(I)の化合物を、シネオールより大きい程度の化学官能性を有する化合物から合成することがより容易である可能性があることは理解されるであろう。典型的にはこの化学官能性は、式(I)の化合物中に存在する2個の環外酸素原子の導入を可能にするであろう。式(I)の化合物中の「環外酸素原子」とは、Xおよび/またはY中に存在する可能性があるあらゆる酸素原子を除外して、「X−O−」および「−O−Y」中の酸素原子を意味する。これらの環外酸素原子は、式(I)の化合物の例として提供される、次の構造:

において強調される。
【0039】
たとえば、式(I)の化合物は、次の化合物:

を含む多数の源から誘導されてもよい。
【0040】
α−ピネンおよびソブレロールのそれぞれは、1つ以上の官能基、特に、式(I)の化合物中に存在する2個の環外酸素原子の導入を可能にすることができる、二重結合を有する。
【0041】
これらの化合物は、マツ、月桂樹、ティー・ツリー、オオヨモギ、スウィートバジル、ヨモギ、ローズマリー、セージおよびユーカリを含む多数の天然源から単離されてもよい。これらの化合物の特に良好な源は、松油、ユーカリ油およびKunzea油からのα−ピネン;ならびに多数の天然源からのおよびまた半合成的にα−ピネンなどのテルペノイド出発原料の酸化からのソブレロールである。これらの天然源のそれぞれは再生可能なものであると考えられる。事実、これらの天然源の多くは、かなりの商業的な量で収穫されている。
【0042】
当業者は、式(I)および式(II)の化合物が多数の異性体で(立体異性体および構造異性体などの)存在することを十分理解するであろう。特に、本発明の化合物(モノマーおよびポリマーを含む)は、1つ以上の立体異性体(エナンチオマー、ジアステレオマーなどの)で存在してもよく、2個の環外酸素原子は、R〜Rの任意の2つにあってもよく(オキシ構造異性体)、重合後にR〜R10の任意の2つに置換基A−O−および−O−Bを生成する。本発明は、単離された(たとえばエナンチオマー単離で)か組み合わせで(ラセミ混合物とオキシ構造異性体の混合物に由来するポリマーとを含む)かのどちらかのこれらの立体異性体およびオキシ構造異性体(ならびにそれに由来するポリマー)のすべてをその範囲内に包含する。式(II)の異性体の具体的な特徴は本発明の仕組みにとって特に重要であるわけではないが、ある種の化合物が特定の異性体構造でより容易に製造できることは事実である可能性がある。
【0043】
ある実施形態においては、XおよびYは独立して、Hならびに任意選択的に置換されたヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルキルカルボニル、アミノアルキル、アミノアルキルカルボニル、カルボキシアルキル、カルボキシアルキルカルボニル、エポキシアルキルおよびアミノアルキレンなどのそれらの不飽和変形から選択されてもよい。これらの場合には各アルキル基、またはその不飽和変形は、2〜20個、または2〜10個の炭素原子を含んでもよい。
【0044】
ある実施形態においては、式(I)の化合物は、次のもの:

から選択される構造を有する。
【0045】
一実施形態においてはXおよびYはそれぞれHであり、式(I)の化合物は、次の一般構造:

を有する。
【0046】
式(I)の1つの特定の化合物は、エポメジオールまたは(6R,7S)−1,3,3−トリメチル−2−オキサビシクロ[2.2.2]オクタン−6,7−ジオールとして知られる。
【0047】
本発明は、式(I)の化合物が任意の好適な手段によって誘導されてもよいと予想するが、式(I)の具体的なシネオール化合物(式中、XおよびYはそれぞれHである)を製造するために用いられてもよい合成方法論はほんの一例として下に概説される。
【0048】
Zhurnal Obshch Khimii 1991、62(7)、1639−1645(その全体内容が参照により本明細書に援用される)から翻訳された、L.A.Popova、V.I.Biba、V.M.Prishchepenko、S.V.ShavyrinおよびN.G.Kozlovに記載されているように、下に示されるシネオールジオールは、α−ピネンから(ソブレロール経由で)誘導される:

【0049】
上に(および下に)示されるシネオールジオールへの別の合成ルートは、A.BhaumikおよびT.Tatsumi、Journal of Catalysis 1999、182、349−356(その全体内容が参照により本明細書に援用される)に記載されており、チタン触媒を使用するソブレロールの酸化で始まる:

【0050】
2つの基X−O−および−O−Yは、式(I)の化合物の環状部分をポリマー主鎖中へ共有結合させるための官能性を提供する。たとえば、XおよびYがそれぞれHである場合、シネオール化合物は、相性の良い化学官能性を有するモノマーまたはポリマーとの反応のために利用可能である2個の反応性ヒドロキシル基が備わっている。
【0051】
ある実施形態においては、所与の重合のためのXおよび/またはY基の反応性を調節することが望ましいかもしれない。たとえば、XおよびYがHであるとき、得られた第二級アルコール基は、立体障害のためにアルコール基の反応性を低下させる可能性がある環状部分に極めて近いことが十分理解されるであろう。XおよびYがそれぞれヒドロキシアルキル基(ヒドロキシエチル基などの)である場合、式(I)の化合物は同様に、2個の反応性ヒドロキシル基が備わっており、ヒドロキシル基は、この場合には、第一級アルコール基であり、アルキル基および式(I)の環外酸素原子を通して式(I)の環状部分に結合している。その場合、第一級アルコール基は、第二級アルコール基より重合に対して一般によりよく反応するであろう。
【0052】
XおよびYがそれぞれカルボキシアルキルカルボニル基である、別の例では式(I)の化合物は、2個の反応性カルボン酸基が備わっており、カルボン酸基は、アルキル基および式(I)の環外酸素原子を含むエステル基を通して式(I)の環状部分に結合している。カルボン酸基は反応性の点で典型的には求電子性であるが、ヒドロキシル基は反応性の点で求核性であり、したがってXおよびY基は、式(I)の化合物に所望の反応性を提供するために選択されてもよいことが理解されるであろう。
【0053】
Xがヒドロキシアルキル基であり、そしてYがカルボキシアルキルカルボニル基である場合などの、反応性官能基の組み合わせもまた予想される。各場合に、反応性の官能性は、相性の良い化学官能性を有するモノマーと反応することができる。
【0054】
一実施形態においては、式(I)は化合物:

で表され、この化合物は、相性の良い化学官能性を有するモノマー(たとえば二酸)と重合して部分

(式中、AおよびBは、ポリマー主鎖の残りを表し、同じものであっても異なるものであってもよい)
をそのポリマー主鎖の一部として含むポリマーを形成する。
【0055】
別の実施形態においては式(I)は、化合物:

で表される。
【0056】
その場合、XおよびYのそれぞれはヒドロキシエチル基を表す。当業者は、ヒドロキシル基の1つまたは両方が、たとえば、酸、アミンまたはシアノ基へ転化されるようにヒドロキシエチル基がさらに誘導体化されてもよいことを十分理解するであろう。たとえば、ヒドロキシエチル誘導体は、シネオールジオールから下に示されるように合成されてもよく、ジカルボン酸化合物を形成するためにさらに酸化されてもよい。

【0057】
さらなる実施形態においては、式(I)は、化合物:

で表される。
【0058】
その場合には、Xはヒドロキシメチルカルボニルを表し、Yはカルボキシエチルカルボニルを表す。この化合物がシネオールジオールから下に示されるように:

合成されてもよいことは十分理解されるであろう。
【0059】
この酸−アルコール化合物は、部分:

(式中、AおよびBは、ポリマー主鎖の残りを表し、同じものであっても異なるものであってもよい)
をそのポリマー主鎖の一部として含むポリマーを形成するために自己重合するまたは相性の良い化学官能性(たとえば、酸−アルコール)を含むコモノマーと重合させられてもよい。
【0060】
ある実施形態においては、ホモポリマーが形成されてもよいことは十分理解されるであろう。その点に関して、式(I)の置換基X−O−が式(I)の置換基−O−Yと反応することができる場合、ホモポリマーが形成されてもよい。直前の酸−アルコール例においては、X−O−は、エステル結合を形成するために−O−Yと反応することができる。したがってこのモノマーは、この場合ポリエステルであろうホモポリマーを形成するために自己重合してもよい。
【0061】
本明細書において使用される表現「相性の良い化学官能性」はそれ故、式(I)の化合物におけるX−O−および/または−O−Yの反応性の官能性と反応(重合、連鎖カップリングなどの)をすることができる、たとえばモノマーまたはポリマーの化学官能性を意味する。式(I)の化合物のX−O−および/または−O−Y基における反応性の官能性は、様々な官能基と反応してもよい。たとえば、XおよびYが両方ともHである場合、またはX−O−および−O−Yがヒドロキシ基を含む場合、このヒドロキシ基は、カルバメートまたはウレタン結合を形成するためにイソシアネート官能性;エステル結合を生成するためにカルボン酸官能性;エステル結合を生成するためにカルボン酸ハライド官能性;新たなエステル結合を生成するためにエステル官能性;エステル結合を生成するために酸無水物官能性;エーテル結合を生成するためにエポキシド官能性;エーテル結合を生成するためにハロゲン化アルキル;ならびにカーボネート結合を生成するためにその他のカルボン酸誘導体(二酸化炭素およびホスゲンを含む)のような官能基と反応してもよい。したがって、表現「相性の良い化学官能性」としては、イソシアネート、カルボン酸、カルボン酸ハライド、エステル、酸無水物およびその他のカルボン酸誘導体基などのカルボン酸誘導体などの官能性または基が挙げられる。
【0062】
その他の実施形態においては、X−O−および/または−O−Y基は、アミン、アルコールおよび酸ハライドなどの「相性の良い化学官能性」と反応することができる、カルボン酸官能性を含んでもよい。同様に、X−O−および/または−O−Y基は、アミン、アルコールおよびチオールなどの「相性の良い化学官能性」と反応することができる、エポキシド官能性を含んでもよい。
【0063】
したがって、本明細書において使用される表現「相性の良い化学官能性を有するモノマー」または「相性の良い化学官能性を持つモノマー」などの類似の表現としては、式(I)中のXおよび/またはY基の性質に依存して必要に応じて選択されるイソシアネート、カルボン酸、カルボン酸誘導体(カルボン酸ハライド、エステル、酸無水物基を含む)、アミン、アルコール、チオールおよびそれらの組み合わせなどの1つ以上の化学官能基を含むモノマーが挙げられる。そのようなモノマーの例は、ポリイソシアネート、ポリ(酸ハライド)、ポリ酸、二酸化炭素、ホスゲン(またはトリホスゲン)、ポリオール、ポリアミンおよびポリチオールである。これらの場合のそれぞれにおいて接頭辞「ポリ」は、2つ以上の(たとえば、ポリイソシアネートの場合においては、2つ以上のイソシアネート基)反応性官能基の存在を示すために使用される。典型的には、モノマーは、ジイソシアネート、二酸ハライドまたは二酸などの、2つの反応性官能基を含むであろう。ポリマーを形成するために式(I)の化合物と反応するコモノマーはまた、式(I)のものであってもよい。
【0064】
ある実施形態においては、ポリマーを形成するための重合反応において式(I)の化合物と反応させるために使用されるこのまたは各「モノマー」は、式(I)の化合物と反応するために、それ自体、相性の良くない少なくとも1つの基に加えて相性の良い化学官能性(本明細書において定義されるような)の少なくとも1つの基を含有してもよい。そのようなモノマーの例は、ヒドロキシ酸、アミノ酸およびチオ酸である。ヒドロキシ酸の場合には、カルボン酸は、ヒドロキシ末端化合物を生成するために式(I)の化合物(Xおよび/またはYがHであるときなどの)のヒドロキシ基と反応することができる。同様にアミノ酸の場合には、カルボン酸は、アミノ−ヒドロキシ末端化合物を生成するために式(I)の化合物(Xおよび/またはYがHであるときなどの)のヒドロキシ基と反応することができる。同様にチオ酸の場合には、カルボン酸は、チオ−ヒドロキシ末端化合物を生成するために式(I)の化合物(Xおよび/またはYがHであるときなどの)のヒドロキシ基と反応することができる。これらのヒドロキシ/アミノ/チオ末端化合物はその後、ポリマー主鎖が1つ以上のエステル、アミド、チオエステル、ウレア、ウレタンおよび/またはチオカーバメート官能基を含んでもよいように、カルボン酸、イソシアネート基などを有する別のモノマーと反応してもよい。それ自体、式(I)の化合物と反応するのに相性の良くない官能基を生成するために開環する官能性を含有するその他のモノマーが使用されてもよい。そのようなモノマーの例は、ラクトン、ラクタム、環状カーボネートおよびエポキシドなどの環状エーテルである。たとえば、XがHである場合、このヒドロキシル基は、ヒドロキシル末端化合物を生成するためにγ−ブチロラクトンなどのラクトン化合物と反応してもよい。
【0065】
AおよびBで表される、ポリマー主鎖の「残り」は、あらゆるタイプのポリマーであってもよく、その例は、ポリウレタン;ポリエステル(たとえば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PLGA(ポリ(乳酸−コ−グリコール酸))、PLA(ポリ乳酸)、PGA(ポリグリコール酸)、PHB(ポリヒドロキシブチレート)、PCL(ポリカプロラクトン);およびそれらのコポリマー);ポリアミド;ポリカーボネート;ポリイミド;ポリエーテル;ポリエポキシ;ポリアクリレート;ポリシロキサン;ポリビニル(たとえば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル)ならびにそれらの組み合わせである。ある実施形態においては、AおよびBはそれぞれ、ポリウレタン;ポリエステル;ポリエーテル;ポリカーボネート;およびそれらの組み合わせから選択される。一実施形態においては、Aおよび/またはBは、ポリウレタンまたはポリエステルを表す。すべての場合に、Aおよび/またはBは、式(I)の1つ以上の化合物の重合残基を含んでもよい。たとえば、Aおよび/またはBは、ポリ(エチレン−コ−シネオールジオール)テレフタレートであってもよい。
【0066】
式(II)の部分を含むポリマーは、線状であっても分岐であってもよい。式(II)の部分を含むポリマーは、架橋ポリマーであってもよい。架橋ポリマーは、無水マレイン酸またはビニルエステルの使用、引き続きフリーラジカル架橋によって、たとえば、ポリマー主鎖中へ不飽和またはポリマー主鎖からのペンダントの導入によって形成されてもよい。当業者は、この形の架橋がフリーラジカル開始源の使用を一般に必要とすることを十分理解するであろう。架橋ポリマーはまた、ポリアミンを使用して架橋されてもよいペンダントエポキシ基の導入によって形成されてもよい。
【0067】
ある実施形態においては、形成されるポリマーは線状ポリウレタンであってもよい。線状ポリウレタンは、等モル量のジオール成分とジイソシアネート成分とを使用して合成されてもよい。本発明の一実施形態においては、ジオール成分は、XおよびYが両方ともHであるときなどの、2個のヒドロキシル基を有する100%の式(I)の環状化合物からなる。この場合には、式(I)の環状化合物とジイソシアネートとの重合は、50モル%環状化合物残基と50モル%ジイソシアネート残基とを含むポリウレタンを生成する。さらなる実施形態においては、ジオール成分は、各化合物がジオール成分の1〜99モル%を占めてもよい複数のジオール化合物を含んでもよい。そのような実施形態においては、ジオール化合物の総量は合計100モル%になることが理解されるであろう。たとえばジオール成分は、2個のヒドロキシル基を有する50モル%の式(I)の環状化合物と50モル%の別のジオール(たとえば、エチレングリコール)とを含んでもよい。同様に、ジイソシアネート成分は、単一化合物からなってもよいし、または各化合物がジイソシアネート成分の1〜99モル%の範囲であってもよい2つ以上のジイソシアネート化合物を含んでもよい。同様に、そのような実施形態においては、ジイソシアネート化合物の総量は合計100モル%になることが理解されるであろう。
【0068】
ある実施形態においては、形成されるポリマーは線状ポリエステルである。線状ポリエステルは、等モル量のジオール成分と二酸成分(または必要に応じてジエステルもしくは二酸ハライド)とから合成されてもよい。ある実施形態においてはジオール成分は、XおよびYが両方ともHであるときなどの、2個のヒドロキシル基を有する100%の式(I)の環状化合物からなる。この場合には、式(I)の環状化合物とジエステルとの重合は、50モル%環状ジオール残基と50モル%二酸残基とを含むポリエステルを生成する。その他の実施形態においてはジオール成分は、各化合物がジオール成分の1〜99モル%を占めてもよい複数のジオール化合物からなってもよい。これらの実施形態においては、複数のジオール化合物のそれぞれの総量はジオール成分の100モル%であることが理解されるであろう。たとえばジオール成分は、2個のヒドロキシル基を有する50モル%の式(I)の環状化合物と50モル%の別のジオールとからなってもよい。同様に、二酸成分は、単一化合物からなってもよいし、または各化合物が二酸成分の1〜99モル%の範囲であってもよい1つ以上の二酸化合物からなってもよい。これらの実施形態においては、複数の二酸化合物のそれぞれの総量は二酸成分の100モル%であることが理解されるであろう。
【0069】
本発明のポリマーを製造するために使用されてもよいポリイソシアネートの例としては、脂肪族、芳香族および脂環式ポリイソシアネートならびにそれらの組み合わせが挙げられる。具体的なポリイソシアネートとしては、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、ヘキサヒドロ−トルエンジイソシアネートおよびその異性体、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、および3,3’−ジメチル−ジフェニルプロパン−4,4’−ジイソシアネートなどのジイソシアネート;2,4,6−トルエントリイソシアネートなどのトリイソシアネート;4,4’−ジメチル−ジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネート、ポリメチレンポリフェニル−ポリイソシアネートおよびリジンジイソシアネートのアルキルエステル(たとえば、リジンジイソシアネートのエチルエステル−ELDI)などのポリイソシアネート;ならびにそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
【0070】
本発明のポリマーを製造するために使用されてもよいポリ酸の例としては、脂肪族、芳香族および脂環式ポリ酸およびそれらの組み合わせが挙げられる。具体的なポリ酸としては、次のもの、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、ドデカン二酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ドデシルコハク酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、フマル酸、イタコン酸、マロン酸、メサコン酸が挙げられるが、それらに限定されない。上の二酸のエステル、カルボン酸ハライドおよび酸無水物もまた本発明の方法において好適である。
【0071】
本発明のポリマーを製造するために式(I)のシネオール化合物(それらが2個のヒドロキシル基を有するそれらの場合に)と組み合わせて使用されてもよいポリオールの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン−1,4−ジオールなどの脂肪族グリコール;ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどのグリコールエーテル;およびグリセロール、ソルビトール、ペンタエリスリトールなどの高官能性ポリオール材料;ならびにポリカプロラクトンジオールなどのポリエステルポリオールが挙げられる。ビスフェノール−Aおよび水素化ビスフェノール−Aなどのジヒドロキシ化合物もまた好適である。一般に、ポリオールは、2〜20個または2〜10個の炭素原子および2〜4個のヒドロキシ基を有するであろう。
【0072】
3つ以上の反応性官能基を有する多官能性化合物(たとえば、トリオール、テトラオール、三酸、四酸、トリイソシアネート、テトライソシアネートなど)が本発明に従って使用される場合、当業者は、所与の反応において各モノマーについて必要とされるモル分率が適宜に調節される必要があることを十分理解するであろう。そのようなより高い多官能性化合物(すなわち、2超の官能基)はまた、生じるポリマー主鎖内に分岐点を典型的に導入するであろう。
【0073】
上に予示されるように、2個のヒドロキシル基を有する、式(I)の環状化合物と、ポリイソシアネートまたはポリ酸(またはエステルもしくは酸ハライドなどのその誘導体)との重合はまた、1つ以上のその他のタイプのその他のポリオールの存在下に行われてもよい。ある種のポリオールは、当該技術分野においては鎖延長剤と言うことができる。
【0074】
鎖延長ポリオールとして当該技術分野において公知のポリオールの例としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオールおよび1,6−ヘキサンジオールなどのα,ω−アルカンジオールが挙げられる。
【0075】
当該技術分野において周知の技法、装置および試薬を、本発明に従ってポリマーを製造するまたは変性するために有利に使用することができる。重合/変性は、回分ケットル、静的ミキサー、射出成形機または押出機を含む、幅広い異なる装置で実施されてもよい。
【0076】
ある実施形態においては、反応プロセスの前にまたはプロセス中に試薬を加熱してそれらの溶解性を向上させるかまたはそれらの反応性を高めることが有利であるかもしれない。当業者に周知の、重縮合触媒などの、触媒が、重合の速度を高めるために反応混合物中に含められてもよい。典型的な縮合触媒としては、三酸化アンチモン、酸化チタンおよびジブチルスズジラウレートなどのルイス酸が挙げられる。
【0077】
重合はまた、重合の速度を高めるのに役立つために溶媒中で行われてもよい。溶媒は、ポリエステル形成の場合に形成される可能性があるあらゆる縮合物(水または低分子量アルコールなどの)と最小の溶解性を有するにすぎないように一般に選択されるであろう。たとえば、反応はトルエン中で実施され、トルエン/縮合物混合物は連続的に留去され、縮合物はDean−Starkトラップで分離されてもよい。
【0078】
ある実施形態においては、ポリウレタンは、すべての成分を一緒に混合し、発熱が起こるまで待ち、引き続き混合物を容器中へ投じることによって回分式に製造されてもよい。混合物は、反応を推進するためにその後加熱することができる。このアプローチを採用するとき、混合される成分は先ず、混合する前に2つの部分にメークアップされてもよく:部分−1は、2個のヒドロキシル基を有する式(I)の環状化合物および任意選択的に1つ以上のポリオール、鎖延長剤、発泡剤(たとえば、水)、触媒、ならびに界面活性剤などを含んでもよい。部分−2はポリイソシアネートを一般に含むであろう。部分−1または部分−2はまた、充填剤、顔料などのその他の添加剤を含有してもよい。
【0079】
ポリウレタンはまた、鎖延長剤とその後反応させられるプレポリマーとして製造されてもよい。たとえば、モル比の好適な調節によって、イソシアネート末端プレポリマーが上述の部分−1および−2を混合することによって製造されてもよい。イソシアネート末端ポリマーは次に、短鎖ジオール(たとえば、1,4−ブタンジオール)または高ポリオール(トリオールなどの)などの鎖延長剤/分岐分子と反応させられてもよい。あるいは、モル比の好適な調節によって、プレポリマーは、それがヒドロキシ末端であるように製造されてもよい。ヒドロキシ末端プレポリマーは次に、所望のポリウレタンを製造するためにポリイソシアネートと反応させられてもよい。
【0080】
ポリエステルがカルボン酸ハライドモノマーを使用して製造される場合、当業者は、この反応が、HX(ここで、Xはハライドである)の形成および除去によって、少なくともある程度、推進されることを十分理解するであろう。たとえば、二酸クロリドコモノマーが2個のヒドロキシル基を有する式(I)の化合物と反応させられる場合、HClが反応から遊離するであろう。そのような反応は、反応を推進するために高められた温度で溶液中で実施されてもよい。遊離した酸ハライドと塩を形成するために適切な塩基を加えることもまた可能である。たとえば過剰のトリエチルアミンが、1:1モル比の二酸クロリドコモノマーおよび2個のヒドロキシル基を有する式(I)の化合物を含有する反応混合物に含められてもよい。この反応は、所望のポリマーおよびトリエチルアミン塩酸塩を与えるであろう。アルコールと酸ハライドとの反応は水またはアルコールなどの縮合物を遊離させないという事実にもかかわらず、エステル生成物の形成はそれにもかかわらす、酸ハライドへのカルボン酸の先行転化において縮合物が典型的に形成される限りにおいて縮合反応と見なされてもよい。
【0081】
表現「相性の良い化学官能性を有するモノマー」および「相性の良い化学官能性を持つモノマー」などのその変形が本明細書において定義されているのと同じように、本明細書において使用される表現「相性の良い化学官能性を有するポリマー」および「相性の良い化学官能性を持つポリマー」などのその変形は、式(I)の化合物または式(II)のポリマー中の反応性の官能性と反応することができる官能性を有するポリマーを意味する。
【0082】
本発明に従って式(I)の化合物または式(II)のポリマーで変性されてもよいポリマーの例としては、ポリエステル、ポリウレタンおよびポリカーボネートが挙げられる。
【0083】
その点に関して、式(I)のシネオール化合物における基X−O−および/または−O−Yは、1つ以上のポリマー中に存在する相性の良い化学官能性との反応を促進するために使用されてもよい。特に、シネオール化合物は、予め形成されたポリマーの分子構造およびそれ故に特性を変性するために有利に使用されてもよい。
【0084】
本発明は、本発明のポリマーと少なくとも1つのその他のポリマーとを含むポリマーブレンドを提供する。押出などの、溶融混合を含む標準ブレンディング技法が用いられてもよい。ポリマーブレンドはまた物理的ブレンドであってもよい(すなわち、非溶融混合されてもよい)。
【0085】
式(I)の化合物は、変性されるポリマーと反応し、それと共有結合するために使用される。
【0086】
式(II)のポリマーは、1つ以上のその他のポリマーを、それらとの反応によってかまたはそれらと単純に溶融ブレンドされることによって変性してもよい。
【0087】
式(I)の化合物または式(II)のポリマーが1つ以上のその他のポリマーの分子構造と反応し、それを変性する場合、その化合物の残基または式(II)のポリマーの一部は、変性されたポリマーブレンドの一部を典型的には形成する。たとえば、シネオール化合物におけるX−O−および−O−Y基がヒドロキシル基を含む場合、シネオール化合物は、アルコール分解によってポリエステルと反応し、そしてポリエステルに組み込まれてもよい。そのような反応は、当該技術分野において公知の反応性押出技法を用いて促進されてもよい。その場合、シネオール化合物は、ポリエステルの主鎖内へのジオールの挿入を促進するためにポリエステルと溶融混合されてもよい。X−O−および/または−O−Y基内のその他の官能性は、1つ以上のポリマーの主鎖中への式(I)のシネオール化合物の挿入をさらにまたはあるいは可能にするかもしれない。
【0088】
式(I)のシネオール化合物が予め形成されたポリマーを変性するために使用される場合、この変性プロセスは、当業者に公知の装置および技法を用いて実施することができる。たとえば、シネオール化合物は、二軸スクリュー押出機、単軸スクリュー押出機、その他の多軸スクリュー押出機などの連続押出装置およびFarellミキサーを使用して1つ以上のポリマーと溶融混合されてもよい。半連続または回分処理装置がまた溶融混合を達成するために使用されてもよい。そのような装置の例としては、射出成形機、Banburyミキサーおよびバッチミキサーが挙げられる。静的溶融混合装置がまた使用されてもよい。
【0089】
式(I)のシネオール化合物と、ポリエステルなどの、ポリマーとの反応は、ポリマーの分子量の低下をもたらす可能性がある。必要ならば、ポリマーの分子量は、当該技術分野において公知の技法を用いてその後増加させることができる。たとえば、シネオール化合物と反応させられるポリマーがポリエステルであり、そしてシネオール化合物が2個のヒドロキシル基を有する場合、生じた反応混合物は固相重合プロセスにかけられてもよい。
【0090】
連鎖カップリング剤がまた分子量のあらゆる低下を相殺するための反応において導入されてもよい。そのような試剤としては、多官能性酸無水物、エポキシ化合物、オキサゾリン誘導体、オキサゾリノン誘導体、ラクタム、イソシアネート、ラクトンおよび関連化学種が挙げられる。ある実施形態においては、式(I)の化合物はそれ自体、X−O−および−O−Y基中にそのような官能性を含んでもよい。
【0091】
カップリング剤の例としてはまた、次のものの1つ以上が挙げられる:
ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート;N,N−ジグリシジルベンズアミド(および関連ジエポキシ);N,N−ジグリシジルアニリンおよび誘導体;N,N−ジグリシジルヒダントイン、ウラシル、バルビツール酸またはイソシアヌル酸誘導体;N,N−ジグリシジルジイミド;N,N−ジグリシジルイミダゾロン;エポキシノボラック;フェニルグリシジルエーテル;ジエチレングリコールジグリシジルエーテル;Epikote 815(ビスフェノールAのジグリシジルエーテル−エピクロロヒドリンオリゴマー)などのポリエポキシド。
2,2−ビス(2−オキサゾリン);1,3−フェニレンビス(2−オキサゾリン−2)、1,2−ビス(2−オキサゾリニル−2)エタン;2−フェニル−1,3−オキサゾリン;2,2’−ビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサゾリン);N,N’−ヘキサメチレンビス(カルバモイル−2−オキサゾリン;ビス[5(4H)−オキサゾロン);ビス(4H−3,1ベンゾオキサジン−4−オン);2,2’−ビス(H−3,1−ベンゾジン−4−オン)などのポリオキサゾリン/ポリオキサゾロン。
ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二酸無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)チオエーテル二酸無水物、ビスフェノール−Aビスエーテル二酸無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二酸無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二酸無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、ヒドロキノンビスエーテル二酸無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1ナフタレン−コハク酸二無水物、ビシクロ(2,2)オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、テトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4ジカルボキシフェニル)プロパン二酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、およびエチレンジアミン四酢酸二無水物(EDTAh)などの多官能性酸無水物。酸無水物含有ポリマーまたはコポリマーを酸無水物成分として使用することもまた可能である。
【0092】
好ましい多官能性酸無水物としては、ピロメリット酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物およびテトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。最も好ましくは、多官能性酸無水物はピロメリット酸二無水物である。
【0093】
N,N’−テレフタロイルビス(カプロラクタム)およびN,N’−テレフタロイルビス(ラウロラクタム)などのポリアシルラクタム。
【0094】
式(II)のポリマーが、予め形成されたポリマーの分子構造、それ故に特性を変性するために使用されてもよい。たとえば、ポリエステルの形態での式(II)のポリマーを別のポリエステルと溶融混合すると、予め形成されたポリエステル中への式(II)の環状部分の組み込みに一般につながるであろう。そのような挿入はまた、本明細書において記載されるように相殺されてもよいその他のポリエステルの分子量の損失をもたらす可能性がある。
【0095】
ある実施形態においては、組み込まれる部分を含む式(II)のポリマーのブロック特性に関して特に、式(II)のポリマーの環状部分が1つ以上のその他のポリマー中へ組み込まれる方法のある程度のコントロールを促進することが望ましいかもしれない。これらの実施形態においては、用いられる条件下に崩壊に抵抗することができる式(II)のポリマーを使用してあらゆるブロック特性を保持することが可能であるかもしれない。たとえば、式(II)のポリマーは、立体障害があり、そしてエステル交換に抵抗するエステル基をポリマー主鎖中に有するポリエステルであってもよい。
【0096】
式(I)の化合物は、本発明のポリマーに1つ以上の有利な特性を提供することができる。理論に制約されることなく、式(I)の化合物の二環構造は、剛さまたは剛性などの、有利な機械的特性を本ポリマーに提供すると考えられる。これらの有利な特性は、ポリマー主鎖中の式(II)の部分のモル分率が増加するときに高められるとまた考えられる。
【0097】
本発明のポリマーは、様々な製品へ成形されてもよい。そのような製品の例は、たとえば、射出成形、押出成形、回転成形、発泡成形、カレンダー成形、ブロー成形、熱成形、圧縮および溶融紡糸によって形成されてもよいシート、繊維およびフィルムである。
【0098】
本発明のこのポリマーは、ポリマー製造に典型的に好適な1つ以上の添加剤とブレンドされてもよい。そのような添加剤の例としては、増量剤、UV安定剤、酸化防止剤、滑剤、流動性改良剤、顔料、染料、着色剤、充填剤、可塑剤、蛍光増白剤、難燃剤、耐衝撃性改良剤、強化剤(ガラス繊維、カオリン、雲母などの)、帯電防止剤、および発泡剤が挙げられる。
【0099】
本明細書においては「任意選択的に置換された」は、ある基が、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アシル、アラルキル、アルカリール、アルクヘテロシクリル、アルクヘテロアリール、アルクカルボシクリル、ハロ、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ハロアリール、ハロカルボシクリル、ハロヘテロシクリル、ハロヘテロアリール、ハロアシル、ハロアリアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルケニル、ヒドロキシアルキニル、ヒドロキシカルボシクリル、ヒドロキシアリール、ヒドロキシヘテロシクリル、ヒドロキシヘテロアリール、ヒドロキシアシル、ヒドロキシアラルキル、アルコキシアルキル、アルコキシアルケニル、アルコキシアルキニル、アルコキシカルボシクリル、アルコキシアリール、アルコキシヘテロシクリル、アルコキシヘテロアリール、アルコキシアシル、アルコキシアラルキル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、カルボシクリルオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、アシルオキシ、ハロアルコキシ、ハロアルケニルオキシ、ハロアルキニルオキシ、ハロアリールオキシ、ハロカルボシクリルオキシ、ハロアラルキルオキシ、ハロヘテロアリールオキシ、ハロヘテロシクリルオキシ、ハロアシルオキシ、ニトロ、ニトロアルキル、ニトロアルケニル、ニトロアルキニル、ニトロアリール、ニトロヘテロシクリル、ニトロヘテロアリール、ニトロカルボシクリル、ニトロアシル、ニトロアラルキル、アミノ(NH)、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルケニルアミノ、アルキニルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アラルキルアミノ、ジアラルキルアミノ、アシルアミノ、ジアシルアミノ、ヘテロシクルアミノ、ヘテロアリールアミノ、カルボキシ、カルボキシエステル、アミド、アルキルスルホニルオキシ、アリールスルフェニルオキシ、アルキルスルフェニル、アリールスルフェニル、チオ、アルキルチオ、アルケニルチオ、アルキニルチオ、アリールチオ、アラルキルチオ、カルボシクリルチオ、ヘテロシクリルチオ、ヘテロアリールチオ、アシルチオ、スルホキシド、スルホニル、スルホンアミド、アミノアルキル、アミノアルケニル、アミノアルキニル、アミノカルボシクリル、アミノアリール、アミノヘテロシクリル、アミノヘテロアリール、アミノアシル、アミノアラルキル、チオアルキル、チオアルケニル、チオアルキニル、チオカルボシクリル、チオアリール、チオヘテロシクリル、チオヘテロアリール、チオアシル、チオアラルキル、カルボキシアルキル、カルボキシアルケニル、カルボキシアルキニル、カルボキシカルボシクリル、カルボキシアリール、カルボキシヘテロシクリル、カルボキシヘテロアリール、カルボキシアシル、カルボキシアラルキル、カルボキシエステルアルキル、カルボキシエステルアルケニル、カルボキシエステルアルキニル、カルボキシエステルカルボシクリル、カルボキシエステルアリール、カルボキシエステルヘテロシクリル、カルボキシエステルヘテロアリール、カルボキシエステルアシル、カルボキシエステルアラルキル、アミドアルキル、アミドアルケニル、アミドアルキニル、アミドカルボシクリル、アミドアリール、アミドヘテロシクリル、アミドヘテロアリール、アミドアシル、アミドアラルキル、ホルミルアルキル、ホルミルアルケニル、ホルミルアルキニル、ホルミルカルボシクリル、ホルミルアリール、ホルミルヘテロシクリル、ホルミルヘテロアリール、ホルミルアシル、ホルミルアラルキル、アシルアルキル、アシルアルケニル、アシルアルキニル、アシルカルボシクリル、アシルアリール、アシルヘテロシクリル、アシルヘテロアリール、アシルアシル、アシルアラルキル、スルホキシドアルキル、スルホキシドアルケニル、スルホキシドアルキニル、スルホキシドカルボシクリル、スルホキシドアリール、スルホキシドヘテロシクリル、スルホキシドヘテロアリール、スルホキシドアシル、スルホキシドアラルキル、スルホニルアルキル、スルホニルアルケニル、スルホニルアルキニル、スルホニルカルボシクリル、スルホニルアリール、スルホニルヘテロシクリル、スルホニルヘテロアリール、スルホニルアシル、スルホニルアラルキル、スルホンアミドアルキル、スルホンアミドアルケニル、スルホンアミドアルキニル、スルホンアミドカルボシクリル、スルホンアミドアリール、スルホンアミドヘテロシクリル、スルホンアミドヘテロアリール、スルホンアミドアシル、スルホンアミドアラルキル、ニトロアルキル、ニトロアルケニル、ニトロアルキニル、ニトロカルボシクリル、ニトロアリール、ニトロヘテロシクリル、ニトロヘテロアリール、ニトロアシル、ニトロアラルキル、シアノ、スルフェートおよホスフェート基から選択されるものを含む1つ、2つ、3つまたはそれ以上の有機および無機基(すなわち、任意選択の置換基)で置換されていても置換されていなくてもよいかまたは(縮合多環基を形成するために)それらの基と縮合していても縮合していなくてもよいことを意味すると解釈される。
【0100】
ある実施形態においては、基はポリマー鎖で任意選択的に置換されていることが望ましいかもしれない。そのようなポリマー鎖の例としては、ポリエステル、ポリウレタン、またはそれらのコポリマーが挙げられる。
【0101】
好ましい任意選択の置換基としては、アルキル(たとえば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルもしくはシクロヘキシルなどのC1〜6アルキル)、ヒドロキシアルキル(たとえば、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル)、アルコキシアルキル(たとえば、メトキシメチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシメチル、エトキシエチル、エトキシプロピルなど)アルコキシ(たとえば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、シクロプロポキシ、シクロブトキシなどのC1〜6アルコキシ)、ハロ、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、トリブロモメチル、ヒドロキシ、フェニル(フェニルはそれ自体、たとえば、C1〜6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシC1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、ハロC1〜6アルキル、シアノ、ニトロOC(O)C1〜6アルキル、およびアミノでさらに置換されていてもよい)、ベンジル(ここで、ベンジルはそれ自体、たとえば、C1〜6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシC1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、ハロC1〜6アルキル、シアノ、ニトロOC(O)C1〜6アルキル、およびアミノでさらに置換されていてもよい)、フェノキシ(ここで、フェニルはそれ自体、たとえば、C1〜6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシC1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、ハロC1〜6アルキル、シアノ、ニトロOC(O)C1〜6アルキル、およびアミノでさらに置換されていてもよい)、ベンジルオキシ(ここで、ベンジルはそれ自体、たとえば、C1〜6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシC1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、ハロC1〜6アルキル、シアノ、ニトロOC(O)C1〜6アルキル、およびアミノでさらに置換されていてもよい)、アミノ、アルキルアミノ(たとえば、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノなどの、C1〜6アルキル)、ジアルキルアミノ(たとえば、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノなどの、C1〜6アルキル)、アシルアミノ(たとえば、NHC(O)CH)、フェニルアミノ(ここで、フェニルはそれ自体、たとえば、C1〜6アルキル、ハロ、ヒドロキシヒドロキシC1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、ハロC1〜6アルキル、シアノ、ニトロOC(O)C1〜6アルキル、およびアミノでさらに置換されていてもよい)、ニトロ、ホルミル、−C(O)−アルキル(たとえば、アセチルなどの、C1〜6アルキル)、O−C(O)−アルキル(たとえば、アセチルオキシなどの、C1〜6アルキル)、ベンゾイル(ここで、フェニル基はそれ自体、たとえば、C1〜6アルキル、ハロ、ヒドロキシヒドロキシC1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、ハロC1〜6アルキル、シアノ、ニトロOC(O)C1〜6アルキル、およびアミノでさらに置換されていてもよい)、C=O、COH、COアルキル(たとえば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステルなどのC1〜6アルキル)でのCHの置換体、COフェニル(ここで、フェニルはそれ自体、たとえば、C1〜6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシルC1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、ハロC1〜6アルキル、シアノ、ニトロOC(O)C1〜6アルキル、およびアミノでさらに置換されていてもよい)、CONH、CONHフェニル(ここで、フェニルはそれ自体、たとえば、C1〜6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシルC1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、ハロC1〜6アルキル、シアノ、ニトロOC(O)C1〜6アルキル、およびアミノでさらに置換されていてもよい)、CONHベンジル(ここで、ベンジルはそれ自体、たとえば、C1〜6アルキル、ハロ、ヒドロキシヒドロキシルC1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、ハロC1〜6アルキル、シアノ、ニトロOC(O)C1〜6アルキル、およびアミノでさらに置換されていてもよい)、CONHアルキル(たとえば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルアミドなどのC1〜6アルキル)CONHジアルキル(たとえば、C1〜6アルキル)アミノアルキル(たとえば、HNC1〜6アルキル−、C1〜6アルキルHN−C1〜6アルキル−および(C1〜6アルキル)N−C1〜6アルキル−)、チオアルキル(たとえば、HSC1〜6アルキル−)、カルボキシアルキル(たとえば、HOCC1〜6アルキル−)、カルボキシエステルアルキル(たとえば、C1〜6アルキルOCC1〜6アルキル−)、アミドアルキル(たとえば、HN(O)CC1〜6アルキル−、H(C1〜6アルキル)N(O)CC1〜6アルキル−)、ホルミルアルキル(たとえば、OHCC1〜6アルキル−)、アシルアルキル(たとえば、C1〜6アルキル(O)CC1〜6アルキル−)、ニトロアルキル(たとえば、ONC1〜6アルキル−)、スルホキシドアルキル(たとえば、C1〜6アルキル(O)SC1〜6アルキル−などのR(O)SC1〜6アルキル)、スルホニルアルキル(たとえば、C1〜6アルキル(O)SC1〜6アルキル−などのR(O)SC1〜6アルキル−)、スルホンアミドアルキル(たとえば、HRN(O)SC1〜6アルキル、H(C1〜6アルキル)N(O)SC1〜6アルキル−)が挙げられる。
【0102】
本明細書において使用される場合、単独でか複合語かのどちらかで使用される、用語「アルキル」は、直鎖、分岐もしくは環状アルキル、たとえばC1〜40アルキル、またはC1〜20もしくはC1〜10を意味する。直鎖および分岐アルキルの例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、第二ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、1,2−ジメチルプロピル、1,1−ジメチル−プロピル、ヘキシル、4−メチルペンチル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、l,l−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、1,2,2−トリメチルプロピル、1,1,2−トリメチルプロピル、ヘプチル、5−メチルヘキシル、1−メチルヘキシル、2,2−ジメチルペンチル、3,3−ジメチルペンチル、4,4−ジメチルペンチル、1,2−ジメチルペンチル、1,3−ジメチルペンチル、1,4−ジメチル−ペンチル、1,2,3−トリメチルブチル、1,1,2−トリメチルブチル、1,1,3−トリメチルブチル、オクチル、6−メチルヘプチル、1−メチルヘプチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、ノニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−または7−メチルオクチル、1−、2−、3−、4−または5−エチルヘプチル、1−、2−または3−プロピルヘキシル、デシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−および8−メチルノニル、1−、2−、3−、4−、5−または6−エチルオクチル、1−、2−、3−または4−プロピルヘプチル、ウンデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−または9−メチルデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−または7−エチルノニル、1−、2−、3−、4−または5−プロピルオクチル、1−、2−または3−ブチルヘプチル、1−ペンチルヘキシル、ドデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−、9−または10−メチルウンデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−エチルデシル、1−、2−、3−、4−、5−または6−プロピルノニル、1−、2−、3−または4−ブチルオクチル、1−2−ペンチルヘプチル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノノアデシル、エイコシルなどが挙げられる。環状アルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシルなどの単環または多環アルキル基が挙げられる。アルキル基が「プロピル」、「ブチル」などと大まかに言及される場合、これは、適切な場合には、直鎖、分岐および環状異性体のいずれかを意味し得ることが理解されるであろう。アルキル基は、本明細書において定義されるような1つ以上の任意選択の置換基で任意選択的に置換されていてもよい。
【0103】
本明細書において使用される場合、用語「アルケニル」は、前に定義されたようなエチレン系モノ−、ジ−もしくはポリ不飽和アルキルまたはシクロアルキル基、たとえば、C2〜40アルケニル、またはC2〜20もしくはC2〜10を含む少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含有する直鎖、分岐もしくは環式炭化水素残基から形成される基を意味する。したがって、アルケニルは、1つ以上の炭素−炭素二重結合を持ったプロペニル、ブチレニル、ペンテニル、ヘキサエニル、ヘプタエニル、オクタエニル、ノナエニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル、ヘキサデセニル、ヘプタデセニル、オクタデセニル、ノンデセニル、エイコセニル炭化水素基を含むことを意図される。アルケニルの例としては、ビニル、アリル、1−メチルビニル、ブテニル、イソ−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ペンテニル、シクロペンテニル、1−メチル−シクロペンテニル、1−ヘキセニル、3−ヘキセニル、シクロヘキセニル、1−ヘプテニル、3−ヘプテニル、1−オクテニル、シクロオクテニル、1−ノネニル、2−ノネニル、3−ノネニル、1−デセニル、3−デセニル、1,3−ブタジエニル、1,4−ペンタジエニル、1,3−シクロペンタジエニル、1,3−ヘキサジエニル、1,4−ヘキサジエニル、1,3−シクロヘキサジエニル、1,4−シクロヘキサジエニル、1,3−シクロヘプタジエニル、1,3,5−シクロヘプタトリエニルおよび1,3,5,7−シクロオクタテトラエニルが挙げられる。アルケニル基は、本明細書において定義されるような1つ以上の任意選択の置換基で任意選択的に置換されていてもよい。
【0104】
本明細書において使用される場合、用語「アルキニル」は、前に定義されたようなエチレン系モノ−、ジ−もしくはポリ不飽和アルキルまたはシクロアルキル基、たとえば、C2〜40アルケニル、またはC2〜20もしくはC2〜10を含む少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含有する直鎖、分岐もしくは環式炭化水素残基から形成される基を意味する。したがって、アルキニルは、1つ以上の炭素−炭素三重結合を持ったプロピニル、ブチリニル、ペンチニル、ヘキサイニル(hexaynyl)、ヘプタイニル、オクタイニル、ノナイニル、デシニル、ウンデシニル、ドデシニル、トリデシニル、テトラデシニル、ペンタデシニル、ヘキサデシニル、ヘプタデシニル、オクタデシニル、ノンデシニル、エイコシニル炭化水素基を含むことを意図される。アルキニルの例としては、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、およびブチニル異性体、およびペンチニル異性体が挙げられる。アルキニル基は、本明細書において定義されるような1つ以上の任意選択の置換基で任意選択的に置換されていてもよい。
【0105】
アルケニル基は、炭素−炭素三重結合を含んでもよく、アルキニル基は、炭素−炭素二重結合を含んでもよい(すなわち、いわゆるエン−インまたはイン−エン基)。
【0106】
本明細書において使用される場合、用語「アリール」(または「カーボアリール」)は、芳香族炭化水素環系の単一、多核、共役および縮合残基のいずれかを意味する。アリールの例としては、フェニル、ビフェニル、ターフェニル、クオターフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、アントラセニル、ジヒドロアントラセニル、ベンズアントラセニル、ジベンズアントラセニル、フェナンスレニル、フルオレニル、ピレニル、イデニル、アズレニル、クリセニルが挙げられる。好ましいアリールとしては、フェニルおよびナフチルが挙げられる。アリール基は、本明細書において定義されるような1つ以上の任意選択の置換基で任意選択的に置換されていてもよい。
【0107】
本明細書において使用される場合、用語「アルキレン」、「アルケニレン」、および「アリーレン」は、本明細書において定義されるような、それぞれ、「アルキル」、「アルケニル」、および「アリール」の二価形を意味することを意図される。
【0108】
用語「ハロゲン」(「ハロ」)は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素(フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード)を意味する。好ましいハロゲンは、塩素、臭素またはヨウ素である。
【0109】
用語「カルボシクリル」としては、非芳香族の単環式、多環式、縮合もしくは共役炭化水素残基、好ましくはC3〜20(たとえば、C3〜10またはC3〜8)のいずれかが挙げられる。環は、飽和、たとえばシクロアルキルであってもよいし、または1つ以上の二重結合(シクロアルケニル)および/または1つ以上の三重結合(シクロアルキニル)を有してもよい。特に好ましいカルボシクリル部分は、5〜6員環または9〜10員環系である。好適な例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロオクテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキサジエニル、シクロオクタテトラエニル、インダニル、デカリニルおよびインデニルが挙げられる。
【0110】
単独でか複合語でかのどちらかで使用されるときに用語「ヘテロシクリル」としては、単環、多環、縮合または共役炭化水素残基のいずれか、好ましくは、1個以上の炭素原子が非芳香族残基を提供するためにヘテロ原子によって置き換えられているC3〜20(たとえば、C3〜10またはC3〜8)が挙げられる。好適なヘテロ原子としては、O、N、S、PおよびSe、特にO、NおよびSが挙げられる。2個以上の炭素原子が置き換えられる場合、これは、2つ以上の同じヘテロ原子によってであっても異なるヘテロ原子によってであってもよい。ヘテロシクリル基は、飽和であっても部分不飽和であっても、すなわち、1つ以上の二重結合を有してもよい。特に好ましいヘテロシクリルは、5〜6および9〜10員環ヘテロシクリルである。ヘテロシクリル基の好適な例としては、アズリジニル、オキシラニル、チイラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、2H−ピロリル、ピロリジニル、ピロリニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、インドリニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、チオモルホリニル、ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピロリル、テトラヒドロチオフェニル、ピラゾリニル、ジオキサラニル、チアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、ジヒドロピラニル、オキサジニル、チアジニル、チオモルホリニル、オキサチアニル、ジチアニル、トリオキサニル、チアジアジニル、ジチアジニル、トリチアニル、アゼピニル、オキセピニル、チエピニル、インデニル、インダニル、3H−インドリル、イソインドリニル、4H−キノラジニル、クロメニル、クロマニル、イソクロマニル、ピラニルおよびジヒドロピラニルが挙げられてもよい。
【0111】
用語「ヘテロアリール」としては、1個以上の炭素原子が芳香族残基を提供するためにヘテロ原子によって置き換えられている、単環、多環、縮合または共役炭化水素残基のいずれかが挙げられる。好ましいヘテロアリールは、3〜20の環原子、たとえば、3〜10の環原子を有する。特に好ましいヘテロアリールは、5〜6および9〜10員環二環式環系である。好適なヘテロ原子としては、O、N、S、PおよびSe、特にO、NおよびSが挙げられる。2個以上の炭素原子が置き換えられる場合、これは、2つ以上の同じヘテロ原子によってであっても異なるヘテロ原子によってであってもよい。ヘテロアリール基の好適な例としては、ピリジル、ピロリル、チエニル、イミダゾリル、フラニル、ベンゾチエニル、イソベンゾチエニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、インドリル、イソインドリル、ピラゾリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリジニル、キノリル、イソキノリル、フタラジニル、1,5−ナフチリジニル、キノザリニル、キナゾリニル、キノリニル、オキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、オキサトリアゾリル、トリアジニル、およびフラザニルが挙げられてもよい。
【0112】
単独でか複合語でかのどちらかでの用語「アシル」は、試剤C=Oを含有する(そしてカルボン酸、エステルまたはアミドではない)基を意味する。好ましいアシルとしては、C(O)−R(式中、Rは、水素またはアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、もしくはヘテロシクリル残基である)が挙げられる。アシルの例としては、ホルミル、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、2−メチルプロパノイル、ペンタノイル、2,2−ジメチルプロパノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、ノナノイル、デカノイル、ウンデカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ペンタデカノイル、ヘキサデカノイル、ヘプタデカノイル、オクタデカノイル、ノナデカノイルおよびイコサノイルなどの直鎖もしくは分岐アルカノイル(たとえば、C1〜20);シクロプロピルカルボニル、シクロブチルカルボニル、シクロペンチルカルボニルおよびシクロヘキシルカルボニルなどのシクロアルキルカルボニル;ベンゾイル、トルオイルおよびナフトイルなどのアロイル;フェニルアルカノイル(たとえば、フェニルアセチル、フェニルプロパノイル、フェニルブタノイル、フェニルイソブチリル、フェニルペンタノイルおよびフェニルヘキサノイルならびにナフチルアルカノイル(たとえば、ナフチルアセチル、ナフチルプロパノイルおよびナフチルブタノイル]などのアラルカノイル;フェニルアルケノイル(たとえば、フェニルプロペノイル、フェニルブテノイル、フェニルメタクリロイル、フェニルペンテノイルおよびフェニルヘキセノイル)ならびにナフチルアルケノイル(たとえば、ナフチルプロペノイル、ナフチルブテノイルおよびナフチルペンテノイル)などのアラルケノイル;フェノキシアセチルおよびフェノキシプロピオニルなどのアリールオキシアルカノイル;フェニルチオカルバモイルなどのアリールチオカルバモイル;フェニルグリオキシロイルおよびナフチルグリオキシロイルなどのアリールグリオキシロイル;フェニルスルホニルおよびナフチルスルホニルなどのアリールスルホニル;複素環カルボニル;チエニルアセチル、チエニルプロパノイル、チエニルブタノイル、チエニルペンタノイル、チエニルヘキサノイル、チアゾリルアセチル、チアジアゾリルアセチルおよびテトラゾリルアセチルなどの複素環アルカノイル;複素環プロペノイル、複素環ブテノイル、複素環ペンテノイルおよび複素環ヘキセノイルなどの複素環アルケノイル;ならびにチアゾリグリオキシロイルおよびチエニルグリオキシロイルなどの複素環グリオキシロイルが挙げられる。R残基は、本明細書において記載されるように任意選択的に置換されていてもよい。
【0113】
単独でか複合語でかのどちらかでの、用語「スルホキシド」は、基−S(O)R(式中、Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、カルボシクリル、およびアラルキルから選択される)を意味する。好ましいRの例としては、C1〜20アルキル、フェニルおよびベンジルが挙げられる。
【0114】
単独でか複合語でかのどちらかでの、用語「スルホニル」は、基−S(O)−R(式中、Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、カルボシクリルおよびアラルキルから選択される)を意味する。好ましいRの例としては、C1〜20アルキル、フェニルおよびベンジルが挙げられる。
【0115】
単独でか複合語でかのどちらかでの、用語「スルホンアミド」は、基−S(O)NR(式中、各Rは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、カルボシクリル、およびアラルキルから選択される)を意味する。好ましいRの例としては、C1〜20アルキル、フェニルおよびベンジルが挙げられる。好ましい実施形態においては少なくとも1つのRは水素である。別の形態においては、両Rとも水素である。
【0116】
用語「アミノ」は、当該技術分野において理解されるようなその最も幅広い意味で本明細書では使用され、式NR(式中、RおよびRはそれぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、カルボシクリル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アラルキル、およびアシルから選択されてもよい)の基を含む。RおよびRはまた、それらが結合している窒素と一緒に、単環、または多環系、たとえば、3〜10員環、特に、5〜6および9〜10員環系を形成してもよい。「アミノ」の例としては、NH、NHアルキル(たとえば、C1〜20アルキル)、NHアリール(たとえば、NHフェニル)、NHアラルキル(たとえば、NHベンジル)、NHアシル(たとえば、NHC(O)C1〜20アルキル、NHC(O)フェニル)、Nアルキルアルキル(ここで、各アルキル、たとえばC1〜20は、同じものであっても異なるものであってもよい)ならびに1つ以上の同じまたは異なるヘテロ原子(たとえば、O、NおよびS)を任意選択的に含有する、5または6員環が挙げられる。
【0117】
用語「アミド」は、当該技術分野において理解されるようなその最も幅広い意味で本明細書では使用され、式C(O)NR(式中、RおよびRは上に定義された通りである)を有する基を含む。アミドの例としては、C(O)NH、C(O)NHアルキル(たとえば、C1〜20アルキル)、C(O)NHアリール(たとえば、C(O)NHフェニル)、C(O)NHアラルキル(たとえば、C(O)NHベンジル)、C(O)NHアシル(たとえば、C(O)NHC(O)C1〜20アルキル、C(O)NHC(O)フェニル)、C(O)Nアルキルアルキル(ここで、各アルキル、たとえばC1〜20は、同じものであっても異なるものであってもよい)ならびに1つ以上の同じまたは異なるヘテロ原子(たとえば、O、NおよびS)を任意選択的に含有する、5または6員環が挙げられる。
【0118】
用語「カルボキシエステル」は、当該技術分野において理解されるようなその最も幅広い意味で本明細書では使用され、式CO(式中、Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、カルボシクリル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アラルキル、およびアシルを含む群から選択されてもよい)を有する基を含む。カルボキシエステルの例としては、CO1〜20アルキル、COアリール(たとえば、COフェニル)、COアラルキル(たとえば、COベンジル)が挙げられる。
【0119】
その最も幅広い意味で本明細書において使用されるような用語「ヘテロ原子」または「ヘテロ」は、環状有機基のメンバーであってもよい炭素原子以外のあらゆる原子を意味する。ヘテロ原子の特定の例としては、窒素、酸素、硫黄、リン、ホウ素、ケイ素、セレンおよびテルル、より特に窒素、酸素および硫黄が挙げられる。
【0120】
本発明は、次の非限定的な実施例に関して本明細書において以下にさらに説明される。
【実施例】
【0121】
概要
プロトンNMRスペクトルは、400MHzおよび200MHzで操作する、Bruker AV400およびBruker AV200スペクトロメータで得た。すべてのスペクトルは、明記しない限り23℃で得た。化学シフトは、δスケールでおよび7.26ppmのクロロホルムピーク(H)または0.00ppmのTMSピーク(H)と比べて百万当たりの部(ppm)単位で報告する。オーブン乾燥したガラス製品を、不活性雰囲気(乾燥窒素かアルゴンかのどちらか)下に実施されるすべての反応に使用した。すべての出発原料および試薬は、特に明記しない限り商業的に入手した。「減圧下での」溶媒の除去は、回転蒸発(低真空ポンプ)による大部分溶媒除去、引き続く最小30分間の高真空ポンプ(オイルポンプ)の適用のプロセスを意味する。分析薄層クロマトグラフィー(TLC)は、プラスチック裏打ちMerck Kieselgel KG60F254シリカプレートで行い、短波紫外光、過マンガン酸カリウムまたはリンモリブデン酸カリウム浸漬を用いて目に見えるようにした。フラッシュクロマトグラフィーは、正圧下に確立された指針に従って230〜400メッシュMerck Silica Gel 60を使用して行った。トルエンは、ナトリウム線上で新たに蒸留し;トリエチルアミン(TEA)は使用直前に新たに蒸留した。すべてのその他の試薬および溶媒は、特に明記しない限り、購入したまま使用した。
【0122】
α−ピネンからのシネオールジオールの合成手順
(Zhurnal Obshch Khimii,1991、Vol.62、No 7、1639−1645から翻訳された、L.A.Popova、V.I.Biba、V.M.Prishchepenko、S.V.ShavyrinおよびN.G.Kozlovに従う)

【0123】
ソブレロール(p−メント−6−エン−2,8−ジオール)の合成
ソブレロールは、空気からの酸素でのα−ピネンの酸化によって標準方法に従って製造し、Cでの置換基のエクアトリアル配向およびヒドロキシル基Cの擬アキシャル配向の純異性体を与える。商業的に入手可能なソブレロールは、99%純度p−メント−6−エン−2,8−ジオールとしてAldrichから供給された。
【0124】
ピノール(6,8−エポキシ−p−メント−1−エン)の合成
5%水性硫酸に溶解されたソブレロールを装填したフラスコの水蒸気蒸留は、粗ピノールを与えた。水蒸気蒸留後に得られたピノールを、分離漏斗において水から分離し、次に乾燥させ、真空下で蒸留して純生成物沸点183〜184℃を与えた。
【0125】
シネオールジオール(1,8−エポキシ−p−メンタン−2,6−ジオール)の合成
ピノールを、温度が40〜45℃を超えないような方法で30%水性Hと80%ギ酸との1:3氷冷混合物に激しく撹拌しながらゆっくり加える。反応物を室温で一晩撹拌し、次に10%水性KOH溶液で中和した。反応温度が50℃を超えないように注意した。反応混合物を反応温度まで放冷し、その後有機物をジエチルエーテルで抽出した。抽出液を乾燥させ、濾過し、溶媒を除去して粗生成物を得た。熱ヘキサンからの再結晶は、良好な収率でシネオールジオールの微細な白色結晶(mp.120〜125℃)を与えた。Hおよび13C NMRスペクトルは文献と一致した。シネオールジオールの全合成を100g規模で数回繰り返した。
H−NMR(CDCl,400MHz):δ[ppm]=3.82−3.79(m,2H),3.42(s,2H),2.6−2.5(m,2H),1.64(s,1H),1.50,1.47(d,2H),1.31(s,3H),1.18(s,6H)。
【0126】
シネオールジオールからの2,2’−((1,3,3−トリメチル−2−オキサビシクロ[2.2.2]オクタン−6,7−ジイル)ビス(オキシ)ジエタノールの合成手順

【0127】
1)2−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)エチル−4−メチルベンセンスルホネートの合成

E.Weber、Liebigs Ann.Chem、1983,pp 772
2−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)エタノール(27.22g、186.21ミリモル)を120mlピリジンに溶解させ、この混合物を−10℃に冷却した。4−メチルベンゼン−1−スルホニルクロリド(37.28g、195.50ミリモル)を加え、この混合物を−10℃で2時間撹拌するに任せた。2時間撹拌した後、反応混合物を氷水(150ml)上に注いだ。水/反応混合物をジクロロ,エタン(4×150ml)で抽出した。合わせた有機層を、色変化(パープル−青)がまったく観察されなくなるまで10%水性CuSO溶液(5×150ml)で抽出した。その後合わせた有機層を、飽和水性NHCl溶液(3×150ml)、飽和水性NaCl溶液(1×150ml)で抽出し、MgSO上で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下に除去し、40.46g(134.70ミリモル、72%)を得た。この粗生成物は、さらなる精製なしに次の工程に使用した。
H−NMR(CDCl,200MHz):δ[ppm]=7.81,7.34(dd,4H,J=8.0Hz),4.62−4.49(m,1H),4.17(t,2H,J=5.0),3.95−3.35(m,4H),2.45(s,3H),1.91−1.38(m,6H)。
【0128】
2)1,3,3−トリメチル−6,7−ビス(2−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)エトキシ)−2−オキサビシクロ[2.2.2]オクタンの合成

P.R.Ashton et al、Eur.J.Org.Chem.1999,995−1005
DMSO(100ml)中の細かくすり潰したNaOH(6.6g、165ミリモル)の懸濁液を50℃で15分間機械撹拌した。シネオールジオール(3.91g、21ミリモル)をこの混合物に加え、撹拌および加熱を1時間維持した。DMSO(30ml)中の4−メチルベンセンスルホン酸2−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)エチル(18.5g、62ミリモル)の溶液を加え、生じた混合物を撹拌しながら80℃で18時間加熱した。周囲温度まで冷却した後、溶媒をトラップ−トラップ蒸留によって減圧下に除去し、固体残渣をCHCl/HOの1:1(v/v)混合物(800ml)で処理した。有機層をHOで洗浄し、乾燥させた(MgSO)。溶媒を減圧下に除去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO/EtOAc)によって精製して1,3,3−トリメチル−6,7−ビス(2−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)エトキシ)−2−オキサビシクロ[2.2.2]オクタン(4.8g、10ミリモル)を得た。
H−NMR(CDCl,400MHz):δ[ppm]=4.71−4.59(m,2H),3.95−3.35(m,12H),2.55−2.48(m,2H),1.91−1.39(m,17H),1.34(s,3H),1.22(s,6H)。
【0129】
3)2,2’−((1,3,3−トリメチル−2−オキサビシクロ[2.2.2]オクタン−6,7−ジイル)ビス(オキシ))ジエタノールの合成

濃水性HCl(0.5ml)を、メタノール(30ml)中の1,3,3−トリメチル−6,7−ビス(2−((テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)オキシ)エトキシ)−2−オキサビシクロ[2.2.2]オクタン( .8g、10ミリモル)の溶液に加えた。この溶液を周囲温度で一晩撹拌し、その時間後に痕跡の出発原料もTLC(SiO/CHCl/MeOH、100:1(v/v))によってまったく存在しなかった。溶液を濾過し、濃縮し、残渣をCHClに溶解させ、乾燥して(KCO)(2.46g、9ミリモル、90%)を黄色オイルとして得た。
H−NMR(CDCl,200MHz):δ[ppm]=3.85−3.35(m,10H),2.55−2.48(m,2H),1.69−1.61(m,1H),1.55−1.43(m,2H),1.31(s,3H),1.18(s,6H)。
【0130】
2,2’−((1,3,3−トリメチル−2−オキサビシクロ[2.2.2]オクタン−6,7−ジイル)ビス(オキシ))ジエタノールからの2,2’−((1,3,3−トリメチル−2−オキサビシクロ[2.2.2]オクタン−6,7−ジイル)ビス(オキシ))二酢酸の合成手順

アセトン(10ml)中の2,2’−((1,3,3−トリメチル−2−オキサビシクロ[2.2.2]オクタン−6,7−ジイル)ビス(オキシ))ジエタノール(0.5g、1.8ミリモル)の溶液に、2mlのJones試薬(Jones試薬は、アセトン中で有機基質の酸化のために安全に使用することができる希硫酸中の三酸化クロムの溶液である)を加えた。反応混合物を周囲温度で2時間撹拌するに任せた。その後5mlの2−プロパノールを加えた。クロム塩を濾過によって除去し、有機溶媒を減圧下に除去した。粗生成物を酢酸エチル(10ml)に溶解させ、0.01MのHCl溶液(3×10ml)で抽出し、MgSO上で乾燥させた。有機溶媒を減圧下に除去し、生成物(0.52g、1.7ミリモル、95%)は、さらなる精製なしに次の工程に使用することができる)
H−NMR(CDCl,200MHz):δ[ppm]=6.11−5.35(br,2H),4.32−3.98(m,4H),3.87−3.51(m,2H),2.86−1.97(m,3H),1.73−1.43(m,2H),1.41−1.03(m,9H)。
【0131】
ポリマー方法
ポリエステル
方法A:シネオールジオールおよびTPAの重合のための一般的手順

撹拌棒、セラムキャップ付き還流冷却器、アルゴン入口(セラムキャップを通して)を備え付けた、火炎乾燥50ml丸底フラスコに、100mLの乾燥クロロホルム、5.0g(0.024モル)のテレフタロイルクロリド、4.86g(0.024モル)のシネオールジオール(装入されるこの量は所望の組成に依存する)および5.09g(0.084モル)の新たに蒸留したトリエチルアミン(TEA)を装入した。生じた溶液を還流させ、一晩反応するに任せた。混合物をクロロホルムで抽出し、水で3回洗浄した。有機分画を集め、乾燥させ、溶媒を真空で除去して生成物を得た。この生成物を次に真空オーブン中で一晩乾燥させた。Hおよび13C NMR用の試料は、最小量のNMRグレードのトリフルオロ酢酸を使用して先ずポリマーを溶解させ、次に溶媒の残りをCDClでメークアップして作製した。
【0132】
方法B:シネオールジオール、TPAおよびプロパン−1,3−ジオールの重合のための一般的手順

撹拌棒、セラムキャップ付き還流冷却器、アルゴン入口(セラムキャップを通して)を備え付けた、火炎乾燥50mL丸底フラスコに、100mLの乾燥クロロホルム、5.0g(0.024モル)のテレフタロイルクロリド、1.68g(0.022モル)の1,3−プロパンジオール、0.486g(0.0024モル)のシネオールジオール(装入されるこの量は所望の組成に依存する)および5.09g(0.084モル)の新たに蒸留したトリエチルアミン(TEA)を装入した。生じた溶液を還流させ、一晩反応するに任せた。混合物をクロロホルムで抽出し、水で3回洗浄した。有機分画を集め、乾燥させ、溶媒を真空で除去して生成物を得た。この生成物を次に真空オーブン中で一晩乾燥させた。Hおよび13C NMR用の試料は、最小量のNMRグレードのトリフルオロ酢酸を使用して先ずポリマーを溶解させ、次に溶媒の残りをCDClでメークアップして作製した。
【0133】
方法C:シネオールジオール、TPAおよびエチレングリコールの重合のための一般的手順

撹拌棒、セラムキャップ付き還流冷却器、アルゴン入口(セラムキャップを通して)を備え付けた、火炎乾燥50mL丸底フラスコに、100mLの乾燥クロロホルム、5.0g(0.024モル)のテレフタロイルクロリド、1.36g(0.022モル)のエチレングリコール、0.486g(0.0024モル)のシネオールジオール(装入されるこの量は所望の組成に依存する)および5.09g(0.084モル)の新たに蒸留したトリエチルアミン(TEA)を装入した。生じた溶液を還流させ、一晩反応するに任せた。混合物をクロロホルムで抽出し、水で3回洗浄した。有機分画を集め、乾燥させ、溶媒を真空で除去して生成物を得た。この生成物を次に真空オーブン中で一晩乾燥させた。Hおよび13C NMR用の試料は、最小量のNMRグレードのトリフルオロ酢酸を使用して先ずポリマーを溶解させ、次に溶媒の残りをCDClでメークアップして作製した。
【0134】
方法D:シネオールジオールおよびスクシニルジクロリドの重合のための一般的手順

撹拌棒、セラムキャップ付き還流冷却器、アルゴン入口(セラムキャップを通して)を備え付けた、火炎乾燥50mL丸底フラスコに、10mLの乾燥クロロホルム、0.41g(2.6ミリモル)のスクシニルジクロリド、0.5g(2.6ミリモル)のシネオールジオールおよび2.6g(2.6ミリモル)の新たに蒸留したトリエチルアミン(TEA)を装入した。生じた溶液を還流させ、一晩反応するに任せた。混合物をクロロホルムで抽出し、水で3回洗浄した。有機分画を集め、乾燥させ、溶媒を真空で除去して生成物を得た。この生成物を次に真空オーブン中で一晩乾燥させた。Hおよび13C NMR用の試料は、最小量のNMRグレードのトリフルオロ酢酸を使用して先ずポリマーを溶解させ、次に溶媒の残りをCDClでメークアップして作製した。
【0135】
方法E:シネオールジオールおよびアジポリジクロリドの重合のための一般的手順

撹拌棒、セラムキャップ付き還流冷却器、アルゴン入口(セラムキャップを通して)を備え付けた、火炎乾燥150mL丸底フラスコに、1.83g(10.0ミリモル)のシネオールジオールを含有する50mLの乾燥ジクロロメタン(DCM)を装入した。1.83g(10.0ミリモル)のアジポリジクロリドをガラス注射器によってゆっくり加えた。2ミリモルのピリジンおよび2.6g(2.6ミリモル)を15分にわたって加え、混合物を一晩撹拌するに任せた。ピリジン塩結晶を濾過して除き、DCMをロトバップによって除去した。生じた溶液を還流させ、一晩反応するに任せた。Hおよび用の試料は、最小量のNMRグレードのCDClを使用して作製した。
【0136】
ポリウレタン
方法F:シネオールジオールおよびトルエンジイソシアネートの重合のための一般的手順

オーブン乾燥50mLフラスコに、真空オーブン乾燥した1g(5.3ミリモル)のシネオールジオールを装入した。フラスコを次に、シネオールジオールが溶融してしまうまで150℃のオーブンに入れた。2滴の触媒ジブチルスズジラウレートを加えた。混合物を次に、0.935g(5.3ミリモル)の2,4−ジイソシアナト−1−メチルベンゼンを加えながらスパチュラで迅速に撹拌した。混合物は2分以内に固化して生成物を与えた。生成物を90℃のオーブンに戻し、一晩放置した。Hおよび13C NMR用の試料は、最小量のNMRグレードのトリフルオロ酢酸を使用して先ずポリマーを溶解させ、次に溶媒の残りをCDClでメークアップして作製した。
【0137】
方法G:シネオールジオールおよびMDIの重合のための一般的手順

オーブン乾燥50mLフラスコに、真空オーブン乾燥した2g(10.7ミリモル)のシネオールジオールを装入した。フラスコを次に、シネオールジオールが溶融してしまうまで150℃のオーブンに入れた。2滴の触媒ジブチルスズジラウレートを加えた。混合物を次に、2.68g(10.7ミリモル)のビス(4−イソシアナトフェニル)メタン(MDI)を加えながらスパチュラで迅速に撹拌した。生成物を90℃のオーブンに戻し、一晩放置した。H用の試料は、最小量のNMRグレードの重水素化DMSOを使用して作製した。
【0138】
方法H:シネオールジオールおよびHDIの重合のための一般的手順

オーブン乾燥50mLフラスコに、真空オーブン乾燥した2g(10.7ミリモル)のシネオールジオールを装入した。フラスコを次に、シネオールジオールが溶融してしまうまで150℃のオーブンに入れた。2滴の触媒ジブチルスズジラウレートを加えた。混合物を次に、1.8g(10.7ミリモル)の1,6−ジイソシアナトヘキサンを加えながらスパチュラで迅速に撹拌した。混合物は2分以内に固化して生成物を与えた。生成物を90℃のオーブンに戻し、一晩放置した。H用の試料は、最小量のNMRグレードの重水素化DMSOを使用して作製した。
【0139】
方法I:EG−CDおよびHDIの重合のための一般的手順

オーブン乾燥50mLフラスコに、真空オーブン乾燥した2g(7.28ミリモル)のEGキャップドシネオールジオールを装入した。フラスコを次に、シネオールジオールが溶融してしまうまで150℃のオーブンに入れた。2滴の触媒ジブチルスズジラウレートを加えた。混合物を次に、1.22g(7.28ミリモル)の1,6−ジイソシアナトヘキサンを加えながらスパチュラで迅速に撹拌した。混合物は2分以内に固化して生成物を与えた。生成物を90℃のオーブンに戻し、一晩放置した。H用の試料は、重水素化DMSO中で作製した。
【0140】
エステル交換
方法J:CDとPETとの反応のための一般的手順

25mLガラスアンプルをオーブン中で乾燥させた。このアンプルに磁気スターラーを装着し、真空オーブン乾燥した0.323g(1.73ミリモル)シネオールジオールおよび25ppm未満の水まで乾燥させた、3.00gのPET(Dianite IV=1.2dg/L)を装入した。アンプルを次に真空下に置き、磁気スターラーで3時間撹拌した。アンプルを次に、ガストーチを使用して真空下のまま密封した。アンプルを次に、伝熱媒体として砂を装着したオープンの100mLのParr反応器中で280℃に加熱した。アンプルをPETおよびCDが融解するまで加熱し、かき混ぜた。シネオールジオールがアンプルの最上部に昇華するのがまったく見いだされなくなるまで加熱を続行した。アンプルを次に冷却し、開封し、内容物をNMRおよびGPCによって分析した。
【0141】
方法K:EG−CDとPETとの反応のための一般的手順

25mLガラスアンプルをオーブン中で乾燥させた。このアンプルに磁気スターラーを装着し、真空オーブン乾燥した0.238g(0.87ミリモル)シネオールジオールおよび25ppm未満の水まで乾燥させた、1.5gのPET(Dianite IV=1.2dg/L)を装入した。アンプルを次に真空下に置き、磁気スターラーで3時間撹拌した。アンプルを次に、ガストーチを使用して真空下のまま密封した。アンプルを次に、伝熱媒体として砂を装着したオープンの100mLのParr反応器中で280℃に加熱した。アンプルをPETおよびCDが融解するまで加熱し、かき混ぜた。シネオールジオールがアンプルの最上部に昇華するのがまったく見いだされなくなるまで加熱を続行した。アンプルを次に冷却し、開封し、内容物をNMRおよびGPCによって分析した。
【0142】
ポリアミド
方法L:ポリアミドを形成するためのHAA−CDとHDIとの反応のための一般的手順

オーブン乾燥50mLフラスコに、真空オーブン乾燥した2g(6.62ミリモル)の酸キャップドシネオールジオール(A−CD)を装入した。フラスコを次に、シネオールジオールが溶融してしまうまで150℃のオーブンに入れた。2滴の触媒ジブチルスズジラウレートを加えた。混合物を次に、1.11g(6.62ミリモル)の1,6−ジイソシアナトヘキサンを加えながらスパチュラで迅速に撹拌した。混合物は発泡することが分かり、アミドを生成するための二酸化炭素の脱離を示唆した。生成物を90℃のオーブンに戻し、一晩放置した。H用の試料は、重水素化DMSO中で作製した。
【0143】
ポリマーのキャラクタリゼーション
ポリマー試料は、下に記載されるような多くの技法によってキャラクタリゼーションした:
NMR−核磁気共鳴
プロトンNMRスペクトルは、400MHzおよび200MHzで操作する、Bruker AV400およびBruker AV200スペクトロメータで得た。すべてのスペクトルは、明記しない限り23℃で得た。化学シフトは、δスケールでおよび7.26ppmのクロロホルムピーク(H)または0.00ppmのTMSピーク(H)と比べて百万当たりの部(ppm)単位で報告する。
【0144】
熱分析
DSC(示差走査熱量測定法)は、上に記載された方法を用いて製造されたポリマーに関して着手した。試料をアルミニウムパンに量り取り、パンを丸底フラスコに入れ、真空下に室温で一晩乾燥させた。蓋をDSCパン上に押し付け、それらを次に秤量して乾燥重量を測定した。
【0145】
DSC走査を、Mettler Star SW 9.00 DSCを使用して行った。熱走査は、次の方法を用いて窒素ガスパージ下に行った。パンを30℃から270℃まで50℃/分で加熱し、270℃に1分間保持し、次に−20℃まで50℃/分で冷却し(試料をパンと接触させるために)、パンを−20℃で5分間保持し、パンを次に270℃まで10℃/分で加熱した。
【0146】
固有粘度(IV)
変性PETの固有粘度は、ASTM方法D4603−03:Determining the intrinsic viscosity of PET by Glass Capillary Viscometer(ガラス毛管粘度計によるPETの固有粘度の測定)を用いて測定した。
【0147】
使用された溶媒混合物は、TFA(トリフルオロ酢酸)とDCM(ジクロロメタン)との1:4混合物であった。IVは、タイプ1 Ubedeholle Viscometerを使用して測定した。IVは、25℃にサーモスタット制御される水浴を使用して測定した。
【0148】
下の表1において、次の省略形を使用した:テレフタル酸(TPA)、シネオールジオール(CD)エチレングリコールキャップドシネオールジオール(EG−CD)、カルボキシエチルキャップド−シネオールジオール(CE−EG)、エチレングリコール(E.G.)、1,3−プロパングリコール(PG)、コハク酸(SA)、スクシノイルクロリド(SC)、アジポリクロリド(AC)、2,4−ジイソシアナト−1−メチルベンゼン(TDI)、ビス(4−イソシアナトフェニル)メタン(MDI)、1,6−ジイソシアナトヘキサン(HDI);ピロメリット酸二無水物(PMDA)。
【0149】
使用される省略形にもかかわらず、テレフタル酸と式(I)(式中、XおよびYはHである)の環状化合物とのコポリマーがテレフタル酸ジクロリドと環状ジオールとの重合から形成されてもよいことは理解されるであろう。同様にスクシニル酸ジクロリドがコハク酸コポリマーを形成するために使用されてもよい。
【0150】

【0151】

【0152】

【0153】
熱分析
実施例1からのポリマー(シネオールジオール−TPA)の、DSCによる、熱分析は、このポリマーが約150℃のガラス転移温度を有することを示した。シネオールジオール−TPAポリマーは270℃で溶融しないことが分かった。CD−TPAポリマーの分子量を重縮合またはカップリング法によって増加させる場合にはTgもまた増加すると予期される。
【0154】
固有粘度
次のIVを実施例について測定した
実施例I:IV=0.055dL/g
実施例II:IV=0.037dL/g
【0155】
本明細書および次に続くクレームの全体にわたって、特に文脈が要求しない限り、語「含む(comprise)」、ならびに「含む(comprises)」および「含む(comprising)」などの変形は、述べられる整数もしくは工程または整数もしくは工程の群の包含を暗示するがあらゆるその他の整数もしくは工程または整数もしくは工程の群の排除を暗示しないと理解されるであろう。
【0156】
あらゆる先行刊行物(もしくはそれに派生する情報)への、または公知であるあらゆる物質への本明細書における言及は、当該先行刊行物(もしくはそれに派生する情報)または公知物質が、この明細書が関連している努力の分野における共通一般知識の一部を形成することの承認もしくは了解またはあらゆる形態の提案と見なされないし、見なされるべきではない。
【0157】
多くの修正が、本発明の範囲から逸脱することなく当業者に明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II)

(式中、R〜R10の1つはA−O−を表し、R〜R10の1つは−O−Bを表し、R〜R10の残りはHを表し、ここで、AおよびBは、ポリマー主鎖の残りを表し、同じものであっても異なるものであってもよい)
の部分をそのポリマー主鎖の一部として含むことを特徴とするポリマー。
【請求項2】
請求項1に記載のポリマーにおいて、AおよびBが独立して、ポリウレタン;ポリエステル;ポリアミド;ポリカーボネート;ポリイミド;ポリエーテル;ポリエポキシ;ポリアクリレート;ポリシロキサン;ポリビニルおよびそれらの組み合わせから選択されることを特徴とするポリマー。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のポリマーにおいて、複数の式(II)の部分を含むことを特徴とするポリマー。
【請求項4】
請求項3に記載のポリマーにおいて、式(II)のそれぞれの部分が同じものであることを特徴とするポリマー。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリマーにおいて、一般式(IIa):

(式中、Zは、アルキル、アリールまたはアルキルアリール基である)
の部分をそのポリマー主鎖の一部として含むことを特徴とするポリマー。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリマーにおいて、一般式(IIb):

(式中、Zは、アルキル、アリールまたはアルキルアリール基である)
の部分をそのポリマー主鎖の一部として含むことを特徴とするポリマー。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリマーにおいて、R、RおよびR10がそれぞれHであることを特徴とするポリマー。
【請求項8】
式(I):

(式中、R〜Rの1つはX−O−を表し、R〜Rの1つは−O−Yを表し、R〜Rの残りはHを表し、ここで、XおよびYは、同じものであっても異なるものであってもよく、Hまたは1つ以上のモノマーとおよび/または1つ以上のポリマーと反応することができる官能性を含む基を表す)
の化合物の、ポリマーの製造または変性における使用であることを特徴とする使用。
【請求項9】
請求項8に記載の使用において、XおよびYがそれぞれ独立して、Hならびに任意選択的に置換されたヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルキルカルボニル、アミノアルキル、アミノアルキルカルボニル、カルボキシアルキル、カルボキシアルキルカルボニル、エポキシアルキルおよびそれらの不飽和変形から選択されることを特徴とする使用。
【請求項10】
請求項8または請求項9に記載の使用において、式(I)の前記化合物が次のもの:

から選択される構造を有することを特徴とする使用。
【請求項11】
請求項8〜10のいずれか一項に記載の使用において、式(I)の前記化合物が(6R,7S)−1,3,3−トリメチル−2−オキサビシクロ[2.2.2]オクタン−6,7−ジオールであることを特徴とする使用。
【請求項12】
請求項8〜11のいずれか一項に記載の使用において、XおよびYが、イソシアネート、カルボン酸、カルボン酸誘導体、アミン、アルコール、およびチオールの1つ以上から選択される相性の良い化学官能性を有するモノマーと反応することができるように選択されることを特徴とする使用。
【請求項13】
請求項8〜12のいずれか一項に記載の使用において、XおよびYが、ポリエステル、ポリウレタンおよび/またはポリカーボネートであるポリマーと反応することができるように選択されることを特徴とする使用。
【請求項14】
請求項8〜13のいずれか一項に記載の使用において、R、RおよびRがそれぞれHであることを特徴とする使用。
【請求項15】
1つ以上のその他のポリマーを変性するための、式(II):

(式中、R〜R10の1つはA−O−を表し、R〜R10の1つは−O−Bを表し、R〜R10の残りはHを表し、ここで、AおよびBは、ポリマー主鎖の残りを表し、同じものであっても異なるものであってもよい)
の部分をそのポリマー主鎖の一部として含むことを特徴とする、ポリマーの使用。
【請求項16】
請求項15に記載の使用において、R、RおよびR10がそれぞれHであることを特徴とする使用。
【請求項17】
式(II):

(式中、R〜R10の1つはA−O−を表し、R〜R10の1つは−O−Bを表し、R〜R10の残りはHを表し、ここで、AおよびBは、ポリマー主鎖の残りを表し、同じものであっても異なるものであってもよい)
の部分をそのポリマー主鎖の一部として含むポリマーの製造方法であって、
式(I):

(式中、R〜Rの1つはX−O−を表し、R〜Rの1つは−O−Yを表し、R〜Rの残りはHを表し、ここで、XおよびYは、同じものであっても異なるものであってもよく、Hまたはモノマーと反応することができる官能性を含む基を表す)
の1つ以上の化合物を前記モノマーと重合させる工程を含む方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、R、R、R、R、RおよびR10がそれぞれHであることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項1に記載のポリマーを含むことを特徴とするシート、繊維またはフィルム。
【請求項20】
請求項1に記載の前記ポリマーおよび少なくとも1つのその他のポリマーを含むことを特徴とするポリマーブレンド。

【公表番号】特表2013−512319(P2013−512319A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541282(P2012−541282)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際出願番号】PCT/AU2010/001628
【国際公開番号】WO2011/066616
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(590003283)コモンウェルス サイエンティフィック アンドインダストリアル リサーチ オーガナイゼーション (11)
【Fターム(参考)】