説明

ポリ乳酸系組成物からなる延伸フィルム

【課題】
本発明は耐熱性、表面平滑性、透明性、ガスバリア性、靭性に優れたポリ乳酸系組成物からなる延伸フィルムを提供する。
【解決手段】
本発明はポリL乳酸及びポリD乳酸の重量平均分子量が15万〜35万かつ光学純度99〜100%、前記ポリL乳酸70〜30重量部及び前記ポリD乳酸30〜70重量部(ポリL乳酸及びポリD乳酸の合計が100重量部)を230〜260℃の下で混練して得られるポリ乳酸系組成物から形成され、前記ポリ乳酸系組成物を構成するポリL乳酸およびポリD乳酸の各々の重量平均分子量を加重平均して得られる重量平均分子量の数値の0.3から0.6倍の範囲であり、DSCの第1回昇温時の測定においてTm=150〜180℃のピーク1とTm=200〜240℃のピーク2のピーク比(ピーク1/ピーク2)が0.2以下であり、かつ融点が220℃以上であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表面平滑性、透明性、ガスバリア性、靭性に優れることに加え、特に耐熱性に優れたポリ乳酸系組成物からなる延伸フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
生分解可能なプラスチックとして、汎用性の高い脂肪族ポリエステルが注目されており、ポリ乳酸(以下、「PLA」と記載することがある。)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリエチレンサクシネート(PES)、ポリカプロラクトン(PCL)などが上市されている。これら生分解性脂肪族ポリエステルの用途の一つとして包装用、農業用、食品用などのフィルム分野があり、用途に応じた高強度、耐熱性、ガスバリア性および生分解性が基本性能として要求されている。
【0003】
上記脂肪族ポリエステルのうちPLAは、ポリL乳酸(以下、「PLLA」と記載することがある。)やポリD乳酸(以下、「PDLA」と記載することがある。)からなり(例えば、特許文献1及び特許文献5を参照)、その単独結晶(以下、「α晶」と記載することがある。)の融点は約170℃であり、ポリエチレンテレフタレート等と比較すると耐熱性が不十分な場合もあり、その改良が求められている。
【0004】
一方、PLAの耐熱性を更に改良する方法として、ポリL乳酸(PLLA)とポリD乳酸(PDLA)とをブレンドしてステレオコンプレックス晶を形成させる方法が多数提案されている(例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4及び非特許文献1を参照)。このステレオコンプレックス(以下、「SC」と記載することがある。)晶は、ポリL乳酸(PLLA)とポリD乳酸(PDLA)の共晶であり、その結晶の融点はα晶よりも約50℃高く、それを利用することが期待されている。
【0005】
しかしながら、PLLAとPDLAを単に溶融混練して得た組成物をフィルムに成形しても容易にステレオコンプレックスは形成されず、また、形成されたフィルムは、耐熱性は改良されるものの、脆く、包装用フィルム等として使い難い。そこでPLLAとPDLAを溶融混練して得た組成物を特定の条件下で少なくとも一軸方向に延伸することにより耐熱性、靭性に優れた延伸フィルムが得られることを発明者らは提案した。この延伸フィルムは広角X線回折による回折ピーク(2θ)が16°近辺〔以下、かかる領域に検出されるピークを(PPL)と記載する場合がある。〕にあり、且つ12°近辺、21°近辺及び24°近辺の回折ピーク(2θ)〔以下、かかる領域に検出されるピークを併せて(PSC)と記載する場合がある。〕の総面積(SSC)が、16°近辺の回折ピーク(PPL)の面積(SPL)と(SSC)との合計量に対して10%未満の延伸フィルムである。そのため延伸フィルム中のSC晶はPLLA及びPDLA単体の結晶に比べ稀少である。更に本発明者らはかかる延伸フィルムに特定の熱処理を行い、広角X線回折による主たる回折ピーク(2θ)が12°近辺、21°近辺及び24°近辺にあり、主にSC晶からなる延伸フィルムの製造方法を提案した(特許文献6を参照)。
【0006】
また、ポリ乳酸系二軸延伸フィルムのガスバリア性を改善する方法として無機酸化物、無機窒化物、無機酸化窒化物の層をもうける方法が提案されている(特許文献5)。しかし、かかる蒸着等方法は行程が複雑なため費用がかかり、また蒸着膜は非常に薄いものなのでバリア性能の管理等に課題があった。また、そうした特定の熱特性を有するポリ乳酸系組成物に関し、さらに表面平滑性、透明性、耐熱性、バリア性能、靭性に優れた延伸フィルム等のフィルム、インジェクション、ブロー、真空/圧空成形または押出成形その他の成形品を提供することを目的として混練による高度な分散処理が提案されている(特許文献6参照)。だがそのような方法をとっても融点は215℃程度であり、220℃を超える融点のポリ乳酸2軸延伸フィルムの成形は難しいとされた(非特許文献2)。
【0007】
ここで光学純度90〜99%のポリL乳酸及びポリD乳酸を原料とするとあるように、従来は光学純度が99%を超えるとむしろステレオコンプレックス晶が形成しにくくなると言う結果が得られていた(特許文献7を参照)。
【0008】
更に分子量差についても重量平均分子量差が50,000を超えるポリL乳酸およびポリD乳酸の組み合わせでないとむしろステレオコンプレックス晶が形成しにくくなると言う結果が得られていた(特許文献8を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平7−207041号公報
【特許文献2】特開平8−198955号公報
【特許文献3】特開平9−25400号公報
【特許文献4】特開2000−17164号公報
【特許文献5】特開平10−24518号公報
【特許文献6】WO2006/095923
【特許文献7】特許4511890号公報
【特許文献8】特開2003−96285号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Macromoleculs,20,904(1987)
【非特許文献2】日経産業新聞2007年5月24日付け(第1面)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は耐熱性、表面平滑性、透明性、ガスバリア性、靭性に優れたポリ乳酸系組成物からなる延伸フィルムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記目的を達成するために種々検討した結果、ポリL乳酸及びポリD乳酸の双方の重量平均分子量が150,000〜350,000かつ光学純度99〜100%であって、前記ポリL乳酸70〜30重量部及び前記ポリD乳酸30〜70重量部(ポリL乳酸及びポリD乳酸の合計が100重量部)を230〜260℃の下で混練することにより得られるポリ乳酸系組成物から形成されている延伸フィルムであって、前記ポリ乳酸系組成物を構成するポリL乳酸およびポリD乳酸のそれぞれの重量平均分子量を加重平均して得られる重量平均分子量の数値の0.3から0.6倍の範囲であり、DSCの第1回昇温(1st−heating)時の測定(常温から10℃/分で昇温)においてTm=150〜180℃のピーク(ピーク1)とTm=200〜240℃のピーク(ピーク2)のピーク比(ピーク1/ピーク2)が0.2以下であり、かつ融点が220℃以上であることを特徴とするポリ乳酸系組成物からなる延伸フィルム(以下、「延伸フィルム」と記載することがある。)
【0013】
また、本発明において、発明者らは、該ポリL乳酸および該ポリD乳酸がそれぞれの重量平均分子量を加重平均して得られる重量平均分子量の数値の0.3から0.6倍の範囲となるように混練することによって、むしろ光学純度99%以上とすることで、得られるポリ乳酸系組成物からなる延伸フィルムが更に融点の高いステレオコンプレックス晶からなる延伸フィルムとなる発明するに至った。
【発明の効果】
【0014】
本発明の延伸フィルムは、耐熱性、表面平滑性、透明性、耐熱性、ガスバリア性、靭性に優れている。本発明の延伸フィルムは、溶融混練により、ポリL乳酸とポリD乳酸のそれぞれの重量平均分子量を加重平均して得られる重量平均分子量の数値の0.3から0.6倍の範囲になるようにする。即ち溶融混練しながら双方のポリ乳酸の分子量を低下させながら、均一に分散させることによりポリL乳酸とポリD乳酸が微小なステレオコンプレックス晶を形成しやすい状態をつくることができる。
【0015】
従って、かかる状態により高率の微小なステレオコンプレックス晶を有する延伸フィルムを得ることが可能となるため、核剤等を用いてステレオコンプレックス晶を得る場合と比較して、ステレオコンプレックス晶が微小であることに起因する表面平滑性や透明性に優れた延伸フィルムを得ることができる。
【0016】
また、本発明の延伸フィルムの他の形態としては、特に耐熱性に関して優れており、融点が220℃以上であり、TMAによる160℃での一定条件下での変形率、即ち伸度が−1.0〜+1.0%の範囲という優れた耐熱性を有している。当該160℃での変形率が微小であるため、例えば、加熱しながらの蒸着処理、加熱乾燥を伴うコート処理等を安定して行うことが可能であり、特に加熱乾燥させる印刷処理においてはフィルムの加熱による伸びに起因する印刷ズレを効果的に防止することができる等製造工程での自由度が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ポリL乳酸
本発明においてポリL乳酸は、L乳酸を99モル%以上を含む重合体である。L乳酸の含有量が99モル%未満の重合体は、後述のポリD乳酸と溶融混練して得られるポリ乳酸系組成物を延伸して得られる延伸フィルムの融点が220℃を超えず、耐熱性、ガスバリア性、その他成形品の耐熱性が十分でない虞がある。
【0018】
ポリL乳酸の重量平均分子量(Mw)は15万〜35万の範囲にある。本発明では、重量平均分子量が15万未満のものは得られる延伸フィルムの強度が劣る虞がある。一方、35万を越えるものは溶融粘度が大きく成形加工性が劣る虞がある。
【0019】
ポリD乳酸
本発明においてポリD乳酸は、D乳酸の含有量が99モル%以上を含む重合体である。D乳酸の含有量が99モル%未満の重合体は、前述のポリL乳酸と溶融混練して得られるポリ乳酸系組成物を延伸して得られるポリ乳酸系組成物を延伸して得られる延伸フィルムの融点が220℃を超えず、耐熱性、ガスバリア性、その他成形品の耐熱性が十分でない虞がある。
【0020】
ポリD乳酸の重量平均分子量(Mw)は15万〜35万の範囲にある。本発明では、重量平均分子量が15万未満のものは得られる延伸フィルムの強度が劣る虞がある。一方、35万を越えるものは溶融粘度が大きく成形加工性が劣る虞がある。さらにポリL乳酸とポリD乳酸の分子量差は50,000以下、好ましくは30,000以下、より好ましくは12,000以下であると更に分散が良好なため融点の高率でステレオコンプレックス晶が得られやすい。
【0021】
共重合成分
本発明においてポリL乳酸及びポリD乳酸には、本発明の目的を損なわない範囲で、少量の他の共重合成分、例えば、多価カルボン酸若しくはそのエステル、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン類等を共重合させておいてもよい。多価カルボン酸としては、具体的には、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、スベリン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、セバシン酸、ジグリコール酸、ケトピメリン酸、マロン酸及びメチルマロン酸等の脂肪族ジカルボン酸並びにテレフタル酸、イソフタル酸及び2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。多価カルボン酸エステルとしては、具体的には、例えば、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、グルタル酸ジメチル、グルタル酸ジエチル、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、ピメリン酸ジメチル、アゼライン酸ジメチル、スベリン酸ジメチル、スベリン酸ジエチル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、デカンジカルボン酸ジメチル、ドデカンジカルボン酸ジメチル、ジグリコール酸ジメチル、ケトピメリン酸ジメチル、マロン酸ジメチル及びメチルマロン酸ジメチル等の脂肪族ジカルボン酸ジエステル並びにテレフタル酸ジメチル及びイソフタル酸ジメチル等の芳香族ジカルボン酸ジエステルが挙げられる。多価アルコールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタメチレングリコール、へキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコール、ドデカメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール及び分子量1000以下のポリエチレングリコール等が挙げられる。ヒドロキシカルボン酸としては、具体的には、例えば、グリコール酸、2−メチル乳酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−2−メチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、ヒドロキシピバリン酸、ヒドロキシイソカプロン酸及びヒドロキシカプロン酸等が挙げられる。ラクトン類としては、具体的には、例えば、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、β又はγ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、δ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、4−メチルカプロラクトン、3,5,5−トリメチルカプロラクトン、3,3,5−トリメチルカプロラクトン等の各種メチル化カプロラクトン;β−メチル−δ−バレロラクトン、エナントラクトン、ラウロラクトン等のヒドロキシカルボン酸の環状1量体エステル;グリコリド、Lラクチド、Dラクチド等の上記ヒドロキシカルボン酸の環状2量体エステル等が挙げられる。また、本発明に係わるポリL乳酸及びポリD乳酸には、それぞれD乳酸若しくはL乳酸を前記範囲以下であれば少量含まれていてもよい。
【0022】
ポリ乳酸系延伸フィルム
ポリL乳酸及びポリD乳酸の双方の重量平均分子量が150,000〜350,000かつ光学純度99〜100%であって、前記ポリL乳酸70〜30重量部及び前記ポリD乳酸30〜70重量部(ポリL乳酸及びポリD乳酸の合計が100重量部。以下、同じ)を230〜260℃の下で混練することにより得られるポリ乳酸系組成物から形成されている延伸フィルムであって、前記ポリ乳酸系組成物を構成するポリL乳酸およびポリD乳酸のそれぞれの重量平均分子量を加重平均して得られる重量平均分子量の数値の0.3から0.6倍の範囲であり、DSCの第1回昇温(1st−heating)時の測定(常温から10℃/分で昇温)においてTm=150〜180℃のピーク(ピーク1)とTm=200〜240℃のピーク(ピーク2)のピーク比(ピーク1/ピーク2)が0.2以下であり、かつ融点が220℃以上であることを特徴とするポリ乳酸系組成物からなる延伸フィルムである。
【0023】
また、本発明に関わるポリ乳酸系組成物は、前記ポリL乳酸及びポリD乳酸を、230〜260℃で二軸押出機、二軸混練機、バンバリーミキサー、プラストミルなどで溶融混練することにより得ることができる。ポリ乳酸系組成物を構成するポリL乳酸とポリD乳酸の量が、延伸フィルムにおいて高率のステレオコンプレックス晶を得る観点から、70〜30重量部、好ましくは65〜35重量部、より好ましくは55重量部〜45重量部である(ポリL乳酸とポリD乳酸の合計が100重量部。以下、同じ。)。ステレオコンプレックス晶はポリL乳酸とポリD乳酸とが当量配置して構成されるからである。尚、ポリL乳酸とポリD乳酸のいずれかが70重量部を超えれば、延伸フィルムにおいてステレオコンプレックス晶の形成が少なく、相対的にα晶が多く形成されるため、耐熱性等ステレオコンプレックス晶に由来する効果が不十分となることがある。
【0024】
また、ポリL乳酸とポリD乳酸を溶融混練するときの温度は230〜260℃であり、好ましくは235〜255℃である。溶融混練する温度が230℃より低いとポリ乳酸系組成物のステレオコンプレックス晶が未溶融で存在することがあるため、微小なステレオコンプレックス晶の形成が困難となり、十分な表面平滑性や透明性を有する延伸フィルムが得られないことがある。一方、260℃より高いとポリ乳酸が分解することがあるため、高率のステレオコンプレックス晶を有する延伸フィルムが得られないことがあることから、得られる延伸フィルムの耐熱性が劣る可能性がある。尚、本発明のポリ乳酸系組成物を形成する際に、均一に分散させてステレオコンプレックス晶を形成しやすくする観点から、ポリL乳酸とポリD乳酸を十分に溶融混練することが望ましい。
【0025】
本発明の延伸フィルムは、少なくとも一方向に2倍以上、好ましくは2〜12倍、より好ましくは3〜6倍延伸されてなる。延伸倍率が2倍未満の延伸フィルムは耐熱性が改良されない虞がある。一方、延伸倍率の上限は延伸し得る限り、とくに制限はされないが、通常12倍を超えるとフィルムが破断したりして、安定して延伸できない虞がある。
【0026】
本発明の延伸フィルムは、二軸延伸してもよく、縦方向に2倍以上及び横方向に2倍以上、好ましくは縦方向に2〜7倍及び横方向に2〜7倍、さらに好ましくは縦方向に2.5〜5倍及び横方向に2.5〜5倍、最も好ましくは縦方向に3〜4倍、横方向に3〜4倍延伸される。縦方向または横方向のいずれか一方向の延伸倍率が2倍未満の場合には得られる延伸フィルムの耐熱性が不十分となる虞がある。一方、二軸延伸において、延伸倍率の上限は延伸し得る限り、とくに制限はされないが、縦方向または横方向に2倍延伸した場合に該延伸方向と垂直方向(縦方向または横方向)に7倍を超えて延伸するとフィルムが破断したりして、安定して延伸できない虞がある。
【0027】
本発明の延伸フィルムの好ましい他の形態は、面配向度が0.006以上であることを特徴とする。一般にフィルムを延伸すれば面配向度が生じるが、該面配向度を0.006以上となるように延伸処理をすることにより、ポリL乳酸とポリD乳酸の再配列をさせ、その結果としてステレオコンプレックス晶の再結晶化を促進することとなって、より効果的に高率のステレオコンプレックス晶を形成することができる。
【0028】
また、本発明の延伸フィルムの好ましい他の形態は、広角X線回折装置で検出されるステレオコップレックス晶比率が90%以上であり、かつα晶比率が1%以下であることを特徴とする。広角X線回折装置はステレオコンプレックス晶の定性分析及び定量分析する装置として優れており、該広角X回折装置でのステレオコンプレックス晶の比率が90%以上であればステレオコンプレックス晶に由来する耐熱性、表面平滑性、透明性、ガスバリア性、靱性に特に優れた延伸フィルムが得ることができる。さらに、ステレオコンプレックス晶の比率が90%以上であるため、耐熱性についてはTMAで測定した160℃での変形率をさらに向上させることが可能である。
【0029】
本発明の延伸フィルムの好ましい他の形態は、ヘイズ値が1%以下であることを特徴とする。本発明の延伸フィルムは溶融混練によって、ステレオコンプレックス晶が得られやすい状態にすることにより、微小なステレオコンプレックス晶を高率で有した延伸フィルムを得ることができる。従って、ステレオコンプレックス晶が微小であるため、後述する表面平滑性が担保されかつフィルム表面での乱反射が僅かしか生じず、フィルム中でも光線の大きな屈折率の変化がないことからステレオコンプレックス晶の比率と比例して透明性も向上し、ヘイズ値としては1%以下となる。尚、ヘイズ値はJISK7105、JISK7136に準じてヘイズメーター300A(日本電色工業社製)で測定したヘイズ値をいう。
【0030】
また、本発明の延伸フィルムの好ましい他の形態は、表面粗さ(SRa)が0.2以下であることを特徴とする。即ち、一定の重量平均分子量を有するポリL乳酸とポリD乳酸がそれぞれの重量平均分子量を加重平均して得られる重量平均分子量の数値の0.3から0.6倍の範囲になるように溶融混練することにより、ポリL乳酸とポリD乳酸が十分に均一分散させることで、微小なステレオコンプレックス晶を高率で有する延伸フィルムが得られることから、優れた表面平滑性、具体的には表面粗さが0.2以下である延伸フィルムを得ることができる。尚、表面粗さとは、JISB0633に準じて測定した表面の中心線平均粗さ(SRa)をいう。
【0031】
さらに、本発明の延伸フィルムは、ヤング率が3800MPa以上であることが好ましい。本発明の延伸フィルムは、高率なステレオコンプレックス晶から構成されているため、3800MPa以上という高いヤング率を具有させることで、物性面での強度を向上させることができる。
【0032】
また、本発明の延伸フィルムの好ましい他の形態は、TMAによる160℃での変形率が−1.0〜+1.0%の範囲であることを特徴とする。ここでのTMAによる160℃での変形率とは、熱分析装置(セイコーインスツルメンツ株式会社製 熱・応用・歪測定装置 TMA/SS120)を用いてフィルムから幅4mmの試験片を切り出し、チャック間5mmで試験片に荷重0.25MPaを掛け、100℃(開始温度)から5℃/分で昇温し、160℃での試験片の変形率(伸びまたは収縮)をいう。本発明の延伸フィルムでは、高率なステレオコンプレックス晶のから構成されているため、耐熱性が良好である。本発明の延伸フィルムの耐熱性は高温での形状安定性に優れていることに表れ、具体的には、TMAによる160℃での変形率が−1.0〜+1.0%の範囲である。かかる優れた耐熱性を有することで、フィルム加工時の自由度が向上する。例えば、本発明の延伸フィルムの蒸着処理、加熱乾燥を伴うコート処理等を安定して行うことが可能であり、特に加熱乾燥させる印刷処理においてはフィルムの加熱による伸びに起因する印刷ズレを効果的に防止することができる。
【0033】
本発明の延伸フィルムの厚さは用途により種々決め得るが、通常5〜500μm、好ましくは10〜100μmの範囲にある。本発明の延伸フィルムは種々用途により、他の基材と積層してもよい。他の基材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン及びポリメチルペンテン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート及びポリカーボネート等のポリエステル、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリメチルメタクリレート、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリ乳酸、脂肪族ポリエステル等の生分解性ポリエステル等の熱可塑性樹脂からなるフィルム、シート、カップ、トレー状物、あるいはその発泡体、若しくはガラス、金属、アルミニューム箔、紙等が挙げられる。熱可塑性樹脂からなるフィルムは無延伸であっても一軸あるいは二軸延伸フィルムであっても良い。勿論、基材は1層でも2層以上としても良い。
【0034】
ポリ乳酸系組成物からなる延伸フィルムの製造方法
重量平均分子量が150,000〜350,000かつ光学純度99〜100%であるポリL乳酸70〜30重量部及びポリD乳酸30〜70重量部(ポリL乳酸及びポリD乳酸の合計が100重量部)を230℃から260℃の条件の下で溶融混練してポリ乳酸系組成物を得る。ポリL乳酸とポリD乳酸との溶融混練に先だって予め双方のポリ乳酸をヘンシェルミキサー、ニーダー、ホバートミキサー等の混合機で混合してもよい。そして前記ポリL乳酸とポリD乳酸の溶融混練を行うが混練機器としては、例えば一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、二軸混練機、プラストミル等が挙げられる。混練機器で溶融混練する温度条件は230℃から260℃である。230℃より温度が低ければ、ステレオコンプレックス晶が未溶融で残存して再結晶化が起こりにくいため、かえって高率のステレオコンプレックス晶を得ることが困難になる可能性があり、260℃を超えるとポリ乳酸の分解が進みステレオコンプレックス晶の結晶化度を低下させてしまうおそれがある。
【0035】
また、当該溶融混練の際には、ポリL乳酸とポリD乳酸の溶融混練により、ポリL乳酸とポリD乳酸がそれぞれの重量平均分子量を加重平均して得られる重量平均分子量の数値の0.3から0.6倍の範囲になるように溶融混練する。かかる手段を採ることにより、ポリL乳酸とポリD乳酸を分子量低下させながら十分に均一分散させることで、微小なステレオコンプレックス晶を高率で形成可能なポリ乳酸系組成物を得ることができる。
【0036】
次に、当該ポリ乳酸系組成物を二軸押出機、カレンダーロール等でフィルムまたはシート(以下、「フィルム等」と呼ぶことがある。)を形成する。尚、ポリL乳酸とポリD乳酸の溶融混練の工程とポリ乳酸系組成物からフィルムまたはシートを形成する工程は連続的に行っても良い。例えばポリL乳酸とポリD乳酸の溶融混練を二軸押出機で行いながら、該二軸押出機の先端部のギアポンプを経て、または経ずにT型ダイスから前記ポリ乳酸系組成物を吐出させることにより、フィルム等を成形し0〜30℃のチルロールで急冷後、延伸処理することで本発明の延伸フィルムを成形することができる。尚、二軸押出機の先端部のギアポンプを経てT型ダイスから前記ポリ乳酸系組成物を吐出させてフィルム等を成形する方がフィルム等の厚さの精度が向上するため好ましい。また、T型ダイスから吐出後成形されたフィルム等を0〜30℃のチルロールで急冷することが、後工程である延伸フィルムの成形工程において、より高率でステレオコンプレックス晶を形成することができるため好ましい。
【0037】
さらに、前記ポリ乳酸系組成物からなるフィルム等を、50〜80℃の温度で少なくとも一方向に2倍以上、好ましくは3〜12倍に延伸する。延伸温度が50℃未満であるとフィルム等の切断や十分に延伸できない可能性があり、80℃を超えるとさらなる結晶化や分子配向が起こらず、ステレオコンプレックス晶に由来する耐熱性や透明性等が十分に得られないことがある。また、延伸倍率が2倍未満では、ステレオコンプレックス晶の結晶化度が十分ではないため、耐熱性に優れた延伸フィルムが得られない虞がある。一方、延伸倍率の上限は特に限定はされないが、12倍を超えると破断等が発生し、安定して延伸できない虞がある。
【0038】
また、かかる一軸方向の延伸処理だけでなく、二軸方向に延伸処理してもよい。二軸方向に延伸処理する場合には同時二軸延伸法であっても逐次二軸延伸法であってもよい。また、延伸倍率としては、縦方向に2倍以上及び横方向に2倍以上、好ましくは縦方向に2〜7倍及び横方向に2〜7倍、さらに好ましくは縦方向に3〜4倍及び横方向に3〜4倍に延伸する。さらに、当該延伸されたフィルムをステレオコンプレックス晶による高結晶化等の観点から140〜220℃、好ましくは150〜200℃の温度条件下で熱処理を行う。熱処理の温度が140℃未満であるとステレオコンプレックス晶による高結晶化が不十分な場合があり、220℃を超えるとステレオコンプレックス晶を溶融させてしまいかえってステレオコンプレックス晶の結晶化度を低下させるおそれがある。
【0039】
また、延伸されたフィルムの熱処理時間としては、1秒以上、好ましくは3秒〜60秒、より好ましくは3〜20秒熱処理して本発明の延伸フィルムが得られる。延伸後のフィルムの熱処理時間が1秒未満では延伸されたフィルムに熱が伝わらず、熱処理の効果が発現されない虞がある。一方、熱処理時間は長くても問題はないが、生産効率の観点から60秒以下が好ましい。
【0040】
また、前記ポリ乳酸系組成物からなる延伸処理を行うフィルム等は、広角X線回折による回折ピークが12°近辺、21°近辺及び24°近辺には検出されない〔(PSC)が検出されない〕原料シート或いはフィルムを用いることが好ましい。広角X線回折による回折ピーク(2θ)が12°近辺、21°近辺及び24°近辺に検出されるフィルム等、即ちステレオコンプレックスが形成されたフィルム等を用いた場合は、その形成量にもよるが、延伸処理及び熱処理の過程で延伸処理前から存在するステレオコンプレックス晶が核となって結晶が成長し、巨大なステレオコンプレックス晶を含むこととなるため、最終的に得られる延伸フィルムの透明性が劣り、靭性にも劣る虞がある。従って、ポリ乳酸系組成物からな延伸処理を行うフィルム等の広角X線回折による回折ピーク(2θ)が12°近辺、21°近辺及び24°近辺には検出されない〔(PSC)が検出されない〕状態、即ちステレオコンプレックス晶を含まないようにするために、ポリ乳酸系組成物を形成するときには、ステレオコンプレックス晶の融点以上の温度、具体的には230℃〜260℃の温度で溶融混練して形成することが必要となる。
【実施例】
【0041】
次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限りこれらの実施例に制約されるものではない。
実施例及び比較例で使用したポリ乳酸は次の通りである。
(1)ポリ−L−乳酸(PURAC社製:PLLA―1):
光学純度(L体量):100.0% Mw:159,000(g/モル)、Mw/Mn:1.9(−)、Tm:175℃
(2)ポリ−L−乳酸(ネイチャワークス社製:PLLA―2):
光学純度(D体量):98.1% Mw:222,000(g/モル)、Tm:162.9℃
(3)ポリ−D−乳酸(PURAC社製:PDLA―1):
D体量:100.0% Mw:170,000(g/モル)、Mw/Mn:1.8(−)、Tm:173℃
【0042】
本発明における測定万法は以下のとおりである。
(1)重量平均分子量(Mw)
試料20mgに、GPC溶離液10mLを加え、一晩静置後、手で緩やかに攪拌した。この溶液を、両親媒性0.45μm―PTFEフィルター(ADVANTEC
DISMIC―25HP045AN)でろ過し、GPC試料溶液とした。
・測定装置:Shodex GPC SYSTEM−21
・解析装置:データ解析プログラム:SIC480データステーションII
・検出器:示差屈折検出器(RI)
・カラム:Shodex GPC K−G + K−806L + K−806L
・カラム温度:40℃
・溶離液:クロロホルム
・流 速:1.0mL/分
・注入量:200μL
・分子量校正:単分散ポリスチレン
(2)DSC測定
示差走査熱量計(DSC)としてティー・エイ・インスツルメント社製 Q 100を用い、試料約5mgを精秤し、JIS
K 7121に準拠し、窒素ガス流入量:50mL/分の条件下で、0℃から加熱速度:10℃/分で250℃まで昇温して試料を一旦融解させた後(第1回昇温過程(1st heating))、250℃に10分間維持し、冷却速度:10℃/分で0℃まで降温して結晶化させた後(冷却過程(Cooling))、再度、加熱速度:10℃/分で250℃まで昇温して(第2回昇温過程(2nd heating))、各々の昇温及び冷却過程から熱融解曲線を得た。得られた熱融解曲線から、第1回昇温過程(1st heating)及び第2回昇温過程(2nd heating)での試料の融点(Tm)(℃)、融解熱量(J/g)、冷却過程(Cooling)での結晶化温度(Tc)(℃)、結晶化熱量(Hc)(J/g)を求めた。
(3)透明性
日本電色工業社製 ヘイズメーター300Aを用いてフィルムのヘイズ(HZ)及び平行光光線透過率(PT)を測定した。
(4)表面粗さ
株式会社小坂研究所製三次元表面粗さ測定器SE−30Kを用いてフィルム表面の中心面平均粗さ(SRa)を測定した。
(5)引張り試験
フィルムからMD方向(一軸延伸フィルムは延伸方向のみ採取)及びTD方向に、夫々短冊状の試験片(長さ:50mm、幅:15mm)を採取して、引張り試験機(オリエンテック社製テンシロン万能試験機RTC-1225)を使用し、チャック間距離:20mm、クロスヘッドスピード:300mm/分(但し、ヤング率の測定は5mm/分で測定)で、引張り試験を行い、引張強さ(MPa)、伸び(%)及びヤング率(MPa)を求めた。
なお、破断エネルギー(mJ)は前記記載の方法で求めた。
(6)熱変形試験
本発明における熱変形試験は、熱分析装置(セイコーインスツルメンツ株式会社製 熱・応用・歪測定装置 TMA/SS120)を用いてフィルムから幅4mmの試験片を切り出し、チャック間5mmで試験片に荷重0.25MPaを掛け、100℃(開始温度)から5℃/分で昇温し、各温度における試験片の変形率(伸びまたは収縮)を測定した。
(7)WAX測定
広角X線測定装置(WAX)としてリガク社製ULTIMA4を用い、延伸フィルム7mm角にX線ターゲットとしてCu K―α、出力:1/40kV×40mAで照射し、回転角:4.0°/分、ステップ:0.02°、走査範囲:5〜30°で測定した。
その測定結果において、広角X線回折による回折ピーク(2θ)が16°近辺にあり、且つ12°近辺、21°近辺及び24°近辺の回折ピーク(2θ)の総面積(SSC)、16°近辺の回折ピークの面積(SPL)、及びブロード部を非晶部分として面積(S非晶)とした。そして各々の面積をチャート紙から切り出し、その重量を測定することにより、SC晶(%)、α晶(%)、及び非結晶(%)の各々を算出した。
(8)面配向度
アッベ屈折計DR−M2型を用いて測定波長589nm(D線)、ヨウ化メチレンを中間液とし、23℃下でn=3測定した。
【0043】
実施例1
<ポリ乳酸組成物の製造>
PLLA―1:PDLA―1を50:50質量%の比で計量し、フィード速度330g/分で、東芝機械株式会社製 同方向回転二軸混練押出機(TEM−37BS スクリュ径:37mm、スクリュ条数:2、スクリュ長(L/D):42からなるスクリュパターンを用いてC1=200℃、C2〜C12:245℃、430rpmの条件下で混練押出し、次にその先端にクレインボルク社製ギヤポンプGPE36(36cc/cycLe)で2軸押出機先端圧力を50kgf/cmとなるように制御し、幅400mmのコートハンガー型Tダイで、鏡面処理したチルロール(水温:15℃)で1.0m/分の速度で成形を行い、厚さ約300μmの無延伸シートとし、続けてこの無延伸シートをブルックナー社製バッチ延伸機KARO―4を用いて同時2軸延伸、ヒートセット処理した。
その際75℃で1分間予熱し、延伸速度1.8m/分で3×3同時2軸延伸した。その後にオーブンを用いて200℃で60秒間の熱処理を行った。結果は表1に示すとおりである。
実施例2
実施例1で延伸倍率を3×3に代えて、4×4とした以外は、実施例1と同様に行った。
結果を表1に示す
比較例1
実施例1で用いた組成物−1に代えて、PLLA―2を用いる以外は、実施例1と同様に行った。
結果を表1に示す。
比較例2
実施例1で用いた組成物−1に代えて、PLLA―2を用い、延伸倍率を3×3に代えて、4×4とした以外は、実施例1と同様に行った。
(表1)

【0044】
表1から明らかなように、光学純度の高いPLLAとPDLAを用いた実施例1、2のフィルムは一方が光学純度の低い比較例1、2に比べて融点が高く、実施例1、2の各々について224.4℃、224.5℃といずれも220℃以上となっている。
その結果、延伸フィルムの160℃でTMAは比較例1、2が1.4%、1.2%といずれも1%よりも大きいのに対して、0.9%、0.8%と比率にして2〜4割低下し、±1%の範囲の変化率となっている。 従来のPLLAの延伸フィルムであれば融解していた160℃という高温下でもTMAの変形率が1%以下と非常に安定しているため、そのフィルムが蒸着処理、加熱乾燥を伴うコート処理等を安定して行うことが可能であり、特に加熱乾燥させる印刷処理においてはフィルムの加熱による伸びに起因する印刷ズレを効果的に防止することができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリL乳酸及びポリD乳酸の双方の重量平均分子量が150,000〜350,000かつ光学純度99〜100%であって、前記ポリL乳酸70〜30重量部及び前記ポリD乳酸30〜70重量部(ポリL乳酸及びポリD乳酸の合計が100重量部)を230〜260℃の下で混練することにより得られるポリ乳酸系組成物から形成されている延伸フィルムであって、前記ポリ乳酸系組成物を構成するポリL乳酸およびポリD乳酸のそれぞれの重量平均分子量を加重平均して得られる重量平均分子量の数値の0.3から0.6倍の範囲であり、DSCの第1回昇温(1st−heating)時の測定(常温から10℃/分で昇温)においてTm=150〜180℃のピーク(ピーク1)とTm=200〜240℃のピーク(ピーク2)のピーク比(ピーク1/ピーク2)が0.2以下であり、かつ融点が220℃以上であることを特徴とするポリ乳酸系組成物からなる延伸フィルム。
【請求項2】
面配向度が0.006以上であることを特徴とする請求項1に記載のポリ乳酸系組成物からなる延伸フィルム
【請求項3】
広角X線回折装置で検出されるステレオコップレックス晶比率が90%以上であり、かつα晶比率が1%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリ乳酸系組成物からなる延伸フィルム
【請求項4】
ヘイズが1%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリ乳酸系組成物からなる延伸フィルム
【請求項5】
表面粗さ(SRa)が0.2以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリ乳酸系組成物からなる延伸フィルム
【請求項6】
熱機械分析(TMA)による160℃での変形率が−1.0〜+1.0%の範囲であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリ乳酸系組成物からなる延伸フィルム


【公開番号】特開2013−60532(P2013−60532A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200072(P2011−200072)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000220099)三井化学東セロ株式会社 (177)
【Fターム(参考)】