説明

ポリ(アリーレンエーテル)組成物とその押出成形物品および被覆線製造における利用

【解決手段】電子線硬化ポリ(アニーレンエーテル)組成物は、柔軟性、耐薬品性および単位体積当たりの抵抗率において優れたバランスを有している。該組成物の耐薬品性は、電子線硬化によって実質的に向上する。該電子線硬化ポリ(アリーレンエーテル)組成物は、自動車用ワイヤーやケーブル用の絶縁体を含む押出成形物品の製造に有用である。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ポリ(アリーレンエーテル)樹脂は、その優れた耐水性、寸法安定性および固有の難燃性で知られるプラスチックの一種である。強度、剛性、耐薬品性および耐熱性などの特性は、種々の他のプラスチックと混合して調整し、例えば衛生器具、電気ボックス、自動車部品およびワイヤーやケーブル絶縁体などの広範な消費財製品の要件を満たすことができる。
【0002】
ポリ(塩化ビニル)(PVC)は難燃性のワイヤーおよびケーブル絶縁体に用いられる市販材料の1つである。しかしながら、ポリ(塩化ビニル)はハロゲン化材料であり、それが環境に与える影響に関して益々懸念が高まっている。そのために非ハロゲン化代替材料が求められている。したがって、ポリ(塩化ビニル)の非ハロゲン化ポリマー組成物での置換が強く求められており、法律で規制している所もある。
【0003】
架橋ポリエチレン(XLPE)は、難燃性のワイヤーおよびケーブル絶縁体に使用されるもう1つの市販材料であり、自動車用途における有力な材料である。しかしながら、要求される難燃性を実現するためには、架橋ポリエチレンには高濃度の無機難燃剤が必要である。このことは、出来上がるケーブル絶縁体の厚みが相対的に厚くなり重くなることを意味する。
【0004】
最近の研究では、ハロゲンフリーで柔軟な特定のポリ(アリーレンエーテル)組成物が、ワイヤーやケーブル絶縁体用として必要とされる物性および難燃特性を有していることがわかってきた。例えば、Kosakaらの米国特許出願第2006/0106139A1号および同第2006/0182967A1号を参照のこと。これらの引例で開示された組成物は、良好な難燃性と、柔軟性や引張強度などにおいて良好な物性と、を有している。しかしながら、自動車用途などの特定のワイヤーやケーブル用途では、既知のポリ(アリーレンエーテル)組成物では実現が困難なレベルの耐薬品性が要求される。例えば、既知のポリ(アリーレンエーテル)組成物では、ドイツの自動車基準LV112「車両用電気ケーブル:シールドなしの単一芯」の耐薬品性試験に合格することは困難であった。
【0005】
他の要求される特性をすべて維持しながら、耐薬品性、単位重量当たりの電気抵抗および単位体積当たりの電気抵抗のバランスを向上させた絶縁体用組成物が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願第2006/0106139A1号明細書
【特許文献2】米国特許出願第2006/0182967A1号明細書
【発明の概要】
【0007】
上記およびその他の欠点は、20〜55質量パーセントのポリ(アリーレンエーテル)と、20〜50質量パーセントの熱可塑性ポリオレフィンと、2〜10質量パーセントの、ポリ(アリーレンエーテル)と熱可塑性ポリオレフィンとの相溶化剤と、を含む未硬化組成物を5〜5,000メガラドの電子線照射により硬化させて得られた生成物を含む硬化組成物であって、すべての質量パーセントは、違った基準が明記されていない限り、未硬化組成物の全重量に対するものであり、未硬化組成物は臭素化材料を含まず、未硬化組成物は重合化可能なアクリルモノマーとアリルモノマーは含まず、硬化組成物は、ISO6722、セクション10に準拠したクラスA、BまたはCの短期および長期熱劣化試験に合格し、硬化組成物は、LV112−1の媒体グループIまたは媒体グループIIに規定された流体媒体を少なくとも1つ用いるLV112、セクション8.8.1に準拠した耐薬品性試験に合格することを特徴とする硬化組成物によって緩和される。
【0008】
別の実施形態は、20〜55質量パーセントのポリ(アリーレンエーテル)と、20〜50質量パーセントの熱可塑性ポリオレフィンと、2〜10質量パーセントの、ポリ(アリーレンエーテル)と熱可塑性ポリオレフィンとの相溶化剤と、を含む未硬化組成物であって、すべての質量パーセントは、違った基準が明記されていない限り、未硬化組成物の全重量に対するものであり、未硬化組成物は臭素化材料を含まず、未硬化組成物は重合化可能なアクリルモノマーとアリルモノマーは含まないことを特徴とする未硬化組成物を押出成形するステップと、未硬化組成物を5〜5,000メガラドの電子線照射により硬化させて硬化組成物を形成するステップであって、硬化組成物は、ISO6722、セクション10に準拠したクラスA、BまたはCの短期および長期熱劣化試験に合格し、硬化組成物は、LV112−1の媒体グループIまたは媒体グループIIに規定された流体媒体を少なくとも1つ用いるLV112、セクション8.8.1に準拠した耐薬品性試験に合格するステップと、を備えた方法による生成物を含む押出成形物品である。
【0009】
別の実施形態は、導線と、導線上に配置された被覆と、を備え、被覆は、20〜55質量パーセントのポリ(アリーレンエーテル)と、20〜50質量パーセントの熱可塑性ポリオレフィンと、2〜10質量パーセントの、ポリ(アリーレンエーテル)と熱可塑性ポリオレフィンとの相溶化剤と、を含む未硬化組成物であって、すべての質量パーセントは、違った基準が明記されていない限り、未硬化組成物の全重量に対するものであり、未硬化組成物は臭素化材料を含まず、未硬化組成物は重合化可能なアクリルモノマーとアリルモノマーは含まないことを特徴とする未硬化組成物を5〜5,000メガラドの電子線照射により硬化させて得られた生成物である硬化組成物であって、硬化組成物は、ISO6722、セクション10に準拠したクラスA、BまたはCの短期および長期熱劣化試験に合格し、硬化組成物は、LV112−1の媒体グループIまたは媒体グループIIに規定された流体媒体を少なくとも1つ用いるLV112、セクション8.8.1に準拠した耐薬品性試験に合格することを特徴とする硬化組成物を含むことを特徴とする被覆線である。
【0010】
別の実施形態は、未硬化ポリ(アリーレンエーテル)組成物を5〜5,000メガラドの電子線照射により硬化させて硬化ポリ(アリーレンエーテル)組成物を形成するステップであって、未硬化ポリ(アリーレンエーテル)組成物は、20〜55質量パーセントのポリ(アリーレンエーテル)と、20〜50質量パーセントの熱可塑性ポリオレフィンと、2〜10質量パーセントの、ポリ(アリーレンエーテル)と熱可塑性ポリオレフィンとの相溶化剤と、を含み、すべての質量パーセントは、違った基準が明記されていない限り、未硬化組成物の全重量に対するものであり、未硬化組成物は臭素化材料を含まず、未硬化組成物は重合化可能なアクリルモノマーとアリルモノマーは含まず、硬化組成物は、ISO6722、セクション10に準拠したクラスA、BまたはCの短期および長期熱劣化試験に合格し、硬化組成物は、LV112−1の媒体グループIまたは媒体グループIIに規定された流体媒体を少なくとも1つ用いるLV112、セクション8.8.1に準拠した耐薬品性試験に合格することを特徴とするステップを備えるポリ(アリーレンエーテル)組成物の耐薬品性向上方法である。
【0011】
これらの実施形態およびその他の実施形態について以下詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明者らは、耐薬品性、単位重量当たりの電気抵抗および単位体積当たりの電気抵抗のバランスを向上させた柔軟なポリ(アリーレンエーテル)/ポリオレフィンブレンド類を見出した。該ブレンド類は、特定量のポリ(アリーレンエーテル)、熱可塑性ポリオレフィンおよび相溶化剤を含む未硬化組成物を電子線照射により硬化させて調製される。この電子線照射による硬化プロセスによって、対応する未硬化組成物に対して該組成物の耐薬品性を実質的に向上させられる。本硬化組成物は臭素化材料を含まずに調製されており、選択的に、すべてのハロゲンを含まないようにもできる。したがって、該組成物は環境上、ポリ(塩化ビニル)より優れている。また、本硬化組成物は、大量の無機系難燃剤を用いることなく、自動車用のワイヤーやケーブルに必要な難燃性を達成できる。このことは、該硬化組成物で作られたワイヤーやケーブルの絶縁体は、架橋ポリエチレンで作られた対応する絶縁体に比べて薄くて軽いことを意味する。
【0013】
ある実施形態は、20〜55質量パーセントのポリ(アリーレンエーテル)と、20〜50質量パーセントの熱可塑性ポリオレフィンと、2〜10質量パーセントの、ポリ(アリーレンエーテル)と熱可塑性ポリオレフィンとの相溶化剤と、を含む未硬化組成物を5〜5,000メガラドの電子線照射により硬化させて得られた生成物であって、すべての質量パーセントは、違った基準が明記されていない限り、未硬化組成物の全重量に対するものであり、未硬化組成物は臭素化材料を含まず、未硬化組成物は重合化可能なアクリルモノマーとアリルモノマーは含まず、硬化組成物は、ISO6722、セクション10に準拠したクラスA、BまたはCの短期および長期熱劣化試験に合格し、硬化組成物は、LV112−1の媒体グループIまたは媒体グループIIに規定された流体媒体を少なくとも1つ用いるLV112、セクション8.8.1に準拠した耐薬品性試験に合格することを特徴とする生成物を含む硬化組成物である。
【0014】
硬化組成物は、未硬化組成物を5〜5,000メガラドの電子線照射で硬化して得られる。照射線量は、具体的には5〜500メガラド、より具体的には10〜50メガラドとすることができる。照射線量が有意に5メガラド未満の場合は、硬化組成物の耐薬品性向上は不十分となる。照射線量が有意に5,000メガラドを超える場合は、ポリマー鎖が過度に切断されて柔軟性および熱劣化特性が低下する。
【0015】
電子の加速電圧は、使用する電子線装置、未硬化組成物の組成、未硬化組成物の厚み、所望の硬化度および所望の処理時間などの要因によって変わってくるだろう。一部の実施形態では、電子は、約10〜約10,000kVの電圧で加速され、具体的には約40〜約1,000kV、より具体的には約80〜約400kV、さらにより具体的には約80〜約150kVで加速される。
【0016】
未硬化組成物は、物品形成後に電子線照射硬化を行うことができる。あるいは、電子線照射硬化後に物品に形成することもできる。
【0017】
未硬化組成物はポリ(アリーレンエーテル)を含んでいる。好適なポリ(アリーレンエーテル)類には、下記式の繰り返し構造単位を有するものが含まれる。
【化1】

式中、Zは、それぞれ独立に、ハロゲン、第三級ではない未置換または置換C−C12ヒドロカルビル、C−C12ヒドロカルビルチオ、C−C12ヒドロカルビルオキシ、あるいは、少なくとも2つの炭素原子がハロゲン原子と酸素原子とを分離しているC−C12ハロヒドロカルビルオキシであり、Zはそれぞれ独立に、水素、ハロゲン、第三級ではない未置換または置換C−C12ヒドロカルビル、C−C12ヒドロカルビルチオ、C−C12ヒドロカルビルオキシ、あるいは、少なくとも2つの炭素原子がハロゲン原子と酸素原子とを分離しているC−C12ハロヒドロカルビルオキシである。本明細書では、用語「ヒドロカルビル」は、単独あるいは接頭辞、接尾辞または他の用語の一部として使用される場合であっても、炭素と水素だけを含む残基を指す。該残基は、脂肪族あるいは芳香族、直鎖、環式、二環式、分枝鎖、飽和あるいは不飽和であってもよい。該残基はさらに、脂肪族、芳香族、直鎖、環式、二環式、分枝鎖、飽和および不飽和の炭化水素部分の組み合わせを含んでいてもよい。しかしながら、該ヒドロカルビル残基が置換として記載された場合には、置換された残基の炭素員および水素員上にヘテロ原子を選択的に含んでいてもよい。従って、置換と特定的に記載された場合は、該ヒドロカルビル残基は、1つまたは複数のカルボニル基、アミノ基、水酸基などを含んでいてもよく、あるいは、ヒドロカルビル残基骨格内にヘテロ原子を含んでいてもよい。一例として、Zは、末端3,5−ジメチル−1,4−フェニル基と酸化重合触媒であるジ−n−ブチルアミン成分との反応で形成されたジ−n−ブチルアミノメチル基であってもよい。
【0018】
一部の実施形態では、ポリ(アリーレンエーテル)は、2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル単位、2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレンエーテル単位あるいはこれらの組み合わせを含んでいる。一部の実施形態では、該ポリ(アリーレンエーテル)はポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)である。一部の実施形態では、該ポリ(アリーレンエーテル)は末端反応性キャッピング基を含んでいる。例えば、該ポリ(アリーレンエーテル)は、2,6−キシレノールのメタクリレート−キャップドホモポリマー、あるいは2,6−キシレノールと2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンとのメタクリレートキャップド共重合体であり得る。一部の実施形態では、該ポリ(アリーレンエーテル)は、約1〜5質量パーセントの無水マレイン酸でグラフトされたポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)などの無水マレイン酸グラフト化ポリ(アリーレンエーテル)である。
【0019】
ポリ(アリーレンエーテル)は、典型的には水酸基のオルト位置に存在するアミノアルキル含有末端基を含み得る。また、テトラメチルジフェノキノン(TMDQ)副生成物が存在する2,6−ジメチルフェノール含有反応混合物から典型的に得られるテトラメチルジフェノキノン末端基も存在することが多い。該ポリ(アリーレンエーテル)は、ホモポリマー、共重合体、グラフト共重合体、イオノマー、ブロック共重合体、あるいはこれらのものの少なくとも1つを含む組み合わせの形態であり得る。
【0020】
一部の実施形態では、ポリ(アリーレンエーテル)の固有粘度は、25℃のクロロホルム中で測定して0.1〜1dL/gである。具体的には、該ポリ(アリーレンエーテル)の固有粘度は0.2〜0.8dL/gであってもよく、より具体的には0.3〜0.6dL/g、さらにより具体的には0.4〜0.5dL/gであってもよい。
【0021】
未硬化組成物は、その全重量に対して20〜55質量パーセントのポリ(アリーレンエーテル)を含んでいる。この範囲内で、該ポリ(アリーレンエーテル)の量は25〜50質量パーセントとすることができ、具体的には30〜40質量パーセントとすることができる。
【0022】
未硬化組成物は、ポリ(アリーレンエーテル)に加えて、熱可塑性ポリオレフィンを含んでいる。熱可塑性ポリオレフィン類とポリオレフィン熱可塑性エラストマー類との間には必ずしも明確な境界線はないが、熱可塑性ポリオレフィン類は典型的には、25℃での曲げ弾性率が1,000MPaより大きく、一方、ポリオレフィン熱可塑性エラストマー類は典型的には、25℃での曲げ弾性率が1,000MPaより小さい。好適な熱可塑性ポリオレフィン類には、例えば、高密度ポリエチレン類、中密度ポリエチレン類、低密度ポリエチレン類、直鎖低密度ポリエチレン類、ポリプロピレン類(プロピレンホモポリマー類)、プロピレンランダム共重合体類、プロピレングラフト共重合体類およびプロピレンブロック共重合体類などが含まれる。
【0023】
一部の実施形態では、熱可塑性ポリオレフィンはエチレンまたはプロピレンのホモポリマーである。典型的なホモポリマー類には、ポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)およびアイソタクチックポリプロピレンが含まれる。こうした一般構造を有するポリオレフィン樹脂類とそれらの調製方法は当分野では周知である。一部の実施形態では、該熱可塑性ポリオレフィンは、モノマー比を調節して熱可塑性(エラストマーではない)生成物としたオレフィン共重合体である。
【0024】
市販の熱可塑性ポリオレフィン類の具体的な例としては、EquiStar社からPetrothene LR5900−00として市販されている高密度ポリエチレン、EquiStar社からPetrothene GA837091として市販されている中密度ポリエチレン、EquiStar社からPetrothene GA818073として市販されている直鎖低密度ポリエチレン、EquiStar社からPetrothene NA940000として市販されている低密度ポリエチレン、ExxonMobil社からPP9122として市販されているエチレン−プロピレンランダム共重合体、Basell社からPro−fax7624として市販されているヘテロ相ポリプロピレン−ポリ(エチレン−プロピレン)、およびSunoco社からD015−C2として市販されているプロピレンホモポリマなどが挙げられる。2つ以上の熱可塑性ポリオレフィン類の混合物も使用できる。
【0025】
未硬化組成物は、その全重量に対して20〜50質量パーセントの熱可塑性ポリオレフィンを含んでいる。この範囲内で、該熱可塑性ポリオレフィンの量を25〜45質量パーセントとすることができ、具体的には30〜40質量パーセントとすることができる。
【0026】
組成物は、ポリ(アリーレンエーテル)および熱可塑性ポリオレフィンに加えて、該ポリ(アリーレンエーテル)と熱可塑性ポリオレフィンとの相溶化剤を含んでいる。相溶化剤は一般的には、ポリ(アリーレンエーテル)を相溶化剤のない場合より細かく、熱可塑性ポリオレフィンに分散させられるポリマーである。好適な相溶化剤類としては、ポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)ジブロック共重合体類、ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)ジブロック共重合体類、ポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)−ポリスチレントリブロック共重合体類、ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体類、ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン−スチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体類、無水マレイン酸グラフト化ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体類およびポリプロピレン−グラフト−ポリスチレン共重合体類などがある。一部の実施形態では、該相溶化剤のポリスチレン含量は、該相溶化剤の全重量に対して、少なくとも35質量パーセントであり、具体的には35〜80質量パーセント、より具体的には40〜75質量パーセント、さらにより具体的には45〜70の質量パーセントである。2つ以上の相溶化剤類の混合物も使用できる。
【0027】
市販の相溶化剤類の具体的な例としては、旭化成ケミカルズ社からTUFTEC H1043として市販されている、ポリスチレン含量が67質量パーセントのポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体、旭化成ケミカルズ社からTUFTEC H1051として市販されている、ポリスチレン含量が42質量パーセントのポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体、Kraton Polymers社からKraton RP6936として市販されている、ポリスチレン含量が41質量パーセントのポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン−スチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体、Kraton Polymers社からKraton RP6935として市販されている、ポリスチレン含量が58質量パーセントのポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン−スチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体、Kraton Polymers社からKraton FG1924として市販されている、ポリスチレン含量が13質量パーセントの無水マレイン酸グラフト化ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体およびKraton Polymers社からKraton G1701として市販されている、ポリスチレン含量が37質量パーセントのポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)ジブロック共重合体などが挙げられる。
【0028】
一部の実施形態では、相溶化剤は、ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体であり、そのポリスチレン含量は、該トリブロック共重合体の全重量に対して35〜80質量パーセントであり、具体的には40〜75質量パーセント、より具体的には40〜70質量パーセントである。一部の実施形態では、該相溶化剤はポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン−スチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体であり、そのポリスチレン含量は、該トリブロック共重合体の全重量に対して、35〜65質量パーセントであり、具体的には35〜55質量パーセント、より具体的には35〜50質量パーセント、さらにより具体的には35〜45質量パーセントである。
【0029】
未硬化組成物は、その全重量に対して2〜20質量パーセントの相溶化剤を含んでいる。該相溶化剤の量は、具体的には2〜10質量パーセントであり、より具体的には3〜8質量パーセント、さらにより具体的には4〜6質量パーセントである。
【0030】
ポリ(アリーレンエーテル)、熱可塑性ポリオレフィンおよび相溶化剤は、未硬化組成物に必要な成分である。該未硬化組成物はさらに、他の成分を選択的に含むことができる。例えば、一部の実施形態では、該未硬化組成物はさらに耐衝撃性改良剤を含む。該耐衝撃性改良剤は典型的には、主として、連続熱可塑性ポリオレフィン相に存在する。耐衝撃性改良剤として好適に使用できるポリマー類としては、例えば、ポリスチレン含量が35質量パーセント未満のポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体類、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレントリブロック共重合体類、エチレン−プロピレン−ジエンモノマーゴム(EPDM)類、エチレン−オクテン共重合体類およびエチレン−ブテン共重合体類などが挙げられる。2つ以上の耐衝撃性改良剤の混合物も使用できる。
【0031】
市販の耐衝撃性改良剤の具体的な例としては、Kraton Polymers社からKraton G1650として市販されている、ポリスチレン含量が30質量パーセントのポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体、Kraton Polymers社からKraton G1651として市販されている、ポリスチレン含量が33質量パーセントのポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体、ExxonMobil社からVistalon 2727として市販されているエチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合体、Dow Chemical社から商標名Infuseで市販されているオレフィンブロック共重合体類、Dow Chemical社からEngage8180として市販されているエチレン−オクテン共重合体、三井からTafmer A−0585Sとして市販されているエチレン−ブテン共重合体およびKraton Polymers社からKraton D1101として市販されている、ポリスチレン含量が31質量パーセントのポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレントリブロック共重合体などが挙げられる。
【0032】
一部の実施形態では、耐衝撃性改良剤はエチレン−プロピレン−ジエンゴムを含んでいる。一部の実施形態では、該耐衝撃性改良剤は、無水マレイン酸グラフト化ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体を、選択的にポリエチレンアミンなどのポリアミンと共に含んでいる(この実施形態では、無水マレイン酸グラフト化ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレン上のカルボン酸とポリアミン上のアミン基とのモル比は1:5〜5:1、具体的には1:2〜2:1とすることができる)。一部の実施形態では、該耐衝撃性改良剤はエチレン−αオレフィン共重合体を含んでいる。
【0033】
耐衝撃性改良剤が存在する場合、その量は組成物の全重量に対して5〜20質量パーセントとすることができ、具体的には8〜17質量パーセント、より具体的には10〜14質量パーセントとすることができる。
【0034】
未硬化組成物はさらに、難燃剤を選択的に含むことができる。使用可能な難燃剤のタイプとしては、リン酸トリアリール類(リン酸トリフェニル、アルキル化リン酸トリフェニル、レゾルシノールビス(リン酸ジフェニル)、レゾルシノールビス(ジ−2,6−リン酸キシリル)およびビスフェノールAビス(リン酸ジフェニル)など)、金属ホスフィン酸塩類(アルミニウムトリス(ホスフィン酸ジエチル)など)、メラミン塩類(メラミンシアヌレート、リン酸メラミン、ピロリン酸メラミンおよびポリリン酸メラミンなど)、ホウ酸塩類(ホウ酸亜鉛など)および金属水酸化物類(水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウムなど)などが挙げられる。
【0035】
未硬化組成物はさらに、熱可塑性分野で既知の他の様々な添加剤を選択的に含むことができる。例えば、熱可塑性組成物はさらに、安定剤、離型剤、加工助剤、液滴抑制剤、成核剤、UVカット剤、染料、顔料、酸化防止剤、静電防止剤、発泡剤、鉱油、金属活性低下剤、ブロッキング防止剤、ナノ粘土などやこれらの組み合わせを選択的に含んでいてもよい。
【0036】
未硬化組成物は複数の成分を含むものとして定義したことから、各成分がそれぞれ化学的に区別できること、特に単一の化合物が複数の成分の定義を満たす場合には特にそうであることは理解されるであろう。例えば、組成物が耐衝撃性改良剤を含む場合、1つのポリオレフィンが熱可塑性ポリオレフィンと耐衝撃性改良剤の両方として機能することはできない。
【0037】
一部の実施形態では、熱可塑性組成物は、本明細書で必要なものとして、あるいは選択的なものとして記載されていないポリマーを含まない。一部の実施形態では、該熱可塑性組成物は、本明細書で必要なものとして、あるいは選択的なものとして記載されていない難燃剤を含まない。一部の実施形態では、該熱可塑性組成物は充填材を含まない。
【0038】
未硬化組成物は臭素化材料を含まない。本明細書で、「臭素化材料を含まない」とは、未硬化組成物が臭素原子として測定して0.01質量パーセント未満の臭素化材料を含むことを意味する。具体的には、該未硬化組成物は、0.001質量パーセント未満の臭素化材料を含むことができる。より具体的には、該未硬化組成物は、意図的に添加された臭素化材料を含まない。該未硬化組成物に含まれない臭素化材料としては、Abolinsらの米国特許第4,808,647号、同第4,910,241号および欧州特許出願第135,726A2号に記載された臭素化化合物類、オリゴマー類およびポリマー類などがある。
【0039】
一部の実施形態では、組成物はハロゲンフリーである。ハロゲンフリーとは、該組成物が全ハロゲンを0.1質量パーセント未満しか含まず、具体的には0.01質量パーセント未満しか含まないことを意味する。一部の実施形態では、該組成物は意図的に添加されたハロゲンを含まない。
【0040】
未硬化組成物の調製は、通常、緊密混合に必要な条件下で成分を溶融混合することによって実現される。こうした条件には、成分にせん断力を与えられる一軸スクリュまたは二軸スクリュ押出機あるいは同様の混合装置での混合が含まれることが多い。
【0041】
未硬化組成物は、重合可能なアクリルモノマーおよびアリルモノマーを含まない。本明細書で用いる「重合可能なアクリルモノマーおよびアリルモノマーを含まない」とは、該未硬化組成物が重合可能なアクリルモノマーとアリルモノマーを合計で0.05質量パーセント未満含む、具体的には0.01質量パーセント未満、より具体的には意図的に添加された、重合可能なアクリルモノマーおよびアリルモノマーを含まないことを意味する。未硬化組成物に含まれない重合可能なアクリルモノマーおよびアリルモノマーの例は、Watanabeの米国特許第6,022,550号に記載されている。一部の実施形態では、該未硬化組成物は、重合可能ないかなる種類のモノマーも含まない。
【0042】
一部の実施形態では、硬化組成物は、熱可塑性ポリオレフィンを含む連続相とポリ(アリーレンエーテル)を含む分散相を含む。ポリマー分野の当業者であれば、電子顕微鏡法と相選択的染色法を用いてそうした状態の存在の有無を判断できる。
【0043】
硬化組成物は優れた熱安定性を示す。該硬化組成物は特に、ISO6722、セクション10に準拠したクラスA、BまたはCの短期および長期熱劣化試験に合格する。
【0044】
硬化組成物の耐薬品性は、未硬化組成物と比較して実質的に向上している。硬化組成物は特に、LV112−1の媒体グループIまたは媒体グループIIに規定された流体媒体を少なくとも1つ用いるLV112、セクション8.8.1に準拠した耐薬品性試験に合格する。
【0045】
一部の実施形態では、硬化組成物のUL94垂直燃焼試験グレードは、厚みが6.4mmのサンプルでV−0あるいはV−1であり、具体的にはV−0であり、破断引張応力は、ASTM D638に準拠して温度23℃で測定して少なくとも5MPaであり、具体的には10〜25MPaであり、曲げ弾性率は、ASTM D790に準拠して温度23℃で測定して10〜5,000MPaであり、具体的には50〜1,000MPa、より具体的には50〜500MPaである。
【0046】
一部の実施形態では、公称断面積が0.205mmのAWG24導線と、熱可塑性組成物を含み公称外径が2mmのチューブ状被覆と、から構成される被覆線試験サンプルの破断引張応力は、UL1581、セクション470に準拠して温度23℃で測定して少なくとも10MPaであり、具体的には10〜30MPaであり、破断伸び率は、同規格に準拠して同温度で測定して少なくとも100%であり、具体的には100〜250MPaであり、UL1581、セクション1080に準拠した燃焼試験グレードに合格する。
【0047】
硬化組成物の一部の実施形態では、ポリ(アリーレンエーテル)は、25℃のクロロホルム中で測定した固有粘度が0.3〜0.6dL/gのポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)であり、未硬化組成物は30〜40質量パーセントの該ポリ(アリーレンエーテル)を含み、熱可塑性ポリオレフィンは、高密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレンまたはそれらの混合物であり、未硬化組成物は30〜40質量パーセントの該熱可塑性ポリオレフィンを含み、耐衝撃性改良剤は、重量平均分子量が15,000〜50,000原子質量単位の、具体的には20,000〜40,000原子質量単位の、より具体的には25,000〜35,000原子質量単位のポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体であり、未硬化組成物は8〜17質量パーセントの該耐衝撃性改良剤を含み、相溶化剤は、トリブロック共重合体の全重量に対して、ポリスチレン含量が35〜70質量パーセントのポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体であり、該未硬化組成物は3〜8質量パーセントの該相溶化剤を含み、該硬化組成物はハロゲンフリーである。
【0048】
ある実施形態は、20〜55質量パーセントのポリ(アリーレンエーテル)と、20〜50質量パーセントの熱可塑性ポリオレフィンと、2〜20質量パーセントの、ポリ(アリーレンエーテル)と熱可塑性ポリオレフィンとの相溶化剤と、を含む未硬化組成物を5〜5,000メガラドの電子線照射により硬化させて得られた生成物を含む硬化組成物であって、すべての質量パーセントは、違った基準が明記されていない限り、未硬化組成物の全重量に対するものであり、未硬化組成物は臭素化材料を含まず、未硬化組成物は重合化可能なアクリルモノマーとアリルモノマーは含まず、硬化組成物は、ISO6722、セクション10に準拠したクラスA、BまたはCの短期および長期熱劣化試験に合格し、硬化組成物は、LV112−1の媒体グループIまたは媒体グループIIに規定された流体媒体を少なくとも1つ用いるLV112、セクション8.8.1に準拠した耐薬品性試験に合格することを特徴とする硬化組成物である。
【0049】
硬化組成物は、押出成形による物品製造での利用に好適である。したがって、ある実施形態は、20〜55質量パーセントのポリ(アリーレンエーテル)と、20〜50質量パーセントの熱可塑性ポリオレフィンと、2〜10質量パーセントの、ポリ(アリーレンエーテル)と熱可塑性ポリオレフィンとの相溶化剤と、を含む未硬化組成物であって、すべての質量パーセントは、違った基準が明記されていない限り、未硬化組成物の全重量に対するものであり、未硬化組成物は臭素化材料を含まず、未硬化組成物は重合化可能なアクリルモノマーとアリルモノマーは含まないことを特徴とする未硬化組成物を押出成形するステップと、未硬化組成物を5〜5,000メガラドの電子線照射により硬化させて硬化組成物を形成するステップであって、硬化組成物は、ISO6722、セクション10に準拠したクラスA、BまたはCの短期および長期熱劣化試験に合格し、硬化組成物は、LV112−1の媒体グループIまたは媒体グループIIに規定された流体媒体を少なくとも1つ用いるLV112、セクション8.8.1に準拠した耐薬品性試験に合格するステップと、を備える方法による生成物を含む押出成形物品である。
【0050】
硬化組成物は、ワイヤーやケーブルの絶縁体の製造での利用に特に好適である。被覆線の製造方法は当分野では既知であり、例えば、Mhetarらの米国特許出願公報第2006/0131052A1号に記載されている。したがって、ある実施形態は、導線と、導線上に配置された被覆と、を備え、被覆は、20〜55質量パーセントのポリ(アリーレンエーテル)と、20〜50質量パーセントの熱可塑性ポリオレフィンと、2〜10質量パーセントの、ポリ(アリーレンエーテル)と熱可塑性ポリオレフィンとの相溶化剤と、を含む未硬化組成物であって、すべての質量パーセントは、違った基準が明記されていない限り、未硬化組成物の全重量に対するものであり、未硬化組成物は臭素化材料を含まず、未硬化組成物は重合化可能なアクリルモノマーとアリルモノマーは含まないことを特徴とする未硬化組成物を5〜5,000メガラドの電子線照射により硬化させて得られた生成物である硬化組成物であって、硬化組成物は、ISO6722、セクション10に準拠したクラスA、BまたはCの短期および長期熱劣化試験に合格し、硬化組成物は、LV112−1の媒体グループIまたは媒体グループIIに規定された流体媒体を少なくとも1つ用いるLV112、セクション8.8.1に準拠した耐薬品性試験に合格することを特徴とする硬化組成物を含むことを特徴とする被覆線である。特許請求された被覆線の構成や寸法は、特性値が明記された被覆線試験サンプルでのそれらに限定されるものではないことは理解されるであろう。例えば、該被覆線は、AWG35〜AWG10用のUL1581、セクション20表20.1に明記された寸法の導線を有することができる。別の例として、該導線上に配置された被覆の厚みは0.2〜1mmである。用語「被覆線」には、所謂リボンーケーブルを含む複数ストランドも包含される。
【0051】
電子線照射によって未硬化組成物の耐薬品性は実質的に向上する。したがって、ある実施形態は、未硬化ポリ(アリーレンエーテル)組成物を5〜5,000メガラドの電子線照射により硬化させて硬化ポリ(アリーレンエーテル)組成物を形成するステップであって、未硬化ポリ(アリーレンエーテル)組成物は、20〜55質量パーセントのポリ(アリーレンエーテル)と、20〜50質量パーセントの熱可塑性ポリオレフィンと、2〜10質量パーセントの、ポリ(アリーレンエーテル)と熱可塑性ポリオレフィンとの相溶化剤と、を含み、すべての質量パーセントは、違った基準が明記されていない限り、未硬化組成物の全重量に対するものであり、未硬化組成物は臭素化材料を含まず、未硬化組成物は重合化可能なアクリルモノマーとアリルモノマーは含まず、硬化組成物は、ISO6722、セクション10に準拠したクラスA、BまたはCの短期および長期熱劣化試験に合格し、硬化組成物は、LV112−1の媒体グループIまたは媒体グループIIに規定された流体媒体を少なくとも1つ用いるLV112、セクション8.8.1に準拠した耐薬品性試験に合格することを特徴とするステップを備えるポリ(アリーレンエーテル)組成物の耐薬品性向上方法である。
【0052】
本発明は少なくとも以下の実施形態を含んでいる。
【0053】
(実施形態1)
20〜55質量パーセントのポリ(アリーレンエーテル)と、20〜50質量パーセントの熱可塑性ポリオレフィンと、2〜10質量パーセントの、ポリ(アリーレンエーテル)と熱可塑性ポリオレフィンとの相溶化剤と、を含む未硬化組成物を5〜5,000メガラドの電子線照射により硬化させて得られた生成物を含む硬化組成物であって、すべての質量パーセントは、違った基準が明記されていない限り、未硬化組成物の全重量に対するものであり、未硬化組成物は臭素化材料を含まず、未硬化組成物は重合化可能なアクリルモノマーとアリルモノマーは含まず、硬化組成物は、ISO6722、セクション10に準拠したクラスA、BまたはCの短期および長期熱劣化試験に合格し、硬化組成物は、LV112−1の媒体グループIまたは媒体グループIIに規定された流体媒体を少なくとも1つ用いるLV112、セクション8.8.1に準拠した耐薬品性試験に合格することを特徴とする硬化組成物。
【0054】
(実施形態2)
熱可塑性ポリオレフィンを含む連続相と、ポリ(アリーレンエーテル)を含む分散相と、を含むことを特徴とする実施形態1の硬化組成物。
【0055】
(実施形態3)
相溶化剤は、トリブロック共重合体の全重量に対して、ポリスチレン含量が35〜80質量パーセントのポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体であることを特徴とする実施形態1または2の硬化組成物。
【0056】
(実施形態4)
相溶化剤は、トリブロック共重合体の全重量に対して、ポリスチレン含量が35〜65質量パーセントのポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン−スチレン)ポリスチレントリブロック共重合体であることを特徴とする実施形態1または2の硬化組成物。
【0057】
(実施形態5)
未硬化組成物はさらに、5〜20質量パーセントの耐衝撃性改良剤を含むことを特徴とする実施形態1乃至4のいずれかの硬化組成物。
【0058】
(実施形態6)
耐衝撃性改良剤はエチレン−プロピレン−ジエンゴムを含むことを特徴とする実施形態5の硬化組成物。
【0059】
(実施形態7)
耐衝撃性改良剤は、無水マレイン酸グラフト化ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体とポリエチレンイミンとの反応生成物を含むことを特徴とする実施形態5の硬化組成物。
【0060】
(実施形態8)
耐衝撃性改良剤はエチレン−αオレフィン共重合体を含むことを特徴とする実施形態5の硬化組成物。
【0061】
(実施形態9)
硬化組成物はハロゲンフリーであることを特徴とする実施形態1乃至8のいずれかの硬化組成物。
【0062】
(実施形態10)
ポリ(アリーレンエーテル)は、25℃のクロロホルム中で測定した固有粘度が0.3〜0.6dL/gのポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)であり、未硬化組成物は30〜40質量パーセントのポリ(アリーレンエーテル)を含み、熱可塑性ポリオレフィンは、高密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレンまたはそれらの混合物であり、未硬化組成物は30〜40質量パーセントの熱可塑性ポリオレフィンを含み、未硬化組成物はさらに、重量平均分子量が15,000〜50,000原子質量単位の、ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体を含む耐衝撃性改良剤を含み、未硬化組成物は8〜17質量パーセントの耐衝撃性改良剤を含み、相溶化剤は、トリブロック共重合体の全重量に対して、ポリスチレン含量が35〜70質量パーセントのポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体であり、未硬化組成物は3〜8質量パーセントの相溶化剤を含み、硬化組成物はハロゲンフリーであることを特徴とする実施形態1の硬化組成物。
【0063】
(実施形態11)
20〜55質量パーセントのポリ(アリーレンエーテル)と、20〜50質量パーセントの熱可塑性ポリオレフィンと、2〜10質量パーセントの、ポリ(アリーレンエーテル)と熱可塑性ポリオレフィンとの相溶化剤と、を含む未硬化組成物であって、すべての質量パーセントは、違った基準が明記されていない限り、未硬化組成物の全重量に対するものであり、未硬化組成物は臭素化材料を含まず、未硬化組成物は重合化可能なアクリルモノマーとアリルモノマーは含まないことを特徴とする未硬化組成物を押出成形するステップと、未硬化組成物を5〜5,000メガラドの電子線照射により硬化させて硬化組成物を形成するステップであって、硬化組成物は、ISO6722、セクション10に準拠したクラスA、BまたはCの短期および長期熱劣化試験に合格し、硬化組成物は、LV112−1の媒体グループIまたは媒体グループIIに規定された流体媒体を少なくとも1つ用いるLV112、セクション8.8.1に準拠した耐薬品性試験に合格するステップと、を備える方法による生成物を含むことを特徴とする押出成形物品。
【0064】
(実施形態12)
硬化組成物は、熱可塑性ポリオレフィンを含む連続相と、ポリ(アリーレンエーテル)を含む分散相と、を含むことを特徴とする実施形態11の押出成形物品。
【0065】
(実施形態13)
相溶化剤は、トリブロック共重合体の全重量に対して、ポリスチレン含量が35〜80質量パーセントのポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体であることを特徴とする実施形態11または12の押出成形物品。
【0066】
(実施形態14)
相溶化剤は、トリブロック共重合体の全重量に対して、ポリスチレン含量が35〜65質量パーセントのポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン−スチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体であることを特徴とする実施形態11または12の押出成形物品。
【0067】
(実施形態15)
未硬化組成物はさらに、5〜20質量パーセントの耐衝撃性改良剤を含むことを特徴とする実施形態11乃至14のいずれかの押出成形物品。
【0068】
(実施形態16)
耐衝撃性改良剤はエチレン−プロピレン−ジエンゴムを含むことを特徴とする実施形態15の押出成形物品。
【0069】
(実施形態17)
耐衝撃性改良剤は、無水マレイン酸グラフト化ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体とポリエチレンイミンとの反応生成物を含むことを特徴とする実施形態15の押出成形物品。
【0070】
(実施形態18)
耐衝撃性改良剤はエチレン−αオレフィン共重合体を含むことを特徴とする実施形態15の押出成形物品。
【0071】
(実施形態19)
硬化組成物はハロゲンフリーであることを特徴とする実施形態11乃至18のいずれかの押出成形物品。
【0072】
(実施形態20)
ポリ(アリーレンエーテル)は、25℃のクロロホルム中で測定した固有粘度が0.3〜0.6dL/gのポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)であり、未硬化組成物は30〜40質量パーセントのポリ(アリーレンエーテル)を含み、熱可塑性ポリオレフィンは、高密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレンまたはそれらの混合物であり、未硬化組成物は30〜40質量パーセントの熱可塑性ポリオレフィンを含み、未硬化組成物はさらに、重量平均分子量が15,000〜50,000原子質量単位の、ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体を含む耐衝撃性改良剤を含み、未硬化組成物は、8〜17質量パーセントの耐衝撃性改良剤を含み、相溶化剤は、トリブロック共重合体の全重量に対して、ポリスチレン含量が35〜70質量パーセントのポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体であり、未硬化組成物は3〜8質量パーセントの相溶化剤を含み、硬化組成物はハロゲンフリーであることを特徴とする実施形態11の押出成形物品。
【0073】
(実施形態21)
導線と、導線上に配置された被覆と、を備え、被覆は、20〜55質量パーセントのポリ(アリーレンエーテル)と、20〜50質量パーセントの熱可塑性ポリオレフィンと、2〜10質量パーセントの、ポリ(アリーレンエーテル)と熱可塑性ポリオレフィンとの相溶化剤と、を含む未硬化組成物であって、すべての質量パーセントは、違った基準が明記されていない限り、未硬化組成物の全重量に対するものであり、未硬化組成物は臭素化材料を含まず、未硬化組成物は重合化可能なアクリルモノマーとアリルモノマーは含まないことを特徴とする未硬化組成物を5〜5,000メガラドの電子線照射により硬化させて得られた生成物である硬化組成物であって、硬化組成物は、ISO6722、セクション10に準拠したクラスA、BまたはCの短期および長期熱劣化試験に合格し、硬化組成物は、LV112−1の媒体グループIまたは媒体グループIIに規定された流体媒体を少なくとも1つ用いるLV112、セクション8.8.1に準拠した耐薬品性試験に合格する硬化組成物を含むことを特徴とする被覆線。
【0074】
(実施形態22)
硬化組成物は、熱可塑性ポリオレフィンを含む連続相と、ポリ(アリーレンエーテル)を含む分散相と、を含むことを特徴とする実施形態21の被覆線。
【0075】
(実施形態23)
相溶化剤は、トリブロック共重合体の全重量に対して、ポリスチレン含量が35〜80質量パーセントのポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体であることを特徴とする実施形態21または22の被覆線。
【0076】
(実施形態24)
相溶化剤は、トリブロック共重合体の全重量に対して、ポリスチレン含量が35〜65質量パーセントのポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン−スチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体であることを特徴とする実施形態21または22の被覆線。
【0077】
(実施形態25)
未硬化組成物はさらに、5〜20質量パーセントの耐衝撃性改良剤を含むことを特徴とする実施形態21乃至24のいずれかの被覆線。
【0078】
(実施形態26)
耐衝撃性改良剤はエチレン−プロピレン−ジエンゴムを含むことを特徴とする実施形態25の被覆線。
【0079】
(実施形態27)
耐衝撃性改良剤は、無水マレイン酸グラフト化ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体を含むことを特徴とする実施形態25の被覆線。
【0080】
(実施形態28)
耐衝撃性改良剤は、エチレン−αオレフィン共重合体を含むことを特徴とする実施形態25の被覆線。
【0081】
(実施形態29)
硬化組成物はハロゲンフリーであることを特徴とする実施形態21乃至28のいずれかの被覆線。
【0082】
(実施形態30)
ポリ(アリーレンエーテル)は、25℃のクロロホルム中で測定した固有粘度が0.3〜0.6dL/gのポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)であり、未硬化組成物は30〜40質量パーセントのポリ(アリーレンエーテル)を含み、熱可塑性ポリオレフィンは、高密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレンまたはそれらの混合物であり、未硬化組成物は30〜40質量パーセントの熱可塑性ポリオレフィンを含み、未硬化組成物はさらに、重量平均分子量が15,000〜50,000原子質量単位の、ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体を含む耐衝撃性改良剤を含み、未硬化組成物は、8〜17質量パーセントの耐衝撃性改良剤を含み、相溶化剤は、トリブロック共重合体の全重量に対して、ポリスチレン含量が35〜70質量パーセントのポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体であり、未硬化組成物は3〜8質量パーセントの相溶化剤を含み、硬化組成物はハロゲンフリーであることを特徴とする実施形態21の被覆線。
【0083】
(実施形態31)
未硬化ポリ(アリーレンエーテル)組成物を5〜5,000メガラドの電子線照射により硬化させて硬化ポリ(アリーレンエーテル)組成物を形成するステップであって、未硬化ポリ(アリーレンエーテル)組成物は、20〜55質量パーセントのポリ(アリーレンエーテル)と、20〜50質量パーセントの熱可塑性ポリオレフィンと、2〜10質量パーセントの、ポリ(アリーレンエーテル)と熱可塑性ポリオレフィンとの相溶化剤と、を含み、すべての質量パーセントは、違った基準が明記されていない限り、未硬化組成物の全重量に対するものであり、未硬化組成物は臭素化材料を含まず、未硬化組成物は重合化可能なアクリルモノマーとアリルモノマーは含まず、硬化組成物は、ISO6722、セクション10に準拠したクラスA、BまたはCの短期および長期熱劣化試験に合格し、硬化組成物は、LV112−1の媒体グループIまたは媒体グループIIに規定された流体媒体を少なくとも1つ用いるLV112、セクション8.8.1に準拠した耐薬品性試験に合格することを特徴とするステップを備えるポリ(アリーレンエーテル)組成物の耐薬品性向上方法。
【0084】
(実施形態32)
硬化組成物は、熱可塑性ポリオレフィンを含む連続相と、ポリ(アリーレンエーテル)を含む分散相と、を含むことを特徴とする実施形態31の方法。
【0085】
(実施形態33)
相溶化剤は、トリブロック共重合体の全重量に対して、ポリスチレン含量が35〜80質量パーセントのポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体であることを特徴とする実施形態31または32の方法。
【0086】
(実施形態34)
相溶化剤は、トリブロック共重合体の全重量に対して、ポリスチレン含量が35〜65質量パーセントのポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン−スチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体であることを特徴とする実施形態31または32の方法。
【0087】
(実施形態35)
未硬化組成物はさらに、5〜20質量パーセントの耐衝撃性改良剤を含むことを特徴とする実施形態31乃至34のいずれかの方法。
【0088】
(実施形態36)
耐衝撃性改良剤は、エチレン−プロピレン−ジエンゴムを含むことを特徴とする実施形態35の方法。
【0089】
(実施形態37)
耐衝撃性改良剤は、無水マレイン酸グラフト化ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)ポリスチレントリブロック共重合体であることを特徴とする実施形態35の方法。
【0090】
(実施形態38)
耐衝撃性改良剤はエチレン−αオレフィン共重合体を含むことを特徴とする実施形態35の方法。
【0091】
(実施形態39)
硬化組成物はハロゲンフリーであることを特徴とする実施形態31乃至38のいずれかの方法。
【0092】
(実施形態40)
ポリ(アリーレンエーテル)は、25℃のクロロホルム中で測定した固有粘度が0.3〜0.6dL/gのポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)であり、未硬化組成物は30〜40質量パーセントのポリ(アリーレンエーテル)を含み、熱可塑性ポリオレフィンは、高密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレンまたはそれらの混合物であり、未硬化組成物は30〜40質量パーセントの熱可塑性ポリオレフィンを含み、未硬化組成物はさらに、重量平均分子量が15,000〜50,000原子質量単位の、ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体を含む耐衝撃性改良剤を含み、未硬化組成物は、8〜17質量パーセントの耐衝撃性改良剤を含み、相溶化剤は、トリブロック共重合体の全重量に対して、ポリスチレン含量が35〜70質量パーセントのポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体であり、未硬化組成物は3〜8質量パーセントの相溶化剤を含み、硬化組成物はハロゲンフリーであることを特徴とする実施形態31の方法。
【0093】
(実施形態41)
20〜55質量パーセントのポリ(アリーレンエーテル)と、20〜50質量パーセントの熱可塑性ポリオレフィンと、2〜20質量パーセントの、ポリ(アリーレンエーテル)と熱可塑性ポリオレフィンとの相溶化剤と、を含む未硬化組成物を5〜5,000メガラドの電子線照射により硬化させて得られた生成物を含む硬化組成物であって、すべての質量パーセントは、違った基準が明記されていない限り、未硬化組成物の全重量に対するものであり、未硬化組成物は臭素化材料を含まず、未硬化組成物は重合化可能なアクリルモノマーとアリルモノマーは含まず、硬化組成物は、ISO6722、セクション10に準拠したクラスA、BまたはCの短期および長期熱劣化試験に合格し、硬化組成物は、LV112−1の媒体グループIまたは媒体グループIIに規定された流体媒体を少なくとも1つ用いるLV112、セクション8.8.1に準拠した耐薬品性試験に合格することを特徴とする硬化組成物。
【0094】
本発明についてさらに以下の制限しない実施例で説明する。
【0095】
(実施例1〜90)
溶融混合した(未硬化の)熱可塑性組成物の製造に用いた成分を表1に示す。
【0096】
【表1】

【0097】
具体的な組成物を表3に列挙しており、それらの成分量は重量部で表わしている。組成物を、12ゾーンを有する内径37mmの2軸スクリュ押出機で混合する。スクリュ回転速度450rpm、ゾーン1の温度225℃、ゾーン2〜12の温度245℃、口金温度255℃の条件で該押出機を操作する。液体リン酸トリアリール難燃剤を除くすべての成分を投入口に供給し、該リン酸トリアリールはゾーン2から射出により添加する。
【0098】
被覆試験サンプルを表2の押出被覆パラメータを用いて調製する。
【0099】
【表2】

【0100】
電子線架橋に好適な装置は、Advanced Electron Beam社から販売されているApplication Development装置である。電子は約80〜約150kVで加速される。
【0101】
ドイツ自動車メーカ協会が開発したドイツ基準LV112に準拠して各混合物の耐薬品性を求める。具体的には、LV112−1の媒体グループIまたは媒体グループIIに規定された流体媒体を少なくとも1つ用いるLV112(2005〜2006年度版)、セクション8.8.1の「ISO6722の耐薬品性」に準拠して、各成分の耐薬品性を求める。
【0102】
(実施例91〜94)
これらの実施例はさらに、硬化組成物の向上した特性を示している。上記の手順を用い、表4に記載した成分と量を用いて組成物を調製した。SEBS−MAを除く該成分は表1に示されており、これらの実験におけるSEBS−MAは、旭化成ケミカルズ社からTUFTEC H1051として入手した100重量部のポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレン共重合体と3重量部の無水マレイン酸とを溶融押出により調製し、該押出生成物の分析から、約1.6〜2.0質量パーセントのポリ(無水マレイン酸)グラフトが組み込まれた無水マレイン酸官能化ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレンであることがわかった。
【0103】
【表3−1】

【0104】
【表3−2】

【0105】
【表3−3】

【0106】
【表3−4】

【0107】
【表3−5】

【0108】
【表3−6】

【0109】
【表3−7】

【0110】
【表3−8】

【0111】
【表3−9】

【0112】
組成物の粘度と射出成形部品の物性を表4に示す。ASTM D1238−04cに準拠して温度280度、負荷5kgの条件で、溶解体積流量(MVR)値を求めた。曲げ弾性率および曲げ応力は、ASTM D790−07に準拠して温度23℃で求めた。ショアD硬度はASTM D2240−05に準拠して温度23℃で求めた。熱変形温度は、ASTM D648−07に準拠して負荷1.82MPaの条件で求めた。ノッチ付アイゾッド衝撃強度は、ASTM D256−06aに準拠して温度23℃で求めた。弾性率、降伏点引張応力、破断引張応力および破断伸び率は、ASTM D638−08に準拠して温度23℃で求めた。
【0113】
【表4】

【0114】
電子線量の関数としての射出成形部品の物性を表5に示す。これらの結果は、電子線照射による硬化で、組成物の耐溶剤性以外の物性はわずかな影響しか受けないが、耐溶媒性は著しく向上することを示している。ビカット軟化温度はASTM D1525−07に準拠して求めた。耐溶媒性の基準である「キシレン不溶性」は、射出成形部品をソックスレー抽出器内で24時間キシレン還流を行って求めた。ここでのそれぞれの値は、抽出後に不溶の初期成形部品の質量パーセントであり、この値が高ければ高いほど耐溶剤性が高いことを意味する。
【0115】
【表5】

【0116】
電子線量の関数としての押出ワイヤー絶縁体の物性を表6に示す。これらの結果は、電子線照射による硬化で、該ワイヤー絶縁体の伸び率はわずかな影響しか受けないが、耐摩耗性および難燃性は著しく向上することを示している。伸び率は、断面積が0.5mmで表に示した壁厚のワイヤー絶縁体を用い、UL1581、セクション470に準拠して温度23℃で求めた。耐摩耗性は、摩耗力7N、摩耗速度55サイクル/分とし、ISO6722に準拠して温度23℃で求めた。表6の耐摩耗性値は、(暴露ワイヤーの)不合格に至るまでの摩耗サイクル数である。難燃性試験はISO6722、セクション12に準拠して行った。
【0117】
【表6】

【0118】
電子線量の関数としての押出ワイヤー絶縁体の劣化特性を表7に示す。これらの結果は、電子線照射による硬化で、該組成物の耐劣化性能が向上することを示している。劣化特性は、媒体として「潤滑剤グリース」(「潤滑剤グリース」はLV−112−1媒体グループIに明記された媒体の1つである)を用いて、LV112「車両用電気ケーブル:シールドなしの単一芯」、セクション8.6.6に準拠して求めた。表7の「20mm」、「10mm」および「2mm」は、mmで表したマンドレルの直径を示す。同表の数値は試験に合格したサンプルの数である。例えば、「3/3」は、3サンプルを試験して3つが合格したことを示している。
【0119】
【表7】


【0120】
本明細書では実施例を用いて最良の実施形態を含めて本発明を開示しており、当業者によって本発明をなし使用することを可能にしている。本発明の特許範囲は請求項によって定義され、当業者がもたらすその他の実施例も包含し得る。こうしたその他の実施例は、請求項の文字どおりの解釈と違わない構成要素を有する場合、あるいは請求項の文字どおりの解釈とごくわずかな違いしかない等価な構成要素を含んでいる場合には、請求項の範囲内であると意図される。
【0121】
引用された特許、特許出願および他の参考文献はすべて、参照により本明細書に援用される。しかしながら、本出願中の用語が援用された参考文献の用語と矛盾するか対立する場合、本出願の用語が援用された参考文献の矛盾する用語に優先する。
【0122】
本明細書で開示された範囲はすべて、終点を含むものであり、該終点は互いに独立に組み合わせできる。
【0123】
本発明の記述文脈(特に以下の請求項の文脈)における単数表現は、本明細書で別途明示がある場合または文脈上明らかに矛盾する場合を除き、単数および複数を含むものと解釈される。また、本明細書で用いられる、「第1の」「第2の」などの用語は、いかなる順序や量あるいは重要度を表すものではなく、ある成分と他の成分とを区別するために用いるものである。量に関連して用いられる修飾語「約」は、述べられた数値を含んでおり、文脈で指図された意味(例えば、特定の量の測定に付随する誤差の程度を含むなど)を有している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
20〜55質量パーセントのポリ(アリーレンエーテル)と、
20〜50質量パーセントの熱可塑性ポリオレフィンと、
2〜10質量パーセントの、前記ポリ(アリーレンエーテル)と前記熱可塑性ポリオレフィンとの相溶化剤と、を含む未硬化組成物を5〜5,000メガラドの電子線照射により硬化させて得られた生成物を含む硬化組成物であって(すべての質量パーセントは、違った基準が明記されていない限り、前記未硬化組成物の全重量に対するものである)、
前記未硬化組成物は臭素化材料を含まず、
前記未硬化組成物は重合化可能なアクリルモノマーとアリルモノマーを含まず、
前記硬化組成物は、ISO6722、セクション10に準拠したクラスA、BまたはCの短期および長期熱劣化試験に合格し、
前記硬化組成物は、LV112−1の媒体グループIまたは媒体グループIIに規定された流体媒体を少なくとも1つ用いるLV112、セクション8.8.1に準拠した耐薬品性試験に合格することを特徴とする硬化組成物。
【請求項2】
前記熱可塑性ポリオレフィンを含む連続相と、
前記ポリ(アリーレンエーテル)を含む分散相と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の硬化組成物。
【請求項3】
前記相溶化剤は、トリブロック共重合体の全重量に対して、ポリスチレン含量が35〜80質量パーセントのポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体であることを特徴とする請求項1または2に記載の硬化組成物。
【請求項4】
前記相溶化剤は、トリブロック共重合体の全重量に対して、ポリスチレン含量が35〜65質量パーセントのポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン−スチレン)ポリスチレントリブロック共重合体であることを特徴とする請求項1または2に記載の硬化組成物。
【請求項5】
前記未硬化組成物は、5〜20質量パーセントの耐衝撃性改良剤をさらに含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の硬化組成物。
【請求項6】
前記耐衝撃性改良剤は、エチレン−プロピレン−ジエンゴムを含むことを特徴とする請求項5に記載の硬化組成物。
【請求項7】
前記耐衝撃性改良剤は、無水マレイン酸グラフト化ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体とポリエチレンイミンとの反応生成物を含むことを特徴とする請求項5に記載の硬化組成物。
【請求項8】
前記耐衝撃性改良剤は、エチレン−αオレフィン共重合体を含むことを特徴とする請求項5に記載の硬化組成物。
【請求項9】
前記硬化組成物は、ハロゲンフリーであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の硬化組成物。
【請求項10】
ポリ(アリーレンエーテル)は、25℃のクロロホルム中で測定した固有粘度が0.3〜0.6dL/gのポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)であり、
未硬化組成物は30〜40質量パーセントのポリ(アリーレンエーテル)を含み、
熱可塑性ポリオレフィンは、高密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレンまたはそれらの混合物であり、
前記未硬化組成物は30〜40質量パーセントの前記熱可塑性ポリオレフィンを含み、
前記未硬化組成物は重量平均分子量が15,000〜50,000原子質量単位のポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体を含む耐衝撃性改良剤をさらに含み、
前記未硬化組成物は8〜17質量パーセントの前記耐衝撃性改良剤を含み、
相溶化剤は前記トリブロック共重合体の全重量に対して、ポリスチレン含量が35〜70質量パーセントのポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体であり、
前記未硬化組成物は3〜8質量パーセントの前記相溶化剤を含み、
前記硬化組成物はハロゲンフリーであることを特徴とする請求項1の硬化組成物。
【請求項11】
20〜55質量パーセントのポリ(アリーレンエーテル)と、
20〜50質量パーセントの熱可塑性ポリオレフィンと、
2〜10質量パーセントの、前記ポリ(アリーレンエーテル)と前記熱可塑性ポリオレフィンとの相溶化剤と、を含み(すべての質量パーセントは、違った基準が明記されていない限り、未硬化組成物の全重量に対するものである)、
臭素化材料を含まず、
重合化可能なアクリルモノマーとアリルモノマーを含まないことを特徴とする未硬化組成物を押出成形するステップと、
前記未硬化組成物を5〜5,000メガラドの電子線照射により硬化させて硬化組成物を形成するステップであって、
前記硬化組成物は、ISO6722、セクション10に準拠したクラスA、BまたはCの短期および長期熱劣化試験に合格し、
前記硬化組成物は、LV112−1の媒体グループIまたは媒体グループIIに規定された流体媒体を少なくとも1つ用いるLV112、セクション8.8.1に準拠した耐薬品性試験に合格するステップと、を備える方法による生成物を含むことを特徴とする押出成形物品。
【請求項12】
前記硬化組成物は、熱可塑性ポリオレフィンを含む連続相と、
前記ポリ(アリーレンエーテル)を含む分散相と、を含むことを特徴とする請求項11に記載の押出成形物品。
【請求項13】
前記相溶化剤は、トリブロック共重合体の全重量に対して、ポリスチレン含量が35〜80質量パーセントのポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体であることを特徴とする請求項11または12に記載の押出成形物品。
【請求項14】
前記相溶化剤は、トリブロック共重合体の全重量に対して、ポリスチレン含量が35〜65質量パーセントのポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン−スチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体であることを特徴とする請求項11または12に記載の押出成形物品。
【請求項15】
前記未硬化組成物は、5〜20質量パーセントの耐衝撃性改良剤をさらに含むことを特徴とする請求項11〜14のいずれかに記載の押出成形物品。
【請求項16】
前記耐衝撃性改良剤は、エチレン−プロピレン−ジエンゴムを含むことを特徴とする請求項15に記載の押出成形物品。
【請求項17】
前記耐衝撃性改良剤は、無水マレイン酸グラフト化ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体とポリエチレンイミンとの反応生成物を含むことを特徴とする請求項15に記載の押出成形物品。
【請求項18】
前記耐衝撃性改良剤は、エチレン−αオレフィン共重合体を含むことを特徴とする請求項15に記載の押出成形物品。
【請求項19】
前記硬化組成物は、ハロゲンフリーであることを特徴とする請求項11〜18のいずれかに記載の押出成形物品。
【請求項20】
前記ポリ(アリーレンエーテル)は、25℃のクロロホルム中で測定した固有粘度が0.3〜0.6dL/gのポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)であり、
前記未硬化組成物は30〜40質量パーセントの前記ポリ(アリーレンエーテル)を含み、
前記熱可塑性ポリオレフィンは、高密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレンまたはそれらの混合物であり、
前記未硬化組成物は30〜40質量パーセントの前記熱可塑性ポリオレフィンを含み、
前記未硬化組成物は、重量平均分子量が15,000〜50,000原子質量単位のポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体を含む耐衝撃性改良剤をさらに含み、
前記未硬化組成物は8〜17質量パーセントの前記耐衝撃性改良剤を含み、
前記相溶化剤は、前記トリブロック共重合体の全重量に対して、ポリスチレン含量が35〜70質量パーセントのポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体であり、
前記未硬化組成物は3〜8質量パーセントの前記相溶化剤を含み、
前記硬化組成物はハロゲンフリーであることを特徴とする請求項11に記載の押出成形物品。
【請求項21】
導線と、
前記導線上に配置された被覆と、を備え、
前記被覆は、20〜55質量パーセントのポリ(アリーレンエーテル)と、
20〜50質量パーセントの熱可塑性ポリオレフィンと、
2〜10質量パーセントの、前記ポリ(アリーレンエーテル)と前記熱可塑性ポリオレフィンとの相溶化剤と、を含む未硬化組成物を、5〜5,000メガラドの電子線照射により硬化させて得られた生成物である硬化組成物を含み(すべての質量パーセントは、違った基準が明記されていない限り、前記未硬化組成物の全重量に対するものである)、
前記未硬化組成物は臭素化材料を含まず、
前記未硬化組成物は重合化可能なアクリルモノマーとアリルモノマーを含まず、
前記硬化組成物は、ISO6722、セクション10に準拠したクラスA、BまたはCの短期および長期熱劣化試験に合格し、
前記硬化組成物は、LV112−1の媒体グループIまたは媒体グループIIに規定された流体媒体を少なくとも1つ用いるLV112、セクション8.8.1に準拠した耐薬品性試験に合格する硬化組成物を含むことを特徴とする被覆線。
【請求項22】
前記硬化組成物は、
前記熱可塑性ポリオレフィンを含む連続相と、
前記ポリ(アリーレンエーテル)を含む分散相と、を含むことを特徴とする請求項21に記載の被覆線。
【請求項23】
前記相溶化剤は、トリブロック共重合体の全重量に対して、ポリスチレン含量が35〜80質量パーセントのポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体であることを特徴とする請求項21または22に記載の被覆線。
【請求項24】
前記相溶化剤は、トリブロック共重合体の全重量に対して、ポリスチレン含量が35〜65質量パーセントのポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン−スチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体であることを特徴とする請求項21または22に記載の被覆線。
【請求項25】
前記未硬化組成物は、5〜20質量パーセントの耐衝撃性改良剤をさらに含むことを特徴とする請求項21〜24のいずれかに記載の被覆線。
【請求項26】
前記耐衝撃性改良剤は、エチレン−プロピレン−ジエンゴムを含むことを特徴とする請求項25に記載の被覆線。
【請求項27】
前記耐衝撃性改良剤は、無水マレイン酸グラフト化ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体を含むことを特徴とする請求項25に記載の被覆線。
【請求項28】
前記耐衝撃性改良剤は、エチレン−αオレフィン共重合体を含むことを特徴とする請求項25に記載の被覆線。
【請求項29】
前記硬化組成物は、ハロゲンフリーであることを特徴とする請求項21〜28のいずれかに記載の被覆線。
【請求項30】
前記ポリ(アリーレンエーテル)は、25℃のクロロホルム中で測定した固有粘度が0.3〜0.6dL/gのポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)であり、
前記未硬化組成物は30〜40質量パーセントの前記ポリ(アリーレンエーテル)を含み、
前記熱可塑性ポリオレフィンは、高密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレンまたはそれらの混合物であり、
前記未硬化組成物は30〜40質量パーセントの前記熱可塑性ポリオレフィンを含み、
前記未硬化組成物は、重量平均分子量が15,000〜50,000原子質量単位の、ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体を含む耐衝撃性改良剤をさらに含み、
前記未硬化組成物は8〜17質量パーセントの前記耐衝撃性改良剤を含み、
前記相溶化剤は、前記トリブロック共重合体の全重量に対して、ポリスチレン含量が35〜70質量パーセントのポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体であり、
前記未硬化組成物は3〜8質量パーセントの前記相溶化剤を含み、
前記硬化組成物はハロゲンフリーであることを特徴とする請求項21に記載の被覆線。
【請求項31】
未硬化ポリ(アリーレンエーテル)組成物を5〜5,000メガラドの電子線照射により硬化させて硬化ポリ(アリーレンエーテル)組成物を形成するステップを含み、
前記未硬化ポリ(アリーレンエーテル)組成物は、
20〜55質量パーセントのポリ(アリーレンエーテル)と、
20〜50質量パーセントの熱可塑性ポリオレフィンと、
2〜10質量パーセントの、前記ポリ(アリーレンエーテル)と前記熱可塑性ポリオレフィンとの相溶化剤と、を含み(すべての質量パーセントは、違った基準が明記されていない限り、未硬化組成物の全重量に対するものである)、
前記未硬化組成物は臭素化材料を含まず、
前記未硬化組成物は重合化可能なアクリルモノマーとアリルモノマーを含まず、
前記硬化組成物は、ISO6722、セクション10に準拠したクラスA、BまたはCの短期および長期熱劣化試験に合格し、
前記硬化組成物は、LV112−1の媒体グループIまたは媒体グループIIに規定された流体媒体を少なくとも1つ用いるLV112、セクション8.8.1に準拠した耐薬品性試験に合格することを特徴とするポリ(アリーレンエーテル)組成物の耐薬品性を向上させるための方法。
【請求項32】
前記硬化組成物は、前記熱可塑性ポリオレフィンを含む連続相と、
前記ポリ(アリーレンエーテル)を含む分散相と、を含むことを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記相溶化剤は、トリブロック共重合体の全重量に対して、ポリスチレン含量が35〜80質量パーセントのポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体であることを特徴とする請求項31または32に記載の方法。
【請求項34】
前記相溶化剤は、トリブロック共重合体の全重量に対して、ポリスチレン含量が35〜65質量パーセントのポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン−スチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体であることを特徴とする請求項31または32に記載の方法。
【請求項35】
前記未硬化組成物は、5〜20質量パーセントの耐衝撃性改良剤をさらに含むことを特徴とする請求項31〜34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
前記耐衝撃性改良剤は、エチレン−プロピレン−ジエンゴムを含むことを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記耐衝撃性改良剤は、無水マレイン酸グラフト化ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)ポリスチレントリブロック共重合体であることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記耐衝撃性改良剤は、エチレン−αオレフィン共重合体を含むことを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記硬化組成物は、ハロゲンフリーであることを特徴とする請求項31〜38のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
前記ポリ(アリーレンエーテル)は、25℃のクロロホルム中で測定した固有粘度が0.3〜0.6dL/gのポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)であり、
前記未硬化組成物は30〜40質量パーセントの前記ポリ(アリーレンエーテル)を含み、
前記熱可塑性ポリオレフィンは、高密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレンまたはそれらの混合物であり、
前記未硬化組成物は30〜40質量パーセントの前記熱可塑性ポリオレフィンを含み、
前記未硬化組成物は、重量平均分子量が15,000〜50,000原子質量単位のポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体を含む耐衝撃性改良剤をさらに含み、
前記未硬化組成物は8〜17質量パーセントの前記耐衝撃性改良剤を含み、
前記相溶化剤は、前記トリブロック共重合体の全重量に対して、ポリスチレン含量が35〜70質量パーセントのポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレントリブロック共重合体であり、
前記未硬化組成物は3〜8質量パーセントの前記相溶化剤を含み、
前記硬化組成物はハロゲンフリーであることを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項41】
20〜55質量パーセントのポリ(アリーレンエーテル)と、
20〜50質量パーセントの熱可塑性ポリオレフィンと、
2〜20質量パーセントの、前記ポリ(アリーレンエーテル)と前記熱可塑性ポリオレフィンとの相溶化剤と、を含む未硬化組成物を、5〜5,000メガラドの電子線照射することにより硬化させて得られた生成物を含む硬化組成物であって(すべての質量パーセントは、違った基準が明記されていない限り、前記未硬化組成物の全重量に対するものである)、
前記未硬化組成物は臭素化材料を含まず、
前記未硬化組成物は重合化可能なアクリルモノマーとアリルモノマーは含まず、
前記硬化組成物は、ISO6722、セクション10に準拠したクラスA、BまたはCの短期および長期熱劣化試験に合格し、
前記硬化組成物は、LV112−1の媒体グループIまたは媒体グループIIに規定された流体媒体を少なくとも1つ用いるLV112、セクション8.8.1に準拠した耐薬品性試験に合格することを特徴とする硬化組成物。

【公表番号】特表2010−540725(P2010−540725A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527134(P2010−527134)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際出願番号】PCT/US2008/077644
【国際公開番号】WO2009/045836
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(508171804)サビック・イノベーティブ・プラスチックス・アイピー・ベスローテン・フェンノートシャップ (86)
【Fターム(参考)】