説明

ポンプ式泡吐出容器

【課題】ポンプ式泡吐出容器について、外気を多量に吸い込むことができる吸気口を、水が侵入するのを確実に防止できるように設けると共に、吸気口から泡が吸引されるのを防止できるようにする。
【解決手段】ノズル体4の吐出口43とは反対側に吸気口45を開口させ、この吸気口45を連通孔46を介して内筒部41と外筒部42の間の通気路に連通させ、ノズル体4の頂部の外縁部から下方に垂下するスカート状のカバー部47を、吸気口45よりも下方にまで延びるように形成すると共に、スカート状のカバー部47の内側空間(カバー部47の内側から外筒部42までの間の空間部分)をノズル体の周方向で仕切って遮断するための仕切壁部49を、ノズル体4の周方向で見て吸気口45の両側で対となるように、少なくとも一対以上設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器のキャップから上方に突設されたノズル体を押し下げヘッドとして、押し下げ操作と押し下げ解除操作を繰り返してノズル体を上下動させることで、容器内に収納された内容液を泡状態として、ノズル体の吐出口から吐出させるようなポンプ式泡吐出容器に関し、特に、ノズル体の一部に外気を吸い込むための吸気口が設けられたポンプ式泡吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
シャンプー,ハンドソープ,ボディソープ,洗顔剤,整髪剤,ひげ剃り剤,浴槽洗い洗剤等の液体を内容物とし、ノズル体とシリンダ体とピストン体を主な構成部材とするポンプ機構を容器に一体的に設置したポンプ式泡吐出容器については、従来から様々なものが提案され既に商品化されていて、そのようなポンプ式泡吐出容器では、容器のキャップから上方に突出したノズル体の操作により、キャップの天板部を貫通してノズル体と連結されたピストン体が、容器の口部から容器内に垂設されたシリンダ体の内部で、バネ力により常に上方に付勢された状態で所定範囲だけ上下動することにより、容器内に収納されている液体がシリンダ体の下端から吸い上げられ、ピストン体とノズル体の中空軸心部を通って、空気が混入された泡状態で、ノズル体の吐出口から容器の外部に吐出されるようになっている。
【0003】
そのようなポンプ式泡吐出容器では、ポンプ機構による吐出によって負圧となる容器内への空気補充と泡形成のために新たに空気を供給することが必要となるため、従来から一般的には、キャップのガイドステム部とノズル体とが摺接する部分の隙間から外気を吸い込むようにしているが、そのようなものでは、ガイドステム部の外周面に付着した水が空気と共に吸い込まれ易いため、容器内やシリンダ体(空気シリンダ)内に容易に水が侵入する虞がある。しかも、狭い隙間だけでは充分な空気を迅速に吸い込むことができないため、迅速に多量の泡を吐出させようとする場合には不都合がある。
【0004】
これに対して、キャップ(ベースキャップ部14)のガイドステム部(ガイドステム23)とノズル体(泡吐出器13)とが摺接する部分の隙間とは別個に、外気を吸い込むための開口面積の大きな吸気口(外気取り入れ口32)を、ノズル体(泡吐出器13)の外筒部(スカート状カバー25)に開口形成すると共に、この吸気口(外気取り入れ口32)に対して、その「外側の上方及び周方向近傍に延在する防御壁33」を設けるということが下記の特許文献により従来公知となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−275777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のような従来公知のポンプ式泡吐出容器では、ノズル体(泡吐出器13)の外筒部(スカート状カバー25)に開口面積の大きな吸気口(外気取り入れ口32)を開口形成していることで、ガイドステム部(ガイドステム23)とノズル体(泡吐出器13)とが摺接する部分の隙間から空気と共に水が吸い込まれることはなく、また、吸気口(外気取り入れ口32)の「外側の上方及び周方向近傍に延在する防御壁33」を設けていることで、飛び散った水が上方や側方から吸気口(外気取り入れ口32)に侵入するのを防止することができる。
【0007】
しかしながら、吸気口(外気取り入れ口32)は、ノズル体(泡吐出器13)の外筒部(スカート状カバー25)に形成されていることから、例えば、容器が横倒しの状態になったり、容器を斜め下に傾けて持ったりすると、外筒部(スカート状カバー25)の外周面に付着した水が、該外周面に沿って流れることで、「防御壁33」に邪魔されるようなことなく吸気口(外気取り入れ口32)の付近に到達して、吸気口(外気取り入れ口32)から容器内に侵入するような虞がある。
【0008】
なお、容器内に外部の水が侵入すると、通常シリンダ部分に塗布してあるシリコン等の滑剤を洗い流してピストン体の摺動性を悪化させたり、容器内に収納されている内容液に混入してその色や香りを変化させてしまうというような問題を起こすことがあり、更に、シリンダ体とピストン体により画成される空気室内に多くの水が溜まると、混合室内に送り込まれる内容液と空気の比が使用開始時とは異なってしまうため、泡質が設計したものとは異なってしまうという問題が起きたり、或いは、容器内に侵入してくる水は汚れていることが多いので、空気用シリンダの内部に溜まってカビ等を発生させ易く、その場合には、ポンピングによりカビ臭が混合室内に送り込まれることで、吐出される泡の香気を悪化させてしまうという問題も起きる可能性がある。
【0009】
そこで、それらの問題を解決するために、本出願人は、「容器の口部から容器内に垂設されたシリンダ体の内側に、常に上方に付勢された状態で所定範囲だけ上下動可能にピストン体が配設され、ピストン体を上方から覆うように容器の口部に冠着されるキャップには、その天板中央部に開設された開口部の周縁から上方に筒状のガイドステム部が立設され、容器の外側に配置されて吐出口を有するノズル体には、ピストン体と連結して吐出通路を形成する内筒部と、ガイドステム部の外周面に沿って上下動する外筒部とが一体的に形成されて、この内筒部と外筒部の間が、容器内に外気を導入するための通気路となっているポンプ式吐出容器において、ノズル体の頂部に、蓋体によって閉鎖される空間部が形成され、この空間部の一部分が、外筒部の外周面から外方に突出した凹部に形成されて、この凹部の外側壁に、外気を吸い込むための吸気口が開口され、凹部よりも内側の空間部が、内筒部と外筒部の間の通気路に連通されていると共に、ノズル体の頂部の外縁部から下方に垂下するスカート状のカバー部が、凹部から外方に離れて吸気口よりも下方にまで延びるように形成されていることを特徴とするポンプ式吐出容器」というものを、本願の出願に先立つ出願(特願2008−207284号)によって既に提案している。
【0010】
上記のような本出願人の提案によるポンプ式吐出容器について、これを泡吐出容器[1回のポンピング操作で吐出される泡の体積が約30cc(液体の重量で3g)の泡吐出容器]として使用し、40人の消費者による浴室内での泡吐出操作の実験(内容液が無くなるまで泡吐出操作をした)を行って、泡吐出操作後に消費者に使い心地を聞き、また、回収した容器を分解して空気室等の調査をしたところ、初期の狙い通り、ノズル体の外筒部とキャップのガイドステム部との隙間からではなく、ノズル体に開口させた吸気口から多量の外気を容器内及び空気室内に迅速に導入することができて、迅速に多量の内容物を泡状にして吐出させることができることを確認できた。
【0011】
また、容器を正立させた状態では、スカート状のカバー部によって吸気口から水が侵入するのを防止できると共に、ノズル体の外筒部の外周面から外方に突出した凹部の外側壁に吸気口が開口されているため、仮に、容器が横倒しの状態になったり、容器を斜め下に傾けて持ったりすることで、外筒部の外周面に付着した水が吸気口に向かって流れて来ても、凹部の底壁が堤防の役目をして、吸気口に水が侵入するのを阻止するため、吸気口から容器内又は空気室内に水が侵入するのをほぼ完全に防止することができることは、分解して調査した容器から確認できた。
【0012】
しかしながら、分解して調査した容器の数%においては、空気室内に泡が吸引されていたことが判明した。この原因を究明すべく、実験を行った消費者に泡吐出操作の仕方を聞き取り調査したところ、空気室内に泡が吸引されていた容器の消費者は、何れも、吐出口から泡を吐出させる際に、ノズル部の下方に置いた掌(又は掌に載せたスポンジ)をノズル体の外筒部に接触させた状態で、連続的に何回もポンピング操作して多量の泡を掌(又はスポンジ)の上に吐出する(泡が掌一杯又はスポンジ一杯になって盛り上がった状態になる)といった使い方をしていることが判った。
【0013】
そこで、更に、そのような使い方による再現実験をした結果、ポンピング操作を数回続ければ、掌一杯(又はスポンジ一杯)になって盛り上がった泡は、ノズル体の外筒部の外周面を伝わって、スカート状のカバー部の内側空間(カバー部の内側で外筒部までの間の空間部分)でノズル体の周方向に流れ出し、吐出口の反対側に設けられている吸気口の付近にまで流れることで、ノズル体の上昇時で吸気口から外気が吸い込まれる際に、外気と共に泡が吸気口から吸引されて、空気室内に泡が吸引されてしまうということが判明した。
【0014】
本発明は、上記のようなポンプ式泡吐出容器の問題の解消を課題とするものであり、具体的には、ポンプ式泡吐出容器について、外気を多量に吸い込むことができる吸気口を、水が侵入するのを確実に防止できるように設けると共に、吸気口から泡が吸引されるのを防止できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記のような課題を解決するために、容器の口部から容器内に垂設されたシリンダ体の内側に、常に上方に付勢された状態で所定範囲だけ上下動可能にピストン体が配設され、ピストン体を上方から覆うように容器の口部に冠着されるキャップには、その天板中央部に開設された開口部の周縁から上方に筒状のガイドステム部が立設され、容器の外側に配置されて吐出口を有するノズル体には、ピストン体と連結して吐出通路を形成する内筒部と、ガイドステム部の外周面に沿って上下動する外筒部とが設けられて、この内筒部と外筒部の間が、容器内に外気を導入するための通気路となっているポンプ式泡吐出容器において、
ノズル体の頂部に、蓋体によって閉鎖される空間部が形成され、この空間部の一部分が、外筒部の外周面から外方に突出した凹部に形成されて、ノズル体の吐出口とは反対側で凹部の外側壁に、外気を吸い込むための吸気口が開口され、凹部よりも内側の空間部が、内筒部と外筒部の間の通気路に連通され、ノズル体の頂部の外縁部から下方に垂下するスカート状のカバー部が、凹部から外方に離れて吸気口よりも下方にまで延びるように形成されていると共に、
スカート状のカバー部の内側空間をノズル体の周方向で仕切って遮断するための仕切壁部が、凹部の外側壁に開口されている吸気口に対して、ノズル体の周方向で見て吸気口の両側で対となるように、少なくとも一対以上設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
上記のような本発明のポンプ式泡吐出容器によれば、ノズル体の外筒部とキャップのガイドステム部との隙間からではなく、ノズル体に開口させた吸気口から多量の外気を容器内に迅速に導入することができて、迅速に多量の内容物を泡状にして吐出させることができ、また、容器を正立させた状態では、スカート状のカバー部によって吸気口から水が侵入するのを防止できると共に、ノズル体の外筒部の外周面から外方に突出した凹部の外側壁に吸気口が開口されているため、例えば、容器が横倒しの状態になったり、容器を斜め下に傾けて持ったりすることで、外筒部の外周面に付着した水が吸気口に向かって流れてきても、凹部の底壁が堤防の役目をして、吸気口に水が侵入するのを阻止することから、吸気口から容器内に水が侵入するのを効果的に防止することができる。
【0017】
また、ノズル体の吐出口の下方に置いた掌(又は掌に載せたスポンジ)をノズル体の外筒部に接触させた状態で、泡吐出のためのポンピング操作を数回連続して行ったような場合、掌一杯(又はスポンジ一杯)になって盛り上がった泡は、ノズル体の外筒部の外周面を伝わって、スカート状のカバー部の内側空間(カバー部の内側で外筒部までの間の空間部分)でノズル体の周方向に沿って流れ出すこととなるが、スカート状のカバー部の内側空間には、該空間をノズル体の周方向で仕切って遮断するための仕切壁部が設けられているため、該空間を吸気口の側に向かって流れる泡は、仕切壁部により遮断されることで、それ以上吸気口に接近するのを阻止されることとなり、それによって、吸気口から吸引される外気と共に泡が容器内(空気室内)に吸引されるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のポンプ式泡吐出容器の一実施例について、ノズル体が上限位置での容器の全体構造を(筒状の部分で端部同士を結ぶ横線については、全てを表示せずに部分的に省略して)示す縦断面図である。
【図2】図1に示したポンプ式泡吐出容器のノズル体が下限位置での容器の全体構造を(図1と同様に、筒状部分の端部同士を結ぶ横線を部分的に省略して)示す縦断面図である。
【図3】図1に示したポンプ式泡吐出容器のノズル体を示す側面図である。
【図4】図3に示したノズル体を上方から見た状態を示す上面図である。
【図5】図3に示したノズル体の頂部の蓋体を除いて上方から見た状態を示す上面図である。
【図6】図3に示したノズル体を下方から見た状態を示す下面図である。
【図7】図3に示したノズル体について、(A)は図4のA−A線に沿った縦断面図、(B)は図4のB−B線に沿った縦断面図である。
【図8】本発明のポンプ式泡吐出容器のノズル体の他の実施例について、(A)は図4のA−A線に沿った縦断面図、(B)は図4のB−B線に沿った縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
ポンプ式泡吐出容器について、外気を多量に吸い込むことができる吸気口を、水が侵入するのを確実に防止できるように設けると共に、吸気口から泡が吸引されるのを防止できるようにするという目的を、以下の実施例に具体的に示すように、ノズル体の頂部に、蓋体によって閉鎖される空間部を形成し、この空間部の一部分を、外筒部の外周面から外方に突出した凹部に形成して、ノズル体の吐出口とは反対側で凹部の外側壁に、外気を吸い込むための吸気口を開口させ、凹部よりも内側の空間部を、内筒部と外筒部の間の通気路に連通させ、ノズル体の頂部の外縁部から下方に垂下するスカート状のカバー部を、凹部から外方に離れて吸気口よりも下方にまで延びるように形成すると共に、スカート状のカバー部の内側空間をノズル体の周方向で仕切って遮断するための仕切壁部を、凹部の外側壁に開口されている吸気口に対して、ノズル体の周方向で見て吸気口の両側で対となるように、少なくとも一対以上設ける、ということで実現した。
【実施例】
【0020】
本実施例のポンプ式泡吐出容器は、その容器本体内にシャンプー,ハンドソープ,ボディソープ,洗顔剤,整髪剤,ひげ剃り剤,浴槽洗い洗剤等のような界面活性剤を含有する液体を収容するものであり、図1に示すように、ノズル体4とシリンダ体5とピストン体6とからなるポンプ構造を有するものであって、ノズル体4は、容器本体2の外側でキャップ3の上方に位置し、シリンダ体5は、容器本体2の口部から内部に向けて垂設され、空気用ピストン7と液用ピストン8からなるピストン体6は、キャップ3の下面側に固定されるシリンダ体5の内部に上下動可能に配設されている。
【0021】
容器の口部に冠着されるキャップ3には、その天板部32の中央部に開口部が開設されていると共に、この開口部の周縁から上方に筒状のガイドステム部31が立設されており、一方、容器の外側に配置されるノズル体4には、ピストン体6の上端部と連結して内側に吐出通路を形成する内筒部41と、キャップ3のガイドステム部31の外周面に沿って上下動する外筒部42とが一体的に形成されていて、ノズル体4は、キャップ3のガイドステム部31に案内された状態で、一体的に連結されたピストン体6と共に上下動するようになっている。なお、ノズル体4の内筒部41と外筒部42は、必ずしもノズル体と一体成形しなくても良い(別体として成形してから組み合わせても良い)ものである。
【0022】
キャップ3の下面側に固定されたシリンダ体5に対して一体的に上下動するノズル体4とピストン体6は、シリンダ体5とピストン体6の間に介装されたコイルスプリング11のバネ力によって常に上方に付勢されており、図1に示すようなノズル体4の上限位置から、ノズル体4とピストン体6をコイルスプリング11の付勢力に抗して押し下げることで、図2に示すようなノズル体4の下限位置まで押し下げることができる。
【0023】
上記のようなポンプ式泡吐出容器1のポンプ構造について更に詳しく説明すると、容器本体2の口部に着脱可能に冠着されるキャップ3は、中央に開口部が開設された天板部32と、天板部32の開口部周縁から上方に立ち上がる円筒状のガイドステム部31と、天板部32の周端縁から垂下される円筒状のスカート部33とを一体成形したものであって、スカート部33の内面側には、容器本体2の口部と螺合するためのネジ部が形成され、天板部32の下面には、円筒状のシリンダ挟持部と円筒状のピストン接触部とが同心状に垂下されている。
【0024】
シリンダ体5は、大径筒状の空気用シリンダ51と小径筒状の液用シリンダ52とが円錐台状の連結部分を介して同心的に連結されるように、熱可塑性樹脂の射出成形等により一つの部材として一体成形した二重シリンダであって、空気用シリンダ51の上端に形成されたフランジ部が、キャップ3の天板部32の下面側で挟持されることにより、シリンダ体5の上端部がキャップ3に同心円状に一体的に固定され、このキャップ3が容器本体2の口部に冠着(螺着)されることで、シリンダ体5は容器本体2の口部から下方(容器内)に垂設されることとなる。
【0025】
そのようなシリンダ体5には、空気用シリンダ51の上部に、容器本体2のヘッドスペース(容器内の液面よりも上方の空間部)に空気を導入するための空気孔Eが穿設されており、液用シリンダ52の下端には、漏斗状の弁座部が形成されていて、この弁座部の下方には、容器本体2内に収容されている液体を液用シリンダ52内に導入するための導液管15が圧入により連結され、この導液管15の下端は容器本体2の底部付近にまで延びている。
【0026】
シリンダ体5内に上下動可能に配設されるピストン体6は、熱可塑性樹脂の射出成形等により個別の部品としてそれぞれ一体成形された空気用ピストン7と液用ピストン8を、その後に一つのピストン体6として同心的に一体連結したものであって、空気用ピストン7は、空気用シリンダ51のシリンダ壁内面に沿って摺動し、液用ピストン8は、液用シリンダ52のシリンダ壁内面に沿って摺動し、ピストン体6の上端(空気用ピストン7のステム部71の上部)は、ノズル体4の内筒部41の下端と連結されている。
【0027】
ピストン体6の空気用ピストン7は、その上部に位置する小径筒状のステム部71と、その下部に位置する大径筒状のピストン部73を、中間連結部72を介して連結するように一体成形したものであって、ピストン部73の下端には、空気用シリンダ51のシリンダ壁内面との間で充分に気密性を確保でき、且つ、該シリンダ壁内面に対して上下方向に軽く摺動できるように、所定の幅の摺動シール部分が一体的に形成されている。
【0028】
空気用ピストン7のピストン部73の摺動シール部分は、所定の幅に形成されてその幅方向の上下両端で空気用シリンダ51のシリンダ壁内面に密接しており、空気用シリンダ51の上部に開設された空気孔Eに対して、空気用ピストン7が上限位置にある状態では、図1に示すように、ピストン部73の摺動シール部分が空気孔Eを閉鎖していて、空気用ピストン7が上限位置から押し下げられてピストン部73の摺動シール部分が下方に移動することで、図2に示すように、空気孔Eは開口される。
【0029】
空気用ピストン7のステム部71は、その上部がノズル体4との連結部(ノズル体4の内筒部41の下部を外嵌させる部分)となり、その下部が液用ピストン8との連結部(液用ピストン8の上部を内挿させる部分)となるものであって、ステム部71の上部は、ノズル体4の内筒部41を嵌合する際の下限位置を規制すると共に、液用ピストン8の上端部を挿入する際の上限位置を規制するように、段差を持って下部よりも小径の円筒部分に縮径されている。
【0030】
ピストン体6の液用ピストン8は、全体が略円筒形状をしており、その上端部の内面側には、内径が上方に行く程大径となる擂鉢状(又は漏斗状)の弁座部が形成され、中途部の外周面には、放射状の突起部を外端縁に有する環状突部81が形成され、下端部の内面側には、液用シリンダ52の下端付近(液用シリンダ52内に装着された筒状係止体12の下端部)との間に介装されるコイルスプリング11の上端が当接されている。このコイルスプリング11のバネ力によりシリンダ体5内でピストン体6が常に上方に付勢され、また、図2に示すように、環状突部81によりシリンダ体5内でのピストン体6の下限位置が規制されている。
【0031】
上記のような構造のシリンダ体5とピストン体6とにより、空気用ピストン7で覆われた空気用シリンダ51の内側で液用ピストン8の外側に空気室Aが形成され、液用ピストン8と液用シリンダ52の内側に液室Bが形成され、液室Bの上方で空気用ピストン7のステム部71の上部内側に混合室Cが形成されていて、容器本体2内に空気を導入するための空気孔Eが空気用シリンダ51の上部に開設され、空気室A内に空気を吸入するための吸気孔Fが空気用ピストン7の中間連結部72に開設されている。
【0032】
そして、液用ピストン8が圧入されているステム部71の下端から混合室Cに至るまでの部分に、空気室Aから混合室Cに空気を送り込むための空気通路Dを形成するために、ステム部71の下部内面側には、複数本(好ましくは3〜7本)の縦溝(空気通路D)が放射状に(円周方向に一定の間隔を置いて)形成されている。なお、ステム部71の内面と液用ピストン8の外面の間に空気通路Dを形成するための縦溝(又はリブ)については、空気用ピストン7のステム部71の内面側ではなく、液用ピストン8の外面側に設けるようにしても良い。
【0033】
上記のようにシリンダ体5とピストン体6により空気室Aと液室Bと混合室Cと空気通路Dがそれぞれ形成され、シリンダ体5(空気用シリンダ51の上部)に空気孔Eが開設され、ピストン体6(空気用ピストン7の中間連結部72)に吸気孔Fが開設されているのに対して、液用シリンダ52の下端近傍に形成された弁座部には、ボール弁(ボトムボール)13が載置されていて、この弁座部とボール弁13とにより、液室Bの負圧時に液室Bの下端の入口を開口するための第1逆止弁が構成されている。
【0034】
また、液用ピストン8と液用シリンダ52の内側には、上端部の外面側に逆円錐台状の弁体部が形成された棒状弁体14が配設され、液用シリンダ52の下端の弁座部の上方には、液体の通過が可能な筒状係止体12が装着され、棒状弁体14の下端部が筒状係止体12により所定の範囲だけ上下動可能に保持されていることで、液用ピストン8の上端部に形成された弁座部と、棒状弁体14の上端部に形成された弁体部とにより、液室Bの加圧時に液室Bの上端の出口を開口するための第2逆止弁が構成されている。
【0035】
すなわち、図1又は図2に示すように、棒状弁体14の下部側は小径棒部となっていて、この小径棒部の下端付近には、急に直径を大きくした係止部(段差部)が設けられており、一方、筒状係止体12の上端部の内方には、この係止部よりも内径が少し小径の内方環状突起(内方に突出する環状の突起)が設けられていて、棒状弁体14の下部側(小径棒部)が筒状係止体12内に挿入された状態では、筒状係止体12の内向環状突起により棒状弁体14の係止部の上昇が阻止されて、棒状弁体14のそれ以上の上昇が阻止されることで、棒状弁体14の下端部が筒状係止体12により所定の範囲だけ上下動可能に保持された状態となっているのである。なお、シリンダ体とピストン体とを組み立てる時には、棒状弁体14の下部側(小径棒部)を筒状係止体12内に挿入することになるが、その際には、上方からの押圧力により、棒状弁体14の下端部の係止部によって筒状係止体12の上端部の内向環状突起を押し広げる(弾性変形させる〉ようにして小径棒部を筒状係止体12内に挿入させるのである。
【0036】
さらに、ピストン体6の上下動により容積が変化する空気室Aの負圧時(ピストン体6の上昇時)に、空気用ピストン7の中間連結部72に開設された吸気孔Fから空気室A内に空気を導入し、また、空気室Aの加圧時(ピストン体6の下降時)に、空気室A内から空気通路Dを通して混合室Cに空気を供給するように、吸気孔Fと空気通路Dに共通する第3逆止弁が、空気用ピストン7の中間連結部72の吸気孔Fよりも外側の下面と、液用ピストン8の中途部の外周面に形成された環状突部81の上面と、軟質合成樹脂製の弾性弁体16とによって構成されている。
【0037】
弾性弁体16は、短い円筒状の筒状基部の下端部近傍から外方に延びる薄肉円環状の外方弁部と内方に延びる薄肉円環状の内方弁部とを一体的に形成したものであって、空気用ピストン7の中間連結部72と液用ピストン8の環状突部81との間に液用ピストン8と同心的に配置されていて、空気用ピストン7の中間連結部72に筒状基部の上部が挟持され、液用ピストン8の環状突部81の外端部に形成された適当数の放射状突起により筒状基部の下端が支えられた状態で、空気室Aの上端部に位置決めされている。
【0038】
そのような第3逆止弁では、空気室A内が大気圧時には、弾性弁体16の外方弁部が中間連結部72の下面に接触し、内方弁部が環状突部81の上面に接触することで、空気通路Dの入口と吸気孔Fの両方を閉鎖しており、ピストン体6が下降して空気室A内が加圧されると、弾性弁体16の内方弁部が上方に変位(弾性変形)して環状突部81から離れることで空気通路Dの入口が開口され、ピストン体6が上昇して空気室A内が負圧になると、弾性弁体16の外方弁部が下方に変位(弾性変形)して中間連結部72から離れることで吸気孔Fが開口されることととなる。
【0039】
ポンプ式泡吐出容器1の押し下げヘッドとなるノズル体4は、混合室Cの出口(下流側)から吐出口43に至る泡通路Gを、円筒状の内筒部41の筒内を直上してから頂部に沿って吐出口43まで延びるように逆L字状に形成したものであって、吐出口43が形成されているノズル体4の頂部からは、内筒部41との間に間隔を置いて同心的に、内筒部41よりも大径の外筒部42が一体的に垂下されている。
【0040】
ノズル体4の内筒部41の下端は、その筒内に下方から空気用ピストン7のステム部71の上端部が嵌入されることで、空気用ピストン7のステム部71と一体的に連結されており、この連結部分がキャップ3の天板部32の中央部に開設された開口部を貫通していることで、容器本体2の内外にそれぞれ配置されるノズル体4とピストン体6がキャップ3を貫通して一体的に連結されることとなる。
【0041】
なお、ノズル体4の泡通路Gには、空気用ピストン7との連結に先立って、シート状の多孔体を両端に張設した多孔体ホルダー17が、混合室Cの下流側で泡通路G内に挿着されており、この多孔体ホルダー17は、混合室Cで形成された泡を通過させて均質化するためのもので、例えば、合成樹脂製の糸を編んだ網体のような多孔シートを筒状の合成樹脂製スペーサーの両端に溶着して取付けたようなものであって、上流側(混合室Cに近い側)の多孔シートの網目よりも下流側(吐出口43に近い側)の多孔シートの網目の方が細かくなるように形成されている。
【0042】
上記のような本実施例のポンプ式泡吐出容器の使用状態について簡単に説明すると、製造されてから消費者が使用を開始するまでは、図1に示すように、ノズル体4とピストン体6は上限位置にあり、この状態で、容器内への外気導入手段である空気孔Eは、空気用ピストン7の摺動シール部により閉じられ、ボール弁13による第1逆止弁と棒状弁体14による第2逆止弁と弾性弁体16による第3逆止弁は全て閉じられている。
【0043】
そのような状態から、最初にノズル体4を押し下げて、図2に示すように、ノズル体4とピストン体6を下限位置まで下降させると、ボール弁13による第1逆止弁は閉じて液室Bの下端入口が閉鎖されたまま、棒状弁体14による第2逆止弁が開いて液室Bの上端出口が開口され、また、ピストン体6の下降により空気室Aが加圧されることで、弾性弁体16による第3逆止弁では、吸気孔Fは閉鎖状態を維持し、空気通路Dの入口は開口される。
【0044】
そのため、消費者が使用を開始して、最初にノズル体4を押し下げたときには、空気室Aから混合室Cに空気が送り込まれると共に、液室Bからは溜まっていた空気だけが混合室Cに送り込まれることから、ノズル体4の泡通路Gからは空気だけが吐出されることとなる。
【0045】
そのような最初のノズル体4の押し下げを解除すると、コイルスプリング11の付勢力により、図1に示すような上限位置までノズル体4とピストン体6が上昇する間に、先ず、棒状弁体14による第2逆止弁が閉じて液室Bの上端出口が閉鎖されてから、更にピストン体6の上昇により液室B内が負圧になることで、ボール弁13による第1逆止弁が開いて液室Bの下端入口が開口され、また、ピストン体6の上昇により空気室Aが負圧になることで、弾性弁体16による第3逆止弁では、吸気孔Fが開口されて、空気通路Dの入口は閉鎖される。
【0046】
その結果、液室Bには、導液管15を通して容器本体2内の液体が吸い上げられると共に、後述する吸気口45から吸引された外部の空気が、内筒部41と外筒部42の間の通気路Hを通って、吸気孔Fから空気室Aに供給されることで、泡吐出の準備状態が完了する。
【0047】
なお、容器本体2内から液室Bに液体が吸い上げられることで、その分だけ容器本体2のヘッドスペースの容積が増加するため、そのままではヘッドスペースが負圧状態となるが、図2の状態から図1の状態に戻るまでの間は、空気孔Eが開口したままであり、内筒部41と外筒部42の間の通気路Hを通った外部の空気は、空気孔Eから直ちに容器本体2内へ吸い込まれるため、そのようなヘッドスペースの負圧状態は直ちに解消される。
【0048】
上記のように液室Bに液体が満たされて、且つ、図1に示した状態に戻った段階で、再びノズル体4を押し下げると、ピストン体6と各逆止弁(第1〜第3逆止弁)は、上記の押し下げ操作時と同様に作動し、その結果、ピストン体6の下降に連れて空気室Aと液室Bが加圧されることで、空気室Aの空気が空気通路Dを通って混合室Cに空気が圧送されると共に、液室Bの液体が混合室Cに送り込まれて、両者は混合室Cで混ざり合って泡立てられ、多孔体ホルダー17の両端の多孔シートを通過することで均質化された泡となってから、ノズル体4の泡通路Gを通ってノズル体4の吐出口43から吐出される。
【0049】
そして、図2に示した状態から、ノズル体4の押し下げ操作を解除すると、ピストン体6と各逆止弁(第1〜第3逆止弁)は、上記の押し下げ操作の解除時と同様に作動して、その結果、液室Bには、再び容器本体2内の液体が導液管15を通して吸い込まれると共に、吸気孔Fから空気室Aに空気が供給されることで、泡吐出の準備状態となり、以後、ノズル体4の押し下げ操作と該操作の解除を繰り返すことによって、ノズル体4の吐出口43から所望量の泡を吐出させることができる。
【0050】
ところで、上記のような本実施例のポンプ式泡吐出容器では、内筒部41と外筒部42の間の通気路Hを通して容器内に空気を供給するために、図1および図2に示すように、外部の空気を吸い込むための吸気口45がノズル体4に開口形成されている。
【0051】
すなわち、ノズル体4の頂部には、図7(A),(B)に示すように、蓋体40によって閉鎖される空間部44が形成されており、この空間部44の一部分は、外筒部42の外周面から外方に突出した凹部44aとなっていて、この凹部44aの外側壁に、外気を吸い込むための吸気口45が開口されている。また、空間部44には、凹部44aよりも内側で、内筒部41と外筒部42の間の通気路Hと連通させるための連通孔46が開口されている。なお、本実施例では、凹部44aは、図5に示すように、外筒部42の外周面に沿って周方向に延びる溝状に形成しているが、外筒部42の外周面の一部分で部分的に突出するように形成しても良いものである。
【0052】
また、上記のようにノズル体4に開口された吸気口45に対して、上方や側方から吸気口45に水が侵入するのを防止するための防水壁として、ノズル体4の頂部の外縁部から下方に垂下するようにスカート状のカバー部47が設けられており、このカバー部47は、凹部44aの外側壁から外方に離れていて、吸気口45よりも下方にまで延ばされている。
【0053】
なお、凹部44aの外側壁に開口される吸気口45について、本実施例では、凹部44aの底角部から外側壁を切り欠くように形成されており、また、図6および図7(A),(B)に示すように、内筒部41と外筒部42の間の通気路Hとを連通する連通孔46に対して、ノズル体4の筒部(内筒部41や外筒部42)の円周方向でずれた位置に吸気口45が配置されている。
【0054】
さらに、上記のようにノズル体4の頂部の外縁部から下方に垂下するようにスカート状のカバー部47の内側で外筒部42との間が、ノズル体4の周方向に延びる空間部分となっているのに対して、図6に示すように、スカート状のカバー部47の内側空間をノズル体4の周方向で仕切って遮断するように、仕切壁部49が、凹部44aの外側壁に開口されている吸気口45に対して、ノズル体4の周方向で見て吸気口45の両側で対となるように、少なくとも一対以上設けられている。
【0055】
なお、スカート状のカバー部47の内側空間に設けられる仕切壁部49について、本実施例では、ノズル体4の周方向(スカート状のカバー部47に沿った円周方向)で見て、吸気口45の両端縁付近に一対49a,49aと、吸気口45の両端縁から所定の間隔を置いた位置(吸気口45と吐出口43との中間付近)に一対49b,49bとなるように、二対(四個)の仕切壁部49a、49bが設けられている。
【0056】
また、この仕切壁部49について、本実施例では、外筒部42の外周面に沿って周方向に延びる溝状に凹部44aを形成していることから、仕切壁部49は、何れも、図7(B)に示すように、スカート状のカバー部47の内面と、ノズル体4の頂壁の下面と、凹部44aの外側壁および底壁48と、外筒部42の外面とを連結するように設けているが、外筒部42の外周面の一部分で部分的に突出するように凹部44aを形成した場合には、図示していないが、仕切壁部49は、スカート状のカバー部47の内面と、ノズル体4の頂壁の下面と、外筒部42の外面とを連結するように設けることになる。
【0057】
上記のように吸気口45が形成されて仕切壁部49が設けられた本実施形態のポンプ式泡吐出容器1によれば、ノズル体4の外筒部42とキャップ3のガイドステム部31との間の比較的狭い隙間からではなく、ノズル体4に開口された比較的大きな開口面積の吸気口45から外気を吸い込んでいることにより、多量の外気を容器内に迅速に導入することができて、迅速に多量の内容物の泡を吐出させることができると共に、上方や側方から吸気口45に水が侵入するのを、スカート状のカバー部47によって防止することができる。
【0058】
また、ノズル体4の外筒部42の外周面から外方に突出した凹部44aの外側壁に吸気口45が開口されていることから、例えば、容器が横倒しの状態になったり、容器を斜め下に傾けて持ったりすることで、外筒部42の外周面に付着した水が吸気口45に向かって流れてきても、凹部44aの底壁48が堤防の役目をして、吸気口45に水が侵入するのを阻止することから、吸気口45から容器内に水が侵入するのを効果的に防止することができる。
【0059】
さらに、スカート状のカバー部47の内側空間(カバー部47の内側から外筒部42までの間の空間部分)をノズル体4の周方向で仕切って遮断するように仕切壁部49が設けられていることから、ノズル体4の吐出口43の下方に置いた掌(又は掌に載せたスポンジ)をノズル体4の外筒部42に接触させた状態で、泡吐出のためのポンピング操作を数回連続して行ったような場合、掌(又はスポンジ)の上に高く盛り上がった泡は、その一部がノズル体4の外筒部42の外周面を伝わって、スカート状のカバー部47の内側空間をノズル体4の周方向に流れ出すこととなるが、スカート状のカバー部47の内側空間には、該空間をノズル体4の周方向で仕切って遮断するように仕切壁部49が設けられているため、該空間を吸気口45の側に向かって流れる泡は、仕切壁部49により遮断されることで、それ以上吸気口45に接近するのを阻止されることとなり、それによって、吸気口45から吸引される外気と共に泡が容器内(空気室内)に吸引されるのを効果的に防止することができる。
【0060】
その結果、吸気口45方向への流動を仕切壁部49,49によって停止させられた泡は、掌(又はスポンジ)一杯に盛り上がるので、消費者は、ポンピング操作を停止してから、その充分な泡を使用して頭髪や顔や手や全身等を充分に洗うことができる。
【0061】
なお、本実施例では、凹部44aの底角部から外側壁を切り欠くように吸気口45を形成しているが、そのようにすることで、上下の金型によりノズル体4を成形する際に、金型によって吸気口45を容易に成形することができる。これに対して、先に引用例として挙げた特許文献に示された構造、即ち、ノズル体の外筒部(引用例では「スカート状カバー25」)に吸気口(引用例では「外気取り入れ口32」)を直接的に開口させる構造では、上下の金型での成形によって吸気口を形成することはできず、後加工で吸気口を開設するにしても、内筒部(引用例では「中空パイプ22」)やカバー部(引用例では「防御壁33」)が邪魔になって加工が非常に困難なものとなり、実質的には生産(商品としての大量生産)が困難なものとなる。
【0062】
また、本実施例では、空間部44を通気路Hに連通させる連通孔46に対して吸気口45をずらして配置しているが、そのようにすることで、万が一、吸気口45から水が侵入したとしても、それが直ちに連通孔46から内筒部41と外筒部42の間の通気路Hに侵入する可能性が小さく、凹部44aに溜まった水は、容器を正立させたときに吸気口45から流れ出るため、容器内に水が侵入するのを一層確実に防止することができる。
【0063】
さらに、本実施例では、スカート状のカバー部47の内側空間に設ける仕切壁部49を吸気口45の両端縁付近に一対49a,49aと、吸気口45の両端縁から所定の間隔を置いた位置(吸気口45と吐出口43との中間付近)に一対49b,49bとなるように、二対の仕切壁部49a、49bを設けているが、そのようにすることで、消費者が考え事をしながら更に余分に(何回も)ポンピング換作を継続して吐出口43の反対側へ流れ出した泡の一部が、仮に、吸気口45と吐出口43との中間付近に設けられた一対の仕切壁部49b,49bを乗り越えて吸気口45の方向へ進んだとしても、吸気口45の両端縁付近には別の一対の仕切壁部49a,49aが存在して、それ以上の泡の進行を阻止することから、泡が吸気口45の端縁まで到達するのを一層確実に防止することができる。
【0064】
以上、本発明のポンプ式泡吐出容器の一実施例について説明したが、本発明は、上記の実施例に示したような具体的な構成にのみ限定されるものではなく、例えば、上記の実施例では、図7(A),(B)に示すように、吸気口45と連通孔46を、ノズル体4の筒部の円周方向でずれた位置に配置しているが、図8(A),(B)に示すように、ノズル体4の筒部の同じ半径方向上に吸気口45と連通孔46を配置させても良い。
【0065】
また、上記の実施例では、ノズル体4の頂部の空間部44を閉鎖する蓋体40について、図7(A),(B)に示すように、蓋体40のスカート部の下端が吸気口45にまで達しないように、全周的に同じ長さでスカート部を下方に延ばしているが、蓋体40をしっかりとノズル体4に固定するためには、図8(A),(B)に示すように、蓋体40のスカート部を、全周的に空間部44の周壁の下端付近にまで延ばしても良く、その場合には、吸気口45の部分でスカート部の一部分を切り欠くようにすれば良い。
【0066】
また、上記の実施例では、図6に示すように、吸気口45の両端縁付近に一対49a,49aと、吸気口45の両端縁から所定の間隔を置いた位置(吸気口45と吐出口43との中間付近)に一対49b,49bとなるように、二対の仕切壁部49a、49bを設けているが、場合(数回の連続ポンピング操作を行うような場合等)によっては、何れか一対を設けるだけでも良く、場合(ノズル体4が比較的大径である場合等)によっては、三対以上設けるようにしても良いものであって、対で設ける仕切壁部49の位置についても、吐出口43よりも吸気口45に近い方が好ましいが、任意に変更可能なものである。
【0067】
また、上記の実施例では、スカート状カバー部47について、図3に示すように、吸気口45から円周方向でかなり離れた位置においても、その下端部を、吸気口45の位置よりも下方の位置まで垂下させている(主として外観性の観点から、このような位置にまで垂下させている)が、吸気口45からかなり離れた位置では、吸気口45への水侵入防止の役目をスカート状カバー部47は殆ど果していないため、スカート状カバー部47の下端部は、吸気口45の位置よりも上方位置にあっても良いものである。例えば、図6に示すように、吸気口45の両端付近に一対の仕切壁部49a,49aを設けるのであれば、これらの仕切壁部49a,49aよりもノズル体4の吐出口43側では、スカート状カバー部47は、吸気口45が設けられている位置よりも上方位置にまで垂下されているだけでも良いし、或いは、これらの領域には設けなくても良い。
【0068】
さらに、スカート状カバー部47については、吸気口45の両端付近の一対の仕切壁部49a,49aを省略して、それよりも吐出口43側に配置される一対の仕切壁部49b,49bのみを設ける場合であっても、仕切壁部49aと仕切壁部49bで挟まれている領域のスカート状カバー部47は、その領域の半分から吸気口45側に近い領域では、吸気口45の位置よりも下方位置までその下端部が垂下していることが望ましいが、その領域の半分から吐出口43側の領域では、その下端部が吸気口45の配設位置よりも上方位置であっても良いし、或いは、これらの領域には設けなくても良いものである。但し、一対の仕切壁部49b,49bを設ける箇所及びその付近には、仕切壁部49b,49bの高さ方向の長さを確保する観点と、泡移動防止上の観点とから、吸気口45の配設位置よりも下方にまで垂下させるのが好ましい。
【0069】
さらにまた、ポンプ式吐出容器のポンプ機構の具体的な構造(例えば、第1逆止弁、第2逆止弁、第3逆止弁の具体的な構造等)についても、吸気口45や仕切壁部49を設けるのに適した構造である限りにおいて、上記の実施例に示したような具体的な構造に限らず、従来から知られたその他の適宜の構造を採用して実施することも可能である等、適宜に設計変更可能なものであることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0070】
1 ポンプ式泡吐出容器
2 容器本体
3 キャップ
4 ノズル体
5 シリンダ体
6 ピストン体
31 ガイドステム部
40 蓋体
41 内筒部
42 外筒部
43 吐出口
44 空間部
44a 凹部
45 吸気口
46 連通孔
47 カバー部
48 (凹部の)底壁
49 仕切壁部
49a 仕切壁部
49b 仕切壁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口部から容器内に垂設されたシリンダ体の内側に、常に上方に付勢された状態で所定範囲だけ上下動可能にピストン体が配設され、ピストン体を上方から覆うように容器の口部に冠着されるキャップには、その天板中央部に開設された開口部の周縁から上方に筒状のガイドステム部が立設され、容器の外側に配置されて吐出口を有するノズル体には、ピストン体と連結して吐出通路を形成する内筒部と、ガイドステム部の外周面に沿って上下動する外筒部とが設けられて、この内筒部と外筒部の間が、容器内に外気を導入するための通気路となっているポンプ式泡吐出容器において、
ノズル体の頂部に、蓋体によって閉鎖される空間部が形成され、この空間部の一部分が、外筒部の外周面から外方に突出した凹部に形成されて、ノズル体の吐出口とは反対側で凹部の外側壁に、外気を吸い込むための吸気口が開口され、凹部よりも内側の空間部が、内筒部と外筒部の間の通気路に連通され、ノズル体の頂部の外縁部から下方に垂下するスカート状のカバー部が、凹部から外方に離れて吸気口よりも下方にまで延びるように形成されていると共に、
スカート状のカバー部の内側空間をノズル体の周方向で仕切って遮断するための仕切壁部が、凹部の外側壁に開口されている吸気口に対して、ノズル体の周方向で見て吸気口の両側で対となるように、少なくとも一対以上設けられていることを特徴とするポンプ式泡吐出容器。
【請求項2】
凹部の外側壁に開口される吸気口に対して、ノズル体の周方向で見て、吸気口の両端縁から所定の間隔を置いて一対の仕切壁部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のポンプ式泡吐出容器。
【請求項3】
凹部の外側壁に開口される吸気口に対して、ノズル体の周方向で見て、吸気口の両端縁付近に一対の仕切壁部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のポンプ式泡吐出容器。
【請求項4】
凹部の外側壁に開口される吸気口が、凹部の底角部から外側壁を切り欠くように形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のポンプ式泡吐出容器。
【請求項5】
ノズル体の頂部の空間部と、内筒部と外筒部の間の通気路とを連通する連通孔に対して、凹部の外側壁に開口される吸気口が、ノズル体の筒部の円周方向でずれた位置に配置されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のポンプ式泡吐出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−148535(P2011−148535A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−12461(P2010−12461)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(000208455)大和製罐株式会社 (309)
【Fターム(参考)】