説明

ポンプ設備

【課題】設備の構成を簡素化することで、信頼性が向上するポンプ設備を提供する。
【解決手段】ポンプ3と、ポンプ3を設置するための建屋8のハウジング8aと、空気流入口11を介してハウジング8a内に外部の空気を流入させるようにした換気設備10と、ハウジング8a内に設置されたポンプ3を駆動する駆動機4とを備えるポンプ設備1であって、換気設備10の送風機3による送風で冷却される冷却器14と、冷却器14と駆動機4との間で冷却媒体を循環させる冷却媒体循環路15とを備える冷却機構20によって、送風機3の送風を利用して、ポンプ3の運転時に動作することで熱を発生する駆動機4を冷却するようにしたポンプ設備1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、河川における内水を排水するための排水機場などに設置されるポンプ設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、河川における内水を排水するためのポンプ設備を備える排水機場がある。この排水機場が備えるポンプ設備は、特許文献1に示すように、排水すべき水が溜められる(流入する)水槽と、該水槽内に設置したポンプとを備えており、ポンプの運転によって、水槽内の水を排水するようになっている。
【0003】
ところで、上記のポンプ設備には、ポンプを駆動する駆動機や該駆動機を制御する制御装置など、ポンプの運転時に熱を発生する各種の機器が設置されている。このようなポンプ設備では、これら熱を発生する機器を自然放熱だけでは十分に冷却しきれない場合、それらを冷却するための冷却機構が必要になる。従来の冷却機構は、ポンプを駆動する駆動機とは異なる駆動源で動作するいわゆる別置の送風機と、熱を発生する機器との間で循環する冷却媒体(冷却水や冷却油)を冷却するための冷却器(ラジエータ)とを備えており、別置の送風機で冷却器に風を送ることで、冷却媒体を介して熱を発生する機器を冷却するように構成されている。
【0004】
また、熱を発生する機器を冷却する冷却機構の他の例としては、ポンプ設備に冷却水槽を設置し、該冷却水槽からの冷却水をポンプ設備内で熱を発生する機器に送ることで、熱を発生する機器を冷却するものがある。なお、機器を冷却して温度が上昇した冷却水は、排水するか、クーリングタワーなどで冷却して再利用する方式が用いられている。しかしながらこの冷却水槽かクーリングタワーを用いる冷却方式では、ポンプ設備の設備構成が複雑になるとともに、設置スペースなども広く必要となることから、近年は、上記のような送風機を備える冷却機構の方が多く採用されている。
【特許文献1】特開2003−74324号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようなポンプ設備を備える排水機場では、通常、ポンプの予備機を備えていないので、ポンプ設備の機器に故障などの異常が発生すると、ポンプの運転を停止せざるを得ない。すると、内水の排水機能が停止することになるため、周辺地域の浸水被害につながるおそれがある。そのため、ポンプ設備に異常が発生する確率を出来るだけ低く抑える必要がある。
【0006】
しかしながら、上記のような送風機で冷却器を冷却する冷却機構では、別置の送風機や冷却機構に関連する他の機器を設置しているため、ポンプ設備が備える機器の点数が多くなり、設備が複雑になる。するとその分、ポンプ設備に故障などの異常が発生する確率が高くなり、ポンプ設備の信頼性が低下する。また、ポンプ設備が備える機器の点数の増加に伴い、ポンプ設備の維持管理や保守点検の負担も大きくなる。
【0007】
その一方で、従来のポンプ設備では、上記の送風機などの機器を備える冷却機構や、ポンプが設置されているハウジング内の換気を行う換気設備など、ポンプの周辺設備において、機器の共用化を図ることができる余地がある。したがって、可能な部分において機器の共用化を進めれば、ポンプ設備に設置する機器の点数を従来よりも少なくしたり、設置する機器の構成を簡素化し効率良く運用することにより、建設コストや維持管理・運転経費などのランニングコストの低減を図ることができる。
【0008】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、設備の構成を簡素化することで、信頼性、経済性が向上するポンプ設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため本発明のポンプ設備は、ポンプと、ポンプを設置するための建屋のハウジングと、ハウジング内の換気を行う換気設備と、ハウジング内に設置されポンプの運転時に動作することで熱を発生する機器と、熱を発生する機器を冷却する冷却機構とを備え、冷却機構は、ハウジング内の換気を行う換気設備による風を利用して熱を発生する機器を冷却することを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、ポンプの運転時に熱を発生する機器を冷却する冷却機構が備える機器と、ハウジング内の換気を行う換気設備が備える機器とを共用することができるので、ポンプ設備の構成を簡素化することができる。したがって、ポンプ設備に故障などの異常が発生する確率を低く抑え、効率良く運用することができ、ポンプ設備の信頼性が向上する。また、熱を発生する機器を屋外の冷たい外気により直接冷却することが可能となり、冷却効果を高めることができる。
【0011】
なお、前記換気設備は、ハウジングの内外を連通する通気口と、通気口を介してハウジング内を通気するための送風機とを備え、冷却機構は、送風機の送風で冷却される冷却器と、熱を発生する機器と冷却器との間で冷却媒体を循環させる冷却媒体循環路とを備え、送風機の送風で冷却媒体を冷却することで、熱を発生する機器の冷却を行う。
【0012】
この構成によれば、ハウジング内の換気を行う換気設備の送風機を、熱を発生する機器の冷却に共用できるので、熱を発生する機器の冷却専用の送風機を設置する必要がなくなり、冷却機構の構成を簡素化することが可能となる。また、送風機だけでなく、サイレンサー、電源ケーブル、操作制御機構なども共用・簡素化できるので、ポンプ設備全体が簡素化される。
【0013】
さらに、前記冷却器を前記ハウジングの外部に設置して、前記冷却器が外気に曝されることによる自然放熱と、前記送風機の送風による強制冷却との両方により除熱されるようにしてもよい。
【0014】
一般に、ポンプ設備においては、発熱源となる機器が設置されている関係上、ハウジング内の温度は外気よりも5℃〜10℃程度高い温度になっている。しかしながら、上記の構成によれば、ハウジング内よりも温度が低い外気を利用して熱を発生する機器を冷却できるので、その冷却効果をより高めることが可能となる。
【0015】
また、本発明の別の態様では、ポンプと、ポンプを設置するための建屋のハウジングと、ポンプを駆動する駆動機又は減速機と、ハウジング内に設置されポンプの運転時に動作することで熱を発生する機器と、熱を発生する機器を冷却する冷却機構とを備え、冷却機構は、駆動機又は減速機の回転軸から取り出した動力で動作する送風機を備え、該送風機の送風を利用して、熱を発生する機器の冷却とハウジング内の換気とを同時に行うことを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、送風機を動作させるためのモータなどの駆動手段が不要になるので、熱を発生する機器を冷却する冷却機構の構成をさらに簡素化することが可能となる。したがって、ポンプ設備に故障などの異常が発生する確率を低く抑えることができ、ポンプ設備の信頼性を向上させることができる。
【0017】
また、さらに本発明の別の態様として、前記ポンプ設備において、ポンプを設置するための建屋のハウジングと、ハウジング内とは隔てられた空間で外気を流通させる外気流通路とを備え、送風機と冷却器とを外気流通路内に設置し、冷却器をハウジングの外気で冷却して、冷却器の放熱を外気流通路を介してハウジングの外部に放出するようにしても構わない。
【0018】
この構成によれば、冷却器の放熱をハウジングの外部に放出できるので、ハウジング内の温度上昇を抑えることができる。
【0019】
さらに、前記熱を発生する機器は、前記ポンプを駆動する駆動機、減速機、前記駆動機及び/又は減速機の動作を制御する制御装置、前記ポンプの軸受、のうちの少なくともいずれかであってもよい。
【0020】
さらに、前記ポンプ設備では、一のポンプ設備に、ポンプと熱を発生する機器と冷却機構とからなる組を複数組設置すると共に、ポンプ設備に設置する送風機の台数をポンプの台数よりも多くし、各ポンプをいずれかの送風機に対応させ、各ポンプの運転時に動作することで熱を発生する機器の冷却をいずれかの送風機で行うように構成し、さらに、対応するポンプが無い送風機を、他の送風機に異常が発生した際の予備冷却用の送風機として用いるようにしてもよい。
【0021】
この場合、予備冷却用の送風機の送風で冷却される予備冷却器と、各冷却機構が備える各冷却媒体流路と予備冷却器とを接続する予備循環路と、該予備循環路における各冷却媒体循環路との間に設けた開閉弁と、を備え、いずれかの送風機に異常が発生した場合に、該異常が発生した送風機に対応する冷却媒体循環路との間の開閉弁を開いて予備循環路に冷却媒体を導くことで、予備冷却用の送風機で、異常が発生した送風機に対応する熱を発生する機器を冷却するようにしてもよい。
【0022】
この構成によれば、いずれかの送風機による送風ができなくなっても、予備冷却用の送風機を用いて熱を発生する機器を冷却することが可能となる。したがって、送風機に故障などの異常が発生した場合でもポンプを停止させずに済むので、ポンプ設備の信頼性が向上する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ポンプ設備の機器の点数を減らすなどしてポンプ設備の構成を簡素化でき、且つ冷却効果を高めることができるので、ポンプ設備の信頼性、経済性、及び機能を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態にかかるポンプ設備の概略側断面図である。同図に示すポンプ設備1は、河川における内水の排水を行う排水機場などに設置される設備である。このポンプ設備1は、排水すべき水を溜める(水が流入する)水槽2と、水槽2内に設置したポンプ3とを備えている。また、水槽2の上部には、床7aと床7bとからなる二段の床が設けられており、上段の床7b上には、ポンプ3を駆動する駆動機4と、駆動機4の駆動軸4aに連結された減速機5とが設置されている。減速機5には、ポンプ3のポンプ軸3aが連結されている。駆動機4を駆動すると、減速機5を介してポンプ3のポンプ軸3aが回転し、ポンプ3によって水槽2内の水が揚水される。駆動機4には、電動機やディーゼルエンジンなどが用いられ、ポンプ3の運転の際に、駆動機4や減速機5は熱を発生する。
【0025】
駆動機4や減速機5を含むポンプ設備1の構成機器は、水槽2の上部に設置された建屋8のハウジング8a内に配置されている。ハウジング8aには、換気設備10が設けられている。換気設備10は、ハウジング8aの側壁の異なる箇所に設けた、空気流入口(通気口)11と空気流出口(通気口)22とを備えている。空気流入口11には、空気流入ダクト12が設置され、空気流入ダクト12内には、送風機13が設置されている。モータ13aにより、送風機13を駆動することにより、外気は空気流入口11から空気流入ダクト12を通ってハウジング8a内に強制的に外気を流入するようになっている。一方、空気流出口22には、送風機は設置されていない。したがって、本実施形態の換気設備10は、強制給気・自然排気でハウジング8a内の換気を行う場合の一例である。なお、換気方式としては、換気設備10以外にも、排気側にも送風機を設置する強制給気・強制排気方式としても構わない。
【0026】
空気流入ダクト12内には、冷却媒体を冷却するための冷却器(ラジエータ)14が設置されている。冷却器14は、空気流入ダクト12内の送風機13の下流側に設置されている。冷却器14と駆動機4との間には、これらの間で冷却媒体を循環させる冷却媒体循環路15が設けられている。ここでの冷却媒体としては、冷却水や冷却油などが用いられる。駆動機4には、冷却媒体循環路15内の冷却媒体を送液する送液手段が設置されている。送液手段には、駆動機4内に設置された送液用ポンプ15aが用いられる。この送液用ポンプ15aは、駆動軸4aの軸端に連結された軸端ポンプ又は電動機掛ポンプなどである。
【0027】
上記の冷却器14と冷却媒体循環路15と送液用ポンプ15aと送風機13とで、駆動機4を冷却する冷却機構20が構成されている。この冷却機構20では、送風機13の送風で冷却器14を冷却し、冷却媒体循環路15を循環する冷却媒体との間で熱交換を行い、この冷却媒体によって駆動機4を冷却する。すなわち、冷却機構20は、ハウジング8a内を換気する換気設備10を利用して、冷たい外気により熱を発生する機器である駆動機4を冷却するようになっている。
【0028】
また、空気流入ダクト12内には、別の冷却器16が設置されている。この冷却器16と減速機5との間には、これらの間で冷却媒体を循環させる冷却媒体循環路17が設けられている。また、冷却媒体循環路17の冷却媒体を送液する送液手段が設置されている。送液手段には、減速機5に設置された送液用ポンプ17aが用いられる。上記の冷却器16と冷却媒体循環路17と送液用ポンプ17aと送風機13とで、減速機5を冷却するための冷却機構21が構成されている。
【0029】
このポンプ設備1によれば、冷却機構20及び冷却機構21は、換気設備10が備える送風機13の送風で駆動機4や減速機5を冷却するように構成したので、冷却機構20と冷却機構21と換気設備10とで、送風機13を共用することができる。したがって、冷却機構20,21や換気設備10の機器の設置数を減らすことができるので、その分、ポンプ設備1の構成を簡素化することができる。これにより、ポンプ設備1に故障などの異常が発生する確率を低く抑えることができ、ポンプ設備1の信頼性が向上する。なお、送風機13だけでなく、送風機13に関連する機器として、例えば、空気流入ダクト12内にサイレンサー(図示せず)などを設置する場合は、これらの機器も共用されることになるので、その点においてもポンプ設備1の構成を簡素化することが可能となる。
【0030】
一般に、上記のようなポンプ設備1においては、駆動機4や減速機5などの発熱により、ハウジング8a内の温度は外気の温度よりも約5〜10℃高い温度となっている。したがって、本実施形態の冷却機構20,21では、ハウジング8a内の温度よりも低い温度である外気で駆動機4や減速機5を冷却することになるので、それらの冷却効果を高めることが可能となる。なお、温度の低い外気で冷却媒体を冷却すれば、必要となる冷却風量が小さくなるため、送風機13は、ハウジング8a内の換気に必要な送風能力さえ備えていれば、その容量をあまり大きくする必要が無い。このため、設置する送風機13は比較的小型のもので足りるので、その点においてもポンプ設備1の構成の簡素化、建設コストの低減が可能となる。
【0031】
ここで、ハウジング8aの空気流入口11及びその周辺の他の構成例について説明する。図2は、空気流入口11及びその周辺の他の構成例を示す図である。なお、図2では、冷却器14と冷却器16のうち冷却器14のみを図示し、該冷却器14を例に説明するが、以下の冷却器14についての説明は冷却器16にも適用できるものである。同図(a)では、空気流入ダクト12の流入端12aをハウジング8aの側壁から外部に突出させている。そして、空気流入ダクト12の側壁から出ている部分に送風機13と冷却器14とを設置している。これにより、冷却器14がハウジング8aの外部に配置され、冷却器14がハウジング8aの外気の温度に曝されるので、外気に曝されることによる自然放熱と送風機13の送風による強制冷却との二つの冷却効果により、効果的に冷却されるようになる。
【0032】
また、図2(b)では、空気流入ダクト12をハウジング8aの側壁から突出させず、空気流入ダクト12の流入端12aを側壁の外面と一致させている。これは、ポンプ設備1を降雪量が多い地域に設置するときの積雪の問題や、建坪率などの建築条件により、ハウジング8aの側壁から建屋8の外部に構造物を突出させることができない場合の対応として採用されるものである。
【0033】
また、一般にハウジング8a内の換気を行う送風機13は、換気の効率などを考慮してハウジング8a内の比較的高い位置に設けられることが多い。その場合、何らかの要因で冷却器14内に空気が入り込むと、冷却器14内を冷却媒体がスムーズに流れなくなり、冷却媒体の冷却が不十分あるいは不能になるおそれがある。そのような場合は、図2(c)に示すように、冷却器14内の上部(天端部などの空気が溜まり易い部分)に、空気抜き用の弁14aを設置するとよい。この空気抜き用の弁14aは、自動空気抜き弁とすることもできる。
【0034】
図2(d)では、空気流入ダクト12とは別に、外気を流通させる外気流通路18を設置し、この外気流通路18内に、送風機13とは別の送風機19と冷却器14とを設置している。こうして、ハウジング8a内の換気に用いる送風機13とは別の送風機19で冷却器14を冷却し、冷却後の温度の高い空気をハウジング8a内に排出せず屋外に排出して、ハウジング8a内の室温の上昇を抑えるようにしても良い。
【0035】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態にかかるポンプ設備を説明する。なお、本実施形態のポンプ設備の説明や図面においては、第1実施形態と共通する構成部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。また、以下で説明する事項以外の事項については、第1実施形態と同じである。以下の他の実施形態においても同様とする。図3は、本発明の第2実施形態にかかるポンプ設備1−2の概略側断面図である。同図に示すポンプ設備1−2が備える駆動機4は、電動機である。そしてポンプ設備1−2には、駆動機4の回転数を制御する回転数制御装置(制御装置)31がハウジング8a内に設置されている。ここでの回転数制御装置31は、インバータ制御装置やセルビウス制御装置などである。回転数制御装置31は、駆動機4と電気的に接続され、駆動機4の回転数等を運転制御するようになっている。回転数制御装置31は、ポンプ3の運転を制御することにより熱を発生する。
【0036】
本実施形態の冷却機構23は、回転数制御装置31を冷却するように構成されている。冷却機構23は、空気流入ダクト12内に設置された冷却器32と、回転数制御装置31と冷却器32との間で冷却媒体を循環させる冷却媒体循環路33と、冷却媒体循環路33の冷却媒体を送液する送液ポンプなどの送液手段(図示せず)とを備えて構成されている。この冷却機構23は、送風機13の送風で冷却器32を冷却することで、冷却媒体との間で熱交換が行われ、該冷却媒体が冷却され回転数制御装置31を冷却する。駆動機(電動機)4の出力が大きい場合などは、駆動機4の回転数を制御する回転数制御装置31には、高圧インバータ制御盤などが用いられる。この高圧インバータ制御盤は、動作時の発熱量が多いため、盤内で発生した熱を自然放熱させるだけでは必要な冷却量が賄えない場合があるが、本実施形態の冷却機構23を用いることにより十分な冷却が可能となる。
【0037】
すなわち、従来は別途の補機設備として、冷却水による冷却設備(冷却水槽、冷却水ポンプ、クーリングタワーなどを有する冷却設備)を備え、この冷却設備で回転数制御装置31を冷却する必要があった。しかしながら、このような冷却水による冷却設備を備えると、ポンプ設備の構成が非常に大掛かりになってしまう。この点、本実施形態のポンプ設備1−2によれば、換気設備10の送風機13を利用して回転数制御装置31の冷却が行えるので、回転数制御装置31の発熱量が多くても、上記のような補機設備を設ける必要がない。これにより、ポンプ設備1−2の構成を大幅に簡素化できるので、その経済性・維持管理性・信頼性の向上が可能となる。
【0038】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態にかかるポンプ設備を説明する。図4は、本発明の第3実施形態にかかるポンプ設備1−3の概略側断面図である。同図に示すポンプ設備1−3では、ポンプ3を駆動する駆動機4は、巻線型電動機である。そして、巻線型電動機の回転数を制御する回転数制御用の液体抵抗器34がハウジング8aの床7a上に設置されている。液体抵抗器34はポンプ3の運転の際に、駆動機(巻線型電動機)4の動作に伴って発生する熱を冷却するように構成されている。
【0039】
すなわち、冷却機構24は、空気流入ダクト12内に設置された冷却器35と、液体抵抗器34と冷却器35との間で冷却媒体を循環させる冷却媒体循環路36と、冷却媒体循環路36の冷却媒体を送液する送液ポンプなどの送液手段(図示せず)とを備えて構成されている。冷却機構24は、送風機13の送風で冷却器35を冷却することで、冷却媒体を介して液体抵抗器34を冷却するようになっている。
【0040】
〔第4実施形態〕
次に、本発明の第4実施形態にかかるポンプ設備を説明する。図5は、本発明の第4実施形態にかかるポンプ設備1−4の概略側断面図である。同図に示すように、ポンプ設備1−4のポンプ3には、ポンプ軸3aを回転自在に支承するための軸受6が設置されている。軸受6は、ポンプ3の運転の際にポンプ軸3aの回転に伴って熱を発生する。本実施形態の冷却機構25は、軸受6を冷却するように構成されている。
【0041】
すなわち、冷却機構25は、空気流入ダクト12内に設置された冷却器37と、軸受6と冷却器37との間で冷却媒体を循環させる冷却媒体循環路38と、冷却媒体循環路38の冷却媒体を送液(循環)する送液ポンプなどの送液手段(図示せず)とを備えて構成されている。冷却機構25は、送風機13の送風で冷却器37を冷却することで、冷却媒体との間で熱交換が行われ、冷却された冷却媒体を介して軸受6を冷却する。
【0042】
〔第5実施形態〕
次に、本発明の第5実施形態にかかるポンプ設備を説明する。図6は、本発明の第5実施形態にかかるポンプ設備1−5の概略側断面図である。同図に示すポンプ設備1−5は、駆動機4又は減速機5の駆動軸(回転軸)4aから取り出した動力で動作する送風機39を備えている。本実施形態の冷却機構26は、この送風機39の送風を利用してポンプ3の軸受6を冷却するように構成されている。
【0043】
すなわち、冷却機構26は、送風機39の送風があたる位置に設置された冷却器40と、軸受6と冷却器40との間で冷却媒体を循環させる冷却媒体循環路41と、冷却媒体循環路41の冷却媒体を送液する送液ポンプなどの送液手段(図示せず)とを備えて構成されている。冷却機構26は、送風機39の送風で冷却器40を冷却することで、冷却媒体を介して軸受6を冷却する。
【0044】
本実施形態のポンプ設備1−5では、駆動軸4aの軸端から取り出された動力で動作する送風機39で熱を発生する機器を冷却し、かつハウジング8a内の換気を行うため、冷却用及び換気用として、モータなどの駆動手段を備えた別置の送風機を設ける必要がなくなる。このように、別置の送風機が不要となることで、ポンプ設備1−5の機器の点数を減らすことができる。また、送風機用のモータなどの駆動手段が不要になることで、その分、ポンプ設備1−5の構成を簡素化することが可能となる。したがって、ポンプ設備1−5に故障などの異常が発生する確率が低くなり、ポンプ設備1−5の信頼性が向上する。なお、本実施形態では、ポンプ3の運転時に熱を発生する機器として、ポンプ3の軸受6を挙げ、該軸受6を冷却機構26で冷却する場合を説明したが、これ以外にも、熱を発生する機器には、上記の駆動機4や減速機5あるいは制御装置31などもあり、本実施形態の冷却機構26は、それらを冷却するように構成してもよい。また、図6においては、冷却機構26を冷却した後の空気をダクト29により直接屋外に排風しているが、これ以外にも、ダクト29を設けずに直接屋内に排風する方式としても構わない。
【0045】
〔第6実施形態〕
次に、本発明の第6実施形態にかかるポンプ設備を説明する。図7は、本発明の第6実施形態にかかるポンプ設備1−6の概略側断面図である。同図に示すポンプ設備1−6は、駆動機4又は減速機5の駆動軸4aから取り出した動力で動作する送風機42を備えている。さらに、ハウジング8aの内部とは隔離された空間で外気を流通させる外気流通路43を備えている。外気流通路43は、流入口43aと流出口43bとがハウジング8aの外部に連通する外気流通ダクト43で構成されている。そして、外気流通ダクト43内に送風機42が設置されている。
【0046】
また、外気流通ダクト43内には、通風時の送風機42の駆動音を敷地境界で規制値以下になるように減音するためのサイレンサー45が設置されている。サイレンサー45は、設置を省略することも可能である。なお、外気流通ダクト43の流入口43aと流出口43bとは、ハウジング8aの側壁に設けられていて、外気流通ダクト43の本体部分は、ハウジング8aの内部に配置されている。
【0047】
本実施形態の冷却機構27は、回転数制御装置31を冷却するように構成されている。冷却機構27は、外気流通ダクト43内の送風機42の下流側に設置された冷却器44と、回転数制御装置31と冷却器44との間で冷却媒体を循環させる冷却媒体循環路46と、冷却媒体循環路46の冷却媒体を送る送液ポンプなどの送液手段(図示せず)とを備えて構成されている。これにより、冷却器44をハウジング8aの外気で冷却すると共に、冷却器44からの放熱をハウジング8aの外部に放出するようにしている。
【0048】
ポンプ設備1−6によれば、冷却器44をハウジング8aの外部の空気で冷却すると共に、冷却器44からの放熱をそのままハウジング8aの外部に放出できるので、回転数制御装置31の冷却効果を高めることができる。また、ハウジング8a内の温度上昇を抑えることができる。ハウジング8a内の温度上昇が抑えられることで、ハウジング8a内を換気する換気設備10において送風機13の容量を小さくできるので、その分、ポンプ設備1−6の構成を簡素化し、経済性を向上させることができる。なお、本実施形態では、ポンプ3の運転時に動作することで熱を発生する機器として、駆動機4の回転数を制御する回転数制御装置31を挙げ、この回転数制御装置31を冷却機構27で冷却する場合を説明したが、これ以外にも、熱を発生する機器には、上記の駆動機4や減速機5あるいはポンプ3の軸受6などもあり、本実施形態の冷却機構27は、それらを冷却するように構成してもよい。
【0049】
〔第7実施形態〕
次に、本発明の第7実施形態にかかるポンプ設備を説明する。図8は、本発明の第7実施形態にかかるポンプ設備1−7の構成を示す図である。同図に示すポンプ設備1−7は、第1実施形態のポンプ設備1において、一のポンプ設備1に、ポンプ3と駆動機4及び減速機5とを備える組を複数組設置すると共に、ハウジング8a内を換気する換気設備10の送風機13を複数台設置している。そして、一のポンプ設備1に設置する送風機13の台数をポンプ3の台数よりも多くし(図では、ポンプ3を3台設置して、送風機13を4台設置している。)、さらに、各ポンプ3をいずれかの送風機13に対応させるようにしている。つまり、各送風機13で冷却される冷却器14といずれかの駆動機4とを冷却媒体循環路15で接続することで、各送風機13をいずれかの駆動機4の冷却に用いるように構成している。
【0050】
その上で、対応するポンプが無い送風機13を、他の送風機13に異常が発生した際に、予備冷却用の送風機13−2として用いるように構成している。すなわち、予備冷却用の送風機13−2で冷却される予備冷却器14−2を設置し、予備冷却器14−2と各冷却媒体循環路15とを連通接続する予備循環路28を設けている。また、予備循環路28における各冷却媒体循環路15との間には、開閉弁28aを設置している。
【0051】
これにより、いずれかの送風機13に故障などの異常が発生した場合、その送風機13に対応する予備循環路28の開閉弁28aを開くことにより、冷却媒体循環路15内の冷却媒体を予備循環路28に流入させて、予備冷却器14−2に導くことができる。こうして、予備冷却器14−2が予備冷却用の送風機13−2で冷却されることにより、故障した送風機13に対応する冷却媒体循環路15の冷却媒体が冷却されるので、対応する駆動機4の冷却が継続される。これにより、対応するポンプ3の運転を継続することができるようになる。
【0052】
熱を発生する機器を送風機13で冷却する冷却方式では、送風機13がポンプ3に対して1対1の関係(いわゆる専属補機の関係)にあると、いずれかのポンプ3に対応する送風機13が故障した場合、熱を発生する機器の冷却が行えなくなるので、当該ポンプ3を停止しなければならない。しかしながら、本実施形態のポンプ設備1−7によれば、いずれかの送風機13の故障の際には、予備冷却用の送風機13−2を用いて熱を発生する機器の冷却を継続することが可能となる。したがって、送風機13に故障などの異常が発生した場合でもポンプ3の運転を停止させずに済むので、ポンプ設備1−7の信頼性が向上する。
【0053】
なお、上記では、本実施形態のポンプ設備1−7の構成を第1実施形態のポンプ設備1に適用する場合を説明したが、本実施形態のポンプ設備1−7の構成は、第2実施形態以降の他の実施形態のポンプ設備にも適用することが可能である。
【0054】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状・構造・材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば、上記各実施形態では、ポンプ設備1〜1−7が備えるポンプ3が立軸ポンプである場合を説明したが、本発明のポンプ設備が備えるポンプは、他の型式のポンプであっても構わない。したがって、上記の立軸ポンプ以外にも、例えば、渦巻きポンプや横軸ポンプを採用してもよい。また、上記実施形態では、ポンプ3を駆動する駆動機4の駆動軸4aに減速機5が連結されている場合を説明したが、本発明のポンプ装置は、必ずしも減速機を備えていなくてもよい。
【0055】
また、上記各実施形態では、ハウジング8aの換気設備10は、給気側に送風機13を設置しており、強制給気・自然排気方式で換気を行う場合を説明したが、本発明のポンプ設備が備える換気設備は、これ以外にも、排気側に送風機を設置することで、自然給気・強制排気方式で換気を行うものでもよい。その場合は、排気側の送風機の送風を利用して熱を発生する機器を冷却すればよい。
【0056】
また、上記各実施形態で示すポンプの運転時に動作することで熱を発生する機器の例は一例であり、上記したもの以外にも、ポンプ設備が備える各種機器のうち、ポンプの運転時に動作することで熱を発生する機器であれば、本発明の冷却機構による冷却の対象とすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1実施形態にかかるポンプ設備の概略側断面図である。
【図2】空気流入口の他の構成例を示す図である。
【図3】本発明の第2実施形態にかかるポンプ設備の概略側断面図である。
【図4】本発明の第3実施形態にかかるポンプ設備の概略側断面図である。
【図5】本発明の第4実施形態にかかるポンプ設備の概略側断面図である。
【図6】本発明の第5実施形態にかかるポンプ設備の概略側断面図である。
【図7】本発明の第6実施形態にかかるポンプ設備の概略側断面図である。
【図8】本発明の第7実施形態にかかるポンプ設備の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
1〜1−7 ポンプ設備
2 水槽
3 ポンプ
4 駆動機
4a 駆動軸(回転軸)
5 減速機
6 軸受
8 建屋
8a ハウジング
10 換気設備
11 空気流入口
12 空気流入ダクト
13 送風機
14 冷却器(ラジエータ)
14−2 予備冷却器
15 冷却媒体循環路
16 冷却器(ラジエータ)
17 冷却媒体循環路
18 外気流通路
19 送風機
20 冷却機構
21 冷却機構
22 空気流出口
23 冷却機構
24 冷却機構
25 冷却機構
26 冷却機構
27 冷却機構
28 予備循環路
28a 開閉弁
31 回転数制御装置(制御装置)
32 冷却器(ラジエータ)
33 冷却媒体循環路
34 液体抵抗器
35 冷却器(ラジエータ)
36 冷却媒体循環路
37 冷却器(ラジエータ)
38 冷却媒体循環路
39 送風機
40 冷却器(ラジエータ)
41 冷却媒体循環路
42 送風機
43 外気流通路(外気流通ダクト)
44 冷却器
45 サイレンサー
46 冷却媒体循環路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプと、前記ポンプを設置するための建屋のハウジングと、前記ハウジング内の換気を行う換気設備と、前記ハウジング内に設置され前記ポンプの運転時に動作することで熱を発生する機器と、前記熱を発生する機器を冷却する冷却機構と、を備えるポンプ設備であって、
前記換気設備は、前記ハウジングの内外を連通する通気口と、前記通気口を介してハウジング内を通気するための送風機とを備え、
前記冷却機構は、前記送風機の送風で冷却される冷却器と、前記熱を発生する機器と前記冷却器との間で冷却媒体を循環させる冷却媒体循環路とを備え、前記送風機の送風で前記冷却媒体を冷却することで、前記熱を発生する機器を冷却することを特徴とするポンプ設備。
【請求項2】
請求項1に記載のポンプ設備において、
前記冷却器を前記ハウジングの外部に設置して、前記冷却器が外気に曝されることによる自然放熱と、前記送風機の送風による強制冷却との両方により除熱されるようにしたことを特徴とするポンプ設備。
【請求項3】
ポンプと、前記ポンプを設置するための建屋のハウジングと、前記ポンプを駆動する駆動機又は減速機と、前記ハウジング内に設置され前記ポンプの運転時に動作することで熱を発生する機器と、前記熱を発生する機器を冷却する冷却機構と、を備えるポンプ設備であって、
前記冷却機構は、前記駆動機又は減速機の回転軸から取り出した動力で動作する送風機を備え、該送風機の送風を利用して、前記熱を発生する機器の冷却と前記ハウジング内の換気とを同時に行うことを特徴とするポンプ設備。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のポンプ設備において、
前記熱を発生する機器は、前記ポンプを駆動する駆動機、減速機、前記駆動機及び/又は減速機の動作を制御する制御装置、前記ポンプの軸受、のうちの少なくともいずれかであることを特徴とするポンプ設備。
【請求項5】
請求項1に記載のポンプ設備において、
一のポンプ設備に、前記ポンプと前記熱を発生する機器と前記冷却機構とからなる組を複数組設置し、
さらに、予備冷却用の送風機と、前記予備冷却用の送風機の送風で冷却される予備冷却器と、前記各冷却機構が備える各冷却媒体循環路と前記予備冷却器とを接続する予備循環路と、該予備循環路における各冷却媒体循環路との間に設けた開閉弁と、を備え、
前記冷却機構が備える送風機に異常が発生した場合に、該異常が発生した送風機に対応する前記冷却媒体循環路との間の開閉弁を開いて前記予備循環路に冷却媒体を導くことで、前記予備冷却用の送風機で、前記異常が発生した送風機に対応する前記熱を発生する機器を冷却することを特徴とするポンプ設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−297920(P2008−297920A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−142065(P2007−142065)
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【出願人】(506236820)株式会社 荏原由倉ハイドロテック (31)
【Fターム(参考)】