説明

ポーラスアスファルト混合物及びこれを用いた施工方法

【課題】路面のすべり抵抗性を長期間にわたり維持することができるポーラスアスファルト混合物及び施工方法を提供する。
【解決手段】ポーラスアスファルト混合物は、アスファルト系バインダ、骨材、及び、フィラーを必須成分とする。骨材は、第1摩耗率骨材と、第1摩耗率骨材より高摩耗率の第2摩耗率骨材とを有し、第1摩耗率骨材と第2摩耗率骨材との配合比が1:0.5〜1:2である。第1摩耗率骨材は、混合物に対する重量比で20%以上含み、当該混合物の促進摩耗試験後のBPN値が40以上であって、促進摩耗試験前のBPN値に対する促進摩耗試験後のBPN値の低下率が20%以下となる摩耗率である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポーラスアスファルト混合物及びこれを用いた施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、道路の舗装に、高い空隙率を有し、雨水を路面下にすみやかに浸透させる機能や車両走行による交通騒音を低減させる機能を有するポーラスアスファルト混合物が用いられている。このようなポーラスアスファルト混合物を用いたポーラスアスファルト舗装については、その機能をさらに改善すべく、種々の提案がなされている。例えば、特許文献1には、ポーラスアスファルト舗装の舗装体表面に特定の表面処理材を散布することで、舗装体表面側の骨材を強力に舗装体側に接着して、骨材の剥がれ、飛散を抑制、防止することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−108628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年の大型車交通量の増大に伴い、アスファルト舗装道路の性能として、より高い耐摩耗性が求められるようになっている。このため、ポーラスアスファルト混合物においては、路面のすべり抵抗性を長期間にわたり維持することが求められている。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、路面のすべり抵抗性を長期間にわたり維持することができるポーラスアスファルト混合物及び施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点にかかるポーラスアスファルト混合物は、
アスファルト系バインダ、骨材、及び、フィラーを必須成分とするポーラスアスファルト混合物であって、
前記骨材は、第1摩耗率骨材と、該第1摩耗率骨材より高摩耗率の第2摩耗率骨材とを有し、
前記第1摩耗率骨材と前記第2摩耗率骨材との配合比が1:0.5〜1:2であり、
前記第1摩耗率骨材は、混合物に対する重量比で20%以上含み、当該混合物の促進摩耗試験後のBPN値が40以上であって、促進摩耗試験前のBPN値に対する促進摩耗試験後のBPN値の低下率が20%以下となる摩耗率である、ことを特徴とする。
【0007】
前記第1摩耗率骨材は、例えば、硬質砂岩であり、前記第2摩耗率骨材は、例えば、転炉スラグである。
【0008】
本発明の第2の観点にかかる施工方法は、
ポーラスアスファルト混合物を用いてアスファルト舗装を施工する施工方法であって、
前記ポーラスアスファルト混合物に本発明の第1の観点にかかるポーラスアスファルト混合物を用いる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、路面のすべり抵抗性を長期間にわたり維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】促進摩耗試験を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のポーラスアスファルト混合物及びこれを用いた施工方法について、図面を参照して説明する。
【0012】
本発明のポーラスアスファルト混合物は、アスファルト系バインダと、骨材と、フィラーとを必須成分とする混合物である。
【0013】
ポーラスアスファルト混合物とは、例えば、2.36mmふるいを通過する大きさの骨材のような、微小粒径の骨材を少なくすることにより、当該混合物内に20%程度の空隙を形成した舗装用混合物である。
【0014】
本発明に用いられるアスファルト系バインダとしては、舗装用石油アスファルト、ポリマー改質アスファルト、セミブローンアスファルト、及び、天然アスファルトなどを挙げることができる。このうち、アスファルト混合物の耐摩耗性などの各種の性状を向上させることができるポリマー改質アスファルトを用いることが好ましく、用途に応じて、I型、II型、III型、及び、H型のものを適宜用いることが好ましい。
【0015】
骨材としては、砕石、玉砕、砂利、スラグ、砂、及び、再生骨材などの適宜の材料を挙げることができる。このような骨材のうち、本発明に用いられる骨材は、所定の摩耗率の第1摩耗率骨材と、第1摩耗率骨材より高摩耗率の第2摩耗率骨材とを有している。第1摩耗率骨材(低摩耗率骨材)としては、例えば、硬質砂岩などを挙げることができる。第2摩耗率骨材(高摩耗率骨材)としては、例えば、転炉スラグなどを挙げることができる。
【0016】
このように、本発明に用いられる骨材は、摩耗率の異なる複数の骨材を有しているので、交通車両により骨材の表面がすり磨かれても、例えば、低摩耗率骨材では凸形状を残し、高摩耗率骨材では凹形状となるように、骨材の種類により摩耗状況が異なる。このため、全体として不均一な形状を維持することができる。このように、本発明のポーラスアスファルト混合物を用いることにより、路面のすべり抵抗性を長期間にわたり維持することができる。
【0017】
低摩耗率骨材と高摩耗率骨材とは、その配合比が1:0.5〜1:2となるように配合されている。かかる範囲とすることにより、全体として不均一な形状が維持されるためである。低摩耗率骨材と高摩耗率骨材との配合比は、1:0.67〜1:1.5とすることが好ましく、1:0.83〜1:1.2とすることがさらに好ましい。かかる範囲にすることにより、全体として、さらに不均一な形状が維持されるためである。
【0018】
また、低摩耗率骨材は、ポーラスアスファルト混合物に対する重量比で20%以上含まれている。低摩耗率骨材を混合物に対する重量比で20%以上含ませることにより、交通車両により骨材の表面がすり磨かれても、所定の割合で凸形状を残し、全体として不均一な形状が維持されるためである。
【0019】
さらに、低摩耗率骨材は、ポーラスアスファルト混合物の促進摩耗試験後のBPN(British Pendulum Number)値が40以上であって、ポーラスアスファルト混合物の促進摩耗試験前のBPN値に対するポーラスアスファルト混合物の促進摩耗試験後のBPN値の低下率が20%以下となる摩耗率である。
【0020】
ここで、本発明における促進摩耗試験とは、図1に示す回転ラベリング試験機1を用いて、本発明のポーラスアスファルト混合物を用いた舗装版の供試体2の表面にタイヤ3によりすり磨き荷重を作用させる試験をいう。図1に示すように、回転ラベリング試験機1には、8枚の供試体2がセットされている。この供試体2がセットされたテーブル及びタイヤ3が回転(例えば、14km/h)して供試体2の表面を摩耗させることにより、供試体2の促進摩耗試験が行われる。促進摩耗試験の走行回数は6万回とした。なお、供試体2は、上底33cm、下底53cm、高さ25cmの台形状であって、その厚さが5cmに形成されている。また、この試験においては、タイヤ3は同一軌跡を走行するのではなく、供試体2中央を17cmの幅でトラバース走行させる。さらに、試験機運転中は散水(例えば、0.7m/h)が常時行われ、アスファルト皮膜の剥離を促進させている。
【0021】
促進摩耗試験後のBPN値とは、この促進摩耗試験を行った後、振り子式すべり抵抗試験方法により測定したBPN値をいう。振り子式すべり抵抗試験方法とは、「舗装調査・試験法便覧(第1分冊)第I章総説編、第II章調査編」(社団法人日本道路協会、平成19年6月発行)の「S021−2 振り子式スキッドレジスタンステスタによるすべり抵抗測定方法」に記載された試験方法をいう。
【0022】
すなわち、本発明に用いられる骨材は、ポーラスアスファルト混合物の促進摩耗試験後に振り子式すべり抵抗試験方法により測定したBPN値が40以上、かつ、ポーラスアスファルト混合物の促進摩耗試験前に振り子式すべり抵抗試験方法により測定したBPN値に対するポーラスアスファルト混合物の促進摩耗試験後に振り子式すべり抵抗試験方法により測定したBPN値の低下率が20%以下である低摩耗率骨材を有している。
【0023】
本発明に用いられるフィラーとしては、石粉、消石灰、セメント、回収ダスト、及び、フライアッシュなどの適宜の材料を挙げることができる。
【0024】
なお、本発明に用いられるポーラスアスファルト混合物には、さらに各種の混和剤、ポリマーなどの適宜の材料を添加してもよい。
【0025】
次に、本発明のポーラスアスファルト混合物の製造方法について説明する。本発明のポーラスアスファルト混合物の製造方法は、骨材に低摩耗率骨材が含まれることを除けば、通常のアスファルト混合物の製造方法と同じである。
【0026】
まず、ストックヤードに貯蔵した各骨材をコールドホッパへ投入し、配合設計で決められた量と割合でコールドフィーダによりドライヤへ送って加熱する。次に、ドライヤで加熱した骨材を、ホットエレベータによりバッチタワー上部へ上げ、例えば、振動フルイにより分級してサイズごとに各ホットビンへ投入する。続いて、製造バッチごとに配合設計で決められた量および割合の骨材をホットビンから計量槽へ移し、計量を行った後にパグミルミキサへ投入する。なお、このとき、低摩耗率骨材についても投入する。最後に、配合設計で決められた量のアスファルトと石粉とを添加して、所定の温度、例えば、170℃で加熱混合することにより、本発明のポーラスアスファルト混合物が得られる。
【0027】
次に、本発明のポーラスアスファルト混合物を用いた施工方法について説明する。本発明のポーラスアスファルト混合物を用いた施工方法は、通常のアスファルト混合物を用いた施工方法と同じである。
【0028】
まず、前述の方法により製造されたポーラスアスファルト混合物をアスファルトプラントから施工現場まで搬送する。次に、搬送されたポーラスアスファルト混合物を施工基面上にアスファルトフィニッシャ等の敷均し機械を用いて敷き均す。続いて、例えば、ロードローラのような締固め機械を用いて締め固める。そして、締め固めたポーラスアスファルト混合物を、例えば、タイヤローラのような締固め機械を用いて再度締め固める。これにより、施工基面上にポーラスアスファルト混合物層が形成される。なお、この再度の締め固めは2回程度行われることが好ましい。例えば、その1回目はタイヤ表面に水を噴霧させながら行い、2回目はポーラスアスファルト混合物層表面のアスファルト被膜を軟化させるために、水に代えて軟化剤を噴霧させながら行うことが好ましい。軟化剤としては、軽油、灯油等のアスファルト用の溶剤のような公知の適宜の軟化剤を用いることができる。また、前述のように、ポーラスアスファルト混合物は、所定の温度で加熱混合することにより形成されていることから、例えば、アスファルトプラントからの出荷温度で170±10℃、施工現場への到着温度で160±10℃、ロードローラによる一次締固め温度で150±20℃、タイヤローラによる二次締固め温度で70±10℃程度であることが好ましい。
【実施例】
【0029】
以下、本発明の具体的な実施例、比較例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
【0030】
(実施例1)
前述のポーラスアスファルト混合物の製造方法に従い、まず、ストックヤードに貯蔵した各骨材をコールドホッパへ投入し、これを表1に示す割合でコールドフィーダによりドライヤへ送って加熱する。次に、ドライヤで加熱した骨材を、ホットエレベータによりバッチタワー上部へ上げ、振動フルイにより分級してサイズごとに各ホットビンへ投入する。続いて、製造バッチごとに配合設計で決められた量および割合の骨材をホットビンから計量槽へ移し、計量を行った後にパグミルミキサへ投入する。そして、配合設計で決められた量のアスファルトと石粉とを添加して、170℃で加熱混合することにより、本発明のポーラスアスファルト混合物を得た。なお、硬質砂岩は大阪府高槻市産の6号砕石(O砕石)、転炉スラグは和歌山県和歌山市産の転炉スラグ粗骨材、水砕スラグは和歌山県和歌山市産の水砕スラグ砂、石粉は岐阜県大垣市産の石灰岩粉末、アスファルトはポリマー改質H型を用いた。
【0031】
【表1】

【0032】
得られたポーラスアスファルト混合物の性状を測定(試験値)したところ、表1に示すように、混合物の性状の基準値をすべて満たすものであることを確認した。なお、これらの混合物の性状については、「舗装調査・試験法便覧(社団法人日本道路協会、平成19年6月発行)」のマーシャル安定度試験に記載された方法によって測定した。
【0033】
また、この製造したポーラスアスファルト混合物を用い、振り子式すべり抵抗試験方法により、そのBPN値(促進摩耗試験前のBPN値)を測定した。また、ポーラスアスファルト混合物からなる供試体2を作製し、回転ラベリング試験機1を用いて促進摩耗試験(走行回数:6万回)を行った。粗骨材の配合割合を表2に示す。なお、実施例1の配合割合は、37:49=43:57となる。また、促進摩耗試験前後のBPN値、及び、低下率を表3に示す。なお、後述する実施例2、比較例1〜7の粗骨材の配合割合等についても表2、表3に示す。
【0034】
【表2】

【0035】
【表3】

【0036】
表3に示すように、実施例1のポーラスアスファルト混合物によれば、促進摩耗試験後のBPN値が40以上であって、促進摩耗試験前後のBPN値の低下率が20%以下であることが確認できた。このため、促進摩耗試験後においてもO砕石(低摩耗率骨材)が凸形状を残すことができ、供試体2全体として不均一な形状を維持できる。なお、促進摩耗試験後の供試体2の表面を確認したところ、その表面に凸形状、及び凹形状を有し、供試体2全体として不均一な形状を維持していることが確認できた。このため、路面のすべり抵抗性を長期間にわたり維持することが確認できた。
【0037】
(実施例2)
表2に示すように、粗骨材の配合割合を50:50に変えた以外、実施例1と同様にポーラスアスファルト混合物を製造し、この製造したポーラスアスファルト混合物を用いて、促進摩耗試験前後のBPN値、及び、その低下率を測定した。
【0038】
表3に示すように、実施例2のポーラスアスファルト混合物によれば、促進摩耗試験後のBPN値が40以上であって、促進摩耗試験前後のBPN値の低下率が20%以下であることが確認できた。このため、促進摩耗試験後においてもO砕石(低摩耗率骨材)が凸形状を残すことができ、供試体2全体として不均一な形状を維持できる。なお、実施例1と同様に、促進摩耗試験後の供試体2の表面を確認したところ、その表面に凸形状、及び凹形状を有し、供試体2全体として不均一な形状を維持していることが確認できた。このため、路面のすべり抵抗性を長期間にわたり維持することが確認できた。
【0039】
(比較例1)
表2に示すように、粗骨材をO砕石よりも摩擦係数の高い6号砕石(H砕石)100%に変えた以外、実施例1と同様にポーラスアスファルト混合物を製造し、この製造したポーラスアスファルト混合物を用いて、促進摩耗試験前後のBPN値、及び、その低下率を測定した。
【0040】
表3に示すように、比較例1のポーラスアスファルト混合物によれば、促進摩耗試験前、及び、促進摩耗試験後のBPN値が低く、促進摩耗試験前後のBPN値の低下率も大きかった。実施例1と同様に、促進摩耗試験後の供試体2の表面を確認したところ、その表面に凸形状を確認することができず、供試体2全体として不均一な形状を維持することはできなかった。
【0041】
(比較例2)
表2に示すように、粗骨材を転炉スラグ100%に変えた以外、実施例1と同様にポーラスアスファルト混合物を製造し、この製造したポーラスアスファルト混合物を用いて、促進摩耗試験前後のBPN値、及び、その低下率を測定した。
【0042】
表3に示すように、比較例2のポーラスアスファルト混合物によれば、促進摩耗試験前のBPN値は高いが、促進摩耗試験後のBPN値が低く、促進摩耗試験前後のBPN値の低下率も大きかった。実施例1と同様に、促進摩耗試験後の供試体2の表面を確認したところ、その表面に凸形状を確認することができず、供試体2全体として不均一な形状を維持することはできなかった。
【0043】
(比較例3)
表2に示すように、O砕石をH砕石に変えた以外、実施例2と同様にポーラスアスファルト混合物を製造し、この製造したポーラスアスファルト混合物を用いて、促進摩耗試験前後のBPN値、及び、その低下率を測定した。
【0044】
表3に示すように、比較例3のポーラスアスファルト混合物によれば、促進摩耗試験後のBPN値が低く、促進摩耗試験前後のBPN値の低下率も大きかった。実施例1と同様に、促進摩耗試験後の供試体2の表面を確認したところ、その表面に凸形状を確認することができず、供試体2全体として不均一な形状を維持することはできなかった。
【0045】
(比較例4)
表2に示すように、O砕石をH砕石よりも摩擦係数の高い明色骨材に変えた以外、実施例2と同様にポーラスアスファルト混合物を製造し、この製造したポーラスアスファルト混合物を用いて、促進摩耗試験前後のBPN値、及び、その低下率を測定した。
【0046】
表3に示すように、比較例4のポーラスアスファルト混合物によれば、促進摩耗試験前後のBPN値が低く、促進摩耗試験前後のBPN値の低下率も大きかった。実施例1と同様に、促進摩耗試験後の供試体2の表面を確認したところ、その表面に凸形状を確認することができず、供試体2全体として不均一な形状を維持することはできなかった。
【0047】
(比較例5)
表2に示すように、O砕石を明色骨材よりも摩擦係数の高い石灰岩に変えた以外、実施例2と同様にポーラスアスファルト混合物を製造し、この製造したポーラスアスファルト混合物を用いて、促進摩耗試験前後のBPN値、及び、その低下率を測定した。
【0048】
表3に示すように、比較例5のポーラスアスファルト混合物によれば、促進摩耗試験後のBPN値が低く、促進摩耗試験前後のBPN値の低下率も大きかった。実施例1と同様に、促進摩耗試験後の供試体2の表面を確認したところ、その表面に凸形状を確認することができず、供試体2全体として不均一な形状を維持することはできなかった。
【0049】
(比較例6)
表2に示すように、粗骨材の配合割合を30:70に変えた以外、実施例2と同様にポーラスアスファルト混合物を製造し、この製造したポーラスアスファルト混合物を用いて、促進摩耗試験前後のBPN値、及び、その低下率を測定した。
【0050】
表3に示すように、比較例6のポーラスアスファルト混合物によれば、促進摩耗試験後のBPN値が低く、促進摩耗試験前後のBPN値の低下率も大きかった。実施例1と同様に、促進摩耗試験後の供試体2の表面を確認したところ、その表面に凸形状を確認することができず、供試体2全体として不均一な形状を維持することはできなかった。
【0051】
(比較例7)
表2に示すように、粗骨材の配合割合を30:70に変えた以外、比較例3と同様にポーラスアスファルト混合物を製造し、この製造したポーラスアスファルト混合物を用いて、促進摩耗試験前後のBPN値、及び、その低下率を測定した。
【0052】
表3に示すように、比較例7のポーラスアスファルト混合物によれば、促進摩耗試験前後のBPN値が低く、促進摩耗試験前後のBPN値の低下率も大きかった。実施例1と同様に、促進摩耗試験後の供試体2の表面を確認したところ、その表面に凸形状を確認することができず、供試体2全体として不均一な形状を維持することはできなかった。
【0053】
このように、ポーラスアスファルト混合物の骨材が、低摩耗率骨材と、この低摩耗率骨材より高摩耗率の高摩耗率骨材とを有し、低摩耗率骨材と高摩耗率骨材との配合比が、1:0.5〜1:2であり、低摩耗率骨材が混合物に対する重量比で20%以上含み、当該混合物の促進摩耗試験後のBPN値が40以上であって、促進摩耗試験前のBPN値に対する促進摩耗試験後のBPN値の低下率が20%以下となる摩耗率であることにより、路面のすべり抵抗性を長期間にわたり維持することできる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、ポーラスアスファルト混合物及びこれを用いた施工方法に有用である。
【符号の説明】
【0055】
1 回転ラベリング試験機
2 供試体
3 タイヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスファルト系バインダ、骨材、及び、フィラーを必須成分とするポーラスアスファルト混合物であって、
前記骨材は、第1摩耗率骨材と、該第1摩耗率骨材より高摩耗率の第2摩耗率骨材とを有し、
前記第1摩耗率骨材と前記第2摩耗率骨材との配合比が1:0.5〜1:2であり、
前記第1摩耗率骨材は、混合物に対する重量比で20%以上含み、当該混合物の促進摩耗試験後のBPN値が40以上であって、促進摩耗試験前のBPN値に対する促進摩耗試験後のBPN値の低下率が20%以下となる摩耗率である、ことを特徴とするポーラスアスファルト混合物。
【請求項2】
前記第1摩耗率骨材は硬質砂岩であり、前記第2摩耗率骨材は転炉スラグである、ことを特徴とする請求項1に記載のポーラスアスファルト混合物。
【請求項3】
ポーラスアスファルト混合物を用いてアスファルト舗装を施工する施工方法であって、
前記ポーラスアスファルト混合物に請求項1または2に記載のポーラスアスファルト混合物を用いる、ことを特徴とする施工方法。

【図1】
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【公開番号】特開2013−53402(P2013−53402A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190148(P2011−190148)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(590002482)株式会社NIPPO (130)
【Fターム(参考)】