マイクロバブルシャワー
【課題】水道水圧でも使用することができ、しかもマイクロバブルの発生効率が高いマイクロバブルシャワーを提供する。
【解決手段】マイクロバブルシャワーは、旋回流発生用翼型ノズル3と、この旋回流発生用翼型ノズル3と同軸に設けられた縮流部4aおよび渦崩壊部4lを有する渦崩壊用ノズル4とをシャワーヘッド51の喉部に有する。旋回流発生用翼型ノズル3の入口に液体を供給することにより旋回流を発生させるとともに、この旋回流の中心に気体を導入し、この中心に気体が導入された旋回流を縮流部4aに供給することにより渦崩壊部4lからマイクロバブルを発生させる。このマイクロバブルシャワーは、シャワーヘッド51の喉部の渦崩壊用ノズル4の下流側に旋回流を制止する板61を有することもある。
【解決手段】マイクロバブルシャワーは、旋回流発生用翼型ノズル3と、この旋回流発生用翼型ノズル3と同軸に設けられた縮流部4aおよび渦崩壊部4lを有する渦崩壊用ノズル4とをシャワーヘッド51の喉部に有する。旋回流発生用翼型ノズル3の入口に液体を供給することにより旋回流を発生させるとともに、この旋回流の中心に気体を導入し、この中心に気体が導入された旋回流を縮流部4aに供給することにより渦崩壊部4lからマイクロバブルを発生させる。このマイクロバブルシャワーは、シャワーヘッド51の喉部の渦崩壊用ノズル4の下流側に旋回流を制止する板61を有することもある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、マイクロバブルシャワーに関し、例えば、マイクロバブルを利用した水による洗浄に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
マイクロバブルは、発生時において気泡径が一般に10〜数10μmである微細気泡であり、水中で普通に発生する直径数mm程度の気泡と比べると極めて小さい。マイクロバブルは、このように極端に小さいため、微細なゴミを吸着して水面に浮上させる性質を持ち、水産物の洗浄や水質浄化などに応用されている。
【0003】
従来、このマイクロバブルを利用したマイクロバブルシャワーとして、旋回流を利用した噴き出し型のマイクロバブル発生方式を用いたものが知られている(例えば、非特許文献1参照。)。
なお、渦崩壊現象を利用したマイクロバブル発生装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)
【0004】
【非特許文献1】[平成19年3月18日検索]、インターネット〈URL:http://www.rapyuta.jp/page/17 〉
【特許文献1】国際公開第06/075452号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般にシャワーでは、水の出口が空気と接するため、そこに負圧部があれば空気を吸い込むことになり、この場合にはマイクロバブルは発生しない。この点に関し、上述の従来のマイクロバブルシャワーでは、マイクロバブル発生ノズルの出口がシャワー孔に近いため、ノズル出口をほぼ閉塞することで空気の吸い込みを防いでいる。しかしながら、このようにノズル出口をほぼ閉塞すると、水流は大きな抵抗を受けることになるため、シャワーに流す水の水圧を高くしなければならないだけでなく、給気の制御も適切に行うことが困難であるため、マイクロバブルを安定して発生させることが困難である。
【0006】
そこで、この発明が解決しようとする課題は、水道水圧でも使用することができ、しかもマイクロバブルの発生効率が高いマイクロバブルシャワーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、
旋回流発生用翼型ノズルと、上記旋回流発生用翼型ノズルと同軸に設けられた縮流部および渦崩壊部を有する渦崩壊用ノズルとをシャワーヘッドの喉部に有することを特徴とするマイクロバブルシャワーである。
ここで、渦崩壊とは、渦の構造が急激に変化する現象であり、スパイラル型(デルタ翼の場合などに発生する型)、バブル型(円管内流れの場合などに発生する型)の二つの顕著な型を有する。
【0008】
このマイクロバブルシャワーにおいては、典型的には、旋回流発生用翼型ノズルの入口に液体を供給することにより旋回流を発生させるとともに、この旋回流の中心に気体を導入し、この中心に気体が導入された旋回流を上記縮流部に供給することにより渦崩壊部からマイクロバブルを発生させる。マイクロバブルの発生効率の向上を図る観点より、好適には、旋回流発生用翼型ノズルおよび渦崩壊用ノズルの中心軸とシャワーヘッドの出口からの液体の噴き出し方向との間の角度は鋭角に選ばれる。同じく、マイクロバブルの発生効率の向上を図る観点より、シャワーヘッドの喉部の渦崩壊用ノズルの下流側に記旋回流を制止する板を有する。この旋回流を制止する板は、典型的には、旋回流発生用翼型ノズルおよび渦崩壊用ノズルの中心軸を含む面上に設けられる。この旋回流を制止する板は、渦崩壊用ノズルから出てくる旋回流がシャワーヘッド内部に伝わるのを防止することができればよく、必ずしも渦崩壊用ノズルの全体にまたがる必要はない。旋回流発生用翼型ノズルは、典型的には、旋回流発生用翼体を円筒形状の管(パイプ)の内部に収容したもの(あるいは、旋回流発生用翼体の外側を管により覆ったもの)である。旋回流発生用翼体は、典型的には、円柱状の本体の一端部を流線形(典型的には、この本体の中心軸を回転軸とする回転体状(例えば、半球状))に成形し、本体の外周面の長手方向に複数の翼をそれらの後部が彎曲するように設け、この本体の他端部に気体の噴射孔を設けたものである。また、この旋回流発生用翼体はこの本体の外周面に設けられた給気孔とこの本体の他端部に設けられた噴射孔とを有し、これらの給気孔と噴射孔とはこの本体内に設けられた通路を介して互いに連通している。マイクロバブルシャワーの製造の容易さの観点からは、最も好適には、旋回流発生用翼体の翼の枚数は3枚であるが、これに限定されるものではなく、翼の枚数は必要に応じて選ぶことができる。渦崩壊用ノズルにおいては、典型的には、縮流部は渦崩壊部に向かって断面積が徐々に減少しており(あるいは、縮流部は渦崩壊部に向かってすぼまっており)、渦崩壊部との境界部(あるいは接続部)において渦崩壊部と同一の断面形状を有する。好適には、渦崩壊部は円筒形状を有する第1の部分と出口に向かって広がった形状の第2の部分とを有し、第1の部分の内周面と第2の部分の端面とがなす角度をθ0 としたとき、0度<θ0 <180度あるいは90度<θ0 <180度、例えば100度程度である。渦崩壊部が円筒形状を有する第1の部分と出口に向かって広がった形状の第2の部分とを有する場合、第1の部分の内周面と第2の部分の端面とは滑らかに繋がっていることが望ましい。こうすることで、渦崩壊用ノズルの噴き出し面である第2の部分の端面に旋回流を付着させることができる。
【0009】
マイクロバブルを発生させる液体は、基本的にはどのようなものであってもよいが、具体的には、例えば、水(温水を含む)、各種の有機溶剤(アルコール、アセトン、トルエンなど)、石油、ガソリンなどの液体燃料などである。
旋回流の中心に供給する気体は、基本的にはどのようなものであってもよいが、具体的には、例えば、空気、酸素、オゾン、水素、アルゴンなどである。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、水道水圧でも使用させることができ、しかもマイクロバブルの発生効率が高いマイクロバブルシャワーを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明の一実施形態によるマイクロバブルシャワーについて図面を参照しながら説明する。
まず、このマイクロバブルシャワーの基礎となるマイクロバブル発生装置について説明する(特許文献1参照。)。
第1の例によるマイクロバブル発生装置においては、マイクロバブルを発生させるために、パイプ中心部を閉塞させ円周方向の流速を大きくすることでパイプ内を流れる水などの液体から強い旋回流を発生するタービン翼型ノズルと、主流に比べて循環が卓越する流れを小さい流れに遷移させる渦崩壊用ノズルとを直列に配置する。
【0012】
図1は第1の例によるマイクロバブル発生装置1の本体、図2〜図4はこのマイクロバブル発生装置1のタービン翼型ノズルの翼体、図5はこのタービン翼型ノズルの翼体の一つの翼の展開図、図6はこのマイクロバブル発生装置1の渦崩壊用ノズル、図7はこのマイクロバブル発生装置1の給気装置を示す。
【0013】
図1〜図7に示すように、このマイクロバブル発生装置1は、円筒状のパイプ2の内部に互いに同軸に直列結合されたタービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4を収容したものと給気装置5とからなる。タービン翼型ノズル3は、円柱状の本体3aの前方aを半球状に成形し、この本体3aの外周面bの長手方向に複数の翼3bをそれらの後方cが彎曲するように設け、背面dに噴射孔3fを設けた翼体の外側をパイプ2により管状に覆ったものである。渦崩壊用ノズル4は、パイプ2の先端部eに配置されている。渦崩壊用ノズル4は、テーパー状に成形した縮流部4aに管状の渦崩壊部4bを連接したものである。給気装置5は、渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bの圧力差を検出し、タービン翼型ノズル3に供給する気体5lの量を調整するものである。パイプ2においては、入口2a、タービン翼型ノズル3、渦流部2b、渦崩壊用ノズル4の順に液体6が流れる。パイプ2は既存の設備に接続できるように様々なサイズに対応可能である。
【0014】
このマイクロバブル発生装置1では、パイプ2の入口2aに、マイクロバブルを発生させようとする水などの液体6を流し、タービン翼型ノズル3により水流などの液体流6aを円周方向fに向けるとともに気柱6bを噴出させ、渦崩壊用ノズル4で縮流して渦崩壊させることを特徴とする。より詳細には、パイプ2の入口2aから入った液体6は、タービン翼型ノズル3によって中心部が閉塞されるため、流速の増した液体流6aとなる。液体流6aは、タービン翼型ノズル3の外周面bに存在する溝3dに沿って流れ、タービン翼型ノズル3の円周方向fに向きを変えられることにより旋回流6cとなって渦流部2bを進む。渦流部2bでは、タービン翼型ノズル3の噴射孔3fから放出された気柱6bが旋回流6cとともに螺旋状に流れる。渦崩壊用ノズル4に入ると、旋回流6cは縮流され、循環に比べて流れが卓越することで渦崩壊が起きる。この渦崩壊により大きな気泡が細かく潰され、マイクロバブル6dとなって渦崩壊用ノズル4の出口から放出される。ここで、渦崩壊用ノズル4の最小断面、すなわち渦崩壊部4bの断面における旋回流6cの回転周波数fe は、縮流部4aにおいて循環が保存されるとすると、渦流部2bにおける旋回流6cの回転周波数をf、パイプ2の内径をD、渦崩壊部4bの内径をDe としたとき、fe =(D/De )2 fとなる。
【0015】
タービン翼型ノズル3は、水流などの液体流6aを螺旋状の旋回流6cに変換するとともに気柱6bを放出する器具であり、パイプ2の内部に、本体3aの外周面b上に複数の翼3bを設けた翼体が固定されている。タービン翼型ノズル3は回転させる必要はなく、動力は不要である。なお、気柱6bとは、空気などの気体5lを勢い良く柱状に噴射させた気泡のことである。
本体3aは円柱状(断面は長方形状)であり、前方aは半球状部3c(断面は半円状)と連接しており、背面dの中央に噴射孔3fを有する。
【0016】
翼3bは、半球状部3cの頂部3uから本体3aの背面端3vにかけて、本体3aの外周面b上を縦断するように設けた部材であり、液体流6aの向きを本体3aの円周方向fに変えるために、背面端3vに向かうにつれて湾曲している。半球状部3cにおける翼3bも全体としては半球状に成形される。ただし、半球状部3cにおける翼3bは必要に応じて省略することが可能である。翼3bは本体3aから突起状に出ているため、隣り合う翼3bと翼3bとの間には溝3dが存在する。
【0017】
半球状部3cは、パイプ2の入口2aから入ってきた液体6がスムーズに溝3dに流れ込むように丸めてある箇所である。パイプ2は、タービン翼型ノズル3から放出される円周方向fの噴流から角運動量の大きな流体を生成するために必要である。
溝3dは、翼3bにより仕切られた液体6の流れる通路である。翼3bが湾曲していることから、水平方向(パイプ2の中心軸方向)に流れていた液体流6aが、徐々に垂直方向に曲げられ、螺旋状の旋回流6aとなってタービン翼型ノズル3から出ていく。
噴射孔3fは、マイクロバブルの基となる気柱6bを放出する孔である。気柱6bは、本体3aの外周面bに設けられた給気孔3eから気体5lを供給することにより生成される。噴射孔3fから出た気柱6bは、旋回流6cとともに流れていく。
【0018】
翼3bは、液体6の流れを等分に分割するため、同じ形状のものを等間隔に配置する。翼間隔3gは翼3bを配置する間隔であり、この場合、翼数が6枚であるので翼間隔3gは60度であるが、これに限定されるものではない。
翼角3hは半球状部3cにおける翼3bの大きさを決めるもので、中心から一定の角度を持って延びていき、本体3aに至ってからは、同じ幅を維持して延びる。なお、翼角3hは、大き過ぎると液体6の通り道が狭くなるので、例えば15度程度が好ましいが、これに限定されるものではない。
液体6の通り道となる溝3dの溝深さ3nは溝3dの深さであり、翼3bの高さでもある。なお、溝深さ3nは、タービン翼型ノズル3のサイズにより適切な深さに調整することができる。
【0019】
ノズル長3iはタービン翼型ノズル3の全体の長さであり、本体3aの長さである翼長3kと半球状部3cの半径である外半径3lとの和に等しい。なお、タービン翼型ノズル3の大きさは、パイプ2の大きさが異なれば、適切な大きさも異なる。
ノズル径3jは、タービン翼型ノズル3の直径である。ノズル径3jは、翼3bの部分を含めた本体3aの直径でもあり、また、本体3aに連接することから、半球状部3cの直径でもある。
【0020】
翼3bは後方cが湾曲しているため、翼3b自体の長さは翼長3kよりも長くなる。また、半球状部3cにおける翼3bに関しては、翼長3kには含めないものとする。
外半径3lは半球状部3cの翼3bの部分を含めた全体の半径であり、半球状部3cの頂部3uから本体3aまで垂直に下りた長さでもある。なお、隣り合う翼3bと翼3bとの間には溝3dが存在するため、外半径3lは、溝3dを埋めたものと考えた場合の半径を意味する。
【0021】
内半径3mは、半球状部3cの翼3bを除いた本体3aと連接される部分の半径である。内半径3mは、外半径3lとの差である溝深さ3nの分だけ出た位置から球状にしているため、内半径3mの頂部3uは外半径3lの頂部3uと一致する。
孔距離3oは、噴射孔3fのあるタービン翼型ノズル3の背面端3vから給気孔3eの位置までの距離であり、例えば、翼長3kの半分の位置が好ましいが、これに限定されるものではない。また、給気孔3eは、液体6が通らない翼3b上に設けることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0022】
給気孔3eと噴射孔3fとはタービン翼型ノズル3の内部で繋がっており、タービン翼型ノズル3の外周面bに設けられた給気孔3eから供給された気体5lが、タービン翼型ノズル3の背面dの中央に設けられた噴射孔3fから放出される。
孔内径3pは、給気孔3eおよび噴射孔3fの直径である。孔内径3pの大きさは、噴射孔3fから出る気柱6bの量に影響を与えるため、適切なサイズに調整する必要があり、供給する気体5lの流量に応じて決められる。一例を挙げると、孔内径3pは2mm程度が好ましいが、これに限定されるものではない。
【0023】
図5は、タービン翼型ノズル3の一つの翼3bの形状を示す展開図であり、翼3bを湾曲させた様子をグラフ上で示したものである。グラフの横軸は翼端(翼の先端)からの流れ方向にとった距離、縦軸は周方向の距離を示す。翼3bが描く曲線は、0から翼長3kまでの範囲に存在する。なお、距離3qは、翼端からの距離が0と翼長3kとの間の任意の値とし、距離3rは、翼端からの距離が翼長3kの場合の値とする。
【0024】
勾配3sは距離3qにおける傾きであり、距離3qが0の場合は勾配3sも0度であるが、距離3qが増えるにつれて勾配3sも大きくなっていく。翼3bの勾配3sは、距離3qが0では液体流6aが流れに沿うこと、距離3rでは液体流6aを円周方向fに向かわせることが必要であるため付けたものである。勾配3sにより液体流6aを旋回流6cにすることができるが、翼3bにより円周方向fの流れが主流方向の流れに比べて大きくなり、結果として渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bで渦崩壊を引き起こすためには、翼3bの終端における勾配3tが、およそ55〜60度より大きくなる必要がある。具体的には、例えば、翼3bが本体3aの円周方向fとなす角度は5〜9度(あるいは5〜6度)、すなわち、距離3rにおける勾配3tは81〜85度(あるいは84〜85度)であることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0025】
渦崩壊用ノズル4は、旋回流6cとともにパイプ2の渦流部2bを流れてきた気柱6bを渦崩壊させてマイクロバブル6dを発生させる器具であり、パイプ2の端に一体的に連接する。渦崩壊用ノズル4は縮流部4aと渦崩壊部4bとからなる。縮流部4aは、テーパー状に細くなる管であり、広い側はパイプ2の渦流部2bに連接され、狭い側は渦崩壊部4bに連接される。縮流部4aの細くなる角度(テーパー角)4eは、パイプ2などの大きさに依存し、必要に応じて選ばれる。この角度4eの一例を挙げると約20度であるが、これに限定されるものではない。渦崩壊部4bは、パイプ2の渦流部2bよりも細い円筒状の管であり、一端は縮流部4aの狭い側に連接され、他端が出口となる。渦崩壊部4bの内径4fもパイプ2の大きさなどに依存し、必要に応じて選ばれる。この内径4fは例えば0.5〜1.5cmであるが、これに限定されるものではない。
【0026】
パイプ2内を流れる液体6は、渦流部2bから縮流部4aの広い側に入り、縮流部4aの径が細くなっていくことで流速を増しながら渦崩壊部4bへと至る。液体6とともに流れてきた気柱6bは、渦崩壊部4bにおいて細かくされ、マイクロバブル6dとして渦崩壊用ノズル4の出口から放出される。
渦崩壊用ノズル4の渦崩壊が発生するノズル径の最小値、すなわち臨界ノズル径は次のようにして求められる。
【0027】
詳細は省略するが、タービン翼型ノズル3の翼3bによって生成される旋回流6cの回転周波数fはCassidy et. al., J. Fluid Mech., V.41, pp.727-736, 1970 による方法により求められ、fとfe との間にはfe =(D/De )2 fの関係が成り立つから、
【数1】
と表される。ここで、R=D/2(=図4に示す外半径3l)、Qはパイプ2に供給される液体6の流量、ρは液体6の密度、ε=re /R(ただし、re =De /2)、δ=h/R(hは図4に示す溝深さ3nと等しい)、κ=Nv Δθ/2π(ただし、Nv は翼3bの枚数、Δθ(rad.)は溝3dの角度(溝角))、θf は図5に示す勾配3tと等しく、α0 、α1 は定数でα0 =0.4、α1 =1である。
【0028】
渦崩壊用ノズル4の縮流部4aにおけるサーキュレーション数Γe は
【数2】
である。ただし、ue は渦崩壊用ノズル4の出口における流速、ωe は渦崩壊部4bの断面における旋回流6cの回転角周波数である。この(2)式に(1)式のfe を代入すると、Γe は
【数3】
と求められる(Cassidy et. al., J. Fluid Mech., V.41, pp.727-736, 1970 を参照。)
。
【0029】
図8に、ε=1.5/4.0であるときの渦崩壊前のサーキュレーション数Γe のθf に対する変化をδを0.4/2、0.9/2と変えて求めた結果を示す。ただし、図8におけるΓcrは臨界サーキュレーション数でΓcr=2.0である(本マイクロバブル発生装置ではΓcr≒2.0、より一般的な旋回流発生装置の場合の平均的な値はΓcr≒1/0.65(例えば、Spall et. al., Phys. Fluid, 30(11), pp.3434-3440, 1987)。図8に示すように、溝3dの深さ、すなわち溝深さ3n=hが大きくなるにしたがって、軸方向運動量に対する円周方向の運動量が相対的に小さくなり、結果として溝深さ3n=h、したがってδが大きいほどサーキュレーション数Γe は減少する。このため、溝深さ3n=hが大きくなると渦崩壊は起こりにくくなる。
【0030】
溝深さ3n=hおよびθf を与えたとき、渦崩壊が発生するノズル半径の最小値、すなわち臨界ノズル半径εcr(臨界半径をrecr とするとεcr=recr /R)は、Γe =Γcrとおくことにより下記のように得られる。したがって、タービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4をε>εcrを満たすように設計することにより、渦崩壊用ノズル4で渦崩壊を起こさせることができる。
【数4】
【0031】
図9に、渦崩壊の閾値をΓcr=2.0としたときの渦崩壊用ノズル4のε=re /Rのδ=h/Rに対する変化を、θf を50度、60度、70度、80度、84度と変えて求めた結果を示す。ただし、κ=3/4とした。図9中の○、×はそれぞれ、θf =84度として実験を行ったときに渦崩壊が生じた場合、生じなかった場合を示す。詳細は省略するが、旋回流6cによる分級効果によって、渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bで放出されるマイクロバブル6dの径dは
【数5】
と表される。ただし、νw は液体6の動粘性率である。この式においてΓe =O(1)であるから、νw が小さく、fe が大きいほど微細なマイクロバブル6dが生成されることが分かる。
【0032】
パイプ2に液体6を供給するために用いるポンプのパワーを一定としたとき、fe は
【数6】
となる。したがって、fe を大きくすることでマイクロバブル6dを生成するには高揚程ポンプ(Rが小さい)が有利である。
【0033】
給気装置5は、マイクロバブル発生装置1に気体5lを供給する装置であり、タービン翼型ノズル3の給気孔3eに連結され、噴射孔3fから気柱6bを放出する。圧力検出器4cおよび圧力検出器4dは渦崩壊部4b内の圧力を検出する器具であり、圧力検出器4cは縮流部4aに連接する側に設けられ、圧力検出器4dは出口側に設けられている。これらの圧力検出器4cおよび圧力検出器4dにより圧力差を検知し、気体5lの供給量を自動的に調節する。
【0034】
給気装置5は、シリンダ5aおよびピストン5bなどの部材から構成される。この給気装置5とタービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4との接続は、給気孔3eと通気孔5f、圧力検出器4cと高圧力部5j、圧力検出器4dと低圧力部5kとを繋ぐことで行う。シリンダ5aは給気装置5の外枠であり、内部に中空部分を有するほぼ円柱状の形状である。なお、シリンダ5aのサイズの一例を挙げると、長さ約7.0cm、直径約2.6cmであるが、これに限定されるものではない。
【0035】
シリンダ5aの先頭側には、シリンダ5aの側面を貫通する通気孔5fがあり、この通気孔5fの一端は、給気管5iにより給気孔3eに接続され、他端は、開放することで気体5lを取り込むが、特別な気体を使用する場合にはボンベなどを接続する。
また、シリンダ5a内の中空部分は、ピストン5bおよびダイアフラム5mにより高圧力部5jと低圧力部5kとに分けられる。先頭側の高圧力部5jは、圧力検出器4cで検知した圧力となり、背後側の低圧力部5kは、圧力検出器4dで検知した圧力となる。
なお、高圧力部5jおよび低圧力部5kには、それぞれ空気孔5gおよび空気孔5hが設けられる。空気孔5gおよび空気孔5hは、通常は閉じておくが、開放することにより内部の空気を抜くことができる。
【0036】
ピストン5bは、シリンダ5aの内部を往復移動する部材であり、可動部5c、バネ5dおよびストッパー5eなどからなる。ピストン5bが移動することにより、給気孔3eへ供給する気体5lの量を調節する。可動部5cは、シリンダ5a内を前後に動く部分であり、給気孔3eの開閉を行う杭状の前半部と、シリンダ5a内の高圧力部5jと低圧力部5kとを仕切る円柱状の後半部とからなる。可動部5cが最も前に移動した場合は、先端が通気孔5fを突き抜けて気体5lが通らないように塞いでしまい、可動部5cが最も後に移動した場合は、先端が通気孔5fから離れて気体5lを通す。
【0037】
バネ5dは、伸び縮みすることで可動部5cの移動を制御するもので、高圧力部5jと低圧力部5kとの圧力差と連動して可動部5cの位置を調整する。高圧力部5jの圧力が増せばバネ5dが縮んで可動部5cを後方に移動させ、低圧力部5kの圧力が増せばバネ5dが伸びて可動部5cを前方に移動させる。
ストッパー5eは、ピストン5bの端をシリンダ5aの後背部に固定することで、ピストン5bを支えている部材である。ストッパー5eで押さえることで、ピストン5bがシリンダ5a内で安定し、バネ5dの伸縮も有効に働き、可動部5cを移動させることができる。
可動部5cとストッパー5eとはバネ5dにより接続されるが、バネ5dの内側で可動部5cとストッパー5eとをスライド構造にすることにより、バネ5dの部分の安定性を保つとともに、可動範囲を制御する。
【0038】
給気装置5は、高圧力部5jと低圧力部5kとの圧力差を利用してピストン5bを移動させることにより、気体5lの供給を制御する。高圧力部5jおよび低圧力部5kは、圧力検出器4cおよび圧力検出器4dと管5n、5oで接続され、渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bの圧力を反映させる。具体的には、圧力検出器4cと圧力検出器4dとの間の部分の渦崩壊部4bで渦崩壊が発生しているときは、圧力検出器4cと圧力検出器4dとの圧力差が増大し、高圧力部5jと低圧力部5kとの圧力差がバネ5dの反力よりも大きくなると、ピストン5bが右に移動して通気孔5fが開く。
【0039】
なお、圧力検出器4cと圧力検出器4dとの間の部分の渦崩壊部4bで渦崩壊が発生しない場合は、給気孔3eへの給気量が多く、圧力検出器4cと圧力検出器4dとの圧力差が小さい場合であり、給気量を制御するために、高圧力部5jと低圧力部5kとの圧力が均衡した際のピストン5bの位置を、通気孔5fが閉まる位置にしておく。
【0040】
図10AおよびBは渦崩壊用ノズル4での渦崩壊を示す図であり、渦崩壊ありの場合(図10A)の渦崩壊用ノズル4および渦崩壊なしの場合(図10B)の渦崩壊用ノズル4の状態を示したものであ。図10Aに示すように、渦崩壊ありの場合には、縮流部4aから来た気柱6bは、渦崩壊部4bの中間付近で渦崩壊し、マイクロバブル6dとなって出て行くため、渦崩壊部4bの出口における圧力は、渦崩壊部4bの入口における圧力よりも小さくなる。
圧力検出器4cにより渦崩壊部4bの入口の圧力を検出し、圧力検出器4dにより渦崩壊部4bの出口の圧力を検出して、渦崩壊部4b内に圧力差があれば、正常に渦崩壊が起きており、このまま給気を行う。
【0041】
渦崩壊なしの場合(図10B)には、縮流部4aから来た気柱6bは、渦崩壊部4b内では渦崩壊せず、マイクロバブル6dとならないため、渦崩壊部4bの出口における圧力は、渦崩壊部4bの入口における圧力とほとんど変わらない。このとき、圧力検出器4cにより渦崩壊部4bの入口の圧力を検出し、圧力検出器4dにより渦崩壊部4bの出口の圧力を検出して、渦崩壊部4b内に圧力差がなければ、給気を抑制し、渦崩壊が起きるように調整する。
このように、給気量が適正でなければ、気柱6bは渦崩壊せずマイクロバブル6dが得られないので、この第1の実施形態では、渦崩壊しているかどうかを渦崩壊部4bの圧力差によって確認し、さらに上述のようにこの圧力差を利用して自動的に給気量を調整することができる。
【0042】
次に、気体5lの給気量(気体流量)Qa とマイクロバブル6dの径dとの関係について説明する。
渦崩壊用ノズル4の前面に張り付いた気柱6bが受ける剪断によって発生する気泡径を Hinzeスケール(圧力による分断作用と表面張力とが釣り合った平衡状態における径dH )に従って算定すると図11に示すようになる。詳細は省略するが、マイクロバブル6dが HinzeスケールdH まで微粒化されるときの気体5lの給気量Qa は
【数7】
で与えられる。ここで、d0 は次の式 (8) 〜(10)から算定される。
【数8】
【数9】
【数10】
ただし、
【数11】
である。ここで、γは気体5lと液体6との界面張力係数である。
【0043】
図12、図13および図14は、Γe がそれぞれ=2、3および4のときの給気量Qa を示す。
Hinzeスケールのマイクロバブル6dを生成するときの給気量Qa と液体6の流量Qw との比は次式で表される。
【数12】
【0044】
図15、図16および図17は、Γe がそれぞれ2、3および4のときの給気量Qa と液体6の流量Qw との比をプロットしたものである。図15、図16および図17より、fe >100Hzおよびre <2cmの範囲内では、Qa /Qw はfe およびre にあまり依存しない。このときのQa /Qw を漸近的に計算すると次式のようになる。
【数13】
この式はΓe 〜2.5の実験における値Qa /Qw 〜0.005により検証されている(山田ら、流体力学会年会2005、AM05−24−002)。
【0045】
渦崩壊用ノズル4の出口のエッジでは旋回流6cの剥がれによって音が発生するが、この音は、例えば、このエッジに微細な繊維(例えば、綿状のもの)を貼ったり、渦崩壊用ノズル4の縮流部4aの入り口にその直径方向に針金(例えば、数mm径のもの)を張り渡して上流の気柱6bを乱したりすることで消音することが可能である。
タービン翼型ノズル3の具体例について説明する。図18は、タービン翼型ノズル3の具体例1〜3を示し、タービン翼型ノズル3の形状を示す。翼3bの枚数を6枚とし、翼3bを等間隔に配置することから翼間隔3gは60度となり、翼角3hを15度とすること、勾配3sを84度とすることは具体例1〜3で共通する。
【0046】
具体例1は、半球状部3cの外半径3lを0.85cm、翼長3kを2.03cm、溝深さ3nを0.3cmにした場合である。ノズル長3iは、翼長3kと外半径3lとの合計であることから2.88cmであり、内半径3mは、外半径3lより溝深さ3nの分小さいことから0.55cmとなる。本体3aの円周は、外半径3lが0.85cmであることから5.34cmとなるので、翼幅は、翼角3hが15度であることから0.22cmとなり、溝幅は、翼間隔3gが60度であることから0.89cmとなる。翼3bの円周角は、67.4×(−0.0369+0.780/(2.11−位置))の式で表現することができる。なお、位置は翼端からの距離であり、0から翼長3kの範囲の値である。例えば、位置が0の場合、翼3bの円周角は0度となり、位置が翼長3kの場合、翼3bの円周角は63.2度となる。
【0047】
具体例2は、半球状部3cの外半径3lを1.6cm、翼長3kを3.82cm、溝深さ3nを0.5cmにした場合である。ノズル長3iは、翼長3kと外半径3lとの合計であることから5.42cmであり、内半径3mは、外半径3lより溝深さ3nの分小さいことから1.1cmとなる。本体3aの円周は、外半径3lが1.6cmであることから10.05cmとなるので、翼幅は、翼角3hが15度であることから0.42cmとなり、溝幅は、翼間隔3gが60度であることから1.68cmとなる。翼3bの円周角は、35.8×(−0.0695+0.276/(3.98−位置))の式で表現することができる。なお、位置は翼端からの距離であり、0から翼長3kの範囲の値である。例えば、位置が0の場合、翼3bの円周角は0度となり、位置が翼長3kの場合、翼3bの円周角は59.3度となる。
【0048】
具体例3は、半球状部3cの外半径3lを2.1cm、翼長3kを5.00cm、溝深さ3nを0.5cmにした場合である。ノズル長3iは、翼長3kと外半径3lとの合計であることから7.10cmであり、内半径3mは、外半径3lより溝深さ3nの分小さいことから1.6cmとなる。本体3aの円周は、外半径3lが2.1cmであることから13.19cmとなるので、翼幅は、翼角3hが15度であることから0.55cmとなり、溝幅は、翼間隔3gが60度であることから2.20cmとなる。翼3bの円周角は、27.3×(−0.0912+0.476/(5.22−位置))の式で表すことができる。なお、位置は翼端からの距離であり、0から翼長3kの範囲の値である。例えば、位置が0の場合、翼3bの円周角は−3.3度となり、位置が翼長3kの場合、翼3bの円周角は56.6度となる。
【0049】
図19A、BおよびCは、タービン翼型ノズル3の形状、渦崩壊用ノズル4の形状およびタービン翼型ノズル3から渦崩壊用ノズル4までの間隔の具体例4〜6を示す。タービン翼型ノズル3については、具体例4では具体例1と同様、具体例5では具体例2と同様、具体例6では具体例3と同様である。
具体例4(図19A)は、タービン翼型ノズル3の外半径3lが約0.85cmの場合であり、タービン翼型ノズル3のノズル長は2.88cmである。タービン翼型ノズル3はパイプ2にぴったり収まることから、パイプ2の内径も約0.85cmとなり、渦崩壊用ノズル4の入口側の径も同様に約0.85cmとなる。タービン翼型ノズル3から渦崩壊用ノズル4までの間である渦流部2bの長さを約1.7cmとし、渦崩壊用ノズル4の長さを約2.6cmとすると、タービン翼型ノズル3、渦流部2bおよび渦崩壊用ノズル4の全体の長さは約7.18cmとなる。なお、渦崩壊用ノズル4の形状は、縮流部4aにおける角度4eを20度、出口側の内径4fを0.5cmとすると、入口側の径が0.85cmであることから、渦崩壊部4bなどの長さが定まる。
【0050】
具体例5(図19B)は、タービン翼型ノズル3の外半径3lが約1.6cmの場合であり、タービン翼型ノズル3のノズル長は5.42cmである。タービン翼型ノズル3はパイプ2にぴったり収まることから、パイプ2の内径も約1.6cmとなり、渦崩壊用ノズル4の入口側の径も同様に約1.6cmとなる。タービン翼型ノズル3から渦崩壊用ノズル4までの間である渦流部2bの長さを約3.2cmとし、渦崩壊用ノズル4の長さを約5.0cmとすると、タービン翼型ノズル3、渦流部2bおよび渦崩壊用ノズル4の全体の長さは約13.62cmとなる。なお、渦崩壊用ノズル4の形状は、縮流部4aにおける角度4eを20度、出口側の内径4fを1.0cmとすると、入口側の径が約1.6cmであることから、渦崩壊部4bなどの長さが定まる。
【0051】
具体例6(図19C)は、タービン翼型ノズル3の外半径3lが約2.1cmの場合であり、タービン翼型ノズル3のノズル長は7.10cmである。タービン翼型ノズル3はパイプ2にぴったり収まることから、パイプ2の内径も約2.1cmとなり、渦崩壊用ノズル4の入口側の径も同様に約2.1cmとなる。タービン翼型ノズル3から渦崩壊用ノズル4までの間である渦流部2bの長さを約4.2cmとし、渦崩壊用ノズル4の長さを約7.0cmとすると、タービン翼型ノズル3、渦流部2bおよび渦崩壊用ノズル4の全体の長さは約18.3cmとなる。なお、渦崩壊用ノズル4の形状は、縮流部4aにおける角度4eを20度、出口側の内径4fを1.5cmとすると、入口側の径が約2.1cmであることから、渦崩壊部4bなどの長さが定まる。
具体例4〜6におけるパイプ2の寸法は、マイクロバブル6dを発生させるのに好ましい数値の例であり、パイプ2の大きさに応じて、タービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4の大きさも調整する必要がある。
【0052】
以上のように、この第1の例によるマイクロバブル発生装置1では、その構成要素であるタービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4が直線的に配列しているため、装置の小型化および大型化とも可能であり、現有設備に容易に直結することができる。また、タービン翼型ノズル3の給気孔3eへの気体5lの給気を給気装置5により行っているため、渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bにおける圧力変動に応じて給気量を自動的に調節することができ、渦崩壊を安定的に起こさせてマイクロバブル6dを発生させることができる。また、マイクロバブル6dの発生メカニズムが明瞭なため、パイプ2への液体6の供給に用いるポンプの性能に応じてマイクロバブル発生装置1の設計を容易に行うことができる。
【0053】
次に、第2の例によるマイクロバブル発生装置について説明する。
図20に示すように、このマイクロバブル発生装置1においては、渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bの先端にテーパー部4hを設けて、出口をテーパー状に広げたことを特徴とする。すなわち、第1の例によるマイクロバブル発生装置1の渦崩壊用ノズル4では、渦崩壊部4bの先端である出口の角度4iが0度であるのに対し、この第2の例によるマイクロバブル発生装置1の渦崩壊用ノズル4では、渦崩壊部4bの出口の角度(テーパー角)4iを十分に大きくしたテーパー部4hを設けている。この角度4iは、具体的には、例えば60度または80度程度にするが、これに限定されるものではない。
【0054】
第1の例の渦崩壊用ノズル4の場合は、渦流部2bで旋回流6cの中心付近に生じた気柱6bが、縮流部4aで流速が増され、渦崩壊部4bで細かく潰されることにより、マイクロバブル6dが発生するのに対して、この第2の例の渦崩壊用ノズル4の場合は、気柱6bは渦崩壊部4bを通過し、テーパー部4hにおいて、コアンダ効果により気泡となって張り付く。テーパー部4hに張り付いた気泡は、渦流部2bから続く旋回流6cにより剪断または破砕され、マイクロバブル6dが発生する。このようにテーパー部4hに張り付くことにより、気泡が剪断を受ける時間が長くなり、気泡の微粒化が促進される。
なお、コアンダ効果とは、流れの中に物体を置いたときに、置いた物体に沿って流れの向きが変わる流体の性質のことで、旋回流6cが渦崩壊部4bからテーパー部4hに入ってテーパー状に広がることで気柱6bも広がり、気泡がテーパー部4hに張り付く。
【0055】
この第2の例の渦崩壊用ノズル4の寸法は、縮流部4aの入口の内径(=パイプ2の内径2d)、縮流部4aの角度4eおよび渦崩壊部4bの内径4fは、第1の例の渦崩壊用ノズル4と同様であるが、円筒状の渦崩壊部4bの長さ4gについては、内径4fと同程度である。
図21A、BおよびCは、渦崩壊部4bの形状を変えた場合のマイクロバブル発生装置1のマイクロバブル6dの発生状況を比較した図である。
【0056】
図21Aに示すように、第1の例の渦崩壊用ノズル4の場合、パイプ2の渦流部2bから縮流部4aに流れてきた気柱6bは、渦崩壊部4bにおいて渦崩壊してマイクロバブル6dが発生するが、直線状の狭い範囲にしか広がらない。
図21Bに示す渦崩壊用ノズル4は、渦崩壊部4bの全体をテーパー部とした場合であるが、このテーパー部において発生したマイクロバブル6dは、図21Aの場合に比べて僅かに範囲が広がる程度である。
図21Cに示す渦崩壊用ノズル4の場合、テーパー部4hに張り付いた気泡を剪断または破砕することによりマイクロバブル6dが発生するので、マイクロバブル6dはテーパー状に非常に広い範囲に広がる。
【0057】
図22AおよびBは二種類の渦崩壊の様子を示す。いずれも渦崩壊用ノズル4の出口のテーパー部4hの急拡部の存在により渦は不安定となり渦崩壊が生じるが、図22Aに示す渦崩壊では、渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bの最小断面で流れが超臨界(supercritical)となり擾乱が上流に伝播できないのに対し、図22Bに示す渦崩壊では、渦崩壊用ノズル4の全領域で亜臨界(subcritical)となり擾乱は上流に伝播する。
【0058】
この第2の例によれば、第1の例と同様な利点に加えて、次のような利点を得ることができる。すなわち、渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bの先端にテーパー部4hが設けられていることにより、旋回流6cはこのテーパー部4hに張り付く。このため、マイクロバブル6dの発生効率の向上を図ることができるとともに、テーパー部4hの角度4iの選定によりマイクロバブル6dの噴き出し方向の制御を容易に行うことができる。
【0059】
次に、第3の例によるマイクロバブル発生装置1について説明する。
図23に示すように、このマイクロバブル発生装置1は、第1の例によるマイクロバブル発生装置1と比べて、タービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4と給気装置5との接続方法が異なる。具体的には、このマイクロバブル発生装置1においては、給気装置5の通気孔5fとタービン翼型ノズル3の給気孔3eとを、給気装置5の高圧力部5jと渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bの入口側の圧力検出器4cとを接続し、給気装置5の低圧力部5kと渦崩壊用ノズル4の外側に設けた圧力検出器4dとを接続して給気を自動化したことを特徴とする。圧力検出器4cは、渦崩壊用ノズル4において内部を通過する気柱6bの圧力を検出し、圧力検出器4dは、パイプ2の外部でマイクロバブル6dの圧力を検出する。
なお、給気装置5の通気孔5fの一端とタービン翼型ノズル3の給気孔3eとを給気管5iで繋ぐことは第1の例と同様である。また、通気孔5fの他端は開放して気体51を取り込むが、特別な気体を使用する場合にはボンベなどを接続する。
【0060】
次に、第4の例によるマイクロバブル発生装置1について説明する。
図24に示すように、このマイクロバブル発生装置1は、第1の例によるマイクロバブル発生装置1と比べて、タービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4と給気装置5との接続方法が異なる。具体的には、このマイクロバブル発生装置1においては、給気装置5の高圧力部5jは、渦崩壊用ノズル4の出口周辺の静水圧に開放した圧力検出器4dに接続し、給気装置5の低圧力部5kは、タービン翼型ノズル3の給気孔3eに設けた圧力検出器4cと接続して給気を自動化したことを特徴とする。圧力検出器4cは、タービン翼型ノズル3において発生する気柱6bの圧力を検出し、圧力検出器4dは、パイプ2の外部でマイクロバブル6dの圧力を検出する。このマイクロバブル発生装置1の接続方法は、渦崩壊用ノズル4に圧力検出器を設置する必要がなく簡便である。
【0061】
圧力検出器4cで検出した内部の気柱6bの圧力と圧力検出器4dで検出した外部のマイクロバブル6bの圧力との圧力差が大きいときは、マイクロバブル6bが効率よく発生している状態であり、圧力差が小さいときは、空気量が多過ぎてマイクロバブル6dの発生が少ない状態である。
内部の気柱6bの圧力と外部のマイクロバブル6bの圧力との圧力差が大きい場合は、給気装置5のピストン5bを右に移動させて通気孔5fを開放し、給気孔3eに気体51を供給する。
逆に、内部の気柱6bの圧力と外部のマイクロバブル6dの圧力との圧力差が小さい場合は、給気装置5のピストン5bを左に移動させて通気孔5fを塞いでいき、給気孔3eに供給する気体5lの量を抑制する。
【0062】
次に、第5の例によるマイクロバブル発生装置1について説明する。
図25に示すように、このマイクロバブル発生装置1は、パイプ2を入口2aの内径2dを細くした拡大管11に替えたことが第1の例によるマイクロバブル発生装置1と異なる。拡大管11は、入口2a側の細管部11aの内径11dが小さく、タービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4のある太管部11cの内径11eが大きい形状を有する。
【0063】
細管部11aから太管部11cに至る拡大部11bについては、図25に示す二つの点線の円のように、円弧状に滑らかに内径が拡大していき、拡大部11bの後部は、タービン翼型ノズル3の半球状部3cに沿う形となっている。拡大部11bを滑らかに広げることにより、拡大管11に液体6が流れる際に、流水断面積が急増加しないので、タービン翼型ノズル3で液体流6aを拡大管11の軸方向から円周方向fに効果的に変換することができる。
このマイクロバブル発生装置1においては、送水ポンプなどの送液ポンプなどから拡大管11の入口2aに供給された直線的な液体流6aが効率的に螺旋状の旋回流6cに変換され、また、タービン翼型ノズル3による縮流の影響も小さくなり、エネルギー損失が減少する。
この第5の例によれば、第1の例と同様な利点に加えて、マイクロバブル6dの発生効率の向上を図ることができるという利点を得ることができる。
【0064】
次に、第7の例によるマイクロバブル発生装置について説明する。
図26および図27はそれぞれ、マイクロバブル発生装置1のマイクロバブル6dの発生状況を確認するために計測した音波のスペクトルおよび画像のスペクトルを示す。これは、渦崩壊が生じるときに発生する音(vortex whistle) を測定することで、旋回流6cの回転周波数を予測することができることを示したものである。
【0065】
図26に示す音波のスペクトルは、液中を伝搬する音を受信することができるハイドロホーンにより旋回流6cが発する音の振動数を測定したグラフであり、図27に示す画像のスペクトルは、高速ビデオ映像により旋回流6cの回転周波数を測定したグラフである。ただし、タービン翼型ノズル3のノズル径3jは4cm、渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bの内径4fは1cm、液体6として用いた水の流量は700cc/sである。
【0066】
図26および図27に示すように、音波のスペクトルにおける振動数と画像のスペクトルにおける周波数とは、ともに約460Hzにおいてパワースペクトルの値に特徴が見られる。また、図26に示す音波のスペクトルにおいて、約460Hzの右隣の520Hz付近に現れるピークがマイクロバブル6dの発生状況を示している。なお、パワースペクトルとは、振動する量の二乗平均値を振動数成分の分布として表したものである。
【0067】
この第6の例によれば、マイクロバブル6dが効率良く発生しているかどうかを直接マイクロバブル6dの映像を観ることなく、水中音を測定することで確認することができるため、第1〜第5の例のように渦崩壊用ノズル4の圧力を検出するのではなく、給気孔3eへの気体5lの給気量を音波の計測のみで調整することが可能となる。また、液体6が不透明である場合にも、マイクロバブル6dの発生状況を容易に把握することができる。
【0068】
次に、第7の例によるマイクロバブル発生装置について説明する。
このマイクロバブル発生装置1においては、渦崩壊用ノズル4の出口のエッジを滑らかにすることを特徴とする。
図28Aは渦崩壊用ノズル4、図28Bはこの渦崩壊用ノズル4の出口のエッジ4kの拡大図である。
【0069】
渦崩壊用ノズル4の出口のエッジ4kを滑らかにすることにより、気柱6bが渦崩壊用ノズル4の前面に張り付き(コアンダ効果)、その旋回流6cによる剪断で気柱6bが破砕され、マイクロバブル6dが発生する。また、マイクロバブル6dは渦崩壊用ノズル4の前面の広い範囲に分散する。気柱6bが渦崩壊用ノズル4の前面に張り付くには、旋回流6cによる遠心力が主流方向の遠心力より大きくなる必要がある。このため、エッジ4kの曲率半径をρe とすると、
ρe 〜(ue /ve )2 re =Γe -2re (14)
以上とする必要がある。ただし、ve は渦崩壊用ノズル4の出口における旋回流6cの周方向速度である。すなわち、
ρe ≧Γe -2re (15)
とする。
渦崩壊用ノズル4の管状の渦崩壊部4bとテーパー部4hの前面とのなす角度θ0 は、渦崩壊用ノズル4の出口からのマイクロバブル6dの噴き出し方向を決定する。
【0070】
図29は超臨界渦崩壊の場合を示し、Γe 〜Γcrである。また、図30は亜臨界渦崩壊の場合を示し、Γe >Γcrである。
図31A、BおよびCはそれぞれ、θ0 〜100度、θ0 〜90度、θ0 〜45度の場合であり、いずれの例でも渦崩壊用ノズル4の出口のエッジ4kの曲率により旋回流6cが渦崩壊用ノズル4の前面に付着し、この前面の接線方向に流れる。
【0071】
以上のマイクロバブル発生装置1を基礎としてこの一実施形態によるマイクロバブルシャワーについて説明する。このマイクロバブルシャワーにおいては、マイクロバブル発生装置1と同一または対応する部分には同一の符号を付す。
図32はこのマイクロバブルシャワーの全体構成を示す。図32に示すように、このマイクロバブルシャワーは、シャワーヘッド51、細長い円筒形状の柄52および所要の長さのホース53からなる。シャワーヘッド51と柄52とは、シャワーヘッド51の上流側の端部の外周に設けられた雄ねじを柄52の一端部の内周に設けられた雌ねじにねじ込むことにより相互に結合されている。柄52とホース53とは、柄52の上流側の端部の外周に設けられた雄ねじをホース53の一端部の内周に設けられた雌ねじにねじ込むことにより相互に結合されている。シャワーヘッド51の下流側の端部には多数のシャワー孔54aが設けられたキャップ54が取り付けられている。シャワーヘッド51とキャップ54とは、シャワーヘッド51の下流側の端部の外周に設けられた雄ねじをキャップ54の内周に設けられた雌ねじにねじ込むことにより相互に結合されている。シャワーヘッド51の上流側の外周部に設けられたランド部51aには給気用ねじ55が取り付けられている。
【0072】
図33はシャワーヘッド51および柄52の縦断面図を示す。また、図34は図33に示す縦断面図と直交する縦断面図を示す。図33および図34に示すように、シャワーヘッド51の上流側の端部51bの外周に設けられた雄ねじ51cが柄52の一端部52aの内周に設けられた雌ねじ52bにねじ込まれている。柄52の一端部52aの内径は下流側に向かって徐々に大きくなっていてテーパー部となっている。このテーパー部とシャワーヘッド51の上流側の端部51bとの間にはOリング56が挟み込まれており、このOリング56により、シャワーヘッド51と柄52との間の隙間から外部の空気が柄52の内部に入るのを防止することができるようになっている。
【0073】
シャワーヘッド51の喉部に当たる上流部51dの内部は円柱状の空間になっており、その中に上流から下流の順にタービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4が同軸に取り付けられている。タービン翼型ノズル3は三枚の翼3bを有するが、これに限定されるものではない。また、渦崩壊用ノズル4は、縮流部4a、渦崩壊部4bおよびテーパー部4hからなる、図20に示すものと同様なものである。この場合、タービン翼型ノズル3は管2と本体3aとが一体化されたものである。渦崩壊用ノズル4は、タービン翼型ノズル3の下流部の内部に嵌め込まれている。管2の上流部の外周にはフランジ2c、2d、2e、2f、2gが設けられている。管2のフランジ2dとフランジ2eとの間の部分の溝部とシャワーヘッド51の上流部51dとの間にはOリング57が挟み込まれており、このOリング57により、タービン翼型ノズル3とシャワーヘッド51の上流部51dとの間の隙間にホース53から柄52に供給される水などの液体が入るのを防止することができるようになっている。渦崩壊用ノズル4の外周にはフランジ4j、4k、4lが設けられている。渦崩壊用ノズル4のフランジ4jとフランジ4kとの間の部分の溝部と管2との間にはOリング58が挟み込まれており、このOリング58により、渦崩壊用ノズル4と管2との間の隙間にホース53から柄52に供給される水などの液体が入るのを防止することができるようになっている。図35に、タービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4を示す。
【0074】
タービン翼型ノズル3は図4に示すものと同様に、互いに本体3a内で連通した給気孔3eと噴射孔3fとを有する。シャワーヘッド51のランド部51aには貫通穴51eが設けられており、この貫通穴51eに円筒状の金属スペーサ59が圧入されている。この金属スペーサ59の先端部は、パイプ2の外周のフランジ2fとフランジ2gとの間に設けられた凹部2hに収容されている。この凹部2hの底面に給気孔3eが設けられている。この場合、この給気孔3eの断面形状は、タービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4の中心軸に平行な方向に細長い長方形になっているが、これに限定されるものではない。この金属スペーサ59の底部とタービン翼型ノズル3の管2との間にはOリング60が挟み込まれており、このOリング60により、ランド部51aの貫通穴51eと金属スペーサ59との間の隙間に外部の空気が給気孔3eに入り込むのを防止することができるようになっている。この金属スペーサ59の内周面には雌ねじ59aが設けられている。そして、この金属スペーサ59の内周面の雌ねじ59aにねじ55の雄ねじ55aがねじ込まれている。この雌ねじ59aと雄ねじ55aとの間には隙間があり、この隙間およびねじ55の先端部の下の空間を介して外部の空気と給気孔3eとが連通している。図36に、シャワーヘッド51の、ねじ55および金属スペーサ59の中心軸を含み、かつタービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4の中心軸と直交する断面図を示す。
【0075】
シャワーヘッド51の喉部の渦崩壊用ノズル4の下流側には旋回流制止板61が、タービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4の中心軸を含む面上に同軸にかつ渦崩壊用ノズル4から離れて取り付けられている。この旋回流制止板61はシャワーヘッド51の外壁に一体に取り付けられている。この旋回流制止板61はほぼ直角三角形の形状を有し、互いに直交する二辺のうちの一方はタービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4の中心軸に平行に、他方はこの中心軸と直交している。この旋回流制止板61のこの中心軸と直交する辺は、渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bの直径を完全にカバーする長さを有する。
【0076】
図37に柄52に結合したシャワーヘッド51の内部構造を示す。また、図38に、シャワーヘッド51およびキャップ54を示す。また、図39に、キャップ54、タービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4を取り外した状態のシャワーヘッド51を示す。図39および図33に示すように、シャワーヘッド51の先端部の外周には雄ねじ51aが設けられ、キャップ54の内周に設けられた雌ねじ54bにこの雄ねじ51aをねじ込むことによりシャワーヘッド51にキャップ54が取り付けられている。このシャワーヘッド51のタービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4の中心軸とシャワー孔54aからの水流の噴き出し方向とのなす角度は鋭角に選ばれている。
【0077】
タービン翼型ノズル3と渦崩壊用ノズル4との相互の位置決めは、タービン翼型ノズル3のパイプ2の上流側の端部に設けられた溝に渦崩壊用ノズル4の下流側の端部に設けられたリブを嵌め込むことにより行うことができるようになっている。タービン翼型ノズル3と渦崩壊用ノズル4とが相互に位置決めされている状態で、パイプ2のフランジ2f、2gの外周に設けられた溝2i、2jと、渦崩壊用ノズル4のフランジ4lの外周に設けられた溝4mとが、タービン翼型ノズル3と渦崩壊用ノズル4の中心軸に平行に一直線上に並ぶようになっている。シャワーヘッド51とタービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4との位置決めは、タービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4の外周の溝2i、2j、4mにシャワーヘッド51の上流部の内周に設けられたリブ51fを嵌め込むことにより行うことができるようになっている。
【0078】
このマイクロバブルシャワーにおいて、シャワーヘッド51、柄52、タービン翼型ノズル3、渦崩壊用ノズル4などの製造にはどのような方法を用いてもよいが、例えばトランスファーモールド成型技術などによりプラスチック、例えば耐熱ABS樹脂を用いて容易に製造することができる。
このマイクロバブルシャワーの主要な部分の寸法などの一例を挙げると、シャワーヘッド51の先端部の外径は例えば約58mm、内径は例えば約47mm、ねじ部を除く全長は例えば約67mmである。シャワーヘッド51のタービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4の中心軸とシャワー孔54aからの水流の噴き出し方向とのなす角度は例えば45度である。柄52の内径は例えば約25mm、外径は例えば約37mm、長さは例えば約167mmである。タービン翼型ノズル3の全長は例えば約37mm、翼3bを含む本体3aの直径は例えば約12.5mmである。渦崩壊用ノズル4の縮流部4の長さは例えば約7mm、渦崩壊部4bおよびテーパー部4hの全長は例えば約10.5mmである。旋回流制止板61の、タービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4の中心軸に平行な辺のこの中心軸からの長さは例えば約5mmである。給気孔3eの断面形状は例えば0.9mm×1.8mmの長方形である。
【0079】
次に、このマイクロバブルシャワーの動作について説明する。ホース53を水道に接続し、水を流す。この水はホース53を通って柄52に入り、さらにシャワーヘッド51のタービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4を順次通り、上述のマイクロバブル装置1の動作原理に従って、渦崩壊用ノズル4からマイクロバブル6eを含む水が出る。旋回流6cへの空気の導入は、金属スペーサ59の内周面の雌ねじ59aとねじ55の雄ねじ55aとの間の隙間、ねじ55の先端部の下側の空間および給気孔3eを通して行われる。金属スペーサ59とこのマイクロバブル6eを含む水は、この渦崩壊用ノズル4の下流に設けられた旋回流制止板61に当たり、この旋回流制止板61によりこの水の旋回が制止される。最終的に、シャワーヘッド51の先端のキャップ54のシャワー孔54aからマイクロバブル6eを含む水が噴出し、洗浄などに用いられる。
【0080】
この一実施形態によるマイクロバブルシャワーによれば、次のような利点を得ることができる。すなわち、このマイクロバブルシャワーにおいては、シャワーヘッド51の喉部にマイクロバブル発生に必要なタービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4を組み込んでいるので、旋回流6cにより発生する負圧部はキャップ54のシャワー孔54aから遠くなり、シャワー孔54aからの空気の吸い込みを防止することができる。このため、従来のマイクロバブルシャワーのように空気の吸い込みを防止するためにノズル出口をほぼ閉塞する必要がないため、液体流、例えば水流が大きな抵抗を受ける問題がなく、水道水圧でも容易にマイクロバブルを発生させることができる。また、シャワーヘッド51のタービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4の中心軸とシャワー孔54aからの水流の噴き出し方向とのなす角度は鋭角であるため、シャワーヘッド51の内部に空気が滞留しにくく、マイクロバブルの発生効率を高くすることができる。
【0081】
さらに、渦崩壊用ノズル4の下流に、タービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4の中心軸を含む面上に旋回流制止板61が設けられているため、この旋回流制止板61により、渦崩壊用ノズル4の下流で液体6、例えば水が全体的に回転するのを防止することができ、これによってマイクロバブル6dの発生効率をより高くすることができる。すなわち、図40Bに示すように、渦崩壊用ノズル4の下流に、タービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4の中心軸を含む面上に旋回流制止板61が設けられていると、渦崩壊用ノズル4から出てくる旋回流6cの旋回が制止され、液体6が全体的に回転するのを防止することができるので、渦崩壊用ノズル4の出口で液体6の剪断力が大きくなり、このためマイクロバブルが効率的に微粒化される。ここで、図40Bの上の図はシャワーヘッド51の正面からタービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4の中心軸方向を見た図、下の図はマイクロバブルシャワーのシャワーヘッド51および柄52の縦断面図である(図40AおよびCも同様)。これに対し、図40Aに示すように、旋回流制止板61を設けない場合には、渦崩壊用ノズル4から出てくる旋回流6cによりシャワーヘッド51内部の液体6が全体的に回転してしまうため、液体6の剪断力が減少し、気柱が形成され、マイクロバブル6dが合体してしまい、マイクロバブル6dの微粒化が促進されない。また、図40Cに示すように、シャワーヘッド51の出口に近い位置に旋回流制止板61を設けた場合には、マイクロバブル6dの微粒化は可能であるものの、使用時にマイクロバブルシャワーの柄52を鉛直方向に保持すると、旋回流制止板61にマイクロバブル6dが滞留し成長するため、マイクロバブル6dの発生効率が小さい。
以上により、従来に比べて高性能のマイクロバブルシャワーを得ることができる。
【0082】
以上、この発明の一実施形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態および実施例に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態において挙げた数値、形状、構造、配置などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じて、これらと異なる数値、形状、構造、配置などを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】第1の例によるマイクロバブル発生装置の本体を示す斜視図である。
【図2】第1の例によるマイクロバブル発生装置のタービン翼型ノズルの翼体を示す斜視図である。
【図3】第1の例によるマイクロバブル発生装置のタービン翼型ノズルの翼体を示す正面図である。
【図4】第1の例によるマイクロバブル発生装置のタービン翼型ノズルの翼体を示す縦断面図である。
【図5】第1の例によるマイクロバブル発生装置のタービン翼型ノズルの翼体の一つの翼の形状を示す略線図である。
【図6】第1の例によるマイクロバブル発生装置の渦崩壊用ノズルを示す縦断面図である。
【図7】第1の例によるマイクロバブル発生装置の給気装置を示す縦断面図である。
【図8】第1の例によるマイクロバブル発生装置の渦崩壊用ノズルの縮流部におけるサーキュレーション数を説明するための略線図である。
【図9】第1の例によるマイクロバブル発生装置の渦崩壊用ノズルの臨界ノズル半径を説明するための略線図である。
【図10】第1の例によるマイクロバブル発生装置の渦崩壊用ノズルで生じる渦崩壊を示す略線図である。
【図11】Hinzeスケールを説明するための略線図である。
【図12】第1の例によるマイクロバブル発生装置においてサーキュレーション数が2のときにマイクロバブルを Hinzeスケールまで微粒化するときの給気量を示す略線図である。
【図13】第1の例によるマイクロバブル発生装置においてサーキュレーション数が3のときにマイクロバブルを Hinzeスケールまで微粒化するときの給気量を示す略線図である。
【図14】第1の例によるマイクロバブル発生装置においてサーキュレーション数が4のときにマイクロバブルを Hinzeスケールまで微粒化するときの給気量を示す略線図である。
【図15】第1の例によるマイクロバブル発生装置においてサーキュレーション数が2のときにマイクロバブルを Hinzeスケールまで微粒化するときの給気量と液体流量との比を示す略線図である。
【図16】第1の例によるマイクロバブル発生装置においてサーキュレーション数が3のときにマイクロバブルを Hinzeスケールまで微粒化するときの給気量と液体流量との比を示す略線図である。
【図17】第1の例によるマイクロバブル発生装置においてサーキュレーション数が4のときにマイクロバブルを Hinzeスケールまで微粒化するときの給気量と液体流量との比を示す略線図である。
【図18】第1の例によるマイクロバブル発生装置のタービン翼型ノズルの実施例を説明するための表である。
【図19】第1の例によるマイクロバブル発生装置のタービン翼型ノズルの形状、渦崩壊用ノズルの形状およびタービン翼型ノズルから渦崩壊用ノズルまでの間隔の実施例を説明するための略線図である。
【図20】第2の例によるマイクロバブル発生装置の渦崩壊用ノズルを示す縦断面図である。
【図21】第2の例によるマイクロバブル発生装置におけるマイクロバブルの発生状況を他の例と比較した略線図である。
【図22】第2の例によるマイクロバブル発生装置における二種類の渦崩壊の様子を示す略線図である。
【図23】第3の例によるマイクロバブル発生装置を示す縦断面図である。
【図24】第4の例によるマイクロバブル発生装置を示す縦断面図である。
【図25】第5の例によるマイクロバブル発生装置の本体を示す縦断面図である。
【図26】第6の例によるマイクロバブル発生装置におけるマイクロバブルの発生状況を確認するために計測した音波のスペクトルを示す略線図である。
【図27】第6の例によるマイクロバブル発生装置におけるマイクロバブルの発生状況を確認するために計測した画像のスペクトルを示す略線図である。
【図28】第7の例によるマイクロバブル発生装置の渦崩壊用ノズルを示す縦断面図およびこの渦崩壊用ノズルの出口のエッジの拡大図である。
【図29】第7の例によるマイクロバブル発生装置の渦崩壊用ノズルで生じる超臨界渦崩壊を示す略線図である。
【図30】第7の例によるマイクロバブル発生装置の渦崩壊用ノズルで生じる亜臨界渦崩壊を示す略線図である。
【図31】第7の例によるマイクロバブル発生装置の渦崩壊用ノズルの形状の例を示す縦断面図である。
【図32】この発明の一実施形態によるマイクロバブルシャワーの全体構成を示す側面図である。
【図33】この発明の一実施形態によるマイクロバブルシャワーのシャワーヘッドおよび柄の縦断面図である。
【図34】この発明の一実施形態によるマイクロバブルシャワーのシャワーヘッドおよび柄の縦断面図である。
【図35】この発明の一実施形態によるマイクロバブルシャワーを構成するタービン翼型ノズルおよび渦崩壊用ノズルを示す略線図である。
【図36】この発明の一実施形態によるマイクロバブルシャワーのシャワーヘッドの横断面図である。
【図37】この発明の一実施形態によるマイクロバブルシャワーのシャワーヘッドの内部構造を示す略線図である。
【図38】この発明の一実施形態によるマイクロバブルシャワーのシャワーヘッドの内部構造を示す略線図である。
【図39】この発明の一実施形態によるマイクロバブルシャワーのシャワーヘッドを示す略線図である。
【図40】この発明の一実施形態によるマイクロバブルシャワーの動作を説明するための略線図である。
【符号の説明】
【0084】
2…パイプ、2a…渦流部、3…タービン翼型ノズル、3a…本体、3b…翼、3e…給気孔、3f…噴射孔、4…渦崩壊用ノズル、4a…縮流部、4b…渦崩壊部、4c…テーパー部、6…液体、6a…液体流、6b…気柱、6c…旋回流、6d…マイクロバブル、51…シャワーヘッド、52…柄、53…ホース、54…キャップ、54a…シャワー孔、61…旋回流制止板
【技術分野】
【0001】
この発明は、マイクロバブルシャワーに関し、例えば、マイクロバブルを利用した水による洗浄に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
マイクロバブルは、発生時において気泡径が一般に10〜数10μmである微細気泡であり、水中で普通に発生する直径数mm程度の気泡と比べると極めて小さい。マイクロバブルは、このように極端に小さいため、微細なゴミを吸着して水面に浮上させる性質を持ち、水産物の洗浄や水質浄化などに応用されている。
【0003】
従来、このマイクロバブルを利用したマイクロバブルシャワーとして、旋回流を利用した噴き出し型のマイクロバブル発生方式を用いたものが知られている(例えば、非特許文献1参照。)。
なお、渦崩壊現象を利用したマイクロバブル発生装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)
【0004】
【非特許文献1】[平成19年3月18日検索]、インターネット〈URL:http://www.rapyuta.jp/page/17 〉
【特許文献1】国際公開第06/075452号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般にシャワーでは、水の出口が空気と接するため、そこに負圧部があれば空気を吸い込むことになり、この場合にはマイクロバブルは発生しない。この点に関し、上述の従来のマイクロバブルシャワーでは、マイクロバブル発生ノズルの出口がシャワー孔に近いため、ノズル出口をほぼ閉塞することで空気の吸い込みを防いでいる。しかしながら、このようにノズル出口をほぼ閉塞すると、水流は大きな抵抗を受けることになるため、シャワーに流す水の水圧を高くしなければならないだけでなく、給気の制御も適切に行うことが困難であるため、マイクロバブルを安定して発生させることが困難である。
【0006】
そこで、この発明が解決しようとする課題は、水道水圧でも使用することができ、しかもマイクロバブルの発生効率が高いマイクロバブルシャワーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、
旋回流発生用翼型ノズルと、上記旋回流発生用翼型ノズルと同軸に設けられた縮流部および渦崩壊部を有する渦崩壊用ノズルとをシャワーヘッドの喉部に有することを特徴とするマイクロバブルシャワーである。
ここで、渦崩壊とは、渦の構造が急激に変化する現象であり、スパイラル型(デルタ翼の場合などに発生する型)、バブル型(円管内流れの場合などに発生する型)の二つの顕著な型を有する。
【0008】
このマイクロバブルシャワーにおいては、典型的には、旋回流発生用翼型ノズルの入口に液体を供給することにより旋回流を発生させるとともに、この旋回流の中心に気体を導入し、この中心に気体が導入された旋回流を上記縮流部に供給することにより渦崩壊部からマイクロバブルを発生させる。マイクロバブルの発生効率の向上を図る観点より、好適には、旋回流発生用翼型ノズルおよび渦崩壊用ノズルの中心軸とシャワーヘッドの出口からの液体の噴き出し方向との間の角度は鋭角に選ばれる。同じく、マイクロバブルの発生効率の向上を図る観点より、シャワーヘッドの喉部の渦崩壊用ノズルの下流側に記旋回流を制止する板を有する。この旋回流を制止する板は、典型的には、旋回流発生用翼型ノズルおよび渦崩壊用ノズルの中心軸を含む面上に設けられる。この旋回流を制止する板は、渦崩壊用ノズルから出てくる旋回流がシャワーヘッド内部に伝わるのを防止することができればよく、必ずしも渦崩壊用ノズルの全体にまたがる必要はない。旋回流発生用翼型ノズルは、典型的には、旋回流発生用翼体を円筒形状の管(パイプ)の内部に収容したもの(あるいは、旋回流発生用翼体の外側を管により覆ったもの)である。旋回流発生用翼体は、典型的には、円柱状の本体の一端部を流線形(典型的には、この本体の中心軸を回転軸とする回転体状(例えば、半球状))に成形し、本体の外周面の長手方向に複数の翼をそれらの後部が彎曲するように設け、この本体の他端部に気体の噴射孔を設けたものである。また、この旋回流発生用翼体はこの本体の外周面に設けられた給気孔とこの本体の他端部に設けられた噴射孔とを有し、これらの給気孔と噴射孔とはこの本体内に設けられた通路を介して互いに連通している。マイクロバブルシャワーの製造の容易さの観点からは、最も好適には、旋回流発生用翼体の翼の枚数は3枚であるが、これに限定されるものではなく、翼の枚数は必要に応じて選ぶことができる。渦崩壊用ノズルにおいては、典型的には、縮流部は渦崩壊部に向かって断面積が徐々に減少しており(あるいは、縮流部は渦崩壊部に向かってすぼまっており)、渦崩壊部との境界部(あるいは接続部)において渦崩壊部と同一の断面形状を有する。好適には、渦崩壊部は円筒形状を有する第1の部分と出口に向かって広がった形状の第2の部分とを有し、第1の部分の内周面と第2の部分の端面とがなす角度をθ0 としたとき、0度<θ0 <180度あるいは90度<θ0 <180度、例えば100度程度である。渦崩壊部が円筒形状を有する第1の部分と出口に向かって広がった形状の第2の部分とを有する場合、第1の部分の内周面と第2の部分の端面とは滑らかに繋がっていることが望ましい。こうすることで、渦崩壊用ノズルの噴き出し面である第2の部分の端面に旋回流を付着させることができる。
【0009】
マイクロバブルを発生させる液体は、基本的にはどのようなものであってもよいが、具体的には、例えば、水(温水を含む)、各種の有機溶剤(アルコール、アセトン、トルエンなど)、石油、ガソリンなどの液体燃料などである。
旋回流の中心に供給する気体は、基本的にはどのようなものであってもよいが、具体的には、例えば、空気、酸素、オゾン、水素、アルゴンなどである。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、水道水圧でも使用させることができ、しかもマイクロバブルの発生効率が高いマイクロバブルシャワーを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明の一実施形態によるマイクロバブルシャワーについて図面を参照しながら説明する。
まず、このマイクロバブルシャワーの基礎となるマイクロバブル発生装置について説明する(特許文献1参照。)。
第1の例によるマイクロバブル発生装置においては、マイクロバブルを発生させるために、パイプ中心部を閉塞させ円周方向の流速を大きくすることでパイプ内を流れる水などの液体から強い旋回流を発生するタービン翼型ノズルと、主流に比べて循環が卓越する流れを小さい流れに遷移させる渦崩壊用ノズルとを直列に配置する。
【0012】
図1は第1の例によるマイクロバブル発生装置1の本体、図2〜図4はこのマイクロバブル発生装置1のタービン翼型ノズルの翼体、図5はこのタービン翼型ノズルの翼体の一つの翼の展開図、図6はこのマイクロバブル発生装置1の渦崩壊用ノズル、図7はこのマイクロバブル発生装置1の給気装置を示す。
【0013】
図1〜図7に示すように、このマイクロバブル発生装置1は、円筒状のパイプ2の内部に互いに同軸に直列結合されたタービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4を収容したものと給気装置5とからなる。タービン翼型ノズル3は、円柱状の本体3aの前方aを半球状に成形し、この本体3aの外周面bの長手方向に複数の翼3bをそれらの後方cが彎曲するように設け、背面dに噴射孔3fを設けた翼体の外側をパイプ2により管状に覆ったものである。渦崩壊用ノズル4は、パイプ2の先端部eに配置されている。渦崩壊用ノズル4は、テーパー状に成形した縮流部4aに管状の渦崩壊部4bを連接したものである。給気装置5は、渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bの圧力差を検出し、タービン翼型ノズル3に供給する気体5lの量を調整するものである。パイプ2においては、入口2a、タービン翼型ノズル3、渦流部2b、渦崩壊用ノズル4の順に液体6が流れる。パイプ2は既存の設備に接続できるように様々なサイズに対応可能である。
【0014】
このマイクロバブル発生装置1では、パイプ2の入口2aに、マイクロバブルを発生させようとする水などの液体6を流し、タービン翼型ノズル3により水流などの液体流6aを円周方向fに向けるとともに気柱6bを噴出させ、渦崩壊用ノズル4で縮流して渦崩壊させることを特徴とする。より詳細には、パイプ2の入口2aから入った液体6は、タービン翼型ノズル3によって中心部が閉塞されるため、流速の増した液体流6aとなる。液体流6aは、タービン翼型ノズル3の外周面bに存在する溝3dに沿って流れ、タービン翼型ノズル3の円周方向fに向きを変えられることにより旋回流6cとなって渦流部2bを進む。渦流部2bでは、タービン翼型ノズル3の噴射孔3fから放出された気柱6bが旋回流6cとともに螺旋状に流れる。渦崩壊用ノズル4に入ると、旋回流6cは縮流され、循環に比べて流れが卓越することで渦崩壊が起きる。この渦崩壊により大きな気泡が細かく潰され、マイクロバブル6dとなって渦崩壊用ノズル4の出口から放出される。ここで、渦崩壊用ノズル4の最小断面、すなわち渦崩壊部4bの断面における旋回流6cの回転周波数fe は、縮流部4aにおいて循環が保存されるとすると、渦流部2bにおける旋回流6cの回転周波数をf、パイプ2の内径をD、渦崩壊部4bの内径をDe としたとき、fe =(D/De )2 fとなる。
【0015】
タービン翼型ノズル3は、水流などの液体流6aを螺旋状の旋回流6cに変換するとともに気柱6bを放出する器具であり、パイプ2の内部に、本体3aの外周面b上に複数の翼3bを設けた翼体が固定されている。タービン翼型ノズル3は回転させる必要はなく、動力は不要である。なお、気柱6bとは、空気などの気体5lを勢い良く柱状に噴射させた気泡のことである。
本体3aは円柱状(断面は長方形状)であり、前方aは半球状部3c(断面は半円状)と連接しており、背面dの中央に噴射孔3fを有する。
【0016】
翼3bは、半球状部3cの頂部3uから本体3aの背面端3vにかけて、本体3aの外周面b上を縦断するように設けた部材であり、液体流6aの向きを本体3aの円周方向fに変えるために、背面端3vに向かうにつれて湾曲している。半球状部3cにおける翼3bも全体としては半球状に成形される。ただし、半球状部3cにおける翼3bは必要に応じて省略することが可能である。翼3bは本体3aから突起状に出ているため、隣り合う翼3bと翼3bとの間には溝3dが存在する。
【0017】
半球状部3cは、パイプ2の入口2aから入ってきた液体6がスムーズに溝3dに流れ込むように丸めてある箇所である。パイプ2は、タービン翼型ノズル3から放出される円周方向fの噴流から角運動量の大きな流体を生成するために必要である。
溝3dは、翼3bにより仕切られた液体6の流れる通路である。翼3bが湾曲していることから、水平方向(パイプ2の中心軸方向)に流れていた液体流6aが、徐々に垂直方向に曲げられ、螺旋状の旋回流6aとなってタービン翼型ノズル3から出ていく。
噴射孔3fは、マイクロバブルの基となる気柱6bを放出する孔である。気柱6bは、本体3aの外周面bに設けられた給気孔3eから気体5lを供給することにより生成される。噴射孔3fから出た気柱6bは、旋回流6cとともに流れていく。
【0018】
翼3bは、液体6の流れを等分に分割するため、同じ形状のものを等間隔に配置する。翼間隔3gは翼3bを配置する間隔であり、この場合、翼数が6枚であるので翼間隔3gは60度であるが、これに限定されるものではない。
翼角3hは半球状部3cにおける翼3bの大きさを決めるもので、中心から一定の角度を持って延びていき、本体3aに至ってからは、同じ幅を維持して延びる。なお、翼角3hは、大き過ぎると液体6の通り道が狭くなるので、例えば15度程度が好ましいが、これに限定されるものではない。
液体6の通り道となる溝3dの溝深さ3nは溝3dの深さであり、翼3bの高さでもある。なお、溝深さ3nは、タービン翼型ノズル3のサイズにより適切な深さに調整することができる。
【0019】
ノズル長3iはタービン翼型ノズル3の全体の長さであり、本体3aの長さである翼長3kと半球状部3cの半径である外半径3lとの和に等しい。なお、タービン翼型ノズル3の大きさは、パイプ2の大きさが異なれば、適切な大きさも異なる。
ノズル径3jは、タービン翼型ノズル3の直径である。ノズル径3jは、翼3bの部分を含めた本体3aの直径でもあり、また、本体3aに連接することから、半球状部3cの直径でもある。
【0020】
翼3bは後方cが湾曲しているため、翼3b自体の長さは翼長3kよりも長くなる。また、半球状部3cにおける翼3bに関しては、翼長3kには含めないものとする。
外半径3lは半球状部3cの翼3bの部分を含めた全体の半径であり、半球状部3cの頂部3uから本体3aまで垂直に下りた長さでもある。なお、隣り合う翼3bと翼3bとの間には溝3dが存在するため、外半径3lは、溝3dを埋めたものと考えた場合の半径を意味する。
【0021】
内半径3mは、半球状部3cの翼3bを除いた本体3aと連接される部分の半径である。内半径3mは、外半径3lとの差である溝深さ3nの分だけ出た位置から球状にしているため、内半径3mの頂部3uは外半径3lの頂部3uと一致する。
孔距離3oは、噴射孔3fのあるタービン翼型ノズル3の背面端3vから給気孔3eの位置までの距離であり、例えば、翼長3kの半分の位置が好ましいが、これに限定されるものではない。また、給気孔3eは、液体6が通らない翼3b上に設けることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0022】
給気孔3eと噴射孔3fとはタービン翼型ノズル3の内部で繋がっており、タービン翼型ノズル3の外周面bに設けられた給気孔3eから供給された気体5lが、タービン翼型ノズル3の背面dの中央に設けられた噴射孔3fから放出される。
孔内径3pは、給気孔3eおよび噴射孔3fの直径である。孔内径3pの大きさは、噴射孔3fから出る気柱6bの量に影響を与えるため、適切なサイズに調整する必要があり、供給する気体5lの流量に応じて決められる。一例を挙げると、孔内径3pは2mm程度が好ましいが、これに限定されるものではない。
【0023】
図5は、タービン翼型ノズル3の一つの翼3bの形状を示す展開図であり、翼3bを湾曲させた様子をグラフ上で示したものである。グラフの横軸は翼端(翼の先端)からの流れ方向にとった距離、縦軸は周方向の距離を示す。翼3bが描く曲線は、0から翼長3kまでの範囲に存在する。なお、距離3qは、翼端からの距離が0と翼長3kとの間の任意の値とし、距離3rは、翼端からの距離が翼長3kの場合の値とする。
【0024】
勾配3sは距離3qにおける傾きであり、距離3qが0の場合は勾配3sも0度であるが、距離3qが増えるにつれて勾配3sも大きくなっていく。翼3bの勾配3sは、距離3qが0では液体流6aが流れに沿うこと、距離3rでは液体流6aを円周方向fに向かわせることが必要であるため付けたものである。勾配3sにより液体流6aを旋回流6cにすることができるが、翼3bにより円周方向fの流れが主流方向の流れに比べて大きくなり、結果として渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bで渦崩壊を引き起こすためには、翼3bの終端における勾配3tが、およそ55〜60度より大きくなる必要がある。具体的には、例えば、翼3bが本体3aの円周方向fとなす角度は5〜9度(あるいは5〜6度)、すなわち、距離3rにおける勾配3tは81〜85度(あるいは84〜85度)であることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0025】
渦崩壊用ノズル4は、旋回流6cとともにパイプ2の渦流部2bを流れてきた気柱6bを渦崩壊させてマイクロバブル6dを発生させる器具であり、パイプ2の端に一体的に連接する。渦崩壊用ノズル4は縮流部4aと渦崩壊部4bとからなる。縮流部4aは、テーパー状に細くなる管であり、広い側はパイプ2の渦流部2bに連接され、狭い側は渦崩壊部4bに連接される。縮流部4aの細くなる角度(テーパー角)4eは、パイプ2などの大きさに依存し、必要に応じて選ばれる。この角度4eの一例を挙げると約20度であるが、これに限定されるものではない。渦崩壊部4bは、パイプ2の渦流部2bよりも細い円筒状の管であり、一端は縮流部4aの狭い側に連接され、他端が出口となる。渦崩壊部4bの内径4fもパイプ2の大きさなどに依存し、必要に応じて選ばれる。この内径4fは例えば0.5〜1.5cmであるが、これに限定されるものではない。
【0026】
パイプ2内を流れる液体6は、渦流部2bから縮流部4aの広い側に入り、縮流部4aの径が細くなっていくことで流速を増しながら渦崩壊部4bへと至る。液体6とともに流れてきた気柱6bは、渦崩壊部4bにおいて細かくされ、マイクロバブル6dとして渦崩壊用ノズル4の出口から放出される。
渦崩壊用ノズル4の渦崩壊が発生するノズル径の最小値、すなわち臨界ノズル径は次のようにして求められる。
【0027】
詳細は省略するが、タービン翼型ノズル3の翼3bによって生成される旋回流6cの回転周波数fはCassidy et. al., J. Fluid Mech., V.41, pp.727-736, 1970 による方法により求められ、fとfe との間にはfe =(D/De )2 fの関係が成り立つから、
【数1】
と表される。ここで、R=D/2(=図4に示す外半径3l)、Qはパイプ2に供給される液体6の流量、ρは液体6の密度、ε=re /R(ただし、re =De /2)、δ=h/R(hは図4に示す溝深さ3nと等しい)、κ=Nv Δθ/2π(ただし、Nv は翼3bの枚数、Δθ(rad.)は溝3dの角度(溝角))、θf は図5に示す勾配3tと等しく、α0 、α1 は定数でα0 =0.4、α1 =1である。
【0028】
渦崩壊用ノズル4の縮流部4aにおけるサーキュレーション数Γe は
【数2】
である。ただし、ue は渦崩壊用ノズル4の出口における流速、ωe は渦崩壊部4bの断面における旋回流6cの回転角周波数である。この(2)式に(1)式のfe を代入すると、Γe は
【数3】
と求められる(Cassidy et. al., J. Fluid Mech., V.41, pp.727-736, 1970 を参照。)
。
【0029】
図8に、ε=1.5/4.0であるときの渦崩壊前のサーキュレーション数Γe のθf に対する変化をδを0.4/2、0.9/2と変えて求めた結果を示す。ただし、図8におけるΓcrは臨界サーキュレーション数でΓcr=2.0である(本マイクロバブル発生装置ではΓcr≒2.0、より一般的な旋回流発生装置の場合の平均的な値はΓcr≒1/0.65(例えば、Spall et. al., Phys. Fluid, 30(11), pp.3434-3440, 1987)。図8に示すように、溝3dの深さ、すなわち溝深さ3n=hが大きくなるにしたがって、軸方向運動量に対する円周方向の運動量が相対的に小さくなり、結果として溝深さ3n=h、したがってδが大きいほどサーキュレーション数Γe は減少する。このため、溝深さ3n=hが大きくなると渦崩壊は起こりにくくなる。
【0030】
溝深さ3n=hおよびθf を与えたとき、渦崩壊が発生するノズル半径の最小値、すなわち臨界ノズル半径εcr(臨界半径をrecr とするとεcr=recr /R)は、Γe =Γcrとおくことにより下記のように得られる。したがって、タービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4をε>εcrを満たすように設計することにより、渦崩壊用ノズル4で渦崩壊を起こさせることができる。
【数4】
【0031】
図9に、渦崩壊の閾値をΓcr=2.0としたときの渦崩壊用ノズル4のε=re /Rのδ=h/Rに対する変化を、θf を50度、60度、70度、80度、84度と変えて求めた結果を示す。ただし、κ=3/4とした。図9中の○、×はそれぞれ、θf =84度として実験を行ったときに渦崩壊が生じた場合、生じなかった場合を示す。詳細は省略するが、旋回流6cによる分級効果によって、渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bで放出されるマイクロバブル6dの径dは
【数5】
と表される。ただし、νw は液体6の動粘性率である。この式においてΓe =O(1)であるから、νw が小さく、fe が大きいほど微細なマイクロバブル6dが生成されることが分かる。
【0032】
パイプ2に液体6を供給するために用いるポンプのパワーを一定としたとき、fe は
【数6】
となる。したがって、fe を大きくすることでマイクロバブル6dを生成するには高揚程ポンプ(Rが小さい)が有利である。
【0033】
給気装置5は、マイクロバブル発生装置1に気体5lを供給する装置であり、タービン翼型ノズル3の給気孔3eに連結され、噴射孔3fから気柱6bを放出する。圧力検出器4cおよび圧力検出器4dは渦崩壊部4b内の圧力を検出する器具であり、圧力検出器4cは縮流部4aに連接する側に設けられ、圧力検出器4dは出口側に設けられている。これらの圧力検出器4cおよび圧力検出器4dにより圧力差を検知し、気体5lの供給量を自動的に調節する。
【0034】
給気装置5は、シリンダ5aおよびピストン5bなどの部材から構成される。この給気装置5とタービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4との接続は、給気孔3eと通気孔5f、圧力検出器4cと高圧力部5j、圧力検出器4dと低圧力部5kとを繋ぐことで行う。シリンダ5aは給気装置5の外枠であり、内部に中空部分を有するほぼ円柱状の形状である。なお、シリンダ5aのサイズの一例を挙げると、長さ約7.0cm、直径約2.6cmであるが、これに限定されるものではない。
【0035】
シリンダ5aの先頭側には、シリンダ5aの側面を貫通する通気孔5fがあり、この通気孔5fの一端は、給気管5iにより給気孔3eに接続され、他端は、開放することで気体5lを取り込むが、特別な気体を使用する場合にはボンベなどを接続する。
また、シリンダ5a内の中空部分は、ピストン5bおよびダイアフラム5mにより高圧力部5jと低圧力部5kとに分けられる。先頭側の高圧力部5jは、圧力検出器4cで検知した圧力となり、背後側の低圧力部5kは、圧力検出器4dで検知した圧力となる。
なお、高圧力部5jおよび低圧力部5kには、それぞれ空気孔5gおよび空気孔5hが設けられる。空気孔5gおよび空気孔5hは、通常は閉じておくが、開放することにより内部の空気を抜くことができる。
【0036】
ピストン5bは、シリンダ5aの内部を往復移動する部材であり、可動部5c、バネ5dおよびストッパー5eなどからなる。ピストン5bが移動することにより、給気孔3eへ供給する気体5lの量を調節する。可動部5cは、シリンダ5a内を前後に動く部分であり、給気孔3eの開閉を行う杭状の前半部と、シリンダ5a内の高圧力部5jと低圧力部5kとを仕切る円柱状の後半部とからなる。可動部5cが最も前に移動した場合は、先端が通気孔5fを突き抜けて気体5lが通らないように塞いでしまい、可動部5cが最も後に移動した場合は、先端が通気孔5fから離れて気体5lを通す。
【0037】
バネ5dは、伸び縮みすることで可動部5cの移動を制御するもので、高圧力部5jと低圧力部5kとの圧力差と連動して可動部5cの位置を調整する。高圧力部5jの圧力が増せばバネ5dが縮んで可動部5cを後方に移動させ、低圧力部5kの圧力が増せばバネ5dが伸びて可動部5cを前方に移動させる。
ストッパー5eは、ピストン5bの端をシリンダ5aの後背部に固定することで、ピストン5bを支えている部材である。ストッパー5eで押さえることで、ピストン5bがシリンダ5a内で安定し、バネ5dの伸縮も有効に働き、可動部5cを移動させることができる。
可動部5cとストッパー5eとはバネ5dにより接続されるが、バネ5dの内側で可動部5cとストッパー5eとをスライド構造にすることにより、バネ5dの部分の安定性を保つとともに、可動範囲を制御する。
【0038】
給気装置5は、高圧力部5jと低圧力部5kとの圧力差を利用してピストン5bを移動させることにより、気体5lの供給を制御する。高圧力部5jおよび低圧力部5kは、圧力検出器4cおよび圧力検出器4dと管5n、5oで接続され、渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bの圧力を反映させる。具体的には、圧力検出器4cと圧力検出器4dとの間の部分の渦崩壊部4bで渦崩壊が発生しているときは、圧力検出器4cと圧力検出器4dとの圧力差が増大し、高圧力部5jと低圧力部5kとの圧力差がバネ5dの反力よりも大きくなると、ピストン5bが右に移動して通気孔5fが開く。
【0039】
なお、圧力検出器4cと圧力検出器4dとの間の部分の渦崩壊部4bで渦崩壊が発生しない場合は、給気孔3eへの給気量が多く、圧力検出器4cと圧力検出器4dとの圧力差が小さい場合であり、給気量を制御するために、高圧力部5jと低圧力部5kとの圧力が均衡した際のピストン5bの位置を、通気孔5fが閉まる位置にしておく。
【0040】
図10AおよびBは渦崩壊用ノズル4での渦崩壊を示す図であり、渦崩壊ありの場合(図10A)の渦崩壊用ノズル4および渦崩壊なしの場合(図10B)の渦崩壊用ノズル4の状態を示したものであ。図10Aに示すように、渦崩壊ありの場合には、縮流部4aから来た気柱6bは、渦崩壊部4bの中間付近で渦崩壊し、マイクロバブル6dとなって出て行くため、渦崩壊部4bの出口における圧力は、渦崩壊部4bの入口における圧力よりも小さくなる。
圧力検出器4cにより渦崩壊部4bの入口の圧力を検出し、圧力検出器4dにより渦崩壊部4bの出口の圧力を検出して、渦崩壊部4b内に圧力差があれば、正常に渦崩壊が起きており、このまま給気を行う。
【0041】
渦崩壊なしの場合(図10B)には、縮流部4aから来た気柱6bは、渦崩壊部4b内では渦崩壊せず、マイクロバブル6dとならないため、渦崩壊部4bの出口における圧力は、渦崩壊部4bの入口における圧力とほとんど変わらない。このとき、圧力検出器4cにより渦崩壊部4bの入口の圧力を検出し、圧力検出器4dにより渦崩壊部4bの出口の圧力を検出して、渦崩壊部4b内に圧力差がなければ、給気を抑制し、渦崩壊が起きるように調整する。
このように、給気量が適正でなければ、気柱6bは渦崩壊せずマイクロバブル6dが得られないので、この第1の実施形態では、渦崩壊しているかどうかを渦崩壊部4bの圧力差によって確認し、さらに上述のようにこの圧力差を利用して自動的に給気量を調整することができる。
【0042】
次に、気体5lの給気量(気体流量)Qa とマイクロバブル6dの径dとの関係について説明する。
渦崩壊用ノズル4の前面に張り付いた気柱6bが受ける剪断によって発生する気泡径を Hinzeスケール(圧力による分断作用と表面張力とが釣り合った平衡状態における径dH )に従って算定すると図11に示すようになる。詳細は省略するが、マイクロバブル6dが HinzeスケールdH まで微粒化されるときの気体5lの給気量Qa は
【数7】
で与えられる。ここで、d0 は次の式 (8) 〜(10)から算定される。
【数8】
【数9】
【数10】
ただし、
【数11】
である。ここで、γは気体5lと液体6との界面張力係数である。
【0043】
図12、図13および図14は、Γe がそれぞれ=2、3および4のときの給気量Qa を示す。
Hinzeスケールのマイクロバブル6dを生成するときの給気量Qa と液体6の流量Qw との比は次式で表される。
【数12】
【0044】
図15、図16および図17は、Γe がそれぞれ2、3および4のときの給気量Qa と液体6の流量Qw との比をプロットしたものである。図15、図16および図17より、fe >100Hzおよびre <2cmの範囲内では、Qa /Qw はfe およびre にあまり依存しない。このときのQa /Qw を漸近的に計算すると次式のようになる。
【数13】
この式はΓe 〜2.5の実験における値Qa /Qw 〜0.005により検証されている(山田ら、流体力学会年会2005、AM05−24−002)。
【0045】
渦崩壊用ノズル4の出口のエッジでは旋回流6cの剥がれによって音が発生するが、この音は、例えば、このエッジに微細な繊維(例えば、綿状のもの)を貼ったり、渦崩壊用ノズル4の縮流部4aの入り口にその直径方向に針金(例えば、数mm径のもの)を張り渡して上流の気柱6bを乱したりすることで消音することが可能である。
タービン翼型ノズル3の具体例について説明する。図18は、タービン翼型ノズル3の具体例1〜3を示し、タービン翼型ノズル3の形状を示す。翼3bの枚数を6枚とし、翼3bを等間隔に配置することから翼間隔3gは60度となり、翼角3hを15度とすること、勾配3sを84度とすることは具体例1〜3で共通する。
【0046】
具体例1は、半球状部3cの外半径3lを0.85cm、翼長3kを2.03cm、溝深さ3nを0.3cmにした場合である。ノズル長3iは、翼長3kと外半径3lとの合計であることから2.88cmであり、内半径3mは、外半径3lより溝深さ3nの分小さいことから0.55cmとなる。本体3aの円周は、外半径3lが0.85cmであることから5.34cmとなるので、翼幅は、翼角3hが15度であることから0.22cmとなり、溝幅は、翼間隔3gが60度であることから0.89cmとなる。翼3bの円周角は、67.4×(−0.0369+0.780/(2.11−位置))の式で表現することができる。なお、位置は翼端からの距離であり、0から翼長3kの範囲の値である。例えば、位置が0の場合、翼3bの円周角は0度となり、位置が翼長3kの場合、翼3bの円周角は63.2度となる。
【0047】
具体例2は、半球状部3cの外半径3lを1.6cm、翼長3kを3.82cm、溝深さ3nを0.5cmにした場合である。ノズル長3iは、翼長3kと外半径3lとの合計であることから5.42cmであり、内半径3mは、外半径3lより溝深さ3nの分小さいことから1.1cmとなる。本体3aの円周は、外半径3lが1.6cmであることから10.05cmとなるので、翼幅は、翼角3hが15度であることから0.42cmとなり、溝幅は、翼間隔3gが60度であることから1.68cmとなる。翼3bの円周角は、35.8×(−0.0695+0.276/(3.98−位置))の式で表現することができる。なお、位置は翼端からの距離であり、0から翼長3kの範囲の値である。例えば、位置が0の場合、翼3bの円周角は0度となり、位置が翼長3kの場合、翼3bの円周角は59.3度となる。
【0048】
具体例3は、半球状部3cの外半径3lを2.1cm、翼長3kを5.00cm、溝深さ3nを0.5cmにした場合である。ノズル長3iは、翼長3kと外半径3lとの合計であることから7.10cmであり、内半径3mは、外半径3lより溝深さ3nの分小さいことから1.6cmとなる。本体3aの円周は、外半径3lが2.1cmであることから13.19cmとなるので、翼幅は、翼角3hが15度であることから0.55cmとなり、溝幅は、翼間隔3gが60度であることから2.20cmとなる。翼3bの円周角は、27.3×(−0.0912+0.476/(5.22−位置))の式で表すことができる。なお、位置は翼端からの距離であり、0から翼長3kの範囲の値である。例えば、位置が0の場合、翼3bの円周角は−3.3度となり、位置が翼長3kの場合、翼3bの円周角は56.6度となる。
【0049】
図19A、BおよびCは、タービン翼型ノズル3の形状、渦崩壊用ノズル4の形状およびタービン翼型ノズル3から渦崩壊用ノズル4までの間隔の具体例4〜6を示す。タービン翼型ノズル3については、具体例4では具体例1と同様、具体例5では具体例2と同様、具体例6では具体例3と同様である。
具体例4(図19A)は、タービン翼型ノズル3の外半径3lが約0.85cmの場合であり、タービン翼型ノズル3のノズル長は2.88cmである。タービン翼型ノズル3はパイプ2にぴったり収まることから、パイプ2の内径も約0.85cmとなり、渦崩壊用ノズル4の入口側の径も同様に約0.85cmとなる。タービン翼型ノズル3から渦崩壊用ノズル4までの間である渦流部2bの長さを約1.7cmとし、渦崩壊用ノズル4の長さを約2.6cmとすると、タービン翼型ノズル3、渦流部2bおよび渦崩壊用ノズル4の全体の長さは約7.18cmとなる。なお、渦崩壊用ノズル4の形状は、縮流部4aにおける角度4eを20度、出口側の内径4fを0.5cmとすると、入口側の径が0.85cmであることから、渦崩壊部4bなどの長さが定まる。
【0050】
具体例5(図19B)は、タービン翼型ノズル3の外半径3lが約1.6cmの場合であり、タービン翼型ノズル3のノズル長は5.42cmである。タービン翼型ノズル3はパイプ2にぴったり収まることから、パイプ2の内径も約1.6cmとなり、渦崩壊用ノズル4の入口側の径も同様に約1.6cmとなる。タービン翼型ノズル3から渦崩壊用ノズル4までの間である渦流部2bの長さを約3.2cmとし、渦崩壊用ノズル4の長さを約5.0cmとすると、タービン翼型ノズル3、渦流部2bおよび渦崩壊用ノズル4の全体の長さは約13.62cmとなる。なお、渦崩壊用ノズル4の形状は、縮流部4aにおける角度4eを20度、出口側の内径4fを1.0cmとすると、入口側の径が約1.6cmであることから、渦崩壊部4bなどの長さが定まる。
【0051】
具体例6(図19C)は、タービン翼型ノズル3の外半径3lが約2.1cmの場合であり、タービン翼型ノズル3のノズル長は7.10cmである。タービン翼型ノズル3はパイプ2にぴったり収まることから、パイプ2の内径も約2.1cmとなり、渦崩壊用ノズル4の入口側の径も同様に約2.1cmとなる。タービン翼型ノズル3から渦崩壊用ノズル4までの間である渦流部2bの長さを約4.2cmとし、渦崩壊用ノズル4の長さを約7.0cmとすると、タービン翼型ノズル3、渦流部2bおよび渦崩壊用ノズル4の全体の長さは約18.3cmとなる。なお、渦崩壊用ノズル4の形状は、縮流部4aにおける角度4eを20度、出口側の内径4fを1.5cmとすると、入口側の径が約2.1cmであることから、渦崩壊部4bなどの長さが定まる。
具体例4〜6におけるパイプ2の寸法は、マイクロバブル6dを発生させるのに好ましい数値の例であり、パイプ2の大きさに応じて、タービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4の大きさも調整する必要がある。
【0052】
以上のように、この第1の例によるマイクロバブル発生装置1では、その構成要素であるタービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4が直線的に配列しているため、装置の小型化および大型化とも可能であり、現有設備に容易に直結することができる。また、タービン翼型ノズル3の給気孔3eへの気体5lの給気を給気装置5により行っているため、渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bにおける圧力変動に応じて給気量を自動的に調節することができ、渦崩壊を安定的に起こさせてマイクロバブル6dを発生させることができる。また、マイクロバブル6dの発生メカニズムが明瞭なため、パイプ2への液体6の供給に用いるポンプの性能に応じてマイクロバブル発生装置1の設計を容易に行うことができる。
【0053】
次に、第2の例によるマイクロバブル発生装置について説明する。
図20に示すように、このマイクロバブル発生装置1においては、渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bの先端にテーパー部4hを設けて、出口をテーパー状に広げたことを特徴とする。すなわち、第1の例によるマイクロバブル発生装置1の渦崩壊用ノズル4では、渦崩壊部4bの先端である出口の角度4iが0度であるのに対し、この第2の例によるマイクロバブル発生装置1の渦崩壊用ノズル4では、渦崩壊部4bの出口の角度(テーパー角)4iを十分に大きくしたテーパー部4hを設けている。この角度4iは、具体的には、例えば60度または80度程度にするが、これに限定されるものではない。
【0054】
第1の例の渦崩壊用ノズル4の場合は、渦流部2bで旋回流6cの中心付近に生じた気柱6bが、縮流部4aで流速が増され、渦崩壊部4bで細かく潰されることにより、マイクロバブル6dが発生するのに対して、この第2の例の渦崩壊用ノズル4の場合は、気柱6bは渦崩壊部4bを通過し、テーパー部4hにおいて、コアンダ効果により気泡となって張り付く。テーパー部4hに張り付いた気泡は、渦流部2bから続く旋回流6cにより剪断または破砕され、マイクロバブル6dが発生する。このようにテーパー部4hに張り付くことにより、気泡が剪断を受ける時間が長くなり、気泡の微粒化が促進される。
なお、コアンダ効果とは、流れの中に物体を置いたときに、置いた物体に沿って流れの向きが変わる流体の性質のことで、旋回流6cが渦崩壊部4bからテーパー部4hに入ってテーパー状に広がることで気柱6bも広がり、気泡がテーパー部4hに張り付く。
【0055】
この第2の例の渦崩壊用ノズル4の寸法は、縮流部4aの入口の内径(=パイプ2の内径2d)、縮流部4aの角度4eおよび渦崩壊部4bの内径4fは、第1の例の渦崩壊用ノズル4と同様であるが、円筒状の渦崩壊部4bの長さ4gについては、内径4fと同程度である。
図21A、BおよびCは、渦崩壊部4bの形状を変えた場合のマイクロバブル発生装置1のマイクロバブル6dの発生状況を比較した図である。
【0056】
図21Aに示すように、第1の例の渦崩壊用ノズル4の場合、パイプ2の渦流部2bから縮流部4aに流れてきた気柱6bは、渦崩壊部4bにおいて渦崩壊してマイクロバブル6dが発生するが、直線状の狭い範囲にしか広がらない。
図21Bに示す渦崩壊用ノズル4は、渦崩壊部4bの全体をテーパー部とした場合であるが、このテーパー部において発生したマイクロバブル6dは、図21Aの場合に比べて僅かに範囲が広がる程度である。
図21Cに示す渦崩壊用ノズル4の場合、テーパー部4hに張り付いた気泡を剪断または破砕することによりマイクロバブル6dが発生するので、マイクロバブル6dはテーパー状に非常に広い範囲に広がる。
【0057】
図22AおよびBは二種類の渦崩壊の様子を示す。いずれも渦崩壊用ノズル4の出口のテーパー部4hの急拡部の存在により渦は不安定となり渦崩壊が生じるが、図22Aに示す渦崩壊では、渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bの最小断面で流れが超臨界(supercritical)となり擾乱が上流に伝播できないのに対し、図22Bに示す渦崩壊では、渦崩壊用ノズル4の全領域で亜臨界(subcritical)となり擾乱は上流に伝播する。
【0058】
この第2の例によれば、第1の例と同様な利点に加えて、次のような利点を得ることができる。すなわち、渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bの先端にテーパー部4hが設けられていることにより、旋回流6cはこのテーパー部4hに張り付く。このため、マイクロバブル6dの発生効率の向上を図ることができるとともに、テーパー部4hの角度4iの選定によりマイクロバブル6dの噴き出し方向の制御を容易に行うことができる。
【0059】
次に、第3の例によるマイクロバブル発生装置1について説明する。
図23に示すように、このマイクロバブル発生装置1は、第1の例によるマイクロバブル発生装置1と比べて、タービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4と給気装置5との接続方法が異なる。具体的には、このマイクロバブル発生装置1においては、給気装置5の通気孔5fとタービン翼型ノズル3の給気孔3eとを、給気装置5の高圧力部5jと渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bの入口側の圧力検出器4cとを接続し、給気装置5の低圧力部5kと渦崩壊用ノズル4の外側に設けた圧力検出器4dとを接続して給気を自動化したことを特徴とする。圧力検出器4cは、渦崩壊用ノズル4において内部を通過する気柱6bの圧力を検出し、圧力検出器4dは、パイプ2の外部でマイクロバブル6dの圧力を検出する。
なお、給気装置5の通気孔5fの一端とタービン翼型ノズル3の給気孔3eとを給気管5iで繋ぐことは第1の例と同様である。また、通気孔5fの他端は開放して気体51を取り込むが、特別な気体を使用する場合にはボンベなどを接続する。
【0060】
次に、第4の例によるマイクロバブル発生装置1について説明する。
図24に示すように、このマイクロバブル発生装置1は、第1の例によるマイクロバブル発生装置1と比べて、タービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4と給気装置5との接続方法が異なる。具体的には、このマイクロバブル発生装置1においては、給気装置5の高圧力部5jは、渦崩壊用ノズル4の出口周辺の静水圧に開放した圧力検出器4dに接続し、給気装置5の低圧力部5kは、タービン翼型ノズル3の給気孔3eに設けた圧力検出器4cと接続して給気を自動化したことを特徴とする。圧力検出器4cは、タービン翼型ノズル3において発生する気柱6bの圧力を検出し、圧力検出器4dは、パイプ2の外部でマイクロバブル6dの圧力を検出する。このマイクロバブル発生装置1の接続方法は、渦崩壊用ノズル4に圧力検出器を設置する必要がなく簡便である。
【0061】
圧力検出器4cで検出した内部の気柱6bの圧力と圧力検出器4dで検出した外部のマイクロバブル6bの圧力との圧力差が大きいときは、マイクロバブル6bが効率よく発生している状態であり、圧力差が小さいときは、空気量が多過ぎてマイクロバブル6dの発生が少ない状態である。
内部の気柱6bの圧力と外部のマイクロバブル6bの圧力との圧力差が大きい場合は、給気装置5のピストン5bを右に移動させて通気孔5fを開放し、給気孔3eに気体51を供給する。
逆に、内部の気柱6bの圧力と外部のマイクロバブル6dの圧力との圧力差が小さい場合は、給気装置5のピストン5bを左に移動させて通気孔5fを塞いでいき、給気孔3eに供給する気体5lの量を抑制する。
【0062】
次に、第5の例によるマイクロバブル発生装置1について説明する。
図25に示すように、このマイクロバブル発生装置1は、パイプ2を入口2aの内径2dを細くした拡大管11に替えたことが第1の例によるマイクロバブル発生装置1と異なる。拡大管11は、入口2a側の細管部11aの内径11dが小さく、タービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4のある太管部11cの内径11eが大きい形状を有する。
【0063】
細管部11aから太管部11cに至る拡大部11bについては、図25に示す二つの点線の円のように、円弧状に滑らかに内径が拡大していき、拡大部11bの後部は、タービン翼型ノズル3の半球状部3cに沿う形となっている。拡大部11bを滑らかに広げることにより、拡大管11に液体6が流れる際に、流水断面積が急増加しないので、タービン翼型ノズル3で液体流6aを拡大管11の軸方向から円周方向fに効果的に変換することができる。
このマイクロバブル発生装置1においては、送水ポンプなどの送液ポンプなどから拡大管11の入口2aに供給された直線的な液体流6aが効率的に螺旋状の旋回流6cに変換され、また、タービン翼型ノズル3による縮流の影響も小さくなり、エネルギー損失が減少する。
この第5の例によれば、第1の例と同様な利点に加えて、マイクロバブル6dの発生効率の向上を図ることができるという利点を得ることができる。
【0064】
次に、第7の例によるマイクロバブル発生装置について説明する。
図26および図27はそれぞれ、マイクロバブル発生装置1のマイクロバブル6dの発生状況を確認するために計測した音波のスペクトルおよび画像のスペクトルを示す。これは、渦崩壊が生じるときに発生する音(vortex whistle) を測定することで、旋回流6cの回転周波数を予測することができることを示したものである。
【0065】
図26に示す音波のスペクトルは、液中を伝搬する音を受信することができるハイドロホーンにより旋回流6cが発する音の振動数を測定したグラフであり、図27に示す画像のスペクトルは、高速ビデオ映像により旋回流6cの回転周波数を測定したグラフである。ただし、タービン翼型ノズル3のノズル径3jは4cm、渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bの内径4fは1cm、液体6として用いた水の流量は700cc/sである。
【0066】
図26および図27に示すように、音波のスペクトルにおける振動数と画像のスペクトルにおける周波数とは、ともに約460Hzにおいてパワースペクトルの値に特徴が見られる。また、図26に示す音波のスペクトルにおいて、約460Hzの右隣の520Hz付近に現れるピークがマイクロバブル6dの発生状況を示している。なお、パワースペクトルとは、振動する量の二乗平均値を振動数成分の分布として表したものである。
【0067】
この第6の例によれば、マイクロバブル6dが効率良く発生しているかどうかを直接マイクロバブル6dの映像を観ることなく、水中音を測定することで確認することができるため、第1〜第5の例のように渦崩壊用ノズル4の圧力を検出するのではなく、給気孔3eへの気体5lの給気量を音波の計測のみで調整することが可能となる。また、液体6が不透明である場合にも、マイクロバブル6dの発生状況を容易に把握することができる。
【0068】
次に、第7の例によるマイクロバブル発生装置について説明する。
このマイクロバブル発生装置1においては、渦崩壊用ノズル4の出口のエッジを滑らかにすることを特徴とする。
図28Aは渦崩壊用ノズル4、図28Bはこの渦崩壊用ノズル4の出口のエッジ4kの拡大図である。
【0069】
渦崩壊用ノズル4の出口のエッジ4kを滑らかにすることにより、気柱6bが渦崩壊用ノズル4の前面に張り付き(コアンダ効果)、その旋回流6cによる剪断で気柱6bが破砕され、マイクロバブル6dが発生する。また、マイクロバブル6dは渦崩壊用ノズル4の前面の広い範囲に分散する。気柱6bが渦崩壊用ノズル4の前面に張り付くには、旋回流6cによる遠心力が主流方向の遠心力より大きくなる必要がある。このため、エッジ4kの曲率半径をρe とすると、
ρe 〜(ue /ve )2 re =Γe -2re (14)
以上とする必要がある。ただし、ve は渦崩壊用ノズル4の出口における旋回流6cの周方向速度である。すなわち、
ρe ≧Γe -2re (15)
とする。
渦崩壊用ノズル4の管状の渦崩壊部4bとテーパー部4hの前面とのなす角度θ0 は、渦崩壊用ノズル4の出口からのマイクロバブル6dの噴き出し方向を決定する。
【0070】
図29は超臨界渦崩壊の場合を示し、Γe 〜Γcrである。また、図30は亜臨界渦崩壊の場合を示し、Γe >Γcrである。
図31A、BおよびCはそれぞれ、θ0 〜100度、θ0 〜90度、θ0 〜45度の場合であり、いずれの例でも渦崩壊用ノズル4の出口のエッジ4kの曲率により旋回流6cが渦崩壊用ノズル4の前面に付着し、この前面の接線方向に流れる。
【0071】
以上のマイクロバブル発生装置1を基礎としてこの一実施形態によるマイクロバブルシャワーについて説明する。このマイクロバブルシャワーにおいては、マイクロバブル発生装置1と同一または対応する部分には同一の符号を付す。
図32はこのマイクロバブルシャワーの全体構成を示す。図32に示すように、このマイクロバブルシャワーは、シャワーヘッド51、細長い円筒形状の柄52および所要の長さのホース53からなる。シャワーヘッド51と柄52とは、シャワーヘッド51の上流側の端部の外周に設けられた雄ねじを柄52の一端部の内周に設けられた雌ねじにねじ込むことにより相互に結合されている。柄52とホース53とは、柄52の上流側の端部の外周に設けられた雄ねじをホース53の一端部の内周に設けられた雌ねじにねじ込むことにより相互に結合されている。シャワーヘッド51の下流側の端部には多数のシャワー孔54aが設けられたキャップ54が取り付けられている。シャワーヘッド51とキャップ54とは、シャワーヘッド51の下流側の端部の外周に設けられた雄ねじをキャップ54の内周に設けられた雌ねじにねじ込むことにより相互に結合されている。シャワーヘッド51の上流側の外周部に設けられたランド部51aには給気用ねじ55が取り付けられている。
【0072】
図33はシャワーヘッド51および柄52の縦断面図を示す。また、図34は図33に示す縦断面図と直交する縦断面図を示す。図33および図34に示すように、シャワーヘッド51の上流側の端部51bの外周に設けられた雄ねじ51cが柄52の一端部52aの内周に設けられた雌ねじ52bにねじ込まれている。柄52の一端部52aの内径は下流側に向かって徐々に大きくなっていてテーパー部となっている。このテーパー部とシャワーヘッド51の上流側の端部51bとの間にはOリング56が挟み込まれており、このOリング56により、シャワーヘッド51と柄52との間の隙間から外部の空気が柄52の内部に入るのを防止することができるようになっている。
【0073】
シャワーヘッド51の喉部に当たる上流部51dの内部は円柱状の空間になっており、その中に上流から下流の順にタービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4が同軸に取り付けられている。タービン翼型ノズル3は三枚の翼3bを有するが、これに限定されるものではない。また、渦崩壊用ノズル4は、縮流部4a、渦崩壊部4bおよびテーパー部4hからなる、図20に示すものと同様なものである。この場合、タービン翼型ノズル3は管2と本体3aとが一体化されたものである。渦崩壊用ノズル4は、タービン翼型ノズル3の下流部の内部に嵌め込まれている。管2の上流部の外周にはフランジ2c、2d、2e、2f、2gが設けられている。管2のフランジ2dとフランジ2eとの間の部分の溝部とシャワーヘッド51の上流部51dとの間にはOリング57が挟み込まれており、このOリング57により、タービン翼型ノズル3とシャワーヘッド51の上流部51dとの間の隙間にホース53から柄52に供給される水などの液体が入るのを防止することができるようになっている。渦崩壊用ノズル4の外周にはフランジ4j、4k、4lが設けられている。渦崩壊用ノズル4のフランジ4jとフランジ4kとの間の部分の溝部と管2との間にはOリング58が挟み込まれており、このOリング58により、渦崩壊用ノズル4と管2との間の隙間にホース53から柄52に供給される水などの液体が入るのを防止することができるようになっている。図35に、タービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4を示す。
【0074】
タービン翼型ノズル3は図4に示すものと同様に、互いに本体3a内で連通した給気孔3eと噴射孔3fとを有する。シャワーヘッド51のランド部51aには貫通穴51eが設けられており、この貫通穴51eに円筒状の金属スペーサ59が圧入されている。この金属スペーサ59の先端部は、パイプ2の外周のフランジ2fとフランジ2gとの間に設けられた凹部2hに収容されている。この凹部2hの底面に給気孔3eが設けられている。この場合、この給気孔3eの断面形状は、タービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4の中心軸に平行な方向に細長い長方形になっているが、これに限定されるものではない。この金属スペーサ59の底部とタービン翼型ノズル3の管2との間にはOリング60が挟み込まれており、このOリング60により、ランド部51aの貫通穴51eと金属スペーサ59との間の隙間に外部の空気が給気孔3eに入り込むのを防止することができるようになっている。この金属スペーサ59の内周面には雌ねじ59aが設けられている。そして、この金属スペーサ59の内周面の雌ねじ59aにねじ55の雄ねじ55aがねじ込まれている。この雌ねじ59aと雄ねじ55aとの間には隙間があり、この隙間およびねじ55の先端部の下の空間を介して外部の空気と給気孔3eとが連通している。図36に、シャワーヘッド51の、ねじ55および金属スペーサ59の中心軸を含み、かつタービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4の中心軸と直交する断面図を示す。
【0075】
シャワーヘッド51の喉部の渦崩壊用ノズル4の下流側には旋回流制止板61が、タービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4の中心軸を含む面上に同軸にかつ渦崩壊用ノズル4から離れて取り付けられている。この旋回流制止板61はシャワーヘッド51の外壁に一体に取り付けられている。この旋回流制止板61はほぼ直角三角形の形状を有し、互いに直交する二辺のうちの一方はタービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4の中心軸に平行に、他方はこの中心軸と直交している。この旋回流制止板61のこの中心軸と直交する辺は、渦崩壊用ノズル4の渦崩壊部4bの直径を完全にカバーする長さを有する。
【0076】
図37に柄52に結合したシャワーヘッド51の内部構造を示す。また、図38に、シャワーヘッド51およびキャップ54を示す。また、図39に、キャップ54、タービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4を取り外した状態のシャワーヘッド51を示す。図39および図33に示すように、シャワーヘッド51の先端部の外周には雄ねじ51aが設けられ、キャップ54の内周に設けられた雌ねじ54bにこの雄ねじ51aをねじ込むことによりシャワーヘッド51にキャップ54が取り付けられている。このシャワーヘッド51のタービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4の中心軸とシャワー孔54aからの水流の噴き出し方向とのなす角度は鋭角に選ばれている。
【0077】
タービン翼型ノズル3と渦崩壊用ノズル4との相互の位置決めは、タービン翼型ノズル3のパイプ2の上流側の端部に設けられた溝に渦崩壊用ノズル4の下流側の端部に設けられたリブを嵌め込むことにより行うことができるようになっている。タービン翼型ノズル3と渦崩壊用ノズル4とが相互に位置決めされている状態で、パイプ2のフランジ2f、2gの外周に設けられた溝2i、2jと、渦崩壊用ノズル4のフランジ4lの外周に設けられた溝4mとが、タービン翼型ノズル3と渦崩壊用ノズル4の中心軸に平行に一直線上に並ぶようになっている。シャワーヘッド51とタービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4との位置決めは、タービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4の外周の溝2i、2j、4mにシャワーヘッド51の上流部の内周に設けられたリブ51fを嵌め込むことにより行うことができるようになっている。
【0078】
このマイクロバブルシャワーにおいて、シャワーヘッド51、柄52、タービン翼型ノズル3、渦崩壊用ノズル4などの製造にはどのような方法を用いてもよいが、例えばトランスファーモールド成型技術などによりプラスチック、例えば耐熱ABS樹脂を用いて容易に製造することができる。
このマイクロバブルシャワーの主要な部分の寸法などの一例を挙げると、シャワーヘッド51の先端部の外径は例えば約58mm、内径は例えば約47mm、ねじ部を除く全長は例えば約67mmである。シャワーヘッド51のタービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4の中心軸とシャワー孔54aからの水流の噴き出し方向とのなす角度は例えば45度である。柄52の内径は例えば約25mm、外径は例えば約37mm、長さは例えば約167mmである。タービン翼型ノズル3の全長は例えば約37mm、翼3bを含む本体3aの直径は例えば約12.5mmである。渦崩壊用ノズル4の縮流部4の長さは例えば約7mm、渦崩壊部4bおよびテーパー部4hの全長は例えば約10.5mmである。旋回流制止板61の、タービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4の中心軸に平行な辺のこの中心軸からの長さは例えば約5mmである。給気孔3eの断面形状は例えば0.9mm×1.8mmの長方形である。
【0079】
次に、このマイクロバブルシャワーの動作について説明する。ホース53を水道に接続し、水を流す。この水はホース53を通って柄52に入り、さらにシャワーヘッド51のタービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4を順次通り、上述のマイクロバブル装置1の動作原理に従って、渦崩壊用ノズル4からマイクロバブル6eを含む水が出る。旋回流6cへの空気の導入は、金属スペーサ59の内周面の雌ねじ59aとねじ55の雄ねじ55aとの間の隙間、ねじ55の先端部の下側の空間および給気孔3eを通して行われる。金属スペーサ59とこのマイクロバブル6eを含む水は、この渦崩壊用ノズル4の下流に設けられた旋回流制止板61に当たり、この旋回流制止板61によりこの水の旋回が制止される。最終的に、シャワーヘッド51の先端のキャップ54のシャワー孔54aからマイクロバブル6eを含む水が噴出し、洗浄などに用いられる。
【0080】
この一実施形態によるマイクロバブルシャワーによれば、次のような利点を得ることができる。すなわち、このマイクロバブルシャワーにおいては、シャワーヘッド51の喉部にマイクロバブル発生に必要なタービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4を組み込んでいるので、旋回流6cにより発生する負圧部はキャップ54のシャワー孔54aから遠くなり、シャワー孔54aからの空気の吸い込みを防止することができる。このため、従来のマイクロバブルシャワーのように空気の吸い込みを防止するためにノズル出口をほぼ閉塞する必要がないため、液体流、例えば水流が大きな抵抗を受ける問題がなく、水道水圧でも容易にマイクロバブルを発生させることができる。また、シャワーヘッド51のタービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4の中心軸とシャワー孔54aからの水流の噴き出し方向とのなす角度は鋭角であるため、シャワーヘッド51の内部に空気が滞留しにくく、マイクロバブルの発生効率を高くすることができる。
【0081】
さらに、渦崩壊用ノズル4の下流に、タービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4の中心軸を含む面上に旋回流制止板61が設けられているため、この旋回流制止板61により、渦崩壊用ノズル4の下流で液体6、例えば水が全体的に回転するのを防止することができ、これによってマイクロバブル6dの発生効率をより高くすることができる。すなわち、図40Bに示すように、渦崩壊用ノズル4の下流に、タービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4の中心軸を含む面上に旋回流制止板61が設けられていると、渦崩壊用ノズル4から出てくる旋回流6cの旋回が制止され、液体6が全体的に回転するのを防止することができるので、渦崩壊用ノズル4の出口で液体6の剪断力が大きくなり、このためマイクロバブルが効率的に微粒化される。ここで、図40Bの上の図はシャワーヘッド51の正面からタービン翼型ノズル3および渦崩壊用ノズル4の中心軸方向を見た図、下の図はマイクロバブルシャワーのシャワーヘッド51および柄52の縦断面図である(図40AおよびCも同様)。これに対し、図40Aに示すように、旋回流制止板61を設けない場合には、渦崩壊用ノズル4から出てくる旋回流6cによりシャワーヘッド51内部の液体6が全体的に回転してしまうため、液体6の剪断力が減少し、気柱が形成され、マイクロバブル6dが合体してしまい、マイクロバブル6dの微粒化が促進されない。また、図40Cに示すように、シャワーヘッド51の出口に近い位置に旋回流制止板61を設けた場合には、マイクロバブル6dの微粒化は可能であるものの、使用時にマイクロバブルシャワーの柄52を鉛直方向に保持すると、旋回流制止板61にマイクロバブル6dが滞留し成長するため、マイクロバブル6dの発生効率が小さい。
以上により、従来に比べて高性能のマイクロバブルシャワーを得ることができる。
【0082】
以上、この発明の一実施形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態および実施例に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態において挙げた数値、形状、構造、配置などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じて、これらと異なる数値、形状、構造、配置などを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】第1の例によるマイクロバブル発生装置の本体を示す斜視図である。
【図2】第1の例によるマイクロバブル発生装置のタービン翼型ノズルの翼体を示す斜視図である。
【図3】第1の例によるマイクロバブル発生装置のタービン翼型ノズルの翼体を示す正面図である。
【図4】第1の例によるマイクロバブル発生装置のタービン翼型ノズルの翼体を示す縦断面図である。
【図5】第1の例によるマイクロバブル発生装置のタービン翼型ノズルの翼体の一つの翼の形状を示す略線図である。
【図6】第1の例によるマイクロバブル発生装置の渦崩壊用ノズルを示す縦断面図である。
【図7】第1の例によるマイクロバブル発生装置の給気装置を示す縦断面図である。
【図8】第1の例によるマイクロバブル発生装置の渦崩壊用ノズルの縮流部におけるサーキュレーション数を説明するための略線図である。
【図9】第1の例によるマイクロバブル発生装置の渦崩壊用ノズルの臨界ノズル半径を説明するための略線図である。
【図10】第1の例によるマイクロバブル発生装置の渦崩壊用ノズルで生じる渦崩壊を示す略線図である。
【図11】Hinzeスケールを説明するための略線図である。
【図12】第1の例によるマイクロバブル発生装置においてサーキュレーション数が2のときにマイクロバブルを Hinzeスケールまで微粒化するときの給気量を示す略線図である。
【図13】第1の例によるマイクロバブル発生装置においてサーキュレーション数が3のときにマイクロバブルを Hinzeスケールまで微粒化するときの給気量を示す略線図である。
【図14】第1の例によるマイクロバブル発生装置においてサーキュレーション数が4のときにマイクロバブルを Hinzeスケールまで微粒化するときの給気量を示す略線図である。
【図15】第1の例によるマイクロバブル発生装置においてサーキュレーション数が2のときにマイクロバブルを Hinzeスケールまで微粒化するときの給気量と液体流量との比を示す略線図である。
【図16】第1の例によるマイクロバブル発生装置においてサーキュレーション数が3のときにマイクロバブルを Hinzeスケールまで微粒化するときの給気量と液体流量との比を示す略線図である。
【図17】第1の例によるマイクロバブル発生装置においてサーキュレーション数が4のときにマイクロバブルを Hinzeスケールまで微粒化するときの給気量と液体流量との比を示す略線図である。
【図18】第1の例によるマイクロバブル発生装置のタービン翼型ノズルの実施例を説明するための表である。
【図19】第1の例によるマイクロバブル発生装置のタービン翼型ノズルの形状、渦崩壊用ノズルの形状およびタービン翼型ノズルから渦崩壊用ノズルまでの間隔の実施例を説明するための略線図である。
【図20】第2の例によるマイクロバブル発生装置の渦崩壊用ノズルを示す縦断面図である。
【図21】第2の例によるマイクロバブル発生装置におけるマイクロバブルの発生状況を他の例と比較した略線図である。
【図22】第2の例によるマイクロバブル発生装置における二種類の渦崩壊の様子を示す略線図である。
【図23】第3の例によるマイクロバブル発生装置を示す縦断面図である。
【図24】第4の例によるマイクロバブル発生装置を示す縦断面図である。
【図25】第5の例によるマイクロバブル発生装置の本体を示す縦断面図である。
【図26】第6の例によるマイクロバブル発生装置におけるマイクロバブルの発生状況を確認するために計測した音波のスペクトルを示す略線図である。
【図27】第6の例によるマイクロバブル発生装置におけるマイクロバブルの発生状況を確認するために計測した画像のスペクトルを示す略線図である。
【図28】第7の例によるマイクロバブル発生装置の渦崩壊用ノズルを示す縦断面図およびこの渦崩壊用ノズルの出口のエッジの拡大図である。
【図29】第7の例によるマイクロバブル発生装置の渦崩壊用ノズルで生じる超臨界渦崩壊を示す略線図である。
【図30】第7の例によるマイクロバブル発生装置の渦崩壊用ノズルで生じる亜臨界渦崩壊を示す略線図である。
【図31】第7の例によるマイクロバブル発生装置の渦崩壊用ノズルの形状の例を示す縦断面図である。
【図32】この発明の一実施形態によるマイクロバブルシャワーの全体構成を示す側面図である。
【図33】この発明の一実施形態によるマイクロバブルシャワーのシャワーヘッドおよび柄の縦断面図である。
【図34】この発明の一実施形態によるマイクロバブルシャワーのシャワーヘッドおよび柄の縦断面図である。
【図35】この発明の一実施形態によるマイクロバブルシャワーを構成するタービン翼型ノズルおよび渦崩壊用ノズルを示す略線図である。
【図36】この発明の一実施形態によるマイクロバブルシャワーのシャワーヘッドの横断面図である。
【図37】この発明の一実施形態によるマイクロバブルシャワーのシャワーヘッドの内部構造を示す略線図である。
【図38】この発明の一実施形態によるマイクロバブルシャワーのシャワーヘッドの内部構造を示す略線図である。
【図39】この発明の一実施形態によるマイクロバブルシャワーのシャワーヘッドを示す略線図である。
【図40】この発明の一実施形態によるマイクロバブルシャワーの動作を説明するための略線図である。
【符号の説明】
【0084】
2…パイプ、2a…渦流部、3…タービン翼型ノズル、3a…本体、3b…翼、3e…給気孔、3f…噴射孔、4…渦崩壊用ノズル、4a…縮流部、4b…渦崩壊部、4c…テーパー部、6…液体、6a…液体流、6b…気柱、6c…旋回流、6d…マイクロバブル、51…シャワーヘッド、52…柄、53…ホース、54…キャップ、54a…シャワー孔、61…旋回流制止板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回流発生用翼型ノズルと、上記旋回流発生用翼型ノズルと同軸に設けられた縮流部および渦崩壊部を有する渦崩壊用ノズルとをシャワーヘッドの喉部に有することを特徴とするマイクロバブルシャワー。
【請求項2】
上記旋回流発生用翼型ノズルの入口に液体を供給することにより旋回流を発生させるとともに、この旋回流の中心に気体を導入し、この中心に気体が導入された旋回流を上記縮流部に供給することにより上記渦崩壊部からマイクロバブルを発生させることを特徴とする請求項1記載のマイクロバブルシャワー。
【請求項3】
上記旋回流発生用翼型ノズルおよび上記渦崩壊用ノズルの中心軸と上記シャワーヘッドの出口からの液体の噴き出し方向との間の角度が鋭角であることを特徴とする請求項1記載のマイクロバブルシャワー。
【請求項4】
上記シャワーヘッドの喉部の上記渦崩壊用ノズルの下流側に上記旋回流を制止する板を有することを特徴とする請求項1記載のマイクロバブルシャワー。
【請求項5】
上記旋回流を制止する板は上記旋回流発生用翼型ノズルおよび上記渦崩壊用ノズルの中心軸を含む面上に設けられていることを特徴とする請求項1記載のマイクロバブルシャワー。
【請求項6】
上記旋回流発生用翼型ノズルは旋回流発生用翼体を管の内部に収容したものであることを特徴とする請求項1記載のマイクロバブルシャワー。
【請求項7】
上記旋回流発生用翼体は、円柱状の本体の一端部を流線形に成形し、上記本体の外周面の長手方向に複数の翼をそれらの後部が彎曲するように設け、上記本体の他端部に気体の噴射孔を設けたものであることを特徴とする請求項6記載のマイクロバブルシャワー。
【請求項8】
上記旋回流発生用翼体は上記本体の外周面に設けられた給気孔と上記本体の他端部に設けられた噴射孔とを有し、上記給気孔と上記噴射孔とは上記本体内に設けられた通路を介して互いに連通していることを特徴とする請求項7記載のマイクロバブルシャワー。
【請求項9】
上記旋回流発生用翼体の上記翼の枚数は3枚であることを特徴とする請求項7記載のマイクロバブルシャワー。
【請求項10】
上記縮流部は上記渦崩壊部に向かって断面積が徐々に減少しており、上記渦崩壊部との境界部において上記渦崩壊部と同一の断面形状を有することを特徴とする請求項1記載のマイクロバブルシャワー。
【請求項11】
上記渦崩壊部は円筒形状を有する第1の部分と出口に向かって広がった形状の第2の部分とを有し、上記第1の部分の内周面と上記第2の部分の端面とがなす角度をθ0 としたとき、90度<θ0 <180度であることを特徴とする請求項1記載のマイクロバブルシャワー。
【請求項12】
上記第1の部分の内周面と上記第2の部分の端面とが滑らかに繋がっていることを特徴とする請求項11記載のマイクロバブルシャワー。
【請求項1】
旋回流発生用翼型ノズルと、上記旋回流発生用翼型ノズルと同軸に設けられた縮流部および渦崩壊部を有する渦崩壊用ノズルとをシャワーヘッドの喉部に有することを特徴とするマイクロバブルシャワー。
【請求項2】
上記旋回流発生用翼型ノズルの入口に液体を供給することにより旋回流を発生させるとともに、この旋回流の中心に気体を導入し、この中心に気体が導入された旋回流を上記縮流部に供給することにより上記渦崩壊部からマイクロバブルを発生させることを特徴とする請求項1記載のマイクロバブルシャワー。
【請求項3】
上記旋回流発生用翼型ノズルおよび上記渦崩壊用ノズルの中心軸と上記シャワーヘッドの出口からの液体の噴き出し方向との間の角度が鋭角であることを特徴とする請求項1記載のマイクロバブルシャワー。
【請求項4】
上記シャワーヘッドの喉部の上記渦崩壊用ノズルの下流側に上記旋回流を制止する板を有することを特徴とする請求項1記載のマイクロバブルシャワー。
【請求項5】
上記旋回流を制止する板は上記旋回流発生用翼型ノズルおよび上記渦崩壊用ノズルの中心軸を含む面上に設けられていることを特徴とする請求項1記載のマイクロバブルシャワー。
【請求項6】
上記旋回流発生用翼型ノズルは旋回流発生用翼体を管の内部に収容したものであることを特徴とする請求項1記載のマイクロバブルシャワー。
【請求項7】
上記旋回流発生用翼体は、円柱状の本体の一端部を流線形に成形し、上記本体の外周面の長手方向に複数の翼をそれらの後部が彎曲するように設け、上記本体の他端部に気体の噴射孔を設けたものであることを特徴とする請求項6記載のマイクロバブルシャワー。
【請求項8】
上記旋回流発生用翼体は上記本体の外周面に設けられた給気孔と上記本体の他端部に設けられた噴射孔とを有し、上記給気孔と上記噴射孔とは上記本体内に設けられた通路を介して互いに連通していることを特徴とする請求項7記載のマイクロバブルシャワー。
【請求項9】
上記旋回流発生用翼体の上記翼の枚数は3枚であることを特徴とする請求項7記載のマイクロバブルシャワー。
【請求項10】
上記縮流部は上記渦崩壊部に向かって断面積が徐々に減少しており、上記渦崩壊部との境界部において上記渦崩壊部と同一の断面形状を有することを特徴とする請求項1記載のマイクロバブルシャワー。
【請求項11】
上記渦崩壊部は円筒形状を有する第1の部分と出口に向かって広がった形状の第2の部分とを有し、上記第1の部分の内周面と上記第2の部分の端面とがなす角度をθ0 としたとき、90度<θ0 <180度であることを特徴とする請求項1記載のマイクロバブルシャワー。
【請求項12】
上記第1の部分の内周面と上記第2の部分の端面とが滑らかに繋がっていることを特徴とする請求項11記載のマイクロバブルシャワー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図2】
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【図4】
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【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
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【図35】
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【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【公開番号】特開2008−229516(P2008−229516A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−73504(P2007−73504)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(504171134)国立大学法人 筑波大学 (510)
【出願人】(507090764)株式会社 エール・オー (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(504171134)国立大学法人 筑波大学 (510)
【出願人】(507090764)株式会社 エール・オー (2)
【Fターム(参考)】
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