マイクロワイヤ制御オートクレーブおよび方法
部品、または部品プレカーソル(148、170)のようなオブジェクトの処理(例えば、成形、加熱、および/または硬化)用に、改良された処理装置(120、152)が提供され、このオブジェクトの処理は、処理中に、オブジェクトに関連する温度パラメータのワイヤレス検出を含む。オブジェクトは、適用された交流磁場の影響を受けて特有の再磁化応答を有する関連するマイクロワイヤ型センサ(150、174)を含む。装置(120、152)は、処理されるオブジェクトを保持する大きさの処理チャンバ(122、153)と、そのようなオブジェクトに隣接し、インターロゲーションのための交流磁場を発生することができ、センサ(150、174)の応答を検出することができる1つ以上のアンテナ(132、124、166)とを有する。検出された温度パラメータ情報は、装置コントローラ(146)によって、処理チャンバ(122、153)の中の所望の環境条件を維持するのに使用される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願に対する相互参照>
本願は、2007年1月23日に出願された「マイクロワイヤ制御オートクレーブ及び方法」と題したシリアル番号60/881,866、2007年3月22日に出願された「マイクロワイヤ制御サービングウェア加温システム及び方法」と題したシリアル番号60/919,345、2007年5月7日に出願された「磁気素子温度センサ」と題したシリアル番号11/745,348、および2008年1月22日に出願された「マイクロワイヤ制御オートクレーブ及び方法」と題したシリアル番号12/018,100の各米国特許出願の利益を請求する。上述の各出願は、ここへの参照によってその全部が組み入れられる。
【0002】
<発明の分野>
本発明は、広く、磁気素子温度センサ、そのようなセンサとともに使用するディテクタ、センサとディテクタを利用して、処理対象に関連する温度パラメータをワイヤレスに測定する閉ループ対象処理システム、および対応する制御方法に関連する。特に、本発明は、航空機部品や自動車部品などの複合部品の製造に使用され、かつワイヤレスの温度パラメータセンサ/ディテクタ装置を含むタイプの閉ループの成形/加熱/硬化システムに関連する。そのようなシステムは、加圧型のオートクレーブ、非加圧型のオーブンタイプシステム、および樹脂成形システムを含んでいる。
【背景技術】
【0003】
<従来技術の説明>
オートクレーブ成形法は、既知のプレッシャバッグ成形技術とバキュームバッグ成形技術の改良である。高度なオートクレーブ複合加工プロセスは、部品硬化に使用される、より均一の制御された加熱条件、およびより均一の制御された加圧条件によって、より高密度のボイドのない成形品を生み出す。それは、航空宇宙産業において、プレ含浸高強度ファイバから、航空機、宇宙船、およびミサイルに使用されるような、強度/重量比率の高い部品を製造するのに広く使用される。オートクレーブは、本来加熱された圧力容器のことであり、通常、真空システムを備え、内型の上、または内部で複合材のレイアップを受け取るように設計されている。次に、そのようなレイアップは、完成部品を生み出すために、オートクレーブ内で加熱されて硬化される。硬化圧力は、一般的に50psiから150psiの範囲内であり、硬化サイクルタイムは、通常何時間も掛かる。オートクレーブ法は、従来の樹脂と比べてより高い強度特性を有する、エポキシなどのより高温のマトリックス樹脂を提供する。
【0004】
レジントランスファ成形法(RTM)は、低速のコンタクト成形法と、より高いツーリングコストを必要とする、より高速のコンプレッション成形法との間のギャップを埋める、中量生産用の低圧低排出の密閉型成形法である。RTMでは、連続ストランドマットと織布補強が下半分の型の中に乾燥した状態で蓄えられる。複雑な型形状の場合には、予め形成されたガラス補強がしばしば使用される。次に、型が密閉されて固定され、樹脂と触媒との低粘度の混合物が、戦略的に配置された通気孔を通して空気を置換ながら、型の中に注入される。計量混合機を使用して、樹脂/触媒比率がコントロールされ、動きのない静的なミキサを使用して、樹脂と触媒とが混ぜられ、次に、型の注入口に注ぎ込まれる。一般的なマトリックス樹脂は、ポリエステル、ビニルエステル、エポキシ、およびフェノール成分を含んでいる。RTM成形品は、均一の厚さを有し、2つの仕上げられた側面を示す。部品の表面仕上げを最適化するために、成形する前に型の表面にゲルコートを塗布しても良い。RTMによって生産された高品質の部品は、自動車の車体部品、浴槽、およびコンテナを含んでいる。
【0005】
「プレッシャバッグ」成形法か「バキュームバッグ」成形法を実行するのに、他の種類のオーブンも使用される。これらのオーブンは、熱気を使って、プラスチックバッグの中、または隣接しているツーリング表面にシールをされた薄いプラスチックシートの下に通常設置されている複合部品を硬化させる。これによって、プラスチックバッグ、またはプラスチックシートとツーリング表面とによって定義されたキャビティの中に真空を引き込むことができるようになる。
【0006】
さらに、修理プロセスは、薄いプラスチックシートによって形成されたチャンバの中に封入された、(以前に硬化された複合材料に隣接している)、硬化されていない複合材料の一部でしばしば実行されている。一方、最後の硬化された修理においてボイドを引き起こす場合がある空気を取り除くために、部品とその封入用のプラスチック「シールド」、または「バッグ」とによって形成されたチャンバの中は、通常真空吸引される。抵抗加熱ブランケット、熱気、高輝度照明、電子レンジ、およびカーボンファイバかまたは樹脂内の微粒子の誘導加熱などの多くの手段によって、硬化されていない複合材料が加熱される。
【0007】
以上の技法のすべてに関するなかなか解決しない問題は、加熱、成形、および/または硬化サイクルの間に部品の温度を正確にモニターしていないことである。ほとんどの製品硬化プロセスでは、空気、および/またはツールの温度だけが硬化の間にモニターされ、硬化プロセスは、部品温度を空気/ツール温度および休止時間と関連付けるために、部品内にセンサを埋め込んだテスト部品を硬化させることによって事前に測定された時間および空気/ツール温度の「レシピ」通り実施される。(非常に厚い部品の硬化のためにしばしば)生産部品の実際の硬化プロセスの間、温度センサを使用して部品温度をモニターしているようなまれな場合には、その温度センサは、通常戦略的な表面の位置に取り付けられた表面熱電対か、または必須ではない点滅ライトに埋め込まれている従来の熱電対のいずれかである。いずれの場合も、簡単な温度モニタリングが目標である場合には、モニタリングシステムに、そうでない場合には、硬化制御目的のために、オートクレーブ、オーブン、またはRTM制御システムに、これらの熱電対を物理的に接続しなければならない。熱電対を部品に取り付けて、それらをモニタリングシステム、および/または制御システムに接続するのは、複雑で時間が掛かるプロセスであり、バキュームバッグ、および/またはオートクレーブの圧力整合性を損なうことがある。オートクレーブ、オーブン、または修理プロセスで使用されるか否かにかかわらず、「プレッシャバッグ」成形法、または「バキュームバッグ」成形法は、バキュームバッグ装置を通って外部のモニタリング用電子機器まで伸びている熱電対リード線をしばしば利用している。バキュームバッグ、またはシートを貫通しているリード線は、しばしば、真空リークを引き起こし、この真空リークは、所望の真空度の維持を妨げるだけではなく、バキュームバッグ、またはシートの中に湿気を通過させ得ることとなり、不適切な硬化を招く。
【0008】
従って、(例えば、加熱、成形、および/または硬化のような)オブジェクト処理中に温度パラメータを測定し、それによって、いかなる種類のセンサリード線も必要としない、閉ループフィードバックを使用する処理装置の制御を可能にするために、チャンバ内の部品や部品プレカーソルなどのオブジェクトのリアルタイムの非接触モニタリングを可能にする温度パラメータのワイヤレス検出を含む、改良されたオブジェクト処理装置と処理方法の技術的必要性が存在する。さらに、これらのセンサを、厚い部品の中に深く置くことができ、ワイヤレスディテクタ(リーダ)を、硬化プロセスを妨げないように部品から遠く離すことができれば、好都合である。最終的に、部品寿命のために、部品のいかなる構造劣化も引き起こさずに、硬化後の生産部品の中にセンサを残すことができれば、好都合である。
【発明の概要】
【0009】
<本発明の概要>
本発明は、上に概説された問題を解消し、そのオブジェクトの処理の間のオブジェクトに関連する温度パラメータのワイヤレス検出を含む、改良されたオブジェクト処理用装置を提供する。概して、本発明の装置は、処理されるオブジェクトを保持するように構成されたチャンバを含み、その場所において、オブジェクトは、そのオブジェクトの処理の間のオブジェクトの温度に関連するパラメータを検出することができる、磁力によって影響されやすい関連するマイクロワイヤセンサ要素を有する。装置はさらに、チャンバに隣接したアンテナ組立品を含み、オブジェクトセンサの領域内で交流磁場を発生させることができ、温度関連パラメータの基準としてセンサの磁気応答を検出することができるディテクタを有する。リーダは、カーボン層を通してこれらのセンサをワイヤレスに読むことができるので、このセンサ(または、複数のセンサ)は、複合部品の内側の中に、好ましくは、CFRP複合構造体の内側の層の樹脂層の中に埋め込まれる。センサは、硬化プロセス、または修理プロセス中に複合部品の中に手で設置されても良いし、(プリプレグ材料の製造中などの)製造プロセス初期に複合層の中に設置されても良い。
【0010】
好ましい形態では、本発明の装置は、オートクレーブチャンバ、レジントランスファ型、非加圧型のオーブン、およびプレッシャバッグ組立品、またはバキュームバッグ組立品から成る群の1つ以上から選択される。オートクレーブの場合には、チャンバは、厚い壁で囲まれて、加圧可能なチャンバの形であるのに対して、オーブン、またはオートクレーブの中に設置されたりされなかったりするバッグ組立品を備える場合には、(バッグ組立品は、修理目的のために、熱い送風機、バッグ組立品に対して設置された熱ブランケットの中の電気抵抗素子、高輝度ライト、および他の多くの熱源によってしばしば加熱され、)チャンバは、フレキシブルなバッグやシートやカバー、および多くの場合隣接しているベースを使用して形成される。アンテナ組立品は、チャンバの中に部分的に、または全体的に設置しても良いし、その外側に設置しても良い。しかしながら、すべての場合において、アンテナ組立品(1つか複数かいずれかのアンテナ)は、発生している交流磁場によってそのインターロゲーションを可能にし、センサの特有の磁気応答を検出することができるように、オブジェクトセンサと関連する位置に設置される。
【0011】
アンテナ組立品に関連する解読用電子機器(解読用電子機器、電源、送受信用電子機器、およびリーダを共同形成するアンテナ組立品)によって検出される、および/または計算される、検出された温度関連のパラメータは、処理サイクルの間、オブジェクト用の適切な処理条件を確立して維持するために、装置コントローラによって使用される。リーダは、受信用アンテナによって集められた再磁化信号情報を解読するのに、通常マイクロプロセッサを使用する。解読アルゴリズムは、センサからの再磁化情報を、センサによって計測された実際の温度に関連付ける最良適合公式か、あるいは前記最良適合公式から予め計算されたか、または実験的に測定されたルックアップテーブル情報のいずれかである。解読アルゴリズムは単に、センサがキュリー温度を超えていると、再磁化応答がそれぞれの磁気素子センサのキュリー温度によって見えなくなるという事実を使用しても良いし、センサのキュリー温度よりも低温の小さい領域内で、(検出された電圧の大きさ、電圧パルス波形、パルスの持続時間などのような)この再磁化応答のパラメータが、極めてありきたりで容易に認識できる方法で、センサ温度と共に変化するという事実を使用しても良い。いずれの場合でも、リーダは、制御目的のために、装置コントローラのマイクロプロセッサに温度パラメータを送信する。(また、リーダと装置コントローラが、解読アルゴリズムと両方が備える装置制御アルゴリズムとの両方を有する際に、同一のマイクロプロセッサを共有することができる。)好ましくは、温度パラメータは、オブジェクトの温度、オブジェクトの必要な温度、オブジェクトの温度範囲、オブジェクトの必要な温度範囲、オブジェクトの最低温度、オブジェクトの最高温度、オブジェクトの加熱特性、およびオブジェクトによって支持された材料の温度から成る群から選択される。
【0012】
特に好ましい形態では、センサは、適用された交流磁場の影響を受けて再磁化応答を有する、磁力によって影響されやすいセンサマイクロワイヤ要素を含み、再磁化応答は、所定期間の磁場摂動の少なくとも1つの短い検出可能なパルスによって定義され、約400℃よりも低温の少なくとも1つの設定温度の下と上とで異なる。さらに、磁場摂動のこの検出可能なパルスは、必要なセンサ温度範囲の中で変化しない特性を有する別のマイクロワイヤからの参照パルスに対する正規化の後に、センサによって計測された正確な温度に関連があるこれらの検出可能な特性から定量化可能な値を推論することができるように、キュリー温度よりも優れた小さい温度範囲にわたって、検出された電圧の大きさ、形状、および持続時間のような容易に検出可能な特性の中で変化する。例えば、検出された電圧対検出されたパルスの時間を統合し、その結果の値を正規化し、それらの結果の値をセンサ温度に関連付けるルックアップテーブル値に対してこの正規化された値を比較することによって、(または、リアルタイムに実際の相関関係計算を実行することによって、)磁力によって影響されやすいセンサマイクロワイヤ要素が、キュリー温度よりも低温の(通常40℃から50℃までの)小さい領域の中で、正確な温度を検出できる(キュリー温度を超える場合には、再磁化パルスが検出可能でない)。
【0013】
さらに、好ましいセンサは、他のセンサ要素と異なったキュリー温度を有するあるセンサ要素を少なくとも備えた、複数のマイクロワイヤセンサ要素を含む。(キュリー温度が)最も近い対の一方のセンサ要素が効率的に温度を検出できる程度の小さい温度範囲に、それぞれの異なったキュリー温度が隣接するように、異なったキュリー温度をアレンジすることによって、最低キュリー温度のマイクロワイヤセンサ要素のキュリー温度よりも約40℃低温から、最高キュリー温度のマイクロワイヤセンサ要素のキュリー温度までの温度範囲にわたって、連続的な温度測定性能を備えたセンサを作成することができる。もちろん、リーダの解読用電子機器は、それぞれのセンサの再磁化パルスが、それぞれのキュリー温度で消滅したときに検出だけができるアルゴリズム(以下、「簡単な解読アルゴリズム」という)か、または、連続的な要素のキュリー温度の間のセンサ温度を測定するより複雑なアルゴリズム(以下、「複雑な解読アルゴリズム」という)を使うことができる。マイクロワイヤ要素は、最大約100μmの横断面寸法を有する細長いワイヤ、または薄い断片として、通常非結晶質、またはナノ結晶の金属材料から形成される。好ましい金属は、Feベースの合金、Coベースの合金、およびその混合物から成る群から選択された合金であるが、ただし、この群に含まれる合金は、クロム、または、これらの合金のキュリー温度をその中で調整することができる他の元素を含むものとする。金属本体は、通常金属製ワイヤ、または断片を取り囲むガラス被覆を有する。本発明のセンサは、通常、オブジェクトの表面にセンサを取り付けるか、またはその中にセンサを埋め込むことによって、処理されるオブジェクトに熱接触するように設置される。
【0014】
特に、高価な自動車部品や、航空機部品や、複合材、および/または合成樹脂材料から形成される部品プレカーソルのような様々なオブジェクトが、本発明に従って処理されても良い。そのような部品、または部品プレカーソルは、密閉型チャンバ装置の中で成形プロセス、加熱プロセス、および/または硬化プロセスによって一般的に処理される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明における使用に適した従来技術の磁気マイクロワイヤ要素を示す、部分断面の部分図である。
【図2】マイクロワイヤ合金のキュリー温度よりも低温での、本発明における使用に適した、マイクロワイヤの磁気特性のグラフィカルなイラストである。
【図3A】万引き防止用に使用されるEASマーカ、または、タグに従来通常使用される非結晶質の断片形状の、時間対再磁化のグラフである。
【図3B】センサマティック社から市販されているマーカ、または、タグに使用される、大きいバルクハウゼン不連続性を有する非結晶質のマイクロワイヤの、時間対再磁化のグラフである。
【図3C】テイラー法で生産したガラスでコーティングされた非結晶質の磁気マイクロワイヤの、時間対再磁化のグラフである。
【図4】検出すべきオブジェクトに取り付け、本発明の第1の実施形態に従った磁気温度センサの、基本的な概略横断面図である。
【図4A】図4と同様の、基本的な概略横断面図であり、相互に近接して配置するように設計された2つのオブジェクトを二分する、磁気マイクロワイヤ温度センサの部品を示している。
【図5】本発明の第2の実施形態に従った、温度検出要素の概略横断面図であり、強磁性金属、または、フェライト材料の円筒形状のシースによって取り囲まれ、必要なキュリー温度を有する、ガラスでコーティングされた非結晶質のマイクロワイヤ磁気素子を描いている。
【図6】本発明に従った、磁気温度センサの基本的な概略横断面図であり、図1に示すタイプのマイクロワイヤデータ要素、および、図5に示すような温度検出要素を利用している。
【図7】本発明の第3の実施形態に従った、もう1つの温度検出要素の概略横断面図であり、図1に示すような、必要なキュリー温度を有する強磁性金属かフェライト材料のシールドに隣接して配置した、ガラスでコーティングされたマイクロワイヤ磁気素子を示している。
【図8】本発明の第3の実施形態に従った、磁気素子温度センサの基本的な概略横断面図であり、図1に示すようなデータ要素、および、図7に示すような温度検出要素を含む。
【図9】本発明の第2の実施形態の温度検出要素のシースとして、または、本発明の第3の実施形態の温度検出要素のシールドとして使用に適したニッケル銅合金の、キュリー温度対銅含有率を示すグラフである。
【図10】本発明に従った、この磁気素子温度センサと相互作用可能な、温度リーダの概略ブロック図である。
【図11】本発明に従った、磁気素子センサベースの、閉ループフィードバックの温度制御誘導加熱ユニットを示す回路図である。
【図12】本発明に従った、閉ループ温度フィードバック装置を備えたオートクレーブを示す回路図である。
【図13】本発明に従った、閉ループ温度フィードバック装置の一部(リーダアンテナとセンサ)を有するバキュームバッグ処理チャンバを示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<好ましい実施形態の詳細な説明>
<従来の磁気素子と検出システム>
本発明を最も良く理解するために役立つのは、(しばしば「磁気マーカー」と呼ばれる)磁気素子とその対応する検出システムを利用した、近年のEASと認証システムの性質と働きを理解することである。
【0017】
しばしば使用される磁気素子のタイプの1つは、ガラスでコーティングされた非結晶質のマイクロワイヤである。そのようなマイクロワイヤ、その生産、磁気特性、および、そのキュリー温度よりも低温の挙動は、技術文献や特許文献で開示されてきた。例えば、米国特許6,441,737と6,747,559、マテリアルズサイエンス アンド エンジニアリングの166-71(2001)のA304-306頁に記載の、ホリア シラク氏によるガラスカバー付き磁気ワイヤの製造と特性解析、ジャーナル オブ マテリアルズサイエンスの1139-48(1996)の第31頁に記載の、ドナルド氏他によるテイラーワイヤ工程で製造したガラスコーティング付き金属フィラメントの製造と特性と応用、Phys. Stat. Sol. (a) 26, 71(1974)に記載の、ウィースナー氏とシュナイダー氏によるガリウムとゲルマニウムと砒素を含有する非結晶質の鉄−リン合金の磁気特性、および、応用物理学会誌の6587-89の第83巻に記載の、アントネンコ氏他によるガラスコーティング付きマイクロワイヤの高周波特性 を参照して欲しい。連続した長さのマイクロワイヤは、従来技術でテイラー工程と一般的に呼ばれる工程で安価に生産してきたが、その工程では、予め合金化されたインゴットか、または、必要な元素成分のいずれかを、下部をシールされた、ほぼ垂直に並べたガラスチューブ内で溶解する。無線周波数(「rf」)加熱などを使用して、合金が、いったん溶融状態に変換されると、ガラスチューブの軟化した下部は、連続したマイクロワイヤ内に把持され、引き込まれる。二次冷却手段の使用に伴う合金断面の急速な収縮は、引き込まれる間に、合金の非結晶質化、または、ナノ結晶化を引き起こす。
【0018】
典型的なマイクロワイヤ20は、図1に示すように、どこでも総直径が10ミクロン以下から数十ミクロンまでである。ワイヤ20は、合金コア22、および、ガラスコーティング24を有し、合金コア22とガラスコーティング24は、連続的にか、または、空間的に離れた数ポイントのみでも物理的に相互に結合することができる。ガラスと金属との比率は、可変だが、しっかり制御できる。例えば、ガラスコーティング24の典型的な厚さは、コア直径45-60ミクロンのマイクロワイヤ用は約1-5ミクロンであり、コア直径30ミクロンのマイクロワイヤ用は1-3ミクロンである。従来技術のEAS用と認証タグ用のマイクロワイヤ要素は、通常、15mmから75mmまでの範囲の長さに切断する。
【0019】
マイクロワイヤの磁気特性と結果のヒステリシスループは、合金組成物とガラスと金属との直径比率を変更することによって、制御できる。図2は、大きいバルクハウゼン不連続を有する典型的なマイクロワイヤ20の理想化された磁気ヒステリシスループ応答を示すが、そのマイクロワイヤは、以下に説明するように、本発明における使用に適している。そのようなマイクロワイヤ20が、外部の交流磁場にさらされ、要素の瞬間的な磁気分極の反対方向への磁場強度が、保磁力Hcよりも強く、ここに理想的に示すように、10A/m未満であるときに、再磁化過程は、結果として、容易に検出される調和的に豊かなパルスを発生する。パルス間の磁束変化は、時間がたつにつれて、フラックス誘導体のピークをもたらす。従って、ピーク電圧は、要素付近に置かれた受信コイルの中に観測され、リーダが、そのピーク電圧を、磁場の中のマイクロワイヤ要素の存在と関連付けても良い。
【0020】
テイラー法で生産した従来技術のガラスでコーティングされた非結晶質のマイクロワイヤ20は、非常に低い飽和保磁力(実質的に10A/m未満の)、高い相対透磁率(実質的に20,000よりも高い)、実質的にゼロ、または、わずかに正の磁気歪、および、大きいバルクハウゼン不連続性(マイクロワイヤが、必然的に二つのモードの磁気状態だけに存在することを意味する)を示すように作ることができる。
【0021】
また、マイクロワイヤ20の再磁化特性も重要で、そのようなマクロワイヤを、他のタイプの従来技術の磁気素子と区別している。図3C(米国特許番号6,556,139参照)を参照すると、ガラスでコーティングされた非結晶質のマイクロワイヤの(半分の振幅レベルで測定される)再磁化ピーク幅は、25-80マイクロ秒の範囲内にあったことがわかる。対照的に(図3B参照)、センサマティック社から市販されているマーカーかタグは、ピーク幅が約200-500マイクロ秒以上の範囲内にある、大きいバルクハウゼン不連続性を有する水中鋳造の非結晶質のワイヤを含んでいる。最終的に(図3A参照)、例えば、Meto GmbH製の32mmのマーカーかタグのような、主として万引き防止用に使用されるマーカーまたはタグで使用される非結晶質の断片形状用のピーク幅は、約1-2ミリ秒である。したがって、図1に示すタイプのマイクロワイヤは、他の外部のオブジェクトとの磁場相互作用が引き起こしたものなどのバックグラウンドノイズから、マイクロワイヤ応答を識別する、極めて短い再磁化ピークを示している。
【0022】
J. Mater. Res. 15 No. 10 Oct.(2000)のジューコフ氏他は、非結晶質のガラスでコーティングされた複数のワイヤセグメントを利用するときの、マルチビットマーカーの生産について説明しているが、そのワイヤセグメントは、(長さ、全体の直径などの)異なった単位、または、(例えば、保磁力のような)磁気特性をそれぞれ有している。例えば、複数の磁気マイクロワイヤ要素が、それぞれ異なった飽和保磁力を示し、それぞれの磁場範囲内に、それぞれの磁気マイクロワイヤ要素の独自の再磁化ピークを検出でき、例えば、米国特許番号4,203,544に記載されている方法で、磁気マイクロワイヤ要素のパターンを認識しても良い。米国特許番号5,729,201は、ワイヤが同じ磁気特性と寸法を有しても、そのような複数のワイヤを差別化する方法を説明している。ワイヤ付近の永久磁石のバイアス磁場要素は、リーダが発生する外部の磁場の振幅を差別化するのに役立つが、その外部の磁場は、それぞれの個別のワイヤセグメントに対する異なった近接性によって、それぞれの磁気素子の再磁化のための保磁力を超えるのに必要である。これは、検出した再磁化のピークにおける位相差に通じ、その結果、個別要素の差別化を許容している。
【0023】
米国特許番号4,134,538は、磁気素子を組み立てられたマルチ要素タグ(マーカー)について説明しているが、そのそれぞれの磁気素子は、異なった保磁力によって特徴付けられ、その結果、利用した磁気素子と同じくらい多くの特徴を有する、参照コードのどんな付属オブジェクトにも、割り当てを許可している。その結果、そのそれぞれの保磁力の値の順で、磁気素子にそれぞれの参照コードの特徴が割り当てられ、信号は、それぞれの磁気素子に対応し、次に、保磁力の順と同じ位相ずれの順に、検出装置に現れ、そして、そのそれぞれがコード化時点で割り当てた値に対応する振幅を有し、その結果、配置と振幅において完全なコードを再生している。
【0024】
米国特許番号6,622,913は、マイクロワイヤ要素が、送信機が発生する交流磁場に対するかなり異なった応答を発生するように、異なった直径か透磁率のマイクロワイヤ要素を使用することによって、データ情報をバイナリ形式でコード化しても良いことを開示している。したがって、マイクロワイヤのタイプの1つがバイナリ「0」を表し、その他がバイナリ「1」を表しても良い。例えば、連続的なより大きい飽和保磁力をそれぞれ有する4本のマイクロワイヤのアレイは、それらが、付帯的な交流磁場の範囲にわたって、その検出された位相差によってそれぞれ容易に区別されるように、磁場摂動の交流高振幅と低振幅と(その結果、ディテクタで交流高電圧と低電圧の振幅)を、その磁場摂動が1010のバイナリパターンを表すように、発生させることができる。
【0025】
米国特許出願番号2005/0109435は、単一のマイクロワイヤのマルチビット情報をコード化するいくつかの磁気的方法と光学的方法を説明している。強磁性非結晶質のガラスでコーティングされたマイクロワイヤのストレス感度は、磁気ドメイン構造に影響する物理的な基礎として、有利に使用できる。強磁性非結晶質のガラスでコーティングされたマイクロワイヤのコード化は、このドメイン構造の局所変化から生じることができる。変化は、局所応力の賦課か、または、非結晶質の合金の選択的な結晶化によって、容易に実行されている。そのような変化は、パルス状のレーザ、ガラスコーティングの化学的な薄膜化、ガラス上のコーティング、および、同様のもの、を通した局所加熱を含む、多くの手段の影響を受ける。強磁性非結晶質のガラスでコーティングされたマイクロワイヤのガラスコーティングの局所変更は、事実上、非結晶質の合金コアの磁気ドメイン構造内の制御変化を発生させ、その結果、コード化を可能にするのに使用できる。好ましい方法は、ガラスか、または、合金を局所加熱するのに、片方か両方の構造変化を引き起こし、その結果、実在の応力場か、または、基本的な磁気特性を変化させるレーザパルスを使用することである(波長の選択によって、独立した加熱を実行できる)。
【0026】
磁気マーカーとして使用されるすべてのタイプの磁気素子に関連して使用される、従来技術のEASか、または、認証システムディテクタ装置は、磁場送信機ユニットと磁場ディテクタユニットを通常使用している。磁場送信機は、一般的に、マーカーのインターロゲーションゾーン内で、交流磁場を発生するために、(交流磁場ソースを一緒に構成する)周波数ジェネレータと磁場発生コイルを有している。ディテクタユニットは、通常、警報装置の引き金となる磁場受信コイルと信号処理ユニットを有している。
【0027】
従来技術のEASシステムでは、磁気マーカーがコイル付近に位置している場合、インターロゲーション交流磁場は、磁気素子の磁化の切り換えを引き起こす。したがって、磁場受信コイルは、磁場摂動の非常に短いパルスを受信する。アラームを発報するために出力を発生する信号処理回路は、これらのパルスを検出する。
【実施例1】
【0028】
第1の実施形態:化学的性質を変更したキュリー温度検出用のマイクロワイヤ
本発明の第1のマイクロワイヤの実施形態は、磁気マイクロワイヤ温度センサを含み、その温度センサは、少なくとも1つだが、通常複数の磁力によって影響されやすいマイクロワイヤを有し、少なくともあるマイクロワイヤの個別の合金を有し、その合金は、通常約400℃よりも低温では、変更された化学的性質と結果的に異なったキュリー温度を有する。さらに、この実施形態は、センサマイクロワイヤから得られた温度情報を解読できるマイクロワイヤリーダ/ディテクタを含む。上述のように、リーダ/ディテクタは、磁力によって影響されやすいそれぞれのマイクロワイヤのキュリー温度に対応する不連続な温度をセンサから返す「簡単な解読アルゴリズム」を使用しても良い。あるいはまた、リーダ/ディテクタは、磁力によって影響されやすいそれぞれのマイクロワイヤのキュリー温度に対応するだけではなく、連続的温度検出マイクロワイヤのキュリー温度の間のパルスパラメータにおける目に見える変化から得られた温度情報にも対応する連続的な温度をセンサから返す「複雑な解読アルゴリズム」を使用しても良い。
【0029】
好ましくは、化学的に変更された個別のマイクロワイヤは、変更されたマイクロワイヤが、大きいバルクハウゼン不連続性、極めて低い飽和保磁力、および、それらのそれぞれのキュリー温度よりも低温の極めて高い透磁率を保有するように、製造する。(結果として図2に描かれているタイプのヒステリシスの挙動を有する。)この変更されたマイクロワイヤは、そのキュリー温度よりも高温では、その強磁性を本質的に完全に失う。センサのアレイ内の他のマイクロワイヤは、化学的性質を変更する必要はなく、以前に議論したシングルかマルチビットコード化のすべての従来技術の方法のいずれかに従って、データ要素として動作できる。
【0030】
従来技術の非結晶質のマイクロワイヤで使用されるFeベースの、および/または、Coベースの合金の最も好ましい化学的改良は、その中のクロムの原子割合を調整することである。非結晶質の鉄ベースの(Fe80-xCrx)(PC)20合金のクロムは、その磁気特性にかなり大きい影響を与える。クロム割合の増加は、キュリー温度、平均的超微細場、および、その飽和磁化を下げるが、他方では、その初期の透磁率を著しく増加させる。例えば、0%から6.5%までのクロム割合の増加は、あるテストされたサンプルでは、330℃から155℃にキュリー温度を低下させた。ジャーナル オブ マテリアルズサイエンス19: 1000-06(1984)に記載の、ヘンリー氏他によるクロムを含有する鉄の豊富な非結晶質の合金の磁気測定:メスバウアー研究とB-Hループ、および、Springer-Verlag, Berlin(1991)に記載の、Wijn氏によるd元素金属、合金、および、化合物の磁気特性を参照して欲しい。
【0031】
また、非結晶質のマイクロワイヤ要素の磁気特性を変化させるのに、Feベースの、および、Coベースの合金に対する他の化学変化を利用できる。例えば、あるFCZBN合金のFeにCoを置き換えでき、結果的なキュリー温度は、Co含有量の増加に伴って正弦波のような挙動を示し、Co が3原子%および12.5原子%である時に2つの最大値を示し、Co が7.5原子%である時に最小値を示す(ジャーナル オブ フィジカルサイエンス:凝縮物質Vol. 16 6325-34(2004)に記載の、ヤオ氏他による高ガラス形成能力を有する非結晶質のFe Co Zr B Nb合金のキュリー温度のCo依存性)。磁気学におけるIEEE会議記録Vol. 22, 1349-51(1986)は、高いリン含有率を有するCo-Pの非結晶質の合金を電解入手できる工程を示している。これらの合金のキュリー温度は、28-29%Pまでの組成物に対するキュリー温度における線形的な挙動を示している。一定のキュリー温度は、より高い濃度において観測されている。
【0032】
上述したように、好ましくは、第1の実施形態は、マイクロワイヤが、総合的な温度センサの詳細設計温度範囲内の(通常、約400℃以下の)個別の温度で常磁性になるように、化学的性質を変更した複数の磁気マイクロワイヤ温度検出要素を利用している。例えば、図4は、アレイ36を形成する合計4つの温度検出マイクロワイヤ28-34を有する温度センサ26を描いている。それぞれのマイクロワイヤ28-34は、クロムの原子割合の増加などの、従来のテクニックのどれかを使用することで、その化学的性質を変更させ、その結果、マイクロワイヤのキュリー温度が異なり、センサ26の正常な動作温度範囲の間、すべて超過している。残りの2つのマイクロワイヤ38と40は、データ要素である。また、任意の永久磁石のバイアス磁場要素41を使うことができる。
【0033】
図4の実施形態では、マイクロワイヤ28-34は、平行に配置され、間隔42は、それぞれの隣接するマイクロワイヤの半径の合計と等しく(間隔42は、半径の合計よりも大きくても良い)、また、温度がモニターされるオブジェクト44に、マイクロワイヤを接着する(図示しない)熱伝導性の接着剤で結合される。
【0034】
この例示的な実施形態では、それぞれのマイクロワイヤ28-34と38-40の磁気保磁力は、6本のマイクロワイヤのそれぞれを、総合的なアレイ内のその位置順におけるそれぞれの期間内に、確実に独自に検出可能にするために、その合金における適切な化学変化、厳密に言えば、それぞれの合金のクロム含有率、によって変化する。もちろん、合金の化学的性質の変更用、および、飽和保磁力の調整用の他の従来技術のテクニックは、この目的のために使用できる。さらに、6本のマイクロワイヤ28-34と38-40のそれぞれは、かなり長い(例えば、40mm)マイクロワイヤ38以外は同じ長さ(例えば、20mm)のものである。マイクロワイヤ38のこの余分な長さによって、このデータ要素のマイクロワイヤからの検出された再磁化ピークは、他のすべての再磁化ピークよりも振幅で確実に大きくなる。
【0035】
図10に、オブジェクト44の温度に相当する、センサ26によって検出された温度を検出するのに使用されるディテクタ装置46が例示される。ディテクタ46は、送信機ユニットが、センサ26をインターロゲーションするための交流磁場を作成可能なように、磁場発生コイル50に接続した周波数ジェネレータ48の形で、交流磁場送信機ユニットを広く含む。総合的な装置46は、さらに、ディジタル信号処理ユニット54と温度表示56とに動作可能に接続した磁場受信コイル52を含む。図示したように、処理ユニット54は、通信ポート58と60を備えていて、接続部62で周波数ジェネレータ48に動作可能に接続しても良い。さらに、周波数ジェネレータ48は、ジェネレータの遠隔操作を可能にする任意の入力61を備えても良い。
【0036】
信号処理ユニット54は、センサ26をインターロゲーションするときに受信した磁場摂動情報を解読する能力を有する解読アルゴリズムを使用して動作している。好ましくは、解読アルゴリズムは、本発明に従って、ユニット54に関連したメモリ内に格納された、異なったセンサのための1つ以上のルックアップテーブルの形の中にある。センサ26に特有のディテクタ46の場合では、その信号処理ユニット54は「簡単な解読アルゴリズム」を使用し、温度ルックアップテーブルは、4つの温度検出マイクロワイヤ要素28-34のそれぞれのための予測された位相位置(ストップビットから、および/または、相互の位相関係)、および、マイクロワイヤ20のアレイ36から、受理できる検出されたビットコードのそれぞれをレポートする温度、の両方を有する。(いくつかのビットコードは、キュリー温度の段階的なマイクロワイヤの順に応じて、どんな論理的な意味にもならず、その結果、ディテクタ46によって誤読されたものであるので、受理できないかもしれない。)信号処理ユニット54が「複雑な解読アルゴリズム」を使用するディテクタ46の場合では、ルックアップテーブルは、キュリー温度よりも低温の小さい範囲の中で、独自の正規化されたパルスパラメータ値や、それぞれの温度に関連付けられた(前記温度の間に選ばれた間隔を有する)温度と同様に、「簡単な解読アルゴリズム」の中で使用されたすべての情報を含んでいる。したがって、例えば、マイクロワイヤ20のアレイ36からの許容できるビットコードが、「複雑な解読アルゴリズム」を使用する信号処理ユニット54によって決定される場合は、信号処理ユニット54は、再磁化パルスが消滅した最高キュリー温度のマイクロワイヤのキュリー温度と、再磁化応答がまだ検出可能な最低キュリー温度のマイクロワイヤのキュリー温度との間の温度範囲内にあるセンサ温度にパルスパラメータ値を関連付けるルックアップテーブルの一部にアクセスする。センサ温度は、再磁化応答がまだ検出可能な最低キュリー温度のマイクロワイヤのキュリー温度よりも低温の小さい範囲内で、現在高解像度に認識できるものであり、「複雑な解読アルゴリズム」は、センサの温度に到達するように、パルスパラメータの現在検出されて計算された値と、ルックアップテーブルの中の前記適切な範囲の値とを、信号処理ユニットに比較させる。
【0037】
説明したように、センサ26とディテクタ装置46は、装置46が、センサ26の適切なインターロゲーションによって、オブジェクト44の温度を確認することができるように、関連付ける。そのような相関関係は、通常、センサ26のビット論理を、解読アルゴリズムに少なくとも合わせること、この場合は、信号処理ユニット54のメモリに収納された温度ルックアップテーブルに合わせることを伴う。当業者は、この中に記載された「簡単な解読アルゴリズム」と「複雑な解読アルゴリズム」の両方のために、様々なビット論理と対応するアルゴリズムテーブルを提供できることを理解するだろう。しかしながら、以下の議論は、図10のセンサ26とディテクタ装置46との関連で、「簡単な解読アルゴリズム」を使用する1つの例示的なシステムを提供する。
【0038】
再度、図4を参照して、4つの温度検出要素のマイクロワイヤ34-38の最下位ビットが、「第1の」マイクロワイヤと命名できる、マイクロワイヤ28であると仮定して欲しい。その結果、オブジェクト44が、第1のマイクロワイヤ28のキュリー温度よりも低温であるときに、マイクロワイヤ28は、装置46が発生する交流磁場の影響に基づく特有の短い再磁化パルスを発生させつづけるだろう。オブジェクト44が、第1のマイクロワイヤ28のキュリー温度よりも高温を有するとき、マイクロワイヤ28は、適用された交流磁場の影響に基づく短い再磁化パルスをもはや発生させないので、ビットの検出された温度検出要素アレイから、ビットが消されていく(「0」値)だろう。
【0039】
残りの温度検出マイクロワイヤ30-34のそれぞれは、マイクロワイヤのキュリー温度が、連続的に、かつ、段階的に、第1のマイクロワイヤ28よりもわずかに高温であるように、そこにそれぞれの化学的に変更された合金を有する。したがって、「第2の」マイクロワイヤ30は、第1のマイクロワイヤ28よりもわずかに高温のキュリー温度を有し、「第3の」と「第4の」マイクロワイヤ32と34のそれぞれは、連続的に、低い順位のマイクロワイヤよりもわずかに高温のキュリー温度を有する。このように、マイクロワイヤ30-34の再磁化パルス(ビット)は、第1のマイクロワイヤ28とすべての先行する低い順位のマイクロワイヤよりも高温のそれぞれの温度での適用された磁場の影響を受けて、ディテクタ46から消滅する(すなわち、「0」という値になる)だろう。
【0040】
例えば、オブジェクト44が、第1と第2のマイクロワイヤ28と30の両方のキュリー温度よりも低温を有する場合は、アレイ36のすべてのビットは、装置46によって読まれる(すなわち、「1」という値になる)だろう。オブジェクト44が、第1のマイクロワイヤ28のキュリー温度よりも高温を有し、第2のマイクロワイヤ30のキュリー温度よりも低温を有する場合は、第1のビットは、「0」という値として装置46に消滅し、マイクロワイヤ30-34に対応する残りのビットは、装置46によって「1」という値として読まれるだろう。
【0041】
上述したように、装置46は、第1の温度ビットの消滅と、第2の温度ビットの出現と、より高温のすべてのビットの出現は、オブジェクト44の温度が第1と第2のマイクロワイヤ28と30(温度ビット)の第1と第2のキュリー温度の間のどこかに存在することを意味していると認めるルックアップテーブルの形でアルゴリズムを含む。(ここに使用されるように、センサの温度か、または、オブジェクトの温度の検出か測定は、温度範囲内の単一の温度、または、近似された温度を参照できる。)したがって、アレイ36が発生する温度検出ビットデータを読むことによって、および、このデータのバイナリの値を対象となるルックアップテーブルに関連付けることによって、第1と第2のマイクロワイヤのキュリー温度の間隔で定義された温度範囲内で、オブジェクト44の温度を測定できる。もちろん、この論理は、簡単な図4の例の、4本のマイクロワイヤ28-34のすべてに適用される。
【0042】
与えられた磁気素子温度センサの上の温度検出マイクロワイヤのナンバーNが、既知の増加の逐次順の特定されたキュリー温度を有する場合は、そして、このキュリー温度を、1つからもう1つへのその増分内で少なくともやや一貫するように選択する場合は、センサは、第1から第Nのキュリー温度まで温度を検出できる。対の一方のリーダが「簡単な解読アルゴリズム」を使用するようなセンサの分解能は、連続したキュリー温度の間の増分である。連続したキュリー温度が、まさに一貫していなくても、関連ルックアップテーブルを組み立てることができ、センサが適切に機能できることが理解されるだろう。リーダが「複雑な解読アルゴリズム」を使用する場合には、達成される分解能は、はるかにすばらしく、最良適合公式の精度などのような多くの要因によって決定されることが理解されるべきである。
【0043】
この実施形態のマイクロワイヤ合金は、合金がマイクロワイヤに処理される前、または処理された後に、定量化されたキュリー温度を有することができる。さらに、慎重に制御された環境における受信距離と送信磁場強度のような要因のために、キュリー温度よりも低温で起こる再磁化パルスにおける検出可能な変化を定量化して、正規化することができる。こんなやり方で、完全なマイクロワイヤセンサを、温度検出用に較正できる。
【0044】
ある温度検出マイクロワイヤが、その他のマイクロワイヤとの適切な順序で、消滅しない場合は、(リーダ/ディテクタによる誤読、その他のものとの熱接触の不足、または、他の理由のために、)許容できるルックアップテーブルの値の不足によって、装置46のリーダ/ディテクタアルゴリズムが、好ましくは、センサ26の再読を試みる。連続的な再読が、同じ変則的な温度データを示す場合は、リーダ/ディテクタのアルゴリズムは、温度データを捨てて、最後に測定された温度、(または、最後に測定された温度変化割合に関与し、かつ、時間間隔を読み込む計算に基づく、差分温度をプラスした最後に測定された温度)を使用し、そして、その次に予定されていた読み込み間隔のときに、再度試みることができる。好ましくは、すべてのマイクロワイヤを、相互に、および、その温度が測定されるオブジェクト44と、確実に良好に熱接触させるために、工程を踏む。そのような工程の1つは、薄い熱伝導性の基板にすべてのマイクロワイヤを取り付けることである。もう1つの工程は、以下に説明するように、熱伝導性のケース入り材料か、熱伝導性のポット入り材料を使うことである。
【0045】
最大40本のマイクロワイヤが、周期内に検出可能であることが知られているが、それに従って、この実施形態の磁気素子温度センサは、4本の温度検出マイクロワイヤ20よりもずっと多くと、1つの(ストップビットを数えない)データ要素よりもずっと多くを含んでも良い。特に、それぞれがマルチビットデータでコード化される場合は、(線形か非線形の関係定数などの)相関関係情報を保存するのにデータ要素を使用でき、その相関関係情報によって、ディテクタアルゴリズムは、「特定の数値」(温度ビット)を関連した温度値に解読できる。これは、ルックアップテーブルメソッドが使用されていないところで、特に貴重である。したがって、磁気素子温度センサ26は、永久的なIDコード、または、「オブジェクトのクラス」コードのようなデータを、データ要素内に保存できる。「オブジェクトのクラス」コードを保存するこの能力によって、単一のリーダ/ディテクタアルゴリズムは、マイクロワイヤ温度センサのいくつかの異なったタイプを読み込むことができ、その温度センサのそれぞれは、それ自身の独自のルックアップテーブルを有し、正しい温度を解読することができる。
【0046】
多くの異なったコード化/解読方法を、本発明の範囲から逸脱せずに、センサ26と装置46で使うことができるのが理解されるだろうが、ただし本発明は、それぞれの温度検出マイクロワイヤが、キュリー温度より高温の装置46が発生する交流磁場の影響を受けて、再磁化パルス特性を失うように設計されることを条件とする。1つのオプションは、それぞれのマイクロワイヤの再磁化のための保磁力を超える必要がある装置46が発生する外部磁場の振幅をそれぞれの個別のマイクロワイヤ28-34と38-40に対する異なった近接性により差別化するのに役立つ、バイアス磁場要素41の使用である。これは、ディテクタ46によって検出された再磁化ピークにおける位相差に通じ、その結果、6本の個別のマイクロワイヤの差別化を促進する。他の変形は、温度検出要素とデータ要素との間のストップビット、または、「輪郭描写」ビット、非温度データのコード化と解読、および、その磁気応答を変化させるために、マイクロワイヤのいくつか、または、すべての異なった長さを決定するための手段を含むが、これに限定されるものではないだろう。さらに、個別の温度検出マイクロワイヤのキュリー温度付近の温度での磁気特性における変化は、その検出可能な再磁化パルスを変化させるが、完全には除去できない。そのような変化した再磁化パルスは、キュリー温度よりも低温の特定の温度範囲にわたる予測可能な挙動を有し、また、温度情報を解読するのに使用しても良い。これによって、それぞれの温度検出マイクロワイヤは、正確に1つ以上の温度、例えば、リーダの解読用電子機器の中で「複雑な解読アルゴリズム」を使用するときに、キュリー温度よりも低温の小さい間隔からキュリー温度までを検出することができる。
【実施例2】
【0047】
第2の実施形態:強磁性シース付きの温度検出用のマイクロワイヤ
この第2の実施形態は、複数の複合温度検出マイクロワイヤ66を有する磁気素子温度センサ64を含み、そのマイクロワイヤ66は、上述した従来技術のタイプの磁力によって影響されやすいマイクロワイヤを、それぞれ含み、センサ64の全ての動作範囲にわたって、図2に描いたように、その大きいバルクハウゼン不連続性と他の磁気特性を保有するように、そのキュリー温度の意図的な低下がない。このマイクロワイヤの構造は、さらに、周囲の管状の構造68を含む。総合的な第2の実施形態は、さらに、センサ64のインターロゲーションから得られた温度情報を解読できるアルゴリズムを格納した、ディテクタ46と同様のマイクロワイヤ温度ディテクタを含む。
【0048】
特に、それぞれの複合マイクロワイヤ66は、複合マイクロワイヤ66のこの内部が、前述した従来技術のマイクロワイヤ20と概念的に全く同じであるように、中間的ガラスコーティング72に囲まれた、最も内側の合金70を有する。さらに、マイクロワイヤ66の構造68は、コーティング72を囲む強磁性金属、または、(NiZn、または、MnZnなどの)フェライト材料の管状のシース74、および、管状のシース74を囲む任意の最も外側のガラスコーティング76を含む。シース74は、個別の、および、内側のマイクロワイヤ合金70が、マイクロワイヤを、ディテクタが発生する交流磁場内に配置するときだけ、および、強磁性シース74のキュリー温度よりも高温(、または、キュリー温度付近のある温度よりも高温)のときだけ、特徴的な摂動(と、その結果、ディテクタで再磁化電圧パルス)を発生するように、慎重に選ばれたキュリー温度を有する。したがって、複合マイクロワイヤ66が、強磁性シース74のキュリー温度よりも低温(、または、このキュリー温度付近のある温度よりも低温)になったときに、シース74は、強磁性であり、その結果、マイクロワイヤ66の特徴的なパルスを変化させる。これは、シース74が引き起こした磁気飽和のために、複合マイクロワイヤ66の再磁化を防ぐことができるか、または、複合マイクロワイヤ66からのバイアス信号、または、「変化した」信号として、結果的に再磁化させることができる。例えば、再磁化パルスは、シースのキュリー温度よりも高温の位置から、同じ位相で相殺することができるか、または、シースのバイアス効果は、複数の異なった設定温度よりも低温、および、高温の再磁化応答を変化させることができる。
【0049】
複合マイクロワイヤ66が、シース74のキュリー温度よりも高温になったときには、シースは、常磁性になって、その結果、合金70の特徴的なパルスに対して無効になる。したがって、シース74の個別のキュリー温度よりも高温(、または、このキュリー温度付近のいくつかの温度よりも高温)では、通常、複合マイクロワイヤ66は、正常に動作する。(すなわち、その複合マイクロワイヤ66は、ディテクタ46に、ルックアップテーブル内に記録された、または、他のある解読アルゴリズムを通して記録された、同じ位相を予想される電圧パルスか振幅か同様のものを検出させる。)しかしながら、複合マイクロワイヤ66が、そのシース74の個別のキュリー温度よりも低温になったときには、マイクロワイヤ66は、ディテクタで検出可能でないか、または、検出可能だが、特に、マイクロワイヤ66のシース74のキュリー温度よりも高温で検出された特徴的なパルスに関して、変化したマイクロワイヤ66の磁気特性を有する。そのような変化した磁気特性は、リーダが「簡単な解読アルゴリズム」を使用する場合に、ルックアップテーブルのパラメータに合わないか、または、リーダが「複雑な解読アルゴリズム」を使用する場合に、キュリー温度よりも低温に関連付けるのに使用されるかのいずれかである。
【0050】
管状のシース74を作る材料が、強磁性金属の場合は、シース74は、たった数ミクロンの厚さ、または、内側のマイクロワイヤ合金70の飽和のために、および、製造性のために必要な厚さであっても良い。強磁性シース74を形成する1つの方法は、「非結晶質のマイクロワイヤとその製造方法」と題した米国特許番号7,011,911で説明されている。他の方法は、フレーム溶射かスパッタリングを含んでいる。シース74を作成するのにこれらの方法を使用するとき、最も外側のコーティング76は必要ない。また、内側のガラスチューブが、外側のガラスチューブの壁面内に存在するように、内側のガラスチューブと外側のガラスチューブとを、共軸上に伸縮自在に並べる、変更されたテイラー法を使用しても良い。合金70は、(ロッド形状の)インゴット内の、または、構成している金属製型枠内のセンターガラスチューブの内側にあるが、管状のシース74を作る材料は、嵌め合わせたガラスチューブの間に配置する。このシースの材料は、インゴット内(おそらく、数個のロッド)、または、構成している金属製型枠内にあっても良い。合金は、磁気誘導、または、他の適当な手段によって溶かすために加熱され、得られた溶融金属とガラスは、速やかに引っ張り成形されて、複合マイクロワイヤ66を形成する。
【0051】
特定の金属の微量元素の添加によって、強磁性合金のキュリー温度を調整する手法は、当該技術分野で公知となっている。したがって、管状のシース74を作るのに、いろいろな合金を使用しても良い。図9は、理想的な合金を形成するための、強磁性金属元素(この場合はニッケル)に対する、ある金属(この場合は銅)の微量の追加が、予測可能な方法で、結果として得られる強磁性合金のキュリー温度を変化させることができることを示す。また、鉄に対する少量のクロムの追加は、キュリー温度が予測可能な合金をもたらす。銅とアルミニウムを用いたニッケルのキュリー温度の変更に関する議論については、米国特許番号5,954,984を参照して欲しい。
【0052】
管状のシース74の製作に使用される合金、または、フェライト材料は、合金、または、フェライト材料が、管状のシース74内で処理される前、または、後に定量化された、キュリー温度(、または、そのキュリー温度付近の規定温度)を有する。したがって、温度検出のために、磁気素子温度ディテクタ46を容易に較正できる。前と同様に、与えられた温度範囲を測定するために、シースのキュリー温度が定量化されて、温度範囲内でほぼ等しく間隔を開ける、温度検出複合マイクロワイヤ66を増やせば増やすほど、温度センサの分解能は高くなる。少なくとも20本の温度検出複合マイクロワイヤ66を有し、そのそれぞれが、次の最も低い順位のシースに対して、せいぜい5℃高温の、連続的なより高温のシースのキュリー温度を有するのが好ましい。もちろん、シース74が、(例えば、再磁化パルスの位相を検出可能にシフトすることによって)、シース74のキュリー温度付近の温度範囲にわたって、マイクロワイヤ66の再磁化パルスを変化させる場合は、「複雑な解読アルゴリズム」を使用するディテクタが、ある範囲内のそれぞれのマイクロワイヤ66のために、複数の温度を検出し、解読することが可能であっても良く、その結果、センサが広範囲にわたって正確に温度を測定できるように、より少ないマイクロワイヤ66を必要としても良い。
【0053】
管状のシース74を作る材料が、フェライトかフェライトとの何らかの混合材料の場合は、シースは、合金70と周囲のガラス72をそこに配置することができるように、中央の穴を有する、ガラス層72、離れた円筒形状のビード、または、他の焼結したフェライトの円筒形状のオブジェクトのいずれかに接着されていても良い。交互に、純粋なガラスの代わりに層72にガラスフェライトの材料を使用することによって、管状のシース74を、ガラス層72の一部として形成できるだろう。「レーダー吸収コーティング」と題した米国特許番号6,909,395は、金属ワイヤ、または、他の形状の金属オブジェクトのいずれかに、直接接着するのに使用できるか、または、金属に既に接着している純粋なガラスの層に接着できる、フェライト/ガラス合成材料を説明している。
【0054】
図6を参照すると、センサ64は、データ要素のアレイ78を表す複数のマイクロワイヤ20、および、そのアレイ80を形成する複数の温度検出複合マイクロワイヤ66を含む。マイクロワイヤ20と複合マイクロワイヤ66は、温度測定目的のために、(図示しない)オブジェクトに良好に熱接触するように、センサ64を配置できるように、できるだけ薄くて、熱伝導性の良いセンサ、または、タグ基板82に取り付けられる。
【0055】
アレイ78を作るマイクロワイヤ20は、センサ64のために、通常、約400℃よりも低温の計画された動作温度範囲よりも高温の、個別のキュリー温度を与える化学的性質を有する。個別のマイクロワイヤの管状のシース74が、いったんキュリー温度よりも高温になると、個別の複合マイクロワイヤ66のそれぞれの強磁性、または、フェライトの管状のシース74が、隣接する複合マイクロワイヤに影響しないように、好ましくは、アレイ80内の複合マイクロワイヤ66は、距離84だけ離して間隔を開ける。
【0056】
リーダが「簡単な解読アルゴリズム」を使用するような、この簡単な実施形態では、アレイ78のそれぞれのデータ要素が、「1」か「0」の論理状態にレーザでコード化されてあると仮定する。さらに、それぞれのデータ要素が、かなり長い(例えば、40mm)端末の要素83と86以外は同じ長さ(例えば、20mm)であると仮定する。この余分な長さによって、データ要素83と86からの検出された再磁化ピークは、他のものよりも振幅で確実に大きくなる。最終的に、データ要素83が、論理値「1」にレーザでコード化され、データ要素86が、論理値「0」にレーザでコード化されると仮定する。第1の実施形態で説明したように、アレイ78と80の両方の要素のそれぞれは、検出された位相順位が、最初(マイクロワイヤ83)から最後(複合マイクロワイヤ88)まで、描かれた整列順位に合うように作られ、後者は、持っている中でアレイ80の複合マイクロワイヤの最も高温のシースのキュリー温度を有する。そのような場合には、ディテクタ46は、最も高い振幅と、(マイクロワイヤ83としてここに描いた)スタートビットとして、論理レベル「1」を有する、(位相関係における)最初に検出されたパルスを割り当て、そして、最も高い振幅と、ストップビットとして、論理レベル「0」を有する、最後の検出されたデータマイクロワイヤ86を割り当てる。スタートビットとストップビット83と86の間のすべてのデータマイクロワイヤは、データビットとして、マイクロワイヤ温度のリーダ/ディテクタによって検出される。第1の実施形態で説明したように、タグ識別番号や「オブジェクトのクラス」コードなどの、様々な機能に、介在するデータマイクロワイヤを使用できる。
【0057】
「簡単な解読アルゴリズム」の例を使用して、センサ64から温度情報を解読するために、センサ64の正常な動作範囲の間、それぞれのシース74のすべてが、超過したキュリー温度を有する(、または、キュリー温度「付近」の規定温度を有する)ように、強磁性シース74を有するアレイ80からの「N」複合マイクロワイヤがあると仮定する。これらのN複合マイクロワイヤ66の最下位ビットは、ストップビット86の直後の位相関係で、および、ストップビット86からの規定の位相関係で検出され、「第1の」複合マイクロワイヤ89であると見なされる。したがって、第1の複合マイクロワイヤ89は、シース74のキュリー温度よりも高温でのみ、正常な短いパルス摂動を発生し始めるので、ディテクタ46は、電圧パルス(ビット)を検出するだけだろう。第1の複合マイクロワイヤ89は、シース74のキュリー温度よりも低温で、正常な短いパルス摂動を発生しないので、ディテクタ46が検出したビットから、そのビットが失われるか、または、「変化した」マイクロワイヤとして、ディテクタ46が明確に検出可能なほど、パルスを変化させるか、のいずれかだろう。
【0058】
ストップビット86(最下位の次のビット)からの位相関係における「第2の」複合マイクロワイヤ90は、第1の複合マイクロワイヤ89よりもわずかに高温のキュリー温度の強磁性シース74を有する。ディテクタ46は、複合マイクロワイヤ90のビットを読み込まないか、または、電圧信号は、このより高温のシースのキュリー温度(、または、シースのキュリー温度付近の、より高い温度)よりも低温で、「変化した」ように検出されるだろうが、電圧信号は、第1の複合マイクロワイヤ89よりも高温で、位相と持続時間では、予想されるように見えるだろう。
【0059】
したがって、センサ64が、第1と第2の複合マイクロワイヤ89と90の両方のキュリー温度(、または、キュリー温度未満の指定温度)よりも低温にさらされる場合は、(アレイ80内のその後のより高い順位の複合マイクロワイヤのすべてが、より高温のキュリー温度を持つシース74を有すると仮定して、)いかなる複合マイクロワイヤも、ディテクタ46によって検出されないだろう。センサ64が、第1の複合マイクロワイヤ89のシースのキュリー温度(、または、関連した温度)よりも高温で、第2の複合マイクロワイヤ90のシースのキュリー温度(、または、関連した温度)よりも低温にさらされる場合は、ディテクタ46は、第1のビットを読み込むが、第2のビットは、まだ、ディテクタ46が読み込まないか、または、ディテクタが読み込むような「変化した」信号を有するだろう。最後に、センサ64が、第1と第2の複合マイクロワイヤ89と90の両方のシースのキュリー温度(、または、関連した温度)よりも高温にさらされる場合は、ディテクタ46は、第1と第2の複合マイクロワイヤの両方を読み込むだろう。
【0060】
ディテクタ46が、第1の複合マイクロワイヤ89の第1の温度ビットの出現と、第2の複合マイクロワイヤ90の第2の温度ビットの欠如(、または、変化)とを認識する「簡単な解読アルゴリズム」を含み、その結果、センサ温度は、第1のシースのキュリー温度と第2のシースのキュリー温度の間のどこかに存在していることを表示56を介して信号する。したがってセンサ64が、温度測定の対象であるオブジェクトに良好に熱接触するように、配置される場合は、センサ64の複合マイクロワイヤのアレイビット出力を読み込むことによって、ディテクタ46は、第1と第2のシースのキュリー温度(、または、それらのキュリー温度付近のそれらのそれぞれの温度)の間隔で定義された温度範囲内で、オブジェクトの温度を測定する。
【0061】
センサ64上の、連続した順位内にあるとわかっているキュリー温度のシースを有する複合マイクロワイヤ66の数が、「N」複合マイクロワイヤまで増加し、そして、このシースのキュリー温度を、1つからもう1つへのその増分内で少なくともやや一貫するように選択する場合は、センサ64は、第1から第Nのシースのキュリー温度までの、検出可能な温度範囲を有し、そして、連続したシースのキュリー温度の間の増分によって定義された温度分解能を有する。
【0062】
さらに一般的には、ディテクタ46の解読アルゴリズムは、正常なパルス状態で、対応する複合マイクロワイヤ66から発生される、第1から第N-1までの温度ビットの出現と、正常なパルス状態で、第Nの複合マイクロワイヤ66に対応する、第Nの温度ビットの欠如とが理解されるように構築され、センサ温度が、第N-1のシースのキュリー温度と第Nのシースのキュリー温度の間(、または、シースのキュリー温度付近のそれらのそれぞれの温度の間)のどこかに存在することを確証する。ディテクタのアルゴリズムは、このセンサ温度が第N-1と第Nのキュリー温度の中間の温度であると報告するのが好ましい。
【0063】
好ましくは、許容できる複合マイクロワイヤのビットパターンと、それらの対応するセンサ温度は、ディテクタ46のメモリ内のルックアップテーブルの中に格納される。したがって、許容できるビットパターンが、ディテクタ46によって関連センサ64から検出された場合、このパターンは、ルックアップテーブルに対して、関連センサ温度を見つけるために比較される。一方、「複雑な解読アルゴリズム」による変化したパルス情報の使用が、本明細書の中により早く記載された場合には、「簡単な解読アルゴリズム」、および「複雑な解読アルゴリズム」の両方が、リーダによって使用されても良い。
【0064】
アレイ80の1本以上の複合マイクロワイヤ66が、(ディテクタ46による誤読、その他の複合マイクロワイヤとの熱接触の欠如、または、他のある理由のために、)その他のものと共に、適切な順序でそれらの正常な状態に出現しない場合には、好ましくは、ディテクタアルゴリズムは、センサ64の再読み込みを試みる。連続的な再読み込みが、同じ変則的なビットパターンを示す場合は、ディテクタアルゴリズムは、温度データを捨てて最後に測定された温度(または、最後に測定された温度変化割合に関与し、かつ、時間間隔を読み込む計算に基づく、差分温度をプラスした最後に測定された温度)を使用することができ、その次に予定されていた読み込み間隔のときに、再度試みることができる。
【実施例3】
【0065】
第3の実施形態:別個であるが隣接している強磁性飽和要素付きの温度検出用のマイクロワイヤ
第3の実施形態は、概念的に第2の実施形態と非常に類似しているが、強磁性シースの飽和要素、または、バイアス要素を別個の構成要件として用いる点で異なり、これは、第2の実施形態で、シース74が、主要なマイクロワイヤ構造に接着されるか、または、別の方法で付着されている第2の実施形態のシース74と比べると、隣接する温度検出マイクロワイヤの表面に触れる必要がない。図7を参照すると、組み合わせマイクロワイヤ92が示され、前述したタイプのマイクロワイヤ20を含み、これはキュリー温度を意図的に低下させない。このためセンサの全ての動作範囲にわたって、図2に描かれるように、大きいバルクハウゼン不連続性と他の磁気特性を保有する。また、組み合わせマイクロワイヤ92は、隣接する強磁性シース94を含む。シース94は、シース94は関連するマイクロワイヤ20に対して十分近くに配置することにより、マイクロワイヤ20の副次的な磁気飽和、または、バイアス再磁化とその結果起こる特徴的な摂動の発生を、組み合わせマイクロワイヤ92がシース94のキュリー温度よりも高温(、または、キュリー温度付近のある温度よりも高温)になるまで防止する。さらに、第2の実施形態の場合のように、シース94は、関連したマイクロワイヤ20が、シースのキュリー温度よりも低温の異なる設定温度の下と上とで異なる一連の再磁化応答を示すように設計されてもよく、そして、必要な場合は、そのような複数の異なった応答を温度検出と測定のために、使用できる。
【0066】
さらに詳細には、シース94は、好ましくは、強磁性金属の薄い長方形のシートの形状で、そのサイズは、関連したマイクロワイヤ20よりも極端に幅広くなく、そして、その平面は、半円形に曲げても良い。(または、フェライトの場合は、半円か他のある適当な形状に焼結しても良い)。組み合わせマイクロワイヤ92が、ディテクタ46の交流磁場内に曝され、かつ組み合わせマイクロワイヤ92が、シース94のキュリー温度よりも高温であるとき(、または、キュリー温度付近のある固定温度よりも高温の範囲内においてのみ検出可能なとき)にだけ、関連したマイクロワイヤ20が、信号摂動(、および、その結果、電圧の再磁化パルス)を発生するように、シールド94のキュリー温度を慎重に選択する。シース94は、数ミクロンの厚さ、または、関連したマイクロワイヤ20の飽和のために、かつ製造容易な厚みさえあればよい。第2の実施形態に関して説明した、同じタイプの合金、または、フェライトは、シース94の製作に使用しても良い。さらに、(強磁性粉末、または、フェライト粉末のいずれかを使用する)磁気インキもまた、適当であり、組み合わせマイクロワイヤ92のためのサポート基板上に印刷可能であるという利点を有する。
【0067】
図8を参照すると、示された温度センサ96は、複合マイクロワイヤ66の代わりに、組み合わせマイクロワイヤ92を使用することを除いて、あらゆる点でセンサ64と全く同じである。したがって、図6からの参照数字などは、全く同じ部品を示すのに図8で使用され、記号「a」は、複合マイクロワイヤ66と組み合わせマイクロワイヤ92を区別するのに使用されている。センサ96の働きは、センサ64の働きと全く同じであり、センサ96と関連付けられた適切な解読アルゴリズム(好ましくは、ルックアップテーブル)を有する、同様のディテクタ46を利用する。したがって、その働きの詳細な説明は不要である。
【0068】
上述した3つの実施形態、および確かに本発明の範囲内の他の実施形態は、いくつかの異なった点で変えることができる。例えば、図4Aは、いくつかの製品の応用に有利な、代替の配置について描いている。とりわけ、図4Aではセンサ26aを提供しているが、そこで、第1のオブジェクト44aには、マイクロワイヤデータ要素40を取り付け、一方、第2のオブジェクト44bには、残りのデータマイクロワイヤ38、温度検出マイクロワイヤ28-34、および、任意のバイアス要素41を取り付ける。センサ26aのビットロジックは、センサ26のビットロジックと全く同じであり、これは、センサ26aの構成部品がオブジェクト44a上と44b上に切り離されているが、ディテクタ46が発生した交流磁場内に、すべてのセンサ部品があるときだけに、総合的なセンサ26aが作動することを意味している。この状態が存在しない場合は、ディテクタ46を使用した有効な読み込みは、起こらない。例えば、ヒータのディテクタが、センサの両方(、および、その結果、オブジェクト44aと44bの両方)を検出する場合にだけ、ヒータで2部品のオブジェクトの加熱を制御し、そしてセンサの両方の部品が、ディテクタ46の磁場内に存在していない場合のすべての加熱を防止するために、この構成を使用できる。このような場合には、ヒータ制御装置は、通常、ディテクタ46の信号処理ユニット54と連動するだろう。
【0069】
もちろん、2個を超えるオブジェクトが存在するときには、この同じ設計思想を使用しても良い。さらに、上述した方法などの、より高度なデータの符号化方法は、1つ以上の断片部分になっている総合的なセンサ26aを、それらに対応する断片部分と関連付けるのに使用しても良い。そのような方法は、第1のデータ要素40にストップデータビット38にマルチビットコードを対応させてレーザコード化することを含んでも良い。
【0070】
図4Aの代替手段は、第1の実施形態のセンサ26に関して説明しているが、必要に応じて、第2と第3の実施形態のセンサ64と96に、同じ変更を併用しても良いことが理解されるだろう。
【0071】
ちょうど、センサ26のマイクロワイヤ20の場合のように、センサ64と96の一部を形成するマイクロワイヤは、オブジェクト44、または、基板82などの熱伝導性の基板に適切な接着剤を使用して接着しても良い。もう1つの代替手段では、マイクロワイヤ20、複合マイクロワイヤ66、および/または、組み合わせマイクロワイヤ92は、圧縮成形、または、射出成形可能な、グラファイトを充てんした高分子材料や、RIDURID(R)の名でSOL Carbonが販売している材料製品群中の1つなどのような非常に薄くて、非強磁性の熱伝導性の材料内に包み込んでも良い。他の使用可能な高温の材料は、Ceramamcast510の名でAremcoが販売している、セラミック製陶材料、または、他のフレキシブルな高温のポリマーが含まれる。そのような材料を使用することで、温度がモニターされるオブジェクトとマイクロワイヤのコア合金材料との間の温度ラグを最小化するために、包含材料の厚さと全体的な熱容量は、最小限に保たれなければならない。
【0072】
さらに、説明した実施形態のマイクロワイヤは、適切になされるなら、糸に撚られるか、または、温度がモニターされるオブジェクトの構造に、織り込んでも良い。例えば、良好な熱接触を維持でき、そして、適当な技術手段で、相互から、および、それぞれの明瞭に特定された(ストップビットを含む)データ要素から、それぞれの温度を変える要素を区別できさえすれば、マイクロワイヤは、炭素繊維の布の中に織り込むこともできる。
【0073】
複合部品生産用の閉ループフィードバックオートクレーブ、オーブン、およびレジントランスファ成形システム
本発明のワイヤレス磁気素子温度センサ、および関連ディテクタは、オートクレーブ、オーブン、レジントランスファ成形システム、および修理プロセスにおいて使用されるバキュームバッグ/加熱システムなどのような閉ループフィードバック処理装置で使用された有線式熱電対の従来技術に代わって、容易に使用することができる。
【0074】
図11を参照すると、一般的な閉ループ加熱システム98は、RFIDリーダの代わりに、誘導加熱装置100に組み込まれたマイクロワイヤディテクタ46(図10参照)を含む。装置100は、ディテクタ46に動作可能に接続した制御用マイクロプロセッサ102、ソリッドステートインバータ104、および、整流器106と共にインバータ104と連動する誘導ワークコイル108を含む。交流電源109と電流センサ109aは、整流器106に動作可能に接続する。磁場発生コイルと磁場受信コイル50と52は、サポート要素112の下に配置されたセンサ部品110の中に組み込まれている。
【0075】
システム98は、本発明の1つ以上の埋め込んだマイクロワイヤセンサ116を有する、米国特許番号6,657,170に記載のような、グラファイト加熱ディスク114の温度を制御するように設計される。ディスク114は、図示するように、センサ116の上と下に、グラファイト層118を有する。もちろんディスク114の代わりに、そこに1つ以上の埋め込んだセンサ116を内部に有する複数層構造の調理器具(例えば、ポットか鍋)などの、いかなる他の誘導加熱可能なオブジェクトも、制御できる。センサ116からの温度情報のフィードバックは、ディテクタ46によって検出され、そして、制御用マイクロプロセッサ102を介して、ディスク114の誘導加熱を制御するのに、この情報を使用できる。さらに、オーブン、オートクレーブ、またはレジントランスファ成形プレスなどのようないかなる種類の加熱装置、または加熱システムも、エネルギの出力を制御するために、ディテクタ46からの温度情報が、前記加熱装置によって使用されている限り、この例の誘導ヒータの代わりをすることができる。
【0076】
例えば、図12では、オートクレーブ120は、ドア開放条件の中で示される。オートクレーブ120は、ベース124によって支持された、厚い壁で囲まれたオートクレーブチャンバ122を含んでいる。チャンバ122は、円形の後方壁126と、同様に構成された(図示しない)前方閉鎖用扉を有する。内部に、オートクレーブチャンバ122は、部品置き台130を支持する取り付け棚128を備えている。その中に適切な温度条件と圧力条件とを確立して維持するために、従来の(図示しない)蒸気入り口と加熱要素とが、チャンバ122に備えられる。さらに、オートクレーブ120は、チャンバ122の中に配置された1組のマイクロワイヤリーダアンテナ132、134を含む。それぞれのアンテナ132、134は、支柱136、138に取り付けられ、後者は、密封されたスライドマウント140、142によって軸方向に調整可能である。アンテナ132、134は、外部のディテクタ144に動作可能に接続されている。ディテクタ144は、チャンバ122の中のプロセス温度を制御するように設計されたオートクレーブマイクロプロセッサコントローラ146に動作可能に接続されている。
【0077】
複合部品148は、チャンバ122の中に配置され、部品置き台130の上に置かれている。部品148は、前述の種類の、細長い、埋め込まれた一連のマイクロワイヤセンサ150を有する。図示しないが、完成部品の中のボイドを除去するために、バッグの中で真空条件を確立することができるように、オートクレーブチャンバの中に配置されるバッグとベースの中に、部品148を置いても良いことが理解されるだろう。
【0078】
部品148の処理の間、アンテナ132、134は、前述のように、適切なインターロゲーションとセンサ150の読み込みを許容しながら、部品148と相対的な位置に移動する。もちろん、追加アンテナを使用することができるが、追加アンテナを、交流のインターロゲーション磁場を発生させる送信用アンテナと、センサ150の再磁化応答を検出するように動作可能な、対応するディテクタのアンテナとに分離しても良い。センサ150からの検出された温度パラメータ情報は、部品148の一連の処理の間、チャンバ122の中で適切な温度条件と圧力条件を維持するために、オートクレーブコントローラ146によって使用される。
【0079】
図13は、一種の真空バッグ詰め装置152を示す。そのような装置は、通常オートクレーブやオーブンやその他の密閉機器(closure)の中で使用されているが、修理プロセスではわずかに変更された形態で使用される。装置152は、(修理プロセスにおいて部品自体の切断によって取り替えられる)ツーリングベース154と周囲のシール158を介してベース154に貼り付けられた柔軟なシート、またはカバー156とで構成されたチャンバ153を含んでいる。ベース154とカバー156は、連携して内部のオブジェクト処理ゾーン160を規定する。真空ヘッド162は、ゾーン160の中に位置し、導管164を通して(図示しない)真空源へと外側に延在する。マイクロワイヤリーダアンテナ166は、カバー156の外側に配置され、リード線168を通して(図示しない)ディテクタに動作可能に接続されている。
【0080】
図示された実施形態では、部品170は、部品170の下側とベース154との間に、任意の中間リリース層172を備えたベース154の上に支持されている。部品170は、その中に埋め込まれた細長い複数のマイクロワイヤセンサ174を有する。ブリーザ176は、その間に皮層178を備えたパート170の上に配置される。
【0081】
使用中に、ゾーン160の中の温度条件と真空条件は、ベース154の加熱やヘッド162による真空化などのような様々な手段によって確立され維持される。処理サイクルの間、アンテナ166は、適切な交流磁場の発生によってセンサ174をインターロゲーションし、センサ174の再磁化応答が検出される。次に、そのような検出された情報は、プロセス制御目的のために、装置152用の総合的なマイクロプロセッサ制御装置によって使用されるか、または、マニュアル用、または従来技術の加熱の制御用の部品の温度を簡単にモニターするために使用される。
【0082】
ここに記載されたそれぞれの特許と引用文献は、引用することによって、本明細書の中に具体的に、かつ完全に組み込まれる。
【技術分野】
【0001】
<関連出願に対する相互参照>
本願は、2007年1月23日に出願された「マイクロワイヤ制御オートクレーブ及び方法」と題したシリアル番号60/881,866、2007年3月22日に出願された「マイクロワイヤ制御サービングウェア加温システム及び方法」と題したシリアル番号60/919,345、2007年5月7日に出願された「磁気素子温度センサ」と題したシリアル番号11/745,348、および2008年1月22日に出願された「マイクロワイヤ制御オートクレーブ及び方法」と題したシリアル番号12/018,100の各米国特許出願の利益を請求する。上述の各出願は、ここへの参照によってその全部が組み入れられる。
【0002】
<発明の分野>
本発明は、広く、磁気素子温度センサ、そのようなセンサとともに使用するディテクタ、センサとディテクタを利用して、処理対象に関連する温度パラメータをワイヤレスに測定する閉ループ対象処理システム、および対応する制御方法に関連する。特に、本発明は、航空機部品や自動車部品などの複合部品の製造に使用され、かつワイヤレスの温度パラメータセンサ/ディテクタ装置を含むタイプの閉ループの成形/加熱/硬化システムに関連する。そのようなシステムは、加圧型のオートクレーブ、非加圧型のオーブンタイプシステム、および樹脂成形システムを含んでいる。
【背景技術】
【0003】
<従来技術の説明>
オートクレーブ成形法は、既知のプレッシャバッグ成形技術とバキュームバッグ成形技術の改良である。高度なオートクレーブ複合加工プロセスは、部品硬化に使用される、より均一の制御された加熱条件、およびより均一の制御された加圧条件によって、より高密度のボイドのない成形品を生み出す。それは、航空宇宙産業において、プレ含浸高強度ファイバから、航空機、宇宙船、およびミサイルに使用されるような、強度/重量比率の高い部品を製造するのに広く使用される。オートクレーブは、本来加熱された圧力容器のことであり、通常、真空システムを備え、内型の上、または内部で複合材のレイアップを受け取るように設計されている。次に、そのようなレイアップは、完成部品を生み出すために、オートクレーブ内で加熱されて硬化される。硬化圧力は、一般的に50psiから150psiの範囲内であり、硬化サイクルタイムは、通常何時間も掛かる。オートクレーブ法は、従来の樹脂と比べてより高い強度特性を有する、エポキシなどのより高温のマトリックス樹脂を提供する。
【0004】
レジントランスファ成形法(RTM)は、低速のコンタクト成形法と、より高いツーリングコストを必要とする、より高速のコンプレッション成形法との間のギャップを埋める、中量生産用の低圧低排出の密閉型成形法である。RTMでは、連続ストランドマットと織布補強が下半分の型の中に乾燥した状態で蓄えられる。複雑な型形状の場合には、予め形成されたガラス補強がしばしば使用される。次に、型が密閉されて固定され、樹脂と触媒との低粘度の混合物が、戦略的に配置された通気孔を通して空気を置換ながら、型の中に注入される。計量混合機を使用して、樹脂/触媒比率がコントロールされ、動きのない静的なミキサを使用して、樹脂と触媒とが混ぜられ、次に、型の注入口に注ぎ込まれる。一般的なマトリックス樹脂は、ポリエステル、ビニルエステル、エポキシ、およびフェノール成分を含んでいる。RTM成形品は、均一の厚さを有し、2つの仕上げられた側面を示す。部品の表面仕上げを最適化するために、成形する前に型の表面にゲルコートを塗布しても良い。RTMによって生産された高品質の部品は、自動車の車体部品、浴槽、およびコンテナを含んでいる。
【0005】
「プレッシャバッグ」成形法か「バキュームバッグ」成形法を実行するのに、他の種類のオーブンも使用される。これらのオーブンは、熱気を使って、プラスチックバッグの中、または隣接しているツーリング表面にシールをされた薄いプラスチックシートの下に通常設置されている複合部品を硬化させる。これによって、プラスチックバッグ、またはプラスチックシートとツーリング表面とによって定義されたキャビティの中に真空を引き込むことができるようになる。
【0006】
さらに、修理プロセスは、薄いプラスチックシートによって形成されたチャンバの中に封入された、(以前に硬化された複合材料に隣接している)、硬化されていない複合材料の一部でしばしば実行されている。一方、最後の硬化された修理においてボイドを引き起こす場合がある空気を取り除くために、部品とその封入用のプラスチック「シールド」、または「バッグ」とによって形成されたチャンバの中は、通常真空吸引される。抵抗加熱ブランケット、熱気、高輝度照明、電子レンジ、およびカーボンファイバかまたは樹脂内の微粒子の誘導加熱などの多くの手段によって、硬化されていない複合材料が加熱される。
【0007】
以上の技法のすべてに関するなかなか解決しない問題は、加熱、成形、および/または硬化サイクルの間に部品の温度を正確にモニターしていないことである。ほとんどの製品硬化プロセスでは、空気、および/またはツールの温度だけが硬化の間にモニターされ、硬化プロセスは、部品温度を空気/ツール温度および休止時間と関連付けるために、部品内にセンサを埋め込んだテスト部品を硬化させることによって事前に測定された時間および空気/ツール温度の「レシピ」通り実施される。(非常に厚い部品の硬化のためにしばしば)生産部品の実際の硬化プロセスの間、温度センサを使用して部品温度をモニターしているようなまれな場合には、その温度センサは、通常戦略的な表面の位置に取り付けられた表面熱電対か、または必須ではない点滅ライトに埋め込まれている従来の熱電対のいずれかである。いずれの場合も、簡単な温度モニタリングが目標である場合には、モニタリングシステムに、そうでない場合には、硬化制御目的のために、オートクレーブ、オーブン、またはRTM制御システムに、これらの熱電対を物理的に接続しなければならない。熱電対を部品に取り付けて、それらをモニタリングシステム、および/または制御システムに接続するのは、複雑で時間が掛かるプロセスであり、バキュームバッグ、および/またはオートクレーブの圧力整合性を損なうことがある。オートクレーブ、オーブン、または修理プロセスで使用されるか否かにかかわらず、「プレッシャバッグ」成形法、または「バキュームバッグ」成形法は、バキュームバッグ装置を通って外部のモニタリング用電子機器まで伸びている熱電対リード線をしばしば利用している。バキュームバッグ、またはシートを貫通しているリード線は、しばしば、真空リークを引き起こし、この真空リークは、所望の真空度の維持を妨げるだけではなく、バキュームバッグ、またはシートの中に湿気を通過させ得ることとなり、不適切な硬化を招く。
【0008】
従って、(例えば、加熱、成形、および/または硬化のような)オブジェクト処理中に温度パラメータを測定し、それによって、いかなる種類のセンサリード線も必要としない、閉ループフィードバックを使用する処理装置の制御を可能にするために、チャンバ内の部品や部品プレカーソルなどのオブジェクトのリアルタイムの非接触モニタリングを可能にする温度パラメータのワイヤレス検出を含む、改良されたオブジェクト処理装置と処理方法の技術的必要性が存在する。さらに、これらのセンサを、厚い部品の中に深く置くことができ、ワイヤレスディテクタ(リーダ)を、硬化プロセスを妨げないように部品から遠く離すことができれば、好都合である。最終的に、部品寿命のために、部品のいかなる構造劣化も引き起こさずに、硬化後の生産部品の中にセンサを残すことができれば、好都合である。
【発明の概要】
【0009】
<本発明の概要>
本発明は、上に概説された問題を解消し、そのオブジェクトの処理の間のオブジェクトに関連する温度パラメータのワイヤレス検出を含む、改良されたオブジェクト処理用装置を提供する。概して、本発明の装置は、処理されるオブジェクトを保持するように構成されたチャンバを含み、その場所において、オブジェクトは、そのオブジェクトの処理の間のオブジェクトの温度に関連するパラメータを検出することができる、磁力によって影響されやすい関連するマイクロワイヤセンサ要素を有する。装置はさらに、チャンバに隣接したアンテナ組立品を含み、オブジェクトセンサの領域内で交流磁場を発生させることができ、温度関連パラメータの基準としてセンサの磁気応答を検出することができるディテクタを有する。リーダは、カーボン層を通してこれらのセンサをワイヤレスに読むことができるので、このセンサ(または、複数のセンサ)は、複合部品の内側の中に、好ましくは、CFRP複合構造体の内側の層の樹脂層の中に埋め込まれる。センサは、硬化プロセス、または修理プロセス中に複合部品の中に手で設置されても良いし、(プリプレグ材料の製造中などの)製造プロセス初期に複合層の中に設置されても良い。
【0010】
好ましい形態では、本発明の装置は、オートクレーブチャンバ、レジントランスファ型、非加圧型のオーブン、およびプレッシャバッグ組立品、またはバキュームバッグ組立品から成る群の1つ以上から選択される。オートクレーブの場合には、チャンバは、厚い壁で囲まれて、加圧可能なチャンバの形であるのに対して、オーブン、またはオートクレーブの中に設置されたりされなかったりするバッグ組立品を備える場合には、(バッグ組立品は、修理目的のために、熱い送風機、バッグ組立品に対して設置された熱ブランケットの中の電気抵抗素子、高輝度ライト、および他の多くの熱源によってしばしば加熱され、)チャンバは、フレキシブルなバッグやシートやカバー、および多くの場合隣接しているベースを使用して形成される。アンテナ組立品は、チャンバの中に部分的に、または全体的に設置しても良いし、その外側に設置しても良い。しかしながら、すべての場合において、アンテナ組立品(1つか複数かいずれかのアンテナ)は、発生している交流磁場によってそのインターロゲーションを可能にし、センサの特有の磁気応答を検出することができるように、オブジェクトセンサと関連する位置に設置される。
【0011】
アンテナ組立品に関連する解読用電子機器(解読用電子機器、電源、送受信用電子機器、およびリーダを共同形成するアンテナ組立品)によって検出される、および/または計算される、検出された温度関連のパラメータは、処理サイクルの間、オブジェクト用の適切な処理条件を確立して維持するために、装置コントローラによって使用される。リーダは、受信用アンテナによって集められた再磁化信号情報を解読するのに、通常マイクロプロセッサを使用する。解読アルゴリズムは、センサからの再磁化情報を、センサによって計測された実際の温度に関連付ける最良適合公式か、あるいは前記最良適合公式から予め計算されたか、または実験的に測定されたルックアップテーブル情報のいずれかである。解読アルゴリズムは単に、センサがキュリー温度を超えていると、再磁化応答がそれぞれの磁気素子センサのキュリー温度によって見えなくなるという事実を使用しても良いし、センサのキュリー温度よりも低温の小さい領域内で、(検出された電圧の大きさ、電圧パルス波形、パルスの持続時間などのような)この再磁化応答のパラメータが、極めてありきたりで容易に認識できる方法で、センサ温度と共に変化するという事実を使用しても良い。いずれの場合でも、リーダは、制御目的のために、装置コントローラのマイクロプロセッサに温度パラメータを送信する。(また、リーダと装置コントローラが、解読アルゴリズムと両方が備える装置制御アルゴリズムとの両方を有する際に、同一のマイクロプロセッサを共有することができる。)好ましくは、温度パラメータは、オブジェクトの温度、オブジェクトの必要な温度、オブジェクトの温度範囲、オブジェクトの必要な温度範囲、オブジェクトの最低温度、オブジェクトの最高温度、オブジェクトの加熱特性、およびオブジェクトによって支持された材料の温度から成る群から選択される。
【0012】
特に好ましい形態では、センサは、適用された交流磁場の影響を受けて再磁化応答を有する、磁力によって影響されやすいセンサマイクロワイヤ要素を含み、再磁化応答は、所定期間の磁場摂動の少なくとも1つの短い検出可能なパルスによって定義され、約400℃よりも低温の少なくとも1つの設定温度の下と上とで異なる。さらに、磁場摂動のこの検出可能なパルスは、必要なセンサ温度範囲の中で変化しない特性を有する別のマイクロワイヤからの参照パルスに対する正規化の後に、センサによって計測された正確な温度に関連があるこれらの検出可能な特性から定量化可能な値を推論することができるように、キュリー温度よりも優れた小さい温度範囲にわたって、検出された電圧の大きさ、形状、および持続時間のような容易に検出可能な特性の中で変化する。例えば、検出された電圧対検出されたパルスの時間を統合し、その結果の値を正規化し、それらの結果の値をセンサ温度に関連付けるルックアップテーブル値に対してこの正規化された値を比較することによって、(または、リアルタイムに実際の相関関係計算を実行することによって、)磁力によって影響されやすいセンサマイクロワイヤ要素が、キュリー温度よりも低温の(通常40℃から50℃までの)小さい領域の中で、正確な温度を検出できる(キュリー温度を超える場合には、再磁化パルスが検出可能でない)。
【0013】
さらに、好ましいセンサは、他のセンサ要素と異なったキュリー温度を有するあるセンサ要素を少なくとも備えた、複数のマイクロワイヤセンサ要素を含む。(キュリー温度が)最も近い対の一方のセンサ要素が効率的に温度を検出できる程度の小さい温度範囲に、それぞれの異なったキュリー温度が隣接するように、異なったキュリー温度をアレンジすることによって、最低キュリー温度のマイクロワイヤセンサ要素のキュリー温度よりも約40℃低温から、最高キュリー温度のマイクロワイヤセンサ要素のキュリー温度までの温度範囲にわたって、連続的な温度測定性能を備えたセンサを作成することができる。もちろん、リーダの解読用電子機器は、それぞれのセンサの再磁化パルスが、それぞれのキュリー温度で消滅したときに検出だけができるアルゴリズム(以下、「簡単な解読アルゴリズム」という)か、または、連続的な要素のキュリー温度の間のセンサ温度を測定するより複雑なアルゴリズム(以下、「複雑な解読アルゴリズム」という)を使うことができる。マイクロワイヤ要素は、最大約100μmの横断面寸法を有する細長いワイヤ、または薄い断片として、通常非結晶質、またはナノ結晶の金属材料から形成される。好ましい金属は、Feベースの合金、Coベースの合金、およびその混合物から成る群から選択された合金であるが、ただし、この群に含まれる合金は、クロム、または、これらの合金のキュリー温度をその中で調整することができる他の元素を含むものとする。金属本体は、通常金属製ワイヤ、または断片を取り囲むガラス被覆を有する。本発明のセンサは、通常、オブジェクトの表面にセンサを取り付けるか、またはその中にセンサを埋め込むことによって、処理されるオブジェクトに熱接触するように設置される。
【0014】
特に、高価な自動車部品や、航空機部品や、複合材、および/または合成樹脂材料から形成される部品プレカーソルのような様々なオブジェクトが、本発明に従って処理されても良い。そのような部品、または部品プレカーソルは、密閉型チャンバ装置の中で成形プロセス、加熱プロセス、および/または硬化プロセスによって一般的に処理される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明における使用に適した従来技術の磁気マイクロワイヤ要素を示す、部分断面の部分図である。
【図2】マイクロワイヤ合金のキュリー温度よりも低温での、本発明における使用に適した、マイクロワイヤの磁気特性のグラフィカルなイラストである。
【図3A】万引き防止用に使用されるEASマーカ、または、タグに従来通常使用される非結晶質の断片形状の、時間対再磁化のグラフである。
【図3B】センサマティック社から市販されているマーカ、または、タグに使用される、大きいバルクハウゼン不連続性を有する非結晶質のマイクロワイヤの、時間対再磁化のグラフである。
【図3C】テイラー法で生産したガラスでコーティングされた非結晶質の磁気マイクロワイヤの、時間対再磁化のグラフである。
【図4】検出すべきオブジェクトに取り付け、本発明の第1の実施形態に従った磁気温度センサの、基本的な概略横断面図である。
【図4A】図4と同様の、基本的な概略横断面図であり、相互に近接して配置するように設計された2つのオブジェクトを二分する、磁気マイクロワイヤ温度センサの部品を示している。
【図5】本発明の第2の実施形態に従った、温度検出要素の概略横断面図であり、強磁性金属、または、フェライト材料の円筒形状のシースによって取り囲まれ、必要なキュリー温度を有する、ガラスでコーティングされた非結晶質のマイクロワイヤ磁気素子を描いている。
【図6】本発明に従った、磁気温度センサの基本的な概略横断面図であり、図1に示すタイプのマイクロワイヤデータ要素、および、図5に示すような温度検出要素を利用している。
【図7】本発明の第3の実施形態に従った、もう1つの温度検出要素の概略横断面図であり、図1に示すような、必要なキュリー温度を有する強磁性金属かフェライト材料のシールドに隣接して配置した、ガラスでコーティングされたマイクロワイヤ磁気素子を示している。
【図8】本発明の第3の実施形態に従った、磁気素子温度センサの基本的な概略横断面図であり、図1に示すようなデータ要素、および、図7に示すような温度検出要素を含む。
【図9】本発明の第2の実施形態の温度検出要素のシースとして、または、本発明の第3の実施形態の温度検出要素のシールドとして使用に適したニッケル銅合金の、キュリー温度対銅含有率を示すグラフである。
【図10】本発明に従った、この磁気素子温度センサと相互作用可能な、温度リーダの概略ブロック図である。
【図11】本発明に従った、磁気素子センサベースの、閉ループフィードバックの温度制御誘導加熱ユニットを示す回路図である。
【図12】本発明に従った、閉ループ温度フィードバック装置を備えたオートクレーブを示す回路図である。
【図13】本発明に従った、閉ループ温度フィードバック装置の一部(リーダアンテナとセンサ)を有するバキュームバッグ処理チャンバを示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<好ましい実施形態の詳細な説明>
<従来の磁気素子と検出システム>
本発明を最も良く理解するために役立つのは、(しばしば「磁気マーカー」と呼ばれる)磁気素子とその対応する検出システムを利用した、近年のEASと認証システムの性質と働きを理解することである。
【0017】
しばしば使用される磁気素子のタイプの1つは、ガラスでコーティングされた非結晶質のマイクロワイヤである。そのようなマイクロワイヤ、その生産、磁気特性、および、そのキュリー温度よりも低温の挙動は、技術文献や特許文献で開示されてきた。例えば、米国特許6,441,737と6,747,559、マテリアルズサイエンス アンド エンジニアリングの166-71(2001)のA304-306頁に記載の、ホリア シラク氏によるガラスカバー付き磁気ワイヤの製造と特性解析、ジャーナル オブ マテリアルズサイエンスの1139-48(1996)の第31頁に記載の、ドナルド氏他によるテイラーワイヤ工程で製造したガラスコーティング付き金属フィラメントの製造と特性と応用、Phys. Stat. Sol. (a) 26, 71(1974)に記載の、ウィースナー氏とシュナイダー氏によるガリウムとゲルマニウムと砒素を含有する非結晶質の鉄−リン合金の磁気特性、および、応用物理学会誌の6587-89の第83巻に記載の、アントネンコ氏他によるガラスコーティング付きマイクロワイヤの高周波特性 を参照して欲しい。連続した長さのマイクロワイヤは、従来技術でテイラー工程と一般的に呼ばれる工程で安価に生産してきたが、その工程では、予め合金化されたインゴットか、または、必要な元素成分のいずれかを、下部をシールされた、ほぼ垂直に並べたガラスチューブ内で溶解する。無線周波数(「rf」)加熱などを使用して、合金が、いったん溶融状態に変換されると、ガラスチューブの軟化した下部は、連続したマイクロワイヤ内に把持され、引き込まれる。二次冷却手段の使用に伴う合金断面の急速な収縮は、引き込まれる間に、合金の非結晶質化、または、ナノ結晶化を引き起こす。
【0018】
典型的なマイクロワイヤ20は、図1に示すように、どこでも総直径が10ミクロン以下から数十ミクロンまでである。ワイヤ20は、合金コア22、および、ガラスコーティング24を有し、合金コア22とガラスコーティング24は、連続的にか、または、空間的に離れた数ポイントのみでも物理的に相互に結合することができる。ガラスと金属との比率は、可変だが、しっかり制御できる。例えば、ガラスコーティング24の典型的な厚さは、コア直径45-60ミクロンのマイクロワイヤ用は約1-5ミクロンであり、コア直径30ミクロンのマイクロワイヤ用は1-3ミクロンである。従来技術のEAS用と認証タグ用のマイクロワイヤ要素は、通常、15mmから75mmまでの範囲の長さに切断する。
【0019】
マイクロワイヤの磁気特性と結果のヒステリシスループは、合金組成物とガラスと金属との直径比率を変更することによって、制御できる。図2は、大きいバルクハウゼン不連続を有する典型的なマイクロワイヤ20の理想化された磁気ヒステリシスループ応答を示すが、そのマイクロワイヤは、以下に説明するように、本発明における使用に適している。そのようなマイクロワイヤ20が、外部の交流磁場にさらされ、要素の瞬間的な磁気分極の反対方向への磁場強度が、保磁力Hcよりも強く、ここに理想的に示すように、10A/m未満であるときに、再磁化過程は、結果として、容易に検出される調和的に豊かなパルスを発生する。パルス間の磁束変化は、時間がたつにつれて、フラックス誘導体のピークをもたらす。従って、ピーク電圧は、要素付近に置かれた受信コイルの中に観測され、リーダが、そのピーク電圧を、磁場の中のマイクロワイヤ要素の存在と関連付けても良い。
【0020】
テイラー法で生産した従来技術のガラスでコーティングされた非結晶質のマイクロワイヤ20は、非常に低い飽和保磁力(実質的に10A/m未満の)、高い相対透磁率(実質的に20,000よりも高い)、実質的にゼロ、または、わずかに正の磁気歪、および、大きいバルクハウゼン不連続性(マイクロワイヤが、必然的に二つのモードの磁気状態だけに存在することを意味する)を示すように作ることができる。
【0021】
また、マイクロワイヤ20の再磁化特性も重要で、そのようなマクロワイヤを、他のタイプの従来技術の磁気素子と区別している。図3C(米国特許番号6,556,139参照)を参照すると、ガラスでコーティングされた非結晶質のマイクロワイヤの(半分の振幅レベルで測定される)再磁化ピーク幅は、25-80マイクロ秒の範囲内にあったことがわかる。対照的に(図3B参照)、センサマティック社から市販されているマーカーかタグは、ピーク幅が約200-500マイクロ秒以上の範囲内にある、大きいバルクハウゼン不連続性を有する水中鋳造の非結晶質のワイヤを含んでいる。最終的に(図3A参照)、例えば、Meto GmbH製の32mmのマーカーかタグのような、主として万引き防止用に使用されるマーカーまたはタグで使用される非結晶質の断片形状用のピーク幅は、約1-2ミリ秒である。したがって、図1に示すタイプのマイクロワイヤは、他の外部のオブジェクトとの磁場相互作用が引き起こしたものなどのバックグラウンドノイズから、マイクロワイヤ応答を識別する、極めて短い再磁化ピークを示している。
【0022】
J. Mater. Res. 15 No. 10 Oct.(2000)のジューコフ氏他は、非結晶質のガラスでコーティングされた複数のワイヤセグメントを利用するときの、マルチビットマーカーの生産について説明しているが、そのワイヤセグメントは、(長さ、全体の直径などの)異なった単位、または、(例えば、保磁力のような)磁気特性をそれぞれ有している。例えば、複数の磁気マイクロワイヤ要素が、それぞれ異なった飽和保磁力を示し、それぞれの磁場範囲内に、それぞれの磁気マイクロワイヤ要素の独自の再磁化ピークを検出でき、例えば、米国特許番号4,203,544に記載されている方法で、磁気マイクロワイヤ要素のパターンを認識しても良い。米国特許番号5,729,201は、ワイヤが同じ磁気特性と寸法を有しても、そのような複数のワイヤを差別化する方法を説明している。ワイヤ付近の永久磁石のバイアス磁場要素は、リーダが発生する外部の磁場の振幅を差別化するのに役立つが、その外部の磁場は、それぞれの個別のワイヤセグメントに対する異なった近接性によって、それぞれの磁気素子の再磁化のための保磁力を超えるのに必要である。これは、検出した再磁化のピークにおける位相差に通じ、その結果、個別要素の差別化を許容している。
【0023】
米国特許番号4,134,538は、磁気素子を組み立てられたマルチ要素タグ(マーカー)について説明しているが、そのそれぞれの磁気素子は、異なった保磁力によって特徴付けられ、その結果、利用した磁気素子と同じくらい多くの特徴を有する、参照コードのどんな付属オブジェクトにも、割り当てを許可している。その結果、そのそれぞれの保磁力の値の順で、磁気素子にそれぞれの参照コードの特徴が割り当てられ、信号は、それぞれの磁気素子に対応し、次に、保磁力の順と同じ位相ずれの順に、検出装置に現れ、そして、そのそれぞれがコード化時点で割り当てた値に対応する振幅を有し、その結果、配置と振幅において完全なコードを再生している。
【0024】
米国特許番号6,622,913は、マイクロワイヤ要素が、送信機が発生する交流磁場に対するかなり異なった応答を発生するように、異なった直径か透磁率のマイクロワイヤ要素を使用することによって、データ情報をバイナリ形式でコード化しても良いことを開示している。したがって、マイクロワイヤのタイプの1つがバイナリ「0」を表し、その他がバイナリ「1」を表しても良い。例えば、連続的なより大きい飽和保磁力をそれぞれ有する4本のマイクロワイヤのアレイは、それらが、付帯的な交流磁場の範囲にわたって、その検出された位相差によってそれぞれ容易に区別されるように、磁場摂動の交流高振幅と低振幅と(その結果、ディテクタで交流高電圧と低電圧の振幅)を、その磁場摂動が1010のバイナリパターンを表すように、発生させることができる。
【0025】
米国特許出願番号2005/0109435は、単一のマイクロワイヤのマルチビット情報をコード化するいくつかの磁気的方法と光学的方法を説明している。強磁性非結晶質のガラスでコーティングされたマイクロワイヤのストレス感度は、磁気ドメイン構造に影響する物理的な基礎として、有利に使用できる。強磁性非結晶質のガラスでコーティングされたマイクロワイヤのコード化は、このドメイン構造の局所変化から生じることができる。変化は、局所応力の賦課か、または、非結晶質の合金の選択的な結晶化によって、容易に実行されている。そのような変化は、パルス状のレーザ、ガラスコーティングの化学的な薄膜化、ガラス上のコーティング、および、同様のもの、を通した局所加熱を含む、多くの手段の影響を受ける。強磁性非結晶質のガラスでコーティングされたマイクロワイヤのガラスコーティングの局所変更は、事実上、非結晶質の合金コアの磁気ドメイン構造内の制御変化を発生させ、その結果、コード化を可能にするのに使用できる。好ましい方法は、ガラスか、または、合金を局所加熱するのに、片方か両方の構造変化を引き起こし、その結果、実在の応力場か、または、基本的な磁気特性を変化させるレーザパルスを使用することである(波長の選択によって、独立した加熱を実行できる)。
【0026】
磁気マーカーとして使用されるすべてのタイプの磁気素子に関連して使用される、従来技術のEASか、または、認証システムディテクタ装置は、磁場送信機ユニットと磁場ディテクタユニットを通常使用している。磁場送信機は、一般的に、マーカーのインターロゲーションゾーン内で、交流磁場を発生するために、(交流磁場ソースを一緒に構成する)周波数ジェネレータと磁場発生コイルを有している。ディテクタユニットは、通常、警報装置の引き金となる磁場受信コイルと信号処理ユニットを有している。
【0027】
従来技術のEASシステムでは、磁気マーカーがコイル付近に位置している場合、インターロゲーション交流磁場は、磁気素子の磁化の切り換えを引き起こす。したがって、磁場受信コイルは、磁場摂動の非常に短いパルスを受信する。アラームを発報するために出力を発生する信号処理回路は、これらのパルスを検出する。
【実施例1】
【0028】
第1の実施形態:化学的性質を変更したキュリー温度検出用のマイクロワイヤ
本発明の第1のマイクロワイヤの実施形態は、磁気マイクロワイヤ温度センサを含み、その温度センサは、少なくとも1つだが、通常複数の磁力によって影響されやすいマイクロワイヤを有し、少なくともあるマイクロワイヤの個別の合金を有し、その合金は、通常約400℃よりも低温では、変更された化学的性質と結果的に異なったキュリー温度を有する。さらに、この実施形態は、センサマイクロワイヤから得られた温度情報を解読できるマイクロワイヤリーダ/ディテクタを含む。上述のように、リーダ/ディテクタは、磁力によって影響されやすいそれぞれのマイクロワイヤのキュリー温度に対応する不連続な温度をセンサから返す「簡単な解読アルゴリズム」を使用しても良い。あるいはまた、リーダ/ディテクタは、磁力によって影響されやすいそれぞれのマイクロワイヤのキュリー温度に対応するだけではなく、連続的温度検出マイクロワイヤのキュリー温度の間のパルスパラメータにおける目に見える変化から得られた温度情報にも対応する連続的な温度をセンサから返す「複雑な解読アルゴリズム」を使用しても良い。
【0029】
好ましくは、化学的に変更された個別のマイクロワイヤは、変更されたマイクロワイヤが、大きいバルクハウゼン不連続性、極めて低い飽和保磁力、および、それらのそれぞれのキュリー温度よりも低温の極めて高い透磁率を保有するように、製造する。(結果として図2に描かれているタイプのヒステリシスの挙動を有する。)この変更されたマイクロワイヤは、そのキュリー温度よりも高温では、その強磁性を本質的に完全に失う。センサのアレイ内の他のマイクロワイヤは、化学的性質を変更する必要はなく、以前に議論したシングルかマルチビットコード化のすべての従来技術の方法のいずれかに従って、データ要素として動作できる。
【0030】
従来技術の非結晶質のマイクロワイヤで使用されるFeベースの、および/または、Coベースの合金の最も好ましい化学的改良は、その中のクロムの原子割合を調整することである。非結晶質の鉄ベースの(Fe80-xCrx)(PC)20合金のクロムは、その磁気特性にかなり大きい影響を与える。クロム割合の増加は、キュリー温度、平均的超微細場、および、その飽和磁化を下げるが、他方では、その初期の透磁率を著しく増加させる。例えば、0%から6.5%までのクロム割合の増加は、あるテストされたサンプルでは、330℃から155℃にキュリー温度を低下させた。ジャーナル オブ マテリアルズサイエンス19: 1000-06(1984)に記載の、ヘンリー氏他によるクロムを含有する鉄の豊富な非結晶質の合金の磁気測定:メスバウアー研究とB-Hループ、および、Springer-Verlag, Berlin(1991)に記載の、Wijn氏によるd元素金属、合金、および、化合物の磁気特性を参照して欲しい。
【0031】
また、非結晶質のマイクロワイヤ要素の磁気特性を変化させるのに、Feベースの、および、Coベースの合金に対する他の化学変化を利用できる。例えば、あるFCZBN合金のFeにCoを置き換えでき、結果的なキュリー温度は、Co含有量の増加に伴って正弦波のような挙動を示し、Co が3原子%および12.5原子%である時に2つの最大値を示し、Co が7.5原子%である時に最小値を示す(ジャーナル オブ フィジカルサイエンス:凝縮物質Vol. 16 6325-34(2004)に記載の、ヤオ氏他による高ガラス形成能力を有する非結晶質のFe Co Zr B Nb合金のキュリー温度のCo依存性)。磁気学におけるIEEE会議記録Vol. 22, 1349-51(1986)は、高いリン含有率を有するCo-Pの非結晶質の合金を電解入手できる工程を示している。これらの合金のキュリー温度は、28-29%Pまでの組成物に対するキュリー温度における線形的な挙動を示している。一定のキュリー温度は、より高い濃度において観測されている。
【0032】
上述したように、好ましくは、第1の実施形態は、マイクロワイヤが、総合的な温度センサの詳細設計温度範囲内の(通常、約400℃以下の)個別の温度で常磁性になるように、化学的性質を変更した複数の磁気マイクロワイヤ温度検出要素を利用している。例えば、図4は、アレイ36を形成する合計4つの温度検出マイクロワイヤ28-34を有する温度センサ26を描いている。それぞれのマイクロワイヤ28-34は、クロムの原子割合の増加などの、従来のテクニックのどれかを使用することで、その化学的性質を変更させ、その結果、マイクロワイヤのキュリー温度が異なり、センサ26の正常な動作温度範囲の間、すべて超過している。残りの2つのマイクロワイヤ38と40は、データ要素である。また、任意の永久磁石のバイアス磁場要素41を使うことができる。
【0033】
図4の実施形態では、マイクロワイヤ28-34は、平行に配置され、間隔42は、それぞれの隣接するマイクロワイヤの半径の合計と等しく(間隔42は、半径の合計よりも大きくても良い)、また、温度がモニターされるオブジェクト44に、マイクロワイヤを接着する(図示しない)熱伝導性の接着剤で結合される。
【0034】
この例示的な実施形態では、それぞれのマイクロワイヤ28-34と38-40の磁気保磁力は、6本のマイクロワイヤのそれぞれを、総合的なアレイ内のその位置順におけるそれぞれの期間内に、確実に独自に検出可能にするために、その合金における適切な化学変化、厳密に言えば、それぞれの合金のクロム含有率、によって変化する。もちろん、合金の化学的性質の変更用、および、飽和保磁力の調整用の他の従来技術のテクニックは、この目的のために使用できる。さらに、6本のマイクロワイヤ28-34と38-40のそれぞれは、かなり長い(例えば、40mm)マイクロワイヤ38以外は同じ長さ(例えば、20mm)のものである。マイクロワイヤ38のこの余分な長さによって、このデータ要素のマイクロワイヤからの検出された再磁化ピークは、他のすべての再磁化ピークよりも振幅で確実に大きくなる。
【0035】
図10に、オブジェクト44の温度に相当する、センサ26によって検出された温度を検出するのに使用されるディテクタ装置46が例示される。ディテクタ46は、送信機ユニットが、センサ26をインターロゲーションするための交流磁場を作成可能なように、磁場発生コイル50に接続した周波数ジェネレータ48の形で、交流磁場送信機ユニットを広く含む。総合的な装置46は、さらに、ディジタル信号処理ユニット54と温度表示56とに動作可能に接続した磁場受信コイル52を含む。図示したように、処理ユニット54は、通信ポート58と60を備えていて、接続部62で周波数ジェネレータ48に動作可能に接続しても良い。さらに、周波数ジェネレータ48は、ジェネレータの遠隔操作を可能にする任意の入力61を備えても良い。
【0036】
信号処理ユニット54は、センサ26をインターロゲーションするときに受信した磁場摂動情報を解読する能力を有する解読アルゴリズムを使用して動作している。好ましくは、解読アルゴリズムは、本発明に従って、ユニット54に関連したメモリ内に格納された、異なったセンサのための1つ以上のルックアップテーブルの形の中にある。センサ26に特有のディテクタ46の場合では、その信号処理ユニット54は「簡単な解読アルゴリズム」を使用し、温度ルックアップテーブルは、4つの温度検出マイクロワイヤ要素28-34のそれぞれのための予測された位相位置(ストップビットから、および/または、相互の位相関係)、および、マイクロワイヤ20のアレイ36から、受理できる検出されたビットコードのそれぞれをレポートする温度、の両方を有する。(いくつかのビットコードは、キュリー温度の段階的なマイクロワイヤの順に応じて、どんな論理的な意味にもならず、その結果、ディテクタ46によって誤読されたものであるので、受理できないかもしれない。)信号処理ユニット54が「複雑な解読アルゴリズム」を使用するディテクタ46の場合では、ルックアップテーブルは、キュリー温度よりも低温の小さい範囲の中で、独自の正規化されたパルスパラメータ値や、それぞれの温度に関連付けられた(前記温度の間に選ばれた間隔を有する)温度と同様に、「簡単な解読アルゴリズム」の中で使用されたすべての情報を含んでいる。したがって、例えば、マイクロワイヤ20のアレイ36からの許容できるビットコードが、「複雑な解読アルゴリズム」を使用する信号処理ユニット54によって決定される場合は、信号処理ユニット54は、再磁化パルスが消滅した最高キュリー温度のマイクロワイヤのキュリー温度と、再磁化応答がまだ検出可能な最低キュリー温度のマイクロワイヤのキュリー温度との間の温度範囲内にあるセンサ温度にパルスパラメータ値を関連付けるルックアップテーブルの一部にアクセスする。センサ温度は、再磁化応答がまだ検出可能な最低キュリー温度のマイクロワイヤのキュリー温度よりも低温の小さい範囲内で、現在高解像度に認識できるものであり、「複雑な解読アルゴリズム」は、センサの温度に到達するように、パルスパラメータの現在検出されて計算された値と、ルックアップテーブルの中の前記適切な範囲の値とを、信号処理ユニットに比較させる。
【0037】
説明したように、センサ26とディテクタ装置46は、装置46が、センサ26の適切なインターロゲーションによって、オブジェクト44の温度を確認することができるように、関連付ける。そのような相関関係は、通常、センサ26のビット論理を、解読アルゴリズムに少なくとも合わせること、この場合は、信号処理ユニット54のメモリに収納された温度ルックアップテーブルに合わせることを伴う。当業者は、この中に記載された「簡単な解読アルゴリズム」と「複雑な解読アルゴリズム」の両方のために、様々なビット論理と対応するアルゴリズムテーブルを提供できることを理解するだろう。しかしながら、以下の議論は、図10のセンサ26とディテクタ装置46との関連で、「簡単な解読アルゴリズム」を使用する1つの例示的なシステムを提供する。
【0038】
再度、図4を参照して、4つの温度検出要素のマイクロワイヤ34-38の最下位ビットが、「第1の」マイクロワイヤと命名できる、マイクロワイヤ28であると仮定して欲しい。その結果、オブジェクト44が、第1のマイクロワイヤ28のキュリー温度よりも低温であるときに、マイクロワイヤ28は、装置46が発生する交流磁場の影響に基づく特有の短い再磁化パルスを発生させつづけるだろう。オブジェクト44が、第1のマイクロワイヤ28のキュリー温度よりも高温を有するとき、マイクロワイヤ28は、適用された交流磁場の影響に基づく短い再磁化パルスをもはや発生させないので、ビットの検出された温度検出要素アレイから、ビットが消されていく(「0」値)だろう。
【0039】
残りの温度検出マイクロワイヤ30-34のそれぞれは、マイクロワイヤのキュリー温度が、連続的に、かつ、段階的に、第1のマイクロワイヤ28よりもわずかに高温であるように、そこにそれぞれの化学的に変更された合金を有する。したがって、「第2の」マイクロワイヤ30は、第1のマイクロワイヤ28よりもわずかに高温のキュリー温度を有し、「第3の」と「第4の」マイクロワイヤ32と34のそれぞれは、連続的に、低い順位のマイクロワイヤよりもわずかに高温のキュリー温度を有する。このように、マイクロワイヤ30-34の再磁化パルス(ビット)は、第1のマイクロワイヤ28とすべての先行する低い順位のマイクロワイヤよりも高温のそれぞれの温度での適用された磁場の影響を受けて、ディテクタ46から消滅する(すなわち、「0」という値になる)だろう。
【0040】
例えば、オブジェクト44が、第1と第2のマイクロワイヤ28と30の両方のキュリー温度よりも低温を有する場合は、アレイ36のすべてのビットは、装置46によって読まれる(すなわち、「1」という値になる)だろう。オブジェクト44が、第1のマイクロワイヤ28のキュリー温度よりも高温を有し、第2のマイクロワイヤ30のキュリー温度よりも低温を有する場合は、第1のビットは、「0」という値として装置46に消滅し、マイクロワイヤ30-34に対応する残りのビットは、装置46によって「1」という値として読まれるだろう。
【0041】
上述したように、装置46は、第1の温度ビットの消滅と、第2の温度ビットの出現と、より高温のすべてのビットの出現は、オブジェクト44の温度が第1と第2のマイクロワイヤ28と30(温度ビット)の第1と第2のキュリー温度の間のどこかに存在することを意味していると認めるルックアップテーブルの形でアルゴリズムを含む。(ここに使用されるように、センサの温度か、または、オブジェクトの温度の検出か測定は、温度範囲内の単一の温度、または、近似された温度を参照できる。)したがって、アレイ36が発生する温度検出ビットデータを読むことによって、および、このデータのバイナリの値を対象となるルックアップテーブルに関連付けることによって、第1と第2のマイクロワイヤのキュリー温度の間隔で定義された温度範囲内で、オブジェクト44の温度を測定できる。もちろん、この論理は、簡単な図4の例の、4本のマイクロワイヤ28-34のすべてに適用される。
【0042】
与えられた磁気素子温度センサの上の温度検出マイクロワイヤのナンバーNが、既知の増加の逐次順の特定されたキュリー温度を有する場合は、そして、このキュリー温度を、1つからもう1つへのその増分内で少なくともやや一貫するように選択する場合は、センサは、第1から第Nのキュリー温度まで温度を検出できる。対の一方のリーダが「簡単な解読アルゴリズム」を使用するようなセンサの分解能は、連続したキュリー温度の間の増分である。連続したキュリー温度が、まさに一貫していなくても、関連ルックアップテーブルを組み立てることができ、センサが適切に機能できることが理解されるだろう。リーダが「複雑な解読アルゴリズム」を使用する場合には、達成される分解能は、はるかにすばらしく、最良適合公式の精度などのような多くの要因によって決定されることが理解されるべきである。
【0043】
この実施形態のマイクロワイヤ合金は、合金がマイクロワイヤに処理される前、または処理された後に、定量化されたキュリー温度を有することができる。さらに、慎重に制御された環境における受信距離と送信磁場強度のような要因のために、キュリー温度よりも低温で起こる再磁化パルスにおける検出可能な変化を定量化して、正規化することができる。こんなやり方で、完全なマイクロワイヤセンサを、温度検出用に較正できる。
【0044】
ある温度検出マイクロワイヤが、その他のマイクロワイヤとの適切な順序で、消滅しない場合は、(リーダ/ディテクタによる誤読、その他のものとの熱接触の不足、または、他の理由のために、)許容できるルックアップテーブルの値の不足によって、装置46のリーダ/ディテクタアルゴリズムが、好ましくは、センサ26の再読を試みる。連続的な再読が、同じ変則的な温度データを示す場合は、リーダ/ディテクタのアルゴリズムは、温度データを捨てて、最後に測定された温度、(または、最後に測定された温度変化割合に関与し、かつ、時間間隔を読み込む計算に基づく、差分温度をプラスした最後に測定された温度)を使用し、そして、その次に予定されていた読み込み間隔のときに、再度試みることができる。好ましくは、すべてのマイクロワイヤを、相互に、および、その温度が測定されるオブジェクト44と、確実に良好に熱接触させるために、工程を踏む。そのような工程の1つは、薄い熱伝導性の基板にすべてのマイクロワイヤを取り付けることである。もう1つの工程は、以下に説明するように、熱伝導性のケース入り材料か、熱伝導性のポット入り材料を使うことである。
【0045】
最大40本のマイクロワイヤが、周期内に検出可能であることが知られているが、それに従って、この実施形態の磁気素子温度センサは、4本の温度検出マイクロワイヤ20よりもずっと多くと、1つの(ストップビットを数えない)データ要素よりもずっと多くを含んでも良い。特に、それぞれがマルチビットデータでコード化される場合は、(線形か非線形の関係定数などの)相関関係情報を保存するのにデータ要素を使用でき、その相関関係情報によって、ディテクタアルゴリズムは、「特定の数値」(温度ビット)を関連した温度値に解読できる。これは、ルックアップテーブルメソッドが使用されていないところで、特に貴重である。したがって、磁気素子温度センサ26は、永久的なIDコード、または、「オブジェクトのクラス」コードのようなデータを、データ要素内に保存できる。「オブジェクトのクラス」コードを保存するこの能力によって、単一のリーダ/ディテクタアルゴリズムは、マイクロワイヤ温度センサのいくつかの異なったタイプを読み込むことができ、その温度センサのそれぞれは、それ自身の独自のルックアップテーブルを有し、正しい温度を解読することができる。
【0046】
多くの異なったコード化/解読方法を、本発明の範囲から逸脱せずに、センサ26と装置46で使うことができるのが理解されるだろうが、ただし本発明は、それぞれの温度検出マイクロワイヤが、キュリー温度より高温の装置46が発生する交流磁場の影響を受けて、再磁化パルス特性を失うように設計されることを条件とする。1つのオプションは、それぞれのマイクロワイヤの再磁化のための保磁力を超える必要がある装置46が発生する外部磁場の振幅をそれぞれの個別のマイクロワイヤ28-34と38-40に対する異なった近接性により差別化するのに役立つ、バイアス磁場要素41の使用である。これは、ディテクタ46によって検出された再磁化ピークにおける位相差に通じ、その結果、6本の個別のマイクロワイヤの差別化を促進する。他の変形は、温度検出要素とデータ要素との間のストップビット、または、「輪郭描写」ビット、非温度データのコード化と解読、および、その磁気応答を変化させるために、マイクロワイヤのいくつか、または、すべての異なった長さを決定するための手段を含むが、これに限定されるものではないだろう。さらに、個別の温度検出マイクロワイヤのキュリー温度付近の温度での磁気特性における変化は、その検出可能な再磁化パルスを変化させるが、完全には除去できない。そのような変化した再磁化パルスは、キュリー温度よりも低温の特定の温度範囲にわたる予測可能な挙動を有し、また、温度情報を解読するのに使用しても良い。これによって、それぞれの温度検出マイクロワイヤは、正確に1つ以上の温度、例えば、リーダの解読用電子機器の中で「複雑な解読アルゴリズム」を使用するときに、キュリー温度よりも低温の小さい間隔からキュリー温度までを検出することができる。
【実施例2】
【0047】
第2の実施形態:強磁性シース付きの温度検出用のマイクロワイヤ
この第2の実施形態は、複数の複合温度検出マイクロワイヤ66を有する磁気素子温度センサ64を含み、そのマイクロワイヤ66は、上述した従来技術のタイプの磁力によって影響されやすいマイクロワイヤを、それぞれ含み、センサ64の全ての動作範囲にわたって、図2に描いたように、その大きいバルクハウゼン不連続性と他の磁気特性を保有するように、そのキュリー温度の意図的な低下がない。このマイクロワイヤの構造は、さらに、周囲の管状の構造68を含む。総合的な第2の実施形態は、さらに、センサ64のインターロゲーションから得られた温度情報を解読できるアルゴリズムを格納した、ディテクタ46と同様のマイクロワイヤ温度ディテクタを含む。
【0048】
特に、それぞれの複合マイクロワイヤ66は、複合マイクロワイヤ66のこの内部が、前述した従来技術のマイクロワイヤ20と概念的に全く同じであるように、中間的ガラスコーティング72に囲まれた、最も内側の合金70を有する。さらに、マイクロワイヤ66の構造68は、コーティング72を囲む強磁性金属、または、(NiZn、または、MnZnなどの)フェライト材料の管状のシース74、および、管状のシース74を囲む任意の最も外側のガラスコーティング76を含む。シース74は、個別の、および、内側のマイクロワイヤ合金70が、マイクロワイヤを、ディテクタが発生する交流磁場内に配置するときだけ、および、強磁性シース74のキュリー温度よりも高温(、または、キュリー温度付近のある温度よりも高温)のときだけ、特徴的な摂動(と、その結果、ディテクタで再磁化電圧パルス)を発生するように、慎重に選ばれたキュリー温度を有する。したがって、複合マイクロワイヤ66が、強磁性シース74のキュリー温度よりも低温(、または、このキュリー温度付近のある温度よりも低温)になったときに、シース74は、強磁性であり、その結果、マイクロワイヤ66の特徴的なパルスを変化させる。これは、シース74が引き起こした磁気飽和のために、複合マイクロワイヤ66の再磁化を防ぐことができるか、または、複合マイクロワイヤ66からのバイアス信号、または、「変化した」信号として、結果的に再磁化させることができる。例えば、再磁化パルスは、シースのキュリー温度よりも高温の位置から、同じ位相で相殺することができるか、または、シースのバイアス効果は、複数の異なった設定温度よりも低温、および、高温の再磁化応答を変化させることができる。
【0049】
複合マイクロワイヤ66が、シース74のキュリー温度よりも高温になったときには、シースは、常磁性になって、その結果、合金70の特徴的なパルスに対して無効になる。したがって、シース74の個別のキュリー温度よりも高温(、または、このキュリー温度付近のいくつかの温度よりも高温)では、通常、複合マイクロワイヤ66は、正常に動作する。(すなわち、その複合マイクロワイヤ66は、ディテクタ46に、ルックアップテーブル内に記録された、または、他のある解読アルゴリズムを通して記録された、同じ位相を予想される電圧パルスか振幅か同様のものを検出させる。)しかしながら、複合マイクロワイヤ66が、そのシース74の個別のキュリー温度よりも低温になったときには、マイクロワイヤ66は、ディテクタで検出可能でないか、または、検出可能だが、特に、マイクロワイヤ66のシース74のキュリー温度よりも高温で検出された特徴的なパルスに関して、変化したマイクロワイヤ66の磁気特性を有する。そのような変化した磁気特性は、リーダが「簡単な解読アルゴリズム」を使用する場合に、ルックアップテーブルのパラメータに合わないか、または、リーダが「複雑な解読アルゴリズム」を使用する場合に、キュリー温度よりも低温に関連付けるのに使用されるかのいずれかである。
【0050】
管状のシース74を作る材料が、強磁性金属の場合は、シース74は、たった数ミクロンの厚さ、または、内側のマイクロワイヤ合金70の飽和のために、および、製造性のために必要な厚さであっても良い。強磁性シース74を形成する1つの方法は、「非結晶質のマイクロワイヤとその製造方法」と題した米国特許番号7,011,911で説明されている。他の方法は、フレーム溶射かスパッタリングを含んでいる。シース74を作成するのにこれらの方法を使用するとき、最も外側のコーティング76は必要ない。また、内側のガラスチューブが、外側のガラスチューブの壁面内に存在するように、内側のガラスチューブと外側のガラスチューブとを、共軸上に伸縮自在に並べる、変更されたテイラー法を使用しても良い。合金70は、(ロッド形状の)インゴット内の、または、構成している金属製型枠内のセンターガラスチューブの内側にあるが、管状のシース74を作る材料は、嵌め合わせたガラスチューブの間に配置する。このシースの材料は、インゴット内(おそらく、数個のロッド)、または、構成している金属製型枠内にあっても良い。合金は、磁気誘導、または、他の適当な手段によって溶かすために加熱され、得られた溶融金属とガラスは、速やかに引っ張り成形されて、複合マイクロワイヤ66を形成する。
【0051】
特定の金属の微量元素の添加によって、強磁性合金のキュリー温度を調整する手法は、当該技術分野で公知となっている。したがって、管状のシース74を作るのに、いろいろな合金を使用しても良い。図9は、理想的な合金を形成するための、強磁性金属元素(この場合はニッケル)に対する、ある金属(この場合は銅)の微量の追加が、予測可能な方法で、結果として得られる強磁性合金のキュリー温度を変化させることができることを示す。また、鉄に対する少量のクロムの追加は、キュリー温度が予測可能な合金をもたらす。銅とアルミニウムを用いたニッケルのキュリー温度の変更に関する議論については、米国特許番号5,954,984を参照して欲しい。
【0052】
管状のシース74の製作に使用される合金、または、フェライト材料は、合金、または、フェライト材料が、管状のシース74内で処理される前、または、後に定量化された、キュリー温度(、または、そのキュリー温度付近の規定温度)を有する。したがって、温度検出のために、磁気素子温度ディテクタ46を容易に較正できる。前と同様に、与えられた温度範囲を測定するために、シースのキュリー温度が定量化されて、温度範囲内でほぼ等しく間隔を開ける、温度検出複合マイクロワイヤ66を増やせば増やすほど、温度センサの分解能は高くなる。少なくとも20本の温度検出複合マイクロワイヤ66を有し、そのそれぞれが、次の最も低い順位のシースに対して、せいぜい5℃高温の、連続的なより高温のシースのキュリー温度を有するのが好ましい。もちろん、シース74が、(例えば、再磁化パルスの位相を検出可能にシフトすることによって)、シース74のキュリー温度付近の温度範囲にわたって、マイクロワイヤ66の再磁化パルスを変化させる場合は、「複雑な解読アルゴリズム」を使用するディテクタが、ある範囲内のそれぞれのマイクロワイヤ66のために、複数の温度を検出し、解読することが可能であっても良く、その結果、センサが広範囲にわたって正確に温度を測定できるように、より少ないマイクロワイヤ66を必要としても良い。
【0053】
管状のシース74を作る材料が、フェライトかフェライトとの何らかの混合材料の場合は、シースは、合金70と周囲のガラス72をそこに配置することができるように、中央の穴を有する、ガラス層72、離れた円筒形状のビード、または、他の焼結したフェライトの円筒形状のオブジェクトのいずれかに接着されていても良い。交互に、純粋なガラスの代わりに層72にガラスフェライトの材料を使用することによって、管状のシース74を、ガラス層72の一部として形成できるだろう。「レーダー吸収コーティング」と題した米国特許番号6,909,395は、金属ワイヤ、または、他の形状の金属オブジェクトのいずれかに、直接接着するのに使用できるか、または、金属に既に接着している純粋なガラスの層に接着できる、フェライト/ガラス合成材料を説明している。
【0054】
図6を参照すると、センサ64は、データ要素のアレイ78を表す複数のマイクロワイヤ20、および、そのアレイ80を形成する複数の温度検出複合マイクロワイヤ66を含む。マイクロワイヤ20と複合マイクロワイヤ66は、温度測定目的のために、(図示しない)オブジェクトに良好に熱接触するように、センサ64を配置できるように、できるだけ薄くて、熱伝導性の良いセンサ、または、タグ基板82に取り付けられる。
【0055】
アレイ78を作るマイクロワイヤ20は、センサ64のために、通常、約400℃よりも低温の計画された動作温度範囲よりも高温の、個別のキュリー温度を与える化学的性質を有する。個別のマイクロワイヤの管状のシース74が、いったんキュリー温度よりも高温になると、個別の複合マイクロワイヤ66のそれぞれの強磁性、または、フェライトの管状のシース74が、隣接する複合マイクロワイヤに影響しないように、好ましくは、アレイ80内の複合マイクロワイヤ66は、距離84だけ離して間隔を開ける。
【0056】
リーダが「簡単な解読アルゴリズム」を使用するような、この簡単な実施形態では、アレイ78のそれぞれのデータ要素が、「1」か「0」の論理状態にレーザでコード化されてあると仮定する。さらに、それぞれのデータ要素が、かなり長い(例えば、40mm)端末の要素83と86以外は同じ長さ(例えば、20mm)であると仮定する。この余分な長さによって、データ要素83と86からの検出された再磁化ピークは、他のものよりも振幅で確実に大きくなる。最終的に、データ要素83が、論理値「1」にレーザでコード化され、データ要素86が、論理値「0」にレーザでコード化されると仮定する。第1の実施形態で説明したように、アレイ78と80の両方の要素のそれぞれは、検出された位相順位が、最初(マイクロワイヤ83)から最後(複合マイクロワイヤ88)まで、描かれた整列順位に合うように作られ、後者は、持っている中でアレイ80の複合マイクロワイヤの最も高温のシースのキュリー温度を有する。そのような場合には、ディテクタ46は、最も高い振幅と、(マイクロワイヤ83としてここに描いた)スタートビットとして、論理レベル「1」を有する、(位相関係における)最初に検出されたパルスを割り当て、そして、最も高い振幅と、ストップビットとして、論理レベル「0」を有する、最後の検出されたデータマイクロワイヤ86を割り当てる。スタートビットとストップビット83と86の間のすべてのデータマイクロワイヤは、データビットとして、マイクロワイヤ温度のリーダ/ディテクタによって検出される。第1の実施形態で説明したように、タグ識別番号や「オブジェクトのクラス」コードなどの、様々な機能に、介在するデータマイクロワイヤを使用できる。
【0057】
「簡単な解読アルゴリズム」の例を使用して、センサ64から温度情報を解読するために、センサ64の正常な動作範囲の間、それぞれのシース74のすべてが、超過したキュリー温度を有する(、または、キュリー温度「付近」の規定温度を有する)ように、強磁性シース74を有するアレイ80からの「N」複合マイクロワイヤがあると仮定する。これらのN複合マイクロワイヤ66の最下位ビットは、ストップビット86の直後の位相関係で、および、ストップビット86からの規定の位相関係で検出され、「第1の」複合マイクロワイヤ89であると見なされる。したがって、第1の複合マイクロワイヤ89は、シース74のキュリー温度よりも高温でのみ、正常な短いパルス摂動を発生し始めるので、ディテクタ46は、電圧パルス(ビット)を検出するだけだろう。第1の複合マイクロワイヤ89は、シース74のキュリー温度よりも低温で、正常な短いパルス摂動を発生しないので、ディテクタ46が検出したビットから、そのビットが失われるか、または、「変化した」マイクロワイヤとして、ディテクタ46が明確に検出可能なほど、パルスを変化させるか、のいずれかだろう。
【0058】
ストップビット86(最下位の次のビット)からの位相関係における「第2の」複合マイクロワイヤ90は、第1の複合マイクロワイヤ89よりもわずかに高温のキュリー温度の強磁性シース74を有する。ディテクタ46は、複合マイクロワイヤ90のビットを読み込まないか、または、電圧信号は、このより高温のシースのキュリー温度(、または、シースのキュリー温度付近の、より高い温度)よりも低温で、「変化した」ように検出されるだろうが、電圧信号は、第1の複合マイクロワイヤ89よりも高温で、位相と持続時間では、予想されるように見えるだろう。
【0059】
したがって、センサ64が、第1と第2の複合マイクロワイヤ89と90の両方のキュリー温度(、または、キュリー温度未満の指定温度)よりも低温にさらされる場合は、(アレイ80内のその後のより高い順位の複合マイクロワイヤのすべてが、より高温のキュリー温度を持つシース74を有すると仮定して、)いかなる複合マイクロワイヤも、ディテクタ46によって検出されないだろう。センサ64が、第1の複合マイクロワイヤ89のシースのキュリー温度(、または、関連した温度)よりも高温で、第2の複合マイクロワイヤ90のシースのキュリー温度(、または、関連した温度)よりも低温にさらされる場合は、ディテクタ46は、第1のビットを読み込むが、第2のビットは、まだ、ディテクタ46が読み込まないか、または、ディテクタが読み込むような「変化した」信号を有するだろう。最後に、センサ64が、第1と第2の複合マイクロワイヤ89と90の両方のシースのキュリー温度(、または、関連した温度)よりも高温にさらされる場合は、ディテクタ46は、第1と第2の複合マイクロワイヤの両方を読み込むだろう。
【0060】
ディテクタ46が、第1の複合マイクロワイヤ89の第1の温度ビットの出現と、第2の複合マイクロワイヤ90の第2の温度ビットの欠如(、または、変化)とを認識する「簡単な解読アルゴリズム」を含み、その結果、センサ温度は、第1のシースのキュリー温度と第2のシースのキュリー温度の間のどこかに存在していることを表示56を介して信号する。したがってセンサ64が、温度測定の対象であるオブジェクトに良好に熱接触するように、配置される場合は、センサ64の複合マイクロワイヤのアレイビット出力を読み込むことによって、ディテクタ46は、第1と第2のシースのキュリー温度(、または、それらのキュリー温度付近のそれらのそれぞれの温度)の間隔で定義された温度範囲内で、オブジェクトの温度を測定する。
【0061】
センサ64上の、連続した順位内にあるとわかっているキュリー温度のシースを有する複合マイクロワイヤ66の数が、「N」複合マイクロワイヤまで増加し、そして、このシースのキュリー温度を、1つからもう1つへのその増分内で少なくともやや一貫するように選択する場合は、センサ64は、第1から第Nのシースのキュリー温度までの、検出可能な温度範囲を有し、そして、連続したシースのキュリー温度の間の増分によって定義された温度分解能を有する。
【0062】
さらに一般的には、ディテクタ46の解読アルゴリズムは、正常なパルス状態で、対応する複合マイクロワイヤ66から発生される、第1から第N-1までの温度ビットの出現と、正常なパルス状態で、第Nの複合マイクロワイヤ66に対応する、第Nの温度ビットの欠如とが理解されるように構築され、センサ温度が、第N-1のシースのキュリー温度と第Nのシースのキュリー温度の間(、または、シースのキュリー温度付近のそれらのそれぞれの温度の間)のどこかに存在することを確証する。ディテクタのアルゴリズムは、このセンサ温度が第N-1と第Nのキュリー温度の中間の温度であると報告するのが好ましい。
【0063】
好ましくは、許容できる複合マイクロワイヤのビットパターンと、それらの対応するセンサ温度は、ディテクタ46のメモリ内のルックアップテーブルの中に格納される。したがって、許容できるビットパターンが、ディテクタ46によって関連センサ64から検出された場合、このパターンは、ルックアップテーブルに対して、関連センサ温度を見つけるために比較される。一方、「複雑な解読アルゴリズム」による変化したパルス情報の使用が、本明細書の中により早く記載された場合には、「簡単な解読アルゴリズム」、および「複雑な解読アルゴリズム」の両方が、リーダによって使用されても良い。
【0064】
アレイ80の1本以上の複合マイクロワイヤ66が、(ディテクタ46による誤読、その他の複合マイクロワイヤとの熱接触の欠如、または、他のある理由のために、)その他のものと共に、適切な順序でそれらの正常な状態に出現しない場合には、好ましくは、ディテクタアルゴリズムは、センサ64の再読み込みを試みる。連続的な再読み込みが、同じ変則的なビットパターンを示す場合は、ディテクタアルゴリズムは、温度データを捨てて最後に測定された温度(または、最後に測定された温度変化割合に関与し、かつ、時間間隔を読み込む計算に基づく、差分温度をプラスした最後に測定された温度)を使用することができ、その次に予定されていた読み込み間隔のときに、再度試みることができる。
【実施例3】
【0065】
第3の実施形態:別個であるが隣接している強磁性飽和要素付きの温度検出用のマイクロワイヤ
第3の実施形態は、概念的に第2の実施形態と非常に類似しているが、強磁性シースの飽和要素、または、バイアス要素を別個の構成要件として用いる点で異なり、これは、第2の実施形態で、シース74が、主要なマイクロワイヤ構造に接着されるか、または、別の方法で付着されている第2の実施形態のシース74と比べると、隣接する温度検出マイクロワイヤの表面に触れる必要がない。図7を参照すると、組み合わせマイクロワイヤ92が示され、前述したタイプのマイクロワイヤ20を含み、これはキュリー温度を意図的に低下させない。このためセンサの全ての動作範囲にわたって、図2に描かれるように、大きいバルクハウゼン不連続性と他の磁気特性を保有する。また、組み合わせマイクロワイヤ92は、隣接する強磁性シース94を含む。シース94は、シース94は関連するマイクロワイヤ20に対して十分近くに配置することにより、マイクロワイヤ20の副次的な磁気飽和、または、バイアス再磁化とその結果起こる特徴的な摂動の発生を、組み合わせマイクロワイヤ92がシース94のキュリー温度よりも高温(、または、キュリー温度付近のある温度よりも高温)になるまで防止する。さらに、第2の実施形態の場合のように、シース94は、関連したマイクロワイヤ20が、シースのキュリー温度よりも低温の異なる設定温度の下と上とで異なる一連の再磁化応答を示すように設計されてもよく、そして、必要な場合は、そのような複数の異なった応答を温度検出と測定のために、使用できる。
【0066】
さらに詳細には、シース94は、好ましくは、強磁性金属の薄い長方形のシートの形状で、そのサイズは、関連したマイクロワイヤ20よりも極端に幅広くなく、そして、その平面は、半円形に曲げても良い。(または、フェライトの場合は、半円か他のある適当な形状に焼結しても良い)。組み合わせマイクロワイヤ92が、ディテクタ46の交流磁場内に曝され、かつ組み合わせマイクロワイヤ92が、シース94のキュリー温度よりも高温であるとき(、または、キュリー温度付近のある固定温度よりも高温の範囲内においてのみ検出可能なとき)にだけ、関連したマイクロワイヤ20が、信号摂動(、および、その結果、電圧の再磁化パルス)を発生するように、シールド94のキュリー温度を慎重に選択する。シース94は、数ミクロンの厚さ、または、関連したマイクロワイヤ20の飽和のために、かつ製造容易な厚みさえあればよい。第2の実施形態に関して説明した、同じタイプの合金、または、フェライトは、シース94の製作に使用しても良い。さらに、(強磁性粉末、または、フェライト粉末のいずれかを使用する)磁気インキもまた、適当であり、組み合わせマイクロワイヤ92のためのサポート基板上に印刷可能であるという利点を有する。
【0067】
図8を参照すると、示された温度センサ96は、複合マイクロワイヤ66の代わりに、組み合わせマイクロワイヤ92を使用することを除いて、あらゆる点でセンサ64と全く同じである。したがって、図6からの参照数字などは、全く同じ部品を示すのに図8で使用され、記号「a」は、複合マイクロワイヤ66と組み合わせマイクロワイヤ92を区別するのに使用されている。センサ96の働きは、センサ64の働きと全く同じであり、センサ96と関連付けられた適切な解読アルゴリズム(好ましくは、ルックアップテーブル)を有する、同様のディテクタ46を利用する。したがって、その働きの詳細な説明は不要である。
【0068】
上述した3つの実施形態、および確かに本発明の範囲内の他の実施形態は、いくつかの異なった点で変えることができる。例えば、図4Aは、いくつかの製品の応用に有利な、代替の配置について描いている。とりわけ、図4Aではセンサ26aを提供しているが、そこで、第1のオブジェクト44aには、マイクロワイヤデータ要素40を取り付け、一方、第2のオブジェクト44bには、残りのデータマイクロワイヤ38、温度検出マイクロワイヤ28-34、および、任意のバイアス要素41を取り付ける。センサ26aのビットロジックは、センサ26のビットロジックと全く同じであり、これは、センサ26aの構成部品がオブジェクト44a上と44b上に切り離されているが、ディテクタ46が発生した交流磁場内に、すべてのセンサ部品があるときだけに、総合的なセンサ26aが作動することを意味している。この状態が存在しない場合は、ディテクタ46を使用した有効な読み込みは、起こらない。例えば、ヒータのディテクタが、センサの両方(、および、その結果、オブジェクト44aと44bの両方)を検出する場合にだけ、ヒータで2部品のオブジェクトの加熱を制御し、そしてセンサの両方の部品が、ディテクタ46の磁場内に存在していない場合のすべての加熱を防止するために、この構成を使用できる。このような場合には、ヒータ制御装置は、通常、ディテクタ46の信号処理ユニット54と連動するだろう。
【0069】
もちろん、2個を超えるオブジェクトが存在するときには、この同じ設計思想を使用しても良い。さらに、上述した方法などの、より高度なデータの符号化方法は、1つ以上の断片部分になっている総合的なセンサ26aを、それらに対応する断片部分と関連付けるのに使用しても良い。そのような方法は、第1のデータ要素40にストップデータビット38にマルチビットコードを対応させてレーザコード化することを含んでも良い。
【0070】
図4Aの代替手段は、第1の実施形態のセンサ26に関して説明しているが、必要に応じて、第2と第3の実施形態のセンサ64と96に、同じ変更を併用しても良いことが理解されるだろう。
【0071】
ちょうど、センサ26のマイクロワイヤ20の場合のように、センサ64と96の一部を形成するマイクロワイヤは、オブジェクト44、または、基板82などの熱伝導性の基板に適切な接着剤を使用して接着しても良い。もう1つの代替手段では、マイクロワイヤ20、複合マイクロワイヤ66、および/または、組み合わせマイクロワイヤ92は、圧縮成形、または、射出成形可能な、グラファイトを充てんした高分子材料や、RIDURID(R)の名でSOL Carbonが販売している材料製品群中の1つなどのような非常に薄くて、非強磁性の熱伝導性の材料内に包み込んでも良い。他の使用可能な高温の材料は、Ceramamcast510の名でAremcoが販売している、セラミック製陶材料、または、他のフレキシブルな高温のポリマーが含まれる。そのような材料を使用することで、温度がモニターされるオブジェクトとマイクロワイヤのコア合金材料との間の温度ラグを最小化するために、包含材料の厚さと全体的な熱容量は、最小限に保たれなければならない。
【0072】
さらに、説明した実施形態のマイクロワイヤは、適切になされるなら、糸に撚られるか、または、温度がモニターされるオブジェクトの構造に、織り込んでも良い。例えば、良好な熱接触を維持でき、そして、適当な技術手段で、相互から、および、それぞれの明瞭に特定された(ストップビットを含む)データ要素から、それぞれの温度を変える要素を区別できさえすれば、マイクロワイヤは、炭素繊維の布の中に織り込むこともできる。
【0073】
複合部品生産用の閉ループフィードバックオートクレーブ、オーブン、およびレジントランスファ成形システム
本発明のワイヤレス磁気素子温度センサ、および関連ディテクタは、オートクレーブ、オーブン、レジントランスファ成形システム、および修理プロセスにおいて使用されるバキュームバッグ/加熱システムなどのような閉ループフィードバック処理装置で使用された有線式熱電対の従来技術に代わって、容易に使用することができる。
【0074】
図11を参照すると、一般的な閉ループ加熱システム98は、RFIDリーダの代わりに、誘導加熱装置100に組み込まれたマイクロワイヤディテクタ46(図10参照)を含む。装置100は、ディテクタ46に動作可能に接続した制御用マイクロプロセッサ102、ソリッドステートインバータ104、および、整流器106と共にインバータ104と連動する誘導ワークコイル108を含む。交流電源109と電流センサ109aは、整流器106に動作可能に接続する。磁場発生コイルと磁場受信コイル50と52は、サポート要素112の下に配置されたセンサ部品110の中に組み込まれている。
【0075】
システム98は、本発明の1つ以上の埋め込んだマイクロワイヤセンサ116を有する、米国特許番号6,657,170に記載のような、グラファイト加熱ディスク114の温度を制御するように設計される。ディスク114は、図示するように、センサ116の上と下に、グラファイト層118を有する。もちろんディスク114の代わりに、そこに1つ以上の埋め込んだセンサ116を内部に有する複数層構造の調理器具(例えば、ポットか鍋)などの、いかなる他の誘導加熱可能なオブジェクトも、制御できる。センサ116からの温度情報のフィードバックは、ディテクタ46によって検出され、そして、制御用マイクロプロセッサ102を介して、ディスク114の誘導加熱を制御するのに、この情報を使用できる。さらに、オーブン、オートクレーブ、またはレジントランスファ成形プレスなどのようないかなる種類の加熱装置、または加熱システムも、エネルギの出力を制御するために、ディテクタ46からの温度情報が、前記加熱装置によって使用されている限り、この例の誘導ヒータの代わりをすることができる。
【0076】
例えば、図12では、オートクレーブ120は、ドア開放条件の中で示される。オートクレーブ120は、ベース124によって支持された、厚い壁で囲まれたオートクレーブチャンバ122を含んでいる。チャンバ122は、円形の後方壁126と、同様に構成された(図示しない)前方閉鎖用扉を有する。内部に、オートクレーブチャンバ122は、部品置き台130を支持する取り付け棚128を備えている。その中に適切な温度条件と圧力条件とを確立して維持するために、従来の(図示しない)蒸気入り口と加熱要素とが、チャンバ122に備えられる。さらに、オートクレーブ120は、チャンバ122の中に配置された1組のマイクロワイヤリーダアンテナ132、134を含む。それぞれのアンテナ132、134は、支柱136、138に取り付けられ、後者は、密封されたスライドマウント140、142によって軸方向に調整可能である。アンテナ132、134は、外部のディテクタ144に動作可能に接続されている。ディテクタ144は、チャンバ122の中のプロセス温度を制御するように設計されたオートクレーブマイクロプロセッサコントローラ146に動作可能に接続されている。
【0077】
複合部品148は、チャンバ122の中に配置され、部品置き台130の上に置かれている。部品148は、前述の種類の、細長い、埋め込まれた一連のマイクロワイヤセンサ150を有する。図示しないが、完成部品の中のボイドを除去するために、バッグの中で真空条件を確立することができるように、オートクレーブチャンバの中に配置されるバッグとベースの中に、部品148を置いても良いことが理解されるだろう。
【0078】
部品148の処理の間、アンテナ132、134は、前述のように、適切なインターロゲーションとセンサ150の読み込みを許容しながら、部品148と相対的な位置に移動する。もちろん、追加アンテナを使用することができるが、追加アンテナを、交流のインターロゲーション磁場を発生させる送信用アンテナと、センサ150の再磁化応答を検出するように動作可能な、対応するディテクタのアンテナとに分離しても良い。センサ150からの検出された温度パラメータ情報は、部品148の一連の処理の間、チャンバ122の中で適切な温度条件と圧力条件を維持するために、オートクレーブコントローラ146によって使用される。
【0079】
図13は、一種の真空バッグ詰め装置152を示す。そのような装置は、通常オートクレーブやオーブンやその他の密閉機器(closure)の中で使用されているが、修理プロセスではわずかに変更された形態で使用される。装置152は、(修理プロセスにおいて部品自体の切断によって取り替えられる)ツーリングベース154と周囲のシール158を介してベース154に貼り付けられた柔軟なシート、またはカバー156とで構成されたチャンバ153を含んでいる。ベース154とカバー156は、連携して内部のオブジェクト処理ゾーン160を規定する。真空ヘッド162は、ゾーン160の中に位置し、導管164を通して(図示しない)真空源へと外側に延在する。マイクロワイヤリーダアンテナ166は、カバー156の外側に配置され、リード線168を通して(図示しない)ディテクタに動作可能に接続されている。
【0080】
図示された実施形態では、部品170は、部品170の下側とベース154との間に、任意の中間リリース層172を備えたベース154の上に支持されている。部品170は、その中に埋め込まれた細長い複数のマイクロワイヤセンサ174を有する。ブリーザ176は、その間に皮層178を備えたパート170の上に配置される。
【0081】
使用中に、ゾーン160の中の温度条件と真空条件は、ベース154の加熱やヘッド162による真空化などのような様々な手段によって確立され維持される。処理サイクルの間、アンテナ166は、適切な交流磁場の発生によってセンサ174をインターロゲーションし、センサ174の再磁化応答が検出される。次に、そのような検出された情報は、プロセス制御目的のために、装置152用の総合的なマイクロプロセッサ制御装置によって使用されるか、または、マニュアル用、または従来技術の加熱の制御用の部品の温度を簡単にモニターするために使用される。
【0082】
ここに記載されたそれぞれの特許と引用文献は、引用することによって、本明細書の中に具体的に、かつ完全に組み込まれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理されるオブジェクトを保持するように構成されたチャンバであって、前記オブジェクトに関連し、そのオブジェクトの処理の間にそのオブジェクトの温度に関連するパラメータを検出することができる、磁力によって影響されやすいマイクロワイヤセンサ要素を有するチャンバと、
前記センサの領域内で交流磁場を発生することができ、前記パラメータの基準として前記センサの磁気応答を検出することができる、前記チャンバに隣接するアンテナ組立品を含むディテクタと、を含むオブジェクト処理用装置。
【請求項2】
前記温度パラメータは、前記オブジェクトの温度、前記オブジェクトの必要な温度、前記オブジェクトの温度範囲、前記オブジェクトの必要な温度範囲、前記オブジェクトの最低温度、前記オブジェクトの最高温度、前記オブジェクトの加熱特性、および、前記オブジェクトが支える材料の温度、から成る群から選択される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記センサ要素は、磁力によって影響されやすいセンサ要素を含み、そのセンサ要素は、適用された交流磁場の影響に基づく再磁化応答を有し、前記再磁化応答は、所定期間の磁場摂動の少なくとも1つの短い検出可能なパルスによって定義され、約400℃よりも低温の少なくとも1つの設定温度の下と上とで異なる、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
複数の前記センサ要素があり、少なくとも、ある前記センサ要素は、他の前記センサ要素と異なる設定温度を有する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記設定温度は、前記センサ要素のキュリー温度である、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記センサ要素は、複数の異なる設定温度の上と下とで異なる再磁化応答を有する、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
前記複数の異なる設定温度は、前記センサ要素の前記キュリー温度よりも低温である、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記センサ要素は、金属ボディーを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記金属ボディーは、非結晶質である、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記金属ボディーは、ナノ結晶である、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記金属ボディーは、細長いワイヤ形状か薄い断片形状であり、約100μm以下の最大横断面寸法を有する、請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記金属ボディーは、Feベースの合金、Coベースの合金、および、それらの混合物、から成る群から選択される少なくとも1種の合金で形成される、請求項8に記載の装置。
【請求項13】
前記合金は、クロムを含有する、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記センサ要素は、金属ボディーを含み、前記ボディーを取り囲むガラス被膜を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記センサ要素は、金属ボディーを含み、前記金属ボディーに強磁性シースが隣接する、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記要素は、金属ボディーを含み、その金属ボディーは、10A/m未満の飽和保磁力、20,000よりも高い相対透磁率、実質的にゼロ、または、わずかに正の磁気歪、および、大きいバルクハウゼン不連続性を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記要素は、金属ボディーを含み、その金属ボディーは、前記隣接する強磁性シースの前記キュリー温度よりも高温では、特徴的な再磁化パルスを発生し、前記隣接する強磁性シースの前記キュリー温度よりも低温の1つ以上の温度では、いかなる再磁化パルスも、または、変化した再磁化パルスも発生しない、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
前記オブジェクトは、部品または部品プレカーソルである、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記チャンバは、オートクレーブチャンバ、レジントランスファ型、およびプレッシャバッグ組立品またはバキュームバッグ組立品から成る群から選択される、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記チャンバは、オートクレーブチャンバであり、前記ディテクタ組立品は、前記オートクレーブチャンバの範囲の中に位置し、前記オートクレーブチャンバの外側でディテクタと動作可能に接続された少なくとも1つのアンテナを含む、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記チャンバは、プレッシャバッグ組立品またはバキュームバッグ組立品であり、前記ディテクタ組立品は、前記プレッシャバッグ組立品またはバキュームバッグ組立品の外側に配置されたアンテナを含む、請求項19に記載の装置。
【請求項22】
オブジェクト処理用チャンバと、
前記チャンバ内に配置された状態で処理されるオブジェクトと、
前記チャンバ内の前記オブジェクトに関連し、そのオブジェクトの処理の間にそのオブジェクトの温度に関連するパラメータを検出することができる、磁力によって影響されやすいマイクロワイヤセンサ要素と、
前記センサの領域内で交流磁場を発生することができ、前記パラメータの基準として前記センサの磁気応答を検出することができる、前記チャンバに隣接するアンテナ組立品を含むディテクタと、を含む組み合わせ。
【請求項23】
前記オブジェクトは、部品または部品プレカーソルを含む、請求項22に記載の組み合わせ。
【請求項24】
前記温度パラメータは、前記オブジェクトの温度、前記オブジェクトの必要な温度、前記オブジェクトの温度範囲、前記オブジェクトの必要な温度範囲、前記オブジェクトの最低温度、前記オブジェクトの最高温度、前記オブジェクトの加熱特性、および、前記オブジェクトが支える材料の温度、から成る群から選択される、請求項22に記載の組み合わせ。
【請求項25】
前記センサ要素は、磁力によって影響されやすいセンサ要素を含み、そのセンサ要素は、適用された交流磁場の影響に基づく再磁化応答を有し、前記再磁化応答は、所定期間の磁場摂動の少なくとも1つの短い検出可能なパルスによって定義され、約400℃よりも低温の少なくとも1つの設定温度の下と上とで異なる、請求項22に記載の組み合わせ。
【請求項26】
複数の前記センサ要素があり、少なくとも、ある前記センサ要素は、他の前記センサ要素と異なる設定温度を有する、請求項22に記載の組み合わせ。
【請求項27】
前記設定温度は、前記センサ要素のキュリー温度である、請求項26に記載の組み合わせ。
【請求項28】
前記センサ要素は、複数の異なる設定温度の上と下とで異なる再磁化応答を有する、請求項26に記載の組み合わせ。
【請求項29】
前記複数の異なる設定温度は、前記センサ要素の前記キュリー温度よりも低温である、請求項28に記載の組み合わせ。
【請求項30】
前記センサ要素は、金属ボディーを含む、請求項22に記載の組み合わせ。
【請求項31】
前記金属ボディーは、非結晶質である、請求項30に記載の組み合わせ。
【請求項32】
前記金属ボディーは、ナノ結晶である、請求項31に記載の組み合わせ。
【請求項33】
前記金属ボディーは、細長いワイヤ形状か薄い断片形状であり、約100μm以下の最大横断面寸法を有する、請求項30に記載の組み合わせ。
【請求項34】
前記金属ボディーは、Feベースの合金、Coベースの合金、および、それらの混合物、から成る群から選択される少なくとも1種の合金で形成される、請求項30に記載の組み合わせ。
【請求項35】
前記合金は、クロムを含有する、請求項34に記載の組み合わせ。
【請求項36】
前記センサ要素は、金属ボディーを含み、前記ボディーを取り囲むガラス被膜を有する、請求項22に記載の組み合わせ。
【請求項37】
前記センサ要素は、金属ボディーを含み、前記金属ボディーに強磁性シースが隣接する、請求項22に記載の組み合わせ。
【請求項38】
前記要素は、金属ボディーを含み、その金属ボディーは、10A/m未満の飽和保磁力、20,000よりも高い相対透磁率、実質的にゼロ、または、わずかに正の磁気歪、および、大きいバルクハウゼン不連続性を有する、請求項22に記載の組み合わせ。
【請求項39】
前記要素は、金属ボディーを含み、その金属ボディーは、前記隣接する強磁性シースの前記キュリー温度よりも高温では、特徴的な再磁化パルスを発生し、前記隣接する強磁性シースの前記キュリー温度よりも低温の1つ以上の温度では、いかなる再磁化パルスも、または、変化した再磁化パルスも発生しない、請求項38に記載の組み合わせ。
【請求項40】
前記チャンバは、オートクレーブチャンバ、レジントランスファ型、およびプレッシャバッグ組立品またはバキュームバッグ組立品から成る群から選択される、請求項22に記載の組み合わせ。
【請求項41】
前記チャンバは、オートクレーブチャンバであり、前記ディテクタ組立品は、前記オートクレーブチャンバの範囲の中に位置し、前記オートクレーブチャンバの外側でディテクタと動作可能に接続された少なくとも1つのアンテナを含む、請求項40に記載の組み合わせ。
【請求項42】
前記チャンバは、プレッシャバッグ組立品またはバキュームバッグ組立品であり、前記ディテクタ組立品は、前記プレッシャバッグ組立品またはバキュームバッグ組立品の外側に配置されたアンテナを含む、請求項40に記載の組み合わせ。
【請求項43】
密閉されたチャンバの中でのオブジェクトの処理のために、プロセスを少なくとも一部制御する方法であって、
処理されるオブジェクトを保持するように構成されたチャンバと、前記オブジェクトに関連し、そのオブジェクトの処理の間に前記オブジェクトの温度に関連するパラメータを検出することができる、磁力によって影響されやすいマイクロワイヤセンサ要素とを備え、
前記センサの領域内で交流磁場を発生し、
前記発生した磁場への前記センサ要素の応答を検出し、前記パラメータを少なくとも一部測定するのに前記検出された応答を使用し、
前記プロセスを少なくとも一部制御するのに前記検出されたパラメータを使用するステップを含む方法。
【請求項44】
前記チャンバは、オートクレーブチャンバ、レジントランスファ型、およびプレッシャバッグ組立品またはバキュームバッグ組立品から成る群から選択される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記処理プロセスは、加熱、成形、および硬化プロセスから成る群から選択される、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記検出された応答は、前記センサ要素の再磁化応答である、請求項43に記載の方法。
【請求項1】
処理されるオブジェクトを保持するように構成されたチャンバであって、前記オブジェクトに関連し、そのオブジェクトの処理の間にそのオブジェクトの温度に関連するパラメータを検出することができる、磁力によって影響されやすいマイクロワイヤセンサ要素を有するチャンバと、
前記センサの領域内で交流磁場を発生することができ、前記パラメータの基準として前記センサの磁気応答を検出することができる、前記チャンバに隣接するアンテナ組立品を含むディテクタと、を含むオブジェクト処理用装置。
【請求項2】
前記温度パラメータは、前記オブジェクトの温度、前記オブジェクトの必要な温度、前記オブジェクトの温度範囲、前記オブジェクトの必要な温度範囲、前記オブジェクトの最低温度、前記オブジェクトの最高温度、前記オブジェクトの加熱特性、および、前記オブジェクトが支える材料の温度、から成る群から選択される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記センサ要素は、磁力によって影響されやすいセンサ要素を含み、そのセンサ要素は、適用された交流磁場の影響に基づく再磁化応答を有し、前記再磁化応答は、所定期間の磁場摂動の少なくとも1つの短い検出可能なパルスによって定義され、約400℃よりも低温の少なくとも1つの設定温度の下と上とで異なる、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
複数の前記センサ要素があり、少なくとも、ある前記センサ要素は、他の前記センサ要素と異なる設定温度を有する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記設定温度は、前記センサ要素のキュリー温度である、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記センサ要素は、複数の異なる設定温度の上と下とで異なる再磁化応答を有する、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
前記複数の異なる設定温度は、前記センサ要素の前記キュリー温度よりも低温である、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記センサ要素は、金属ボディーを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記金属ボディーは、非結晶質である、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記金属ボディーは、ナノ結晶である、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記金属ボディーは、細長いワイヤ形状か薄い断片形状であり、約100μm以下の最大横断面寸法を有する、請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記金属ボディーは、Feベースの合金、Coベースの合金、および、それらの混合物、から成る群から選択される少なくとも1種の合金で形成される、請求項8に記載の装置。
【請求項13】
前記合金は、クロムを含有する、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記センサ要素は、金属ボディーを含み、前記ボディーを取り囲むガラス被膜を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記センサ要素は、金属ボディーを含み、前記金属ボディーに強磁性シースが隣接する、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記要素は、金属ボディーを含み、その金属ボディーは、10A/m未満の飽和保磁力、20,000よりも高い相対透磁率、実質的にゼロ、または、わずかに正の磁気歪、および、大きいバルクハウゼン不連続性を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記要素は、金属ボディーを含み、その金属ボディーは、前記隣接する強磁性シースの前記キュリー温度よりも高温では、特徴的な再磁化パルスを発生し、前記隣接する強磁性シースの前記キュリー温度よりも低温の1つ以上の温度では、いかなる再磁化パルスも、または、変化した再磁化パルスも発生しない、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
前記オブジェクトは、部品または部品プレカーソルである、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記チャンバは、オートクレーブチャンバ、レジントランスファ型、およびプレッシャバッグ組立品またはバキュームバッグ組立品から成る群から選択される、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記チャンバは、オートクレーブチャンバであり、前記ディテクタ組立品は、前記オートクレーブチャンバの範囲の中に位置し、前記オートクレーブチャンバの外側でディテクタと動作可能に接続された少なくとも1つのアンテナを含む、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記チャンバは、プレッシャバッグ組立品またはバキュームバッグ組立品であり、前記ディテクタ組立品は、前記プレッシャバッグ組立品またはバキュームバッグ組立品の外側に配置されたアンテナを含む、請求項19に記載の装置。
【請求項22】
オブジェクト処理用チャンバと、
前記チャンバ内に配置された状態で処理されるオブジェクトと、
前記チャンバ内の前記オブジェクトに関連し、そのオブジェクトの処理の間にそのオブジェクトの温度に関連するパラメータを検出することができる、磁力によって影響されやすいマイクロワイヤセンサ要素と、
前記センサの領域内で交流磁場を発生することができ、前記パラメータの基準として前記センサの磁気応答を検出することができる、前記チャンバに隣接するアンテナ組立品を含むディテクタと、を含む組み合わせ。
【請求項23】
前記オブジェクトは、部品または部品プレカーソルを含む、請求項22に記載の組み合わせ。
【請求項24】
前記温度パラメータは、前記オブジェクトの温度、前記オブジェクトの必要な温度、前記オブジェクトの温度範囲、前記オブジェクトの必要な温度範囲、前記オブジェクトの最低温度、前記オブジェクトの最高温度、前記オブジェクトの加熱特性、および、前記オブジェクトが支える材料の温度、から成る群から選択される、請求項22に記載の組み合わせ。
【請求項25】
前記センサ要素は、磁力によって影響されやすいセンサ要素を含み、そのセンサ要素は、適用された交流磁場の影響に基づく再磁化応答を有し、前記再磁化応答は、所定期間の磁場摂動の少なくとも1つの短い検出可能なパルスによって定義され、約400℃よりも低温の少なくとも1つの設定温度の下と上とで異なる、請求項22に記載の組み合わせ。
【請求項26】
複数の前記センサ要素があり、少なくとも、ある前記センサ要素は、他の前記センサ要素と異なる設定温度を有する、請求項22に記載の組み合わせ。
【請求項27】
前記設定温度は、前記センサ要素のキュリー温度である、請求項26に記載の組み合わせ。
【請求項28】
前記センサ要素は、複数の異なる設定温度の上と下とで異なる再磁化応答を有する、請求項26に記載の組み合わせ。
【請求項29】
前記複数の異なる設定温度は、前記センサ要素の前記キュリー温度よりも低温である、請求項28に記載の組み合わせ。
【請求項30】
前記センサ要素は、金属ボディーを含む、請求項22に記載の組み合わせ。
【請求項31】
前記金属ボディーは、非結晶質である、請求項30に記載の組み合わせ。
【請求項32】
前記金属ボディーは、ナノ結晶である、請求項31に記載の組み合わせ。
【請求項33】
前記金属ボディーは、細長いワイヤ形状か薄い断片形状であり、約100μm以下の最大横断面寸法を有する、請求項30に記載の組み合わせ。
【請求項34】
前記金属ボディーは、Feベースの合金、Coベースの合金、および、それらの混合物、から成る群から選択される少なくとも1種の合金で形成される、請求項30に記載の組み合わせ。
【請求項35】
前記合金は、クロムを含有する、請求項34に記載の組み合わせ。
【請求項36】
前記センサ要素は、金属ボディーを含み、前記ボディーを取り囲むガラス被膜を有する、請求項22に記載の組み合わせ。
【請求項37】
前記センサ要素は、金属ボディーを含み、前記金属ボディーに強磁性シースが隣接する、請求項22に記載の組み合わせ。
【請求項38】
前記要素は、金属ボディーを含み、その金属ボディーは、10A/m未満の飽和保磁力、20,000よりも高い相対透磁率、実質的にゼロ、または、わずかに正の磁気歪、および、大きいバルクハウゼン不連続性を有する、請求項22に記載の組み合わせ。
【請求項39】
前記要素は、金属ボディーを含み、その金属ボディーは、前記隣接する強磁性シースの前記キュリー温度よりも高温では、特徴的な再磁化パルスを発生し、前記隣接する強磁性シースの前記キュリー温度よりも低温の1つ以上の温度では、いかなる再磁化パルスも、または、変化した再磁化パルスも発生しない、請求項38に記載の組み合わせ。
【請求項40】
前記チャンバは、オートクレーブチャンバ、レジントランスファ型、およびプレッシャバッグ組立品またはバキュームバッグ組立品から成る群から選択される、請求項22に記載の組み合わせ。
【請求項41】
前記チャンバは、オートクレーブチャンバであり、前記ディテクタ組立品は、前記オートクレーブチャンバの範囲の中に位置し、前記オートクレーブチャンバの外側でディテクタと動作可能に接続された少なくとも1つのアンテナを含む、請求項40に記載の組み合わせ。
【請求項42】
前記チャンバは、プレッシャバッグ組立品またはバキュームバッグ組立品であり、前記ディテクタ組立品は、前記プレッシャバッグ組立品またはバキュームバッグ組立品の外側に配置されたアンテナを含む、請求項40に記載の組み合わせ。
【請求項43】
密閉されたチャンバの中でのオブジェクトの処理のために、プロセスを少なくとも一部制御する方法であって、
処理されるオブジェクトを保持するように構成されたチャンバと、前記オブジェクトに関連し、そのオブジェクトの処理の間に前記オブジェクトの温度に関連するパラメータを検出することができる、磁力によって影響されやすいマイクロワイヤセンサ要素とを備え、
前記センサの領域内で交流磁場を発生し、
前記発生した磁場への前記センサ要素の応答を検出し、前記パラメータを少なくとも一部測定するのに前記検出された応答を使用し、
前記プロセスを少なくとも一部制御するのに前記検出されたパラメータを使用するステップを含む方法。
【請求項44】
前記チャンバは、オートクレーブチャンバ、レジントランスファ型、およびプレッシャバッグ組立品またはバキュームバッグ組立品から成る群から選択される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記処理プロセスは、加熱、成形、および硬化プロセスから成る群から選択される、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記検出された応答は、前記センサ要素の再磁化応答である、請求項43に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図4A】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図4A】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2010−516516(P2010−516516A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547404(P2009−547404)
【出願日】平成20年1月23日(2008.1.23)
【国際出願番号】PCT/US2008/051827
【国際公開番号】WO2008/091964
【国際公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(502082890)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月23日(2008.1.23)
【国際出願番号】PCT/US2008/051827
【国際公開番号】WO2008/091964
【国際公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(502082890)
【Fターム(参考)】
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