説明

マイクロ流体プラットフォームのラジオアイソトープ濃度数量化デバイス

マイクロ流体デバイスは、マイクロ流体回路層と、マイクロ流体回路層の近傍に配置された荷電粒子検知層と、を備える。マイクロ流体デバイスは、動作中、マイクロ流体回路層内のサンプルから荷電粒子放出による二次元画像を提供する。生体サンプルの放射能を数量化する方法は、生物材料を含有する流体をマイクロ流体デバイスへ方向付けることと、生物材料が放出した荷電電子を、二次元撮像センサで検知することと、生体サンプルの放射能に対応する二次元画像を経時的に形成することと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2006年4月20日提出の米国仮出願番号第60/793,241、および2006年7月24日提出の米国仮出願番号第60/832,615の優先権を主張しており、これらの内容の全体を参照としてここに組み込む。
【0002】
本発明は、マイクロ流体デバイスに関しており、より具体的には、荷電粒子検知器および/または光検知構造を有するマイクロ流体デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
陽電子その他の荷電粒子の検知に特化した撮像プローブが、イントラオペラティブな操作用に開発されてきた。詳しくは、Hoffman,E.J.,Tornai,M.P.,Levin,C.S.,MacDonald,L.R.&Siegel,S.Design and performance of gamma and beta intra−operative imaging probes, Physica Media 13,243−246(1997)、Macdonald,L.R.et al.Investigation of the Physical Aspects of Beta−Imaging Probes Using Scintillating Fibers and Visible−Light Photon Counters. IEEE Transactions on Nuclear Science 42,1351‐1357(1995)、Tornai,M.P.,MacDonald,L.R.,Levin,C.S.,Siegel,S.&Hoffman,E.J.Design considerations and initial performance of a 1.2cm(2) beta imaging intra−operative probe,IEEE Transactions on Nuclear Science 43,2326‐2335(1996)、およびBarthe,N.,Chatti,K.,Coulon,P.,Maitrejean,S.&Basse−Cathalinat,B. Recent technoligic developments on high−resolution beta imaging systems for quantitative autoradiography and double labeling applications.Nuclear Instruments & Methods in Physics Research Section A:Accelerators Spectrometers Detectors and Associated Equipment 527,41‐45(2004)参照のこと。商業的に成功しているもっとも一般的なイントラオペラティブ荷電粒子検知プローブは、撮像タイプではないものである(http://www.intra-medical.com/beta.html)。ベータ粒子のオートラジオグラフィー撮像および数量化には、様々な技術に基づき他のデバイスも開発されてきた。これらは励起された組織セクション撮像用に最適化されている(http://www.biomolex.com/, http://www.biospace.fr/en/mi.php参照)。しかし、例えば摂氏37度で培養された生存セルの検知および撮像用の電荷粒子検知器の類を備えるマイクロ流体チップは現在に至るまで実現していない。従来のデバイスは、マイクロ流体チップと荷電粒子検知器とを綿密に統合したものではなく、特に高感度、用途の広さ、および低コストといった面が未完成である。それゆえ、マイクロ流体デバイスの向上が望まれている。
【0004】
本明細書で引用される全ての参照をここに参照として組み込む。
【発明の開示】
【0005】
本発明の一実施形態によるマイクロ流体デバイスは、マイクロ流体回路層と、マイクロ流体回路層の近傍に配置された荷電粒子検知層と、を備える。マイクロ流体デバイスは、動作中、マイクロ流体回路層内のサンプルから荷電粒子放出による二次元画像を提供する。
【0006】
本発明の一実施形態による生体サンプルの放射能の数量化方法は、生物材料を含有する流体をマイクロ流体デバイスへ方向付けることと、生物材料が放出する荷電流体を、二次元撮像センサで検知することと、生体サンプルの放射能に対応する二次元画像を形成することと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態による、表面固定されたたんぱく質と荷電粒子放出プローブとの動的相互作用の数量化に利用されうるマイクロチップに基づくたんぱく質アレイを示す。表面固定されたたんぱく質がセルにとって代わられると、このデバイスをマイクロチップに基づくセルアレイとして利用して、表面固定されたセルと撮像プローブとの動的相互作用を数量化することができる。
【0008】
【図2A】本発明の一実施形態による、シンチレーション放射線検知器を有するマイクロ流体デバイスの概略断面図である。本例においては、流体チャネルとシンチレータとの間に10ミクロンの端部層が存在する。本例におけるシンチレータは、レンズを介して電荷結合素子(CCD)撮像センサに結合される。
【0009】
【図2B】本発明の別の実施形態による、マイクロ流体デバイスの概略図である。集光を向上させるべく、CCDは光ファイバプレートを介して撮像センサに結合されうる。
【0010】
【図3A】シンチレータの写真画像への18Fオーバレイから検知したシンチレーション光を示す。
【0011】
【図3B】18Fソースアクティビティの関数として対象領域から検知したシンチレーション光を示す。
【0012】
【図4】FDGで充たされ、x=1mm、y=1.5mm、およびz=3mmに分離された、直径1mmの多数のウェルを示す。
【0013】
【図5】約500のNIH3T3セルを7日間維持したミニチュアセル培養チャンバを示す。
【0014】
【図6】FLTおよびFDDNP生成用のマイクロ流体回路の概略図を示す。さらなるカラムモジュールが、円形の反応チャンバにより生成されるFLTおよびFDDNPのオンチップ浄化用に組み込まれる。
【0015】
【図7A】UV―Visマイクロセル用の、本発明の一実施形態によるマイクロ流体デバイスの部分の概略図である。
【図7B】化学反応回路および放射検知器と集積される蛍光マイクロセル用の、本発明の一実施形態によるマイクロ流体デバイスの部分の概略図である。
【0016】
【図8】CsIシンチレータ結晶のマイクロカラム(microcolumnar)構造を示す。
【0017】
【図9】本発明の一実施形態による、マイクロ流体デバイスの一実施形態の断面概略図である。本実施形態は、シンチレータおよび光学撮像センサの代わりに固体撮像素子を含む。
【0018】
【図10A】ライン対が0.5mmの中央分離を有する可変中央を有する、FDGで充たされた、マイクロ流体ライン対チップを示す。本実施形態においては、0.5mmのライン対が決定される。
【0019】
【図10B】本発明の一例による、片側に0.25mmを計測する小さな矩形状のマイクロウェルを有するマイクロ流体チップの写真である。
【0020】
【図10C】本発明の一例による、FDGの4.33nCiが充たされたマイクロウェルチップから入手された陽電子の画像を示す。
【0021】
【図11】破線で示した理論上の18F減衰曲線とともにプロットされた、バックグラウンド除去後の一分あたりの正味計測数を示す。
【0022】
【図12】本発明の一実施形態による、マイクロ流体デバイスの断面概略図である。チップの中央には、放射能セル(radioactive cell)および溶液を備えることのできるマイクロ流体チャネルが存在する。チャネルの下には、溶液の流れを制御するのに利用できる一連の基板層がある。PSAPDは、可視光からアルミナイズマイラー膜により封止され、犠牲マイラー膜で保護されている。
【0023】
【図13】読み出し電子が保護金属筐体の下、且つその内部に隠れている、PSAPD検知器の上面の写真である。
【0024】
【図14A】本発明の一実施形態による、PSAPD検知器の上面にバルブの空気制御用チューブを有するマイクロ流体チップの写真である。
【0025】
【図14B】本発明の一実施形態による、PSAPDセンサを利用する、3T3マウス線維芽細胞のFDG通気管(FDG uptake)の画像を示す。
【0026】
【図14C】図14Bに対応するマイクロスコープで撮像された生細胞の写真である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1は、本発明の一実施形態による、マイクロ流体デバイス100の幾らかの構造的部材の概略図である。マイクロ流体デバイス100は、マイクロ流体回路層102および制御回路層104を有する。マイクロ流体回路層102は、有機および/または無機材料で構築されてよく、例えばテンプレートを利用してPDMSで形成されてよいが、それに限定はされない。テンプレートは、フォトリソグラフィ法で構築されてよい。例えば、フォトレジストを、シリコン基板などの基板に堆積させ、フォトマスクを利用して該フォトレジストを所望のパターンに露光してから、露光した基板をエッチングしてよい。所望する場合、このプロセスを繰り返すことでより複雑なパターンを形成できる。マイクロ流体回路層102は、可能性がある一例を提供するマイクロチャネル106のような、複数のマイクロチャネルを画定するよう構築されてよい。さらには、マイクロ流体回路層102を、チャンバ108のような複数のチャンバを画定するように構築してもよい。マイクロ流体チャネルおよびチャンバは、例えば、その組成に荷電粒子エミッタが組み込まれた、および/または付着した生体物質などの、生体物質の流れおよび/または生体物質を含む流れを方向付けるよう構築されてよい。
【0028】
制御回路層104は、マイクロ流体回路102のチャネルに、および/またはチャンバに、導入されうる1または複数の流体の流れおよび/または隔離を制御すべくバルブを開閉するよう動作する。本発明の一実施形態においては、制御回路104もまた、流体の流れを停止させえ、またはマイクロ流体回路102の近傍領域を超えさせうる、流体により操作されうる複数のバルブ機動機を有するマイクロ流体回路である。本発明の一般構想は、適用される流体を利用して動作する制御回路のみに限定されはしない。例えば、制御回路104は、本発明の広い概念を逸脱することなしに、機械的に、および/または、電子機械的に動作可能な制御回路であってよい。
【0029】
図2Aは、本発明の一実施形態による、マイクロ流体デバイス200の概略図である。マイクロ流体デバイス200は、マイクロ流体回路層202および荷電粒子検知層204を有する。マイクロ流体回路層は、マイクロ流体回路層102に類似していてよい、あるいは実質的に等しくてよい。マイクロ流体デバイス200はさらに、制御回路層206を含んでもよい。制御回路層206は、制御回路層104と類似していてよい、あるいは実質的に等しくてよい。本例においては、荷電粒子検知層204は、制御回路層206と比して、マイクロ流体回路層202の反対の面にある。本発明はこのような配置のみに限定されない。例えば本発明の他の実施形態においては、制御回路206が、マイクロ流体回路層202と荷電粒子検知層204との間に配置されてもよい。荷電粒子は、概して、物質と強く相互作用するので、液体および固体などの密度の高い物質における平均自由行程が比較的短く、例えば、電子‐陽電子対の消滅により生成される511keVガンマ線に匹敵する。従って、本発明の幾らかの実施形態は、マイクロ流体回路層202の付近に、密度の高い物質の薄層のみを介して、荷電粒子検知層204を配置している。これは、検知効率および画像分解能を向上させる助けとなる。荷電粒子検知層204をマイクロ流体回路層内の流体から隔離しておくことが望ましい場合、薄いマイクロ流体端部層214を含めてもよい。例えばマイクロ流体端部層214は10マイクロメータの厚みのPDMS層であってよい。しかし、本発明の広い概念は、これら特定の設計フィーチャに限定されない。マイクロ流体端部層214は、マイクロ流体回路202が配置可能ではあるが荷電粒子検知層204を再利用することが望ましい場合などにおいて、例えば、荷電粒子検知層204をマイクロ流体回路202から分離しておくことを促進することができる。荷電粒子検知層204は、図2Aに示す例におけるシンチレータ材料層である。
【0030】
マイクロ流体デバイス200はさらに、荷電粒子検知層204に移動する荷電粒子が生成する光子を検知する検知システム208を有する。検知システム208は、レンズシステム210および撮像センサ212を含んでもよい。レンズシステム210は、所望の画像特性を有する撮像センサ212に荷電粒子検知層204から集光した光による画像を形成するべく、所望に応じて単一のレンズあるいは複数のレンズであってよい。画像センサはCCD撮像チップでありうるが、それに限定はされない。
【0031】
図2Bは、本発明の別の実施形態によるマイクロ流体デバイス300の概略図である。マイクロ流体デバイス300は、マイクロ流体回路層302および荷電粒子検知層304を有する。さらに、マイクロ流体デバイス300は、制御回路層306を含みうる。マイクロ流体回路層302、荷電粒子検知層304、および制御回路層306は、マイクロ流体回路層202、荷電粒子検知層204、および制御回路層206にそれぞれ類似していてもよく、あるいは実質的に等しくてもよい。マイクロ流体デバイス300はさらに、マイクロ流体端部層214と類似したマイクロ流体端部層308を含みうる。本実施形態においては、マイクロ流体デバイス300は、荷電粒子検知層304上に配置された光ファイバプレート312を含む検知システム310、および光ファイバプレート312上に配置された撮像センサ314を有している。撮像センサ314はCCD撮像チップでありうるが、それに限定はされない。本実施形態の光ファイバプレート312は、近隣の光子との相対空間位置を実質的に維持して二次元画像の高い分解能を保持しつつも、光子を荷電粒子検知層304の表面から撮像センサ314へ導く働きをする。
【0032】
例1
【0033】
UCLAのDepartment of Molecular and Medical Pharmacology and the Crump Institute for Molecular ImagingのHadjioannouおよびTsengの研究グループの共同作業により、マイクロ流体回路と荷電粒子(例えば、電子、陽電子、およびアルファ粒子)とを集積することによって新たな技術が開発されるに至った。本発明は、ごく少量の放射性標識化プローブ分子(radio-labeled probe molecules)を扱い、これらプローブ分子を、二次元(2-D)分解能を集積デバイスの時間の関数として、数量化することができる。既存の技術(例えば、PETあるいはSPECT断層撮影法)と比べると、本発明では、100pCiまでの格段に(ログオーダーまで)向上した感度、および、0.01mmまでの空間分解能、および劇的に減少したコストを達成することが出来る。これを利用して、マイクロチップに基づく化学的および生物学的動作の多局面を数量化しうる。以下はこの例である。
【0034】
(i)表面固定されたたんぱく質(surface-immobilized proteins)と荷電粒子放出撮像プローブとの動的相互作用の数量化に利用されうるマイクロチップに基づくたんぱく質アレイ(図1)。この場合、マイクロ流体回路の断面図(図2)が示すように、位置検知性放射線検知層(position sensitive radiation detector layer)を多層マイクロ流体回路に組み込むことができる。
【0035】
少量のプローブ分子を、各個別のチャンバの表面にたんぱく質が固定された流体回路層に導入する(図1)。マイクロチップ動作を司る制御回路はその下にある(2000年Unger、M.A.らによる、Monolithic Microfabricated Valves and Pumps、by Multilayer Soft Lithography, Science 288、113‐6)。放射線感度シンチレータ層は、流体層の真上にあり、最小の距離分(10ミクロン)隔てられている。制御および流体層の材料はPDMSポリ(ジメチルシロキサン)である。シンチレーション層は、放射線の荷電粒子を光に変換する目的に具されており、例えば、レンズを介すか(図2A)、あるいは光ファイバプレートを介して(図2B)、感光性カメラに対して長い距離伝播できる。図2Aの場合、検知器は、一定の距離離れ、レンズにより連結されることで、デバイス設計に柔軟性を与えることができる。図2Bの場合、検知器は光ファイバプレートに直接連結されることで、より高い感度を与えることができる。
【0036】
(ii)表面固定されたたんぱく質がセルにとって代わられると、上述のデバイスをマイクロチップに基づくセルアレイとして利用して、表面固定されたセルと撮像プローブとの動的相互作用を数量化しうる。
【0037】
(iii)放射性標識化撮像プローブ(radiolabeled imaging probe)製造用のマイクロ流体化学反応回路においては、埋め込み放射線検知器(embedded radiation detector)が、マイクロチップに基づく高性能な液体クロマトグラフィ法(HPLC)と共同して、製造純度および歩留まり(yield)を判断しうる。
【0038】
Tsengの研究グループは、(i)化学反応回路(CRC)を有するマイクロ流体デバイス(CTI/UCLA共同特許出願、CTI#4255‐PCT、本発明を網羅しており12月3日に提出、PCT国際出願(2006)。WO2006042276)および(ii)マウス用集積マウス血液サンプラ(仮特許出願、UCLAケース番号2005‐659‐1は、本発明を網羅しており、2005年9月に提出された)。これら発明は、プローブ製造および評価にはほんの少量のサンプルしか必要ではなく、マイクロチップは急速に設計生成され異なるプローブの異なる目的のための必要性を充たすことができるので、新たな分子撮像プローブを発見する道程を促進しうる。例えば、量が乏しい生体指標は(ピコグラム程度)、分子撮像およびその他の生物学的用途でのさらなる評価目的用に、本質的に放射線および/またはフルオロフォア標識化(fluorophore-labeled)されていてよい。従来の卓上の標識化法の利用においては、これは不可能であるが、その理由は以下の通りである。これらマイクロチップに基づくプラットフォームは、デバイスサイズを小型化して、プローブ消費量を低減することにより、多くの利点を提供しうるが、この利点に伴い深刻な課題もある。第一に、マイクロチップが小さいので、既存の断層撮影技法では、合理的な空間分解能を有するチップ上のプローブ分布を数量化することが難しい。第二に、少量のプローブしか入手可能でないので、既存の断層撮影法の感度は、低レベルのプローブを検知するのには不適切である。これら二つの課題により、このマイクロチップに基づく技法を生物学的アセイおよび化学分析にさらに応用することには限界がある。それらは、従来の技法よりも高い2‐D空間分解能および大幅に高い感度を要する。本発明は、幾らかの実施形態により、これら課題の幾らかあるいは全てを解決することができる。
【0039】
放射能標識化プローブ(radioactively labeled probe)は、荷電および非荷電の様々な粒子を放出する。ここで記載する埋め込み放射線検知器は、荷電粒子放出の検知に関する。荷電粒子は、物質内の短い距離を移動して(mmのレベルまで)その入り組んだ経路中に多くの相互作用を経る傾向にある。最も一般的に製造される荷電粒子は、電子(β)あるいは陽電子(β)であるが、本発明のデバイスの原理は、より重いエネルギーのアルファ粒子(α)にも利用できる。
【0040】
陽電子検知をインビボで撮像するには、以下が伝統的な方法である。つまり、経路の終わりに分子プローブにより放出された陽電子を、近傍の電子とともに消滅させ、これにより二つの共線的な(co-linear)ガンマ線(511keV)を生成する。これらガンマは、互いに反対の方向に移動して、専用検知器により、大幅な隔たりがあっても(mのレベルまで)検知することができる。この共線的な(collinear)、長距離経路により、ポジトロン断層法(PET)が、非観血式(non-invasive)インビボの撮像方法として利用できるようになる。しかしながら、PET断層撮影システムの検知感度が511keVガンマまでであることにより、このプロセスの効率には制限がある。技術上およびコスト面での理由により、PET計測のこれらガンマの一致検知に関する効率性は、PETスキャナの「スイートスポット(sweet spot)の」中心において5%程度であり、これは、視野の端部において直線状にゼロまで降下する。これは、理想的な環境下において、100の荷電粒子(陽電子)が放出されるごとに、たった5個だけが有効なイベントとして検知されることを意味する。さらに、この感度は、数百、数千のドル単位のコストがかかるデバイスにより達成できるものである。
【0041】
本発明に記載する用途は、分子をインビボに放出する陽電子の存在の検知ではなくて、マイクロ流体チップ内でそれを検知することである。511keVガンマを検知することに代えて、荷電粒子を直接検知すると、幾らもの主要な利点が実現される。これら利点には以下のようなものがある。すなわち、(a)荷電粒子を集める際に格段に効率アップする、(b)検知限界を格段に減らす、(c)陽電子(βおよびα)に加えて、他の荷電粒子エミッタを検知および数量化することができること、である。ここで利用される非常に効率的で、費用効率が高く、多岐に利用可能な荷電粒子検知法は、シンチレーションプロセスである。
【0042】
本発明の動作原理は以下の通りである。放射性標識化プローブを含む流体をマイクロ流体デバイスに注入して、空間的および時間的分布を経る。マイクロ流体デバイスの性質により、非常に薄い(10ミクロン)材料膜を利用して、マイクロ流体チップが、荷電粒子に反応するシンチレータプレート(charged particle sensitive scintillator plate)から分離される(図2)。
【0043】
このシンチレータプレート材料は、放出される荷電粒子の大半を吸収して、そのエネルギーを可視光陽電子に変換する。感光性カメラにより、シンチレータプレートが生成した光分布の画像を取ることができる。これら画像は、チップ内の放射能プローブの空間的および時間的分布を反映することになる。大半の一般的なシンチレータ材料のシンチレーションプロセスの時定数は、ナノセカンドのレベルであり、故に本例におけるデバイスの時間的解決法は主に、利用されている光カメラなどの光検知器のフレーム取得レートにより制限を受ける。この方法の陽電子検知に関する感度は、PET断層撮影法の現在の技術水準よりも数マグニチュード高いレベルで上回る。この理由は以下の通りである。つまり、(a)シンチレータが反無限のスラブ形状(slab geometry)を有していたとしても、60%を超える電荷粒子が、シンチレータの少なくとも幾らかのエネルギーを堆積させる。故に、5%のピーク粒子検知効率が60%未満の平均効率となってしまう。(b)必要な視野角度の数を、100を超える範囲から1に低減する断層撮影法データ再構築への必要がない。一例についての結果を以下に示し、この論拠をさらに説明する。SPECTエミッタプローブについては、同じ技術の利用により、より高い感度利得が生じる、というのも、SPECT断層撮影システムは、リードコリメータ(lead collimator)の存在により、本質的にPETスキャナよりも100‐1000倍、感度が鈍るからである。
【0044】
45×29×2.7mmであるクリアプラスチックシンチレータプレートが、陽電子を放出する少量の汎用放射能分子撮像プローブで、めっきされた(plated)(18FDG)。放射能の正確な量が、キャリブレーションされたウェル計測器で数量化された。シンチレータプレートは、続いて、冷却CCDカメラを備えたライトタイトブラックボックス(light tight black box)の中に配置され、18F源の衰退中(109.7分の半減期)、12時間の間繰り返し撮像された。シンチレータプレートの撮像が5分のフレームごとに行われ、これにより各時間フレームの源の衰退が重要ではなくなった。この12時間の実験において全部で13の時間フレームが取得された。生成されたフレームに対象領域を引き(図3A)、CCDカメラが集めたシンチレーション陽電子が、既知の源アクティビティ(source activity)の関数としてプロットされた(図3B)。
【0045】
図3Bから分かるように、初歩的な原型の表示セットアップについてでさえ、この方法の反応は相関係数1である線形である。この結果は、システムが、広範囲なアクティビティについて線形に働きうることを示唆する。このテスト中に、感度の下端に興味を持ったが、この技術に基づくシステムは、より高いレベルのアクティビティを非常に簡単に検知することができる(多くのログオーダー)。参照点として、理想的な条件下における断層撮影法の現在の技術水準の小動物PETスキャナのアクティビティの絶対検知限界を図3Bに示す(6‐10nCiまで)。
【0046】
シンチレーションライトの光子は、荷電粒子より長い距離を散乱、および移動しやすく、散乱背景を生成しやすいので、可変の距離で隔てられた多数の近隣したウェルを利用して同様の実験を行った。この実験結果は、図4から分かるように、マイクロ流体チップ配置ウェルの密度は容易に約1.5mmまで増加できることを示している。これよりずっと高い空間分解能も、シンチレータ内の光コリメーションにより達成することができる。
【0047】
UCLAの薬理学部におけるWitteおよびTsengのグループの共同研究により、寸法が1mm×1mm×0.04mmのマイクロチップに基づくセルの培養器(図5)が、小型化された様式でセルの培養を行う目的から開発された。NiH3T3およびHeLaセルライン両方が、これらマイクロ流体培養チャンバで約1週間維持されうる。本発明の本例においては、セル培養チャンバに接続されるマイクロチャネルは四つあり、一対がセル導入に利用され、残りの対が、培養媒体および栄養を継続的に配給するかん流チャネルとして利用される。培養媒体のかん流中に、デッドボリュームが生じるのを避けるべく、幾らかの小さなチャネル(幅2μm)がセルチャンバの端部に沿って集積されることで均一な流れを生成する。さらに、ガス交換システムが、媒体/栄養チャネルのいずれかに連結され、COが継続的に供給され、セル培養環境のpH値を維持することを保証する。例えば、幾らかのセル培養チャンバ(例えば10個)を単一のマイクロチップ上に集積して、小型化されたセルアセイを形成して、このセルアセイを利用して新たな分子撮像プローブの取り込み速度を研究してもよい。
【0048】
幾らかの18F放射性標識化撮像プローブの中で、FDG合成は例外的な例である。FDG生成の歩留まりは、かなり高く(「合成ボックス」およびマイクロチップをそれぞれ利用すると約80および98%)、放射性標識化反応の主たる副産物はグルコースであり、これは生物学的システムに偏在的に存在し、FDG−PET撮像への影響がほとんどない。FDG生成にマイクロチップに基づく技術を利用することで、結果生じるFDGは、簡単な治療の後、つまり、小さなALカートリッジでろ過して、過熱により殺菌した後に、患者管理を行う用意が整う。対照的に、FLTおよびFDDNPの合成は、幾分疑わしい。つまり、それらの反応歩留まりは比較的低く、反応の副産物は複雑であり、もっとも重要なことは、これら反応副産物の幾らかに毒性があり、PET撮像時にプローブ分子と競合する可能性があることである。FLTおよびFDDNPがマイクロチップに基づく技術により得ることができるが、結果生じる生成物は、患者の撮像に利用される前に、さらに高性能液体クロマトグラフィ(HPLC)により巨視的設定下で浄化される必要がある。従って、チップに基づく洗浄モジュールを組み込むと、つまり、同じマイクロ流体チップ内の小型化されたHPLC浄化システムを組み込むと、FLTおよびFDDNPの生産効率が高まる。現在、Tsengの研究グループは、オンチップ分析およびFLT、FDDNPおよびその他の既存および新たな分子撮像プローブの浄化についての追加的な小型化されたHPLCシステムを全マイクロ流体回路の終端に組み込む、新たなマイクロ流体チップの設計および製造に携わっている(図6)。実際、マイクロ流体カラムは、「Chemical Reaction Circuits」という特許出願で、フッ化物濃度の目的で記載された。同じ設計を利用して、異なる種類の静止位相で充たされ、異なる長さを有する様々な小型化されたHPLCカラムが、異なる放射性標識化撮像プローブの要件を充たすべく設計されうる。
【0049】
放射性標識化PET撮像プローブの分析および浄化に利用されるベンチトップのHPLCシステムは、概して、HPLCポンプ、カラム、放射能検知器およびUV−Vis検知器からなる。これら二つの平行動作検知器により、結果生じる生産物をよりよく特徴付けることができる。
【0050】
マイクロ流体デバイス700の幾らかの部分の概略を図7Aおよび7Bに示す。図7Aは、荷電粒子検知構造に加えてUV−Vis検知構造を示す。マイクロ流体デバイス700はマイクロ流体デバイス100、200、および/または300に類似していてもよいが、ただし、マイクロ流体層704内の少なくとも一つのマイクロ流体チャネル702は、二つの急な湾曲部分とその間の実質的に直線部分705とを有する「Z」という文字に類似した経路を持つ。第1の光学導波路706は、マイクロ流体チャネル702の直線部分705に存在する際に、サンプルを照明する経路を提供しうる。光導波路は、光ファイバであってよく、あるいは、適切な屈折率プロファイルを形成して光導波路が所望の光の波長を導くよう、マイクロ流体層704と一体的に形成されてもよい。光導波路708は、光を検知器へ導く(図7Aでは不図示)。光導波路708は、光導波路706と構造が類似、あるいは実質的に等しくてよい。本明細書の随所に使用される「光」という用語は、人の目に見えるか否かに関わらず、電磁波あるいは光子をも包括する広義の意味を意図している。紫外線および赤外線も、ここで利用される「光」の広義内に含まれるとする。
【0051】
マイクロ流体デバイス700は、図7Aに示す一以上の構造の代わりに、あるいはそれに加えて、蛍光検知構造を持っていてよい。この場合、マイクロ流体チャネル710は、「W」の文字型の経路に類似した構造を有する。照明光導波路712はゼロでなく、検知光導波路714に対して180度の角度未満である。この配置により、照明光で飽和させずに蛍光を検知することができる。
【0052】
本発明の一実施形態によると、小型化した放射線検知器を光ファイバに基づくUV−Visセルに集積することができる(図7A)。検知システム全体を、新たな生成化学反応回路に集積して、チップに基づくHPLCシステムが分離する流体の結果生じる生産物を分析することができる。このUV−Visマイクロセルは、Z文字型のマイクロ流体チャネルを有し(サイズは、20〜500μmの幅、10〜100μmの高さ、および500μm〜数mmの長さである)、さらに、Z文字型のマイクロ流体チャネルの中心軸を介して光を投影および受信するマイクロ流体チャネルに対してよく配列された一対のマイクロサイズの光ファイバを有する。同じ構想を持ちながら、W文字型の流体マイクロチャネルの設計で、小型化された蛍光セル(図7B)がさらに含められてよい。この場合、光ファイバは、励起光を送り、放射光が第2のファイバにより集光され、90度に配向され、蛍光計測用の分光器に接続されてよい。
【0053】
本発明の別の実施形態においては、ヨウ化セシウム結晶を荷電粒子検知層に利用してよい。例えば、図2に示すプラスチックシンチレータを、ヨウ化セシウム結晶(Csl−無機シンチレータ結晶)に置き換えてよい。これにより、全ての荷電粒子の種類の空間分解能を向上することができ、さらには、より低いエネルギーの荷電粒子エミッタ(Hなど)への感度を向上させることができる。これは、Cslの典型的な荷電粒子の範囲が、プラスチックの範囲の半分未満だからである。さらには、Cslは、多くの形態で存在しており、その一つがマイクロカラム構造である(図8)。このマイクロカラム構造は、シンチレーション光を検知器へ向けてコリメートするので、光クロストークを大幅に削減する。最後に、Cslシンチレーション光の歩留まりは、大半のプラスチックシンチレータより5倍大きく、これにより、より低いエネルギーの荷電粒子で向上した感度を達成することができる。しかし、本発明の広範な構想は、特定の種類のシンチレーション材料の利用に限定するものではない。
【0054】
図9は、本発明の別の実施形態による、マイクロ流体デバイス900の概略図である。マイクロ流体デバイス900は、マイクロ流体回路層902および荷電粒子検知層904を有する。マイクロ流体回路層902は、幾らかの実施形態のマイクロ流体回路層202、302、および704と類似しているか、あるいは実質的に等しくてよい。荷電流体検知層904は、本発明の本実施形態による位置検知性アバランシェフォトダイオード(PSAPD)である。マイクロ流体デバイス900は、さらに、例えばマイクロ流体端部層214、308に類似していてよいマイクロ流体端部層906を含みうる。マイクロ流体端部層906は基板であってよい。マイラー層908がさらに、マイクロ流体回路層902と荷電粒子検知層904との間に設けられてよい。
【0055】
例2
【0056】
デバイスの感度は、シンチレータ層を、図9に示すような位置検知性固体検知器で代替することで向上できる。適切な固体検知器の一例は、位置検知性アバランシェフォトダイオード(PSAPD)である。特定のデバイスが、マサチューセッツ州のWatertownにあるRadiation Monitoring Device(www.rmdinc.com)により製造されるが、例えば標準的な電荷結合素子(CCD)などの他の検知器を利用してもよい(R.Ott、J.MacDonald,and K.Wells,"The performance of a CCD digital autoradiography imaging system," Physics in Medicine and Biology,vol.45,pp.2011‐2027,2000)。この特定のデバイスは、放射硬化型であるが(radiation hardened)、電荷粒子が存在していても効率損失なしに動作を維持することができる。その設計は、400‐800nm範囲の可視光(K.S.Shah,R.Farrel,R.Grazioso,E.S.Harmon,and E.Karplus,"Position−sensitive avalanche photodiodes for gamma−ray imaging" IEEE Transactions on Nuclear Science,vol.49,pp.1687−1692,2002)、および荷電粒子(K.S.Shah、P.Gothoskar、R.Farrel、and J.Gordon,"High efficiency detection of tritium using silicon avalanche photodiodes," IEEE Transactions on Nuclear Science, vol.44,pp.774−776,1997)の両方に感度を持つ深く拡散した高い利得のアバランシェ検知器に基づいている。このPSAPDの裏面は、信号の振幅との比較に基づいて、位置分解能を提供する四つの接点を持つ抵抗層からなる。このようにして、PSAPDは、活性面にわたり起こるイベントにつき継続して変化する四つの位置関連信号を生成する。図10Aは、マイクロ流体回路内にフッ素化物(Fluoro Deoxy Glucose −FDG)が分配された画像を持つ例を示す。左側は、0.1mmの厚みの線形マイクロ流体チャネルからなるパターンを示しており、チャネル間の分離は異なる。空間分解能の制限は、0.5mmよりも明らかに良好である。図10Bは、4.3nCiのFDGを含むマイクロ流体チップからのマイクロウェルの可視光写真を示す。このマイクロウェルは、各辺の計測値が0.25mmであり、0.065mmの深さである。図10Cは、図10Bのウェルの溶液に含まれるF−18の画像を示す。図11は、109.7分の半減期のF‐18アクティビティ衰退としてマイクロウェルの一分あたりの計測数のプロットを示す。この特定の原型の検知限界は0.08nCiである。
【0057】
図12は、本発明の別の実施形態によるマイクロ流体デバイス1200を示す。マイクロ流体デバイス1200は、マイクロ流体回路層1202、制御回路層1204、および荷電粒子検知層1206を有する。この例においては、制御回路層1204は、マイクロ流体回路層1202および荷電粒子検知層1206の間に配置される。本発明の一般的な概念は、この配置のみに限定されない。例えば、他の実施形態は、制御回路1204が図12に鑑みてマイクロ流体回路層1202の上に配置され、さらに電荷粒子エミッタおよび荷電粒子検知層1206の間の材料を低減する配置をも含みうる。本実施形態においては、エンドキャップ1208が制御回路層1204上に配されている。必要に応じてさらなる層を設けてもよい。例えば、アルミナイズされたマイラー膜(aluminized Mylar film)1210を設けて、PSAPDを周辺光から保護してもよく、マイラー層1212を設けて、使用後にPSAPDをマイクロ流体回路層1202および制御回路層1208から除去するのを促してもよい。これにより、PSAPDの再利用が促進され、同時に、利用後のマイクロ流体デバイス1200の他の構造を利用することも可能ならしめる。
【0058】
例3
【0059】
本例においては、リサーチャがPSAPDを通常の室内光で操作できるよう、検知器が金属化マイラー膜の二層で上表面を封止された。各層は、アルミニウム(0.2μmの厚み)の薄層で覆われたマイラー膜(3μmの厚み)からなる。各利用の間に、追加的なマイラー膜を保護犠牲層として利用、処理することができる。図12は、本発明の一実施形態によるマイクロ流体デバイス1200の断面概略図であり、一部がマイクロ流体チップと称されてよい。マイクロ流体チップを利用して、上述のチャネルの溶液の流れを制御する基板層を有する生存セルを培養することができる。マイクロ流体チップは、3μmの厚みを有する犠牲マイラー層の上に配置され、PSAPD上表面を保護する。読み出された電子に沿ったPSAPDは、図13に示すように、露出している上表面検知器を有する金属ボックス内に収容されている。
【0060】
この新しいデバイスを適用することで、マイクロ流体プラットフォーム上の生体サンプルに含まれる少量の放射能の撮像および数量化が可能になる。図14AはPSAPD検知器に連結されたセル培養に利用されるマイクロ流体チップの写真を示す。マイクロ流体チップ上の生存セルに実験を行った。これら実験においては、3T3マウスの線維芽細胞が、3mm×0.5mm×0.1mmのマイクロ流体セルチャンバ内で成長した。撮像前に、セルチャンバ内のグルコース媒体が除去され、セルは1時間の間、材料不足状態にされた。その後、FDG溶液をチャンバに投入して、セルをFDG溶液でさらに1時間培養させた。過剰なFDG溶液がチャンバからフラッシュされて、FDGのみがセル内にトラップされた。チップ全体がその後PSAPD検知器の上に配置され、5分間撮像された。図14Aはこの実験のセットアップを示し、図14Bの画像がPSAPD検知器で取得された。チャンバ内には、全部で約760個の生存セルが存在した。画像(図14B)は、FDGアクティビティが、マウス線維芽細胞を含有するセルチャンバ内にローカライズされたことを示している。写真はマイクロスコープを利用して撮像され、最後の画像(図14C)に示すようにPSAPDで撮像された後も、セルが生存しており、生存能力があることが示されている。
【0061】
発明者が感知している本発明を実行する上でのベストモードとともに、本発明の様々な実施形態を記載した。もちろん、当業者であれば上述の記載を読めば、これら実施形態の変形例も必要性に応じて明らかであろう。発明者は、当業者がこれら変形例を必要に応じて利用することを予期しており、さらに、発明がここで記載した特定の方法以外の方法で実行されることも知っている。故に、本発明は、適用される法律が許容する限り、添付請求項に記載されている主題の変形例および均等物を全て含有する。さらに本発明は、そうではないと示していない限り、これら全ての変形例内の上述の部材の任意の組み合わせも含む。
【0062】
さらに、本明細書にわたって特許文献および刊行物を参照した。これら参考文献および刊行物の各々の全体を参照としてここに組み込む。
【0063】
最後に、ここに開始した本発明の実施形態が、本発明の原理を示した例示であることを理解されたい。本発明の範囲内において他の変形例を用いることもできる。故に、例示であり、限定ではないが、本発明の代替的な構成を、この教示に則って利用することもできる。故に、本発明は図示され記載されたそっくりそのままのものに限定されはしない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ流体回路層と、
前記マイクロ流体回路層の近傍に配置された荷電粒子検知層と、を備え、
動作中、前記マイクロ流体回路層内のサンプルから荷電粒子放出による二次元画像を提供する、マイクロ流体デバイス。
【請求項2】
前記荷電粒子検知層はシンチレーション材料を含む、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項3】
前記シンチレーション材料は、ヨウ化セシウム結晶である、請求項2に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項4】
前記シンチレーション材料は、所望の方向に光を導くマイクロカラム構造を有する結晶である、請求項2に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項5】
前記シンチレーション材料と光通信する検知システムをさらに備え、
前記検知システムは、検知された荷電粒子により前記シンチレーション材料内で生成された光を検知する、請求項2に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項6】
前記検知システムは撮像センサとレンズシステムとを含み、
前記レンズシステムは前記シンチレーション材料と前記撮像センサとの間に配置され、前記シンチレータから前記撮像センサに向けて放出された光を撮像する、請求項5に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項7】
前記検知システムは、前記荷電粒子検知層上に配置された光ファイバプレートと、前記光ファイバプレート上に配置された撮像センサとを含む、請求項5に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項8】
前記荷電粒子検知層は半導体検知器を含む、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項9】
前記荷電粒子検知層は、位置検知性アバランシェフォトダイオードを含む、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項10】
前記荷電粒子検知層と前記マイクロ流体回路層との間に犠牲層をさらに備え、
前記犠牲層は、前記マイクロ流体回路層から前記荷電粒子検知層を除去しやすくする、請求項9に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項11】
前記荷電粒子検知層の上方に配置された遮光層をさらに備え、
前記遮光層は、前記位置検知性アバランシェフォトダイオードから周辺光を遮光する、請求項9に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項12】
前記マイクロ流体回路層の表面に配置された制御回路層をさらに備える、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項13】
前記制御回路層は、前記マイクロ流体回路層と前記荷電粒子検知層との間の、前記マイクロ流体回路層の表面に配置される、請求項12に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項14】
前記マイクロ流体回路層はマイクロ流体経路を画定し、前記マイクロ流体経路の一部に位置合わせされた光導波路を有する、請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項15】
前記光導波路は光ファイバである、請求項14に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項16】
前記光導波路は、照明光、透過光、あるいは蛍光の少なくともいずれかを方向付けるのに適している、請求項14に記載のマイクロ流体デバイス。
【請求項17】
生体サンプルの放射能を経時的に数量化する方法であって、
前記生物材料を含有する流体をマイクロ流体デバイスへ方向付けることと、
前記生物材料が放出した荷電電子を、二次元撮像センサで検知することと、
前記生体サンプルの放射能に対応する二次元画像を経時的に形成することと、を含む方法。
【請求項18】
前記検知することは、位置検知性アバランシェフォトダイオードで荷電粒子を検知することを含む、請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【公表番号】特表2009−534661(P2009−534661A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−506611(P2009−506611)
【出願日】平成19年4月20日(2007.4.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/009705
【国際公開番号】WO2007/124085
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(506064119)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティー オブ カリフォルニア (15)
【Fターム(参考)】