説明

マスク検査装置及びマスク検査方法

【課題】微細パターンのマスクを高感度で検査できるマスク検査装置及びマスク検査方法を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、減圧容器10と、保持部15と、光照射部20と、検出部50と、電極30と、制御部60と、を備えマスク検査装置110が提供される。前記保持部15は、前記減圧容器10の中に設けられ、マスク70を保持する。前記光照射部20は、前記保持部15に保持された前記マスク70の主面に光を照射する。前記検出部50は、前記減圧容器10の中に設けられ、前記マスク70の前記主面に前記光が照射されて発生した電子を検出する。前記電極30は、前記保持部15と前記検出部50との間に設けられ、前記保持部15から前記検出部50に向かう方向に前記電子を導く。前記制御部60は、前記検出部50で検出された前記電子の検出結果を基準となる値と比較する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、マスク検査装置及びマスク検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体装置の製造のリソグラフィにおいて、マスクが使用される。半導体装置の微細化に伴い、マスクに設けられる凹凸パターンも微細化される。微細な凹凸パターンを有するマスクを高い感度で検査する構成が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−197208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、微細パターンのマスクを高感度で検査できるマスク検査装置及びマスク検査方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、減圧容器と、保持部と、光照射部と、検出部と、電極と、制御部と、を備えマスク検査装置が提供される。前記保持部は、前記減圧容器の中に設けられ、マスクを保持する。前記光照射部は、前記保持部に保持された前記マスクの主面に光を照射する。前記検出部は、前記減圧容器の中に設けられ、前記マスクの前記主面に前記光が照射されて発生した電子を検出する。前記電極は、前記保持部と前記検出部との間に設けられ、前記保持部から前記検出部に向かう方向に前記電子を導く。前記制御部は、前記検出部で検出された前記電子の検出結果を基準となる値と比較する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】第1の実施形態に係るマスク検査装置の構成を例示する模式図である。
【図2】図2(a)〜図2(c)は、第1の実施形態に係るマスク検査装置で検査されるマスクの構成を例示する模式図である。
【図3】第1の実施形態に係るマスク検査装置で検査されるマスクの構成を例示する模式的断面図である。
【図4】図4(a)及び図4(b)は、第1の実施形態に係るマスク検査装置の動作を例示する模式的断面図である。
【図5】図5(a)及び図5(b)は、第1の実施形態に係るマスク検査装置の動作を例示する模式図である。
【図6】図6(a)及び図6(b)は、第1の実施形態に係るマスク検査装置の特性を例示するグラフ図である。
【図7】図7(a)及び図7(b)は、第1の実施形態に係るマスク検査装置の動作を例示するフローチャート図である。
【図8】第1の実施形態に係るマスク検査装置の動作を例示するフローチャート図である。
【図9】第1の実施形態に係るマスク検査装置の構成を例示する模式図である。
【図10】図10(a)〜図10(d)は、第1の実施形態に係るマスク検査装置の動作を例示する模式図である。
【図11】第1の実施形態に係るマスク検査装置の別の動作を例示するフローチャート図である。
【図12】第1の実施形態に係るマスク検査装置の別の動作を例示する模式図である。
【図13】第1の実施形態に係るマスク検査装置の別の動作を例示するフローチャート図である。
【図14】第1の実施形態に係るマスク検査装置の別の動作を例示するフローチャート図である。
【図15】図15(a)〜図15(c)は、第1の実施形態に係るマスク検査装置の別の動作を例示する模式図である。
【図16】第1の実施形態に係るマスク検査装置で検査されるマスクの構成を例示する模式的平面図である。
【図17】第1の実施形態に係るマスク検査装置の動作を例示するフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るマスク検査装置の構成を例示する模式図である。
図1に表したように、本実施形態に係るマスク検査装置110は、減圧容器10と、保持部15と、光照射部20と、検出部50と、電極30と、制御部60と、を備える。
【0009】
減圧容器10は、減圧容器10の内部を外界よりも低い気圧に保つことができる。
【0010】
保持部15は、減圧容器10の中に設けられる。保持部15は、マスク70を保持する。保持部15には、例えば、基板ステージ(例えばX−Yステージなど)が用いられる。保持部15の上にマスク70が載置される。マスク70は、マスク70の主面に設けられた凹凸パターンを有する。マスク70は、例えば、半導体装置などの製造のリソグラフィの際に用いられる。ただし、実施形態において、マスク70の用途は任意である。マスク70は、例えばEUVマスクである。マスク70の例については後述する。
【0011】
光照射部20は、保持部15に保持されたマスク70の主面に光20aを照射する。光照射部20は、例えば、光源21を含む。光源21は、マスク70に照射される光20aを生成する。光20aの波長は、例えば、257ナノメートル(nm)である。実施形態はこれに限らず、光20aとして、例えば、199nm以上1064nm以下の波長の光を用いることができる。
【0012】
光照射部20は、例えば、角度変化部25をさらに含むことができる。この例では、角度変化部25としてミラーが用いられている。角度変化部25により、マスク70の主面に対する、光20aの入射角を変化させることができる。
【0013】
光照射部20は、光源レンズ22と、偏光素子23(偏光プリズムなど)と、波長板24と、コンデンサレンズ26と、をさらに含むことができる。これらの光学素子により、光源21で発生した光が制御され、適切なスポットサイズの光20aが、マスク70に照射される。また、後述するように、適切な偏光特性を有する光20aが、マスク70に照射される。
【0014】
なお、光照射部20に含まれる要素のうちの少なくとも一部は、減圧容器10の中に設けられても良い。また、光照射部20に含まれる要素の内の少なくとも一部は、減圧容器10の外に設けられても良い。光照射部20からの光20aは、例えば、減圧容器10に設けられる窓部(図示しない)を介して、減圧容器10中に導かれ、マスク70に照射されても良い。
【0015】
検出部50は、減圧容器10の中に設けられる。検出部50は、マスク70の主面に光20aが照射されて発生した電子(光電子70e)を検出する。光電子70eについては、後述する。検出部50には、例えば、TDI(Time Delayed Integration:時間遅延積分方式)センサなどが用いられる。検出部50は、例えば、光電子70eを画像として検出することができる。
【0016】
電極30は、減圧容器10の中において、保持部15と検出部50との間に設けられる。具体的には、電極30は、保持部15に保持されたマスク70と検出部50との間に設けられる。電極30は、光電子70eを保持部15から検出部50に向かって導く。例えば、保持部15と電極30との間に電圧が印加される。この電圧により、マスク70と電極30との間に電位差が生じ、この電位差により、マスク70の主面で発生した光電子70eが、マスク70から引き出され、加速され、マスク70から検出部50に向けて導かれる。これにより、生成された光電子70eが、効率良く検出部50に入射する。
【0017】
制御部60は、検出部50で検出された光電子70eの検出結果を、基準となる値と比較する。制御部60は、例えば、検出部50に接続される。検出部50で得られた光電子70eに関する検出データ(例えば画像データ)は、制御部60に供給される。制御部60は、供給された検出データと、基準となる値と、を比較し、その結果に基づいて、マスク70を検査する。
【0018】
基準となる値として、検査に適切な値が用いられる。基準となる値に関しては、後述する。
【0019】
なお、この具体例では、保持部15と検出部50との間に検出側光学部40が設けられている。検出側光学部40は、例えば、保持部15と検出部50との間に設けられた対物レンズ41と、対物レンズ41と検出部50との間に設けられた中間レンズ42と、中間レンズ42と検出部50との間に設けられたNAアパーチャ43と、NAアパーチャ43と検出部50との間に設けられた投影レンズ44と、を含む。
【0020】
図2(a)〜図2(c)は、第1の実施形態に係るマスク検査装置で検査されるマスクの構成を例示する模式図である。
すなわち、図2(a)は、斜視図であり、図2(b)は、平面図である。図2(c)は、図2(b)の一部(A部)を拡大して例示する平面図である。
【0021】
図2(a)及び図2(b)に表したように、マスク70は、パターン部70cと、パターン部70cの周囲に設けられた周辺マーク部70pと、を有する。
【0022】
図2(c)に表したように、パターン部70cにおいては、凹凸パターン74が設けられている。この例では、パターン部70cの凹凸パターン74として、帯状のライン部70lと、ライン部70lどうしの間のスペース部70sと、が設けられている。ただし、実施形態において、凹凸パターン74の平面パターンは任意である。例えば、凹凸パターン74は、多角形や円形のホール状または柱状のパターンを有することもできる。以下では、凹凸パターン74が、ラインアンドスペースの帯状である場合として説明する。
【0023】
図3は、第1の実施形態に係るマスク検査装置で検査されるマスクの構成を例示する模式的断面図である。
すなわち、図3は、図2(c)のA1−A2線断面図である。
図3に表したように、マスク70は、例えば、クオーツの基板71と、基板71の上に設けられた多層膜72と、多層膜72の上に設けられた金属膜73と、金属膜73の上に設けられた凹凸パターン74と、を有する。
【0024】
多層膜72は、例えば、交互に積層されたMo膜72aとSi膜72bとを有する。Mo膜72aの厚さは、例えば3nmである。Si膜72bの厚さは、例えば4nmである。Mo膜72aとSi膜72bとのペアが、例えば40ペア積層される。
【0025】
金属膜73には、例えば、Ru膜が用いられる。金属膜73の厚さは、例えば2nmである。
【0026】
凹凸パターン74は、例えば、金属膜73の上に設けられたTaBN膜74aと、TaBN膜74aの上に設けられたTaBO膜74bと、を有する。凹凸パターン74がラインアンドスペースである場合、凹凸パターン74のハーフピッチは、例えば、40nm以上100nm以下程度である。ただし、実施形態は、これに限らず凹凸パターン74のピッチは任意である。マスク70において、凹凸パターン74が設けられる面が主面70aとなる。
【0027】
このようなマスク70に光20aが入射する。光20aの入射角θは、マスク70の主面70aの法線と、光20aと、の間の角度である。
【0028】
図4(a)及び図4(b)は、第1の実施形態に係るマスク検査装置の動作を例示する模式的断面図である。
図4(a)に表したように、実施形態に係るマスク検査装置110において、マスク70の主面70aに、光照射部20から光20aが照射される。マスク70の凹凸パターン74のハーフピッチhp(ラインアンドスペースのライン幅またはスペース幅)は、光20aの波長λ(例えば275nm)よりも短い。ハーフピッチhpは、例えば、100nm以下である。このとき、複数の凹凸パターン74のそれぞれのパターンエッジ(端部)の近傍には、近接場光20lが発生する。この近接場光20lは、回折限界の影響を受けない。このため、凹凸パターン74のハーフピッチhpが光20aの波長λよりも短い場合においても、凹凸パターン74に応じた近接場光20lが得られる。近接場光20lは、凹凸パターン74の微小な開口部(例えば、スペース部70s)に応じた形状で分布する。
【0029】
図4(b)に表したように、上記の近接場光20lで励起された光電子70eが発生する。マスク検査装置110においては、この光電子70eを検出部50で検出する。そして、制御部60により、光電子70eの検出結果が、基準となる値と比較される。
【0030】
図5(a)及び図5(b)は、第1の実施形態に係るマスク検査装置の動作を例示する模式図である。
図5(a)は、検出部50で得られた光電子70eの検出像を例示している。この例では、検出像には、凹凸パターン74の構造のエラー、または、凹凸パターン74上の異物パターンなどのパターン異常52が観察される。このようなパターン異常52が、欠陥と判定される。このような欠陥を修正し、または、洗浄するなどの手法により欠陥を除去するための判断として、実施形態に係るマスク検査装置110が用いられる。このとき、検出部50で得られた光電子70eの検出像(検出データ)は、基準となる値と比較される。
【0031】
図5(b)は、基準となる値に対応する基準像を例示している。制御部60は、図5(b)に例示した基準となる像(データ)と、図5(a)に例示した検出像(データ)と、を比較する。その結果に基づいて、マスク70が検査される。
【0032】
基準となる値(データまたは像)として用いる値に応じて、セルトゥーセル(Cell to cell)比較検査、ダイトゥーダイ(Die to die)比較検査、または、ダイトゥーデータベース(Die to database)比較検査などの検査が実施される。
【0033】
このように、本実施形態に係るマスク検査装置110においては、用いる光20aの波長λよりもハーフピッチhpが小さい凹凸パターン74を有するマスク70の欠陥を、光20aに基づく近接場光20lによって励起された光電子70eを検出することで検査する。
【0034】
例えば、短波長のEUVリソグラフィに用いる、100nm以下のパターンのマスクに光を照射し、マスクで反射した反射光を直接検出しようとする参考例においては、パターンサイズが回折限界以下であるため、マスクのパターンを反映した像が得られない。このため、この手法によりこのような微細なパターンを検査することは困難である。
【0035】
一方、このような微細なパターンに電子を照射して、マスクから得られる電子を検出する手法も考えられる。発明者は、このような手法を応用した検査装置を用いて上記のようなマスクの検査を試みた。この構成の検査装置において実験条件を変えて検査を試みたが、検査像にはノイズが多く観察され、前記ノイズと所望の欠陥からなる信号との区別を行うことが困難であるために、マスク検査の精度が低いことが分かった。
【0036】
発明者は、このような装置において、被検査体のマスク70に光を照射することを試みた。その結果、マスク70に光を照射したときに得られる検査像(光電子70eの像)において、マスク70の凹凸パターン74に応じた鮮明なパターンが得られることを見出した。この検査像(光電子70eの像)は、マスク70の凹凸パターン74に応じて発生する近接場光20lによって励起された光電子70eに対応する像であることが分かった。
【0037】
発明者が見出した上記の現象に基づいて、本実施形態に係るマスク検査装置110の構成が構築されている。すなわち、マスク検査装置110においては、被検査体であるマスク70に光20aを照射する光照射部20と、マスク70で発生する近接場光20lによって励起された光電子70eを加速して検出部50に向けて導く電極30と、光電子70eを検出する検出部50と、が設けられる。そして、この検査中に、マスク70、電極30及び検出部50を減圧下に保つための減圧容器10が設けられる。このような構成により、マスク70に照射する光20aに基づく近接場光20lによって励起された光電子70eが検出できる。
【0038】
なお、近接場光を用いて試料を観察する走査プローブ顕微鏡がある。この走査プローブ顕微鏡をマスク検査に用いることを考えた場合、マスク上の広い検査領域を検査すると、プローブの磨耗などによって均一な近接場光を発生させることが困難である。従って、この構成は、マスク検査には適していない。
【0039】
これに対し、実施形態においては、マスク70に光20aを照射し、近接場光20lを介して発生する光電子70eを検出する構成が用いられるため、均一な近接場光20lが安定して得られる。このため、実施形態は、マスク検査に好適に応用でき、微細パターンを有するマスクを高い感度で検査できる。
【0040】
図6(a)及び図6(b)は、第1の実施形態に係るマスク検査装置の特性を例示するグラフ図である。
これらの図は、マスク70に光20aを照射したときに発生する近接場光20lの特性を近接場シミュレーションにより求めた結果を例示している。このシミュレーションにおいては、図3に例示したマスク70の構成において、凹凸パターン74のハーフピッチhpを60nm、80nm、100nm及び200nmと変えたときに、金属膜73(例えばRu膜)の位置で発生する近接場光20lのパワーPWを求めた。横軸は、入射角θであり、縦軸は、パワーPW(相対値)である。図6(a)は、TE偏光の光20aを照射した場合の結果を例示しており、図6(b)は、TM偏光の光20aを照射した場合の結果を例示している。光20aの波長λは、257nmである。
【0041】
図6(a)に表したように、TE偏光の場合は、近接場光20lのパワーPWは、最大で0.05(5%)程度である。
【0042】
これに対し、図6(b)に表したように、TM偏光の場合は、近接場光20lのパワーPWは、0.2(20%)以上である。
【0043】
このように、マスク70の主面70aに照射する光20aとして、TM偏光を用いることで、凹凸パターン74において発生する近接場光20lのパワーPWを大きくし易い。そして、光電子70eへの変換効率が高くなる。このように、実施形態に係るマスク検査装置110において、光20aは、TM偏光成分を含むことが望ましい。
【0044】
例えば、凹凸パターン74がホール形状を含む場合は、TM偏光成分を含む円偏光またはTM偏光成分を含む楕円偏光を用いても良い。x方向の電場Exとy方向の電場Eyと、は、以下のように表される。
【0045】

Ex=a・cos(kz−ωt)
Ey=a・cos(kz−ωt−π/2)

円偏光の場合は、電場Exと電場Eyとの間の位相差がπ/2に保たれ、以下となる。
【0046】

Ex+Ey=a

すなわち、円偏光を用いる場合は、凹凸パターン74の全方位において、TM偏光成分を得ることができる。光20aとして円偏光を用いることは、望ましい条件の1つである。
【0047】
なお、TM偏光と円偏光とを組み合わせて使用し、欠陥検出の感度及び精度を向上させることもできる。特に、ハーフピッチhpが60nmよりも小さい場合において、TM偏光と円偏光とを組み合わせて使用することが有効である。また、凹凸パターン74及び検出したい信号の少なくともいずれかに応じて、入射する偏光と、偏光の組み合わせと、を調整することにより、欠陥検出の感度を向上できる。
【0048】
さらに、図6(b)に表したように、ハーフピッチhpが60nmのときは、入射角θが0度のときに近接場光20lのパワーPWが最大であり、入射角θが大きくなるとパワーPWは減少する。ハーフピッチhpが80nmのときは、入射角θが0度〜20度のときに近接場光20lのパワーPWがほぼ一定であり、20度を超えるとパワーPWが減少する。ハーフピッチhpが100nmのときは、入射角θが15度のときに近接場光20lのパワーPWが最大となる。ハーフピッチhpが200nmのときは、入射角θが40度程度のときに、近接場光20lのパワーPWが最大となる。
【0049】
このように、凹凸パターン74の仕様(例えばハーフピッチhpなど)に応じて、近接場光20lのパワーPWが最大となる入射角θが変化する。このため、実施形態に係るマスク検査装置110においては、被検査体のマスク70の仕様に応じて、入射角θを変更することができる。これにより、より適切な(例えば、感度がより高く、精度がより高い)検査が可能になる。この入射角θの変化は、例えば、角度変化部25により実施される。角度変化部25として、例えば光照射部20に含まれるミラーを用いることができる。
【0050】
例えば、図1に示したように、矢印25rで例示したように、ミラー(角度変化部25)の角度を変化させることで、入射角θを変更することができる。また、矢印25sで例示したように、マスク70の角度を変化させても良い。この場合には、保持部15が、入射角変化部となる。このように、マスク検査装置110は、光20aの主面70aに対する入射角θを変化させる角度変化部25をさらに備えることができる。また、例えば、保持部15が光20aの主面70aに対する入射角θを変化させても良い。
【0051】
また、マスク70の主面70a内に複数の種類のパターンが設けられている場合がある。例えば、マスク70の主面70a内に、ハーフピッチhpが60nm、80nm、100nm及び200nmの4種類の凹凸パターン74が設けられている場合がある。この場合には、入射角θを20度以上30度以下に設定する。これにより、この4種類の凹凸パターン74のそれぞれにおいて、大きいパワーPWが得られる。すなわち、入射角θが20度以上30度以下である条件が、この場合の適切な入射角θの条件となる。
【0052】
一方、例えば、マスク70の主面70a内に、ハーフピッチhpが60nm、80nm及び100nmの3種類の凹凸パターン74が設けられている場合がある。この場合には、入射角θを10度以上20度以下に設定する。これにより、この3種類の凹凸パターン74のそれぞれにおいて、大きいパワーPWが得られる。すなわち、入射角θが10度以上20度以下である条件が、この場合の適切な入射角θの条件となる。上記の条件において、近接場光20lのパワーPWの平均値が大きくなる。パワーPWの平均値が大きい入射角θを用いることで、より適切な検査が実施できる。
【0053】
このように、マスク検査装置110においては、特定の凹凸パターン74の仕様において、近接場光20lのパワーPWをシミュレーションした結果に基づいて、パワーPWが大きくなる入射角θを用いて検査を実施することができる。例えば、ハーフピッチhpが100nmにおいては、シミュレーションした結果から、入射角θが10度以上20度以下のときに、近接場光20lのパワーPWが大きくなると見積もられる。この結果に基づいて、10度以上20度以下の入射角θで、光20aをマスク70の主面70aに入射させることができる。これにより、より適切な検査が実施でできる。
【0054】
さらに、凹凸パターン74の複数の種類の仕様において、近接場光20lのパワーPWをシミュレーションした結果に基づいて、全体としてのパワーPWが大きくなる入射角θを用いて検査を実施することができる。全体としてのパワーPWが大きくなる状態として、複数の種類の仕様におけるパワーPWの平均値が大きくなる状態を用いることができる。また、全体としてのパワーPWが大きくなる状態として、複数の種類の仕様におけるパワーPWのそれぞれの値が均一になる(例えば標準偏差が小さくなる)状態を用いることができる。
【0055】
さらに、特定の凹凸パターン74の仕様において、近接場光20lのパワーPWを実験的に求めた結果に基づいて、パワーPWが大きくなる入射角θを用いて検査を実施することができる。これにより、より適切な検査が実施でできる。
【0056】
さらに、凹凸パターン74の複数の種類の仕様において、近接場光20lのパワーPWを実験的に求めた結果に基づいて、全体としてのパワーPWが大きくなる入射角θを用いて検査を実施することができる。このときも、全体としてのパワーPWが大きくなる状態として、複数の種類の仕様におけるパワーPWの平均値が大きくなる状態、または、複数の種類の仕様におけるパワーPWのそれぞれの値が均一になる(例えば標準偏差が小さくなる)状態などを用いることができる。
【0057】
上記の動作をフローチャートとして図示すると、以下となる。
図7(a)及び図7(b)は、第1の実施形態に係るマスク検査装置の動作を例示するフローチャート図である。
図7(a)に表したように、マスク内パターンを定義する(ステップS01)。そして、近接場シミュレーションデータを取得する(ステップS02)。この結果に基づき、条件(例えば、偏光及び入射角など)を決定する(ステップS03)。そして、この条件を用いて、近接場光20lによる光電子70eのデータを取得する(ステップS04)。
【0058】
また、図7(b)に表したように、条件を決定する際に、予め実験を行い、光電子70eのデータを取得する(ステップS02a)。そして、このデータに基づき、ステップS03及びステップS04を実施する。
【0059】
このように、近接場光20lを介した光電子70eを検出することで、回折限界の影響を受けないため、紫外線などの安価な光源で微細なパターンを検査でき、低コストのマスク検査装置が実現できる。高感度の欠陥検査が実現できるため、結果として、作製するデバイスの歩留まりが向上でき、これにより、生産性が向上できる。マスク70上に複数の微細パターンが設けられる場合にも、上記の構成により、高感度の検査が実現できる。
【0060】
以下、本実施形態に係るマスク検査装置110における、ダイトゥーダイ比較検査モードの動作の1つの例について説明する。
【0061】
図8は、第1の実施形態に係るマスク検査装置の動作を例示するフローチャート図である。
図9は、第1の実施形態に係るマスク検査装置の構成を例示する模式図である。
図10(a)〜図10(d)は、第1の実施形態に係るマスク検査装置の動作を例示する模式図である。
図10(a)は、光電子70eの像を例示している。図10(b)〜図10(d)は、光電子70eの像から得られる特性値を例示している。
【0062】
図9に表したように、制御部60には、例えば、比較論理回路部61と、ステージ制御部62と、制御計算部63と、が設けられる。この例では、検査条件を決定するための検査条件決定パターンと、被検査領域のパターンと、において、光電子70eが検出される。これらのパターンが、マスク70の主面70aに設けられている。
【0063】
図8に表したように、被検査体のマスク70を、マスク検査装置110のマスクローダにセットする(ステップS11)。
【0064】
アライメント箇所、検査条件決定パターン情報、検査エリア及び検査モードなどを指定したレシピを用いて制御操作部により操作する(ステップS12)。
【0065】
例えば、ステージコントローラによりマスクロードを実施し、マスク70をメインチャンバ(減圧容器10)内に移動する。そして、マスク70を、メインチャンバ内のX−Yステージ(保持部15)に配置する(ステップS13)。
【0066】
マスク70上の周辺マーク部70pに設けられるアライメントパターンを用いて、例えば、光学式顕微鏡によるアライメントを実施し、位置の調整を行う(ステップS14)。
【0067】
検査条件決定パターン情報の座標情報に基づいてステージ動作を開始する(ステップS15)。
【0068】
検査光(光20a)を照射する(ステップS16)。このときの入射角θは、例えば0度である。そして、光20aの波長λは、例えば257nmである。光20aは、例えば、波長板24を通り、光20aは、TM偏光成分を有する。
検査条件パターンの光電子70eの像(入射角θ=0度)を検出部50(例えばTDIセンサ)により取得する(ステップS17)。
【0069】
入射角θを5度に設定した状態で、検査光を照射する(ステップS18)。
検査条件パターンの光電子70eの像(入射角θ=5度)をTDIセンサにより取得する(ステップS19)。
【0070】
以降同様にして、入射角θを例えば5度刻みで70度まで変化させ、検査条件決定パターンの光電子70eの像を取得する(ステップS20、S21及びS22)。
【0071】
そして、上記のように、検査条件決定パターンに関して入射角θを変えて得られた15の光電子像のそれぞれの階調プロファイルを導出する(ステップS23)。
【0072】
例えば、マスク70の凹凸パターン74として、帯状のライン部70lと、スペース部70sと、がY軸沿って延在し、これらがX軸に沿って並ぶとする。
【0073】
このとき、図10(a)に例示したように、光電子70eの像51iにおいて、ライン部70lに対応するライン部像51lと、スペース部70sに対応するスペース部像51sと、が得られる。
【0074】
図10(b)に表したように、1つの入射角θにおける光電子70eの像51iにおいて、階調プロファイル53が求められる。階調プロファイル53は、例えば、X軸に沿った位置と、光電子70eの像51iの階調GL(像の明るさの指標)と、の関係である。
【0075】
図10(c)に表したように、図10(b)に例示した階調プロファイル53から、階調GLの最大値GLmaxと、階調GLの最小値GLminと、を求める。
【0076】
この階調GLの最大値GLmax及び最小値GLminを、異なる入射角θのそれぞれにおいて求める。
そして、図10(d)に表したように、階調プロファイル53に関する特性値の1つとして、階調特性値GLP=(GLmax−GLmin)/(GLmax+GLmin)を求める(図8のステップS24)。階調特性値GLPは、異なる入射角θのそれぞれにおいて求められる。この例では、入射角θが0度、5度、10度、15度、20度、25度、(省略)、55度、60度、65度及び70度のときの階調特性値GLPは、それぞれ、0.4、0.5、0.7、0.9、0.8、0.7、(省略)、0.5、0.4、0.3及び0.1である。
【0077】
この結果から、階調特性値GLP(この例では(GLmax−GLmin)/(GLmax+GLmin))が最大になるときの入射角θは、15度であると求められる。そして、この条件を検査条件として決定する。(図8のステップS25)。
【0078】
そして、決定された入射角θ=15度の検査光の照射を開始する(図8のステップS26)。具体的には、入射角θを15度に設定し、被検査領域の検査開始点にステージを移動し、検査光を照射する(ステップS27)。検査光によって得られる光電子70eの像をTDIセンサで取得する(ステップS28)。
【0079】
なお、検査条件決定パターンにおける各種のデータ、及び、被検査領域における光電子70eのデータ(検査像)は、データ格納部に格納される。データ格納部は、例えば、制御部60内、または、外部に設けられる。
【0080】
このようにして得られた検査像のデータを、例えば、被検査領域と隣接するダイの同じパターンの部分で得られた検査像のデータと比較する(ステップS29)。この比較は、例えば、制御部60に設けられる比較論理回路部61により実施される。比較の結果、差異が認められた箇所を欠陥として、抽出する。
【0081】
この欠陥に関する情報を、例えば、ステージ(保持部15)から得られる欠陥の箇所の座標の情報と共に、データ格納部(データベース)に蓄積する(ステップS30)。座標の情報は、ステージ制御部62により取得される。データ蓄積された検査情報を、データサーバである計算機に転送する。例えば、被検査体のマスク70の欠陥情報として、欠陥座標情報(マスク内の欠陥位置)と欠陥画像とが転送される。これらの動作は、例えば、制御部60の制御計算部63により実施される。制御部60は、上記の動作の結果として、欠陥情報64(欠陥に関する情報であり、欠陥の箇所の座標の情報を含む情報)を出力する。
【0082】
検査エリアの検査が終了し(ステップS31)、ステージの動作を終了し(ステップS32)、検査光の照射を終了し(ステップS33)する。そして、被検査体のマスク70をステージコントローラによりアンロード(ステップS34)を実施し、マスク検査が終了する。
【0083】
なお、上記の欠陥箇所と参照箇所との差の信号に対して、例えばしきい値が設定される。そして、このしきい値を超えた場合に、欠陥として判定され、欠陥が検出される。マスク検査装置で欠陥を検出した場合、得られた欠陥情報64を基に、欠陥の修正およびマスクの洗浄が行われる。その後、マスク検査を再度行い、欠陥が検出されたら、再度、欠陥の修正およびマスクの洗浄を行うというループが、欠陥が検出されない(しきい値を超える差がなくなる)ようになるまで繰り返される。そして、欠陥がなくなったら、マスクが使用できる状態となり、例えば、マスクが出荷される。
【0084】
上記のダイトゥーダイ比較検査と同様にして、セルトゥーセル比較検査も実施できる。
【0085】
以下、実施形態に係るマスク検査装置110の別の動作として、ダイトゥーデータベース比較検査モードの1つの例に関して説明する。
図11は、第1の実施形態に係るマスク検査装置の別の動作を例示するフローチャート図である。
図12は、第1の実施形態に係るマスク検査装置の別の動作を例示する模式図である。 図12に表したように、この例では、制御部60に参照データ発生回路部65がさらに設けられる。また、制御部60にデータベース66(データ格納部)が接続される。なお、このデータベース66は、制御部60に含められても良い。
【0086】
図11に表したように、ステップS11〜ステップS25の動作は、図8に関して説明した動作と同様とすることができるので説明を省略する。ただし、この例では、予め準備された座標と画像とを含む検査条件決定パターンが、マスク上の6箇所に設けられる。そして、検査条件決定パターン情報は、この6箇所に関する情報を含む。そして、ステップS15においては、この情報に基づいて、検査条件決定パターンの位置にステージを移動させる。
【0087】
この場合も、例えば、階調特性値GLP(この例では(GLmax−GLmin)/(GLmax+GLmin))が最大になるときの入射角θが求められる。このときの入射角θは、例えば15度である。この条件を検査条件として決定する。(ステップS25)。
【0088】
この例では、制御部60の参照データ発生回路部65に、入射角θ=15度で得られた6箇所の検査条件決定パターンの光電子70eの像のデータを転送する(ステップS41)。
【0089】
そして、参照データ発生回路部65に、データベース66から、設計パターンデータを転送する(ステップS42)。
【0090】
そして、設計パターンデータと、光電子70eの像のデータと、を比較して、光電子70eの像の特徴を抽出する(ステップS43)。この動作は、例えば、参照データ発生回路部65により実施される。
【0091】
そして、得られた特徴を用いて、設計パターンデータを参照用光電子像検査データに変換する(ステップS44)。例えば、このデータは保存される。
【0092】
そして、図8に関して説明したのと同様に、ステップS26〜S28を実施する。すなわち、決定された入射角θ=15度の光20aにより得られた光電子70eの像をTDIセンサで取得し、検査像を得る。
【0093】
そして、得た検査像と、参照用光電子像検査データと、を比較する、ダイトゥーデータベース比較処理を実施する(ステップS45)。そして、差異が認められた箇所を欠陥とする。そして、欠陥に関する情報を、欠陥の箇所の座標の情報と共に、データベース66(データ格納部)に蓄積する(ステップS30)。以降、ステップS31〜S34を実施し、マスク検査が終了する。
【0094】
図8〜図12に関して説明した例では、検査条件として入射角θを適正化する場合の例であるが、実施形態において、適正化される検査条件は任意である。例えば、以下、照射する光20aの波長λを適正化する場合の1つの例を説明する。
【0095】
図13は、第1の実施形態に係るマスク検査装置の別の動作を例示するフローチャート図である。
図13に表したように、図8と同様にステップS11〜S15を実施した後、検査条件決定パターンにおいて、異なる波長の光を用いて光電子像の取得し、その結果に基づいて検査条件を決定する(ステップS50)。そして、定めた検査条件を用いて検査光を照射する(ステップS26)。この後、図8と同様にしてステップS27〜S34を実施し、ダイトゥーダイ(Die to die)比較検査を行う。
【0096】
図14は、第1の実施形態に係るマスク検査装置の別の動作を例示するフローチャート図である。
すなわち、同図は、上記のステップS50の1つの例を示している。
図15(a)〜図15(c)は、第1の実施形態に係るマスク検査装置の別の動作を例示する模式図である。
この例では、光20aとして、互いに異なる波長を有するn個(nは2以上の整数)の光が用いられる。複数の光のそれぞれは、異なる波長λi(iは整数)を有する。
【0097】
図14に表したように、整数iを1に設定する(ステップS51)。そして、i番目の波長λiの光を照射する(ステップS52)。そして、i番目の光電子70eの光電子データPiを取得し、取得した光電子データPiを評価する(ステップS53)。
【0098】
例えば、図15(a)に表したように、光電子データPiから得た階調プロファイル53から階調GLの最大値GLmaxと階調GLの最小値GLminとが求められる。そして、波長λiについて、階調特性値GLPが導出される。階調特性値GLPとして、例えば、(GLmax−GLmin)/(GLmax+GLmin)が求められる。
【0099】
図14に表したように、求めたデータ(例えば階調特性値GLP)が蓄積される(ステップS54)。
【0100】
すなわち、例えば、図15(b)に例示したように、それぞれの波長に対して、評価値(例えば、階調特性値GLP)がデータとして蓄積される。
【0101】
この後、i=i+1の処理が行われ、ステップS52に戻る。波長λiとは異なる波長λ(i+1)において、上記のステップS52〜S54が繰り返して実施される。例えば、波長が、199nm(i=1)、257nm(i=2)、266nm(i=3)、355nm(i=4)、532nm(i=5)、1064nm(i=6)、488nm(i=7)、514nm(i=8)、633nm(i=9)nmと変更される。
【0102】
そして、n番目に関してのステップS52〜S54が実施されたら、光電子データPの評価値(例えば、階調特性値GLP)と、波長λと、の関係を導出する(ステップS55)。
【0103】
例えば、図15(c)に例示したように、波長λと階調特性値GLPとの関係が、適切な関数として、GLP=f(λ)として表現される。そして、例えば、階調特性値GLPが最も大きくなる波長が求められる。
【0104】
そして、図14に表したように、検査光の波長λを決定する。すなわち、検査光の波長として、例えば、階調特性値GLPが最も大きくなる波長が選択される。または、検査光の波長として、例えば、階調特性値GLPが最も大きくなる波長に近い波長が選択される。
このようにして、ステップS50を実施し、検査条件を定め、定めた条件により、以上のステップを実施する。これにより、例えば高感度の検査が実施できる。
【0105】
同様にして、セルトゥーセル(Cell to cell)比較検査、及び、ダイトゥーデータベース(Die to database)比較検査が実施できる。
【0106】
このように、この例では、光照射部20は、互いに異なる波長を有する複数の光20aをマスク70に照射することができる。そして、マスク70の特性に応じた適切な波長の光20aをマスク70に照射することで、より高感度の検査が可能になる。例えば、光照射部20は、光20aの波長が第1波長である第1動作モードと、光20aの波長が第1波長とは異なる第2波長である第2動作モードと、を有する。さらに、3つ以上の動作モードを有し、3つ以上の動作モードにおいて、光20aの波長が互いに異なっていても良い。これにより、上記の動作が可能になる。
【0107】
波長を変える際には、例えば、光源を変更しても良い。例えば、互いに異なる波長の光を放出する複数の光源を設け、適切な波長の光を放出する光源を用いることができる。また、複数のピーク波長を有する光から、例えばフィルタなどを用いて、所望の波長の光を採りだしても良い。
【0108】
上記のダイトゥーダイ比較検査モード(セルトゥーセル比較検査モード)、及び、ダイトゥーデータベース比較においては、検査条件決定パターンを用いて、照射光の入射角θ、及び、波長λをパラメータとして、検査条件の決定を行った。ただし、実施形態はこれに限らず、検査条件決定パターンを用いて、例えば、照射光の照明形状、開口数及び偏光方向の少なくともいずれかをパラメータとして検査条件を決定しても良い。
【0109】
また、検査条件(例えば、入射角θ、波長λ及び上記の種々の条件)の決定に際し、上記では、階調特性値GLP=(GLmax−GLmin)/(GLmax+GLmin)を指標として用いて決定したが、実施形態はこれに限らない。例えば、検査条件の決定の際に用いる階調特性値GLPとして、例えば、(GLmax−GLmin)/GLmin、ライン部像51lのS/N比、スペース部像51sのS/N比、及び、得られる光電子70eの像の欠陥信号の最大値などの、検出された光電子70eに関する値を用いても良い。実施形態においては、このように任意の階調特性値GLPを指標として用いて、検査条件を決定することができる。
【0110】
また、実施形態において、1つの検査条件により検査を実施しても良く、複数の検査条件を用いて検査しても良い。例えば、1つのマスク70を検査する際に、複数の入射角θ及び複数の波長λの少なくともいずれかによる検査の結果に基づいて、欠陥を判定しても良い。
【0111】
図16は、第1の実施形態に係るマスク検査装置で検査されるマスクの構成を例示する模式的平面図である。
図16に表したように、非検査体であるマスク70において、複数の領域(例えば、第1領域75a、第2領域75b及び第3領域75cなど)が設けられる場合がある。例えば、第1〜第3領域75a〜75cにおいては、互いにピッチ(例えばハーフピッチhp)が異なる。また、例えば、異なる領域で、パターンの形状が互いに異なる場合がある。例えば、第1領域75aは、ラインアンドスペースのパターンを有し、第2領域75bは、孔パターンを有する場合などがある。
【0112】
このとき、異なる領域にいて、異なる検査条件で検査を実施しても良い。
例えば、第2領域75bにおける入射角θは、第1領域75aにおける入射角θとは異なる。また、第2領域75bにおける偏光特性は、第1領域75aにおける偏光特性と変えても良い。このように、互いに異なる仕様の凹凸パターン74を有する異なる領域において、検査条件を変更することで、より高感度の検査が実施できる。
【0113】
また、上記のように、互いに異なる仕様の凹凸パターン74を有する異なる領域のそれぞれにおける階調特性値GLP(例えば、(GLmax−GLmin)/(GLmax+GLmin))が均一になる条件を検査条件として用いても良い。
【0114】
さらに、マスク70の主面70a内に、複数の仕様を有する複数の検査条件決定パターンを設け、複数の検査条件決定パターンを用いて、検査条件(例えば、入射角θ及び波長λなど)を決定しても良い。
【0115】
さらに、既に説明したように、検査光の照射条件を決定するための近接場シミュレーションを実施し、近接場光20lのシミュレーション結果を用いて、検査条件を決定しても良い。また、近接場光20lの強度から光電子70eの像を推定することにより、検査条件を決定することもできる。上記のシミュレーションは、例えば、データベース66内の設計データを用いて実施し、これに基づいて検査条件を決定しても良い。
【0116】
以上のような動作は、例えば、制御部60により制御されることができる。
図17は、第1の実施形態に係るマスク検査装置の動作を例示するフローチャート図である。
図17に表したように、制御部60は、検査条件決定動作(ステップS110)と、検査動作(ステップS120)と、を実施することができる。
【0117】
検査条件決定動作においては、制御部60は、光照射部20がマスク70の主面70aに照射する光20aの条件を決定する。この動作においては、例えば、図8及び図11に例示したステップS15〜S25を実施する。この動作においては、例えば、図13に例示したステップS50(図14に例示したステップS51〜S56)を実施する。
【0118】
そして、制御部60は、検査条件決定動作の結果に基づいて、検査動作を実施する。具体的には、制御部60は、決定された条件の光20aが照射されたときに発生する光電子70eを検出部50が検出した結果を、基準となる値と比較する。具体的には、例えば、図8及び図13に例示したステップS27〜S29を実施する。また、例えば、図11に例示したステップS27、S28及びS45を実施する。これにより、マスク70が検査される。
【0119】
上記において、光20aの条件は、光20aの主面70aに対する入射角θ、光20aの波長λ、光20aの偏光特性、光20aが主面70aに照射される領域の大きさ、及び、光20aの照明形状の少なくともいずれかを含むことができる。このような条件を適切に設定することで、高感度の検査が可能になる。
【0120】
また、検査条件決定動作は、光20aの条件を変えた複数の光20aを主面70aに照射したときのそれぞれにおいて発生する複数の光電子70eのそれぞれを検出部50で検出した結果に基づいて、評価値を用いて、光電子70eの検出の感度が高くなるように光20aの条件を決定することを含む。この評価値は、検出した結果に関して予め定められる。評価値として、例えば、既に説明した階調特性値GLPが用いられる。
【0121】
例えば、評価値として、(GLmax−GLmin)/(GLmax+GLmin)、(GLmax−GLmin)/GLmin、ライン部像51lのS/N比、スペース部像51sのS/N比、及び、得られる光電子70eの像の欠陥信号の最大値などの、検出された光電子70eに関する種々の値が用いられる。
【0122】
光電子70eの検出の感度が高くなるように光20aの条件を決定することで、高感度の検査が可能になる。
【0123】
そして、マスク70が主面70aに設けられた複数の領域を有しているときにおいて、制御部60は、光20aの条件を、複数の領域ごとに決定することができる。これにより、複数の領域のそれぞれにおいて、高感度の検査ができる。さらに、複数の領域の凹凸パターン74のそれぞれの感度の全体が高くなるように(例えば平均値が高くなるように)、光20aの条件を決定しても良い。
【0124】
本実施形態に係るマスク検査装置110は、従来型の電子ビーム照射型のマスク検査装置よりも、照射系の調整が簡便である。これにより、実施形態においては、安定な検査像を取得できる。また、電子をマスク70に照射する場合とは異なり、本実施形態においては、マスク70の帯電を抑制できる。これにより、像の変質が起こり難い。さらに、電子ビーム照射型のマスク検査装置においては、帯電を抑制するためにマスク70に照射する電子の量(電流値)を上げることができないため、ノイズが多い。これに対し、本実施形態においては、帯電が発生しないため、マスク70に照射する光の強度を任意に制御できる。これにより、検査像の単位ピクセルあたりの電子数を増やすことができる。これにより、ノイズが低減でき、より微細な欠陥を検出できる。
【0125】
(第2の実施形態)
本実施形態は、マスク検査方法に係る。本マスク検査方法は、検査工程(例えば、図17に例示したステップS120に対応する)を備える。
【0126】
検査工程は、減圧雰囲気中に配置されたマスク70の主面70aに光を照射して発生した光電子70eを電極で導いて検出し、検出された光電子70eの検出結果を、基準となる値と比較することを含む。具体的には、例えば、図8及び図13に例示したステップS27〜S29を実施する。また、例えば、図11に例示したステップS27、S28及びS45を実施する。この光電子70eは、マスク70の主面70aに光20aが照射されて発生する近接場光20lを介して放出される。
【0127】
本マスク検査方法では、近接場光20lを介した光電子70eを検出することで、回折限界の影響を受けないため、紫外線などの安価な光源で微細なパターンを検査できる。そして、高感度の検査が可能であるため、結果として、作製するデバイスの歩留まりが向上でき、これにより、生産性が向上できる。
【0128】
本実施形態に係るマスク検査方法において、検査条件決定工程をさらに備えることが望ましい。この検査条件決定工程は、検出工程における主面70aに照射される光20aの条件を決定する工程であり、例えば、図17に例示したステップS110に対応する。
【0129】
この光20aの条件は、光20aの主面70aに対する入射角θ、光20aの波長λ、光20aの偏光特性、光20aが主面70aに照射される領域の大きさ、及び、光20aの照明形状の少なくともいずれかを含むことができる。
【0130】
また、検査条件決定工程は、光20aの条件を変えた複数の光20aを主面70aに照射したときのそれぞれにおいて発生する複数の光電子70eのそれぞれを検出部50で検出した結果に基づいて、評価値を用いて、光電子70eの検出の感度が高くなるように光20aの条件を決定することを含む。この評価値は、検出した結果に関して予め定められる。評価値として、例えば、既に説明した階調特性値GLPなどが用いられる。
【0131】
このように、本実施形態に係るマスク検査方法は、凹凸パターン74を有するマスク70に照射された光20aから発生する近接場光20lを介して、励起される光電子70eを検出する。
【0132】
例えば、このマスク検査方法は、マスク70に設けられる検査条件決定パターンに複数の条件の光20aを照射する工程を含むことができる。検査条件決定パターンは、マスク70に照射する光20aの条件を決定するためのものである。
【0133】
さらに、このマスク検査方法は、照射した複数の条件の光20aのそれぞれにより発生した近接場光20lを介して励起された光電子70eに基づく複数の光電子像を取得することを含む。さらに、このマスク検査方法は、取得された数の複数の光電子像を用いて検査条件を決定することを含む。そして、このマスク検査方法は、決定された検査条件を用いて、検査を実施することを含む。
【0134】
上記の光20aの照明形状は、通常照明、輪帯照明、四極照明、二極照明及び変形照明の少なくともいずれかを含むことができる。本マスク検査方法は、互いに異なる開口数を有する複数のアパーチャにより形成される互いに異なる照明形状の光20aをマスク70に照射することを含むことができる。
【0135】
また、本マスク検査方法は、光20aを生成する光源21と、マスク70と、の間に設けられた偏光制御部材(例えば偏光素子23)を用いて、TM偏光、TE偏光及び楕円偏光(円偏光を含む)の少なくともいずれかの光20aを生成させ、生成させた光20aをマスク70に照射することを含む。この偏光制御部材として、互いに偏光特性が異なる複数の光学素子を用いることができる。これにより、1つの偏光特性を有する1つの光20a、または、複数の偏光特性を有する複数の光20aの組み合わせをマスク70に照射することができる。偏光特性を適切に制御することで、高感度の検査が可能になる。
【0136】
また、本実施形態に係るマスク検査方法は、例えば、凹凸パターン74に波長λの光20aを照射し、照射した光20aから発生する近接場光20lを介して、励起された光電子70eからなる光電子像を取得する第1工程を有する。このマスク検査方法は、第1工程における波長λの値を変え、第1工程を所望の回数繰り返し、複数の光電子像を取得する第2工程をさらに含むことができる。そして、第2工程において取得した照射した光20aの波長λと、照射した光20aの波長λに対応する光電子像の複数の組み合わせを用いて検査光の波長を決定する第3工程をさらに含むことができる。第3工程において決定する検査光の波長が1つまたは複数である。このマスク検査工程は、第3工程で決定した波長の検査光をマスク70に照射し、マスク70の検査を行う第4工程をさらに含むことができる。
【0137】
また、本実施形態に係るマスク検査方法は、マスク70の主面70aを複数の領域に分割する工程と、分割された複数の領域のそれぞれに検査条件決定パターンを配置する工程と、をさらに含んでも良い。そして、光20aの条件を、複数の領域ごとに決定することができる。これにより、複数の領域のそれぞれにおいて、高感度の検査ができる。さらに。複数の領域の凹凸パターン74のそれぞれの感度の全体が高くなるように、光20aの条件を決定しても良い。
【0138】
本マスク検査方法においては、マスク70上の近接場光20lによって励起された光電子70eの像を用いることで、従来の反射光の結像を用いた光学式の検査よりも高い解像度を得ることができ、特に微細なパターンにおいて、パターン形状欠陥を高い感度で検出することができる。
【0139】
実施形態によれば、微細パターンのマスクを高感度で検査できるマスク検査装置及びマスク検査方法が提供される。
【0140】
なお、本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれは良い。
【0141】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明の実施形態は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、マスク検査装置に含まれる減圧容器、保持部、光照射部、電極、検出側光学部、検出部及び制御部などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0142】
その他、本発明の実施の形態として上述したマスク検査装置及びマスク検査方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全てのマスク検査装置及びマスク検査方法も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0143】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0144】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0145】
10…減圧容器、 15…保持部、 20…光照射部、 20a…光、 20l…近接場光、 21…光源、 22…光源レンズ、 23…偏光素子、 24…波長板、 25…角度変化部、 25r、25s…矢印、 26…コンデンサレンズ、 30…電極、 40…検出側光学部、 41…対物レンズ、 42…中間レンズ、 43…NAアパーチャ、 44…投影レンズ、 50…検出部、 51i…像、 51l…ライン部像、 51s…スペース部像、 52…パターン異常、 53…階調プロファイル、 60…制御部、 61…比較論理回路部、 62…ステージ制御部、 63…制御計算部、 64…欠陥情報、 65…参照データ発生回路部、 66…データベース、 70…マスク、 70a…主面、 70c…パターン部、 70e…光電子、 70l…ライン部、 70p…周辺マーク部、 70s…スペース部、 71…基板、 72…多層膜、 72a…Mo膜、 72b…Si膜、 73…金属膜、 74…凹凸パターン、 74a…TaBN膜、 74b…TaBO膜、 75a、75b、75c…第1〜第3領域、 θ…入射角、 λ、λi…波長、 110…マスク検査装置、 GL…階調、 GLP…階調特性値、 GLPmax…最大値、 GLPmin…最小値、 PW…パワー、 hp…ハーフピッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
減圧容器と、
前記減圧容器の中に設けられ、マスクを保持する保持部と、
前記保持部に保持された前記マスクの主面に光を照射する光照射部と、
前記減圧容器の中に設けられ、前記マスクの前記主面に前記光が照射されて発生した電子を検出する検出部と、
前記保持部と前記検出部との間に設けられ、前記保持部から前記検出部に向かう方向に前記電子を導く電極と、
前記検出部で検出された前記電子の検出結果を基準となる値と比較する制御部と、
を備え、
前記電子は、前記マスクの前記主面に前記光が照射されて発生する近接場光を介して放出され、
前記光の前記主面に対する入射角を変化させる入射角変化部をさらに備え、
前記光照射部が照射する前記光は、前記マスクの前記主面に対するTM偏光の成分を含み、
前記制御部は、前記光照射部が前記マスクの前記主面に照射する前記光の条件を決定する検査条件決定動作をさらに実施し、
前記制御部は、前記決定された前記条件の前記光が照射されたときに発生する前記電子を前記検出部が検出した結果を、前記基準となる値と比較し、
前記検査条件決定動作は、
前記光の条件を変えた複数の光を前記主面に照射したときのそれぞれにおいて発生する複数の前記電子のそれぞれを前記検出部で検出した結果に基づいて、前記検出した結果に関して予め定められた評価値を用いて、前記電子の前記検出の感度が高くなるように前記光の条件を決定することを特徴とするマスク検査装置。
【請求項2】
減圧容器と、
前記減圧容器の中に設けられ、マスクを保持する保持部と、
前記保持部に保持された前記マスクの主面に光を照射する光照射部と、
前記減圧容器の中に設けられ、前記マスクの前記主面に前記光が照射されて発生した電子を検出する検出部と、
前記保持部と前記検出部との間に設けられ、前記保持部から前記検出部に向かう方向に前記電子を導く電極と、
前記検出部で検出された前記電子の検出結果を基準となる値と比較する制御部と、
を備えたことを特徴とするマスク検査装置。
【請求項3】
前記電子は、前記マスクの前記主面に前記光が照射されて発生する近接場光を介して放出されることを特徴とする請求項2記載のマスク検査装置。
【請求項4】
前記光の前記主面に対する入射角を変化させる入射角変化部をさらに備えたことを特徴とする請求項2または3に記載のマスク検査装置。
【請求項5】
前記光照射部は、前記光の波長が第1波長である第1動作モードと、前記光の波長が前記第1波長とは異なる第2波長である第2動作モードと、を有することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1つに記載のマスク検査装置。
【請求項6】
前記光照射部が照射する前記光は、前記マスクの前記主面に対するTM偏光の成分を含むことを特徴とする請求項2〜5のいずれか1つに記載のマスク検査装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記光照射部が前記マスクの前記主面に照射する前記光の条件を決定する検査条件決定動作をさらに実施し、
前記制御部は、前記決定された前記条件の前記光が照射されたときに発生する前記電子を前記検出部が検出した結果を、前記基準となる値と比較することを特徴とする請求項2〜6のいずれか1つに記載のマスク検査装置。
【請求項8】
前記光の条件は、前記光の前記主面に対する入射角、前記光の波長、前記光の偏光特性、前記光が前記主面に照射される領域の大きさ、及び、前記光の照明形状の少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項7記載のマスク検査装置。
【請求項9】
前記検査条件決定動作は、
前記光の条件を変えた複数の光を前記主面に照射したときのそれぞれにおいて発生する複数の前記電子のそれぞれを前記検出部で検出した結果に基づいて、前記検出した結果に関して予め定められた評価値を用いて、前記電子の前記検出の感度が高くなるように前記光の条件を決定することを含むことを特徴とする請求項7または8に記載のマスク検査装置。
【請求項10】
前記マスクは、前記主面に設けられた複数の領域を有し、
前記制御部は、前記光の条件を前記複数の領域ごとに決定することを特徴とする請求項7〜9のいずれか1つに記載のマスク検査装置。
【請求項11】
検査工程を備え、
前記検査工程は、
減圧雰囲気中に配置されたマスクの主面に光を照射して発生した電子を電極で導いて検出し、
前記検出された前記電子の検出結果を基準となる値と比較することを含むことを特徴とするマスク検査方法。
【請求項12】
前記検出工程における前記主面に照射される前記光の条件を決定する検査条件決定工程をさらに備え、
前記光の条件は、前記光の前記主面に対する入射角、前記光の波長、前記光の偏光特性、前記光が前記主面に照射される領域の大きさ、及び、前記光の照明形状の少なくともいずれかを含み、
前記検査条件決定工程は、
前記光の条件を変えた複数の光を前記主面に照射したときのそれぞれにおいて発生する複数の前記電子のそれぞれを前記検出部で検出した結果に基づいて、前記検出した結果に関して予め定められた評価値を用いて、前記電子の前記検出の感度が高くなるように前記光の条件を決定することを含むことを特徴とする請求項11記載のマスク検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−203190(P2012−203190A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−67630(P2011−67630)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】