説明

マスター加工作業を行うデバイスおよび方法

本発明は、選択された基材12にマスター加工作業を実施するデバイスと方法とに関するものである。デバイス10は、ベース基材14と、感圧接着剤層が設けられた内面18を有する接着剤支持基材16と、ベース基材14を接着剤支持基材16から隔離する剥離ライナー22とを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2002年12月16日申請の米国特許番号第60/433,606号により優先権を請求するものであり、該特許の全内容は、その全体が本明細書に取り入れられるものである。
【0002】
本発明は、選択された基材にマスター加工作業を行うデバイスと方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
通常、文書を貼り合わせする場合、利用者は、例えば米国特許5,580,417に示されたようなラミネータを使用せねばならない。しかし、ラミネータのコストは、頻繁に使用しない利用者や一度だけしか使用しない利用者にとっては、経済的ではない。この目的のために、当該技術分野では貼り合わせシートが提供されてきた。これらの貼り合わせシートは、通常2枚の貼り合わせフィルムを含み、そのうちの少なくとも1枚が、その内面に施された感圧接着剤と、フィルム間に配置された剥離ライナーとを有している。貼り合わせシートを使用するには、利用者が貼り合わせシートを分離し、剥離ライナーを除去して、シートのうちの一方のシート上の位置に貼り合わせされるように物品が配置され、シートが一緒に戻され、次いでフィルムに圧力が加えられ、感圧接着剤により双方のフィルムが確実に互いに接着せしめられる。通常、利用者は、フィルムとフィルムの間に入り込んだ「気泡」を確実に除去するために、かなり努力して圧力を加えねばならない。これらの気泡が生じるのは、通常、利用者が、2枚の貼り合わせフィルムを手で互いに重ねるさいに、中心部から均す前に、先に縁部を揃えて固定しようとするためである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様によれば、選択された基材にマスター加工作業を行うためのデバイスを提供する。該デバイスは、ベース基材と、ベース基材に対向する内面を有する接着剤支持基材と、接着剤支持基材の内面に施された感圧接着剤の層と、接着剤支持基材からベース基材を分離する剥離ライナーとを含んでいる。剥離ライナーは、2部分を形成するために横方向に延びる折線に沿って折られており、該2部分の一方が活性化部分である。剥離ライナーは接着剤支持基材の内面とベース基材の内面とに対抗する外表面を有している。この外表面は剥離面である。ベース基材は、剥離ライナーおよび接着剤支持基材から分離可能なことで、選択基材をマスター加工位置に配置できる。マスター加工位置にある選択基材に対して、次のようにすることでマスター加工作業を行うことができる。すなわち、剥離ライナーの活性化部分を、横方向に対して概して直角に、かつベース基材および選択基材と概して平行に活性化方向に引張ることによって、剥離ライナーが接着剤支持基材から漸次除去され、感圧接着剤が、選択基材と、選択基材周辺部に隣接して延びるベース基材周辺部とに接着せしめられるようにするのである。
【0005】
本発明の別の態様によれば、選択基材にマスター加工を行うための方法が提供される。この方法は、(i)ベース基材と、(ii)ベース基材に対向する内面を有する接着剤支持基材と、(iii)接着剤支持基材の内面に施された感圧接着剤の層と、(iv)接着剤支持基材からベース基材を分離する剥離ライナーとを含むデバイスを提供する段階と、
剥離ライナーと接着剤支持基材とからベース基材を分離して、選択基材をマスター加工位置に配置できるようにする段階と、
マスター加工位置に選択基材を位置決めする段階と、
マスター加工位置の選択基材に対して、ベース基材および選択基材と概して平行に剥離ライナーを活性化方向に引張ることによって、剥離ライナーが接着剤支持基材から漸次除去され、感圧接着剤が、選択基材と、選択基材周辺部に隣接して延びるベース基材周辺部とに接着せしめられる段階と、を含むものである。
【0006】
この方法は、剥離ライナー上に折られた活性化部分を有するか、又は有していないデバイスによって実施される。
本発明のこのほかの目的、利点、態様は、以下の詳細な説明、添付図面、特許請求の範囲の記載から明らかになるであろう。
【実施例】
【0007】
図面に全体を符号10で示したデバイスは、選択された基材12に貼り合わせ作業を行うためのものである。詳しくは後述するが、本発明は、例えば貼り合わせ作業、接着剤転写、磁化のいずれか又はすべてを含むどのようなマスター加工作業を実施するためにも使用できる。しかし、本発明の基本的な理解のために、先ず貼り合わせ作業に関連して説明する。
図示のデバイス10は、本発明の一実施例だが、本発明を制限する意図のものではない。デバイス10は、ベース基材14と接着剤支持基材16とを含んでいる。接着剤支持基材16はベース基材14に対向する内面18を有している。感圧接着剤層(図示せず)は接着剤支持基材16の内面18に施されている。
【0008】
ベース基材14と接着剤支持基材16とは、どのような材料から製造してもよく、透明又は半透明の貼り合わせフィルムでよい。例えばこれらの基材14,16の各々は、透明な2軸延伸ポリプロピレン貼り合わせフィルムでよい。また、ベース基材14はポリプロピレンにする一方、ベース基材14はポリエステルにしてもよい。これらの例は、制限的な意図のものではない。さらに、ベース基材14と接着剤支持基材16とは、どのような形状又は構成を有していてもよい。図示の実施例では、長方形状である。あるいはまた、これらの基材14,16は円形、長円形、3角形、その他考えられるどのような形状でもよい。更に、基材14,16は、同形であるのが好ましいが、同形でなくてもよい。図1に示すように、基材14,16は、横方向に延びる折線に沿って折られた単一のシートの部分である。しかし、これは、制限する意図のものではなく、基材14,16は2個の別々のシート製及び/又は異なる材料製であってもよい。別々のシートを用いる場合は、基材14,16のために折り目が配置されている区域でシートを互いに接着するのが好ましい。
【0009】
使用される感圧接着剤は、紫外線硬化接着剤、アクリル基乳剤、熱溶融型接着剤、その他の種類の接着剤を含むどのような種類のものでもよいが、それらに限定されるものではない。接着剤は、パターン塗布又は全面塗布を含め、内面18にどのように施されてもよい。接着剤支持基材16が透明又は半透明の貼り合わせフィルムの場合は、選択基材12の曇りを最小化するために、接着剤も同様に事実上透明なものが好ましいが、必ずそうする必要はない。
【0010】
剥離ライナー22は、ベース基材14と接着剤支持基材16とを分離している。剥離ライナー22は、横方向に延びる折り線23に沿って折られ、2つの部分を形成している。図示の実施例では、これら2部分は、接着剤支持基材16の内面18に向いた後続部分24と、ベース基材14の内面29に向いた活性化部分26とである。剥離ライナー22は、後続部分24上の接着剤支持基材16の内面18に向き、かつ活性化部分26側の、ベース基材14の内面29にも向いた外面28を有している。外面28は剥離面である。少なくとも、後続部分24の外面28部分は剥離面でなければならないが、活性化部分26の外面28も剥離面であってよい。剥離ライナー22は、適当などのような材料製でもよく、外面28の剥離特性は、どのようにして得てもよい。例えば剥離ライナー22は、少なくとも外面28が例えばシリコーン等の適当な剥離材料で被覆された紙ウエブでよい。同じように、剥離ライナー22は、2軸延伸ポリプロピレン製で、例えばシリコーン等の適当などのような材料で被覆されていてもよい。
【0011】
図示の実施例では、活性化部分26は、ベース基材14と接着剤支持基材16との間から外方へ延びるタブ32を有することで、活性化部分26が、指でつまんで引張りやすくされている。このタブ32は、不可欠なわけではなく、実施例に対する制限とは考えないでいただきたい。活性化部分26は、図1に見られるように、タブ32の方向へテーパ付けされているが、これも不可欠ではなく、制限的な意味はもたない。例えば、活性化部分26は、つまんで引張りやすくするために、ひも状のもの(図示せず)を有するようにしてもよい。
【0012】
ベース基材14は、剥離ライナー22および接着剤支持基材16から分離可能なことにより、ベース基材14と、剥離ライナー22と、接着剤支持基材16とが平行となるように折り返された場合に、選択基材12は、剥離ライナー22とベース基材14との間のマスター加工位置に配置でき、この位置は図1および図2の選択基材12の配置から理解できる。任意の特徴として、ベース基材12は、その内面29に感圧接着剤34を有している。任意の特徴として、この接着剤34は、マスター加工作業時に選択基材12を定位置に保持する補助に使用される。好ましくは、ベース基材14の内面の感圧接着剤34は、作業中、定位置に選択基材12を再位置決め可能に接着するのに適した再位置決め可能な感圧接着剤である。このことによって、選択基材12の位置決めを、マスター加工作業の実施前に訂正することができる。
【0013】
図示の実施例では、この再位置決め可能な接着剤が、ベース基材14を横断して延びるストリップとして配置されている。ベース基材が透明または半透明の貼り合わせフィルムの場合は、感圧接着剤34は、選択基材12の曇りを最小化するために、事実上透明であるのが好ましいが、それは不可欠のことではない。あるいはまた、剥離ライナー22を僅かに引き出して接着剤支持基材16の接着剤の端部を露出させることもでき、そうすれば、利用者は、基材14,16が一緒に戻されて接着剤の露出部分が選択基材12に接触すると、選択基材12を定位置に保持することができる。
【0014】
活性化部分26は、マスター加工位置にある選択基材12に対し、剥離ライナー22の活性化部分26を、タブ32を介して横方向に対して概して直角に、かつ選択基材12およびベース基材14に対して概して平行に活性化方向30に引張ることで、貼り合わせ作業を実施できる。この動作により、漸次、後続部分24が接着剤支持基材16から除去され、剥離ライナー22が、接着剤支持基材16と、ベース基材14と、選択基材12との間から引き出される。剥離ライナー22の移動は、漸進的な転動運動または剥離運動と説明できる。これによって、感圧接着剤34を選択基材12と、選択基材12の周辺部に隣接して延びる、ベース基材14の周辺部とに接着でき、ベース基材14と、選択基材12と、接着剤支持基材16との間で接着剤が接着せしめられる。剥離ライナー22が完全に基材間から引き出されると、作業は完了し、剥離ライナー22は廃棄してよい。
【0015】
図示の実施例では、剥離ライナー22の活性化部分26がベース基材14および選択基材12に対向し、後続部分24は接着剤支持基材16に対向している。しかし、本発明は、これらの部分を逆にしても実施できる。すなわち活性化部分26を接着剤支持基材16に対向させ、後続部分24を選択基材12に対向させてもよい。
【0016】
本発明者は、図1および図2の実施例が効果的に機能すると考える。なぜなら、剥離ライナー22の漸進的な転動運動は、接着剤支持基材16をベース基材14および選択基材12の方向へ引張り、該基材と接触させるように作用するからである。特に、後続部分24の一部は、接着剤支持基材16から剥がされるにつれて、まだ接着剤支持基材16と接触している残りの部分の下に折りこまれる(図2の矢印31参照)。外面28のところでの軽度の付着により接着剤支持基材16の一部分が引張られ、その部分から外面28が選択基材12およびベース基材14のほうへ引き剥がされ、基材12,14と接触する。加えて、発明者は、活性化部分26に作用する引張り力の結果、接着剤支持基材16に僅かな引張り応力が加わり、これによって接着剤支持基材16が引張られて選択基材12およびベース基材14と接触すると考える。
【0017】
活性化部分26が接着剤支持基材16に隣接し、後続部分24がベース基材14と対向する状況でも、本発明は、依然として効果的に機能する。本発明者は、その実施例の場合、活性化部分26の引張りにより接着剤支持基材16に加わる引張り応力が、接着剤支持基材16をベース基材14および選択基材12と接触させる上で、より重要な役割を演じると考える。これは、活性化部分26が、直接感圧接着剤と接触せしめられ、活性化方向で接着剤上を剥離ライナー22がスライドする結果として、おそらくより大きな引張り応力が発生するからである。
【0018】
いずれの実施例の場合も、本発明者は、特に、極めて薄いフィルムが使用される場合には、ベース基材14および接着剤支持基材が一緒になるのを補助する上で、静電気粘着(static cling)も役に立つと考える。
前述の説明は、本発明者がデバイスの操作をどのように考えているかを説明する目的で行われたものに過ぎず、本発明を拘束もしくは制限する意図のものではない。
「ベース基材」という用語は、底部の基材を意味するものと解釈してはならない。すなわち、ベース基材とは、接着剤を施されていない基材であるか、または加工作業時に選択基材12が必ず載置される基材である。逆に、ベース基材14を頂部基材にしてもよく、使用者は、加工作業時に剥離ライナー22に接着剤をほどこしてもよい。また、ベース基材14に接着剤層を設けてもよい。
【0019】
別の目的のためには、デバイス10の別の実施例を開発できる。ここで説明したように、デバイス10は、貼り合わせ用に使用されるが、別の用途も考えられ、したがって、このデバイスは、広い意味でマスター加工デバイスと呼ぶことができ、このデバイスで実施する方法は、広い意味でマスター加工作業と呼ぶことができる。例えばデバイス10は、磁石製造デバイスとして使用できるように変更できる。磁石製造デバイスの場合、接着剤支持基材16は、米国特許出願第2001−0042590A1号に開示されているような磁性基材となるだろう。該特許出願は、ここに引用することで本明細書に取り入れられるものである。ベース基材14は、感圧接着剤に接着親和性を有する内面を備えた透明または半透明の貼り合わせフィルムにすることも任意である。その場合には、磁性基材を選択基材12の裏側に取り付け、貼り合わせフィルムを表側に取り付けることで、選択基材12を保護し、貼り合わせ磁石を製作できよう。あるいはまた、ベース基材14は、マスク基材であってもよく、しかも該マスク基材は、接着剤に親和性を有し、該マスク基材を除去することで、選択基材12に隣接する磁性基材の周辺部分の過剰接着剤を剥離することができ、それによって、選択基材周辺部周囲に過剰接着剤の付着していない非貼り合わせ磁石が製造できる。
【0020】
同じように、デバイス10は、接着剤転写デバイスとして使用するように変更することもできよう。接着剤転写デバイスの場合、接着剤支持基材16は接着剤転写基材となり、該基材の内面は剥離面となる。したがって、感圧接着剤が選択基材12に接着されると、選択基材12と接着剤転写基材は接着剤を選択基材12上に残して分離される。ベース基材14はマスク基材にし、該マスク基材の内面は感圧接着剤との接着親和性を有するようすることも任意である。このマスク基材を選択基材12と接着剤転写基材とから除去することで、選択基材12に隣接する転写基材の周辺部分の過剰接着剤を剥ぎ取ることができる。
【0021】
図3〜図6には、本発明の別の実施例が示されている。デバイス100は、既述のいずれの用途にも使用可能に構成されているが、説明を容易にするために、貼り合わせに使用することに関連して説明する。デバイス100は、選択基材102を貼り付けるように設計され、ベース基材104と接着剤支持基材106とを有している。接着剤支持基材106は、ベース基材104に対向する内面108を有している。感圧接着剤層(図示せず)は、接着剤支持基材106の内面に設けられる。貼り合わせの場合、ベース基材104および接着剤支持基材106は、透明フィルムであるのが好ましい。
【0022】
ベース基材104および接着剤支持基材106は単一部材として形成し、2枚の基材を形成するように半分に折ってもよい。だが、好ましくは、これらの基材を別個の基材として形成し、図示のように端部を融着させるか、端部を接着する。
2個の基材104,106は剥離ライナー110により隔離される。剥離ライナー110は、端部のところが折られ、活性化部分112と後続部分114とが形成される。活性化部分112は、後続部分114よりもかなり短い(例えば10%未満)。剥離ライナー110は外面116を有し、この外面が、少なくとも後続部分114では剥離面となる。外面116を、単に費用効果をよくすために、活性化部分112の剥離面とすることも任意である。なぜなら、折る前に全部の外面116を簡単に被覆するほうが、活性化部分112を除くようにして剥離材料を調整しながら施すより容易だからである。
活性化部分112はタブ118を含んでいる。このタブは不可欠ではないが、利用者が指でつまみやすくするために備えておく。タブ118は、その上に使用上の指示を印刷してもよい(例えば、活性化方向を示す矢印に「引張る」と記す)。
【0023】
デバイス100を使用するためには、使用者は、接着剤支持基材106を平らな面(例えば机上)に置き、ベース基材114を折り返して、平らな面上に平らに延ばす(図4参照)。あるいはまた、ベース基材104を下において、剥離ライナー110と接着剤支持基材106とを折り返すか、またはデバイス100を開いて、同時に平らに置く。剥離ライナー110の剛度の選択により、この位置で、折り目に隣接する剥離ライナー110の部分が剥離され、接着剤支持基材106から離間し、図示のように突出する。つまり剥離ライナー110の剛性は次のように選択される。すなわち、デバイス100が図示のように置かれた場合、剛性により外面116と接着剤との軽度の接着状態が克服され、剥離ライナー110が、接着剤支持基材106が折り返されている区域から剥離して、図示のように突出するように選択される。剥離ライナー110の剛性は、接着剤の強度に基づくこの効果と、剥離面との粘着(剥離面であっても、ある程度の軽度の粘着は生じる)とが達成されるように選択できる。
【0024】
選択基材102は、ベース基材104上のマスター加工位置に配置される。選択基材102が確実に活性化方向に対し直角に配置されるように、その縁部は、ベース基材104と接着剤支持基材106とが結合されている箇所に形成されるニップ内へ押し込められる。好ましくは、選択基材102の縁部は、剥離ライナー110の突出によって露出する接着剤支持基材116の接着剤と接触することで、作業中、縁部が動かないように定位置に固着するのが補助される。選択基材102のこのような配置形式は、しかし不可欠ではない。
【0025】
選択基材102がマスター加工位置に配置されると、使用者は、活性化方向120に活性化部分112を引張ることで、剥離ライナー110が接着剤支持基材106から漸次解離され、かつ漸次、接着剤支持基材106がベース基材104と選択基材102との上を引張られてベース基材104と接触することができる。この動作は、図4および図5から分かる。剥離ライナー110が完全に除去された結果得られた製品が図6に示されている。
本発明者は、既述の作業原理と同じ作業原理が、この別の実施例の作業の基礎となると考える。前の実施例の場合に既に説明した変化形は、いずれもこの別の実施例の場合にも使用できよう。
【0026】
両実施例の利点は、剥離ライナーが引張られることで、接着剤支持基材が選択基材およびベース基材と漸次接触するために、気泡が内包される恐れが少ない点である。いくらか気泡が発生することがあっても、デバイスの作業が漸次的に進行することで、おそらく気泡発生が少なくなるか、少なくとも、既述の先行技術ほどの気泡は発生しないかである。加えて、剥離ライナーを引張ることで、複数基材が円滑に漸次的に重なり合わされ、正確な整合が容易になる。これらの利点は、図示の実施例により達せられる利点の例であるが、達せられるかもしれない他の利点を制限または排除するものではない。また、使用者は、剥離ライナーを引張って接着させればよいだけなので、接着剤の露出した接着剤支持基材を扱う必要はなく、したがって、手に接着剤が付着したり、接着剤支持基材を誤って折って該基材自体に付着するような機会は減少する。
【0027】
本発明のデバイスは、他の用途や他のことと関連しても使用でき、本明細書に示した例は、本発明のデバイスを制限するものと考えてはならない。
既述の実施例は、本発明の構造および機能原理を説明するためのもので、本発明を制限する意図のものではない。逆に、本発明は、特許請求の範囲の精神および枠内のあらゆる変更態様、代替形式、等価形式を包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の原理により構成されたデバイスの斜視図。
【図2】図1のデバイスの貼り合わせ基材を活性化方向で見た部分断面図であって、選択基材がマスター加工位置に配置された状態を示す図。
【図3】本発明により構成された別のデバイスの平面図。
【図4】剥離ライナーおよび接着剤支持基材を折り返されたベース基材を示す側断面図で、選択基材がマスター加工位置に配置された状態を示す図。
【図5】図4同様の図で、剥離ライナーが活性化方向に半途まで引張られた状態を示す図。
【図6】図4同様の図で、作業が完了した状態を示す図。
【符号の説明】
【0029】
10,100 デバイス
12,102 選択された基材
14,104 ベース基材
16,106 接着剤支持基材
18,108 接着剤支持基材の内面
22,110 剥離ライナー
23 折り線
24,114 後続部分
26,112 活性化部分
28,116 剥離ライナーの外面
29 ベース基材の内面
31,120 活性化方向
32,118 タブ
34 接着剤


【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択基材にマスター加工作業を実施するためのデバイスであって、該デバイスが、
ベース基材と、
前記ベース基材に対向する内面を有する接着剤支持基材と、
前記接着剤支持基材の内面に施された感圧接着剤の層と、
前記接着剤支持基材からベース基材を分離する剥離ライナーにして、該剥離ライナーが横方向に延びる折り線に沿って折られていることで2部分が形成されており、該2部分の一方が活性化部分であることからなる剥離ライナーと、を含み、
前記剥離ライナーが、接着剤支持基材の内面とベース基材の内面とに対向する外面を有し、該外面が剥離面であり、
前記ベース基材が、剥離ライナーおよび接着剤支持基材から分離可能であることにより、選択基材をマスター加工位置に位置決めでき、
前記活性化部分が、マスター加工位置の選択基材に対して、剥離ライナーの活性化部分を、横方向に対し概して直角に、かつベース基材および選択基材に対して概して平行に引張ることによって、剥離ライナーを接着剤支持基材から漸次剥離し、感圧接着剤を選択基材と、選択基材周辺部に隣接して延在するベース基材周辺部とに接着させることによりマスター加工作業の実施を可能にする、選択基材にマスター加工作業を実施するためのデバイス。
【請求項2】
前記ベース基材が、その内面に感圧接着剤を含む、請求項1に記載されたデバイス。
【請求項3】
ベース基材内面の前記感圧接着剤が、マスター加工作業時にマスター加工位置の選択基材に再位置決め可能に接着するようにされた再位置決め可能な感圧接着剤である、請求項2に記載されたデバイス。
【請求項4】
前記再位置決め可能な接着剤が、ベース基材を横断して延びるストリップとして備えられている、請求項3に記載されたデバイス。
【請求項5】
前記剥離ライナーの外面が剥離材料で被覆される、請求項1に記載されたデバイス。
【請求項6】
指でつまんで引張りやすいように、ベース基材および接着剤支持基材が互いに平行にされている場合に、前記活性化部分が、ベース基材と接着剤支持基材との間から外方へ延びるタブを有している、請求項1に記載されたデバイス。
【請求項7】
前記活性化部分がタブに向かってテーパ付けされている、請求項6に記載されたデバイス。
【請求項8】
指でつまんで引張りやすいように、ベース基材および接着剤支持基材が互いに平行にされている場合に、前記活性化部分が、ベース基材と接着剤支持基材との間から外方へ延びるひも状部材を有している、請求項1に記載されたデバイス。
【請求項9】
ベース基材と接着剤支持基材とが、それらの縁部のところで結合され、かつ剥離ライナーが剛性を有することで、ベース基材から接着剤支持基材と剥離ライナーとが折り離されるさい、接着剤支持基材およびベース基材の各々が、平らな面上に置かれ、折り線に隣接する剥離ライナー部分が接着剤支持基材から剥がれて突出することで、ベース基材上のマスター加工位置の選択基材に対して、活性化部分を活性化方向に引っ張ることによりマスター加工作業を実施でき、それによって、剥離ライナーが接着剤保持基材から漸次剥離され、接着剤支持基材をベース基材および選択基材に引きかぶせて、これらの両基材と接触させる、請求項1に記載されたデバイス。
【請求項10】
前記ベース基材が透明または半透明の貼り合わせフィルムである、請求項1に記載されたデバイス。
【請求項11】
前記接着剤支持基材が透明または半透明の貼り合わせフィルムである、請求項1に記載されたデバイス。
【請求項12】
前記ベース基材および接着剤支持基材の双方が、透明または半透明の貼り合わせフィルムである、請求項1に記載されたデバイス。
【請求項13】
前記接着剤支持基材が磁性基材である、請求項1に記載されたデバイス。
【請求項14】
前記ベース基材が透明または半透明の貼り合わせフィルムであり、かつまたベース基材の内面が感圧接着剤と接着親和性を有している、請求項13に記載されたデバイス。
【請求項15】
前記接着剤支持基材が接着剤転写基材であり、その内面が剥離面である、請求項1に記載されたデバイス。
【請求項16】
前記ベース基材がマスク基材であり、その内面が感圧接着剤と接着親和性を有している、請求項15に記載されたデバイス。
【請求項17】
前記ベース基材と接着剤支持基材とが、それぞれ長方形である、請求項1に記載されたデバイス。
【請求項18】
選択基材にマスター加工作業を実施する方法において、該方法が、
デバイス、すなわち(i)ベース基材と、(ii)ベース基材に対向する内面を有する接着剤支持基材と、(iii)接着剤支持基材の内面に施された感圧接着剤の層と、(iv)接着剤支持基材からベース基材を隔離する剥離ライナーであって、それも感圧接着剤層に接触する剥離面を有する剥離ライナーと、を含むデバイスを提供する段階と、
ベース基材を剥離ライナーおよび接着剤支持基材から分離し、選択基材をマスター加工位置に位置決めできるようにする段階と、
選択基材をマスター加工位置に位置決めする段階と、
マスター加工位置の選択基材に対して、剥離ライナーをベース基材および選択基材に対して概して平行に活性化方向に引張ることで剥離ライナーを接着剤支持基材から漸次剥離して、選択基材と選択基材周辺部に隣接して延びるベース基材周辺部とに感圧接着剤を接着させる段階と、を含む、選択基材にマスター加工作業を実施する方法。
【請求項19】
前記剥離ライナーが、活性化方向と概して直角の横方向に延在する折り線に沿って折られることで、2部分が形成され、該2部分の一方の部分が活性化部分であり、
前記剥離ライナーが、接着剤支持基材の内面とベース基材の内面とに対向する外面を有し、該外面が剥離面であり、
前記剥離ライナーを活性化方向に引張る作業が、剥離ライナーの活性化部分を引張ることで実施される、請求項18に記載された方法。
【請求項20】
前記ベース基材が、その内面に感圧接着剤を有し、かつまたマスター加工位置への選択基材の位置決め作業が、ベース基材内面の感圧接着剤への選択基材の接着作業を含む、請求項19に記載された方法。
【請求項21】
ベース基材内面の感圧接着剤が、マスター加工作業中に貼り合わせ位置に選択基材を再位置決め可能に接着するようにされた再位置決め可能な感圧接着剤であり、かつまたベース基材内面の感圧接着剤への選択基材の接着作業が、再位置決め可能な感圧接着剤への選択基材の再位置決め可能な接着作業を含む、請求項20に記載された方法。
【請求項22】
前記再位置決め可能な感圧接着剤が、ベース基材を横断して延在するストリップとして提供され、かつまた再位置決め可能な感圧接着剤への選択基材の再位置決め可能な接着作業が、前記ストリップへの選択基材の接触作業を含む、請求項21に記載された方法。
【請求項23】
前記活性化部分が、該活性化部分を指でつまんで引き出しやすくするために、ベース基材と接着剤支持基材との間から外方へ延びるタブを含み、
前記方法が、更に、活性化部分が引張られる前に、接着剤支持基材と、剥離ライナーと、選択基材と、ベース基材とが共に、剥離ライナー・ベース基材間のマスター加工位置にある選択基材に対して平行関係にされる段階を含み、
活性化方向に剥離ライナーの活性化部分を引張る作業が、前記タブを指でつまんで引張る作業を含む、請求項19に記載された方法。
【請求項24】
前記活性化部分が、該活性化部分を指でつまんで引き出しやすいように、ベース基材と接着剤支持基材との間から外部へ延びるひも状部材を含み、
前記方法が、更に、活性化部分が引張られる前に、接着剤支持基材と、剥離ライナーと、ベース基材とが共に、剥離ライナー・ベース基材間のマスター加工位置にある選択基材と平行関係にされる段階を含み、
活性化方向に剥離ライナーの活性化部分を引張る作業が、前記タブを指でつまんで引張る作業を含む、請求項19に記載された方法。
【請求項25】
前記剥離ライナーと接着剤支持基材とからベース基材を分離する作業に、ベース基材から分離させた接着剤支持基材と剥離ライナーとを折り返すことで、ベース基材と接着剤支持基材とを平らな面上に置く作業が含まれ、剥離ライナーが剛性を有することにより、該剥離ライナーの折り線に隣接する部分が接着剤支持基材から剥がれて突出し、
マスター加工位置に選択基材を位置決めする作業に、折り返して分離されたベース基材上に選択基材を位置決めする作業が含まれ、
前記活性化部分を活性化方向に漸次引張る作業により、接着剤支持基材から剥離ライナーが剥がされ、かつ漸次接着剤支持基材が、ベース基材および選択基材の上へかぶさるように引張られ、該両基材に接触する、請求項19に記載されたデバイス。
【請求項26】
剥離ライナーの折り線に隣接する剥離ライナー部分が剥がれて突出することにより、接着剤支持基材とベース基材との結合区域に形成されるニップに隣接する接着剤支持基材上の接着剤が露出し、
前記折り返されて分離されたベース基材上に選択基材を位置決めする作業が、露出した接着剤に選択基材の縁部を接触させる作業を含む、請求項25に記載された方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−509903(P2006−509903A)
【公表日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−508567(P2005−508567)
【出願日】平成15年12月10日(2003.12.10)
【国際出願番号】PCT/US2003/039182
【国際公開番号】WO2004/060674
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(504410170)ザイロン、インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】