説明

マッサージ機

【課題】 従来に比して施療することが可能な範囲を拡大させ、施療効果をより向上させたマッサージ機を提供する。
【解決手段】 座部2,背凭れ部3,フットレスト4からマッサージ機1を構成する。座部2は、被施療者が着座するクッション部2aが凹状をなしており、その内底部分と、内側部分に夫々空気袋2cを設けた構成とする。背凭れ部3は、被施療者の胴体を保持するクッション部3bが凹状をなしており、その内底部分にはマッサージ機構5が、内側部分には空気袋3dが設けられている。また、フットレスト4は、被施療者の下腿部及び足を保持するクッション部4bが凹状をなしており、その内底部分、内側部分、及び内下底部分の夫々に空気袋4dが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被施療者の身体を施療するマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
椅子型又はマットレス型等のマッサージ機が広く知られている。例えば椅子型のマッサージ機は、座部と背凭れ部とを有し、人体の施療を行うための施療子を前記背凭れ部に設けた構造とされており、内蔵する複数のモータの駆動の組み合わせにより、施療子に複数の動作(例えば揉み動作、叩き動作、施療部位の変更等)を選択的に行わせることが可能とされたものが一般的である。このようなマッサージ機は、主として被施療者の胴体の背部に施療子を押圧させることにより、被施療者の胴体の背部に刺激を与えることができるようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した如き従来のマッサージ機にあっては、被施療者の胴体の背部等しか施療することができず、施療することが可能な範囲が少ないという問題があった。
【0004】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、被施療者の胴体の側部並びに腰部及び大腿部の側部等、従来のマッサージ機では施療することができなかった身体部位を施療することができ、従来に比して施療することが可能な範囲を拡大させたマッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るマッサージ機は、被施療者の胴体を背部から側部に亘って覆うことが可能な形状をなしており、被施療者の胴体の背部を施療するための第1施療部と、被施療者の胴体の側部を施療するための第2施療部とを備えることを特徴とする。
【0006】
人間の身体には、全身に亘って所謂経穴なる部位が散在しており、かかる経穴に刺激を与えることにより、疲労回復及び血行の改善等の効果を得ることができる。従って、胴体の背部以外に存在する経穴に対しても、刺激を与え得る構造とすることが望ましい。本発明に係るマッサージ機にあっては、第1施療部によって被施療者の胴体の背部を施療することが可能であるばかりでなく、第2施療部によって被施療者の胴体の側部を施療することも可能であるので、従来に比して施療することが可能な範囲を拡大することができ、施療効果をより向上させることが可能となる。
【0007】
また、上記発明においては、前記第2施療部は、被施療者の胴体の側部に対応する箇所に設けられた空気袋と、該空気袋に対して給気及び排気を行う給排気部とを有する構成とすることが望ましい。人間の胴体の側部は、背部等に比して筋肉が少なく、刺激に対して敏感である。従って、空気袋を膨張・収縮させて被施療者の胴体の側部を施療する構成とすることにより、被施療者の胴体の側部に対して適度な刺激を与えることが可能となる。
【0008】
また、上記発明においては、前記第1施療部は、被施療者の背部を押圧する施療子と、該施療子を移動させる移動機構とを有する構成とすることが望ましい。このように、従来のマッサージ機に利用されている施療子及び移動機構を本発明に係るマッサージ機に用いることによって、部品の共用化を図ることができ、製品の開発コストを低減することが可能となる。
【0009】
また、上記発明においては、被施療者の腕部を覆うことが可能な形状をなしており、被施療者の腕部を保持するための肘掛け部を更に備え、被施療者の腕部を施療するために膨張・収縮する空気袋が前記肘掛け部に設けられている構成とすることが望ましい。これによって、被施療者の胴体の背部及び側部に加えて、被施療者の腕部を施療することができ、更に施療することが可能な範囲を拡大することが可能となる。
【0010】
また、上記発明においては、被施療者の腰部及び大腿部を背部から側部に亘って覆うことが可能な形状をなしており、被施療者が着座するための座部を更に備え、被施療者の腰部及び大腿部の側部を施療するために膨張・収縮する空気袋が前記座部に設けられている構成とすることが望ましい。これによって、被施療者の胴体の背部及び側部に加えて、被施療者の腰部及び大腿部の側部を施療することができ、更に施療することが可能な範囲を拡大することが可能となる。
【0011】
また、上記発明においては、被施療者の下腿部を背部から側部に亘って覆うことが可能な形状をなしているフットレスト部を更に備え、被施療者の下腿部の側部を施療するために膨張・収縮する空気袋が前記フットレスト部に設けられている構成とすることが望ましい。これによって、被施療者の胴体の背部及び側部に加えて、被施療者の下腿部の側部を施療することができ、更に施療することが可能な範囲を拡大することが可能となる。
【0012】
また、この場合においては、前記フットレスト部は、被施療者の足底を覆うことが可能な形状をなしており、被施療者の足底を施療するために膨張・収縮する空気袋が前記フットレスト部に設けられている構成とすることが望ましい。これによって、被施療者の胴体の背部及び側部並びに下腿部の側部に加えて、被施療者の足底を施療することができ、更に施療することが可能な範囲を拡大することが可能となる。
【0013】
また、上記発明においては、被施療者の頸部及び肩部を施療するために膨張・収縮する空気袋が、被施療者の頸部及び肩部に対応する箇所に設けられている構成とすることが望ましい。これによって、被施療者の胴体の背部及び側部に加えて、被施療者の頸部及び肩部を施療することができ、更に施療することが可能な範囲を拡大することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
以上詳述した如く、本発明に係るマッサージ機によれば、第1施療部によって被施療者の胴体の背部を施療することが可能であるばかりでなく、第2施療部によって被施療者の胴体の側部を施療することも可能であるので、従来に比して施療することが可能な範囲を拡大することができ、施療効果をより向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るマッサージ機の使用例を示す斜視図であり、図2は、本発明の実施の形態1に係るマッサージ機の構成を示す斜視図である。図1及び図2に示すように、本発明の実施の形態に係るマッサージ機1は、椅子型をなしており、被施療者が着座するための座部2と、被施療者の上半身を支持するための背凭れ部3と、被施療者の足置きとして用いられるフットレスト4とから主として構成されている。
【0017】
座部2は、基台2bの上部に、クッション部2aが配されて構成されている。基台2bは、比較的高い硬度を有する合成樹脂製であり、その内側が凹状に窪んだ形状とされている。クッション部2aは、ウレタンフォーム,スポンジ,又は発泡スチロール製の内装材(図示せず)が基台2bの内面に載置されており、更にこれをポリエステル製の起毛トリコット,合成皮革,又は天然皮革等からなる外装材にて覆って構成されている。従って、座部2は、被施療者が着座したときに、被施療者の腰部及び大腿部を背部から側部に亘って覆うような形状となっている。また、図2に示すように、この座部2のクッション部2aには、その内部に複数の空気袋2cが設けられている。これらの空気袋2cは、被施療者の腰部及び大腿部の背部に対応する箇所、即ち凹状の内底部分と、被施療者の腰部及び大腿部の側部に対応する箇所、即ち凹状の内側部分とに設けられている。
【0018】
また、座部2の上部前側には、フットレスト4の上端部が枢着されている。これにより、フットレスト4は、その上端部を中心にして前後に回動可能とされている。フットレスト4は、内側が凹状に窪んだ形状をなすカバー部4aと、このカバー部4aの内側に設けられたクッション部4bとから主として構成されている。カバー部4aは、基台2bと同じ材料によって形成されており、正面視において略チャネル状をなしている。このカバー部4aの内側に配置されているクッション部4bは、2つの縦長の凹状に窪んだ凹状部分4cを有している。この凹状部分4cは、一般的な体格の成人の下腿及び足(足首より末端の部分)よりも若干大きく形成されており、被施療者がマッサージ機1に着座したときに、足置きとして用いられる。
【0019】
このような凹状部分4cは、マッサージ機1に被施療者が着座したときに、この凹状部分4cが被施療者の下腿及び足を背部から側部及び足底に亘って覆うように、被施療者の下腿部の背部に対向する内底部分と、被施療者の下腿部の側部に対向する内側部分と、被施療者の足底に対向する内下底部分とから構成されている。そして、クッション部4bは、前述したクッション部2aと同じ内装材及び外装材によって構成されており、その内底部分、内側部分、及び内下底部分の内側には、複数の空気袋4dが夫々設けられている。
【0020】
背凭れ部3は、座部2の後部に設けられている。この背凭れ部3は、例えばその下端部が基台2bに前後に回動自在に枢着されており、これによってリクライニング可能とされている。なお、背凭れ部3を傾倒させるに伴って、背凭れ部3の下部を座部2の内側に潜り込ませるように背凭れ部3を移動させる構成としてもよい。このようにすることによって、被施療者の胴体の背部と、後述する施療子6との相対的な位置のずれが発生することを抑制することができる。
【0021】
また、背凭れ部3は、被施療者の胴体を支持するための部分と、被施療者の頭部を支持するための部分とから主として構成されている。背凭れ部3の全体は、内側が凹状に窪んだ形状をなすカバー部3aによって一体的に構成されており、このカバー部3aの内側に、被施療者の胴体を支持するためのクッション部3bと、被施療者の頭部を支持するためのクッション部3cとが上下に並べられた状態で設けられている。カバー部3aは、基台2bと同じ材料によって、丸みを帯びた略舟形状に形成されており、クッション部3b,3cは、前述したクッション部2aと同じ内装材及び外装材によって構成されている。
【0022】
クッション部3bは、被施療者が着座したときに、被施療者の胴体を背部から側部に亘って覆うような形状となっている。また、クッション部3bにも、複数の空気袋3dが内蔵されている。これらの空気袋3dは、被施療者の胴体の側部に対応する箇所、即ち凹状の内側部分に設けられている。また、背凭れ部3の内部の被施療者の胴体の背部に対応する箇所、即ち凹状の内底部分には、図3に示す如きマッサージ機構(第1施療部)5が設けられている。
【0023】
図3は、本発明の実施の形態1に係るマッサージ機1が有するマッサージ機構5の構成を示す分解斜視図である。マッサージ機構5は被施療者の身体に機械的刺激を与える4つの施療子6とこの施療子6を変位駆動するモータ7,8とを有している。施療子6は2つのV字状のアーム9の先端それぞれに取り付けられている。夫々のアーム9は、略V字状をなす2つのコンロッド10に所定の範囲内で回転可能であるように夫々取り付けられている。各コンロッド10には、嵌合孔11が設けられており、この嵌合孔11に回転軸12の両端に設けられた傾斜部13が遊嵌されている。この傾斜部13は、回転軸12に対して所定角度傾斜した状態で設けられたものである。回転軸12の中間部分には、ヘリカルギヤ14aが同軸的に設けられており、このヘリカルギヤ14aがウォーム14bと噛合している。このように、ヘリカルギヤ14aとウォーム14bとでウォームギヤ機構14が構成されている。
【0024】
ウォーム14bの一端には、プーリ15aが同軸的に設けられており、ベルト15bによってこのプーリ15aとモータ7の出力軸に設けられたプーリ15cとが連結されている。従って、モータ7の回転運動はベルト15bを介してウォーム14bへ伝達され、ウォーム14bの回転によって回転軸12が回転する。そして、回転軸12の回転に伴い、傾斜部13が円錐形の軌跡を描くように変位し、これによってコンロッド10が規則的に動作して、左右の施療子6が近接・離反するように左右及び上下方向へ略楕円を描くように移動する。これが施療子6の揉み動作となる。なお、施療子6の揉み動作には、左右の施療子6が近接するときに前方(施療者側)へ移動し、左右の施療子6が離反するときに後方へ移動する動作も含まれる。このように、揉み動作では、施療子6が3次元的に移動することとなる。
【0025】
また、図3に示すように、コンロッド10の下部には嵌合穴16が設けられており、この嵌合穴16に連結部材17に設けられた突出部18が挿入されている。連結部材17には、横方向の孔19が設けられており、この孔19に、回転軸20の両端部に設けられた偏心部21が遊嵌している。また、回転軸20の中間部分にはプーリ22aが同軸的に設けられており、ベルト22bによってこのプーリ22aとモータ8の出力軸に設けられたプーリ22cとが連結されている。従って、モータ8の回転運動はベルト22bを介して回転軸20に伝達され、回転軸20の両端の偏芯部21の公転によって連結部材17が略上下に移動する。この結果、コンロッド10が嵌合孔11を中心に往復回動するので施療子6が円弧を描くように略上下に往復移動する。これが施療子6のたたき動作となる。
【0026】
このように、モータ7の駆動によって施療子6の揉み動作が、モータ8の駆動によって施療子6のたたき動作が行われ、モータ7,8を同時に駆動することにより、両動作が合成されて行われることとなる。もちろん、各動作を独立に行うことも可能である。
【0027】
このようなマッサージ機構5は、図2に示すようにガイドローラ23に支持されている。ガイドローラ23は、マッサージ機構5の昇降を案内するように構成されており、これによって背凭れ部3の下部に設けられたモータ24(図6参照)を駆動した場合に、マッサージ機構5がガイドローラ23に沿って昇降することが可能とされている。
【0028】
このようなマッサージ機構5は、クッション部3cの近傍までを上限として、クッション部3b内を昇降することが可能である。そして、クッション部3bの上端部であって、マッサージ機構5の移動上限位置より上方の部分には、被施療者の頸部の側部及び肩の上部に刺激を与えるための空気袋3gが設けられている。
【0029】
また、カバー部3aは、クッション部3cより前方に延設された部分を有しており、この部分の内側にも、クッション部3eが設けられている。このクッション部3eは、被施療者が着座したときに、被施療者の上腕部及び肩の側部を覆うような位置に設けられており、その内部には複数の空気袋3fが設けられている。
【0030】
このような背凭れ部3の前方であって、座部2の両側部の上方には、2つの肘掛け部25が設けられている。図4は、本発明の実施の形態1に係るマッサージ機1の肘掛け部25の構成を示す正面図であり、図5は、その使用例を示す斜視図である。肘掛け部25は、板状の部材を円弧状に湾曲させた如き形状をなすカバー部25aと、該カバー部25aの内側に設けられたクッション部25bとから構成されている。このような肘掛け部25は、一般的な成人の前腕より若干長く、図1に示す如く、被施療者がマッサージ機1に着座したときに、被施療者の肘、前腕、及び手等を覆うように保持することが可能である。
【0031】
また、かかる肘掛け部25は、その基端部が背凭れ部の両側部に、長手方向、即ち前後方向を中心に所定範囲内で回動自在に取り付けられている。図5(a)には、肘掛け部25を回動させる前の状態を示しており、図5(b)には、肘掛け部25を回動させた後の状態を示している。図5(a),(b)に示すように、肘掛け部25は、被施療者がマッサージ機1に着座するとき及びマッサージ機1から離れるときには、肘掛け部25に腕を置きやすいように、上方が開いた状態(以下、非使用状態という)とされる。そして、肘掛け部25は、被施療者がマッサージ機1に着座しているときには、内側が開いた状態(以下、使用状態という)となるまで略90°回動する。このような肘掛け部25は、手動で回動する構造であってもよいし、例えばスイッチのオン・オフ又はセンサで被施療者の腕の有無を検出することによって、モータ等の動力により回動する構造であってもよい。
【0032】
このような肘掛け部25は、クッション部25bに複数の空気袋25cが内蔵されている(図4参照)。更に具体的に説明すると、図4に示す如く、肘掛け部25は正面視において略U字型をなしており、使用状態のときに、被施療者の前腕の外側部分(手の甲に連なる部分)、内側部分(手のひらに連なる部分)、及び横側部分(手の小指側に連なる部分)に夫々刺激を与えるべく、そのU字の両内側部分及び内底部分の3箇所に、空気袋25cが設けられている。
【0033】
図6は、本発明の実施の形態1に係るマッサージ機1の構成を示すブロック図である。マッサージ機1の背凭れ部3の下部には、制御部26が内蔵されている(図示せず)。この制御部26は、図5に示すように、CPU27,ROM28,RAM29,入出力インタフェース30から主として構成されている。
【0034】
また、入出力インタフェース30には、モータ7,8,24を夫々駆動するための駆動回路31,32,33が接続されている。これらの駆動回路は、図示しない電源に接続されており、入出力インタフェース30から出力されたパルス信号に応じた電流をモータ7,8,24に夫々供給するようになっている。更に具体的に説明すると、CPU27がモータ7,8,24の回転方向及び回転速度を決定し、決定した回転方向及び回転速度に応じた回転指示信号を入出力インタフェース30に発生させる。駆動回路31,32,33は、夫々パルス発生器を備えており、該パルス発生器が、入出力インタフェース30から与えられた回転指示信号に応じたパルス幅の電圧(パルス信号)を夫々発生し、該電圧が夫々モータ7,8,24の端子間に印加される。このようなPWM制御により、モータ7,8,24に電流が供給され、モータ7,8,24が所要の回転方向、回転速度にて駆動される。
【0035】
なお、モータ7,8,24はDCサーボモータであっても、ACサーボモータであってもよい。また、このような駆動対象のモータの種類に応じて駆動回路31,32,33の構成が変更されることは言うまでもない。
【0036】
また、マッサージ機1には、複数の操作スイッチを有する操作部34が設けられており、この操作部34が入出力インタフェース30に接続されている。操作部34は、例えば右手用の肘掛け部25の先端部分に設けられており、被施療者の操作に応じた出力信号を発生するようになっている。操作部34からの出力信号は、入出力インタフェース30を介してCPU27に入力され、これによって被施療者からの動作指示が制御部26に与えられる。
【0037】
更に、マッサージ機1には、エアポンプ35及びロータリバルブ36が設けられている。このロータリバルブ36は、7個のポートを有しており、この内の6個のポートの夫々に、エアホースを介して空気袋2c,3d,3f,3g,4d,25cが接続されている。ロータリバルブ36の残りの1つのポートには、エアポンプ35がエアホースを介して接続されている。またロータリバルブ36には、ステッピングモータが内蔵されており(図示せず)、ステッピングモータの動作によってポート間の接続が切り替えられ、これによりエアポンプ35に連通される空気袋2c,3d,3f,3g,4d,25cが順次切り替えられるようになっている。また、エアポンプ35に連通されていない空気袋のうちの1又は複数は、ロータリバルブ36に設けられた排気口に接続され、外気に連通されるようになっている。更に、残りの空気袋に接続されたポートは閉塞されるようになっている。
【0038】
また、ロータリバルブ36を駆動する駆動回路37が、入出力インタフェース30に接続されている。駆動回路37は、入出力インタフェース30から出力された制御信号(回転指示信号)に応じて、ロータリバルブ36のステッピングモータを駆動し、エアポンプ35と空気袋2c,3d,3f,3g,4d,25cとの連通を切り替える。
【0039】
そして、エアポンプ35,ロータリバルブ36,及び駆動回路37によって、本発明に係る給排気部38が構成されており、該給排気部38及び空気袋3dによって、本発明に係る第2施療部が構成されている。
【0040】
次に、本発明の実施の形態1に係るマッサージ機の動作について説明する。被施療者は、マッサージ機1を使用するとき、マッサージ機1に着座する(図1参照)。そして、肘掛け部25を回動させ、使用状態とする。この状態で、被施療者が操作部34を操作したとき、操作部34から出力される信号が制御部26に与えられ、CPU27が、被施療者から与えられた動作指示に従い、入出力インタフェース30に回転指示信号(制御信号)を出力させる。
【0041】
このような制御信号は、駆動回路31〜33,37に与えられる。駆動回路31〜33,37は、与えられた制御信号に従い、モータ7,8,24,ロータリバルブ36を夫々駆動する。そして、モータ7及び/又はモータ8が動作することにより、施療子6が揉み動作及び/又はたたき動作を行い、被施療者の胴体の背部(背中)に機械的な刺激が与えられる。また、モータ24が動作することにより、マッサージ機構5が昇降されることとなる。更に、ロータリバルブ36が動作することにより、空気袋2c,3d,3f,3g,4d,25cが夫々膨張・収縮を行うこととなる。
【0042】
空気袋2cが膨張した場合、座部2のクッション部2aの内底部分及び内側部分が隆起し、これによって被施療者の腰部及び大腿部の背部及び側部が圧迫刺激を受ける。また、空気袋3dが膨張した場合、背凭れ部3のクッション部の内側部分が隆起し、これによって被施療者の胴体の側部が圧迫刺激を受ける。また、空気袋3f,3g,4d,及び25cが夫々膨張した場合、クッション部3e、クッション部3bの上端部、クッション部4dの内底部分、内側部分、及び内下底部分、並びにクッション部25bが夫々隆起し、被施療者の上腕部及び肩の側部、頸部の側部及び肩の上部、下腿部の背部、下腿部の側部、及び足底、並びに前腕部が夫々圧迫刺激を受ける。
【0043】
また、異なる体格の被施療者がマッサージ機1を使用した場合であっても、夫々の被施療者の身体に密着するまで各空気袋2c,3d,3f,3g,4d,25cを膨張させることとすれば、夫々の体格の被施療者の身体に刺激を与えることができる。
【0044】
なお、本実施の形態においては、施療子6を有するマッサージ機構5を背凭れ部3に内蔵し、施療子6を移動させることにより、被施療者の胴体の背部に機械的刺激を与える構成としたが、これに限定されるものではなく、例えば、クッション部3bの凹状の内底部分に空気袋を複数設け、該空気袋を膨張・収縮させることにより、被施療者の胴体の背部に圧迫刺激を与える構成としてもよい。
【0045】
(実施の形態2)
図7は、本発明の実施の形態2に係るマッサージ機の構成を示す斜視図である。図に示すように、本実施の形態に係るマッサージ機39は、座部2のクッション部2aの凹状の内底部分に設けられている空気袋2cは、該内底部分の幅方向の略中央部分、即ち被施療者が着座したときに、被施療者の股間に対応する箇所に設けられている。
【0046】
その他、本実施の形態2に係るマッサージ機の構成は、実施の形態1に係るマッサージ機の構成と同様であるので、同符号を付し、その説明を省略する。
【0047】
このような構成とすることにより、空気袋2cを膨張させたとき、被施療者の股間でクッション部2aが隆起するので、クッション部2aの内側部分に設けられている空気袋2cと、クッション部2aの内底部分に設けられている空気袋2cとによって、被施療者の夫々の大腿部が挟まれた状態で圧迫されることとなる。従って、クッション部2aの両内側部分が隆起することによって、被施療者の大腿部の両外側が押圧された場合であっても、大腿部が内側に移動することを抑制でき、より効率的に被施療者の大腿部に圧迫刺激を与えることができる。
【0048】
なお、実施の形態1,2においては、マッサージ機1に空気袋2c,3d,3f,3g,4d,25cを設け、これらの空気袋を膨張・収縮させることによって被施療者の腰部及び大腿部の背部及び側部、胴体の側部、上腕及び肩の側部、頸部の側部及び肩の上部、並びに前腕の外側部分、内側部分、及び横側部分に圧迫刺激を与える構成としたが、これに限定されるものではなく、これらの空気袋の一又は複数を除いた構成としてもよいし、更に空気袋を設け、被施療者の身体のこれら以外の部位に刺激を与える構成としてもよい。
【0049】
(実施の形態3)
図8は、本発明の実施の形態3に係るマッサージ機のフットレストの構成の一例を示す斜視図であり、図9は、図8のA−A矢視における断面図であり、図10は、図8のB−B矢視における断面図である。
【0050】
図8〜10に示すように、本実施の形態に係るフットレスト40は、カバー部40aと、クッション部40bとから主として構成されている。クッション部40bは、その幅方向の中央部分に、中間壁部40dが設けられており、これによって2つの凹状部分40cが形成されている。夫々の凹状部分40cのうち、被施療者が着座したときに被施療者の下腿の背部に対応する内底部分41と、被施療者の足底に対応する内下底部分42との間の角度は、90°より大きく、180°より小さい角度θとされている。
【0051】
また、図9に示すように、内底部分41及び内下底部分42は、夫々所定の曲率Rで窪んだ円弧面とされている。更に、図10に示すように、クッション部40bの内側部分43は、被施療者の下腿部の上部に対応する部分が前方へ張り出しており、下腿部の下部(足首の部分)に対応する部分が、この部分より幅が狭くされている。また、被施療者の足に対応する部分が、下腿部の下部に対応する部分より前方へ張り出した状態に形成されている。即ち、内側部分43の被施療者の下腿部の下部に対応する部分の幅hに比べ、内下底部分42の長さhaの方が長くされている。
【0052】
図11は、本発明の実施の形態3に係るマッサージ機のフットレストの他の構成例を示す斜視図であり、図12は、図11のC−C矢視における断面図である。図11,12に示すように、本例のフットレスト40は、図8に示したフットレスト40から、中間壁部40dを除去した如き形状をなしている。本例のフットレスト40は、クッション部40bの内底部分及び内下底部分の夫々中央から左右に分割した領域が、夫々曲率Rで窪んだ円弧面とされている。従って、クッション部40bの内底部分及び内下底部分の夫々幅方向中央部分は盛り上がっている。
【0053】
その他、本実施の形態3に係るマッサージ機の構成は、実施の形態1に係るマッサージ機の構成と同様であるので、同符号を付し、その説明を省略する。
【0054】
以上の如き構成により、フットレストの形状が被施療者の下腿及び足により合った形状となっているので、着座したときの被施療者の姿勢をより自然なものとすることが可能となる。
【0055】
(実施の形態4)
図13は、本発明の実施の形態4に係るマッサージ機のフットレストの構成を示す斜視図であり、図14は、その側面図である。図13,14に示すように、本実施の形態に係るフットレスト44は、被施療者の下腿部を保持するための上部部材45と、被施療者の足底を保持するための下部部材46との2つの部材によって主として構成されている。上部部材45は、凹状に窪んだ形状をなすカバー部45aと、該カバー部45aの内側に設けられたクッション部45bとを有しており、クッション部45bは、被施療者の両下腿部を覆うように保持すべく、凹状に窪んだ形状とされている。
【0056】
更にクッション部45bの形状を詳しく説明すると、クッション部45bは、被施療者の下腿部の背部に対応する凹状の内底部分と、該内底部分の両側部に設けられ、被施療者の下腿部の側部に対応する内側部分とから構成されており、図12に示した実施の形態3に係るフットレストと同様に、内底部分の中央から左右に分割した領域が、夫々曲率Rで窪んだ円弧面とされていて、内底部分の中央部が他の部分より若干盛り上がっている。そして、このようなクッション部45bの内部には、複数の空気袋4dが設けられている。
【0057】
下部部材46もまた、凹状に窪んだ形状をなすカバー部46aと、該カバー部46aの内側に設けられたクッション部46bとを有している。クッション部46bは、カバー部46aの凹状の内面の略全体にわたって設けられており、これによって、被施療者の両足を覆うように保持することが可能となっている。
【0058】
更にクッション部46bの形状を詳しく説明すると、クッション部46bは、クッション部45bと同様に、凹状の内底部分と、該内底部分の両側部に設けられた内側部分との3つの部分から構成されている。このクッション部46bの内底部分は、被施療者の足底に対応し、内側部分は、被施療者の足の側部に対応している。また、クッション部45bと同様に、内底部分の中央から左右に分割した領域が、夫々所定の曲率で窪んだ円弧面とされており、内底部分の中央部が他の部分よりも若干盛り上がっている。そして、このようなクッション部46bの内部にも、複数の空気袋4dが設けられている。
【0059】
また、下部部材46は、上部部材45の下端部に枢着されており、前後方向に回動可能とされている。また、図14に示すように、上部部材45の背部、即ちカバー部45aの凹状の外側の部分には、シリンダ47が設けられている。このシリンダ47は、エアシリンダ、又は電動シリンダ等が用いられ、シリンダ47のシリンダチューブ47aの奥側端部が、上部部材46の背部の上端部分に横方向の枢軸によって枢着されている。
【0060】
シリンダ47のシリンダロッド47bの先端は、下部部材46のカバー部46aの後端から突設された突設部46cに、横方向の枢軸によって枢着されている。これにより、シリンダ47を伸縮させることにより、下部部材46が上部部材45に対して回動することとなる。従って、上部部材45と下部部材46とがなす角度を、被施療者が嗜好する角度に調節することができ、着座したときの被施療者の姿勢を、個々の被施療者により適したものとすることが可能となる。
【0061】
なお、図13,14に示すように、本実施の形態4に係るフットレスト44は、上部部材45の横幅と、下部部材46の横幅とを略等しくしており、上部部材45と下部部材46とがなす角度を小さく方向へのフットレスト44の可動範囲の限界が、上部部材45の側壁部分、即ち被施療者の下腿部の側部に対向する部分と、下部部材46の側壁部分、即ち被施療者の足の側部に対向する部分とが当接する状態となる構成としたが、これに限定されるものではなく、例えば、上部部材45の横幅を下部部材46の横幅より大きくし、上部部材45と下部部材46とを相対的に回動させたとき、上部部材45の内部に下部部材46が入り込むようにして、上部部材45と下部部材46との干渉を避け、更にフットレスト44の可動範囲を大きくした構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施の形態に係るマッサージ機の使用例を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るマッサージ機の構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係るマッサージ機が有するマッサージ機構の構成を示す分解斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係るマッサージ機の肘掛け部の構成を示す正面図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係るマッサージ機の肘掛け部の使用例を示しており、(a)は、回動させる前の状態の肘掛け部を示す斜視図であり、(a)は、回動させた後の状態の肘掛け部を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係るマッサージ機の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係るマッサージ機の構成を示す斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態3に係るマッサージ機のフットレストの構成の一例を示す斜視図である。
【図9】図8のA−A矢視における断面図である。
【図10】図8のB−B矢視における断面図である。
【図11】本発明の実施の形態3に係るマッサージ機のフットレストの他の構成例を示す斜視図である。
【図12】図11のC−C矢視における断面図である。
【図13】本発明の実施の形態4に係るマッサージ機のフットレストの構成を示す斜視図である。
【図14】本発明の実施の形態4に係るマッサージ機のフットレストの構成を示す側面図である。
【符号の説明】
【0063】
1,39 マッサージ機
2 座部
2a クッション部
2b 基台
2c 空気袋
3 背凭れ部
3a カバー部
3b,3c,3e クッション部
3d,3f,3g 空気袋
4,40,44 フットレスト
4a,40a カバー部
4b,40b クッション部
4c,40 凹状部分
4d 空気袋
5 マッサージ機構(第1施療部)
6 施療子
7,8,24 モータ
25 肘掛け部
25a カバー部
25b クッション部
25c 空気袋
26 制御部
27 CPU
28 ROM
29 RAM
30 入出力インタフェース
31〜33 駆動回路
34 操作部
35 エアポンプ
36 ロータリバルブ
37 駆動回路
38 給排気部
40d 中間壁部
41 内底部分
42 内下底部分
43 内側部分
45 上部部材
45a カバー部
45b クッション部
46 下部部材
46a カバー部
46b クッション部
47 シリンダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療者の胴体を背部から側部に亘って覆うことが可能な形状をなしており、被施療者の胴体の背部を施療するための第1施療部と、被施療者の胴体の側部を施療するための第2施療部とを備えることを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記第2施療部は、被施療者の胴体の側部に対応する箇所に設けられた空気袋と、該空気袋に対して給気及び排気を行う給排気部とを有することを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記第1施療部は、被施療者の背部を押圧する施療子と、該施療子を移動させる移動機構とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
被施療者の腕部を覆うことが可能な形状をなしており、被施療者の腕部を保持するための肘掛け部を更に備え、被施療者の腕部を施療するために膨張・収縮する空気袋が前記肘掛け部に設けられていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のマッサージ機。
【請求項5】
被施療者の腰部及び大腿部を背部から側部に亘って覆うことが可能な形状をなしており、被施療者が着座するための座部を更に備え、被施療者の腰部及び大腿部の側部を施療するために膨張・収縮する空気袋が前記座部に設けられていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のマッサージ機。
【請求項6】
被施療者の下腿部を背部から側部に亘って覆うことが可能な形状をなしているフットレスト部を更に備え、被施療者の下腿部の側部を施療するために膨張・収縮する空気袋が前記フットレスト部に設けられていることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載のマッサージ機。
【請求項7】
前記フットレスト部は、被施療者の足底を覆うことが可能な形状をなしており、被施療者の足底を施療するために膨張・収縮する空気袋が前記フットレスト部に設けられていることを特徴とする請求項6に記載のマッサージ機。
【請求項8】
被施療者の頸部及び肩部を施療するために膨張・収縮する空気袋が、被施療者の頸部及び肩部に対応する箇所に設けられていることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載のマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−49178(P2008−49178A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−286552(P2007−286552)
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【分割の表示】特願2002−64823(P2002−64823)の分割
【原出願日】平成14年3月11日(2002.3.11)
【出願人】(000112406)ファミリー株式会社 (175)
【Fターム(参考)】