説明

マッサージ機

【課題】枕部に配設した施療具で高い施療効果を得ることができるマッサージ機を提供する。
【解決手段】
枕部5に、肩外エアセル21、肩内エアセル22、肩下エアセル23、及び首エアセル20を配設し、これらエアセルを互いに独立して制御することで被施療者の複数箇所に施療を施す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマッサージ機に関し、特に、被施療者の肩部へ効果の高い施療を施すことができるマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
マッサージ機として知られているものに、座部と背凭れ部とを備え、これらにエアセルや揉み玉などの施療具が設けられている椅子型のものがある。このようなマッサージ機は、例えば、背凭れ部に設けた揉み玉を上下に移動させつつ揉み動作や叩き動作をさせることによって、使用者に対して施療を施すことができる。また、背凭れ部に枕を設けて、同背凭れ部にもたれかかった被施療者の首の位置を安定させるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−102094号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
例えば上記特許文献1に記載されたマッサージ機の枕に、被施療者の肩部を施療する施療具を設けることで、被施療者の背部と肩部に施療を施すことができる。しかし、被施療者の肩部を施療具で単に押さえるだけでは、効果の高い施療効果を得ることができない。
【0004】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、枕部に設けた施療具で高い施療効果を得ることができるマッサージ機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明は次の技術的手段を講じた。
【0006】
すなわち本発明のマッサージ機は、座部及びこの座部の後側に設けられた背凭れ部と、前記背凭れ部の上部に設けられた枕部と、前記枕部に配設されて被施療者の片方の肩部の複数箇所に対応して施療する複数の施療具を有する肩施療部と、前記複数の施療具を互いに独立して制御するように構成された制御部と、を備えていることを特徴とする。
【0007】
上記本発明のマッサージ機によれば、互いに独立して制御される複数の施療具で、被施療者の一方の肩部の複数箇所が施療されるので、肩部への多様な施療が可能となり被施療者は高い施療効果を得ることができる。
【0008】
また、前記複数の施療具は、被施療者の肩部の外側部分に対応して設けられて当該部分を上方から施療する肩外施療具と、被施療者の肩部の内側部分に対応して設けられて当該部分を上方から施療する肩内施療具と、施療者の肩部の後側部分に対応して設けられて当該部分を後側から施療する肩下施療具とよりなり、前記肩外施療具、前記肩内施療具、及び前記肩下施療具はエアの給気により膨張するエアセルにより構成されていることが好ましい。
【0009】
この場合、上記マッサージ機は一方の肩部を上方から肩外施療具と肩内施療具、後側から肩下施療具で施療することができ、多様な施療パターンが可能となる。
【0010】
上記各施療具による施療パターンとして、例えば以下のものが挙げられる。
【0011】
前記制御部は、前記肩外施療具が膨張する時間帯の一部と前記肩内施療具が膨張する時間帯の一部とをオーバーラップさせることで、肩部へ内外重複揉み施療を施すように制御する。なお、ここでいう膨張とは、施療具が膨らみ始めて、膨らんだ施療具が縮むまでのことをいう。
【0012】
この施療パターンにより、被施療者は肩部の外側から内側、或いは内側から外側にかけて非常に滑らかに揉まれ、内外重複揉み施療を受けることができる。
【0013】
上記内外重複揉み施療の施療パターンとして例えば以下のものが挙げられる。
【0014】
前記制御部は、前記肩外施療具が膨張する時間帯の長さと前記肩内施療具が膨張する時間帯の長さとを略同一とする。
【0015】
更に、前記制御部は、前記肩外施療具が膨張する時間帯の一部と前記肩内施療具が膨張する時間帯の一部をオーバーラップさせたときに前記肩下施療具を膨張させる。
【0016】
また、前記内外重複揉み施療以外の施療パターンとして以下のものが挙げられる。
【0017】
前記制御部は、前記肩外施療具と前記肩内施療具と前記肩下施療具を同時に一定時間膨張させ、このうち当該肩外施療具又は当該肩内施療具と、当該肩下施療具とを収縮させることで肩部へ内外揉み施療を施すように制御する。
【0018】
この施療パターンにより、被施療者は肩部の外側から内側、或いは内側から外側にかけて滑らか揉まれ、内外揉み施療を受けることができる。
【0019】
また、前記制御部は、前記肩下施療具を一定時間膨張させ、これを膨張させたまま前記肩外施療具及び前記肩内施療具を膨張させることで、肩部へ押上揉み施療を施すように制御する。
【0020】
この施療パターンにより、被施療者は肩部を下から押し上げられつつ上から押さえられ、押上揉み施療を受けることができる。
【0021】
また、前記枕部における被施療者の首部に対応する部分に当該部分を施療する首施療具が設けられ、この首施療具はエアの給気により膨張するエアセルにより構成され、前記制御部は当該首施療具を前記複数の施療具と独立して制御するように構成されていることが好ましい。
【0022】
この場合、被施療者は首部への施療効果が得られ、更に施療パターンを増やすことができる。
【0023】
また、前記枕部における被施療者の首部に対応する部分に当該部分を施療する首施療具が設けられ、この首施療具はエアの給気により膨張するエアセルにより構成され、前記制御部は、当該首施療具を前記複数の施療具と独立して制御するように構成されると共に、当該首施療具のみを一定時間膨張させ、これを膨張させたまま前記肩外施療具及び前記肩内施療具を膨張させることで、肩部へ押下施療を施すように制御することが好ましい。
【0024】
この施療パターンにより、被施療者は首部を掴まれつつ肩部を押し下げられ、押下施療を受けることができる。
【0025】
更に、前記複数の施療具は、被施療者の肩部に対応して設けられて当該部分を上方から施療する肩上施療具と、施療者の肩部の後側部分に対応して設けられて当該部分を後側から施療する肩下施療具と、施療者の首部分に対応して設けられて当該部分を施療する首施療具よりなり、前記肩上施療具、前記肩下施療具、及び前記首施療具はエアの給気により膨張するエアセルにより構成されているようにしてもよい。
【0026】
この場合、上記マッサージ機は肩部を上方から肩上施療具、後側から肩下施療具、首部を首施療具で施療することができ、多様な施療パターンが可能となる。
【0027】
また、前記首施療具は、施療者の首部の左右後寄り部分に対応して設けられ当該首部を挟み込むようにして施療する首挟み施療具と、施療者の首部の後側部分に対応して設けられ当該部分を後方から施療すると共に前記首挟み施療具を施療者側へ押し出す首押し施療具と、よりなり、前記制御部は、前記首挟み施療具と前記首押し施療具とを互いに独立して制御するように構成されていることが好ましい。
【0028】
この場合、互いに独立して制御される首挟み施療具と首押し施療具とにより、施療者の首部へ効果的な施療を施すことができる。
【0029】
上記各施療具による施療パターンとして、例えば以下のものが挙げられる。
【0030】
前記制御部は、前記首押し施療具を一定時間膨張させた後、これを膨張させたまま前記首挟み施療具を一定時間膨張させ、この首挟み施療具を膨張させたまま当該首押し施療具を収縮させることで、首部へ押し引き揉み施療を施すように制御する。
【0031】
この施療パターンにより、被施療者は首部を後から押された状態で、当該首部を左右両側から挟まれ、更に挟まれた状態のまま当該首部が引かれ、押し引き揉み施療を受けることができる。
【0032】
更に、前記制御部は、前記肩上施療具と前記肩下施療具とを同時に一定時間膨張させることで、肩部へ挟み揉み施療を施すように制御する。
【0033】
この施療パターンにより、施療者は肩部を上方と後から同時に押され、挟み揉み施療を受けることができる。
【0034】
また、前記制御部は、前記肩上施療具を一定時間膨張させた後、これを膨張させたまま前記肩下施療具を膨張させることで、肩部へ押下げ挟み揉み施療を施すように制御する。この施療パターンにより、施療者は肩部を先に上方から押された後、後から押され押し下げ挟み揉み施療を受けることができる。
【0035】
前記首挟み施療具のエアセルは、例えば、施療者の首部の左右後寄り部分のうち後側に対応する位置又は前側に対応する位置を揺動支点として膨張するように構成されていればよい。
【0036】
前記肩上施療具のエアセルは、例えば、被施療者の肩部のうち外側部分に対応する位置又は内側部分に対応する位置を揺動支点として膨張するように構成されていればよい。
【0037】
前記肩下施療具のエアセルは、例えば、被施療者の肩部の後側部分の上側に対応する位置又は下側に対応する位置を揺動支点として膨張するように構成されていればよい。
【発明の効果】
【0038】
上記の通り、本発明によれば、互いに独立して制御される複数の施療具で、被施療者の一方の肩部の複数箇所が施療されるので、多様な施療が可能となり被施療者は高い施療効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0040】
図1は本発明の実施の一形態(第1実施形態)に係るマッサージ機M1を示す斜視図であり、このマッサージ機M1は椅子型として構成されたものである。このマッサージ機M1は、座部1と、脚載置部(フットレスト)2と、背凭れ部3と、座部1の左右両側の肘掛け部4と、背凭れ部3の前面上部において位置調整自在に設けられた枕部5とを備えている。また、肘掛け部4には、被施療者の腕全体を覆うように形成された腕カバー部材6が設けられている。また、座部1の横ポケット6aには、リモートコントロール装置7が入れられている。なお、以下の説明において、マッサージ機の上側x1を上側、その反対側である下側x2を下側、マッサージ機の前側y1を前側、その反対側である後側y2を後側、マッサージ機の中央に向かう側z1を内側、外側に向かう側z2を外側とする。
【0041】
脚載置部2は座部1の前部において水平方向の軸中心周りに回動可能に取り付けられており、昇降機構(図示せず)によって、図1の降下状態から前方へ突出した上昇状態へ動くことができる。背凭れ部3は座部1の後部において回動可能に取り付けられており、図示しないリクライニング機構によって、図1の起立状態から後方へ倒れたリクライニング状態へ動くことができる。
【0042】
背凭れ部3の内部には、被施療者に機械的刺激を与えるための上下で一組とされた左右二つずつの揉み玉8を備えた施療ユニット(図示せず)が設けられている。これら上下の揉み玉7は、くの字状のアーム18に設けられている。また、施療ユニットは、背凭れ部3の内部に設けられた上下方向にまっすぐな左右一対のガイドレール(図示せず)に沿って移動可能とされており、移動機構(図示せず)によって施療ユニットは背凭れ部3内を上下方向に移動できる。
【0043】
さらに、この移動機構は、揉み玉8を前後方向に移動させることができ、さらにこの前後方向の移動においてその方向の力の強弱を変化させることができる。また、施療ユニットは、揉み玉8に揉みと叩きの施療動作をさせることができる施療機構(図示せず)を備えている。この施療機構は、図示しないが、揉み動作用として、モータと、このモータによって揉み玉8に揉み動作をさせる揉み動作機構部とを有しており、叩き動作用として、モータと、このモータによって揉み玉8に叩き動作をさせる叩き動作機構部とを有している。
【0044】
揉み動作機構部は揉み玉8を周期的な回転動作させることによって揉み動作させ、叩き動作機構部は揉み玉を前後方向に周期的に動作させることによって叩き動作させる。
さらに、このマッサージ機M1には、施療具としてエアの給気によって膨張する各種のエアセルが設けられている。これらエアセルは、座部1の下方に設けられエアポンプを有するエアユニットと接続されており、エアポンプによるエアセルの膨張動作によって被施療者に対して施療を施すことができる。さらに、図示しないが、施療具としてバイブレータ機構が座部1、脚載置部2、背凭れ部3等に設けられている。
施療ユニットには、被施療者の肩位置を検出する図示しない肩位置センサ部が設けられている。この肩位置センサ部は、揉み玉8が設けられたアーム18の揺動を検出する揺動検出センサとして構成されたものである。この揺動検出センサは、背凭れ部3内の揉み玉8を、例えば被施療者の腰側から首側へ高さ方向に移動させ、上側の揉み玉8が肩部に差し掛かったときにアーム18が前方へ揺動することを検出するものである。この揺動検出センサは、発光素子と受光素子とを有する光センサで構成されており、発光素子からの光を受光素子で受光するか否かによって、アームが所定の揺動範囲になったことを検出する。このときの揺動検出センサからの検出信号によって肩位置が認識される。
【0045】
図2に示すように枕部5は、カバー部材9で覆われており全体として左右方向に長く、かつ前方に向かうに従って下広がりに側面視略三角形状に形成されている。同枕部5は、背凭れ部3に沿う平面状の背面10と、被施療者の両肩に沿う左右一対の肩施療面11と、上下方向に山なりに形成された前面12と、被施療者の後頭部、首部を支える枕支持部51とを有している。肩施療面11は、内側から外側に向かって広がり、かつ肩部に沿うように内側へ向かうに従って上方に傾斜している。
【0046】
枕支持部51は、高いクッション性を有し、下中央部に向かって窄むように形成されている。以上のように形成された枕部5により、被施療者が頭部、首部、及び肩部を支持部13に載せ、リラックスして施療を受けることができるようになっている。枕部5の背面上縁には、背凭れ部3と同じ素材で覆われた布状の上エプロン14が設けられている。この上エプロン14は、枕部5の位置から背凭れ部3の上面を超して背面へわたっている。また、上エプロン14の先端には、左右方向に延びる図示しない錘が固定されている。枕部5の背面下縁には、背凭れ部3と同じ素材で覆われた布状の下エプロン15が設けられている。この下エプロン15は、背凭れ部3の前面へ載せられ、被施療者が背凭れ部3に凭れかかると、被施療者と背凭れ部3との間に挟まれるようになっている。また、背凭れ部3の上面には、上エプロン14を前後方向に挿通可能な挿通部16が設けられている。上エプロン14がこの挿通部16に挿通されると共に、その先端が錘によって垂直方向に垂れ下がっている。これにより、枕部5が上方へ付勢された状態となる。
被施療者は、枕部5の位置を下げたいとき、枕部5や下エプロン15を保持して下方へ引っ張る。そして、被施療者が背凭れ部3に凭れる際に、枕部5の背面下縁に設けられた下エプロン15が被施療者と背凭れ部3との間に挟まれるので、任意の位置に下げた枕部5の位置を固定でき、ずれを防止することができる。
被施療者は、枕部5の位置を上げたいとき、枕部5を浮かすなどし、固定又は保持状態から枕部5を開放させると、錘の付勢により上方へ移動する。勿論、枕部5を上へ押し上げることや、上エプロン14や錘を引っ張ることにより枕部5を移動させることもできる。このような構成により、簡単な構成で枕部5を上下方向に位置調整自在とすることができる。
図3は、枕部5からカバー部材9、上エプロン14及び下エプロン15を取り除いた枕本体50を示している。同図に示すように、枕支持部51には、被施療者の首部に対応する位置で同首部を施療する首施療具としての左右一対の首エアセル20が配設されている。また、肩施療面11に対応する本体底部52には、被施療者の肩部の外側部分に対応する位置で当該部分を上方から施療する左右一対の肩外エアセル21(肩外施療具)と、被施療者の肩部の内側部分に対応する位置で当該部分を上方から施療する左右一対の肩内エアセル22(肩内施療具)とが配設されている。
【0047】
更に、枕本体50の後部下側には、施療者の肩部の後側に対応する位置で当該部分を後側から施療する左右一対の肩下エアセル23(肩下施療具)が配設されている。首エアセル20にはクッション性の高いパッド53が設けられており、当該首エアセル20は内側c1を揺動支点として膨張・収縮する。肩外エアセル21及び肩内エアセル22には、肩部を指圧するための指圧具28が設けられており、当該肩外エアセル21及び肩内エアセル22は上下方向に膨張・収縮する。肩下エアセル23は、略矩形状に形成されており、当該肩下エアセル23は当該エアセル23の上側c2(以下の説明において揺動支点とする位置について、配設されたエアセルの上側、下側、右側、左側、前側、後側を揺動支点とする場合は、それぞれセル上側、セル下側、セル右側、セル左側、セル前側、セル後側という)を揺動支点として膨張・収縮する。
【0048】
従って、首エアセル20が膨張すれば首部が掴まれ、肩外エアセル21や肩内エアセル22が膨張すれば肩上部が上方から押さえられ、肩下エアセル23が膨張すれば肩部が後側から押し上げられる。
【0049】
また、腕カバー部材6の内側上部には、被施療者の肩部外側へ対応する位置に設けられ、肩部近傍を側方から施療する肩横エアセル24が配設されている(図1参照)。また、腕カバー部材6の内側には腕を掴む保持具25や腕の前部を施療する腕エアセル26、座部1の両側には大腿部を施療する脚エアセル27が配設されている(図1参照)。なお、エアセルを設けた上記構成は一例であり、個数や配置は、この実施の形態に限定されるものではない。
【0050】
図1及び図4に示すように、枕部5の背面上縁には、背凭れ部3と同じ素材で覆われた布状の上エプロン35が設けられている。この上エプロン35は、枕部5の位置から背凭れ部3の上面を超して当該背凭れ部3の背面へわたっている。また、上エプロン35の先端には、左右方向に延びる錘36が固定されている。枕部5の背面下縁には、背凭れ部3と同じ素材で覆われた布状の下エプロン37が設けられている。この下エプロン37は、背凭れ部3の前面へ載せられ、被施療者が背凭れ部3に凭れかかると、当該被施療者と背凭れ部3との間に挟まれるようになっている。
【0051】
また、背凭れ部3の上面には、上エプロン35を前後方向に挿通可能な挿通部38が設けられている。上エプロン35がこの挿通部38に挿通されると共に、その先端が錘36によって垂直方向に垂れ下がっている。これにより、枕部5が上方に付勢された状態となっている。
【0052】
被施療者が、枕部5の位置を下げたいとき、被施療者は、枕部5や下エプロン37を保持し下方へ引っ張る。その際、被施療者は、枕部5を若干持ち上げ、背凭れ部3から枕部5を離間させた状態で斜めに引けば、より小さい力で枕部5を下げることができる。また、被施療者が背凭れ部3に凭れる際に、枕部5の背面下縁に設けられた下エプロン37が、被施療者と背凭れ部3との間に挟まれるので、任意の位置に下げた枕部5の位置を固定でき、ずれを防止することができる。枕部5の位置を上げたいとき、枕部5を浮かすなどし、固定又は保持状態から枕部5を開放させると、錘36の付勢により上方へ移動する。このように構成により、簡単な構成で枕部5を上下方向に位置調整自在とすることができる。また、枕部5の背面下縁に設けられた下エプロン37が、被施療者と背凭れ部3との間に挟まれるので、枕部5のずれを防止することができる。
【0053】
図5及び図6は、背凭れ部の背面に設けられたバックカバー60の単体図(外側を覆っている布を除いた状態)を示している。このバックカバー60は、上側に配置された上カバー61と、この上カバー61の下側に配置された下カバー62と、上カバー61に固定された上ダクト63と、下カバー62に固定された下ダクト64とから主構成されている。上カバー61と下カバー62は互いに接続されており、バックカバー60は、全体として容器状に構成されている。また、上カバー61と下カバー62には、通気孔64が設けられている。このバックカバー60が、その裏面側を背凭れ部3の背面に対向させるように固定されていることで、背凭れ部3の背面部が外方へ膨らんだ形状となっている。
【0054】
上ダクト63は、上カバー61の左右方向中央部で上下方向に延びた断面矩形状に形成されており、下ダクト64は、下カバー62の左右方向中央部で上下方向に延びた断面矩形状に形成されている。また、これら両ダクト63,64の中は空洞となっている。上カバー61と下カバー62とが互いに接続されていることで、上ダクト63と下ダクト64も互いに接続されており、これにより、バックカバー60の左右方向中央部には、上下方向に延びるダクト空間65が構成されている。上ダクト63の上端が開口されていると共に、下ダクト64の下端が開口されており、これにより、ダクト空間65には、上部開口65aと下部開口65bが構成されている。
【0055】
上記バックカバー60が背凭れ部3に固定された状態で、ダクト空間65には枕部5用の複数の配管66が通されている(図4参照)。なお、図4では1本の配管66のみを示している。これら配管66は、枕部5に設けられた各エアセルに空気を送り込んだり、各エアセルから空気を排出するためのものである。座部1に設けられた後述の給排気装置31からの配管は、下部開口65b、ダクト空間65、上部開口65aを通り、更に、バックカバー60を覆う布に開けられた孔67を抜けて、枕部5の各エアセルへ繋がっている。なお、当該孔67を抜けた配管65には、上エプロン35が被さっている。このように、枕部5に導入されている複数の配管66が、ダクト空間65を通り、ダクト空間65を抜けた配管66が上エプロン35の下を通っていることにより、当該配管66が外側から見えず、意匠性を向上させることができる。
【0056】
図7は、マッサージ機M1の制御系を示すブロック図である。各施療具を制御するための制御部30は、座部1の下方に配置されると共にCPU,ROM,RAM,及び計時装置等から構成されており、各種の制御プログラムを実行し、接続された施療ユニットやエアセルの施療動作を制御することができるようになっている。
【0057】
制御部30には、給排気装置31が接続されており、当該給排気装置31の動作が制御されるようになっている。この給排気装置31は、電磁弁等の切替バルブ及びエアポンプ等によって構成されている。また、この給排気装置31は、首エアセル20にエアホースで接続された制御弁60、肩外エアセル21にエアホースで接続された制御弁61、肩内エアセル22にエアホースで接続された制御弁62、肩下エアセル23にエアホースで接続された制御弁63、及び肩横エアセル24にエアホースで接続された制御弁64に、それぞれエアホースで接続されている。従って給排気装置31は、首エアセル20、肩外エアセル21、肩内エアセル22、肩下エアセル23、肩横エアセル24に対して各々独立的に給気及び排気を行うことが可能となっている。
【0058】
つまり、制御部30は、首エアセル20、肩外エアセル21、肩内エアセル22、肩下エアセル23、及び肩横エアセル24を互いに独立して制御でき、各エアセル20、21、22、23、24は、それぞれ独自に膨張・収縮することができる。これにより、本実施形態のマッサージ機Mは、被施療者の肩部及び首部を多様な施療パターンで施療することができ、被施療者は高い施療効果を得ることができる。
【0059】
また、制御部30には、駆動回路を介して揉み玉8に施療動作をさせる施療機構、及びバイブレータ機構等が接続されており、当該各機構を制御するようになっている。また、制御部30には、被施療者からの動作指示を受け付けるリモートコントローラ装置7が接続されており、被施療者はマッサージ機Mの動作を指示することができる。また、施療機構や各エアセルを動作させる制御モードは複数用意されており、各種の施療モードやマニュアルモード等を実行できるようになっている。
【0060】
図8は、各制御弁60、61、62、63のオンオフによる、首エアセル20、肩外エアセル21、肩内エアセル22、肩下エアセル23による施療パターン1〜4を示し、図9は、各制御弁60、61、62、63のオンオフによる、同各エアセル20、21、22、23による施療パターン5〜8を示している。なお、図8及び図9における横軸は各制御弁60、61、62、63がオンオフされる時間帯を表している。
【0061】
(施療パターン1)
制御部30は、肩外エアセル21と肩内エアセル22を一定時間膨張させ、これらを膨張させたまま、肩下エアセル23を膨張させる。この施療パターン1により、被施療者は肩部をぐっと掴み揉みされ、掴み揉み施療を受けることができる。
【0062】
(施療パターン2)
制御部30は、首エアセル20のみを間欠的に膨張させる。この場合、首エアセル20の膨張時間をリズムよく変化させればよい。この施療パターン2により、被施療者は首をリズムよく揉まれ、首揉み施療を受けることができる。
【0063】
(施療パターン3)
制御部30は、肩下エアセル23を一定時間膨張させ、これを膨張させたまま肩外エアセル21及び肩内エアセル22を一定時間おきに膨張させる。この施療パターン3により、被施療者は肩部を下から押し上げられつつ上から押さえられ、押上揉み施療を受けることができる。
【0064】
(施療パターン4)
制御部30は、首エアセル20を一定時間膨張させ、これを膨張させたまま肩外エアセル21及び肩内エアセル22を膨張させる。この施療パターン4により、被施療者は首部を掴まれつつ肩部を押し下げられ、押下施療を受けることができる。また、押下施療により、首が上下方向に引っ張られ、首のストレッチの効果も与えることができる。
【0065】
(施療パターン5)
制御部30は、肩外エアセル21、肩内エアセル22、及び肩下エアセル23を同時に一定時間膨張させ、このうち肩内エアセル22及び肩下エアセル23を収縮させる。最後に、一定の間隔をおいた後、肩外エアセル21を収縮させる。制御部30は、この制御を所定回数繰り返す(図6は2回繰り返された施療パターン)。この施療パターン5により、被施療者は肩部の内側から外側にかけて滑らかに揉まれ、内外揉み施療を受けることができる。
【0066】
(施療パターン6)
制御部30は、肩外エアセル21、肩内エアセル22、及び肩下エアセル23を同時に一定時間膨張させ、このうち肩外エアセル21及び肩下エアセル23を収縮させる。最後に、一定の間隔をおいた後、肩内エアセル22を収縮させる。制御部30は、この制御を所定回数繰り返す(図6は2回繰り返された施療パターン)。この施療パターン6により、被施療者は肩部の外側から内側にかけて滑らかに揉まれ、内外揉み施療を受けることができる。
【0067】
(施療パターン7)
制御部30は、肩外エアセル21を一定時間膨張させ、これを膨張させたまま肩内エアセル22及び肩下エアセル23を膨張させる。次いで、肩内エアセル22のみを膨張させたまま肩外エアセル21及び肩下エアセル23を収縮させる。最後に、一定の間隔をおいた後、肩内エアセル22を収縮させる。制御部30は、この制御を所定回数繰り返す(図6は2回繰り返された施療パターン)。つまり、制御部30は、肩外エアセル21が膨張する時間帯の長さと肩内エアセル22が膨張する時間帯の長さとを略同一とし、かつ先に膨張させる肩外エアセル21が膨張する時間帯の一部と後に膨張させる肩内エアセル22が膨張する時間帯の一部とをオーバーラップさせ、当該両エアセル21、22の膨張時をオーバーラップさせたときに肩下エアセル23を膨張させる。なお、ここでいう膨張とは、施療具が膨らみ始めて、膨らんだ施療具が縮むまでのことをいう。この施療パターン7により、被施療者は肩部の外側から内側にかけて施療パターン6よりも更に滑らかに揉まれ、内外重複揉み施療を受けることができる。
【0068】
(施療パターン8)
制御部30は、肩内エアセル22を一定時間膨張させ、これを膨張させたまま肩外エアセル21及び肩下エアセル23を膨張させる。次に、肩外エアセル21のみを膨張させたまま肩内エアセル22及び肩下エアセル23を収縮させる。最後に、一定の間隔をおいた後、肩外エアセル21を収縮させる。制御部30は、この制御を所定回数繰り返す(図6は2回繰り返された施療パターン)。つまり、制御部30は、肩外エアセル21が膨張する時間帯の長さと肩内エアセル22が膨張する時間帯の長さとを略同一とし、かつ先に膨張させる肩内エアセル22が膨張する時間帯の一部と後に膨張させる肩外エアセル21が膨張する時間帯の一部とをオーバーラップさせ、当該両エアセル21、22の膨張時をオーバーラップさせたときに肩下エアセル23を膨張させる。なお、ここでいう膨張とは、施療具が膨らみ始めて、膨らんだ施療具が縮むまでのことをいう。この施療パターン8により、被施療者は肩部の内側から外側にかけて施療パターン5よりも更に滑らかに揉まれ、内外重複揉み施療を受けることができる。
【0069】
本実施形態のマッサージ機M1では、首エアセル20、肩外エアセル21、肩内エアセル22、肩下エアセル23を互いに独立して制御できるので、以上のような施療パターン1〜8が可能となっており、多様な施療が可能となり被施療者は高い施療効果を得ることができる。また、首エアセル20、肩外エアセル21、肩内エアセル22、肩下エアセル23の施療動作に肩横エアセル24等による施療動作を適宜付加させることができ、更に高い施療効果を得ることができる。
【0070】
なお、上記の施療パターンは例示であり、制御部30は首エアセル20、肩外エアセル21、肩内エアセル22、肩下エアセル23を他の施療パターンで施療動作させることも勿論可能である。例えば、上記の施療パターン1〜8の各エアセルの膨張時間長さ、収縮時間長さは例えば、2秒、3秒、4秒・・10秒・・等を選択することができ、施療パターンの周期間の時間を無くしたり、開けたりすることもできる。また、各エアセルの膨張強さを互いに異なる強さに変更して、被施療者を押圧する強さを当該各エアセル間で異なるようにしてもよい。また、上記の施療パターンでは同じ名称のエアセルは、同じ時間、強さで施療動作するが、被施療者の要望に応じて左右のエアセルで異なる時間、強さで施療動作させてもよい。
【0071】
なお、本発明は上記各実施形態に限定するものではない。例えば、肩部を上方から施療する肩エアセルを3個、或いはそれ以上配設し(肩施療部の数を変更)、それらを互いに独立して制御し、肩部を外側から内側、内側から外側へ更に滑らかに施療が行われるようにしてもよい。また、肩下エアセル23を二個に分けて(肩施療部の数を変更)、それらを互いに独立して制御することで、肩部を後側へよりソフトな施療が行われるようにしてもよい。
【0072】
図10〜図12は、本発明に係るマッサージ機の第2実施形態を示している。本実施形態が上記第一実施形態と異なる点は、枕部の各施療具が変更されている点である。図10及び図11は、枕部5からカバー部材等を取り除いた枕本体70を示している。
【0073】
枕支持部71には、被施療者の首部に対応する位置で同首部を施療する首施療具72が配設されている。また、本体底部73には、被施療者の肩部を上方から施療する肩上エアセル74(肩上施療具)と、枕本体70の後部下側には、施療者の肩部の後側に対応する位置で当該部分を後側から施療する肩下エアセル75(肩下施療具)が配設されている。上記首施療具72は、更に、施療者の首部の左右後寄り部分に対応して設けられ当該首部を挟み込むようにして施療する首挟みエアセル76(首挟み施療具)と、施療者の首部の後側部分に対応して設けられ当該部分を後方から施療すると共に当該首挟みエアセル76を施療者側へ押し出す首押しエアセル77(首押し施療具)とよりなる。
【0074】
枕支持部71の奥まった奧底部分71aには、ヒンジユニット78が設けられている。このヒンジユニットは、ヒンジプレート89、ヒンジピン80、トーションバネ81、可動プレート82等で構成されており、当該ヒンジプレート89がねじで奥底部分71aに固定されている。可動プレート82には、首プレート83がねじで固定されている。可動プレート82の後側に、首押しエアセル77が配設されている。首押しエアセル77は、セル上側c3を揺動支点として膨張するようになっている。首押しエアセル77の後側には、枕本体70に固定された固定部材78が設けられている。従って、首押しエアセル77が膨張すると、それと共に可動プレート82が押されて首プレート83が施療者側へ移動する。この首プレート83は、樹脂或いは金属で構成されている。
【0075】
首プレート83の左右両側には、首挟みエアセル76、76が固定されている。これら両エアセル76、76は、首プレート83側であるセル後側c4を揺動支点として膨張するようになっている。従って、首押しエアセル77を膨張させると、首挟みエアセル76、76が前方へ移動する。なお、本実施形態では、両首挟みエアセル76,76を施療者の首部の左右後寄り部分のうち後側に対応する位置c4を揺動支点として膨張させるが、施療者の首部の左右後寄り部分のうち前側に対応する位置であるセル前側c5を揺動支点として膨張させてもよい。上述のように構成された首施療具72により、被施療者は首部の後を押されるように施療されると共に、首部の左右後ろより部分を左右から挟まれるように施療される。
【0076】
なお、首施療具の別の形態として、首挟みエアセルを枕支持部に固定し、首押しエアセル及びこの首押しエアセルの前側に設けられたヒンジユニット、首プレートを当該首挟みエアセルから独立させた状態で配設してもよい。この場合、首押しエアセルが膨張しても首挟みエアセルは移動せず、当該首押しエアセルにより被施療者の首部を押し上げるように施療することができる。
【0077】
本体底部73に配設された肩上エアセル74は、被施療者の肩部のうち外側部分に対応する位置であるセル外側c6を揺動支点として膨張するようになっており、当該肩上エアセル74により被施療者の肩部の内側部分が外側部分よりも強く施療される。なお、肩上エアセル74を被施療者の内側部分に対応する位置であるセル内側c7を揺動支点として膨張するように構成してもよい。この場合、当該肩上エアセルにより被施療者の肩部の外側部分が内側部分よりも強く施療される。肩上エアセル74の表側には、本体底部73の形状と略同じ形状に形成されたベースプレート79が貼り付けられている。
【0078】
このベースプレート79は、ウレタン製となっており施療者の肩部がソフトな感触で施療されるようになっている。また、各ベースプレート79の表面には、先端部が丸みを帯びた円錐状の5個の指圧子80が固定されている。これら指圧子80は、被施療の肩部の内側から中央に渡る部分に対応して配置されている。これにより、被施療の肩部へ高い指圧効果を付与することができる。当該肩上エアセル74により、被施療者は肩部を上方から押されるような施療を受けることができる。
【0079】
枕本体70の後部下側に配設された肩下エアセル75は、正面視略矩形状に形成されており、被施療者の肩部の後側部分の上側に対応する位置であるセル上側c8を揺動支点として膨張するようになっている。これにより、施療者は、肩部の後側を押し上げられるような施療を受けることができる。また、肩下エアセル75の被施療者側の表面には、肩下プレート130が設けられている。この肩下プレート130は、ウレタン製となっており施療者の肩部がソフトな感触で施療されるようになっている。なお、肩下エアセルを肩部の後側部分の下側に対応する位置であるセル下側c9を揺動支点として膨張するように構成してもよい。この場合、施療者は、肩部の後側を押し下げるような施療を受けることができる
制御部には、給排気装置が接続されており、当該給排気装置の動作が制御されるようになっている。なお、制御系は上記第1実施形態と略同様であるため図示を省略する。給排気装置は、電磁弁等の切替バルブ及びエアポンプ等によって構成されている。また、給排気装置は、首押しエアセル77にエアホースで接続された制御弁121、両首挟みエアセル76にエアホースで接続された制御弁120、両肩上エアセル74にエアホースで接続された制御弁122、及び両肩下エアセル75にエアホースで接続された制御弁123に、それぞれエアホースで接続されている(図12に各エアセルに対応する制御弁を示す)。従って給排気装置は、首押しエアセル77、両首挟みエアセル76、両肩上エアセル74、及び両肩下エアセル75に対して各々独立的に給気及び排気を行うことが可能となっている。
【0080】
つまり、制御部は、首押しエアセル77、両首挟みエアセル76、両肩上エアセル74、及び両肩下エアセル75を互いに独立して制御でき、各エアセル77,76,74,75は、それぞれ独自に膨張・収縮することができる。これにより、本実施形態のマッサージ機M2は、被施療者の首部及び肩部を多様な施療パターンで施療することができ、被施療者は高い施療効果を得ることができる。施療パターンを次に例示する。
【0081】
図12は、各制御弁のオンオフによる、首押しエアセル、第1首挟みエアセル、第2首挟みエアセル、肩上エアセル、及び肩下エアセルによる施療パターン9〜11を示している。なお、同図における横軸は各制御弁がオンオフされる時間帯を表している。
【0082】
(施療パターン9)
制御部は、首押しエアセル77を一定時間膨張させた後、これを膨張させたまま両首挟みエアセル76を一定時間膨張させ、これら両首挟みエアセル76を膨張させたまま当該首押しエアセル77を収縮させる。この施療パターン9により、被施療者は首部を後から押された状態で当該首部を左右両側から挟まれ、更に挟まれた状態のまま当該首部が引かれて、首部へ押し引き揉み施療を受けることができる。
【0083】
(施療パターン10)
制御部は、肩上エアセル74と肩下エアセル75とを同時に一定時間膨張させる。この施療パターン10により、被施療者は肩部へ挟み揉み施療を受けることができる。
【0084】
(施療パターン11)
制御部は、肩上エアセル74を一定時間膨張させた後、これを膨張させたまま肩下エアセル75を膨張させる。この施療パターン11により、被施療者は肩部を押された後、肩部の後側を押され、押下げ挟み揉み施療を受けることができる。
【0085】
本実施形態のマッサージ機M2では、首押しエアセル77、両首挟みエアセル76、両肩上エアセル74、及び両肩下エアセル75を互いに独立して制御できるので、例えば、以上のような施療パターン9〜11が可能となっており、多様な施療が可能となり被施療者は高い施療効果を得ることができる。
【0086】
なお、上記の施療パターンは例示であり、制御部は首押しエアセル77、両首挟みエアセル76、肩上エアセル74、及び肩下エアセル75を他の施療パターンで施療動作させることも勿論可能である。例えば、上記の施療パターンの各エアセルの膨張時間長さ、収縮時間長さは例えば、2秒、3秒、4秒・・10秒・・等を選択することができる。また、各エアセルの膨張強さを互いに異なる強さに変更して、被施療者を押圧する強さを当該各エアセル間で異なるようにしてもよい。また、上記の施療パターンでは同じ名称のエアセルは、同じ時間、強さで施療動作するが、被施療者の要望に応じて左右のエアセルで異なる時間、強さで施療動作させてもよい。
【0087】
図13〜図22は、他の実施形態に係るマッサージ機を模式的に表した図である。
【0088】
図13(a)に示す第3実施形態のマッサージ機M3のように、首挟みエアセル90を施療者の首部の左右後寄り部分のうち前側に対応する位置であるセル前側c5を揺動支点として膨張させ、肩上エアセル91を被施療者の肩部の内側部分に対応する位置であるセル内側c7を揺動支点として膨張させてもよい。この場合、首部は後内側から前方外側へ向かって押圧(押し出し)され、肩(肩上)部は上外側から内下側へ向かって押圧(押し下げ)されるように施療される。
【0089】
図13(b)に示す第4実施形態のマッサージ機M4のように、肩下エアセル92を被施療者の肩部の後側部分の下側に対応する位置であるセル下側c9を揺動支点として膨張させてもよい。この場合、被施療者の背(肩下)部は後上側から前下側に向かって押圧(押し下げ)されるように施療される。
【0090】
図13(c)に示す第5実施形態のマッサージ機M5のように、首挟みエアセル93の下側に、セル上側c10を揺動支点として膨張する首下エアセル94を設けて、被施療者の首部を下方から押し上げるように施療してもよい。
【0091】
図14(a)に示す第6実施形態のマッサージ機M6のように、第1実施形態のマッサージ機に構成された肩外エアセル21と肩内エアセル22のうち、肩外エアセル21を小さく膨張させ、それと同時に肩内エアセル22を肩外エアセル21よりも大きく膨張させることで、第2実施形態で構成された単独の肩上エアセルのような施療を被施療者に施してもよい。本実施形態の場合、被施療者の肩部の内側がより強く押される。また、肩外エアセル21、肩内エアセル22を第2の実施の形態のようにセル外側c11を揺動支点として膨張するようにしてもよい。
【0092】
図14(b)に示す第7実施形態のマッサージ機M7のように、第1実施形態のマッサージ機に構成された肩外エアセル21と肩内エアセル22のうち、肩外エアセル21を大きく膨張させ、それと同時に肩内エアセル22を肩外エアセル21よりも小さく膨張させることで、第2実施形態で構成された単独の肩上エアセルのような施療を被施療者に施してもよい。本実施形態の場合、被施療者の肩部の外側がより強く押される。また、肩外エアセル21、肩内エアセル22を第3の実施の形態のようにセル内側c12を揺動支点として膨張するようにしてもよい。
【0093】
図15(a)に示す第8実施形態のマッサージ機M8のように、被施療者の肩部の外側に対応する位置で当該部分を上方から施療し、セル内側c13を揺動支点として膨張する肩外エアセル95と、被施療者の肩部の内側部分に対応する位置で当該部分を上方から施療し、セル外側c14を揺動支点として膨張する肩内エアセル96とを設けることもできる。この場合、被施療者の片方の肩部が内外から押し込まれるように施療させる。
【0094】
図15(b)に示す第9実施形態のマッサージ機M9のように、被施療者の肩部の外側に対応する位置で当該部分を上方から施療し、セル外側c15を揺動支点として膨張する肩外エアセル97と、被施療者の肩部の内側部分に対応する位置で当該部分を上方から施療し、セル内側c16を揺動支点として膨張する肩内エアセル98とを設けることもできる。この場合、被施療者の片方の肩部が内外へ押し出されように施療される。
【0095】
図16(a)に示す第10実施形態のマッサージ機M10のように、枕部5の枕支持部の左右方向で対向する両側壁部にセル上側c17を揺動支点として膨張するエアセル99を設けてもよい。この場合、被施療者の首部の横が押し上げられるように施療される。
【0096】
図16(b)に示す第11実施形態のマッサージ機M11のように枕部5の枕支持部の左右方向で対向する両側壁部にセル下側c18を揺動支点として膨張するエアセル100を設けてもよい。この場合、被施療者の首部の横が押し下げられるように施療される。
【0097】
図17に示す第12実施形態のマッサージ機M12のように、枕部5の枕支持部の左右方向で対向する両側壁部に各二つずつエアセルを設けてもよい。左側に配設されたうちの上側のエアセル101はセル下側c19を揺動支点として膨張し、下側に配設されたエアセル102はセル上側c20を揺動支点として膨張する。右側に配設されたうちの上側のエアセル103はセル上側c21を揺動支点として膨張し、下側に配設されたエアセル104はセル下側c22を揺動支点として膨張する。また、左側に配設されたうちの上側のエアセル101、下側に配設されたエアセル102、右側に配設されたうちの上側のエアセル103、下側に配設されたエアセル104の膨張方向をそれぞれ適宜組合わせることによって、首部を様々な方法・方向に施療することができる。
【0098】
図18(a)に示す第13実施形態のマッサージ機M13のように、第2実施形態のマッサージ機に構成された肩上エアセル105をセル前側c23が揺動支点となるように構成してもよい。この場合、被施療者の肩上部の後側がより強く押される。この場合、被施療者の肩(肩上)部は後上側から前下側に向かって押圧(押し出し)されるように施療される。
【0099】
図18(b)に示す第14実施形態のマッサージ機M14のように、第2実施形態のマッサージ機に構成された肩上エアセル106をセル後側c24が揺動支点となるように構成してもよい。この場合、被施療者の肩上部の前側がより強く押される。この場合、被施療者の肩(肩上)部は前上側から後下側に向かって押圧(押しつけ)されるように施療される。
【0100】
図19(a)に示す第15実施形態のマッサージ機M15のように、枕部5の枕支持部の下部前側にセル上側c25を揺動支点として膨張するエアセル107を配設してもよい。この場合、被施療者の首から後頭部に渡る部分が押圧(押し上げ)されるように施療される。
【0101】
図19(b)に示す第16実施形態のマッサージ機M16のように、枕部5の枕支持部の中央にセル下側c26を揺動支点として膨張するエアセル108を配設してもよい。この場合、被施療者の首から後頭部に渡る部分が押圧(押し下げ)されるように施療される。
【0102】
図20(a)に示す第17実施形態のマッサージ機M17のように、枕部5の枕支持部の下部前側と中央部前側にセル上側c27を揺動支点として膨張する二つのエアセル109を配設してもよい。この場合、被施療者の首から後頭部に渡る部分が押圧(押し上げ)されるように施療される。
【0103】
図20(b)に示す第18実施形態のマッサージ機M18のように、枕部の枕支持部の下部前側と中央部前側にセル下側c28を揺動支点として膨張する二つのエアセル110を配設してもよい。この場合、被施療者の首から後頭部に渡る部分が押圧(押し下げ)されるように施療される。
【0104】
図21(a)に示す第19実施形態のマッサージ機M19のように、枕部111の左右方向中央部にベローズ部112を設けて当該枕部を左右方向に伸縮自在としてもよい。この場合、被施療者の肩幅に合わせて枕部を調整することができ、枕部に配設された複数のエアセルにより被施療者の体格により則した施療を施すことができる。なお、被施療者が手動で自分の肩幅に枕部の左右方向幅を合わせてもよいし、マッサージ機にセンサ等を組み込んで自動で行わせてもよい。
【0105】
図21(b)に示す第20実施形態のマッサージ機M20のように、枕部112の左右方向中央部にベローズ部113を設けて当該枕部を屈曲できるようにしてもよい。この場合、枕部の肩施療面を被施療者の肩部に沿うように傾斜させることができる。この場合、枕部に配設された複数のエアセルにより被施療者の肩部の傾斜状態により則した施療を施すことができる。なお、被施療者が手動で自分の肩部に枕部の傾斜角度を合わせてもよいし、マッサージ機にセンサ等を組み込んで自動で行わせてもよい。
【0106】
図22(a)に示す第21実施形態のマッサージ機M21のように、下エプロン114を枕部115の前側から下方へ延ばすように設け、その延ばした部分の裏側(被施療者側)にエアセル116等を配設してもよい。この場合、当該エアセル116等により被施療者の身体の前側が刺激されるように施療することができる。
【0107】
図22(b)に示す第22実施形態のマッサージ機M22のように、枕部117の側壁部117aを、被施療者の腕部外側まで下方に延設し、当該側壁部117aを被施療者の肩部上側及び肩部外側に当接させる。そして、この側壁部117aの被施療者に当接する箇所へエアセル118等を配設する。この場合、当該エアセル118等により被施療者の身体の肩部の上側から腕部の外側が内方へ向けて刺激されるように施療することができる。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明は、例えば椅子型のマッサージ機に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の第1実施形態に係るマッサージ機の全体斜視図である。
【図2】枕部の正面図である。
【図3】枕部からカバー等を取り除いた状態の正面図である。
【図4】マッサージ機を後側見た全体斜視図である。
【図5】バックカバーの正面図である。
【図6】バックカバーを裏側見た斜視図である。
【図7】制御系を示すブロック図である。
【図8】施療パターン1〜4における各エアセルの膨張・収縮の動作説明図である。
【図9】施療パターン5〜8における各エアセルの膨張・収縮の動作説明図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係るマッサージ機の枕部からカバー等を取り除いた状態の正面図である。
【図11】図10に示す枕部の底面図である。
【図12】施療パターン9〜11における各エアセルの膨張・収縮の動作説明図である。
【図13】(a)は第3実施形態のマッサージ機の枕部の正面模式図であり、(b)は第4実施形態のマッサージ機の枕部の正面模式図であり、(c)は第5実施形態のマッサージ機の枕部の正面模式図である。
【図14】(a)は第6実施形態のマッサージ機の正面模式図であり、(b)は第7実施形態のマッサージ機の正面模式図である。
【図15】(a)は第8実施形態のマッサージ機の正面模式図であり、(b)は第9実施形態のマッサージ機の正面模式図である。
【図16】(a)は第10実施形態のマッサージ機の正面模式図であり、(b)は第11実施形態のマッサージ機の正面模式図である。
【図17】第12実施形態のマッサージ機の正面模式図である。
【図18】(a)は第13実施形態のマッサージ機の正面模式図であり、(b)は第14実施形態のマッサージ機の正面模式図である。
【図19】(a)は第15実施形態のマッサージ機の正面模式図であり、(b)は第16実施形態のマッサージ機の正面模式図である。
【図20】(a)は第17実施形態のマッサージ機の正面模式図であり、(b)は第18実施形態のマッサージ機の正面模式図である。
【図21】(a)は第19実施形態のマッサージ機の正面模式図であり、(b)は第20実施形態のマッサージ機の正面模式図である。
【図22】(a)は第21実施形態のマッサージ機の側面模式図であり、(b)は第22実施形態のマッサージ機の正面模式図である。
【符号の説明】
【0110】
1 座部
3 背凭れ部
5 枕部
8 揉み玉
11 肩施療面
13 支持部
14 上エプロン
15 下エプロン
20 首エアセル
21 肩外エアセル
22 肩内エアセル
23 肩下エアセル
30 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
座部及びこの座部の後側に設けられた背凭れ部と、
前記背凭れ部の上部に設けられた枕部と、
前記枕部に配設されて被施療者の片方の肩部の複数箇所に対応して施療する複数の施療具を有する肩施療部と、
前記複数の施療具を互いに独立して制御するように構成された制御部と、を備えていることを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記複数の施療具は、被施療者の肩部の外側部分に対応して設けられて当該部分を上方から施療する肩外施療具と、被施療者の肩部の内側部分に対応して設けられて当該部分を上方から施療する肩内施療具と、施療者の肩部の後側部分に対応して設けられて当該部分を後側から施療する肩下施療具とよりなり、前記肩外施療具、前記肩内施療具、及び前記肩下施療具はエアの給気により膨張するエアセルにより構成されている請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記制御部は、前記肩外施療具が膨張する時間帯の一部と前記肩内施療具が膨張する時間帯の一部とをオーバーラップさせることで、肩部へ内外重複揉み施療を施すように制御する請求項2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記制御部は、前記肩外施療具が膨張する時間帯の長さと前記肩内施療具が膨張する時間帯の長さとを略同一とする請求項3に記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記制御部は、前記肩外施療具が膨張する時間帯の一部と前記肩内施療具が膨張する時間帯の一部をオーバーラップさせたときに前記肩下施療具を膨張させる請求項3又は4に記載のマッサージ機。
【請求項6】
前記制御部は、前記肩外施療具と前記肩内施療具と前記肩下施療具を同時に一定時間膨張させ、このうち当該肩外施療具又は当該肩内施療具と、当該肩下施療具とを収縮させることで肩部へ内外揉み施療を施すように制御する請求項2に記載のマッサージ機。
【請求項7】
前記制御部は、前記肩下施療具を一定時間膨張させ、これを膨張させたまま前記肩外施療具及び前記肩内施療具を膨張させることで、肩部へ押上揉み施療を施すように制御する請求項2に記載のマッサージ機。
【請求項8】
前記枕部における被施療者の首部に対応する部分に当該部分を施療する首施療具が設けられ、この首施療具はエアの給気により膨張するエアセルにより構成され、前記制御部は当該首施療具を前記複数の施療具と独立して制御するように構成されている請求項2〜7のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項9】
前記枕部における被施療者の首部に対応する部分に当該部分を施療する首施療具が設けられ、この首施療具はエアの給気により膨張するエアセルにより構成され、前記制御部は、当該首施療具を前記複数の施療具と独立して制御するように構成されると共に、当該首施療具のみを一定時間膨張させ、これを膨張させたまま前記肩外施療具及び前記肩内施療具を膨張させることで、肩部へ押下施療を施すように制御する請求項2に記載のマッサージ機。
【請求項10】
前記複数の施療具は、被施療者の肩部に対応して設けられて当該部分を上方から施療する肩上施療具と、施療者の肩部の後側部分に対応して設けられて当該部分を後側から施療する肩下施療具と、施療者の首部分に対応して設けられて当該部分を施療する首施療具よりなり、前記肩上施療具、前記肩下施療具、及び前記首施療具はエアの給気により膨張するエアセルにより構成されている請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項11】
前記首施療具は、施療者の首部の左右後寄り部分に対応して設けられ当該首部を挟み込むようにして施療する首挟み施療具と、施療者の首部の後側部分に対応して設けられ当該部分を後方から施療すると共に前記首挟み施療具を施療者側へ押し出す首押し施療具と、よりなり、前記制御部は、前記首挟み施療具と前記首押し施療具とを互いに独立して制御するように構成されている請求項10に記載のマッサージ機。
【請求項12】
前記制御部は、前記首押し施療具を一定時間膨張させた後、これを膨張させたまま前記首挟み施療具を一定時間膨張させ、この首挟み施療具を膨張させたまま当該首押し施療具を収縮させることで、首部へ押し引き揉み施療を施すように制御する請求項11に記載のマッサージ機。
【請求項13】
前記制御部は、前記肩上施療具と前記肩下施療具とを同時に一定時間膨張させることで、肩部へ挟み揉み施療を施すように制御する請求項10〜12のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項14】
前記制御部は、前記肩上施療具を一定時間膨張させた後、これを膨張させたまま前記肩下施療具を膨張させることで、肩部へ押下げ挟み揉み施療を施すように制御する請求項10〜12のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項15】
前記首挟み施療具のエアセルは、施療者の首部の左右後寄り部分のうち後側に対応する位置又は前側に対応する位置を揺動支点として膨張するように構成されている請求項11〜14のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項16】
前記肩上施療具のエアセルは、被施療者の肩部のうち外側部分に対応する位置又は内側部分に対応する位置を揺動支点として膨張するように構成されている請求項10〜15のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項17】
前記肩下施療具のエアセルは、被施療者の肩部の後側部分の上側に対応する位置又は下側に対応する位置を揺動支点として膨張するように構成されている請求項10〜16のいずれかに記載のマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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