説明

マップ情報表示方法

本発明は、マップ区分上で平面図を表わす複数の平面と、道路交通網を表わす複数の線を有している、ナビゲーションシステム用のマップ情報を表示するための方法に関している。本発明によれば、平面情報の表示を、付加的なバックグランド情報によって向上させるために、複数の平面の表示が、二次元マップ若しくは三次元マップにて少なくとも部分的に航空撮影若しくは衛星撮影に基づいて生成され、前記航空撮影若しくは衛星撮影の解像度は、表示される道路交通網の密度に依存して変更される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マップ区分上で平面図を表わす複数の平面と、道路交通網を表わす複数の線を有している、ナビゲーションシステム用のマップ情報を表示するための方法に関している。さらに本発明は、この方法を実施するためのナビゲーションシステムにも関している。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーションシステムは、特に近年においては自動車、特に移動車両に用いられ、さらなる発展がみいだされている。公知のシステムにおいては、基本機能として“測位機能”、“目的地選択機能”、“ルート計算機能”、“目的地案内機能”などが実施されている。これらの全ての機能に対しては道路交通網のデジタルマップが必要とされ、このマップは通常はCD−ROMやDVD、あるいはハードディスク等にロードして記憶されている。
【0003】
さらに付加的に有利なカラーマップとしての表示も可能である。カラーディスプレイ上でのマップ表示は、システム毎におよそ1/8000〜1/16000000の縮尺を介して行うことが可能である。この表示は、縮尺毎に比較的近い環境あるいは離れた環境での走行ルートに関する見通しを維持するのに役立つ。測位は、地形的情報、例えば都心部、河川、湖沼、森林、鉄道区間などの情報によって容易となる。
【0004】
マップ表示機能を備えた現下のナビゲーションシステムでは、情報がベクトルマップとしてカラーディスプレイ上に表示される。ベクトル化は、同じ基準にある記憶データに基づいてマッピング尺度の変更を可能にする。
【0005】
このマップ表示においては、総合的な情報が複数の面と線と点で構成される。面の様々な着色によって、表示される領域は特徴付けられる。そのため建造物を多く有する面、すなわち都心部は、頻繁に赤色で着色される。青色の面は、河川や湖沼など水のある領域を表わし、種々異なる緑色は、緑化地域ないし森林を表わしている。これらの表示においては、種々異なる太さと色の線が、様々な道路や鉄道区間ないしは流れに対して利用される。さらなる構成要素としては、個々の点ないしはアイコンがいわゆる関心領域“PIO”(point of interest)、例えばガソリンスタンド、向上、ホテル等に対して用いられ、マップ表示の全体に挿入される。
【0006】
平面表示は、大幅に簡略化され、引き続き非常に抽象化される。特に高解像度の表示、つまり比較的近隣拡大された環境においては、表示からは使用者に位置付けを容易にさせる付加的な情報が何も取り出せない。
【0007】
それ故に本発明の課題は、ナビゲーションシステムに対するマップ内の平面情報の表示を付加的なバックグランド情報によって改善することである。
【0008】
前記課題は本発明により、複数の平面の表示が、二次元マップ若しくは三次元マップにて少なくとも部分的に航空撮影若しくは衛星撮影に基づいて生成され、前記航空撮影若しくは衛星撮影の解像度は、表示される道路交通網の密度に依存して変更されるようにして解決される。この付加的に構造化された撮影のバッググランド情報、例えば建造物の輪郭や植え込み情報などがユーザーへのマップ情報にリアリティをもたらす助けとなる。これによりユーザーには、位置付けが著しく容易となる。三次元マップによれば、透視図表示が可能となる。
【0009】
ディスプレイナビゲーションシステムにおけるバックグランド情報としての航空撮影及び/又は衛星撮影の利用に基づいて所要のマップデータ量は著しく増加する。利用する撮影データの解像度に対する構造パラメータとして表示される道路交通網の密度の関連付けによって所要のデータ量は大幅に削減することも可能である。
【0010】
道路密度が高い領域、例えば人口密集地帯では、比較的多くのバックグランド情報を伴った詳細な撮影データが利用される。それに対して移住者のほとんどいない領域、例えば田園領域などでは、比較的あらい解像度で僅かな情報量しかもたない撮影データが表示に用いられる。これにより、扱いやすいデータ量のマップ表示において十分な情報提供性のある表示が可能となる。
【0011】
本発明による方法の有利な実施例によれば、前記航空撮影若しくは衛星撮影は、表示すべきマップ区分に依存して変更される。これにより、表示の精度の適応化が状況に応じて可能となる。
【0012】
本発明による方法の別の有利な実施例によれば、前記航空撮影若しくは衛星撮影は、付加的に、平面毎の平均住民数に依存して変更される。この構造化パラメータは、村や町、あるいは田舎に比べて明らかに人口密度の高い都市との関連が考慮される。
【0013】
さらなる有利な構造化パラメータとして、平面毎の平均的な建物数が考慮される。この構造化パラメータは基本的には先の平均的住民数が考慮される方法に類似しているが、しかしながら平面毎の平均的建物数は、別の情報源、例えば役所等の支援を必要としないで、航空撮影若しくは衛星撮影データから直接引き出すことが可能である。
【0014】
本発明による方法を実施するためのナビゲーションシステムは、
マップ情報データに対する記憶装置と、マップ情報データを処理するプロセッサ装置と、処理されたマップ情報データを出力する表示装置とを有している。この記憶装置内には、マップ情報データとしてベクトル化された道路交通網も、平面情報データとしての航空撮影及び/又は衛星撮影の画像データも記憶されている。その場合この記憶装置は任意の形態で実現が可能であり、すなわち光学的及び/又は磁気的な記憶装置で実現されていてもよい。前記プロセッサ装置は、種々異なるマップ情報データを挿入する。それにより、複数の平面と線及び点を伴った統一的な表示が形成され、これは引き続き表示装置、例えばカラーモニターへ送出される。
【0015】
本発明による有利なナビゲーションシステムによれば、前記記憶装置は、コンパクトディスク(CD)及び/又はデジタル汎用ディスク(DVD)を有している。さらにハードディスク(HD)への記憶やその他の任意の記憶モジュールも考えられる。このことは既存のデータの容易な実際化や別の国や都市での利用に供するための交換も可能にする。
【0016】
さらに本発明によるナビゲーションシステムの記憶装置は有利には、種々異なる解像度の航空撮影若しくは衛星撮影の画像データを有している。このことは、該当する領域の重要性に応じて様々な詳細表示を可能にする。
【0017】
以下では本発明を図面に基づき実施例を用いて説明する。この場合、
図1は、本発明による方法を実施するためのナビゲーションシステムの概略図であり、
図2は、ナビゲーションシステムに対する通常のマップ表示を示した図であり、
図3は、航空撮影及び/又は衛星撮影データの概略図であり、
図4は、ナビゲーションシステムに対する本発明による方法によって作成されたマップ表示を表した図である。
【0018】
実施例
図1には、プロセッサ装置2を備えたナビゲーションシステム1が概略的に示されている。このプロセッサ装置2は、記憶装置3に接続されており、さらにこの記憶装置3内にファイルされているマップ情報を処理している。プロセッサ装置2によって作成されたマップ表示、例えば航空撮影及び/又は衛星撮影データと道路交通網のベクトル化されたマップとの重畳図は、引き続き表示装置4、例えばカラーモニターに出力される。
【0019】
以下では、本発明による方法を詳細に説明する。図2には、人口密集地の部分領域を伴ったマップ区分図5(当該実施例では、ハンブルク市街図)が示されている。平面情報は、実質的に2つの異なる着色によって区別されている。やや濃い色の平面6は、建物の密集した領域を表している。それに対して薄い色の平面7は、実質的に自然領域、例えば野原や森林などである。
【0020】
さらにこの図からは異なる線8,9,10が認められる。これらの線は、交通網を表している。太い線でかつ色的にもはっきり区別される道路8は、高速道路を表している。それに対して符号9の付された道路は、拡充された道路、例えば国道や県道、市内幹線道路ないしは高速出口道路などである。点線で表されている区間10は、鉄道区間ないしは軌道区間の延在を表している。
【0021】
さらにこのマップ区分図5の表示においては、関心ポイントPOI表示のための付加的な画素ないしはアイコンがプロットされている。それにより符号11を用いてガソリンスタンドの位置を表示するためのアイコンがマークされている。またアイコン12によって、飛行場の1が示されており、さらにアイコン13によって交通の障害ないしは交通渋滞があらわされている。
【0022】
図3には、市内領域の航空撮影及び/又は衛星撮影データが示されている。この図3からは、河川14の経過と人口密集領域15が認められる。同じようにこの図3では、種々異なる形式と規模の道路16の経過も識別できる。
【0023】
図4には、本発明による方法によって作成された間服分図17が示されている。バックグランド情報としてこのマップ区分図17には、航空撮影及び/又は衛星撮影データが含まれている。またこのバックグランドデータにもより詳細な情報としてベクトル化された道路交通網が重畳されて示されている。それにより当該マップ区分図17においては、高速道路18並びにさらなる道路19が明確に識別できる。
【0024】
これらの個々の道路18,19の間には、単色のみの平面ではなくて、相応する領域のリアルな構造が識別できる。それにより、使用者は、ナビゲーションシステムの表示においても、例えば道路脇に存在するのが建物20なのか緑地21なのかが見分けられる。
【0025】
最終的には付加的な特別の関心ポイントが画素ないしはアイコン22によって表示される。相応の画像領域、例えば公共の建物の輪郭は、透明に着色される。それによりそれらの建物を表示されている周辺環境から際だたせたり、容易に識別できるようにすることができる。
【0026】
航空撮影及び/又は衛星撮影データによって構造化されたバックグランド情報が作成されると、この情報は図1のナビゲーションシステム1におけるマップデータの著しい精度アップに寄与する。様々な表示縮尺に対しては、種々異なる高解像度の画像情報が提供されなければならない。例えばドイツ国においては、約876×632kmの面積でもって以下のテーブル1にリストアップされているデータ量が引き出され得る。
【0027】
【表1】

【0028】
前述したデータ量は、圧縮されたデータフォーマットに関連する。これらのデータは、例示的なものであって、あくまでも大ざっぱな測位結果の一例として用いただけのものなので、さらに利用される圧縮アルゴリズムに応じて様々な変更が可能である。
【0029】
これらのデータから明らかなことは、高解像度のもと、例えば1mレベルのもとでは、総データ量がもはや通常の記憶媒体、例えばCDやDVDではもはや不可能である。しかしながら解像度の低減は、比較的小さな縮尺表示(50m−5km)においては不鮮明となり、受入れられる表示ではなくなる。この場合連邦領域全体に対して同じ解像度が選択される場合には、面積被覆度は、画素毎に10mレベルの解像度でもってしか処理することができない。
【0030】
それ故に本発明によれば、種々異なる領域に対する解像度が、重要度に依存して選択される。この重要度の重み付に対しては、構造化パラメータとして道路交通網の密度が用いられる。ここにおいて、この構造化パラメータが解像度の集束的分割に関連するならば、道路交通上の密度が高い領域においては、詳細な画像情報が利用される。それに対して大抵の郊外の田園領域ないし田舎の領域においては、ほとんど交通路を有しておらず、そのため測位情報に対しては、粗い精度の解像度を有するデータしか用いられない。それにより、観察される品質は同等に維持したまま、記憶されている画像データのデータ量を大幅に低減することが可能となる。
【0031】
その結果として生じる画像表示のための記憶容量は、通常の記憶媒体、例えばCDに記憶できる量のオーダーであり得る。さらにより多くの記憶容量を備えた記憶媒体、例えばDVDを使用することによって、交通路密度を、当該記憶媒体の記憶容量が最適に利用しつくせるように変更することが可能となる。
【0032】
道路密度の構造化パラメータに対してはさらに付加的に、関連する領域の人口密度及び/又は建物の密集密度を、重み付けの基準として用いてもよい。構造化パラメータとして建物の密集密度を用いる利点は、ベースとなる航空撮影及び/又は衛星撮影データ自体の情報が含まれることである。付加的なデータソース、例えば住民登録機関の統計データは必要ない。論理的には、これらの3つの構造化パラメータ全ての組み合わせも有意義な重み付基準として用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明による方法を実施するためのナビゲーションシステムの概略図
【図2】ナビゲーションシステムに対する通常のマップ表示を示した図
【図3】航空撮影及び/又は衛星撮影データの概略図
【図4】ナビゲーションシステムに対する本発明による方法によって作成されたマップ表示を表した図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲーションシステム用のマップ情報を表示するための方法であって、
前記マップ情報は、マップ区分上で平面図を表わす複数の平面と、道路交通網を表わす複数の線を有している形式の方法において、
前記複数の平面の表示が、二次元マップ若しくは三次元マップにて少なくとも部分的に航空撮影若しくは衛星撮影に基づいて生成され、
前記航空撮影若しくは衛星撮影の解像度は、表示される道路交通網の密度に依存して変更されるようにしたことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記航空撮影若しくは衛星撮影は、表示すべきマップ区分に依存して変更される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記航空撮影若しくは衛星撮影は、付加的に、平面毎の平均住民数に依存して変更される、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記航空撮影若しくは衛星撮影の解像度は、付加的に、平面毎の平均的な建物数に依存して変更される、請求項1から3いずれか1項記載の方法。
【請求項5】
マップ情報内の少なくとも1つの空間点が画素でマーキングされる、請求項1から4いずれか1項記載の方法。
【請求項6】
請求項1から5いずれか1項記載の方法を実施するためのナビゲーションシステムにおいて、
マップ情報データに対する記憶装置(3)と、
マップ情報データを処理するプロセッサ装置(2)と、
処理されたマップ情報データを出力する表示装置(4)を有していることを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項7】
前記記憶装置(3)は、コンパクトディスク(CD)及び/又はデジタル汎用ディスク(DVD)を有している、請求項6記載のナビゲーションシステム。
【請求項8】
前記記憶装置(3)は、種々異なる解像度の航空撮影若しくは衛星撮影の画像データを有している、請求項6または7記載のナビゲーションシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−507732(P2007−507732A)
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530292(P2006−530292)
【出願日】平成17年6月14日(2005.6.14)
【国際出願番号】PCT/EP2005/052742
【国際公開番号】WO2006/018335
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】