説明

マトリックスをベースとするパルス放出製剤

本発明は、ポリマーマトリックスコアを含み、少なくとも1種の医薬有効成分がコア内およびコアの外表面に分布している経口パルス放出医薬組成物に関する。数々の他の医薬有効成分の中でも、アンフェタミン塩を本明細書に記載の医薬組成物に製剤化できる。本発明はまた、固体の医薬製剤の即時放出成分の製造方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、一般的に、マトリックスの内部または外表面上に分布した少なくとも1種の医薬有効成分を有するポリマーマトリックスを含む、経口投与できる医薬組成物に関する。有利には、そのような組成物は、様々な血漿プロフィールを提供するように調節し得る。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
一般に、薬物送達システムの目的は、有効な治療量の薬物を体内の標的部位に提供し、所望の薬物濃度を迅速に達成し、その後維持することである。薬物送達の2つの検討事項は、薬物の空間的配置および時間的送達である;空間的配置は、薬物を特定の器官または組織に標的化することに関し、一方、時間的送達は、標的組織への薬物送達速度の制御に関わる。
【0003】
数々の薬物は、所望の血漿濃度を維持するために、1日に1回より多い投与を必要とする。かかる薬物で経験される1つの問題は、1日に1回より多い服薬は、特に小児科の患者において、患者のコンプライアンスに影響し得ることである。例えば、3−10歳の小児の注意欠陥多動性障害の処置に適用されるADDERALL(登録商標)には、2回の分離した投薬が行われるという欠点があり、1回は朝に、そして1回は約4−6時間後であり、この時、親の監視下にある場合以外は、一般的に家庭から離れている。従って、この処置形態は、時間がかかり不便な2回目の処置を必要とする。他の例として、狭心症、卒中、心臓発作などを含む心血管障害の最高の発生率は、典型的には、自然の概日リズムに応答して血圧が上昇する早朝の時間帯にある。従って、異なる時間に送達される2つまたはそれ以上の用量を提供できる製剤があるのが有利な例が、多数存在する。
【0004】
1日に行われる必要がある投与の回数を最小化するために、持続製剤およびパルス製剤などの数々の多様な医薬製剤が開発されてきた。概して、持続放出組成物は、延長された期間にわたる医薬の放出を提供するように設計される。対照的に、パルス放出組成物は、時間および/または部位の離れた1回またはそれ以上の放出パルスを提供するように設計される;例えば、パルス放出組成物は、胃での即時放出パルスおよび最初のものから数時間遅れた小腸での第2の放出パルスを提供するように設計し得る。例えば、Burnside ら、米国特許第6,322,819B1号参照。
【0005】
数々の要因がパルス薬物放出の効率に影響し得、従って、変動性の原因である。そのような要因には、薬物製剤工程の複雑さ、製造工程の再現性、およびその製造工程により製造される製品の均一性が含まれる。加えて、消化管通過時間は、患者毎に変動するのみならず、食物摂取、ストレスおよび病気の結果、患者内でも変動する。従って、これらの要因の1つまたはそれ以上を考慮して様々なパルス放出製剤が提唱されてきたが、さらなる改良の余地はやはり残っている。
【発明の開示】
【0006】
発明の要旨
本発明は、少なくとも1種の医薬有効成分およびポリマーマトリックスを含み、有効成分がマトリックス中およびマトリックスの外表面上に分布している、経口投与できる医薬組成物に関する。ポリマーマトリックスは腸溶性ポリマーおよび持続放出ポリマーを含み、マトリックス中の2種のポリマーの比は、様々な放出プロフィールをもたらすために変更できる。さらに、本発明の医薬組成物は、マトリックス中およびマトリックスの外表面上で、同一または異なる医薬有効成分を利用できる。マトリックスの外表面上の有効成分は、経口投与されると当該有効成分の即時放出をもたらす。
【0007】
従って、本発明の態様には、ポリマーマトリックスを含み、第1の医薬有効成分が実質的に均一にマトリックス中に分布しており、第2の医薬有効成分がマトリックスの外表面上に沈着している、経口医薬組成物がある。一般的に、外表面は、第2の医薬有効成分をそこに接着させるために、造粒溶媒で予め処理されている。ある実施態様では、第1および第2の医薬有効成分は同一である。他の実施態様では、医薬組成物は経口パルス放出医薬組成物である。他の実施態様では、医薬有効成分はアンフェタミン塩の混合物を含む。ポリマーマトリックスは、少なくとも1種の腸溶性ポリマーおよび少なくとも1種の持続放出ポリマーを含む。
【0008】
本発明はまた、医薬組成物の即時放出成分の製造方法も提供する。本方法は、造粒溶媒を固体の医薬組成物の外表面に適用し、医薬有効成分をその組成物の外表面に接着させることを含む。外表面上の有効成分は、当該組成物の即時放出成分である。
【0009】
本発明の他の実施態様は、腸溶性ポリマーマトリックスを含み、医薬有効成分が腸溶性ポリマーマトリックスの全体に実質的に均一に分布している経口医薬組成物を提供することである。
【0010】
他の目的および特徴は、一部は明白であり、一部は下記で指摘される。
【0011】
図面の簡単な説明
図1は、実施例1に記載の医薬組成物のインビトロの連続的溶解プロフィールである。
【0012】
略号および定義
本発明の理解を補助するために、数々の用語を下記で定義する:
【0013】
用語「腸溶性ポリマー」は、その溶解性がpHに依存し、一般的に胃における薬物の放出を防止するが、製剤が胃から出された後の何れかの段階で薬物の放出を可能にするポリマーを表すために、本明細書で使用される。
【0014】
用語「医薬的に許容し得る」は、修飾される名詞が医薬品における使用に適することを意味するために、本明細書で形容詞的に使用される;即ち、医薬的に許容し得る物質は、相対的に安全および/または非毒性であるが、必ずしもそれ自体が分離できる治療的利益を提供しなくてもよい。
【0015】
用語「放出プロフィール」は、各々の医薬活性物質の経時的な放出パターン、即ち、経時的な放出量を表す。これは、インビボで、例えば血液濃度を測定することにより間接的に、または、好ましくはエクスビボで、例えば、物質の溶解速度の測定を可能にするUSPのパドルまたはバスケット法により、測定し得る。
【0016】
用語「対象」は、任意のヒトまたは動物を含む。動物の対象は、家畜の種、実験動物の種、動物園の動物であり得る。用語「対象」および「患者」は、本明細書で互換的に使用される。
【0017】
用語「持続放出ポリマー」は、その溶解度がpHに依存しないポリマーを表す。
【0018】
用語「治療的に有効な」は、障害の重篤度および発症の頻度を、処置しない場合よりも改善するという目的を達成するであろう、物質または2種もしくはそれ以上の物質の組合せの量を定めることを企図している。
【0019】
用語「薬物の全量」は、医薬組成物に含まれる薬物の重量による量(%w/w)を意味する。用語「薬物」は、用語「医薬有効成分」と互換的に使用される。
【0020】
用語「処置」は、疾患または障害に伴う望まれない症状の軽減、原因の排除、または、防止を含む。本明細書で使用される処置は、予防的処置を含む。
【0021】
好ましい実施態様の詳細な説明
本発明の医薬組成物は、一般的に、1種またはそれ以上の有効医薬成分がマトリックス中に均一に分布し、マトリックスの外表面に沈着しているポリマーマトリックスを含む。ポリマーマトリックスの組成または医薬有効成分の分布を調節することにより、有効成分の血漿出現プロフィールを望ましく制御し得る。
【0022】
医薬有効成分
一般に、本発明の医薬組成物は、パルス送達が望ましい任意の様々な医薬有効成分の経口送達に使用し得る。例えば、医薬有効成分は、アンフェタミン塩基、アンフェタミン塩、アンフェタミン塩の混合物またはこれらの組合せであり得る。あるいは、医薬有効成分は、モルヒネ、コデイン、オキシコドン、ヒドロコドン、ヒドロモルホンおよびメペリジンなどのオピオイド薬であり得る。
【0023】
本発明のある実施態様では、組成物は、医薬有効成分としてアンフェタミン塩基、その1種またはそれ以上の塩、またはこれらの組合せを含む。例えば、有効成分は、(i)メチルフェニデート、その光学活性異性体、その光学活性異性体の混合物、その1種またはそれ以上の塩、またはこれらの組合せ;(ii)フェニルプロパノールアミン、その光学活性異性体、その光学活性異性体の混合物、その1種またはそれ以上の塩、またはこれらの組合せ;(iii)注意欠陥多動性障害(ADHD)の処置に適用される他の組成物、または、(iv)これらの組合せを含み得る。ある実施態様では、例えば、医薬有効成分は、デキストロアンフェタミン硫酸塩、アンフェタミン硫酸塩、アンフェタミン糖酸塩のデキストロ異性体およびd,l−アンフェタミンアスパラギン酸塩の混合物を含む。ある特別な実施態様では、ADDERALL(登録商標) 錠剤 (Shire US Inc., Florence, KY) で使用されている通り、各錠剤中のアンフェタミン塩および異性体の組合せは、デキストロアンフェタミン:レボアンフェタミン3:1の比をもたらす。
【0024】
一般に、医薬有効成分は、好ましくはポリマー性のマトリックスに可溶である。加えて、そして本明細書の他の箇所で詳細に説明する通り、製造を容易にするために、医薬有効成分は、好ましくはポリマーマトリックスよりも造粒溶媒において可溶性が低い。特定の理論に束縛されないが、これは、そこへの医薬有効成分の接着をより容易に補助し、同時にマトリックス中に分散した医薬有効成分に有意に影響を与えないと考えられる。
【0025】
ポリマー性マトリックス
医薬有効成分に加えて、本発明のポリマーマトリックスは、少なくとも1種の腸溶性ポリマーおよび少なくとも1種の持続放出ポリマーを含有する。経口パルス放出医薬製剤において使用し得る腸溶性ポリマーには、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、ポリビニルアセテートフタレート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、セラック、ゼイン、カルボキシル基を含有するポリメタクリレート、アミロースアセテートフタレート、スチレンマレイン酸コポリマー、およびセルロースアセテートスクシネートが含まれるが、これらに限定されない。購入できる腸溶性物質の例は、商品名 EUDRAGIT(登録商標) L 100 (メチルメタクリレート/メタクリル酸コポリマー、遊離カルボキシル基のエステルに対する比は、約1:1である)、EUDRAGIT(登録商標) S 100 (メタクリル酸/メチルメタクリレートコポリマー、MAのMMAに対する比1:2)または EUDRAGIT(登録商標) L (メタクリル酸/メチルメタクリレートコポリマー、MAのMMAに対する比1:1)で入手できる。例えば、EUDRAGIT(登録商標) L 30D-55 (メタクリル酸/エチルアクリレートコポリマー)、EUDRAGIT(登録商標) L100-55 (エチルアクリレート、メタクリル酸コポリマー)、EUDRAGIT(登録商標) 調製物 4110D (メタクリル酸/メチルアクリレート/メチルメタクリレートコポリマー、メタクリル酸、メチルアクリレートおよびメチルメタクリレートモノマーの比は約1:6.5:2.5である);AQUATERIC(登録商標)(66−73%のセルロースアセテートフタレート(CAP)、ポロクサマーおよびアセチル化モノグリセリドを含有する混合物)、AQUACOAT(登録商標) CPD 30 (FMC) (セルロースアセテートフタレート(CAP)ポリマーを含有する30重量%の水性分散物);KOLLICOAT MAE(登録商標) 30D(エチルアクリレート/メタクリル酸コポリマー、遊離カルボキシル基のエステルに対する比は、約1:1である)、30DP (BASF)(メタクリル酸/エチルアクリレートコポリマー、30%分散);およびEASTACRYL(登録商標) 30D (Eastman Chemical)((メタクリル酸エチルアクリレートコポリマーの30%ポリマー性分散物、水中)などの、水性コロイド状ポリマー分散物または再分散物も適用できる。ある実施態様では、腸溶性ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)である。
【0026】
本発明のために使用され得る持続放出ポリマーには、ETHOCEL(登録商標) FP 10(エチルセルロース)、EUDRAGIT(登録商標) RS((トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリド)、EUDRAGIT(登録商標) RL(トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリド)、EUDRAGIT(登録商標) NE30D (ポリ(エチルアクリレート−メチルメタクリレート)−分散物30%)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、およびポリビニルピロリドン(PVP)が含まれるが、これらに限定されない。ある実施態様では、持続放出ポリマーはエチルセルロースである。好ましい実施態様では、持続放出ポリマーは ETHOCEL(登録商標) FP 10である。
【0027】
腸溶性および持続放出ポリマーに加えて、マトリックスは、好ましくはさらに少なくとも1種の結合剤を含む。結合剤は、医薬製造の分野で周知であり、アカシア、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶セルロース、クエン酸、デキストリン、エチルセルロース、ゼラチン、グルコース、グアーガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレンオキシド、ポビドン、アルファ化デンプン、シロップ、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマーなどの物質を含む。
【0028】
ポリマー性マトリックスは、好ましくは少なくとも1種の可塑剤も含み得る。例示的な可塑剤には、アセチルトリエチルシトレート、トリエチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート;ジブチルセバケート、トリアセチン、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコールが含まれる。ある実施態様では、好ましくはトリエチルシトレートが可塑剤として含まれる。
【0029】
上述の通り、医薬組成物は、好ましくは、腸溶性および持続放出ポリマーの混合物を含むポリマーマトリックスを含む。例えば、マトリックスは、1種の腸溶性ポリマーおよび1種の持続放出ポリマーを含み得る。あるいは、マトリックスは、2種またはそれ以上の腸溶性ポリマーおよび少なくとも1種の持続放出ポリマー、または、少なくとも1種の腸溶性ポリマーおよび2種またはそれ以上の持続放出ポリマーを含み得る。単一の腸溶性ポリマーと2種またはそれ以上の持続放出ポリマー、または、単一の持続放出ポリマーと2種またはそれ以上の腸溶性ポリマーなどの他の組合せも、本発明に包含される。実施例1は、HPMCAS-L を腸溶性ポリマーとして、そしてETHOCEL(登録商標) Standard FP 10 を持続放出ポリマーとして含む、1つのそのような例示的組成物を説明している。
【0030】
腸溶性および持続放出ポリマーの相対的特性並びに腸溶性および持続放出ポリマーの特徴を、幅広く変更して、様々な放出プロフィールを可能にし得る。しかしながら、一般に、腸溶性ポリマーは、好ましくは組成物の約30%w/wないし約80%w/wを構成する;ある例示的実施態様では、腸溶性ポリマーは、好ましくは、組成物の約55%w/wを構成する。持続放出ポリマーは、組成物の約5%w/wないし約80%w/w、好ましくは組成物の約5%w/wないし約20%w/wを構成する。ある例示的実施態様では、持続放出ポリマーは、組成物の約10%w/wを構成する。例として、実施例1に示す通り、医薬組成物は、8%w/wの ETHOCEL(登録商標) Standard FP 10を含有できる。
【0031】
当業者は、腸溶性ポリマーと持続放出ポリマーの比を、特定の医薬有効成分に望まれる放出プロフィールに基づいて調節できることを認識するであろう。例えば、25%w/wアンフェタミン塩、55%w/wのHPMCAS-L および8%w/w ETHOCEL(登録商標) Standard FP 10 を含有する医薬組成物の使用は、図1に記載の放出プロフィールをもたらす。改変された放出プロフィールにより利益を受ける(例えば、放出がより長い期間にわたる)であろう別の有効成分を使用する場合、腸溶性/持続放出ポリマーの比を、この変化に合わせて調節できる。好ましくは、より長期の放出プロフィールを達成するために、持続放出ポリマーの量を増やし、腸溶性ポリマーの量を減らす。腸溶性ポリマーの含有量を維持したまま、持続放出ポリマーの量を増やすことも可能である。これとは対照的に、持続放出ポリマーの量を減らし、腸溶性ポリマーの量を増やすことにより、より短期の放出プロフィールを達成できる。当業者は、特定の薬物に適切なマトリックスポリマーの量を決定するために、容易に実験を実施できる。例えば、同一の有効成分を数々の異なる製剤で製造し、例えばUSPのパドルまたはバスケット器具を使用してその溶解プロフィールを試験できる。
【0032】
第1および第2の医薬有効成分を、医薬組成物の約15%w/wないし約40%w/wの量で提供する。ある実施態様では、有効成分を約25%w/wの量で提供する。例えば、医薬組成物がアンフェタミン塩の混合物を医薬有効成分として含む場合、組成物中のアンフェタミン塩の量は、25%w/wである。他の実施態様では、マトリックスは、第1および第2の医薬有効成分の総量の約50%w/wを含み、マトリックスの外表面は、第1および第2の医薬有効成分の総量の約50%w/wを含む。
【0033】
また他の実施態様では、医薬製剤がアンフェタミン塩を含有する場合、製剤は、塩の約50%が即時に放出され、塩の約50%が遅れて放出されるようにする。従って、そのような製剤のために、マトリックスはアンフェタミン塩の約50%を含有し、表面に接着した塩は、総アンフェタミン塩の約50%を占める。例えば、医薬組成物が20mgのアンフェタミン塩を含有する場合、10mgはマトリックス中に含有され、他の10mgは、マトリックスの外表面に分布している。
【0034】
しかしながら、医薬有効成分がマトリックス中とマトリックスの外表面とに均等に分布する必要はないことに留意すべきである。例えば、マトリックスおよびマトリックスの外表面は、異なる割合の薬物を含有してもよく、例えば、マトリックスは、例えば10%、20%、30%、40%を含有でき、一方マトリックスの外表面は薬物の90%、80%および70%を各々含有できる。例えば、製剤化される薬物がモルヒネなどのオピエートである場合、マトリックスが薬物の80%を含み、外表面が20%を含むのが望ましい。
【0035】
さらに、ポリマーマトリックス中とマトリックスの外表面上で異なる有効成分を使用できる。例えば、オピオイドがマトリックスの外表面上にあり、鎮痛剤がマトリックス中にあるように、オピオイドと鎮痛剤を共に製剤化できる。多数の鎮痛剤、例えばアセトアミノフェン、アセチルサリチル酸、イブプロフェンおよびナプロキセンが当分野で周知である。当業者は、本医薬組成物に適する薬物の組合せを容易に決定できる。
【0036】
組成物の製造
本発明の医薬組成物は、好ましくは2段階で製造する。第1段階は、医薬有効成分をその中に含むマトリックスを製造することを含み、一方、第2段階は、マトリックスの外表面を、同一かまたは異なる医薬有効成分をそこに接着させるために処理することを含む。当分野で一般的に知られている通り、いくつかのマトリックス製剤の製造方法を下記で簡単に説明する。
【0037】
第1の方法は、押出成形および球状化を含む。簡単に述べると、医薬有効成分および他の添加物を結合剤溶液の添加により造粒する。湿った塊を、網目サイズ10ないし網目サイズ100の範囲の一定の大きさの篩を備えた押出機に通し、押出物を球状造粒機(marumerizer)中で造粒する。得られるペレットを乾燥し、さらなる適用のために篩にかける。
【0038】
第2の方法は、高剪断造粒を含む。医薬有効成分および他の添加物(結合剤、可塑剤、腸溶性ポリマーおよび持続放出ポリマー)を乾式混合し、次いで、混合物を結合剤溶液の添加により高剪断造粒機/混合機中で湿らせる。顆粒を練り、時には湿式粉砕する。得られる顆粒またはペレットを乾燥し、さらなる適用のために篩にかける。
【0039】
例えば、次に、顆粒塊を、リボン状物を得るために回転圧縮機を通すか、または、押出物を形成させるために押出機を通す。次いで、球状物を得るために押出物を球状化するか、または、顆粒を得るためにリボン状物を粉砕できる。これに続き、流動床乾燥機を使用して球状物または顆粒を乾燥させる。
【0040】
上記の顆粒または球状物の形態でのマトリックスの製造に続き、造粒溶媒を使用して、乾燥した球状物/顆粒を医薬有効成分と共に再造粒する。医薬有効成分は、マトリックス中のものと同一であるか、または異なる。簡単に述べると、再造粒は、球状物/顆粒を再造粒溶媒で噴霧し、外側の球状物/顆粒の表面に接着する選択された医薬有効成分と混合することにより達成される。溶媒での処理に続き、表面に薬物を沈着させるのに先立ち、マトリックス表面を乾燥させてもよい。例えばパンまたは流動床回転処理機(roto-processor)における粉末の重層化により、薬物を沈着できる。
【0041】
特定の理論に束縛されないが、マトリックスの外表面の処理に使用された再造粒溶媒は結合剤として作用し、沈着した有効成分をそれに強力に接着させると考えられる。さらに、マトリックスの外表面上の医薬有効成分は、約500ナノメーターないし約800ミクロンの範囲の大きさを有する独立した当該有効成分の粒子の集合体として沈着すると考えられる。典型的には、有効成分は約50ミクロンないし約200ミクロンの範囲の大きさを有する。従って、理論に束縛されないが、マトリックスの外表面上の医薬有効成分は、その上に不連続の層を形成すると考えられる。
【0042】
造粒および再造粒に使用される溶媒は、同じ溶媒であっても異なる溶媒であってもよい。両造粒工程に同じ溶媒を使用するのが好ましい。さらに、好ましくは含水アルコール溶媒を使用する;しかしながら、水性または有機溶媒などの他の溶媒も利用し得る。
【0043】
造粒溶媒は、マトリックスおよび薬物の溶解性基準に基づき選択する。特に、マトリックスの外表面の処理に使用される溶媒は、両ポリマー、即ち、腸溶性ポリマーおよび持続放出ポリマーの溶解を可能にするように選択される。可溶化は完全である必要はない。即ち、部分的な可溶化で十分である。溶媒の選択において、マトリックスポリマーが、そのような溶媒中で薬物よりも可溶性であることを考慮することも重要である。特定の理論に束縛されないが、溶媒処理、例えば上記の含水アルコール造粒は、即時放出の薬物が外側のマトリックス表面に十分に結合し、かくして保護層を使用する必要性を回避することを可能にすると考えられる。さらに、溶媒処理はマトリックスの最も外側の表面を溶解または部分的に溶解させ、かくして即時放出の薬物をそのような最も外側の表面に埋め込ませると考えられる。
【0044】
ある実施態様では、使用される溶媒は含水アルコール溶媒である。本明細書で使用する溶媒は、水と組み合わせた1種またはそれ以上のアルコールを含み、それにより含水アルコール溶媒系をもたらす。本発明の組成物で使用されるアルコールは、低級鎖の炭化水素アルコール(本明細書で「低級アルコール」と呼ばれる)、特にC−Cアルコール(即ち、1−4個の炭素原子を有するアルコール)である。好ましい実施態様では、アルコールは、エタノール、2−プロパノール(即ち、イソプロパノール)、またはn−プロパノールである。より好ましい実施態様では、アルコールは、エタノールまたはイソプロパノールである。イソプロパノールおよびエタノールは、幅広い多様な医薬物質に優れた浸透の増強をもたらすので、好ましいアルコールである。本発明の組成物における低級アルコールの水に対する比は、少なくとも重量で約20:80である(即ち、組成物中の水プラス低級アルコールの重量のみに基づき、低級アルコールは少なくとも約20重量パーセントの量で存在し、水は約80重量パーセントの量で存在する)。典型的には、本発明で使用する溶媒は、重量で約99:1より高くはないアルコールの水に対する比を有する。重量で約30:70ないし80:20の範囲にアルコールの水に対する比を有する溶媒(即ち、組成物中の水プラス低級アルコールの重量のみに基づき、30−80重量パーセントのアルコールおよび20−70重量パーセントの水)が特に有効である。低級アルコールの水に対する比は、一般的に、少なくとも約50:50であり、典型的には約90:10より高くはない。ある実施態様では、含水アルコール溶媒は、80%のアルコールおよび20%の水を含有する。本発明で使用されるべき溶媒は、マトリックス中のポリマーおよび医薬有効成分の特性に基づき、当業者により容易に決定できることに留意すべきである。
【0045】
薬物含有ペレットの製造において用いることができる物質は、医薬において一般的に使用される任意のものであり、活性薬物との適合性およびペレットの物理化学的特性に基づいて選択されるべきである。場合により使用し得る添加物を下記に列挙する。適する結合剤は、既に記載した。製剤が錠剤形で製造されることを要するときは、トウモロコシデンプン、アルファ化デンプン、架橋カルボキシメチルセルロース(AC-DI-SOL(登録商標))、デンプングリコール酸ナトリウム(EXPLOTAB(登録商標))、架橋ポリビニルピロリドン (PLASDONE XL(登録商標)) などの崩壊剤を本明細書に記載の医薬製剤に添加できる。崩壊剤は、錠剤が摂取された後に、それらのビーズを分散させるために添加する。滑沢剤も、適正な錠剤化を確実にするために添加され、使用できるものには、ステアリン酸カルシウム、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸マグネシウム、鉱物油、ポリエチレングリコール、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸、タルク、植物油およびステアリン酸亜鉛が含まれるが、これらに限定されない。医薬組成物をカプセル剤として製剤化するために、ラクトース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、微結晶セルロース、デキストラン、デンプン、スクロース、キシリトール、ラクチトール、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウム、ポリエチレングリコールなどの増量剤を使用できる。
【0046】
使用できる界面活性剤には、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、胆汁酸塩、グリセリルモノステアレート、PLURONIC(登録商標) ライン (BASF)などが含まれるがこれらに限定されない。クエン酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、グルタル酸、重炭酸ナトリウムおよび炭酸ナトリウムなどの可溶化剤を使用できる。使用し得る希釈剤には、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム−二塩基性、リン酸カルシウム−三塩基性、硫酸カルシウム、セルロース(微結晶または粉末状)、デキストレート、デキストリン、フルクトース、カオリン、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、デンプンおよびスクロースが含まれる。
【0047】
粒子を保護層で被覆してもよい;しかしながら、そのような層を含めることは、純粋に任意である。例えばより迅速な即時放出をもたらすために、可塑剤(上記)などの多くの成分を保護膜の組成に導入できる。保護被覆層は、パンコーティングまたは流動床コーティングなどの常套のコーティング技法により、水または適する有機溶媒中のポリマー溶液を使用して、または、水性ポリマー分散物を使用して、適用し得る。保護層に適する物質には、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマー、エチルセルロース水性分散物(AQUACOAT(登録商標)、SURELEASE(登録商標))、EUDRAGIT(登録商標) RL 30D、OPADRY(登録商標) などのセルロース誘導体が含まれる。
【0048】
本明細書に記載の球状物または顆粒の粒子の大きさは、マトリックス粒子が約50−3500ミクロン;好ましくは100−800ミクロンの範囲の直径を有するように選択する。ある実施態様では、粒子の大きさは網目サイズ12である。
【0049】
放出プロフィール
本発明のパルス放出製剤は、表面に接着した量の薬物を摂取から約30分以内に放出し、マトリックスに沈着した薬物を約1ないし約4時間後に放出するように設計する。他の実施態様では、マトリックスに沈着した薬物は、即時薬物放出から約1−3時間遅れて90%放出される。パルス放出は、また、低pH(例えば、胃)から高pH(例えば、小腸)への移行に伴って薬物放出が増加する薬物放出プロフィールも含む。
【0050】
医薬有効成分は、腸溶性ポリマーをベースとするマトリックスに導入され、それは、あるpHで有効成分の放出を可能にする。持続放出および腸溶性ポリマーの添加は、薬物の時間依存的およびpH依存的放出を可能にする。従って、腸溶性と持続放出のポリマーの比を調節することにより、薬物放出の正確な位置および時機を制御できる。ある実施態様では、あるpHでのパルス放出を可能にするように、即ち、マトリックス中の薬物の全量がそのような放出の開始から約3時間以内に放出されるように、マトリックスを製剤化できる。他の実施態様では、そのようなあるpHでの放出の開始後に薬物を徐放できる。使用する医薬有効成分に基づいて放出プロフィールの1つを達成するためにマトリックスを製剤化する。
【0051】
上記の通り、遅れるパルスの時機は、pH感受性、即ち、腸溶性ポリマー、および、時間依存性、即ち、持続放出ポリマーの量を変化させることにより制御できる。例えば、持続放出ポリマーの量を増やし、腸溶性ポリマーの量を減らすことにより、薬物を含有するマトリックスの放出を遅くする。
【0052】
本明細書に記載の即時放出製剤の形成方法、即ち、薬物の外表面を再造粒する方法は、本明細書に記載のマトリックスに適用可能であるのみならず、数々の様々な固体である医薬製剤にも適用可能であることも理解されよう。例えば、錠剤またはカプセル剤として製剤化する前に、球状物または顆粒の外層を含水アルコール溶媒で処理し、乾燥し、さらなる薬物と共に再造粒することもできる。かかる適用のために、溶媒が少なくとも部分的に球状物中のポリマーを溶解し、ポリマーの溶解度がその溶媒中で薬物の溶解度より高いことが重要である。当業者は、選択された溶媒中での特定の溶媒および薬物の溶解度を容易に決定できる。例えば、この方法は、オピエート、鎮痛剤または抗炎症薬の即時放出と、それに続く既に作成された製剤の遅延放出を提供するのに有利であり得る。
【0053】
経口製剤
経口投与のために、医薬組成物は、所望の量の医薬有効成分を含有でき、例えば、錠剤、ハードまたはソフトカプセル剤、トローチ剤、カシェ剤、処方可能な粉末剤、顆粒剤、懸濁剤、エリキシル剤、液剤の形態、または合理的に経口投与に適合する任意の他の形態であり得る。そのような医薬組成物は、好ましくは、錠剤またはカプセル剤などの、予め定められた量の薬物を含有する別個の投薬単位の形態で作成される。投薬単位の錠剤またはカプセル剤が好ましい。
【0054】
経口投与用の液体投与形には、当分野で一般的に使用される水などの不活性な希釈剤を含有する、医薬的に許容し得る乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤が含まれ得る。かかる組成物は、また、例えば、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤および甘味料、香味料および芳香剤も含み得る。液体投薬形を製剤化するとき、本発明の医薬組成物は、OPADRY(登録商標)などの非官能性被覆も含有し得る。かかる被覆の適用は、医薬分野で標準的である。
【0055】
薬物を錠剤として製剤化するとき、一度錠剤が摂取されたら球状物を分散させるために、溶解助剤を含める。これらの物質は、約3%ないし約15%(w/w)の範囲で存在すべきである。
【0056】
錠剤の製造において、医薬分野で典型的に利用される打錠機を使用して、粒子を錠剤形に打錠する。一般的には、粒子を一定時間崩壊剤および滑沢剤と混合し、均一な混合物を得る。それに続き、混合物を打錠機の型に供給し、十分な圧力をかけ、固体の錠剤を形成させる。使用する打錠力は、錠剤の形成に適切であるが、ビーズまたは被覆を破壊するには不十分なものである。圧力は様々であり得、典型的には約1,000psiないし約6,000psiの範囲、好ましくは約2,000psiの力である。錠剤を形成させた後、所望により医薬において通常使用される物質で錠剤を被覆する。被覆する場合、被覆は当分野で知られている技法により製造する。
【0057】
投与
本発明の多投与量剤形(multiple dosage form)は、医薬的に活性なアンフェタミン塩の投薬量を迅速かつ完全に送達し、1回の経口投与で約6−8時間の過程にわたり受容者における所望の薬物レベルを達成できることが理解されよう。
【0058】
本発明の組成物の有効な投与形、投与様式および投与量は、経験的に決定し得、そのような決定は、当分野の技術範囲内である。投与量は、用いる特定の組成物、処置される症状、症状の重篤度、投与経路、排出速度、処置期間、その哺乳動物に投与されている任意の他の薬物の性質、その哺乳動物の年齢、大きさおよび種、および医学および獣医学分野で周知の同様の要因に伴って変化することが当業者に理解される。一般に、本発明の化合物の適当な1日用量は、治療効果を奏するのに有効な最低用量である量であろう。しかしながら、総1日用量は、妥当な医学的判断の範囲内で、現場の医師または獣医師により決定されよう。所望により、1日用量は、1日にわたり適切な間隔で別々に投与される、複数の下位用量で投与されてもよい。
【0059】
例えば、医薬有効成分がアンフェタミン塩の混合物である場合、医薬組成物は、3−10歳の小児の注意欠陥多動性障害(ADHD)の処置に適用される。そのような医薬組成物は、例えば、アンフェタミン塩の混合物を、2.5mg、5mg、10mg、20mg、30mgおよび40mgの量で含有できる。ある実施態様では、本明細書に記載の医薬製剤中のアンフェタミン塩の量は、5mg、10mg、20mgまたは30mgである。
【0060】
医薬有効成分がモルヒネなどのオピエートであるとき、本発明の医薬組成物は、例えば、20mg、30mg、60mgまたは100mgのモルヒネを含有できる。
【0061】
本発明の他の特徴、目的および利点は、当業者に明らかであろう。本明細書で提示した説明および例示説明は、他の当業者に本発明、その原理および実際の適用を熟知させることを意図している。当業者は、特定の用途の要件に最適であり得るように、本発明をその数々の形態に適合させ、適用し得る。従って、記載した特定の本発明の実施態様は、本発明を網羅または限定することを意図していない。
【0062】
本明細書で引用した全ての刊行物および特許出願を、個々の刊行物または特許出願が特定的かつ個別に出典明示により本明細書の一部とすると指示されているかのように、出典明示により本明細書の一部とする。
【0063】
以下の実施例は本発明を例示説明するが、本発明の様々な態様を例示説明されている通りに限定するものと解釈すべきでない。
【実施例】
【0064】
実施例
表1は、本発明の医薬組成物の製造に使用される成分およびそれらの重量を列挙し、それは、デキストロアンフェタミン硫酸塩(DAS)を医薬有効成分として利用する。
表1:バッチサイズ100g(サンプルF27A)
【表1】

*DAS25gは、薬物の総量である;そのうち、12.5gがマトリックス中にあり(本実施例中、パート1と称する)、12.5gがマトリックスの外表面上にある(本実施例中、パート2と称する)。
【0065】
組成物に必要とされる医薬有効成分(DAS)の量は、下記に示す通りに算出した:
DASパート1=薬物のw/w%(表1)*パート1の薬物負荷%*バッチサイズ(g)=0.25*0.5*100=12.5g
DASパート2=薬物のw/w%(表1)*パート2の薬物負荷%*バッチサイズ(g)=0.25*0.5*100=12.5g
【0066】
表1に記載の医薬組成物は、以下の通りに製造した:
1.表1に記載の比でエタノールおよび蒸留水をビーカー中で合わせ、各100mLの造粒溶媒を製造した。
2.顆粒状クエン酸を磨砕機(grinder)中で微粉化した。
3.TEC5mLを容積測定的にピペットで造粒溶媒35mLに加え、クエン酸を添加した。
4.ETHOCEL、HPMCAS-L、DASパート1を混合機に添加し、乾燥混合物を混和した。
5.TEC/クエン酸溶液を段階4の乾燥混合物に徐々に添加し、全混合物を混合機中で造粒/混和した。
6.十分な造粒溶媒を滴下して添加して造粒を継続し、密集した塊を得た。使用した溶媒の体積を記録した。
7.段階6の補助剤の塊を粉砕機(mill)に通し、糸状の押出物を得た(押出物がこの方法で形成できないならば、磨砕機を利用し得る)。
8.糸状の押出物をフード中で終夜乾燥し、続いて押出物を篩または必要に応じて磨砕機に通し、顆粒を得た。
9.顆粒を#10、#12、#16、#20の網目の篩に通し、各篩に集められた量を記録した。
10.網目#12の顆粒を、顆粒の外表面にDASを接着させるさらなる実験に使用した。
11.網目#12の顆粒およびDASパート2を秤量し、混合用ボウルに移した。
12.段階11の混合物を、造粒溶媒を噴霧し、造粒過程が完了するまで混合することにより再造粒した。使用した溶媒の質量を記録した。
13.溶媒の添加が完了した後、約2分間混合を継続し、続いて顆粒をワックス紙に移し、フード中で終夜乾燥させた。
14.溶解試験のために、顆粒を篩にかけ、#12の網目サイズに集めた。
15.以下のpH値:1.2、5.5および6.8で、連続溶解試験を実施した。
16.バスケットを有するUSPの溶解器具Iを使用して、溶解試験を実施した。
17.段階14の顆粒を、pH1.2、5.5および6.8を有する溶解容器中に各々1時間維持し、溶解試験の間中ずっと、溶解媒体を37℃に保った。
18.図1に記載の時点で、容器のサンプルを回収し、HPLCを使用して溶解した薬物の量を分析した。
溶解試験の結果を図1に示す。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】図1は、実施例1に記載の医薬組成物のインビトロの連続的溶解プロフィールである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーマトリックスを含む経口医薬組成物であって、第1の医薬有効成分が実質的に均一にポリマーマトリックス中に分布し、第2の医薬有効成分がポリマーマトリックスの表面に沈着している、経口医薬組成物。
【請求項2】
第1および第2の医薬有効成分が同一である、請求項1に記載の経口医薬組成物。
【請求項3】
第2の医薬有効成分の沈着が、独立した第2の医薬有効成分の粒子の集合体の形態である、請求項1または請求項2に記載の経口医薬組成物。
【請求項4】
独立した粒子が約500ナノメートルないし約800ミクロンの範囲の大きさを有する、請求項3に記載の経口医薬組成物。
【請求項5】
ポリマーマトリックスが少なくとも1種の腸溶性ポリマーおよび少なくとも1種の持続放出ポリマーを含む、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の経口医薬組成物。
【請求項6】
ポリマーマトリックスが約30%w/wないし約80%w/wの腸溶性ポリマーを含む、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
ポリマーマトリックスが約55%の腸溶性ポリマーを含む、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
ポリマーマトリックスが約5%w/wないし約80%w/wの持続放出ポリマーを含む、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項9】
ポリマーマトリックスが約5%w/wの持続放出ポリマーを含む、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
腸溶性ポリマーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、ポリビニルアセテートフタレート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、セラック、ゼイン、カルボキシル基を含有するポリメタクリレート、アミロースアセテートフタレート、スチレンマレイン酸コポリマー、セルロースアセテートスクシネートおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項11】
腸溶性ポリマーがHPMCASである、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
持続放出ポリマーが、エチルセルロース、トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリド、30重量%分散のポリ(エチルアクリレート−メチルメタクリレート)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリビニルピロリドン(PVP)およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項13】
持続放出ポリマーがエチルセルロースである、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
第1および第2の医薬有効成分が組成物中に約25%w/wの量で存在する、請求項1または請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項15】
第1および第2の医薬有効成分が、アンフェタミン塩およびオピエート薬からなる群から選択される、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項16】
第1および第2の医薬有効成分がアンフェタミン塩の混合物である、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
アンフェタミン塩の混合物が、デキストロアンフェタミン硫酸塩、アンフェタミン硫酸塩、アンフェタミン糖酸塩のデキストロ異性体、およびd,l−アンフェタミンアスパラギン酸塩の中性塩の混合物である、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
マトリックスが、第1および第2の医薬有効成分の総量の約50重量%を含み、マトリックスの外表面が、第1および第2の医薬有効成分の総量の約50重量%を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項19】
第1および第2の医薬有効成分が同一である、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
第1および第2の医薬有効成分がアンフェタミン塩の混合物である、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
アンフェタミン塩の混合物が、デキストロアンフェタミン硫酸塩、アンフェタミン硫酸塩、アンフェタミン糖酸塩のデキストロ異性体、およびd,l−アンフェタミンアスパラギン酸塩の中性塩の混合物を含む、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
マトリックスが可塑剤および結合剤をさらに含む、請求項1または請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項23】
可塑剤が、アセチルトリエチルシトレート、トリエチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート;ジブチルセバケート、トリアセチン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項24】
可塑剤がトリエチルシトレートである、請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
結合剤が、クエン酸、アカシア、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶セルロース、デキストリン、エチルセルロース、ゼラチン、グルコース、グアーガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレンオキシド、ポビドン、アルファ化デンプン、シロップ、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマーおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項26】
結合剤がメチルセルロースである、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項27】
該組成物がパルス放出プロフィールを有する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項28】
マトリックスの外表面を、第2の医薬有効成分を沈着させる前に造粒溶媒で処理する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項29】
造粒溶媒が含水アルコール溶媒である、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項30】
含水アルコール溶媒が約80%のエタノールおよび約20%の水を含有する、請求項29に記載の医薬組成物。
【請求項31】
固体の医薬組成物の即時放出成分の製造方法であって、
造粒溶媒を固体の医薬組成物の外表面に適用すること(固体の医薬組成物は、その固体全体にわたり実質的に均一に分布した第1の医薬有効成分を含むものである);および、
経口投与の際に第2の医薬有効成分の即時放出をもたらすために、第2の医薬有効成分をその組成物の外表面に接着させること、
の各段階を含む方法。
【請求項32】
造粒溶媒が含水アルコール溶媒である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
含水アルコール溶媒が80%のエタノールおよび20%の水を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
第1および第2の医薬有効成分が異なるものである、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
第1および第2の医薬有効成分が同一である、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
第1および第2の医薬有効成分がアンフェタミン塩の混合物である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
腸溶性ポリマーマトリックスを含む経口医薬組成物であって、医薬有効成分が腸溶性ポリマーマトリックス全体に実質的に均一に分布している、医薬組成物。
【請求項38】
医薬有効成分が、アンフェタミン塩およびオピオイド薬からなる群から選択される、請求項37に記載の医薬組成物。
【請求項39】
腸溶性ポリマーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、ポリビニルアセテートフタレート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、セラック、ゼイン、カルボキシル基を含有するポリメタクリレート、アミロースアセテートフタレート、スチレンマレイン酸コポリマー、セルロースアセテートスクシネートおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項37に記載の医薬組成物。

【図1】
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【公表番号】特表2008−535837(P2008−535837A)
【公表日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−505347(P2008−505347)
【出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【国際出願番号】PCT/US2006/010279
【国際公開番号】WO2006/107593
【国際公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(595181003)マリンクロッド・インコーポレイテッド (203)
【氏名又は名称原語表記】Mallinckrodt INC.
【Fターム(参考)】