説明

マルチカメラデータ転送方式及びデータ転送方式

【課題】ホストコンピュータによる制御が必要なUSBインタフェースを必要とせず簡単な構成で且つ省電力なシリアル通信を可能とする。
【解決手段】それぞれが撮像した画像信号を蓄積する複数の電子カメラ2B〜NBで同時または逐次的に得られた画像データを、所定のタイミングで順次読み出し、シリアル的に出力し、上記電子カメラに蓄積されている画像データの読出、伝送中は、それ以外の他の電子カメラはスタンバイモード状態とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は画像データのデータ転送方式に関し、特に端末装置で得られた画像データを他の端末に転送する場合に好適なデータ転送方式に関する。本発明は、また、CMOSセンサーを用いたデジタル出力の撮像手段の配線問題の最適化やシステム設計の簡略化に関する。
【0002】
【従来の技術】データをシリアル通信するデータ転送方式は、通信媒体が1本のバス回線で済むため、構成の簡素化が要求される分野において多用されている。
【0003】かかるデータ転送方式が用いられる一例として単数のカメラ(TVカメラあるいは電子カメラ)あるいは複数のカメラ、すなわちマルチカメラを所定個所に配設し、これらカメラで得られた画像信号をA/Dコンバータ等によりデジタルデータとしての画像データに変換してフレームメモリあるいはラインバッファに一時格納し、シリアルインタフェースを介してバスに送出する画像データ転送方式が実用化されている。
【0004】カメラの出力をシリアルラインにて伝送する方法は、物理的配線数の大幅な削減や、システム構築コストの削減に効果がある。たとえば、自動車内にカメラを設置する場合などである。このような用途では、従来は配線数の少ないアナログ画像信号が使用されてきた。ところが、画像を受信あるいは活用する装置側では、デジタル画像データであるほうが都合がよい。しかしながら、8bit あるいは16bitのデジタルパラレル信号は、長距離の配線には適合していない。配線のコストがかかることやデータの相互遅延管理が困難であるため、長距離の伝送には適合していない。
【0005】また、別の例としてCellular telephonesのような小型モバイル機器では、コネクターに多数ピンが必要なデジタルパラレル信号は、装置を大型化させてしまう問題がある。
【0006】マルチカメラを用いて複数の画像データを得る場合にも、多数の信号ラインを必要とするパラレル画像信号は配線とシステムを複雑かつ高価格にする。たとえば、複数台のカメラを用いる監視カメラシステムなどがその例である。
【0007】車載用安全確認カメラなども、複数方向に向けられた複数のカメラを1台の端末でモニターする必要がある。社内配線は8m程度まで伸びることもあり、従来のデジタル配線では、コストが高価であった。また、医療分野では人間体の輪郭及び熱分布を通常のカメラ及び赤外線カメラで取得し、これらカメラで取得した画像を重畳表示して診断のベースとしたり、紫外光用カメラを用いて撮像対象の輪郭が明確な画像を取得したり、工業用スコープ分野では、前方や横方向の画像を同時に取得したりする場合がある。これらの例でも配線を含むシステムコストの低減やシステム自体の簡素化が要求されている。
【0008】一方、撮像手段においては画像出力信号のデジタル化が進展している。すなわち、光電変換手段の出力をA/D変換し、DSPなどのIC化に適した回路手段を用いてデジタルカラープロセス回路を形成し、画像出力をRGBあるいはYUV形式のデジタル出力とする撮像手段が増加している。このような撮像手段を用いると、RGB形式の8bitデジタル出力であれば、24本の出力信号線が存在することになる。
【0009】また、IC化に適したCMOSセンサーでは、光電変換手段と同一の半導体チップ上に前出のデジタルカラープロセスを形成し、いわゆるワンチップカメラを構成することにより、撮像手段の大幅な小型化を可能としている。このようなCMOS撮像手段は小型、低消費電力である特徴から、携帯電話や、PDAや電池駆動の多くの情報機器に組込まれてきている。
【0010】多くの出力線が発生する、デジタル画像信号の配線問題やデータ転送問題が、端末」やシステムの費用削減や小型化をはかるうえで、大きな課題となっている。
【0011】データをシリアル通信する通信方式の一例としては、パソコンにおけるUSBを用いた例がある。
【0012】図7には、この種の通信方式の一例のマルチカメラデータ転送方式の構成が示されている。複数の端末(例えば、マルチカメラ)が、コンピュータ(パソコン)102でそのプロトコルが制御される複数のUSBインタフェース(I/F)に接続されている。USBインタフェース102Aは、CPU102BやRAM102Cを有するパソコン102に内蔵され(取り付けられ)、マスターUSBインタフェースとして機能し、インタフェース103Aはハードディスク103B用、USBインタフェース104Aはキーボード104B用、USBインタフェース105Aはマウス105B用、USBインタフェース106Aはモニター106B用、USBインタフェース108Aはモデム108B用として使用されており、USBインタフェース107Aは、画像送信側のマルチカメラから送信されてくる画像データの通信媒体であるバスが接続されている。これらのUSBインタフェースは、USBハブ101を介して各種の装置に接続されている。
【0013】図7に示すような構成によれば、マルチカメラのそれぞれで得られた画像データを、USBインタフェース107Aを利用したシリアル通信により送信することができる。
【0014】また特開平11−122636には双方の装置にPLL回路を備えデジタル映像信号をシリアルで正確に伝送できる映像信号伝送装置が開示されている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】一方、USBインタフェースを利用した上述の如き通信方式は、シリアル通信が行えるので、バス(ケーブル)が単純であるというメリットがある反面、USBインタフェースはパソコン等のホストコンピュータによる制御が必要であり、ホストコンピュータが必須であるばかりでなく、そのプロトコルが複雑であるという問題もある。
【0016】またUSBインターフェースは、図7に記したように、目的の異なる複数種の端末を接続することを前提として規格化されているため、大容量のデータを連続的に伝送する画像端末の接続には適してはいない。
【0017】更に特開平11−122636の映像信号伝送装置は、双方向での正確なデジタル画像信号伝送が考慮されておらず、端末で得られたデータを最少の消費電力でシリアル通信することも考慮されていない。
【0018】また、マルチカメラで得られた画像信号はそれぞれのカメラに1:1で対応して設けられたメモリに一旦格納され、メモリから読み出した画像信号を順次バスに送出されている。したがって、メモリはカメラ対応で設けられているため構成が複雑化し、コスト面の問題も生ずる。
【0019】そこで、本発明の目的は、ホストコンピュータによる制御が必要なUSBインタフェースを必要とせず簡単な構成でシリアル通信が可能となる信頼性の高いカメラデータ転送方式及びデータ転送方式を提供することにある。
【0020】本発明の他の目的は、カメラ等の端末で得られたデータを最少の消費電力でシリアル通信可能なマルチカメラデータ転送方式及びデータ転送方式を提供することにある。
【0021】本発明の更に他の目的は、データの同期確認及びデータ送出の確認を確実にする信頼性の高いカメラデータ転送方式及びデータ転送方式を提供することにある。
【0022】本発明の他の目的は、デジタル画像信号の配線問題を解決し、画像システムを簡略化するデータ転送方式を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するため、本発明によるカメラデータ転送方式及びデータ転送方式は、次のような特徴的な構成を採用している。
【0024】(1)それぞれが撮像した画像信号を出力する複数の撮像手段と、前記複数の撮像手段ごとに設けられており、前記撮像手段から同時または逐次的に出力されるパラレル出力のデジタル画像データを、シリアル信号に変換する手段と、前記シリアル信号を所定のタイミングで順次出力する出力手段と、前記出力されたシリアルデータ信号を通信先に送出してシリアル転送するシリアルインタフェースとを備え、前記撮像手段からの画像データの読出中、または伝送中は、それ以外の他の撮像手段はスタンバイモード状態とされているマルチカメラデータ転送方式。
【0025】(2)前記複数の撮像手段は、互いに異なる撮像波長領域または互いに異なる方向を撮像する撮像手段である上記(1)のマルチカメラデータ転送方式。
【0026】(3)前記所定のタイミングは、垂直同期信号で定まる上記(1)のマルチカメラデータ転送方式。
【0027】(4)第1の装置と第2の装置間でデータ転送するデータ転送方式において、前記第1の装置側は、パラレル信号形式の画像信号を出力する撮像手段を備え、前記撮像手段で撮像して得られたパラレル信号である画像信号を、第1のPLL回路から出力されるクロックに基づいて、パラレル/シリアル変換するP/S変換器と、シリアル変換された信号を、LVDS(Low Voltage Differential Signalling)信号伝送方式に従った信号に変換し、変換されたLVDS信号を受信側に伝送ラインを介して高速LVDSデータ転送するLVDSドライバ回路と、前記伝送ラインを介して受信された画像信号を、前記第1のPLL回路からのクロックに基づいてパラレルデータに変換するシリアル/パラレル変換回路とを備え、第2の装置側は、前記伝送ラインを介して転送された画像信号を受信するLVDS受信回路と、第2のPLL回路からのクロックに基づいて、前記受信した画像信号をパラレルデータに変換するシリアル/パラレル変換回路と、伝送されるべき画像データをパラレル/シリアル変換するP/S変換器と、シリアル変換された信号をLVDS信号伝送方式に従った信号に変換され、前記伝送ラインを介して第1の装置に向けて高速LVDSデータ転送するLVDSドライバ回路とを備えて成るデータ転送方式。
【0028】(5)第1の装置と第2の装置間でデータ転送するデータ転送方式において、前記第1の装置側は、パラレル信号形式の画像信号を出力する撮像手段を備え、前記撮像手段で撮像して得られたパラレル信号である画像信号を、第1のPLL回路から出力されるクロックに基づいて、パラレル/シリアル変換するP/S変換器と、シリアル変換された信号を、LVDS(Low Voltage Differential Signalling)信号伝送方式に従った信号に変換し、変換されたLVDS信号を受信側に伝送ラインを介して高速LVDSデータ転送するLVDSドライバ回路とを備え、第2の装置側は、前記伝送ラインを介して転送された画像信号を受信するLVDS受信回路と、第2のPLL回路からのクロックに基づいて、前記受信した画像信号をパラレルデータに変換するシリアル/パラレル変換回路とシリアル変換された信号をLVDSを備えて成るデータ転送方式。
【0029】(6)前記第1の装置における第1のPLL回路から生成されるロック信号を前記第2の装置側に送出し、前記第2の装置側では、受信したロック信号が正しい同期クロックでないと判断したときに前記受信クロック信号を反転してロック応答信号として前記第1の装置側に送出し、前記受信したロック信号が正しい同期クロックであると判断したときには前記受信クロック信号を反転せずに、そのままロック応答信号として前記第1の装置側に送出し、前記第1の装置側では、受信した前記ロック応答信号と前記ロック信号に基づいてロックが正確であるか否かを判断し、ロックが正確でないときには、前回送信したデータを前記第1の装置側に再送する上記(4)乃至(5)のデータ転送方式。
【0030】(7)前記第1の装置側では、前記ロック応答信号と前記ロック信号を入力とする差動増幅器により前記ロックが正確であるか否かを示すロック検出信号を出力する上記(6)のデータ転送方式。
【0031】(8)第1の装置側から、PLLロック信号を、送信データとともに送出し、第2の装置側では、受信したPLLロック信号に基づいて前記第2のPLL回路がロックしていると判断した場合には、前記ロック信号を反転してロック応答信号として第1の装置側に返送し、前記第1の装置側では、送信したロック信号と返送されたロック応答信号とに基づいて、前回送信したデータが正しく送信されていないと判定されたときには、前記前回送信したデータを前記第1の装置側に再送するデータ転送方式。
【0032】(9)前記再送は、1フレームの画像を送る場合には、画像の最初から再送する上記(8)のデータ転送方式。
【0033】(10)前記再送は、エラーが発生した画像の最初の水平同期信号部分から再送する上記(7)のデータ転送方式。
【0034】(11)前記再送は、エラーが発生したデータ部分から再送する上記(8)のデータ転送方式。
【0035】(12)前記再送は、エラーが発生したデータのみ再送する上記(8)のデータ転送方式。
【0036】(13)前記エラーが発生した場合は、前記PLLのロック周波数を下げてデータ転送の信頼性を向上させる方向にロック周波数を変更する上記(8)のデータ転送方式。
【0037】(14)前記データはその単位データ列が2nビットである上記(1)乃至(13)のデータ転送方式。
【0038】
【発明の実施の形態】以下、本発明によるマルチカメラデータ転送方式及びデータ転送方式の好適実施形態例について添付図を参照して詳細に説明する。
【0039】図1において、複数のカメラ2B〜NB対応で設けられたシリアルインタフェース(I/F)2A〜NAのそれぞれから送出される画像データが、高速シリアルインタフェース(I/F)変換器1を介してシリアル通信で送信先に送出される。
【0040】本発明の実施形態では、複数の各カメラは被写体対象物をイメージセンサにより同時あるいは逐次的に撮像後、画像信号を蓄積しており、当該画像信号を上記撮像データを高速シリアルインタフェース(I/F)1を介してシリアル通信で送出している。そして、1台のカメラに蓄積されている画像データの読出、伝送中は、それ以外の他のカメラはスタンバイモード状態にありデータの蓄積期間となる。したがって、システム全体の消費電力は略カメラ1台分の消費電力で済むことになる。
【0041】こうして複数台のカメラにより画像を同時に取り込み、フレーム単位で切り替え、すなわち、垂直同期信号に応答して撮像し、読み出しをカメラ単位で行なうことができる。このとき、カメラによる撮像波長を異ならせたり、異なる方向から撮像することにより複数カメラで得られた画像を順次送出することができる。
【0042】図2には、図1に示す実施形態における複数のカメラ(N台)による画像の撮像タイミング、垂直同期信号及び画像データ転送タイミングの関係が示されている。
【0043】撮像タイミングTの立下りに応答して、複数のカメラによる撮像を同時に行なう。このとき、複数のカメラの各カメラは、撮像後、得られた画像信号は蓄積されている。この撮像タイミングに応答して垂直同期信号Vを発生させ、各垂直同期信号に応答して複数のカメラに蓄積されている画像データを順次転送して行く。すなわち、垂直同期信号の第1の立ち下りタイミングV1で第1のカメラに蓄積されている画像信号を転送し、第2の立ち下りタイミングV2で第2のカメラに蓄積されている画像信号を転送し、第3の立ち下りタイミングV3で第3のカメラに蓄積されている画像信号を転送し、第4の立ち下りタイミングV4で第4のカメラに蓄積されている画像信号を転送し、・・・第Nの立ち下りタイミングVNで第Nのカメラに蓄積されている画像信号を順次転送する。
【0044】上述実施形態によれば、ホストコンピュータの制御が必要なUSBを用いることなく、複数の端末(カメラ)のそれぞれで得られたデータをシリアルデータとして順次転送できる。
【0045】図3には、図1における高速シリアルI/F変換器1の構成例が示されている。この高速シリアルI/F変換器1は、送信側(カメラ側)と受信側(画像信号受信側)にそれぞれ設けられている。以下の説明では、双方向通信を前提にしており、送信時と受信時では、その機能は逆転するので、双方向通信は第1の装置と第2の装置間で行なわれる場合を想定する。
【0046】第1の装置側は、送信時には、PLL回路11から出力されるクロックに基づいて、P/S変換器12がカメラで撮像して得られた画像信号をパラレル/シリアル変換し、シリアル変換された信号を、LVDSドライバ回路(コード回路)13により、いわゆるLVDS(Low Voltage Differential Signalling)信号伝送方式に従った信号に変換する。こうして得られたLVDS信号が、例えば、ツイストケーブル等の比較的細く取り扱いの簡単な伝送ライン(バス)10を介して高速LVDSデータ転送される。上記LVDS信号による信号伝送は、シリアル伝送の規格:TIA/EIA―644規格に従って行なわれる。
【0047】こうしてバス10を介して出力されたシリアル画像データは、画像データクロック周期で、各ビット対応でLVDS信号として構成される。
【0048】バス10を介して転送された画像信号は、受信側としての第2の装置のLVDS受信回路(デコード回路)21で受信され、PLL回路22からのクロックに基づいてシリアル/パラレル変換回路23でパラレルデータとして、上述USBインタフェース等に送出される。
【0049】一方、第2の装置の送信時に伝送されるべき画像データは、P/S変換器12と同様なP/S変換器25によりパラレル/シリアル変換され、シリアル変換された信号が、LVDSドライバ回路(コード回路)24においてLVDS信号伝送方式に従った信号に変換され、バス10を介して第1の装置に向けて高速LVDSデータ転送される。
【0050】第1の装置の受信時では、バス10を介して受信された画像信号は、LVDS受信回路(デコード回路)21と同様なLVDS受信回路14で受信され、PLL回路11からのクロックに基づいてシリアル/パラレル変換回路15によりパラレルデータとして、上述USBインタフェース等に送出される。
【0051】本発明の実施形態では、上記画像データの同期確認及びデータ送出の確認をより確実にするために次のような双方向通信システムを採用している。
【0052】図3を参照すると、第1の装置のPLL回路11から出力されるロック信号は、送信増幅器16により増幅された後、例えば、ツイストケーブル等の比較的細く取り扱いの簡単な伝送ライン(バス)20を介して第2の装置側に送出され、第2の装置側では、このバス20を介して受信増幅器26で受信したロック信号をPLL回路22に送出して上記クロックを生成せしめるとともに、このロック信号がインバータ27に入力される。インバータ27による反転動作は、PLL回路22から出力されるロック可否信号に従って行なわれ、PLL回路22で受信したロック信号が正しい同期クロックでないと判断したときに当該受信クロック信号を反転してロック応答信号として送信増幅器28及びバス20を介して第1の装置側に送出される。
【0053】また、PLL回路22で受信したロック信号が正しい同期クロックであると判断したときにはインバータ27当該受信クロック信号を反転せずに、そのままロック応答信号として送信増幅器28及びバス20を介して第1の装置側に送出する。
【0054】第1の装置側では、バス20を介して受信したロック応答信号を受信増幅器17で受信し、差動増幅器18に入力される。差動増幅器18にはPLL回路11からのロック信号も入力されており、その出力信号がロック検出信号として得られ、このロック検出信号に基づいてロックが正確であるか否かが判断できる。
【0055】尚、図3では第1の装置側から送信された送信データも第2の装置側から送信された送信データも同極性で送受信を行っているが、例えば図4に示すように、第1の装置側をマスターとし、第2並びに不図示の装置側をスレーブとした場合、マスター側の装置のLVDSドライバ回路(コード回路)30からの出力を反転出力とし、スレーブ側の装置のLVDS受信回路(デコード回路)31で再反転する構成としても良い。その場合、マスターからの送信データか、スレーブからの送信データかがデータの極性で判別できる為、別のスレーブからの送信データなのかマスターからの送信データなのかを別途判断する処理、回路等が割愛できる。
【0056】図5には、送受信データの構造例が示されている。このデータ構成は、大きく分けてPLLロック検出用信号としてのデータ列スタートビットとストップビット、これらのビットに囲まれた制御データ部分と実際の画像データ部分に分けられる。制御データ部分は、例えば、画像の同期信号としての垂直、水平の同期信号、データ列のエラーチェックのための信号、例えば、データチェック信号としてのパリティチェック信号、データ列がコマンド相当かデータかを示すC/D(コマンド/データ)信号、送信側から受信側への信号か若しくはその逆かを示すR/W信号、データが有効か否かを示す信号(図示せず)等がある。データチェック信号は、パリティチェック等のエラーチェック信号であり、スタートからストップまでの1組の信号の状態をチェックするための信号であり、無い場合と比較して、より確実なデータ状態チェックが可能となる。
【0057】次に、上述実施形態におけるデータ送受信時PLLのロックが外れた場合またはエラーチェック等により送出されたデータにエラーがあることが判明した場合の処理について図6を参照して説明する。図6は、データ送受信時におけるエラー検出方法を説明するためのタイミング図である。
【0058】先ず、データ送受信におけるエラー検出方法について図3をも参照して説明する。上述のように、送信(第1の装置)側からは、PLLロック信号を、送信データ列のデータスタート、ストップ信号にあわせて送出する。受信(第2の装置)側では、PLLがロックしていると判断した場合には、上記ロック信号を反転してロック応答信号として送信側に送り返す。
【0059】一方、送信側では、送信したロック信号と返送されたロック応答信号を、例えば、差動増幅器で受信して、その出力をロック検出信号として生成し、データ列を送るスタート部分で前回送った信号の状況を判定する。図示の例では、判定期間でロック検出信号が“H”であれば正常(判定:OK)、“L”であればNG(判定:NG)と判定される。この判定が“NG”の場合には、データを受信側に再送する。
【0060】再送のシーケンスとしては、受信側のシステム構成により、(1)1フレームの画像を送る場合には、画像の最初から再送する、(2)エラーが発生した画像の最初の水平同期信号部分から再送する、(3)エラーが発生したデータ部分から再送する、(4)エラーが発生したデータのみ再送する、等の方式がある。
【0061】また、本実施形態の方式では、エラーが発生した場合には、PLLのロック周波数を下げてデータ転送の信頼性を向上させる方向に周波数を変更することも可能となる。これは、従来のRS232Cによるシリアル通信等で通信周波数を一定間隔で下げながら所望の通信レートを検索する方式に似ているが、本実施形態の方式では、PLLロック基本周波数(PLLロック信号)をも送出しているので、データのスタート、ストップ部分でロック確認が可能となり、ロック基本周波数を上下することにより簡単に送信データレートを上下させることができる。この点で、従来のRS232C等ではパリティビットでデータ転送の正誤を判定して転送レートを決定して方式に比べて信頼性が高く、転送レートをより細かく設定でき有利である。
【0062】また、従来方式の単なるデータ内のエラーチェック(例えば、パリティチェック)では、データエラーが発生して場合であっても、パリティビットとデータの2箇所に偶然エラーが発生しているとデータエラーを検出できない可能性がある。しかしながら、上述本実施形態のようにPLLのロックを併用すれば、複数ビットにエラーが発生するような状況ではPLLのロックも外れるため、エラー検出能力の向上を図ることができる。更に、本実施形態方式は、パリティチェッカーのような特別な回路は必要とせず、簡単な回路構成でシステムを構築することができる。
【0063】また、図5で示されているスタートビットからストップビットまでのデータ列を基本データ列とし、この基本データ列のビット数を例えば16ビット等2nビットとすると、PLL基本周波数から送信クロックを再構成する際のn逓倍回路が簡単でかつ精度向上が図れる。
【0064】以上、本発明のマルチカメラデータ転送方式及びデータ転送方式の好適実施形態例を説明したが、これは単なる例示にすぎず、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であること勿論である。
【0065】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のカメラデータ転送方式及びデータ転送方式によれば、ホストコンピュータによる制御が必要なUSBインタフェースを必要とせず簡単な構成でシリアル通信が可能となり、カメラ等の複数端末で得られたデータを最少の消費電力でシリアル通信可能となるばかりでなく、データの同期確認及びデータ送出の確認を確実にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるデータ転送方式の一実施形態における複数のカメラで撮像して得られた画像データの伝送方式の構成図である。
【図2】図1に示す実施形態における画像伝送のタイミング図である。
【図3】本発明によるデータ転送方式の実施形態における高速シリアルインタフェース変換器1の構成例を示す図である。
【図4】本発明によるデータ転送方式の実施形態における高速シリアルインタフェース変換器1の他の構成例を示す図である。
【図5】本発明によるデータ転送方式の実施形態における送受信データの構成例を示す図である。
【図6】本発明によるデータ転送方式の実施形態のデータ送受信におけるエラー検出方法を説明するためのタイミング図である。
【図7】従来のデータ転送方式の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 高速シリアルインタフェース変換器
2A〜NA シリアルインタフェース(I/F)
2B〜NB カメラ
10、20 バス
11、22 PLL回路
12、25 P/S変換器
13、24、30 LVDSドライバ回路(コード回路)
14、21、31 LVDS受信回路(デコード回路)
15、23 シリアル/パラレル変換回路
16、28 送信増幅器
17,26 受信増幅器
18 差動増幅器

【特許請求の範囲】
【請求項1】それぞれが撮像した画像信号を出力する複数の撮像手段と、前記複数の撮像手段ごとに設けられており、前記撮像手段から同時または逐次的に出力されるパラレル出力のデジタル画像データを、シリアル信号に変換する手段と、前記シリアル信号を所定のタイミングで順次出力する出力手段と、前記出力されたシリアルデータ信号を通信先に送出してシリアル転送するシリアルインタフェースとを備え、前記撮像手段からの画像データの読出中、または伝送中は、それ以外の他の撮像手段はスタンバイモード状態とされていることを特徴とするマルチカメラデータ転送方式。
【請求項2】前記複数の撮像手段は、互いに異なる撮像波長領域または互いに異なる方向を撮像する撮像手段であることを特徴とする請求項1に記載のマルチカメラデータ転送方式。
【請求項3】前記所定のタイミングは、垂直同期信号で定まることを特徴とする請求項1に記載のマルチカメラデータ転送方式。
【請求項4】第1の装置と第2の装置間でデータ転送するデータ転送方式において、前記第1の装置側は、パラレル信号形式の画像信号を出力する撮像手段を備え、前記撮像手段で撮像して得られたパラレル信号である画像信号を、第1のPLL回路から出力されるクロックに基づいて、パラレル/シリアル変換するP/S変換器と、シリアル変換された信号を、LVDS(Low Voltage Differential Signalling)信号伝送方式に従った信号に変換し、変換されたLVDS信号を受信側に伝送ラインを介して高速LVDSデータ転送するLVDSドライバ回路と、前記伝送ラインを介して受信された画像信号を、前記第1のPLL回路からのクロックに基づいてパラレルデータに変換するシリアル/パラレル変換回路とを備え、第2の装置側は、前記伝送ラインを介して転送された画像信号を受信するLVDS受信回路と、第2のPLL回路からのクロックに基づいて、前記受信した画像信号をパラレルデータに変換するシリアル/パラレル変換回路と、伝送されるべき画像データをパラレル/シリアル変換するP/S変換器と、シリアル変換された信号をLVDS信号伝送方式に従った信号に変換され、前記伝送ラインを介して第1の装置に向けて高速LVDSデータ転送するLVDSドライバ回路とを備えて成ることを特徴とするデータ転送方式。
【請求項5】第1の装置と第2の装置間でデータ転送するデータ転送方式において、前記第1の装置側は、パラレル信号形式の画像信号を出力する撮像手段を備え、前記撮像手段で撮像して得られたパラレル信号である画像信号を、第1のPLL回路から出力されるクロックに基づいて、パラレル/シリアル変換するP/S変換器と、シリアル変換された信号を、LVDS(Low Voltage Differential Signalling)信号伝送方式に従った信号に変換し、変換されたLVDS信号を受信側に伝送ラインを介して高速LVDSデータ転送するLVDSドライバ回路とを備え、第2の装置側は、前記伝送ラインを介して転送された画像信号を受信するLVDS受信回路と、第2のPLL回路からのクロックに基づいて、前記受信した画像信号をパラレルデータに変換するシリアル/パラレル変換回路とシリアル変換された信号をLVDSを備えて成ることを特徴とするデータ転送方式。
【請求項6】前記第1の装置における第1のPLL回路から生成されるロック信号を前記第2の装置側に送出し、前記第2の装置側では、受信したロック信号が正しい同期クロックでないと判断したときに前記受信クロック信号を反転してロック応答信号として前記第1の装置側に送出し、前記受信したロック信号が正しい同期クロックであると判断したときには前記受信クロック信号を反転せずに、そのままロック応答信号として前記第1の装置側に送出し、前記第1の装置側では、受信した前記ロック応答信号と前記ロック信号に基づいてロックが正確であるか否かを判断し、ロックが正確でないときには、前回送信したデータを前記第1の装置側に再送することを特徴とする請求項4乃至5に記載のデータ転送方式。
【請求項7】前記第1の装置側では、前記ロック応答信号と前記ロック信号を入力とする差動増幅器により前記ロックが正確であるか否かを示すロック検出信号を出力することを特徴とする請求項6に記載のデータ転送方式。
【請求項8】第1の装置側から、PLLロック信号を、送信データとともに送出し、第2の装置側では、受信したPLLロック信号に基づいて前記第2のPLL回路がロックしていると判断した場合には、前記ロック信号を反転してロック応答信号として第1の装置側に返送し、前記第1の装置側では、送信したロック信号と返送されたロック応答信号とに基づいて、前回送信したデータが正しく送信されていないと判定されたときには、前記前回送信したデータを前記第1の装置側に再送することを特徴とするデータ転送方式。
【請求項9】前記再送は、1フレームの画像を送る場合には、画像の最初から再送することを特徴とする請求項8に記載のデータ転送方式。
【請求項10】前記再送は、エラーが発生した画像の最初の水平同期信号部分から再送することを特徴とする請求項8に記載のデータ転送方式。
【請求項11】前記再送は、エラーが発生したデータ部分から再送することを特徴とする請求項8に記載のデータ転送方式。
【請求項12】前記再送は、エラーが発生したデータのみ再送することを特徴とする請求項8に記載のデータ転送方式。
【請求項13】前記エラーが発生した場合は、前記PLLのロック周波数を下げてデータ転送の信頼性を向上させる方向にロック周波数を変更することを特徴とする請求項8に記載のデータ転送方式。
【請求項14】前記データはその単位データ列が2nビットであることを特徴とする請求項1乃至13に記載のデータ転送方式。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2001−282714(P2001−282714A)
【公開日】平成13年10月12日(2001.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−93436(P2000−93436)
【出願日】平成12年3月30日(2000.3.30)
【出願人】(000000376)オリンパス光学工業株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】