説明

マルチキャストサービスを実行する方法

本発明は、サービスモードがマルチメディア放送/マルチキャストサービス(以下MBMSとする)のために設定され、それぞれのサービスモードがパスに対応し、ユーザ装置(以下UEとする)が現在のネットワークによりサポートされた少なくとも1つのサービスモードを活動状態にし、上記活動状態にされたサービスモードの対応するパスのMBMSデータをネットワーク側から受信することを特徴とするMBMSを実行する方法を開示する。この方法は、複数の形式によりカバーされたUEが、加入したMBMSデータを安全に受信できることを保障する。UEをカバーするカレントネットワークが活動状態にされたサービスモードをサポートすることに失敗したときには、カレントネットワークがサポートし、UEがこのサービスモードのMBMSを受信できるようなサービスモードを活動状態にする。それゆえ、UEはいかなるネットワーク環境においても加入したMBMSデータを受信できることが保障され、従って加入者の要求はより大きな程度まで満たされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に無線通信におけるマルチキャスティング技術に係わり、特にマルチメディア放送/マルチキャストサービス(Multimedia Broadcast/Multicast Service:以下MBMSとする)を実行する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信技術の発達により、第3世代移動通信は、第2世代移動通信より高い伝送速度により、TV電話、画像ダウンロード、高速インターネットブラウジングのようなサービスの複数の形態がサポートされているようなデータサービスを提供することができる。このようなサービスの1つは、無線通信網を介した天気予報、短いニュース、又はスポーツの対戦相手の募集等のような同じサービスに加入する複数のユーザ装置(User Equipment:以下UEとする)に、メッセージを同時に送信することを特徴としている。このような同時送信サービスの特徴では、第3世代移動通信はマルチキャスト/放送の概念を導入している。
【0003】
図1において、マルチキャストサービスサーバ(例えばビデオサーバ)は、中間ノードの複数のレベルを構成する配信ツリーを通して、UEにMBMSデータを送信できる。マルチキャストと放送の共通の特徴は、始点ノードから終点ノードまでデータを送信する間、マルチキャストサービスサーバは、常に単一のパスの送信を実行する。すなわち、それぞれの中間ノードの間は、データを受信することを期待する下流に中間ノードがいくつあるかにかかわらず、データのたった1つのコピーが送信され、データを受信した後、中間ノードはデータを受信することを期待する下流のノードの数に従ってデータを複製し、これらのノードにデータを配信する。従って、配信ツリーのそれぞれの枝には送信されるデータのたった1つのコピーが存在し、通信資源のたった1つの部分だけが占有され、根のノードでも同様である。マルチキャストサービスサーバが終端のUEの数と同じ数のデータを複製しなければならないユニキャスト送信と比較すると、マルチキャスト/放送送信は、同時に大量のUEに同じデータを供給する環境下において、ネットワーク資源を節約することができる。
【0004】
3GPP(the third Generation Partnership Project)の規格において、現在のWCDMAの基準には、R4,R5,R6を含むいくつかのバージョンがある。これらのバージョンは、ネットワークへのアクセスの部分の無線負荷許容キャパシティの違いによるものであり、例えばR5のデータ負荷許容キャパシティは2Mbpsである一方、R4のデータ負荷許容キャパシティは384kbpsである。WCDMAシステムとはいえ、ネットワークの早い段階においては、データ負荷許容キャパシティが70kbpsから80kbpsの間である第2世代移動通信に接続することは避けられない。このため、ネットワーク全体を通して、複数の無線負荷許容キャパシティによりカバーされる複数のエリアが存在することはよくあることである。
【0005】
上記の状況は、3GPP2(the third generation mobile communications organization)においても存在する。図2に示すように、3GPP2の規格は、それぞれのバージョンの無線負荷許容キャパシティが異なる、複数の無線ネットワークのバージョンを有している。
【0006】
更に、無線セルに関しては、建物などの障害物だけではなくUEと基地局の距離が異なることにより、同じセルの異なるエリアの無線信号の受信状況が異なる可能性がある。1つの信号に関しては、もしUEが基地局に近くにあり、かつその間に建物等の障害物が無い場合には、信号の品質は良くなり、そうでない場合には悪くなる。異なる信号(例えば高速データ送信の信号あるいは低速データ送信の信号)に関しては、これらの信号がUEに届いたときに、同じ受信品質を獲得するためのSN比が異なるので、低速データ信号は低いSN比が必要とされる。図3において、図3Aは高速データ送信によるセルカバレッジを示し、図3Bは低速データ送信によるセルカバレッジを示し、高速データ信号が大きなブラインドゾーンのセルの中に、少ないエリアをカバーする一方、低速データ信号は小さなブラインドゾーンのセルの中に、多くのエリアをカバーする。例えば、384kbpsをサポートするUEは、信号品質の悪いロケーションでは音声電話サービスのみを使用し、信号品質の良いロケーションではTV電話サービスを楽しむことができる。
【0007】
先行技術によれば、3GPPはマルチキャストデータの送信のためのMBMS配信ツリーを採用している。図4において、MBMS配信ツリーの送信元はコンテンツプロバイダであり、MBMSは、放送/マルチキャストサービスセンター(BM−SC)、ゲートウェイパケットラジオサービス(GPRS)サポートノード(GGSN)、サービスGPRSサポートノード(SGSN)、及びラジオアクセスネットワーク(RAN)を介してUEに供給される。さらに、MBMS配信ツリーは、ラジオネットワークコントローラ(RNC)とSGSNを通り、これらの負荷許容資源は、同じMBMSサービスにアクセスしている複数のUEにより共有され、このMBMSサービスは、MBMS配信ツリーのそれぞれの枝が同じサービス品質(Quality of Service:以下QoSとする)を有することが必要とされる。既存のプロトコル基準により、MBMSセッションがスタートする間、つまりBM−SC、GGSN、SGSN、RAN、UEの順序で、QoSはデータの送信方向のそれぞれの関連するノードに連続的に設定される。
【0008】
MBMS配信ツリーが設定された後は、その一定の枝のQoSが変形される必要があるために、既存のMBMS配信ツリーが修正されることはないし、ユニバーサルモバイルテレコミュニケーションシステム(UMTS)のネットワークユニットの中でQoSと取り決めることは許されない。
【0009】
このため、無線ネットワークが一定のMBMSを供給することができ、そのQoSがすでに取り決められている場合であっても、ネットワークのカバーされたエリアに位置するUEがこのMBMSに入る要求をするときに、このネットワークのカバーされたエリアがかなり混雑し、かつ取り決められたQoSが獲得できないときは、UEはこのMBMSに参加することを拒絶される。同様に一定のMBMSに加わったUEが低バージョンのネットワークにローミングするとき、QoSが維持されないので、現在カバーしているネットワークを介してUEから設定されたMBMS配信ツリーの枝にされた要求もまた拒絶される。信号品質の悪いネットワーク上の場所に位置したときには、明らかにUEは加入したMBMSを受信することがもはやできない。
【0010】
つまり、無線チャンネルの様々な状況と現在のネットワークの様々なキャパシティとの制約により、UEは加入したMBMSを受信することができず、かつ加入者のネットワークに対する満足感が失われていく可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記を考慮して、本発明は、UEが様々なチャンネルと様々なネットワークのキャパシティによる環境下において、加入したMBMSを受信することが保障されることができるMBMSを実行する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、MBMSのために複数のサービスモードを設定し、それぞれのサービスモードがパスに対応するMBMS実行する方法であって、UEが上記UEをカバーする現在のネットワークによりサポートされた少なくとも1つのサービスモードを活動状態にし、上記活動状態にされたサービスモードの対応するパスのMBMSデータをネットワーク側から受信するものとする。
【0013】
上記サービスモードは、QoSレベルと送信形式とにより設定されるものとする。
【0014】
上記QoSレベルは、データ送信速度、遅延要件、故障許容力、又はこれら3つのいずれかの組合せにより設定されるものとする。
【0015】
上記サービスモードは、ビデオ、音声、画像、テキスト形式、又はこれら4つのいずれかの組合せを構成するものとする。
【0016】
上記サービスモードは、ネットワーク形式と、ネットワーク負荷と、上記UEの位置するエリアとにより、又はこれら3つのうちの1つ、またはこれら3つのいずれかの組み合わせにより決定される現在のネットワークによりサポートされるものとする。
【0017】
上記方法は、さらに、上記UEにより要求されたモードとして少なくとも1つのサービスモードを予め選択し、上記UEをカバーする現在のネットワークによりサポートされるサービスモードは、上記UEにより要求されたサービスモードの1つであるものとする。
【0018】
上記方法は、さらに、上記ネットワークの負荷許容キャパシティにより複数のサービスモードに優先順位を設定し、初期状態で、上記UEは上記要求されたサービスモードのうち優先順位の最も高いサービスモードを活動状態にし、さらに、上記UEがMBMSデータを受信する前に、
A1.上記UEの活動状態にされたサービスモードが、上記UEにより要求されたサービスモードの全てのうち優先順位の最も高いサービスモードであるかどうかを判定し、もし条件を満足すればステップB1を実行し、そうでなければ現在のサービスモードとして優先順位の最も高いサービスモードを設定し、ステップB1を実行し、
B1.上記UEをカバーする現在のネットワークが現在のサービスモードをサポートしているかどうかを判定し、もし条件を満足すればステップD1を実行し、そうでなければステップC1を実行し、
C1.上記UEの現在のサービスモードより優先順位の低い要求されたサービスモードのなかにサービスモードがあるかないかを判定し、もし条件を満足すれば優先順位に従い現在のサービスモードとして1つのサービスモードを選択し、ステップB1に戻り、そうでなければこの処理手順を終了し、
D1.現在のサービスモードが活動状態にされたかどうかを判定し、もし条件を満足すればステップE1を実行し、そうでなければステップA1で活動状態にされたサービスモードを非活動状態にし、ステップA1を実行する前に現在のサービスモードを活動状態にし、
E1.上記UEは、活動状態にされたサービスモードの対応するパスのMBMSデータをネットワーク側から受信するものとする。
【0019】
上記方法は、さらに、上記ネットワークの負荷許容キャパシティにより複数のサービスモードに優先順位を設定し、初期状態で、上記UEは上記要求されたサービスモードのうち優先順位の最も高いサービスモードを活動状態にし、さらに、上記UEがMBMSデータを受信する前に、
A2.上記UEをカバーする現在のネットワークが上記UEの活動状態にされたサービスモードをサポートできるかどうかを判定し、もし条件を満足すれば現在のサービスモードとして活動状態にされたサービスモードを設定し、ステップD2を実行し、そうでなければステップB2を実行し、
B2.現在のサービスモードより優先順位の低い要求されたサービスモードの中にサービスモードがあるかどうかを判定し、もし条件を満足すれば優先順位に従ってサービスモードの1つを選択し、ステップC2を実行し、そうでなければこの処理手順を終了し、
C2.上記UEをカバーする現在のネットワークが選択されたサービスモードをサポートしているかどうかを判定し、もし条件を満足すれば選択されたサービスモードを活動状態にし、ステップD2を実行し、そうでなければ現在のサービスモードとして選択されたサービスモードを設定し、ステップB2を実行し、
D2.上記UEは、活動状態にされたサービスモードの対応するパスのMBMSデータをネットワーク側から受信するものとする。
【0020】
上記方法は、さらに、上記ネットワークの負荷許容キャパシティにより複数のサービスモードに優先順位を設定し、上記MBMSデータを受信する間に、上記UEは、UE自身がサービスモードに対応するMBMSデータを継続して受信できるかどうかを判定し、もし条件を満足すればこの処理手順を終了し、そうでなければ要求されたサービスモードから活動状態にされたサービスモードより優先順位の低いサービスモードを選択し、活動状態にされたサービスモードを非活動状態にし、選択されたサービスモードを活動状態にし、上記UEは、活動状態にされたサービスモードの対応するパスのMBMSデータをネットワーク側から受信するものとする。
【0021】
上記パスは、サービスモードのマルチキャストIPアドレスを構成するものとする。
【0022】
上記予め選択されたサービスモードは、1つのあるいはそれ以上のサービス負荷許容モードを構成し、上記UEをカバーする現在のネットワークによりサポートされた少なくとも1つの活動状態にされたサービスモードは、上記UEにより選択された全てのサービス負荷許容モードを構成するものとする。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、UEが所望のMBMSおよびサービスモードに加入できるそれぞれのMBMSのために複数のサービスモードを構成する。UEをカバーする現在のネットワークが活動状態にされたサービスモードをサポートしていないとき、UEがこのサービスモードのMBMSを受信できるような現在のネットワークによってサポートされたもう1つのサービスモードを活動状態にする。それゆえ、UEはどんなネットワーク環境においても加入したMBMSを受信できることが保障され、このため加入者の要求はより大きな程度まで満たされることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
無線ネットワークのキャパシティの制約などの理由により、無線通信システムのデータサービスの送信のためにマルチキャスト放送モードが採用されたときに、UEが加入したMBMSを受信できないという問題を解決するために、本発明は異なるサービスモードにより1つのMBMSを識別する。詳細には、1つのMBMSの情報コンテンツが異なるサービスモードで述べられるように、複数のサービスモードにそれぞれのMBMSを配置し、それぞれのサービスモードは1つのパスに対応する。本発明によれば、現在のネットワークがサポートする少なくとも1つのサービスモードが、複数のサービスモードから選択され、かつ活動状態にされたサービスモードの対応するパスのMBMSデータをネットワーク側からUEが受信することができるようなサービスモードが活動状態にされる。上記ネットワーク側は、MBMSプロバイダや放送/マルチキャストサービスセンタ(BM−SC)を具備している。上記パスはマルチキャストIPアドレスやそれぞれのサービスモードの他のコンタクト手段を具備している。UEをカバーする現在のネットワークによってサポートされた上記サービスモードは、UEの位置するエリアだけでなく、ネットワーク形式と負荷によっても決定される可能性がある。
【0025】
実際の適用では、UEはそのサービスモードだけでなく希望のMBMSについて加入することができます。次いで、MBMSは以下の方法により加入することができる。MBMSの対応しているサービスモードの全てを組み合わせ、それぞれの組み合わせがMBMS形式を形成し、MBMS形式の組み合わせをUEに送信し、UEは加入者の必要に基づいて上記の組み合わせからMBMS形式を選択し、SMS、WAP、URLのような様々なアプローチにより選択されたMBMS形式をネットワーク側へ送信し、ネットワーク側はこのUEにより選択されたMBMS形式を保存し、要求されたモードから少なくとも1つのサービスモードを選択し、選択されたサービスモードを活動状態にする。ネットワーク側から加入者によって直接要求されたMBMSのサービスモードを構成することができ、1つまたは複数の活動状態にされたサービスモードを選択できることは明らかである。
【0026】
もし、UEによって予め選択されたサービスモードが、複数のサービス負荷許容モードを含む場合には、UEはサービスモードがUEをカバーする現在のネットワークによりサポートされている限り、加入者に要求された全てのサービスモードを同時に活動状態にする。
【0027】
本発明による技術的なスキームは、添付図面と具体的実施態様を参照し、以下に、詳細に述べられる。
【0028】
図5に関して、本実施の形態においては、複数のサービスモードは、ネットワークの負荷許容キャパシティに従い優先順位が設定される。初期状態において、UEは要求されたサービスモードの全ての中から最も優先順位の高いサービスモードを活動状態にする。UEがMBMSデータを受信する前に、処理手順は以下のステップを具備している。
ステップ501:UEにより活動状態にされたサービスモードが、UEが要求した全てのサービスモードのうち最も優先順位の高いモードであるかどうかが判定される。もし条件が満足されれば、ステップ502が実行され、そうでなければ最も優先順位の高いサービスモードが現在のサービスモードとして設定され、次いでステップ502が実行される。
ステップ502:UEをカバーする現在のネットワークが現在のサービスモードをサポートするかどうかが判定される。もし条件が満足されれば、ステップ504が実行され、そうでなければステップ503が実行される。
ステップ503:UEが要求した全てのサービスモードのうちUEの現在のサービスモードより優先順位の低いサービスモードがあるかどうかが判定される。もし条件が満足されれば、優先順位に従って現在のサービスモードのようなサービスモードの1つが選択され、ステップ502を実行し、そうでなければ、現在のMBMSが不成功に終わり、この処理手順が終了される。
ステップ504:現在のサービスモードが活動状態にされたかどうかが判定され、もし条件が満足されれば、ステップ505が実行され、そうでなければ、ステップ501で活動状態にされたサービスモードが非活動状態にされ、現在のサービスモードが活動状態にされ、次いでステップ501が実行される。
ステップ505:UEは活動状態にされたサービスモードの対応するパスのMBMSデータをネットワーク側から受信する。
【0029】
この実施形態では、MBMSデータがUEに送信される毎に、MBMSデータはできるだけ高い優先順位のサービスモードで加入者に供給される。
【0030】
本発明による技術的なスキームは、第2の実施形態を参照し、更に以下で述べられる。
【0031】
本実施の形態において、複数のサービスモードはネットワークの負荷許容キャパシティに従って優先順位が設定される。初期状態において、UEは全ての要求されたサービスモードの中から最も優先順位の高いサービスモードを活動状態にする。
【0032】
図6に関して、UEがMBMSデータを受信する前、あるいはUEがMBMSデータを受信する間、この実施形態で特定された処理手順は以下を含む。
ステップ601:UEをカバーする現在のネットワークが上記のUEの活動状態にされたサービスモードを提供しているかどうかが判定され、もし条件が満足されれば、活動状態にされたサービスモードが現在のサービスモードとして設定され、ステップ604が実行され、そうでなければステップ602が実行される。
ステップ602:UEが要求した全てのサービスモードの中に、このUEの現在のサービスモードより優先順位が低いサービスモードがあるかどうかが判定され、もし条件が満足されれば、優先順位に従って現在のサービスモードとして1つのサービスモードが選択され、ステップ603が実行され、そうでなければ現在のMBMSが不成功に終わり、この処理手順が終了される。
ステップ603:UEをカバーする現在のネットワークが選択されたサービスモードをサポートするかどうかが判定され、もし条件が満足されればステップ604が実行され、そうでなければ選択されたサービスモードは現在のサービスモードとして設定され、ステップ602が実行される。
ステップ604:UEは活動状態にされたサービスモードの対応するパスのMBMSデータをネットワーク側から受信する。
【0033】
もし、現在のロケーションがダウンリンクの速度要件を満たすことができないセルにおける無線信号の強度のような情報を検出することにより、UEが受信可能なデータを決定することができる場合、UEは現在のネットワークがサポートするサービスモードを再び活動状態にすることができる。MBMSデータを受信する間、もし活動状態にされたサービスモードの対応するMBMSデータを連続的に受信できないか、あるいは受信されたMBMSデータの質に満足できないとUEが決定した場合には、UEは要求されたサービスモードから現在の活動状態にされたサービスモードより低い優先順位のサービスモードを選択でき、活動状態にされたサービスモードを非活動状態にし、選択されたサービスモードを活動状態にし、次いで活動状態にされたサービスモードの対応するパスのMBMSデータをネットワーク側から受信する。
【0034】
更に、加入者の需要等の目的で、UEは同じ期間に複数のサービスモードを活動状態にしてもよく、すなわち同時に複数のサービスモードに対応し、加入者が異なるサービスモードの1つのMBMSのデータを受信できるような、MBMSに加わってもよい。
【0035】
本実施の形態のサービスモードは、データ送信速度、遅延要件、故障許容力により決定されるQoSレベルと、送信形式により設定されうることは注意されるべきである。例えば、異なる送信速度により、MBMSは、ビデオ、音声、画像、テキスト等の形式に分割される。同じ形式のサービスは、複数のQoSレベルで供給される。例えば、ビデオサービスは、450kbps,300kbps,150kbps,64kbps等のサービス流れで供給され、異なる必要ビットレートを要求することにより特徴付けられる。このようなサービス流れも異なるサービスモードと呼ばれる。それゆえ、同じMBMSに関する限り、全ての異なるサービスモードは同じMBMSのために使用されるが、異なるサービスモードにより1つのサービスを完成する送信情報のための必要ビット量は異なり、要求される実時間及び故障許容力も異なり、また情報送信のために利用されたネットワーク能力及び帯域幅も同様に異なる。
【0036】
優先順位がQoSレベルと送信形式により設定されたとき、より多くの資源を占有し、より高いQoSレベルを必要とするサービスモードは、より高い優先順位が設定される。これは同じサービスモードに関しては、より広い帯域幅を要求するサービスが高い優先順位であることを意味する。それゆえ、ネットワークはサービス流れを供給する余裕があり、かつUEがそれに加入したとすれば、より広い帯域幅とより良い品質のサービス流れが最初に供給される。例えば、450kbps,300kbps,150kbps,64kbpsのビデオサービス流れの中で、450kbpsのサービス流れは優先順位が最も高い。ビデオ、音声、画像、及びテキストサービス流れの優先順位は、降順に並ぶ。同じ送信形式のサービス、例えばビデオサービスに関しては、より高い必要帯域幅のビデオサービスの優先順位は、より低い必要帯域幅のビデオサービスより高い。より高い必要帯域幅の音声サービスの優先順位は、より低い必要帯域幅のビデオサービスの優先順位より高い。
【0037】
続いて、本発明の適用される実施形態を添付図面を参照して説明する。
【0038】
図7に示すように、都市の無線通信ネットワークは3つの形式のネットワークにより構成される。都市の中心エリアはWCDMAR4ネットワークでカバーされ、都市のその他のエリアはGPRSネットワークでカバーされ、都市郊外はGSMネットワークでカバーされる。コンテンツプロバイダは、ネットワークの異なる形式に従い、WCDMAR4ネットワークを介して映像、画像、テキスト形式のサービスを供給し、GPRSネットワークを介して画像、テキスト形式のサービスを供給し、GSMネットワークを介して短いメッセージに基づいてテキスト形式のサービスを供給する。
【0039】
本実施の形態において、本発明によるMBMSを実行する方法は、PLMN外のコンテンツプロバイダが都市の天気予報のMBMSを供給する例によって説明される。上記天気予報は、毎日AM8:00からPM8:00までビデオ、画像、テキストの形式により送信され、ビデオ形式のために使用される帯域幅としては、128kbpsと64kbps、すなわち高品質ビデオと標準品質ビデオの2つの帯域幅がある。それゆえ天気予報サービスは4つのマルチキャストIPアドレスを有する。
【0040】
上記ネットワーク構造を基礎として、本発明の特定の処理手順は以下の3つの部分により構成される。
【0041】
部分1:都市の中心エリアでは、無線ネットワークは、ネットワークによってカバーされたエリアの加入者に天気予報サービスが提供されることを放送により宣言し、サービスモードに関連するマルチキャストIPアドレスと、UEのその優先順位をURLにより送信し、その関連するサービスモードは、高品質ビデオ、標準品質ビデオ、画像、及びテキストのうちの任意の1つの形式、あるいは4つの任意の組み合わせにより構成される。
【0042】
部分2:上記UEは、ネットワーク側からサービスを要求するように送信されたサービスモードの1つを選択する。上記UEが高品質ビデオ、標準品質ビデオ、画像、及びテキストの組み合わせを選択する場合、この組み合わせの中で高品質ビデオモードが最も高い優先順位を有するので、UEが既定の活動状態にされたサービスモードとして高品質ビデオを採用することを意味し、またネットワーク側は、他のネットワーク環境下にあるUEに対して上記組み合わせの優先順位に従ってサービスを提供する一方、UEに高品質ビデオの天気予報サービスを提供しようとすることを意味する。
【0043】
ネットワーク側によって送信されたこのMBMSに関するマルチキャストメッセージを受け取ったUEが3つあると仮定する。
【0044】
UE1とUE2はこのようなサービスを受信することを希望し、対応する設定を選択することによりサービスのそれらの受理を表現する。UE1とUE2は、ネットワーク側からサービスに加入し、関連する設定を保存し、無線ネットワークを介してネットワーク側のサーバに設定を通知し、サーバはその設定を保存する。UE1とUE2は、高品質ビデオモードのマルチキャストIPアドレスのMBMSを活動状態にする処理手順を始め、中核ネットワーク側の設定を行ない、マルチキャスティングに参加するためにネットワークにアクセスする。上記ネットワークは参加を承認し、UEに成功指示を返信する。
【0045】
UE3は、画像モードでサービスを受信することを希望し、サービスをコンピュータを通してオンラインで得ることにより加入する。次いで関連情報はインターネット上でこの情報を供給するサーバへ送信され、サーバはUEの設定を保存する。次いで、サーバは無線ネットワークを介してUEに設定を通知し、UEはこの設定を保存する。UE3は画像モードのマルチキャストIPアドレスに従ってMBMSを活動状態にする処理手順を開始し、中核ネットワーク側の設定を実行し、マルチキャスティングに参加するためにネットワークにアクセスする。
【0046】
部分3:UE1は、PM7:50にGPRSネットワークによりカバーされた家に到着する。このエリアでMMSのサービスのみが供給される一方で、UE1が現在高品質ビデオモードのサービスに参加していることを上記ネットワークは検出する。それゆえ、上記ネットワークは、UEをこのMMSモードの天気予報に適用させるために、UEに信号を送信する。上記UEは信号を受信した後、MMSモードの天気予報のマルチキャストIPアドレスに従ってこのモードのサービスに自動的に適用する。次いでネットワークはUEがこのモードのサービスに参加することを承認し、UEに成功指示を返信する。
【0047】
UE2は、WCDMAR4ネットワークによりカバーされた都市の中心エリアの地下に来ている。セルのパイロットチャンネルの信号を検出することにより、パイロットチャンネルの信号とダウンリンクの受信速度との関係に従い、UEは現在高品質ビデオサービスの代わりに、標準ビデオサービスのみが受信可能であることを決定する。上記UEはネットワークにより供給される標準品質ビデオモードのサービスに適用し、ネットワークはUEが標準品質ビデオモードのサービスに参加することを承認し、UEに成功指示を返信する。
【0048】
UE3は、GSMネットワークによりカバーされた都市郊外で休暇中である。現在のネットワークがGSMであることを検出すると、UE3は自動的にサービスリストに従ってネットワークにより供給されるテキストモードの天気予報に適用し、マルチキャストIPアドレスを保存する。次いでネットワークはUEがテキストモードのサービスに参加することを承認し、UEに成功指示を返信する。
【0049】
コンテンツプロバイダは、PM8:00に天気予報のMBMSをUEへ供給することを開始する。そこでUE1はMMSモードで天気予報を受信し、UE2は標準品質ビデオモードで天気予報を受信し、UE3は短いメッセージで天気予報を受信する。
【0050】
上記の記載は本発明の好ましい実施形態であり、その保護範囲を限定するために使用されるべきではない。この発明の精神および原理から逸脱することなく行なわれたいかなる変更、等価な代用、および改良は、添付されたクレームによって定義されるような本発明の保護範囲によってカバーされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】従来技術によるMBMSの送信を説明する概略図である。
【図2】マルチ−モードネットワークによる解決法を説明する概略図である。
【図3】同じ基地局による異なるデータ送信速度による信号受信範囲を説明する概略図である。
【図4】マルチメディア放送マルチキャストをサポートするシステム構造を説明する概略図である。
【図5】第1の実施形態による本発明の方法のフローチャート図である。
【図6】第2の実施形態による本発明の方法のフローチャート図である。
【図7】本発明の1実施形態による方法のネットワークアーキテクチャーを説明する概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチメディア放送/マルチキャストサービス(Multimedia Broadcast/ Multicast Service:以下“MBMS”とする)のために複数のサービスモードを設定し、それぞれのサービスモードがパスに対応するMBMSを実行する方法であって、
ユーザ装置(User Equipment:以下UEとする)が上記UEをカバーする現在のネットワークによりサポートされた少なくとも1つのサービスモードを活動状態にし、かつ上記活動状態にされたサービスモードの対応するパスのMBMSデータをネットワーク側から受信することを特徴とするMBMSを実行する方法。
【請求項2】
上記サービスモードは、サービスの品質(Quality of Service:以下QoSとする)のレベルと送信形式とにより設定されることを特徴とする上記請求項1に記載のMBMSを実行する方法。
【請求項3】
上記QoSレベルは、データ送信速度、遅延要件、故障許容力、又はこれら3つのいずれかの組合せにより設定されることを特徴とする上記請求項2に記載のMBMSを実行する方法。
【請求項4】
上記サービスモードは、ビデオ、音声、画像、テキスト形式、又はこれら4つのいずれかの組合せを構成することを特徴とする上記請求項2に記載のMBMSを実行する方法。
【請求項5】
上記サービスモードは、ネットワーク形式と、ネットワーク負荷と、上記UEの位置するエリアとにより、又はこれら3つのうちの1つ、またはこれら3つのいずれかの組み合わせにより決定される現在のネットワークによりサポートされることを特徴とする上記請求項1に記載のMBMSを実行する方法。
【請求項6】
さらに、上記UEにより要求されたモードとして少なくとも1つのサービスモードを予め選択し、
上記UEをカバーする現在のネットワークによりサポートされるサービスモードは、上記UEにより要求されたサービスモードの1つであることを特徴とする上記請求項1に記載のMBMSを実行する方法。
【請求項7】
さらに、上記ネットワークの負荷許容キャパシティにより複数のサービスモードに優先順位を設定し、初期状態で、上記UEは上記要求されたサービスモードのうち優先順位の最も高いサービスモードを活動状態にし、
さらに、上記UEがMBMSデータを受信する前に、
A1.上記UEの活動状態にされたサービスモードが、上記UEにより要求されたサービスモードの全てのうち優先順位の最も高いサービスモードであるかどうかを判定し、もし条件を満足すればステップB1を実行し、そうでなければ現在のサービスモードとして優先順位の最も高いサービスモードを設定し、ステップB1を実行し、
B1.上記UEをカバーする現在のネットワークが現在のサービスモードをサポートしているかどうかを判定し、もし条件を満足すればステップD1を実行し、そうでなければステップC1を実行し、
C1.上記UEの現在のサービスモードより優先順位の低い要求されたサービスモードのなかにサービスモードがあるかないかを判定し、もし条件を満足すれば優先順位に従い現在のサービスモードとして1つのサービスモードを選択し、ステップB1に戻り、そうでなければこの処理手順を終了し、
D1.現在のサービスモードが活動状態にされたかどうかを判定し、もし条件を満足すればステップE1を実行し、そうでなければステップA1で活動状態にされたサービスモードを非活動状態にし、ステップA1を実行する前に現在のサービスモードを活動状態にし、
E1.上記UEは、活動状態にされたサービスモードの対応するパスのMBMSデータをネットワーク側から受信することを特徴とする上記請求項6に記載のMBMSを実行する方法。
【請求項8】
さらに、上記ネットワークの負荷許容キャパシティにより複数のサービスモードに優先順位を設定し、初期状態で、上記UEは上記要求されたサービスモードのうち優先順位の最も高いサービスモードを活動状態にし、
さらに、上記UEがMBMSデータを受信する前に、
A2.上記UEをカバーする現在のネットワークが上記UEの活動状態にされたサービスモードをサポートできるかどうかを判定し、もし条件を満足すれば現在のサービスモードとして活動状態にされたサービスモードを設定し、ステップD2を実行し、そうでなければステップB2を実行し、
B2.現在のサービスモードより優先順位の低い要求されたサービスモードの中にサービスモードがあるかどうかを判定し、もし条件を満足すれば優先順位に従ってサービスモードの1つを選択し、ステップC2を実行し、そうでなければこの処理手順を終了し、
C2.上記UEをカバーする現在のネットワークが選択されたサービスモードをサポートしているかどうかを判定し、もし条件を満足すれば選択されたサービスモードを活動状態にし、ステップD2を実行し、そうでなければ現在のサービスモードとして選択されたサービスモードを設定し、ステップB2を実行し、
D2.上記UEは、活動状態にされたサービスモードの対応するパスのMBMSデータをネットワーク側から受信することを特徴とする上記請求項6に記載のMBMSを実行する方法。
【請求項9】
さらに、上記ネットワークの負荷許容キャパシティにより複数のサービスモードに優先順位を設定し、
上記MBMSデータを受信する間に、
上記UEは、UE自身がサービスモードに対応するMBMSデータを継続して受信できるかどうかを判定し、もし条件を満足すればこの処理手順を終了し、そうでなければ要求されたサービスモードから活動状態にされたサービスモードより優先順位の低いサービスモードを選択し、活動状態にされたサービスモードを非活動状態にし、選択されたサービスモードを活動状態にし、
上記UEは、活動状態にされたサービスモードの対応するパスのMBMSデータをネットワーク側から受信することを特徴とする上記請求項6に記載のMBMSを実行する方法。
【請求項10】
上記パスは、サービスモードのマルチキャストIPアドレスを構成することを特徴とする上記請求項1に記載のMBMSを実行する方法。
【請求項11】
上記予め選択されたサービスモードは、1つのあるいはそれ以上のサービス負荷許容モードを構成し、上記UEをカバーする現在のネットワークによりサポートされた少なくとも1つの活動状態にされたサービスモードは、上記UEにより選択された全てのサービス負荷許容モードを構成することを特徴とする上記請求項1に記載のMBMSを実行する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−511937(P2007−511937A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−537040(P2006−537040)
【出願日】平成16年11月15日(2004.11.15)
【国際出願番号】PCT/CN2004/001300
【国際公開番号】WO2005/053331
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(504277388)▲ホア▼▲ウェイ▼技術有限公司 (220)
【Fターム(参考)】