説明

マルチステージシステム、マルチステージシステムのための制御方法、およびリソグラフィ装置

【課題】2つのステージが互いに近づくことができるマルチステージシステムを提供することが望ましい。
【解決手段】マルチステージシステムを制御する方法であって、マルチステージシステムは、第1方向と平行に延びるステータと、ステータに対して移動可能な第1および第2ステージと、を備える。それらのステージは、磁場を生成するマグネットシステムを備える。ステータは複数のコイルを備え、複数のコイルは磁場と相互作用し、ステージをステータに対して位置決めする。本方法は、それらのステージの位置を決定することと、第1ステージ、第2ステージそれぞれの磁場と無視できない相互作用を有する可能性のあるコイルの第1および第2サブセットを選択することと、両方のサブセットの電気コイルを駆動することと、を含む。コイルを駆動することは、両方のサブセットの一部となっているコイルを決定することと、両方のサブセットの一部であるコイルを駆動対象から除くことと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチステージシステム、そのようなマルチステージシステムを制御する方法、およびそのようなマルチステージシステムを含むリソグラフィ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板、通常は基板のターゲット部分、に転写する機械である。リソグラフィ装置は例えば集積回路(IC)の製造に用いられる。この場合、マスクまたはレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを使用して、ICの個々の層に形成されるべき回路パターンを作成することができる。このパターンを、基板(例えばシリコンウエハ)上のターゲット部分(例えば1つまたは複数のダイの一部を含む)に転写することができる。パターンの転写は典型的には、基板に設けられた放射感応性材料(レジスト)の層へのイメージングを介して行われる。一般に一枚の基板にはネットワーク状に隣接する一群のターゲット部分が含まれ、これらは連続的にパターン形成される。公知のリソグラフィ装置にはいわゆるステッパとスキャナとがある。ステッパにおいては、ターゲット部分にパターン全体が一度に露光されるようにして各ターゲット部分は照射を受ける。スキャナにおいては、所与の方向(「走査」方向)に放射ビームによりパターンを走査するとともに基板をこの方向に平行または逆平行に同期して走査するようにして各ターゲット部分は照射を受ける。パターンを基板にインプリントすることによっても、パターニングデバイスから基板へパターンを転写することが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
基板テーブルなどの対象を位置決めするために、一般的にはいわゆるステージシステムが使用されている。現在開発中のあるタイプのステージシステムは単一ステージシステムであり、第1方向Xおよび第2方向Yと実質的に平行に延びるステータと、ステータに対して第1方向および第2方向に移動可能な第1ステージと、備え、第2方向Yは第1方向Xに直交する。そのような単一ステージシステムの模式的な例が図2に示される。ステータは参照符号1で示され、第1ステージは参照符号3で示される。
【0004】
第1ステージ3はマグネットシステムを備える。簡単化のため、図2の例では、第1ステージの底面全体がマグネットシステムによって占められていると仮定することができる。マグネットシステムは磁場を生成する。その磁場はマグネットシステムからその下のステータへ延び、また第1ステージの近傍に延びる。
【0005】
ステータは電気コイル5のアレイを備える。電気コイル5のうちのいくつかのみが参照符号5で示される。電気コイルは、第1ステージのマグネットシステムによって生成される磁場と相互作用し、第1ステージをステータに対して第1方向および第2方向において位置決めするような力を第1ステージに生成するよう構成される。
【0006】
ここで、ステータは通常フレームに取り付けられまたはフレームによって支えられており、したがって静止系として作用することを注意しておく。第1ステージはステータに対して移動可能である。したがって、ステージシステムは、より一般的に使用されている移動コイル型ではなく、移動マグネット型である。
【0007】
ステージをステータに対して位置決めするために基本的な制御が使用される場合、ステータ上の全てのコイルが駆動される。しかしながら、この構成では、大抵のコイルはマグネットシステムを備える第1ステージの近傍に来ず、したがって、生成された磁場と最小の相互作用を有する。さらに、この構成によると、同じコイルを使用してステータに対して独立して位置決め可能な第2ステージは許されない。
【0008】
これを避けるため、コイルのサブセットのみが駆動される。磁場と無視できない相互作用を有するコイルのみが駆動される。ここで、無視できないということは、第1ステージの要求位置決め精度によって決定される。図2において、コイルのサブセットの例が太い線のコイル5によって示されている。この例に示されるように、第1ステージすなわちマグネットシステムの直下および第1ステージの直近のコイルのみが駆動されている。第1ステージの直下のコイルはシェーディングにより示されている。
【0009】
図3にはマルチステージシステムが示されている。このマルチステージシステムでは、2つのステージすなわち第1ステージ3および第2ステージ7は複数の電気コイル5によってステータ1に対して移動可能とされている。第1ステージ3を位置決めするために、太い線のコイルによって示されている電気コイルの第1サブセットが選択され、駆動される。同時に、破線のコイルによって示されているコイルの第2サブセットを選択し駆動することによって、第2ステージを位置決めすることができる。
【0010】
この構成の利点は、2つのステージを同時にかつ独立に、同じステータに対して位置決めできることである。しかしながら、それらの2つのステージは互いに近づくことができない。これにより、ある種の動作を行うことが不可能となる。
【0011】
2つのステージが互いに近づくことができるマルチステージシステムを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のある実施の形態によると、マルチステージシステムが提供される。このマルチステージシステムは、第1方向と実質的に平行に延びるステータと、ステータに対して第1に移動可能な第1ステージと、ステータに対して第1に移動可能な第2ステージと、を備える。第1ステージおよび第2ステージのそれぞれは、磁場を生成するマグネットシステムを備える。ステータは複数の電気コイルを備える。複数の電気コイルは第1ステージおよび第2ステージのマグネットシステムによって生成される磁場と相互作用し、第1ステージおよび第2ステージをステータに対して位置決めするよう第1ステージおよび第2ステージに与えられる力を生成するよう構成される。本マルチステージシステムはさらに、第1ステージのステータに対する位置および第2ステージのステータに対する位置を決定するためのセンサシステムと、第1ステージおよび第2ステージをステータに対して第1方向において位置決めするよう構成された制御ユニットと、を備える。制御ユニットは、第1ステージのステータに対する第1方向における位置をセンサシステムの出力に基づいて決定し、決定された位置にある第1ステージのマグネットシステムの磁場と無視できない相互作用を有する可能性のある電気コイルの第1サブセットを選択し、第2ステージのステータに対する第1方向における位置をセンサシステムの出力に基づいて決定し、決定された位置にある第2ステージのマグネットシステムの磁場と無視できない相互作用を有する可能性のある電気コイルの第2サブセットを選択し、第1サブセットおよび第2サブセットの電気コイルを駆動し、第1ステージおよび第2ステージをステータに対して位置決めする、よう構成される。制御ユニットは、第1サブセットおよび第2サブセットの電気コイルを駆動する前に、第1サブセットおよび第2サブセットの両方の一部となっている電気コイルを決定し、第1サブセットおよび第2サブセットの両方の一部である少なくともひとつの電気コイルを駆動対象から除く、よう構成される。
【0013】
本発明の別の実施の形態では、本発明の実施の形態に係るマルチステージシステムを備えるリソグラフィ装置が提供される。
【0014】
本発明のさらに別の実施の形態では、マルチステージシステムを備えるリソグラフィ装置が提供される。マルチステージシステムは、第1方向および第2方向と実質的に平行に延びるキャリアと、キャリアに対して第1方向および第2方向に移動可能な第1ステージと、キャリアに対して第1方向および第2方向に移動可能な第2ステージと、を備える。第2方向は第1方向と直交する。第1ステージおよび第2ステージのそれぞれは、磁場を生成するマグネットシステムを備える。キャリアは複数の電気コイルを備える。複数の電気コイルは第1ステージおよび第2ステージのマグネットシステムによって生成される磁場と相互作用し、第1ステージおよび第2ステージをキャリアに対して位置決めするよう第1ステージおよび第2ステージに与えられる力を生成するよう構成される。本マルチステージシステムはさらに、第1ステージのキャリアに対する位置および第2ステージのキャリアに対する位置を決定するためのセンサシステムと、第1ステージおよび第2ステージをキャリアに対して第1方向および第2方向において位置決めするよう構成された制御ユニットと、を備える。制御ユニットは、第1ステージのキャリアに対する第1方向および第2方向における位置をセンサシステムの出力に基づいて決定し、決定された位置にある第1ステージのマグネットシステムの磁場と無視できない相互作用を有する可能性のある電気コイルの第1サブセットを選択し、第2ステージのキャリアに対する第1方向および第2方向における位置をセンサシステムの出力に基づいて決定し、決定された位置にある第2ステージのマグネットシステムの磁場と無視できない相互作用を有する可能性のある電気コイルの第2サブセットを選択し、第1サブセットおよび第2サブセットの電気コイルを駆動し、第1ステージおよび第2ステージをキャリアに対して位置決めする、よう構成される。制御ユニットは、第1サブセットおよび第2サブセットの電気コイルを駆動する前に、第1サブセットおよび第2サブセットの両方の一部となっている電気コイルを決定し、第1サブセットおよび第2サブセットの両方の一部である少なくともひとつの電気コイルを駆動対象から除く、よう構成される。リソグラフィ装置はさらに、放射ビームを調整するよう構成された照明システムと、放射ビームの断面にパターンを付与してパターン付与された放射ビームを形成可能なパターニングデバイスを支持するサポートと、それぞれが基板を保持するよう構成された第1および第2基板テーブルと、基板のターゲット部分にパターン付与された放射ビームを投影するよう構成された投影システムと、を備える。第1基板テーブルは第1ステージ上に設けられ、第2基板テーブルは第2ステージ上に設けられ、第1基板テーブルおよび第2基板テーブルは第1ステージおよび第2ステージの適切な位置決めにより位置決め可能である。
【0015】
本発明のさらなる実施の形態では、マルチステージシステムを制御するための方法が提供される。マルチステージシステムは、第1方向と実質的に平行に延びるステータと、ステータに対して第1方向に移動可能な第1ステージと、ステータに対して第1方向に移動可能な第2ステージと、を備える。第1ステージおよび第2ステージのそれぞれは、磁場を生成するマグネットシステムを備える。ステータは複数の電気コイルを備える。複数の電気コイルは第1ステージおよび第2ステージのマグネットシステムによって生成される磁場と相互作用し、第1ステージおよび第2ステージをステータに対して第1方向において位置決めするよう第1ステージおよび第2ステージに与えられる力を生成するよう構成される。本方法は、第1ステージのステータに対する第1方向における位置を決定することと、決定された位置にある第1ステージのマグネットシステムの磁場と無視できない相互作用を有する可能性のある電気コイルの第1サブセットを選択することと、第2ステージのステータに対する第1方向における位置を決定することと、決定された位置にある第2ステージのマグネットシステムの磁場と無視できない相互作用を有する可能性のある電気コイルの第2サブセットを選択することと、第1サブセットおよび第2サブセットの電気コイルを駆動し、第1ステージおよび第2ステージをステータに対して位置決めすることと、を含む。第1サブセットおよび第2サブセットの電気コイルを駆動することは、第1サブセットおよび第2サブセットの両方の一部となっている電気コイルを決定することと、第1サブセットおよび第2サブセットの両方の一部である少なくともひとつの電気コイルを駆動対象から除くことと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の実施の形態は、例示のみを目的として添付の模式的な図面を参照して説明される。図面では、対応する参照符号は、対応する部分を示す。
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係るリソグラフィ装置を示す図である。
【0018】
【図2】通常のシングルステージシステムを示す図である。
【0019】
【図3】本発明の実施の形態に係るマルチステージシステムを示す図である。
【0020】
【図4】図3のマルチステージシステムを示し、そこでは2つのステージが互いに近づいている図である。
【0021】
【図5】図3のマルチステージシステムを示し、いくつかのコイルは駆動対象から除外され、2つのステージが互いに近づくことが可能となっている図である。
【0022】
【図6】図3のマルチステージシステムを示し、そこでは2つのステージは互いに接触する図である。
【0023】
【図7】図3のマルチステージシステムを示し、そこでは接触後、2つのステージはより大きな単一のステージとして制御される図である。
【0024】
【図8】本発明の別の実施の形態に係るマルチステージシステムの2つのステージのマグネットシステムをより詳細に示す図である。
【0025】
【図9】本発明の実施の形態にしたがってマルチステージシステムを制御するアセンブリを示す図である。
【0026】
【図10】本発明の実施の形態にしたがうマルチステージシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、本発明の実施の形態に係るリソグラフィ装置を模式的に示す図である。この装置は、放射ビームB(例えばUV放射や他の適切な放射)を調節するよう構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持し、所定のパラメータにしたがってパターニングデバイスを正確に位置決めする第1位置決めデバイスPMに接続されているパターニングデバイスサポートまたはマスクサポート構造(例えばマスクテーブル)MTと、を含む。この装置は、基板(例えば、レジストでコーティングされたウエハ)Wを保持し、所定のパラメータにしたがって基板を正確に位置決めする第2位置決めデバイスPWに接続されている基板テーブル(例えばウエハテーブル)WTまたは「基板サポート」を含む。この装置はさらに、パターニングデバイスMAにより放射ビームBに付与されたパターンを基板Wの(例えば1つまたは複数のダイを含む)ターゲット部分Cに投影する投影システム(例えば屈折投影レンズシステム)PSを含む。
【0028】
照明システムは、屈折光学素子、反射光学素子、磁気的光学素子、電磁気的光学素子、静電的光学素子、あるいは他の種類の光学素子などの各種の光学素子、またはこれらの組合せを含み得るものであり、放射を方向付けるかまたは成形するかまたは制御するためのものである。
【0029】
パターニングデバイスサポートは、パターニングデバイスの向き、リソグラフィ装置のデザイン、及びパターニングデバイスが真空環境で保持されるか否か等のその他の条件に応じた方式でパターニングデバイスを保持する。パターニングデバイスサポートは、機械的固定、真空固定、静電固定、またはパターニングデバイスを保持するその他の固定技術を用いてもよい。パターニングデバイスサポートは、例えばフレームまたはテーブルであってもよく、これらは固定されていてもよいし必要に応じて移動可能であってもよい。パターニングデバイスサポートは、パターニングデバイスが例えば投影システムに対して所望の位置にあることを保証してもよい。本明細書において「レチクル」または「マスク」という用語を用いた場合には、より一般的な用語である「パターニングデバイス」と同義であるとみなされてもよい。
【0030】
本明細書で使用される「パターニングデバイス」なる用語は、例えば基板のターゲット部分にパターンを生成するために放射ビームの断面にパターンを付与するのに使用される何らかのデバイスであると広義に解釈されるべきである。放射ビームに与えられるパターンは、例えばパターンが位相シフトフィーチャやいわゆるアシストフィーチャを含む場合は、基板のターゲット部分における所望のパターンと厳密に対応していなくてもよいことを注意しておく。一般には、放射ビームに付与されるパターンは、ターゲット部分に形成される集積回路などのデバイスの特定の機能層に対応する。
【0031】
パターニングデバイスは透過型であっても反射型であってもよい。パターニングデバイスには例えばマスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルが含まれる。マスクはリソグラフィの分野では周知であり、バイナリマスクやレベンソン型位相シフトマスク、ハーフトーン型位相シフトマスク、更に各種のハイブリッド型マスクが含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例としては、小型のミラーがマトリックス状に配列され、各ミラーが入射してくる放射ビームを異なる方向に反射するように個別に傾斜されるというものがある。傾斜されたミラーは、ミラーマトリックスにより反射された放射ビームにパターンを付与する。
【0032】
本明細書で使用される「投影システム」なる用語は、屈折光学システム、反射光学システム、反射屈折光学システム、磁気光学システム、電磁気光学システムおよび静電光学システムまたはそれらの任意の組み合わせを含む任意のタイプの投影システムを指し示すものとして広義に解釈されるべきである。投影システムは、使用される露光放射に応じて、あるいは真空の使用や液浸液の使用などのその他の要因に応じて適切とされる投影システムであってもよい。本明細書において「投影レンズ」という用語を使用する場合はいつでも、より一般的な用語である「投影システム」と同義であると見なされうる。
【0033】
図示されるように、装置は(例えば透過型マスクを使用する)透過型である。あるいはまた、装置は(例えば上述のタイプのプログラマブルミラーアレイを使用するまたは反射マスクを使用する)反射型であってもよい。
【0034】
リソグラフィ装置は2つ(デュアルステージ)またはそれ以上の基板テーブルまたは「基板サポート」(および/または2つ以上のマスクテーブルまたは「マスクサポート」)を有するタイプのものであってもよい。このような「多重ステージ」型の装置においては、追加的なテーブルまたはサポートが並行して使用されてもよく、あるいは1以上のテーブルまたはサポートが露光に使用されている間に1以上の他のテーブルまたはサポートで準備工程が実行されてもよい。
【0035】
リソグラフィ装置は、基板の少なくとも一部が比較的屈折率の高い液体、たとえば水で覆われ、それにより投影システムと基板との間の空間が充填されるタイプの装置であってもよい。液浸液は例えばパターニングデバイス(例えば、マスク)と投影システムとの間などの、リソグラフィ装置の他の空間に与えられてもよい。液浸技術は、投影システムの開口数を大きくするために使用されうる。本明細書で使用される「液浸」という用語は、基板などの構成が液体の中に浸されなければならないことを意味するのではなく、露光中に投影システムと基板との間に液体が位置することを意味するのみである。
【0036】
図1を参照すると、イルミネータILは放射源SOから放射ビームを受け取る。例えば光源がエキシマレーザである場合には、光源とリソグラフィ装置とは別体であってもよい。この場合、光源はリソグラフィ装置の一部を構成しているとはみなされなく、放射ビームは光源SOからビーム搬送系を介してイルミネータILへと到達する。このビーム搬送系は例えば適当な誘導ミラーおよび/またはビームエキスパンダを含む。他の場合、例えば光源が水銀ランプである場合には、光源はリソグラフィ装置と一体に構成されていてもよい。光源SOとイルミネータILとは、またビーム搬送系BDが必要とされる場合にはこれも合わせて、放射システムと称されることがある。
【0037】
イルミネータILは放射ビームの角強度分布を調整するアジャスタADを含んでもよい。一般には、イルミネータの瞳面における照度分布の少なくとも外側半径範囲および/または内側半径範囲(通常それぞれσアウタ、σインナと呼ばれる)が調整されうる。加えて、イルミネータILは、インテグレータINおよびコンデンサCOなどの種々の他の要素を含んでもよい。イルミネータはビーム断面における所望の均一性及び照度分布を得るべく放射ビームを調整するために用いられてもよい。
【0038】
放射ビームBは、パターニングデバイスサポート(例えばマスクテーブル)MTに保持されているパターニングデバイス(例えばマスク)MAに入射して、当該パターニングデバイスによりパターンが付与される。パターニングデバイス(例えばマスク)MAを通過した後、放射ビームBは投影システムPSを通過する。投影システムPSはビームを基板Wのターゲット部分Cに合焦させる。第2位置決めデバイスPWと位置センサIF(例えば、干渉計、リニアエンコーダ、静電容量センサなど)とにより、基板テーブルWTは正確に移動される。例えば放射ビームBの経路に異なる複数のターゲット部分Cをそれぞれ位置決めするように移動される。同様に、第1位置決め装置PMおよび別の位置センサ(図1では明確には示されていない)を使用して、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイス(例えば、マスク)MAを正確に位置決めできる。この位置決めは例えばマスクライブラリからのマスクの機械検索後や走査中に行われる。一般に、パターニングデバイスサポート(例えば、マスクテーブル)MTの移動は、ロングストロークモジュール(粗い位置決め用)及びショートストロークモジュール(精細な位置決め用)により実現されうる。これらのモジュールは第1位置決めデバイスPMの一部を形成する。同様に、基板テーブルWTまたは「基板サポート」の移動は、ロングストロークモジュールおよびショートストロークモジュールを使用して実現されうる。これらのモジュールは第2ポジショナPWの一部を形成する。ステッパの場合(スキャナとは異なり)、パターニングデバイスサポート(例えば、マスクテーブル)MTはショートストロークアクチュエータにのみ接続されてもよく、あるいは固定されていてもよい。パターニングデバイス(例えばマスク)MAおよび基板Wは、パターニングデバイスアラインメントマークM1、M2および基板アラインメントマークP1、P2を使用して揃えられてもよい。図においては基板アライメントマークが専用のターゲット部分を占拠しているが、基板アライメントマークはターゲット部分間のスペースに配置されてもよい(これはスクライブライン・アライメントマークとして公知である)。同様に、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAに複数のダイがある場合にはパターニングデバイスアライメントマークをダイ間に配置してもよい。
【0039】
図示の装置は以下のモードのうち少なくとも1つで使用することができる。
1.ステップモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンの全体が1回の照射で1つのターゲット部分Cに投影される間、パターニングデバイスサポート(例えば、マスクテーブル)MTまたは「マスクサポート」および基板テーブルWTまたは「基板サポート」は実質的に静止状態とされる(すなわち1回の静的な露光)。そして基板テーブルWTまたは「基板サポート」がX方向及び/またはY方向に移動されて、異なるターゲット部分Cが露光される。ステップモードでは露光フィールドの最大サイズが単一静的露光で転写されるターゲット部分Cのサイズを制限することになる。
2.スキャンモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンがターゲット部分Cに投影される間、パターニングデバイスサポート(例えば、マスクテーブル)MTまたは「マスクサポート」および基板テーブルWTまたは「基板サポート」は同期して走査される(すなわち1回の動的な露光)。パターニングデバイスサポート(例えば、マスクテーブル)MTまたは「マスクサポート」に対する基板テーブルWTまたは「基板サポート」の速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)特性及び像反転特性により定められてもよい。スキャンモードでは露光フィールドの最大サイズが単一動的露光でのターゲット部分の(非走査方向の)幅を制限し、走査移動距離がターゲット部分の(走査方向の)高さを決定する。
3.別のモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンがターゲット部分Cに投影される間、パターニングデバイスサポート(例えば、マスクテーブル)MTまたは「マスクサポート」はプログラマブルパターニングデバイスを保持して実質的に静止状態とされ、基板テーブルWTまたは「基板サポート」は移動または走査される。このモードでは一般にパルス放射源が用いられ、プログラマブルパターニングデバイスは走査中に基板テーブルWTまたは「基板サポート」が移動するたびに、または連続する放射パルスと放射パルスの間に必要に応じて更新される。この動作モードは、上述のタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に適用可能である。
【0040】
上記の使用モードを組み合わせて動作させてもよいし、使用モードに変更を加えて動作させてもよく、さらに全く別の使用モードを用いてもよい。
【0041】
図1はただひとつの位置決めデバイスPWを示すが、リソグラフィ装置は2および潜在的にはそれ以上のそのような位置決めデバイスPWを備え、対応する各基板テーブルWTをフレームFRに対して位置決めする。位置決めデバイスPWは代替的にはステージと称されてもよい。代替的にまたは追加的に、パターニングデバイスサポート(例えばマスクテーブル)MTのための位置決めデバイスPMなどの他の位置決めデバイスは、実際はより多くのそのようなよステージが存在する場合でも、単一のステージとして示されてもよい。
【0042】
リソグラフィ装置のフレームFRはステータ1を備え、そのステータ1の模式的な例は図3に示される。ステータ1は第1方向Xおよび第2方向Yに延びる(図1参照)。ステータは複数の電気コイル5を備え、複数の電気コイルのうちのいくつかのみが対応する参照符号で示される。したがって、電気コイル5はフレームFRに対して静止的に取り付けられている。
【0043】
図3において、第1ステージ3は、図1の位置決めデバイスPWのうちのひとつを表すよう示されている。第1ステージは模式的かつ透明に示されており、その下にある電気コイルはシェーディングで示される。第1ステージ3はステータ1に対して第1方向Xおよび第2方向Yの両方に移動可能であり、第1磁場を生成するための第1マグネットシステムを含む。簡単化のため図3ではマグネットシステムは図示されていないが、図3において第1ステージ3の輪郭はマグネットシステムの輪郭でもあり、したがって、第1磁場は第1ステージの外側にも延びると考えることができる。
【0044】
電気コイル5と第1磁場との相互作用により、第1ステージ3に力が加えられ得る。各電気コイルのその力への寄与は、第1磁場との距離および第1磁場に対する向きに依存する。
【0045】
図3は第2ステージ7を示し、第2ステージ7は、図1の位置決めデバイスPWのうちの別のひとつを表す。第1ステージ3と同様に、第2ステージはステータ1に対して第1方向Xおよび第2方向Yの両方に移動可能であり、第2磁場を生成するための第2マグネットシステムを含む。
【0046】
電気コイル5と第2磁場との相互作用により、第2ステージ7に力が加えられ得る。各電気コイルのその力への寄与は、第2磁場との距離および第2磁場に対する向きに依存する。本実施の形態では、第1ステージと第2ステージとは同等であり、したがって交換されうる。
【0047】
図3のマルチステージシステムを制御するために、基本的であり模式的に示されている図9の制御スキームが使用される。その制御スキームは、第1ステージ3、第2ステージ7およびステータ1を電気コイル5と共に側方から見た図として示す。第1方向および第2方向における位置はセンサシステムによって測定される。このセンサシステムは本実施の形態では、2つの干渉計IFにより形成される。しかしながら、センサシステムは例えばエンコーダやエンコーダおよび干渉計の組み合わせを含んでもよい。2つの干渉計の出力は制御ユニットまたはコントローラCUに提供される。第1ステージおよび第2ステージの位置は複数のセンサを含むセンサシステムによって測定されてもよく、そこでは複数のセンサの出力が合成されて第1ステージおよび第2ステージのステータに対する位置が生成されてもよいことを注意しておく。例えば、ステータがフレームに対して移動可能であり、第1ステージおよび第2ステージの位置がフレームに対して測定される場合に、これは当てはまる。第1ステージおよび第2ステージのステータに対する位置を決定するためには、ステータのフレームに対する位置を決定し、そのように決定された位置を第1ステージおよび第2ステージのフレームに対する位置と合成する必要がある。
【0048】
制御ユニットまたはコントローラは、第1ステージ3のステータ1に対する第1方向および第2方向における位置をセンサシステムの出力に基づいて決定し、決定された位置にある第1ステージ3の第1マグネットシステムの第1磁場と無視できない相互作用を有する可能性のある電気コイル5の第1サブセットを選択し、第2ステージ7のステータ1に対する第1方向および第2方向における位置をセンサシステムの出力に基づいて決定し、決定された位置にある第2ステージ7の第2マグネットシステムの第2磁場と無視できない相互作用を有する可能性のある電気コイル5の第2サブセットを選択し、駆動信号DSを使用して第1サブセットおよび第2サブセットの電気コイルを駆動し、第1ステージ3および第2ステージ7をステータ1に対して位置決めする、よう構成される。
制御ユニットまたはコントローラCUはさらに、第1サブセットおよび第2サブセットの電気コイルを駆動する前に、第1サブセットおよび第2サブセットの両方の一部となっている電気コイルを決定し、第1サブセットおよび第2サブセットの両方の一部である少なくともひとつの電気コイルを駆動対象から除く、よう構成される。
【0049】
図3の例では、第1サブセットと第2サブセットとの間には重なりはなく、制御ユニットまたはコントローラCUは全ての電気コイルを駆動することができる。選択され駆動される第1サブセットのコイルは太い線によって示されており、選択され駆動される第2サブセットのコイルは破線によって示されている。
【0050】
ある実施の形態では、コイルとそれに対応する磁場との無視できない相互作用は、要求位置精度および/または要求される力の大きさによって決定される。両方の要請について、電気コイルが磁場から離れるほど、これらの要請を満たすための寄与は小さくなっていくという関係が成り立つ。
【0051】
図3の例では、第1ステージおよび第2ステージの所与の位置に対して全ての電気コイルを駆動することができる。したがって、第1ステージおよび第2ステージを互いに独立に、要求される位置精度および/または要求される力の大きさで、ステータに対して位置決めすることができる。しかしながら、例えば2つのステージが互いに近づく必要がある場合や2つのステージが限られたスペースの中で行き違う必要がある場合など、2つのステージが互いに近づく場合、第1サブセットのコイルは第2磁場と相互作用し、第2サブセットのコイルは第1磁場と相互作用する可能性がある。このような妨害のため、また、コイルを駆動することによりひとつのステージを位置決めすることのみが可能であって2つのステージを同時に位置決めすることは可能でないので、通常の制御スキームを変えない場合、第1ステージおよび第2ステージは互いに近づくことができない。実施の形態に係るマルチステージシステムの制御ユニットまたはコントローラは、第1サブセットおよび第2サブセットの両方の一部である少なくともひとつのコイルを除外することによって、この課題を解決できる。これにより、このコイルからの他のステージへの妨害を除去し、第1ステージおよび第2ステージを従来のマルチステージシステムよりも緊密に近づけることができる。図4−6を参照して追加的な説明がなされるであろう。
【0052】
図4は図3のマルチステージシステムを示す。このマルチステージシステムでは、第1ステージ3および第2ステージ7は、第1サブセットおよび第2サブセットの全てのコイルを使用しつつ、可能な限り互いに近づいている。次のステップでは、第1ステージ3はステータ1に対して静止したままで、第2ステージ7は第1ステージ3に向けて移動する。ある瞬間において、第2ステージを位置決めするために要求される電気コイルの第2サブセットは、第1サブセットの電気コイルのうち最右列の電気コイルを含むはずである。しかしながら、これは第1ステージの位置にも影響を与えるので、図5に示されるようにこれらの電気コイルは駆動対象から外される。
【0053】
図6では、2つのステージを接触させるために、さらに多くの電気コイルを駆動対象から外した。
【0054】
ある実施の形態では、コントローラは、2つのステージの間の距離が所定の距離内に入り、第1サブセットと第2サブセットとに重なりが生じた場合、対応するマグネットシステムの完全な直下にある電気コイルのみが駆動されるよう、構成されてもよい。これの一例は図10を参照して示されている。そこでは、図3の2つのステージが(矢印で示される方向に)行き違い、行き違いの最中に制御ユニットによって決定される第1サブセットと第2サブセットとに重なりが生じる。その結果、対応するステージの完全な直下にあるコイルのみが制御ユニットによって駆動される。
【0055】
マルチステージシステムを制御する間、制御ユニットはさらに、全ての自由度における完全な制御能力を利用可能とすることを担保するための最小数の電気コイル、例えば9個の電気コイル、が常に駆動されることを担保するよう構成されてもよい。
【0056】
図7は図6の状況を示しており、そこでは、2つのステージは接触している。本実施の形態では、制御ユニットは、第1サブセットおよび第2サブセットの全ての電気コイルを駆動することによって、2つのステージを単一のステージとして位置決めするよう構成される。図7では、第1サブセットおよび第2サブセットは塗りつぶされたコイルによって示されている。第1ステージおよび第2ステージの下のコイルもまた駆動され、それらは再度シェーディングで示されている。この結果、第1ステージおよび第2ステージは一緒に移動する。必要な場合、制御ユニットはさらに、コイルに小電流を加えることにより2つのステージが互いに押し合うような追加的な力を生成し、もって2つのステージが接触状態を維持することを担保するよう構成されてもよい。例えば、リソグラフィ装置は、投影システムと第1または第2ステージによって支持される基板テーブルとの間に液浸液が存在するタイプのものである。第1ステージおよび第2ステージの両方は投影システムの下方を移動し、一方の基板テーブルから他方の基板テーブルへ液浸液を移送する。これは、対応する基板テーブルを搭載する2つのステージの間の緊密な接触を要求する。上記小電流の追加は例えばこのような状況において有利でありうる。
【0057】
図7の状況を可能とするために、マグネットシステムをこの状況に適応させる必要がありうる。図8では、第1ステージ3および第2ステージ7を下から見た図を示しており、対応する第1および第2マグネットシステムを見ることができる。
【0058】
図8に示されるように、両方のマグネットシステムは第1マグネット9と第2マグネット11とを有し、第1マグネット9はステータと実質的に直交する磁化の向きを有し、その磁化の向きはステータを向いており、第2マグネット11はステータと実質的に直交する磁化の向きを有し、その磁化の向きはステータから離れる向きである。第1マグネットおよび第2マグネットは、互いに実質的に直交する行と列とからなるパターンにしたがって配置され、第1マグネットおよび第2マグネットは各行各列に交互に配置されている。2つのステージは、第1ステージと第2ステージとが接触するよう配置可能となっており、第1ステージのマグネットシステムのパターンが第2ステージのマグネットシステムに続く。
【0059】
図8のマグネットシステムは奇数個の行および奇数個の列を有する。さらに、第1ステージ3のマグネットシステムは対角線上に第1マグネットを有し、第2ステージ7のマグネットシステムは対角線上に第2マグネットを有する。このため、一方のマグネットシステムのパターンを、他方のマグネットシステムのパターンと比べて変えることなく、ステージを第1および第2方向に直交する回転軸の周りで回転させることができる。2つのステージは各サイドから接触することが可能である。
【0060】
ここで、マルチステージシステムは、制御ユニットによって制御可能な自由度数によって限定されず、しかしながら制御される自由度数は通常3から6の範囲にあることを、特に注意しておく。ステージ当たりの自由度数が6の場合、完全な6自由度制御を利用可能とするために、最小で9個のコイルが必要である。
【0061】
コイルと磁場との相互作用を使用して、第1および第2方向の両方と直交する第3方向の力を生成し、ステージを持ち上げたり第3方向に位置決めしたりすることが可能であることは、ここでは言及されていないが当業者には明らかであろう。第1ステージおよび第2ステージがステータに対して第1方向にのみ移動可能であるシステムに対しても、同じ原理を適用可能であることもまた明らかであろう。
【0062】
本明細書ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用を例として説明しているが、リソグラフィ装置は他の用途にも適用することが可能であるものと理解されたい。他の用途としては、集積光学システム、磁区メモリ用ガイダンスおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどがある。これらの代替的な適用に際して、本明細書において「ウエハ」あるいは「ダイ」という用語が使用される場合はいつでも、それぞれ「基板」あるいは「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義であるとみなされうると、当業者であれば理解するであろう。本明細書で言及される基板は露光前または露光後において例えばトラック(典型的にはレジスト層を基板に塗布し、露光後のレジストを現像するツール)、メトロロジツール、及び/またはインスペクションツールにおいて処理されてもよい。適用可能であれば、本明細書の開示はこれらのまたは他の基板処理装置にも適用され得る。また、基板は例えば多層ICを製造するために複数回処理されてもよく、その場合には本明細書における基板という用語は処理されている多数の層を既に含む基板をも意味してもよい。
【0063】
上では特に光リソグラフィの文脈における本発明の実施の形態の使用を説明しているが、本発明は例えばインプリントリソグラフィなど文脈が許す限り他にも適用可能であり、光リソグラフィに限られるものではないことは理解される。インプリントリソグラフィでは、パターニングデバイスのトポグラフィが基板上に生成されるパターンを決める。パターニングデバイスのトポグラフィを、基板に提供されているレジスト層に押しつけ、その後すぐに電磁放射や熱や圧力やそれらの組み合わせを加えることによりレジストを硬化させる。レジストが硬化した後、レジストにパターンを残したまま、パターニングデバイスがレジストから取り外される。
【0064】
本明細書において使用される「放射」および「ビーム」という用語は、紫外(UV)放射(例えば約365nm、248nm、193nm、157nm、または126nmの波長を有する)および極端紫外(EUV)放射(例えば5nm−20nmの範囲の波長を有する)を含むあらゆる種類の電磁放射、およびイオンビームや電子ビームなどの粒子線を包含する。
【0065】
「レンズ」という用語は文脈が許す限り、屈折光学素子、反射光学素子、磁気光学素子、電磁気光学素子および静電光学素子を含む種々のタイプの光学素子の任意のひとつまたは組み合わせを指し示してもよい。
【0066】
本発明の具体的な実施の形態が上述のように説明されたが、本発明は上述の形式以外の形式でも実施可能であると理解されたい。例えば、本発明はコンピュータプログラムの形式を取ってもよい。このコンピュータプログラムは機械に読み取り可能なインストラクションの1つもしくは複数のシーケンスを含む。インストラクションは、上述の方法を記述する。あるいはまた、本発明は、そのようなコンピュータプログラムを記憶保持するデータ記録媒体(例えば半導体メモリ、磁気もしくは光学ディスク)の形式を取ってもよい。
【0067】
上述の記載は例示を目的としており、それに限定されるものではない。したがって下記の特許請求の範囲から逸脱することなく、記載された発明に変更を加えることができるということは、関連技術の当業者には明らかなことであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向と実質的に平行に延びるステータと、
前記ステータに対して第1方向に移動可能な第1ステージと、
前記ステータに対して第1方向に移動可能な第2ステージと、を備え、
前記第1ステージおよび前記第2ステージのそれぞれは、磁場を生成するマグネットシステムを備え、
前記ステータは複数の電気コイルを備え、前記複数の電気コイルは前記第1ステージおよび前記第2ステージのマグネットシステムによって生成される磁場と相互作用し、前記第1ステージおよび前記第2ステージを前記ステータに対して位置決めするよう前記第1ステージおよび前記第2ステージに与えられる力を生成するよう構成され、
本マルチステージシステムはさらに、
前記第1ステージの前記ステータに対する位置および前記第2ステージの前記ステータに対する位置を決定するよう構成されたセンサと、
前記第1ステージおよび前記第2ステージを前記ステータに対して第1方向において位置決めするよう構成されたコントローラと、を備え、
前記コントローラは、
前記第1ステージの前記ステータに対する第1方向における位置を前記センサの出力に基づいて決定し、
決定された位置にある前記第1ステージのマグネットシステムの磁場と無視できない相互作用を有する可能性のある電気コイルの第1サブセットを選択し、
前記第2ステージの前記ステータに対する第1方向における位置を前記センサの出力に基づいて決定し、
決定された位置にある前記第2ステージのマグネットシステムの磁場と無視できない相互作用を有する可能性のある電気コイルの第2サブセットを選択し、
第1サブセットおよび第2サブセットの電気コイルを駆動し、前記第1ステージおよび前記第2ステージを前記ステータに対して位置決めする、よう構成され、
前記コントローラは、第1サブセットおよび第2サブセットの電気コイルを駆動する前に、
第1サブセットおよび第2サブセットの両方の一部となっている電気コイルを決定し、
第1サブセットおよび第2サブセットの両方の一部である少なくともひとつの電気コイルを駆動対象から除く、よう構成される、マルチステージシステム。
【請求項2】
前記ステータは第2方向と実質的に平行に延び、第2方向は第1方向と実質的に直交し、
前記第1ステージおよび前記第2ステージは、前記ステータに対して第1方向および第2方向に移動可能であり、
前記コントローラはさらに、
前記第1ステージの前記ステータに対する第2方向における位置を前記センサの出力に基づいて決定し、
前記第2ステージの前記ステータに対する第2方向における位置を前記センサの出力に基づいて決定する、よう構成される、請求項1に記載のマルチステージシステム。
【請求項3】
第1サブセットは前記第1ステージに対して得られるべき要求位置決め精度に基づいて選択され、第2サブセットは前記第2ステージに対して得られるべき要求位置決め精度に基づいて選択される、請求項1に記載のマルチステージシステム。
【請求項4】
少なくとも、対応するマグネットシステムの完全な直下にある電気コイルが駆動される、請求項1に記載のマルチステージシステム。
【請求項5】
第1サブセットの少なくとも9個のコイルおよび第2サブセットの少なくとも9個のコイルが駆動される、請求項1に記載のマルチステージシステム。
【請求項6】
前記コントローラは、電気コイルを駆動対象から除くことにより、前記第1ステージおよび前記第2ステージが互いに近づくことを可能とするよう構成される、請求項1に記載のマルチステージシステム。
【請求項7】
前記コントローラは、前記第1ステージと前記第2ステージとが近づいて接触した場合、第1サブセットおよび第2サブセットの全ての電気コイルを駆動することにより、前記第1ステージおよび前記第2ステージを単一のステージとして制御するよう構成される、請求項6に記載のマルチステージシステム。
【請求項8】
各マグネットシステムは第1マグネットと第2マグネットとを含み、第1マグネットはキャリアと実質的に直交する磁化の向きを有し、その磁化の向きは前記キャリアを向いており、第2マグネットは前記キャリアと実質的に直交する磁化の向きを有し、その磁化の向きは前記キャリアから離れる向きであり、
第1マグネットおよび第2マグネットは、互いに実質的に直交する行と列とからなるパターンにしたがって配置され、第1マグネットおよび第2マグネットは各行各列に交互に配置されており、
2つのステージは、前記第1ステージと前記第2ステージとが接触するとき前記第1ステージのマグネットシステムのパターンが前記第2ステージのマグネットシステムに続くように配置可能となっている、請求項7に記載のマルチステージシステム。
【請求項9】
各マグネットシステムは奇数個の行および奇数個の列を有し、前記第1ステージのマグネットシステムは対角線上に配置された第1マグネットを有し、前記第2ステージのマグネットシステムは対角線上に配置された第2マグネットを有する、請求項8に記載のマルチステージシステム。
【請求項10】
前記コントローラは、2つのステージを一緒に互いに接触した状態で、そのような状態が望ましい限り維持する力を生成するように、第1サブセットおよび第2サブセットの電気コイルを駆動するよう構成される、請求項7に記載のマルチステージシステム。
【請求項11】
請求項1に記載のマルチステージシステムを備えるリソグラフィ装置。
【請求項12】
請求項2に記載のマルチステージシステムを備えるリソグラフィ装置であって、
放射ビームを調整するよう構成された照明システムと、
放射ビームの断面にパターンを付与してパターン付与された放射ビームを形成可能なパターニングデバイスを支持するサポートと、
それぞれが基板を保持するよう構成された第1および第2基板テーブルと、
基板のターゲット部分にパターン付与された放射ビームを投影するよう構成された投影システムと、をさらに備え、
前記第1基板テーブルは前記第1ステージ上に設けられ、前記第2基板テーブルは前記第2ステージ上に設けられ、前記第1基板テーブルおよび前記第2基板テーブルは前記第1ステージおよび前記第2ステージの適切な位置決めにより位置決め可能である、リソグラフィ装置。
【請求項13】
マルチステージシステムを制御する方法であって、前記マルチステージシステムは、
第1方向と実質的に平行に延びるステータと、
前記ステータに対して第1方向に移動可能な第1ステージと、
前記ステータに対して第1方向に移動可能な第2ステージと、を備え、
前記第1ステージおよび前記第2ステージのそれぞれは、磁場を生成するマグネットシステムを備え、
前記ステータは複数の電気コイルを備え、前記複数の電気コイルは前記第1ステージおよび前記第2ステージのマグネットシステムによって生成される磁場と相互作用し、前記第1ステージおよび前記第2ステージを前記ステータに対して第1方向において位置決めするよう前記第1ステージおよび前記第2ステージに与えられる力を生成するよう構成され、
本方法は、
前記第1ステージの前記ステータに対する第1方向における位置を決定することと、
決定された位置にある前記第1ステージのマグネットシステムの磁場と無視できない相互作用を有する可能性のある電気コイルの第1サブセットを選択することと、
前記第2ステージの前記ステータに対する第1方向における位置を決定することと、
決定された位置にある前記第2ステージのマグネットシステムの磁場と無視できない相互作用を有する可能性のある電気コイルの第2サブセットを選択することと、
第1サブセットおよび第2サブセットの電気コイルを駆動し、前記第1ステージおよび前記第2ステージを前記ステータに対して位置決めすることと、を含み、
前記第1サブセットおよび第2サブセットの電気コイルを駆動することは、
第1サブセットおよび第2サブセットの両方の一部となっている電気コイルを決定することと、
第1サブセットおよび第2サブセットの両方の一部である少なくともひとつの電気コイルを駆動対象から除くことと、を含む、方法。
【請求項14】
前記マルチステージシステムの前記ステータは第2方向と実質的に平行に延び、第2方向は第1方向と実質的に直交し、
前記第1ステージおよび前記第2ステージは、前記ステータに対して第1方向および第2方向に移動可能であり、
本方法はさらに、
前記第1ステージの前記ステータに対する第2方向における位置を決定することと、
前記第2ステージの前記ステータに対する第2方向における位置を決定することと、を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1ステージと前記第2ステージとが接触するまでそれらの2つのステージが互いに近づくことを可能とするよう電気コイルが駆動され、
そのような接触が行われた後、第1サブセットおよび第2サブセットの全ての電気コイルを駆動することによって、前記第1ステージおよび前記第2ステージはひとつの単一ステージとして制御される、請求項13に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−248838(P2012−248838A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−118423(P2012−118423)
【出願日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【出願人】(504151804)エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. (1,856)
【Fターム(参考)】