説明

マルチスペクトル撮影用レンズアダプタ装置、マルチスペクトル撮影装置、および画像処理装置

【課題】比較的単純な構成でありながら従来のRGB撮像系を用いてマルチスペクトル画像データを得ることを可能とする技術を提供する。
【解決手段】被写体Objと撮影レンズ200との間にマルチスペクトル撮影用のレンズアダプタ100が配置される。レンズアダプタ100は、被写体Objからの被写体光を、複数の経路Path1、Path2を経て撮影レンズ200の入射面へ導くことにより撮影レンズ200の結像面上に複数の被写体像Im1、Im2を形成可能とする導光光学系108、110、114、116と、複数の経路Path1、Path2を経て進む被写体光のうち、いずれかの経路を経て撮影レンズ200の入射面に導かれる被写体光の相対分光分布が他の経路を経て撮影レンズ200の入射面に導かれる被写体光の相対分光分布と異なるように変化させる分光特性変更光学系112とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、4以上のバンド数で色分解してマルチスペクトル画像を生成するために用いて好適なマルチスペクトル撮影用レンズアダプタ装置、マルチスペクトル撮影装置、および画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の3原色にとらわれない多原色の映像表現を用い、より忠実で自然な色再現を可能とするための一方法として、3バンドよりも多いバンド数の帯域フィルタを用いて撮像する技術が開発されている。本明細書中では、3よりも多いバンド数を「マルチバンド」、3よりも多い原色数からなる画像を「多原色の画像」、そして3よりも多いスペクトルからなる画像を「マルチスペクトルの画像」などと称する。
【0003】
マルチスペクトルの画像を得るための技術として、特許文献1に開示されるものがある。この技術では、結像光学系(撮影レンズ)と撮像素子との間に分岐光学系が設けられる。分岐光学系は、結像光学系の一次結像面に形成された被写体像を分割して二つの異なる経路上に導く。これら二つの経路のうち、一の経路上には第1の分光透過特性を有するフィルタが配置され、他の経路上には第2の分光透過特性を有するフィルタが配置される。
【0004】
これら第1、第2の分光等価特性を有するフィルタを透過した被写体光は結像レンズによって撮像素子の受光面上に再結像される。撮像素子は、その受光面上にBGRのカラーフィルタアレイが形成される単板式のものである。第1の分光透過特性を有するフィルタと上記BGRのカラーフィルタアレイとの組み合わせによって3バンドの画像データを得ることができる。また、第2の分光透過特性を有するフィルタと上記BGRのカラーフィルタアレイとの組み合わせによって別の3バンドの画像データを得ることができる。このようにして、合計6バンドの画像データを得ることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−260480
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記技術においては、分岐光学系が必要となる。この分岐光学系は、撮影レンズの一次結像面上の被写体像を撮像素子上に再結像するための再結像光学系を含む。撮影レンズによって形成される被写体像の画質を維持するためには、再結像光学系は複雑な構成を必要とする。また、撮影レンズの一次結像面の後方に分岐光学系が配置されるため、撮影装置が大型化するのを免れない。本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、比較的単純な構成でありながら従来のRGB撮像系を用いてマルチスペクトル画像データを得ることを可能とする技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、被写体と撮影レンズとの間に配置される、マルチスペクトル撮影用レンズアダプタ装置に適用される。そしてこのマルチスペクトル撮影用レンズアダプタ装置が、
前記被写体からの被写体光を、複数の経路を経て前記撮影レンズの入射面へ導くことにより前記撮影レンズの結像面上に複数の被写体像を形成可能とする導光光学系と、
前記複数の経路を経て進む前記被写体光のうち、いずれかの経路を経て前記撮影レンズの入射面に導かれる被写体光の相対分光分布が他の経路を経て前記撮影レンズの入射面に導かれる被写体光の相対分光分布と異なるように変化させる分光特性変更光学系と
を有することにより上述した課題を解決する。
【0008】
本発明の第2の態様は、4以上のバンド数のマルチスペクトル画像データを生成可能なマルチスペクトル撮影装置に適用される。そしてこのマルチスペクトル撮像装置が、
1または複数の撮像素子と、
被写体からの被写体光を前記撮像素子に導く撮影レンズと、
前記撮影レンズによって導かれて前記1または複数の撮像素子に入射する被写体光を複数の色に分解する色分解要素と、
前記撮影レンズの入射側に配置される被写体光分割装置とを有し、
前記被写体光分割装置が、
前記被写体からの被写体光を、複数の異なる経路を経て前記撮影レンズの入射面へ導くことにより前記撮影レンズの結像面上に複数の被写体像を形成可能とする導光光学系と、
前記複数の経路を経て進む前記被写体光のうち、いずれかの経路を経て前記撮影レンズの入射面に導かれる被写体光の相対分光分布が他の経路を経て前記撮影レンズの入射面に導かれる被写体光の相対分光分布と異なるように変化させる分光特性変更光光学系と
を有する。
【発明の効果】
【0009】
被写体からの被写体光は、導光光学系によって複数の経路を経て撮影レンズの入射面へ導かれる。これら複数の経路を経て進む被写体光のうち、いずれかの経路を経て撮影レンズの入射面に導かれる被写体光の相対分光分布が他の経路を経て撮影レンズの入射面に導かれる被写体光の相対分光分布と異なるように変化させられる。これにより、上記複数の経路のそれぞれを経て撮影レンズに入射した被写体光によって形成される複数の画像のそれぞれからは、互いに異なる色情報を得ることができ、これらの色情報に基づいてマルチスペクトル画像データを生成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】デジタル一眼レフレックスカメラに装着される撮影レンズにレンズアダプタを取り付けた様子を説明する斜視図である。
【図2】レンズアダプタの内部構成を説明する平面図である。
【図3】フィルタの分光透過特性と撮像素子を構成する各色の画素の分光感度との関係を概念的に示す図であり、(a)、(b)は光学フィルタの異なる分光透過特性の例を示し、(c)は赤外域近傍まで感度を有する撮像素子とともに用いて好適な分光透過特性の例を説明する図である。
【図4】分光透過特性を電気的に切り替え可能なフィルタを説明する図であり、(a)はその内部構成を、(b)はこのフィルタで得られる分光透過特性の例を示す図である。
【図5】画像処理部で行われる位置合わせ処理を概念的に説明する図であり、(a)はテンプレートマッチング処理における基準画像を、(b)は位置合わせ画像を示す図である。
【図6】撮影装置の概略的内部構成を説明するブロック図である。
【図7】撮像装置内の画像処理部で行われるマルチスペクトル画像生成処理の手順を説明する概略フローチャートである。
【図8】2枚のミラーを用いるレンズアダプタの例を説明する平面図である。
【図9】2枚のミラーを用いて三つの被写体像を得ることのできるレンズアダプタの例を説明する平面図である。
【図10】図2に示されるレンズアダプタにビームスプリッタおよびもう1枚のミラーを追加し、得られる二つの被写体像に視差が生じないようにすることができる例を説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の実施の形態に係る、マルチスペクトル撮影用レンズアダプタ装置100(以下、単に「レンズアダプタ」と称する)が撮影レンズ200に装着される様子を説明する斜視図である。図1において、撮影レンズ200は撮影装置300に対して着脱自在に装着されるものとして説明する。
【0012】
本実施の形態において、撮影装置300は撮影レンズ200を取り外して別の撮影レンズに交換可能なデジタル一眼レフレックスカメラであるものとして説明する。しかし、撮影装置300はレフレックスミラーを有しない形式のものであってもよく、撮影レンズ固定式のものであってもよい。撮影装置300はまた、スチルカメラであってもムービーカメラであってもよい。また、撮影装置300が撮影レンズ固定式のものである場合、レンズアダプタ100はその撮影レンズに対して着脱可能に構成されていても取り外し不能に構成されていてもよい。
【0013】
レンズアダプタ100は、本体部102を有する。本体部102には互いに離隔して設けられる2つの開口部104、106を有する。これらの開口部104、106の奥に第1ミラー108および第2ミラー110が保持される。二つの開口部104、106のうち、一方の開口部104には、分光特性変更光学系としてのフィルタ112が配置される。図1においては、フィルタ112が開口部104に取り付けようとするところが描かれている。フィルタ112の特性については後で詳述する。
【0014】
レンズアダプタ100は、本体部102の後方、すなわち撮影レンズ200と対向する側にねじ式またはバヨネット式等の締結要素が設けられている。この締結要素がねじ式のものである場合、本体部102の後方に雄ねじが形成され、撮影レンズ200の先端部分、すなわち被写体光が入射する側の先端部分に切られている雌ねじ(フィルタねじ)と螺合される。これによりレンズアダプタ100と撮影レンズ200とが締結される。締結要素がバヨネット式のものである場合、撮影レンズ200の外周の先端部分近傍にバヨネット締結用の突起または凹部が設けられる。そして本体部102の後方には、撮影レンズ200に設けられた上記突起または凹部と係合するバヨネット機構が設けられる。
【0015】
図2は、レンズアダプタ100の内部構成を、撮影レンズ200、撮影装置300とともに示す図であり、これらのレンズアダプタ100、撮影レンズ200、撮影装置300を上側から見た様子を示す図である。
【0016】
撮影装置300は、いわゆる単板式のものであっても多板式のものであってもよい。撮影装置300が単板式のものである場合、受光面上に青、緑、赤等のオンチップカラーフィルタがタイル状に配列された撮像素子を用いることが可能である。これらのオンチップカラーフィルタにより、撮像素子に入射する被写体光は複数の色に色分解される。
【0017】
撮影装置300が多板式のものである場合、撮影レンズ200の射出側にダイクロイックプリズム等の色分解光学要素が設けられる。このダイクロイックプリズムは、白色光を例えば青、緑、赤の成分の光に色分解する。ダイクロイックプリズムには各色成分の光に対応して射出面が設けられており、上記のように色分解された各色の光は、対応する色の射出面に導かれる。各色成分用の射出面に対向するように撮像素子が配置される。
【0018】
本明細書中では、撮影装置300は単板式の構成を有するものとし、撮像素子310はベイヤ配列を有する青、緑、赤のオンチップカラーフィルタが受光面上に形成されたものとして説明をする。
【0019】
レンズアダプタ100は、第1ミラー108と、第2ミラー110と、第3ミラー114と、第4ミラー116と、フィルタ112とを有する。被写体Objからの被写体光の一部は、フィルタ112を透過して第1ミラー108に入射する。この被写体光は第1ミラー108で反射されて第3ミラー114に導かれる。第3ミラー114に導かれた被写体光は、第3ミラー114で反射されて撮影レンズ200に入射し、この撮影レンズ200によって結像されて撮像素子310の受光面上(撮影レンズ200の結像面上)に被写体像Im1を形成する。
【0020】
被写体Objからの被写体光の他の一部は第2ミラー110に入射する。この被写体光は第2ミラー110で反射されて第4ミラー116に導かれる。第4ミラー116に導かれた被写体光は、第4ミラー116で反射されて撮影レンズ200に入射し、この撮影レンズ200によって結像されて撮像素子310の受光面上に被写体像Im2を形成する。
【0021】
このようにして、被写体Objからの被写体光はレンズアダプタ100によって二つの経路、すなわち経路Path1、経路Path2に沿って導かれて撮影レンズ200の入射面に入射する。互いに異なる経路Path1、Path2を経て撮影レンズ200に入射した被写体光は、撮影レンズ200によって撮像素子310の受光面上に結像され、二つの被写体像Im1、Im2が形成される。
【0022】
経路Path1は、第1ミラー108と第3ミラー114とによって画定され、経路Path2は、第2ミラー110と第4ミラー116とによって画定される。図2においては、経路Path1上にフィルタ112が配置される。フィルタ112は、このフィルタ112を透過する前の被写体光の相対分光分布に対してフィルタ112を透過した被写体光の相対分光分布が変化するようにその分光透過特性が定められる。
【0023】
フィルタ112としては、所望の分光透過特性を有する吸収フィルタや干渉フィルタ等、様々な形式のフィルタを用いることができる。また、フィルタ112に代えて、ダイクロイックミラー、ダイクロイックプリズム等を経路Path1上に配置し、不要の波長成分の被写体光を反射または吸収して撮影レンズ200に入射しないようにし、必要な波長成分の被写体光のみが撮影レンズ200に導かれるようにしてもよい。
【0024】
図2では経路Path1にフィルタ112が配置される例を示しているが、経路Path2に配置してもよいし、互いに分光特性の異なるフィルタ、ミラー、あるいはプリズム等を経路Path1上、経路Path2上の双方に配置してもよい。上述のようにして、経路Path1を経て撮影レンズ200の入射面に導かれる被写体光の相対分光分布が、経路Path2を経て撮影レンズ200の入射面に導かれる被写体光の相対分光分布に対して異なるように構成されている。
【0025】
図2においてフィルタ112は第1ミラー108の入射側に配置されている例が示されているが、他の位置に配置することも可能である。例えば、第1ミラー108と第3ミラー114との間、あるいは第3ミラー114と撮影レンズ200との間等に配置されていてもよい。また、フィルタ112を経路Path1上に設けるのに代えて、第1ミラー108、第2ミラー110、第3ミラー114、第4ミラー116のうち少なくともいずれかの分光反射特性を他のミラーの分光反射特性に対して異なるものとしてもよい。また、第1ミラー108および第3ミラー114の組み合わせで決まる分光反射特性と、第2ミラー110および第4ミラー116の組み合わせで決まる分光反射特性とが異なるようにすることも可能である。
【0026】
図3は、フィルタ112の分光透過特性を、撮像素子310内における青、緑、赤のオンチップカラーフィルタを有する画素の分光感度特性とともに概念的に例示するグラフである。図3に示されるグラフにおいて、横軸に波長が、縦軸に透過率および感度が取られている。以下では、青、緑、赤のオンチップカラーフィルタを有する画素をそれぞれB画素、G画素、R画素と称する。
【0027】
フィルタ112は一例として、図3(a)から図3(c)に示される分光透過特性A、分光透過特性B、分光透過特性Wのいずれかの分光透過特性を有するものとすることが可能である。図3に例示されるような、波長変化に伴う分光透過率の変化が比較的急峻なものは、干渉フィルタなどを用いることによって実現可能である。
【0028】
図3(a)に例示される分光透過特性A、図3(b)に例示される分光透過特性Bは、上述したように波長変化に伴う分光透過率の変化が比較的急峻な、くし歯型の(矩形波状の)特性を有する。そして、分光透過特性の急変部(立ち上がり部、立ち下がり部)が、B画素、G画素、R画素の分光感度プロファイルをそれらのピーク波長付近で短波長側、長波長側に分断するようにこれら分光透過特性A、分光透過特性Bが定められていることが望ましい。
【0029】
フィルタ112が図3(a)に示されるような分光透過特性Aを有する場合、フィルタ112の分光透過特性とB画素、G画素、R画素それぞれの分光感度特性とによって、以下に説明するような総合分光感度特性を得ることができる。すなわち、B画素は、このB画素が元来有している分光感度帯域中、B画素の分光感度特性のピーク波長よりも短波長寄りの被写体光に対してのみ感度を有するようになる。G画素は、このG画素が元来有している分光感度帯域中、G画素の分光感度特性のピーク波長よりも長波長寄りの被写体光に対してのみ感度を有するようになる。R画素は、このR画素が元来有している分光感度帯域中、R画素の分光感度特性のピーク波長よりも短波長寄りの被写体光に対してのみ感度を有するようになる。
【0030】
フィルタ112が図3(b)に示されるような分光透過特性Bを有する場合、フィルタ112の分光透過特性とB画素、G画素、R画素それぞれの分光感度特性とによって、以下に説明するような総合分光感度特性を得ることができる。すなわち、B画素は、このB画素が元来有している分光感度帯域中、B画素の分光感度特性のピーク波長よりも長波長寄りの被写体光に対してのみ感度を有するようになる。G画素は、このG画素が元来有している分光感度帯域中、G画素の分光感度特性のピーク波長よりも短波長寄りの被写体光に対してのみ感度を有するようになる。R画素は、このR画素が元来有している分光感度帯域中、R画素の分光感度特性のピーク波長よりも長波長寄りの被写体光に対してのみ感度を有するようになる。
【0031】
図3(c)に示される分光透過特性Wについて説明すると、可視光帯域中の比較的長い波長(図3(c)の例では680nm近くの波長)にカットオフ波長が設定されていて、そのカットオフ波長よりも短い波長域ではほぼ均一の分光透過特性を有する。この分光透過特性Wを有するフィルタを併用する場合、R画素の分光感度プロファイルは、図3(c)に例示されるように、赤外域にも(あるいは赤外域近くまで)感度を有することが望ましい。
【0032】
図3(c)に例示される分光透過特性Wを有するフィルタ112が用いられた場合、フィルタ112の分光透過特性とB画素、G画素、R画素それぞれの分光感度特性とによって、以下に説明するような総合分光感度特性を得ることができる。すなわち、B画素、G画素に対しては分光感度の変化を殆どもたらさない。R画素については、フィルタ112の分光透過特性WとR画素の分光感度特性とによって、R画素が元来有している分光感度帯域中、フィルタ112のカットオフ波長よりも短い波長域の被写体光に対してのみ感度を有するようになる。
【0033】
フィルタ112として上記の分光透過特性Wを有するものが経路Path1上または経路Path2上に配置される場合、他方の経路上には上述した分光透過特性Bを有するフィルタを配置することが望ましい。このようなフィルタの組み合わせによっても6バンドの画像データを得ることが可能となる。フィルタ112がこのような分光透過特性を有すると、赤外域に近い波長域での色情報を得ることが可能となるので、皮膚組織の病変部等を識別するような用途で効果を発揮する。
【0034】
以上ではフィルタ112として干渉フィルタを用いる例について説明したが、先にも説明したように、フィルタ112としては吸収フィルタやダイクロイックミラー、ダイクロイックプリズム等を用いることも可能である。フィルタ112はさらに、以下で図4を参照して説明するような、分光透過特性を切り替え可能なものを用いてもよい。
【0035】
図4は、分光透過特性を電気的に切り替え可能なフィルタ400(以下、特性可変フィルタ400と称する)を説明する図であり、図4(a)には特性可変フィルタ400の概略的構成を分解斜視図によって示し、図4(b)には特性可変フィルタ400で得られる分光透過特性の例を示す。
【0036】
図4(a)において特性可変フィルタ400は、被写体光が透過する順番に、偏光板402と、波長選択性を有する偏光ローテータ404と、偏光変調素子406と、偏光板414とを有する。図4においてこれらの要素は経路Path1またはPath2に沿って離間して配置されているかのように描かれているが、実際には互いに近接するように配置されている。本明細書中では、波長選択性を有する偏光ローテータを「波長選択性偏光ローテータ」と称する。
【0037】
偏光板402は、入射する非直線偏光光を直線偏光光にして出射する、偏光子としての作用を有する。図4(a)において、偏光板402を透過した偏光光は図の上下方向に沿う振動方向を有する。本明細書中ではこれを「縦の振動方向」と称する。また、経路Path1またはPath2に直交する面内で上記縦の振動方向に対して直交する向きの振動方向を「横の振動方向」と称する。
【0038】
波長選択性偏光ローテータ404は、入射する偏光光の振動方向を、特定の波長帯域の光のみ90°回転させる(P/S変換またはS/P変換する)機能を有するものである。図4(a)においては、入射する光のうち、緑色(以下では緑色をG色、青色をB色、赤色をR色と表記する)の帯域の光に対してのみ旋光作用が働き、入射するG色の偏光光の振動方向に対して直交する方向に振動方向が変換されて出射される。つまり、偏光子としての偏光板402を透過した、縦の振動方向を有するB、G、R各色の直線偏光光のうち、G色の光のみが波長選択性偏光ローテータ404で旋光されて横の振動方向を有する直線偏光光に変換される。
【0039】
偏光変調素子406は、互いに対向しあう面上に透明電極が形成された2枚の透明基板408、410の間に液晶が封入されて構成される素子である。この偏光変調素子402にフレキシブルプリント基板412を介してドライブ電圧が印加されるのに伴い、この偏光変調素子406を透過する光に対する旋光作用を切り替えることが可能に構成される。図4に示す例ではB、G、R各色の直線偏光光の振動方向が90度変えられている。その結果、B色、R色の直線偏光光が横の振動方向を有し、G色の直線偏光光が縦の振動方向を有するように旋光されている。
【0040】
偏光板414は、図4(a)においては横の振動方向を有する光のみ透過可能とする、検光子としての作用を有する。図4(a)においては、横方向の振動方向を有するR光、B光のみが偏光板414を透過するものとして示されている。以上に説明した構成により、特性可変フィルタ400に入射する白色光のうち、B色の光、R色の光のみが透過する、図4(b)中で分光透過特性1として示されるような特性に切り替えられる。
【0041】
一方、偏光変調素子に印加するドライブ電圧を切り替えることにより、この偏光変調素子406を透過する光の振動方向を変えないようにすることも可能である。その場合、検光子としての偏光板414に入射する光のうち、B光、R光は縦の振動方向を有するものとなり、G光は横の振動方向を有するものとなる。したがって、G光のみが偏光板414を透過可能となり、図4(b)中で分光透過特性2として示されるような特性に切り替えられる。
【0042】
なお、上述したいずれの場合においても、特性可変フィルタ400を出射する光は直線偏光光となっている。撮影装置300が一眼レフタイプの自動焦点調節が可能なカメラ(AFカメラ)では、ファインダ光学系に導かれる被写体光の一部を焦点検出光学系に導くためのハーフミラー等を有する。その場合、特性可変フィルタ400を透過する光が直線偏光光であると、十分な光量の光が焦点検出光学系に導かれない可能性がある。そのようなことが懸念される場合には、特性可変フィルタ400の出射側に、四分の一波長板等の位相板を配設することが望ましい。
【0043】
レンズアダプタ100がフィルタ112として上記の特性可変フィルタ400を備える場合、被写体の特性や撮影目的に応じて分光透過特性1および分光透過特性2のいずれかに切り替えることが可能である。この場合、選択された分光透過特性に関連する情報を撮影装置300に出力可能に構成されることが望ましい。
【0044】
以上のように、経路Path1、撮影レンズ200を経て撮像素子310に入射する被写体光の相対分光分布と、経路Path2、撮影レンズ200を経て撮像素子310に入射する被写体光の相対分光分布とは、互いに異なるものとなっている。つまり、図2に示される例においては、経路Path1を経てフィルタ112を透過し、撮影レンズ200を経て被写体像Im1として結像する被写体光に対しては、上述したようにフィルタ112の分光透過特性(分光透過特性Aまたは分光透過特性B)とB画素、G画素、R画素それぞれの分光感度特性とによってそれぞれ決まる総合分光感度特性で撮像が行われる。
【0045】
フィルタ112として、分光透過特性A、分光透過特性B、分光透過特性Wのうち、いずれの分光透過特性のフィルタを用いるか、あるいは複数の分光透過特性のフィルタを組み合わせて用いるかは、被写体の特性や撮影の用途等によって適宜選択することが可能である。また、フィルタ112として図4を参照して説明したものを用いる場合、電気的に分光透過特性を切り替えることができるので、撮影目的に応じてフィルタを取り替える手間を省くことが可能となる。
【0046】
なお、撮影レンズ200の分光透過特性も被写体像Im1、Im2の分光特性に影響を及ぼすので、上記の総合分光感度特性、そしてB画素、G画素、R画素それぞれの分光感度特性に撮影レンズ200の分光透過特性を加味する必要がある。しかし、本明細書においては発明の理解を容易にすることを目的として撮影レンズ200の分光透過特性は理想的なものであるものとする。ここで、理想的な分光透過特性とは、撮影レンズ200に入射する光の分光分布と撮影レンズ200から出射する分光分布とが一致することを意味する。
【0047】
このようにして、一回の撮影操作に応じて二つの被写体像Im1、Im2に基づく画像が得られる。以下の説明において、被写体像Im1に基づく画像を第1画像、被写体像Im2に基づく画像を第2画像と称する。また、第1画像を構成する画像データを第1画像データ、第2画像を構成する画像データを第2画像データと称する。撮像素子310から出力される画像信号を従来の方法で処理した場合、1つの画像データ中に第1画像データおよび第2画像データが含まれる。1つの画像から第1画像および第2画像を切り出して第1画像データおよび第2画像データを抽出する。これらの第1画像データおよび第2画像データに対して、後述するテンプレートマッチング等の画像処理技術を用いた位置合わせの処理をする。
【0048】
ここで、位置合わせの処理とは、第1画像中の特定の画素に対応する第2画像中の画素を関連づけることを可能とする処理である。つまり、第1画像データ中のある1画素は3つの色情報を有している。その1画素に対応する第2画像データ中の画素を特定し、その画素から3つの色情報を得ることができる。こうして、1つの画素に対応して6つの色情報を得ることが可能となる。
【0049】
ところで、二つの異なる経路Path1、Path2を経て被写体光が撮影レンズ200に入射することにより、視差を生じる。この視差により、第1画像、第2画像を単純に重ね合わせただけでは、画像間でズレを生じる部分が出てくる。
【0050】
ここで、経路Path1およびPath2のうち、被写体光が第1ミラー108、第2ミラー110に入射する前の部分の経路同士でなす角度(輻輳角)は0°であるものとする。被写体が遠くに位置する山である等、無限遠にあるとみなしてよいものである場合には、視差の影響は実質的に無いと云って差し支えない。しかし、撮影距離が短くなるにつれて、視差によって二つの画像間に生じるずれは大きくなる。
【0051】
この視差を利用したものがステレオ写真である。つまり、第1画像、第2画像を表示あるいはプリントし、それを裸眼またはビューワを介して観視することにより、脳内で合成された画像によって観視者は立体感を感じることができる。
【0052】
これに対して、先に説明した位置合わせの処理は、いわば上述した視差の影響を減じる処理である。視差の影響は、先にも説明したように撮影距離が短くなるにつれて大きくなる。逆に言えば、被写体としてほぼ無限遠に位置するものだけを撮影する場合には上述した位置合わせの処理は不要となる。したがって、本発明の実施の形態において、被写体が遠景のものに限られる場合には、位置合わせの処理は必ずしも行われる必要はない。
【0053】
図2に例示されるような、近景に人物が、中景に立木が、そして遠景に山が写っているような状況で第1画像および第2画像を重ねた場合、画像中の山の部分はズレを殆ど生じない。立木の部分では僅かにズレを生じ、人物の部分ではズレが増加する。つまり、これらの画像を単純に重ねたのでは、山の部分ではズレを生じないものの、立木の部分、人物の部分でズレを生じる。仮に人物部分でずれを生じないように二つの画像を重ね合わせると、他の部分でズレを生じる。
【0054】
1つの画像中に含まれる複数の被写体Objと撮影装置300との距離が、被写体ごとに異なることと、二つの被写体像Im1、Im2が視差を有していることとによって、画像内には上述したような不均一なズレを生じる。この不均一なズレを減少させる処理が位置合わせの処理である。つまり、位置合わせの処理とは、複数の画像間(本実施の形態においては第1画像と第2画像との間)で、複数の画像それぞれを構成する各画素の対応位置関係を求める処理をすることを意味する。
【0055】
ここで図5を参照して位置合わせの処理の具体例について説明する。図5(a)は位置合わせの基準となる画像(基準画像)を、図5(b)は位置合わせの処理を行う対象の画像(位置合わせ画像)を概念的に示したものである。
【0056】
先ず、基準画像上に複数のテンプレート領域が設定される。次に、位置合わせ画像内において、テンプレートマッチング処理および移動ベクトル導出処理が行われる。テンプレートマッチング処理は、基準画像内に設定されたテンプレート領域内の画像要素をテンプレートとして、位置合わせ画像内でこれらのテンプレートと一致度の高い領域(対応領域)を探索する処理である。
【0057】
移動ベクトル導出処理は、位置合わせ画像内において対応領域をどの方向にどれくらいの距離(画素数)だけ移動させると基準画像および位置合わせ画像を重ね合わせたときにテンプレート領域と対応領域とが重なり合うかを求める処理である。図5(b)に示される例では、対応領域の中心を結んでできる6つの矩形が、図5(a)の基準画像中においてテンプレート領域の中心を結んでできる6つの矩形に比して歪んでいる。移動ベクトル導出処理で導出された移動ベクトルに基づいて各対応領域を移動させると、この歪みは矯正される。図5(b)に示される、矢印の付いた5つの線によって移動ベクトルを概念的に示している。
【0058】
ところで、上記のように導出された移動ベクトルは、1つの対応領域に対して1つ与えられるものであり、いわば代表値である。そこで、これらの移動ベクトルは、対応領域の中心に位置する画素(以下、中心画素と称する)に対応するものと定める。次に、これらの代表値をもとに、位置合わせ画像内の全画素に対応する移動ベクトルを求める。それら画素ごとの移動ベクトルは、上記中心画素に対応する移動ベクトルをもとに補間処理、あるいは外挿処理を用いて導出することができる。つまり、移動ベクトル導出対象の画素とその画素の近隣に存在する複数の中心画素との位置関係と、これらの近隣に存在する各中心画素の移動ベクトルとから、補間または外挿の処理によって画素ごとの移動ベクトルを導出する。
【0059】
以上で求められた画素ごとの移動ベクトルを位置合わせ画像内の各画素に適用し、位置合わせ画像を変形する処理が行われる。その結果、上述した視差による被写体像Im1、Im2間の位置ズレが解消されて基準画像と位置合わせ画像とが一致する。このようにして、基準画像中の任意の画素に対応する位置合わせ画像中の画素を特定することが可能となる。
【0060】
図2の例では、第1画像および第2画像のうち、いずれか一方の画像を基準画像とすることができ、他方の画像位置合わせ画像とすることができる。このようにして、第1画像中のある画素から得られる3つの色情報と、この画素に対応する、第2画像中の画素から得られる3つの色情報とを統合し、1つの画素に対応する6つの色情報を得ることが可能となる。
【0061】
図6は撮影装置300の内部構成を概略的に説明するブロック図である。撮影装置300は、シャッタドライバ322と、シャッタ320と、撮像素子310と、画像処理部328と、RAM324と、ROM326と、CPU330と、表示制御部332と、モニタ部334と、画像データ記憶部336とを有する。CPU330、表示制御部332、画像データ記憶部336、シャッタドライバ322、画像処理部328、RAM324、そしてROM326は、システムバス338を介して相互に電気的に接続されている。
【0062】
CPU330は、撮影装置300の動作を統括的に制御する。例えば、撮影装置300が記録モードに設定されている場合、CPU330は、焦点調節、測光、露光量調節等の制御を行う。また、撮影装置300が再生モードに設定されている場合、CPU330は、モニタ部334に表示される画像の切り替え、縮小/拡大表示切り替え等のユーザ操作を受け付ける処理を行う。
【0063】
シャッタ320は、撮像素子310の受光面上に入射する被写体光の量を調節するためのものであり、例えばフォーカルプレンシャッタで構成される。シャッタ320は先幕と後幕とを有し、電磁石等を用いた機構によってこれら先幕、後幕は走行しないように係止されている。CPU330がシャッタドライバ322を介して先幕用電磁石に通電し、そして所定の露光時間が経過した後に後幕用電磁石に通電することにより、先幕、後幕の走行開始タイミングを制御して撮像素子310に対して与える露光時間を制御することが可能に構成される。
【0064】
撮像素子310は、先にも説明したように、青、緑、赤3色のオンチップカラーフィルタを有するものとすることができる。撮像素子310は、CCDやC−MOSイメージセンサで構成される。本実施の形態において撮像素子310は、二次元配置された光電変換素子のアレーと、これらの光電変換素子のアレーから出力されるアナログ信号にCDS(相関二重サンプリング)、AGC(自動ゲインコントロール)、A/D変換等の処理を行ってデジタルの画像信号を出力するための回路ブロックとを内部に有し、撮像素子310からデジタルの画像信号を出力可能に構成されるものとして説明をする。
【0065】
撮像素子310から出力されるデジタルの画像信号は、システムバス338を介してRAM324に転送され、処理前画像データとして一時的に記憶される。RAM324は、メモリアクセス速度に優れるSDRAM等で構成することが望ましい。
【0066】
画像処理部328は、ASIC(特定用途向け集積回路)等で構成され、RAM324に一時的に記憶された処理前画像データにデモザイク処理、階調補正処理、カラーバランス調整、アンシャープマスク処理等を行い、画像データを生成する。画像処理部328は、画像切り出し処理部328Aと、テンプレートマッチング処理部328Bと、移動ベクトル導出処理部328Cと、位置合わせ画像変形処理部328Dと、マルチスペクトル画像データ生成部328Eとを有しており、マルチスペクトル画像データを生成する処理も行う。
【0067】
ROM326は、マスクROMまたはEEPROM等で構成され、CPU330で実行されるプログラムや撮影装置300内で扱われる各種の制御パラメータや各種の情報等が記憶される。なお、ROM326がEEPROMで構成される場合には、ROM326内に記録されるプログラムは一度RAM324上に読み出され、RAM324上のプログラムをCPU330が逐次読み出して実行することがCPU330による処理の速度を増す上で望ましい。
【0068】
モニタ部334は、TFTカラー液晶表示素子や有機EL表示素子などを有して構成され、撮影装置300の背面等に設けられる。そして、撮影して得られた画像の表示や各種設定メニューの表示等を行うことが可能に構成される。
【0069】
以上に説明したレンズアダプタ100を撮影レンズ200に装着した後、ユーザ(撮影者)は撮影装置300を操作して撮影を行う。なお、レンズアダプタ100が有するフィルタ112の分光透過特性に関する情報が事前に撮影装置300に入力されることが望ましい。例えば、ROM326にはフィルタ112の種類を特定可能な情報と、その情報に対応する分光透過特性の情報とが事前に記憶されていてもよい。その場合、ユーザが撮影装置300を操作してフィルタ112の種類を特定可能な情報を入力すればよい。あるいは、レンズアダプタ100がCPUやROM等を有していて、レンズアダプタ100と撮影装置300とが電気的に接続可能に構成されていてもよい。その場合、撮影装置300の電源を投入した際に、CPU330がレンズアダプタ100からフィルタ112の種類を特定可能な情報、あるいはフィルタ112の分光透過特性に関する情報を読み出し可能に構成されていてもよい。
【0070】
CPU330は、ユーザがレリーズ操作をするのに応じて撮影レンズ200の絞りの開度やシャッタ320のシャッタ速度を制御して露光動作を行う。なお、CPU330は、撮影をする際に、フィルタ112の分光透過特性に対応する露出倍数に応じて撮像素子310にゲイン制御信号を発し、以下のようにゲイン制御をしてもよい。すなわち、CPU330は、被写体像Im2が形成される領域の画素から出力されるアナログ画像信号を増幅する際のゲインと、被写体像Im1が形成される領域の画素から出力されるアナログ信号を増幅する際のゲインとを、上記露出倍数に応じて互いに独立して制御してもよい。つまり、フィルタ112によって撮像素子310に入射する光の量が減じられる場合、その減衰比に応じて上記ゲインを制御してもよい。
【0071】
画像切り出し処理部328Aは、撮影装置300で撮影をして得られた1つの画像中から第1画像および第2画像を切り出す処理を行う。テンプレートマッチング処理部328Bは、例えば第1画像を基準画像、第2画像を位置合わせ画像として、基準画像中に複数のテンプレート領域を設定する。テンプレートマッチング処理部328Bは続いて、基準画像中にテンプレートとして定めた画像要素と一致度の高い領域(対応領域)を位置合わせ画像内で探索する。
【0072】
移動ベクトル導出処理部328Cは、テンプレートマッチング処理部328Bにおける上記処理結果をもとに、先に説明した方法によって位置合わせ画像の画素ごとの移動ベクトルを導出する処理を行う。
【0073】
位置合わせ画像変形処理部328Dは、移動ベクトル導出処理部328Cで導出された画素ごとの移動ベクトルを位置合わせ画像内の各画素に適用し、位置合わせ画像を変形する処理を行う。
【0074】
マルチスペクトル画像データ生成部328Eは、基準画像(第1画像)および変形処理後の位置合わせ画像(第2画像)のそれぞれから得られる3バンドの画像データをもとに6バンドのマルチスペクトル画像データを生成する処理を行う。
【0075】
図7は、画像処理部328で実行されるマルチスペクトル画像データ生成処理の処理手順を概略的に説明するフローチャートである。この処理は、撮影装置300で1回の撮影が行われるたびに画像処理部328で実行される。あるいは、撮影時にはいわゆるロー(RAW)データで記録され、後でユーザが撮影装置300を操作して、ローデータからマルチスペクトル画像データを生成する処理をするコマンドが選択されたときに実行されるものであってもよい。
【0076】
画像処理部328は、S700において1つの画像から第1画像および第2画像を切り出し、続くS702で基準画像中にテンプレート領域を設定する処理を行う。S704において画像処理部328は、テンプレートマッチング処理を行う。S704でのテンプレートマッチング処理結果に基づき、画像処理部328はS706において動きベクトル導出処理を行う。この処理の結果、位置合わせ画像中に含まれる画素のそれぞれに対応する動きベクトルが導出される。
【0077】
S706で導出された画素ごとの動きベクトルに基づき、画像処理部328はS708において、位置合わせ画像変形の処理を行う。S710において画像処理部328は、以下に説明するマルチスペクトル画像データ生成処理を行う。すなわち、画像処理部328は、基準画像中の或る1画素のRGB画像データと、この1画素に対応する位置合わせ画像中の画素のRGB画像データとから、6バンドの画像データを生成する処理を行う。画像処理部328は、1つの画像中の全画素に対してS710の処理を行い、1画面分のマルチスペクトル画像データを生成する。
【0078】
ところで、上記視差によって、第1画像には写っているけれども第2画像には写っていない部分、あるいはその逆の部分が存在しうる。例えば、手前の人物等によって視界が遮られる背景部分の近傍にそのような部分が存在しうる。このような部分では6バンドの画像データを得ることができない。そのような部分に対しては、その部分の周辺部の色情報に基づいて補間処理をすることもできる。
【0079】
画像処理部328はS712において、表示制御部332や画像データ記憶部336などに出力する処理を行い、一連のマルチスペクトル画像データ生成処理を完了する。
【0080】
以上に説明したように、本発明の実施の形態に係るレンズアダプタ100を用いることにより、撮影装置300内に再結像光学系等を含む複雑な光学系を組み込むことなく、1回の露光動作でマルチスペクトル画像データを生成することが可能となる。つまり、レンズアダプタ100中の異なる経路を経て撮影レンズ200に入射する被写体光の相対分光分布が互いに異なるように構成されることにより、撮影装置300が有する色分解要素、すなわちオンチップカラーフィルタやダイクロイックプリズム等で得られる色数よりも多くの色情報を得ることが可能となる。
【0081】
以上では被写体像Im1に基づく第1画像および被写体像Im2に基づく第2画像から1つのマルチスペクトル画像を生成する例について説明したが、以下のようにしてマルチスペクトルのステレオ画像を生成することも可能である。
【0082】
以上では、第1画像を基準画像、第2画像を位置合わせ画像としてマルチスペクトル画像を生成する手順について説明した。ここでは、このマルチスペクトル画像を第1マルチスペクトル画像と称する。マルチスペクトルのステレオ画像を生成する場合、この第1マルチスペクトル画像に加えて以下で説明する第2マルチスペクトル画像を生成する。すなわち、第2マルチスペクトル画像は、第2画像を基準画像、第1画像を位置合わせ画像として、先に説明した第1マルチスペクトル画像を生成するのと同様の手順を経て生成する。
【0083】
このようにして得られる第1マルチスペクトル画像および第2マルチスペクトル画像をプリントまたは表示して、裸眼またはビューワ等を用いて観視すると、マルチスペクトルのステレオ画像を鑑賞することが可能となる。
【0084】
以上では、撮影装置300内でマルチスペクトル画像データが生成される例について説明をしたが、撮影装置300とは別の情報処理装置、例えばコンピュータ等で上記画像処理が行われてマルチスペクトル画像データが生成されるものであってもよい。
【0085】
図2に内部構成が示されるレンズアダプタ100の別例について図8、図9、図10を参照して説明する。これらの図8、図9、図10において、図2中に示される構成要素と同様の構成要素には同じ符号を付してその説明を省略する。また、図2中に示される構成要素と同様の機能を有するものには図2中で付されているのと同じ符号に適宜アルファベットを付して詳細な説明は省略する。
【0086】
図8に示されるレンズアダプタ100Aは、フィルタ112と、第1ミラー108Aと、第2ミラー114Aとを有する。被写体Objからの被写体光の一部は、フィルタ112を透過して第1ミラー108Aに入射する。この被写体光は第1ミラー108Aで反射されて第2ミラー114Aに導かれる。第2ミラー114Aに導かれた被写体光は、第2ミラー114Aで反射されて撮影レンズ200に入射し、この撮影レンズ200によって結像されて撮像素子310の受光面上に被写体像Im1を形成する。
【0087】
撮影レンズ200の入射面に入射する被写体光(の光束)のうち、略半分は上記第1ミラー108Aと第2ミラー114Aとによって画定される経路Path1に沿って導かれ、撮影レンズ200の入射面に入射する。上記被写体光のうち、残りの略半分は、上記第1ミラー108Aも第2ミラー114Aも経ることなく、撮影レンズ200の入射面に直接入射する経路Path2を経る。そして、撮影レンズ200によって結像されて撮像素子310の受光面上に被写体像Im2を形成する。
【0088】
図8に示す例においても輻輳角は0度とすることが望ましい。なお、図8に示される例では、経路Path1中、被写体Objからの被写体光が第1ミラー108Aに入射するまでの部分と、経路Path2とが撮影レンズ200の光軸に対して傾斜している。この傾斜を無くすには、第1ミラー108A、第2ミラー114Aの配置や角度を変えるとともに、経路Path2中に楔状のプリズムを配置してもよい。そのようにして、経路Path1中、被写体Objからの被写体光が第1ミラー108Aに入射するまでの部分および経路Path2の双方が撮影レンズ200の光軸に対して平行となるようにすることができる。
【0089】
図9に示されるレンズアダプタ100Bは、フィルタ112A、112B、112Cと、第1ミラー108Bと、第2ミラー110Bとを有する。なお、フィルタ112A、112B、112Cについては、必ずしも全てを有する必要はなく、これらのフィルタのうち、少なくとも1枚を有するものであってもよい。また、これらのフィルタに代えて、第1ミラー108Bおよび第2ミラー110Bのうち、少なくともいずれかの反射面にフィルタ作用を有する層を形成してもよい。
【0090】
被写体Objからの被写体光の一部は、第1ミラー108Bに入射する。この被写体光は第1ミラー108Bで反射されて撮影レンズ200に入射し、この撮影レンズ200によって結像されて撮像素子310の受光面上に被写体像Im1を形成する。
【0091】
被写体Objからの被写体光の別の一部は、第2ミラー110Bに入射する。この被写体光は第2ミラー110Bで反射されて撮影レンズ200に入射し、この撮影レンズ200によって結像されて撮像素子310の受光面上に被写体像Im2を形成する。
【0092】
被写体Objからの被写体光のうち、第1ミラー108Bにも第2ミラー110Bにも入射しないで撮影レンズ200に直接入射する光は、この撮影レンズ200によって結像されて撮像素子310の受光面上に被写体像Im3を形成する。
【0093】
撮影レンズ200の入射面に入射する被写体光のうち、略1/3は上記第1ミラー108Bによって画定される経路Path1に沿って導かれる。上記被写体光のうち、別の略1/3は上記第2ミラー110Bによって画定される経路Path2に沿って導かれる。そして、上記被写体光のうち、残りの略1/3は、上記第1ミラー108Bにも第2ミラー1110Bにも反射されることなく、撮影レンズ200の入射面に直接入射する経路Path3を経る。そして、撮影レンズ200によって結像されて撮像素子310の受光面上に被写体像Im3を形成する。
【0094】
これらの被写体像Im1、Im2、Im3のうち、被写体像Im1およびIm2は、被写体像Im3に対して左右が逆の反転像となっている。したがって、これらの被写体像Im1、Im2、Im3に基づく画像を切り出す処理をした後、被写体像Im1、Im2に基づく画像については左右反転処理をする。
【0095】
経路Path1、Path2、Path3のそれぞれを経て撮影レンズ200の入射面に導かれる被写体光の相対分光分布が互いに異なるように構成される場合、撮像素子310から出力される画像信号を処理して9バンドのマルチスペクトル画像データを生成することが可能となる。
【0096】
図9に示されるレンズアダプタ100Bを用いてマルチスペクトルのステレオ画像データを生成する場合、以下のようにすることが可能である。ここで被写体像Im1に基づく画像を第1画像、被写体像Im2に基づく画像を第2画像、被写体像Im3に基づく画像を第3画像と称する。左右反転処理後の第1画像を基準画像とし、第3画像を位置合わせ画像として、先に説明した画像処理を行い、第1のマルチスペクトル画像を得る。次に、左右反転処理後の第2画像を基準画像とし、第3画像を位置合わせ画像として、同じく先に説明した画像処理を行い、第2のマルチスペクトル画像を得る。これら第1、第2のマルチスペクトル画像のマルチスペクトル画像データをもとにプリントまたは表示して、裸眼またはビューワ等を用いて観視することによりマルチスペクトルのステレオ画像を鑑賞することが可能となる。
【0097】
図10に示されるレンズアダプタ100Cは、図2に示されるレンズアダプタ100が有する構成要素に加えてビームスプリッタ1000と第5ミラー1002とを有するものである。
【0098】
分岐光学要素としてのビームスプリッタ1000は、被写体Objからの被写体光の一部分を反射して第5ミラー1002に導く一方、上記被写体光の残りの部分を透過して第2ミラー110に導く。第5ミラー1002に導かれた被写体光は、この第5ミラー1002で反射され、フィルタ112に導かれる。つまり、ビームスプリッタ1000、第5ミラー1002、第1ミラー108、および第3ミラー114によって経路Path1が画定され、ビームスプリッタ1000、第2ミラー110、および第4ミラー116によって経路Path2が画定される。
【0099】
フィルタ112の配設位置については、経路Path1またはPath2中の任意の位置に配置することが可能である。
【0100】
なお、経路Path1を画定するミラーに関しては、ビームスプリッタ1000および第3ミラー114の角度を変更することにより、第5ミラー1002および第1ミラー108のうち、いずれかを省略することも可能である。その場合、経路Path1上に存在する反射面の数が奇数となるので被写体像Im1は被写体像Im2に対して左右が逆の反転像となる。したがって、これらの被写体像Im1、Im2に基づく画像を切り出す処理をした後、被写体像Im1に基づく画像については左右反転処理をする必要がある。
【0101】
図10に示されるレンズアダプタ100Cは、図2に示されるレンズアダプタ100にビームスプリッタ1000と第5ミラー1002と加えたものである。レンズアダプタ100Cが、これらのビームスプリッタ1000と第5ミラー1002とを有することにより、先に説明した視差を生じることが無い。従って、マルチスペクトル画像データを得る際の画像処理に際して動きベクトル導出処理、位置合わせ画像変形処理等を省略することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、電子式のスチルカメラ、ムービーカメラの撮影レンズに装着するレンズアダプタに適用可能であり、これらのスチルカメラ、ムービーカメラの撮影レンズは固定式であっても交換式であってもよい。本発明はまた、電子式のスチルカメラ、ムービーカメラなどにも適用可能である。
【符号の説明】
【0103】
100、100A、100B、100C … レンズアダプタ
108、108A、108B … 第1ミラー
110、110B、114A … 第2ミラー
112、112A、112B、112C … フィルタ
114 … 第3ミラー
116 … 第4ミラー
200 … 撮影レンズ
300 … 撮影装置
328 … 画像処理部
328A … 画像切り出し処理部
328B … テンプレートマッチング処理部
328C … 移動ベクトル導出処理部
328D … 位置合わせ画像変形処理部
328E … マルチスペクトル画像データ生成部
334 … モニタ部
336 … 画像データ記憶部
310 … 撮像素子
400 … 特性可変フィルタ
402、414 … 偏光板
404 … 波長選択性偏光ローテータ
406 … 変更変調素子
1000 … ビームスプリッタ
1002 … 第5ミラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体と撮影レンズとの間に配置される、マルチスペクトル撮影用レンズアダプタ装置であって、
前記被写体からの被写体光を、複数の経路を経て前記撮影レンズの入射面へ導くことにより前記撮影レンズの結像面上に複数の被写体像を形成可能とする導光光学系と、
前記複数の経路を経て進む前記被写体光のうち、いずれかの経路を経て前記撮影レンズの入射面に導かれる被写体光の相対分光分布が他の経路を経て前記撮影レンズの入射面に導かれる被写体光の相対分光分布と異なるように変化させる分光特性変更光学系と
を有することを特徴とするマルチスペクトル撮影用レンズアダプタ装置。
【請求項2】
前記導光光学系は、互いに離隔した位置において前記被写体光を反射する第1および第2の反射鏡と、
前記第1の反射鏡で反射された被写体光をさらに反射して前記撮影レンズの入射面に向かうように導く第3の反射鏡と、
前記第2の反射鏡で反射された被写体光をさらに反射して前記撮影レンズの入射面に向かうように導く第4の反射鏡とを有し、
前記分光特性変更光学系は、前記第1の反射鏡と前記第3の反射鏡とを含む光学要素によって画定される第1の経路、および前記第2の反射鏡と前記第4の反射鏡とを含む光学要素によって画定される第2の経路のうち、少なくともいずれかの経路に配設されることを特徴とする請求項1に記載のマルチスペクトル撮影用レンズアダプタ装置。
【請求項3】
前記導光光学系は、
前記撮影レンズの入射面に入射する前記被写体光の内、略半分を反射する第1の反射鏡と、
前記第1の反射鏡で反射された被写体光をさらに反射して前記撮影レンズの入射面に向かうように導く第2の反射鏡とを有し、
前記分光特性変更光学系は、前記第1の反射鏡および前記第2の反射鏡を含む光学要素によって画定される第1の経路、および前記第1の反射鏡も前記第2の反射鏡も経ることなく、前記撮影レンズの入射面に前記被写体光が直接入射する第2の経路のうち、少なくともいずれかの経路に配設されることを特徴とする請求項1に記載のマルチスペクトル撮影用レンズアダプタ装置。
【請求項4】
前記導光光学系は、
互いに離隔した位置において前記被写体光を反射して前記撮影レンズの入射面に導く第1および第2の反射鏡であって、前記撮影レンズの入射面に入射する前記被写体光の内、それぞれが略1/3を反射する、第1および第2の反射鏡を有し、
前記分光特性変更光学系は、前記第1の反射鏡を含む光学要素によって画定される第1の経路、前記第2の反射鏡を含む光学要素によって画定される第2の経路、および前記第1の反射鏡も前記第2の反射鏡も経ることなく、前記撮影レンズの入射面に前記被写体光が直接入射する第3の経路のうち、少なくともいずれかの経路に配設されることを特徴とする請求項1に記載のマルチスペクトル撮影用レンズアダプタ装置。
【請求項5】
前記導光光学系は、
前記被写体光を透過光と反射光とに分割する分岐光学要素と、
前記透過光を前記撮影レンズの入射面に導くために設けられる第1の導光ユニットであって、複数の反射鏡を含む、第1の導光ユニットと、
前記反射光を前記撮影レンズの入射面に導くために設けられる第2の導光ユニットであって、複数の反射鏡を含む、第2の導光ユニットとを有し、
前記分光特性変更光学系は、前記分岐光学要素と前記第1の導光ユニットとによって画定される第1の経路、および前記分岐光学要素と前記第2の導光ユニットとによって画定される第2の経路のうち、少なくともいずれかの経路に配設されることを特徴とする請求項1に記載のマルチスペクトル撮影用レンズアダプタ装置。
【請求項6】
4以上のバンド数のマルチスペクトル画像データを生成可能なマルチスペクトル撮影装置であって、
1または複数の撮像素子と、
被写体からの被写体光を前記撮像素子に導く撮影レンズと、
前記撮影レンズによって導かれて前記1または複数の撮像素子に入射する被写体光を複数の色に分解する色分解要素と、
前記撮影レンズの入射側に配置される被写体光分割装置とを有し、
前記被写体光分割装置が、
前記被写体からの被写体光を、複数の異なる経路を経て前記撮影レンズの入射面へ導くことにより前記撮影レンズの結像面上に複数の被写体像を形成可能とする導光光学系と、
前記複数の経路を経て進む前記被写体光のうち、いずれかの経路を経て前記撮影レンズの入射面に導かれる被写体光の相対分光分布が他の経路を経て前記撮影レンズの入射面に導かれる被写体光の相対分光分布と異なるように変化させる分光特性変更光光学系と
を有することを特徴とするマルチスペクトル撮影装置。
【請求項7】
前記導光光学系は、互いに離隔した位置において前記被写体光を反射する第1および第2の反射鏡と、
前記第1の反射鏡で反射された被写体光をさらに反射して前記撮影レンズの入射面に向かうように導く第3の反射鏡と、
前記第2の反射鏡で反射された被写体光をさらに反射して前記撮影レンズの入射面に向かうように導く第4の反射鏡とを有し、
前記分光特性変更光学系は、前記第1の反射鏡と前記第3の反射鏡とを含む光学要素によって画定される第1の経路、および前記第2の反射鏡と前記第4の反射鏡とを含む光学要素によって画定される第2の経路のうち、少なくともいずれかの経路に配設されることを特徴とする請求項6に記載のマルチスペクトル撮影装置。
【請求項8】
前記導光光学系は、
前記撮影レンズの入射面に入射する前記被写体光の内、略半分を反射する第1の反射鏡と、
前記第1の反射鏡で反射された被写体光をさらに反射して前記撮影レンズの入射面に向かうように導く第2の反射鏡とを有し、
前記分光特性変更光学系は、前記第1の反射鏡および前記第2の反射鏡を含む光学要素によって画定される第1の経路、および前記第1の反射鏡も前記第2の反射鏡も経ることなく、前記撮影レンズの入射面に前記被写体光が直接入射する第2の経路のうち、少なくともいずれかの経路に配設されることを特徴とする請求項6に記載のマルチスペクトル撮影装置。
【請求項9】
前記導光光学系は、
互いに離隔した位置において前記被写体光を反射して前記撮影レンズの入射面に導く第1および第2の反射鏡であって、前記撮影レンズの入射面に入射する前記被写体光の内、それぞれが略1/3を反射する、第1および第2の反射鏡を有し、
前記分光特性変更光学系は、前記第1の反射鏡を含む光学要素によって画定される第1の経路、前記第2の反射鏡を含む光学要素によって画定される第2の経路、および前記第1の反射鏡も前記第2の反射鏡も経ることなく、前記撮影レンズの入射面に前記被写体光が直接入射する第3の経路のうち、少なくともいずれかの経路に配設されることを特徴とする請求項6に記載のマルチスペクトル撮影装置。
【請求項10】
前記導光光学系は、
前記被写体光を透過光と反射光とに分割する分岐光学要素と、
前記透過光を前記撮影レンズの入射面に導くために設けられる第1の導光ユニットであって、複数の反射鏡を含む、第1の導光ユニットと、
前記反射光を前記撮影レンズの入射面に導くために設けられる第2の導光ユニットであって、複数の反射鏡を含む、第2の導光ユニットとを有し、
前記分光特性変更光学系は、前記分岐光学部材と前記第1の導光ユニットとによって画定される第1の経路、および前記分岐光学部材と前記第2の導光ユニットとによって画定される第2の経路のうち、少なくともいずれかの経路に配設されることを特徴とする請求項6に記載のマルチスペクトル撮影装置。
【請求項11】
請求項6から10のいずれか1つに記載のマルチスペクトル撮影装置を用いて撮影し、得られた画像データを処理して前記マルチスペクトル画像データを生成する画像処理装置であって、
前記撮像レンズの結像面上に形成される前記複数被写体像に基づく複数の画像を切り出す処理をする画像切り出し処理部と、
前記複数の画像間で、当該の複数の画像それぞれを構成する各画素の対応位置関係を求める処理をする位置合わせ処理部と、
ひとつ一つの画素に対する色情報を前記複数の画像から抽出して統合し、前記4以上のバンド数のマルチスペクトル画像データを生成するマルチスペクトル画像生成処理部と
を有することを特徴とする画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−245870(P2010−245870A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−92898(P2009−92898)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】