マルチパス検出方法、マルチパス検出プログラム、マルチパス検出装置、およびGNSS信号受信装置
【課題】より正確にマルチパス遅延量を算出できるマルチパス検出方法を実現する。
【解決手段】受信信号を取得し(S101)、直接波信号と間接波信号との振幅比を含むマルチパス状態を検出する(S102)。三組のEarly相関処理用信号とLate相関処理用信号を用いて、それぞれに第1擬似距離ρ1、第2擬似距離ρ2、第3擬似距離ρ3を算出する(S103)。第1擬似距離ρ1、第2擬似距離ρ2、第3擬似距離ρ3を用いて、第1擬似距離差分値Δρ21と第2擬似距離差分値Δρ31を算出する(S104)。振幅比に基づいて、第1擬似距離差分値Δρ21と第2擬似距離差分値Δρ31を補正し、正規化する(S105)。正規化した第1擬似距離差分値Δρ21と第2擬似距離差分値Δρ31を元に、擬似距離差分値とマルチパス遅延量との関係テーブルから、マルチパス遅延量を決定する(S106)。
【解決手段】受信信号を取得し(S101)、直接波信号と間接波信号との振幅比を含むマルチパス状態を検出する(S102)。三組のEarly相関処理用信号とLate相関処理用信号を用いて、それぞれに第1擬似距離ρ1、第2擬似距離ρ2、第3擬似距離ρ3を算出する(S103)。第1擬似距離ρ1、第2擬似距離ρ2、第3擬似距離ρ3を用いて、第1擬似距離差分値Δρ21と第2擬似距離差分値Δρ31を算出する(S104)。振幅比に基づいて、第1擬似距離差分値Δρ21と第2擬似距離差分値Δρ31を補正し、正規化する(S105)。正規化した第1擬似距離差分値Δρ21と第2擬似距離差分値Δρ31を元に、擬似距離差分値とマルチパス遅延量との関係テーブルから、マルチパス遅延量を決定する(S106)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、受信環境によって生じる可能性があるGNSS信号のマルチパス誤差を検出するマルチパス誤差検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
GPS(Global Positioning Sytem)信号等のGNSS(Global Navigation Satellite System)信号を受信して擬似距離の測定等を行うGNSS受信装置では、擬似距離の測定精度を劣化させる要因の一つとして、マルチパスがある。マルチパスとは、受信機周囲の高層建築物等に反射してから受信機に到達するGNSS信号であるマルチパス信号を、直接到来したGNSS信号とともに受信することで生じる。
【0003】
そして、従来、特許文献1、特許文献2に示すように、マルチパスを検出する方法および装置が各種考案されている。例えば、特許文献1の装置では、前回算出した擬似距離に基づいて今回の擬似距離を推定し、今回の推定擬似距離と今回算出した擬似距離との差分が所定閾値以上であれば、マルチパスが有ると判断している。また、特許文献2の装置では、受信信号とレプリカ信号とによる実際の相関結果と、マルチパスが無いことを前提にした理想的な相関結果との間の差分値が所定閾値以上であれば、マルチパスが有ると判断する。また、その差分値に応じて、予め定めた遅延量のテーブルから差分値を推定算出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−328157号公報
【特許文献2】特開2005−207815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の各特許文献に記載された従来のマルチパス検出方法では、単にマルチパスの有無が検出できるものであったり、理想的な相関結果に基づいてマルチパスの有無を検出したり遅延量を推定算出したりするものであるので、正確なマルチパス遅延量を算出できるものではなかった。
【0006】
この発明の目的は、単にマルチパスの有無を検出するだけでなく、マルチパス遅延量を、より正確に算出できるマルチパス検出方法を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、GNSS信号を受信する際に生じるマルチパスを検出するマルチパス検出方法、マルチパス検出プログラム、およびマルチパス検出装置に関する。このマルチパス検出方法では、アーリーレイト相関処理用信号生成工程と、擬似距離算出工程と、擬似距離差分値算出工程と、マルチパス遅延量算出工程と、を有する。
【0008】
アーリーレイト相関処理用信号生成工程では、GNSS信号の拡散コードを有する相関処理用信号に基づいて、少なくとも三組のアーリー(Early)相関処理用信号とレイト(Late)相関処理用信号との組を生成する。この際、相関処理用信号の組間で、それぞれにコード位相間隔を異ならせるか、もしくは相関処理用コードを異ならせる。
【0009】
擬似距離算出工程では、各組のEarly相関処理用信号およびLate相関処理用信号と前記受信信号との相関処理を行い、それぞれの相関処理結果から擬似距離を算出する。
【0010】
擬似距離差分値算出工程では、それぞれに異なる擬似距離の組合せで擬似距離差分値を算出する。
【0011】
マルチパス遅延量算出工程では、少なくとも二個の擬似距離差分値に基づいてマルチパス遅延量を算出する。
【0012】
この方法では、Early相関値とLate相関値との差分であるE−L相関値に基づく擬似距離が、Early相関処理用信号およびLate相関処理用信号のコード間隔や各相関処理用コードによって異なり、且つ、マルチパス遅延量によって異なることを利用している。さらに、この方法では、各擬似距離同士を差分した擬似距離差分値も、各擬似距離の算出仕様および擬似距離の組合せによって異なり、且つマルチパス遅延量によって異なることを利用している。そして、このような特性を有する擬似距離差分値を複数算出すれば、各擬似距離差分値の算出仕様(元となるとEarly相関処理用信号およびLate相関処理用信号の仕様)と、擬似距離差分値の組との組合せにより、マルチパス遅延量が略一意に決定される。
【0013】
また、この発明のマルチパス検出方法では、擬似距離差分値算出工程は、基準となる擬似距離を一つ設定し、該基準の擬似距離に対する差分により、各擬似距離差分値を算出する。
【0014】
この方法では、擬似距離差分値の具体的な算出方法を示している。
【0015】
また、この発明のマルチパス検出方法では、アーリーレイト相関処理用信号生成工程は、少なくとも三組のアーリー(Early)相関処理用信号とレイト(Early)相関処理用信号との組を、単一の相関処理用信号を用いて、それぞれにコード位相間隔を異ならせて生成する。
【0016】
この方法では、Early相関処理用信号とLate相関処理用信号の各組の具体的な生成方法を示している。この方法を用いることで、一種類の相関処理用信号に対して、スペーシングの異なるE−L相関値を三個算出することができる。そして、この三個のE−L相関値を用いれば、擬似距離に対する差分値を二個算出することができ、マルチパス遅延量を算出できる。したがって、例えば、コード捕捉やコード追尾に利用するGNSS信号のレプリカ信号のみを用いて、マルチパス遅延量を算出することができる。
【0017】
また、この発明のマルチパス検出方法では、相関処理用信号に重畳させるサブキャリアを生成するサブキャリア生成工程を有する。アーリーレイト相関処理用信号生成工程は、少なくとも三組のアーリー相関処理用信号とレイト相関処理用信号との組を、拡散コードから生成された基本相関処理用信号と、サブキャリアが重畳された拡散コードから生成されたサブキャリア重畳型の相関処理用信号とを用いて生成する。
【0018】
この方法では、Early相関処理用信号とLate相関処理用信号の各組の具体的な生成方法を示している。この方法を用いることで、Early相関処理用信号とLate相関処理用信号の各組を生成するためのコード位相制御前の相関処理用信号が複数種類となる。例えば、上述のGNSS信号のレプリカ信号と、当該レプリカ信号に対して所定のサブキャリアを重畳した信号とを用いてマルチパス遅延量を算出する。これにより、マルチパス遅延量に対する擬似距離差分値の特性を、より多様にすることができる。
【0019】
また、この発明のマルチパス検出方法では、マルチパス遅延量算出工程は、少なくとも二組の擬似距離差分値の組合せとマルチパス遅延量との関係テーブルを予め記憶している。マルチパス遅延量算出工程は、算出された各擬似距離差分値と関係テーブルとを用いてマルチパス遅延量を算出する。
【0020】
この方法では、擬似距離差分値の組毎に、マルチパス遅延量に対する各擬似距離差分値を関係テーブルとして記憶しておき、算出した各擬似距離差分値を参照して関係テーブルを読み出し、マルチパス遅延量を決定する。これにより、各擬似距離差分値を取得する度に、マルチパス遅延量の算出演算処理を行わなくても良く、より高速にマルチパス遅延量を算出できる。
【0021】
また、この発明のマルチパス検出方法では、マルチパスを生じるGNSS信号の直接波信号と間接波信号との振幅比を検出するマルチパス状態検出工程を有する。マルチパス遅延量算出工程は、振幅比を加味してマルチパス遅延量を算出する。
【0022】
この方法では、算出するマルチパス遅延量に対して、振幅比に基づく補正を行う。これにより、より正確なマルチパス遅延量を算出することができる。
【0023】
また、この発明は、GNSS信号受信方法、GNSS信号受信プログラム、およびGNSS信号受信装置に関する。本発明のGNSS信号受信方法では、上述のいずれかのマルチパス検出方法を含むとともに、擬似距離とマルチパス遅延量とを用いて測位演算を行う測位演算工程を有する。
【0024】
この方法では、上述のように正確に算出されたマルチパス遅延量を用いて測位演算が行われるので、高精度な測位結果を得られる。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、マルチパス遅延量を、従来よりも正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1の実施形態に係るマルチパス検出装置を含むGNSS信号受信装置1の主要構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態に係るマルチパス検出方法を用いた場合のマルチパス遅延量に対する擬似距離差分値の特性を示す図である。
【図3】第1の実施形態に係るマルチパス検出方法のフローチャートである。
【図4】第2の実施形態に係るマルチパス検出装置を含むGNSS信号受信装置1Aの主要構成を示すブロック図である。
【図5】BPSK相関処理用信号、BOCcosサブキャリア、BOCcos相関処理用信号、BOCmodサブキャリア、BOCmod相関処理用信号の波形図である。
【図6】第2の実施形態に係るマルチパス検出方法を用いた場合のマルチパス遅延量に対する擬似距離差分値の特性を示す図である。
【図7】第3の実施形態に係るマルチパス検出装置を含むGNSS信号受信装置1Bの主要構成を示すブロック図である。
【図8】第3の実施形態に係るマルチパス検出方法を用いた場合のマルチパス遅延量に対する擬似距離差分値の特性を示す図である。
【図9】第4の実施形態に係るマルチパス検出装置を含むGNSS信号受信装置1Cの主要構成を示すブロック図である。
【図10】第4の実施形態に係るマルチパス検出方法を用いた場合のマルチパス遅延量に対する擬似距離差分値の特性を示す図である。
【図11】本発明の実施形態のGNSS信号受信装置1を備えた移動端末300の主要構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施形態に係るマルチパス検出方法、マルチパス検出プログラムおよびマルチパス検出装置について説明する。なお、本実施形態では、GNSS信号受信方法、GNSS信号受信プログラムおよびGNSS信号受信装置におけるマルチパス検出方法、マルチパス検出プログラムおよびマルチパス検出装置を例に示している。また、本実施形態では、GNSS信号としてGPS信号を用いた場合を示している。
【0028】
図1は、本実施形態のマルチパス検出装置を備えるGNSS信号受信装置1の主要構成を示すブロック図である。
【0029】
GNSS信号受信装置1は、アンテナ50、RF処理部51、マルチパス状態検出部52、キャリアNCO53、ベースバンド変換部54、測位演算部55を備えるととともに、コード追尾とマルチパス遅延量の算出とを行う機能部を備える。
【0030】
アンテナ50は、各GPS衛星から放送されたGPS信号を受信して、受信信号をRF処理部51へ出力する。この際、アンテナ50は、複数の個別アンテナが所定パターンで配置されたアレイアンテナである。
【0031】
RF処理部51は、受信したGPS信号をダウンコンバートして、中間周波数信号(IF信号)を生成し、マルチパス状態検出部52およびベースバンド変換部54へ出力する。RF処理部51は、個別アンテナ毎に備えられていることが好ましい。
【0032】
マルチパス状態検出部52は、複数の個別アンテナが受信して得られるIF信号に対してMUSIC法を適用することで、受信信号を構成する直接波信号と間接波信号との到来方向、間接波信号の個数、直接波信号と間接波信号との振幅比を算出する。マルチパス状態検出部52は、少なくとも直接波信号と間接波信号との振幅比(以下、単に振幅比と称する。)を有するマルチパス状態情報を、マルチパス遅延量算出部15へ出力する。なお、他のマルチパス状態を検出する方法を用い、単独のアンテナでもマルチパス状態が検出できるのであれば、アンテナ50は単独のアンテナでよく、この場合RF処理部51も一個でよい。
【0033】
ベースバンド変換部54は、キャリアNCO53からのキャリア周波数信号をIF信号に乗算することで、ベースバンド信号SBを生成する。ベースバンド信号SBは、コード追尾とマルチパス遅延量算出とを行う機能部へ出力される。このコード追尾とマルチパス遅延量算出とを行う機能部が、本発明の「マルチパス検出装置」に相当する。
【0034】
コード追尾とマルチパス遅延量算出とを行う機能部は、詳細な構成および処理を後述するが、所謂Early−Late相関処理結果を用いて、GPS信号のベースバンド信号SBを追尾処理するとともに、マルチパス遅延量を算出する。そして、この機能部は、Prompt相関値、Early−Late相関処理結果から得られる擬似距離、およびマルチパス遅延量を、測位演算部55へ出力する。
【0035】
測位演算部55は、Prompt相関値から航法メッセージを解読する。測位演算部55は、航法メッセージと擬似距離とを用いて、既知の方法で測位演算を行う。この際、測位演算部55は、キャリアNCO53からのキャリア位相を用いることで、より高精度な測位演算を行うこともできる。さらに、測位演算部55は、精度良く算出されたマルチパス遅延量を用いて擬似距離等を補正することで、より高精度に測位演算を行うことができる。
【0036】
次に、コード追尾とマルチパス遅延量算出とを行う機能部の具体的構成および処理について説明する。図1に示すように、コード追尾とマルチパス遅延量算出とを行う機能部は、P相関部11、E−L相関部121,122,123、擬似距離算出部131,132,133、加算器141,142、マルチパス遅延量算出部15、および、相関処理用信号生成部20を備える。
【0037】
ベースバンド信号SBは、P相関部11、第1のE−L相関部121、第2のE−L相関部122、第3のE−L相関部123へ入力される。
【0038】
まず、ベースバンド信号SBとの相関処理に利用する相関処理用信号を生成する相関処理信号生成部20の構成について説明する。相関処理用信号生成部20は、E−L相関部121から出力された第1コード位相差情報に基づいて、GPS信号に用いられている拡散コード(C/AコードもしくはPコード)を備えるBPSK相関処理用信号からなる次の各相関処理用信号を生成する。
【0039】
相関処理用信号生成部20は、E−L相関値が0になるようなタイミングで、Prompt相関処理用信号SRPを生成する。相関処理用信号生成部20は、Prompt相関処理用信号SRPのタイミングを中心タイミングとして、コード位相間隔(スペーシング)が0.1chipからなる第1Early相関処理用信号SRE1と第1Late相関処理用信号SRL1を生成する。Prompt相関処理用信号SRPはP相関部11へ出力される。第1Early相関処理用信号SRE1および第1Late相関処理用信号SRL1はE−L相関部121へ出力される。
【0040】
相関処理相信号生成部20は、Prompt相関処理用信号SRPのタイミングを中心タイミングとして、コード位相間隔(スペーシング)が1.0chipからなる第2Early相関処理用信号SRE2と第2Late相関処理用信号SRL2を生成する。第2Early相関処理用信号SRE2および第2Late相関処理用信号SRL2はE−L相関部122へ出力される。
【0041】
相関処理用信号生成部20は、Prompt相関処理用信号SRPのタイミングを中心タイミングとして、コード位相間隔(スペーシング)が1.2chipからなる第3Early相関処理用信号SRE3および第3Late相関処理用信号SRL3を生成する。第3Early相関処理用信号SRE3および第3Late相関処理用信号SRL3はE−L相関部123へ出力される。
【0042】
P相関部11は、Prompt相関処理用信号SRPとベースバンド信号SBとを乗算してPrompt相関値を出力する。Prompt相関値は測位演算部56へ出力される。
【0043】
E−L相関部121は、第1Early相関処理用信号SRE1とベースバンド信号SBとを乗算して第1Early相関値を算出する。E−L相関部121は、第1Late相関処理用信号SRL1とベースバンド信号SBとを乗算して第1Late相関値を算出する。E−L相関部121は、第1Early相関値から第1Late相関値を減算して、第1E−L相関値を算出する。E−L相関部121は、第1E−L相関値を所定時間積算し、第1コード位相差情報を算出し、擬似距離算出部131へ出力する。なお、第1コード位相差情報は、相関処理用信号生成部20へも出力される。
【0044】
E−L相関部122は、第2Early相関処理用信号SRE2とベースバンド信号SBとを乗算して第2Early相関値を算出する。E−L相関部122は、第2Late相関処理用信号SRL2とベースバンド信号SBとを乗算して第2Late相関値を算出する。E−L相関部122は、第2Early相関値から第2Late相関値を減算して、第2E−L相関値を算出する。E−L相関部122は、第2E−L相関値を所定時間積算し、第2コード位相差情報を算出し、擬似距離算出部132へ出力する。
【0045】
E−L相関部123は、第3Early相関処理用信号SRE3とベースバンド信号SBとを乗算して第3Early相関値を算出する。E−L相関部123は、第3Late相関処理用信号SRL3とベースバンド信号SBとを乗算して第3Late相関値を算出する。E−L相関部123は、第3Early相関値から第3Late相関値を減算して、第3E−L相関値を算出する。E−L相関部123は、第3E−L相関値を所定時間積算し、第3コード位相差情報を算出し、擬似距離算出部133へ出力する。
【0046】
擬似距離算出部131は、第1E−L相関値に基づく第1コード位相差情報を用いて第1擬似距離ρ1を算出する。擬似距離算出部131は、第1擬似距離ρ1を加算器141,142へ出力する。
【0047】
擬似距離算出部132は、第2E−L相関値に基づく第2コード位相差情報を用いて第2擬似距離ρ2を算出する。擬似距離算出部132は、第2擬似距離ρ2を加算器141へ出力する。
【0048】
擬似距離算出部133は、第3E−L相関値に基づく第3コード位相差情報を用いて第3擬似距離ρ3を算出する。擬似距離算出部133は、第3擬似距離ρ3を加算器142へ出力する。
【0049】
加算器141は、第2擬似距離ρ2から第1擬似距離ρ1を減算することで第1擬似距離差分値Δρ21を算出し、マルチパス遅延量算出部15へ出力する。
【0050】
加算器142は、第3擬似距離ρ3から第1擬似距離ρ1を減算することで第2擬似距離差分値Δρ31を算出し、マルチパス遅延量算出部15へ出力する。
【0051】
なお、擬似距離差分値を算出する擬似距離の組合せ方は、これに限るものではなく、他の組合せであってもよい。ただし、本実施形態に示すように、一つの擬似距離を基準として各擬似距離差分値を算出するとよく、さらには、相関処理用信号の生成に利用するコード位相差情報に基づく擬似距離を基準に用いるとよりよい。
【0052】
マルチパス遅延量算出部15は、第1擬似距離差分値Δρ21と第2擬似距離差分値Δρ31とに基づいて、マルチパス遅延量を算出する。この際、マルチパス遅延量算出部15は、マルチパス状態情報を参照してマルチパス遅延量を算出する。
【0053】
マルチパス遅延量算出部15は、具体的には次に示す処理により、マルチパス遅延量を算出する。図2は本実施形態に係るマルチパス検出方法を用いた場合のマルチパス遅延量に対する擬似距離差分値の特性を示す図である。
【0054】
図2において、実線はマルチパス遅延量に対する第1擬似距離差分値Δρ21の遷移を示しており、破線はマルチパス遅延量に対する第2擬似距離差分値Δρ31の遷移を示している。図2に示すように、第1擬似距離差分値Δρ21と第2擬似距離差分値Δρ31とでは、マルチパス遅延量に対する遷移状態が異なる。
【0055】
例えば、図2に示すように、第1擬似距離差分値Δρ21が約23mの場合、マルチパス遅延量は約60mもしくは約330mとなる。また、第2擬似距離差分値Δρ31が約30mの場合、マルチパス遅延量は約75mもしくは約330mとなる。したがって、第1擬似距離差分値Δρ21によるマルチパス遅延量と第2擬似距離差分値Δρ31によるマルチパス遅延量とが一致する、約60mが求めるべきマルチパス遅延量となる。
【0056】
この原理を利用し、マルチパス遅延量算出部15は、マルチパス遅延量に対する各擬似距離差分値Δρ21,Δρ31を、予め関係テーブルとして記憶しておく。マルチパス遅延量算出部15は、第1擬似距離差分値Δρ21と第2擬似距離差分値Δρ31とを取得すると、関係テーブルから、それぞれの擬似距離差分値に対応するマルチパス遅延量の候補を抽出し、各擬似距離差分値で一致するマルチパス遅延量を出力する。このような関係テーブル化を行うことで、擬似距離差分値を取得する毎にマルチパス遅延量を算出するよりも、高速にマルチパス遅延量を出力することができる。
【0057】
なお、この際、マルチパス遅延量算出部15は、マルチパス状態情報の振幅比に基づいて、各擬似距離差分値を補正し、マルチパス遅延量の決定に利用する。これは、直接波信号と間接波信号との振幅比に応じて擬似距離が変化することに基づくものであり、この振幅比と補正値との関係もテーブル化して記憶しておけばよい。そして、このように振幅比による擬似距離差分値の補正を行うことで、振幅比毎に関係テーブルを持つ必要がなく、マルチパス遅延量算出のためのリソースを節約することができる。
【0058】
なお、上述の説明では、各処理を機能ブロック毎に実行する場合を示したが、これらの機能ブロックの処理をプログラム化して記憶しておき、CPU等の演算器で当該プログラムを実行するようにしてもよい。図3は、マルチパス遅延量算出処理を行うプログラムの実行フローを示す図である。なお、当該実行フローは、上述の機能部で行われる処理をCPUで実行する際のフローであるので、各処理の説明は簡略的に説明する。
【0059】
まず、到来した信号を受信して、受信信号を取得する(S101)。次に、受信信号に基づいて、直接波信号と間接波信号との振幅比を含むマルチパス状態を検出する(S102)。
【0060】
次に、三組のEarly相関処理用信号とLate相関処理用信号を用いて、それぞれに第1擬似距離ρ1、第2擬似距離ρ2、第3擬似距離ρ3を算出する(S103)。
【0061】
次に、第1擬似距離ρ1、第2擬似距離ρ2、第3擬似距離ρ3を用いて、第1擬似距離差分値Δρ21と第2擬似距離差分値Δρ31を算出する(S104)。
【0062】
次に、振幅比に基づいて、第1擬似距離差分値Δρ21と第2擬似距離差分値Δρ31を補正し、正規化する(S105)。
【0063】
次に、正規化した第1擬似距離差分値Δρ21と第2擬似距離差分値Δρ31を元に、擬似距離差分値とマルチパス遅延量との関係テーブルから、マルチパス遅延量を決定する(S106)。
【0064】
以上のように、本実施形態の構成および処理を用いることで、マルチパス遅延量を、従来よりも高精度に算出できる。また、このような高精度なマルチパス遅延量を用いることで、高精度な測位演算も可能になる。
【0065】
次に、第2の実施形態に係るマルチパス検出装置について、図を参照して説明する。図4は、本実施形態のマルチパス検出装置を備えるGNSS信号受信装置1Aの主要構成を示すブロック図である。なお、図4では、マルチパス検出装置に対応する箇所のみを記載している。本実施形態のGNSS信号受信装置1Aは、第1の実施形態のGNSS信号受信装置に対して、相関処理用信号生成部20Aの処理が異なり、これによるマルチパス遅延量算出部15の参照する関連テーブルが異なるものである。したがって異なる箇所のみを説明する。
【0066】
図5はBPSK相関処理用信号、BOCcosサブキャリア、BOCcos相関処理用信号、BOCmodサブキャリア、BOCmod相関処理用信号の波形図である。
【0067】
相関処理用信号生成部20Aは、第1の実施形態の相関処理用信号生成部20と同様に、BPSK相関処理用信号からなるPrompt相関処理用信号SRP、第1、第2Early相関処理用信号SRE1,SRE2、および第1、第2Late相関処理用信号SRL1,SLL2を生成する。Prompt相関処理用信号はP相関部11へ出力される。第1Early相関処理用信号SRE1および第1Late相関処理用信号SRL1は、E−L相関部121へ出力される。第2Early相関処理用信号SRE2および第2Late相関処理用信号SLL2は、E−L相関部122へ出力される。
【0068】
また、相関処理用信号生成部20Aは、上述のBPSK相関処理用信号にBOCcosサブキャリア信号を乗算したBOCcos相関処理用信号からなる次の各相関処理用信号を生成する。
【0069】
ここで、BOCcosサブキャリアは、図5に示すように、BPSK相関処理用信号(レプリカ信号)の1chip期間内で符号反転が生じる信号である。BOCcosサブキャリアは、1chip期間の中間タイミング(0.5chipタイミング)を中心として、0.5chipの期間に亘りHiレベルとなり、他の期間でLowレベルとなる信号である。すなわち、1chipの始まるタイミングから0.25chipまではLowレベルで、0.25chipから0.75chipまではHiレベルとなり、0.75chipから1.0chipまではLowレベルとなる信号である。
【0070】
そして、図5に示すように、BOCcos相関処理用信号は、ベースとなるBPSK相関処理用信号の符号がHiのチップではBOCcosサブキャリアの波形がそのまま現れ、BPSK相関処理用信号の符号がLowのチップではBOCcosサブキャリアの波形が反転して現れる信号である。
【0071】
相関処理用信号生成部20Aは、BOCcos相関処理用信号からなり、Prompt相関処理用信号SRPのタイミングを中心タイミングとして、コード位相間隔(スペーシング)が1.0chipからなる第4Early相関処理用信号SRECおよび第4Late相関処理用信号SRLCを生成する。
【0072】
第4Early相関処理用信号SRECおよび第4Late相関処理用信号SLLCは、E−L相関部123へ出力される。
【0073】
P相関部11、E−L相関部121,E−L相関部122の相関処理、擬似距離算出部131,132の擬似距離算出処理、および加算器141の減算処理は、第1の実施形態に示した処理と同じである。
【0074】
E−L相関部123は、第4Early相関処理用信号SRECとベースバンド信号SBとを乗算して第4Early相関値を算出する。E−L相関部123は、第4Late相関処理用信号SRLCとベースバンド信号SBとを乗算して第4Late相関値を算出する。E−L相関部123は、第4Early相関値から第4Late相関値を減算して、第4E−L相関値を算出する。E−L相関部123は、第4E−L相関値を所定時間積算し、第4コード位相差情報を算出し、擬似距離算出部133へ出力する。
【0075】
擬似距離算出部133は、第4E−L相関値に基づく第4コード位相差情報を用いて第4擬似距離ρCを算出する。擬似距離算出部133は、第4擬似距離ρCを加算器142へ出力する。
【0076】
加算器142は、第4擬似距離ρCから第1擬似距離ρ1を減算することで第3擬似距離差分値ΔρC1を算出し、マルチパス遅延量算出部15へ出力する。
【0077】
マルチパス遅延量算出部15は、第1擬似距離差分値Δρ21と第3擬似距離差分値ΔρC1とに基づいて、マルチパス遅延量を算出する。この際、マルチパス遅延量算出部15は、マルチパス状態情報を参照してマルチパス遅延量を算出する。
【0078】
マルチパス遅延量算出部15は、具体的には第1の実施形態と同様の処理により、マルチパス遅延量を算出する。図6は本実施形態に係るマルチパス検出方法を用いた場合のマルチパス遅延量に対する擬似距離差分値の特性を示す図である。
【0079】
図6において、実線はマルチパス遅延量に対する第1擬似距離差分値Δρ21の遷移を示しており、一点鎖線はマルチパス遅延量に対する第3擬似距離差分値ΔρC1の遷移を示している。図6に示すように、第1擬似距離差分値Δρ21と第3擬似距離差分値ΔρC1とでは、マルチパス遅延量に対する遷移状態が異なる。
【0080】
例えば、図6に示すような場合、第1擬似距離差分値Δρ21が約30mの場合、マルチパス遅延量は約75mもしくは約317mとなる。また、第3擬似距離差分値ΔρC1が約−42mの場合、マルチパス遅延量は約75mとなる。したがって、第1擬似距離差分値Δρ21によるマルチパス遅延量と第3擬似距離差分値ΔρC1によるマルチパス遅延量とが一致する約75mが、求めるべきマルチパス遅延量となる。
【0081】
以上のように、本実施形態の構成および処理を用いても、マルチパス遅延量を確実且つ高精度に算出することができる。さらに、本実施形態のように、サブキャリアを用いれば、Early相関処理用信号とLate相関処理用信号の組を、より多様に構成することができる。これにより、マルチパス遅延量に対する擬似距離差分値の特性が多様化し、よりマルチパス遅延量を確実に検出できる組合せを設定しやすい。
【0082】
次に、第3の実施形態に係るマルチパス検出装置について、図を参照して説明する。図7は、本実施形態のマルチパス検出装置を備えるGNSS信号受信装置1Bの主要構成を示すブロック図である。なお、図7では、マルチパス検出装置に対応する箇所のみを記載している。本実施形態のGNSS信号受信装置1Bは、第1、第2の実施形態のGNSS信号受信装置に対して、相関処理用信号生成部20Bの処理が異なり、これによるマルチパス遅延量算出部15の参照する関連テーブルが異なるものである。したがって異なる箇所のみを詳細に説明する。
【0083】
相関処理用信号生成部20Bは、第2の実施形態の相関処理用信号生成部20Aと同様に、BPSK相関処理用信号からなるPrompt相関処理用信号SRP、第1、第2Early相関処理用信号SRE1,SRE2、および第1、第2Late相関処理用信号SRL1,SLL2を生成する。Prompt相関処理用信号はP相関部11へ出力される。第1Early相関処理用信号SRE1および第1Late相関処理用信号SRL1は、E−L相関部121へ出力される。第2Early相関処理用信号SRE2および第2Late相関処理用信号SLL2は、E−L相関部122へ出力される。
【0084】
また、相関処理用信号生成部20Bは、上述のBPSK相関処理用信号にBOCmodサブキャリア信号を乗算したBOCmod相関処理用信号からなる次の各相関処理用信号を生成する。
【0085】
ここで、BOCmodサブキャリアは、図5に示すように、BPSK相関処理用信号(レプリカ信号)の1chip期間内で符号反転が生じる信号である。BOCmodサブキャリアは、1chip期間の中間タイミング(0.5chipタイミング)を中心として、所定のchip期間(例えば、0.25chipの期間)に亘りHiレベルとなり、他の期間でLowレベルとなる信号である。すなわち、1chipの始まるタイミングから0.375chipまではLowレベルで、0.375chipから0.625chipまではHiレベルとなり、0.625chipから1.0chipまではLowレベルとなる信号である。なお、この状態遷移は一例であり、他の状態遷移を適用してもよい。
【0086】
そして、図5に示すように、BOCmod相関処理用信号は、ベースとなるBPSK相関処理用信号の符号がHiのチップではBOCmodサブキャリアの波形がそのまま現れ、BPSK相関処理用信号の符号がLowのチップではBOCmodサブキャリアの波形が反転して現れる信号である。
【0087】
相関処理用信号生成部20Bは、BOCmod相関処理用信号からなり、Prompt相関処理用信号SRPのタイミングを中心タイミングとして、コード位相間隔(スペーシング)が1.0chipからなる第5Early相関処理用信号SREMおよび第5Late相関処理用信号SRLMを生成する。
【0088】
第5Early相関処理用信号SREMおよび第5Late相関処理用信号SLLMは、E−L相関部123へ出力される。
【0089】
P相関部11、E−L相関部121,E−L相関部122の相関処理、擬似距離算出部131,132の擬似距離算出処理、および加算器141の減算処理は、第1の実施形態に示した処理と同じである。
【0090】
E−L相関部123は、第5Early相関処理用信号SREMとベースバンド信号SBとを乗算して第5Early相関値を算出する。E−L相関部123は、第5Late相関処理用信号SRLMとベースバンド信号SBとを乗算して第5Late相関値を算出する。E−L相関部123は、第5Early相関値から第5Late相関値を減算して、第5E−L相関値を算出する。E−L相関部123は、第5E−L相関値を所定時間積算し、第5コード位相差情報を算出し、擬似距離算出部133へ出力する。
【0091】
擬似距離算出部133は、第5E−L相関値に基づく第5コード位相差情報を用いて第5擬似距離ρMを算出する。擬似距離算出部133は、第5擬似距離ρMを加算器142へ出力する。
【0092】
加算器142は、第5擬似距離ρMから第1擬似距離ρ1を減算することで第4擬似距離差分値ΔρM1を算出し、マルチパス遅延量算出部15へ出力する。
【0093】
マルチパス遅延量算出部15は、第1擬似距離差分値Δρ21と第4擬似距離差分値ΔρM1とに基づいて、マルチパス遅延量を算出する。この際、マルチパス遅延量算出部15は、マルチパス状態情報を参照してマルチパス遅延量を算出する。
【0094】
マルチパス遅延量算出部15は、具体的には第1の実施形態と同様の処理により、マルチパス遅延量を算出する。図8は本実施形態に係るマルチパス検出方法を用いた場合のマルチパス遅延量に対する擬似距離差分値の特性を示す図である。
【0095】
図8において、実線はマルチパス遅延量に対する第1擬似距離差分値Δρ21の遷移を示しており、二点鎖線はマルチパス遅延量に対する第4擬似距離差分値ΔρM1の遷移を示している。図8に示すように、第1擬似距離差分値Δρ21と第4擬似距離差分値ΔρM1とでは、マルチパス遅延量に対する遷移状態が異なる。
【0096】
例えば、図8に示すような場合、第1擬似距離差分値Δρ21が約25mの場合、マルチパス遅延量は約65mもしくは約340mとなる。また、第4擬似距離差分値ΔρM1が約−12mの場合、マルチパス遅延量は約10mもしくは約65mとなる。したがって、第1擬似距離差分値Δρ21によるマルチパス遅延量と第4擬似距離差分値ΔρM1によるマルチパス遅延量とが一致する約65mが、求めるべきマルチパス遅延量となる。
【0097】
以上のように、本実施形態の構成および処理を用いても、マルチパス遅延量を確実且つ高精度に算出することができる。
【0098】
次に、第4の実施形態に係るマルチパス検出装置について、図を参照して説明する。図9は、本実施形態のマルチパス検出装置を備えるGNSS信号受信装置1Cの主要構成を示すブロック図である。なお、図9では、マルチパス検出装置に対応する箇所のみを記載している。本実施形態のGNSS信号受信装置1Cは、第1、第2、第3の実施形態のGNSS信号受信装置に対して、相関処理用信号生成部20Cの処理が異なり、これによるマルチパス遅延量算出部15の参照する関連テーブルが異なるものである。したがって異なる箇所のみを詳細に説明する。
【0099】
相関処理用信号生成部20Cは、第1の実施形態の相関処理用信号生成部20と同様に、BPSK相関処理用信号からなるPrompt相関処理用信号SRP、第1Early相関処理用信号SRE1、および第1Late相関処理用信号SRL1を生成する。Prompt相関処理用信号はP相関部11へ出力される。第1Early相関処理用信号SRE1および第1Late相関処理用信号SRL1は、E−L相関部121へ出力される。
【0100】
また、相関処理用信号生成部20Cは、第2の実施形態の相関処理用信号生成部20Aと同様に、BOCcos相関処理用信号からなる第4Early相関処理用信号SRECおよび第4Late相関処理用信号SRLCを生成する。第4Early相関処理用信号SRECおよび第4Late相関処理用信号SLLCは、E−L相関部123へ出力される。
【0101】
また、相関処理用信号生成部20Cは、第3の実施形態の相関処理用信号生成部20Bと同様に、BOCmod相関処理用信号からなる第5Early相関処理用信号SREMおよび第5Late相関処理用信号SRLMを生成する。第5Early相関処理用信号SREMおよび第5Late相関処理用信号SLLMは、E−L相関部123へ出力される。
【0102】
P相関部11、E−L相関部121の相関処理、擬似距離算出部131の擬似距離算出処理は第1の実施形態に示した処理と同じである。
【0103】
E−L相関部122は、第4Early相関処理用信号SRECとベースバンド信号SBとを乗算して第4Early相関値を算出する。E−L相関部123は、第4Late相関処理用信号SRLCとベースバンド信号SBとを乗算して第4Late相関値を算出する。E−L相関部123は、第4Early相関値から第4Late相関値を減算して、第4E−L相関値を算出する。E−L相関部123は、第4E−L相関値を所定時間積算し、第4コード位相差情報を算出し、擬似距離算出部132へ出力する。
【0104】
E−L相関部123は、第5Early相関処理用信号SREMとベースバンド信号SBとを乗算して第5Early相関値を算出する。E−L相関部123は、第5Late相関処理用信号SRLMとベースバンド信号SBとを乗算して第5Late相関値を算出する。E−L相関部123は、第5Early相関値から第5Late相関値を減算して、第5E−L相関値を算出する。E−L相関部123は、第5E−L相関値を所定時間積算し、第5コード位相差情報を算出し、擬似距離算出部133へ出力する。
【0105】
擬似距離算出部132は、第4E−L相関値に基づく第4コード位相差情報を用いて第4擬似距離ρCを算出する。擬似距離算出部132は、第4擬似距離ρCを加算器141へ出力する。
【0106】
擬似距離算出部133は、第5E−L相関値に基づく第5コード位相差情報を用いて第5擬似距離ρMを算出する。擬似距離算出部133は、第5擬似距離ρMを加算器142へ出力する。
【0107】
加算器141は、第4擬似距離ρCから第1擬似距離ρ1を減算することで第3擬似距離差分値ΔρC1を算出し、マルチパス遅延量算出部15へ出力する。
【0108】
加算器142は、第5擬似距離ρMから第1擬似距離ρ1を減算することで第4擬似距離差分値ΔρM1を算出し、マルチパス遅延量算出部15へ出力する。
【0109】
マルチパス遅延量算出部15は、第3擬似距離差分値ΔρC1と第4擬似距離差分値ΔρM1とに基づいて、マルチパス遅延量を算出する。この際、マルチパス遅延量算出部15は、マルチパス状態情報を参照してマルチパス遅延量を算出する。
【0110】
マルチパス遅延量算出部15は、具体的には第1の実施形態と同様の処理により、マルチパス遅延量を算出する。図10は本実施形態に係るマルチパス検出方法を用いた場合のマルチパス遅延量に対する擬似距離差分値の特性を示す図である。
【0111】
図10において、一点鎖線はマルチパス遅延量に対する第3擬似距離差分値ΔρC1の遷移を示しており、二点鎖線はマルチパス遅延量に対する第4擬似距離差分値ΔρM1の遷移を示している。図10に示すように、第3擬似距離差分値ΔρC1と第4擬似距離差分値ΔρM1とでは、マルチパス遅延量に対する遷移状態が異なる。
【0112】
例えば、図10に示すような場合、第3擬似距離差分値ΔρC1が約−30mの場合、マルチパス遅延量は約45mもしくは約100mとなる。また、第4擬似距離差分値ΔρM1が約5mの場合、マルチパス遅延量は約100m、約245m、約275mもしくは約420mとなる。したがって、第3擬似距離差分値ΔρC1によるマルチパス遅延量と第4擬似距離差分値ΔρM1によるマルチパス遅延量とが一致する約100mが、求めるべきマルチパス遅延量となる。
【0113】
以上のように、本実施形態の構成および処理を用いても、マルチパス遅延量を確実且つ高精度に算出することができる。さらに、本実施形態に示すように、Early相関処理用信号およびLate相関処理用信号を生成する元となる信号を、さらに増加させることで、マルチパス遅延量に対する擬似距離差分値の特性がさらに多様化し、よりマルチパス遅延量を確実に検出できる組合せを設定しやすい。
【0114】
なお、上述の各実施形態では、三組の異なるEarly相関処理用信号とLate相関処理用信号を用いて、二個の擬似距離差分値を算出し、マルチパス遅延量を算出する例を示したが、Early相関処理用信号とLate相関処理用信号の組数は三組以上であり、擬似距離差分値は二個以上であれば、同様にマルチパス遅延量を算出することができる。
【0115】
また、上述の説明では、サブキャリアとして、BOCcosサブキャリアおよびBOCmodサブキャリアを用いた例を示したが、他のサブキャリアを用いてもよい。また、上述の説明では、BPSK相関処理用信号の1チップに、サブキャリア1周期分を重畳する例を示したが、BPSK相関処理用信号の1チップに、サブキャリアの複数周期分を重畳して相関処理用信号を生成してもよい。
【0116】
そして、このようなGNSS信号受信装置やGNSS信号受信機能は、図11に示すような移動端末300に利用される。図11は、本実施形態のGNSS信号受信装置1を備えた移動端末300の主要構成を示すブロック図である。なお、ここでは、GNSS信号受信装置1を例に説明するが、他の実施形態のGNSS信号受信装置1A,1B,1Cにも同様に適用できる。
【0117】
図11に示すような移動端末200は、例えば携帯電話機、カーナビゲーション装置、PND、カメラ、時計等であり、GNSS信号受信装置1、およびアプリケーション処理部300を備える。GNSS信号受信装置1は、上述の構成のものである。
【0118】
アプリケーション処理部300は、GNSS信号受信装置1から出力された測位結果に基づいて、自装置位置や自装置速度を表示したり、ナビゲーション等に利用するための処理を実行する。
【0119】
このような構成において、上述の高精度な測位結果を得られることで、高精度な位置表示やナビゲーション等を実現することができる。
【符号の説明】
【0120】
1、1A,1B,1C:GNSS信号受信装置、11:P相関部、121,122,123:E−L相関部、131,132,133:擬似距離算出部、141,142:加算器、15:マルチパス遅延量算出部、20,20A,20B,20C:相関処理用信号生成部、50:アンテナ、51:RF処理部、52:マルチパス情報検出部、53:キャリアNCO、54:ベースバンド変換部、55:測位演算部、
200:移動端末、300:アプリケーション処理部
【技術分野】
【0001】
この発明は、受信環境によって生じる可能性があるGNSS信号のマルチパス誤差を検出するマルチパス誤差検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
GPS(Global Positioning Sytem)信号等のGNSS(Global Navigation Satellite System)信号を受信して擬似距離の測定等を行うGNSS受信装置では、擬似距離の測定精度を劣化させる要因の一つとして、マルチパスがある。マルチパスとは、受信機周囲の高層建築物等に反射してから受信機に到達するGNSS信号であるマルチパス信号を、直接到来したGNSS信号とともに受信することで生じる。
【0003】
そして、従来、特許文献1、特許文献2に示すように、マルチパスを検出する方法および装置が各種考案されている。例えば、特許文献1の装置では、前回算出した擬似距離に基づいて今回の擬似距離を推定し、今回の推定擬似距離と今回算出した擬似距離との差分が所定閾値以上であれば、マルチパスが有ると判断している。また、特許文献2の装置では、受信信号とレプリカ信号とによる実際の相関結果と、マルチパスが無いことを前提にした理想的な相関結果との間の差分値が所定閾値以上であれば、マルチパスが有ると判断する。また、その差分値に応じて、予め定めた遅延量のテーブルから差分値を推定算出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−328157号公報
【特許文献2】特開2005−207815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の各特許文献に記載された従来のマルチパス検出方法では、単にマルチパスの有無が検出できるものであったり、理想的な相関結果に基づいてマルチパスの有無を検出したり遅延量を推定算出したりするものであるので、正確なマルチパス遅延量を算出できるものではなかった。
【0006】
この発明の目的は、単にマルチパスの有無を検出するだけでなく、マルチパス遅延量を、より正確に算出できるマルチパス検出方法を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、GNSS信号を受信する際に生じるマルチパスを検出するマルチパス検出方法、マルチパス検出プログラム、およびマルチパス検出装置に関する。このマルチパス検出方法では、アーリーレイト相関処理用信号生成工程と、擬似距離算出工程と、擬似距離差分値算出工程と、マルチパス遅延量算出工程と、を有する。
【0008】
アーリーレイト相関処理用信号生成工程では、GNSS信号の拡散コードを有する相関処理用信号に基づいて、少なくとも三組のアーリー(Early)相関処理用信号とレイト(Late)相関処理用信号との組を生成する。この際、相関処理用信号の組間で、それぞれにコード位相間隔を異ならせるか、もしくは相関処理用コードを異ならせる。
【0009】
擬似距離算出工程では、各組のEarly相関処理用信号およびLate相関処理用信号と前記受信信号との相関処理を行い、それぞれの相関処理結果から擬似距離を算出する。
【0010】
擬似距離差分値算出工程では、それぞれに異なる擬似距離の組合せで擬似距離差分値を算出する。
【0011】
マルチパス遅延量算出工程では、少なくとも二個の擬似距離差分値に基づいてマルチパス遅延量を算出する。
【0012】
この方法では、Early相関値とLate相関値との差分であるE−L相関値に基づく擬似距離が、Early相関処理用信号およびLate相関処理用信号のコード間隔や各相関処理用コードによって異なり、且つ、マルチパス遅延量によって異なることを利用している。さらに、この方法では、各擬似距離同士を差分した擬似距離差分値も、各擬似距離の算出仕様および擬似距離の組合せによって異なり、且つマルチパス遅延量によって異なることを利用している。そして、このような特性を有する擬似距離差分値を複数算出すれば、各擬似距離差分値の算出仕様(元となるとEarly相関処理用信号およびLate相関処理用信号の仕様)と、擬似距離差分値の組との組合せにより、マルチパス遅延量が略一意に決定される。
【0013】
また、この発明のマルチパス検出方法では、擬似距離差分値算出工程は、基準となる擬似距離を一つ設定し、該基準の擬似距離に対する差分により、各擬似距離差分値を算出する。
【0014】
この方法では、擬似距離差分値の具体的な算出方法を示している。
【0015】
また、この発明のマルチパス検出方法では、アーリーレイト相関処理用信号生成工程は、少なくとも三組のアーリー(Early)相関処理用信号とレイト(Early)相関処理用信号との組を、単一の相関処理用信号を用いて、それぞれにコード位相間隔を異ならせて生成する。
【0016】
この方法では、Early相関処理用信号とLate相関処理用信号の各組の具体的な生成方法を示している。この方法を用いることで、一種類の相関処理用信号に対して、スペーシングの異なるE−L相関値を三個算出することができる。そして、この三個のE−L相関値を用いれば、擬似距離に対する差分値を二個算出することができ、マルチパス遅延量を算出できる。したがって、例えば、コード捕捉やコード追尾に利用するGNSS信号のレプリカ信号のみを用いて、マルチパス遅延量を算出することができる。
【0017】
また、この発明のマルチパス検出方法では、相関処理用信号に重畳させるサブキャリアを生成するサブキャリア生成工程を有する。アーリーレイト相関処理用信号生成工程は、少なくとも三組のアーリー相関処理用信号とレイト相関処理用信号との組を、拡散コードから生成された基本相関処理用信号と、サブキャリアが重畳された拡散コードから生成されたサブキャリア重畳型の相関処理用信号とを用いて生成する。
【0018】
この方法では、Early相関処理用信号とLate相関処理用信号の各組の具体的な生成方法を示している。この方法を用いることで、Early相関処理用信号とLate相関処理用信号の各組を生成するためのコード位相制御前の相関処理用信号が複数種類となる。例えば、上述のGNSS信号のレプリカ信号と、当該レプリカ信号に対して所定のサブキャリアを重畳した信号とを用いてマルチパス遅延量を算出する。これにより、マルチパス遅延量に対する擬似距離差分値の特性を、より多様にすることができる。
【0019】
また、この発明のマルチパス検出方法では、マルチパス遅延量算出工程は、少なくとも二組の擬似距離差分値の組合せとマルチパス遅延量との関係テーブルを予め記憶している。マルチパス遅延量算出工程は、算出された各擬似距離差分値と関係テーブルとを用いてマルチパス遅延量を算出する。
【0020】
この方法では、擬似距離差分値の組毎に、マルチパス遅延量に対する各擬似距離差分値を関係テーブルとして記憶しておき、算出した各擬似距離差分値を参照して関係テーブルを読み出し、マルチパス遅延量を決定する。これにより、各擬似距離差分値を取得する度に、マルチパス遅延量の算出演算処理を行わなくても良く、より高速にマルチパス遅延量を算出できる。
【0021】
また、この発明のマルチパス検出方法では、マルチパスを生じるGNSS信号の直接波信号と間接波信号との振幅比を検出するマルチパス状態検出工程を有する。マルチパス遅延量算出工程は、振幅比を加味してマルチパス遅延量を算出する。
【0022】
この方法では、算出するマルチパス遅延量に対して、振幅比に基づく補正を行う。これにより、より正確なマルチパス遅延量を算出することができる。
【0023】
また、この発明は、GNSS信号受信方法、GNSS信号受信プログラム、およびGNSS信号受信装置に関する。本発明のGNSS信号受信方法では、上述のいずれかのマルチパス検出方法を含むとともに、擬似距離とマルチパス遅延量とを用いて測位演算を行う測位演算工程を有する。
【0024】
この方法では、上述のように正確に算出されたマルチパス遅延量を用いて測位演算が行われるので、高精度な測位結果を得られる。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、マルチパス遅延量を、従来よりも正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1の実施形態に係るマルチパス検出装置を含むGNSS信号受信装置1の主要構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態に係るマルチパス検出方法を用いた場合のマルチパス遅延量に対する擬似距離差分値の特性を示す図である。
【図3】第1の実施形態に係るマルチパス検出方法のフローチャートである。
【図4】第2の実施形態に係るマルチパス検出装置を含むGNSS信号受信装置1Aの主要構成を示すブロック図である。
【図5】BPSK相関処理用信号、BOCcosサブキャリア、BOCcos相関処理用信号、BOCmodサブキャリア、BOCmod相関処理用信号の波形図である。
【図6】第2の実施形態に係るマルチパス検出方法を用いた場合のマルチパス遅延量に対する擬似距離差分値の特性を示す図である。
【図7】第3の実施形態に係るマルチパス検出装置を含むGNSS信号受信装置1Bの主要構成を示すブロック図である。
【図8】第3の実施形態に係るマルチパス検出方法を用いた場合のマルチパス遅延量に対する擬似距離差分値の特性を示す図である。
【図9】第4の実施形態に係るマルチパス検出装置を含むGNSS信号受信装置1Cの主要構成を示すブロック図である。
【図10】第4の実施形態に係るマルチパス検出方法を用いた場合のマルチパス遅延量に対する擬似距離差分値の特性を示す図である。
【図11】本発明の実施形態のGNSS信号受信装置1を備えた移動端末300の主要構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施形態に係るマルチパス検出方法、マルチパス検出プログラムおよびマルチパス検出装置について説明する。なお、本実施形態では、GNSS信号受信方法、GNSS信号受信プログラムおよびGNSS信号受信装置におけるマルチパス検出方法、マルチパス検出プログラムおよびマルチパス検出装置を例に示している。また、本実施形態では、GNSS信号としてGPS信号を用いた場合を示している。
【0028】
図1は、本実施形態のマルチパス検出装置を備えるGNSS信号受信装置1の主要構成を示すブロック図である。
【0029】
GNSS信号受信装置1は、アンテナ50、RF処理部51、マルチパス状態検出部52、キャリアNCO53、ベースバンド変換部54、測位演算部55を備えるととともに、コード追尾とマルチパス遅延量の算出とを行う機能部を備える。
【0030】
アンテナ50は、各GPS衛星から放送されたGPS信号を受信して、受信信号をRF処理部51へ出力する。この際、アンテナ50は、複数の個別アンテナが所定パターンで配置されたアレイアンテナである。
【0031】
RF処理部51は、受信したGPS信号をダウンコンバートして、中間周波数信号(IF信号)を生成し、マルチパス状態検出部52およびベースバンド変換部54へ出力する。RF処理部51は、個別アンテナ毎に備えられていることが好ましい。
【0032】
マルチパス状態検出部52は、複数の個別アンテナが受信して得られるIF信号に対してMUSIC法を適用することで、受信信号を構成する直接波信号と間接波信号との到来方向、間接波信号の個数、直接波信号と間接波信号との振幅比を算出する。マルチパス状態検出部52は、少なくとも直接波信号と間接波信号との振幅比(以下、単に振幅比と称する。)を有するマルチパス状態情報を、マルチパス遅延量算出部15へ出力する。なお、他のマルチパス状態を検出する方法を用い、単独のアンテナでもマルチパス状態が検出できるのであれば、アンテナ50は単独のアンテナでよく、この場合RF処理部51も一個でよい。
【0033】
ベースバンド変換部54は、キャリアNCO53からのキャリア周波数信号をIF信号に乗算することで、ベースバンド信号SBを生成する。ベースバンド信号SBは、コード追尾とマルチパス遅延量算出とを行う機能部へ出力される。このコード追尾とマルチパス遅延量算出とを行う機能部が、本発明の「マルチパス検出装置」に相当する。
【0034】
コード追尾とマルチパス遅延量算出とを行う機能部は、詳細な構成および処理を後述するが、所謂Early−Late相関処理結果を用いて、GPS信号のベースバンド信号SBを追尾処理するとともに、マルチパス遅延量を算出する。そして、この機能部は、Prompt相関値、Early−Late相関処理結果から得られる擬似距離、およびマルチパス遅延量を、測位演算部55へ出力する。
【0035】
測位演算部55は、Prompt相関値から航法メッセージを解読する。測位演算部55は、航法メッセージと擬似距離とを用いて、既知の方法で測位演算を行う。この際、測位演算部55は、キャリアNCO53からのキャリア位相を用いることで、より高精度な測位演算を行うこともできる。さらに、測位演算部55は、精度良く算出されたマルチパス遅延量を用いて擬似距離等を補正することで、より高精度に測位演算を行うことができる。
【0036】
次に、コード追尾とマルチパス遅延量算出とを行う機能部の具体的構成および処理について説明する。図1に示すように、コード追尾とマルチパス遅延量算出とを行う機能部は、P相関部11、E−L相関部121,122,123、擬似距離算出部131,132,133、加算器141,142、マルチパス遅延量算出部15、および、相関処理用信号生成部20を備える。
【0037】
ベースバンド信号SBは、P相関部11、第1のE−L相関部121、第2のE−L相関部122、第3のE−L相関部123へ入力される。
【0038】
まず、ベースバンド信号SBとの相関処理に利用する相関処理用信号を生成する相関処理信号生成部20の構成について説明する。相関処理用信号生成部20は、E−L相関部121から出力された第1コード位相差情報に基づいて、GPS信号に用いられている拡散コード(C/AコードもしくはPコード)を備えるBPSK相関処理用信号からなる次の各相関処理用信号を生成する。
【0039】
相関処理用信号生成部20は、E−L相関値が0になるようなタイミングで、Prompt相関処理用信号SRPを生成する。相関処理用信号生成部20は、Prompt相関処理用信号SRPのタイミングを中心タイミングとして、コード位相間隔(スペーシング)が0.1chipからなる第1Early相関処理用信号SRE1と第1Late相関処理用信号SRL1を生成する。Prompt相関処理用信号SRPはP相関部11へ出力される。第1Early相関処理用信号SRE1および第1Late相関処理用信号SRL1はE−L相関部121へ出力される。
【0040】
相関処理相信号生成部20は、Prompt相関処理用信号SRPのタイミングを中心タイミングとして、コード位相間隔(スペーシング)が1.0chipからなる第2Early相関処理用信号SRE2と第2Late相関処理用信号SRL2を生成する。第2Early相関処理用信号SRE2および第2Late相関処理用信号SRL2はE−L相関部122へ出力される。
【0041】
相関処理用信号生成部20は、Prompt相関処理用信号SRPのタイミングを中心タイミングとして、コード位相間隔(スペーシング)が1.2chipからなる第3Early相関処理用信号SRE3および第3Late相関処理用信号SRL3を生成する。第3Early相関処理用信号SRE3および第3Late相関処理用信号SRL3はE−L相関部123へ出力される。
【0042】
P相関部11は、Prompt相関処理用信号SRPとベースバンド信号SBとを乗算してPrompt相関値を出力する。Prompt相関値は測位演算部56へ出力される。
【0043】
E−L相関部121は、第1Early相関処理用信号SRE1とベースバンド信号SBとを乗算して第1Early相関値を算出する。E−L相関部121は、第1Late相関処理用信号SRL1とベースバンド信号SBとを乗算して第1Late相関値を算出する。E−L相関部121は、第1Early相関値から第1Late相関値を減算して、第1E−L相関値を算出する。E−L相関部121は、第1E−L相関値を所定時間積算し、第1コード位相差情報を算出し、擬似距離算出部131へ出力する。なお、第1コード位相差情報は、相関処理用信号生成部20へも出力される。
【0044】
E−L相関部122は、第2Early相関処理用信号SRE2とベースバンド信号SBとを乗算して第2Early相関値を算出する。E−L相関部122は、第2Late相関処理用信号SRL2とベースバンド信号SBとを乗算して第2Late相関値を算出する。E−L相関部122は、第2Early相関値から第2Late相関値を減算して、第2E−L相関値を算出する。E−L相関部122は、第2E−L相関値を所定時間積算し、第2コード位相差情報を算出し、擬似距離算出部132へ出力する。
【0045】
E−L相関部123は、第3Early相関処理用信号SRE3とベースバンド信号SBとを乗算して第3Early相関値を算出する。E−L相関部123は、第3Late相関処理用信号SRL3とベースバンド信号SBとを乗算して第3Late相関値を算出する。E−L相関部123は、第3Early相関値から第3Late相関値を減算して、第3E−L相関値を算出する。E−L相関部123は、第3E−L相関値を所定時間積算し、第3コード位相差情報を算出し、擬似距離算出部133へ出力する。
【0046】
擬似距離算出部131は、第1E−L相関値に基づく第1コード位相差情報を用いて第1擬似距離ρ1を算出する。擬似距離算出部131は、第1擬似距離ρ1を加算器141,142へ出力する。
【0047】
擬似距離算出部132は、第2E−L相関値に基づく第2コード位相差情報を用いて第2擬似距離ρ2を算出する。擬似距離算出部132は、第2擬似距離ρ2を加算器141へ出力する。
【0048】
擬似距離算出部133は、第3E−L相関値に基づく第3コード位相差情報を用いて第3擬似距離ρ3を算出する。擬似距離算出部133は、第3擬似距離ρ3を加算器142へ出力する。
【0049】
加算器141は、第2擬似距離ρ2から第1擬似距離ρ1を減算することで第1擬似距離差分値Δρ21を算出し、マルチパス遅延量算出部15へ出力する。
【0050】
加算器142は、第3擬似距離ρ3から第1擬似距離ρ1を減算することで第2擬似距離差分値Δρ31を算出し、マルチパス遅延量算出部15へ出力する。
【0051】
なお、擬似距離差分値を算出する擬似距離の組合せ方は、これに限るものではなく、他の組合せであってもよい。ただし、本実施形態に示すように、一つの擬似距離を基準として各擬似距離差分値を算出するとよく、さらには、相関処理用信号の生成に利用するコード位相差情報に基づく擬似距離を基準に用いるとよりよい。
【0052】
マルチパス遅延量算出部15は、第1擬似距離差分値Δρ21と第2擬似距離差分値Δρ31とに基づいて、マルチパス遅延量を算出する。この際、マルチパス遅延量算出部15は、マルチパス状態情報を参照してマルチパス遅延量を算出する。
【0053】
マルチパス遅延量算出部15は、具体的には次に示す処理により、マルチパス遅延量を算出する。図2は本実施形態に係るマルチパス検出方法を用いた場合のマルチパス遅延量に対する擬似距離差分値の特性を示す図である。
【0054】
図2において、実線はマルチパス遅延量に対する第1擬似距離差分値Δρ21の遷移を示しており、破線はマルチパス遅延量に対する第2擬似距離差分値Δρ31の遷移を示している。図2に示すように、第1擬似距離差分値Δρ21と第2擬似距離差分値Δρ31とでは、マルチパス遅延量に対する遷移状態が異なる。
【0055】
例えば、図2に示すように、第1擬似距離差分値Δρ21が約23mの場合、マルチパス遅延量は約60mもしくは約330mとなる。また、第2擬似距離差分値Δρ31が約30mの場合、マルチパス遅延量は約75mもしくは約330mとなる。したがって、第1擬似距離差分値Δρ21によるマルチパス遅延量と第2擬似距離差分値Δρ31によるマルチパス遅延量とが一致する、約60mが求めるべきマルチパス遅延量となる。
【0056】
この原理を利用し、マルチパス遅延量算出部15は、マルチパス遅延量に対する各擬似距離差分値Δρ21,Δρ31を、予め関係テーブルとして記憶しておく。マルチパス遅延量算出部15は、第1擬似距離差分値Δρ21と第2擬似距離差分値Δρ31とを取得すると、関係テーブルから、それぞれの擬似距離差分値に対応するマルチパス遅延量の候補を抽出し、各擬似距離差分値で一致するマルチパス遅延量を出力する。このような関係テーブル化を行うことで、擬似距離差分値を取得する毎にマルチパス遅延量を算出するよりも、高速にマルチパス遅延量を出力することができる。
【0057】
なお、この際、マルチパス遅延量算出部15は、マルチパス状態情報の振幅比に基づいて、各擬似距離差分値を補正し、マルチパス遅延量の決定に利用する。これは、直接波信号と間接波信号との振幅比に応じて擬似距離が変化することに基づくものであり、この振幅比と補正値との関係もテーブル化して記憶しておけばよい。そして、このように振幅比による擬似距離差分値の補正を行うことで、振幅比毎に関係テーブルを持つ必要がなく、マルチパス遅延量算出のためのリソースを節約することができる。
【0058】
なお、上述の説明では、各処理を機能ブロック毎に実行する場合を示したが、これらの機能ブロックの処理をプログラム化して記憶しておき、CPU等の演算器で当該プログラムを実行するようにしてもよい。図3は、マルチパス遅延量算出処理を行うプログラムの実行フローを示す図である。なお、当該実行フローは、上述の機能部で行われる処理をCPUで実行する際のフローであるので、各処理の説明は簡略的に説明する。
【0059】
まず、到来した信号を受信して、受信信号を取得する(S101)。次に、受信信号に基づいて、直接波信号と間接波信号との振幅比を含むマルチパス状態を検出する(S102)。
【0060】
次に、三組のEarly相関処理用信号とLate相関処理用信号を用いて、それぞれに第1擬似距離ρ1、第2擬似距離ρ2、第3擬似距離ρ3を算出する(S103)。
【0061】
次に、第1擬似距離ρ1、第2擬似距離ρ2、第3擬似距離ρ3を用いて、第1擬似距離差分値Δρ21と第2擬似距離差分値Δρ31を算出する(S104)。
【0062】
次に、振幅比に基づいて、第1擬似距離差分値Δρ21と第2擬似距離差分値Δρ31を補正し、正規化する(S105)。
【0063】
次に、正規化した第1擬似距離差分値Δρ21と第2擬似距離差分値Δρ31を元に、擬似距離差分値とマルチパス遅延量との関係テーブルから、マルチパス遅延量を決定する(S106)。
【0064】
以上のように、本実施形態の構成および処理を用いることで、マルチパス遅延量を、従来よりも高精度に算出できる。また、このような高精度なマルチパス遅延量を用いることで、高精度な測位演算も可能になる。
【0065】
次に、第2の実施形態に係るマルチパス検出装置について、図を参照して説明する。図4は、本実施形態のマルチパス検出装置を備えるGNSS信号受信装置1Aの主要構成を示すブロック図である。なお、図4では、マルチパス検出装置に対応する箇所のみを記載している。本実施形態のGNSS信号受信装置1Aは、第1の実施形態のGNSS信号受信装置に対して、相関処理用信号生成部20Aの処理が異なり、これによるマルチパス遅延量算出部15の参照する関連テーブルが異なるものである。したがって異なる箇所のみを説明する。
【0066】
図5はBPSK相関処理用信号、BOCcosサブキャリア、BOCcos相関処理用信号、BOCmodサブキャリア、BOCmod相関処理用信号の波形図である。
【0067】
相関処理用信号生成部20Aは、第1の実施形態の相関処理用信号生成部20と同様に、BPSK相関処理用信号からなるPrompt相関処理用信号SRP、第1、第2Early相関処理用信号SRE1,SRE2、および第1、第2Late相関処理用信号SRL1,SLL2を生成する。Prompt相関処理用信号はP相関部11へ出力される。第1Early相関処理用信号SRE1および第1Late相関処理用信号SRL1は、E−L相関部121へ出力される。第2Early相関処理用信号SRE2および第2Late相関処理用信号SLL2は、E−L相関部122へ出力される。
【0068】
また、相関処理用信号生成部20Aは、上述のBPSK相関処理用信号にBOCcosサブキャリア信号を乗算したBOCcos相関処理用信号からなる次の各相関処理用信号を生成する。
【0069】
ここで、BOCcosサブキャリアは、図5に示すように、BPSK相関処理用信号(レプリカ信号)の1chip期間内で符号反転が生じる信号である。BOCcosサブキャリアは、1chip期間の中間タイミング(0.5chipタイミング)を中心として、0.5chipの期間に亘りHiレベルとなり、他の期間でLowレベルとなる信号である。すなわち、1chipの始まるタイミングから0.25chipまではLowレベルで、0.25chipから0.75chipまではHiレベルとなり、0.75chipから1.0chipまではLowレベルとなる信号である。
【0070】
そして、図5に示すように、BOCcos相関処理用信号は、ベースとなるBPSK相関処理用信号の符号がHiのチップではBOCcosサブキャリアの波形がそのまま現れ、BPSK相関処理用信号の符号がLowのチップではBOCcosサブキャリアの波形が反転して現れる信号である。
【0071】
相関処理用信号生成部20Aは、BOCcos相関処理用信号からなり、Prompt相関処理用信号SRPのタイミングを中心タイミングとして、コード位相間隔(スペーシング)が1.0chipからなる第4Early相関処理用信号SRECおよび第4Late相関処理用信号SRLCを生成する。
【0072】
第4Early相関処理用信号SRECおよび第4Late相関処理用信号SLLCは、E−L相関部123へ出力される。
【0073】
P相関部11、E−L相関部121,E−L相関部122の相関処理、擬似距離算出部131,132の擬似距離算出処理、および加算器141の減算処理は、第1の実施形態に示した処理と同じである。
【0074】
E−L相関部123は、第4Early相関処理用信号SRECとベースバンド信号SBとを乗算して第4Early相関値を算出する。E−L相関部123は、第4Late相関処理用信号SRLCとベースバンド信号SBとを乗算して第4Late相関値を算出する。E−L相関部123は、第4Early相関値から第4Late相関値を減算して、第4E−L相関値を算出する。E−L相関部123は、第4E−L相関値を所定時間積算し、第4コード位相差情報を算出し、擬似距離算出部133へ出力する。
【0075】
擬似距離算出部133は、第4E−L相関値に基づく第4コード位相差情報を用いて第4擬似距離ρCを算出する。擬似距離算出部133は、第4擬似距離ρCを加算器142へ出力する。
【0076】
加算器142は、第4擬似距離ρCから第1擬似距離ρ1を減算することで第3擬似距離差分値ΔρC1を算出し、マルチパス遅延量算出部15へ出力する。
【0077】
マルチパス遅延量算出部15は、第1擬似距離差分値Δρ21と第3擬似距離差分値ΔρC1とに基づいて、マルチパス遅延量を算出する。この際、マルチパス遅延量算出部15は、マルチパス状態情報を参照してマルチパス遅延量を算出する。
【0078】
マルチパス遅延量算出部15は、具体的には第1の実施形態と同様の処理により、マルチパス遅延量を算出する。図6は本実施形態に係るマルチパス検出方法を用いた場合のマルチパス遅延量に対する擬似距離差分値の特性を示す図である。
【0079】
図6において、実線はマルチパス遅延量に対する第1擬似距離差分値Δρ21の遷移を示しており、一点鎖線はマルチパス遅延量に対する第3擬似距離差分値ΔρC1の遷移を示している。図6に示すように、第1擬似距離差分値Δρ21と第3擬似距離差分値ΔρC1とでは、マルチパス遅延量に対する遷移状態が異なる。
【0080】
例えば、図6に示すような場合、第1擬似距離差分値Δρ21が約30mの場合、マルチパス遅延量は約75mもしくは約317mとなる。また、第3擬似距離差分値ΔρC1が約−42mの場合、マルチパス遅延量は約75mとなる。したがって、第1擬似距離差分値Δρ21によるマルチパス遅延量と第3擬似距離差分値ΔρC1によるマルチパス遅延量とが一致する約75mが、求めるべきマルチパス遅延量となる。
【0081】
以上のように、本実施形態の構成および処理を用いても、マルチパス遅延量を確実且つ高精度に算出することができる。さらに、本実施形態のように、サブキャリアを用いれば、Early相関処理用信号とLate相関処理用信号の組を、より多様に構成することができる。これにより、マルチパス遅延量に対する擬似距離差分値の特性が多様化し、よりマルチパス遅延量を確実に検出できる組合せを設定しやすい。
【0082】
次に、第3の実施形態に係るマルチパス検出装置について、図を参照して説明する。図7は、本実施形態のマルチパス検出装置を備えるGNSS信号受信装置1Bの主要構成を示すブロック図である。なお、図7では、マルチパス検出装置に対応する箇所のみを記載している。本実施形態のGNSS信号受信装置1Bは、第1、第2の実施形態のGNSS信号受信装置に対して、相関処理用信号生成部20Bの処理が異なり、これによるマルチパス遅延量算出部15の参照する関連テーブルが異なるものである。したがって異なる箇所のみを詳細に説明する。
【0083】
相関処理用信号生成部20Bは、第2の実施形態の相関処理用信号生成部20Aと同様に、BPSK相関処理用信号からなるPrompt相関処理用信号SRP、第1、第2Early相関処理用信号SRE1,SRE2、および第1、第2Late相関処理用信号SRL1,SLL2を生成する。Prompt相関処理用信号はP相関部11へ出力される。第1Early相関処理用信号SRE1および第1Late相関処理用信号SRL1は、E−L相関部121へ出力される。第2Early相関処理用信号SRE2および第2Late相関処理用信号SLL2は、E−L相関部122へ出力される。
【0084】
また、相関処理用信号生成部20Bは、上述のBPSK相関処理用信号にBOCmodサブキャリア信号を乗算したBOCmod相関処理用信号からなる次の各相関処理用信号を生成する。
【0085】
ここで、BOCmodサブキャリアは、図5に示すように、BPSK相関処理用信号(レプリカ信号)の1chip期間内で符号反転が生じる信号である。BOCmodサブキャリアは、1chip期間の中間タイミング(0.5chipタイミング)を中心として、所定のchip期間(例えば、0.25chipの期間)に亘りHiレベルとなり、他の期間でLowレベルとなる信号である。すなわち、1chipの始まるタイミングから0.375chipまではLowレベルで、0.375chipから0.625chipまではHiレベルとなり、0.625chipから1.0chipまではLowレベルとなる信号である。なお、この状態遷移は一例であり、他の状態遷移を適用してもよい。
【0086】
そして、図5に示すように、BOCmod相関処理用信号は、ベースとなるBPSK相関処理用信号の符号がHiのチップではBOCmodサブキャリアの波形がそのまま現れ、BPSK相関処理用信号の符号がLowのチップではBOCmodサブキャリアの波形が反転して現れる信号である。
【0087】
相関処理用信号生成部20Bは、BOCmod相関処理用信号からなり、Prompt相関処理用信号SRPのタイミングを中心タイミングとして、コード位相間隔(スペーシング)が1.0chipからなる第5Early相関処理用信号SREMおよび第5Late相関処理用信号SRLMを生成する。
【0088】
第5Early相関処理用信号SREMおよび第5Late相関処理用信号SLLMは、E−L相関部123へ出力される。
【0089】
P相関部11、E−L相関部121,E−L相関部122の相関処理、擬似距離算出部131,132の擬似距離算出処理、および加算器141の減算処理は、第1の実施形態に示した処理と同じである。
【0090】
E−L相関部123は、第5Early相関処理用信号SREMとベースバンド信号SBとを乗算して第5Early相関値を算出する。E−L相関部123は、第5Late相関処理用信号SRLMとベースバンド信号SBとを乗算して第5Late相関値を算出する。E−L相関部123は、第5Early相関値から第5Late相関値を減算して、第5E−L相関値を算出する。E−L相関部123は、第5E−L相関値を所定時間積算し、第5コード位相差情報を算出し、擬似距離算出部133へ出力する。
【0091】
擬似距離算出部133は、第5E−L相関値に基づく第5コード位相差情報を用いて第5擬似距離ρMを算出する。擬似距離算出部133は、第5擬似距離ρMを加算器142へ出力する。
【0092】
加算器142は、第5擬似距離ρMから第1擬似距離ρ1を減算することで第4擬似距離差分値ΔρM1を算出し、マルチパス遅延量算出部15へ出力する。
【0093】
マルチパス遅延量算出部15は、第1擬似距離差分値Δρ21と第4擬似距離差分値ΔρM1とに基づいて、マルチパス遅延量を算出する。この際、マルチパス遅延量算出部15は、マルチパス状態情報を参照してマルチパス遅延量を算出する。
【0094】
マルチパス遅延量算出部15は、具体的には第1の実施形態と同様の処理により、マルチパス遅延量を算出する。図8は本実施形態に係るマルチパス検出方法を用いた場合のマルチパス遅延量に対する擬似距離差分値の特性を示す図である。
【0095】
図8において、実線はマルチパス遅延量に対する第1擬似距離差分値Δρ21の遷移を示しており、二点鎖線はマルチパス遅延量に対する第4擬似距離差分値ΔρM1の遷移を示している。図8に示すように、第1擬似距離差分値Δρ21と第4擬似距離差分値ΔρM1とでは、マルチパス遅延量に対する遷移状態が異なる。
【0096】
例えば、図8に示すような場合、第1擬似距離差分値Δρ21が約25mの場合、マルチパス遅延量は約65mもしくは約340mとなる。また、第4擬似距離差分値ΔρM1が約−12mの場合、マルチパス遅延量は約10mもしくは約65mとなる。したがって、第1擬似距離差分値Δρ21によるマルチパス遅延量と第4擬似距離差分値ΔρM1によるマルチパス遅延量とが一致する約65mが、求めるべきマルチパス遅延量となる。
【0097】
以上のように、本実施形態の構成および処理を用いても、マルチパス遅延量を確実且つ高精度に算出することができる。
【0098】
次に、第4の実施形態に係るマルチパス検出装置について、図を参照して説明する。図9は、本実施形態のマルチパス検出装置を備えるGNSS信号受信装置1Cの主要構成を示すブロック図である。なお、図9では、マルチパス検出装置に対応する箇所のみを記載している。本実施形態のGNSS信号受信装置1Cは、第1、第2、第3の実施形態のGNSS信号受信装置に対して、相関処理用信号生成部20Cの処理が異なり、これによるマルチパス遅延量算出部15の参照する関連テーブルが異なるものである。したがって異なる箇所のみを詳細に説明する。
【0099】
相関処理用信号生成部20Cは、第1の実施形態の相関処理用信号生成部20と同様に、BPSK相関処理用信号からなるPrompt相関処理用信号SRP、第1Early相関処理用信号SRE1、および第1Late相関処理用信号SRL1を生成する。Prompt相関処理用信号はP相関部11へ出力される。第1Early相関処理用信号SRE1および第1Late相関処理用信号SRL1は、E−L相関部121へ出力される。
【0100】
また、相関処理用信号生成部20Cは、第2の実施形態の相関処理用信号生成部20Aと同様に、BOCcos相関処理用信号からなる第4Early相関処理用信号SRECおよび第4Late相関処理用信号SRLCを生成する。第4Early相関処理用信号SRECおよび第4Late相関処理用信号SLLCは、E−L相関部123へ出力される。
【0101】
また、相関処理用信号生成部20Cは、第3の実施形態の相関処理用信号生成部20Bと同様に、BOCmod相関処理用信号からなる第5Early相関処理用信号SREMおよび第5Late相関処理用信号SRLMを生成する。第5Early相関処理用信号SREMおよび第5Late相関処理用信号SLLMは、E−L相関部123へ出力される。
【0102】
P相関部11、E−L相関部121の相関処理、擬似距離算出部131の擬似距離算出処理は第1の実施形態に示した処理と同じである。
【0103】
E−L相関部122は、第4Early相関処理用信号SRECとベースバンド信号SBとを乗算して第4Early相関値を算出する。E−L相関部123は、第4Late相関処理用信号SRLCとベースバンド信号SBとを乗算して第4Late相関値を算出する。E−L相関部123は、第4Early相関値から第4Late相関値を減算して、第4E−L相関値を算出する。E−L相関部123は、第4E−L相関値を所定時間積算し、第4コード位相差情報を算出し、擬似距離算出部132へ出力する。
【0104】
E−L相関部123は、第5Early相関処理用信号SREMとベースバンド信号SBとを乗算して第5Early相関値を算出する。E−L相関部123は、第5Late相関処理用信号SRLMとベースバンド信号SBとを乗算して第5Late相関値を算出する。E−L相関部123は、第5Early相関値から第5Late相関値を減算して、第5E−L相関値を算出する。E−L相関部123は、第5E−L相関値を所定時間積算し、第5コード位相差情報を算出し、擬似距離算出部133へ出力する。
【0105】
擬似距離算出部132は、第4E−L相関値に基づく第4コード位相差情報を用いて第4擬似距離ρCを算出する。擬似距離算出部132は、第4擬似距離ρCを加算器141へ出力する。
【0106】
擬似距離算出部133は、第5E−L相関値に基づく第5コード位相差情報を用いて第5擬似距離ρMを算出する。擬似距離算出部133は、第5擬似距離ρMを加算器142へ出力する。
【0107】
加算器141は、第4擬似距離ρCから第1擬似距離ρ1を減算することで第3擬似距離差分値ΔρC1を算出し、マルチパス遅延量算出部15へ出力する。
【0108】
加算器142は、第5擬似距離ρMから第1擬似距離ρ1を減算することで第4擬似距離差分値ΔρM1を算出し、マルチパス遅延量算出部15へ出力する。
【0109】
マルチパス遅延量算出部15は、第3擬似距離差分値ΔρC1と第4擬似距離差分値ΔρM1とに基づいて、マルチパス遅延量を算出する。この際、マルチパス遅延量算出部15は、マルチパス状態情報を参照してマルチパス遅延量を算出する。
【0110】
マルチパス遅延量算出部15は、具体的には第1の実施形態と同様の処理により、マルチパス遅延量を算出する。図10は本実施形態に係るマルチパス検出方法を用いた場合のマルチパス遅延量に対する擬似距離差分値の特性を示す図である。
【0111】
図10において、一点鎖線はマルチパス遅延量に対する第3擬似距離差分値ΔρC1の遷移を示しており、二点鎖線はマルチパス遅延量に対する第4擬似距離差分値ΔρM1の遷移を示している。図10に示すように、第3擬似距離差分値ΔρC1と第4擬似距離差分値ΔρM1とでは、マルチパス遅延量に対する遷移状態が異なる。
【0112】
例えば、図10に示すような場合、第3擬似距離差分値ΔρC1が約−30mの場合、マルチパス遅延量は約45mもしくは約100mとなる。また、第4擬似距離差分値ΔρM1が約5mの場合、マルチパス遅延量は約100m、約245m、約275mもしくは約420mとなる。したがって、第3擬似距離差分値ΔρC1によるマルチパス遅延量と第4擬似距離差分値ΔρM1によるマルチパス遅延量とが一致する約100mが、求めるべきマルチパス遅延量となる。
【0113】
以上のように、本実施形態の構成および処理を用いても、マルチパス遅延量を確実且つ高精度に算出することができる。さらに、本実施形態に示すように、Early相関処理用信号およびLate相関処理用信号を生成する元となる信号を、さらに増加させることで、マルチパス遅延量に対する擬似距離差分値の特性がさらに多様化し、よりマルチパス遅延量を確実に検出できる組合せを設定しやすい。
【0114】
なお、上述の各実施形態では、三組の異なるEarly相関処理用信号とLate相関処理用信号を用いて、二個の擬似距離差分値を算出し、マルチパス遅延量を算出する例を示したが、Early相関処理用信号とLate相関処理用信号の組数は三組以上であり、擬似距離差分値は二個以上であれば、同様にマルチパス遅延量を算出することができる。
【0115】
また、上述の説明では、サブキャリアとして、BOCcosサブキャリアおよびBOCmodサブキャリアを用いた例を示したが、他のサブキャリアを用いてもよい。また、上述の説明では、BPSK相関処理用信号の1チップに、サブキャリア1周期分を重畳する例を示したが、BPSK相関処理用信号の1チップに、サブキャリアの複数周期分を重畳して相関処理用信号を生成してもよい。
【0116】
そして、このようなGNSS信号受信装置やGNSS信号受信機能は、図11に示すような移動端末300に利用される。図11は、本実施形態のGNSS信号受信装置1を備えた移動端末300の主要構成を示すブロック図である。なお、ここでは、GNSS信号受信装置1を例に説明するが、他の実施形態のGNSS信号受信装置1A,1B,1Cにも同様に適用できる。
【0117】
図11に示すような移動端末200は、例えば携帯電話機、カーナビゲーション装置、PND、カメラ、時計等であり、GNSS信号受信装置1、およびアプリケーション処理部300を備える。GNSS信号受信装置1は、上述の構成のものである。
【0118】
アプリケーション処理部300は、GNSS信号受信装置1から出力された測位結果に基づいて、自装置位置や自装置速度を表示したり、ナビゲーション等に利用するための処理を実行する。
【0119】
このような構成において、上述の高精度な測位結果を得られることで、高精度な位置表示やナビゲーション等を実現することができる。
【符号の説明】
【0120】
1、1A,1B,1C:GNSS信号受信装置、11:P相関部、121,122,123:E−L相関部、131,132,133:擬似距離算出部、141,142:加算器、15:マルチパス遅延量算出部、20,20A,20B,20C:相関処理用信号生成部、50:アンテナ、51:RF処理部、52:マルチパス情報検出部、53:キャリアNCO、54:ベースバンド変換部、55:測位演算部、
200:移動端末、300:アプリケーション処理部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
GNSS信号を受信する際に生じるマルチパスを検出するマルチパス検出方法であって、
前記GNSS信号の拡散コードを有する相関処理用信号に基づいて、少なくとも三組のアーリー相関処理用信号とレイト相関処理用信号との組を、それぞれにコード位相間隔を異ならせて、もしくは相関処理用コードを異ならせて生成するアーリーレイト相関処理用信号生成工程と、
各組のアーリー相関処理用信号およびレイト相関処理用信号と前記受信信号との相関処理を行い、それぞれの相関処理結果から擬似距離を算出する擬似距離算出工程と、
それぞれに異なる擬似距離の組合せで擬似距離差分値を算出する擬似距離差分値算出工程と、
少なくとも二個の擬似距離差分値に基づいてマルチパス遅延量を算出するマルチパス遅延量算出工程と、を有するマルチパス検出方法。
【請求項2】
請求項1に記載のマルチパス検出方法であって、
前記擬似距離差分値算出工程は、基準となる擬似距離を一つ設定し、該基準の擬似距離に対する差分により、各擬似距離差分値を算出する、マルチパス検出方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のマルチパス検出方法であって、
前記アーリーレイト相関処理用信号生成工程は、
前記少なくとも三個のアーリー相関処理用信号とレイト相関処理用信号との組を、単一の相関処理用信号を用いて、それぞれにコード位相間隔を異ならせて生成する、マルチパス検出方法。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のマルチパス検出方法であって、
前記相関処理用信号に重畳させるサブキャリアを生成するサブキャリア生成工程を有し、
前記アーリーレイト相関処理用信号生成工程は、
前記少なくとも三組のアーリー相関処理用信号とレイト相関処理用信号との組を、前記拡散コードから生成された基本相関処理用信号と、前記サブキャリアが重畳された拡散コードから生成されたサブキャリア重畳型の相関処理用信号とを用いて生成する、マルチパス検出方法。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のマルチパス検出方法であって、
前記マルチパス遅延量算出工程は、前記少なくとも二個の擬似距離差分値の組合せとマルチパス遅延量との関係テーブルを予め記憶しており、
算出された各擬似距離差分値と前記関係テーブルとを用いてマルチパス遅延量を算出する、マルチパス検出方法。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のマルチパス検出方法であって、
マルチパスを生じる前記GNSS信号の直接波信号と間接波信号との振幅比を検出するマルチパス状態検出工程を有し、
前記マルチパス遅延量算出工程は、前記振幅比を加味して前記マルチパス遅延量を算出する、マルチパス検出方法。
【請求項7】
GNSS信号を受信する際に生じるマルチパスを検出する処理をコンピュータに実行させるためのマルチパス検出プログラムであって、
前記GNSS信号の拡散コードを有する相関処理用信号に基づいて、少なくとも三組のアーリー相関処理用信号とレイト相関処理用信号との組を、それぞれにコード位相間隔を異ならせて、もしくは相関処理用コードを異ならせて生成するアーリーレイト相関処理用信号生成処理と、
各組のアーリー相関処理用信号およびレイト相関処理用信号と前記受信信号との相関処理を行い、それぞれの相関処理結果から擬似距離を算出する擬似距離算出処理と、
それぞれに異なる擬似距離の組合せで擬似距離差分値を算出する擬似距離差分値算出処理と、
少なくとも二個の擬似距離差分値に基づいてマルチパス遅延量を算出するマルチパス遅延量算出処理と、を有するマルチパス検出プログラム。
【請求項8】
GNSS信号を受信する際に生じるマルチパスを検出するマルチパス検出装置であって、
前記GNSS信号の拡散コードを有する相関処理用信号に基づいて、少なくとも三組のアーリー相関処理用信号とレイト相関処理用信号との組を、それぞれにコード位相間隔を異ならせて、もしくは相関処理用コードを異ならせて生成するアーリーレイト相関処理用信号生成部と、
各組のアーリー相関処理用信号およびレイト相関処理用信号と前記受信信号との相関処理を行い、それぞれの相関処理結果から擬似距離を算出する擬似距離算出部と、
それぞれに異なる擬似距離の組合せで擬似距離差分値を算出する擬似距離差分値算出部と、
少なくとも二個の擬似距離差分値に基づいてマルチパス遅延量を算出するマルチパス遅延量算出部と、を備えるマルチパス検出装置。
【請求項9】
請求項8に記載のマルチパス検出装置と、
前記擬似距離と前記マルチパス遅延量とを用いて測位演算を行う測位演算部と、を備える、GNSS信号受信装置。
【請求項10】
請求項9に記載のGNSS信号受信装置と、
前記測位演算部の測位演算結果を用いて所定のアプリケーションを実行するアプリケーション処理部と、を備える移動端末。
【請求項1】
GNSS信号を受信する際に生じるマルチパスを検出するマルチパス検出方法であって、
前記GNSS信号の拡散コードを有する相関処理用信号に基づいて、少なくとも三組のアーリー相関処理用信号とレイト相関処理用信号との組を、それぞれにコード位相間隔を異ならせて、もしくは相関処理用コードを異ならせて生成するアーリーレイト相関処理用信号生成工程と、
各組のアーリー相関処理用信号およびレイト相関処理用信号と前記受信信号との相関処理を行い、それぞれの相関処理結果から擬似距離を算出する擬似距離算出工程と、
それぞれに異なる擬似距離の組合せで擬似距離差分値を算出する擬似距離差分値算出工程と、
少なくとも二個の擬似距離差分値に基づいてマルチパス遅延量を算出するマルチパス遅延量算出工程と、を有するマルチパス検出方法。
【請求項2】
請求項1に記載のマルチパス検出方法であって、
前記擬似距離差分値算出工程は、基準となる擬似距離を一つ設定し、該基準の擬似距離に対する差分により、各擬似距離差分値を算出する、マルチパス検出方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のマルチパス検出方法であって、
前記アーリーレイト相関処理用信号生成工程は、
前記少なくとも三個のアーリー相関処理用信号とレイト相関処理用信号との組を、単一の相関処理用信号を用いて、それぞれにコード位相間隔を異ならせて生成する、マルチパス検出方法。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のマルチパス検出方法であって、
前記相関処理用信号に重畳させるサブキャリアを生成するサブキャリア生成工程を有し、
前記アーリーレイト相関処理用信号生成工程は、
前記少なくとも三組のアーリー相関処理用信号とレイト相関処理用信号との組を、前記拡散コードから生成された基本相関処理用信号と、前記サブキャリアが重畳された拡散コードから生成されたサブキャリア重畳型の相関処理用信号とを用いて生成する、マルチパス検出方法。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のマルチパス検出方法であって、
前記マルチパス遅延量算出工程は、前記少なくとも二個の擬似距離差分値の組合せとマルチパス遅延量との関係テーブルを予め記憶しており、
算出された各擬似距離差分値と前記関係テーブルとを用いてマルチパス遅延量を算出する、マルチパス検出方法。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のマルチパス検出方法であって、
マルチパスを生じる前記GNSS信号の直接波信号と間接波信号との振幅比を検出するマルチパス状態検出工程を有し、
前記マルチパス遅延量算出工程は、前記振幅比を加味して前記マルチパス遅延量を算出する、マルチパス検出方法。
【請求項7】
GNSS信号を受信する際に生じるマルチパスを検出する処理をコンピュータに実行させるためのマルチパス検出プログラムであって、
前記GNSS信号の拡散コードを有する相関処理用信号に基づいて、少なくとも三組のアーリー相関処理用信号とレイト相関処理用信号との組を、それぞれにコード位相間隔を異ならせて、もしくは相関処理用コードを異ならせて生成するアーリーレイト相関処理用信号生成処理と、
各組のアーリー相関処理用信号およびレイト相関処理用信号と前記受信信号との相関処理を行い、それぞれの相関処理結果から擬似距離を算出する擬似距離算出処理と、
それぞれに異なる擬似距離の組合せで擬似距離差分値を算出する擬似距離差分値算出処理と、
少なくとも二個の擬似距離差分値に基づいてマルチパス遅延量を算出するマルチパス遅延量算出処理と、を有するマルチパス検出プログラム。
【請求項8】
GNSS信号を受信する際に生じるマルチパスを検出するマルチパス検出装置であって、
前記GNSS信号の拡散コードを有する相関処理用信号に基づいて、少なくとも三組のアーリー相関処理用信号とレイト相関処理用信号との組を、それぞれにコード位相間隔を異ならせて、もしくは相関処理用コードを異ならせて生成するアーリーレイト相関処理用信号生成部と、
各組のアーリー相関処理用信号およびレイト相関処理用信号と前記受信信号との相関処理を行い、それぞれの相関処理結果から擬似距離を算出する擬似距離算出部と、
それぞれに異なる擬似距離の組合せで擬似距離差分値を算出する擬似距離差分値算出部と、
少なくとも二個の擬似距離差分値に基づいてマルチパス遅延量を算出するマルチパス遅延量算出部と、を備えるマルチパス検出装置。
【請求項9】
請求項8に記載のマルチパス検出装置と、
前記擬似距離と前記マルチパス遅延量とを用いて測位演算を行う測位演算部と、を備える、GNSS信号受信装置。
【請求項10】
請求項9に記載のGNSS信号受信装置と、
前記測位演算部の測位演算結果を用いて所定のアプリケーションを実行するアプリケーション処理部と、を備える移動端末。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−242107(P2012−242107A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−109267(P2011−109267)
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(000166247)古野電気株式会社 (441)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(000166247)古野電気株式会社 (441)
【Fターム(参考)】
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