説明

マンゴスチン製剤

【課題】本発明は、マンゴスチン抽出物の水に対する可溶化とその抗菌製品、化粧品、医薬用品への適用に関するものである。マンゴスチンの生理活性のある薬効成分は、おもに非水溶性であり、溶解する溶剤は生体に悪影響をおよぼす。一方、マンゴスチンを水に分散させるため界面活性剤等を用いようとすると、界面活性剤がマンゴスチンをマスクしてしまい生理活性を減殺してしまう。マンゴスチンの、生体に有害な作用を持たない水への分散方法が求められている。
【解決手段】マンゴスチン類を、40%以下のエチルアルコール水溶液に分散し、平均粒子径10μm以下に乳化した微細乳化物であることを特徴とするマンゴスチン製剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンゴスチン抽出物の水に対する可溶化とその抗菌製品、化粧品、医薬用品への適用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マンゴスチン抽出物は、下記のような有用な生理作用(薬効)を有するとされている。
1)食品中の脂質の酸化を抑制し、生物を酸化的障害から保護する抗酸化作用(特許文献1等)、
2)プロスタグランジン類の生合成を抑制するシクロオキシゲナーゼ阻害作用(特許文献2等)、
3)ケミカルメディエーターの受容体への結合を阻害する抗アレルギー作用(特許文献3等)、
4)日焼けによる色素沈着を抑制する美白、抗炎症作用(特許文献4等)、
5)男性型脱毛の進行を抑えるテストステロン5−レダクターゼ阻害作用(特許文献5等)、
6)有害微生物の増殖による異臭・悪臭に対し優れた抗菌・消臭作用(特許文献6〜12等)、
7)光、熱等による香味又は香気の劣化抑制作用(特許文献13、14等)。
【特許文献1】特開平8−225783号公報
【特許文献2】特開2002−47180公報
【特許文献3】特開平10−72357号公報
【特許文献4】特開平4−244004号公報
【特許文献5】特開平5−17365号公報
【特許文献6】特開平7−147951号公報
【特許文献7】特開平7−250658号公報
【特許文献8】特開平7−250658号公報
【特許文献9】特開平8−231396号公報
【特許文献10】特開平9−95453号公報
【特許文献11】特開平9−110688号公報
【特許文献12】特開2001−247469号公報
【特許文献13】特開2002−180081号公報
【特許文献14】特開2002−330741号公報有用な生理作用(薬効)を有するマンゴスチン抽出物の主体は、α−マンゴスチン、β−マンゴスチン、γ−マンゴスチンといわれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、マンゴスチンの生理活性のある薬効成分は、おもに非水溶性であり、溶解する溶剤は生体に悪影響をおよぼす。一方、マンゴスチンを水に分散させるため界面活性剤等を用いようとすると、界面活性剤がマンゴスチンをマスクしてしまい生理活性を減殺してしまう。マンゴスチンの、生体に有害な作用を持たない水への分散方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1の発明はマンゴスチン類を、40%以下のエチルアルコール水溶液に分散したことを特徴とするマンゴスチン製剤である。
【0005】
請求項2の発明は、マンゴスチン類を、40%以下のエチルアルコール水溶液に分散し、平均粒子径10μm以下に乳化した微細乳化物であることを特徴とするマンゴスチン製剤である。
【0006】
請求項3の発明は、マンゴスチン類を40%以下のエチルアルコール水溶液に分散したことを特徴とする抗炎症剤である。
【0007】
請求項4の発明は、マンゴスチン類を40%以下のエチルアルコール水溶液に分散したことを特徴とする消毒剤である。
【0008】
請求項5の発明は、マンゴスチン類を40%以下のエチルアルコール水溶液に分散したことを特徴とする手洗い液である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の製剤は、α−マンゴスチン、β−マンゴスチン、γ−マンゴスチン等のマンゴスチン類を水に分散して平均粒子径10μm以下の微細分散液にすることに特徴がある。平均粒子径10μm以下、好ましくは平均粒子径1μm以下、特に好ましくは平均粒子径200nmから700nmのいわゆるナノサイズとすることにより安定な分散液となり、大きな生理活性をもつ。マンゴスチン類は水には溶けないが、アルコールには可溶である。しかしながらマンゴスチンのアルコール溶液は薬効はあってもアルコールが皮膚を刺激しまた皮脂を溶解して皮膚を荒らし、さらには手袋の可塑剤を抽出して手袋を劣化し可塑剤汚染を引き起こす。マンゴスチンは水あるいは低濃度のアルコール/水溶液には溶解しないが、高濃度のマンゴスチンアルコール溶液に水あるいは低濃度のアルコール/水溶液を加えるか、または水あるいは低濃度のアルコール/水溶液にマンゴスチンアルコール溶液を加えると、マンゴスチンはコロイド状態で水あるいはアルコール/水溶液に分散することができた。アルコール/水溶液のアルコール濃度を下げると刺激性、抽出力は低下するが、マンゴスチンの分散は悪くなり沈殿が生ずる。アルコール/水溶液のアルコール濃度40%以下では皮膚刺激性も少なく生理活性を発現するに充分なマンゴスチンを分散することが出来た。
【0010】
上記高濃度のマンゴスチンアルコール溶液に水あるいは低濃度のアルコール/水溶液を加えるか、または水あるいは低濃度のアルコール/水溶液にマンゴスチンアルコール溶液を加えて得られたマンゴスチンの粗分散液はに対して、超音波処理、あるいは高速で粗分散液を衝突させる高圧噴射乳化法または高速回転している刃の間を通過させる等により液中でマンゴスチンに強いせん断力を与えることでマンゴスチンを微細分散することが出来る。マンゴスチンを平均粒子径10μm以下、好ましくは平均粒子径1μm以下、特に好ましくは平均粒子径200nmから700nmのいわゆるナノサイズとすることにより安定な分散液となって長期安定に保存でき、同じアルコール濃度でもより多くのマンゴスチンを分散することが出来る。
【0011】
上記マンゴスチンのアルコール/水分散液において用いるアルコールはエタノールのほかにnプロピルアルコール、イソプロピルアルコール等低分子のアルコールを用いることが出来る。また上記1価のアルコールに加えてプロピレングリコール、グリセリン等低分子の多価アルコールを加えてもよい。
【実施例1】
【0012】
オトギリソウ科の植物のマンゴスチン(学名Garcinia mangostanaL.)の果皮から抽出し生成したα−マンゴスチン、β−マンゴスチン、γ−マンゴスチン混合物(以下マンゴスチンという)0.2gをエタノール20mlに溶解し、35%アルコール400mlに撹拌しながら混合、マンゴスチン粗分散液を作成した
【実施例2】
【0013】
上記粗分散液に対しプローブ型超音波ホモジナイザー(ULTRASONIC DISRUPTOR UR−200P、トミー精工)を用いて30分間超音波処理を施すことにより本発明の微細乳化物を得た。得られた微細乳化物の重量ベースの平均粒子径は、動的光散乱粒子径測定装置(LPA−300、大塚電子)により測定した結果、約250nmであった。
【実施例3】
【0014】
実施例1のマンゴスチン粗分散液(マンゴスチン濃度500mg/l)のMIC法による抗菌試験の結果、黄色ぶどう状球菌に対し30mg/mlの抗菌性を示した。
【実施例4】
【0015】
実施例1のマンゴスチン粗分散液(マンゴスチン濃度500mg/l)を、蚊に刺された後にスプレイしたところ腫れが縮小した。
【実施例5】
【0016】
実施例1のマンゴスチン粗分散液(マンゴスチン濃度500mg/l)を、赤く腫れた喉にスプレイしたところ腫れが縮小した。
【実施例6】
【0017】
実施例1のマンゴスチン粗分散液(マンゴスチン濃度500mg/l)を、すりむき傷にスプレイしたところ化膿しなかった。
【実施例7】
【0018】
実施例1のマンゴスチン粗分散液(マンゴスチン濃度500mg/l)を、手指にスプレイして乾燥させたあと、寒天培地に該手指を押し付け、この培地を培養したが菌の繁殖は見られなかった。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明のマンゴスチン製剤は皮膚に対する刺激も少なく、抗炎症、抗菌、効果もあり手洗い液としても使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンゴスチン類を、40%以下のエチルアルコール水溶液に分散したことを特徴とするマンゴスチン製剤。
【請求項2】
マンゴスチン類を、40%以下のエチルアルコール水溶液に分散し、平均粒子径10μm以下に乳化した微細乳化物であることを特徴とするマンゴスチン製剤。
【請求項3】
マンゴスチン類を、40%以下のエチルアルコール水溶液に分散したことを特徴とする抗炎症剤。
【請求項4】
マンゴスチン類を、40%以下のエチルアルコール水溶液に分散したことを特徴とする消毒剤。
【請求項5】
マンゴスチン類を、40%以下のエチルアルコール水溶液に分散したことを特徴とする手洗い液。


【公開番号】特開2007−106674(P2007−106674A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−295978(P2005−295978)
【出願日】平成17年10月11日(2005.10.11)
【出願人】(597018325)
【出願人】(504124370)
【出願人】(504124381)
【Fターム(参考)】