説明

マーキング装置

【課題】屈曲した形状を有する器具にも、容易にレーザ転写によってマーキングをすることのできるマーキング装置を提供する。
【解決手段】屈曲した形状を有する器具12のコードマーキング箇所を有する部分が載置される第1のステージ21及び前記コードマーキング箇所を前記第1のステージに水平に載置するために、該第1のステージから所定の高さ低く形成される第2のステージ22からなる作業台20と、作業台の下方に設置され、下方からレーザを照射するレーザ装置3と、該レーザ装置のレーザ光が貫通する所定の大きさの貫通孔を有すると共に、前記第1のステージの第2のステージ側端部に設けられ、前記レーザ転写用フィルム6を前記器具の前記コードマーキング箇所に対して所定の間隔で保持する保持プレート24と、該保持プレートの両側に形成され、前記保持プレート上に保持された前記レーザ転写用フィルムの両側位置を規定するガイド壁25を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、 被処理体としての器具に近接して配されたレーザ転写用フィルムにレーザ光を照射し、前記器具に所定のコードを転写させるマーキング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本願発明に使用されるレーザ転写フィルムとしては、例えば特許文献1に開示されるものがある。このレーザ転写フィルムは、基材と、その上に順次形成された光熱変換層、転写層を備えるものである。
【0003】
特許文献2は、レーザ光を出射するための光源と反射ミラー及びレンズ系とからなる照射手段と、レーザ光の光軸上にわずかに傾斜をもって配置されレーザ光の透過領域とマスク領域とをそれぞれ備えて複数のマスクとから構成され、複数のマスクを介してレーザ光を照射することで各マスクに描かれた文字を半導体装置のパッケージ表面に転写するレーザマーキング装置を開示する。
【0004】
特許文献3は、レーザ発振器から出力されたレーザ光を被加工対象物に照射しえ被加工対象物に所望のパターンで印字を行うレーザマーキング装置を開示する。
【特許文献1】特開2005−148502号公報
【特許文献2】特開平6−349958号公報
【特許文献3】特開平11−197862号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2及び3に開示されるように、通常のレーザマーキング装置においては、被加工対象物が平板状であるため、レーザマーキングポイントを調整する必要がないが、被加工対象物が屈曲した形状である場合には、レーザ光の焦点の調整する必要が生じ、またマーキングポイントが傾斜している場合には、良好なマーキングが行えないという不具合が生じる。
【0006】
近年、鉗子、メス、ハサミ等の手術用器具に、それぞれの器具の個体情報及びヒストリーを情報として呼び出すための二次元コードを、レーザマーキング装置を使用してマーキングすることが行われている。この場合、特に鉗子は、屈曲した形状をしており、上述した特許文献2又は3に開示されるようなレーザマーキング装置では、マーキングが難しいという欠点を有する。
【0007】
このため、この発明は、屈曲した形状を有する器具にも、容易にレーザ転写によってマーキングをすることのできるマーキング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、この発明は、被処理体としての器具に近接して配されたレーザ転写用フィルムにレーザ光を照射し、前記器具に所定のコードを転写させるマーキング装置において、屈曲した形状を有する器具のコードマーキング箇所を有する部分が載置される第1のステージ及び前記コードマーキング箇所を前記第1のステージに水平に載置するために、該第1のステージから所定の高さ低く形成される第2のステージからなる作業台と、作業台の下方に設置され、下方からレーザを照射するレーザ装置と、該レーザ装置のレーザ光が貫通する所定の大きさの貫通孔を有すると共に、前記第1のステージの第2のステージ側端部に設けられ、前記レーザ転写用フィルムを前記器具の前記コードマーキング箇所に対して所定の間隔で保持する保持プレートと、該保持プレートの両側に形成され、前記保持プレート上に保持された前記レーザ転写用フィルムの両側位置を規定するガイド壁とを具備することにある。
【0009】
さらに、前記マーキング装置は、前記コードマーキング位置を示すマーキング位置表示手段を具備することが望ましい。
【0010】
また、前記保持プレートは、前記ガイド壁に沿って上下に移動可能であることが望ましい。
【発明の効果】
【0011】
したがって、この発明によれば、下方からレーザ光を照射すると共に、作業台に段差が形成されることから、マーキング箇所をレーザ光が照射される位置に確実に配置できるため、鉗子等の屈曲した形状の器具に効率よくマーキングを行うことができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の実施例について図面により説明する。
【実施例】
【0013】
図1に示すように、本願発明の実施例に係るマーキング装置1は、ケーシング2を具備し、該ケーシング2内には、レーザ光10を下方から照射するためのレーザ装置3と、レーザ転写用フィルム6が収納される収納ドラム4、前記レーザ転写用フィルム6の巻き取りドラム5が少なくとも配置されている。
【0014】
また、前記ケーシング2の上面には、屈曲した形状を有する器具12のコードマーキング箇所を有する部分が載置される第1のステージ21及び前記コードマーキング箇所を前記第1のステージ21に水平に載置するために、該第1のステージ21から所定の高さ低く形成される第2のステージ22からなる作業台20が設けられる。
【0015】
また、前記第1のステージ21の第2のステージ側端部には、前記レーザ転写用フィルム6を、前記器具12の前記コードマーキング箇所に対して保持し、レーザ光10を照射するためのマーキング部11が設けられる。
【0016】
前記マーキング部11は、図2に示すように、前記作業台20の第1のステージ21の端部(第2のステージ側)に形成された開口部13に装着され、前記レーザ光10が貫通する所定の大きさの貫通孔23を保持プレート24と、この保持プレート24の両側に設けられて前記レーザ転写用フィルム6を両側から保持するガイド壁25とによって少なくとも構成される。
【0017】
また、前記保持プレート24は、前記レーザ転写用フィルム6と前記器具12との間に形成された空間26を調節する可能とするために上下に移動可能である。
【0018】
さらに、前記レーザ光10が下から照射されることから、器具12のマーキング位置を確認するために、マーキング位置を示すマーキング位置表示手段を設けることが望ましい。このマーキング位置表示手段としては、作業台20上に刻まれた直線でも良いが、より正確に位置を検出するためにマーキング位置の反対側を示す位置表示ビーム光を発射するビーム光発射装置30を設けることが望ましい。
【0019】
また、前記レーザ転写用フィルム6は、例えばPETからなるテープ状基材と、この基材に例えば接着層を介して接着されるメタル系ピグメントとによって少なくとも構成され、レーザ光が照射された場合に、レーザ光が照射された部分のみが高温で放出され、器具12に転写されるようになっているものである。
【0020】
以上の構成により、収納ドラム4に収納されたレーザ転写用フィルム6は、テンションローラ9,7を介して前記保持プレート24上に配され、さらにテンションローラ8を介して巻き取りドラム5へ巻き取られる。そして、器具12が第1のステージ21に載置され、コードマーキング位置を前記貫通孔23上の位置(位置決め用ビーム光が示す位置)に配置し、スイッチを押すことによって、所定の二次元コードを記録するようにレーザ光10が貫通孔23内を移動して、前記レーザ転写用フィルム6のメタル系ピグメントを熔解して空間に放出し、二次元コードを器具12の所定の位置に転写させるものである。尚、転写される内容について、この実施例では、二次元コードとしたが、文字、数字等からなるものであっても良い。
【0021】
また、前記レーザ転写用フィルム6の種類によって、前記レーザ転写用フィルム6と器具12との間の距離を訂正に調節するために、前記保持プレート24を移動させるものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本願発明の実施例に係るマーキング装置の概略構成図である。
【図2】マーキング部を示した説明図である。
【符号の説明】
【0023】
1 マーキング装置
2 ケーシング
3 レーザ装置
4 収納ドラム
5 巻き取りドラム
6 レーザ転写用フィルム
7,8,9 テンションローラ
10 レーザ光
11 マーキング部
12 器具
20 作業台
21 第1のステージ
22 第2のステージ
23 貫通孔
24 保持プレート
25 ガイド壁
26 空間
30 ビーム光発射装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理体としての器具に近接して配されたレーザ転写用フィルムにレーザ光を照射し、前記器具に所定のコードを蒸着させるマーキング装置において、
屈曲した形状を有する器具のコードマーキング箇所を有する部分が載置される第1のステージ及び前記コードマーキング箇所を前記第1のステージに水平に載置するために、該第1のステージから所定の高さ低く形成される第2のステージからなる作業台と、
作業台の下方に設置され、下方からレーザを照射するレーザ装置と、
該レーザ装置のレーザ光が貫通する所定の大きさの貫通孔を有すると共に、前記第1のステージの第2のステージ側端部に設けられ、前記レーザ転写用フィルムを前記器具の前記コードマーキング箇所に対して所定の間隔で保持する保持プレートと、
該保持プレートの両側に形成され、前記保持プレート上に保持された前記レーザ転写用フィルムの両側位置を規定するガイド壁とを具備することを特徴とするマーキング装置。
【請求項2】
さらに、前記コードマーキング位置を示すマーキング位置表示手段を具備することを特徴とする請求項1記載のマーキング装置。
【請求項3】
前記保持プレートは、前記ガイド壁に沿って上下に移動可能であることを特徴とする請求項1又は2記載のマーキング装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−330974(P2007−330974A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−162181(P2006−162181)
【出願日】平成18年6月12日(2006.6.12)
【出願人】(506119729)株式会社ラウンドパワー (2)
【Fターム(参考)】