ミキサー用アタッチメント、ミキサー用アタッチメントを使用するパン製造方法、及びミキサー用アタッチメントを使用するパン生地製造方法
【課題】自動製パン機とは別のミキサーの助けを借りてパン容器の内部で粉砕ブレードを高速回転させることができるようにする。
【解決手段】自動製パン機１のパン容器５０は、本来の粉砕容器１２０に代えてミキサー本体１１０に取り付けられるアタッチメント１５０を介してミキサー本体１１０に取り付けることができる。アタッチメント１５０は、パン容器５０を取り付けるパン容器支持部１６２を上部に有し、内部には、ミキサー本体１１０側の原動軸１１３の回転をパン容器５０側のブレード取付軸５３に伝達する回転伝達装置１５３が設けられている。ブレード取付軸５３に粉砕ブレード７０を取り付けておけば、パン容器５０の内部で穀物粒を粉砕することが可能となる。
【解決手段】自動製パン機１のパン容器５０は、本来の粉砕容器１２０に代えてミキサー本体１１０に取り付けられるアタッチメント１５０を介してミキサー本体１１０に取り付けることができる。アタッチメント１５０は、パン容器５０を取り付けるパン容器支持部１６２を上部に有し、内部には、ミキサー本体１１０側の原動軸１１３の回転をパン容器５０側のブレード取付軸５３に伝達する回転伝達装置１５３が設けられている。ブレード取付軸５３に粉砕ブレード７０を取り付けておけば、パン容器５０の内部で穀物粒を粉砕することが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ミキサー用アタッチメント、ミキサー用アタッチメントを使用するパン製造方法、及びミキサー用アタッチメントを使用するパン生地製造方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
市販の家庭用自動製パン機は、製パン原料を入れたパン容器を本体内の焼成室に入れ、パン容器内の製パン原料を混練ブレードで混練して捏ね上げ、発酵工程を経た後、パン容器をそのままパン焼き型としてパンを焼き上げる仕組みのものが一般的である。特許文献１に自動製パン機の一例を見ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
【特許文献１】特開２０００−１１６５２６号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
パンを製造する場合、これまでは、小麦や米などの穀物を製粉した粉や、それに各種補助原料を混ぜたミックス粉を入手するところから始めなければならなかった。手元に穀物粒（典型的なものは米）があっても、それから直接パンを製造することは困難であった。
この問題に対処するため、パン容器の内部に粉砕ブレードを設け、パン容器内で穀物粒を粉砕して製パン原料とすることが考えられているが、混練ブレードと異なり粉砕ブレードは高速回転が必要であり、高速回転のための機構を本体内にどのように設置するかという問題に直面する。
【０００５】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであって、自動製パン機とは別のミキサーの助けを借りてパン容器の内部で粉砕ブレードを高速回転させることにより、穀物粒から直接パンを製造するという課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
上記目的を達成するために本発明は、本来の粉砕容器に代えてミキサー本体に取り付けられるアタッチメントであって、自動製パン機のパン容器を取り付けるパン容器支持部を上部に有し、内部には前記ミキサー本体側の原動軸の回転を前記パン容器側のブレード取付軸に伝達する回転伝達装置が設けられていることを特徴としている。
【０００７】
上記構成のアタッチメントをミキサー本体に取り付け、このアタッチメントに自動製パン機のパン容器を取り付けると、ミキサー本体側の原動軸の回転がパン容器側のブレード取付軸に伝達される。これにより、ミキサーで用いられる高速回転がパン容器のブレード軸にも適用されることになり、ブレード軸に粉砕ブレードを取り付けておけば、パン容器の内部で穀物粒を粉砕することが可能となる。
【０００８】
また本発明は、上記構成のミキサーのアタッチメントにおいて、前記回転伝達装置は、前記原動軸の回転を減速しないでまたは減速して前記ブレード取付軸側に出力するものであることを特徴としている。
【０００９】
この構成によると、ミキサー本体の原動軸の回転を減速しないでブレード取付軸に伝達することもできれば、ミキサー本体の原動軸の回転を減速してブレード取付軸に伝達することもできるから、粉砕ブレードを取り付けたブレード取付軸を高速回転させることと、混練ブレードを取り付けたブレード取付軸を低速高トルクで回転させることの両立が可能となり、ミキサーの動力を穀物粒の粉砕と粉砕穀物粒の混練の両方に役立てることができる。
【００１０】
また本発明は、上記構成のアタッチメントをミキサー本体に取り付けるステップと、前記アタッチメントに自動製パン機のパン容器を取り付けるステップと、前記ブレード取付軸に粉砕ブレードを取り付けるステップと、前記パン容器に穀物粒と液体を入れるステップと、前記穀物粒と液体の混合物の中で前記粉砕ブレードを回転させ、前記穀物粒を粉砕するステップと、粉砕穀物粒の入った前記パン容器を自動製パン機の焼成室に取り付けるステップと、前記粉砕ブレードを混練ブレードに交換するステップと、前記自動製パン機を運転し、混練工程、発酵工程、及び焼成工程を順次遂行させるステップを含むパン製造方法であることを特徴としている。
【００１１】
この構成によると、ミキサー本体にアタッチメントを介して取り付けたパン容器の中で穀物粒を粉砕した後、パン容器を自動製パン機本体に取り付けて混練工程、発酵工程、及び焼成工程を進めて行くものであるから、パン容器に入れた穀物粒を外に出すことなくパンに焼き上げることができる。このため、他の容器内で穀物粒を粉砕してからパン容器に移す方式と異なり、粉砕穀物粒が他の容器に付着して残るという、移し替えに伴うロスが発生しない。
【００１２】
また本発明は、上記構成のアタッチメントをミキサー本体に取り付けるステップと、前記アタッチメントに自動製パン機のパン容器を取り付けるステップと、前記ブレード取付軸に粉砕ブレードを取り付けるステップと、前記パン容器に穀物粒と液体を入れるステップと、前記穀物粒と液体の混合物の中で前記粉砕ブレードを回転させ、前記穀物粒を粉砕するステップと、前記粉砕ブレードを混練ブレードに交換するステップと、前記パン容器の粉砕穀物粒を前記混練ブレードで混練し、捏ね上げるステップと、を含むパン生地製造方法であることを特徴としている。
【００１３】
この構成によると、ミキサーを利用してパン生地を製造できるから、例えば自動製パン機が発酵工程や焼成工程を行っている間に予備のパン容器を使用して発酵・焼成待ちのパン生地を製造することができ、パンの製造能率が向上する。また、パン容器とアタッチメントさえ入手すれば、穀物粒を粉砕しパン生地とするまでの工程をミキサーで行い、その後オーブンでパンを焼くといった手順で、手軽に穀物粒からパンを焼き上げることができる。
【発明の効果】
【００１４】
本発明によると、パン容器側のブレード取付軸をミキサー本体の原動軸で回転させることができるから、ブレード取付軸に粉砕ブレードを取り付けておけば、粉砕ブレードを高速回転させ、穀物粒を粉砕して製パン原料を製造することができる。このため、手持ちの穀物粒を用いてパンを焼き上げることができ、穀物粉を買い求める必要がなくなる。米の場合で言えば、玄米から白米まで、好みの精白度の米でパンを焼くことができる。そしてパン容器に入れた穀物粒を粉砕ブレードで粉砕して製パン原料とした後は、パン容器を自動製パン機にすることにより、製パン原料をパン容器から出すことなく混練、発酵、焼成と工程を進めて行くことができるから、他の容器内で穀物粒を粉砕してからパン容器に移す方式と異なり、粉砕穀物粒が他の容器に付着して残るという、移し替えに伴うロスが発生しない。
【図面の簡単な説明】
【００１５】
【図１】ミキサー本体にアタッチメントを介してパン容器を取り付けた状態の正面図であって、アタッチメントとパン容器を断面で表したものである。
【図２】図１と同様の正面図で、粉砕ブレードを混練ブレードに取り替えた状態を示すものである。
【図３】アタッチメントの垂直断面図である。
【図４】アタッチメントの垂直断面図で、図３と異なる状態を示すものである。
【図５】アタッチメント構成部品の垂直断面図である。
【図６】アタッチメントの水平断面図である。
【図７】パン容器を取り付けた自動製パン機の垂直断面図である。
【図８】ミキサーの正面図で、粉砕容器を断面で表したものである。
【図９】自動製パン機の制御ブロック図である。
【図１０】ミキサーの制御ブロック図である。
【図１１】第１態様パン製造工程の全体フローチャートである。
【図１２】第１態様パン製造工程の粉砕前含浸工程のフローチャートである。
【図１３】第１態様パン製造工程の粉砕工程のフローチャートである。
【図１４】第１態様パン製造工程の練り工程のフローチャートである。
【図１５】第１態様パン製造工程の発酵工程のフローチャートである。
【図１６】第１態様パン製造工程の焼成工程のフローチャートである。
【図１７】第２態様パン製造工程の全体フローチャートである。
【図１８】第２態様パン製造工程の粉砕後含浸工程のフローチャートである。
【図１９】第３態様パン製造工程の全体フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【００１６】
最初に、本発明の構成要素であるパン容器を含む自動製パン機の構造を図７に基づき説明する。図７において、図の左側が自動製パン機１の正面（前面）側、図の右側が自動製パン機１の背面（後面）側である。
【００１７】
自動製パン機１は合成樹脂製の外殻により構成される箱形の本体１０を有する。本体１０の上面前部には操作部２０が設けられる。操作部２０には、図示は省略するが、パンの種類（小麦粉パン、米粉パン、具材入りパンなど）の選択キー、調理内容の選択キー、タイマーキー、スタートキー、取り消しキーなどといった操作キー群と、設定された調理内容やタイマー予約時刻などを表示する表示部が設けられている。
【００１８】
操作部２０から後ろの本体上面は合成樹脂製の蓋３０で覆われる。蓋３０は図示しない蝶番軸で本体１０の背面側の縁に取り付けられており、その蝶番軸を支点として垂直面内で回動する。
【００１９】
本体１０の内部には焼成室４０が設けられる。焼成室４０は板金製で、上面が開口しており、ここからパン容器５０が入れられる。焼成室４０は水平断面矩形の周側壁４０ａと周側壁４０ａの底部を閉ざす底壁４０ｂを備える。
【００２０】
本体１０の内部には板金製の基台１２が設置されている。基台１２には、焼成室４０の中心にあたる箇所に、アルミニウム合金のダイキャスト成型品からなるパン容器支持部１３が固定されている。パン容器支持部１３の内部は焼成室４０の内部に露出している。
【００２１】
パン容器支持部１３の中心には、原動軸１４が垂直に支持されている。原動軸１４の下端はパン容器支持部１３の下面から突き出し、そこにプーリ１５が固定されている。
【００２２】
パン容器支持部１３は、パン容器５０の底面に固定された筒状の台座５１を受け入れてパン容器５０を支える。台座５１もアルミニウム合金のダイキャスト成型品である。
【００２３】
パン容器５０は板金製で、バケツのような形状をしており、口縁部には手提げ用のハンドル（図示せず）が取り付けられている。パン容器５０の水平断面は四隅を丸めた矩形である。
【００２４】
パン容器５０の底部中心には、図７に示す混練ブレード５２または図１に示す粉砕ブレード７０が配置される。混練ブレード５２または粉砕ブレード７０を取り付けるブレード取付軸５３が、パン容器５０の中心にシール対策を施した上で垂直に支持されている。
【００２５】
混練ブレード５２または粉砕ブレード７０は、ブレード取付軸５３の上端の非円形断面部に、単なるはめ込みで取り付けられるものであり、工具を用いることなく着脱することができる。このため、異なる種類の混練ブレード５２または粉砕ブレード７０に容易に交換可能である。
【００２６】
ブレード取付軸５３は原動軸１４に連結されて動力を伝達される。これを実現するため、ブレード取付軸５３の下端にはカップリング部材５４が固定され、原動軸１４の上端にはカップリング部材５４に連結するカップリング部材５５が固定されている。
【００２７】
パン容器支持部１３の内周面と台座５１の外周面には、それぞれ図示しない突起が形成される。これらの突起は周知のバヨネット結合を構成する。すなわちパン容器５０をパン容器支持部１３に取り付ける際、台座５１の突起がパン容器支持部１３の突起に干渉しないようにしてパン容器５０を下ろし、台座５１がパン容器支持部１３にはまり込んだ後、パン容器５０を水平にひねると、パン容器支持部１３の突起の下面に台座５１の突起が係合して、パン容器５０が上方に抜けなくなるようにする。この操作で、カップリング部材５４とカップリング部材５５の連結も同時に達成されるようにする。パン容器５０の取り付け時ひねり方向は混練ブレード５２の回転方向に一致させ、混練ブレード５２が回転してもパン容器５０が外れないようにしておく。
【００２８】
焼成室４０の内部に配置された加熱装置４１がパン容器５０を包囲し、製パン原料を加熱する。加熱装置４１はシーズヒータにより構成される。
【００２９】
基台１２にはモータ６０が取り付けられる。モータ６０は竪軸であって、その下面からは出力軸６１が突出する。出力軸６1にはプーリ６２が固定され、プーリ６２は原動軸１４のプーリ１５にベルト６３で連結する。
【００３０】
原動軸１４は混練ブレード５２を回転させるものであるため、低速・高トルクの回転が求められる。そのため、プーリ６２はプーリ１５を減速回転させるようにプーリ同士の直径比が設定されている。
【００３１】
自動製パン機１の動作制御は、図９に示す制御装置８０によって行われる。制御装置８０は本体１０内の適所（焼成室４０の熱の影響を受けにくい箇所が望ましい）に配置された回路基板により構成され、操作部２０及び加熱装置４１の他、モータ６０のモータドライバ６４と、温度センサ８１が接続される。温度センサ８１は焼成室４０内に配置され、焼成室４０の温度を検知する。８２は各構成要素に電力を供給する商用電源である。
【００３２】
次に、本発明の構成要素であるミキサー本体を含むミキサーの構造を図８に基づき説明する。ミキサー１００はミキサー本体１１０とその上に載置される粉砕容器１２０を主な構成要素としている。
【００３３】
ミキサー本体１１０は、合成樹脂製の外殻の中にモータ１１１（図１０参照）を収納した、周知の構成のものである。ミキサー本体１１０の正面には速度選択キーやスタート／ストップキーなどの操作キー群を備えた操作部１１２が設けられる。ミキサー本体１１０の上面中央にはモータ１１１の回転を粉砕容器の中の粉砕ブレード（後述）に伝える原動軸１１３が上向きに突出している。原動軸１１３にはカップリング部材１１４が固定され、ミキサー本体１１０の上面には、カップリング部材１１４を囲い込む環状壁１１５が形成されている。
【００３４】
粉砕容器１２０の主たる構成要素は、透明なガラスや合成樹脂で成型されたカップ１２１と、カップ１２１の底部にねじ込みで結合される合成樹脂製の台座１２２である。カップ１２１は底が抜けており、台座１２２の上面が露出している。台座１２２の中心には、
上端に粉砕ブレード１２３を固定した粉砕軸１２４が、シール対策を施した上で垂直に支持されている。粉砕軸１２４の下端にはカップリング部材１１４に連結するカップリング部材１２５が固定されている。
【００３５】
カップ１２１にはハンドル１２６が一体成形されており、これを握って粉砕容器１２０を運搬することができる。粉砕容器１２０をミキサー本体１１０の上面に置くと、台座１２２の外周のスカート部１２７が環状壁１１５に外側から被さるとともに、スカート部１２７の内側に形成された環状リブ１２８が環状壁１１５の内周に嵌合し、粉砕容器１２０はミキサー本体１１０の上にぴったりと位置決めされる。同時に、カップリング部材１１４とカップリング部材１２５の連結も達成される。カップ１２１の中に食材を入れ、蓋１２９でカップ１２１に蓋をして、モータ１１１を駆動すれば、ミキサー１００に通常の粉砕動作を行わせることができる。
【００３６】
ミキサー１００の動作制御は、図１０に示す制御装置１３０によって行われる。制御装置１３０はミキサー本体１１０内の適所に配置された回路基板により構成され、操作部１１２と、モータ１１１のモータドライバ１１６が接続されている。１３１は各構成要素に電力を供給する商用電源である。
【００３７】
次に、パン容器５０をミキサー本体１１０に取り付けるため、粉砕容器１２０に代えてミキサー本体１１０に設置されるアタッチメント１５０の構造を、図１から図６までの図を参照しつつ説明する。
【００３８】
アタッチメント１５０は、環状壁１１５に嵌合する筒型の本体１５１の上に、本体１５１に対し水平面内での相対回転が可能なセレクタリング１５２を重ねた形状となっている。本体１５１の内部には回転伝達装置１５３が設けられる。回転伝達装置１５３は、本体１５１の中心に垂直に支持された伝達軸１５４と、それを囲む減速装置１５５により構成される。伝達軸１５４の下端には、粉砕容器１２０のカップリング部材１２５と同じ構造のカップリング部材１５６が固定され、これがカップリング部材１１４に連結することにより、伝達軸１５４は原動軸１１３と同一速度で回転する。
【００３９】
伝達軸１５４の回転は減速装置１５５にも伝えられる。減速装置１５５は遊星歯車機構を利用した一般的な構成のものであり、減速後の回転は伝達軸１５４の外側に配置された爪車１５７の回転として表れる。
【００４０】
伝達軸１５４の上端は筒軸１５８の中に入り込む。伝達軸１５４は本体１５１に対し上下しないが、筒軸１５８は本体１５１に対し一定範囲で上下可能となっており、常時は圧縮コイルばね１５９により上昇限界位置まで押し上げられている。
【００４１】
筒軸１５８の下端には爪車１５７にかみ合う爪車１６０が形成されている。また筒軸１５８と伝達軸１５４の間には、筒軸１５８が図１または図３に示す上昇限界位置に達したとき、直接的な連結が生じる係合部（図示せず）が形成されている。この係合部は、例えばスプライン構造により実現できる。筒軸１５４の上端には、パン容器５０側のカップリング部材５４に連結するカップリング部材１６１が固定されている。
【００４２】
セレクタリング１５２は、その中央に、パン容器５０の台座５１を受け入れるパン容器支持部１６２を有する。セレクタリング１５２の内面には図５に示すカム１６３が形成されている。カム１６３には、筒軸１５８の外面に筒軸１５８に対し回転自在、且つ筒軸１５８に対し上下不能に取り付けられたリング１６４の外面から放射方向に突出するピン１６５（図５参照）が係合する。リング１６４は本体１５１に対しても回転しない。
【００４３】
セレクタリング１５２を水平面内で４５°回転させると、前述の通りリング１６４が本体１５１に対し回転しないことから、カム１６３がピン１６５を押し下げ、これにより、リング１６４を介して筒軸１５８が押し下げられることになる。セレクタリング１５２を逆方向に４５°回転させると、圧縮コイルばね１５９の力により、筒軸１５８とリング１６４は上昇位置に復帰する。
【００４４】
図２または図４に示すように筒軸１５８を押し下げると、伝達軸１５４と筒軸１５８の間の直接的な連結は外れる。その代わり、筒軸１５８の下端の爪車１６０が爪車１５７にかみ合い、筒軸１５８には減速装置１５５を経由した減速回転が伝達されることになる。
【００４５】
セレクタリング１５２を回動させ、カム１６３による筒軸１５８の押し下げを解除すると、図１または図３に示すように圧縮コイルばね１５９の力で筒軸１５８は上昇する。これにより、爪車１６０が爪車１５７から外れ、筒軸１５８と減速装置１５５の連結は解除される。それに代わり、伝達軸１５４と筒軸１５８の間の直接的な連結が復活する。
【００４６】
続いて、自動製パン機１、ミキサー１００、及びアタッチメント１５０を用いて穀物粒からパンを製造する工程を、図１１から図１９までの図を参照しつつ説明する。
【００４７】
図１１は第１態様パン製造工程の全体フローチャートである。図１１では、粉砕前含浸工程＃１０、粉砕工程＃２０、混練工程＃３０、発酵工程＃４０、焼成工程＃５０の順で工程が進行する。続いて、各工程の内容を説明する。
【００４８】
図１２に示す粉砕前含浸工程＃１０では、まずステップ＃１１において、ミキサー１００に粉砕容器１２０に代えてアタッチメント１５０を装着する。ステップ＃１２ではアタッチメント１５０にパン容器５０を装着する。アタッチメント１５０の筒軸１５８は上昇位置に置き、伝達軸１５４の回転が直接伝わるようにしておく。これにより、原動軸１１３の回転が減速なしでブレード取付軸５３に伝達されることになる。ステップ＃１３ではブレード取付軸５３に粉砕ブレード７０を装着する。これで図１に示す状態となる。図１では、原動軸１１３からブレード取付軸５３まで、粉砕ブレード７０への動力伝達に関与する部材にハッチングが施されている。
【００４９】
上記のように、パン容器５０の中で粉砕を行う準備を整えた上で、ステップ＃１４において、使用者が穀物粒を計量し、所定量をパン容器５０に入れる。穀物粒としては米粒が最も入手しやすいが、それ以外の穀物、例えば小麦、大麦、粟、稗、蕎麦、とうもろこしなどの粒も利用可能である。
【００５０】
ステップ＃１５では使用者が液体を計量し、所定量をパン容器５０に入れる。液体として一般的なのは水であるが、だし汁のような味成分を有する液体でもよく、果汁でもよい。アルコールを含有していてもよい。なおステップ＃１４とステップ＃１５は順序が入れ替わっても構わない。
【００５１】
パン容器５０に穀物粒と液体を入れ終わったら、パン容器５０に蓋５６をかぶせる。ここで使用者は操作部１１２の中の所定の操作キーを押し、液体含浸のタイムカウントをスタートさせる。この時点からステップ＃１６が始まる。
【００５２】
ステップ＃１６では穀物粒と液体の混合物をパン容器５０内で静置し、穀物粒に液体を含浸させる。
【００５３】
ステップ＃１７では穀物粒と液体の静置を開始してからどれだけ時間が経過したかを制御装置１３０がチェックする。所定時間が経過したら粉砕前含浸工程＃１０は終了する。このことが、操作部１１２における表示や、音声などで使用者に報知されるようにしておくとよい。
【００５４】
粉砕前含浸工程＃１０に続き、図１３に示す粉砕工程＃２０が遂行される。使用者が操作部１１２でスタートキーを押すと、粉砕が開始される。
【００５５】
ステップ＃２１では、制御装置１３０がモータ１１１を駆動する。原動軸１１３の回転は減速無しでブレード取付軸５３に伝えられ、粉砕ブレード７０はミキサー１００で粉砕を行う際の高速回転で回転する。粉砕ブレード７０は穀物粒と液体の混合物の中で穀物粒を粉砕する。粉砕ブレード７０による粉砕は、穀物粒に液体が浸み込んだ状態で行われるから、穀物粒を芯まで容易に粉砕することができる。
【００５６】
なお、操作部１１２の中の特定のキーを押すと、原動軸１１３が設定された粉砕パターン（粉砕ブレードを連続回転させるか、停止期間を織り交ぜて断続回転させるか、断続回転させる場合、どのようにインターバルをとるか、回転時間の長さをどのようにするか等）で回転するようにしておいてもよい。その場合は、ステップ＃２２で、設定通りの粉砕パターンが完遂されたかどうかを制御装置１３０がチェックする。設定通りの粉砕パターンが完遂されたらステップ＃２３に進んで粉砕ブレード７０の回転を終了し、粉砕工程＃２０は終了する。このことが、操作部１１２における表示や、音声などで使用者に報知されるようにしておくとよい。
【００５７】
以上の説明では、粉砕前含浸工程＃１０の後、使用者の操作で粉砕工程＃２０が開始されるものとしたが、粉砕前含浸工程＃１０の終了後、自動的に粉砕工程＃２０が開始されるように構成してもよい。
【００５８】
粉砕工程＃２０に続き、図１４に示す混練工程＃３０が遂行される。まずステップ＃３１において、パン容器５０をアタッチメント１５０から取り外し、自動製パン機１に装着する。蓋５６は取り外しておく。続いてステップ＃３２で粉砕ブレード７０を混練ブレード５２に交換する。これで図７に示す状態となる。以後、操作部２０で所定のキーを操作することにより、混練から焼成までの一連の工程が自動製パン機１において遂行される。
【００５９】
混練工程＃３０に入る時点では、パン容器５０の中の穀物粒と液体は、ペースト状またはスラリー状の生地原料となっている。本明細書では、混練工程＃３０の開始時点のものを「生地原料」と呼称し、混練が進行して目的とする生地の状態に近づいたものは、半完成状態であっても「生地」と呼称することとする。
【００６０】
ステップ＃３３では使用者が蓋３０を開け、生地原料に所定量のグルテンを投入する。必要に応じ、食塩、砂糖、ショートニングといった調味材料も投入する。
【００６１】
使用者は、ステップ＃３３に前後して、操作部２０よりパンの種類や調理内容の入力を行う。準備が整ったところで使用者がスタートキーを押すと、混練工程＃３０から発酵工程＃４０、さらに焼成工程＃５０へと自動的に連続する製パン作業が開始される。
【００６２】
ステップ＃３４では、制御装置８０はモータ６０を駆動する。すると生地原料の中で混練ブレード５２が回転を開始する。前述の通り、原動軸１４にはモータ６０の回転が減速されて伝えられるので、混練ブレード５２の回転は低速・高トルクのものとなる。
【００６３】
制御部８０は、モータ６０を駆動しつつ加熱装置４１に通電し、焼成室４０の温度を上げる。混練ブレード５２が回転するに従い生地原料は混練され、所定の弾力を備える、一つにつながった生地（dough）に練り上げられて行く。混練ブレード５２が生地を振り回してパン容器５０の内壁にたたきつけることにより、混練に「捏ね」の要素が加わることになる。
【００６４】
ステップ＃３５では混練ブレード５２の回転開始以来どれだけ時間が経過したかを制御装置８０がチェックする。所定時間が経過したらステップ＃３６に進む。
【００６５】
ステップ＃３６では使用者が蓋３０を開け、生地にイースト菌を投入する。
【００６６】
ステップ＃３７では生地にイースト菌を投入してからどれだけ時間が経過したかを制御装置８０がチェックする。所望の生地を得るのに必要な時間が経過したらステップ＃３８へ進んで混練ブレード５２の回転が終了する。この時点で、一つにつながり、所要の弾力を備えた生地が完成している。
【００６７】
なおステップ＃３６で生地に投入するイースト菌はドライイーストでよい。イースト菌の代わりにベーキングパウダーを用いてもよい。
【００６８】
混練工程＃３０に続き、図１５に示す発酵工程＃４０が遂行される。ステップ＃４１では混練工程＃３０を経た生地が発酵環境に置かれる。すなわち制御装置８０は焼成室４０を、必要があれば加熱装置４１に通電して、発酵が進む温度帯とする。使用者は生地を、必要に応じ形を整えて静置する。
【００６９】
ステップ＃４２では生地を発酵環境に置いてからどれだけ時間が経過したかを制御装置８０がチェックする。所定時間が経過したら発酵工程＃４０は終了する。
【００７０】
発酵工程＃４０に続き、図１６に示す焼成工程＃５０が遂行される。ステップ＃５１では発酵した生地が焼成環境に置かれる。すなわち制御装置８０はパン焼きに必要な電力を加熱装置４１に送り、焼成室４０の温度をパン焼き温度帯まで上昇させる。
【００７１】
ステップ＃５２では生地を焼成環境に置いてからどれだけ時間が経過したかを制御装置８０がチェックする。所定時間が経過したら焼成工程＃５０は終了する。ここで操作部２０における表示または音声により製パン完了の報知がなされるので、使用者は蓋３０を開けてパン容器５０を取り出す。
【００７２】
続いて第２態様製パン工程を図１７と図１８に基づき説明する。図１７は第２態様パン製造工程の全体フローチャートである。図１７では、粉砕工程＃２０、粉砕後含浸工程＃６０、練り工程＃３０、発酵工程＃４０、焼成工程＃５０の順で工程が進行する。粉砕後含浸工程＃６０は、パン容器５０をミキサー本体１１０に装着した状態で遂行することもできるし、パン容器５０を自動製パン機１に装着して遂行することもできる。続いて、図１８に基づき粉砕後含浸工程＃６０の内容を説明する。
【００７３】
ステップ＃６１では、粉砕工程＃２０で形成された生地原料がパン容器５０の内部で静置される。この生地原料は、粉砕前含浸工程を経ていなかったものである。静置されている間に、粉砕穀物粒に液体が浸み込んで行く。パン容器５０を自動製パン機１に装着して粉砕後含浸工程＃６０を遂行する場合は、制御装置８０は必要に応じ加熱装置４１に通電して生地原料を加熱し、含浸を促進することができる。
【００７４】
ステップ＃６２では静置開始以来どれだけ時間が経過したかを制御装置８０がチェックする。所定時間が経過したら粉砕後含浸工程＃６０は終了する。粉砕後含浸工程＃６０が終了すれば混練工程＃３０に移行する。混練工程＃３０以降の工程は第１態様製パン工程と同じである。
【００７５】
続いて第３態様製パン工程を図１９に基づき説明する。図１９は第３態様パン製造工程の全体フローチャートである。ここでは、粉砕工程＃２０の前に第１態様の粉砕前含浸工程＃１０を置き、粉砕工程＃２０の後に第２態様の粉砕後含浸工程６０を置いている。混練工程３０以降の工程は第１態様製パン工程と同じである。
【００７６】
以上の説明では、混練工程＃３０を自動製パン機１の側で遂行するものとしたが、アタッチメント１５０のセッティングを変えて、すなわち筒軸１５８に減速装置１５５を経由した減速回転が伝達されるようにして、粉砕ブレード７０を混練ブレード５２に交換すれば、ミキサー本体１１０に装着したパン容器５０の中で混練工程＃３０を遂行することができる。
【００７７】
すなわち、粉砕工程＃２０が終了した後、セレクタリング１５２を回動させ、図２に示すように筒軸１５４を降下させて、爪車１６０を爪車１５７にかみ合わせる。この時点で、伝達軸１５４と筒軸１５８の間の直接的な連結は外れ、筒軸１５８には減速装置１５５を経由した減速回転が伝達されることになる。図２では、原動軸１１３からブレード取付軸５３まで、混練ブレード５２への動力伝達に関与する部材にハッチングが施されている。
【００７８】
粉砕ブレード７０を混練ブレード５２に交換し、生地原料に所定量のグルテンと、必要に応じ、食塩、砂糖、ショートニングといった調味材料を投入する。そして操作部１１２でスタート／ストップキーを押すと、ブレード取付軸５３は混練時の回転数で回転し、混練ブレード５２は、自動製パン機１の中で回転するときと同様に、生地原料を混練し、捏ね上げて行く。
【００７９】
このように、ミキサー１００を利用してパン生地を製造できるから、例えば自動製パン機１が発酵工程や焼成工程を行っている間に予備のパン容器５０を使用して発酵・焼成待ちのパン生地を製造することができ、パンの製造能率が向上する。また、パン容器５０とアタッチメント１５０さえ入手すれば、穀物粒を粉砕しパン生地とするまでの工程をミキサー１００で行い、その後オーブンでパンを焼くといった手順で、手軽に穀物粒からパンを焼き上げることができる。
【００８０】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【００８１】
本発明は、一般家庭における製パン作業に広く利用可能である。
【符号の説明】
【００８２】
１ 自動製パン機
１０ 本体
１３ パン容器支持部
１４ 原動軸
２０ 操作部
３０ 蓋
４０ 焼成室
５０ パン容器
５２ 混練ブレード
５３ ブレード取付軸
６０ モータ
７０ 粉砕ブレード
８０ 制御装置
１００ ミキサー
１１０ ミキサー本体
１１３ 原動軸
１２０ 粉砕容器
１５０ アタッチメント
１５１ 本体
１５２ セレクタリング
１５３ 回転伝達装置
１６２ パン容器支持部
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ミキサー用アタッチメント、ミキサー用アタッチメントを使用するパン製造方法、及びミキサー用アタッチメントを使用するパン生地製造方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
市販の家庭用自動製パン機は、製パン原料を入れたパン容器を本体内の焼成室に入れ、パン容器内の製パン原料を混練ブレードで混練して捏ね上げ、発酵工程を経た後、パン容器をそのままパン焼き型としてパンを焼き上げる仕組みのものが一般的である。特許文献１に自動製パン機の一例を見ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
【特許文献１】特開２０００−１１６５２６号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
パンを製造する場合、これまでは、小麦や米などの穀物を製粉した粉や、それに各種補助原料を混ぜたミックス粉を入手するところから始めなければならなかった。手元に穀物粒（典型的なものは米）があっても、それから直接パンを製造することは困難であった。
この問題に対処するため、パン容器の内部に粉砕ブレードを設け、パン容器内で穀物粒を粉砕して製パン原料とすることが考えられているが、混練ブレードと異なり粉砕ブレードは高速回転が必要であり、高速回転のための機構を本体内にどのように設置するかという問題に直面する。
【０００５】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであって、自動製パン機とは別のミキサーの助けを借りてパン容器の内部で粉砕ブレードを高速回転させることにより、穀物粒から直接パンを製造するという課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
上記目的を達成するために本発明は、本来の粉砕容器に代えてミキサー本体に取り付けられるアタッチメントであって、自動製パン機のパン容器を取り付けるパン容器支持部を上部に有し、内部には前記ミキサー本体側の原動軸の回転を前記パン容器側のブレード取付軸に伝達する回転伝達装置が設けられていることを特徴としている。
【０００７】
上記構成のアタッチメントをミキサー本体に取り付け、このアタッチメントに自動製パン機のパン容器を取り付けると、ミキサー本体側の原動軸の回転がパン容器側のブレード取付軸に伝達される。これにより、ミキサーで用いられる高速回転がパン容器のブレード軸にも適用されることになり、ブレード軸に粉砕ブレードを取り付けておけば、パン容器の内部で穀物粒を粉砕することが可能となる。
【０００８】
また本発明は、上記構成のミキサーのアタッチメントにおいて、前記回転伝達装置は、前記原動軸の回転を減速しないでまたは減速して前記ブレード取付軸側に出力するものであることを特徴としている。
【０００９】
この構成によると、ミキサー本体の原動軸の回転を減速しないでブレード取付軸に伝達することもできれば、ミキサー本体の原動軸の回転を減速してブレード取付軸に伝達することもできるから、粉砕ブレードを取り付けたブレード取付軸を高速回転させることと、混練ブレードを取り付けたブレード取付軸を低速高トルクで回転させることの両立が可能となり、ミキサーの動力を穀物粒の粉砕と粉砕穀物粒の混練の両方に役立てることができる。
【００１０】
また本発明は、上記構成のアタッチメントをミキサー本体に取り付けるステップと、前記アタッチメントに自動製パン機のパン容器を取り付けるステップと、前記ブレード取付軸に粉砕ブレードを取り付けるステップと、前記パン容器に穀物粒と液体を入れるステップと、前記穀物粒と液体の混合物の中で前記粉砕ブレードを回転させ、前記穀物粒を粉砕するステップと、粉砕穀物粒の入った前記パン容器を自動製パン機の焼成室に取り付けるステップと、前記粉砕ブレードを混練ブレードに交換するステップと、前記自動製パン機を運転し、混練工程、発酵工程、及び焼成工程を順次遂行させるステップを含むパン製造方法であることを特徴としている。
【００１１】
この構成によると、ミキサー本体にアタッチメントを介して取り付けたパン容器の中で穀物粒を粉砕した後、パン容器を自動製パン機本体に取り付けて混練工程、発酵工程、及び焼成工程を進めて行くものであるから、パン容器に入れた穀物粒を外に出すことなくパンに焼き上げることができる。このため、他の容器内で穀物粒を粉砕してからパン容器に移す方式と異なり、粉砕穀物粒が他の容器に付着して残るという、移し替えに伴うロスが発生しない。
【００１２】
また本発明は、上記構成のアタッチメントをミキサー本体に取り付けるステップと、前記アタッチメントに自動製パン機のパン容器を取り付けるステップと、前記ブレード取付軸に粉砕ブレードを取り付けるステップと、前記パン容器に穀物粒と液体を入れるステップと、前記穀物粒と液体の混合物の中で前記粉砕ブレードを回転させ、前記穀物粒を粉砕するステップと、前記粉砕ブレードを混練ブレードに交換するステップと、前記パン容器の粉砕穀物粒を前記混練ブレードで混練し、捏ね上げるステップと、を含むパン生地製造方法であることを特徴としている。
【００１３】
この構成によると、ミキサーを利用してパン生地を製造できるから、例えば自動製パン機が発酵工程や焼成工程を行っている間に予備のパン容器を使用して発酵・焼成待ちのパン生地を製造することができ、パンの製造能率が向上する。また、パン容器とアタッチメントさえ入手すれば、穀物粒を粉砕しパン生地とするまでの工程をミキサーで行い、その後オーブンでパンを焼くといった手順で、手軽に穀物粒からパンを焼き上げることができる。
【発明の効果】
【００１４】
本発明によると、パン容器側のブレード取付軸をミキサー本体の原動軸で回転させることができるから、ブレード取付軸に粉砕ブレードを取り付けておけば、粉砕ブレードを高速回転させ、穀物粒を粉砕して製パン原料を製造することができる。このため、手持ちの穀物粒を用いてパンを焼き上げることができ、穀物粉を買い求める必要がなくなる。米の場合で言えば、玄米から白米まで、好みの精白度の米でパンを焼くことができる。そしてパン容器に入れた穀物粒を粉砕ブレードで粉砕して製パン原料とした後は、パン容器を自動製パン機にすることにより、製パン原料をパン容器から出すことなく混練、発酵、焼成と工程を進めて行くことができるから、他の容器内で穀物粒を粉砕してからパン容器に移す方式と異なり、粉砕穀物粒が他の容器に付着して残るという、移し替えに伴うロスが発生しない。
【図面の簡単な説明】
【００１５】
【図１】ミキサー本体にアタッチメントを介してパン容器を取り付けた状態の正面図であって、アタッチメントとパン容器を断面で表したものである。
【図２】図１と同様の正面図で、粉砕ブレードを混練ブレードに取り替えた状態を示すものである。
【図３】アタッチメントの垂直断面図である。
【図４】アタッチメントの垂直断面図で、図３と異なる状態を示すものである。
【図５】アタッチメント構成部品の垂直断面図である。
【図６】アタッチメントの水平断面図である。
【図７】パン容器を取り付けた自動製パン機の垂直断面図である。
【図８】ミキサーの正面図で、粉砕容器を断面で表したものである。
【図９】自動製パン機の制御ブロック図である。
【図１０】ミキサーの制御ブロック図である。
【図１１】第１態様パン製造工程の全体フローチャートである。
【図１２】第１態様パン製造工程の粉砕前含浸工程のフローチャートである。
【図１３】第１態様パン製造工程の粉砕工程のフローチャートである。
【図１４】第１態様パン製造工程の練り工程のフローチャートである。
【図１５】第１態様パン製造工程の発酵工程のフローチャートである。
【図１６】第１態様パン製造工程の焼成工程のフローチャートである。
【図１７】第２態様パン製造工程の全体フローチャートである。
【図１８】第２態様パン製造工程の粉砕後含浸工程のフローチャートである。
【図１９】第３態様パン製造工程の全体フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【００１６】
最初に、本発明の構成要素であるパン容器を含む自動製パン機の構造を図７に基づき説明する。図７において、図の左側が自動製パン機１の正面（前面）側、図の右側が自動製パン機１の背面（後面）側である。
【００１７】
自動製パン機１は合成樹脂製の外殻により構成される箱形の本体１０を有する。本体１０の上面前部には操作部２０が設けられる。操作部２０には、図示は省略するが、パンの種類（小麦粉パン、米粉パン、具材入りパンなど）の選択キー、調理内容の選択キー、タイマーキー、スタートキー、取り消しキーなどといった操作キー群と、設定された調理内容やタイマー予約時刻などを表示する表示部が設けられている。
【００１８】
操作部２０から後ろの本体上面は合成樹脂製の蓋３０で覆われる。蓋３０は図示しない蝶番軸で本体１０の背面側の縁に取り付けられており、その蝶番軸を支点として垂直面内で回動する。
【００１９】
本体１０の内部には焼成室４０が設けられる。焼成室４０は板金製で、上面が開口しており、ここからパン容器５０が入れられる。焼成室４０は水平断面矩形の周側壁４０ａと周側壁４０ａの底部を閉ざす底壁４０ｂを備える。
【００２０】
本体１０の内部には板金製の基台１２が設置されている。基台１２には、焼成室４０の中心にあたる箇所に、アルミニウム合金のダイキャスト成型品からなるパン容器支持部１３が固定されている。パン容器支持部１３の内部は焼成室４０の内部に露出している。
【００２１】
パン容器支持部１３の中心には、原動軸１４が垂直に支持されている。原動軸１４の下端はパン容器支持部１３の下面から突き出し、そこにプーリ１５が固定されている。
【００２２】
パン容器支持部１３は、パン容器５０の底面に固定された筒状の台座５１を受け入れてパン容器５０を支える。台座５１もアルミニウム合金のダイキャスト成型品である。
【００２３】
パン容器５０は板金製で、バケツのような形状をしており、口縁部には手提げ用のハンドル（図示せず）が取り付けられている。パン容器５０の水平断面は四隅を丸めた矩形である。
【００２４】
パン容器５０の底部中心には、図７に示す混練ブレード５２または図１に示す粉砕ブレード７０が配置される。混練ブレード５２または粉砕ブレード７０を取り付けるブレード取付軸５３が、パン容器５０の中心にシール対策を施した上で垂直に支持されている。
【００２５】
混練ブレード５２または粉砕ブレード７０は、ブレード取付軸５３の上端の非円形断面部に、単なるはめ込みで取り付けられるものであり、工具を用いることなく着脱することができる。このため、異なる種類の混練ブレード５２または粉砕ブレード７０に容易に交換可能である。
【００２６】
ブレード取付軸５３は原動軸１４に連結されて動力を伝達される。これを実現するため、ブレード取付軸５３の下端にはカップリング部材５４が固定され、原動軸１４の上端にはカップリング部材５４に連結するカップリング部材５５が固定されている。
【００２７】
パン容器支持部１３の内周面と台座５１の外周面には、それぞれ図示しない突起が形成される。これらの突起は周知のバヨネット結合を構成する。すなわちパン容器５０をパン容器支持部１３に取り付ける際、台座５１の突起がパン容器支持部１３の突起に干渉しないようにしてパン容器５０を下ろし、台座５１がパン容器支持部１３にはまり込んだ後、パン容器５０を水平にひねると、パン容器支持部１３の突起の下面に台座５１の突起が係合して、パン容器５０が上方に抜けなくなるようにする。この操作で、カップリング部材５４とカップリング部材５５の連結も同時に達成されるようにする。パン容器５０の取り付け時ひねり方向は混練ブレード５２の回転方向に一致させ、混練ブレード５２が回転してもパン容器５０が外れないようにしておく。
【００２８】
焼成室４０の内部に配置された加熱装置４１がパン容器５０を包囲し、製パン原料を加熱する。加熱装置４１はシーズヒータにより構成される。
【００２９】
基台１２にはモータ６０が取り付けられる。モータ６０は竪軸であって、その下面からは出力軸６１が突出する。出力軸６1にはプーリ６２が固定され、プーリ６２は原動軸１４のプーリ１５にベルト６３で連結する。
【００３０】
原動軸１４は混練ブレード５２を回転させるものであるため、低速・高トルクの回転が求められる。そのため、プーリ６２はプーリ１５を減速回転させるようにプーリ同士の直径比が設定されている。
【００３１】
自動製パン機１の動作制御は、図９に示す制御装置８０によって行われる。制御装置８０は本体１０内の適所（焼成室４０の熱の影響を受けにくい箇所が望ましい）に配置された回路基板により構成され、操作部２０及び加熱装置４１の他、モータ６０のモータドライバ６４と、温度センサ８１が接続される。温度センサ８１は焼成室４０内に配置され、焼成室４０の温度を検知する。８２は各構成要素に電力を供給する商用電源である。
【００３２】
次に、本発明の構成要素であるミキサー本体を含むミキサーの構造を図８に基づき説明する。ミキサー１００はミキサー本体１１０とその上に載置される粉砕容器１２０を主な構成要素としている。
【００３３】
ミキサー本体１１０は、合成樹脂製の外殻の中にモータ１１１（図１０参照）を収納した、周知の構成のものである。ミキサー本体１１０の正面には速度選択キーやスタート／ストップキーなどの操作キー群を備えた操作部１１２が設けられる。ミキサー本体１１０の上面中央にはモータ１１１の回転を粉砕容器の中の粉砕ブレード（後述）に伝える原動軸１１３が上向きに突出している。原動軸１１３にはカップリング部材１１４が固定され、ミキサー本体１１０の上面には、カップリング部材１１４を囲い込む環状壁１１５が形成されている。
【００３４】
粉砕容器１２０の主たる構成要素は、透明なガラスや合成樹脂で成型されたカップ１２１と、カップ１２１の底部にねじ込みで結合される合成樹脂製の台座１２２である。カップ１２１は底が抜けており、台座１２２の上面が露出している。台座１２２の中心には、
上端に粉砕ブレード１２３を固定した粉砕軸１２４が、シール対策を施した上で垂直に支持されている。粉砕軸１２４の下端にはカップリング部材１１４に連結するカップリング部材１２５が固定されている。
【００３５】
カップ１２１にはハンドル１２６が一体成形されており、これを握って粉砕容器１２０を運搬することができる。粉砕容器１２０をミキサー本体１１０の上面に置くと、台座１２２の外周のスカート部１２７が環状壁１１５に外側から被さるとともに、スカート部１２７の内側に形成された環状リブ１２８が環状壁１１５の内周に嵌合し、粉砕容器１２０はミキサー本体１１０の上にぴったりと位置決めされる。同時に、カップリング部材１１４とカップリング部材１２５の連結も達成される。カップ１２１の中に食材を入れ、蓋１２９でカップ１２１に蓋をして、モータ１１１を駆動すれば、ミキサー１００に通常の粉砕動作を行わせることができる。
【００３６】
ミキサー１００の動作制御は、図１０に示す制御装置１３０によって行われる。制御装置１３０はミキサー本体１１０内の適所に配置された回路基板により構成され、操作部１１２と、モータ１１１のモータドライバ１１６が接続されている。１３１は各構成要素に電力を供給する商用電源である。
【００３７】
次に、パン容器５０をミキサー本体１１０に取り付けるため、粉砕容器１２０に代えてミキサー本体１１０に設置されるアタッチメント１５０の構造を、図１から図６までの図を参照しつつ説明する。
【００３８】
アタッチメント１５０は、環状壁１１５に嵌合する筒型の本体１５１の上に、本体１５１に対し水平面内での相対回転が可能なセレクタリング１５２を重ねた形状となっている。本体１５１の内部には回転伝達装置１５３が設けられる。回転伝達装置１５３は、本体１５１の中心に垂直に支持された伝達軸１５４と、それを囲む減速装置１５５により構成される。伝達軸１５４の下端には、粉砕容器１２０のカップリング部材１２５と同じ構造のカップリング部材１５６が固定され、これがカップリング部材１１４に連結することにより、伝達軸１５４は原動軸１１３と同一速度で回転する。
【００３９】
伝達軸１５４の回転は減速装置１５５にも伝えられる。減速装置１５５は遊星歯車機構を利用した一般的な構成のものであり、減速後の回転は伝達軸１５４の外側に配置された爪車１５７の回転として表れる。
【００４０】
伝達軸１５４の上端は筒軸１５８の中に入り込む。伝達軸１５４は本体１５１に対し上下しないが、筒軸１５８は本体１５１に対し一定範囲で上下可能となっており、常時は圧縮コイルばね１５９により上昇限界位置まで押し上げられている。
【００４１】
筒軸１５８の下端には爪車１５７にかみ合う爪車１６０が形成されている。また筒軸１５８と伝達軸１５４の間には、筒軸１５８が図１または図３に示す上昇限界位置に達したとき、直接的な連結が生じる係合部（図示せず）が形成されている。この係合部は、例えばスプライン構造により実現できる。筒軸１５４の上端には、パン容器５０側のカップリング部材５４に連結するカップリング部材１６１が固定されている。
【００４２】
セレクタリング１５２は、その中央に、パン容器５０の台座５１を受け入れるパン容器支持部１６２を有する。セレクタリング１５２の内面には図５に示すカム１６３が形成されている。カム１６３には、筒軸１５８の外面に筒軸１５８に対し回転自在、且つ筒軸１５８に対し上下不能に取り付けられたリング１６４の外面から放射方向に突出するピン１６５（図５参照）が係合する。リング１６４は本体１５１に対しても回転しない。
【００４３】
セレクタリング１５２を水平面内で４５°回転させると、前述の通りリング１６４が本体１５１に対し回転しないことから、カム１６３がピン１６５を押し下げ、これにより、リング１６４を介して筒軸１５８が押し下げられることになる。セレクタリング１５２を逆方向に４５°回転させると、圧縮コイルばね１５９の力により、筒軸１５８とリング１６４は上昇位置に復帰する。
【００４４】
図２または図４に示すように筒軸１５８を押し下げると、伝達軸１５４と筒軸１５８の間の直接的な連結は外れる。その代わり、筒軸１５８の下端の爪車１６０が爪車１５７にかみ合い、筒軸１５８には減速装置１５５を経由した減速回転が伝達されることになる。
【００４５】
セレクタリング１５２を回動させ、カム１６３による筒軸１５８の押し下げを解除すると、図１または図３に示すように圧縮コイルばね１５９の力で筒軸１５８は上昇する。これにより、爪車１６０が爪車１５７から外れ、筒軸１５８と減速装置１５５の連結は解除される。それに代わり、伝達軸１５４と筒軸１５８の間の直接的な連結が復活する。
【００４６】
続いて、自動製パン機１、ミキサー１００、及びアタッチメント１５０を用いて穀物粒からパンを製造する工程を、図１１から図１９までの図を参照しつつ説明する。
【００４７】
図１１は第１態様パン製造工程の全体フローチャートである。図１１では、粉砕前含浸工程＃１０、粉砕工程＃２０、混練工程＃３０、発酵工程＃４０、焼成工程＃５０の順で工程が進行する。続いて、各工程の内容を説明する。
【００４８】
図１２に示す粉砕前含浸工程＃１０では、まずステップ＃１１において、ミキサー１００に粉砕容器１２０に代えてアタッチメント１５０を装着する。ステップ＃１２ではアタッチメント１５０にパン容器５０を装着する。アタッチメント１５０の筒軸１５８は上昇位置に置き、伝達軸１５４の回転が直接伝わるようにしておく。これにより、原動軸１１３の回転が減速なしでブレード取付軸５３に伝達されることになる。ステップ＃１３ではブレード取付軸５３に粉砕ブレード７０を装着する。これで図１に示す状態となる。図１では、原動軸１１３からブレード取付軸５３まで、粉砕ブレード７０への動力伝達に関与する部材にハッチングが施されている。
【００４９】
上記のように、パン容器５０の中で粉砕を行う準備を整えた上で、ステップ＃１４において、使用者が穀物粒を計量し、所定量をパン容器５０に入れる。穀物粒としては米粒が最も入手しやすいが、それ以外の穀物、例えば小麦、大麦、粟、稗、蕎麦、とうもろこしなどの粒も利用可能である。
【００５０】
ステップ＃１５では使用者が液体を計量し、所定量をパン容器５０に入れる。液体として一般的なのは水であるが、だし汁のような味成分を有する液体でもよく、果汁でもよい。アルコールを含有していてもよい。なおステップ＃１４とステップ＃１５は順序が入れ替わっても構わない。
【００５１】
パン容器５０に穀物粒と液体を入れ終わったら、パン容器５０に蓋５６をかぶせる。ここで使用者は操作部１１２の中の所定の操作キーを押し、液体含浸のタイムカウントをスタートさせる。この時点からステップ＃１６が始まる。
【００５２】
ステップ＃１６では穀物粒と液体の混合物をパン容器５０内で静置し、穀物粒に液体を含浸させる。
【００５３】
ステップ＃１７では穀物粒と液体の静置を開始してからどれだけ時間が経過したかを制御装置１３０がチェックする。所定時間が経過したら粉砕前含浸工程＃１０は終了する。このことが、操作部１１２における表示や、音声などで使用者に報知されるようにしておくとよい。
【００５４】
粉砕前含浸工程＃１０に続き、図１３に示す粉砕工程＃２０が遂行される。使用者が操作部１１２でスタートキーを押すと、粉砕が開始される。
【００５５】
ステップ＃２１では、制御装置１３０がモータ１１１を駆動する。原動軸１１３の回転は減速無しでブレード取付軸５３に伝えられ、粉砕ブレード７０はミキサー１００で粉砕を行う際の高速回転で回転する。粉砕ブレード７０は穀物粒と液体の混合物の中で穀物粒を粉砕する。粉砕ブレード７０による粉砕は、穀物粒に液体が浸み込んだ状態で行われるから、穀物粒を芯まで容易に粉砕することができる。
【００５６】
なお、操作部１１２の中の特定のキーを押すと、原動軸１１３が設定された粉砕パターン（粉砕ブレードを連続回転させるか、停止期間を織り交ぜて断続回転させるか、断続回転させる場合、どのようにインターバルをとるか、回転時間の長さをどのようにするか等）で回転するようにしておいてもよい。その場合は、ステップ＃２２で、設定通りの粉砕パターンが完遂されたかどうかを制御装置１３０がチェックする。設定通りの粉砕パターンが完遂されたらステップ＃２３に進んで粉砕ブレード７０の回転を終了し、粉砕工程＃２０は終了する。このことが、操作部１１２における表示や、音声などで使用者に報知されるようにしておくとよい。
【００５７】
以上の説明では、粉砕前含浸工程＃１０の後、使用者の操作で粉砕工程＃２０が開始されるものとしたが、粉砕前含浸工程＃１０の終了後、自動的に粉砕工程＃２０が開始されるように構成してもよい。
【００５８】
粉砕工程＃２０に続き、図１４に示す混練工程＃３０が遂行される。まずステップ＃３１において、パン容器５０をアタッチメント１５０から取り外し、自動製パン機１に装着する。蓋５６は取り外しておく。続いてステップ＃３２で粉砕ブレード７０を混練ブレード５２に交換する。これで図７に示す状態となる。以後、操作部２０で所定のキーを操作することにより、混練から焼成までの一連の工程が自動製パン機１において遂行される。
【００５９】
混練工程＃３０に入る時点では、パン容器５０の中の穀物粒と液体は、ペースト状またはスラリー状の生地原料となっている。本明細書では、混練工程＃３０の開始時点のものを「生地原料」と呼称し、混練が進行して目的とする生地の状態に近づいたものは、半完成状態であっても「生地」と呼称することとする。
【００６０】
ステップ＃３３では使用者が蓋３０を開け、生地原料に所定量のグルテンを投入する。必要に応じ、食塩、砂糖、ショートニングといった調味材料も投入する。
【００６１】
使用者は、ステップ＃３３に前後して、操作部２０よりパンの種類や調理内容の入力を行う。準備が整ったところで使用者がスタートキーを押すと、混練工程＃３０から発酵工程＃４０、さらに焼成工程＃５０へと自動的に連続する製パン作業が開始される。
【００６２】
ステップ＃３４では、制御装置８０はモータ６０を駆動する。すると生地原料の中で混練ブレード５２が回転を開始する。前述の通り、原動軸１４にはモータ６０の回転が減速されて伝えられるので、混練ブレード５２の回転は低速・高トルクのものとなる。
【００６３】
制御部８０は、モータ６０を駆動しつつ加熱装置４１に通電し、焼成室４０の温度を上げる。混練ブレード５２が回転するに従い生地原料は混練され、所定の弾力を備える、一つにつながった生地（dough）に練り上げられて行く。混練ブレード５２が生地を振り回してパン容器５０の内壁にたたきつけることにより、混練に「捏ね」の要素が加わることになる。
【００６４】
ステップ＃３５では混練ブレード５２の回転開始以来どれだけ時間が経過したかを制御装置８０がチェックする。所定時間が経過したらステップ＃３６に進む。
【００６５】
ステップ＃３６では使用者が蓋３０を開け、生地にイースト菌を投入する。
【００６６】
ステップ＃３７では生地にイースト菌を投入してからどれだけ時間が経過したかを制御装置８０がチェックする。所望の生地を得るのに必要な時間が経過したらステップ＃３８へ進んで混練ブレード５２の回転が終了する。この時点で、一つにつながり、所要の弾力を備えた生地が完成している。
【００６７】
なおステップ＃３６で生地に投入するイースト菌はドライイーストでよい。イースト菌の代わりにベーキングパウダーを用いてもよい。
【００６８】
混練工程＃３０に続き、図１５に示す発酵工程＃４０が遂行される。ステップ＃４１では混練工程＃３０を経た生地が発酵環境に置かれる。すなわち制御装置８０は焼成室４０を、必要があれば加熱装置４１に通電して、発酵が進む温度帯とする。使用者は生地を、必要に応じ形を整えて静置する。
【００６９】
ステップ＃４２では生地を発酵環境に置いてからどれだけ時間が経過したかを制御装置８０がチェックする。所定時間が経過したら発酵工程＃４０は終了する。
【００７０】
発酵工程＃４０に続き、図１６に示す焼成工程＃５０が遂行される。ステップ＃５１では発酵した生地が焼成環境に置かれる。すなわち制御装置８０はパン焼きに必要な電力を加熱装置４１に送り、焼成室４０の温度をパン焼き温度帯まで上昇させる。
【００７１】
ステップ＃５２では生地を焼成環境に置いてからどれだけ時間が経過したかを制御装置８０がチェックする。所定時間が経過したら焼成工程＃５０は終了する。ここで操作部２０における表示または音声により製パン完了の報知がなされるので、使用者は蓋３０を開けてパン容器５０を取り出す。
【００７２】
続いて第２態様製パン工程を図１７と図１８に基づき説明する。図１７は第２態様パン製造工程の全体フローチャートである。図１７では、粉砕工程＃２０、粉砕後含浸工程＃６０、練り工程＃３０、発酵工程＃４０、焼成工程＃５０の順で工程が進行する。粉砕後含浸工程＃６０は、パン容器５０をミキサー本体１１０に装着した状態で遂行することもできるし、パン容器５０を自動製パン機１に装着して遂行することもできる。続いて、図１８に基づき粉砕後含浸工程＃６０の内容を説明する。
【００７３】
ステップ＃６１では、粉砕工程＃２０で形成された生地原料がパン容器５０の内部で静置される。この生地原料は、粉砕前含浸工程を経ていなかったものである。静置されている間に、粉砕穀物粒に液体が浸み込んで行く。パン容器５０を自動製パン機１に装着して粉砕後含浸工程＃６０を遂行する場合は、制御装置８０は必要に応じ加熱装置４１に通電して生地原料を加熱し、含浸を促進することができる。
【００７４】
ステップ＃６２では静置開始以来どれだけ時間が経過したかを制御装置８０がチェックする。所定時間が経過したら粉砕後含浸工程＃６０は終了する。粉砕後含浸工程＃６０が終了すれば混練工程＃３０に移行する。混練工程＃３０以降の工程は第１態様製パン工程と同じである。
【００７５】
続いて第３態様製パン工程を図１９に基づき説明する。図１９は第３態様パン製造工程の全体フローチャートである。ここでは、粉砕工程＃２０の前に第１態様の粉砕前含浸工程＃１０を置き、粉砕工程＃２０の後に第２態様の粉砕後含浸工程６０を置いている。混練工程３０以降の工程は第１態様製パン工程と同じである。
【００７６】
以上の説明では、混練工程＃３０を自動製パン機１の側で遂行するものとしたが、アタッチメント１５０のセッティングを変えて、すなわち筒軸１５８に減速装置１５５を経由した減速回転が伝達されるようにして、粉砕ブレード７０を混練ブレード５２に交換すれば、ミキサー本体１１０に装着したパン容器５０の中で混練工程＃３０を遂行することができる。
【００７７】
すなわち、粉砕工程＃２０が終了した後、セレクタリング１５２を回動させ、図２に示すように筒軸１５４を降下させて、爪車１６０を爪車１５７にかみ合わせる。この時点で、伝達軸１５４と筒軸１５８の間の直接的な連結は外れ、筒軸１５８には減速装置１５５を経由した減速回転が伝達されることになる。図２では、原動軸１１３からブレード取付軸５３まで、混練ブレード５２への動力伝達に関与する部材にハッチングが施されている。
【００７８】
粉砕ブレード７０を混練ブレード５２に交換し、生地原料に所定量のグルテンと、必要に応じ、食塩、砂糖、ショートニングといった調味材料を投入する。そして操作部１１２でスタート／ストップキーを押すと、ブレード取付軸５３は混練時の回転数で回転し、混練ブレード５２は、自動製パン機１の中で回転するときと同様に、生地原料を混練し、捏ね上げて行く。
【００７９】
このように、ミキサー１００を利用してパン生地を製造できるから、例えば自動製パン機１が発酵工程や焼成工程を行っている間に予備のパン容器５０を使用して発酵・焼成待ちのパン生地を製造することができ、パンの製造能率が向上する。また、パン容器５０とアタッチメント１５０さえ入手すれば、穀物粒を粉砕しパン生地とするまでの工程をミキサー１００で行い、その後オーブンでパンを焼くといった手順で、手軽に穀物粒からパンを焼き上げることができる。
【００８０】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【００８１】
本発明は、一般家庭における製パン作業に広く利用可能である。
【符号の説明】
【００８２】
１ 自動製パン機
１０ 本体
１３ パン容器支持部
１４ 原動軸
２０ 操作部
３０ 蓋
４０ 焼成室
５０ パン容器
５２ 混練ブレード
５３ ブレード取付軸
６０ モータ
７０ 粉砕ブレード
８０ 制御装置
１００ ミキサー
１１０ ミキサー本体
１１３ 原動軸
１２０ 粉砕容器
１５０ アタッチメント
１５１ 本体
１５２ セレクタリング
１５３ 回転伝達装置
１６２ パン容器支持部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
本来の粉砕容器に代えてミキサー本体に取り付けられるアタッチメントであって、
自動製パン機のパン容器を取り付けるパン容器支持部を上部に有し、内部には前記ミキサー本体側の原動軸の回転を前記パン容器側のブレード取付軸に伝達する回転伝達装置が設けられていることを特徴とするミキサーのアタッチメント。
【請求項２】
前記回転伝達装置は、前記原動軸の回転を減速しないでまたは減速して前記ブレード取付軸側に出力するものであることを特徴とする請求項１に記載のミキサーのアタッチメント。
【請求項３】
請求項１に記載のアタッチメントをミキサー本体に取り付けるステップと、
前記アタッチメントに自動製パン機のパン容器を取り付けるステップと、
前記ブレード取付軸に粉砕ブレードを取り付けるステップと、
前記パン容器に穀物粒と液体を入れるステップと、
前記穀物粒と液体の混合物の中で前記粉砕ブレードを回転させ、前記穀物粒を粉砕するステップと、
粉砕穀物粒の入った前記パン容器を自動製パン機の焼成室に取り付けるステップと、
前記粉砕ブレードを混練ブレードに交換するステップと、
前記自動製パン機を運転し、混練工程、発酵工程、及び焼成工程を順次遂行させるステップを含むことを特徴とするパン製造方法。
【請求項４】
請求項２に記載のアタッチメントをミキサー本体に取り付けるステップと、
前記アタッチメントに自動製パン機のパン容器を取り付けるステップと、
前記ブレード取付軸に粉砕ブレードを取り付けるステップと、
前記パン容器に穀物粒と液体を入れるステップと、
前記穀物粒と液体の混合物の中で前記粉砕ブレードを回転させ、前記穀物粒を粉砕するステップと、
前記粉砕ブレードを混練ブレードに交換するステップと、
前記パン容器の粉砕穀物粒を前記混練ブレードで混練し、捏ね上げるステップと、
を含むことをパン生地製造方法。
【請求項１】
本来の粉砕容器に代えてミキサー本体に取り付けられるアタッチメントであって、
自動製パン機のパン容器を取り付けるパン容器支持部を上部に有し、内部には前記ミキサー本体側の原動軸の回転を前記パン容器側のブレード取付軸に伝達する回転伝達装置が設けられていることを特徴とするミキサーのアタッチメント。
【請求項２】
前記回転伝達装置は、前記原動軸の回転を減速しないでまたは減速して前記ブレード取付軸側に出力するものであることを特徴とする請求項１に記載のミキサーのアタッチメント。
【請求項３】
請求項１に記載のアタッチメントをミキサー本体に取り付けるステップと、
前記アタッチメントに自動製パン機のパン容器を取り付けるステップと、
前記ブレード取付軸に粉砕ブレードを取り付けるステップと、
前記パン容器に穀物粒と液体を入れるステップと、
前記穀物粒と液体の混合物の中で前記粉砕ブレードを回転させ、前記穀物粒を粉砕するステップと、
粉砕穀物粒の入った前記パン容器を自動製パン機の焼成室に取り付けるステップと、
前記粉砕ブレードを混練ブレードに交換するステップと、
前記自動製パン機を運転し、混練工程、発酵工程、及び焼成工程を順次遂行させるステップを含むことを特徴とするパン製造方法。
【請求項４】
請求項２に記載のアタッチメントをミキサー本体に取り付けるステップと、
前記アタッチメントに自動製パン機のパン容器を取り付けるステップと、
前記ブレード取付軸に粉砕ブレードを取り付けるステップと、
前記パン容器に穀物粒と液体を入れるステップと、
前記穀物粒と液体の混合物の中で前記粉砕ブレードを回転させ、前記穀物粒を粉砕するステップと、
前記粉砕ブレードを混練ブレードに交換するステップと、
前記パン容器の粉砕穀物粒を前記混練ブレードで混練し、捏ね上げるステップと、
を含むことをパン生地製造方法。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【図１８】
【図１９】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【図１８】
【図１９】
【公開番号】特開２０１０−２４６５８７（Ｐ２０１０−２４６５８７Ａ）
【公開日】平成２２年１１月４日（２０１０．１１．４）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−９６０００（Ｐ２００９−９６０００）
【出願日】平成２１年４月１０日（２００９．４．１０）
【出願人】（０００００１８８９）三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】（０００２１４８９２）三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年１１月４日（２０１０．１１．４）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年４月１０日（２００９．４．１０）
【出願人】（０００００１８８９）三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】（０００２１４８９２）三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Ｆターム（参考）】
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