説明

ミキシングヘッド装置

【課題】混合物を連続的に吐出して、高い生産性を確保でき、しかも溶剤を使用しない洗浄を可能にするミキシングヘッド装置を提供する。
【解決手段】ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを合流させてこれらの混合物4を生成するミキシングヘッド本体1と、このミキシングヘッド本体1の先端部1aに混合物4を吐出するノズル2を装着している。ノズル2が、その周部下方の一部を切り欠いた切欠部2aを形成して構成されているミキシングヘッド装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はミキシングヘッド装置に関し、詳しくは、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを合流させてこれら混合物を生成するミキシングヘッド本体と、このミキシングヘッド本体から前記混合物を吐出するノズルとを有するミキシングヘッド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
断熱ボードなどに多用される硬質ポリウレタンフォームパネルを製造する場合、液状ポリオール成分と液状ポリイソシアネート成分とを高圧ミキシングヘッド装置の混合部に送給して合流させて、ここで混合・撹拌して反応させ、このミキシングヘッド装置の先端を型枠の一端部側に接続し、かかる2液混合物(以下、混合物ということがある)を所定の型枠内に吐出して行う方法がある(例えば、特許文献1)。
【0003】
ミキシングヘッド装置の先端ヘッドが型枠の吐出部分に届かない場合、型枠の厚みが先端ヘッドの口径より薄い場合や、混合物の飛距離を長くしたい場合などでは、先端ヘッドにノズルを取り付けて吐出を行う。そして、型枠に混合物を吐出・注入した後は、ノズル内を溶剤などで洗浄する。ノズル内に混合物が付着し残存して固まり、固形物になると、次の吐出の際に、吐出速度や方向が不均等となり、品質低下をもたらすおそれがあるからである。
【0004】
【特許文献1】特開平7−205166号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ノズル内を洗浄する場合、吐出してから次の吐出までに充分な時間的猶予がある時は、溶剤で洗浄する方法も採用できるが、生産性を高め順次連続的に吐出する場合、ノズルの洗浄を素早く行う必要があり、従来の方法では、洗浄工程に時間がかかり、生産性向上に少なくない支障をもたらしていた。更に、溶剤による洗浄は、洗浄液の無害化処理を行う必要性や作業環境の低下をもたらすことから、溶剤を使用しない洗浄方法の開発に対する要請は強いものがあった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の有する問題点に鑑みて、混合物を連続的に吐出して、高い生産性を確保できると共に、溶剤を使用しない洗浄を可能にするミキシングヘッド装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、請求項記載の発明により達成される。すなわち、本発明に係るミキシングヘッド装置の特徴構成は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを合流させてこれらの混合物を生成するミキシングヘッド本体と、このミキシングヘッド本体の先端部に前記混合物を吐出するノズルを装着していて、前記ノズルが、その周部下方の一部を切り欠いた切欠部を形成して構成されていることにある。
【0008】
この構成によれば、型枠に混合物を吐出した後、ノズル内部に付着した混合物は切欠部から容易に落下すると共に、切欠部に対してエアーブロー等を吹き付けることにより、ノズル内部に付着した混合物を確実かつ容易に除去できるため、連続的な生産に対しても、ノズル内の洗浄が確実にでき、高い生産性を確保できる。しかも、洗浄に溶剤を使用する必要がない。特に、ミキシングヘッド装置の先端が型枠の吐出部分に届かない場合などに有用となる。
【0009】
その結果、混合物を連続的に吐出して、高い生産性を確保できると共に、溶剤を使用しない洗浄を可能にするミキシングヘッド装置を提供することができた。
【0010】
前記ノズルの切欠部の開口角度が、45〜180°であることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、開口角度θが45°未満では、洗浄作業によりノズル内周面の付着物を除去し難く、逆に180°を越えて広いと、混合物を吐出時に開口部から一部が吐出されるおそれがあり、吐出時の均等な広がりを確保し難くなる。開口角度は、60〜120°であることがより好ましい。
【0012】
前記ノズルが、前記ミキシングヘッド本体の先端部に対して、固着具により着脱可能に外嵌されて装着されていることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、ノズルの保守が容易であると共に、サイズの異なるノズルの交換が容易となり、多種な製品の生産に対処できると共に、一層生産性の向上が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態に係るミキシングヘッド装置のノズル部を説明する正面図であり、図2はノズル先端の構成を説明する図1の左側面図であり、図3は図1のミキシングヘッド装置から硬質ポリウレタンフォーム混合液を吐出する状態を示す斜視図である。
【0015】
本実施形態に係る硬質ポリウレタンフォームパネル製造において使用するミキシングヘッド装置は、図1,2に示すように、ミキシングヘッド本体1と、ミキシングヘッド本体1に導入されるポリオール成分とポリイソシアネート成分との混合物を合流させ、これを吐出する略円筒状のノズル2を接続可能にしている。
【0016】
このノズル2は、ミキシングヘッド本体1の端部1aの先端にネジ3などの固着具を用いて、着脱可能に締め付け固着される。ノズル2は、図3に示すように、円周部の下方の一部が長手方向にわたり切り欠かれて、切欠部であるスリット2aを形成して構成されており、その断面形状は図2に示すように、略C字状になっている。このスリット2aは、円筒状の仮想中心から下方に向けて、約45〜180°程度の開口角度θを有している。この開口角度θが45°未満では、後述する洗浄作業により付着物を除去し難く、逆に180°を越えて広いと、混合物4を吐出時に開口部から一部が吐出されるおそれがあり、吐出時の均等な広がりを確保し難くなる。開口角度θは、60〜120°であることがより好ましい。
【0017】
次に、混合物4を吐出した後、ノズル2の内部に付着した残存混合物4aを除去する方法について説明する。図4に示すように、ノズル2より混合物4を吐出した後には、ノズル2の内周面に残存混合物4aが付着する。混合物の吐出直後では、残存混合物4aは粘着性のある液体状態を呈しており、一部はスリット2aから落下するものの、全てが落下することはなく、幾分かは残存することになる。
【0018】
そこで、エアーノズル5を用いて、ノズル2の内周面に残存混合物4aに対して、残存混合物4aが硬化する前にスリット2aからエアーブロー6を吹き付ける。通常、工場内には圧縮エアーの通流する配管が敷設されており、かかる圧縮エアー用配管とエアーノズル5とを、ホース等を介して接続することにより、容易にエアーノズル5からエアーブロー6を吹き付けるようにすることができる。
【0019】
ノズル2の内周面に付着した残存混合物4aは、高圧のエアーブロー6によって吹き飛ばされ、容易かつ迅速にスリット2aを通して落下する。この場合、ノズル2の下方に、落下する残存混合物4aを受けるトレー7を配置することが好ましい。
【0020】
ノズル2の寸法、材質などは、吐出設備の仕様などに応じて、適宜選択することができるが、例えば、ミキシングヘッド本体の端部1aの外径が15〜20mm程度のミキシングヘッド本体を用いた場合、厚み数mm、長さ20〜50mm程度のステンレス鋼製円筒状ノズルを使用することが好ましい。このようにすると、ミキシングヘッド本体1から勢い良く吐出される混合物の圧力に対しても、充分に安定して吐出を確保でき、しかも耐食性に優れるため、保守作業が楽になって都合がよい。もっとも、ノズル2の材質は、ステンレス鋼製以外の一般鋼製パイプ、或いは樹脂製パイプ等を用いてもよい。
【0021】
以上に説明したように、本実施形態に係るキシングヘッド本体は、その先端に装着したノズルの洗浄が容易かつ迅速にでき、しかも、エアーブローを用いることができるため、洗浄に溶剤を使用する必要がなく、生産性の高い連続的使用に対処できると共に、溶剤処理設備が不要で、良好な作業環境を維持できる。
【0022】
〔別実施の形態〕
(1)上記実施形態において、本実施形態に係る硬質ポリウレタンフォームパネル製造において使用する原料は、公知のポリウレタンフォームを広く使用することができ、いわゆるイソシアヌレートフォームを使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係るミキシングヘッド装置の要部正面図
【図2】図1のミキシングヘッド装置を構成する左側面図
【図3】図1のミキシングヘッド装置から硬質ポリウレタンフォーム混合液を吐出する状態を示す斜視図
【図4】図1のミキシングヘッド装置の先端に装着したノズルに硬質ポリウレタンフォーム混合液が付着した状態を示す斜視図
【図5】ノズル内に付着した硬質ポリウレタンフォーム混合液を洗浄する状態を説明する斜視図
【符号の説明】
【0024】
1 ミキシングヘッド本体
2 ノズル
2a 切欠部
3 固着具
θ 開口角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを合流させてこれらの混合物を生成するミキシングヘッド本体と、このミキシングヘッド本体の先端部に前記混合物を吐出するノズルを装着しているミキシングヘッド装置において、
前記ノズルが、その周部下方の一部を切り欠いた切欠部を形成して構成されていることを特徴とするミキシングヘッド装置。
【請求項2】
前記ノズルの切欠部の開口角度が、45〜180°である請求項1のミキシングヘッド装置。
【請求項3】
前記ノズルが、前記ミキシングヘッド本体の先端部に対して、固着具により着脱可能に外嵌されて装着されている請求項1又は2のミキシングヘッド装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−1115(P2007−1115A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−183118(P2005−183118)
【出願日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(000003148)東洋ゴム工業株式会社 (2,711)
【Fターム(参考)】