ミクロ流体構造、その製造方法および装置、ならびにその使用
本発明は、ミクロ流体構造要素を生成する方法に関し、該方法は、(a)ミクロ構造要素を成型するための鋳型アセンブリを提供し、前記鋳型アセンブリが、ダイ空洞を共に形成する第1鋳型ダイおよび第2鋳型ダイを備え、前記第1鋳型ダイおよび/または前記第2鋳型ダイが、(i)ミクロ構造鋳型表面を備える金属であることが好ましい鋳型表面と、(ii)前記空洞にわたって前記第1鋳型ダイと前記第2鋳型ダイとの間に延びる1つまたは複数のコアピンとを備えることと、(b)固化される成型材料を加えることと、(d)前記硬化成型材料をダイ空洞から取り出すこととを備える。本発明は、該方法によって獲得可能なミクロ流体構造、ミクロ流体構造のミクロ構造要素を成型するための鋳型アセンブリ、およびその使用法をさらに提供する。本発明は、ミクロ流体構造要素をさらに提供し、要素は、第1外面101および第2外面108を備え、前記第1外面および/または前記第2外面は、少なくとも1つのミクロ流体機能103、109のための少なくとも1つのミクロ構造を備え、前記第1外面および前記第2外面は、少なくとも1つのスルーゴーイングアパーチャ107によって流体連絡する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミクロ流動構造要素を製造する方法、該方法によって得られるミクロ流体構造、ミクロ流体構造のミクロ構造要素を成型するための鋳型アセンブリ、ミクロ流体構造要素、ミクロ流体構造、およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ミクロ流体構造の製造では、成型および/またはミクロ製作技術が、サブミリメートルの寸法の構造を精確に製造するために使用される。
【0003】
ミクロ構造鋳型ダイの事前製造を含む成型技術は、ミクロ流体構造の各個々の使用法について設計されなければならない。しかし、ミクロ構造鋳型ダイの設計および準備は、時間がかかり、高価である。
【0004】
したがって、製造方法に対する制約およびコストが最小限であるミクロ流体構造が必要である。
【0005】
US2002/0100714A1は、ラボオンチップ機能について設計された動作のためのミクロ流体装置を開示し、前記装置は、基板およびチャネルのアーキテクチャを射出成型することによって準備される。
【0006】
US6126899は、(i)サンプル入口、(ii)1つまたは複数の検出室、および(iii)室のそれぞれと入口との間において行止まり流体接続を提供するチャネル手段を有するサンプル分配網を画定する基板を含む液体サンプルを生物化学的に分析する装置を開示する。
【0007】
WO−99/19717は、積層に沿って順次構成されたミクロ構造アレイ(26)を含む柔軟で細長い膜積層として構築される連続形態ミクロ構造アレイを開示する。積層は、ロールから連続的に引き出して、処理および分析装置を通過させ、貯蔵のために再び巻く、または積み重ねることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一態様では、本発明の目的は、生成およびコストに対して最小限の制約で大量生成することができる改良ミクロ流体構造を提供することを追求することである。
【0009】
本発明の他の目的は、大能力のミクロ流体機能を提示するような改良ミクロ流体構造を提供することを追求することである。
【0010】
本発明の他の目的は、設計の適応性の増強を提示するような改良ミクロ流体構造を提供することを追求することである。
【0011】
本発明の他の目的は、改良ミクロ流体構造などを生成するための方法および装置を提供することを追求することである。
【0012】
他の目的は、以下の記述から明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による解決手段
「ミクロ流体構造要素を製造する方法」
本発明の一態様によれば、これらの目的は、ミクロ流体構造要素を製造する方法を提供することによって達成される。該方法は、
(a)ミクロ構造要素を成型するための鋳型アセンブリを提供し、前記鋳型アセンブリが、共にダイ空洞を形成する第1鋳型ダイおよび第2鋳型ダイを備え、前記第1鋳型ダイおよび/または第2鋳型ダイが、
(i)スチール、ブロンズ、ベリリウム銅合金、または成型ダイアルミニウム合金などの金属であることが好ましい、ミクロ構造鋳型表面を備える、鋳型表面と、
(ii)前記ダイ空洞にわたって前記第1鋳型ダイと前記第2鋳型ダイとの間に延びる1つまたは複数のコアピンとを備えることと、
(b)成型材料を前記ダイ空洞に加え、前記成型材料が、好ましくは熱可塑性物質、より好ましくはPS、PC、PMMA、COC、PP、PETG、PE、PA、ABS、POM、PUR、PVC、およびTOPASからなる群から選択される熱可塑性物質であることと、
(c)前記成型材料を固化させることと、
(d)前記固化成型材料をダイ空洞から取り出すこととを備える。
【0014】
随意選択として、前記1つまたは複数のピンコアは、固化成型材料がダイ空洞から排出される前に、固化成型材料から解放および排出される。
【0015】
成型材料は、当技術分野において知られている。
【0016】
1つの好ましい実施形態では、前記鋳型表面は、好ましくはニッケルである金属、好ましくはスチールである金属合金、好ましくはシリコンである半導体、好ましくはアルミナであるセラミックからなる群から選択される材料を備える。
【0017】
1つの好ましい実施形態では、前記第1鋳型ダイおよび前記第2鋳型ダイの一方または両方は、ミクロ構造鋳型表面および非ミクロ構造鋳型表面を備える。
【0018】
1つの好ましい実施形態では、前記1つまたは複数のコアピンは、機械式ばね、水圧エキスパンダ、空気圧エキスパンダ、弾性材料、好ましくはゴム、またはたとえばナイロン(登録商標)PA−6、PA−6.6、PA−9、PA−10、PA−11、PA−12であるポリアミドなどの軟性プラスチックからなる群から選択される弾性手段を備える。
【0019】
コアピンと関連して弾性手段を使用する利点は、コアピンを保全または交換するより長い時間間隔が提供されることである。これは、固定または非弾性コアピン(固定された開始長、および鋳型インサートに緊密接触された「完全な」端面を有する)が(磨耗するとき)、時間および使用と共に悪化する完全より劣る接触表面を有する不均一端面を得るということによる。一方、弾性ピンは、ピンの磨耗および短縮に直面する場合でも、鋳型部分間の緊密接触を維持する。固定または非弾性ピンは、鋳型部分との十分な接触を保証するために、より多くの保全を必要とする。
【0020】
本発明の一実施形態では、コアピンは、たとえば円錐形などわずかに先細りにすることによって、解放滑り角を有し、それにより、成型済み要素のコアピン解放をさらに制御することができる。
【0021】
1つの好ましい実施形態では、コアピンの断面形態は、円形である。他の実施形態では、断面は、三角形、矩形もしくは正方形、または任意の多角形の形態など、スルーゴーイングアパーチャの適用に応じて、あらゆる他の形態を取ることが可能であり、それにより、ミクロ構造要素の表面上の接続チャネルまたはリザーバの様々な幾何学的断面にスルーゴーイングアパーチャを接続することが可能になる。
【0022】
1つの好ましい実施形態では、前記第1鋳型ダイおよび/または前記第2鋳型ダイは、前記成型材料内にその適用または固化中に解放される、または前記固化成型材料の上に解放される解放可能構造要素を備える。
【0023】
本発明の他の態様によれば、これらの目的は、上記で確定された本発明による方法によって獲得可能なミクロ流体構造要素を提供することによって達成される。
「ミクロ構造要素を成型するための鋳型アセンブリ」
本発明の他の態様によれば、これらの目的は、ミクロ流体構造のミクロ構造要素を成型するための鋳型アセンブリを提供することによって達成される。前記鋳型アセンブリは、
(a)第1鋳型ダイと、
(b)第2鋳型ダイと、
(c)閉鋳型位置と開鋳型位置との間において、前記第1鋳型ダイおよび前記第2鋳型ダイを、互いに向かっておよび互いから離れて相対運動するように支持するための調節可能サポートとを備え、
(d)前記第1鋳型ダイまたは前記第2鋳型ダイは、前記閉位置において前記第1鋳型ダイおよび前記第2鋳型ダイの他方と係合する少なくとも1つのコアピンを備え、
前記第1鋳型ダイおよび/または前記第2鋳型ダイは、全体的または部分的ミクロ構造鋳型表面を備える。
【0024】
1つの好ましい実施形態では、前記ミクロ構造鋳型表面は、前記少なくとも1つのコアピンと係合するための係合手段を備える。
【0025】
1つの好ましい実施形態では、前記係合手段は、前記ミクロ構造鋳型表面の突出部を備える。
【0026】
1つの好ましい実施形態では、前記1つまたは複数のコアピンは、機械式ばね、水圧エキスパンダ、空気圧エキスパンダ、弾性材料、好ましくはゴム、またはたとえばナイロン(登録商標)PA−6、PA−6.6、PA−9、PA−10、PA−11、PA−12であるポリアミドなどの軟性プラスチックからなる群から選択される弾性手段を備える。
【0027】
好ましい実施形態では、前記第1鋳型ダイおよび/または前記第2鋳型ダイは、以下の「ミクロ流体構造要素」のセクションにおいて確定されるミクロ流体構造要素を生成するように設計される。
「ミクロ流体構造要素」
本発明の一態様によれば、これらの目的は、ミクロ流体構造要素を提供することによって達成される。該要素は、第1外面および第2外面を備え、前記第1外面および/または前記第2外面は、
少なくとも1つのミクロ流体機能のための少なくとも1つのミクロ構造を備え、前記第1外面および前記第2外面は、少なくとも1つのスルーゴーイングアパーチャによって流体連絡する。
【0028】
驚くべきことに、少なくとも1つのミクロ流体機能のための少なくとも1つのミクロ構造、および前記第1外面と前記第2外面との間において流体連絡するための少なくとも1つのスルーゴーイングアパーチャを有するミクロ流体構造要素は、成型することによって生成することができ、それにより、生成およびコストに対して最小限の制約で大量生成することが保証されることが判明した。
【0029】
さらに、このミクロ流体構造要素により、3次元ミクロ流体構造が可能になり、その結果、1レベルにおけるミクロ流体交差を可能にしないが、第1面と第2面との間の流体連絡が流体クロス交差を可能にする3次元構造を提供する通常の従来の2次元ミクロ流体構造とは対照的に、新しくおよび/またはよりコンパクトな構造を設計することについて適応性が保証される。
【0030】
スルーゴーイングアパーチャによって面の2つの間において流体連絡するそのようなミクロ流体構造要素の成型は、1つまたは複数のコアピン、好ましくは鋳型ダイの表面に関して接触および位置を調節するように適度に弾性である前記コアピンを含むことによって、その位置決めおよび磨耗のばらつきに関係なく、得ることができることが判明した。その結果、スルーゴーイングアパーチャを有する成型済みミクロ流体構造要素は、より長い寿命を提示する鋳型ダイにおいて生成することができ、それによりスループットが増大し、コストが減少する。
【0031】
さらに、そのようなミクロ流体構造要素は、スルーゴーイングアパーチャによって流体連絡する前記第1外面および/または前記第2外面上に少なくとも1つのミクロ流体機能を含み、それにより、多数のミクロ流体機能を有する2面ミクロ流体構造を提供することができる。一般に、より多くのそのようなミクロ流体構造要素を組み立てることによって、多層ミクロ流体構造要素を得ることができる。
【0032】
「少なくとも1つのミクロ流体機能のための少なくとも1つのミクロ構造を備える前記第1外面および/または前記第2外面」という用語は、それぞれまたは両方が少なくとも1つのミクロ構造表面を収容する、前記第1面および前記第2面を備える要素を示すことを意図する。ミクロ構造は、混合、毛細ポンピングなど、少なくとも1つのミクロ流体機能を収容するように設計される。
【0033】
ミクロ流体機能は、当技術分野において知られている。たとえば、P.グラベセン(Gravesen)、J.ブラネブジェルグ(Branebjerg)、およびO.S.ジェンセン(Jensen):「Micro−Fluidics−a Review」、J.Micromech、Microeng、3(1993)、168〜182ページ、およびR.ツェンゲーレ(Zenerle)、「Microfluidics」、1998、111〜22ページ、Ninth Micromechanics Europe Workshop、MME’98、Proceedingsを参照されたい。
【0034】
一般に、ミクロ流体構造のスルーゴーイングアパーチャは、アパーチャを生成するコアピンを成型済み材料からその固化後に解放して、そこから排出することができる限り、スルーゴーイングアパーチャの機能に応じて、前記第1外面と前記第2外面との間の直線的なアパーチャについて、任意の形状または任意の角度を有することができる。たとえば、コアピンは、直線的でほぼ円形のコアピンについて通常5度未満など、適切なドラフト角度を提示すべきである。斜角にある湾曲形状のアパーチャおよび直線アパーチャでは、これは、鋳型ダイから取り外す前に、コアピンを引き出すことによって達成することができる。
【0035】
一実施形態では、コアピンは回転することができ、それにより、ねじ山タイプの形状のスルーゴーイングアパーチャが可能になる。
【0036】
1つの好ましい実施形態では、前記第1外面および前記第2外面は、前記スルーゴーイングアパーチャにほぼ直交し、それにより、固化成型材料のコアピンを引き出すことが特に容易になる。
【0037】
ミクロ流体構造要素は、成型、好ましくは射出成型、より好ましくは圧縮射出成型によって準備され、それにより、多数の要素の生成を低コストで得ることができる。
【0038】
一般に、ミクロ流体構造要素は、応用例に応じて、任意の数の適切な部分で生成される。
【0039】
1つの好ましい実施形態では、ミクロ流体構造要素は、モノリシック要素の形態にあり、それにより、ミクロ流体機能は、単一要素において生成することができ、その結果、個々の部分を組み立てることに関連する生成コストが低減される。
【0040】
他の好ましい実施形態では、ミクロ流体構造要素は、2つ以上の構造要素からなる複合要素の形態にあり、それにより、より多くのミクロ流体機能およびたとえばインサートを最終ミクロ流体構造に組み込むことができる。
【0041】
一般に、多くの応用例では、たとえば、分析または合成のために化学的および生物学的な化合物および細胞を固定または不動にするように、ミクロ流体構造の様々な部分を全体的または部分的に機能化することが有益である。
【0042】
その結果、1つの好ましい実施形態では、前記第1外面および前記第2外面は、全体的または部分的に機能化された表面を備え、それにより、たとえば、ウェルもしくはチャネルを備える観測領域、または細胞を固定するためのリザーバを提供することができる。
【0043】
一般に、表面は、任意の適切な技術によって機能化することができるが、前記全体的または部分的機能化表面は、表面処置によって、好ましくは物理的処置および/または化学的処置によって、機能化されていることが好ましい。
【0044】
好ましい実施形態は、プラズマ処理、熱処理、コロナ放電処理、気体燃焼処理、および照射処理を含み、これら技術は、一括生成プロセスおよび連続生成プロセスの両方において、ミクロ流体構造要素の処置に容易に適合させることができる。
【0045】
また、表面機能化の好ましい実施形態は、表面コーティング、好ましくはプラズマ重合付着および/または金属化によるコーティングを含む。
【0046】
感知、信号処理、流体制御、計算など、所与の応用例について所望の機能化を提供するために、より特有の要素がミクロ流体構造要素において必要とされる。その結果、1つの好ましい実施形態では、前記第1外面および/または前記第2外面は、少なくとも1つの追加要素を備える。
【0047】
好ましい実施形態では、前記少なくとも1つの追加要素は、インサート、好ましくはMEMS構成要素、より好ましくはミクロ構造チップ、または印刷回路板(PCB)からなる群から選択される。
【0048】
他の好ましい実施形態では、前記少なくとも1つの追加要素は、付着層、好ましくは膜、シート、またはフォイルである中間層からなる群から選択され、それにより、たとえば、流体から気体成分を化学的に分離する機能を達成することができる。
【0049】
1つの好ましい実施形態では、前記少なくとも1つの追加要素は、好ましくは内部に組み込むことによって、または接着させることによって、前記第1外面および前記第2外面に固定され、それにより、頑強なミクロ流体構造を提供することができる。
【0050】
1つの好ましい実施形態では、前記追加要素は、金属、好ましくはシリコンである半導体、セラミック、ガラス、ポリマー、好ましくはゴムである柔軟膜からなる群から選択される材料を備え、それにより、多数の特有の機能化を得ることができる。
【0051】
1つの好ましい実施形態では、前記少なくとも1つのスルーゴーイングアパーチャは、好ましくはウェルまたはチャネルであるミクロ構造開空洞と流体連絡し、それにより、流体を反対側の面に送達することができる。
【0052】
一般に、ミクロ流体機能では、可能な限り少量の流体を使用することが望ましく、それにより、流体を高速で処理することができる。その結果、ミクロ流体構造の寸法は、適切な量および時間で加えられる流体の望ましい機能および流れを提供するように選択される。この選択は、利用可能な成型技術および成型材料、ならびにすべてが当業者には知られている必要な機械的特性および化学的特性に依拠する。両方とも上記で引用されたグラベセンらおよびツェレンゲールを参照されたい。
【0053】
一般に、寸法は、それぞれ、ミリメートルの領域、およびサブミリメートルの領域の寸法として分類することができる。
【0054】
1つの好ましい実施形態では、前記第1外面および/または前記第2外面は、ミリメートルの領域の1つまたは複数の開構造を備え、それにより、「マクロ」世界への流体結合を達成することができる。
【0055】
たとえば試薬流体の供給および生成産物または中間産物の放出のためのミクロ流体導管とマクロ流体導管との間の流体結合が、「ミクロ」世界に適合された結合手段の知られている原理を使用することによって達成される。
【0056】
1つの好ましい実施形態では、前記第1外面および/または前記第2外面は、外部流体導管に結合するための導管結合手段、好ましくはルアーロックシステムを備える手段、より好ましくは柔軟管のためのルアーを備え、それにより、確実な流体接続が保証される。
【0057】
1つの好ましい実施形態では、前記第1外面および/または前記第2外面は、好ましくは0.1μmから5mmの範囲の、より好ましくは2μmから0.8mmの範囲の、1つまたは複数の開サブミリメートル構造を備え、それにより、ミクロ構造およびマクロ構造の両方とも、高精度で得ることができる。
【0058】
1つの好ましい実施形態では、前記第1外面および/または前記第2外面は、少なくとも1つの非マクロ流体機能のための少なくとも1つのミクロ構造を備え、それにより、構成要素、識別子、位置決めマーカ、固定構造、およびロゴを得ることができる。
【0059】
1つの好ましい実施形態では、前記少なくとも1つの非ミクロ流体機能は、情報を表示するための構造、好ましくはコードマークまたは管コネクタ番号などの1つまたは複数の識別マーカを備え、それにより、各ミクロ流体構成要素の個々の識別が可能になる。
【0060】
1つの好ましい実施形態では、前記少なくとも1つの非流体機能は、カバー要素を位置決めして、一時的に固定するための位置決め構造、好ましくは誘導ピン、誘導エッジ、または誘導インデンションを備え、それにより、精確な位置決めおよび固定を得ることができる。
【0061】
1つの好ましい実施形態では、前記第1外面および/または前記第2外面は、ラボオンチップ機能を提供する少なくとも1つのミクロ構造を備え、それにより、細胞および生物学的化合物のスクリーニングなどの実験室機能を、費用効果の高いミクロ流体構造において実施することができる。
【0062】
1つの好ましい実施形態では、前記ラボオンチップ機能は、
サンプル準備と、
センサへのサンプル送達と、
視覚調査または光学測定のための光学アクセスと、
ろ過と、
サンプルプラグ射出のための交差流体チャネルと、
流体を貯蔵するためのリザーバと、
流体の流れを1つのチャネルから他へ切り替えるための流れスイッチと、
1つまたは複数の流体の流れを混合するための流体ミキサと、
細胞培養器と、
細胞を分類するための細胞分類装置と、
細胞分析とからなる群から選択される1つまたは複数のミクロ流体動作のための手段からなる。
【0063】
1つの好ましい実施形態では、要素は、ほぼ平面状である。
【0064】
「ミクロ流体構造」
本発明の他の態様によれば、これらの目的は、ミクロ流体構造を提供することによって達成される。該構造は、
上記の「ミクロ流体構造要素」のセクションにおいて確定された本発明による少なくとも1つのミクロ流体構造要素と、
少なくとも1つのカバー要素とを備え、
前記少なくとも1つのミクロ流体構造要素の前記第1外面および/または前記第2外面は、前記少なくとも1つのカバーによって全体的または部分的に覆われ、それにより、開ミクロ構造は閉じられ、流体導管およびリザーバの機能が得られる。
【0065】
1つの好ましい実施形態では、前記少なくとも1つのカバー要素は、ミクロ構造である。
【0066】
1つの好ましい実施形態では、前記少なくとも1つのミクロ流体構造要素および/または前記少なくとも1つのカバー要素は、互いに関して位置決めするための対合手段を備える。
【0067】
1つの好ましい実施形態では、前記少なくとも1つのミクロ流体構造要素および前記少なくとも1つのカバー要素は、1つまたは複数の流体空洞または空洞システム、好ましくは流体導管、閉流体チャネル、流体リサーバ、またはその組合わせを形成する。
【0068】
1つの好ましい実施形態では、前記少なくとも1つのカバー要素は、耐薬品性、機械的柔軟性、気体透過性、水不透過性、光透過性、解放可能接着からなる群の中から選択される特性を提示する要素を全体的または部分的に備える。
【0069】
1つの好ましい実施形態では、前記少なくとも1つのカバー要素は、PS、PC、PMMA、COC、PP、PETG、PE、PA、ABS、POM、PUR、PVC、およびTOPASからなる群から選択される熱可塑性物質からなる群から選択される材料を備える。
【0070】
1つの好ましい実施形態では、前記流体空洞は、多角形、三角形、矩形、正方形、六角形、楕円、円、半円、またはその組合わせからなる群から選択される断面を全体的または部分的に提示し、前記断面は、深さおよび幅が一定である、または変化する。
【0071】
1つの好ましい実施形態では、前記少なくとも1つのカバー要素は、ほぼ平面状である。
【0072】
「標準ミクロ流体構造要素を生成する方法」
本発明の他の態様によれば、これらの目的は、標準ミクロ流体構造要素を生成する方法を提供することによって達成され、該要素は、
標準面および使用適合面を備え、
標準面は、所定の数のミクロ流体機能、好ましくは流体導管結合手段を有し、
使用適合面は、少なくとも1つの所定のミクロ流体機能のための少なくとも1つの所定のミクロ構造を有し、
標準面のミクロ流体機能は、使用適合面上の少なくとも1つの所定のミクロ流体機能と流体連絡し、該方法は、
(a)「ミクロ流体構造要素」のセクションにおいて確定されたミクロ構造要素を成型するための鋳型アセンブリを提供し、前記鋳型アセンブリが、
(i)第1鋳型ダイが、標準面の所定の数のミクロ流体機能のミクロ構造および/またはマクロ構造鋳型表面を備え、第2鋳型ダイが、使用適合面の少なくとも1つの所定のミクロ流体機能のミクロ構造鋳型表面および/またはマクロ構造鋳型表面を備える、ダイ空洞を形成する第1鋳型ダイおよび第2鋳型ダイと、
(ii)前記ダイ空洞にわたって前記第1鋳型ダイと前記第2鋳型ダイとの間に延びる1つまたは複数のコアピンとを備えることと、
(b)成型材料を前記ダイ空洞に加えることと、
(c)前記成型材料が固化させることと、
(d)前記固化成型材料をダイ空洞から取り出すこととを備える。
【0073】
随意選択で、前記1つまたは複数のピンコアは、固化成型材料がダイ空洞から排出される前に、固化成型材料から解放および排出される。
【0074】
好ましい実施形態では、前記第1鋳型ダイおよび/または前記第2鋳型ダイは、上記の「ミクロ流体構造要素」のセクションにおいて確定されたミクロ流体構造要素を生成するように設計される。
【0075】
「ミクロ流体構造の使用」
本発明の他の態様によれば、これらの目的は、上記の「ミクロ流体構造」のセクションにおいて記載されたミクロ流体構造、上記ミクロ流体構造要素」のセクションにおいて記載された1つまたは複数のミクロ流体構造要素から製造されたミクロ流体構造、または上記「ミクロ流体構造要素を生成する方法」のセクションにおいて記載された方法によって製造されたミクロ流体構造の、分析分離、分析測定、細胞分析、DNA塩基配列決定、およびタンパク質配列決定からなる群から選択される実験室分析のラボオンチップ動作を有するミクロ流体システムの製造での使用を提供することによって達成される。
【0076】
本発明の他の態様によれば、これらの目的は、上記の「ミクロ流体構造」のセクションにおいて記載されたミクロ流体構造、上記ミクロ流体構造要素」のセクションにおいて記載された1つまたは複数のミクロ流体構造要素から製造されたミクロ流体構造、または上記「ミクロ流体構造要素を生成する方法」のセクションにおいて記載された方法によって製造されたミクロ流体構造の、ヌクレオチド合成、タンパク合成、および細胞増殖からなる群から選択される実験室合成のラボオンチップ動作を有するミクロ流体システムの製造での使用を提供することによって達成される。
【0077】
「表現の定義」
本文脈では、「ミクロ流体」という用語は、チャネルまたはスルーゴーイングアパーチャの断面など、流体システムの寸法がサブミリメートルの領域、通常はナノメートルからミリメートルの領域にあり、縦方向の延長部が、サブミリメートルからミリメートルを超える領域、通常は1mmから1000mmの領域にあることを示すことを意図する。
【0078】
本文脈では、「1つまたは複数」という用語は、「少なくとも1つ」、通常はいくつかを含むと解釈される。
【0079】
以下において、例としてのみ、本発明は、好ましい実施形態の詳細な記述でさらに開示される。図面を参照する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0080】
図1は、ミクロ流体構造要素100を示す本発明の実施形態を示し、この図では、要素100の第1外面(この図では平面)101の上にミクロチャネル103、109、110を備え、ミクロチャネルは、フィードスルー107によって提供される入口/出口102と流体連絡する。この図では、フィードスルーは、柔軟管の直接取付けを可能にするルアー106の形態に成型される。ルアー106は、物理的損傷に対して保護し、ならびに適切な外径および内径の管に締付けサポートを提供する保護構造105を有する。この例のルアー106の内径は、800μmである。ルアーの外径は、1.6mmであり、端部は、管の扱いを容易にするように、わずかに円錐形である。ルアーは、3mm長の管を受ける。
【0081】
接続管は、たとえば、コールパルマー(Cole Palmer)から入手可能なタイゴン(Tygon)(商標)管であり、この場合、管は1.3mmの内径を有し、ルアーの上で押されるとき、管はわずかに膨張する。膨張は、管の弾性特性と組み合わされて、緊密な流体接続をもたらし、十分な力を使用することによってのみ、管はルアーから外される。管の壁の厚さは、ルアー106と保護リング105との間にはめ込まれるように選択される。
【0082】
この形態の流体接続は、クロマトグラフィ、HPLCにおいて使用されるような非常に高い圧力下の流体には適していないが、最高で数百psiの圧力には十分である。
【0083】
特有の構成の外部接続を含む第2面108は、様々な異なるミクロ流体構造要素100を確定する第1面101上のミクロ構造の異なるパターンと共に、再使用されることが可能である。いくつかの例では、フィードスルー111は、必要とされず、したがって、いずれの構造にも接続されない。
【0084】
ミクロ流体構造の応用例は、粒子フィルタ、ミキサ、光学キュベット、毛細電気泳動、細胞分析、サンプル射出、PCR室などを含めて、多様である。チャネルを通る流れを層状方式で誘導する共通接合部110において2つの別々の流れを組み合わせることによって、2つの流体が混合されることが可能である。
【0085】
外部接続104の数は、構造要素100上の利用可能な空間に基づき変更できる。外部接続104の相対位置も、変更することが可能である。あらゆるミクロ構造103、109は、フィードスルー開口102の正確な位置を知った上で設計されることが明らかに必要である。
【0086】
図2は、この図では平面である、第1面101および第2面108の両方の上にミクロ構造を有する要素100を示す、本発明の実施形態を示す。第2面上のミクロ構造203は、フィードスルー202、207を介して第1面101上のミクロ構造109と流体連絡し、一方、ミクロ構造103は、別のままである。
【0087】
他のフィードスルー102が、外部接続(たとえば図1の104参照)のためのポートを提供する。
【0088】
図3aは、閉流体導管を提供するミクロ流体構造300を得るために、ミクロ構造要素100がカバー要素301と共に組み立てられる様子を示す、本発明の実施形態を示す。カバー301は、しばしば、ミクロ構造要素100と同じベース材料から選択される(および、たとえば同じ方法によって製造される)が、様々な充填剤、顔料、または他の機能添加物に関して相違を提示することが可能である。1つの接合方法は、透過レーザ溶接である。この方法を実施する古典的な方式では、ベース材料は、カーボンブラックなどの吸収顔料を追加することによって、放射に対して不透過性であるように作成される。放射は、透過性部分によって透過される。その部分は、通常はIR放射であるレーザ光への暴露中に共に締め付けられ、熱が境界面において発生して、2つの面を共に溶接する。2つの部分を接合する他の方式には、UV硬化接着剤、ホットメルトなどの接着剤を使用する積層化がある。
【0089】
カバー要素301およびミクロ構造要素100は、実際の接合プロセスの前に固定位置決めを容易にするために、対合構造361、360を含むことが可能である。これにより、カバー要素301の結合表面311上の構造を、要素100の第1外面101上の構造103に関して位置決めすることが可能になり、これにより複合構造が生じる。同様にして、カバー要素301は、ミクロ構造要素100の回りにリムはめ込み(図示せず)を含むことが可能であり、これにより位置決めと同様の効果が与えられる。カバー要素310の外面には、一般に特徴はないが、ミクロレンズ、屈折格子、または他の機能構造(図示せず)などの必須構造を有することができる。外表面310は、バーコード、識別マーカ、ロゴなど(図示せず)、チップに関する情報を印刷するために使用されることが可能である。カバーは、完全には示されず、湾曲線312に沿って切断されたセクションとしてのみ示されている。
【0090】
図3bは、ミクロ構造103、102を両面上に有するミクロ流体構造要素303のアセンブリ300を示す、本発明の実施形態を示す。外部接続のための手段を得るために、接続要素306(ミクロ流体構造要素100の一体部分として図1に示される)が使用される。接続要素306は、この実施形態ではいずれのミクロ構造も欠いているが、他の実施形態では、たとえば、センサ要素などのミクロ流体機能、または2つのスルーゴーイングアパーチャ(この図ではフィードスルーによって例示される)間の流体接続など(図示せず)を形成するために、ミクロ構造(フィードスルー開口309とは別に)を含むことが可能である。ミクロ流体構造要素303の表面305および307ならびに接続要素306は、それぞれ、組み立てられたミクロ流体構造要素302を形成し、一方、フィードスルー315、107が、おそらくは図3aに関して記述された対合構造手段によって、互いに関して適切に位置決めされることが見て分かるように、密接に接触される。組立てミクロ構造(組み立てられた)要素302は、閉鎖流体導管を有するアセンブリ300を得るように、カバー要素301およびミクロ流体構造要素302のそれぞれ面311および304を接合することによって、カバー要素301と共に組み立てられる。接合は、図3aに関して議論されたように実施されることが可能である。すべてのフィードスルー309が、ミクロ流体構造要素303上のミクロ構造に接続されるわけではない。接続要素306は、たとえば、ミクロ流体構造要素について記述されたのと同じ方法を使用して製造されることが可能である。
【0091】
図4は、この図では両側に平面ミクロ構造外表面101、108を有する要素であるミクロ流体構造要素100の断面図を示し、フィードスルー107を示す。矩形チャネル103の断面を両側の平面外表面101、108の上に見ることができる。チャネル構造側壁の高さ422は、チップ上において変化させることが可能であり、チャネル103の幅425ならびにリザーバ403の幅424および深さ423も変化させることが可能である。表面101、108は両方とも、ミクロ構造を含む。両垂直表面420、421は、ミクロ構造を有さずに示されている。しかし、これらの表面は、好都合であれば、たとえば、特別な流体を射出するために、または対合コネクタ(図示せず)によって流体接続される近傍ミクロ流体構造要素に結合するために、リザーバを形成するように、ミクロ構造を備えることが可能である。
【0092】
図5は、ミクロ流体構造要素100およびカバー要素510の断面図を示し、前記カバー要素は、ミクロ流体構造要素100上の構造403に対して位置決めされる構造530(たとえば、ミクロ構造)を含む。異なる直径を有するフィードスルー107、507が示されており、いくつかは、ミクロチャネル構造103と流体連絡する。構造部分513(たとえば、ミクロ構造)を含むインサート要素505が、構造512と共に要素100に対して作用する。インサートは、接着手段によって、または要素100と接合されるカバー511を使用することによって、適所に維持される。カバー要素は、インサート505を受けるために、側壁532および底部壁531によって画定される陥凹を有する。ミクロ流体構造要素100は、要素100においてインサート505を受けて、位置決めするための対応する陥凹503を有する。カバーは、追加のミクロチャネル構造特徴533、534(たとえば、非垂直壁を有する)を含むことが可能である。矢印540および541は、ミクロ流体構造300を形成するように、部分510、100、505、511を組み立てる方向を示す。流体をミクロ流体構造300へ、およびミクロ流体構造300から供給するための外部接続104は、構造の一体式部分とする、または別に取り付けられることが可能である。
【0093】
図6は、カバー610、611を有するミクロ構造要素100のアセンブリ300の形態にあるミクロ流体構造の断面図を示す。カバー610およびミクロ流体構造要素100は、その部分を互いに関して位置決めすることを可能にするために、追加の対合構造550を有する。フィードスルー507、107、607は、直径が異なっていてもよく、異なるプロファイルで作成することもできる(たとえば、フィードスルー107と比較したフィードスルー607)。この場合、管を広い部分617に挿入することができ、プロファイル618のより小さい部分のみが、流体と接触する。フィードスルーは、チャネル113と流体連絡する。ミクロ流体構造300は、フィードスルーおよび他の構造部分と共に、ミクロ流体構造要素100の少なくとも2つの面101、108を使用して比較的コンパクトなミクロ流体流れシステムを画定する、ミクロチャネル103およびリザーバ403をさらに備える。
【0094】
図7は、カバー710、712、713およびインサート要素605を有するミクロ流体構造要素100のアセンブリ300の形態にあるミクロ流体構造の断面図を示す。通常のインサート要素は、サンプル流体と密接に接触されるようにすることが必要であるシリコンをベースとするセンサである。給電およびデータの交換のためにセンサ要素に電気接続をセンサに提供するように、例示的なセンサチップインサートへの電気接続が、ミクロ流体構造要素100の外表面108上を走る、またはカバー要素713に統合されることが可能である。サンプル流体は、フィードスルー507を介してミクロチャネル構造603を有する測定サイトに至ることが可能であり、フィードスルー507は、構造403およびフィードスルー107を介して外部流体接続604と流体連絡する。外部接続604は、別々に作成して、要素100の表面108上に接合することができる。
【0095】
いくつかの場合、カバーは、カバー要素712の部分的に取り外された複製712’および矢印602によってカバー712について示されるように、ミクロ流体構造要素100の表面101に固定式に接着されることが可能である。取外しプロセス602の結果、ミクロ構造表面101の特定の部分403にアクセスすることが可能である。
【0096】
図8aは、ミクロ流体構造要素100(図1〜図7参照)を作成することが可能である、鋳型アセンブリ701の実施形態を示す。ダイ空洞715が、第1ダイ要素702および第2ダイ要素703によって画定され、後者は、ダイライニング要素704を備える。コアピン710が、ダイ空洞715の中に突出し、鋳型ダイがダイ空洞を形成するように閉じられるとき、ミクロ構造ライニング704の表面705上にあるようになる。コアピンは、弾性ばね要素712による対向表面705との接触に関して自己調節される。表面705に対してピン710によって及ぼされる力は、ばねを事前装填するためにねじ713を調節することによって変更することが可能である。他の実施形態では、プランジャ(図示せず)が、ねじとコアピンとの間に挿入される。コアピンの延長部は、ピンの上のヘッド711によって限定される。コアピン710の長さは、表面705と完全に接触するために、ダイ空洞715の幅よりわずかに長くなければならない。通常のライニングの厚さは、0.1mmから50mmの範囲にあるが、より厚くすることができる。
【0097】
他の実施形態では、ミクロ構造は、たとえば微細機械加工またはレーザ彫刻、CNC摩砕、または同様の方法によって、および随意選択でライニングを含めて、鋳型表面において直接、全体的にまたは部分的に組み込まれる。
【0098】
コアピン710は、突出部705が流体構造を画定し、かつ陥凹706がミクロ流体構造要素100の結合表面101(図1〜図7参照)を画定するミクロ構造表面上にある。ダイ要素702は、コアピン710を誘導するための精密に形成された構造709を有する。ミクロ構造パターンを形成する異なる高さ(ステップ707によって示される)にある表面705、706を有するダイライニング要素704は、電気めっきされたニッケルインサートとすることが可能である。
【0099】
図8bは、柔軟ばね要素(図8aの712)がエラストマ部分720によって置き換えられている鋳型アセンブリ701の断面図を示す。エラストマを使用することにより、コアピン間において必要とされる最小限の距離を低減するように作用することが可能である。コアピン711のヘッドは、1つまたは複数の方向においてより小さい空間を占めるように、縮小された幾何学的形状を有することが可能である。非対称ヘッド711が、コアピンを誘導して、軸714の回りの回転を防止することもできる。これは、コアピン710の接触表面705が回転対称ではない場合、重要である可能性がある。ダイライニング要素704は、異なる高さにおいて表面721、705、706を備え、これらは、共に、成型済みミクロ流体応増要素(たとえば図1〜図7の100参照)もしくはカバー要素(たとえば図5の510、511参照)の上においてミクロ構造パターンを形成し、または接続要素(たとえば図3bの306参照)の上において構造パターンを形成する。
【0100】
図8cは、両方のダイ表面がミクロ構造ライニング704、730によって(または他の手段によって、たとえばダイ要素702、703自体のそれぞれの表面によって)画定される鋳型アセンブリ701の断面図を示す。精密な穴が、コアピンがダイ空洞715の中に突出することを可能にするように、ミクロ構造ダイライニング730において作成される。コアピンの自己調節特性を提供する柔軟要素は、エラストマ要素720として示されているが、ばね要素によって提供されることも同様に可能である。インサートダイ730は、ミクロ構造要素を画定するように、突出部731および陥凹732(ステップ733によって分離される)を有する。インサートダイ704は、共にミクロ構造パターンを形成する表面705、706を異なるレベルにおいて備える。インサートダイ730および704は、鋳型の対向面の部分に少なくともわたってミクロ構造を共に形成する。
【0101】
本発明の他の実施形態では、ミクロ構造は、当該の面についてミクロ構造鋳型ダイを適用することによって、鋳型の対向していない表面上に形成されることが可能である(たとえば、図4の面420、421参照)。
【0102】
図8a、図8b、および図8cでは、ダイ要素702および703は、成型プロセスの動作中、ダイライナ704上で接触するそれぞれの表面に対する適切な接触を保証するために、コアピン710に小さい圧力を提供するように、互いに関して相対方向に動く。
【0103】
図9は、両方のダイ要素702、703が、対向ミクロ構造ダイライニング730、704にそれぞれ接触する接触柔軟コアピン709、805を含む鋳型アセンブリ701の断面図を示す。コアピン805、709は、必要な力および柔軟性を提供するために、ばね装填する(図8aの712によって示す)、またはエラストマ要素804(図8bの720によって示す)を使用することが可能である。図9に示されるコアピン709、805は、等しい外径を有する円形断面を有する。本発明の他の実施形態では、コアピンは、たとえば等しいまたは異なる外径807、806、異なる断面輪郭、または円形とは異なる断面輪郭を有することが可能である。
【0104】
本体801および803は、それぞれ、ダイ要素702および703のための中実基台を示す。矢印802は、成型プロセスの準備中、それぞれダイライナ704および730の上に接触するそれぞれの表面に対する適切な接触を保証するように、コアピン709、805に対し小さい圧力を提供するためのダイ要素703に対するダイ要素702の運動方向を示す。本体803は固定され、本体801(ならびに対応する柔軟要素720、ダイライニング730、およびコアピン709)は可動であると想定される。
【0105】
本発明の一実施形態では、コアピン805、709は、1mm未満、0.8mm未満、0.5mm未満、0.3mm未満など、2mm未満の最小断面寸法806、807を有する。それにより、最小断面寸法を有する穴(いわゆる「最小穴」)を製造することができる。具体的には、成型済み材料のある長さ/厚さにわたって延びる最小穴を得ることができる。
【0106】
本発明の一実施形態では、最小断面寸法を有する穴を備えるミクロ流体構造要素の最大長/厚さ(いわゆる、「最小穴の最大長」)は、0.8mmより大きい、1mmより大きい、1.5mmより大きい、2mmより大きい、4mmより大きいなど、0.5mmより大きい。
【0107】
本発明の一実施形態では、「最小穴の最大長」対「最小穴」の最小寸法の比は、4より大きいなど、6より大きいなど、2より大きい。本発明の好ましい実施形態では、「最小穴の最大長」および「最小穴の最小寸法」に対応する値は、それぞれ、4mm/0.8mm、1.6mm/0.35mm、および0.8mm/0.22mmである。
【0108】
本発明の一実施形態では、コアピンは、たとえばわずかに円錐形であることによって、解放滑り角を有し、それにより、成型要素のコアピンリリースをさらに制御することができる。
【0109】
ミクロ構造スルーゴーイングアパーチャを提供するのに使用されるコアピンの材料の選択は、寸法を考慮して行われることが好ましく、所与の応用例についてコアピンの最小寸法が小さくなると、材料の剛性が必要であるなど、機械的特性がより注目される。
【0110】
本発明の実施形態では、コアピンは、ポリマー(たとえばPEEK(商標))、ブラス、適切な剛性の他の金属で作成される。1つの好ましい実施形態では、最小寸法のコアピンは、たとえばパンチ針の形態で、たとえば0.2mmから10mmの直径で、好ましくはDIN9861に従って生成された、硬化鋼で作成される。
【0111】
コアピンの断面形態は、通常は円形であるが、三角形、矩形、または正方形、もしくはあらゆる多角形の形態など、スルーゴーイングアパーチャの適用に応じて、あらゆる他の形態を取ることが可能である。
【0112】
本発明の一実施形態では、コアピンは、たとえば中空ケーン(ダイライニング要素721との接触付近の端部セクションにわたって少なくとも中空のコアを有する)の形態にある、完全にまたは部分的に管状である。本発明の一実施形態では、コアピンのためのダイライニング要素721の接触表面705は、管状コアピンを受けるように適合された小さい誘導突出部(図示せず)を備え、それにより、表面との接触を改善し、精度が向上し、成型中のコアピンが横滑りする危険性が抑えられる。
【0113】
本発明の1つの好ましい実施形態では、コアピンは、鋳型と接触する長さのセクションに少なくともわたって、外表面上において研磨される。これは、鋳型アセンブリからの分離中に、当該のコアピンによって形成される穴の内壁の損傷を最小限に抑えるという利点を有する。本発明の一実施形態では、適切な表面の粗さが、研磨のための0.5μm ra未満を有するダイアモンドペーストを使用することによって得られる。
【0114】
所与の鋳型アセンブリのコアピンの長さは、好ましくは放電機械加工(EDM)によって調節されてもよい。同じ長さを有するべきであるコアピンは、好ましくは同時に機械加工されてもよい。
【0115】
本発明の一実施形態では、鋳型アセンブリのコアピン805、709の1つまたは複数は、固定される、または非弾性的である。
【0116】
図10aは、非弾性コアピン910が使用される、本発明による鋳型アセンブリ901の実施形態を示す。コアピンは、円錐部分912を有するヘッド911を有し、ピンのヘッドは、可動鋳型部品920によって運動が固定される。ダイ空洞915の1つの部分は、可動鋳型部分902によって構築される。ダイ空洞の他の部分は、ミクロ構造表面905、906、907を備える固定鋳型部分903によって構築される。コアピン910によって生成される穴と流体接続されるミクロチャネル905が示されている。鋳型アセンブリの固定部分903と可動部分902、920(記号951によって示される)との間の排出装置プレート905が、コアピン910を保護するために使用され、それにより、鋳型の可動部分からプラスチック部分を排出する際(図10aの排出装置プレート950の左側部分)、コアピンは湾曲されず、そうでない場合は損傷されない。
【0117】
図10aは、ダイ要素902、903が、突出部907において固定背面プレート920および対向ダイライニング903(後者はミクロ構造表面905、906、907を有する)にそれぞれ接触する固定コアピン910を含む、鋳型アセンブリ901の断面図を示す。コアピンは、分離線記号951によって示される分離線に沿ってプラスチック部分を鋳型から外すために鋳型を開くとき、ピンが鋳型空洞915の中に入るのを防止するために、ヘッド911を有する。
【0118】
図10bは、非弾性コアピン910が使用される、本発明による鋳型アセンブリ901の実施形態を示す。コアピンは、円錐部分を有するヘッド945を有し、ピンのヘッドは、可動鋳型部品940によって運動が固定される。ダイ空洞915の1つの部分は、可動鋳型部分941によって構築される。ダイ空洞の他の部分は、ミクロ構造表面944を備える固定鋳型部分943によって構築される。排出装置プレート947が、部分を鋳型から外すとき、ピンを保護するために、コアピン910の回りに構成される。排出装置プレート947は、排出装置ピンが力990によって後ろから押されるとき、排出装置ピン991によって稼動または移動される。排出装置プレートは、力948をプラスチック部分に加え、その結果鋳型から外す。鋳型アセンブリは、分離線950に沿って分離され(記号951によって示す)、それにより、成型済み部品をダイ空洞から排出する。
【0119】
排出装置プレート947(および排出装置ピン991)は、当然、図8、図9、および図11に示されたような、弾性的に可動されたコアピンを使用して鋳型アセンブリと組み合わされて同様に使用されることも可能である。
【0120】
本発明の一実施形態では、固定非弾性コアピンおよびばね稼動または弾性コアピンの混合が使用される。
【0121】
流れチャネルが共に非常に近接している、または鋳型に空間がないいくつかの産物設計では、非弾性または固定コアピン910が、小スループットチャネルをプラスチックにおいて製造するのに好ましい解決法である可能性が高い。
【0122】
図11aは、両方のダイ要素743、742が固定コアピン710を含む、鋳型アセンブリ701の断面図を示し、ピンは、それぞれの対向ミクロ構造ダイライニング744に接触する。コアピン710は、必要な力および柔軟性を提供するために、ばね装填712されることが可能である(図8aの712によっても示される)。図11aに示されるコアピン710は、外径が等しい円形断面を有する。本発明の他の実施形態では、コアピンは、等しいまたは異なる外径、異なる断面輪郭(円形ではない断面輪郭を含む)など、異なる断面を有することが可能である。コアピンのヘッド745のためのサポートプレート711が、コアピン710とばね712との間に挿入される。ばね712は、それぞれの背面プレート740、741に対して押し付けられる。個々の背面プレートは、コアピンをより密接な間隔で配置することを可能にするように構成される。コアピンは、プラスチック部分を分離線750に沿って鋳型から外すために鋳型を開くとき(分離線記号951によって示す)、ピンが鋳型空洞715の中に入るのを防止するために、ヘッド745を有する。コアピン710によって形成される穴の「深さ」および2つのコアピン710間の至近距離761を決定する鋳型部品(たとえば、図2の100などミクロ流体構造要素)の厚さ760は、重要な設計パラメータである。コアピン710のばね712を有するそれぞれの背面プレート740、741の接触表面は、背面プレート741の厚さに対応する距離762だけ分離される。背面プレートは、ばね712、サポートプレート711(および、図11bのサポートプレート770など、可能であればばね712を保持する空洞に含まれる他の部分)、ならびにコアピン710のヘッド745の範囲(コアピン710の縦い方向における)より大きい厚さを有する。それにより、ばね712が共通背面プレートを有する状況と比較して、より接近したコアピン間隔760が達成されることが可能である。
【0123】
図11bは、短いコアピン距離761(コアピンの縦中心線間の垂直距離によって与えられる)が、コアピン710の少なくとも1つのヘッド745とサポートプレート711との間において接触点を他のコアピンに向かう方向に距離767ずらすことによって実施される、本発明の他の実施形態を示す。両方のコアピンが、図11bに示されるように、互いに向かってずらされることが好ましい。コアピンのそれぞれの縦中心線がばねの中心線と一致する「ずれなし」状況では、コアピン間の最小距離は、図11bの距離766によって与えられる。図11bの実施形態では、両方のコアピンとも、共通背面プレート740に接触するための上部サポートプレート770を有する。それにより、所与のばね712の力は、異なる厚さのサポートプレートを挿入することによって、異なる値および異なる空洞長に適合されることが可能である。図11bの他の特徴は、図11aについて議論されている通りである。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】モノリシックに統合された入口および出口接続を備える例示的なミクロ流体構造要素を示す本発明の実施形態の図である。
【図2】両側の平面表面上にミクロ構造を有する本発明によるミクロ流体構造要素を示す図である。
【図3a】構造が、ミクロ流体構造要素およびカバーを備える、本発明によるミクロ流体構造を示す図である。
【図3b】構造が、組み立てられたミクロ流体構造要素およびカバー要素を備える、本発明によるミクロ流体構造を示す図である。
【図4】本発明によるミクロ流体構造要素の断面図である。
【図5】構造がミクロ構造を有するカバーおよびミクロ構造インサートを備える、本発明による組み立てられていないミクロ流体構造の断面図である。
【図6】構造が、精確な取付けを可能にするように陥凹カバー要素および誘導要素を備えるカバー要素を有する、本発明によるミクロ流体構造の断面図である。
【図7】構造が取外し可能カバー要素およびインサートを有する、本発明によるミクロ流体構造の断面図である。
【図8a】コアピンを調節するためにばね要素を使用する、本発明による例示的な鋳型アセンブリの断面図である。
【図8b】コアピンを調節するためにエラストマ部品を使用する、本発明による例示的な鋳型アセンブリの断面図である。
【図8c】対向面上に2つのダイライニング要素を備える、本発明による例示的な鋳型アセンブリの断面図である。
【図9】2つの異なるダイ要素を元とする2つのコアピンが使用される、本発明による例示的な鋳型アセンブリの断面図である。
【図10a】固定コアピンが使用される、本発明による例示的な鋳型アセンブリの断面図である。
【図10b】排出装置プレートの使用が示される、本発明による例示的な鋳型アセンブリの断面図である。
【図11a】弾性コアピンが使用される、本発明による例示的な鋳型アセンブリの断面図である。
【図11b】隣接コアピン間の距離を低減するために、コアピンが互いに関してずれている、本発明による例示的な鋳型アセンブリの断面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミクロ流動構造要素を製造する方法、該方法によって得られるミクロ流体構造、ミクロ流体構造のミクロ構造要素を成型するための鋳型アセンブリ、ミクロ流体構造要素、ミクロ流体構造、およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ミクロ流体構造の製造では、成型および/またはミクロ製作技術が、サブミリメートルの寸法の構造を精確に製造するために使用される。
【0003】
ミクロ構造鋳型ダイの事前製造を含む成型技術は、ミクロ流体構造の各個々の使用法について設計されなければならない。しかし、ミクロ構造鋳型ダイの設計および準備は、時間がかかり、高価である。
【0004】
したがって、製造方法に対する制約およびコストが最小限であるミクロ流体構造が必要である。
【0005】
US2002/0100714A1は、ラボオンチップ機能について設計された動作のためのミクロ流体装置を開示し、前記装置は、基板およびチャネルのアーキテクチャを射出成型することによって準備される。
【0006】
US6126899は、(i)サンプル入口、(ii)1つまたは複数の検出室、および(iii)室のそれぞれと入口との間において行止まり流体接続を提供するチャネル手段を有するサンプル分配網を画定する基板を含む液体サンプルを生物化学的に分析する装置を開示する。
【0007】
WO−99/19717は、積層に沿って順次構成されたミクロ構造アレイ(26)を含む柔軟で細長い膜積層として構築される連続形態ミクロ構造アレイを開示する。積層は、ロールから連続的に引き出して、処理および分析装置を通過させ、貯蔵のために再び巻く、または積み重ねることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一態様では、本発明の目的は、生成およびコストに対して最小限の制約で大量生成することができる改良ミクロ流体構造を提供することを追求することである。
【0009】
本発明の他の目的は、大能力のミクロ流体機能を提示するような改良ミクロ流体構造を提供することを追求することである。
【0010】
本発明の他の目的は、設計の適応性の増強を提示するような改良ミクロ流体構造を提供することを追求することである。
【0011】
本発明の他の目的は、改良ミクロ流体構造などを生成するための方法および装置を提供することを追求することである。
【0012】
他の目的は、以下の記述から明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による解決手段
「ミクロ流体構造要素を製造する方法」
本発明の一態様によれば、これらの目的は、ミクロ流体構造要素を製造する方法を提供することによって達成される。該方法は、
(a)ミクロ構造要素を成型するための鋳型アセンブリを提供し、前記鋳型アセンブリが、共にダイ空洞を形成する第1鋳型ダイおよび第2鋳型ダイを備え、前記第1鋳型ダイおよび/または第2鋳型ダイが、
(i)スチール、ブロンズ、ベリリウム銅合金、または成型ダイアルミニウム合金などの金属であることが好ましい、ミクロ構造鋳型表面を備える、鋳型表面と、
(ii)前記ダイ空洞にわたって前記第1鋳型ダイと前記第2鋳型ダイとの間に延びる1つまたは複数のコアピンとを備えることと、
(b)成型材料を前記ダイ空洞に加え、前記成型材料が、好ましくは熱可塑性物質、より好ましくはPS、PC、PMMA、COC、PP、PETG、PE、PA、ABS、POM、PUR、PVC、およびTOPASからなる群から選択される熱可塑性物質であることと、
(c)前記成型材料を固化させることと、
(d)前記固化成型材料をダイ空洞から取り出すこととを備える。
【0014】
随意選択として、前記1つまたは複数のピンコアは、固化成型材料がダイ空洞から排出される前に、固化成型材料から解放および排出される。
【0015】
成型材料は、当技術分野において知られている。
【0016】
1つの好ましい実施形態では、前記鋳型表面は、好ましくはニッケルである金属、好ましくはスチールである金属合金、好ましくはシリコンである半導体、好ましくはアルミナであるセラミックからなる群から選択される材料を備える。
【0017】
1つの好ましい実施形態では、前記第1鋳型ダイおよび前記第2鋳型ダイの一方または両方は、ミクロ構造鋳型表面および非ミクロ構造鋳型表面を備える。
【0018】
1つの好ましい実施形態では、前記1つまたは複数のコアピンは、機械式ばね、水圧エキスパンダ、空気圧エキスパンダ、弾性材料、好ましくはゴム、またはたとえばナイロン(登録商標)PA−6、PA−6.6、PA−9、PA−10、PA−11、PA−12であるポリアミドなどの軟性プラスチックからなる群から選択される弾性手段を備える。
【0019】
コアピンと関連して弾性手段を使用する利点は、コアピンを保全または交換するより長い時間間隔が提供されることである。これは、固定または非弾性コアピン(固定された開始長、および鋳型インサートに緊密接触された「完全な」端面を有する)が(磨耗するとき)、時間および使用と共に悪化する完全より劣る接触表面を有する不均一端面を得るということによる。一方、弾性ピンは、ピンの磨耗および短縮に直面する場合でも、鋳型部分間の緊密接触を維持する。固定または非弾性ピンは、鋳型部分との十分な接触を保証するために、より多くの保全を必要とする。
【0020】
本発明の一実施形態では、コアピンは、たとえば円錐形などわずかに先細りにすることによって、解放滑り角を有し、それにより、成型済み要素のコアピン解放をさらに制御することができる。
【0021】
1つの好ましい実施形態では、コアピンの断面形態は、円形である。他の実施形態では、断面は、三角形、矩形もしくは正方形、または任意の多角形の形態など、スルーゴーイングアパーチャの適用に応じて、あらゆる他の形態を取ることが可能であり、それにより、ミクロ構造要素の表面上の接続チャネルまたはリザーバの様々な幾何学的断面にスルーゴーイングアパーチャを接続することが可能になる。
【0022】
1つの好ましい実施形態では、前記第1鋳型ダイおよび/または前記第2鋳型ダイは、前記成型材料内にその適用または固化中に解放される、または前記固化成型材料の上に解放される解放可能構造要素を備える。
【0023】
本発明の他の態様によれば、これらの目的は、上記で確定された本発明による方法によって獲得可能なミクロ流体構造要素を提供することによって達成される。
「ミクロ構造要素を成型するための鋳型アセンブリ」
本発明の他の態様によれば、これらの目的は、ミクロ流体構造のミクロ構造要素を成型するための鋳型アセンブリを提供することによって達成される。前記鋳型アセンブリは、
(a)第1鋳型ダイと、
(b)第2鋳型ダイと、
(c)閉鋳型位置と開鋳型位置との間において、前記第1鋳型ダイおよび前記第2鋳型ダイを、互いに向かっておよび互いから離れて相対運動するように支持するための調節可能サポートとを備え、
(d)前記第1鋳型ダイまたは前記第2鋳型ダイは、前記閉位置において前記第1鋳型ダイおよび前記第2鋳型ダイの他方と係合する少なくとも1つのコアピンを備え、
前記第1鋳型ダイおよび/または前記第2鋳型ダイは、全体的または部分的ミクロ構造鋳型表面を備える。
【0024】
1つの好ましい実施形態では、前記ミクロ構造鋳型表面は、前記少なくとも1つのコアピンと係合するための係合手段を備える。
【0025】
1つの好ましい実施形態では、前記係合手段は、前記ミクロ構造鋳型表面の突出部を備える。
【0026】
1つの好ましい実施形態では、前記1つまたは複数のコアピンは、機械式ばね、水圧エキスパンダ、空気圧エキスパンダ、弾性材料、好ましくはゴム、またはたとえばナイロン(登録商標)PA−6、PA−6.6、PA−9、PA−10、PA−11、PA−12であるポリアミドなどの軟性プラスチックからなる群から選択される弾性手段を備える。
【0027】
好ましい実施形態では、前記第1鋳型ダイおよび/または前記第2鋳型ダイは、以下の「ミクロ流体構造要素」のセクションにおいて確定されるミクロ流体構造要素を生成するように設計される。
「ミクロ流体構造要素」
本発明の一態様によれば、これらの目的は、ミクロ流体構造要素を提供することによって達成される。該要素は、第1外面および第2外面を備え、前記第1外面および/または前記第2外面は、
少なくとも1つのミクロ流体機能のための少なくとも1つのミクロ構造を備え、前記第1外面および前記第2外面は、少なくとも1つのスルーゴーイングアパーチャによって流体連絡する。
【0028】
驚くべきことに、少なくとも1つのミクロ流体機能のための少なくとも1つのミクロ構造、および前記第1外面と前記第2外面との間において流体連絡するための少なくとも1つのスルーゴーイングアパーチャを有するミクロ流体構造要素は、成型することによって生成することができ、それにより、生成およびコストに対して最小限の制約で大量生成することが保証されることが判明した。
【0029】
さらに、このミクロ流体構造要素により、3次元ミクロ流体構造が可能になり、その結果、1レベルにおけるミクロ流体交差を可能にしないが、第1面と第2面との間の流体連絡が流体クロス交差を可能にする3次元構造を提供する通常の従来の2次元ミクロ流体構造とは対照的に、新しくおよび/またはよりコンパクトな構造を設計することについて適応性が保証される。
【0030】
スルーゴーイングアパーチャによって面の2つの間において流体連絡するそのようなミクロ流体構造要素の成型は、1つまたは複数のコアピン、好ましくは鋳型ダイの表面に関して接触および位置を調節するように適度に弾性である前記コアピンを含むことによって、その位置決めおよび磨耗のばらつきに関係なく、得ることができることが判明した。その結果、スルーゴーイングアパーチャを有する成型済みミクロ流体構造要素は、より長い寿命を提示する鋳型ダイにおいて生成することができ、それによりスループットが増大し、コストが減少する。
【0031】
さらに、そのようなミクロ流体構造要素は、スルーゴーイングアパーチャによって流体連絡する前記第1外面および/または前記第2外面上に少なくとも1つのミクロ流体機能を含み、それにより、多数のミクロ流体機能を有する2面ミクロ流体構造を提供することができる。一般に、より多くのそのようなミクロ流体構造要素を組み立てることによって、多層ミクロ流体構造要素を得ることができる。
【0032】
「少なくとも1つのミクロ流体機能のための少なくとも1つのミクロ構造を備える前記第1外面および/または前記第2外面」という用語は、それぞれまたは両方が少なくとも1つのミクロ構造表面を収容する、前記第1面および前記第2面を備える要素を示すことを意図する。ミクロ構造は、混合、毛細ポンピングなど、少なくとも1つのミクロ流体機能を収容するように設計される。
【0033】
ミクロ流体機能は、当技術分野において知られている。たとえば、P.グラベセン(Gravesen)、J.ブラネブジェルグ(Branebjerg)、およびO.S.ジェンセン(Jensen):「Micro−Fluidics−a Review」、J.Micromech、Microeng、3(1993)、168〜182ページ、およびR.ツェンゲーレ(Zenerle)、「Microfluidics」、1998、111〜22ページ、Ninth Micromechanics Europe Workshop、MME’98、Proceedingsを参照されたい。
【0034】
一般に、ミクロ流体構造のスルーゴーイングアパーチャは、アパーチャを生成するコアピンを成型済み材料からその固化後に解放して、そこから排出することができる限り、スルーゴーイングアパーチャの機能に応じて、前記第1外面と前記第2外面との間の直線的なアパーチャについて、任意の形状または任意の角度を有することができる。たとえば、コアピンは、直線的でほぼ円形のコアピンについて通常5度未満など、適切なドラフト角度を提示すべきである。斜角にある湾曲形状のアパーチャおよび直線アパーチャでは、これは、鋳型ダイから取り外す前に、コアピンを引き出すことによって達成することができる。
【0035】
一実施形態では、コアピンは回転することができ、それにより、ねじ山タイプの形状のスルーゴーイングアパーチャが可能になる。
【0036】
1つの好ましい実施形態では、前記第1外面および前記第2外面は、前記スルーゴーイングアパーチャにほぼ直交し、それにより、固化成型材料のコアピンを引き出すことが特に容易になる。
【0037】
ミクロ流体構造要素は、成型、好ましくは射出成型、より好ましくは圧縮射出成型によって準備され、それにより、多数の要素の生成を低コストで得ることができる。
【0038】
一般に、ミクロ流体構造要素は、応用例に応じて、任意の数の適切な部分で生成される。
【0039】
1つの好ましい実施形態では、ミクロ流体構造要素は、モノリシック要素の形態にあり、それにより、ミクロ流体機能は、単一要素において生成することができ、その結果、個々の部分を組み立てることに関連する生成コストが低減される。
【0040】
他の好ましい実施形態では、ミクロ流体構造要素は、2つ以上の構造要素からなる複合要素の形態にあり、それにより、より多くのミクロ流体機能およびたとえばインサートを最終ミクロ流体構造に組み込むことができる。
【0041】
一般に、多くの応用例では、たとえば、分析または合成のために化学的および生物学的な化合物および細胞を固定または不動にするように、ミクロ流体構造の様々な部分を全体的または部分的に機能化することが有益である。
【0042】
その結果、1つの好ましい実施形態では、前記第1外面および前記第2外面は、全体的または部分的に機能化された表面を備え、それにより、たとえば、ウェルもしくはチャネルを備える観測領域、または細胞を固定するためのリザーバを提供することができる。
【0043】
一般に、表面は、任意の適切な技術によって機能化することができるが、前記全体的または部分的機能化表面は、表面処置によって、好ましくは物理的処置および/または化学的処置によって、機能化されていることが好ましい。
【0044】
好ましい実施形態は、プラズマ処理、熱処理、コロナ放電処理、気体燃焼処理、および照射処理を含み、これら技術は、一括生成プロセスおよび連続生成プロセスの両方において、ミクロ流体構造要素の処置に容易に適合させることができる。
【0045】
また、表面機能化の好ましい実施形態は、表面コーティング、好ましくはプラズマ重合付着および/または金属化によるコーティングを含む。
【0046】
感知、信号処理、流体制御、計算など、所与の応用例について所望の機能化を提供するために、より特有の要素がミクロ流体構造要素において必要とされる。その結果、1つの好ましい実施形態では、前記第1外面および/または前記第2外面は、少なくとも1つの追加要素を備える。
【0047】
好ましい実施形態では、前記少なくとも1つの追加要素は、インサート、好ましくはMEMS構成要素、より好ましくはミクロ構造チップ、または印刷回路板(PCB)からなる群から選択される。
【0048】
他の好ましい実施形態では、前記少なくとも1つの追加要素は、付着層、好ましくは膜、シート、またはフォイルである中間層からなる群から選択され、それにより、たとえば、流体から気体成分を化学的に分離する機能を達成することができる。
【0049】
1つの好ましい実施形態では、前記少なくとも1つの追加要素は、好ましくは内部に組み込むことによって、または接着させることによって、前記第1外面および前記第2外面に固定され、それにより、頑強なミクロ流体構造を提供することができる。
【0050】
1つの好ましい実施形態では、前記追加要素は、金属、好ましくはシリコンである半導体、セラミック、ガラス、ポリマー、好ましくはゴムである柔軟膜からなる群から選択される材料を備え、それにより、多数の特有の機能化を得ることができる。
【0051】
1つの好ましい実施形態では、前記少なくとも1つのスルーゴーイングアパーチャは、好ましくはウェルまたはチャネルであるミクロ構造開空洞と流体連絡し、それにより、流体を反対側の面に送達することができる。
【0052】
一般に、ミクロ流体機能では、可能な限り少量の流体を使用することが望ましく、それにより、流体を高速で処理することができる。その結果、ミクロ流体構造の寸法は、適切な量および時間で加えられる流体の望ましい機能および流れを提供するように選択される。この選択は、利用可能な成型技術および成型材料、ならびにすべてが当業者には知られている必要な機械的特性および化学的特性に依拠する。両方とも上記で引用されたグラベセンらおよびツェレンゲールを参照されたい。
【0053】
一般に、寸法は、それぞれ、ミリメートルの領域、およびサブミリメートルの領域の寸法として分類することができる。
【0054】
1つの好ましい実施形態では、前記第1外面および/または前記第2外面は、ミリメートルの領域の1つまたは複数の開構造を備え、それにより、「マクロ」世界への流体結合を達成することができる。
【0055】
たとえば試薬流体の供給および生成産物または中間産物の放出のためのミクロ流体導管とマクロ流体導管との間の流体結合が、「ミクロ」世界に適合された結合手段の知られている原理を使用することによって達成される。
【0056】
1つの好ましい実施形態では、前記第1外面および/または前記第2外面は、外部流体導管に結合するための導管結合手段、好ましくはルアーロックシステムを備える手段、より好ましくは柔軟管のためのルアーを備え、それにより、確実な流体接続が保証される。
【0057】
1つの好ましい実施形態では、前記第1外面および/または前記第2外面は、好ましくは0.1μmから5mmの範囲の、より好ましくは2μmから0.8mmの範囲の、1つまたは複数の開サブミリメートル構造を備え、それにより、ミクロ構造およびマクロ構造の両方とも、高精度で得ることができる。
【0058】
1つの好ましい実施形態では、前記第1外面および/または前記第2外面は、少なくとも1つの非マクロ流体機能のための少なくとも1つのミクロ構造を備え、それにより、構成要素、識別子、位置決めマーカ、固定構造、およびロゴを得ることができる。
【0059】
1つの好ましい実施形態では、前記少なくとも1つの非ミクロ流体機能は、情報を表示するための構造、好ましくはコードマークまたは管コネクタ番号などの1つまたは複数の識別マーカを備え、それにより、各ミクロ流体構成要素の個々の識別が可能になる。
【0060】
1つの好ましい実施形態では、前記少なくとも1つの非流体機能は、カバー要素を位置決めして、一時的に固定するための位置決め構造、好ましくは誘導ピン、誘導エッジ、または誘導インデンションを備え、それにより、精確な位置決めおよび固定を得ることができる。
【0061】
1つの好ましい実施形態では、前記第1外面および/または前記第2外面は、ラボオンチップ機能を提供する少なくとも1つのミクロ構造を備え、それにより、細胞および生物学的化合物のスクリーニングなどの実験室機能を、費用効果の高いミクロ流体構造において実施することができる。
【0062】
1つの好ましい実施形態では、前記ラボオンチップ機能は、
サンプル準備と、
センサへのサンプル送達と、
視覚調査または光学測定のための光学アクセスと、
ろ過と、
サンプルプラグ射出のための交差流体チャネルと、
流体を貯蔵するためのリザーバと、
流体の流れを1つのチャネルから他へ切り替えるための流れスイッチと、
1つまたは複数の流体の流れを混合するための流体ミキサと、
細胞培養器と、
細胞を分類するための細胞分類装置と、
細胞分析とからなる群から選択される1つまたは複数のミクロ流体動作のための手段からなる。
【0063】
1つの好ましい実施形態では、要素は、ほぼ平面状である。
【0064】
「ミクロ流体構造」
本発明の他の態様によれば、これらの目的は、ミクロ流体構造を提供することによって達成される。該構造は、
上記の「ミクロ流体構造要素」のセクションにおいて確定された本発明による少なくとも1つのミクロ流体構造要素と、
少なくとも1つのカバー要素とを備え、
前記少なくとも1つのミクロ流体構造要素の前記第1外面および/または前記第2外面は、前記少なくとも1つのカバーによって全体的または部分的に覆われ、それにより、開ミクロ構造は閉じられ、流体導管およびリザーバの機能が得られる。
【0065】
1つの好ましい実施形態では、前記少なくとも1つのカバー要素は、ミクロ構造である。
【0066】
1つの好ましい実施形態では、前記少なくとも1つのミクロ流体構造要素および/または前記少なくとも1つのカバー要素は、互いに関して位置決めするための対合手段を備える。
【0067】
1つの好ましい実施形態では、前記少なくとも1つのミクロ流体構造要素および前記少なくとも1つのカバー要素は、1つまたは複数の流体空洞または空洞システム、好ましくは流体導管、閉流体チャネル、流体リサーバ、またはその組合わせを形成する。
【0068】
1つの好ましい実施形態では、前記少なくとも1つのカバー要素は、耐薬品性、機械的柔軟性、気体透過性、水不透過性、光透過性、解放可能接着からなる群の中から選択される特性を提示する要素を全体的または部分的に備える。
【0069】
1つの好ましい実施形態では、前記少なくとも1つのカバー要素は、PS、PC、PMMA、COC、PP、PETG、PE、PA、ABS、POM、PUR、PVC、およびTOPASからなる群から選択される熱可塑性物質からなる群から選択される材料を備える。
【0070】
1つの好ましい実施形態では、前記流体空洞は、多角形、三角形、矩形、正方形、六角形、楕円、円、半円、またはその組合わせからなる群から選択される断面を全体的または部分的に提示し、前記断面は、深さおよび幅が一定である、または変化する。
【0071】
1つの好ましい実施形態では、前記少なくとも1つのカバー要素は、ほぼ平面状である。
【0072】
「標準ミクロ流体構造要素を生成する方法」
本発明の他の態様によれば、これらの目的は、標準ミクロ流体構造要素を生成する方法を提供することによって達成され、該要素は、
標準面および使用適合面を備え、
標準面は、所定の数のミクロ流体機能、好ましくは流体導管結合手段を有し、
使用適合面は、少なくとも1つの所定のミクロ流体機能のための少なくとも1つの所定のミクロ構造を有し、
標準面のミクロ流体機能は、使用適合面上の少なくとも1つの所定のミクロ流体機能と流体連絡し、該方法は、
(a)「ミクロ流体構造要素」のセクションにおいて確定されたミクロ構造要素を成型するための鋳型アセンブリを提供し、前記鋳型アセンブリが、
(i)第1鋳型ダイが、標準面の所定の数のミクロ流体機能のミクロ構造および/またはマクロ構造鋳型表面を備え、第2鋳型ダイが、使用適合面の少なくとも1つの所定のミクロ流体機能のミクロ構造鋳型表面および/またはマクロ構造鋳型表面を備える、ダイ空洞を形成する第1鋳型ダイおよび第2鋳型ダイと、
(ii)前記ダイ空洞にわたって前記第1鋳型ダイと前記第2鋳型ダイとの間に延びる1つまたは複数のコアピンとを備えることと、
(b)成型材料を前記ダイ空洞に加えることと、
(c)前記成型材料が固化させることと、
(d)前記固化成型材料をダイ空洞から取り出すこととを備える。
【0073】
随意選択で、前記1つまたは複数のピンコアは、固化成型材料がダイ空洞から排出される前に、固化成型材料から解放および排出される。
【0074】
好ましい実施形態では、前記第1鋳型ダイおよび/または前記第2鋳型ダイは、上記の「ミクロ流体構造要素」のセクションにおいて確定されたミクロ流体構造要素を生成するように設計される。
【0075】
「ミクロ流体構造の使用」
本発明の他の態様によれば、これらの目的は、上記の「ミクロ流体構造」のセクションにおいて記載されたミクロ流体構造、上記ミクロ流体構造要素」のセクションにおいて記載された1つまたは複数のミクロ流体構造要素から製造されたミクロ流体構造、または上記「ミクロ流体構造要素を生成する方法」のセクションにおいて記載された方法によって製造されたミクロ流体構造の、分析分離、分析測定、細胞分析、DNA塩基配列決定、およびタンパク質配列決定からなる群から選択される実験室分析のラボオンチップ動作を有するミクロ流体システムの製造での使用を提供することによって達成される。
【0076】
本発明の他の態様によれば、これらの目的は、上記の「ミクロ流体構造」のセクションにおいて記載されたミクロ流体構造、上記ミクロ流体構造要素」のセクションにおいて記載された1つまたは複数のミクロ流体構造要素から製造されたミクロ流体構造、または上記「ミクロ流体構造要素を生成する方法」のセクションにおいて記載された方法によって製造されたミクロ流体構造の、ヌクレオチド合成、タンパク合成、および細胞増殖からなる群から選択される実験室合成のラボオンチップ動作を有するミクロ流体システムの製造での使用を提供することによって達成される。
【0077】
「表現の定義」
本文脈では、「ミクロ流体」という用語は、チャネルまたはスルーゴーイングアパーチャの断面など、流体システムの寸法がサブミリメートルの領域、通常はナノメートルからミリメートルの領域にあり、縦方向の延長部が、サブミリメートルからミリメートルを超える領域、通常は1mmから1000mmの領域にあることを示すことを意図する。
【0078】
本文脈では、「1つまたは複数」という用語は、「少なくとも1つ」、通常はいくつかを含むと解釈される。
【0079】
以下において、例としてのみ、本発明は、好ましい実施形態の詳細な記述でさらに開示される。図面を参照する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0080】
図1は、ミクロ流体構造要素100を示す本発明の実施形態を示し、この図では、要素100の第1外面(この図では平面)101の上にミクロチャネル103、109、110を備え、ミクロチャネルは、フィードスルー107によって提供される入口/出口102と流体連絡する。この図では、フィードスルーは、柔軟管の直接取付けを可能にするルアー106の形態に成型される。ルアー106は、物理的損傷に対して保護し、ならびに適切な外径および内径の管に締付けサポートを提供する保護構造105を有する。この例のルアー106の内径は、800μmである。ルアーの外径は、1.6mmであり、端部は、管の扱いを容易にするように、わずかに円錐形である。ルアーは、3mm長の管を受ける。
【0081】
接続管は、たとえば、コールパルマー(Cole Palmer)から入手可能なタイゴン(Tygon)(商標)管であり、この場合、管は1.3mmの内径を有し、ルアーの上で押されるとき、管はわずかに膨張する。膨張は、管の弾性特性と組み合わされて、緊密な流体接続をもたらし、十分な力を使用することによってのみ、管はルアーから外される。管の壁の厚さは、ルアー106と保護リング105との間にはめ込まれるように選択される。
【0082】
この形態の流体接続は、クロマトグラフィ、HPLCにおいて使用されるような非常に高い圧力下の流体には適していないが、最高で数百psiの圧力には十分である。
【0083】
特有の構成の外部接続を含む第2面108は、様々な異なるミクロ流体構造要素100を確定する第1面101上のミクロ構造の異なるパターンと共に、再使用されることが可能である。いくつかの例では、フィードスルー111は、必要とされず、したがって、いずれの構造にも接続されない。
【0084】
ミクロ流体構造の応用例は、粒子フィルタ、ミキサ、光学キュベット、毛細電気泳動、細胞分析、サンプル射出、PCR室などを含めて、多様である。チャネルを通る流れを層状方式で誘導する共通接合部110において2つの別々の流れを組み合わせることによって、2つの流体が混合されることが可能である。
【0085】
外部接続104の数は、構造要素100上の利用可能な空間に基づき変更できる。外部接続104の相対位置も、変更することが可能である。あらゆるミクロ構造103、109は、フィードスルー開口102の正確な位置を知った上で設計されることが明らかに必要である。
【0086】
図2は、この図では平面である、第1面101および第2面108の両方の上にミクロ構造を有する要素100を示す、本発明の実施形態を示す。第2面上のミクロ構造203は、フィードスルー202、207を介して第1面101上のミクロ構造109と流体連絡し、一方、ミクロ構造103は、別のままである。
【0087】
他のフィードスルー102が、外部接続(たとえば図1の104参照)のためのポートを提供する。
【0088】
図3aは、閉流体導管を提供するミクロ流体構造300を得るために、ミクロ構造要素100がカバー要素301と共に組み立てられる様子を示す、本発明の実施形態を示す。カバー301は、しばしば、ミクロ構造要素100と同じベース材料から選択される(および、たとえば同じ方法によって製造される)が、様々な充填剤、顔料、または他の機能添加物に関して相違を提示することが可能である。1つの接合方法は、透過レーザ溶接である。この方法を実施する古典的な方式では、ベース材料は、カーボンブラックなどの吸収顔料を追加することによって、放射に対して不透過性であるように作成される。放射は、透過性部分によって透過される。その部分は、通常はIR放射であるレーザ光への暴露中に共に締め付けられ、熱が境界面において発生して、2つの面を共に溶接する。2つの部分を接合する他の方式には、UV硬化接着剤、ホットメルトなどの接着剤を使用する積層化がある。
【0089】
カバー要素301およびミクロ構造要素100は、実際の接合プロセスの前に固定位置決めを容易にするために、対合構造361、360を含むことが可能である。これにより、カバー要素301の結合表面311上の構造を、要素100の第1外面101上の構造103に関して位置決めすることが可能になり、これにより複合構造が生じる。同様にして、カバー要素301は、ミクロ構造要素100の回りにリムはめ込み(図示せず)を含むことが可能であり、これにより位置決めと同様の効果が与えられる。カバー要素310の外面には、一般に特徴はないが、ミクロレンズ、屈折格子、または他の機能構造(図示せず)などの必須構造を有することができる。外表面310は、バーコード、識別マーカ、ロゴなど(図示せず)、チップに関する情報を印刷するために使用されることが可能である。カバーは、完全には示されず、湾曲線312に沿って切断されたセクションとしてのみ示されている。
【0090】
図3bは、ミクロ構造103、102を両面上に有するミクロ流体構造要素303のアセンブリ300を示す、本発明の実施形態を示す。外部接続のための手段を得るために、接続要素306(ミクロ流体構造要素100の一体部分として図1に示される)が使用される。接続要素306は、この実施形態ではいずれのミクロ構造も欠いているが、他の実施形態では、たとえば、センサ要素などのミクロ流体機能、または2つのスルーゴーイングアパーチャ(この図ではフィードスルーによって例示される)間の流体接続など(図示せず)を形成するために、ミクロ構造(フィードスルー開口309とは別に)を含むことが可能である。ミクロ流体構造要素303の表面305および307ならびに接続要素306は、それぞれ、組み立てられたミクロ流体構造要素302を形成し、一方、フィードスルー315、107が、おそらくは図3aに関して記述された対合構造手段によって、互いに関して適切に位置決めされることが見て分かるように、密接に接触される。組立てミクロ構造(組み立てられた)要素302は、閉鎖流体導管を有するアセンブリ300を得るように、カバー要素301およびミクロ流体構造要素302のそれぞれ面311および304を接合することによって、カバー要素301と共に組み立てられる。接合は、図3aに関して議論されたように実施されることが可能である。すべてのフィードスルー309が、ミクロ流体構造要素303上のミクロ構造に接続されるわけではない。接続要素306は、たとえば、ミクロ流体構造要素について記述されたのと同じ方法を使用して製造されることが可能である。
【0091】
図4は、この図では両側に平面ミクロ構造外表面101、108を有する要素であるミクロ流体構造要素100の断面図を示し、フィードスルー107を示す。矩形チャネル103の断面を両側の平面外表面101、108の上に見ることができる。チャネル構造側壁の高さ422は、チップ上において変化させることが可能であり、チャネル103の幅425ならびにリザーバ403の幅424および深さ423も変化させることが可能である。表面101、108は両方とも、ミクロ構造を含む。両垂直表面420、421は、ミクロ構造を有さずに示されている。しかし、これらの表面は、好都合であれば、たとえば、特別な流体を射出するために、または対合コネクタ(図示せず)によって流体接続される近傍ミクロ流体構造要素に結合するために、リザーバを形成するように、ミクロ構造を備えることが可能である。
【0092】
図5は、ミクロ流体構造要素100およびカバー要素510の断面図を示し、前記カバー要素は、ミクロ流体構造要素100上の構造403に対して位置決めされる構造530(たとえば、ミクロ構造)を含む。異なる直径を有するフィードスルー107、507が示されており、いくつかは、ミクロチャネル構造103と流体連絡する。構造部分513(たとえば、ミクロ構造)を含むインサート要素505が、構造512と共に要素100に対して作用する。インサートは、接着手段によって、または要素100と接合されるカバー511を使用することによって、適所に維持される。カバー要素は、インサート505を受けるために、側壁532および底部壁531によって画定される陥凹を有する。ミクロ流体構造要素100は、要素100においてインサート505を受けて、位置決めするための対応する陥凹503を有する。カバーは、追加のミクロチャネル構造特徴533、534(たとえば、非垂直壁を有する)を含むことが可能である。矢印540および541は、ミクロ流体構造300を形成するように、部分510、100、505、511を組み立てる方向を示す。流体をミクロ流体構造300へ、およびミクロ流体構造300から供給するための外部接続104は、構造の一体式部分とする、または別に取り付けられることが可能である。
【0093】
図6は、カバー610、611を有するミクロ構造要素100のアセンブリ300の形態にあるミクロ流体構造の断面図を示す。カバー610およびミクロ流体構造要素100は、その部分を互いに関して位置決めすることを可能にするために、追加の対合構造550を有する。フィードスルー507、107、607は、直径が異なっていてもよく、異なるプロファイルで作成することもできる(たとえば、フィードスルー107と比較したフィードスルー607)。この場合、管を広い部分617に挿入することができ、プロファイル618のより小さい部分のみが、流体と接触する。フィードスルーは、チャネル113と流体連絡する。ミクロ流体構造300は、フィードスルーおよび他の構造部分と共に、ミクロ流体構造要素100の少なくとも2つの面101、108を使用して比較的コンパクトなミクロ流体流れシステムを画定する、ミクロチャネル103およびリザーバ403をさらに備える。
【0094】
図7は、カバー710、712、713およびインサート要素605を有するミクロ流体構造要素100のアセンブリ300の形態にあるミクロ流体構造の断面図を示す。通常のインサート要素は、サンプル流体と密接に接触されるようにすることが必要であるシリコンをベースとするセンサである。給電およびデータの交換のためにセンサ要素に電気接続をセンサに提供するように、例示的なセンサチップインサートへの電気接続が、ミクロ流体構造要素100の外表面108上を走る、またはカバー要素713に統合されることが可能である。サンプル流体は、フィードスルー507を介してミクロチャネル構造603を有する測定サイトに至ることが可能であり、フィードスルー507は、構造403およびフィードスルー107を介して外部流体接続604と流体連絡する。外部接続604は、別々に作成して、要素100の表面108上に接合することができる。
【0095】
いくつかの場合、カバーは、カバー要素712の部分的に取り外された複製712’および矢印602によってカバー712について示されるように、ミクロ流体構造要素100の表面101に固定式に接着されることが可能である。取外しプロセス602の結果、ミクロ構造表面101の特定の部分403にアクセスすることが可能である。
【0096】
図8aは、ミクロ流体構造要素100(図1〜図7参照)を作成することが可能である、鋳型アセンブリ701の実施形態を示す。ダイ空洞715が、第1ダイ要素702および第2ダイ要素703によって画定され、後者は、ダイライニング要素704を備える。コアピン710が、ダイ空洞715の中に突出し、鋳型ダイがダイ空洞を形成するように閉じられるとき、ミクロ構造ライニング704の表面705上にあるようになる。コアピンは、弾性ばね要素712による対向表面705との接触に関して自己調節される。表面705に対してピン710によって及ぼされる力は、ばねを事前装填するためにねじ713を調節することによって変更することが可能である。他の実施形態では、プランジャ(図示せず)が、ねじとコアピンとの間に挿入される。コアピンの延長部は、ピンの上のヘッド711によって限定される。コアピン710の長さは、表面705と完全に接触するために、ダイ空洞715の幅よりわずかに長くなければならない。通常のライニングの厚さは、0.1mmから50mmの範囲にあるが、より厚くすることができる。
【0097】
他の実施形態では、ミクロ構造は、たとえば微細機械加工またはレーザ彫刻、CNC摩砕、または同様の方法によって、および随意選択でライニングを含めて、鋳型表面において直接、全体的にまたは部分的に組み込まれる。
【0098】
コアピン710は、突出部705が流体構造を画定し、かつ陥凹706がミクロ流体構造要素100の結合表面101(図1〜図7参照)を画定するミクロ構造表面上にある。ダイ要素702は、コアピン710を誘導するための精密に形成された構造709を有する。ミクロ構造パターンを形成する異なる高さ(ステップ707によって示される)にある表面705、706を有するダイライニング要素704は、電気めっきされたニッケルインサートとすることが可能である。
【0099】
図8bは、柔軟ばね要素(図8aの712)がエラストマ部分720によって置き換えられている鋳型アセンブリ701の断面図を示す。エラストマを使用することにより、コアピン間において必要とされる最小限の距離を低減するように作用することが可能である。コアピン711のヘッドは、1つまたは複数の方向においてより小さい空間を占めるように、縮小された幾何学的形状を有することが可能である。非対称ヘッド711が、コアピンを誘導して、軸714の回りの回転を防止することもできる。これは、コアピン710の接触表面705が回転対称ではない場合、重要である可能性がある。ダイライニング要素704は、異なる高さにおいて表面721、705、706を備え、これらは、共に、成型済みミクロ流体応増要素(たとえば図1〜図7の100参照)もしくはカバー要素(たとえば図5の510、511参照)の上においてミクロ構造パターンを形成し、または接続要素(たとえば図3bの306参照)の上において構造パターンを形成する。
【0100】
図8cは、両方のダイ表面がミクロ構造ライニング704、730によって(または他の手段によって、たとえばダイ要素702、703自体のそれぞれの表面によって)画定される鋳型アセンブリ701の断面図を示す。精密な穴が、コアピンがダイ空洞715の中に突出することを可能にするように、ミクロ構造ダイライニング730において作成される。コアピンの自己調節特性を提供する柔軟要素は、エラストマ要素720として示されているが、ばね要素によって提供されることも同様に可能である。インサートダイ730は、ミクロ構造要素を画定するように、突出部731および陥凹732(ステップ733によって分離される)を有する。インサートダイ704は、共にミクロ構造パターンを形成する表面705、706を異なるレベルにおいて備える。インサートダイ730および704は、鋳型の対向面の部分に少なくともわたってミクロ構造を共に形成する。
【0101】
本発明の他の実施形態では、ミクロ構造は、当該の面についてミクロ構造鋳型ダイを適用することによって、鋳型の対向していない表面上に形成されることが可能である(たとえば、図4の面420、421参照)。
【0102】
図8a、図8b、および図8cでは、ダイ要素702および703は、成型プロセスの動作中、ダイライナ704上で接触するそれぞれの表面に対する適切な接触を保証するために、コアピン710に小さい圧力を提供するように、互いに関して相対方向に動く。
【0103】
図9は、両方のダイ要素702、703が、対向ミクロ構造ダイライニング730、704にそれぞれ接触する接触柔軟コアピン709、805を含む鋳型アセンブリ701の断面図を示す。コアピン805、709は、必要な力および柔軟性を提供するために、ばね装填する(図8aの712によって示す)、またはエラストマ要素804(図8bの720によって示す)を使用することが可能である。図9に示されるコアピン709、805は、等しい外径を有する円形断面を有する。本発明の他の実施形態では、コアピンは、たとえば等しいまたは異なる外径807、806、異なる断面輪郭、または円形とは異なる断面輪郭を有することが可能である。
【0104】
本体801および803は、それぞれ、ダイ要素702および703のための中実基台を示す。矢印802は、成型プロセスの準備中、それぞれダイライナ704および730の上に接触するそれぞれの表面に対する適切な接触を保証するように、コアピン709、805に対し小さい圧力を提供するためのダイ要素703に対するダイ要素702の運動方向を示す。本体803は固定され、本体801(ならびに対応する柔軟要素720、ダイライニング730、およびコアピン709)は可動であると想定される。
【0105】
本発明の一実施形態では、コアピン805、709は、1mm未満、0.8mm未満、0.5mm未満、0.3mm未満など、2mm未満の最小断面寸法806、807を有する。それにより、最小断面寸法を有する穴(いわゆる「最小穴」)を製造することができる。具体的には、成型済み材料のある長さ/厚さにわたって延びる最小穴を得ることができる。
【0106】
本発明の一実施形態では、最小断面寸法を有する穴を備えるミクロ流体構造要素の最大長/厚さ(いわゆる、「最小穴の最大長」)は、0.8mmより大きい、1mmより大きい、1.5mmより大きい、2mmより大きい、4mmより大きいなど、0.5mmより大きい。
【0107】
本発明の一実施形態では、「最小穴の最大長」対「最小穴」の最小寸法の比は、4より大きいなど、6より大きいなど、2より大きい。本発明の好ましい実施形態では、「最小穴の最大長」および「最小穴の最小寸法」に対応する値は、それぞれ、4mm/0.8mm、1.6mm/0.35mm、および0.8mm/0.22mmである。
【0108】
本発明の一実施形態では、コアピンは、たとえばわずかに円錐形であることによって、解放滑り角を有し、それにより、成型要素のコアピンリリースをさらに制御することができる。
【0109】
ミクロ構造スルーゴーイングアパーチャを提供するのに使用されるコアピンの材料の選択は、寸法を考慮して行われることが好ましく、所与の応用例についてコアピンの最小寸法が小さくなると、材料の剛性が必要であるなど、機械的特性がより注目される。
【0110】
本発明の実施形態では、コアピンは、ポリマー(たとえばPEEK(商標))、ブラス、適切な剛性の他の金属で作成される。1つの好ましい実施形態では、最小寸法のコアピンは、たとえばパンチ針の形態で、たとえば0.2mmから10mmの直径で、好ましくはDIN9861に従って生成された、硬化鋼で作成される。
【0111】
コアピンの断面形態は、通常は円形であるが、三角形、矩形、または正方形、もしくはあらゆる多角形の形態など、スルーゴーイングアパーチャの適用に応じて、あらゆる他の形態を取ることが可能である。
【0112】
本発明の一実施形態では、コアピンは、たとえば中空ケーン(ダイライニング要素721との接触付近の端部セクションにわたって少なくとも中空のコアを有する)の形態にある、完全にまたは部分的に管状である。本発明の一実施形態では、コアピンのためのダイライニング要素721の接触表面705は、管状コアピンを受けるように適合された小さい誘導突出部(図示せず)を備え、それにより、表面との接触を改善し、精度が向上し、成型中のコアピンが横滑りする危険性が抑えられる。
【0113】
本発明の1つの好ましい実施形態では、コアピンは、鋳型と接触する長さのセクションに少なくともわたって、外表面上において研磨される。これは、鋳型アセンブリからの分離中に、当該のコアピンによって形成される穴の内壁の損傷を最小限に抑えるという利点を有する。本発明の一実施形態では、適切な表面の粗さが、研磨のための0.5μm ra未満を有するダイアモンドペーストを使用することによって得られる。
【0114】
所与の鋳型アセンブリのコアピンの長さは、好ましくは放電機械加工(EDM)によって調節されてもよい。同じ長さを有するべきであるコアピンは、好ましくは同時に機械加工されてもよい。
【0115】
本発明の一実施形態では、鋳型アセンブリのコアピン805、709の1つまたは複数は、固定される、または非弾性的である。
【0116】
図10aは、非弾性コアピン910が使用される、本発明による鋳型アセンブリ901の実施形態を示す。コアピンは、円錐部分912を有するヘッド911を有し、ピンのヘッドは、可動鋳型部品920によって運動が固定される。ダイ空洞915の1つの部分は、可動鋳型部分902によって構築される。ダイ空洞の他の部分は、ミクロ構造表面905、906、907を備える固定鋳型部分903によって構築される。コアピン910によって生成される穴と流体接続されるミクロチャネル905が示されている。鋳型アセンブリの固定部分903と可動部分902、920(記号951によって示される)との間の排出装置プレート905が、コアピン910を保護するために使用され、それにより、鋳型の可動部分からプラスチック部分を排出する際(図10aの排出装置プレート950の左側部分)、コアピンは湾曲されず、そうでない場合は損傷されない。
【0117】
図10aは、ダイ要素902、903が、突出部907において固定背面プレート920および対向ダイライニング903(後者はミクロ構造表面905、906、907を有する)にそれぞれ接触する固定コアピン910を含む、鋳型アセンブリ901の断面図を示す。コアピンは、分離線記号951によって示される分離線に沿ってプラスチック部分を鋳型から外すために鋳型を開くとき、ピンが鋳型空洞915の中に入るのを防止するために、ヘッド911を有する。
【0118】
図10bは、非弾性コアピン910が使用される、本発明による鋳型アセンブリ901の実施形態を示す。コアピンは、円錐部分を有するヘッド945を有し、ピンのヘッドは、可動鋳型部品940によって運動が固定される。ダイ空洞915の1つの部分は、可動鋳型部分941によって構築される。ダイ空洞の他の部分は、ミクロ構造表面944を備える固定鋳型部分943によって構築される。排出装置プレート947が、部分を鋳型から外すとき、ピンを保護するために、コアピン910の回りに構成される。排出装置プレート947は、排出装置ピンが力990によって後ろから押されるとき、排出装置ピン991によって稼動または移動される。排出装置プレートは、力948をプラスチック部分に加え、その結果鋳型から外す。鋳型アセンブリは、分離線950に沿って分離され(記号951によって示す)、それにより、成型済み部品をダイ空洞から排出する。
【0119】
排出装置プレート947(および排出装置ピン991)は、当然、図8、図9、および図11に示されたような、弾性的に可動されたコアピンを使用して鋳型アセンブリと組み合わされて同様に使用されることも可能である。
【0120】
本発明の一実施形態では、固定非弾性コアピンおよびばね稼動または弾性コアピンの混合が使用される。
【0121】
流れチャネルが共に非常に近接している、または鋳型に空間がないいくつかの産物設計では、非弾性または固定コアピン910が、小スループットチャネルをプラスチックにおいて製造するのに好ましい解決法である可能性が高い。
【0122】
図11aは、両方のダイ要素743、742が固定コアピン710を含む、鋳型アセンブリ701の断面図を示し、ピンは、それぞれの対向ミクロ構造ダイライニング744に接触する。コアピン710は、必要な力および柔軟性を提供するために、ばね装填712されることが可能である(図8aの712によっても示される)。図11aに示されるコアピン710は、外径が等しい円形断面を有する。本発明の他の実施形態では、コアピンは、等しいまたは異なる外径、異なる断面輪郭(円形ではない断面輪郭を含む)など、異なる断面を有することが可能である。コアピンのヘッド745のためのサポートプレート711が、コアピン710とばね712との間に挿入される。ばね712は、それぞれの背面プレート740、741に対して押し付けられる。個々の背面プレートは、コアピンをより密接な間隔で配置することを可能にするように構成される。コアピンは、プラスチック部分を分離線750に沿って鋳型から外すために鋳型を開くとき(分離線記号951によって示す)、ピンが鋳型空洞715の中に入るのを防止するために、ヘッド745を有する。コアピン710によって形成される穴の「深さ」および2つのコアピン710間の至近距離761を決定する鋳型部品(たとえば、図2の100などミクロ流体構造要素)の厚さ760は、重要な設計パラメータである。コアピン710のばね712を有するそれぞれの背面プレート740、741の接触表面は、背面プレート741の厚さに対応する距離762だけ分離される。背面プレートは、ばね712、サポートプレート711(および、図11bのサポートプレート770など、可能であればばね712を保持する空洞に含まれる他の部分)、ならびにコアピン710のヘッド745の範囲(コアピン710の縦い方向における)より大きい厚さを有する。それにより、ばね712が共通背面プレートを有する状況と比較して、より接近したコアピン間隔760が達成されることが可能である。
【0123】
図11bは、短いコアピン距離761(コアピンの縦中心線間の垂直距離によって与えられる)が、コアピン710の少なくとも1つのヘッド745とサポートプレート711との間において接触点を他のコアピンに向かう方向に距離767ずらすことによって実施される、本発明の他の実施形態を示す。両方のコアピンが、図11bに示されるように、互いに向かってずらされることが好ましい。コアピンのそれぞれの縦中心線がばねの中心線と一致する「ずれなし」状況では、コアピン間の最小距離は、図11bの距離766によって与えられる。図11bの実施形態では、両方のコアピンとも、共通背面プレート740に接触するための上部サポートプレート770を有する。それにより、所与のばね712の力は、異なる厚さのサポートプレートを挿入することによって、異なる値および異なる空洞長に適合されることが可能である。図11bの他の特徴は、図11aについて議論されている通りである。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】モノリシックに統合された入口および出口接続を備える例示的なミクロ流体構造要素を示す本発明の実施形態の図である。
【図2】両側の平面表面上にミクロ構造を有する本発明によるミクロ流体構造要素を示す図である。
【図3a】構造が、ミクロ流体構造要素およびカバーを備える、本発明によるミクロ流体構造を示す図である。
【図3b】構造が、組み立てられたミクロ流体構造要素およびカバー要素を備える、本発明によるミクロ流体構造を示す図である。
【図4】本発明によるミクロ流体構造要素の断面図である。
【図5】構造がミクロ構造を有するカバーおよびミクロ構造インサートを備える、本発明による組み立てられていないミクロ流体構造の断面図である。
【図6】構造が、精確な取付けを可能にするように陥凹カバー要素および誘導要素を備えるカバー要素を有する、本発明によるミクロ流体構造の断面図である。
【図7】構造が取外し可能カバー要素およびインサートを有する、本発明によるミクロ流体構造の断面図である。
【図8a】コアピンを調節するためにばね要素を使用する、本発明による例示的な鋳型アセンブリの断面図である。
【図8b】コアピンを調節するためにエラストマ部品を使用する、本発明による例示的な鋳型アセンブリの断面図である。
【図8c】対向面上に2つのダイライニング要素を備える、本発明による例示的な鋳型アセンブリの断面図である。
【図9】2つの異なるダイ要素を元とする2つのコアピンが使用される、本発明による例示的な鋳型アセンブリの断面図である。
【図10a】固定コアピンが使用される、本発明による例示的な鋳型アセンブリの断面図である。
【図10b】排出装置プレートの使用が示される、本発明による例示的な鋳型アセンブリの断面図である。
【図11a】弾性コアピンが使用される、本発明による例示的な鋳型アセンブリの断面図である。
【図11b】隣接コアピン間の距離を低減するために、コアピンが互いに関してずれている、本発明による例示的な鋳型アセンブリの断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミクロ流体構造要素を製造する方法であって、
(a)ミクロ構造要素を成型するための鋳型アセンブリを提供し、前記鋳型アセンブリが、ダイ空洞を共に形成する第1鋳型ダイおよび第2鋳型ダイを備え、前記第1鋳型ダイおよび/または前記第2鋳型ダイが、
(i)スチール、ブロンズ、ベリリウム銅合金、または成型ダイアルミニウム合金などの金属であることが好ましい、ミクロ構造鋳型表面(705)を備える鋳型表面と、
(ii)前記ダイ空洞にわたって前記第1鋳型ダイと前記第2鋳型ダイとの間に延びる1つまたは複数のコアピンとを備えることと、
(b)成型材料を前記ダイ空洞に加え、前記成型材料が、好ましくは熱可塑性物質、より好ましくはPS、PC、PMMA、COC、PP、PETG、PE、PA、ABS、POM、PUR、PVC、およびTOPASからなる群から選択される熱可塑性物質であることと、
(c)前記成型材料を固化させることと、
(d)前記固化成型材料をダイ空洞から取り出すこととを備える、ミクロ流体構造要素を製造する方法。
【請求項2】
前記鋳型表面が、好ましくはニッケルである金属、好ましくはスチールである金属合金、好ましくはシリコンである半導体、好ましくはアルミナであるセラミックからなる群から選択される材料を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1鋳型ダイおよび前記第2鋳型ダイの一方または両方が、ミクロ構造鋳型表面および非ミクロ構造鋳型表面を備える、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記1つまたは複数のコアピンが、機械式ばね、水圧エキスパンダ、空気圧エキスパンダ、弾性材料、好ましくはゴム、好ましくはゴム、またはたとえばナイロン(登録商標)PA−6、PA−6.6、PA−9、PA−10、PA−11、PA−12であるポリアミドなどの軟性プラスチックからなる群から選択される弾性手段を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1鋳型ダイおよび/または前記第2鋳型ダイが、前記鋳型材料の適用または硬化中に前記型材料内に解放される、または前記固化成型材料の上に解放される、解放可能構造要素を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
請求項1から5において確定された方法によって得られるミクロ流体構造要素。
【請求項7】
ミクロ流体構造のミクロ構造要素を成型するための鋳型アセンブリであって、
(a)第1鋳型ダイと、
(b)第2鋳型ダイと、
(c)閉鋳型位置と開鋳型位置との間において、互いに向かって、および互いから離れて相対運動するように前記第1鋳型ダイおよび前記第2鋳型ダイを支持するための調節可能サポートとを備え、
(d)前記第1鋳型ダイまたは前記第2鋳型ダイは、前記閉位置において前記第1鋳型ダイおよび前記第2鋳型ダイの他方と係合する少なくとも1つのコアピンを備え、
前記第1鋳型ダイおよび/または前記第2鋳型ダイが、全体的または部分的微細構造成型表面を備える、鋳型アセンブリ。
【請求項8】
前記ミクロ構造鋳型表面が、前記少なくとも1つのコアピンと係合するための係合手段を備える、請求項7に記載の鋳型アセンブリ。
【請求項9】
前記係合手段が、前記ミクロ構造鋳型表面の突出部を備える、請求項8に記載の鋳型アセンブリ。
【請求項10】
前記1つまたは複数のコアピンが、機械式ばね、水圧エキスパンダ、空気圧エキスパンダ、弾性材料、好ましくはゴム、またはナイロン(登録商標)PA−6、PA−6.6、PA−9、PA−10、PA−11、PA−12からなる群から選択される弾性手段を備える、請求項7から9のいずれか一項に記載の鋳型アセンブリ。
【請求項11】
微細流体構造要素であって、要素が、第1外面(101)および第2外面(108)を備え、前記第1外面および/または前記第2外面が、少なくとも1つのミクロ流体機能(103、109)のための少なくとも1つのミクロ構造を備え、前記第1外面および前記第2外面が、少なくとも1つのスルーゴーイングアパーチャ(107)によって流体連絡する、微細流体構造要素。
【請求項12】
前記第1外面および前記第2外面が、前記スルーゴーイングアパーチャとほぼ直交する、請求項11に記載の要素。
【請求項13】
前記要素が、成型によって、好ましくは射出成型によって、より好ましくは圧縮射出成型によって準備される、請求項11または12に記載の要素。
【請求項14】
要素が、モノリシック要素の形態にある、請求項11から13のいずれか一項に記載の要素。
【請求項15】
要素が、2つ以上の構造要素によってなる、請求項11から13のいずれか一項に記載の要素。
【請求項16】
前記第1外面および前記第2外面が、全体的にまたは部分的に機能化された表面を備える、請求項11から15のいずれか一項に記載の要素。
【請求項17】
前記全体的または部分的機能化表面が、表面処理によって、好ましくは物理的および/または化学的処理によって、より好ましくはプラズマ処理、熱処理、コロナ放電処理、気体燃焼処置、照射処理によって、または表面コーティングによって、好ましくはプラズマ重合付着および/または金属化によって機能化されている、請求項16に記載の要素。
【請求項18】
前記第1外面および/または前記第2外面が、少なくとも1つの追加要素(605)を備える、請求項11から17のいずれか一項に記載の要素。
【請求項19】
前記少なくとも1つの追加要素が、好ましくはMEMS構成要素、より好ましくはミクロ構造チップ(605)であるインサート、印刷回路板(PCB)、接着層、および好ましくは膜、シート、フォイルである中間層からなる群から選択される、請求項18に記載の要素。
【請求項20】
前記少なくとも1つの追記要素が、好ましくは組み込むことによって、または接着させることによって、前記第1外面および/または前記第2外面に固定される、請求項18または19に記載の要素。
【請求項21】
前記追加要素が、金属、好ましくはシリコンである半導体、セラミック、ガラス、ポリマー、好ましくはゴムである柔軟膜からなる群から選択される材料を備える、請求項18から20のいずれか一項に記載の要素。
【請求項22】
前記少なくとも1つのスルーゴーイングアパーチャが、好ましくはウェルまたはチャネルであるミクロ構造開空洞と流体連絡する、請求項11から21のいずれか一項に記載の要素。
【請求項23】
前記第1外面および/または前記第2外面が、ミリメートル領域の1つまたは複数の開構造を備える、請求項11から22のいずれか一項に記載の要素。
【請求項24】
前記第1外面および/または前記第2外面が、外部流体導管に結合するための流体結合手段を備え、好ましくは、結合手段は、特には軟性管のためのルアーであるルアーロックシステムからなり、最も好ましくは一体式流体結合手段である、請求項11から23のいずれか一項に記載の要素。
【請求項25】
前記第1外面および/または前記第2外面が、好ましくは0.1μmから5mmの範囲の、より好ましくは2μmから0.8mmの範囲の、1つまたは複数の開サブミリメートル構造を備える、請求項11から24のいずれか一項に記載の要素。
【請求項26】
前記第1外面および/または前記第2外面が、少なくとも1つの非ミクロ流体機能のための少なくとも1つのミクロ構造を備える、請求項11から25のいずれか一項に記載の要素。
【請求項27】
前記少なくとも1つの非ミクロ流体機能が、情報を表示するための構造、好ましくはコードマークまたは管コネクタ番号などの、1つまたは複数の識別マークを備える、請求項26に記載の要素。
【請求項28】
前記少なくとも1つの非流体機能が、カバー要素の位置決めおよび一時的固定のための位置決め構造、好ましくは誘導ピン、誘導エッジ、または誘導インデンテーションを備える、請求項11から27のいずれか一項に記載の要素。
【請求項29】
前記第1外面および/または前記第2外面が、ラボオンチップ機能を提供する少なくとも1つのミクロ構造を備える、請求項11から28のいずれか一項に記載の要素。
【請求項30】
前記ラボオンチップ機能が、
サンプル準備と、
センサへのサンプル送達と、
視覚調査または光学測定のための光学アクセスと、
ろ過と、
サンプルプラグ射出のための交差流体チャネルと、
流体を貯蔵するためのリザーバと、
流体の流れを1つのチャネルから他へ切り替えるための流れスイッチと、
1つまたは複数の流体の流れを混合するための流体ミキサと、
細胞培養器と、
細胞を分類するための細胞分類装置と、
細胞分析とからなる群から選択される1つまたは複数のミクロ流体動作のための手段からなる、請求項29に記載の要素。
【請求項31】
要素が、ほぼ平面である、請求項11から30のいずれか一項に記載の要素。
【請求項32】
ミクロ流体構造であって、
請求項11から31に記載された少なくとも1つのミクロ流体構造要素と、
少なくとも1つのカバー要素とを備え、
前記少なくとも1つのミクロ流体構造要素の前記第1外面および/または前記第2外面は、前記少なくとも1つのカバー要素によって全体的または部分的に覆われる、ミクロ流体構造。
【請求項33】
前記少なくとも1つのカバー要素が、ミクロ構造である、請求項32に記載の構造。
【請求項34】
前記少なくとも1つのミクロ流体構造要素および/または前記少なくとも1つのカバー要素が、互いに関して位置決めするための対合手段を備える、請求項32または33に記載の構造。
【請求項35】
前記少なくとも1つのミクロ流体構造要素および前記少なくとも1つのカバー要素が、1つまたは複数の流体空洞または空洞システム、好ましくは流体導管、閉流体チャネル、流体リザーバ、またはその組合わせを形成する請求項32から34のいずれか一項に記載の構造。
【請求項36】
前記少なくとも1つのカバー要素が、耐薬品性、機械的柔軟性、気体透過性、水不透過性、光透過性、剥離可能接着からなる群から選択される特性を提示する要素を全体的または部分的に備える請求項32から35のいずれか一項に記載の構造。
【請求項37】
前記少なくとも1つのカバー要素が、PS、PC、PMMA、COC、PP、PETG、PE、PA、ABS、POM、PUR、PVC、およびTOPASからなる群から選択される熱可塑性物質からなる群から選択される材料を備える請求項32から36のいずれか一項に記載の構造。
【請求項38】
前記流体空洞が、多角形、三角形、矩形、正方形、六角形、楕円、円形、半円、またはその組合わせからなる群から選択される断面を全体的または部分的に提示し、前記断面が、深さおよび幅が一定である、または変化する請求項32から37のいずれか一項に記載の構造。
【請求項39】
前記少なくとも1つのカバー要素が、ほぼ平面状である請求項32から38のいずれか一項に記載の構造。
【請求項40】
標準ミクロ流体構造要素を製造する方法であって、該標準ミクロ流体構造要素が、標準面および使用適合面を備え、標準面が、好ましくは流体導管結合手段である所定の数のミクロ流体機能を備え、使用適合面が、少なくとも1つの所定のミクロ流体機能のための少なくとも1つの所定のミクロ構造を有し、標準面のミクロ流体機能が、使用適合面上の少なくとも1つの所定のミクロ流体機能と流体連絡し、前記方法が、 (a)請求項11から31に記載されたミクロ構造要素を成型するための鋳型アセンブリを提供し、前記鋳型アセンブリが、
(i)第1鋳型ダイが、標準面の所定の数のミクロ流体機能のミクロ構造鋳型表面および/またはマクロ構造鋳型表面を備え、第2鋳型ダイが、使用適合面の少なくとも1つの所定のミクロ流体機能のミクロ構造鋳型表面および/またはマクロ構造鋳型表面を備える、ダイ空洞を形成する第1鋳型ダイおよび第2鋳型ダイと、
(ii)前記ダイ空洞にわたって前記第1鋳型ダイと前記第2鋳型ダイとの間に延びる1つまたは複数のコアピンとを備えることと、
(b)成型材料を前記ダイ空洞に加えることと、
(c)前記成型材料を固化させることと、
(d)前記効果成型材料をダイ空洞から取り出すこととを備える、標準ミクロ流体構造要素を製造する方法。
【請求項41】
請求項32から39に記載されたミクロ流体構造、請求項11から31に記載された1つまたは複数のミクロ流体構造要素から製造されたミクロ流体構造、または請求項1から5に記載された方法によって製造されたミクロ流体構造の、分析分離、分析測定、細胞分析、DNA塩基配列決定、およびタンパク質配列決定からなる群から選択される実験室分析のラボオンチップ動作を有するミクロ流体システムの製造での使用。
【請求項42】
請求項32から39に記載されたミクロ流体構造、請求項11から31に記載されたミクロ流体構造要素から製造されたミクロ流体構造、または請求項1から5に記載された方法によって製造されたミクロ流体構造の、ヌクレオチド合成、タンパク合成、および細胞増殖からなる群から選択される実験室合成のラボオンチップ動作を有するミクロ流体システムの製造での使用。
【請求項1】
ミクロ流体構造要素を製造する方法であって、
(a)ミクロ構造要素を成型するための鋳型アセンブリを提供し、前記鋳型アセンブリが、ダイ空洞を共に形成する第1鋳型ダイおよび第2鋳型ダイを備え、前記第1鋳型ダイおよび/または前記第2鋳型ダイが、
(i)スチール、ブロンズ、ベリリウム銅合金、または成型ダイアルミニウム合金などの金属であることが好ましい、ミクロ構造鋳型表面(705)を備える鋳型表面と、
(ii)前記ダイ空洞にわたって前記第1鋳型ダイと前記第2鋳型ダイとの間に延びる1つまたは複数のコアピンとを備えることと、
(b)成型材料を前記ダイ空洞に加え、前記成型材料が、好ましくは熱可塑性物質、より好ましくはPS、PC、PMMA、COC、PP、PETG、PE、PA、ABS、POM、PUR、PVC、およびTOPASからなる群から選択される熱可塑性物質であることと、
(c)前記成型材料を固化させることと、
(d)前記固化成型材料をダイ空洞から取り出すこととを備える、ミクロ流体構造要素を製造する方法。
【請求項2】
前記鋳型表面が、好ましくはニッケルである金属、好ましくはスチールである金属合金、好ましくはシリコンである半導体、好ましくはアルミナであるセラミックからなる群から選択される材料を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1鋳型ダイおよび前記第2鋳型ダイの一方または両方が、ミクロ構造鋳型表面および非ミクロ構造鋳型表面を備える、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記1つまたは複数のコアピンが、機械式ばね、水圧エキスパンダ、空気圧エキスパンダ、弾性材料、好ましくはゴム、好ましくはゴム、またはたとえばナイロン(登録商標)PA−6、PA−6.6、PA−9、PA−10、PA−11、PA−12であるポリアミドなどの軟性プラスチックからなる群から選択される弾性手段を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1鋳型ダイおよび/または前記第2鋳型ダイが、前記鋳型材料の適用または硬化中に前記型材料内に解放される、または前記固化成型材料の上に解放される、解放可能構造要素を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
請求項1から5において確定された方法によって得られるミクロ流体構造要素。
【請求項7】
ミクロ流体構造のミクロ構造要素を成型するための鋳型アセンブリであって、
(a)第1鋳型ダイと、
(b)第2鋳型ダイと、
(c)閉鋳型位置と開鋳型位置との間において、互いに向かって、および互いから離れて相対運動するように前記第1鋳型ダイおよび前記第2鋳型ダイを支持するための調節可能サポートとを備え、
(d)前記第1鋳型ダイまたは前記第2鋳型ダイは、前記閉位置において前記第1鋳型ダイおよび前記第2鋳型ダイの他方と係合する少なくとも1つのコアピンを備え、
前記第1鋳型ダイおよび/または前記第2鋳型ダイが、全体的または部分的微細構造成型表面を備える、鋳型アセンブリ。
【請求項8】
前記ミクロ構造鋳型表面が、前記少なくとも1つのコアピンと係合するための係合手段を備える、請求項7に記載の鋳型アセンブリ。
【請求項9】
前記係合手段が、前記ミクロ構造鋳型表面の突出部を備える、請求項8に記載の鋳型アセンブリ。
【請求項10】
前記1つまたは複数のコアピンが、機械式ばね、水圧エキスパンダ、空気圧エキスパンダ、弾性材料、好ましくはゴム、またはナイロン(登録商標)PA−6、PA−6.6、PA−9、PA−10、PA−11、PA−12からなる群から選択される弾性手段を備える、請求項7から9のいずれか一項に記載の鋳型アセンブリ。
【請求項11】
微細流体構造要素であって、要素が、第1外面(101)および第2外面(108)を備え、前記第1外面および/または前記第2外面が、少なくとも1つのミクロ流体機能(103、109)のための少なくとも1つのミクロ構造を備え、前記第1外面および前記第2外面が、少なくとも1つのスルーゴーイングアパーチャ(107)によって流体連絡する、微細流体構造要素。
【請求項12】
前記第1外面および前記第2外面が、前記スルーゴーイングアパーチャとほぼ直交する、請求項11に記載の要素。
【請求項13】
前記要素が、成型によって、好ましくは射出成型によって、より好ましくは圧縮射出成型によって準備される、請求項11または12に記載の要素。
【請求項14】
要素が、モノリシック要素の形態にある、請求項11から13のいずれか一項に記載の要素。
【請求項15】
要素が、2つ以上の構造要素によってなる、請求項11から13のいずれか一項に記載の要素。
【請求項16】
前記第1外面および前記第2外面が、全体的にまたは部分的に機能化された表面を備える、請求項11から15のいずれか一項に記載の要素。
【請求項17】
前記全体的または部分的機能化表面が、表面処理によって、好ましくは物理的および/または化学的処理によって、より好ましくはプラズマ処理、熱処理、コロナ放電処理、気体燃焼処置、照射処理によって、または表面コーティングによって、好ましくはプラズマ重合付着および/または金属化によって機能化されている、請求項16に記載の要素。
【請求項18】
前記第1外面および/または前記第2外面が、少なくとも1つの追加要素(605)を備える、請求項11から17のいずれか一項に記載の要素。
【請求項19】
前記少なくとも1つの追加要素が、好ましくはMEMS構成要素、より好ましくはミクロ構造チップ(605)であるインサート、印刷回路板(PCB)、接着層、および好ましくは膜、シート、フォイルである中間層からなる群から選択される、請求項18に記載の要素。
【請求項20】
前記少なくとも1つの追記要素が、好ましくは組み込むことによって、または接着させることによって、前記第1外面および/または前記第2外面に固定される、請求項18または19に記載の要素。
【請求項21】
前記追加要素が、金属、好ましくはシリコンである半導体、セラミック、ガラス、ポリマー、好ましくはゴムである柔軟膜からなる群から選択される材料を備える、請求項18から20のいずれか一項に記載の要素。
【請求項22】
前記少なくとも1つのスルーゴーイングアパーチャが、好ましくはウェルまたはチャネルであるミクロ構造開空洞と流体連絡する、請求項11から21のいずれか一項に記載の要素。
【請求項23】
前記第1外面および/または前記第2外面が、ミリメートル領域の1つまたは複数の開構造を備える、請求項11から22のいずれか一項に記載の要素。
【請求項24】
前記第1外面および/または前記第2外面が、外部流体導管に結合するための流体結合手段を備え、好ましくは、結合手段は、特には軟性管のためのルアーであるルアーロックシステムからなり、最も好ましくは一体式流体結合手段である、請求項11から23のいずれか一項に記載の要素。
【請求項25】
前記第1外面および/または前記第2外面が、好ましくは0.1μmから5mmの範囲の、より好ましくは2μmから0.8mmの範囲の、1つまたは複数の開サブミリメートル構造を備える、請求項11から24のいずれか一項に記載の要素。
【請求項26】
前記第1外面および/または前記第2外面が、少なくとも1つの非ミクロ流体機能のための少なくとも1つのミクロ構造を備える、請求項11から25のいずれか一項に記載の要素。
【請求項27】
前記少なくとも1つの非ミクロ流体機能が、情報を表示するための構造、好ましくはコードマークまたは管コネクタ番号などの、1つまたは複数の識別マークを備える、請求項26に記載の要素。
【請求項28】
前記少なくとも1つの非流体機能が、カバー要素の位置決めおよび一時的固定のための位置決め構造、好ましくは誘導ピン、誘導エッジ、または誘導インデンテーションを備える、請求項11から27のいずれか一項に記載の要素。
【請求項29】
前記第1外面および/または前記第2外面が、ラボオンチップ機能を提供する少なくとも1つのミクロ構造を備える、請求項11から28のいずれか一項に記載の要素。
【請求項30】
前記ラボオンチップ機能が、
サンプル準備と、
センサへのサンプル送達と、
視覚調査または光学測定のための光学アクセスと、
ろ過と、
サンプルプラグ射出のための交差流体チャネルと、
流体を貯蔵するためのリザーバと、
流体の流れを1つのチャネルから他へ切り替えるための流れスイッチと、
1つまたは複数の流体の流れを混合するための流体ミキサと、
細胞培養器と、
細胞を分類するための細胞分類装置と、
細胞分析とからなる群から選択される1つまたは複数のミクロ流体動作のための手段からなる、請求項29に記載の要素。
【請求項31】
要素が、ほぼ平面である、請求項11から30のいずれか一項に記載の要素。
【請求項32】
ミクロ流体構造であって、
請求項11から31に記載された少なくとも1つのミクロ流体構造要素と、
少なくとも1つのカバー要素とを備え、
前記少なくとも1つのミクロ流体構造要素の前記第1外面および/または前記第2外面は、前記少なくとも1つのカバー要素によって全体的または部分的に覆われる、ミクロ流体構造。
【請求項33】
前記少なくとも1つのカバー要素が、ミクロ構造である、請求項32に記載の構造。
【請求項34】
前記少なくとも1つのミクロ流体構造要素および/または前記少なくとも1つのカバー要素が、互いに関して位置決めするための対合手段を備える、請求項32または33に記載の構造。
【請求項35】
前記少なくとも1つのミクロ流体構造要素および前記少なくとも1つのカバー要素が、1つまたは複数の流体空洞または空洞システム、好ましくは流体導管、閉流体チャネル、流体リザーバ、またはその組合わせを形成する請求項32から34のいずれか一項に記載の構造。
【請求項36】
前記少なくとも1つのカバー要素が、耐薬品性、機械的柔軟性、気体透過性、水不透過性、光透過性、剥離可能接着からなる群から選択される特性を提示する要素を全体的または部分的に備える請求項32から35のいずれか一項に記載の構造。
【請求項37】
前記少なくとも1つのカバー要素が、PS、PC、PMMA、COC、PP、PETG、PE、PA、ABS、POM、PUR、PVC、およびTOPASからなる群から選択される熱可塑性物質からなる群から選択される材料を備える請求項32から36のいずれか一項に記載の構造。
【請求項38】
前記流体空洞が、多角形、三角形、矩形、正方形、六角形、楕円、円形、半円、またはその組合わせからなる群から選択される断面を全体的または部分的に提示し、前記断面が、深さおよび幅が一定である、または変化する請求項32から37のいずれか一項に記載の構造。
【請求項39】
前記少なくとも1つのカバー要素が、ほぼ平面状である請求項32から38のいずれか一項に記載の構造。
【請求項40】
標準ミクロ流体構造要素を製造する方法であって、該標準ミクロ流体構造要素が、標準面および使用適合面を備え、標準面が、好ましくは流体導管結合手段である所定の数のミクロ流体機能を備え、使用適合面が、少なくとも1つの所定のミクロ流体機能のための少なくとも1つの所定のミクロ構造を有し、標準面のミクロ流体機能が、使用適合面上の少なくとも1つの所定のミクロ流体機能と流体連絡し、前記方法が、 (a)請求項11から31に記載されたミクロ構造要素を成型するための鋳型アセンブリを提供し、前記鋳型アセンブリが、
(i)第1鋳型ダイが、標準面の所定の数のミクロ流体機能のミクロ構造鋳型表面および/またはマクロ構造鋳型表面を備え、第2鋳型ダイが、使用適合面の少なくとも1つの所定のミクロ流体機能のミクロ構造鋳型表面および/またはマクロ構造鋳型表面を備える、ダイ空洞を形成する第1鋳型ダイおよび第2鋳型ダイと、
(ii)前記ダイ空洞にわたって前記第1鋳型ダイと前記第2鋳型ダイとの間に延びる1つまたは複数のコアピンとを備えることと、
(b)成型材料を前記ダイ空洞に加えることと、
(c)前記成型材料を固化させることと、
(d)前記効果成型材料をダイ空洞から取り出すこととを備える、標準ミクロ流体構造要素を製造する方法。
【請求項41】
請求項32から39に記載されたミクロ流体構造、請求項11から31に記載された1つまたは複数のミクロ流体構造要素から製造されたミクロ流体構造、または請求項1から5に記載された方法によって製造されたミクロ流体構造の、分析分離、分析測定、細胞分析、DNA塩基配列決定、およびタンパク質配列決定からなる群から選択される実験室分析のラボオンチップ動作を有するミクロ流体システムの製造での使用。
【請求項42】
請求項32から39に記載されたミクロ流体構造、請求項11から31に記載されたミクロ流体構造要素から製造されたミクロ流体構造、または請求項1から5に記載された方法によって製造されたミクロ流体構造の、ヌクレオチド合成、タンパク合成、および細胞増殖からなる群から選択される実験室合成のラボオンチップ動作を有するミクロ流体システムの製造での使用。
【図1】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【図11a】
【図11b】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【図11a】
【図11b】
【公表番号】特表2006−509649(P2006−509649A)
【公表日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−557824(P2004−557824)
【出願日】平成15年12月11日(2003.12.11)
【国際出願番号】PCT/DK2003/000854
【国際公開番号】WO2004/052541
【国際公開日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(302044591)インバーネス・メデイカル・スウイツツアーランド・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (38)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年12月11日(2003.12.11)
【国際出願番号】PCT/DK2003/000854
【国際公開番号】WO2004/052541
【国際公開日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(302044591)インバーネス・メデイカル・スウイツツアーランド・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (38)
【Fターム(参考)】
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