説明

ミシン針収納体および箱型容器

【課題】内部に収納したミシン針を容易に取出すことができるミシン針収納体を提供する。
【解決手段】ミシン針収納体10は箱型容器11と、箱型容器内に収納された柔軟性パッド25と、柔軟性パッドに突き刺し保持されたミシン針26a,26b,26cとを備えている。箱型容器は、底面12と、側面13と、上面14とを有し、上面に揺動板20とカバー21が取付けられている。揺動板を持上げると、上面および側面が、上面破断線14bおよび側面破断線13bから破断する。同時に上面の部分14aと、側面の部分13aと、底面の部分12aが底面の折曲線15を介して揺動し、箱型容器に開口11aが形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はミシン針を収納したミシン針収納体に係り、とりわけ収納されたミシン針の取扱いを容易に行なうことができるミシン針収納体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、プラスチック製のケースや紙製の小袋などの収納容器内にミシン針を収納してなるミシン針収納体が知られている。使用に際して、ミシン針収納体の収納容器からミシン針を1つ1つ取出している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述のようにミシン針を収納するミシン針収納体が知られているが、ミシン針は小さな形状を有するため収納容器からミシン針を1つ1つ取出す作業は煩雑である。また、収納容器内にミシン針が何本残っているかを確認したい場合がある。
【0004】
しかしながら、従来より、ミシン針の取出作業を容易に行なうことができ、かつ収納されているミシン針の本数等を容易に確認することができるミシン針収納体は未だ開発されていない。
【0005】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、ミシン針の取扱いを容易に行なうことができるミシン針収納体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ミシン針収納体において、箱型容器と、箱型容器内に収納され、ミシン針を突き刺し保持する柔軟体とを備え、箱型容器は折曲線を有する底面と、上面破断線を有する上面と、側面破断線を有する側面とを有し、上面上に揺動板が揺動自在に取付けられ、揺動板の先端から揺動板を引上げると、上面および側面が各々上面破断線および側面破断線を介して破断し、底面、側面、および上面の各々の一部が揺動板とともに揺動して開口を形成することを特徴とするミシン針収納体である。
【0007】
本発明は、更に箱型容器の底面にミシン針を確認する窓が設けられていることを特徴とするミシン針収納体である。
【0008】
本発明は、更に箱型容器内にさび止め紙が収納されていることを特徴とするミシン針収納体である。
【0009】
本発明は、更に箱型容器表面にレーザ印字部が設けられていることを特徴とするミシン針収納体である。
【発明の効果】
【0010】
以上のように本発明によれば、揺動板を持上げるだけで、上面および側面を上面破断線および側面破断線から破断させることができる。同時に底面、側面および上面の各々の一部を底面の折曲線を介して揺動板とともに揺動させることにより、箱型容器に比較的大きな開口を形成することができる。箱型容器内のミシン針はこの開口から容易に取出される。また箱型容器内のミシン針をパッドにより保持することができるので、ミシン針を箱型容器内で整然と収納保持することができる。さらにまた、箱型容器は板紙から形成されているので、使用後は容易に廃棄することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図5は、本発明によるミシン針収納体の一実施の形態を示す図である。
【0012】
図1(a)に示すように、ミシン針収納体10は箱型容器11と、箱型容器11内に収納された柔軟性パッド(柔軟体)25と、このパッド25に突き刺し保持された複数、例えば図1に示すように10本のミシン針26a,26b,26cとを備えている。
【0013】
このうちミシン針26a,26b,26cは、図1(b)に示すように、短いミシン針26a、中程度の長さのミシン針26b、長いミシン針26cとからなり、各ミシン針26a,26b,26cはパッド25内に差込まれる長さを調整することにより、外方へ突出する長さを一定に揃えることができる。また箱型容器11内には、ミシン針26a,26b,26cのさび止めを行なうため、例えばジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト(Dicyclohexyl ammonium nitrite)からなる鉄鋼用気化性防錆剤を塗工した紙からなるさび止め紙27が挿入されている(図1(c))。なお、さび止め紙27を挿入する替わりに、柔軟性パッド25に防錆剤を含浸させたり、箱型容器11の内面側となるブランク板30(後述参照)に防錆剤を塗工して、さび止めを行うようにしてもよい。
【0014】
次に箱型容器11について詳述する。図1乃至図4に示すように箱型容器11は折曲線15を有する底面12と、上面破断線14bを有する上面14と、側面破断線13bを有する側面13とからなっており、全体として箱型を有している。このうち側面13は4面からなっている。
【0015】
また、箱型容器11の上面14の上面破断線14bで囲まれた部分には、揺動板20が接着剤により取付けられている。
【0016】
さらにこの揺動板20は折曲線20bを有するとともに、その先端20aを持上げた際に、上面14も揺動板20とともに持上げられるようになっている。
【0017】
この場合、上面14は上面破断線14bを介して破断し、同時に側面13も側面破断線13bを介して破断する。そして上面14のうち上面破断線14bより揺動板20側の部分14aと、側面13のうち側面破断線13bより揺動板20側の部分13aと、底面12の折曲線15より揺動板20側の部分12aは、揺動板20とともに底面12の折曲線15を介して(折曲線15を中心として)揺動する。
【0018】
このように揺動板20と、底面12の部分12aと、側面13の部分13aと、上面14の部分14aとが底面12の折曲線15を介して揺動することにより、箱型容器11に開口11aを形成することができ、この開口11aから内部のミシン針26a,26b,26cを取出すことができる。
【0019】
さらに図1乃至図4に示すように、上面14上には、揺動板20と向き合うようにカバー21が取付けられている。このカバー21は先端21aに上面14との間にすき間が形成され、一度箱型容器11から引上げられて揺動した揺動板20の先端20aをカバー21の先端21a内に収納することができる(図4参照)。
【0020】
また図2に示すように、底面12には、箱型容器11内に収納されたミシン針26a,26b,26cを外方から確認するための窓17が形成されている。この窓17は底面12を開口することにより形成されているが、窓17の内部に透明フィルムを設けてもよい。
【0021】
底面12の窓17は、パッド25に突き刺し保持された全部のミシン針26a,26b,26cを外方から目視により確認することができ、かつパッド25を隠すことができるような形状を有している。また図1乃至図4に示すように、箱型容器11の底面12とカバー21上に、レーザにより形成されたレーザ印字部19が設けられている。このレーザ印字部19はミシン針26a,26b,26cの品番等を表示している。レーザ印字部19は、高価なレーザ印字装置を用いて形成されるため、レーザ印字部19を偽造することはむずかしい。
【0022】
次に箱型容器11を作製するためのブランク板30について、図5により説明する。図5に示すように、ブランク板30は板紙からなり、窓17を有する底面12となる底面パネル32と、底面パネル32に連結されるとともに4つの側面13を形成する4つの側面パネル33,33,33,33と、左右の側面パネル33に連結され上面14を形成する一対の上面パネル34,34とを有している。
【0023】
また、図5において上方の側面パネル33には、揺動板20が取付けられ、下方の側面パネル33には、カバー21が取付けられている。
【0024】
さらに図5に示すように、左右の側面パネル33,33および上面パネル34,34には、各々側面破断線13bおよび上面破断線14bが設けられている。これら側面破断線13bおよび上面破断線14bは、揺動板20を持上げた際に破断する部分であり、この側面破断線13bと上面破断線14bは互いに連結して形成されている。また、側面破断線13bに連結して、底面パネル32に、折曲線15が設けられている。
【0025】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。まず図5に示すようなブランク板30を準備する。次にブランク板30上に、予めミシン針26a,26b,26cを保持したパッド25と、さび止め紙27を載置する。その後、ブランク板30の底面パネル32に対して4つの側面パネル33,33,33,33を立上げ、図5に示す左右の側面パネル33,33に対して一対の上面パネル34,34を折畳む。
【0026】
次に下方の側面パネル33に対して、カバー21を折畳み、一対の上面パネル34,34上にカバー21を接着位置36に設けられた接着剤により接着する。その後上方の側面パネル33に対して揺動板20を折畳み、一対の上面パネル34,34上に揺動板20を接着位置35に設けられた接着剤により接着する。
【0027】
このようにしてブランク板30から形成された箱型容器11と、箱型容器11内に収納されミシン針26a,26b,26cが刺し込み保持されたパッド25とからなるミシン針収納体10が得られる。
【0028】
使用に際しては、揺動板20の先端20aを持上げることにより、箱型容器11の上面14および側面13を各々上面破断線14bおよび側面破断線13bを介して破断することができる。この際、上面14のうち揺動板20側の部分14aと、側面13のうち揺動板20側の部分13aと、底面12のうち揺動板20側の部分12aを、揺動板20とともに底面12の折曲線15を介して揺動させる。このことにより、箱型容器11に開口11aを形成することができる(図1(a)参照)。
【0029】
次に箱型容器11内のミシン針26a,26b,26cがパッド25から引抜かれ、開口11aから取出される。次に揺動板20を元の位置まで揺動し、揺動板20の先端20aをカバー21の先端21a内に挿入することにより、箱型容器11を再密封(リクローズ)することができる(図4参照)。
【0030】
以上のように本実施の形態によれば、揺動板20を揺動するだけで、上面14の揺動板20側の部分14aと、側面13の揺動板20側の部分13aと、底面12の揺動板20側の部分12aを揺動板20とともに揺動させて箱型容器11に比較的大きな開口11aを形成することができる。このためこの開口11aから箱型容器11内のミシン針26a,26b,26cを容易に取出すことができる。ミシン針26a,26b,26cを取出した後は、揺動板20を元の位置まで揺動させ、揺動板20の先端20aをカバー21の先端21a内に挿入するだけで、箱型容器11のリクローズを行なうことができる。また、ミシン針26a,26b,26cはパッド25により突き刺し保持されるので、ミシン針26a,26b,26cを箱型容器11内で整然と収納保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明によるミシン針収納体の一実施の形態を示す図。
【図2】ミシン針収納体の背面側を示す斜視図。
【図3】ミシン針収納体の正面側を示す斜視図。
【図4】ミシン針収納体のリクローズ状態を示す斜視図。
【図5】ブランク板を示す平面図。
【符号の説明】
【0032】
10 ミシン針収納体
11 箱型容器
12 底面
13 側面
13a 揺動板側の部分
13b 側面破断線
14 上面
14a 揺動板側の部分
14b 上面破断線
15 折曲線
17 窓
19 レーザ印字部
20 揺動板
21 カバー
25 柔軟性パッド
26a,26b,26c ミシン針
27 さび止め紙
30 ブランク板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミシン針収納体において、
箱型容器と、
箱型容器内に収納され、ミシン針を突き刺し保持する柔軟体とを備え、
箱型容器は折曲線を有する底面と、上面破断線を有する上面と、側面破断線を有する側面とを有し、
上面上に揺動板が揺動自在に取付けられ、
揺動板の先端から揺動板を引上げると、上面および側面が各々上面破断線および側面破断線を介して破断し、底面、側面、および上面の各々の一部が揺動板とともに揺動して開口を形成することを特徴とするミシン針収納体。
【請求項2】
箱型容器の底面にミシン針を確認する窓が設けられていることを特徴とする請求項1記載のミシン針収納体。
【請求項3】
箱型容器内にさび止め紙が収納されていることを特徴とする請求項1記載のミシン針収納体。
【請求項4】
箱型容器表面にレーザ印字部が設けられていることを特徴とする請求項1記載のミシン針収納体。
【請求項5】
箱型容器は紙製のブランク板からなることを特徴とする請求項1記載のミシン針収納体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−308205(P2007−308205A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−180256(P2007−180256)
【出願日】平成19年7月9日(2007.7.9)
【分割の表示】特願2001−319472(P2001−319472)の分割
【原出願日】平成13年10月17日(2001.10.17)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】