説明

ミシン

【課題】被縫製部材を切断する手間をかけず、且つ、無駄にしない。
【解決手段】上下に駆動される針棒2と、針棒2の下端部に取り付けられた縫針3と、針棒2と同軸心上に組付けられ、その軸心回りの回転が自由な回転筒9と、この回転筒9に取り付けられて、縫針3の針元位置へ被縫製部材Tを案内するガイド23aと、回転筒9におけるガイド23aと対向する側に回転筒9と一体に回転可能に取り付けられ、ガイド23aから繰り出された被縫製部材Tを所定の切断位置にて切断する切断装置Sと、切断装置Sにおいて、被縫製部材Tの切断時にガイド23aから繰り出された被縫製部材Tを切断位置に対してガイド23a側で保持する保持機構49a,34aを設ける。保持機構49a,34aは、被縫製部材Tの縫い付け再開時に、縫針3を挟んでガイド23aと対向する位置にて、被縫製部材Tの端部を保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープやコードなどの長尺の被縫製部材を本縫いによって布地などの被縫製物に縫い付ける形式のミシンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、上下に駆動される針棒と、針棒の下端部に取り付けられた縫針と、針棒と同軸心上に組付けられ、その軸心回りの回転が自由な回転体と、この回転体に取り付けられ、縫針の針元位置へ被縫製部材を案内するガイドとを備え、刺繍データに基づく布地の移動方向に応じて回転体を回転制御し、針元への被縫製部材の案内方向が適正となるようにガイドの向きを変更しつつ、この被縫製部材を本縫いにより被縫製物(布地)に縫い付ける形式のミシンが知られていた。
【0003】
この形式のミシンにおいて、被縫製部材の縫い付けを行うにあたり、縫い始め部分において確実に被縫製部材が縫い付けられるように、予め、ガイドから被縫製部材をある程度の長さ引き出しておく必要があった。このため、作業者は、ガイドから被縫製部材をある程度の長さ引き出し、当該引き出した部分以降から縫い付けを開始していた。そして、被縫製部材の縫い付けが終了したとき、作業者は被縫製部材をその縫い付け終了点付近で切断するとともに、縫い始め時にガイドから長く引き出した縫い付け開始点より先の、縫い付けられていない部分を切断していた。
この形式のミシンにおいては、被縫製部材を切断する作業者の負担を軽減するために被縫製部材を切断する切断装置を備えたものも周知であった。
【0004】
例えば、下記特許文献1には、被縫製部材の切断装置を回転体に対して上下動可能に、且つ、回転体とともに針棒の軸心回りの回転可能に設けたミシンの構成が開示されている。この特許文献1のミシンには、針棒の上下動に同期して上下動され、下降時に被縫製物(布地)を上から押える布押え部材が具備されている。布押え部材は、縫製が終了したときに上方の退避位置に退避する。切断装置は、この布押え部材の昇降に連動して昇降するもので、布押え部材が退避位置に上昇したときに下降し、布押え部材が退避位置から縫製時の動作位置に下降したときに上昇する。
切断装置は、切断装置の上下動に応じて回動する切断刃と、切断刃と協働して被縫製部材を切断する固定刃とを備えている。切断装置が下降するとき、切断刃は固定刃から離反する方向に回動する。切断装置が上昇するとき、切断刃は固定刃に向かって回動して、固定刃との協働により被縫製部材を切断できる。
被縫製部材を切断するときには、まず、布押え部材を退避位置に退避させる。これにより切断装置が下降し、これに伴い切断刃が回動して、固定刃から離反する。次に被縫製物(布地)を移動し、且つ、切断装置を針棒の軸心回りに回転させることで、被縫製部材を切断刃と固定刃との間に位置させる。そして、布押え部材を縫製時の動作位置に下降させると、切断装置の上昇に応じて切断刃が固定刃に向けて回動され、被縫製部材が縫い付け終了点付近で切断される。
【0005】
特許文献1に開示された切断装置では、被縫製部材は縫い付け終了点付近、すなわち、針元位置にて切断されていたので、切断後に縫い付け作業を再開するにあたり、作業者は、ガイドから被縫製部材を或る程度の長さ引き出さなければならず、特に多頭ミシンにおいては非常に手間が掛かっていた。
【0006】
上記の不都合を解決するために、下記特許文献2には、針元から離れた位置に被縫製部材の切断装置を設ける構成が開示されていた。特許文献2の切断装置は、縫い付け動作に支障のない退避位置と被縫製部材を切断可能な切断位置とに移動可能に構成され、退避位置から切断位置への移動に伴って被縫製部材を引掛ける引掛け部と、固定刃と、引掛け部に被縫製部材を引掛けた後の更なる切断位置への移動に連動する切断刃とを有していた。
被縫製部材を切断するときには、被縫製物(布地)を移動させることにより被縫製部材の縫い付け終了点を切断装置の近傍に移動させる。次いで、切断装置を退避位置から切断位置へ移動させて切断装置の引掛け部に被縫製部材を引掛ける。そして、切断装置を更なる切断装置へ移動させると、この移動に連動した切断刃は、固定刃と協働して被縫製部材を、縫い付け終了点付近で切断する。切断に際して被縫製物(布地)を移動させることにより、その移動量に応じた長さだけ被縫製部材がガイドから引き出されるので、縫い付けを再開するときにガイドから被縫製部材を引き出す必要がなく、作業者の負担を軽減できた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO2007/128364号公報
【特許文献2】特開2007‐68829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1や特許文献2に代表される従来の技術では、縫い始めにおいて予めガイドから引き出された被縫製部材(縫い付け開始点より先の部分)を、縫い付け終了後に作業者が切断する必要があった。すなわち従来の技術では、縫い付け終了後に、縫い始めにおいて予め引き出された被縫製部材(縫い付け開始点より先の部分)を切断する手間がかかっていた。また、従来の技術では、予め引き出しておく被縫製部材の長さ(縫い始め部分を確実に縫い付けるために必要な長さ)だけ、被縫製部材が無駄になってしまうという不都合があった。
【0009】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、縫い付け開始点より先の被縫製部材を切断する手間をかけず、且つ、縫い付け開始点より先の被縫製部材を無駄にしないミシンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上下に駆動される針棒と、前記針棒の下端部に取り付けられた縫針と、前記針棒と同軸心上に組付けられ、その軸心回りの回転が自由な回転体と、この回転体に取り付けられて、前記縫針の針元位置へ被縫製部材を案内するガイドとを備え、刺繍データに基づく布地の移動方向に応じて前記回転体を回転制御することにより針元への前記被縫製部材の案内方向が適正となるように前記ガイドの向きを変更しつつ、該ガイドにより案内された被縫製部材を本縫いにより布地に縫い付ける形式のミシンにおいて、少なくとも前記被縫製部材を本縫いにより縫い始めるときに、前記縫針を挟んでガイドと対向する位置にて、前記ガイドにより案内された被縫製部材の端部を保持する保持機構を備えたことを特徴とするミシンである。
【0011】
また、本発明のミシンにおいて、前記保持機構が、前記回転体に取り付けられており、該回転体とともに針棒の軸心回りを回転するよう構成できる。
【0012】
また、本発明は、上下に駆動される針棒と、前記針棒の下端部に取り付けられた縫針と、前記針棒と同軸心上に組付けられ、その軸心回りの回転が自由な回転体と、この回転体に取り付けられて、前記縫針の針元位置へ被縫製部材を案内するガイドとを備え、刺繍データに基づく布地の移動方向に応じて前記回転体を回転制御することにより針元への前記被縫製部材の案内方向が適正となるように前記ガイドの向きを変更しつつ、該ガイドにより案内された被縫製部材を本縫いにより布地に縫い付ける形式のミシンにおいて、前記回転体における前記ガイドと対向する側に該回転体と一体に回転可能に取り付けられ、前記ガイドから繰り出された被縫製部材を所定の切断位置にて切断する切断装置を備え、前記切断装置において、被縫製部材の切断時に前記ガイドから繰り出された被縫製部材を前記切断位置に対してガイド側で保持する保持機構を設けたことを特徴とするミシンである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、被縫製部材の縫い始めにおいて、縫針を挟んでガイドと対向する位置にて被縫製部材の端部を保持機構によって保持することで、確実に被縫製部材を被縫製物に対して縫い付けることができる。この結果、縫い始めにおいて被縫製部材をガイドから引き出す作業が不要となり、また、縫い付け開始点より先の縫い付けられていない部分は、縫い付け開始点から保持機構までの長さだけであるため、極めて僅かとなる。従って、縫い付け開始点より先の縫い付けられていない部分を切断する必要がなくなるという優れた効果を奏する。また、この結果、被縫製部材を無駄にしないという優れた効果を奏する。
【0014】
また、ミシンが切断装置を備え、その切断装置において、被縫製部材の切断時にガイドから繰り出された被縫製部材を切断位置に対してガイド側で保持する保持機構を設ける構成により、縫い付けの終了時に、切断位置で被縫製部材を切断する作業を、切断装置により自動的に行うことができ、且つ、その切断時に、被縫製部材の端部(再度縫い付けを行う際の縫い付け開始点より先の部分)を保持するので、被縫製部材の縫い付けを再開するときに被縫製部材をガイドから引き出す作業が不要となる。よって、この構成によれば、縫い付け開始点より先の縫い付けられていない部分を切断する必要がなくなるとともに、被縫製部材を無駄にしないという優れた効果を奏する。更に、この構成によれば、縫い付けの終了時に、切断位置で被縫製部材を切断する作業及び縫い付け開始点より先の部分を切断する作業のいずれの切断作業も、作業者が行わなくてよいため、作業者の負担が軽減される。これにより、特に多頭ミシンにおいては作業効率を大幅に向上することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例に係るミシンにおけるミシンヘッドの正面図。
【図2】図1に示すミシンヘッドの左側面図。
【図3】図1に示す切断装置の正面図であって、図1における背面側の視点から見た図。
【図4】図3の切断装置を分解して示す立体図。
【図5】図3に示す切断装置において布押え体7及びガイド部材23が退避位置へ退避した状態を示す図。
【図6】図5に示す切断装置の右側面図。
【図7】図3に示す切断装置においてベース部材が切断位置へ移動した状態を示す図。
【図8】図3に示す切断装置において移動メスが固定メスと交差した状態を示す図。
【図9】図3に示す切断装置において保持機構により被縫製部材の端部を保持して縫い付けを開始する様子を説明する図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明のミシンの実施例について、添付図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明を適用したミシンの構成を説明する図であって、ミシンヘッドHを正面から見た図である。ミシンは複数のミシンヘッドHを有する多頭式ミシンとして構成されうるが、図示及び説明の便宜上、1つのミシンヘッドHのみを示した。また、図2は、図1のミシンヘッドを左側から見た側面図である。ミシンヘッドHは、図示外のボビンに巻装された長尺の被縫製部材T(テープやコードなど)を、被縫製物(布地)に縫い付けるものである。ミシンヘッドHにはミシン主軸1が貫通して設けてある。このミシン主軸1の回転によって、図示しない針棒駆動機構を介して針棒2が、その下端に固定された縫針3とともに上下に往復駆動される。この縫針3の上下動と、針板4の下方に設けられた図示しない釜の回転によって周知の本縫いが行われる。本縫いにより被縫製部材を被縫製物(布地)に縫い付けることができる。
【0018】
針棒2の外周には支持筒5が設けてある。支持筒5は、ミシンヘッドHの下部に固定された図示しない固定スリーブの内周面に案内されて、針棒2との相対的な昇降動作及びその軸心回りの回転が可能である。支持筒5の下端部には布押え支持体6が固定されている。布押え支持体6は抜き穴によって二股に分岐した形状に形成されており、二股形状の一方の外側面には上下に長いキー溝6aが形成され、他方の下方部には布押え体7が固定されている。支持筒5が、昇降モータ8の駆動によって上下動すると、支持筒5に固定された布押え支持体6及び布押え体7が上下動する。
また、前記図示しない固定スリーブの外周には、回転筒9が設けてある。回転筒9は、針棒2の同心軸上に、軸心回りの回転自由に組み付けられており、方向制御モータ10の駆動によって、その軸心回りに回転する。回転筒9の下端にはキー部材11が設けられており、キー部材11の端部は布押え支持体6のキー溝6aに係合している。布押え支持体6及び布押え体7は、キー部材11を介して回転筒9に連結されることで、当該回転筒9の回転に応じて針棒2の軸心回りで回転するようになっている。
すなわち、布押え体7は支持筒5の上下動に伴って上下動するとともに、回転筒9の回転に伴って回転する。
【0019】
回転筒9の外周には連動部材12が上下動可能かつ回転可能に設けられており、連動部材12には連結片13が固定される。この連結片13が回転筒9の外周に形成された係合溝9aに係合されることで、連動部材12が回転筒9と一体的に回転するようになっている。
また、連動部材12の外周には環状溝12aが形成されており、環状溝12aには駆動アーム27の先端部(フォーク部)が係合される。駆動アーム27は、鉛直向き(針棒2の軸方向(図1において上下方向))のガイド軸26において上下動自在に支持されている。駆動モータ25の駆動によって、駆動アーム27がガイド軸26に沿って上下動すると、駆動アーム27の上下動に応じて連動部材12及び連結片13が上下動する。
【0020】
回転筒9には第1ブラケット14を介して揺動レバー15が取り付けられている。揺動レバー15は、第1ブラケット14に取り付けた第1レバーピン16を支点として、回転筒9に対して針棒2の軸方向に対して左右に揺動自在に取り付けてある。この揺動レバー15は、第1レバーピン16の位置から側方に延びる上腕部15aと下方に延びる下腕部15bからなり、側方に延びる上腕部15aの先端にはコロ17が取り付けてあり、コロ17は連結片13の連係溝13aに係合している。また、揺動レバー15の下方に延びる下腕部15bの下端部にはコロ18が設けてあり、コロ18は後述する作動板24の嵌合孔24aに嵌挿されている。
【0021】
布押え体7には、略C字形状(平面視)の支持部材19が一体的に形成されており、支持部材19の開口側(図2において右側)にはガイドレール20が固定されている。ガイドレール20には、スライダ21が左右方向に移動可能に設けてあり、スライダ21には第2ブラケット22を介してガイド部材23が固定されている。すなわち、ガイド部材23は、第2ブラケット22、スライダ21及びガイドレール20を介して布押え体7に連結される。ガイド部材23の下端には、被縫製部材Tを通し入れて縫針3の針元位置へ供給するためのガイド23aが設けてある。ガイド23aは、図2から明らかなように、その先端側(被縫製部材Tの繰り出し口)が布押え体7の下端部(針元位置近傍)に位置するよう設置される。
【0022】
また、第2ブラケット22には作動板24が固定してある。作動板24には、針棒2の軸方向(図1において上下方向)に延びた縦長の嵌合孔24aが形成されており、嵌合孔24aには揺動レバー15の下方の下腕部15bのコロ18が嵌挿される。これにより、第2ブラケット22及びガイド部材23が揺動レバー15に連結される。
【0023】
駆動アーム27の上下動に応じて連動部材12及び連結片13が上下動されると、この連結片13の上下動に応じて、揺動レバー15が、第1レバーピン16を支点として回転筒9(針棒2の軸方向)に対して左右に揺動する。すなわち、駆動モータ25の駆動による駆動アーム27、連動部材12及び連結片13の上下動は、連係溝13a及びコロ17を介して揺動レバー15の揺動に変換される。そして、揺動レバー15の揺動に応じて、作動板24を介して該揺動レバー15に連結された第2ブラケット22及びガイド部材23が、ガイドレール20に沿って縫い進み方向に対して左右に往復スライドする。このガイド部材23の往復スライドにより、ガイド23aに通し入れた被縫製部材Tが、所定のパターンで縫い進み方向に対して左右に千鳥振りされつつ針落ち位置へ供給される。これにより被縫製部材Tが被縫製物(布地)に対して千鳥状に縫い付けられるようになっている。
【0024】
ガイド部材23は、布押え体7と揺動レバー15とに連結されているので、方向制御モータ10の駆動による回転筒9の回転に伴い針棒2の軸心回りに回転する。ガイド部材23の回転位置に応じて、ガイド23aによる被縫製部材Tの案内方向が変更される。この構成により、周知の通り、刺繍データに基づく布地の移動方向に応じて回転筒9を回転制御し、針元への被縫製部材Tの案内方向が適正となるようにガイド部材23(ガイド23a)の向きを変更することができる。
【0025】
次に切断装置Sについて説明する。切断装置Sは被縫製部材Tを切断する装置である。ミシンヘッドHの左側面には、切断装置Sを駆動するためのエアシリンダ28が固定してある。エアシリンダ28は、ミシンヘッドHに固定されたガイド29に上下動自在に支持されたロッド30と連結してある。ロッド30の下端にはドーナツ状のスリッププレート31が固定してあり、その中心孔に回転筒9が位置するように配置してある。
【0026】
図3は切断装置Sの正面を示した図であって、図1に示したミシンヘッドHを背面側から見た視点で描かれている。また、図4は、図3の切断装置Sを分解して示した立体図である。
切断装置Sの基部となるベース部材34は、回転筒9に固定された第3ブラケット32に対して、第2レバーピン35を介して、該第2レバーピン35を支点とする揺動自在に取り付けられている。第3ブラケット32は前記キー部材11及びストッパ33が一体形成されたものである。
図3及び図1から明らかな通り、ベース部材34が第2レバーピン35により係止される位置(第2レバーピン35が取り付けられた面)は、揺動レバー15が第1レバーピン16により係止される位置(第1レバーピン16が取り付けられた面)とは、回転筒9を挟んで対向する位置である。また、ベース部材34が回転筒9に固定された第3ブラケット32に取り付けられているので、切断装置Sは、回転筒9とともに針棒2の軸心回りの回転が可能である。
【0027】
ベース部材34には、スリッププレート31のリング状部の下面と当接可能なコロ36が設けてある。ベース部材34は、トーションバネ37により上方(図3において反時計回り)へ付勢されており、コロ36を常にスリッププレート31の下面と当接させている(図3参照)。このため、エアシリンダ28の作動によりスリッププレート31を下降させたときには、スリッププレート31の下面に当接しているコロ36を介して、ベース部材34に下向きの力が加わるのでベース部材34は第2レバーピン35を支点として下向きに揺動する。また、トーションバネ37によりベース部材34が上方へ付勢されているので、エアシリンダ28の作動によりスリッププレート31を上昇させたときには、該スリッププレート31の上昇に追従して、ベース部材34は第2レバーピン35を支点として上向きに揺動する。すなわち、エアシリンダ28の作動によるスリッププレート31の上下動制御により、ベース部材34を動かすことで、切断装置Sの位置を待避位置又は切断動作位置に移動させることができる。待避位置とは、図3に示す被縫製部材Tの縫い付け動作に支障のない位置であって、切断装置Sを後述する切断位置から上方に退避させた位置である。また、切断動作位置とは、被縫製部材Tの切断を行うときの位置(例えば後述する図8を参照)であって、切断装置Sを退避位置から下方に移動させた位置である。
ベース部材34(切断装置S)は、常には待避位置に位置され、被縫製部材Tを切断するときに切断動作位置へ移動される。ベース部材34には弾性部材38が設けてあり、弾性部材38が前記切断動作位置においてストッパ33と当接するようになっている。すなわち、ベース部材34(切断装置S)の切断動作位置は弾性部材38により規制される。
【0028】
なお、ベース部材34は回転筒9とともに針棒2の軸心回りを回転するものであるが、コロ36はスリッププレート31のリング状部の下面と当接しているため、ベース部材34の回転位置に関わらず常にスリッププレート31と当接する(つまりスリッププレート31の上下動をベース部材34に伝達可能な状態にある)こととなる。
【0029】
ベース部材34の下端部には側方に延びるメス固定部34aが形成してあり、このメス固定部34aに固定メス39が固定される。ベース部材34におけるメス固定部34aの部分には、切断メス47を備えたメスベース40が取り付けられる。メスベース40の下方部には後述する引掛け部40cが形成されており、引掛け部40cに切断メス47が固定される。メスベース40は、メス固定部34aにおいて、支持ピン41により回動自在且つ当該支持ピン41の軸線に沿った移動可能に支持されている。メスベース40は、支持ピン41に設けられた第1コイルバネ42により、メス固定部34aの方向へ付勢されることで、メス固定部34aに設けられた固定メス39と常に当接する。
【0030】
メスベース40の上方部には、図3において切断装置Sに対して左側に延びる第1腕部40aと、図3において切断装置Sに対して右側に延びる第2腕部40bが形成してある。
第2腕部40bの先端部には第1ピン44が設けてあり、第1ピン44とベース部材34に固定された第2ピン45の間に第2コイルバネ46が掛け渡されている。この第2コイルバネ46の付勢力によって、メスベース40は、常には第1腕部40a及び第2腕部40bの基端部が第2ピン45と当接する回動位置(図3に示す位置)に保持される。
【0031】
また、第1腕部40aの先端部には、ベース部材34の切断動作位置への回動時にストッパ33と当接するコロ43が設けてある。ベース部材34が退避位置から切断動作位置まで移動(図3において時計回りに回動)するときの第1腕部40aの先端部のコロ43がストッパ33と当接した状態から更に同方向に回動したときに、ストッパ33に当接しているコロ43に対して図3において反時計回りの力が加わるので、メスベース40は、支持ピン41を支点にして、時計回りに回動するようになっている。
【0032】
メスベース40の下方部には、図3において左下方に斜めに延びた引掛け部40cが形成されている。引掛け部40cには被縫製部材Tを引掛けることができる。引掛け部40cには切断メス47が固定されている。メスベース40が第2コイルバネ46の付勢力によって常には図3に示す回動位置に保持されているので、引掛け部40c(切断メス47)は、常には、固定メス39から離反した位置に保持される。
ベース部材34が退避位置から切断動作位置まで移動(図3において時計回りに回動)して第1腕部40aの先端部のコロ43がストッパ33と当接した状態から更に同方向に回動したとき、メスベース40の時計回りの回転に応じて、メスベース40の下方部の切断メス47が固定メス39と交差する位置に移動する。切断装置Sは、切断メス47と固定メス39とが交差したときに、引掛け部40cに引掛けた被縫製部材Tを、所定の切断位置にて切断するよう構成されている。
【0033】
メスベース40の略中央右側には、支持ピン41の軸方向に延びる第3腕部40dが形成されており、第3腕部40dの先端には、引掛け部40cと略平行に(図3の左下方に斜めに)延びる板バネ48が固定される。板バネ48は、ベース部材34におけるメスベース40の取り付け面とは反対側の面に突き出るように配設される(図4や後述の図6を参照)。
【0034】
支持ピン41の先端は、メスベース40及びベース部材34を貫通しており、その先端部(ベース部材34におけるメスベース40の取り付け面とは反対側の面に突き出た部分)には、保持部材49が揺動自在に支持されており、この保持部材49の先端側には、引掛け部40cと略平行に(図3の左下方に斜めに)延びた保持片49aが形成されている。保持片49aは、メスベース40が図3の時計回りに回動したときに、当該保持片49aの上面がメス固定部34aの底面に接触するように形成されている。
【0035】
保持部材49は、支持ピン41の先端に固定されたナット50により支持ピン41の軸心方向に関する位置を規制されており、保持部材49をベース部材34に取り付けた状態で保持片49aの下面が、メスベース40の第3腕部40dに固定された板バネ48により支承されるようになっている。保持部材49は、保持片49aの下面にて板バネ48により支承されているので、メスベース40の回動に応じて支持ピン41を支点として回動する。従って、メスベース40が図3において時計回りに回動したとき、保持部材49が同方向に回動することにより、保持片49aの上面がメス固定部34aの底面に接触する。保持片49aの上面がメス固定部34aの底面に接触することにより、保持片49aの上面とベース部材34のメス固定部34aの底面との間に被縫製部材Tを挟持できる。すなわち、保持片49a(保持部材49)とメス固定部34aとが協働して被縫製部材Tを挟持する構造により、被縫製部材Tの端部を保持する保持機構が構成される。
この保持機構(保持片49aとメス固定部34a)は、回転筒9における揺動レバー15及びガイド部材23と対向する側に取り付けられたベース部材34(切断装置S)の下方部に設けられているので、回転筒9と同心軸上の針棒2を挟んでガイド23aと対向する位置にて、被縫製部材Tを保持するものとなる。
また、保持機構(保持片49aとメス固定部34a)は、ベース部材34(切断装置S)を介して回転筒9に組み付けられているので、回転筒9とともに針棒2の軸心回りを回転するようになっている。
【0036】
本実施例において、被縫製部材Tを被縫製物である布地に縫い付ける動作について説明する。被縫製部材Tの縫い付けを行うときには、布押え体7とガイド部材23は、図3に示す縫い付け位置にある。また、被縫製部材Tの縫い付け動作中、切断装置S(ベース部材34)は、図3に示す退避位置に退避している。ミシンヘッドHの上方に配置された図示外のボビンに巻装された被縫製部材T(テープやコードなどの長尺の被縫製部材)を該ボビンから繰り出して、ガイド部材23のガイド23aを経て縫針3の針元位置へ前記繰り出した被縫製部材Tを導く(図2を参照)。この状態で図示しない布地を所定の刺繍データに基づいてXY方向へ移動制御するとともに、針棒2を上下に駆動して縫針3と図示しない釜とによって周知の本縫いを行う。なお、「XY方向」とは、針板4における平面方向である。
【0037】
このときに、布押え体7は、昇降モータ8の駆動によって針棒2の上下駆動に対して所定のタイミングで上下動されて、周知の布押えの機能を果たす。また、駆動アーム27は針棒2の上下駆動に対し所定のタイミングで上下に駆動され、これに伴う連動部材12の上下動作によって揺動レバー15が揺動されることで、ガイド部材23が縫い進み方向に対して左右に往復スライドされる。これにより、ガイド23aにより縫針3の針元位置へ案内された被縫製部材Tは、例えば針棒2の一往復毎に縫針3の針元位置の左右に振られる。この結果、ボビンから順次繰り出された被縫製部材Tは、いわゆる千鳥縫いによって順次布地に縫い付けられることとなる。
なお、図1より明らかなように、縦長の嵌合孔24aにコロ18を嵌挿することで揺動レバー15に対して作動板24、第2ブラケット22及びガイド部材23が係合されている、言い換えれば揺動レバー15に対する作動板24、第2ブラケット22及びガイド部材23の係合が嵌合孔24aの長さ範囲で上下動が許容できる構造であるため、ガイド部材23の上下位置が変化しても、揺動レバー15の揺動に応じたガイド部材23の往復スライド量は変化しない。従って、ガイド部材23も布押え体7とともに上下動することとなるが、ガイド部材23の上下動は被縫製部材Tの縫い付けに影響を与えない。
【0038】
本縫いによる被縫製部材Tの縫い付け動作中、回転筒9が方向制御モータ10の駆動によって回転されることで、ガイド23aは、前記布地のXY方向の移動に応じたミシンヘッドHの相対的な進行方向の前面に位置するように制御される。これにより、被縫製部材Tが縫針3の針元位置へ適正に案内される。
【0039】
次に、被縫製部材Tの縫い付け終了時に、切断装置Sにより被縫製部材Tを切断する動作について説明する。被縫製部材Tの縫い付けが終了すると、昇降モータ8の駆動により、ガイド部材23は、布押え体7とともに、図3に示す縫い付け位置から図5に示す退避位置へ退避する。
被縫製部材Tが縫い付けられた布地をXY方向へ移動させることにより、被縫製部材Tの縫い付け終了点を針元位置から移動させる。これにより、布地の移動量に応じた長さ分だけ、被縫製部材Tがガイド23aから新たに引き出される。図6は、ガイド部材23を退避位置へ退避させた後に、布地をXY方向へ移動させた状態を、図5を右側面から見た図(図1におけるミシンヘッドHの正面に対して左側面方向からの視点)である。
布地の移動は、当該布地の移動によりガイド23aから新たに引き出された被縫製部材Tが布押え体7及び切断装置Sの下方を横切るように行われる。ガイド部材23が退避位置に持ち上げられた状態で布地をXY方向へ移動することにより、図6に示す通り、当該布地の移動によりガイド23aから新たに引き出された被縫製部材Tは、切断装置Sの下方を横切るように延び、且つ、縫い付け終了点からガイド23aへ上がる向きで傾斜する。これにより、切断装置Sにおけるメスベース40の先端部に形成された引掛け部40cに引掛けることが可能になる。
【0040】
図6に示す状態で、エアシリンダ28を作動してスリッププレート31を下降させることにより、ベース部材34(切断装置S)が、第2レバーピン35を支点として図5において時計回りに回動して、図5に示す退避位置から図8に示す切断位置へ移動する。
【0041】
この移動過程におけるメスベース40の動きを詳しく説明する。メスベース40は、ベース部材34が退避位置にある状態では、第2コイルバネ46の付勢力により図5に示す回動位置を保持している。ベース部材34が図5において時計回りに回動を開始して、図7に示す回転位置まで移動したとき、メスベース40の第1腕部40aに設けられたコロ43が、第3ブラケット32に形成されたストッパ33に当接する。ここで、図6に示す通り被縫製部材Tが切断装置Sの下方を横切るように持ち上げられているので、ベース部材34(切断装置S)が図7に示す回転位置まで移動した状態では、メスベース40の下方部である引掛け部40cの先端部は、当該持ち上げられた被縫製部材Tよりも低い位置まで下降している。
【0042】
図7に示すコロ43がストッパ33に当接した状態から、更にベース部材34が回動すると、メスベース40は支持ピン41を支点として図7において時計回りに回転開始する。前述の通り、引掛け部40cの先端部が被縫製部材Tよりも低い位置まで下がっているので、メスベース40の回転に応じて、引掛け部40cの上面に被縫製部材Tを引掛けることができる。そして、ベース部材34(切断装置S)が図8に示す切断動作位置まで移動すると、メスベース40は切断メス47が固定メス39に交差する位置まで回転する(図8参照)。引掛け部40cの上面に被縫製部材Tを引掛けた状態で、切断メス47と固定メス39が交差することで、被縫製部材Tが切断位置にて切断される。なお、被縫製部材Tの切断と同時に、布地から縫針3に続いている上糸も切断される。
【0043】
切断メス47及び固定メス39により被縫製部材Tを切断するとき、メスベース40の回転に応じて保持部材49が回転して、保持片49aの上面がメス固定部34aの底面に接触することにより、引掛け部40cの上面に引掛けられた被縫製部材Tを、該保持片49aの上面とメス固定部34aの底面の間に挟持することができる。
ここで、図6に示す通り、切断装置Sにおいて、保持部材49(板バネ48)は被縫製部材Tの切断位置(切断メス47及び固定メス39が交差する位置)よりもガイド23a側に設けられているので、保持機構(保持片49a及びメス固定部34a)は、被縫製部材Tの切断時に、切断位置に対してガイド23a側で被縫製部材Tを保持することができる。従って、保持機構(保持片49a及びメス固定部34a)は、被縫製部材Tを切断した時に、ガイド23aから引き出された被縫製部材Tの端部、すなわち当該被縫製部材Tの縫い付けを再開するときに縫い付け開始点より先となる部分を、保持することができる。
【0044】
被縫製部材Tの切断を行った後、被縫製部材Tの縫い付けを再開する場合、ベース部材34(切断装置S)を切断位置に位置させて、保持機構(保持片49aとメス固定部34a)により被縫製部材Tの端部を保持した状態のまま、新たな縫い付け動作を開始する。被縫製部材Tの縫い付けを開始すると、布押え体7及びガイド部材23が縫い付け位置に下降するとともに、回転筒9が方向制御モータ10の駆動によって回転して、ガイド23aが布地の移動に基づくミシンヘッドHの相対的な進行方向の前面に位置し、針棒2が上下動して被縫製部材Tの縫い付けが行われる。
【0045】
図9は、図6と同じ視点から切断装置Sを見た図であって、ベース部材34(切断装置S)を切断位置に位置させたまま、被縫製部材Tの縫い付けを開始した状態(布押え体7及びガイド部材23が縫い付け位置に下降した状態)を示している。前述の通り、保持機構(保持片49a及びメス固定部34a)は、針棒2を挟んでガイド23aと対向する位置にて、ガイド23aから引き出された被縫製部材Tの端部(当該被縫製部材Tの縫い付けを再開するときに縫い付け開始点より先となる部分)を保持しており、また、保持機構(保持片49aとメス固定部34a)が回転筒9とともに針棒2の軸心回りを回転するようになっているので、ガイド23aがどの位置にあっても、縫針3を挟んでガイド23aと対向する位置にて、被縫製部材Tを保持しておくことができる。従って、縫い始めにおいて確実に被縫製部材Tを布地に縫い付けることができる。また、図9から明らかなとおり、縫い付け開始点より先の部分の長さは、針元位置(縫い付け開始点)から保持機構による保持箇所までの長さだけであるため、極めて僅かなものとなる。
【0046】
なお、縫い始めからある程度(例えば3〜5針)縫ったら、ベース部材34を上方の退避位置に戻す。これにより、引掛け部40cがメス固定部34aから離反して、保持片49aとメス固定部34aによる被縫製部材Tの端部の保持が解放される。
【0047】
以上説明した通り、本発明によれば、縫い始めにおいて被縫製部材Tの端部を、保持機構(保持片49aとメス固定部34a)により保持した状態で、被縫製部材Tの縫い付けを開始することで、確実に被縫製部材を被縫製物に対して縫い付けることができる。この結果、縫い始めにおいて被縫製部材をガイドから引き出す作業が不要となると共に、縫い付け開始点より先の縫い付けられていない部分は極めて僅かとなる。従って、縫い付け開始点より先の縫い付けられていない部分を切断する必要がなく、被縫製部材を無駄にしないという優れた効果を奏する。
更に、この構成によれば、縫い付けの終了時に、切断位置で被縫製部材Tを切断する作業、及び、縫い付け開始点より先の部分を切断する作業のいずれの切断作業も作業者が行わなくてよいため、作業者の負担が軽減される。これにより、特に多頭ミシンにおいては作業効率を大幅に向上することができる。
更に、保持機構による被縫製部材Tの保持動作は、切断装置Sによる被縫製部材Tの切断動作の駆動に伴い実現されているので、保持機構を駆動するための単独の駆動源を設ける必要もない。
【0048】
本発明により作業効率が向上された結果、1つの布地に対して被縫製部材Tを縫い付けている途中に、被縫製部材Tを切断する工程を組み込むことが可能となる。従来の技術では、作業効率の問題から1つの布地に対して被縫製部材Tを縫い付けている途中で、被縫製部材Tを切断することは行っていなかった。
1つの布地に対して被縫製部材Tを縫い付けている途中に、被縫製部材Tを切断する工程を組み込むことにより、例えば、縫い付け途中で被縫製部材Tを切断して、縫い付け方向や縫い付け位置を大きく変更したり、被縫製部材Tを積層して縫い付ける場合に各層の縫い付けが終了するたびに被縫製部材Tを切断したりできるようになる。
なお、このように、縫い付け途中で被縫製部材Tを切断する場合、その切断後には切断装置Sを切断位置に残したままの状態、言い換えれば被縫製部材Tの端部を切断装置Sの保持機構(保持片49aとメス固定部34a)にて保持した状態で縫い付けを再開し、1つの布地に対する被縫製部材Tの縫い付けが全て終了した時点での被縫製部材Tの切断後は、切断装置Sを退避位置に戻し、布地の交換作業を行い易くするようにしてもよい。
【0049】
なお、上記実施例において、切断装置Sの切断動作及び保持機構による被縫製部材Tを保持動作の駆動方法として、エアシリンダ28によりスリッププレート31を上下動させる方法を例示したが、駆動源はエアシリンダ28に限らずパルスモータなど他のアクチュエータにより構成されてよい。
また、上記実施例において、被縫製部材Tをチドリ縫いによって縫い付けるミシンの構成例を説明したが、被縫製部材Tの本縫いの縫い付け形態は、これに限定されず、どのような縫い付け形態であってもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 ミシン主軸、2 針棒、3 縫針、4 針板、5 支持筒、6 布押え支持体、6a キー溝、7 布押え体、8 昇降モータ、9 回転筒、9a 係合溝、10 方向制御モータ、11 キー部材、12 連動部材、12a 環状溝、13 連結片、13a 連係溝、14 第1ブラケット、15 揺動レバー、15a 上腕部、15b 下腕部、16 レバーピン、17 コロ、18 コロ、19 支持部材、20 ガイドレール、21 スライダ、22 第2ブラケット、23 ガイド部材、23a ガイド、24 作動板、24 嵌合孔、24a 嵌合孔、25 駆動モータ、26 ガイド軸、27 駆動アーム、28 エアシリンダ、29 ガイド、30 ロッド、31 スリッププレート、32 第3ブラケット、33 ストッパ、34 ベース部材、34a メス固定部、35 レバーピン、36 コロ、37 トーションバネ、38 弾性部材、39 固定メス、40 メスベース、40a 第1腕部、40b 第2腕部、40c 引掛け部、40d 第3腕部、41 支持ピン、42 第1コイルバネ、43 コロ、44 第1ピン、45 第2ピン、46 第2コイルバネ、47 切断メス、48 板バネ、49 保持部材、49a 保持片、50 ナット、H ミシンヘッド、S 切断装置、T 被縫製部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に駆動される針棒と、前記針棒の下端部に取り付けられた縫針と、前記針棒と同軸心上に組付けられ、その軸心回りの回転が自由な回転体と、この回転体に取り付けられて、前記縫針の針元位置へ被縫製部材を案内するガイドとを備え、刺繍データに基づく布地の移動方向に応じて前記回転体を回転制御することにより針元への前記被縫製部材の案内方向が適正となるように前記ガイドの向きを変更しつつ、該ガイドにより案内された被縫製部材を本縫いにより布地に縫い付ける形式のミシンにおいて、
少なくとも前記被縫製部材を本縫いにより縫い始めるときに、前記縫針を挟んでガイドと対向する位置にて、前記ガイドにより案内された被縫製部材の端部を保持する保持機構を備えたことを特徴とするミシン。
【請求項2】
前記保持機構が、前記回転体に取り付けられており、該回転体とともに針棒の軸心回りを回転することを特徴とする請求項1に記載のミシン。
【請求項3】
上下に駆動される針棒と、前記針棒の下端部に取り付けられた縫針と、前記針棒と同軸心上に組付けられ、その軸心回りの回転が自由な回転体と、この回転体に取り付けられて、前記縫針の針元位置へ被縫製部材を案内するガイドとを備え、刺繍データに基づく布地の移動方向に応じて前記回転体を回転制御することにより針元への前記被縫製部材の案内方向が適正となるように前記ガイドの向きを変更しつつ、該ガイドにより案内された被縫製部材を本縫いにより布地に縫い付ける形式のミシンにおいて、
前記回転体における前記ガイドと対向する側に該回転体と一体に回転可能に取り付けられ、前記ガイドから繰り出された被縫製部材を所定の切断位置にて切断する切断装置を備え、
前記切断装置において、被縫製部材の切断時に前記ガイドから繰り出された被縫製部材を前記切断位置に対してガイド側で保持する保持機構を設けたことを特徴とするミシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−224124(P2011−224124A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−96188(P2010−96188)
【出願日】平成22年4月19日(2010.4.19)
【出願人】(000219749)東海工業ミシン株式会社 (55)
【Fターム(参考)】