ミチグリニドおよびメトホルミンの複合製剤並びにその製造方法
本発明は、ミチグリニド、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物;およびメトホルミン、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物を含む複合製剤であって、前記においてミチグリニド成分は、メトホルミン成分によって干渉されることなく、ミチグリニド単一製剤の溶出パターンと同等または類似の溶出パターンを示し、メトホルミン成分もまた、メトホルミン単一製剤の溶出パターンと同等または類似の溶出パターンを有することを特徴とするミチグリニドおよびメトホルミンの複合製剤並びにその製造方法に関するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糖尿病治療のためのミチグリニドおよびメトホルミンの複合製剤並びにその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ビグアニド(biguanide)系糖尿病治療剤であるメトホルミン(metformin)は、インスリン非依存性真性糖尿病(non−insulindependent diabetes mellitus、NIDDM)の治療に主に用いられる経口用抗過血糖薬物である。メトホルミンの血糖調節メカニズムはインスリン分泌とは無関係に作用し、肝臓でブドウ糖の新合成を抑制するところ、これは、空腹時の血糖濃度を減少させる効果と関連があり、インスリン抵抗性を示すインスリン非依存性(2型)糖尿病患者の1次薬剤として用いることができるが、2型糖尿病患者から見られる食後の急激な血糖上昇の改善には治療効果を示すことができない。
【0003】
現在、メトホルミンは、その塩酸塩として、グルコファージ(GLUCOPHAGE、Bristol−Myers Squibb Company)の錠剤(tablet)形態で市販されている。市販されているグルコファージ錠剤は、500mg、850mg、または1,000mgの塩酸メトホルミンを含有しており、その投与は効能および耐性の両側面を考慮して、1日当たり2,550mgの最大要求容量を超えない範囲内で行われている。
【0004】
最近、経口血糖降下薬の1種であるナテグリニド(nateglinide)、レパグリニド(repaglinide)、およびミチグリニド(mitiglinide)等の速効型インスリン分泌促進薬が提案されており、食後血糖推移の改善に顕著な治療効果を示すことによって注目を浴びている。2型糖尿病患者においては、糖負荷後の早期インスリン分泌の上昇、特に糖負荷後30分間の上昇が不足して健康なヒトに比べてインスリン分泌量が顕著に低いことが知られている。つまり、健康なヒトにブドウ糖を負荷すると、30〜60分間にかけて血糖値が徐々に上昇した後に緩やかに下降するのに反し、糖尿病患者にブドウ糖を負荷すると、インスリン分泌能が低いため、30〜90分間血糖値が急激に上昇するグルコーススパイクの現象が観察される。よって、上記のような食後の早期に、特に30〜60分間に薬効を示すことによって健康なヒトに近い血糖推移を示す薬物が必要である。速効型インスリン分泌促進薬として、特にミチグリニドについては食後血糖推移の改善に顕著な効果を示すことが知られている。
【0005】
現在、ミチグリニドはそのカルシウム水和物の形態として、グルファスト(GLUFAST、Choong−Wae Pharm)の錠剤(tablet)形態で市販されている。市販されているグルファスト錠剤は、5mgまたは10mgのミチグリニドカルシウム水和物を含有しており、その投与は、効能および副作用の両側面を考慮して、単回投与量は5〜45mgの範囲内で行われている。
【0006】
上記のような事実に基づき、抗過血糖薬物として空腹時の血糖濃度を減少させる効果を有するメトホルミン(metformin)と速効型インスリン分泌促進薬として食後血糖推移の改善に顕著な治療効果を示す薬物とを組み合わせて投与する併用療法が試みられており、このような試みの一環としてミチグリニドとメトホルミンの複合処方が行われている。このような併用療法に係る特許として、例えば、国際公開公報第WO2007/56387号には、メトホルミンとミチグリニドを含有する丸剤とカプセル剤について開示されている。
【0007】
一方、メトホルミンとミチグリニドの併用投与において、ミチグリニドは食後急激に上昇する血糖調節のために先ず速めに作用し、メトホルミンは作用メカニズムおよび副作用抑制などの薬物の特性上、ミチグリニドよりは遅めに作用することが好ましいため、併用投与のためのミチグリニドとメトホルミンの複合剤を製造する場合には上記のような薬物の特性を考慮した設計が必要である。特に、複合剤として製造される場合、ミチグリニド成分は5〜10mg含まれ、500〜1000mg含まれるメトホルミンに比べて複合剤全体含量に対して非常に少量で含まれるため、ミチグリニドがメトホルミンよりも先に溶出して作用すべきであるにもかかわらず、多量のメトホルミン成分の間に少量でミチグリニドが共に混ぜられており、メトホルミンによって速めの溶出が阻害され、メトホルミンと類似する溶出パターンを示すようになる。したがって、ミチグリニドが単一製剤として製造された時とは溶出パターンが異なり、同等な効果を示し難い点を考慮しなければならない。
【0008】
しかし、上記にて言及した国際公開公報第WO2007/56387号に開示された発明は、上記のような問題を解決することができずにおり、その改善が求められている。
【特許文献1】国際公開公報第WO2007/56387号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来技術の上記のような問題を改善するためのものであり、複合製剤の主成分であるミチグリニドおよびメトホルミンの各々が、互いに干渉することなく、溶出パターンが相異なるように調節され、それらの単一製剤形態と各々同等または類似の溶出パターンを有すると共に優れた溶出率を示すミチグリニドおよびメトホルミンの複合製剤並びにその製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、上記のようにミチグリニドとメトホルミンの溶出パターンを調節することにより、ミチグリニドが先に作用した後にメトホルミンが作用するようにし、各々の単一剤を服用する場合と少なくとも類似する、食後および空腹時の血糖を調節できる複合製剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、メトホルミン、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物を含有するメトホルミン層;および前記メトホルミン層の外面に形成され、ミチグリニド、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物を含有するミチグリニド層を含み、前記ミチグリニド層中のミチグリニド成分の溶出率が、服用後30分以内に85%以上であることを特徴とするミチグリニドおよびメトホルミンの複合製剤を提供する。
【0012】
本発明の複合製剤において、前記ミチグリニド成分はメトホルミン成分より30分以内の溶出率がさらに高いことを特徴とする。また、メトホルミン成分の溶出率は60分以内に85%以上であることが好ましい。
【0013】
本発明の複合製剤において、前記メトホルミン層は、メトホルミン、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物と共に薬剤学的に許容可能な担体をさらに含んで顆粒化し、打錠した層であり、前記ミチグリニド層は、ミチグリニド、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物と共に薬剤学的に許容可能な担体をさらに含んで直接打錠した層であることを特徴とする。
【0014】
前記において、顆粒化し、打錠したメトホルミン層が1つの層を形成し、直接打錠したミチグリニド層が1つの層を形成して2層型に製造することが好ましい。
【0015】
また、本発明の複合製剤において、前記メトホルミン層は、メトホルミン、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物と共に薬剤学的に許容可能な担体をさらに含んで錠剤形態で含まれ;前記ミチグリニド層は、ミチグリニド、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物と共に薬剤学的に許容可能な担体をさらに含み、前記錠剤形態の外面にコーティング層を形成することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の複合製剤において、前記メトホルミン層は、メトホルミン、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物と共に薬剤学的に許容可能な担体をさらに含んで内核形態で含まれ;前記ミチグリニド層は、ミチグリニド、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物と共に薬剤学的に許容可能な担体をさらに含み、前記内核形態の外面に層を形成することを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、メトホルミン、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物を薬剤学的に許容可能な担体と共に顆粒に製造して打錠する第1ステップ;およびミチグリニド、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物を薬剤学的に許容可能な担体と共に直接打錠する第2ステップを含むミチグリニドおよびメトホルミンの複合製剤の製造方法を提供する。
【0018】
前記ミチグリニドおよびメトホルミンの複合剤を製造する時、ミチグリニドに比べてメトホルミンの含量が多量に含まれるため、メトホルミン含有層を顆粒化して先に打錠し、その後にミチグリニド含有層を直接打錠することが好ましいが、それに限定されるものではなく、前記複合製剤の製造においてメトホルミンとミチグリニドの打錠ステップが変わっても構わない。
【0019】
前記製造方法は、第1段階では顆粒形態が1つ以上の層を形成し、第2段階では直接打錠で製造された形態が1つ以上の層を形成して多層型に製造することを特徴とする。
【0020】
また、前記の第1段階では顆粒形態が1つの層を形成し、第2段階では直接打錠された形態が1つの層を形成して2層型に製造することがより好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明のミチグリニドおよびメトホルミン含有経口用組成物は、主成分であるミチグリニドおよびメトホルミンが互いに干渉することなく、各々の単一製剤と比較して同等または類似の溶出パターンと、優れた溶出率を示すので、食後に発生する急激な血糖上昇を改善し、その後の空腹時の血糖値を正常値に維持する効果に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は、メトホルミン、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物を含有するメトホルミン層;および前記メトホルミン層の外面に形成され、ミチグリニド、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物を含有するミチグリニド層を含み、前記ミチグリニド層中のミチグリニド成分の溶出率が、服用後30分以内に85%以上であることを特徴とするミチグリニドおよびメトホルミンの複合製剤に関するものである。
【0023】
本発明において、ミチグリニド成分はメトホルミンの成分によって干渉されることなく、ミチグリニド単一製剤と同等または類似の溶出パターンを示し、メトホルミン成分もまたメトホルミン単一製剤と同等または類似の溶出パターンを示すことを特徴とする。
【0024】
前記ミチグリニド[化学名:(2S)−2−ベンジル−3−(シス−ヘキサヒドロ−2−イソインドリニルカルボニル)プロピオン酸]は非スルホニル尿素剤であり、下記化学式1で示される化学構造式を有する速効型インスリン分泌促進薬である。
【0025】
【化1】
本発明においてミチグリニド成分は、ミチグリニド、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物の形態で含まれ、この中でも下記の化学式2で表記されるミチグリニドカルシウム水和物が好ましく用いられ得る。
【0026】
【化2】
本発明において、メトホルミン(metformin)成分は、ビグアニド(biguanide)系糖尿病治療剤としてインスリン非依存性真性糖尿病(non−insulindependent diabetes mellitus、NIDDM)の治療に主に用いられる経口用抗過血糖薬物であり、下記化学式3で示される化学構造式を有する。
【0027】
【化3】
本発明において、メトホルミン成分は、メトホルミン、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物の形態で含まれ、この中でも塩の形態、例えばメトホルミン塩酸塩、メトホルミンコハク酸塩、メトホルミンフマル酸塩、メトホルミン臭素酸塩、メトホルミンp−クロロフェノキシ酢酸塩、またはメトホルミンエンボン酸塩などが多く用いられ、好ましくは下記の化学式4で示されるメトホルミン塩酸塩が用いられ得る。
【化4】
【0028】
本発明の複合製剤において、前記ミチグリニド成分はメトホルミン成分より30分以内の溶出率がさらに高いことを特徴とする。ミチグリニド成分の溶出率は30分以内に85%以上であることが好ましく、メトホルミン成分の溶出率は60分以内に85%以上であることが好ましい。このような範囲で食後のインスリン分泌促進が好ましく行われ得る。
【0029】
本発明の複合製剤において、ミチグリニド、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物:メトホルミン、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物の重量比率は1:10〜200、好ましくは1:15〜100、最も好ましくは1:20〜70であることを特徴とする。
【0030】
本発明の複合製剤は当該分野にて用いられる全ての形態に製造することができるが、錠剤に製造することが好ましい。
【0031】
特に、本発明の複合製剤において、前記メトホルミン層は、メトホルミン、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物と共に薬剤学的に許容可能な担体をさらに含んで顆粒化し、打錠した層であり、前記ミチグリニド層は、粉末状に形成されたミチグリニド、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物と共に薬剤学的に許容可能な担体をさらに含んで直接打錠した層であることが好ましい。
【0032】
上記のような層を形成する場合には、ミチグリニド成分およびメトホルミン成分の溶出において薬物相互間の干渉を避けることができ、前記薬物各々の作用機序および用途特性に合わせて溶出を調節するのに有利である。
【0033】
また、上記で顆粒化して打錠したメトホルミン層が1つの層を形成し、直接打錠したミチグリニド層が1つの層を形成して2層型に製造することがより好ましい。
【0034】
上記で各層は圧力による打錠方法を通して複合剤として製造され、打錠時の圧力範囲は0.5ton〜3tonが好ましいが、1ton〜2.5tonがより好ましい。
【0035】
前記顆粒化して打錠した層であるメトホルミン層は、メトホルミン、薬剤学的に許容可能なその塩またはその水和物を10〜98重量%、および薬剤学的に許容可能な担体として、賦形剤、滑沢剤、崩壊剤から、および結合剤からなる群から選択される1種以上の成分を含むことを特徴とする。
上記で薬剤学的に許容可能な担体として、賦形剤、滑沢剤、崩壊剤から、および結合剤からなる群から選択される1種以上の成分は2〜90重量%で含まれることができる。
【0036】
上記で賦形剤としては、結晶セルロースまたはセルロース誘導体、トウモロコシデンプン、シクロデキストリン、沈降炭酸カルシウム、ポリビニルアルコール、リン酸水素カルシウム、グリコール酸デンプンナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、乳糖、マンニトールなどが含まれ、滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、軽質無水ケイ酸、コンプリトール、ステアリン酸、タルクなどが含まれ、崩壊剤としては、クロスカルメロースナトリウム、グリコール酸デンプンナトリウム、クロスポビドン、トウモロコシデンプン、アルギン酸、ナトリウムアルギネート、カルボキシメチルセルロースマグネシウムおよびアルミニウムシリケート、炭酸水素ナトリウムなどが含まれることができる。また、結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ユードラジット、ワックス、カルボマーなどが含まれることができる。
【0037】
また、前記直接打錠した層であるミチグリニド層は、ミチグリニド、薬剤学的に許容可能なその塩またはその水和物を0.1〜50重量%、および薬剤学的に許容可能な担体として、賦形剤、滑沢剤、および崩壊剤からなる群から選択される1種以上の成分を含むことを特徴とする。
上記で薬剤学的に許容可能な担体として、賦形剤、滑沢剤、および崩壊剤からなる群から選択される1種以上の成分は50〜99.90重量%で含まれることができる。
【0038】
上記で賦形剤としては、ルディプレス、結晶セルロースまたはセルロース誘導体、トウモロコシデンプン、シクロデキストリン、沈降炭酸カルシウム、ポリビニルアルコール、リン酸水素カルシウム、グリコール酸デンプンナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、乳糖、マンニトールなどが含まれ、滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、軽質無水ケイ酸、コンプリトール、ステアリン酸、タルク、ラウリン酸硫酸ナトリウムなどが含まれ、崩壊剤としては、クロスカルメロースナトリウム、グリコール酸デンプンナトリウム、クロスポビドン、トウモロコシデンプン、アルギン酸、ナトリウムアルギネート、カルボキシメチルセルロースマグネシウムおよびアルミニウムシリケート、炭酸水素ナトリウムなどが含まれることができる。
【0039】
本発明の複合製剤において、前記薬剤学的に許容可能な担体は、上記に例示されたものの他に当該分野で用いられる通常のものをさらに含むことができる。
【0040】
本発明はミチグリニドおよびメトホルミンの複合製剤であり、上記でミチグリニド成分およびメトホルミンの成分は互いによって干渉されることなく、各々の溶出パターンが相異なるように調節され、ミチグリニドおよびメトホルミンの単一製剤と同等または類似の溶出パターンと優れた溶出率を示すことを特徴とするので、公知のミチグリニド単一製剤の組成および公知のメトホルミン単一製剤の組成をそのまま用いることも可能である。
【0041】
本発明の複合製剤において、前記メトホルミン層は、メトホルミン、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物と共に薬剤学的に許容可能な担体をさらに含んで錠剤形態で含まれ;前記ミチグリニド層は、ミチグリニド、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物と共に薬剤学的に許容可能な担体をさらに含み、前記錠剤形態の外面にコーティング層を形成することもできる。上記のような層を形成する場合には、ミチグリニド成分およびメトホルミン成分の溶出において薬物相互間の干渉を避けることができ、上記薬物各々の作用機序および用途特性に合わせて溶出を調節するのに有利である。
【0042】
また、前記メトホルミン層は、メトホルミン、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物と共に薬剤学的に許容可能な担体をさらに含んで内核形態で含まれ;前記ミチグリニド層は、ミチグリニド、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物と共に薬剤学的に許容可能な担体をさらに含み、前記内核形態の外面に層を形成することもできる。上記のような層を形成する場合には、ミチグリニド成分およびメトホルミン成分の溶出において薬物相互間の干渉を避けることができ、上記薬物各々の作用機序および用途特性に合わせて溶出を調節するのに有利である。
【0043】
上記で言及した錠剤形態、コーティング層、内核形態、および外面層の組成は、当該分野で通常用いられるものであれば、特に制限なく適用されることができる。
【0044】
また、本発明は、メトホルミン、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物を薬剤学的に許容可能な担体と共に顆粒に製造して打錠する第1ステップ;およびミチグリニド、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物を薬剤学的に許容可能な担体と共に直接打錠する第2ステップを含むミチグリニドおよびメトホルミンの複合製剤の製造方法に関するものである。
【0045】
前記ミチグリニドおよびメトホルミンの複合剤を製造する時、ミチグリニドに比べてメトホルミンの含量が多量に含まれるため、メトホルミン含有層を顆粒化して先に打錠し、その後にミチグリニド含有層を直接打錠することが好ましいが、それに限定されるものではなく、前記複合製剤の製造においてメトホルミンとミチグリニドの打錠ステップが変わっても構わない。
【0046】
前記製造方法は、第1段階では顆粒形態が1つ以上の層を形成し、第2段階では直接打錠で製造された形態が1つ以上の層を形成して多層型に製造されることを特徴とする。
【0047】
また、前記第1段階では顆粒形態が1つの層を形成し、第2段階では直接打錠された形態が1つの層を形成して2層型に製造することが好ましい。
【0048】
上記で各層は圧力による打錠方法を通して複合剤として製造され、打錠時の圧力範囲は0.5ton〜3tonが好ましいが、1ton〜2.5tonがより好ましい。
【0049】
本発明の薬学的組成物は経口投与形態で服用することができる。本発明のミチグリニドおよびメトホルミンの複合製剤の好ましい投与量は、患者の状態および体重、疾病の程度、薬物形態、および期間によって異なるが、当業者によって適切に選択され得る。好ましい投与量は、単回投与量がミチグリニド5〜22mg/メトホルミン250〜1000mgの範囲内で可能であり、投与は1日に1回行うことができ、数回行うこともできる。
【実施例】
【0050】
以下、本発明について実施例および試験例を用いてより詳細に説明する。しかし、下記実施例および試験例は本発明を例示するためのものであって、本発明はそれらによって限定されず、様々な修正および変更が可能である。下記の実施例、試験例、比較例及び比較試験例で用いられたミチグリニドはミチグリニド水和物であり、メトホルミンはメトホルミン塩酸塩である。
【0051】
実施例1−1〜1−4:ミチグリニドとメトホルミンの多層錠(2層錠)の製造
下記表3〜4によって製造されたメトホルミン組成物を顆粒化して打錠し、表1〜2によって製造されたミチグリニド組成物を粉末に直接打錠して下記表5によって2層錠(実施例1−1〜1−4)を製造した。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】
【表5】
【0057】
試験例1:実施例1−1〜1−4で製造された多層錠の溶出試験
実施例1−1〜1−3で製造された錠剤に対して蒸溜水で溶出試験を実施した。試験の結果、実施例1−1〜1−3の錠剤において、各層は相互間の溶出率に影響を与えることなく、ミチグリニドとメトホルミンの溶出をそれぞれ異なるように調節することが可能であった。つまり、ミチグリニドの溶出率は30分以内に85%以上であり、メトホルミンはミチグリニドが溶出した後に85%以上放出された。(図1および図2参照)。
【0058】
実施例2−1〜2−4:メトホルミン錠剤にミチグリニドをコーティングしたコーティング錠の製造
表10の処方に従い、表6〜7によって製造されたミチグリニド組成物で、表8〜9によって製造されたメトホルミン錠剤をコーティングして実施例2−1〜2−4のコーティング錠を製造した。
【0059】
【表6】
【0060】
【表7】
【0061】
【表8】
【0062】
【表9】
【0063】
【表10】
【0064】
試験例2:実施例2−1〜2−4で製造されたコーティング錠の溶出試験
実施例2−1〜2−4で製造された錠剤に対して蒸溜水で溶出試験を実施した。溶出試験方法は前記試験例1と同様に行った。試験の結果、実施例2−1〜2−4のコーティング錠において、錠剤部とコーティング部は相互間の溶出率に影響を与えることなく、ミチグリニドとメトホルミンの溶出をそれぞれ異なるように調節することが可能であった(図3および図4参照)。
【0065】
実施例3−1〜3−4:ミチグリニドとメトホルミンの核錠製造
表15の処方に従い、表11〜12によって製造されたミチグリニド組成物を外部層にし、表13〜14によって製造されたメトホルミン組成物を内核にして実施例3−1〜3−4の核錠を製造した。
【0066】
【表11】
【0067】
【表12】
【0068】
【表13】
【0069】
【表14】
【0070】
【表15】
【0071】
試験例3:実施例3−1〜3−4で製造された核錠の溶出試験
実施例3−1〜3−4で製造された錠剤に対して蒸溜水で溶出試験を実施した。溶出試験方法は前記試験例1と同様に行った。試験の結果、実施例3−1〜3−4の核錠において、ミチグリニドからなる外部層とメトホルミンからなる内核は相互間の溶出率に影響を与えることなく、ミチグリニドとメトホルミンの溶出をそれぞれ異なるように調節することが可能であった(図5および図6参照)。
【0072】
実施例4−1〜4−4:メトホルミンの溶出様相は単一剤のように調節し、ミチグリニドの溶出率を調節したミチグリニドとメトホルミンの多層錠製造
下記表20によって製造されたメトホルミン組成物は顆粒して打錠し、表16〜19によって製造されたミチグリニド組成物は粉末に直接打錠し、下記表21によってミチグリニド層とメトホルミン層に圧力を加えて打錠した2層錠(実施例4−1〜4−4)を製造した。
【0073】
【表16】
【0074】
【表17】
【0075】
【表18】
【0076】
【表19】
【0077】
【表20】
【0078】
【表21】
【0079】
試験例4:実施例4−1〜4−4で製造された多層錠の溶出試験
実施例4−1〜4−4で製造された錠剤に対して蒸溜水で溶出試験を実施した。溶出試験方法は前記試験例1と同様に行った。実施例4−1〜4−4の試験結果は各々表22〜25に示した(図7および図8参照)。
【0080】
【表22】
【0081】
【表23】
【0082】
【表24】
【0083】
【表25】
【0084】
試験例5:実施例4−1〜4−4の多層錠の食後血糖低下能の比較
実施例4−1、4−2、4−3、4−4の多層錠を糖尿があるラットに投与して食後血糖低下能を評価した。その結果、ミチグリニドの30分溶出率が85%以上である実施例4−1、4−2の多層錠においては食後血糖値を正常に下げる効果が確認されたが、30分溶出率が85%未満である実施例4−3、4−4の多層錠においては食後血糖値を正常に下げることができないことが確認された。
【0085】
試験例6:ミチグリニド単一製剤形態による溶出率の比較
(1)ミチグリニド単一製剤の製造
ミチグリニド単一製剤形態による溶出率を調べるために、直接打錠処方(表26)、湿式顆粒処方−1(表27)、湿式顆粒処方−2(表28)、湿式顆粒処方−3(表29)、および湿式顆粒処方−4(表30)に従ってミチグリニド製剤を各々製造した。
【0086】
【表26】
−製造方法:ミチグリニド、直打(直接打錠)用乳糖、グリコール酸デンプンナトリウム及び微結晶セルロースを、低置換ヒドロキシプロピルセルロースを蒸留水に溶かした溶液を結合剤にして混合した後、ステアリン酸マグネシウムで滑沢し、打錠して製造した。
【0087】
【表27】
−製造方法:ミチグリニド、乳糖、グリコール酸デンプンナトリウム及び微結晶セルロースを、低置換ヒドロキシプロピルセルロースを蒸溜水に溶かした溶液を結合剤にして顆粒化し、ステアリン酸マグネシウムで滑沢し、打錠して製造した。
【0088】
【表28】
−製造方法:ミチグリニド、乳糖、グリコール酸デンプンナトリウム及び微結晶セルロースを、ヒドロキシプロピルセルロースを蒸溜水に溶かした溶液を結合剤にして顆粒化し、ステアリン酸マグネシウムで滑沢し、打錠して製造した。
【0089】
【表29】
−製造方法:ミチグリニド、乳糖、グリコール酸デンプンナトリウム、微結晶セルロース、アルファー化デンプンを蒸溜水に溶かした溶液を結合剤にして顆粒化し、ステアリン酸マグネシウムで滑沢し、打錠して製造した。
【0090】
【表30】
−製造方法:ミチグリニド、乳糖、グリコール酸デンプンナトリウム、微結晶セルロース、ポビドンを蒸溜水に溶かした溶液を結合剤にして顆粒化し、ステアリン酸マグネシウムで滑沢し、打錠して製造した。
【0091】
(2)溶出試験
上記で製造されたミチグリニド製剤に対して蒸溜水で溶出試験を実施した。溶出試験方法は前記試験例1と同様に行った。上記で製造されたミチグリニド製剤に対する溶出試験結果を表31(直接打錠処方)および表32(湿式顆粒処方1〜4)に示した(図9参照)。
【0092】
【表31】
【0093】
【表32】
上記で確認されるように、湿式顆粒結合剤を用いて顆粒化した結果、ミチグリニドの初期溶出率が多少低下することを確認することができる。
【0094】
比較試験例1:ミチグリニド単一錠およびメトホルミン単一錠の溶出試験
現在市販されているミチグリニド単一錠とメトホルミン単一錠に対し、各々上記試験例1と同一方法によって溶出試験を実施した。
【0095】
現在市販されているミチグリニド含有製剤(グルファスト、中外製薬)およびメトホルミン含有製剤(グルコファージ、メルク株式会社)の単一錠の溶出パターンを各々確認した。
【0096】
試験の結果、現在市販されているミチグリニドとメトホルミンの単一錠の溶出は互いに異なる様相を示し、ミチグリニド単一錠の溶出は非常に速く、メトホルミン単一錠の溶出はミチグリニド単一錠の溶出に比べて多少遅い溶出パターンを示すことを確認した(図10参照)。
【0097】
比較例1−1〜1−4:ミチグリニドとメトホルミンを共に顆粒化した錠剤の製造
下記の表33〜表36の処方に従い、ミチグリニドとメトホルミン、乳糖、トウモロコシデンプン、結晶セルロースをポビドンK30で顆粒化し、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、軽質無水ケイ酸を後混合して比較例1−1〜1−4の錠剤を製造した。
【0098】
【表33】
*主成分の顆粒時、ポビドンK30 1.5%使用錠剤
【0099】
【表34】
*主成分の顆粒時、ポビドンK30 3.0%使用錠剤
【0100】
【表35】
*主成分の顆粒時、ポビドンK30 6.0%使用錠剤
【0101】
【表36】
*主成分の顆粒時、ポビドンK30 9.0%使用錠剤
【0102】
比較試験例2:比較例1〜4で製造された錠剤の溶出試験
比較例1−1〜1−4で製造された錠剤に対して蒸溜水で溶出試験を実施した。溶出試験方法は前記試験例1と同様に行った。試験の結果、比較例1−1〜1−4において、ミチグリニドとメトホルミンを共に顆粒化した製剤はミチグリニドとメトホルミンの溶出様相が類似し、2つ成分の溶出様相を各々異なるように調節することができなかった(図11および図12参照)。
【0103】
比較例2−1〜2−3:ミチグリニドとメトホルミンを別途に顆粒化して共に打錠した錠剤の製造
下記表37〜39の処方に従い、メトホルミンとヒドロキシプロピルメチルセルロースを流動層造粒機で顆粒化してメトホルミン顆粒を製造し、ミチグリニドと乳糖、トウモロコシデンプン、結晶セルロースを蒸溜水で顆粒化し、低置換ヒドロキシセルロース、ルディプレス、クロスカルメロースナトリウム、グリコール酸デンプンナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、タルクを混合して比較例2−1〜2−3の錠剤を製造した。
【0104】
【表37】
*メトホルミンの顆粒時、ヒドロキシプロピルメチルセルロース50%錠剤処方
【0105】
【表38】
*メトホルミンの顆粒時、ヒドロキシプロピルメチルセルロース100%錠剤処方
【0106】
【表39】
*メトホルミンの顆粒時、ヒドロキシプロピルメチルセルロース200%錠剤処方
【0107】
比較試験例3:比較例2−1〜2−3で製造された錠剤の溶出試験
比較例2−1〜2−3で製造された錠剤に対して蒸溜水で溶出試験を実施した。溶出試験方法としては大韓薬典の溶出試験法中の第2番であるパドル法よって試験を行った。試験の結果、比較例2−1〜2−3の錠剤においては、ミチグリニドとメトホルミンの溶出をそれぞれ異なるように調節することが難しかった(図13および図14参照)。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の実施例1−1〜1−4の多層錠複合製剤中のミチグリニドの溶出試験結果をグラフで示すものである。
【図2】本発明の実施例1−1〜1−4の多層錠複合製剤中のメトホルミンの溶出試験結果をグラフで示すものである。
【図3】本発明の実施例2−1〜2−4のコーティング錠複合製剤中のミチグリニドの溶出試験結果をグラフで示すものである。
【図4】本発明の実施例2−1〜2−4のコーティング錠複合製剤中のメトホルミンの溶出試験結果をグラフで示すものである。
【図5】本発明の実施例3−1〜3−4の核錠複合製剤中のミチグリニドの溶出試験結果をグラフで示すものである。
【図6】本発明の実施例3−1〜3−4の核錠複合製剤中のメトホルミンの溶出試験結果をグラフで示すものである。
【図7】本発明の実施例4−1〜4−4の多層錠複合製剤中のミチグリニドの溶出試験結果をグラフで示すものである。
【図8】本発明の実施例4−1〜4−4の多層錠複合製剤中のメトホルミンの溶出試験結果をグラフで示すものである。
【図9】本発明の実施例5−1〜5−5のミチグリニド単一製剤の溶出試験結果をグラフで示すものである[実施例5−1:直接打錠処方、実施例5−2:湿式顆粒処方−1、実施例5−3:湿式顆粒処方−2、実施例5−4:湿式顆粒処方−3、実施例5−5:湿式顆粒処方−4]。
【図10】現在市販されているミチグリニド単一錠とメトホルミン単一錠に対する各々の溶出試験結果をグラフで示すものである。
【図11】本発明の比較例1−1〜1−4のミチグリニドとメトホルミンを共に顆粒化した錠剤形態の複合製剤中のミチグリニドの溶出試験結果をグラフで示すものである。
【図12】本発明の比較例1−1〜1−4のミチグリニドとメトホルミンを共に顆粒化した錠剤形態の複合製剤中のメトホルミンの溶出試験結果をグラフで示すものである。
【図13】本発明の比較例2−1〜2−3の別途に顆粒化して共に錠剤に打錠した複合製剤中のミチグリニドの溶出試験結果をグラフで示すものである。
【図14】本発明の比較例2−1〜2−3の別途に顆粒化して共に錠剤に打錠した複合製剤中のメトホルミンの溶出試験結果をグラフで示すものである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、糖尿病治療のためのミチグリニドおよびメトホルミンの複合製剤並びにその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ビグアニド(biguanide)系糖尿病治療剤であるメトホルミン(metformin)は、インスリン非依存性真性糖尿病(non−insulindependent diabetes mellitus、NIDDM)の治療に主に用いられる経口用抗過血糖薬物である。メトホルミンの血糖調節メカニズムはインスリン分泌とは無関係に作用し、肝臓でブドウ糖の新合成を抑制するところ、これは、空腹時の血糖濃度を減少させる効果と関連があり、インスリン抵抗性を示すインスリン非依存性(2型)糖尿病患者の1次薬剤として用いることができるが、2型糖尿病患者から見られる食後の急激な血糖上昇の改善には治療効果を示すことができない。
【0003】
現在、メトホルミンは、その塩酸塩として、グルコファージ(GLUCOPHAGE、Bristol−Myers Squibb Company)の錠剤(tablet)形態で市販されている。市販されているグルコファージ錠剤は、500mg、850mg、または1,000mgの塩酸メトホルミンを含有しており、その投与は効能および耐性の両側面を考慮して、1日当たり2,550mgの最大要求容量を超えない範囲内で行われている。
【0004】
最近、経口血糖降下薬の1種であるナテグリニド(nateglinide)、レパグリニド(repaglinide)、およびミチグリニド(mitiglinide)等の速効型インスリン分泌促進薬が提案されており、食後血糖推移の改善に顕著な治療効果を示すことによって注目を浴びている。2型糖尿病患者においては、糖負荷後の早期インスリン分泌の上昇、特に糖負荷後30分間の上昇が不足して健康なヒトに比べてインスリン分泌量が顕著に低いことが知られている。つまり、健康なヒトにブドウ糖を負荷すると、30〜60分間にかけて血糖値が徐々に上昇した後に緩やかに下降するのに反し、糖尿病患者にブドウ糖を負荷すると、インスリン分泌能が低いため、30〜90分間血糖値が急激に上昇するグルコーススパイクの現象が観察される。よって、上記のような食後の早期に、特に30〜60分間に薬効を示すことによって健康なヒトに近い血糖推移を示す薬物が必要である。速効型インスリン分泌促進薬として、特にミチグリニドについては食後血糖推移の改善に顕著な効果を示すことが知られている。
【0005】
現在、ミチグリニドはそのカルシウム水和物の形態として、グルファスト(GLUFAST、Choong−Wae Pharm)の錠剤(tablet)形態で市販されている。市販されているグルファスト錠剤は、5mgまたは10mgのミチグリニドカルシウム水和物を含有しており、その投与は、効能および副作用の両側面を考慮して、単回投与量は5〜45mgの範囲内で行われている。
【0006】
上記のような事実に基づき、抗過血糖薬物として空腹時の血糖濃度を減少させる効果を有するメトホルミン(metformin)と速効型インスリン分泌促進薬として食後血糖推移の改善に顕著な治療効果を示す薬物とを組み合わせて投与する併用療法が試みられており、このような試みの一環としてミチグリニドとメトホルミンの複合処方が行われている。このような併用療法に係る特許として、例えば、国際公開公報第WO2007/56387号には、メトホルミンとミチグリニドを含有する丸剤とカプセル剤について開示されている。
【0007】
一方、メトホルミンとミチグリニドの併用投与において、ミチグリニドは食後急激に上昇する血糖調節のために先ず速めに作用し、メトホルミンは作用メカニズムおよび副作用抑制などの薬物の特性上、ミチグリニドよりは遅めに作用することが好ましいため、併用投与のためのミチグリニドとメトホルミンの複合剤を製造する場合には上記のような薬物の特性を考慮した設計が必要である。特に、複合剤として製造される場合、ミチグリニド成分は5〜10mg含まれ、500〜1000mg含まれるメトホルミンに比べて複合剤全体含量に対して非常に少量で含まれるため、ミチグリニドがメトホルミンよりも先に溶出して作用すべきであるにもかかわらず、多量のメトホルミン成分の間に少量でミチグリニドが共に混ぜられており、メトホルミンによって速めの溶出が阻害され、メトホルミンと類似する溶出パターンを示すようになる。したがって、ミチグリニドが単一製剤として製造された時とは溶出パターンが異なり、同等な効果を示し難い点を考慮しなければならない。
【0008】
しかし、上記にて言及した国際公開公報第WO2007/56387号に開示された発明は、上記のような問題を解決することができずにおり、その改善が求められている。
【特許文献1】国際公開公報第WO2007/56387号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来技術の上記のような問題を改善するためのものであり、複合製剤の主成分であるミチグリニドおよびメトホルミンの各々が、互いに干渉することなく、溶出パターンが相異なるように調節され、それらの単一製剤形態と各々同等または類似の溶出パターンを有すると共に優れた溶出率を示すミチグリニドおよびメトホルミンの複合製剤並びにその製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、上記のようにミチグリニドとメトホルミンの溶出パターンを調節することにより、ミチグリニドが先に作用した後にメトホルミンが作用するようにし、各々の単一剤を服用する場合と少なくとも類似する、食後および空腹時の血糖を調節できる複合製剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、メトホルミン、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物を含有するメトホルミン層;および前記メトホルミン層の外面に形成され、ミチグリニド、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物を含有するミチグリニド層を含み、前記ミチグリニド層中のミチグリニド成分の溶出率が、服用後30分以内に85%以上であることを特徴とするミチグリニドおよびメトホルミンの複合製剤を提供する。
【0012】
本発明の複合製剤において、前記ミチグリニド成分はメトホルミン成分より30分以内の溶出率がさらに高いことを特徴とする。また、メトホルミン成分の溶出率は60分以内に85%以上であることが好ましい。
【0013】
本発明の複合製剤において、前記メトホルミン層は、メトホルミン、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物と共に薬剤学的に許容可能な担体をさらに含んで顆粒化し、打錠した層であり、前記ミチグリニド層は、ミチグリニド、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物と共に薬剤学的に許容可能な担体をさらに含んで直接打錠した層であることを特徴とする。
【0014】
前記において、顆粒化し、打錠したメトホルミン層が1つの層を形成し、直接打錠したミチグリニド層が1つの層を形成して2層型に製造することが好ましい。
【0015】
また、本発明の複合製剤において、前記メトホルミン層は、メトホルミン、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物と共に薬剤学的に許容可能な担体をさらに含んで錠剤形態で含まれ;前記ミチグリニド層は、ミチグリニド、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物と共に薬剤学的に許容可能な担体をさらに含み、前記錠剤形態の外面にコーティング層を形成することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の複合製剤において、前記メトホルミン層は、メトホルミン、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物と共に薬剤学的に許容可能な担体をさらに含んで内核形態で含まれ;前記ミチグリニド層は、ミチグリニド、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物と共に薬剤学的に許容可能な担体をさらに含み、前記内核形態の外面に層を形成することを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、メトホルミン、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物を薬剤学的に許容可能な担体と共に顆粒に製造して打錠する第1ステップ;およびミチグリニド、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物を薬剤学的に許容可能な担体と共に直接打錠する第2ステップを含むミチグリニドおよびメトホルミンの複合製剤の製造方法を提供する。
【0018】
前記ミチグリニドおよびメトホルミンの複合剤を製造する時、ミチグリニドに比べてメトホルミンの含量が多量に含まれるため、メトホルミン含有層を顆粒化して先に打錠し、その後にミチグリニド含有層を直接打錠することが好ましいが、それに限定されるものではなく、前記複合製剤の製造においてメトホルミンとミチグリニドの打錠ステップが変わっても構わない。
【0019】
前記製造方法は、第1段階では顆粒形態が1つ以上の層を形成し、第2段階では直接打錠で製造された形態が1つ以上の層を形成して多層型に製造することを特徴とする。
【0020】
また、前記の第1段階では顆粒形態が1つの層を形成し、第2段階では直接打錠された形態が1つの層を形成して2層型に製造することがより好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明のミチグリニドおよびメトホルミン含有経口用組成物は、主成分であるミチグリニドおよびメトホルミンが互いに干渉することなく、各々の単一製剤と比較して同等または類似の溶出パターンと、優れた溶出率を示すので、食後に発生する急激な血糖上昇を改善し、その後の空腹時の血糖値を正常値に維持する効果に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は、メトホルミン、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物を含有するメトホルミン層;および前記メトホルミン層の外面に形成され、ミチグリニド、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物を含有するミチグリニド層を含み、前記ミチグリニド層中のミチグリニド成分の溶出率が、服用後30分以内に85%以上であることを特徴とするミチグリニドおよびメトホルミンの複合製剤に関するものである。
【0023】
本発明において、ミチグリニド成分はメトホルミンの成分によって干渉されることなく、ミチグリニド単一製剤と同等または類似の溶出パターンを示し、メトホルミン成分もまたメトホルミン単一製剤と同等または類似の溶出パターンを示すことを特徴とする。
【0024】
前記ミチグリニド[化学名:(2S)−2−ベンジル−3−(シス−ヘキサヒドロ−2−イソインドリニルカルボニル)プロピオン酸]は非スルホニル尿素剤であり、下記化学式1で示される化学構造式を有する速効型インスリン分泌促進薬である。
【0025】
【化1】
本発明においてミチグリニド成分は、ミチグリニド、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物の形態で含まれ、この中でも下記の化学式2で表記されるミチグリニドカルシウム水和物が好ましく用いられ得る。
【0026】
【化2】
本発明において、メトホルミン(metformin)成分は、ビグアニド(biguanide)系糖尿病治療剤としてインスリン非依存性真性糖尿病(non−insulindependent diabetes mellitus、NIDDM)の治療に主に用いられる経口用抗過血糖薬物であり、下記化学式3で示される化学構造式を有する。
【0027】
【化3】
本発明において、メトホルミン成分は、メトホルミン、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物の形態で含まれ、この中でも塩の形態、例えばメトホルミン塩酸塩、メトホルミンコハク酸塩、メトホルミンフマル酸塩、メトホルミン臭素酸塩、メトホルミンp−クロロフェノキシ酢酸塩、またはメトホルミンエンボン酸塩などが多く用いられ、好ましくは下記の化学式4で示されるメトホルミン塩酸塩が用いられ得る。
【化4】
【0028】
本発明の複合製剤において、前記ミチグリニド成分はメトホルミン成分より30分以内の溶出率がさらに高いことを特徴とする。ミチグリニド成分の溶出率は30分以内に85%以上であることが好ましく、メトホルミン成分の溶出率は60分以内に85%以上であることが好ましい。このような範囲で食後のインスリン分泌促進が好ましく行われ得る。
【0029】
本発明の複合製剤において、ミチグリニド、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物:メトホルミン、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物の重量比率は1:10〜200、好ましくは1:15〜100、最も好ましくは1:20〜70であることを特徴とする。
【0030】
本発明の複合製剤は当該分野にて用いられる全ての形態に製造することができるが、錠剤に製造することが好ましい。
【0031】
特に、本発明の複合製剤において、前記メトホルミン層は、メトホルミン、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物と共に薬剤学的に許容可能な担体をさらに含んで顆粒化し、打錠した層であり、前記ミチグリニド層は、粉末状に形成されたミチグリニド、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物と共に薬剤学的に許容可能な担体をさらに含んで直接打錠した層であることが好ましい。
【0032】
上記のような層を形成する場合には、ミチグリニド成分およびメトホルミン成分の溶出において薬物相互間の干渉を避けることができ、前記薬物各々の作用機序および用途特性に合わせて溶出を調節するのに有利である。
【0033】
また、上記で顆粒化して打錠したメトホルミン層が1つの層を形成し、直接打錠したミチグリニド層が1つの層を形成して2層型に製造することがより好ましい。
【0034】
上記で各層は圧力による打錠方法を通して複合剤として製造され、打錠時の圧力範囲は0.5ton〜3tonが好ましいが、1ton〜2.5tonがより好ましい。
【0035】
前記顆粒化して打錠した層であるメトホルミン層は、メトホルミン、薬剤学的に許容可能なその塩またはその水和物を10〜98重量%、および薬剤学的に許容可能な担体として、賦形剤、滑沢剤、崩壊剤から、および結合剤からなる群から選択される1種以上の成分を含むことを特徴とする。
上記で薬剤学的に許容可能な担体として、賦形剤、滑沢剤、崩壊剤から、および結合剤からなる群から選択される1種以上の成分は2〜90重量%で含まれることができる。
【0036】
上記で賦形剤としては、結晶セルロースまたはセルロース誘導体、トウモロコシデンプン、シクロデキストリン、沈降炭酸カルシウム、ポリビニルアルコール、リン酸水素カルシウム、グリコール酸デンプンナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、乳糖、マンニトールなどが含まれ、滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、軽質無水ケイ酸、コンプリトール、ステアリン酸、タルクなどが含まれ、崩壊剤としては、クロスカルメロースナトリウム、グリコール酸デンプンナトリウム、クロスポビドン、トウモロコシデンプン、アルギン酸、ナトリウムアルギネート、カルボキシメチルセルロースマグネシウムおよびアルミニウムシリケート、炭酸水素ナトリウムなどが含まれることができる。また、結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ユードラジット、ワックス、カルボマーなどが含まれることができる。
【0037】
また、前記直接打錠した層であるミチグリニド層は、ミチグリニド、薬剤学的に許容可能なその塩またはその水和物を0.1〜50重量%、および薬剤学的に許容可能な担体として、賦形剤、滑沢剤、および崩壊剤からなる群から選択される1種以上の成分を含むことを特徴とする。
上記で薬剤学的に許容可能な担体として、賦形剤、滑沢剤、および崩壊剤からなる群から選択される1種以上の成分は50〜99.90重量%で含まれることができる。
【0038】
上記で賦形剤としては、ルディプレス、結晶セルロースまたはセルロース誘導体、トウモロコシデンプン、シクロデキストリン、沈降炭酸カルシウム、ポリビニルアルコール、リン酸水素カルシウム、グリコール酸デンプンナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、乳糖、マンニトールなどが含まれ、滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、軽質無水ケイ酸、コンプリトール、ステアリン酸、タルク、ラウリン酸硫酸ナトリウムなどが含まれ、崩壊剤としては、クロスカルメロースナトリウム、グリコール酸デンプンナトリウム、クロスポビドン、トウモロコシデンプン、アルギン酸、ナトリウムアルギネート、カルボキシメチルセルロースマグネシウムおよびアルミニウムシリケート、炭酸水素ナトリウムなどが含まれることができる。
【0039】
本発明の複合製剤において、前記薬剤学的に許容可能な担体は、上記に例示されたものの他に当該分野で用いられる通常のものをさらに含むことができる。
【0040】
本発明はミチグリニドおよびメトホルミンの複合製剤であり、上記でミチグリニド成分およびメトホルミンの成分は互いによって干渉されることなく、各々の溶出パターンが相異なるように調節され、ミチグリニドおよびメトホルミンの単一製剤と同等または類似の溶出パターンと優れた溶出率を示すことを特徴とするので、公知のミチグリニド単一製剤の組成および公知のメトホルミン単一製剤の組成をそのまま用いることも可能である。
【0041】
本発明の複合製剤において、前記メトホルミン層は、メトホルミン、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物と共に薬剤学的に許容可能な担体をさらに含んで錠剤形態で含まれ;前記ミチグリニド層は、ミチグリニド、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物と共に薬剤学的に許容可能な担体をさらに含み、前記錠剤形態の外面にコーティング層を形成することもできる。上記のような層を形成する場合には、ミチグリニド成分およびメトホルミン成分の溶出において薬物相互間の干渉を避けることができ、上記薬物各々の作用機序および用途特性に合わせて溶出を調節するのに有利である。
【0042】
また、前記メトホルミン層は、メトホルミン、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物と共に薬剤学的に許容可能な担体をさらに含んで内核形態で含まれ;前記ミチグリニド層は、ミチグリニド、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物と共に薬剤学的に許容可能な担体をさらに含み、前記内核形態の外面に層を形成することもできる。上記のような層を形成する場合には、ミチグリニド成分およびメトホルミン成分の溶出において薬物相互間の干渉を避けることができ、上記薬物各々の作用機序および用途特性に合わせて溶出を調節するのに有利である。
【0043】
上記で言及した錠剤形態、コーティング層、内核形態、および外面層の組成は、当該分野で通常用いられるものであれば、特に制限なく適用されることができる。
【0044】
また、本発明は、メトホルミン、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物を薬剤学的に許容可能な担体と共に顆粒に製造して打錠する第1ステップ;およびミチグリニド、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物を薬剤学的に許容可能な担体と共に直接打錠する第2ステップを含むミチグリニドおよびメトホルミンの複合製剤の製造方法に関するものである。
【0045】
前記ミチグリニドおよびメトホルミンの複合剤を製造する時、ミチグリニドに比べてメトホルミンの含量が多量に含まれるため、メトホルミン含有層を顆粒化して先に打錠し、その後にミチグリニド含有層を直接打錠することが好ましいが、それに限定されるものではなく、前記複合製剤の製造においてメトホルミンとミチグリニドの打錠ステップが変わっても構わない。
【0046】
前記製造方法は、第1段階では顆粒形態が1つ以上の層を形成し、第2段階では直接打錠で製造された形態が1つ以上の層を形成して多層型に製造されることを特徴とする。
【0047】
また、前記第1段階では顆粒形態が1つの層を形成し、第2段階では直接打錠された形態が1つの層を形成して2層型に製造することが好ましい。
【0048】
上記で各層は圧力による打錠方法を通して複合剤として製造され、打錠時の圧力範囲は0.5ton〜3tonが好ましいが、1ton〜2.5tonがより好ましい。
【0049】
本発明の薬学的組成物は経口投与形態で服用することができる。本発明のミチグリニドおよびメトホルミンの複合製剤の好ましい投与量は、患者の状態および体重、疾病の程度、薬物形態、および期間によって異なるが、当業者によって適切に選択され得る。好ましい投与量は、単回投与量がミチグリニド5〜22mg/メトホルミン250〜1000mgの範囲内で可能であり、投与は1日に1回行うことができ、数回行うこともできる。
【実施例】
【0050】
以下、本発明について実施例および試験例を用いてより詳細に説明する。しかし、下記実施例および試験例は本発明を例示するためのものであって、本発明はそれらによって限定されず、様々な修正および変更が可能である。下記の実施例、試験例、比較例及び比較試験例で用いられたミチグリニドはミチグリニド水和物であり、メトホルミンはメトホルミン塩酸塩である。
【0051】
実施例1−1〜1−4:ミチグリニドとメトホルミンの多層錠(2層錠)の製造
下記表3〜4によって製造されたメトホルミン組成物を顆粒化して打錠し、表1〜2によって製造されたミチグリニド組成物を粉末に直接打錠して下記表5によって2層錠(実施例1−1〜1−4)を製造した。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】
【表5】
【0057】
試験例1:実施例1−1〜1−4で製造された多層錠の溶出試験
実施例1−1〜1−3で製造された錠剤に対して蒸溜水で溶出試験を実施した。試験の結果、実施例1−1〜1−3の錠剤において、各層は相互間の溶出率に影響を与えることなく、ミチグリニドとメトホルミンの溶出をそれぞれ異なるように調節することが可能であった。つまり、ミチグリニドの溶出率は30分以内に85%以上であり、メトホルミンはミチグリニドが溶出した後に85%以上放出された。(図1および図2参照)。
【0058】
実施例2−1〜2−4:メトホルミン錠剤にミチグリニドをコーティングしたコーティング錠の製造
表10の処方に従い、表6〜7によって製造されたミチグリニド組成物で、表8〜9によって製造されたメトホルミン錠剤をコーティングして実施例2−1〜2−4のコーティング錠を製造した。
【0059】
【表6】
【0060】
【表7】
【0061】
【表8】
【0062】
【表9】
【0063】
【表10】
【0064】
試験例2:実施例2−1〜2−4で製造されたコーティング錠の溶出試験
実施例2−1〜2−4で製造された錠剤に対して蒸溜水で溶出試験を実施した。溶出試験方法は前記試験例1と同様に行った。試験の結果、実施例2−1〜2−4のコーティング錠において、錠剤部とコーティング部は相互間の溶出率に影響を与えることなく、ミチグリニドとメトホルミンの溶出をそれぞれ異なるように調節することが可能であった(図3および図4参照)。
【0065】
実施例3−1〜3−4:ミチグリニドとメトホルミンの核錠製造
表15の処方に従い、表11〜12によって製造されたミチグリニド組成物を外部層にし、表13〜14によって製造されたメトホルミン組成物を内核にして実施例3−1〜3−4の核錠を製造した。
【0066】
【表11】
【0067】
【表12】
【0068】
【表13】
【0069】
【表14】
【0070】
【表15】
【0071】
試験例3:実施例3−1〜3−4で製造された核錠の溶出試験
実施例3−1〜3−4で製造された錠剤に対して蒸溜水で溶出試験を実施した。溶出試験方法は前記試験例1と同様に行った。試験の結果、実施例3−1〜3−4の核錠において、ミチグリニドからなる外部層とメトホルミンからなる内核は相互間の溶出率に影響を与えることなく、ミチグリニドとメトホルミンの溶出をそれぞれ異なるように調節することが可能であった(図5および図6参照)。
【0072】
実施例4−1〜4−4:メトホルミンの溶出様相は単一剤のように調節し、ミチグリニドの溶出率を調節したミチグリニドとメトホルミンの多層錠製造
下記表20によって製造されたメトホルミン組成物は顆粒して打錠し、表16〜19によって製造されたミチグリニド組成物は粉末に直接打錠し、下記表21によってミチグリニド層とメトホルミン層に圧力を加えて打錠した2層錠(実施例4−1〜4−4)を製造した。
【0073】
【表16】
【0074】
【表17】
【0075】
【表18】
【0076】
【表19】
【0077】
【表20】
【0078】
【表21】
【0079】
試験例4:実施例4−1〜4−4で製造された多層錠の溶出試験
実施例4−1〜4−4で製造された錠剤に対して蒸溜水で溶出試験を実施した。溶出試験方法は前記試験例1と同様に行った。実施例4−1〜4−4の試験結果は各々表22〜25に示した(図7および図8参照)。
【0080】
【表22】
【0081】
【表23】
【0082】
【表24】
【0083】
【表25】
【0084】
試験例5:実施例4−1〜4−4の多層錠の食後血糖低下能の比較
実施例4−1、4−2、4−3、4−4の多層錠を糖尿があるラットに投与して食後血糖低下能を評価した。その結果、ミチグリニドの30分溶出率が85%以上である実施例4−1、4−2の多層錠においては食後血糖値を正常に下げる効果が確認されたが、30分溶出率が85%未満である実施例4−3、4−4の多層錠においては食後血糖値を正常に下げることができないことが確認された。
【0085】
試験例6:ミチグリニド単一製剤形態による溶出率の比較
(1)ミチグリニド単一製剤の製造
ミチグリニド単一製剤形態による溶出率を調べるために、直接打錠処方(表26)、湿式顆粒処方−1(表27)、湿式顆粒処方−2(表28)、湿式顆粒処方−3(表29)、および湿式顆粒処方−4(表30)に従ってミチグリニド製剤を各々製造した。
【0086】
【表26】
−製造方法:ミチグリニド、直打(直接打錠)用乳糖、グリコール酸デンプンナトリウム及び微結晶セルロースを、低置換ヒドロキシプロピルセルロースを蒸留水に溶かした溶液を結合剤にして混合した後、ステアリン酸マグネシウムで滑沢し、打錠して製造した。
【0087】
【表27】
−製造方法:ミチグリニド、乳糖、グリコール酸デンプンナトリウム及び微結晶セルロースを、低置換ヒドロキシプロピルセルロースを蒸溜水に溶かした溶液を結合剤にして顆粒化し、ステアリン酸マグネシウムで滑沢し、打錠して製造した。
【0088】
【表28】
−製造方法:ミチグリニド、乳糖、グリコール酸デンプンナトリウム及び微結晶セルロースを、ヒドロキシプロピルセルロースを蒸溜水に溶かした溶液を結合剤にして顆粒化し、ステアリン酸マグネシウムで滑沢し、打錠して製造した。
【0089】
【表29】
−製造方法:ミチグリニド、乳糖、グリコール酸デンプンナトリウム、微結晶セルロース、アルファー化デンプンを蒸溜水に溶かした溶液を結合剤にして顆粒化し、ステアリン酸マグネシウムで滑沢し、打錠して製造した。
【0090】
【表30】
−製造方法:ミチグリニド、乳糖、グリコール酸デンプンナトリウム、微結晶セルロース、ポビドンを蒸溜水に溶かした溶液を結合剤にして顆粒化し、ステアリン酸マグネシウムで滑沢し、打錠して製造した。
【0091】
(2)溶出試験
上記で製造されたミチグリニド製剤に対して蒸溜水で溶出試験を実施した。溶出試験方法は前記試験例1と同様に行った。上記で製造されたミチグリニド製剤に対する溶出試験結果を表31(直接打錠処方)および表32(湿式顆粒処方1〜4)に示した(図9参照)。
【0092】
【表31】
【0093】
【表32】
上記で確認されるように、湿式顆粒結合剤を用いて顆粒化した結果、ミチグリニドの初期溶出率が多少低下することを確認することができる。
【0094】
比較試験例1:ミチグリニド単一錠およびメトホルミン単一錠の溶出試験
現在市販されているミチグリニド単一錠とメトホルミン単一錠に対し、各々上記試験例1と同一方法によって溶出試験を実施した。
【0095】
現在市販されているミチグリニド含有製剤(グルファスト、中外製薬)およびメトホルミン含有製剤(グルコファージ、メルク株式会社)の単一錠の溶出パターンを各々確認した。
【0096】
試験の結果、現在市販されているミチグリニドとメトホルミンの単一錠の溶出は互いに異なる様相を示し、ミチグリニド単一錠の溶出は非常に速く、メトホルミン単一錠の溶出はミチグリニド単一錠の溶出に比べて多少遅い溶出パターンを示すことを確認した(図10参照)。
【0097】
比較例1−1〜1−4:ミチグリニドとメトホルミンを共に顆粒化した錠剤の製造
下記の表33〜表36の処方に従い、ミチグリニドとメトホルミン、乳糖、トウモロコシデンプン、結晶セルロースをポビドンK30で顆粒化し、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、軽質無水ケイ酸を後混合して比較例1−1〜1−4の錠剤を製造した。
【0098】
【表33】
*主成分の顆粒時、ポビドンK30 1.5%使用錠剤
【0099】
【表34】
*主成分の顆粒時、ポビドンK30 3.0%使用錠剤
【0100】
【表35】
*主成分の顆粒時、ポビドンK30 6.0%使用錠剤
【0101】
【表36】
*主成分の顆粒時、ポビドンK30 9.0%使用錠剤
【0102】
比較試験例2:比較例1〜4で製造された錠剤の溶出試験
比較例1−1〜1−4で製造された錠剤に対して蒸溜水で溶出試験を実施した。溶出試験方法は前記試験例1と同様に行った。試験の結果、比較例1−1〜1−4において、ミチグリニドとメトホルミンを共に顆粒化した製剤はミチグリニドとメトホルミンの溶出様相が類似し、2つ成分の溶出様相を各々異なるように調節することができなかった(図11および図12参照)。
【0103】
比較例2−1〜2−3:ミチグリニドとメトホルミンを別途に顆粒化して共に打錠した錠剤の製造
下記表37〜39の処方に従い、メトホルミンとヒドロキシプロピルメチルセルロースを流動層造粒機で顆粒化してメトホルミン顆粒を製造し、ミチグリニドと乳糖、トウモロコシデンプン、結晶セルロースを蒸溜水で顆粒化し、低置換ヒドロキシセルロース、ルディプレス、クロスカルメロースナトリウム、グリコール酸デンプンナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、タルクを混合して比較例2−1〜2−3の錠剤を製造した。
【0104】
【表37】
*メトホルミンの顆粒時、ヒドロキシプロピルメチルセルロース50%錠剤処方
【0105】
【表38】
*メトホルミンの顆粒時、ヒドロキシプロピルメチルセルロース100%錠剤処方
【0106】
【表39】
*メトホルミンの顆粒時、ヒドロキシプロピルメチルセルロース200%錠剤処方
【0107】
比較試験例3:比較例2−1〜2−3で製造された錠剤の溶出試験
比較例2−1〜2−3で製造された錠剤に対して蒸溜水で溶出試験を実施した。溶出試験方法としては大韓薬典の溶出試験法中の第2番であるパドル法よって試験を行った。試験の結果、比較例2−1〜2−3の錠剤においては、ミチグリニドとメトホルミンの溶出をそれぞれ異なるように調節することが難しかった(図13および図14参照)。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の実施例1−1〜1−4の多層錠複合製剤中のミチグリニドの溶出試験結果をグラフで示すものである。
【図2】本発明の実施例1−1〜1−4の多層錠複合製剤中のメトホルミンの溶出試験結果をグラフで示すものである。
【図3】本発明の実施例2−1〜2−4のコーティング錠複合製剤中のミチグリニドの溶出試験結果をグラフで示すものである。
【図4】本発明の実施例2−1〜2−4のコーティング錠複合製剤中のメトホルミンの溶出試験結果をグラフで示すものである。
【図5】本発明の実施例3−1〜3−4の核錠複合製剤中のミチグリニドの溶出試験結果をグラフで示すものである。
【図6】本発明の実施例3−1〜3−4の核錠複合製剤中のメトホルミンの溶出試験結果をグラフで示すものである。
【図7】本発明の実施例4−1〜4−4の多層錠複合製剤中のミチグリニドの溶出試験結果をグラフで示すものである。
【図8】本発明の実施例4−1〜4−4の多層錠複合製剤中のメトホルミンの溶出試験結果をグラフで示すものである。
【図9】本発明の実施例5−1〜5−5のミチグリニド単一製剤の溶出試験結果をグラフで示すものである[実施例5−1:直接打錠処方、実施例5−2:湿式顆粒処方−1、実施例5−3:湿式顆粒処方−2、実施例5−4:湿式顆粒処方−3、実施例5−5:湿式顆粒処方−4]。
【図10】現在市販されているミチグリニド単一錠とメトホルミン単一錠に対する各々の溶出試験結果をグラフで示すものである。
【図11】本発明の比較例1−1〜1−4のミチグリニドとメトホルミンを共に顆粒化した錠剤形態の複合製剤中のミチグリニドの溶出試験結果をグラフで示すものである。
【図12】本発明の比較例1−1〜1−4のミチグリニドとメトホルミンを共に顆粒化した錠剤形態の複合製剤中のメトホルミンの溶出試験結果をグラフで示すものである。
【図13】本発明の比較例2−1〜2−3の別途に顆粒化して共に錠剤に打錠した複合製剤中のミチグリニドの溶出試験結果をグラフで示すものである。
【図14】本発明の比較例2−1〜2−3の別途に顆粒化して共に錠剤に打錠した複合製剤中のメトホルミンの溶出試験結果をグラフで示すものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メトホルミン、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物を含有するメトホルミン層;および前記メトホルミン層の外面に形成され、ミチグリニド、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物を含有するミチグリニド層を含み、前記ミチグリニド層中のミチグリニド成分の溶出率が、服用後30分以内に85%以上であることを特徴とするミチグリニドおよびメトホルミンの複合製剤。
【請求項2】
前記ミチグリニド成分が、メトホルミン成分より30分以内の溶出率がさらに高いことを特徴とする、請求項1に記載のミチグリニドおよびメトホルミンの複合製剤。
【請求項3】
前記メトホルミン層が、メトホルミン、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物と共に薬剤学的に許容可能な担体をさらに含んで顆粒化し、打錠した層であり、前記ミチグリニド層が、ミチグリニド、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物と共に薬剤学的に許容可能な担体をさらに含んで直接打錠した層であることを特徴とする、請求項1に記載のミチグリニドおよびメトホルミンの複合製剤。
【請求項4】
前記顆粒化して打錠した層であるメトホルミン層が、メトホルミン、薬剤学的に許容可能なその塩またはその水和物を10〜98重量%、および薬剤学的に許容可能な担体として、賦形剤、滑沢剤、崩壊剤、および結合剤からなる群から選択される1種以上の成分を含むことを特徴とする、請求項3に記載のミチグリニドおよびメトホルミンの複合製剤。
【請求項5】
前記顆粒化して打錠した層であるメトホルミン層が、メトホルミン、薬剤学的に許容可能なその塩またはその水和物を10〜98重量%、および薬剤学的に許容可能な担体として、賦形剤、滑沢剤、崩壊剤、および結合剤からなる群から選択される1種以上の成分を2〜90重量%を含むことを特徴とする、請求項4に記載のミチグリニドおよびメトホルミンの複合製剤。
【請求項6】
前記賦形剤が、乳糖、マンニトール、結晶ソルビン酸、アルファー化デンプン、微結晶セルロース、セルロース誘導体、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、およびリン酸水素カルシウムを含み、滑沢剤が、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、ラウリン酸硫酸ナトリウム、および軽質無水ケイ酸を含み、崩壊剤が、グリコール酸デンプンナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、およびクロスポビドンを含み、結合剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびその誘導体、ポビドン、ユードラジット、ヒドロキシプロピルセルロース、アルファー化デンプン、およびトウモロコシデンプンを含むことを特徴とする、請求項5に記載のミチグリニドおよびメトホルミンの複合製剤。
【請求項7】
前記直接打錠した層であるミチグリニド層が、ミチグリニド、薬剤学的に許容可能なその塩またはその水和物を0.1〜50重量%、および薬剤学的に許容可能な担体として、賦形剤、滑沢剤、および崩壊剤からなる群から選択される1種以上の成分を含むことを特徴とする、請求項3に記載のミチグリニドおよびメトホルミンの複合製剤。
【請求項8】
前記直接打錠した層であるミチグリニド層が、メトホルミン、薬剤学的に許容可能なその塩またはその水和物を0.1〜50重量%、および薬剤学的に許容可能な担体として、賦形剤、滑沢剤、および崩壊剤からなる群から選択される1種以上の成分を50〜99.90重量%含むことを特徴とする、請求項7に記載のミチグリニドおよびメトホルミンの複合製剤。
【請求項9】
前記賦形剤が、ルディプレス、乳糖、マンニトール、結晶ソルビン酸、アルファー化デンプン、微結晶セルロース、セルロース誘導体、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、およびリン酸水素カルシウムを含み、滑沢剤が、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、ラウリン酸硫酸ナトリウム、および軽質無水ケイ酸を含み、崩壊剤が、グリコール酸デンプンナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、およびクロスポビドンを含むことを特徴とする、請求項8に記載のミチグリニドおよびメトホルミンの複合製剤。
【請求項10】
前記メトホルミン層が、メトホルミン、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物と共に薬剤学的に許容可能な担体をさらに含んで錠剤形態で含まれ;前記ミチグリニド層が、ミチグリニド、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物と共に薬剤学的に許容可能な担体をさらに含み、前記錠剤形態の外面にコーティング層を形成することを特徴とする、請求項1に記載のミチグリニドおよびメトホルミンの複合製剤。
【請求項11】
前記メトホルミン層が、メトホルミン、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物と共に薬剤学的に許容可能な担体をさらに含んで内核形態で含まれ;前記ミチグリニド層が、ミチグリニド、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物と共に薬剤学的に許容可能な担体をさらに含み、前記内核形態の外面に層を形成することを特徴とする、請求項1に記載のミチグリニドおよびメトホルミンの複合製剤。
【請求項12】
ミチグリニド、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物がミチグリニドカルシウム水和物であることを特徴とする、請求項1に記載のミチグリニドおよびメトホルミンの複合製剤。
【請求項13】
メトホルミン、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物がメトホルミン塩酸塩であることを特徴とする、請求項1に記載のミチグリニドおよびメトホルミンの複合製剤。
【請求項14】
メトホルミン、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物を薬剤学的に許容可能な担体と共に顆粒に製造して打錠する第1ステップ;およびミチグリニド、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物を薬剤学的に許容可能な担体と共に直接打錠する第2ステップを含むミチグリニドおよびメトホルミンの複合製剤の製造方法。
【請求項15】
前記第1ステップでは顆粒形態が1つ以上の層を形成し、第2ステップでは直接打錠で製造された形態が1つ以上の層を形成して多層型に製造することを特徴とする、請求項14に記載のミチグリニドおよびメトホルミンの複合製剤の製造方法。
【請求項1】
メトホルミン、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物を含有するメトホルミン層;および前記メトホルミン層の外面に形成され、ミチグリニド、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物を含有するミチグリニド層を含み、前記ミチグリニド層中のミチグリニド成分の溶出率が、服用後30分以内に85%以上であることを特徴とするミチグリニドおよびメトホルミンの複合製剤。
【請求項2】
前記ミチグリニド成分が、メトホルミン成分より30分以内の溶出率がさらに高いことを特徴とする、請求項1に記載のミチグリニドおよびメトホルミンの複合製剤。
【請求項3】
前記メトホルミン層が、メトホルミン、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物と共に薬剤学的に許容可能な担体をさらに含んで顆粒化し、打錠した層であり、前記ミチグリニド層が、ミチグリニド、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物と共に薬剤学的に許容可能な担体をさらに含んで直接打錠した層であることを特徴とする、請求項1に記載のミチグリニドおよびメトホルミンの複合製剤。
【請求項4】
前記顆粒化して打錠した層であるメトホルミン層が、メトホルミン、薬剤学的に許容可能なその塩またはその水和物を10〜98重量%、および薬剤学的に許容可能な担体として、賦形剤、滑沢剤、崩壊剤、および結合剤からなる群から選択される1種以上の成分を含むことを特徴とする、請求項3に記載のミチグリニドおよびメトホルミンの複合製剤。
【請求項5】
前記顆粒化して打錠した層であるメトホルミン層が、メトホルミン、薬剤学的に許容可能なその塩またはその水和物を10〜98重量%、および薬剤学的に許容可能な担体として、賦形剤、滑沢剤、崩壊剤、および結合剤からなる群から選択される1種以上の成分を2〜90重量%を含むことを特徴とする、請求項4に記載のミチグリニドおよびメトホルミンの複合製剤。
【請求項6】
前記賦形剤が、乳糖、マンニトール、結晶ソルビン酸、アルファー化デンプン、微結晶セルロース、セルロース誘導体、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、およびリン酸水素カルシウムを含み、滑沢剤が、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、ラウリン酸硫酸ナトリウム、および軽質無水ケイ酸を含み、崩壊剤が、グリコール酸デンプンナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、およびクロスポビドンを含み、結合剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびその誘導体、ポビドン、ユードラジット、ヒドロキシプロピルセルロース、アルファー化デンプン、およびトウモロコシデンプンを含むことを特徴とする、請求項5に記載のミチグリニドおよびメトホルミンの複合製剤。
【請求項7】
前記直接打錠した層であるミチグリニド層が、ミチグリニド、薬剤学的に許容可能なその塩またはその水和物を0.1〜50重量%、および薬剤学的に許容可能な担体として、賦形剤、滑沢剤、および崩壊剤からなる群から選択される1種以上の成分を含むことを特徴とする、請求項3に記載のミチグリニドおよびメトホルミンの複合製剤。
【請求項8】
前記直接打錠した層であるミチグリニド層が、メトホルミン、薬剤学的に許容可能なその塩またはその水和物を0.1〜50重量%、および薬剤学的に許容可能な担体として、賦形剤、滑沢剤、および崩壊剤からなる群から選択される1種以上の成分を50〜99.90重量%含むことを特徴とする、請求項7に記載のミチグリニドおよびメトホルミンの複合製剤。
【請求項9】
前記賦形剤が、ルディプレス、乳糖、マンニトール、結晶ソルビン酸、アルファー化デンプン、微結晶セルロース、セルロース誘導体、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、およびリン酸水素カルシウムを含み、滑沢剤が、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、ラウリン酸硫酸ナトリウム、および軽質無水ケイ酸を含み、崩壊剤が、グリコール酸デンプンナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、およびクロスポビドンを含むことを特徴とする、請求項8に記載のミチグリニドおよびメトホルミンの複合製剤。
【請求項10】
前記メトホルミン層が、メトホルミン、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物と共に薬剤学的に許容可能な担体をさらに含んで錠剤形態で含まれ;前記ミチグリニド層が、ミチグリニド、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物と共に薬剤学的に許容可能な担体をさらに含み、前記錠剤形態の外面にコーティング層を形成することを特徴とする、請求項1に記載のミチグリニドおよびメトホルミンの複合製剤。
【請求項11】
前記メトホルミン層が、メトホルミン、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物と共に薬剤学的に許容可能な担体をさらに含んで内核形態で含まれ;前記ミチグリニド層が、ミチグリニド、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物と共に薬剤学的に許容可能な担体をさらに含み、前記内核形態の外面に層を形成することを特徴とする、請求項1に記載のミチグリニドおよびメトホルミンの複合製剤。
【請求項12】
ミチグリニド、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物がミチグリニドカルシウム水和物であることを特徴とする、請求項1に記載のミチグリニドおよびメトホルミンの複合製剤。
【請求項13】
メトホルミン、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物がメトホルミン塩酸塩であることを特徴とする、請求項1に記載のミチグリニドおよびメトホルミンの複合製剤。
【請求項14】
メトホルミン、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物を薬剤学的に許容可能な担体と共に顆粒に製造して打錠する第1ステップ;およびミチグリニド、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその水和物を薬剤学的に許容可能な担体と共に直接打錠する第2ステップを含むミチグリニドおよびメトホルミンの複合製剤の製造方法。
【請求項15】
前記第1ステップでは顆粒形態が1つ以上の層を形成し、第2ステップでは直接打錠で製造された形態が1つ以上の層を形成して多層型に製造することを特徴とする、請求項14に記載のミチグリニドおよびメトホルミンの複合製剤の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2011−516544(P2011−516544A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−503905(P2011−503905)
【出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【国際出願番号】PCT/KR2009/001809
【国際公開番号】WO2009/125975
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(000104560)キッセイ薬品工業株式会社 (78)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【国際出願番号】PCT/KR2009/001809
【国際公開番号】WO2009/125975
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(000104560)キッセイ薬品工業株式会社 (78)
【Fターム(参考)】
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