説明

ムスカリン性アセチルコリン受容体アンタゴニスト

ムスカリン性アセチルコリン受容体アンタゴニストおよびそれらを使用する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なアゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタン誘導体、医薬組成物、および気道におけるムスカリン性アセチルコリン受容体介在疾患を治療するためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
末梢および中枢神経系のコリン作動性神経から放出されるアセチルコリンは、アセチルコリン受容体の2種類の主要なクラス、すなわちニコチン性アセチルコリン受容体およびムスカリン性アセチルコリン受容体との相互作用を通して多くの異なる生物過程に影響を及ぼす。ムスカリン性アセチルコリン受容体(mAChR)は、7つの膜貫通ドメインを有するGタンパク質結合受容体のスーパーファミリーに属する。M〜Mと称される5種類のmAChRのサブタイプがあり、各々は別個の遺伝子の産物である。これらの5種類のサブタイプの各々は、独特な薬理学的特性を示す。ムスカリン性アセチルコリン受容体は、脊椎動物の器官に広範に分布しており、そこで生体機能の多くを媒介する。ムスカリン性受容体は、抑制作用および興奮作用の両方を媒介することができる。例えば、気道にある平滑筋において、MmAChRは、収縮反応を媒介する。その概説として、Caulfield(1993 Pharmac.Ther.58:319〜79)を参照されたい。
【0003】
肺において、mAChRは気管および気管支中の平滑筋、粘膜下腺、および副交感神経節に局在してきた。ムスカリン性受容体濃度は、副交感神経節において最も高く、その濃度は、次いで粘膜下腺から気管平滑筋へ、次いで気管支平滑筋へと下がる。ムスカリン性受容体は、肺胞には殆ど存在しない。肺におけるmAChR発現および機能の概説は、FryerおよびJacoby(1998Am J Respir Crit Care Med158(5、pt3)S154−60)を参照されたい。
【0004】
mAChRの3種類のサブタイプ、すなわちM、MおよびMmAChRは、肺において重要であると確認されてきた。気道平滑筋上に位置しているMmAChRは、筋収縮を媒介する。MmAChRの刺激により、刺激性Gタンパク質Gq/11(Gs)の結合を介して酵素ホスホリパーゼCを活性化し、それがホスファチジルイノシトール−4,5−ニリン酸の遊離を引き起こし、収縮性タンパク質のリン酸化をもたらす。MmAChRは、肺の粘膜下腺で見ることもできる。MmAChRのこの集団の刺激は、粘液分泌をもたらす。
【0005】
mAChRは、気道平滑筋上のコリン作動性受容体集団の約50〜80%を占める。その正確な機能は未知であるが、それらはcAMP産生の阻害を介して気道平滑筋のカテコールアミン作動性弛緩を阻害する。神経細胞のMmAChRは、節後副交感神経上に位置する。通常の生理的状態では、神経細胞のMmAChRは、副交感神経からのアセチルコリン放出の厳格な管理を可能にする。抑制性MmAChRはまた、いくつかの種の肺における交感神経においても示されてきた。これらの受容体は、ノルアドレナリンの放出を阻害し、したがって肺への交感神経性入力が減少する。
【0006】
mAChRは、肺の副交感神経節にあり、そこで神経伝達の増強の機能を果たす。これらの受容体はまた、末梢肺実質にも局在してきたが、実質におけるその機能は未知である。
【0007】
肺におけるムスカリン性アセチルコリン受容体機能障害は、種々の異なる病態生理学的状態において注目されてきた。特に、喘息および慢性閉塞性肺疾患(COPD)において、炎症状態が、肺平滑筋に供給されている副交感神経における抑制性Mムスカリン性アセチルコリン自己受容体機能の喪失をもたらし、その結果、迷走神経刺激後のアセチルコリン放出の増加を引き起こす(Fryerら、1999 Life Sci 64(6〜7)449〜55)。このmAChR機能障害は、MmAChRの刺激増大により媒介される気道反応性亢進および気道過敏症をもたらす。したがって、効力のあるmAChRアンタゴニストを同定することは、これらのmAChR介在病態における治療法として有用であろう。
【0008】
COPDは、慢性気管支炎、慢性細気管支炎および気腫を含めた種々の進行性の健康問題を包含する不正確な用語であり、世界における死亡や疾病の最大原因である。喫煙は、COPD進行の主要な危険因子であり、米国のみで約5千万人がタバコを吸い、推定3,000人が毎日この習慣を開始する。その結果、COPDは、2020年までに世界的な健康上の負担として上位5位に入ると考えられている。吸入抗コリン剤治療は、現在のところCOPDの一次治療として「標準」と考えられている(Pauwelsら、2001Am.J.Respir.Crit.Care Med.163:1256〜1276)。
【0009】
気道反応性亢進疾患の治療のための抗コリン剤治療の使用を支持する大規模な一連の証拠にも関わらず、診療所において肺の適応症のために使用できる抗コリン化合物は比較的少ない。さらに具体的には、米国では、臭化イプラトロピウム(アルブテロールと組み合わせたAtrovent(著作権)およびCombivent(著作権))は、現在のところ気道反応性亢進疾患の治療のための唯一の販売されている吸入抗コリン作用薬である。この化合物は、効力のある抗ムスカリン作用薬であるが、短時間作用性で、したがってCOPD患者に緩和をもたらすためには毎日4回も投与しなくてはいけない。ヨーロッパおよびアジアでは、長時間作用性抗コリン作用性の臭化チオトロピウム(Spiriva(著作権))が最近承認されたが、この製品は現在米国では入手できない。したがって、喘息およびCOPDなどの気道反応性亢進疾患の治療のために、長時間作用性であり、1日1回の投与ができる、mAChRで遮断をもたらすことができる新規な化合物への必要性が存在する。
【0010】
mAChRは体全体に広範に分布しているため、抗コリン作用薬を気道に局部的および/または局所的に適用することができることは、より低い用量の薬物の使用を可能にするであろうため、特に有利である。さらに、長時間作用性を有し、特に受容体または肺において保持される局所作用薬物を設計できることによって、全身性抗コリン作用薬の使用において見られる場合がある好ましくない副作用を回避することができるであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、アセチルコリンがムスカリン性アセチルコリン受容体(mAChR)に結合する、mAChR介在疾患を治療するための方法であって、式(I)の化合物またはその医薬上許容される塩の有効量を投与する工程を含む、方法を提供する。
【0012】
本発明はまた、アセチルコリンのその受容体への結合の阻害を必要としている哺乳動物において、アセチルコリンのその受容体への結合を阻害する方法であって、前述の哺乳動物に式(I)の化合物の有効量を投与する工程を含む、方法を提供する。
【0013】
本発明はまた、式(I)の新規な化合物、ならびに式(I)の化合物、および医薬担体または希釈剤を含む医薬組成物も提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明において有用な式(I)の化合物は、構造式:
【0015】
【化1】

(I)
により表され、
式中、
Yは、OHまたはCNであり、
R1は、C1〜15アルキル、シアノ置換C1〜15アルキル、ハロ置換C1〜15アルキル、C1〜15アルキルシクロアルキル、C2〜15アルケニル、ヒドロキシ置換C1〜15アルキル、C2〜15アルキルアリール、C2〜15アルキルヘテロアリール、(CR7R7)qOC(O)Ra、および(CR7R7)qORcからなる群から選択され、あるいは
R1は、
【0016】
【化2】

(式中、
R4およびR5は、独立して、水素、ハロゲン、C1〜4アルキル、アリール、C1〜4アルキルアリール、シアノ、ニトロ、(CR7R7)pORbからなる群から選択され、またはR4およびR5は一緒になって、5〜6員の飽和または不飽和環を形成してもよく(アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、ヘテロアリール基、ヘテロアルキル基、複素環基、複素環アルキル基は所望により置換されていてもよい)、
R6は、水素およびC1〜4アルキルからなる群から選択され、
mは、1〜15の値を持つ整数である)
であり、
R2およびR3は、独立して、その部分の全てが所望により置換されていてもよい、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、
Raは、その部分の全てが所望により置換されていてもよい、水素、C1〜15アルキル、C1〜15アルコキシおよびアリールからなる群から選択され、
Rcは、その部分の全てが所望により置換されていてもよい、水素、C1〜15アルキル、C1〜15アルコキシ、複素環およびC1〜15アルキル複素環部分からなる群から選択され、
tは、0または1〜5の値を持つ整数であり、
pは、0または1〜4の値を持つ整数であり、
qは、1〜5の値を持つ整数であり、
Rbは、水素またはC1〜4アルキルであり、
X−は、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、水酸化イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、フマル酸イオン、クエン酸イオン、酒石酸イオン、シュウ酸イオン、コハク酸イオン、マンデル酸イオン、メタンスルホン酸イオンおよびp−トルエンスルホン酸イオンなどの生理学的に許容できる陰イオンである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、新規なアゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタン化合物、医薬組成物、それらの調製方法、およびmAChR介在疾患の治療におけるその使用に関する。
【0018】
本発明の好ましい一実施形態において、この化合物は、本明細書において下記の式(I):
【0019】
【化3】

であり、
式中、
Yは、OHまたはCNであり、
R1は、C7〜12アルキルおよび(CR7R7)qOC(O)Raからなる群から選択され、
またはR1は、
【0020】
【化4】

(式中、
R4およびR5は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、メトキシ、シアノ、ニトロからなる群から選択され、またはR4およびR5は一緒になって、6員の飽和環を形成してもよく、
R6は水素であり、
mは1〜5の値を持つ整数である)
であり、
R2およびR3は、独立して、その部分の全てが所望により置換されていてもよい、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、
Raは、所望により置換されていてもよいアリールであり、
tは、0または1〜5の値を持つ整数であり、
qは、1〜5の値を持つ整数であり、
X−は、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、水酸化イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、フマル酸イオン、クエン酸イオン、酒石酸イオン、シュウ酸イオン、コハク酸イオン、マンデル酸イオン、メタンスルホン酸イオンおよびp−トルエンスルホン酸イオンなどの生理学的に許容できる陰イオンである。
【0021】
アリール、ヘテロアリール、および複素環を含有する部分の全ては、本明細書で下記に記載されているように、所望により置換されていてもよい。
【0022】
本明細書において使用される場合、「アリール、ヘテロアリール、および複素環を含有する部分」という用語は、環およびアルキルの両方、または含まれる場合は、アリール環、アリールアルキル環、およびアリールアルケニル環などのアルケニル環を示す。「部分」および「環」という用語は、全体を通して互換的に使用し得る。
【0023】
本明細書で使用する場合、「所望により置換されていてもよい」は、特に定義されない限り、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素などのハロゲン;ヒドロキシ;ヒドロキシ置換C1〜10アルキル;メトキシまたはエトキシなどのC1〜10アルコキシ;メチルチオ、メチルスルフィニルまたはメチルスルホニルなどのS(O)m’1〜10アルキル(式中、m’は0、1または2である);アミノ、NR1011基におけるような一置換および二置換アミノ;NHC(O)R;C(O)NR1011;C(O)OH;S(O)NR1011;NHS(O)、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、またはt−ブチルなどのC1〜10アルキル;CFなどのハロ置換C1〜10アルキル;フェニルなどの所望により置換されたアリール、またはベンジルもしくはフェネチルなどの所望により置換されたアリールアルキル、所望により置換された複素環、所望により置換された複素環アルキル、所望により置換されたヘテロアリール、所望により置換されたヘテロアリールアルキル(これらのアリール、ヘテロアリール、または複素環部分は、ハロゲンで1〜2回置換されていてもよい);ヒドロキシ;ヒドロキシ置換アルキル;C1〜10アルコキシ;S(O)m’1〜10アルキル;アミノ、NR1011基におけるなどの一置換および二置換アルキルアミノ;C1〜10アルキル、またはCFなどのハロ置換C1〜10アルキルなどの基を意味する。
【0024】
下記の用語は、本明細書で使用する場合、下記を意味する。
・「ハロ」−全てのハロゲン、すなわちクロロ、フルオロ、ブロモおよびヨード。
・「C1〜10アルキル」または「アルキル」−鎖長を別段限定しない限り、それだけに限らないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチルなどを含めた、1〜10個の炭素原子の直鎖および分枝鎖部分の両方。
・「シクロアルキル」は、それだけに限らないが、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどを含めた、環部分、好ましくは3〜8個の炭素の環部分を意味するように本明細書において使用される。
・「アルケニル」は、どのような場合でも、鎖長をそれだけに限定しない限り、それだけに限らないが、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニルなどを含めた、2〜10個の炭素原子の直鎖または分枝鎖部分を意味するように本明細書において使用される。
・「アリール」−フェニルおよびナフチル。
・「ヘテロアリール」(それのみで、あるいは「ヘテロアリールオキシ」、または「ヘテロアリールアルキル」などの任意の組合せで)−それだけに限らないが、ピロール、ピラゾール、フラン、チオフェン、キノリン、イソキノリン、キナゾリニル、ピリジン、ピリミジン、オキサゾール、テトラゾール、チアゾール、チアジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、インドールまたはベンズイミダゾールなどの、1個もしくは複数の環が、N、OまたはSからなる群から選択される1個もしくは複数のヘテロ原子を含有する5〜10員の芳香環系。
・「複素環」(それのみで、あるいは「複素環アルキル」などの任意の組合せで)−これらに限定されないがピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、テトラヒドロピラン、チオモルホリン、またはイミダゾリジンなどの、1個もしくは複数の環が、N、O、またはSからなる群から選択される1個もしくは複数のヘテロ原子を含有する、飽和または部分不飽和の4〜10員環系。さらに、硫黄はスルホンまたはスルホキシドに所望により酸化されていてもよい。
・「アリールアルキル」または「ヘテロアリールアルキル」または「複素環アルキル」は、別段の指示がない限り、これも本明細書において定義したアリール、ヘテロアリールまたは複素環部分に結合した、上記で定義したC1〜10アルキルを意味するように本明細書において使用される。
・「スルフィニル」−対応する硫化物の酸化物S(O)。「チオ」という用語は、硫化物を示し、「スルホニル」と言う用語は、完全酸化したS(O)部分を示す。
・「2つのR部分(または2つのY部分)は一緒になって、5または6員の飽和または不飽和環を形成してもよい」は、ナフタレンなどの芳香環系の形成、あるいはCシクロアルケニル、すなわちヘキセンなどの6員の部分飽和または不飽和環、またはシクロペンテンなどのCシクロアルケニル部分に結合しているフェニル部分を意味するように本明細書において使用される。
【0025】
本発明の実例には、
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{2−[(フェニルメチル)オキシ]エチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−(2−フェニルエチル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド
1−エチル−4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−ノニル−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−[2−(メチルオキシ)エチル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−[4−(フェニルオキシ)ブチル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{3−[(フェニルメチル)オキシ]プロピル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−({4−[(トリフルオロメチル)オキシ]フェニル}メチル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−[2−(フェニルオキシ)エチル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド
1−ヘキシル−4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{4−[(フェニルメチル)オキシ]ブチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド
1−(シクロヘキシルメチル)−4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−[2−({[3−(メチルオキシ)フェニル]メチル}オキシ)エチル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド
1−{3−[(4−ブロモフェニル)オキシ]プロピル}−4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{2−[(フェニルカルボニル)オキシ]エチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{3−[(4−ニトロフェニル)オキシ]プロピル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{3−[(2−ヒドロキシフェニル)オキシ]プロピル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−[3−(2−ナフタレニルオキシ)プロピル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド
1−{3−[(3−クロロフェニル)オキシ]プロピル}−4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{[3−(メチルオキシ)フェニル]メチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド
1−(5−ヘキセン−1−イル)−4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−(6−ヒドロキシヘキシル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−[3−(フェニルオキシ)プロピル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド
4−[シアノ(ジフェニル)メチル]−1−(フェニルメチル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド
4−[シアノ(ジフェニル)メチル]−1−{2−[(フェニルメチル)オキシ]エチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド
4−[シアノ(ジフェニル)メチル]−1−エチル−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド
4−[シアノ(ジフェニル)メチル]−1−[3−(メチルオキシ)プロピル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド
4−[シアノ(ジフェニル)メチル]−1−(3−フェニルプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド
4−[シアノ(ジフェニル)メチル]−1−ヘキシル−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド
4−[シアノ(ジフェニル)メチル]−1−(2−ヒドロキシエチル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド
4−[シアノ(ジフェニル)メチル]−1−(シクロヘキシルメチル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド
4−[シアノ(ジフェニル)メチル]−1−[2−(1H−インドール−2−イル)エチル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド
4−[シアノ(ジフェニル)メチル]−1−(3−シアノプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド
4−[シアノ(ジフェニル)メチル]−1−[3−(フェニルオキシ)プロピル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド
が含まれる。
【0026】
調製方法
式(I)の化合物は、合成手順を適用することによって得ることができ、そのいくつかを下記のスキームにおいて例示する。このスキームにおいて提供される合成は、種々の異なるR1、R2およびR3基を有する式(I)の化合物を生成するために適用することができ、これらの基は、適切に保護された置換基を用いることにより反応し、本明細書において概説する反応と適合性を保つ。そのような場合、その後の脱保護によって、全体的に開示された性質の化合物を次いでもたらす。このスキームを式(I)の化合物についてのみ示すが、これは例示の目的のためだけである。
【0027】
スキーム1に示されているように、所望の式(I)の化合物は、エチル1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−4−カルボキシレート1から、(アルコールでは)2つ、または(CNでは)3つの合成工程において調製することができる(Tetrahedron Letters、1991、pp1245〜46におけるように調製)。テトラヒドロフランなどの非プロトン性溶媒中での、エステル1と、グリニャール試薬または有機リチウム誘導体などの有機金属反応剤との縮合は、式(I)の第3級アルコール2(R1=存在しない)の形成をもたらした。化合物2のTMSCNおよびAlClによるシアノ化によって、式(I)のシアノ化合物3(R1=存在しない)がもたらされた。クロロホルムまたはアセトニトリルなどの有機溶媒中での、化合物2および3の、適切なハロゲン化アルキルによるさらなるN−アルキル化によって、各々式(I)の化合物4および5が生じる。
【0028】
【化5】

試薬および条件:a)RM、次いでRM、THF、b)AlCl、TMSCN、DCE、85℃、c)R1X、ACN、CHCl、60℃。
【0029】
合成の実施例
単に例示であり、本発明の範囲を限定するものとしては解釈されない下記の実施例を参照することによって、本発明をここで説明する。全ての温度は℃で表示する。薄層クロマトグラフィー(t.l.c.)はシリカ上で、カラムクロマトグラフィーはシリカ上で行った(フラッシュカラムクロマトグラフィーは、特に断りのない限りMerck9385を使用)。
【0030】
下記は、LC−MSの実験条件である。
LC−MS実験条件
液体クロマトグラフ
システム:SCL−10Aコントローラーおよびデュアル紫外吸光検出器を備えたShimadzu LCシステム
オートサンプラー:Valco6ポートインジェクターを備えたLeap CTC
カラム:Aquasil/Aquasil(C18 40×1mm)
注入容量(μL):2.0
溶媒A:HO、0.02%TFA
溶媒B:MeCN、0.018%TFA
グラジエント:直線
チャネルA:UV214nm
チャネルB:ELS
工程 時間(分) 持続時間(分) 流量(μL/分) 溶液A 溶液B
0 0.00 0.00 300.00 95.00 5.00
1 0.00 0.01 300.00 95.00 5.00
2 0.01 3.20 300.00 10.00 90.00
3 3.21 1.00 300.00 10.00 90.00
4 4.21 0.10 300.00 95.00 5.00
5 4.31 0.40 300.00 95.00 5.00
質量分析計:PE Sciex Single Quadrupole LC/MS API−150
極性:正
取得モード:プロファイル
Gilson分取HPLCは、下記の条件下で行った。
・カラム:75×33mmI.D.、S−5μm、12nm
・流量:30ml/分
・注入容量:0.800mL
・室温
・溶媒A:水
・溶媒B:アセトニトリル
本明細書において使用した全ての溶媒は、入手可能もののうち最も純度が高いもので、全ての反応は別段の指示がない限り、無水条件下、空気雰囲気下で行う。
【実施例1】
【0031】
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{2−[(フェニルメチル)オキシ]エチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミドの調製
1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−4−イル(ジフェニル)メタノール
エチル1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−4−カルボキシレート(4g、23mmol)のTHF(60mL)溶液に、Ar下で−30℃に予冷したフェニルリチウム溶液(70%シクロヘキサン/30%ジエチルエーテル中に1.5M、63.1mL、94.6mmol)を滴下した。反応物をRTに温め、16時間撹拌した。反応物を水で処理し、酢酸エチルで抽出した。混合した抽出物をブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し減圧下で濃縮した。粉砕(ジエチルエーテル)によって、表題化合物(3.595g、54%)を得た。EI−MS m/z280(MH)Rt(1.56分)。
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{2−[(フェニルメチル)オキシ]エチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド
HPLC精製による塩形成の基本手順
1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−4−イル(ジフェニル)メタノール(50mg、0.18mmol)の2CHCN/3CHCl(4mL)溶液に、2−ブロモエチルフェニルメチルエーテル(0.04mL、0.25mmol)を加えた。溶液を60℃で16時間加熱し、室温に冷却し、溶媒を真空下で蒸発させた。残渣をDMSO2.5mLに溶解し、分取HPLC(TFAを含有しない)で精製し、表題化合物(32mg、36%)を得た。EI−MS m/z414(M)Rt(1.92分)。
【実施例2】
【0032】
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−(2−フェニルエチル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミドの調製
HPLC精製を行わない塩形成の基本手順
1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−4−イル(ジフェニル)メタノール(30.5mg、0.109mmol)の2CHCN/3CHCl(2.5mL)溶液に、(2−ブロモエチル)ベンゼン(0.03mL、0.22mmol)を加えた。溶液を60℃で16時間撹拌した。反応物を室温に冷却した。酢酸エチルによる粉砕によって、固体が溶液から析出した。この固体を濾過し、酢酸エチルで洗浄し、表題化合物(36.4mg、72%)を得た。EI−MS m/z384(M)Rt(1.87分)。
【実施例3】
【0033】
1−エチル−4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミドの調製
実施例2において概説した基本手順に従って、2CHCN/3CHCl(2.5mL)中の1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−4−イル(ジフェニル)メタノール(31.3mg、0.112mmol)およびブロモエタン(0.03mL、0.4mmol)を反応させて、所望の生成物(28.4mg、65%)を得た。EI−MS m/z308(M)Rt(1.49分)。
【実施例4】
【0034】
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−ノニル−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミドの調製
実施例2において概説した基本手順に従って、2CHCN/3CHCl(2.5mL)中の1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−4−イル(ジフェニル)メタノール(29.3mg、0.105mmol)および1−ブロモノナン(0.04mL、0.2mmol)を反応させて、所望の生成物(31.5mg、62%)を得た。EI−MS m/z407(M)Rt(2.23分)。
【実施例5】
【0035】
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−[2−(メチルオキシ)エチル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミドの調製
実施例1において概説した基本手順に従って、2CHCN/3CHCl(2.5mL)中の1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−4−イル(ジフェニル)メタノール(30.8mg、0.110mmol)および1−ブロモ−2−(メチルオキシ)エタン(0.03mL、0.3mmol)を反応させて、所望の生成物(11.1mg、24%)を得た。EI−MS m/z338(M)Rt(1.64分)。
【実施例6】
【0036】
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−[4−(フェニルオキシ)ブチル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミドの調製
実施例2において概説した基本手順に従って、2CHCN/3CHCl(2.5mL)中の1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−4−イル(ジフェニル)メタノール(31.8mg、0.114mmol)および4−ブロモブチルフェニルエーテル(44.3mg、0.193mmol)を反応させて、所望の生成物(38.7mg、67%)を得た。EI−MS m/z428(M)Rt(1.98分)。
【実施例7】
【0037】
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{3−[(フェニルメチル)オキシ]プロピル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミドの調製
実施例2において概説した基本手順に従って、2CHCN/3CHCl(2.5mL)中の1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−4−イル(ジフェニル)メタノール(30.4mg、0.109mmol)および3−ブロモプロピルフェニルメチルエーテル(0.03mL、0.17mmol)を反応させて、所望の生成物(29.1mg、53%)を得た。EI−MS m/z428(M)Rt(1.93分)。
【実施例8】
【0038】
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−({4−[(トリフルオロメチル)オキシ]フェニル}メチル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミドの調製
実施例2において概説した基本手順に従って、2CHCN/3CHCl(2.5mL)中の1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−4−イル(ジフェニル)メタノール(29.9mg、0.107mmol)および4−(ブロモメチル)フェニルトリフルオロメチルエーテル(51mg、0.20mmol)を反応させて、所望の生成物(41.3mg、72%)を得た。EI−MS m/z454(M)Rt(1.95分)。
【実施例9】
【0039】
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−[2−(フェニルオキシ)エチル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミドの調製
実施例2において概説した基本手順に従って、2CHCN/3CHCl(2.5mL)中の1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−4−イル(ジフェニル)メタノール(30.8mg、0.110mmol)および2−ブロモエチルフェニルエーテル(35.7mg、0.177mmol)を反応させて、所望の生成物(33.1mg、62%)を得た。EI−MS m/z400(M)Rt(1.86分)。
【実施例10】
【0040】
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−メチル−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミドの調製
実施例2において概説した基本手順に従って、2CHCN/3CHCl(2.5mL)中の1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−4−イル(ジフェニル)メタノール(30.0mg、0.107mmol)およびブロモメタン(0.09mL、0.18mmol)を反応させて、所望の生成物(26.3mg、65%)を得た。EI−MS m/z294(M)Rt(1.30分)。
【実施例11】
【0041】
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{4−[(フェニルメチル)オキシ]ブチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミドの調製
実施例1において概説した基本手順に従って、2CHCN/3CHCl(2.5mL)中の1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−4−イル(ジフェニル)メタノール(33.1mg、0.118mmol)および4−ブロモブチルフェニルメチルエーテル(0.04mL、0.21mmol)を反応させて、所望の生成物(4.5mg、7%)を得た。EI−MS m/z442(M)Rt(2.01分)。
【実施例12】
【0042】
1−(シクロヘキシルメチル)−4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミドの調製
実施例1において概説した基本手順に従って、2CHCN/3CHCl(2.5mL)中の1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−4−イル(ジフェニル)メタノール(33.0mg、0.118mmol)および(ブロモメチル)シクロヘキサン(0.03mL、0.21mmol)を反応させて、所望の生成物(7mg、13%)を得た。EI−MS m/z376(M)Rt(1.90分)。
【実施例13】
【0043】
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−[2−({[3−(メチルオキシ)フェニル]メチル}オキシ)エチル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミドの調製
2−({[3−(メチルオキシ)フェニル]メチル}オキシ)エタノール
エチレングリコール(0.084mL、1.51mmol)を、THF(3mL)中のNaH(38mg、1.5mmol、油中に95%)に加えた。3−(クロロメチル)フェニルメチルエーテル(0.21mL、1.5mmol)を反応物に加え、残渣の3−(クロロメチル)フェニルメチルエーテルを、さらなるTHF(1mL)と共に反応チューブに移した。次いで、(Bu)NI(55mg、0.15mmol)を加え、反応物を60℃で18時間、次いでrtで4時間加熱した。HO(2mL)およびEtOAc(2mL)を加え、層をピペットによって分離した。水層をEtOAc(1×1mL)で抽出し、混合した有機層を濃縮した。粗生成物を、5mL/分(10mL)、30%EtOAc/ヘキサンで溶離するフラッシュクロマトグラフィーで精製し、表題化合物(114mg、42%)を得た。生成物をCDCl中のH NMR(400MHz)によって特性決定した。
【0044】
1−{[(2−ブロモエチル)オキシ]メチル}−3−(メチルオキシ)ベンゼン
N−ブロモスクシンイミド(272mg、1.53mmol)のDCM(2.5mL)溶液を、DCM(2.5mL)中の樹脂結合トリフェニルホスフィン(510mg、1.53m当量、Fluka社製)に加え、反応物をrtで10分間撹拌した。2−({[3−(メチルオキシ)フェニル]メチル}オキシ)エタノール(114mg、0.626mmol)のDCM(1.5mL)溶液を反応物に加え、残渣のアルコールをさらなるDCM(1.5mL)と共に移した。反応バイアルに蓋をし、アルミ箔で覆い、rtで20時間撹拌した。反応物を、以下の10mL画分(DCM(画分1)、30%EtOAc/ヘキサン(画分2)、および50%EtOAc/ヘキサン(画分3))で溶離するSPEカートリッジ(5gシリカ)を通して濾過し、表題化合物(160mg、表題化合物および不純物)を得た。生成物をCDCl中のH NMR(400MHz)によって特性決定した。化合物の純度は次の反応を行うのに十分良好であった。
【0045】
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−[2−({[3−(メチルオキシ)フェニル]メチル}オキシ)エチル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド
実施例2において概説した基本手順に従って、2CHCN/3CHCl(2.5mL)中の1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−4−イル(ジフェニル)メタノール(33.0mg、0.118mmol)および1−{[(2−ブロモエチル)オキシ]メチル}−3−(メチルオキシ)ベンゼン(42.5mg、0.173mmol)を反応させて、所望の生成物(22.8mg、37%)を得た。EI−MS m/z444(M)Rt(1.96分)。
【実施例14】
【0046】
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−[3−(フェニルオキシ)プロピル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミドの調製
実施例2において概説した基本手順に従って、2CHCN/3CHCl(2.5mL)中の1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−4−イル(ジフェニル)メタノール(31.5mg、0.113mmol)および4−ブロモフェニル3−ブロモプロピルエーテル(46.1mg、0.157mmol)を反応させて、所望の生成物(35.7mg、55%)を得た。EI−MS m/z492(M)Rt(1.94分)。
【実施例15】
【0047】
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{2−[(フェニルカルボニル)オキシ]エチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミドの調製
実施例1において概説した基本手順に従って、2CHCN/3CHCl(2.5mL)中の1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−4−イル(ジフェニル)メタノール(32.2mg、0.115mmol)およびメチル4−(ブロモメチル)安息香酸(0.03mL、0.19mmol)を反応させて、所望の生成物(4mg、7%)を得た。EI−MS m/z428(M)Rt(1.69分)。
【実施例16】
【0048】
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{3−[(4−ニトロフェニル)オキシ]プロピル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミドの調製
実施例2において概説した基本手順に従って、2CHCN/3CHCl(2.5mL)中の1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−4−イル(ジフェニル)メタノール(33.2mg、0.119mmol)および1−(ブロモメチル)−4−ニトロベンゼン(45.9mg、0.176mmol)を反応させて、所望の生成物(32.7mg、51%)を得た。EI−MS m/z459(M)Rt(1.83分)。
【実施例17】
【0049】
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{3−[(2−ヒドロキシフェニル)オキシ]プロピル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミドの調製
実施例2において概説した基本手順に従って、2CHCN/3CHCl(2.5mL)中の1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−4−イル(ジフェニル)メタノール(30.9mg、0.111mmol)および2−[(3−ブロモプロピル)オキシ]フェノール(47.9mg、0.207mmol)を反応させて、所望の生成物(20.9mg、37%)を得た。EI−MS m/z430(M)Rt(1.70分)。
【実施例18】
【0050】
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−[3−(2−ナフタレニルオキシ)プロピル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミドの調製
実施例2において概説した基本手順に従って、2CHCN/3CHCl(2.5mL)中の1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−4−イル(ジフェニル)メタノール(31.5mg、0.113mmol)および2−[(3−ブロモプロピル)オキシ]ナフタレン(45.5mg、0.172mmol)を反応させて、所望の生成物(47.5mg、77%)を得た。EI−MS m/z464(M)Rt(2.0分)。
【実施例19】
【0051】
1−{3−[(3−クロロフェニル)オキシ]プロピル}−4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミドの調製
実施例2において概説した基本手順に従って、2CHCN/3CHCl(2.5mL)中の1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−4−イル(ジフェニル)メタノール(31.9mg、0.114mmol)および3−ブロモプロピル3−クロロフェニルエーテル(50.6mg、0.203mmol)を反応させて、所望の生成物(28.7mg、48%)を得た。EI−MS m/z448(M)Rt(2.0分)。
【実施例20】
【0052】
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{[3−(メチルオキシ)フェニル]メチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミドの調製
実施例1において概説した基本手順に従って、2CHCN/3CHCl(2.5mL)中の1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−4−イル(ジフェニル)メタノール(29.3mg、0.105mmol)および3−(ブロモメチル)フェニルメチルエーテル(0.03mL、0.21mmol)を反応させて、所望の生成物(5mg、10%)を得た。EI−MS m/z400(M)Rt(1.72分)。
【実施例21】
【0053】
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−[2−(1H−インドール−3−イル)エチル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミドの調製
実施例2において概説した基本手順に従って、2CHCN/3CHCl(2.5mL)中の1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−4−イル(ジフェニル)メタノール(29.7mg、0.106mmol)および3−(2−ブロモエチル)−1H−インドール(40.5mg、0.181mmol)を反応させて、所望の生成物(37.0mg、69%)を得た。EI−MS m/z423(M)Rt(1.82分)。
【実施例22】
【0054】
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−(6−ヒドロキシヘキシル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミドの調製
実施例1において概説した基本手順に従って、2CHCN/3CHCl(2.5mL)中の1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−4−イル(ジフェニル)メタノール(32.0mg、0.116mmol)および6−ブロモ−1−ヘキサノール(0.03mL、0.248mmol)を反応させて、所望の生成物(3mg、6%)を得た。EI−MS m/z380(M)Rt(1.64分)。
【実施例23】
【0055】
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−[3−(フェニルオキシ)プロピル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミドの調製
実施例2において概説した基本手順に従って、2CHCN/3CHCl(15mL)中の1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−4−イル(ジフェニル)メタノール(0.2mg、0.7mmol)および3−ブロモプロピルフェニルエーテル(0.17mL、1.1mmol)を反応させて、所望の生成物(255mg、64%)を得た。H NMR(400MHz,CDOD)δ7.5(m,4H)、7.35(m,3H)、7.3〜7.2(m,4H)、6.9(m,4H)、4.07(m,3H)、3.8〜3.7(m,2H)、3.62(m,5H)、3.6〜2.5(m,2H)、2.4〜2.3(m,2H)、2.3〜2.1(m,5H)。
【実施例24】
【0056】
4−[シアノ(ジフェニル)メチル]−1−(フェニルメチル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミドの調製
1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−4−イル(ジフェニル)アセトニトリルの調製
1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−4−イル(ジフェニル)メタノール(0.906g、3.24mmol)を1,2−ジクロロエタン(48mL)に懸濁させた懸濁液に、AlCl(2.028g、15.3mmol)を加えた。反応物を10分間撹拌し、次いでTMSCN(2.04mL、15.3mmol)を加えた。反応物を密封し、85℃に一晩加熱した。反応混合物を、KCO(飽和水性)(200mL)およびEtOAc(200mL)を含有する分液漏斗に注いだ。EtOAcによる抽出(3×200mL)を行った。混合した有機化合物を、MgSO上で乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。残渣をDMSOに溶解し、ギルソン分取HPLC(w/0.1%TFA)で精製した。混合した画分を真空下で濃縮し、CHCNを除去した。得られた水層を、5NのNaOHでpH=12に塩基性化し、次いでEtOAc(3×150mL)で抽出した。混合した画分をMgSO上で乾燥し、濾過し、真空下で濃縮し、表題化合物(0.53g、56.7%)を得た。EI−MS m/z289(M−H)Rt(1.43分)。
【0057】
HPLC精製による塩形成の基本手順
1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−4−イル(ジフェニル)アセトニトリル(0.044g、0.152mmol)の2CHCN/3CHCl(3.5mL)溶液に、(ブロモメチル)ベンゼン(0.030mL、0.252mmol)を加えた。溶液を60℃に16時間加熱した。反応物を室温に冷却し、真空下で濃縮した。残渣をDMSOに溶解し、ギルソン分取HPLC(TFAを含有しない)で精製し、表題化合物(0.0417g、59.6%)を得た。EI−MS m/z451(M)Rt(1.20分)。
【実施例25】
【0058】
4−[シアノ(ジフェニル)メチル]−1−{2−[(フェニルメチル)オキシ]エチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミドの調製
実施例24において概説した基本手順に従って、2CHCN/3CHCl(3.5mL)中の1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−4−イル(ジフェニル)アセトニトリル(0.044g、0.152mmol)および2−ブロモエチルフェニルメチルエーテル(0.040mL、0.253mmol)を反応させて、所望の生成物(0.0281g、37.0%)を得た。EI−MS m/z423(M)Rt(2.02分)。
【実施例26】
【0059】
4−[シアノ(ジフェニル)メチル]−1−エチル−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミドの調製
実施例24において概説した基本手順に従って、2CHCN/3CHCl(3.5mL)中の1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−4−イル(ジフェニル)アセトニトリル(0.044g、0.152mmol)およびブロモエタン(0.020mL、0.268mmol)を反応させて、所望の生成物(0.0178g、29.7%)を得た。EI−MS m/z317(M)Rt(1.53分)。
【実施例27】
【0060】
4−[シアノ(ジフェニル)メチル]−1−[3−(メチルオキシ)プロピル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミドの調製
実施例24において概説した基本手順に従って、2CHCN/3CHCl(3.5mL)中の1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−4−イル(ジフェニル)アセトニトリル(0.044g、0.152mmol)および3−ブロモプロピルメチルエーテル(0.035g、0.229mmol)を反応させて、所望の生成物(0.0277g、41.3%)を得た。EI−MS m/z361(M)Rt(1.58分)。
【実施例28】
【0061】
4−[シアノ(ジフェニル)メチル]−1−(3−フェニルプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミドの調製
実施例24において概説した基本手順に従って、2CHCN/3CHCl(3.5mL)中の1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−4−イル(ジフェニル)アセトニトリル(0.044g、0.152mmol)および(3−ブロモプロピル)ベンゼン(0.035mL、0.230mmol)を反応させて、所望の生成物(0.0328g、44.3%)を得た。EI−MS m/z407(M)Rt(1.82分)。
【実施例29】
【0062】
4−[シアノ(ジフェニル)メチル]−1−ヘキシル−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミドの調製
実施例24において概説した基本手順に従って、2CHCN/3CHCl(3.5mL)中の1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−4−イル(ジフェニル)アセトニトリル(0.044g、0.152mmol)および1−ブロモヘキサン(0.035mL、0.249mmol)を反応させて、所望の生成物(0.0306g、44.3%)を得た。EI−MS m/z373(M)Rt(1.83分)。
【実施例30】
【0063】
4−[シアノ(ジフェニル)メチル]−1−(2−ヒドロキシエチル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミドの調製
実施例24において概説した基本手順に従って、2CHCN/3CHCl(3.5mL)中の1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−4−イル(ジフェニル)アセトニトリル(0.044g、0.152mmol)および3−ブロモ−1−プロパノール(0.020mL、0.282mmol)を反応させて、所望の生成物(0.0196g、31.1%)を得た。EI−MS m/z333(M)Rt(1.43分)。
【実施例31】
【0064】
4−[シアノ(ジフェニル)メチル]−1−(シクロヘキシルメチル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミドの調製
実施例24において概説した基本手順に従って、2CHCN/3CHCl(3.5mL)中の1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−4−イル(ジフェニル)アセトニトリル(0.044g、0.152mmol)および(ブロモメチル)シクロヘキサン(0.030mL、0.215mmol)を反応させて、所望の生成物(0.0172g、24.2%)を得た。EI−MS m/z385(M)Rt(1.82分)。
【実施例32】
【0065】
4−[シアノ(ジフェニル)メチル]−1−[2−(1H−インドール−2−イル)エチル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミドの調製
実施例24において概説した基本手順に従って、2CHCN/3CHCl(3.5mL)中の1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−4−イル(ジフェニル)アセトニトリル(0.044g、0.152mmol)および2−(2−ブロモエチル)−1H−インドール(0.0494g、0.220mmol)を反応させて、所望の生成物(0.0340g、43.4%)を得た。EI−MS m/z432(M)Rt(1.94分)。
【実施例33】
【0066】
4−[シアノ(ジフェニル)メチル]−1−(3−シアノプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミドの調製
実施例24において概説した基本手順に従って、2CHCN/3CHCl(3.5mL)中の1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−4−イル(ジフェニル)アセトニトリル(0.044g、0.152mmol)および4−ブロモブタンニトリル(0.025mL、0.252mmol)を反応させて、所望の生成物(0.0360g、54.1%)を得た。EI−MS m/z356(M)Rt(1.57分)。
【実施例34】
【0067】
4−[シアノ(ジフェニル)メチル]−1−[3−(フェニルオキシ)プロピル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミドの調製
実施例24において概説した基本手順に従って、2CHCN/3CHCl(15mL)中の1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−4−イル(ジフェニル)アセトニトリル(0.19g、0.658mmol)および3−ブロモプロピルフェニルエーテル(0.17mL、1.07mmol)を反応させて、所望の生成物(0.146g、45%)を得た。EI−MS m/z423(M)。H NMR(400MHz,CDOD)δ7.5(m,4H)、δ7.35(m,3H)、δ7.3〜7.2(m,4H)、δ6.9(m,4H)、δ4.07(m,3H)、3.8〜3.7(m,2H)、δ3.62(m,5H)、δ3.6〜2.5(m,2H)、δ2.4〜2.3(m,2H)、δ2.3〜2.1(m,5H)。
【0068】
略語
Ar アルゴン
DCE 1,2−ジクロロエタン
DCM ジクロロメタン
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EI−MS エレクトロスプレーイオン化−質量分析法
HPLC 高圧液体クロマトグラフィー
LC 液体クロマトグラフィー
LDA リチウムジイソプロピルアミド
MS 質量分析法
NMR 核磁気共鳴
Rt 保持時間
rt 室温
SPE 固相抽出
TEA トリエチルアミン
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
【0069】
生物学的例
mAChRにおける本発明の化合物の阻害作用を、下記のin vitroおよびin vivoの機能アッセイによって決定する。
【0070】
カルシウム動員による受容体活性阻害の分析
以前に記述されたように(H.M.Sarauらによる1999.Mol.Pharmacol.56、657〜663)、CHO細胞で発現しているmAChRの刺激を、受容体活性化カルシウム動員をモニターすることにより分析した。MmAChRを安定的に発現しているCHO細胞を、96ウェルブラックウォール/クリアボトムプレートに蒔いた。18〜24時間後に、培地を吸引し、100μlの負荷培地(アール塩、0.1%RIAグレードBSA(Sigma社製、St.Louis MO)、および4μMのFluo−3−アセトキシメチルエステル蛍光指示色素(Fluo−3AM、Molecular Probes社製、Eugene、OR)を添加したEMEM)と交換し、37℃で1時間インキュベートした。次いで、色素を含有する培地を吸引し、新鮮な培地(Fluo−3AMを含有しない)と交換し、細胞を10分間37℃でインキュベートした。次いで、細胞を3回洗浄し、アッセイ緩衝液(0.1%ゼラチン(Sigma社製)、120mMのNaCl、4.6mMのKCl、1mMのKHPO、25mMのNaHCO、1.0mMのCaCl、1.1mMのMgCl、11mMのグルコース、20mMのHEPES(pH7.4))100μl中において10分間37℃でインキュベートした。化合物(このアッセイにおいて最終で1×10−11〜1×10−5M)50μlを加え、プレートを10分間37℃でインキュベートした。次いで、プレートを蛍光灯強度プレートリーダー(FLIPR、Molecular Probes社製)中に置き、そこで色素負荷した細胞を6ワットのアルゴンレーザーからの励起光(488nm)に曝した。0.1%BSAを含有する緩衝液中で調製したアセチルコリン(0.1〜10nM最終)50μlを50μl/秒の速度で添加することによって、細胞を活性化した。細胞質カルシウム濃度の変化としてモニターされるカルシウム動員は、566nmの発光強度の変化として測定した。発光強度の変化は、細胞質カルシウム濃度に直接関連している。全ての96ウェルからの放出された蛍光を、冷却CCDカメラを使用して同時に測定する。データポイントを毎秒回収する。次いでこのデータを、GraphPad PRISMソフトウェアを使用してプロットし、分析した。
【0071】
メタコリン誘発性気管支収縮−効力および作用持続時間
メタコリンに対する気道の反応性を、覚醒無拘束のBalb Cマウス(各群n=6)において決定した。気圧プレチスモグラフィーを用いて、メタコリンによる気管支攻撃の間に起こる気道抵抗の変化との相関性を示す、単位がない測定値である、肺気流抵抗(Penh)を測定した(2)。マウスを、ビヒクル(10%DMSO)50μl中の化合物50μl(0.003〜10μg/マウス)の鼻腔内(i.n.)投与により前処理し、次いで薬物投与後にプレチスモグラフィーのチャンバー内に所与の時間入れた(15分〜96時間)。効力を決定するために、所与の薬物への用量反応を行い、全ての測定を、i.n.薬物投与後15分で行った。作用持続時間決定には、i.n.薬物投与後15分〜96時間のいずれかで測定を行った。
【0072】
チャンバー内で一度、ベースラインのPenh測定を5分間行う前に、マウスを10分間平衡化させた。次いで、マウスをメタコリン(10mg/ml)のエアゾールに2分間曝した。メタコリンエアゾールの開始時点から始め、その後5分間続けて、連続7分間Penhを記録した。各マウスのデータを、GraphPad PRISMソフトウェアを使用して分析し、プロットした。この実験は、投与した化合物の作用時間の決定を可能にする。
【0073】
本化合物は、それだけに限らないが、慢性閉塞性肺疾患、慢性気管支炎、喘息、慢性呼吸閉塞、肺線維症、肺気腫、およびアレルギー性鼻炎などの気道障害が挙げられる種々の適応症を治療するのに有用である。
【0074】
摘出モルモット気管における効力および作用持続時間の評価
成熟した雄性ハートレイ系(Hartely)モルモット(Charles Riverh社、Raleigh、NC、400〜600グラム)から気管を除去し、改変したKrebs−Henseleit溶液中に入れた。溶液の組成(mM)は、NaClが113.0、KClが4.8、CaClが2.5、KHPOが1.2、MgSOが1.2、NaHCOが25.0およびデキストロースが11.0であり、これに95%のO、5%のCOのガスを供給し、37℃に維持した。各気管の接着した組織を落とし、長手方向に切開した。綿が先端に付いたアプリケーターで管腔側を軽くこすることによって上皮を除去した。個々の条片を、概ね2軟骨輪の幅で切断し、Krebs−Henseleit溶液を含有し、Grass FT03C力−変位変換器に連結した10mlのウォータージャケット付きオルガンバス内に、絹縫合糸によって懸垂した。Apple G4コンピュータ上で作動するMP100WS/Acknowledgeデータ収集システム(BIOPAC Systems社製、Goleta、CA、www.biopac.com)によって、力学応答を等尺的に記録した。1.5gの静止張力下で組織を平衡化し、長さ−張力評価によって最適であると決定し、Krebs−Henseleit溶液で15分毎に1時間洗浄した。平衡期間の後、肺の組織をプラトーに達するまで10μMカルバコールで収縮させ、これをデータ分析のための参照収縮とした。次いで、ベースラインの緊張度に達するまで、組織を1時間に亘り15分毎にすすいだ。次いで、実験を開始する前に調製物を少なくとも30分間放置した。
【0075】
1nMで開始して、半対数増加でのカルバコールの累積添加によって濃度反応曲線を得た(Van Rossum、1963、Arch.Int.Pharmacodyn.、143:299)。次のカルバコール濃度を加える前に、各濃度において、反応がプラトーに達するまで、調製物と接触させた。カルバコールの累積的濃度反応曲線が生じる前に30分間、対の組織をmAChRアンタゴニスト化合物またはビヒクルに曝した。全てのデータを、平均±平均値の標準誤差(s.e.m.)として得る(nは異なる動物の数である)。
【0076】
灌流(作用持続時間)研究のために、実験の期間中、2ml/分でKrebs−Henseleit溶液によって組織を連続的に灌流した。灌流管に挿入した22ゲージ針を介して、アゴニストおよびアンタゴニストのストック溶液を注入した(0.02ml/分)。Macintosh G4コンピュータ(Apple、Cupertino、CA、www.apple.com)とインターフェースさせた市販のデータ収集システム(MP100WS/Acknowledge、BIOPAC Systems社製、Goleta、CA、www.biopac.com)を使用して、力学応答を等尺的に記録した。最適な1.5gの静止張力下で、組織を懸濁させた。60分の平衡期間の後、実験の期間に亘り組織をカルバコール(1μM)で収縮させた。持続的な収縮に達した後、イソプロテレノール(10μM)を投与し、組織を最大限に弛緩させ、この変化を参照とした。イソプロテレノールへの曝露を止め、カルバコール誘発性緊張を回復させた。持続するレベルの阻害が達成されるまでムスカリン性受容体アンタゴニストを組織毎に単一の濃度で注入した。次いで、化合物を除去し、もう一度、カルバコール誘発性緊張を回復させた。
【0077】
下記のパラメーターを各々の濃度のアンタゴニストで決定し、nの個々の動物の平均±S.E.M.として表した。カルバコール誘発性収縮の阻害を、参照反応(イソプロテレノール)の割合として表し、この弛緩の2分の1に達するのに必要な時間を測定した(反応開始)。化合物除去後の緊張回復を、最大の緊張回復の2分の1に到達するのに必要な時間として決定した(反応停止)。アンタゴニスト除去の60分後および180分後に、阻害の残りのレベルを決定し、参照のイソプロテレノールの割合として表した。
【0078】
アンタゴニスト除去後0分、60分および180分における最大弛緩データをプロットすることによってアンタゴニスト濃度反応曲線を得た。0分阻害曲線IC50と、60分および180分における同様の緊張回復をもたらす化合物の濃度との比から、シフトと称する回復を計算した。
【0079】
反応開始および停止の半減時間をプロットし、それに対し、対応する濃度およびデータを非線形回帰に適合させた。これらの値を、(阻害濃度反応曲線から決定した)IC50で推定し、Ot50(IC50濃度で開始反応の半分に達する所要時間)およびRt50(IC50濃度で回復反応の半分に達する所要時間)とした。
【0080】
処方−投与
したがって、本発明はさらに、式(I)の化合物、またはその医薬上許容される塩、溶媒和物、もしくは生理機能的誘導体(例えば、塩およびエステル)、および医薬上許容される担体または賦形剤、および所望により1種または複数の他の治療成分を含む医薬品処方を提供する。
【0081】
以下、「活性成分」という用語は、式(I)の化合物、またはその医薬上許容される塩、溶媒和物、もしくは生理機能的誘導体を意味する。
【0082】
式(I)の化合物は、口または鼻からの吸入によって投与されるであろう。
【0083】
例えば吸入による肺への局所デリバリーのための乾燥粉末組成物は、例えばゼラチンのカプセル剤およびカートリッジ中に、または吸入器もしくは注入器中で使用するために、例えば積層アルミホイルのブリスター中に存在してもよい。粉末ブレンド処方は一般に、吸入のための本発明の化合物の混合粉末と、単糖、二糖もしくは多糖類(例えば、ラクトースまたはデンプン)、有機もしくは無機塩(例えば、塩化カルシウム、リン酸カルシウムまたは塩化ナトリウム)、多価アルコール(例えば、マンニトール)、またはこれらの混合物などの適切な粉末基剤(担体/希釈剤/賦形剤物質)とを(あるいは、ブレンド処方中に含められ、下記に説明するように処方の化学的および/もしくは物理的安定性または性能を向上させる添加剤などの、1種または複数のさらなる材料と共に、またはこれらの混合物と共に)含有する。ラクトースの使用が好ましい。各カプセル剤またはカートリッジは一般に、他の治療的活性成分と所望により組み合わせた、20μg〜10mgの式(I)の化合物を含有し得る。あるいは、本発明の化合物は、賦形剤を含まずに提供されてもよいし、または共沈殿もしくはコーティングによるなどの、化合物、所望による他の治療的活性物質、および賦形剤材料を含んだ粒子に形成してもよい。
【0084】
薬剤ディスペンサーは、貯蔵式ドライパウダー吸入器(RDPI)、多回用量ドライパウダー吸入器(MDPI)、および定量吸入器(MDI)からなる群から選択されるタイプが適切である。
【0085】
貯蔵式ドライパウダー吸入器(RDPI)とは、乾燥粉末形態の多数の(非計量の用量の)薬剤を含むのに適切な貯蔵形態のパックを有し、貯蔵部からデリバリーの位置までに薬剤用量を計量するための手段を含む吸入器を意味する。計量手段は、カップを貯蔵部からの薬剤で満たすことができる第1の位置から、計量した薬剤用量を患者が吸入することができる第2の位置へと移動できる、例えば計量カップまたは多孔板を含み得る。
【0086】
多回用量ドライパウダー吸入器(MDPI)とは、薬剤が、多数の薬剤の確定用量(またはその一部)を含む(またはその他の場合は担持する)多回用量パック内に含まれている、乾燥粉末形態の薬剤を分注するのに適切な吸入器を意味する。好ましい態様では、支持体はブリスターパック形態を有するが、例えば、印刷、塗布および真空閉鎖を含めた任意の適切な方法で薬剤が施されている、カプセルをベースとしたパック形態または支持体を含むこともできる。
【0087】
処方は、事前計量でき(例えば、DiskusによるGB2242134を参照されたい、またはDiskhalerによるGB2178965、同2129691および同2169265を参照されたい)、または使用中に計量できる(例えばTurbuhalerによるEP69715を参照されたい)。単位用量装置の例としては、Rotahalerがある(GB2064336を参照されたい)。Diskus吸入装置は、その長さに沿って間隔を置いて配置された複数のくぼみを有するベースシートと、そこに気密にではあるが剥離可能に密閉され複数の容器を画成するふたシートとから形成される細長いストリップを含み、各容器は、好ましくはラクトースと組み合わせた式(I)の化合物を含有する吸入可能な処方をその中に有する。ストリップはロールに巻き取られるのに十分に可撓性であることが好ましい。ふたシートおよびベースシートは、互いに密封されていない先頭の端部分を有し、前記先頭の端部分の少なくとも1つは巻き取り手段に取り付けるように構成されていることが好ましいであろう。また、ベースシートおよびふたシートの間の気密シールは、その全幅に亘ることが好ましい。ふたシートは、前記ベースシートの第1の端部から長手方向にベースシートから剥離することができることが好ましい。
【0088】
一態様によれば、多回用量パックは、乾燥粉末形態の薬剤を含有するための多数のブリスターを含むブリスターパックである。ブリスターは通常、そこからの薬剤の放出を簡単にするために規則正しく配置されている。
【0089】
一態様によれば、多回用量ブリスターパックは、円盤形態のブリスターパック上に全体的に円形様式で配置された複数のブリスターを含む。他の態様では、多回用量ブリスターパックは、例えばストリップまたはテープを含む、細長い形態である。
【0090】
好ましくは、多回用量ブリスターパックは、互いに剥離可能に固着された2つの部材の間に画成されている。米国特許第5,860,419号、同5,873,360号および同5,590,645号には、この一般タイプの薬剤パックが記載されている。この態様において、この装置は通常、部材を剥離し各薬剤用量に到達するための剥離手段を含む開口ステーションを備えている。剥離可能な部材がその長さに沿って間隔を置いて配置された複数の薬剤容器を画成する細長いシートである場合に、この装置が使用するようになされ、この装置が各容器を次々に指し示す指示手段を備えることが適切である。シートの1つはその中に複数のポケットを有するベースシートであり、シートの他方はふたシートであり、各ポケットおよびふたシートの隣接する部分が容器の各々の1つを画成する場合に、この装置は使用するようになされ、この装置が、ふたシートおよびベースシートを開口ステーションにおいて引き剥がす駆動手段を含むことがより好ましい。
【0091】
定量吸入器(MDI)とは、エアゾール形態で薬剤を分注するのに適切な薬剤ディスペンサーを意味し、薬剤は、噴射剤をベースとするエアゾール薬剤処方を含有するのに適切なエアゾール容器内に含まれる。エアゾール容器は通常、エアゾール形態の薬剤処方を患者に対して放出するための計量弁、例えば滑り弁を備える。エアゾール容器は一般に、容器を固定して弁を押すことによって、または弁を固定して容器を押すことによって開くことができる弁による各々の操作によって、薬剤の所定用量を送達するように設計されている。
【0092】
吸入による肺への局所デリバリーのためのスプレー組成物は、例えば水溶液もしくは水性懸濁液として、または適切な液化噴射剤を使用した定量吸入器などの加圧パックから送達されるエアゾール剤として処方し得る。吸入に適切なエアゾール組成物は、懸濁液または溶液の場合があり、他の治療的活性成分、およびフルオロカーボンまたは水素含有クロロフルオロカーボンまたはそれらの混合物、特にヒドロフルオロアルカン、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、特に1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロ−n−プロパンまたはこれらの混合物などの適切な噴射剤と所望により組み合わせて、一般に式(I)の化合物を含有する。二酸化炭素または他の適切なガスも噴射剤として使用し得る。エアゾール組成物は、賦形剤が含まれていなくてもよく、または界面活性剤、例えばオレイン酸またはレシチン、および共溶媒、例えばエタノールなどの当技術分野で周知のさらなる賦形剤処方を所望により含有してもよい。加圧された処方は一般に、弁(例えば計量弁)で閉鎖された缶(例えば、アルミニウム缶)中に保持され、マウスピースを備えたアクチュエータ中に収められるであろう。
【0093】
吸入による投与のための薬剤は、制御された粒径を有することが望ましい。肺への局在的デリバリーのための、気管支系への吸入のための空気力学的に最適な粒径は、通常1〜10μm、好ましくは2〜5μmである。肺への全身的デリバリーを達成するための、肺胞領域への吸入のための空気力学的に最適な粒径は、約5〜3μm、好ましくは1〜3μmである。20μmを超える空気力学的サイズを有する粒子は一般に、吸入された場合大きすぎて、末梢気道に到達しない。処方の空気力学的平均粒径は、例えばカスケードインパクションによって測定し得る。幾何学的平均粒径は、例えばレーザー回折、光学的方法によって測定し得る。
【0094】
所望の粒径を実現するために、生成される活性成分の粒子は、従来の手段、例えば制御結晶化、微粒子化またはナノ粉砕によって粒径縮小し得る。所望の画分は、空気分級によって分離し得る。あるいは、所望のサイズの粒子は、例えば所望のサイズ範囲の粒子を得るために噴霧乾燥パラメーターを制御した噴霧乾燥によって直接生成し得る。望ましい場合はアモルファス材料も用い得るが、粒子が結晶性であることが好ましいであろう。ラクトースなどの賦形剤を用いる場合、一般に賦形剤の粒径は、「粗い」担体が吸い込まれる可能性がないように、本発明の吸入薬剤よりもかなり大きいであろう。賦形剤がラクトースである場合、それは通常粉砕されたラクトースとして存在し、ラクトース粒子の85%以下は60〜90μmのMMDを有し、15%以上は15μm未満のMMDを有するであろう。担体に加えて、乾燥粉末ブレンド中の添加剤材料は、吸い込まれる可能性のある、すなわち、空気力学的に10ミクロン未満、または吸い込まれる可能性がない、すなわち、空気力学的に10ミクロン超であり得る。
【0095】
使用され得る適切な添加剤材料には、ロイシンなどのアミノ酸;レシチン(例えば、大豆レシチン)、ならびに固体脂肪酸(例えば、ラウリン酸、パルミチン酸、およびステアリン酸)およびそれらの誘導体(塩およびエステルなど)などの水溶性または水不溶性、天然または合成の界面活性剤;ホスファチジルコリン;糖エステルが挙げられる。添加剤材料には、着色剤、味マスキング剤(例えば、サッカリン)、帯電防止剤、滑沢剤(例えば、その教示が参照により本明細書中に組み込まれている公開PCT特許出願第87/905213号を参照されたい)、化学安定剤、緩衝液、保存料、吸収促進剤、および当業者に公知の他の材料も挙げられ得る。
【0096】
持続放出コーティング材料(例えば、ステアリン酸またはポリマー、例えばポリビニルピロリドン、ポリ乳酸)も、活性物質または活性物質を含有する粒子上に使用し得る(例えば、その教示が参照により本明細書中に組み込まれているUS3,634,582、GB1,230,087、GB1,381,872を参照されたい)。
【0097】
鼻腔内スプレーは、増粘剤;pHを調節するための緩衝塩、または酸もしくはアルカリ;等張性調節剤または抗酸化剤などの薬剤を添加した、水性または非水性ビヒクルで処方され得る。
【0098】
噴霧による吸入のための溶液は、酸もしくはアルカリ、緩衝塩、等張化剤または抗菌剤などの薬剤を添加した水性ビヒクルと共に処方し得る。それらは、濾過またはオートクレーブ中の加熱によって滅菌することができ、あるいは滅菌していない製品としても提供することができる。
【0099】
好ましい単位用量処方は、本明細書において前述した活性成分の有効用量、またはその適切な画分を含有する処方である。
【0100】
明細書および下記の特許請求の範囲を通して、状況がそれ以外のことを必要としない限り、「含む(comprise)」という用語、および「含む(comprises)」および「含む(comprising)」などの変形は、言及した整数または工程、または整数の群の含有を意味するが、任意の他の整数または工程、または整数もしくは工程の群の排除を意味しないと理解されるであろう。
【0101】
それだけに限らないが、特許および特許出願が挙げられる、本明細書で引用した全ての刊行物は、各々の個別の刊行物が、全文を記載したかの如く特に個別に参照により本明細書中に組み込まれていることが示されたように、参照により本明細書中に組み込まれている。
【0102】
上記の説明は、その好ましい実施形態を含めた本発明を完全に開示する。本明細書において特に開示した実施形態の改変および改良は、下記の特許請求の範囲の範囲内である。さらに説明しなくても、当業者であれば前記の説明を用いてそのできる限りの範囲まで本発明を利用することができると考えられる。したがって、本明細書における実施例は、単に例示的なものであり、決して本発明の範囲を限定するものでないと解釈される。独占的な特性または特権が特許請求されている本発明の実施形態を、下記に規定する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式(I):
【化1】

(I)
[式中、
Yは、OHまたはCNであり、
R1は、C1〜15アルキル、シアノ置換C1〜15アルキル、ハロ置換C1〜15アルキル、C1〜15アルキルシクロアルキル、C2〜15アルケニル、ヒドロキシ置換C1〜15アルキル、C2〜15アルキルアリール、C2〜15アルキルヘテロアリール、(CR7R7)qOC(O)Ra、および(CR7R7)qORcからなる群から選択されるか、あるいは
R1は、
【化2】

(ここで、
R4およびR5は、独立して、水素、ハロゲン、C1〜4アルキル、アリール、C1〜4アルキルアリール、シアノ、ニトロ、(CR7R7)pORbからなる群から選択されるか、またはR4およびR5は一緒になって、5〜6員の飽和または不飽和環を形成してもよく(ここで、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、ヘテロアリール基、ヘテロアルキル基、複素環基、複素環アルキル基は、置換されていてもよい)、
R6は、水素およびC1〜4アルキルからなる群から選択され、
mは、1〜15の整数である)
で示される基であり、
R2およびR3は、独立して、その部分の全てが置換されていてもよい、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、
Raは、その部分の全てが置換されていてもよい、水素、C1〜15アルキル、C1〜15アルコキシおよびアリールからなる群から選択され、
Rcは、その部分の全てが置換されていてもよい、水素、C1〜15アルキル、C1〜15アルコキシ、複素環およびC1〜15アルキル複素環部分からなる群から選択され、
tは、0または1〜5の整数であり、
pは、0または1〜4の整数であり、
qは、1〜5の整数であり、
Rbは、水素またはC1〜4アルキルであり、
は、生理学的に許容できる陰イオンを意味する]
で示される化合物。
【請求項2】
Yが、OHまたはCNであり、
R1が、C7〜12アルキルおよび(CR7R7)qOC(O)Raからなる群から選択されるか、
またはR1が、
【化3】

(ここで、
R4およびR5は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、メトキシ、シアノ、ニトロからなる群から選択されるか、またはR4およびR5は一緒になって、6員の飽和環を形成してもよく、
R6は水素であり、
mは1〜5の整数である)
で示される基であり、
R2およびR3が、独立して、その部分の全てが置換されていてもよい、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、
Raが、置換されていてもよいアリールであり、
tが、0または1〜5の整数であり、
qが、1〜5の整数であり、
が、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、水酸化イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、フマル酸イオン、クエン酸イオン、酒石酸イオン、シュウ酸イオン、コハク酸イオン、マンデル酸イオン、メタンスルホン酸イオンおよびp−トルエンスルホン酸イオンからなる群から選択される、
請求項1記載の化合物。
【請求項3】
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{2−[(フェニルメチル)オキシ]エチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド;
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−(2−フェニルエチル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド;
1−エチル−4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド;
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−ノニル−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド;
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−[2−(メチルオキシ)エチル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド;
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−[4−(フェニルオキシ)ブチル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド;
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{3−[(フェニルメチル)オキシ]プロピル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド;
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−({4−[(トリフルオロメチル)オキシ]フェニル}メチル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド;
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−[2−(フェニルオキシ)エチル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド;
1−ヘキシル−4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド;
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{4−[(フェニルメチル)オキシ]ブチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド;
1−(シクロヘキシルメチル)−4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド;
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−[2−({[3−(メチルオキシ)フェニル]メチル}オキシ)エチル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド;
1−{3−[(4−ブロモフェニル)オキシ]プロピル}−4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド;
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{2−[(フェニルカルボニル)オキシ]エチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド;
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{3−[(4−ニトロフェニル)オキシ]プロピル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド;
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{3−[(2−ヒドロキシフェニル)オキシ]プロピル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド;
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−[3−(2−ナフタレニルオキシ)プロピル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド;
1−{3−[(3−クロロフェニル)オキシ]プロピル}−4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド;
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−{[3−(メチルオキシ)フェニル]メチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド;
1−(5−ヘキセン−1−イル)−4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド;
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−(6−ヒドロキシヘキシル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド;
4−[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]−1−[3−(フェニルオキシ)プロピル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド;
4−[シアノ(ジフェニル)メチル]−1−(フェニルメチル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド;
4−[シアノ(ジフェニル)メチル]−1−{2−[(フェニルメチル)オキシ]エチル}−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド;
4−[シアノ(ジフェニル)メチル]−1−エチル−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド;
4−[シアノ(ジフェニル)メチル]−1−[3−(メチルオキシ)プロピル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド;
4−[シアノ(ジフェニル)メチル]−1−(3−フェニルプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド;
4−[シアノ(ジフェニル)メチル]−1−ヘキシル−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド;
4−[シアノ(ジフェニル)メチル]−1−(2−ヒドロキシエチル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド;
4−[シアノ(ジフェニル)メチル]−1−(シクロヘキシルメチル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド;
4−[シアノ(ジフェニル)メチル]−1−[2−(1H−インドール−2−イル)エチル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド;
4−[シアノ(ジフェニル)メチル]−1−(3−シアノプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド;および
4−[シアノ(ジフェニル)メチル]−1−[3−(フェニルオキシ)プロピル]−1−アゾニアビシクロ[2.2.1]ヘプタンブロミド
からなる群から選択される、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
請求項1に記載の化合物およびその医薬上許容される担体を含む、ムスカリン性アセチルコリン受容体介在疾患を治療するための医薬組成物。
【請求項5】
請求項1に記載の化合物の安全かつ有効な量を投与する工程を含む、アセチルコリンのその受容体への結合の阻害を必要としている哺乳動物において、アセチルコリンのその受容体への結合を阻害する方法。
【請求項6】
請求項1に記載の化合物の安全かつ有効な量を投与する工程を含む、アセチルコリンが受容体に結合する、ムスカリン性アセチルコリン受容体介在疾患を治療する方法。
【請求項7】
疾患が、慢性閉塞性肺疾患、慢性気管支炎、喘息、慢性呼吸閉塞、肺線維症、肺気腫およびアレルギー性鼻炎からなる群から選択される、請求項6記載の方法。
【請求項8】
投与が口または鼻からの吸入による、請求項7記載の方法。
【請求項9】
貯蔵式ドライパウダー吸入器、多回用量ドライパウダー吸入器または定量吸入器から選択される薬剤ディスペンサーを介して投与される、請求項8記載の方法。
【請求項10】
化合物がヒトに投与され、1mg用量で12時間以上の作用持続時間を有する、請求項9記載の方法。
【請求項11】
化合物が24時間以上の作用持続時間を有する、請求項10記載の方法。
【請求項12】
化合物が36時間以上の作用持続時間を有する、請求項11記載の方法。

【公表番号】特表2009−504768(P2009−504768A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−527135(P2008−527135)
【出願日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際出願番号】PCT/US2006/032138
【国際公開番号】WO2007/022351
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】