説明

メイクアップ化粧料

【課題】塗布のつやに優れ、保湿効果が長時間持続するメイクアップ化粧料を提供する。
【解決手段】次の成分(A)及び(B):
(A)構成単位として分子内に炭素数12〜22のアルキル基を有するメタクリレートを60質量%以上含み、疎水性のビニル基含有モノマーを40質量%以下含む油溶性高分
0.1〜10質量%、
(B)不飽和脂肪酸エステル油 2〜20質量%
を含有するメイクアップ化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布のつやに優れ、しかも保湿効果が長時間持続するメイクアップ化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
口唇は汗腺がなく、水分の蒸散を抑える角層も薄いことから、乾燥しやすく荒れやすい部位である。口唇の荒れを予防・改善させるために、口紅等に各種エキス等の有効成分や、保湿成分やエモリエント成分を配合させることが行われている。例えば、植物性液状油剤は、高いエモリエント効果を有し、唇から水分が逃げるのを抑制する効果を有していることから、口紅原料として汎用されている(非特許文献1、特許文献1、特許文献2)。
【0003】
しかしながら、植物性液状油剤は、唇への浸透性が高く、唇上で拡散もしやすいことから、水分蒸散抑制効果が持続せず、その効果は比較的短時間に低下してしまうという問題がある。
【非特許文献1】関根茂ら編、化粧品ハンドブック、日光ケミカル社、1996年、p.2−12
【特許文献1】特開平10−152413号公報
【特許文献2】特開平10−152414号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、水分蒸散抑制効果が長時間持続し、保湿効果及びその持続性に優れたメイクアップ化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、特定の油溶性高分子と、不飽和脂肪酸エステル油を特定の割合で組み合わせて用いれば、水分蒸散抑制効果が長時間持続するメイクアップ化粧料が得られることを見出した。
【0006】
本発明は、次の成分(A)及び(B):
(A)構成単位として分子内に炭素数12〜22のアルキル基を有するメタクリレートを60質量%以上含み、疎水性のビニル基含有モノマーを40質量%以下含む油溶性高分子
0.1〜10質量%、
(B)不飽和脂肪酸エステル油 2〜20質量%
を含有するメイクアップ化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のメイクアップ化粧料は、塗布後のつやに優れるとともに、水分蒸散抑制効果が長時間持続し、保湿効果及びその持続性に優れたものである。特に、口紅等の口唇化粧料として適用すれば、唇の荒れを予防・改善する優れた効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明で用いる成分(A)の油溶性高分子は、構成単位として分子内に炭素数12〜22のアルキル基を有するメタクリレートを60質量%以上含み、疎水性のビニル基含有モノマーを40質量%以下含むものである。
炭素数12〜22のアルキル基としては、炭素数16〜20のものが好ましく、炭素数18が最も好ましい。
成分(A)の油溶性高分子は、このような疎水性メタクリレートを、60質量%以上、好ましくは90質量%以上含有するものであり、それにより、高いつやを得ることができる。
【0009】
一方、疎水性のビニル基含有モノマーとしては、20℃の水100gへの溶解度が2g以下であるものが好ましい。
このようなモノマーとしては、炭素数23以上のアルキル基を含有するメタクリレート、炭素数11以下のアルキル基を含有するメタクリレート、炭素数1〜30のアルキル基を含有するアクリレート、アルキルアクリルアミド系モノマー、アルキルメタクリルアミド系モノマーのほか、スチレン系モノマー等が挙げられる。より具体的には、メタクリル酸メチル、メタクリル酸tert−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソボルニル、アクリル酸ジシクロペンタニル、メタクリル酸ジシクロペンタニル、スチレン、tert−ブチルアクリルアミド、tert−ブチルメタクリルアミド等が挙げられる。
【0010】
成分(A)の油溶性高分子は、このような疎水性のビニル基含有モノマーを、40質量%以下、好ましくは10質量%以下含有するものである。また、疎水性のビニル基含有モノマーとしては、フッ素含有モノマーを含まないのが好ましい。
【0011】
成分(A)の油溶性高分子において、油溶性とは、成分(A)を50〜80℃で加熱したとき、成分(B)と均一に溶解できるものである。溶解条件は次のとおりである。成分(B)80gと成分(A)20gを混合して50〜80℃に加熱し、ディスパーにて10分攪拌する。更に、加熱状態で30分間静置した際の外観を目視観察して判断する。即ち、溶け残りがなく、均一に溶解している状態、また屈折率差のある界面を生じない状態を油溶性という。
【0012】
成分(A)の油溶性高分子は、分子量が2万〜50万、特に5万〜15万であるのが、より高いつやが得られるので好ましい。
成分(A)の油溶性高分子としては、特に炭素数12〜22のアルキル基を有するメタクリレートのホモポリマーが好ましく、炭素数18のアルキル基を有するメタクリレートのホモポリマー(ポリステアリルメタクリレート)が最も好ましい。
【0013】
成分(A)の油溶性高分子は、1種以上を用いることができ、全組成中に0.1〜10質量%、好ましくは0.3〜2質量%含有される。水分蒸散抑制効果の点から0.1質量%以上が好ましく、塗布時の感触のよさの点から10質量%以下が好ましい。
【0014】
本発明で用いる成分(B)の不飽和脂肪酸エステル油は、炭素数16〜20の不飽和脂肪酸(オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等)とグリセリンの(モノ、ジ、トリ)エステル、不飽和脂肪酸とアルコールのエステル、不飽和脂肪酸とフィトステロールのエステルなどを主成分とする天然油または合成油であり、25℃で液状又はペースト状のものである。
【0015】
これらの天然油としては、ハイオレイックヒマワリ油、ハイオレイックサフラワー油、ヒマワリ油、サフラワー油、オリーブ油、マカデミアナッツ油、アボカド油、アーモンド油、アンズ核油等の植物油が挙げられる。中でもオレイン酸又はリノール酸を含むトリグリセライドを50質量%以上含有するものが好ましい。
また、合成油としては、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル等が挙げられる。
【0016】
これらのうち、ハイオレイックヒマワリ油、ハイオレイックサフラワー油、オリーブ油、マカデミアナッツ油、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリルが好ましく、特に、ハイオレイックヒマワリ油が、水分蒸散抑制を持続させる上で好ましい。
【0017】
成分(B)は、1種以上を用いることができ、水分蒸散を抑制する効果、及び油性感の点から、全組成中に2〜20質量%、好ましくは5〜10質量%含有される。
【0018】
また、成分(A)と成分(B)の含有割合は、水分蒸散を抑制する効果と塗布時の感触の点から、質量比で、1:0.5〜1:300、特に1:1〜1:40であるのが好ましい。
【0019】
本発明のメイクアップ化粧料は、更に(C)保湿剤を含有することができ、水分蒸散抑制効果をより向上させることができる。
保湿剤としては、セラミド類、グリチルレチン酸ステアリルが特に好ましい。
【0020】
セラミド類としては、下記の一般式(1)で表わされる化合物が挙げられる。
【0021】
【化1】

【0022】
〔式中、R1はヒドロキシ基、オキソ基又はアミノ基が置換してもよい炭素数4〜30の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、Zはメチレン基、メチン基又は酸素原子を示し、破線はπ結合の存在又は不存在を示し、X1は水素原子、アセチル基又はグリセリル基を示すか、又は隣接する酸素原子とともにオキソ基を形成し、X2、X3及びX4は各々独立して水素原子、ヒドロキシ基又はアセトキシ基を示し(但し、Zがメチン基であるとき、X2とX3は一方が水素原子で他方は存在せず、−O−X1がオキソ基であるとき、X4は存在しない)、R2及びR3は各々独立して水素原子、ヒドロキシ基、ヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し、R4はヒドロキシ基又はアミノ基が置換してもよい炭素数5〜35の直鎖、分岐鎖若しくは環状の飽和炭化水素基、又は該炭化水素基のω位、にヒドロキシ基が置換してもよい炭素数8〜22の直鎖、分岐若しくは環状の飽和若しくは不飽和の脂肪酸がエステル結合若しくはアミド結合した基を示し、R5は水素原子を示すか、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる置換基を有してもよい総炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示す。〕
【0023】
一般式(1)において、R1としては、ヒドロキシ基が置換してもよい炭素数7〜22の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基が好ましい。X1としては、水素原子、グリセリル基が好ましい。X2、X3及びX4としては、その0〜1個がヒドロキシ基であり、残余が水素原子であるのが好ましい。R2及びR3としては、一方が水素原子又はヒドロキシメチル基であり、他方が水素原子であるのが好ましい。R4における飽和炭化水素基のω位にエステル結合若しくはアミド結合してもよい脂肪酸としては、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、リノール酸が好ましい。R5としては、水素原子、あるいはヒドロキシ基、ヒドロキシアルコキシ基及びアルコキシ基から選ばれる1〜3個が置換してもよい総炭素数1〜8の炭化水素基が好ましい。
【0024】
好ましいセラミド類(1)として次の(1a)及び(1b)が挙げられる。
【0025】
(1a)一般式(1a)で表される天然セラミド又は天然型セラミド、及びその誘導体(以下、「天然型セラミド類」という):
【0026】
【化2】

【0027】
〔式中、R1aはヒドロキシ基が置換してもよい炭素数7〜19の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、Z1はメチレン基又はメチン基を示し、破線はπ結合の存在又は不存在を示し、X1aは水素原子を示すか、又は隣接する酸素原子とともにオキソ基を形成し、X2a、X3a及びX4aは各々独立して水素原子、ヒドロキシ基又はアセトキシ基を示し(但し、Z1がメチン基であるとき、X2aとX3aは一方が水素原子で他方は存在せず、−O−X1aがオキソ基であるとき、X4aは存在しない)、R2aはヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し、R4aはヒドロキシ基が置換してもよい炭素数5〜30の直鎖、分岐鎖若しくは環状の飽和炭化水素基、又は該アルキル基のω末端に、ヒドロキシ基が置換していてもよい炭素数8〜22の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の脂肪酸がエステル結合若しくはアミド結合した基を示し、R5aは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。〕
【0028】
好ましくは、R1aが炭素数7〜19、更に好ましくは炭素数13〜15の直鎖アルキル基;Z1がメチン基でX2aとX3aの一方が水素原子;R4aが炭素数9〜27のヒドロキシ基が置換してもよい直鎖アルキル基である化合物が挙げられる。また、X1aは水素原子であるか、酸素原子とともにオキソ基を形成するのが好ましい。特に、R4aとしては、トリコシル基、1−ヒドロキシペンタデシル基、1−ヒドロキシトリコシル基、ヘプタデシル基、1−ヒドロキシウンデシル基、ω位にリノール酸がエステル結合したノナコシル基が好ましい。
【0029】
天然型セラミド類の具体例としては、以下に構造を示すような、スフィンゴシン、ジヒドロスフィンゴシン、フィトスフィンゴシン又はスフィンガジエニンがアミド化されたセラミドType1〜7(例えば、J. Lipid Res., 24:759 (1983)の図2、及びJ. Lipid. Res.,35:2069 (1994)の図4記載のブタ及びヒトのセラミド類)が挙げられる。
【0030】
【化3】

【0031】
更にこれらのN−アルキル体(例えばN−メチル体)も挙げられる。これらは天然からの抽出物及び合成物のいずれでもよく、市販のものを用いることができる。
【0032】
(1b)次の一般式(1b)で表される擬似型セラミド類:
【0033】
【化4】

【0034】
〔式中、R1bはヒドロキシ基が置換してもよい炭素数10〜22の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、X1bは水素原子、アセチル基又はグリセリル基を示し、R4bはヒドロキシル基又はアミノ基が置換していてもよい炭素数5〜22の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基であるか、又は該炭化水素基のω末端に、ヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数8〜22の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の脂肪酸がエステル結合若しくはアミド結合した基を示し、R5bは水素原子を示すか、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基又はアセトキシ基が置換していてもよい総炭素数1〜8のアルキル基を示す。〕
【0035】
4bとしては、特にノニル基、トリデシル基、ペンタデシル基、ω位にリノール酸がエステル結合したウンデシル基、ω位にリノール酸がエステル結合したペンタデシル基、ω位に12−ヒドロキシステアリン酸がエステル結合したペンタデシル基、ω位にメチル分岐イソステアリン酸がアミド結合したウンデシル基が好ましい。R5bのヒドロキシアルコキシ基又はアルコキシ基としては炭素数1〜8のものが好ましい。
【0036】
擬似型セラミド類(1b)としては、R1bがヘキサデシル基、X1bが水素原子、R4bがペンタデシル基、R5bがヒドロキシエチル基のもの;R1bがヘキサデシル基、X1bが水素原子、R4bがノニル基、R5bがヒドロキシエチル基のもの;又はR1bがヘキサデシル基、X1bがグリセリル基、R4bがトリデシル基、R5bが3-メトキシプロピル基のものが好ましく、一般式(2b)のR1bがヘキサデシル基、X1bが水素原子、R4bがペンタデシル基、R5bがヒドロキシエチル基のものが特に好ましい。好ましい具体例として、以下のものが挙げられる。
【0037】
【化5】

【0038】
成分(C)の保湿剤は、1種以上を用いることができ、全組成中に0.1〜5質量%、特に0.5〜3質量%含有するのが好ましい。
【0039】
更に、本発明のメイクアップ化粧料は、前記以外の油性成分、粉体、界面活性剤を含有することができる。
油性成分として、ワックス(固体脂)及びオイル(液油)を用いることができる。
ワックスとしては、常温で固体又は半固体の炭化水素、脂肪酸エステル、トリグリセライド、脂肪酸、高級アルコール及びこれらの誘導体が用いられ、具体的には、固体パラフィン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、低分子ポリエチレン、低分子ポリオレフィン、ワセリン、ラノリン、ミツロウ、カルナウパワックス、キャンデリラワックス、ステアリルアルコール、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘニン酸、ラノリン脂肪酸、硬化ヒマシ油、12−ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。
【0040】
オイルとしては、常温で液体の炭化水素、脂肪酸エステル、トリグリセライド、脂肪酸、高級アルコール、シリコーンオイル、フッ素系オイル及びこれらの誘導体等が用いられ、具体的には、ヒマシ油、流動パラフィン、流動分岐パラフィン、ワセリン、スクワラン、水添ポリイソブテン、ステアリン酸ブチルエステル、ミリスチン酸オクチルドデシルエステル、ミリスチン酸イソプロピルエステル、ラノリン脂肪酸イソプロピルエステル、ラノリン脂肪酸へキシルエステル、アジピン酸ジイソプロピルエステル、セバチン酸ジイソプロピルエステル、イソノナン酸イソトリデシル、イソステアリン酸ポリグリセリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、2−オクチルドデカノール、オレイルアルコール、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジメチルシクロポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、パーフルオロポリエーテル等が挙げられる。
これらの油性成分は、全組成中に10〜80質量%含有されるのが好ましい。
【0041】
粉体としては、体質顔料、着色顔料、パール顔料を用いることができる。
体質顔料としては、例えばケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、タルク、セリサイト、マイカ、カオリン、クレー、ベントナイト、オキシ塩化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の無機顔料及びこれらの複合粉体;ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ナイロン、シリコーン樹脂、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、シルクパウダー、セルロース、Nε−ラウロイル−L−リジン、長鎖アルキルリン酸金属塩、N−モノ長鎖アルキルアシル塩基性アミノ酸、金属セッケン等からなる有機粉体、及びこれらの複合粉体;上記無機粉体と有機粉体との複合粉体などが挙げられる。なお、これらの粉体の粒子形状は、球状、板状、針状、粒状及び不定形等いずれの形状でもよい。
【0042】
着色顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、黄酸化鉄、ベンガラ、黒酸化鉄、紺青、群青、酸化クロム、水酸化クロム等の金属酸化物、マンガンバイオレット、チタン酸コバルト等の金属錯体、更にカーボンブラック等の無機顔料、タール系色素、レーキ顔料等の有機顔料、カルミン等の天然色素などが挙げられる。
【0043】
パール顔料としては、雲母、合成金雲母等を酸化チタン、酸化鉄、酸化ケイ素、紺青、酸化クロム、カルミン、有機顔料等の着色剤で被覆したパール顔料等を用いることができる。
これらの粉体は、通常の方法により、撥水処理、撥水・撥油化処理等の各種表面処理を施して用いても良い。
これらの粉体は、全組成中に5〜50質量%含有されるのが好ましい。
【0044】
界面活性剤としては、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤を用いることができる。
非イオン界面活性剤としては、例えば、モノグリセライド、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルカノールアミド、アミンオキサイド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリンモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルサッカライド、α−モノアルキルグリセリルエーテル、ジメチルポリシロキサン・ポリオキシアルキレン共重合体、ジメチルポリシロキサン・モノアルキルグリセリルエーテル共重合体(特開平6−135871号)等が挙げられる。
【0045】
アニオン界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルナフタレンスルホネート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸塩等が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、脂肪族炭化水素基を有する第1級、第2級、第3級アミン塩、第4級アンモニウム塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。
【0046】
更に、本発明のメイクアップ化粧料は、増粘剤、酸化防止剤、アルコール、多価アルコール、防腐剤、紫外線吸収剤・散乱剤、有機溶剤、水溶性高分子、無機塩又は有機酸塩、キレート剤、乳化安定剤、pH調整剤、香料、各種エキス、薬剤、及び水等を適宜含有することができる。
【0047】
本発明のメイクアップ化粧料は、通常の方法により製造することができ、油性、水性、乳化物の状態で、また固型、半固型、液状、ペースト状の形態で提供することができる。また、化粧料としては、口紅、リップグロス、リップクリーム、リップライナー、アイシャドウ、ルースパウダー、アイブロウ、アイライナー、頬紅、ネイルエナメル、マスカラ、粉白粉、固型白粉、フェイスパウダー、パウダーファンデーション、油性ファンデーション、クリーム状ファンデーション、リキッドファンデーション、コンシーラー等が含まれる。
【実施例】
【0048】
合成例1
ステアリルメタクリレート50g、トルエン50gを溶解混合し、これに2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル1gを加え、窒素雰囲気下、65℃で5時間、さらに80℃で1時間重合させた。得られた溶液にエタノールを沈殿剤として加えて生成物を沈殿させ、次いで加熱減圧乾燥することにより、ポリステアリルメタクリレートを得た。重量平均分子量は10万であった。
得られたポリステアリルメタクリレート20gを、ハイオレイックヒマワリ油(オレイン酸トリグリセライド86質量%、リノール酸トリグリセライド4質量%含有)80gと70℃で加熱攪拌すると、均一に溶解した。
【0049】
合成例2
ステアリルメタクリレートをデシルメタクリレートに代える以外は、合成例1と同様に合成を行い、ポリデシルメタクリレートを得た。重量平均分子量は10万であった。
得られたポリデシルメタクリレート20gを、ハイオレイックヒマワリ油80g(オレイン酸トリグリセライド86質量%、リノール酸トリグリセライド4質量%含有)と70℃で加熱攪拌すると、均一に溶解した。
【0050】
実施例1〜3及び比較例1〜4(口紅)
表1に示す組成の口紅を製造し、水分蒸散抑制率及び塗布のつやを評価した。結果を表1に併せて示す。
なお、表1中、ハイオレイックヒマワリ油は、オレイン酸トリグリセライド86質量%、リノール酸トリグリセライド4質量%を含有するものであり;オリーブ油は、オレイン酸トリグリセライド83質量%、リノール酸トリグリセライド6質量%を含有するものであり;マカデミアナッツ油は、オレイン酸トリグリセライド57質量%、リノール酸トリグリセライド2質量%含有を含有するものである。
また、セラミド類1としては、以下に示す化合物を用いた。
【0051】
【化6】

【0052】
(製造方法)
表1に示す成分を、90℃の加熱状態で攪拌混合し、これを表面の光沢性を高めたアルミ製金型へと流し込み、室温まで冷却した。得られたスティック口紅を容器に装填した。
【0053】
(評価方法)
(1)水分蒸散抑制率:
唇にモデル口紅を厚み10μmになるように塗布し、水晶湿度センサーを用いた微細水分量測定装置(遠藤ら,表面技術,52,708〜712(2001))を用いて、唇から蒸散する水分量を30℃、30%RHの条件で直接測定する。何も塗布していない唇の水分量と比較し、以下の式で水分蒸散抑制率を求めた。塗布直後及び2時間後に、測定を行った。なお、データは、5人の平均値として示した。
【0054】
水分蒸散抑制率(%)=(1−〔口紅を塗布したときの水分蒸散量/口紅を塗布しないときの水分蒸散量〕)×100
【0055】
(2)塗布のつや:
各口紅を専門パネル5名が塗布し、つやを目視評価し、「優れている」、「普通」、「劣る」の3段階で判定した。
【0056】
【表1】

【0057】
実施例4(ほお紅)
以下に示す成分を50℃で混合した後、プレスして、ほお紅を得た。得られたほお紅は、時間がたっても乾燥感を生じず、潤いの高いものであった。
【0058】
(成分)
タルク 35(質量%)
マイカ 47
ステアリン酸亜鉛 3
着色顔料 3.5
雲母チタン 5.5
ジメチルポリシロキサン 2
ハイオレイックヒマワリ油 3
ポリステアリルメタクリレート(合成例1) 1
【0059】
実施例5(アイシャドウ)
以下に示す成分を50℃で混合した後、プレスして、アイシャドウを得た。得られたアイシャドウは、塗布の感触が軽く、かつしっとり感の高いものであった。
【0060】
(成分)
雲母チタン 50(質量%)
タルク 40
着色顔料 1
ジメチルポリシロキサン 5
ハイオレイックヒマワリ油 3
ポリステアリルメタクリレート(合成例1) 1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)及び(B):
(A)構成単位として分子内に炭素数12〜22のアルキル基を有するメタクリレートを60質量%以上含み、疎水性のビニル基含有モノマーを40質量%以下含む油溶性高分子
0.1〜10質量%、
(B)不飽和脂肪酸エステル油 2〜20質量%
を含有するメイクアップ化粧料。
【請求項2】
成分(A)が、ポリステアリルメタクリレートである請求項1記載のメイクアップ化粧料。
【請求項3】
成分(B)が、ハイオレイックヒマワリ油、ハイオレイックサフラワー油、オリーブ油、マカデミアナッツ油、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル及びオレイン酸フィトステリルから選ばれるものである請求項1又は2記載のメイクアップ化粧料。
【請求項4】
成分(A)と成分(B)の含有割合が、質量比で、1:0.5〜1:300である請求項1〜3のいずれか1項記載のメイクアップ化粧料。

【公開番号】特開2007−277173(P2007−277173A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−106205(P2006−106205)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】