説明

メタロセン錯体による重合触媒及びそれを用いるプロピレン系重合体の製造方法

【課題】プロピレン/エチレン−α−オレフィン系インパクトコポリマーにおいて、より高い融点を有する結晶性プロピレン成分と共に、より高いエチレン含量のエチレン−α−オレフィン共重合体成分を、安定的に効率よく製造する重合触媒を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表される(A−1)及びメタロセン化合物(A−2)からそれぞれ選択される少なくとも二種の遷移金属化合物を含むことを特徴とする、α−オレフィン重合触媒。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロピレン/エチレン−α−オレフィン系インパクトコポリマー重合用の重合触媒及びそれを用いるプロピレン/エチレン−α−オレフィン系インパクトコポリマーの製造方法に関し、詳しくは、より高い融点を有する結晶性ポリプロピレン成分(以下、PPともいう)と共に、より高いエチレン含量のエチレン−α−オレフィン共重合体成分(以下、CPともいう)を効率的に製造することができる、プロピレン/エチレン−α−オレフィン系インパクトコポリマー重合用の重合触媒、及びそれを用いるプロピレン/エチレン−α−オレフィン系インパクトコポリマーの製造方法に係わるものである。
【背景技術】
【0002】
結晶性ポリプロピレンは、ポリオレフィンにおいて機械的性質、耐薬品性及び耐熱性などに優れることから、各種成形分野に広く用いられている。しかしながら、結晶性ポリプロピレンは、剛性は高くなるが、耐衝撃性が不足する。
【0003】
これに対して、プロピレンの重合後に引き続いてエチレンとプロピレンを共重合させ、CPとして、エチレン−プロピレン共重合体ゴム(EPR)を含むインパクトコポリマーを製造することは、既に知られている(例えば、特許文献1〜4を参照。)。
このようないわゆる重合ブレンドでは、ゴム状共重合体の分散が改良されるため、物性が向上することが知られている。更に、メタロセン触媒を用いた場合には、用いる遷移金属化合物の設計を最適化することにより、より高い剛性と耐衝撃性を発揮させることができ、種々の特定構造を有する遷移金属化合物を用いたインパクトコポリマーの製造方法が開示されている。
このような製造に用いるメタロセン錯体において、より高い融点を有する結晶性プロピレン成分を製造できるものとして、種々の特定構造を有する遷移金属化合物が知られている(例えば、特許文献5〜7を参照。)。
【0004】
しかしながら、上記の遷移金属化合物からなる触媒を用いて、エチレンとプロピレンなどのα−オレフィンの共重合を行う場合、エチレンの反応性がプロピレンなどのα−オレフィンの反応性に比較して、相対的に低いことが問題となっている。つまり、所望のエチレン含量を有する共重合体を得るためには、共重合体中の含量から大きく異なるモノマー比のガスを供給して重合することが必要となり、製造上問題があって、更に極端な場合には、所望の含量を有する共重合体が製造できないこともある。
この問題に対して、より高いエチレン含量のエチレン−α−オレフィン共重合体を製造できるメタロセン錯体として、種々の特定構造を有する遷移金属化合物が知られている(例えば、特許文献8〜9を参照。)。
【0005】
しかし、上記開示された発明などによっても、より高い融点を有する結晶性プロピレン成分(PP)と同時に、より高いエチレン含量のエチレン−α−オレフィン共重合体成分(CP)とを両立する、優れた触媒は、未だ知られておらず、この目的のために用いる触媒や製造方法には、まだまだ改善の余地がある。
したがって、このようなレベルにあるプロピレン/エチレン−α−オレフィン系インパクトコポリマーを、安定的かつ効率的に製造する方法の開発が望まれている。
【0006】
なお、以上に挙げた触媒及びその製造方法においては、いずれも用いるメタロセン錯体は、1種であった。この場合、重合特性を主に支配する配位場を決定するメタロセン錯体は、単一であるため、異なる反応メカニズムに起因する複数の重合特性をバランスよく向上させることは難しくなると考えられる。より具体的には、より高い融点を有する結晶性プロピレン成分を製造するためには、重合中に金属中心に配位するプロピレンの配位方向を精密に制御することが必要となる。一方、同一ガス組成の反応ガス中で、より高いエチレン含量のエチレン−α−オレフィン共重合体を製造するためには、エチレンとα−オレフィンの反応性比をある範囲のバランスに保つ必要がある。
このような問題に対して、複数のメタロセン錯体を用いて触媒を形成する場合には、異なる反応メカニズムに起因する複数の重合特性をそれぞれ異なるメタロセン錯体に担わせることで、独立にその配位場を設計することが可能となり、所望の触媒特性をバランスよく設計し向上させることが可能である。
このような観点で、既に2種以上のメタロセン錯体を用いる触媒や製造方法は、いくつか知られている。例えば、二種類の錯体を使用する、分子量分布や立体規則性分布の広いプロピレン重合体の製造法についても、公知である(例えば、特許文献10〜12を参照。)。
【0007】
しかしながら、より高い融点を有する結晶性ポリプロピレン成分(PP)と共に、より高いエチレン含量のエチレン−α−オレフィン共重合体成分(CP)を効率的に製造するために、インパクトコポリマーの製造において、異なるモノマーに対する重合特性などを、二種類の錯体を使用して改良することは未だ知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平4−337308号公報
【特許文献2】特開平6−287257号公報
【特許文献3】特開平11−228648号公報
【特許文献4】特開平11−240929号公報
【特許文献5】特表2003−533550号公報
【特許文献6】国際公開WO2002−2575号パンフレツト
【特許文献7】特開2005−126679号公報
【特許文献8】特開2007−308486号公報
【特許文献9】特開2008−101034号公報
【特許文献10】特表2001−508472号公報
【特許文献11】特開2001−64314号公報
【特許文献12】特開2003−119212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、前記した背景技術の問題点に鑑み、より高い融点を有する結晶性プロピレン成分と共に、より高いエチレン含量のエチレン−α−オレフィン共重合体成分を安定的に効率よく製造する重合触媒、及びそれを用いるプロピレン/エチレン−α−オレフィン系インパクトコポリマーの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記の課題を解決するために、触媒成分として用いる遷移金属化合物の構造やそれらを活性化する助触媒機能を有する化合物について、その基本骨格に起因する遷移金属化合物の有する対称性、触媒活性点でのポリマー形成のメカニズム、及び遷移金属化合物の置換基の立体効果やそれによる生成ポリマーの配位モノマーへの影響などの観点からの経験則を考慮しながら、プロピレン系の重合においては、高い立体規則性重合を行い、かつ、より高いエチレン含量のエチレン−α−オレフィン共重合体を安定的に効率よく製造する重合触媒を求めて、多面的に考察し実験的な探索を行った。
その過程において、ある特定の立体的な構造を有する2種の遷移金属化合物を触媒成分として組み合わせて用い、かつ適切な助触媒成分とからなる触媒を形成した場合に、プロピレンの重合においては、高い立体規則性を保ちつつ、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンの共重合においては、同一ガス組成の反応ガス中で、より高いエチレン含量のエチレン−α−オレフィン共重合体を付与して製造できる事実を認識することができた。
つまり、特有の重合触媒により、高い融点を有する結晶性プロピレン成分と共に、より高いエチレン含量のエチレン−α−オレフィン共重合体成分を安定的に効率よく付与して製造できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明の第1の発明においては、上記の特有の重合触媒として、(A)下記成分(A−1)及び(A−2)からそれぞれ選択される少なくとも二種の遷移金属化合物、及び(B)アルミニウムオキシ化合物(B−1)、上記遷移金属化合物(A)と反応してカチオンに変換することが可能なイオン性化合物又はルイス酸(B−2)、固体酸微粒子(B−3)及びイオン交換性層状珪酸塩(B−4)からなる化合物群の中から選ばれる少なくとも一種を含むことを特徴とする、α−オレフィン重合触媒が提供される。
(A−1):一般式(1)で表される遷移金属化合物
【0012】
【化1】

[ 一般式(1)中、MはTi、Zr又はHfであり、Q1は、二つのシクロペンタジエニル環を連結する架橋基を示し、X1及びY1は、(B)と反応してオレフィン重合能を発現させるσ共有結合性補助配位子である。R、R、R及びRは、互いに同じでも異なっていてもよく、水素、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜12のフェノキシ基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数6〜18のハロゲン含有アリール基、アルキル基が炭素数1〜3のトリアルキルシリル基を有する炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜6の炭化水素基を有するシリル基、又は酸素含有複素環基、硫黄含有複素環基である。
及びRは、それぞれ独立して、それが結合する五員環に対して縮合環形成する炭素数4〜5の飽和又は不飽和の2価の炭化水素基であり、R又はR由来の6〜7員環から成る縮合環を形成する。R及びRは、水素、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、アルキル基が炭素数1〜3のトリアルキルシリル基を有する炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜6の炭化水素基を有するシリル基、酸素含有複素環基、硫黄含有複素環基又は下記一般式(1−a)で示されるアリール基である。また、m又はnが2以上の場合、それぞれ、R双方又はR双方が連結して新たな環構造を形成していてもよく、不飽和結合を含んでいてもよい。]
【0013】
【化2】

[一般式(1−a)中、R11、R12、R13、R14及びR15は、互いに同じでも異なっていてもよく、水素、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜12のフェノキシ基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数6〜18のハロゲン含有アリール基、アルキル基が炭素数1〜3のトリアルキルシリル基を有する炭素数1〜3のアルキル基、又は炭素数1〜6の炭化水素基を有するシリル基であり、また、隣接するR双方で6〜7員環を構成してもよく、6〜7員環が不飽和結合を含んでいてもよい。]
【0014】
(A−2):一般式(2)で表される遷移金属化合物。
【化3】

【0015】
[一般式(2)中、Mは、Ti、Zr又はHfであり、Qは、二つのシクロペンタジエニル環を連結する架橋基を示し、X及びYは、(B)と反応してオレフィン重合能を発現させるσ共有結合性補助配位子であり、Zは酸素又は硫黄である。
21、R22、R23及びR24は、水素、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、アルキル基が炭素数1〜3のトリアルキルシリル基を有する炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜6の炭化水素基を有するシリル基又は一般式(1−a)で示されるアリール基である。
25は、水素又は炭素数1〜6のアルキル基である。R26及びR27は、互いに同じでも異なっていてもよく、水素、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数6〜18のハロゲン含有アリール基、アルキル基が炭素数1〜3のトリアルキルシリル基を有する炭素数1〜3のアルキル基、又は炭素数1〜6の炭化水素基を有するシリル基であり、また、R26及びR27双方で6〜7員環を構成してもよく、6〜7員環が不飽和結合を含んでいてもよい。
31、R32、R33及びR34は、互いに同じでも異なっていてもよく、水素、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数6〜18のハロゲン含有アリール基、アルキル基が炭素数1〜3のトリアルキルシリル基を有する炭素数1〜3のアルキル基、又は炭素数1〜6の炭化水素基を有するシリル基である。]
【0016】
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、更に、(C)有機アルミニウム化合物を含むことを特徴とする、α−オレフィン重合触媒が提供される。
【0017】
本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、成分(A−1)の遷移金属化合物が一般式(3)で表されることを特徴とする、α−オレフィン重合触媒が提供される。
【化4】

【0018】
[一般式(3)中、MはTi、Zr又はHfであり、Qは、二つのシクロペンタジエニル環を連結する架橋基を示し、X及びYは、(B)と反応してオレフィン重合能を発現させるσ共有結合性補助配位子である。
41、R42、R51及びR52は、水素、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜12のフェノキシ基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数6〜18のハロゲン含有アリール基、アルキル基が炭素数1〜3のトリアルキルシリル基を有する炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜6の炭化水素基を有するシリル基、又は酸素含有複素環基、硫黄含有複素環基である。
43及びR53は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、アルキル基が炭素数1〜3のトリアルキルシリル基を有する炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜6の炭化水素基を有するシリル基、酸素含有複素環基、硫黄含有複素環基又は一般式(1−a)で示されるアリール基である。R44、R45、R46、R47、R54、R55、R56及びR57は、水素、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、アルキル基が炭素数1〜3のトリアルキルシリル基を有する炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜6の炭化水素基を有するシリル基である。]
【0019】
本発明の第4の発明によれば、第1〜3の発明において、一般式(2)のR24が酸素含有複素環基、硫黄含有複素環基又は一般式(1−a)で示されるアリール基であることを特徴とする、α−オレフィン重合触媒が提供される。
【0020】
本発明の第5の発明によれば、第1〜4の発明において、一般式(2)のR32又はR33のどちらか一方が炭素数3〜6のアルキル基であり、他方が水素であることを特徴とする、α−オレフィン重合触媒が提供される。
【0021】
本発明の第6の発明によれば、第1〜5の発明において、成分(B)は、イオン交換性層状珪酸塩(B−4)であることを特徴とする、α−オレフィン重合触媒が提供される。
【0022】
本発明の第7の発明によれば、第1〜6の発明における、α−オレフィン重合触媒を用いて、結晶性プロピレン重合体成分を製造する前段工程、及びエチレンと、炭素数3〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも一種のコモノマーとの共重合体成分を製造する後段工程からなることを特徴とする、プロピレン/エチレン−α−オレフィン系重合体の製造方法が提供される。
【0023】
本発明の第8の発明によれば、第7の発明において、前段工程として、(i)全モノマー成分に対して、プロピレンを100〜90重量%、エチレン又はα−オレフィンを0〜10重量%で重合させる工程、及び後段工程として、(ii)全モノマー成分に対して、プロピレンを10〜90重量%、エチレン及び/又は炭素数4以上のα−オレフィンを10〜90重量%で重合させる工程、を含むことを特徴とするプロピレン/エチレン−α−オレフィン系重合体の製造方法が提供される。
【0024】
本発明の第9の発明によれば、第7又は8の発明において、前段工程がプロピレンを溶媒として用いるバルク重合又はモノマーをガス状に保つ気相重合であり、後段工程が気相で重合させることを特徴とする、プロピレン/エチレン−α−オレフィン系重合体の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0025】
本発明のα−オレフィン重合触媒成分及びそれを用いたプロピレン/エチレン−α−オレフィン系インパクトコポリマーの製造方法によれば、高い融点を有する結晶性プロピレン成分と共に、より高いエチレン含量のエチレン−α−オレフィン共重合体成分を有するプロピレン/エチレン−α−オレフィン系インパクトコポリマーを、安定的に効率よく製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(I)本発明の基本的な要旨と特徴
本発明のα−オレフィン重合触媒成分を用いたプロピレン系インパクトコポリマーの製造方法は、特定の構造を有するメタロセン触媒を、2種以上組み合わせて用いた重合反応において、前段工程で結晶性プロピレン成分(PP)を製造し、後段工程でエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも一種のコモノマーとの共重合体成分(CP)を、気相重合により製造する方法である。
【0027】
本発明は、段落0025に前記した発明の効果を奏するものであるところ、その理由は、必ずしも明らかではないが、本発明者らは、次の事項やメカニズムを考察している。
すなわち、本発明における一般式(1)で示される遷移金属化合物は、6員環又は7員環の縮環を有するシクロペンタジエニル骨格を基本骨格とするものからなり、それらが架橋されたC対称構造或いは擬C対称構造を有し、化学的かつ立体的及び電子環境的に特異な構造を有することを基本的な特徴としており、このことから、プロピレン重合を行う際には、配位するプロピレンの配位方向を制御でき、その結果、生成する結晶性プロピレン成分における立体規則性及び位置規則性を高めることができる。
【0028】
一方、本発明における一般式(2)で示される遷移金属化合物は、シクロペンタジエニル骨格と、2位にフリル基又はチエニル基を有するインデニル骨格とするものからなり、それらが架橋されたC対称性を有する構造を有し、化学的かつ立体的及び電子環境的に特異な構造を有することを基本的な特徴としている。
このような非対称な構造では、2つある配位場の立体的かつ電子的環境は同一でない。この場合、プロピレンと共重合させるモノマーの反応性比はそれぞれの配位場で異なることとなる。このような配位場の環境では、例えば、一方の配位場ではエチレンの反応が相対的に大きくなり(極端にはエチレンのみが選択的に反応でき)、もう一方の配位場では、共重合させるモノマーの反応性が相対的に大きくなる(極端には共重合モノマーのみが選択的に反応できる)と推定される。
このことから、一般式(1)で示される遷移金属化合物と比較して、一般式(2)で示される遷移金属化合物では、α−オレフィンの反応性に比較してエチレンの反応性が高くなっており、その結果として、同一ガス組成の反応ガス中で、より高いエチレン含量のエチレン−α−オレフィン共重合体を製造できる。
以下、使用する遷移金属化合物、触媒、重合工程、得られるプロピレン/エチレン−α−オレフィン系インパクトコポリマーなどの特徴について、詳細に説明する。
【0029】
(II)重合触媒の成分について
1.成分(A)
本発明において、成分(A)は、下記成分(A−1)及び(A−2)からそれぞれ選択される少なくとも二種の周期律表4族の遷移金属化合物である。
【0030】
1−1.成分(A−1)
この成分は、一般式(1)で表される構造を特徴とする、遷移金属化合物である。
【化5】

【0031】
[ 一般式(1)中、MはTi、Zr又はHfであり、Q1は、二つのシクロペンタジエニル環を連結する架橋基を示し、X1及びY1は、(B)と反応してオレフィン重合能を発現させるσ共有結合性補助配位子である。R、R、R及びRは、互いに同じでも異なっていてもよく、水素、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜12のフェノキシ基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数6〜18のハロゲン含有アリール基、アルキル基が炭素数1〜3のトリアルキルシリル基を有する炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜6の炭化水素基を有するシリル基、又は酸素含有複素環基、硫黄含有複素環基である。
及びRは、それぞれ独立して、それが結合する五員環に対して縮合環を形成する炭素数4〜5の飽和又は不飽和の2価の炭化水素基であり、R又はR由来の6〜7員環から成る縮合環を形成する。R及びRは、水素、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、アルキル基が炭素数1〜3のトリアルキルシリル基を有する炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜6の炭化水素基を有するシリル基、酸素含有複素環基、硫黄含有複素環基又は下記一般式(1−a)で示されるアリール基である。また、m又はnが2以上の場合、それぞれ、R双方又はR双方が連結して新たな環構造を形成していてもよく、不飽和結合を含んでいてもよい。]
【0032】
【化6】

[一般式(1−a)中、R11、R12、R13、R14及びR15は、互いに同じでも異なっていてもよく、水素、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜12のフェノキシ基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数6〜18のハロゲン含有アリール基、アルキル基が炭素数1〜3のトリアルキルシリル基を有する炭素数1〜3のアルキル基、又は炭素数1〜6の炭化水素基を有するシリル基であり、また、隣接するR双方で6〜7員環を構成してもよく、6〜7員環が不飽和結合を含んでいてもよい。]
【0033】
本発明に係る上記遷移金属化合物は、当然のことながら、シクロペンタジエニル骨格双方が、結合基Qを介して相対位置の観点において、M、X及びYを含む平面に関して対称性の異なる化合物(立体異性体)、すなわち異性体(a;通常、ラセミ異性体或いは擬ラセミ異性体と呼ばれる)及び他の異性体(b;通常、メソ異性体或いは擬メソ異性体と呼ばれる)を含むものである。
但し、高分子量のα−オレフィン重合体の製造を行うためには、ポリマー鎖の成長方向及びモノマーの配位方向を規制する作用の観点からして、上記の化合物(a)、つまり、M、X及びYを含む平面を挟んで対向する二個の配位子が当該平面に関して実体と鏡像の関係にない化合物を使用するのが好ましい。
【0034】
一般式(1)で表される成分(A−1)である遷移金属化合物は、一般式(2)で示される錯体と比較し、前段の重合で非常に高活性であり、本発明のα−オレフィン重合触媒成分は、高い立体規則性のポリプロピレンを前段で重合することができる。
【0035】
一般式(1)中において、M1は、チタン、ジルコニウム又はハフニウムであり、好ましくはジルコニウム又はハフニウムである。
また、一般式(1)中において、X1及びY1は、(B)と反応してオレフィン重合能を発現させるσ共有結合性補助配位子であり、具体的には、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、置換シリル基を有する炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基、(アルキル)(アリール)アミノ基或いは窒素含有複素環基を示す。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
これらX1及びY1としては、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基が好ましく、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基又は炭素数1〜20のアルキルアミノ基が更に好ましく、塩素原子、メチル基、i−ブチル基、フェニル基、ベンジル基、ジメチルアミノ基又はジエチルアミノ基が特に好ましい。
【0036】
一般式(1)中において、R、R、R及びRは、互いに同じでも異なっていてもよく、水素、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜12のフェノキシ基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数6〜18のハロゲン含有アリール基、アルキル基が炭素数1〜3のトリアルキルシリル基を有する炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜6の炭化水素基を有するシリル基、又は酸素含有複素環基、硫黄含有複素環基である。
【0037】
上記のハロゲン原子の具体例としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を挙げることができ、反応性により、錯体合成のし易さから、好ましくは、フッ素、塩素である。
炭素数1〜6のアルキル基の具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどを挙げることができる。
また、炭素数1〜6のアルコキシ基の具体例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、t−ブトキシ基などを挙げることができる。
炭素数6〜12のフェノキシ基の具体例としては、フェノキシ基、クロロフェノキシ基、フルオロフェノキシ基、メチルフェノキシ基、t-ブチルフェノキシ基、フェニルフェノキシ基、ナフトキシ基などを挙げることができる。
炭素数2〜8のアルケニル基の具体例としては、ビニル、プロペニル、アリル、ブテニル、シクロヘキセニルなどを挙げることができる。
炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基は、炭素数1〜6のアルキル基の骨格上の水素にハロゲンが置換されたものである。具体例としては、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ブロモメチル、ジブロモメチル、トリブロモメチル、ヨードメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,1,1−テトラフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、ペンタクロロエチル、ペンタフルオロプロピル、ノナフルオロブチル、5−クロロペンチル、5,5,5−トリクロロペンチル、5−フルオロペンチル、5,5,5−トリフルオロペンチル、6−クロロヘキシル、6,6,6−トリクロロヘキシル、6−フルオロヘキシル、6,6,6−トリフルオロヘキシルを挙げることができる。
【0038】
炭素数6〜18のアリール基は、炭素数1〜6の炭化水素基が置換されていてもよく、具体例としては、フェニル、トリル、ジメチルフェニル、エチルフェニル、トリメチルフェニル、t−ブチルフェニル、ビフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、アセナフチル、フェナントリル、アントリルなどを挙げることができる。
炭素数6〜18のハロゲン含有アリール基の具体例とは、前記炭素数6〜18のアリール基の水素原子をハロゲンに置換させたものであり、具体的には、2−,3−,4−置換の各フルオロフェニル、2−,3−,4−置換の各クロロフェニル、2−,3−,4−置換の各ブロモフェニル、2,4−、2,5−、2,6−、3,5−置換の各ジフルオロフェニル、2,4−、2,5−、2,6−、3,5−置換の各ジクロロフェニル、2,4,6−、2,3,4−、2,4,5−、3,4,5−置換の各トリフルオロフェニル、2,4,6−、2,3,4−、2,4,5−、3,4,5−置換の各トリクロロフェニル、ペンタフルオロフェニル、ペンタクロロフェニル、3,5−ジメチル−4−クロロフェニル、3,5−ジクロロ−4−ビフェニルなどが挙げられる。
【0039】
アルキル基が炭素数1〜3のトリアルキルシリル基を有する炭素数1〜3のアルキル基とは、異なっていてもよい炭素数1〜3のアルキル基を有するトリアルキルシリル基が炭素数1〜3のアルキル基上の水素に置換されているものであり、具体例としては、トリメチルシリルメチル、トリメチルシリルエチルを挙げることができる。
炭素数1〜6の炭化水素基を有するシリル基とは、異なっていてもよい炭素数1〜6の炭化水素基3個が珪素上に置換されている置換基であり、炭素数1〜6の炭化水素とは、上述した炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基及びフェニル基を含み、フェニル基上に置換基を有していてもよい。
具体的には、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリ−n−ブチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、トリビニルシリル、トリアリルシリル、トリフェニルシリルを挙げることができる。
【0040】
酸素含有複素環基としてはフリル基、硫黄含有複素環基としてはチエニル基が好ましく、置換基を有していてもよい。特に好ましいものは下記一般式(4)で表すことができる。
【化7】

[一般式(4)中、Zは酸素原子又は硫黄原子であり、R61, R62は、互いに同じでも異なっていてもよく、水素、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜12のフェノキシ基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数1〜6の炭化水素基を有するシリル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数6〜18のハロゲン含有アリール基である。また、隣接するR双方で6員環を構成してもよく、6員環が不飽和結合を含んでいてもよい。]
61, R62の置換基として好ましくは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、環状のベンゾ基であり、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基である。
【0041】
1及びRの好ましい置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基、酸素含有複素環基、硫黄含有複素環基であり、具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基などのアルキル基、2−フリル基、5−メチル−2−フリル基、5−エチル−2−フリル基、5−n−プロピル−2−フリル基、5−n−ブチル−2−フリル基、5−i−プロピル−2−フリル基、5−i−ブチル−2−フリル基、5−t−ブチル−2−フリル基、5−シクロペンチル−2−フリル基、5−シクロヘキシル−2−フリル基、5−トリメチルシリル−2−フリル基、5−フェニル−2−フリル基、4,5−ジメチル−2−フリル基、2−ベンゾフリル基などの酸素含有複素環基、2−チエニル基、5−メチル−2−チエニル基、5−エチル−2−チエニル基、5−n−プロピル−2−チエニル基、5−n−ブチル−2−チエニル基、5−i−プロピル−2−チエニル基、5−i−ブチル−2−チエニル基、5−t−ブチル−2−チエニル基、5−シクロペンチル−2−チエニル基、5−シクロヘキシル−2−チエニル基、5−トリメチルシリル−2−チエニル基、5−フェニル−2−チエニル基、4,5−ジメチル−2−チエニル基、2−ベンゾチエニル基などの硫黄含有複素環基である。
【0042】
及びRの好ましい置換基としては、高い規則性を持たせるために、水素である。
【0043】
及びRは、それぞれ独立して、それが結合する五員環に対して縮合環を形成する炭素数4〜5の飽和又は不飽和の2価の炭化水素基であり、R又はR由来の6〜7員環から成る縮合環であり、具体的には、炭素数4の場合は、5員環配位子を含め、インデニル基、テトラヒドロインデニル基であり、炭素数5の場合は4H−アズレニル基、ペンタヒドロアズレニル基である。
【0044】
及びRは、水素、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、アルキル基が炭素数1〜3のトリアルキルシリル基を有する炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜6の炭化水素基を有するシリル基、酸素含有複素環基、硫黄含有複素環基又は一般式(1−a)で示されるアリール基である。
【0045】
一般式(1−a)中のR11、R12、R13、R14及びR15は、互いに同じでも異なっていてもよく、水素、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜12のフェノキシ基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数6〜18のハロゲン含有アリール基、アルキル基が炭素数1〜3のトリアルキルシリル基を有する炭素数1〜3のアルキル基、又は炭素数1〜6の炭化水素基を有するシリル基であり、また、隣接するR双方で6〜7員環を構成してもよく、6〜7員環が不飽和結合を含んでいてもよい。
6〜7員環を構成した場合の具体例としては、R及びRの置換基として、1−ナフチル、2−ナフチル、5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフチル、5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチル、フェナントリル、アントリルなどを挙げることをできる。
【0046】
及びRの置換基として、好ましくは、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6の炭化水素基を有するシリル基、酸素含有複素環基、硫黄含有複素環基又は一般式(1−a)で示されるアリール基であり、特に好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基又は一般式(1−a)で示されるアリール基である。好ましい置換基の例としては、メチル基、エチル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基などのアルキル基、フェニル基、トリル基、t−ブチルフェニル基、ジ−t−ブチルフェニル基、トリメチルフェニル基、クロロフェニル基、フルオロフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基などのアリール基を挙げることができる。
【0047】
一般式(1)中において、m及びnは、それぞれ独立して0〜10の整数を示す。m又はnが2以上の場合、それぞれ、R双方又はR双方が連結して新たな環構造を形成していてもよく、不飽和結合を含んでいてもよい。好ましくは、m=n=1である。また、置換位置としては、6員環7員環共に4位に置換基が存在するのが好ましい。
【0048】
1は、二つのシクロペンタジエニル環を連結する架橋基であり、具体的には炭素数1又は2の炭素を介して二つの共役五員環配位子を架橋する炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基又はゲルミレン基を挙げることができる。上述のシリレン基又はゲルミレン基上に2個の炭化水素基が存在する場合は、それらが互いに結合して環構造を形成していてもよい。
上記のQの具体例としては、メチレン、メチルメチレン、ジメチルメチレン、1,2−エチレンなどのアルキレン基、ジフェニルメチレンなどのアリールアルキレン基、メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジ(n−プロピル)シリレン、ジ(i−プロピル)シリレン、ジ(シクロヘキシル)シリレンなどのアルキルシリレン基、メチル(フェニル)シリレンなどの(アルキル)(アリール)シリレン基、ジフェニルシリレンなどのアリールシリレン基、シラシクロブチル、シラシクロペンチル、シラシクロヘキシル、シラフルオレニル基などの環状構造をもつシリレン基、上記の2価の炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基のケイ素をゲルマニウムに置換したアルキルゲルミレン基、(アルキル)(アリール)ゲルミレン基、アリールゲルミレン基などを挙げることができる。
これらの中では、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基、又は、炭素数1〜20の炭化水素基を有するゲルミレン基が好ましく、ジアルキルシリレン基、ジアルキルゲルミレン基が特に好ましい。
【0049】
成分(A−1)のひとつの好ましい態様としては、R、R6がそれぞれ炭素数5で不飽和結合を有する7員環を形成する一般式(3)で示されるメタロセン錯体である。
【化8】

[一般式(3)中、MはTi、Zr又はHfであり、Qは、二つのシクロペンタジエニル環を連結する架橋基を示し、X及びYは、(B)と反応してオレフィン重合能を発現させるσ共有結合性補助配位子である。
41、R42、R51及びR52は、水素、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜12のフェノキシ基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数6〜18のハロゲン含有アリール基、アルキル基が炭素数1〜3のトリアルキルシリル基を有する炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜6の炭化水素基を有するシリル基、又は酸素含有複素環基、硫黄含有複素環基である。
43及びR53は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、アルキル基が炭素数1〜3のトリアルキルシリル基を有する炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜6の炭化水素基を有するシリル基、酸素含有複素環基、硫黄含有複素環基又は一般式(1−a)で示されるアリール基である。R44、R45、R46、R47、R54、R55、R56及びR57は、水素、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、アルキル基が炭素数1〜3のトリアルキルシリル基を有する炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜6の炭化水素基を有するシリル基である。]
【0050】
各置換基の意味及び具体例は一般式(1)のものと同様であり、MはTi、Zr又はHfであり、Zr、Hfが好ましく、Hfが特に好ましい。
また、一般式(3)中において、X及びYは、(B)と反応してオレフィン重合能を発現させるσ共有結合性補助配位子であり、具体的には、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、置換シリル基を有する炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基、(アルキル)(アリール)アミノ基或いは窒素含有複素環基を示す。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
これらX及びYとしては、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基が好ましく、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基又は炭素数1〜20のアルキルアミノ基が更に好ましく、塩素原子、メチル基、i−ブチル基、フェニル基、ベンジル基、ジメチルアミノ基又はジエチルアミノ基が特に好ましい。
【0051】
41、R42、R51及びR52は、水素、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜12のフェノキシ基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数6〜18のハロゲン含有アリール基、アルキル基が炭素数1〜3のトリアルキルシリル基を有する炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜6の炭化水素基を有するシリル基、又は酸素含有複素環基、硫黄含有複素環基である。
【0052】
41及びR51の好ましい置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基、酸素含有複素環基、硫黄含有複素環基であり、具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基などのアルキル基、2−フリル基、5−メチル−2−フリル基、5−エチル−2−フリル基、5−n−プロピル−2−フリル基、5−n−ブチル−2−フリル基、5−i−プロピル−2−フリル基、5−i−ブチル−2−フリル基、5−t−ブチル−2−フリル基、5−シクロペンチル−2−フリル基、5−シクロヘキシル−2−フリル基、5−トリメチルシリル−2−フリル基、5−フェニル−2−フリル基、4,5−ジメチル−2−フリル基、2−ベンゾフリル基などの酸素含有複素環基、2−チエニル基、5−メチル−2−チエニル基、5−エチル−2−チエニル基、5−n−プロピル−2−チエニル基、5−n−ブチル−2−チエニル基、5−i−プロピル−2−チエニル基、5−i−ブチル−2−チエニル基、5−t−ブチル−2−チエニル基、5−シクロペンチル−2−チエニル基、5−シクロヘキシル−2−チエニル基、5−トリメチルシリル−2−チエニル基、5−フェニル−2−チエニル基、4,5−ジメチル−2−チエニル基、2−ベンゾチエニル基などの硫黄含有複素環基である。特に好ましいのは、メチル基、エチル基である。
【0053】
42及びR52としては、融点の高いポリマーが得られることから、水素が好ましい。
【0054】
43及びR53は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、アルキル基が炭素数1〜3のトリアルキルシリル基を有する炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜6の炭化水素基を有するシリル基、酸素含有複素環基、硫黄含有複素環基又は一般式(1−a)で示されるアリール基であり、好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基、酸素含有複素環基、硫黄含有複素環基又は一般式(1−a)で示されるアリール基であり、特に好ましくは一般式(1−a)で示されるアリール基である。
【0055】
44、R45、R46、R47、R54、R55、R56及びR57は、水素、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、アルキル基が炭素数1〜3のトリアルキルシリル基を有する炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜6の炭化水素基を有するシリル基であり、好ましくは、水素、炭素数1〜6のアルキル基であり、特に好ましくは水素である。
【0056】
は、二つのシクロペンタジエニル環を連結する架橋基であり、具体的には炭素数1又は2の炭素を介して二つの共役五員環配位子を架橋する炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基又はゲルミレン基を挙げることができる。上述のシリレン基又はゲルミレン基上に2個の炭化水素基が存在する場合は、それらが互いに結合して環構造を形成していてもよい。
上記のQの具体例としては、メチレン、メチルメチレン、ジメチルメチレン、1,2−エチレンなどのアルキレン基、ジフェニルメチレンなどのアリールアルキレン基、メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジ(n−プロピル)シリレン、ジ(i−プロピル)シリレン、ジ(シクロヘキシル)シリレンなどのアルキルシリレン基、メチル(フェニル)シリレンなどの(アルキル)(アリール)シリレン基、ジフェニルシリレンなどのアリールシリレン基、シラシクロブチル、シラシクロペンチル、シラシクロヘキシル、シラフルオレニル基などの環状構造をもつシリレン基、上記の2価の炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基のケイ素をゲルマニウムに置換したアルキルゲルミレン基、(アルキル)(アリール)ゲルミレン基、アリールゲルミレン基などを挙げることができる。
これらの中では、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基、又は、炭素数1〜20の炭化水素基を有するゲルミレン基が好ましく、ジアルキルシリレン基、ジアルキルゲルミレン基が特に好ましい。
【0057】
ところで、本発明では、基本的には多数の遷移金属化合物の例示が必要であるが、明細書を簡潔簡明な記載とするために、遷移金属化合物の例示は、煩雑な記載を避けて主要な代表例にとどめている。
したがって、以下に列挙する遷移金属化合物以外の遷移金属化合物も、本願の特許請求の範囲において、記載される範囲内において全て包含される。例えば、以下の具体例において、ジルコニウムの代わりにチタニウム或いはハフニウム、ジクロライドの代わりに、他のX,Yである化合物も、例示されているに等しいとえる。
【0058】
上記メタロセン化合物の成分(A−1)の遷移金属化合物の非限定的な例として、下記のものを挙げることができる。
(架橋ビス−ヒドロアズレニル骨格を有する化合物の例示)
(1)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム
(2)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−メチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(3)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−メチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(4)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−メチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(5)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2,6−ジメチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(6)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−トリフルオロメチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(7)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(8)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(9)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(10)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−フルオロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(11)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(12)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(13)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(1−ナフチル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
【0059】
(14)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム
(15)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2−メチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(16)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(3−メチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(17)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−メチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(18)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2,6−ジメチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(19)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−トリフルオロメチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(20)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(21)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−フルオロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(22)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(3−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(23)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(3−フルオロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(24)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(25)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−トリメチルシリル−3−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(26)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−トリメチルシリル−3−メチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(27)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−トリメチルシリル−3−フルオロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(28)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジクロロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(29)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジメチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(30)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジエチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(31)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−トリメチルシリル−3−クロロ−5−メチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(32)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−トリメチルシリル−3−クロロ−5−フルオロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(33)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−トリメチルシリル−3−クロロ−5−エチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(34)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(35)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−t−ブチル−3−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(36)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−t−ブチル−3−メチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(37)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−t−ブチル−3−フルオロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(38)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(1−ナフチル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(39)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−クロロ−1−ナフチル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(40)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−フルオロ−1−ナフチル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(41)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−メチル−1−ナフチル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(42)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−ビフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(43)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(44)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2−クロロ−4−ビフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(45)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2−メチル−4−ビフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(46)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2−エチル−4−ビフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(47)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2,6−ジメチル−4−ビフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(48)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2−クロロ−6−メチル−4−ビフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(49)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2’−クロロ−4−ビフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(50)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2’−メチル−4−ビフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(51)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2’,6’−ジメチル−4−ビフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(52)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4’−クロロ−4−ビフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(53)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4’−メチル−4−ビフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
【0060】
(54)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレンビス(2−i−プロピル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム
(55)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−i−プロピル−4−(2−メチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(56)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−i−プロピル−4−(4−トリフルオロメチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(57)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−i−プロピル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(58)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−i−プロピル−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
(59)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−i−プロピル−4−(1−ナフチル)−4H−アズレニル}]ハフニウム
【0061】
(60)ジクロロ{1,1’−ジメチルゲルミレンビス(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム
(61)ジクロロ{1,1’−エチレンビス(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム
(62)ジクロロ{1,1’−シラフルオレンビス(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム
(63)ジクロロ{1,1’−シラフルオレンビス(2−エチル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジクロロフェニル)−4H−アズレニル)}ハフニウム
(64)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニル−4H−5,6,7,8−テトラヒドロ−アズレニル)}ハフニウム
(65)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−5,6,7,8−テトラヒドロアズレニル}]ハフニウム
【0062】
(架橋インデニル−ヒドロアズレニル骨格を有する化合物の例示)
(1)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(2)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−エチル−4−フェニル−1−インデニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(3)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(4)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−エチル−4−フェニル−1−インデニル)(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(5)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)(2−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(6)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−エチル−4−フェニル−1−インデニル)(2−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(7)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)(2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(8)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−エチル−4−フェニル−1−インデニル)(2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(9)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)(2−メチル−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(10)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−エチル−4−フェニル−1−インデニル)(2−メチル−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(11)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)(2−メチル−4−(1−ナフチル)−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(12)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−エチル−4−フェニル−1−インデニル)(2−メチル−4−(1−ナフチル)−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(13)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)(2−メチル−4−(2−ナフチル)−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(14)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−エチル−4−フェニル−1−インデニル)(2−メチル−4−(2−ナフチル)−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(15)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)(2−エチル−4−フェニル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(16)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−エチル−4−フェニル−1−インデニル)(2−エチル−4−フェニル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(17)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(18)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−エチル−4−フェニル−1−インデニル)(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
【0063】
(19)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−ベンゾ〔e〕インデニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(20)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−ベンゾ〔e〕インデニル)(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(21)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−ベンゾ〔e〕インデニル)(2−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(22)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−ベンゾ〔e〕インデニル)(2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(23)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−ベンゾ〔e〕インデニル)(2−メチル−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(24)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−ベンゾ〔e〕インデニル)(2−メチル−4−(1−ナフチル)−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(25)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−ベンゾ〔e〕インデニル)(2−メチル−4−(2−ナフチル)−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(26)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−ベンゾ〔e〕インデニル)(2−エチル−4−フェニル−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(27)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−ベンゾ〔e〕インデニル)(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(28)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−ベンゾ〔e〕インデニル)(2−エチル−4−(4−フルオロフェニル)−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(29)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−ベンゾ〔e〕インデニル)(2−エチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(30)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−ベンゾ〔e〕インデニル)(2−エチル−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(31)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−1−ベンゾ〔e〕インデニル)(2−エチル−4−(1−ナフチル)−4H−1−アズレニル)]ハフニウム
(32)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−1−インデニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−5,6,7,8−テトラヒドロ−1−アズレニル)]ハフニウム
(33)ジクロロ[ジメチルシリレン(2−エチル−1−インデニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−5,6,7,8−テトラヒドロ−1−アズレニル)]ハフニウム
【0064】
(架橋ビス−インデニル骨格を有する化合物の例示)
(1)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチルフリル)−4−フェニル−インデニル}]ジルコニウム
(2)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチルフリル)−4−(2−トリル)−インデニル}]ジルコニウム
(3)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチルフリル)−4−(3−トリル)−インデニル}]ジルコニウム
(4)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチルフリル)−4−(4−トリル)−インデニル}]ジルコニウム
(5)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチルフリル)−4−(3,5−ジメチルフェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(6)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチルフリル)−4−(2,3−ジメチルフェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(7)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチルフリル)−4−(2,3,5−トリメチルフェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(8)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチルフリル)−4−(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(9)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチルフリル)−4−(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(10)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチルフリル)−4−(4−クロロフェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(11)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチルフリル)−4−(4−トリフルオロフェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(12)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチルフリル)−4−(4−ビフェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(13)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチルフリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(14)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチルフリル)−4−(1−ナフチル)−インデニル}]ジルコニウム
(15)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチルフリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ジルコニウム
(16)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチルフリル)−4−(3−フェナンスリル)−インデニル}]ジルコニウム
(17)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチルフリル)−4−(9−フェナンスリル)−インデニル}]ジルコニウム
(18)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニル−インデニル)}ジルコニウム
(19)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−トリル)−インデニル}]ジルコニウム
(20)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−トリル)−インデニル}]ジルコニウム
(21)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−トリル)−インデニル}]ジルコニウム
(22)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3,5−ジメチルフェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(23)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2,3−ジメチルフェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(24)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2,3,5−トリメチルフェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(25)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(26)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(27)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(28)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−トリフルオロフェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(29)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−ビフェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(30)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(31)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(1−ナフチル)−インデニル}]ジルコニウム
(32)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ジルコニウム
(33)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−フェナンスリル)−インデニル}]ジルコニウム
(34)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(9−フェナンスリル)−インデニル}]ジルコニウム
【0065】
(35)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン{2−メチル−4−フェニル−インデニル}{2−(5−メチルフリル)−4−フェニル−インデニル}]ジルコニウム
(36)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン{2−メチル−4−(2−トリル)−インデニル}{2−(5−メチルフリル)−4−(2−トリル)−インデニル}]ジルコニウム
(37)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン{2−メチル−4−(3−トリル)−インデニル}{2−(5−メチルフリル)−4−(3−トリル)−インデニル}]ジルコニウム
(38)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン{2−メチル−4−(4−トリル)−インデニル}{2−(5−メチルフリル)−4−(4−トリル)−インデニル}]ジルコニウム
(39)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン{2−メチル−4−(3,5−ジメチルフェニル)−インデニル}{2−(5−メチルフリル)−4−(3,5−ジメチルフェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(40)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン{2−メチル−4−(2,3−ジメチルフェニル)−インデニル}{2−(5−メチルフリル)−4−(2,3−ジメチルフェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(41)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン{2−メチル−4−(2,3,5−トリメチルフェニル)−インデニル}{2−(5−メチルフリル)−4−(2,3,5−トリメチルフェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(42)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン{2−(メチル−4−(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)−インデニル}{2−(5−メチルフリル)−4−(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(43)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン{2−メチル−4−(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−インデニル}{2−(5−メチルフリル)−4−(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(44)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−インデニル}{2−(5−メチルフリル)−4−(4−クロロフェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(45)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン{2−メチル−4−(4−トリフルオロフェニル)−インデニル}{2−(5−メチルフリル)−4−(4−トリフルオロフェニル)−インデニル}]ジルコニウム
【0066】
(46)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン{2−メチル−4−(4−ビフェニル)−インデニル}{2−(5−メチルフリル)−4−(4−ビフェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(47)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン{2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}{2−(5−メチルフリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(48)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン{2−メチル−4−(1−ナフチル)−インデニル}{2−(5−メチルフリル)−4−(1−ナフチル)−インデニル}]ジルコニウム
(49)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン{2−メチル−4−(2−ナフチル)−インデニル}{2−(5−メチルフリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ジルコニウム
(50)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン{2−メチル−4−(3−フェナンスリル)−インデニル}{2−(5−メチルフリル)−4−(3−フェナンスリル)−インデニル}]ジルコニウム
(51)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン{2−メチル−4−(9−フェナンスリル)−インデニル}{2−(5−メチルフリル)−4−(9−フェナンスリル)−インデニル}]ジルコニウム
(52)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−インデニル)(2−i−プロピル−4−フェニル−インデニル)]ジルコニウム
(53)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン{2−メチル−4−(2−トリル)−インデニル}{2−i−プロピル−4−(2−トリル)−インデニル}]ジルコニウム
(54)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン{2−メチル−4−(3−トリル)−インデニル}{2−i−プロピル−4−(3−トリル)−インデニル}]ジルコニウム
(55)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン{2−メチル−4−(4−トリル)−インデニル}{2−i−プロピル−4−(4−トリル)−インデニル}]ジルコニウム
(56)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン{2−メチル−4−(3,5−ジメチルフェニル)−インデニル}{2−i−プロピル−4−(3,5−ジメチルフェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(57)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン{2−メチル−4−(2,3−ジメチルフェニル)−インデニル}{2−i−プロピル−4−(2,3−ジメチルフェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(58)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン{2−メチル−4−(2,3,5−トリメチルフェニル)−インデニル}{2−i−プロピル−4−(2,3,5−トリメチルフェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(59)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン{2−(メチル−4−(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)−インデニル}{2−i−プロピル−4−(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(60)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン{2−メチル−4−(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−インデニル}{2−i−プロピル−4−(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(61)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−インデニル}{2−i−プロピル−4−(4−クロロフェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(62)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン{2−メチル−4−(4−トリフルオロフェニル)−インデニル}{2−i−プロピル−4−(4−トリフルオロフェニル)−インデニル}]ジルコニウム
【0067】
(63)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン{2−メチル−4−(4−ビフェニル)−インデニル}{2−i−プロピル−4−(4−ビフェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(64)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン{2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}{2−i−プロピル−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(65)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン{2−メチル−4−(1−ナフチル)−インデニル}{2−i−プロピル−4−(1−ナフチル)−インデニル}]ジルコニウム
(66)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン{2−メチル−4−(2−ナフチル)−インデニル}{2−i−プロピル−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ジルコニウム
(67)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン{2−メチル−4−(3−フェナンスリル)−インデニル}{2−i−プロピル−4−(3−フェナンスリル)−インデニル}]ジルコニウム
(68)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン{2−メチル−4−(9−フェナンスリル)−インデニル}{2−i−プロピル−4−(9−フェナンスリル)−インデニル}]ジルコニウム
(69)ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレンビス(2−メチルインデニル)}ジルコニウム
【0068】
1−2.成分(A−2)
本発明に係るα−オレフィン重合触媒成分における成分(A−2)は、下記の一般式(2)で表される遷移金属化合物である。
【化9】

【0069】
[一般式(2)中、Mは、Ti、Zr又はHfであり、Qは、二つのシクロペンタジエニル環を連結する架橋基を示し、X及びYは、(B)と反応してオレフィン重合能を発現させるσ共有結合性補助配位子であり、Zは酸素又は硫黄である。
21、R22、R23及びR24は、水素、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、アルキル基が炭素数1〜3のトリアルキルシリル基を有する炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜6の炭化水素基を有するシリル基又は一般式(1−a)で示されるアリール基である。
25は、水素又は炭素数1〜6のアルキル基である。R26及びR27は、互いに同じでも異なっていてもよく、水素、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数6〜18のハロゲン含有アリール基、アルキル基が炭素数1〜3のトリアルキルシリル基を有する炭素数1〜3のアルキル基、又は炭素数1〜6の炭化水素基を有するシリル基であり、また、R26及びR27双方で6〜7員環を構成してもよく、6〜7員環が不飽和結合を含んでいてもよい。
31、R32、R33及びR34は、互いに同じでも異なっていてもよく、水素、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数6〜18のハロゲン含有アリール基、アルキル基が炭素数1〜3のトリアルキルシリル基を有する炭素数1〜3のアルキル基、又は炭素数1〜6の炭化水素基を有するシリル基である。]
【0070】
一般式(2)で表される成分(A−2)である遷移金属化合物は、シクロペンタジエニル配位子とインデニル基を架橋し、インデニル基の2位にヘテロ芳香族基を置換した新規遷移金属錯体であり、一般式(1)で示される錯体と比較し、後段の重合において高活性であり、エチレンとの反応性は非常に高く、高エチレン含量の共重合体を製造することができ、本発明のα−オレフィン重合触媒は前段で高い立体規則性のポリプロピレンを重合することができ、後段でエチレン含量の高い共重合体を効率よく製造することができる。
【0071】
一般式(2)において、各置換基の意味及び具体例は一般式(1)のものと同様である。
一般式(2)中、Mは、Ti、Zr又はHfであり、好ましくはZr又はHfである。Qは、二つのシクロペンタジエニル環を連結する架橋基であり、具体的には炭素数1又は2の炭素を介して二つの共役五員環配位子を架橋する炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基又はゲルミレン基を挙げることができる。上述のシリレン基又はゲルミレン基上に2個の炭化水素基が存在する場合は、それらが互いに結合して環構造を形成していてもよい。
上記のQの具体例としては、メチレン、メチルメチレン、ジメチルメチレン、1,2−エチレンなどのアルキレン基、ジフェニルメチレンなどのアリールアルキレン基、メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジ(n−プロピル)シリレン、ジ(i−プロピル)シリレン、ジ(シクロヘキシル)シリレンなどのアルキルシリレン基、メチル(フェニル)シリレンなどの(アルキル)(アリール)シリレン基、ジフェニルシリレンなどのアリールシリレン基、シラシクロブチル、シラシクロペンチル、シラシクロヘキシル、シラフルオレニル基などの環状構造をもつシリレン基、上記の2価の炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基のケイ素をゲルマニウムに置換したアルキルゲルミレン基、(アルキル)(アリール)ゲルミレン基、アリールゲルミレン基などを挙げることができる。
これらの中では、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基、又は、炭素数1〜20の炭化水素基を有するゲルミレン基が好ましく、ジアルキルシリレン基、ジアルキルゲルミレン基が特に好ましい。
【0072】
一般式(2)中、X及びYは、(B)と反応してオレフィン重合能を発現させるσ共有結合性補助配位子であり、具体的には、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、置換シリル基を有する炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基、(アルキル)(アリール)アミノ基或いは窒素含有複素環基を示す。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
これらX及びYとしては、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルキルアミノ基が好ましく、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基又は炭素数1〜20のアルキルアミノ基が更に好ましく、塩素原子、メチル基、i−ブチル基、フェニル基、ベンジル基、ジメチルアミノ基又はジエチルアミノ基が特に好ましい。
【0073】
21、R22、R23及びR24は、水素、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、アルキル基が炭素数1〜3のトリアルキルシリル基を有する炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜6の炭化水素基を有するシリル基又は一般式(1−a)で示されるアリール基である。
21、R22及びR23の好ましい置換基としては、水素、炭素数1〜6のアルキル基であり、特に好ましくは、水素、炭素数1〜6のアルキル基である。
24の好ましい置換基としては、水素、炭素数1〜6のアルキル基及び一般式(1−a)で示されるアリール基である。特に好ましくは、活性が高く得られるポリマーの分子量が高いことから、一般式(1−a)で示されるアリール基が特に好ましい。
また、R21、R22、R23及びR24は、隣り合うR双方でRの炭素数3〜5の環状構造をしていてもよく、不飽和結合を含んでいてもよい。具体的には、インデニル基を含む構造として、4,5−ベンゾインデン、5,6−ベンゾインデンなどを挙げることができる。
【0074】
25は、水素又は炭素数1〜6のアルキル基であり、特に好ましくは水素、メチル基である。
26及びR27は、互いに同じでも異なっていてもよく、水素、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数6〜18のハロゲン含有アリール基、アルキル基が炭素数1〜3のトリアルキルシリル基を有する炭素数1〜3のアルキル基、又は炭素数1〜6の炭化水素基を有するシリル基であり、また、R26及びR27双方で6〜7員環を構成してもよく、6〜7員環が不飽和結合を含んでいてもよい。
【0075】
具体例としては、インデニル基の2位の置換として、Zが酸素の例として、2−フリル基、5−メチル−2−フリル基、5−エチル−2−フリル基、5−n−プロピル−2−フリル基、5−n−ブチル−2−フリル基、5−i−プロピル−2−フリル基、5−i−ブチル−2−フリル基、5−t−ブチル−2−フリル基、5−シクロペンチル−2−フリル基、5−シクロヘキシル−2−フリル基、5−トリメチルシリル−2−フリル基、5−フェニル−2−フリル基、4,5−ジメチル−2−フリル基、2−ベンゾフリル基などを挙げることができ、Zが硫黄の例として2−チエニル基、5−メチル−2−チエニル基、5−エチル−2−チエニル基、5−n−プロピル−2−チエニル基、5−n−ブチル−2−チエニル基、5−i−プロピル−2−チエニル基、5−i−ブチル−2−チエニル基、5−t−ブチル−2−チエニル基、5−シクロペンチル−2−チエニル基、5−シクロヘキシル−2−チエニル基、5−トリメチルシリル−2−チエニル基、5−フェニル−2−チエニル基、4,5−ジメチル−2−チエニル基、2−ベンゾチエニル基などを挙げることができる。
【0076】
31、R32、R33及びR34は、互いに同じでも異なっていてもよく、水素、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数6〜18のハロゲン含有アリール基、アルキル基が炭素数1〜3のトリアルキルシリル基を有する炭素数1〜3のアルキル基、又は炭素数1〜6の炭化水素基を有するシリル基であり、好ましくは、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数6〜18のハロゲン含有アリール基、又は炭素数1〜6の炭化水素基を有するシリル基が好ましく、特に好ましくは、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、である。
好ましい置換基の具体例としては、メチル基、エチル基、t−ブチル基、フェニル基、4−t−ブチル−フェニル基、4−クロロフェニル基などである。
【0077】
31、R32、R33及びR344のいずれか2以上は、水素原子以外の置換基であり、かつ、R31、R32、R33及びR34のいずれか1以上は、水素原子であることが好ましく、これにより、より高いエチレン含量で高分子量の共重合体を得ることできる。
更に、1工程目でプロピレン単独重合としたときは活性が低く、2段目の重合時に高い活性で高エチレン含量で高分子量の共重合体を付与する点でR32又はR33のどちらか一方を炭素数3〜6のアルキル基とし、他方を水素とすることが好ましい。
具体的には、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル基などを挙げることができる。
【0078】
上記メタロセン化合物の成分(A−2)の遷移金属化合物の非限定的な例として、下記のものを挙げることができる。
以下の具体例において、ジルコニウムの代わりにチタニウム或いはハフニウム、ジクロライドの代わりに、他のX,Yである化合物も、例示されているに等しいといえる。
(1)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−インデニル}]ジルコニウム
(2)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(3−メチル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−インデニル}]ジルコニウム
(3)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(3−エチル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−インデニル}]ジルコニウム
(4)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(3−n−プロピル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−インデニル}]ジルコニウム
(5)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(3−i−プロピル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−インデニル}]ジルコニウム
(6)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(3−n−ブチル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−インデニル}]ジルコニウム
(7)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(3−t−ブチル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−インデニル}]ジルコニウム
(8)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(3−フェニル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−インデニル}]ジルコニウム
(9)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(3−シクロヘキシル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−インデニル}]ジルコニウム
(10)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ジルコニウム
(11)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(3−メチル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ジルコニウム
(12)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(3−エチル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ジルコニウム
(13)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(3−n−プロピル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ジルコニウム
(14)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(3−i−プロピル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ジルコニウム
(15)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(3−n−ブチル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ジルコニウム
(16)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(3−t−ブチル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ジルコニウム
(17)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(3−フェニル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ジルコニウム
(18)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(3−シクロヘキシル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ジルコニウム
(19)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2,4−ジメチル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ジルコニウム
(20)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−エチル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ジルコニウム
【0079】
(21)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−t−ブチル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ジルコニウム
(22)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ジルコニウム
(23)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−トリメチルシリル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ジルコニウム
(24)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−シクロヘキシル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ジルコニウム
(25)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2,3,5−トリメチル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ジルコニウム
(26)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2,3,4−トリメチル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ジルコニウム
(27)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2,5−ジメチル−3−n−ブチル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ジルコニウム
(28)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2,5−ジメチル−3−t−ブチル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ジルコニウム
(29)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2,5−ジメチル−3−フェニル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ジルコニウム
(30)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2,5−ジメチル−3−トリメチルシリル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ジルコニウム
(31)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2,5−ジメチル−3−シクロヘキシル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ジルコニウム
(32)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2,3,4,5−テトラメチル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ジルコニウム
(33)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2,3,5−トリメチル−4−エチル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ジルコニウム
(34)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2,3,5−トリメチル−4−フェニル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ジルコニウム
(35)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2,3,5−トリメチル−4−n−ブチル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ジルコニウム
(36)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(37)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(3−メチル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(38)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(3−エチル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(39)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(3−t−ブチル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(40)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(3−フェニル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
【0080】
(41)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2,4−ジメチル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(42)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−t−ブチル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(43)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(44)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2,3,5−トリメチル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(45)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2,5−ジメチル−3−n−ブチル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(46)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2,5−ジメチル−3−フェニル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(47)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2,3,4,5−テトラメチル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(48)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−メチル−インデニル}]ジルコニウム
(49)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−i−プロピル−インデニル}]ジルコニウム
(50)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−t−ブチル−インデニル}]ジルコニウム
(51)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−5−メチル−インデニル}]ジルコニウム
(52)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−ビフェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(53)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−(3,5−ジメチル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(54)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−(3,5−ジ−t−ブチル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(55)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−(3,5−ジクロロ−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(56)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−(3−メチル−5−t−ブチル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(57)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−(3,4,5−トリメチル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(58)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2,3,4−トリメチル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(59)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2,3,5−トリメチル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(60)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−(3,5−ジクロロ−4−トリメチルシリル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
【0081】
(61)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−(3,5−ジメチル−4−トリメチルシリル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(62)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−(3,5−ジメチル−4−フェニル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(63)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2,3,4,5−テトラメチル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(64)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−t−ブチル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−(3,5−ジメチル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(65)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−t−ブチル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−(3,5−ジ−t−ブチル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(66)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−t−ブチル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−(3,5−ジクロロ−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(67)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−t−ブチル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−(3−メチル−5−t−ブチル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(68)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−t−ブチル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−(3,4,5−トリメチル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(69)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−t−ブチル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2,3,4−トリメチル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(70)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−t−ブチル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2,3,5−トリメチル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(71)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−t−ブチル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−(3,5−ジクロロ−4−トリメチルシリル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(72)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−t−ブチル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−(3,5−ジメチル−4−トリメチルシリル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(73)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−t−ブチル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−(3,5−ジメチル−4−フェニル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(74)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−t−ブチル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2,3,4,5−テトラメチル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(75)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−(3,5−ジメチル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(76)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−(3,5−ジ−t−ブチル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(77)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−(3,5−ジクロロ−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(78)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−(3−メチル−5−t−ブチル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(79)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−(3,4,5−トリメチル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(80)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2,3,4−トリメチル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
【0082】
(81)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2,3,5−トリメチル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(82)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−(3,5−ジクロロ−4−トリメチルシリル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(83)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−(3,5−ジメチル−4−トリメチルシリル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(84)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−(3,5−ジメチル−4−フェニル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(85)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2,3,4,5−テトラメチル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(86)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−t−ブチル−シクロペンタジエニル){2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(87)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−t−ブチル−シクロペンタジエニル){2−(5−フェニル−2−フリル)−4−(4−t−ブチル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(88)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−t−ブチル−シクロペンタジエニル){2−(4,5−ジメチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(89)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−t−ブチル−シクロペンタジエニル){2−(2−チエニル)−4−(4−t−ブチル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(90)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−t−ブチル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−チエニル)−4−(4−t−ブチル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(91)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−t−ブチル−シクロペンタジエニル){2−(5−t−ブチル−2−チエニル)−4−(4−t−ブチル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(92)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−t−ブチル−シクロペンタジエニル){2−(5−フェニル−2−チエニル)−4−(4−t−ブチル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(93)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−t−ブチル−シクロペンタジエニル){2−(4,5−ジメチル−2−チエニル)−4−(4−t−ブチル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(94)ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−t−ブチル−シクロペンタジエニル){2−(4,5−ベンゾ−2−チエニル)−4−(4−t−ブチル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
(95)ジクロロ[1,1’−ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−インデニル}]ジルコニウム
(96)ジクロロ[1,1’− ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ジルコニウム
(97)ジクロロ[1,1’−ジフェニルシリレン(2−メチル−4−フェニル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ジルコニウム
(98)ジクロロ[1,1’−シラシクロへキシレン(シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−インデニル}]ジルコニウム
(99)ジクロロ[1,1’− シラシクロへキシレン(シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ジルコニウム
【0083】
(100)ジクロロ[1,1’−シラフルオレン(シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−インデニル}]ジルコニウム
(101)ジクロロ[1,1’− シラフルオレン(シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ジルコニウム
(102)ジクロロ[1,1’−プロピレン(シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−インデニル}]ジルコニウム
(103)ジクロロ[1,1’− プロピレン(シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ジルコニウム
(104)ジクロロ[1,1’−エチレン(シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−インデニル}]ジルコニウム
(105)ジクロロ[1,1’− エチレン(シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ジルコニウム
(106)ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレン(シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−インデニル}]ジルコニウム
(107)ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレン(シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ジルコニウム
(108)ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレン(2−メチル−4−フェニル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ジルコニウム
(109)ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレン(2−メチル−4−t−ブチル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ジルコニウム
(110)ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレン(2−メチル−4−t−ブチル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチル−フェニル)−インデニル}]ジルコニウム
【0084】
本発明の式(2)のメタロセン化合物は、新規な化合物であるが、置換基ないし結合の様式によって、任意の方法によって合成することができる。代表的な合成経路の一例を次に示す。
【化10】

【0085】
上記合成経路において、1とフェニルボロン酸を、パラジウム触媒の存在下でカップリング反応を行うことにより、2が得られる。2から3の臭素化は、文献(J.Org.Chem.1982,47,705−709)記載の方法などにより行うことができ、つまり2にN−ブロモスクシンイミドを水存在下で反応させ、その後、p−トルエンスルホン酸などの酸により脱水することにより得られる。次に、3と5−メチルフリル−2−ボロン酸を、パラジウム触媒の存在下でカップリング反応を行うことにより4が得られる。5の架橋体は、ブチルリチウムなどで4をアニオン化した後、過剰のジメチルジクロロシランとの反応でジメチルクロロシリル基を置換させ、過剰分のジメチルジクロロシランを除去した後、別途シクロペンタジエンとn−ブチルリチウムなどでアニオン化しておいたシクロペンタジエニルリチウムをジメチルクロロシリル基置換体と反応させることにより5が得られる。5を2等量のn−ブチルリチウムなどでジアニオン化した後、四塩化ジルコニウムとの反応でメタロセン化合物6が得られる。
置換基を導入したメタロセン化合物の合成は、対応した置換原料を使用することにより合成することができ、5−メチルフリル−2−ボロン酸のかわりに、対応するボロン酸、例えば4,5−ジメチルフリル−2−ボロン酸、2−チエニルボロン酸などを用いることにより、対応する2位置換基を導入することができる。
【0086】
2.成分(B)
本発明において、成分(B)は、アルミニウムオキシ化合物(B−1)、上記遷移金属化合物(A)と反応してカチオンに変換することが可能なイオン性化合物又はルイス酸(B−2)、固体酸微粒子(B−3)及びイオン交換性層状珪酸塩(B−4)からなる化合物群の中から選ばれる少なくとも一種である。
【0087】
2−1.成分(B−1)
アルミニウムオキシ化合物(B−1)は、メタロセン錯体を活性化できることは周知であり、そのような化合物としては、具体的には、次の各一般式(4−a)〜(4−c)で表される化合物が挙げられる。
【0088】
【化11】

上記各一般式中において、Rは、水素原子又は炭化水素基、好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6の炭化水素基を示す。また、複数のRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。また、pは0〜40、好ましくは2〜30の整数を示す。
【0089】
上記一般式のうち、一番目(4−a)及び二番目(4−b)の式で表される化合物は、アルミノキサンとも称される化合物であって、これらの中では、メチルアルミノキサン又はメチルイソブチルアルミノキサンが好ましい。上記のアルミノキサンは、各群内及び各群間で複数種併用することも可能である。そして、上記のアルミノキサンは、公知の様々な条件下に調製することができる。
一般式の三番目(4−c)で表される化合物は、一種類のトリアルキルアルミニウム又は二種類以上のトリアルキルアルミニウムと、一般式:RB(OH)で表されるアルキルボロン酸との10:1〜1:1(モル比)の反応により得ることができる。一般式中、Rは、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6の炭化水素基を示す。
また、成分(B−1)は、微粒子状担体に担持して使用することも可能である。微粒子状担体については後述する。
【0090】
2−2.成分(B−2)
(B−2)の化合物は、成分(A)と反応して、成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物又はルイス酸であり、このようなイオン性化合物としては、カルボニウムカチオン、アンモニウムカチオンなどの陽イオンと、トリフェニルホウ素、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ホウ素、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素などの有機ホウ素化合物との錯化物が挙げられる。
また、上記のようなルイス酸としては、種々の有機ホウ素化合物、例えば、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素などが例示される。或いは、塩化アルミニウム、塩化マグネシウムなどの金属ハロゲン化合物が例示される。
なお、上記のルイス酸のある種のものは、成分(A)と反応して、成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物として把握することもできる。
上述した非配位性のホウ素化合物を用いたメタロセン触媒は、特開平3−234709号公報、特開平5−247128号公報などに例示されている。
また、成分(B−2)は、微粒子状担体に担持して使用することも可能である。微粒子状担体については後述する。
【0091】
2−3.成分(B−3)
固体酸としては、アルミナ、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシアなどが挙げられる。例えば、SiO、Al、MgO、ZrO、TiO、B、ZnOなどの酸化物、SiO−MgO、SiO−Al、SiO−TiO、SiO−Cr、SiO−Al−MgOなどの複合酸化物などが挙げられる。
【0092】
本発明において、(B−1)及び(B−2)における微粒子状担体は、その元素組成、化合物組成について、特に限定されない。例えば、無機又は有機の化合物から成る微粒子状担体が例示できる。
無機担体としては、シリカ、アルミナ、シリカ・アルミナ塩化マグネシウム、活性炭、無機珪酸塩などが挙げられる。或いは、これらの混合物であってもよい。
また、有機担体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンなどの炭素数2〜14のα−オレフィンの重合体、スチレン、ジビニルベンゼンなどの芳香族不飽和炭化水素の重合体などから成る多孔質ポリマーの微粒子担体が挙げられる。或いはこれらの混合物であってもよい。
これらの微粒子担体は、通常1μm〜5mm、好ましくは5μm〜1mm、更に好ましくは10μm〜200μmの平均粒径を有する。
【0093】
2−4.成分(B−4)
イオン交換性層状珪酸塩(以下、単に「珪酸塩」と略記する場合がある。)は、イオン結合などによって構成される面が互いに結合力で平行に積み重なった結晶構造を有し、且つ、含有されるイオンが交換可能である珪酸塩化合物をいう。大部分の珪酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出されるため、イオン交換性層状珪酸塩以外の夾雑物(石英、クリストバライトなど)が含まれることが多いが、それらを含んでいてもよい。
珪酸塩は、各種公知のものが使用できる。具体的には、白水春雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1995年)に記載されている次のような層状珪酸塩が代表例として挙げられる。
【0094】
(i)2:1型鉱物類:
モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイトなどのスメクタイト族;バーミキュライトなどのバーミキュライト族;雲母、イライト、セリサイト、海緑石などの雲母族;パイロフィライト、タルクなどのパイロフィライト−タルク族;マグネシウム緑泥石などの緑泥石族
(ii)2:1リボン型鉱物類:
セピオライト、パリゴルスカイトなど
【0095】
本発明で成分(B−4)として使用する珪酸塩は、上記の混合層を形成した層状珪酸塩であってもよい。本発明においては、主成分の珪酸塩が2:1型構造を有する珪酸塩であることが好ましく、スメクタイト族であることが更に好ましく、モンモリロナイトが特に好ましい。
本発明で使用する珪酸塩は、天然品又は工業原料として入手したものは、特に処理を行うことなくそのまま用いることができるが、化学処理を施すことが好ましい。具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理などが挙げられる。これらの処理を互いに組み合わせて用いてもよい。本発明において、これらの処理条件には特に制限はなく、公知の条件が使用できる。
また、これらイオン交換性層状珪酸塩には、通常、吸着水及び層間水が含まれるため、不活性ガス流通下で加熱脱水処理するなどして、水分を除去してから使用するのが好ましい。
【0096】
[化学処理] 本発明で使用する珪酸塩は、特に処理を行うことなくそのまま用いることができるが、化学処理を施すことが好ましい。ここで化学処理とは、表面に付着している不純物を除去する表面処理と粘土の構造に影響を与える処理のいずれをも用いることができる。具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理などが挙げられる。
【0097】
[酸処理] 酸処理は、表面の不純物を取り除くほか、結晶構造のAl、Fe、Mgなどの陽イオンの一部又は全部を溶出させることができる。
酸処理で用いられる酸は、好ましくは塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、シュウ酸から選択される。
また、処理に用いる塩類及び酸は、2種以上であってもよい。塩類及び酸による処理条件は、特には制限されないが、通常、塩類及び酸濃度は、0.1〜50重量%、処理温度は室温〜沸点、処理時間は、5分〜24時間の条件を選択して、イオン交換性層状珪酸塩から成る群より選ばれた少なくとも一種の化合物を構成している物質の少なくとも一部を溶出する条件で行うことが好ましい。また、塩類及び酸は、一般的には水溶液で用いられる。
【0098】
[塩類処理] 本発明においては、塩類で処理される前の、イオン交換性層状珪酸塩の含有する交換可能な1族金属の陽イオンの40%以上、好ましくは60%以上を、下記に示す塩類より解離した陽イオンと、イオン交換することが好ましい。
このようなイオン交換を目的とした塩類処理で用いられる塩類は、1〜14族原子から成る群より選ばれた少なくとも一種の原子を含む陽イオンと、ハロゲン原子、無機酸及び有機酸から成る群より選ばれた少なくとも一種の陰イオンとから成る化合物であり、更に好ましくは、2〜14族原子から成る群より選ばれた少なくとも一種の原子を含む陽イオンとCl、Br、I、F、PO、SO、NO、CO、C、ClO、OOCCH、CHCOCHCOCH、OCl、O(NO、O(ClO、O(SO)、OH、OCl、OCl、OOCH、OOCCHCH、C及びCから成る群から選ばれる少なくとも一種の陰イオンとから成る化合物である。
【0099】
具体的には、LiF、LiCl、LiBr、LiI、LiSO、Li(CHCOO)、LiCO、Li(C)、LiCHO、LiC、LiClO、LiPO、CaCl、CaSO、CaC、Ca(NO、Ca(C、MgCl、MgBr、MgSO、Mg(PO、Mg(ClO、MgC、Mg(NO、Mg(OOCCH、MgCなど、Ti(OOCCH、Ti(CO、Ti(NO、Ti(SO、TiF、TiCl、Zr(OOCCH、Zr(CO、Zr(NO、Zr(SO、ZrF、ZrCl、ZrOCl、ZrO(NO、ZrO(ClO、ZrO(SO)、HF(OOCCH、HF(CO、HF(NO、HF(SO、HFOCl、HFF、HFCl、V(CHCOCHCOCH、VOSO、VOCl、VCl、VCl、VBrなど、Cr(CHCOCHCOCH、Cr(OOCCHOH、Cr(NO、Cr(ClO、CrPO、Cr(SO、CrOCl、CrF、CrCl、CrBr、CrI、Mn(OOCCH、Mn(CHCOCHCOCH、MnCO、Mn(NO、MnO、Mn(ClO、MnF、MnCl、Fe(OOCCH、Fe(CHCOCHCOCH、FeCO、Fe(NO、Fe(ClO、FePO、FeSO、Fe(SO、FeF、FeCl、FeCなど、Co(OOCCH、Co(CHCOCHCOCH、CoCO、Co(NO、CoC、Co(ClO、Co(PO、CoSO、CoF、CoCl、NiCO、Ni(NO、NiC、Ni(ClO、NiSO、NiCl、NiBrなど、Zn(OOCCH、Zn(CHCOCHCOCH、ZnCO、Zn(NO、Zn(ClO、Zn(PO、ZnSO、ZnF、ZnClなど、AlF、AlCl、AlBr、AlI、Al(SO、Al(C、Al(CHCOCHCOCH、Al(NO、AlPOなど、GeCl、GeBr、GeIなどが挙げられる。
【0100】
[アルカリ処理] アルカリ処理で用いられる処理剤としては、LiOH、NaOH、KOH、Mg(OH)、Ca(OH)、Sr(OH)、Ba(OH)などが例示される。
【0101】
[有機物処理] 有機物処理に用いられる有機物は、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、N,N−ジメチルアニリニウム、トリフェニルホスホニウム、などが挙げられる。
更に、有機物処理剤を構成する陰イオンとしては、塩類処理剤を構成する陰イオンとして例示した陰イオン以外にも、例えば、ヘキサフルオロフォスフェート、テトラフルオロボレート、テトラフェニルボレートなどが例示されるが、これらに限定されるものではない。
【0102】
これら成分(B−4)のイオン交換性層状珪酸塩には、通常吸着水及び層間水が含まれる。本発明においては、これらの吸着水及び層間水を除去して、成分(B)として使用するのが好ましい。
イオン交換性層状珪酸塩の吸着水及び層間水の加熱処理方法は、特に制限されないが、層間水が残存しないように、また、構造破壊を生じないよう条件を選ぶことが必要である。加熱時間は0.5時間以上、好ましくは1時間以上である。その際、除去した後の成分(B−4)の水分含有率が、温度200℃、圧力1mmHgの条件下で2時間脱水した場合の水分含有率を0重量%とした時、3重量%以下、好ましくは1重量%以下である。
【0103】
以上のように、本発明において、成分(B)として、特に好ましいものは、塩類処理及び/又は酸処理を行って得られた、水分含有率が3重量%以下の、イオン交換性層状珪酸塩である。
また、イオン交換性層状珪酸塩は、触媒形成又は触媒として使用する前に、後述する成分(C)の有機アルミニウム化合物で処理を行うことが可能で、好ましい。イオン交換性層状珪酸塩1gに対する成分(C)の使用量に制限は無いが、通常20mmol以下、好ましくは0.5mmol以上、10mmol以下で行う。処理温度や時間の制限は無く、処理温度は、通常0℃以上、70℃以下、処理時間は10分以上、3時間以下で行う。処理後に洗浄することも可能で、好ましい。溶媒は、後述する予備重合やスラリー重合で使用する溶媒と同様の炭化水素溶媒を使用する。
【0104】
また、成分(B)は、平均粒径が5μm以上の球状粒子を用いるのが好ましい。粒子の形状が球状であれば、天然物或るいは市販品をそのまま使用してもよいし、造粒、分粒、分別などにより粒子の形状及び粒径を制御したものを用いてもよい。
ここで用いられる造粒法は、例えば撹拌造粒法、噴霧造粒法が挙げられるが、市販品を利用することもできる。
また、造粒の際に有機物、無機溶媒、無機塩、各種バインダ−を用いてもよい。上記のようにして得られた球状粒子は、重合工程での破砕や微粉の生成を抑制するためには0.2MPa以上、特に好ましくは0.5MPa以上の圧縮破壊強度を有することが望ましい。このような粒子強度の場合には、特に予備重合を行う場合に、粒子性状改良効果が有効に発揮される。
【0105】
上述の成分(B)の中で、特に好ましいものは、成分(B−4)のイオン交換性層状珪酸塩である。
また、本発明のα−オレフィン重合触媒において、アルミニウムオキシ化合物(B−1)、成分(A)の遷移金属化合物と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物又はルイス酸(B−2)、固体酸微粒子(B−3)、或いは、イオン交換性層状珪酸塩微粒子(B−4)は、それぞれ単独に、成分(B)として使用される他、これらの4成分を適宜組み合わせて、使用することができる。
【0106】
3.成分(C)
本発明において、好ましくは用いられる成分(C)は、有機アルミニウム化合物である。
成分(C)として、用いられる有機アルミニウム化合物は、次の一般式で示される化合物が適当である。
AlR3−q
本発明では、この一般式で表される化合物を単独で、複数種混合して或いは併用して使用することができることは、いうまでもない。この式中、Rは、炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Zは、ハロゲン、水素、アルコキシ基、アミノ基を示す。qは1〜3の整数である。Rとしては、アルキル基が好ましく、また、Zは、それがハロゲンの場合には塩素が、アルコキシ基の場合には炭素数1〜8のアルコキシ基が、アミノ基の場合には炭素数1〜8のアミノ基が、好ましい。
【0107】
したがって、好ましい有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリノルマルプロピルアルミニウム、トリノルマルブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルヘキシルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウム、トリノルマルデシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムセスキクロライド、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムジメチルアミド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムクロライドなどが挙げられる。
これらのうち、好ましくは、q=3のトリアルキルアルミニウム及びジアルキルアルミニウムヒドリドである。更に好ましくは、Rが炭素数1〜8であるトリアルキルアルミニウムである。
【0108】
(III)触媒の形成・予備重合について
1.触媒の形成
本発明による触媒は、上記の各成分を(予備)重合槽内で、同時にもしくは連続的に、或いは一度にもしくは複数回にわたって、接触させることによって、形成させることができる。各成分の接触は、脂肪族炭化水素或いは芳香族炭化水素溶媒中で行うのが普通である。接触温度は、特に限定されないが、−20℃〜150℃の間で行うのが好ましい。接触順序としては、任意の組み合わせが可能であるが、特に好ましいものを各成分について示せば次の通りである。
成分(C)を使用する場合は、成分(A)と成分(B)を接触させる前に、成分(A)と、或いは成分(B)と、又は成分(A)及び成分(B)の両方に成分(C)を接触させること、又は、成分(A)と成分(B)を接触させるのと同時に成分(C)を接触させること、又は、成分(A)と成分(B)を接触させた後に成分(C)を接触させることが可能であるが、好ましくは、成分(C)を使用しない方法、或いは成分(A)と成分(B)を接触させる前に成分(C)といずれかに接触させる方法である。
また、各成分を接触させた後、脂肪族炭化水素或いは芳香族炭化水素溶媒にて洗浄することが可能である。
【0109】
また、成分(A)についても、(A−1)と(A−2)を混合して使用してもよいが、別個に成分(C)と反応させてから、どちらかを先に成分(B)と接触させるなどの方法を取ることができる。
【0110】
本発明で使用する成分(A)、(B)及び(C)の使用量は任意である。例えば、成分(B)に対する成分(A−1)又は成分(A−2)の使用量は、成分(B−1)に対してはアルミ1mol基づき、1〜100,000molであり、成分(B−2)1molに対しては1〜1,000molであり、成分(B−3)又は成分(B−4)1gに対しては0.1μmol〜1,000μmolが好ましい。ただし、各成分(B)を混合して用いる場合は、この限りではない。
成分(B−4)1gに対する成分(A−1)と成分(A−2)の合計量は、0.1μmol〜1,000μmolが好ましく、より好ましくは、0.1μmol〜100μmolであり、0.1μmol以下では触媒当たりの活性が小さく、100μmolを超えると、成分(B−4)に担持する成分(A)の効率が悪くなるのでこの範囲がより好ましい。
【0111】
また、成分(C)を使用する時の使用量は、成分(A−1)と成分(A−2)の合計1molに対し、0.01〜10,000molが好ましく、特に好ましくは0.1〜500molの範囲である。したがって、成分(A)に対する成分(C)の量は、遷移金属のモル比で、好ましくは0.01〜5×10、特に好ましくは0.1〜1,000の範囲内である。
【0112】
成分(A−1)と成分(A−2)の使用する量比により、前段と後段の活性比を調整することができる。例えば、成分(A−1)を増やすことにより、1段目の活性比を上げることができる。
また、成分(A−1)と成分(A−2)の使用する量比により、 後段で重合される成分(A−1)由来のエチレン含量の少ない共重合体成分と、成分(A−2)由来のエチレン含量の多い共重合体成分との量比を調整することができ、例えば、成分(A−2)を増やすことにより、エチレン含量の多い共重合体成分量比を上げることができ、逆に成分(A−2)を減らすことにより、エチレン含量の少ない共重合体成分量比を上げることができる。
成分(A−1)と成分(A−2)の量比は任意であるが、成分(A−1)/成分(A−2)=0.01〜10が好ましく、更に好ましくは0.2〜5である。
【0113】
2.予備重合
本発明の触媒は、これにオレフィンを接触させて少量重合されることからなる予備重合処理に付してもよい。使用するオレフィンは、特に限定はないが、プロピレン、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレンなどを例示することができる。オレフィンのフィード方法は、オレフィンを反応槽に定速的に或いは定圧状態になるように維持するフィード方法やその組み合わせ、段階的な変化をさせるなど、任意の方法が可能である。
予備重合温度、時間は、特に限定されないが、各々−20℃〜100℃、5分〜24時間の範囲であることが好ましい。また、予備重合量は、予備重合ポリマー量が成分(B)に対し、好ましくは重量比で0.01〜100、更に好ましくは0.1〜50である。また、予備重合時に成分(C)を添加、又は追加することもできる。また、予備重合終了後に洗浄することも可能である。
更に、上記の各成分の接触の際もしくは接触の後に、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの重合体、シリカ、チタニアなどの無機酸化物の固体を共存させるなどの方法も可能である。
また、成分(A)、(B)及び(C)の接触は、窒素などの不活性ガス中において、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレンなどの不活性炭化水素溶媒中で行ってもよい。接触は、−20℃から溶媒の沸点の間の温度で行い、特に室温から溶媒の沸点の間での温度で行うのが好ましい。
【0114】
(IV)重合反応
本発明に係るプロピレン/エチレン−α−オレフィン系インパクトコポリマーの製造方法は、結晶性プロピレン重合体成分(PP)を製造する前段工程、引き続き、エチレンと、炭素数3〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも一種のコモノマーとの共重合体成分(CP)を製造する後段工程から構成される。
また、前段工程は、バルク重合法、気相重合法どちらの重合法も採用可能である。後段工程は、製造するエチレン−α−オレフィン共重合体成分がゴム成分であり、溶媒中に溶出しないことが望ましいため、気相重合法を採用する。
また、重合形式は、それぞれ前段工程、後段工程とも回分法、又は連続法どちらの方式も採用できる。本発明においては、前段と後段からなる2段重合が行われるが、場合によっては、それぞれの段階を更に分割することができる。特に、後段工程を2段以上に分割して、多種類のゴム成分を作る方法も物性改良法の一つである。
【0115】
1.プロピレン重合体成分(PP)の製造
前段の重合工程では、結晶性プロピレン重合体成分(PP)を製造する。プロピレン単独重合だけでなく、大きく結晶性を低下させない限り、用途により結晶性調整のためエチレン及び/又はプロピレン以外の炭素数4〜20のα−オレフィンを共存させ重合させてもよい。
前段は、プロピレン単独重合或いはプロピレンとα−オレフィンの共重合体(プロピレン−α−オレフィン共重合体)を、一段もしくは多段に、全重合量(プロピレン/エチレン−α−オレフィン系インパクトコポリマーの全体)の20〜99重量%、好ましくは30〜90重量%に相当するように形成させる工程である。ここでα−オレフィンとしては、エチレンを含みプロピレン以外の炭素数4〜20のα−オレフィンであり、例えば、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−ペンテン−1、1−オクテン、1−デセンなどが挙げられる。これらの中では、エチレンが最も好ましい。α−オレフィンを使用する場合の使用量は、全モノマー(プロピレンとα−オレフィンの合計)に対して10重量%以下であり、好ましくは5重量%以下である。
【0116】
前段の重合工程における重合温度は、30〜120℃、好ましくは50〜90℃程度である。重合圧力は、0.1〜6MPa、好ましくは0.1〜4MPaである。また、重合体の流動性が適当なものとなるように、分子量(MFR)調整剤を使用することが好ましく、調整剤としては、水素が好ましい。
MFR(試験条件:230℃、2.16Kg荷重)は、最終重合体の用途によるが、好ましい範囲としては0.1〜3,000g/10分、好ましくは0.5〜2,000g/10分、更に好ましくは0.5〜1,000g/10分である。
また、前段の重合工程で得られた結晶性プロピレン重合体成分(PP)の融点は、150〜165℃であり、好ましくは155〜162℃である。
【0117】
2.エチレン−α−オレフィン共重合体成分(CP)の製造
本発明の後段の重合工程は、この工程で製造するエチレン−α−オレフィン共重合体成分がゴム成分であり、溶媒中に溶出しないことが望ましいことから、気相重合で行なう必要がある。気相重合プロセスとしては、公知の気相重合プロセスを用いることができるが、機械的に撹拌される縦型或いは横型の気相重合プロセスが好ましい。
本発明の後段工程においては、得られたエチレン−α−オレフィン共重合体成分中におけるエチレン含有量(重量%)は、20〜90重量%であり、好ましくは30〜70重量%である。
気相法の重合では、気相中のエチレン量比が高いと除熱が不利な場合があり、エチレン量が60モル%以下のほうが好ましいが、エチレンの取り込み量が低いと60モル%では、エチレン−α−オレフィン共重合体成分中におけるエチレン含有量(重量%)は30重量%程度となり、これより高いエチレン含量の共重合体は製造し難い。しかし、本発明の特定の錯体成分を含む触媒を用いることにより、高いエチレン含量の共重合体成分を製造することができる。
【0118】
ここでα−オレフィンとしては、炭素数3〜20のα−オレフィンであり、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−ペンテン−1、1−オクテン−1、1−デセンなどが挙げられる。これらの中では、プロピレンが最も好ましい。この共重合体は、第三成分として、例えばプロピレンやジエン系モノマーなどを更に含有することができる。その場合、これらの第三成分の含有量は、20重量%以下が好ましい。
【0119】
また、後段工程では、全重合量(プロピレン/エチレン−α−オレフィン系インパクトコポリマーの全体)の10〜80重量%、好ましくは20〜60重量%に相当する量を形成させる。
後段の重合工程における重合温度は、30〜120℃、好ましくは50〜80℃程度である。重合圧力は、0.1〜4MPa、好ましくは1.5〜2.5MPaである。重合圧力があまり高くなると、超臨界状態となってしまうことが知られているが、本発明における気相重合は、このような超臨界状態を含まない。
【0120】
重合時には、得られる重合体の流動性が適当なものとなるように、分子量調整剤を使用することができる。分子量調整剤としては、水素が一般的であり好ましい。
エチレン−α−オレフィン共重合体の重量平均分子量の範囲は、5万〜300万であり、好ましくは10万〜100万、より好ましくは15万〜60万である。最終重合体の用途によるが、成型時のゲルの発生を抑え、線膨張率を低くするためには、エチレン−α−オレフィン共重合体の重量平均分子量を、前段で重合した重合体の重量平均分子量に、なるべく近づけることが有効である。
【実施例】
【0121】
以下、本発明をより具体的にかつ明確に説明するために、本発明を実施例及び比較例の対照において説明し、本発明の構成要件(発明の特定事項)の合理性と有意性及び従来技術に対する卓越性を実証する。
【0122】
実施例で評価したポリマー物性の測定方法などを以下に示す。
(1)MFRの測定:
ポリマー6gに熱安定剤(BHT)のアセトン溶液(0.6重量%)6gを添加した。次いで、上記のポリマーを乾燥した後、メルトインデクサー(230℃)に充填し、2.16Kg荷重の条件下に5分間放置した。その後、ポリマーの押し出し量を測定し、10分間当たりの量に換算し、MFRの値とした(単位はg/10分)。
【0123】
(2)融点(Tm)の測定:
DSC(セイコー・インスツルメンツ社製・DSC6200型)を使用し、10℃/分で20〜200℃までの昇降温を1回行った後、10℃/分で2回目の昇温時の測定値により求めた。
【0124】
(3)クロス分別(以下、CFCと称する。)
本発明の触媒を用いて得られるプロピレン/エチレン−α−オレフィン系インパクトコポリマー中の共重合体成分(ゴム状成分であり、以下、「CP」と称す。)の含有量、CP中のα−オレフィン重合割合は、以下の方法により求めた。
なお、以下の例は、CP中のα−オレフィンとして、プロピレンを用いた場合(つまり、エチレン−プロピレン共重合体と仮定した場合)のものであるが、1−ブテンなどのα−オレフィンでも、以下の例に準じた方法を用いて求めるものとする。
【0125】
(3−1)使用する分析装置:
(i)クロス分別装置:
ダイヤインスツルメンツ社製CFC T−100
(ii)フーリエ変換型赤外線吸収スペクトル分析:
FT−IR・パーキンエルマー社製 1760X
CFCの検出器として取り付けられていた波長固定型の赤外分光光度計を取り外して、代わりにFT−IRを接続し、このFT−IRを検出器として使用する。CFCから溶出した溶液の出口からFT−IRまでの間のトランスファーラインは1mの長さとし、測定の間を通じて140℃に温度保持する。FT−IRに取り付けたフローセルは、光路長1mm・光路幅5mmφのものを用い、測定の間を通じて140℃に温度保持する。
(iii)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC):
CFCの後段に、GPCカラム(昭和電工社製AD806MS)を3本直列に接続して使用する。
【0126】
(3−2)CFCの測定条件:
(i)溶媒:オルトジクロルベンゼン(ODCB)
(ii)サンプル濃度:4mg/mL
(iii)注入量:0.4mL
(iv)結晶化:140℃から40℃まで約40分かけて降温する。
(v)分別方法:
昇温溶出分別時の分別温度は、40、100、140℃とし、全部で3つのフラクションに分別する。なお、40℃以下で溶出する成分(フラクション1)、40〜100℃で溶出する成分(フラクション2)、100〜140℃で溶出する成分(フラクション3)の溶出割合(単位:重量%)を各々W40、W100、W140と定義する。W40+W100+W140=100である。また、分別した各フラクションは、そのままFT−IR分析装置へ自動輸送される。
(vi)溶出時溶媒流速:1mL/分
【0127】
(3−3)FT−IRの測定条件:
CFC後段のGPCから試料溶液の溶出が開始した後、以下の条件でFT−IR測定を行い、上述した各フラクション1〜3について、GPC−IRデータを採取する。
(i)検出器:MCT
(ii)分解能:8cm−1
(iii)測定間隔:0.2分(12秒)
(iv)一測定当たりの積算回数:15回
【0128】
(3−4)測定結果の後処理と解析:
各温度で溶出した成分の溶出量と分子量分布は、FT−IRによって得られる2,945cm−1の吸光度をクロマトグラムとして使用して求める。溶出量は、各溶出成分の溶出量の合計が100%となるように規格化する。保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。使用する標準ポリスチレンは、何れも東ソー(株)製の以下の銘柄である。
F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000。
各々が0.5mg/mLとなるようにODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.4mL注入して較正曲線を作成する。較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。分子量への換算は、森定雄著「サイズ排除クロマトグラフィー」(共立出版)を参考に汎用較正曲線を用いる。その際使用する粘度式([η]=K×Mα)には、以下の数値を用いる。
(i)標準ポリスチレンを使用する較正曲線作成時:
K=0.000138、α=0.70
(ii)プロピレン系インパクトコポリマーのサンプル測定時:
K=0.000103、α=0.78
各溶出成分のエチレン含有量分布(分子量軸に沿ったエチレン含有量の分布)は、GPC−IRによって得られる2,956cm−1の吸光度と2,927cm−1の吸光度との比を用い、ポリエチレンやポリプロピレン及び13C−NMR測定などによりエチレン含有量が既知となっているエチレン−プロピレン共重合体(EPR)及びそれらの混合物を使用して予め作成しておいた検量線により、エチレン重合割合(モル%)に換算して求める。
【0129】
(3−5)CP含有量:
本発明におけるインパクトコポリマーのCP含有量は、下記式(I)で定義され、以下のような手順で求められる。
CP含有量(重量%)=W40×A40/B40+W100×A100/B100・・・(I)
【0130】
式(I)において、W40、W100は、上述した各フラクションでの溶出割合(単位:重量%)であり、A40、A100は、W40、W100に対応する各フラククショ
ンにおける実測定の平均エチレン含有量(単位:重量%)であり、B40、B100は、各フラクションに含まれるCPのエチレン含有量(単位:重量%)である。A40、A100、B40、B100の求め方は、後述する。
【0131】
式(I)の意味は、以下の通りである。すなわち、式(I)右辺の第一項は、フラクション1(40℃に可溶な部分)に含まれるCPの量を算出する項である。フラクション1がCPのみを含み、PPを含まない場合には、W40がそのまま全体の中に占めるフラクション1由来のCP含有量に寄与するが、フラクション1には、CP由来の成分の他に少量のPP由来の成分(極端に分子量の低い成分及びアタクチックポリプロピレン)も含まれるため、その部分を補正する必要がある。そこで、W40にA40/B40を乗ずることにより、フラクション1のうち、CP成分由来の量を算出する。例えば、フラクション1の平均エチレン含有量(A40)が30重量%であり、フラクション1に含まれるCPのエチレン含有量(B40)が40重量%である場合、フラクション1の30/40=3/4(即ち75重量%)はCP由来、1/4はPP由来ということになる。このように右辺第一項でA40/B40を乗ずる操作は、フラクション1の重量%(W40)からCPの寄与を算出することを意味する。
右辺第二項も同様であり、各々のフラクションについて、CPの寄与を算出して加え合わせたものがCP含有量となる。
【0132】
フラクション1〜3の平均エチレン含有量A40、A100、A140は、2,945cm−1の吸光度のクロマトグラムにおける各データポイント毎の重量割合と各データポイント毎のエチレン含有量(2,956cm−1の吸光度と2,927cm−1の吸光度との比から得られる)の積の総和によって得られる。
【0133】
フラクション1の微分分子量分布曲線におけるピーク位置に相当するエチレン含有量をB40とする(単位は重量%である)。フラクション2については、ゴム部分が40℃で全て溶出してしまうと考えられ、同様の定義で規定することができないので、本発明では、B100=100と定義する。B40、B100は、各フラクションに含まれるCPのエチレン含有量であるが、この値を分析的に求めることは実質的には不可能である。その理由は、フラクションに混在するPPとCPを完全に分離・分取する手段がないからである。
種々のモデル試料を使用して検討を行った結果、B40は、フラクション1の微分分子量分布曲線のピーク位置に相当するエチレン含有量を使用すると、材料物性の改良効果を合理的に説明することができることが判った。また、B100は、エチレン連鎖由来の結晶性を持つこと、及びこれらのフラクションに含まれるCPの量がフラクション1に含まれるCPの量に比べて相対的に少ないことの2点の理由により、100と近似する方が実態にも近く、計算上も殆ど誤差を生じない。
そこで、B100=100として、解析を行うこととしている。従って、下記式(II)に従い、CP含有量を求めることができる。
CP含有量(重量%)=W40×A40/B40+W100×A100/100・・・(II)
【0134】
つまり、式(II)右辺の第一項であるW40×A40/B40は、結晶性を持たないCP含有量(重量%)を示し、第二項であるW100×A100/100は、結晶性を持つCP含有量(重量%)を示す。
共重合体成分中のエチレン含量は、式(II)で求めた共重合体成分の含有量を用いて、下記の式(III)で求められる。
共重合体成分中のエチレン含量(重量%)=(W40×A40+W100×A100+W140×A140)/[共重合体成分含有量(重量%)]・・・(III)
【0135】
なお、上記3種類の分別温度を設定した意義は、次の通りである。本発明に係るCFC分析において、40℃とは、結晶性を持たないポリマー(例えば、CPの大部分、若しくはプロピレン重合体成分(PP)の中でも極端に分子量の低い成分及びアタクチックな成分)のみを分別するのに必要十分な温度条件である意義を有する。また、100℃とは、40℃では不溶であるが、100℃では可溶となる成分(例えばCP中、エチレン及び/又はプロピレンの連鎖に起因して結晶性を有する成分、及び結晶性の低いPP)のみを溶出させるのに必要十分な温度である。また、140℃とは、100℃では不溶であるが140℃では可溶となる成分(例えば、PP中特に結晶性の高い成分、及びCP中の極端に分子量が高くかつ極めて高いエチレン結晶性を有する成分)のみを溶出させ、かつ分析に使用するインパクトコポリマーの全量を回収するのに必要十分な温度である。なお、W140には、CP成分は全く含まれないか、存在しても極めて少量であり実質的には無視できることから、CP含有量やエチレン含量の計算からは排除する。
【0136】
(3−6)エチレン含有割合:
CP中のエチレン含有量は、次式によって求める。
CP中のエチレン含有量(重量%)=(W40×A40+W100×A100)/[CP]
但し、式中、[CP]は、先に求めたCP含有量(重量%)である。
【0137】
[実施例1]
1.成分(A)の合成
(1)遷移金属化合物[A−1]:
ジクロロ{1,1’−シラフルオレニルビス[2−エチル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジクロロフェニル)−4H−アズレニル]}ハフニウムは、特開2005−126679号公報に従って合成した。
【0138】
(2)遷移金属化合物[A−2]:
ジクロロ[ジメチルシリレン{2−メチル−4−フェニル−シクロペンタジエニル}{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ジルコニウムの合成
(2−1)4−(4−t−ブチルフェニル)−インデンの合成:
1,000mlのガラス製反応容器に、1−ブロモ−4−t−ブチルベンゼン(40g、0.19mol)、ジメトキシエタン(400ml)を加え、−70℃まで冷却した。ここにt−ブチルリチウム−ペンタン溶液(260ml、0.38mol、1.46mol/L)を滴下した。滴下後、徐々に室温まで戻しながら5時間撹拌した。再び−70℃まで冷却し、そこにトリイソプロピルボレート(46ml、0.20mol)のジメトキシエタン溶液(100ml)を滴下した。滴下後、徐々に室温に戻しながら一夜撹拌した。
反応液に蒸留水(100ml)を加え、30分間撹拌した後、炭酸ナトリウム50gの水溶液(150ml)、4−ブロモインデン(30g、0.15mol)、テトラキス(トリフェニルフォスフィノ)パラジウム(5g、4.3mmol)を順に加え、その後、加熱しながら低沸成分を除去し80℃で5時間加熱した。
反応液を氷水(1L)中に注ぎ、そこから3回エーテル抽出を行い、エーテル層を飽和食塩水で中性になるまで洗浄した。ここに硫酸ナトリウムを加え一晩放置し反応液を乾燥させた。無水硫酸ナトリウムをろ過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、4−(4−t−ブチルフェニル)−インデン(37g、収率98%)を淡黄色液体として得た。
【0139】
(2−2)2−ブロモ−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデンの合成:
1,000mlのガラス製反応容器に、4−(4−t−ブチルフェニル)−インデン(37g、0.15mol)、ジメチルスルホキシド(400ml)、蒸留水(11m
l)を加え、そこにN−ブロモスクシンイミド(35g、0.20mol)を徐々に加え、そのまま室温で1時間撹拌した。
反応液を氷水(1L)中に注ぎ、そこから3回トルエンで抽出を行った。トルエン層を飽和食塩水で洗浄し、p−トルエンスルホン酸(4.3g、22mmol)を加え、水分を除去しながら2時間加熱還流させた。
反応液を分液ロートに移し食塩水で中性になるまで洗浄した。ここに硫酸ナトリウムを加え一晩放置し反応液を乾燥させた。無水硫酸ナトリウムをろ過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、2−ブロモ−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデン(46g、収率95%)を淡黄色固体として得た。
【0140】
(2−3)2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデンの合成:
1,000mlのガラス製反応容器に、メチルフラン(13.8g、0.17mol)、ジメトキシエタン(400ml)を加え、−70℃まで冷却した。ここにn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液(111ml、0.17mol、1.52mol/L)を滴下した。滴下後、徐々に室温まで戻しながら3時間撹拌した。再び70℃まで冷却し、そこにトリイソプロピルボレート(41ml、0.18mol)を含むジメトキシエタン溶液(100ml)を滴下した。滴下後、徐々に室温に戻しながら一夜撹拌した。
反応液に蒸留水(50ml)を加え、30分間撹拌した後、炭酸ナトリウム54gの水溶液(100ml)、2−ブロモ−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデン(46g、0.14mol)、テトラキス(トリフェニルフォスフィノ)パラジウム(5g、4.3mmol)を順に加え、その後、加熱しながら低沸成分を除去しながら加熱し80℃で3時間加熱した。
反応液を氷水(1L)中に注ぎ、そこから3回エーテル抽出を行い、エーテル層を飽和食塩水で中性になるまで洗浄した。ここに硫酸ナトリウムを加え一晩放置し反応液を乾燥させた。無水硫酸ナトリウムをろ過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、ヘキサンで再結晶を行い2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデン(30.7g、収率66%)を無色結晶として得た。
【0141】
(2−4)1−メチル−3−フェニル−シクロペンタジエンの合成:
1,000mlのガラス製反応容器に、3−メチル−2−シクロペンテン−1−オン(19g、0.20mol)、ジエチルエーテル(400ml)を加え、−70℃まで冷却した。ここにフェニルリチウム−シクロヘキサン−ジエチルエーテル溶液(200ml、0.22mol、1.08mol/L)を滴下した。滴下後、徐々に室温まで戻しながら3時間撹拌した。
反応液に氷冷下、水20mlを加え撹拌した後、分液ロートに移し3N−塩酸で2回振り混ぜた。その後、有機層を飽和食塩水で中性になるまで洗浄した。ここに硫酸ナトリウムを加え一晩放置し反応液を乾燥させた。無水硫酸ナトリウムをろ過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、1−メチル−3−フェニル−シクロペンタジエン(19.2g、収率62%)を無色結晶として得た。
【0142】
(2−5)ジメチル(2−メチル−4−フェニル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}シランの合成:
200mlのガラス製反応容器に1−メチル−3−フェニル−シクロペンタジエン(4.8g、30mmol)、THF(70ml)を加え、−70℃まで冷却した。ここにn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液(19ml、30mmol、1.58mol/L)を滴下した。滴下後、徐々に室温まで戻しながら3時間撹拌し1−メチル−3−フェニル−シクロペンタジエンのリチウム塩溶液を調製した。
500mlのガラス製反応容器にジクロロジメチルシラン(15ml、109mmol)、THF(70ml)を加え、−70℃まで冷却し、ここに先に調製した1−メチル−3−フェニルシクロペンタジエンのリチウム塩溶液をゆっくり滴下した。滴下後、室温で1時間撹拌し、減圧で溶媒と過剰のジクロロジメチルシランを留去した。ここに、THF(100ml)を加えたクロロシラン溶液とした。
別の500mlのガラス製反応容器に2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデン(10g、30mmol)、THF(70ml)を加え、−70℃まで冷却した。ここにn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液(19ml、30mmol、1.58mol/L)を滴下した。滴下後、徐々に室温まで戻しながら4時間撹拌した。再び−70℃まで冷却し、1−メチルイミダゾール(0.12ml、1.5mmol)を加え、先に調製したクロロシラン溶液を滴下した。滴下後、徐々に室温に戻しながら一晩撹拌した。
反応液に蒸留水を加え、分液ロートに移し食塩水で中性になるまで洗浄した。無水硫酸ナトリウムを加え一晩乾燥させた。無水硫酸ナトリウムをろ過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、ジメチル(2−メチル−4−フェニル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}シランの淡黄色固体(11.1g、収率58%)を得た。
【0143】
(2−6)ジクロロ[ジメチルシリレン{2−メチル−4−フェニル−シクロペンタジエニル}{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ジルコニウムの合成:
ジメチル(2−メチル−4−フェニル−シクロペンタジエニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}シラン(6.5g、12mmol)に、ジエチルエーテル(200ml)を加え−70℃まで冷却した。ここにn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液(16ml、25mmol、1.57mol/L)を滴下した。滴下後、徐々に室温に戻しながら2時間撹拌した。反応液の溶媒を減圧留去し、トルエン(250ml)、ジエチルエーテル(13ml)を加え、−70℃まで冷却した。そこに、四塩化ジルコニウム(2.8g、12mmol)を加えた。その後、徐々に室温に戻しながら一晩撹拌した。
溶媒を減圧留去し、ジクロロメタン/ヘキサンで再結晶を行い、ジクロロ[ジメチルシリレン{2−メチル−4−フェニル−シクロペンタジエニル}{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ジルコニウムの黄橙色結晶(1.0g、収率12%、anti体90%以上)を得た。
H−NMR値(anti体,CDCl):δ0.69(s,3H),1.25(s,3H),1.32(s,9H),2.20(s,3H),2.37(s,3H),5.52(d,1H),6.07(d,1H),6.43(d,1H),6.85(d,1H),7.15〜7.68(m,13H)
【0144】
2.スメクタイト族イオン交換性層状珪酸塩の化学処理(酸処理及び塩処理)
(1)酸処理:ゼパラブルフラスコに蒸留水1,130gと96%硫酸750gを加え、内温を90℃に保ち、そこに造粒モンモリロナイトである水澤化学社製ベンクレイSL(平均粒径19μm、300g)を添加し2時間反応させた。懸濁液を1時間で室温まで冷却し、蒸留水でpH=4まで洗浄した。このときの洗浄倍率は1/10,000以下であった。
【0145】
(2)塩処理:ゼパラブルフラスコで硫酸リチウム1水和物210gを蒸留水520gに溶かし、そこに、濾過した酸処理粘土を加え室温で120分撹拌した。このスラリーを濾過し、得られた固体に蒸留水3,000mlを加え5分間室温で撹拌した。このスラリーを濾過した。得られた固体に蒸留水2,500mlを加え5分撹拌後再び濾過した。この操作をさらに4回繰り返し、得られた固体を窒素気流下130℃で2日間予備乾燥後、53μm以上の粗大粒子を除去し、さらに200℃で2時間減圧乾燥することにより、化学処理モンモリロナイトを得た。
この化学処理モンモリロナイトの組成は、Al:7.5wt%、Si:37.6wt%、Mg:1.22wt%、Fe:1.60wt%、Li:0.22wt%であり、Al/Si=0.207[mol/mol]であった。
【0146】
3.触媒調製
内容積200mlのフラスコに、上記で得た化学処理モンモリロナイト1.0gを秤量し、ヘプタン6.5ml、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液3.5ml(2.5mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。その後、ヘプタンで残液率1/100まで洗浄し、最後にスラリー量を10mlに調製した。ここに、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液0.34ml(0.24mmol)を加えて10分間、室温で撹拌した。
そこに、ジクロロ{1,1’−シラフルオレニルビス[2−エチル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジクロロフェニル)−4H−アズレニル]}ハフニウム16mg(15μmol)のトルエン6ml溶液を加え5分撹拌した。更に、ジクロロ[ジメチルシリレン{2−メチル−4−フェニル−シクロペンタジエニル}{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ジルコニウム11mg(15μmol)のトルエン6ml溶液を加え30分撹拌した。撹拌後、ヘプタン84mlを加えた。このスラリーを触媒として用い重合を行った。
【0147】
4.プロピレン/プロピレン−エチレンインパクトコポリマーの製造
(1)第一工程:
内容積3Lの撹拌式オ−トクレ−ブ内をプロピレンで充分置換した後に、トリイソブチルアルミニウムのn−ヘプタン溶液2.76ml(2.02mmol)を加え、水素200ml、続いて液体プロピレン750gを導入し、65℃に昇温し、その温度を維持した。スラリー化した触媒として180mg分を圧入し重合を開始した。槽内温度を65℃に維持し、触媒投入1時間経過後に、残モノマーのパージを行い、アルゴンにて槽内を置換した。撹拌を停止させ、アルゴンをフローさせながら、樹脂製の管を槽内に差し込み、ポリプロピレンを少量抜き出した。抜き出し量は85gであった。
【0148】
(2)第二工程:
その後、内温を60℃でプロピレンとエチレンをプロピレン/エチレン=43/57(モル比)となるように1.8MPaまで導入し、内温を80℃に昇温した。その後、予め調製しておいたプロピレンとエチレンの混合ガスを導入しながら、内圧を2.0MPaとなるように調整しながら、30分間重合反応を制御した。
【0149】
その結果、粒子性状の良い121gのプロピレン/プロピレン−エチレンインパクトコポリマーが得られた。プロピレンとエチレン重合時の槽内の平均ガスmol組成は、プロピレン/エチレン=52/48であった。
上記で得られた重合体は、CFC−IRの結果から、ゴム含有量(CP含有量)は59wt%、ゴム(CP)中のエチレン含有量は47wt%(57mol%)であり、CP部の重量平均分子量(Mw)は175,000であった。また、ゴム重合活性(CP活性)は1,400(g−CP/g−Cat/hr)であった。別途採取したプロピレンホモポリマーのTmは158℃であった。
【0150】
[比較例1]
実施例1で用いた(A−1)成分の遷移金属化合物のみを使用した触媒
1.触媒調製
化学処理モンモリロナイトのヘプタンスラリーにトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液0.85mLを加えて10分間、室温で撹拌した。また、実施例1の1(1)で合成したジクロロ{1,1’−シラフルオレニルビス[2−エチル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジクロロフェニル)−4H−アズレニル]}ハフニウム(75μmolのヘプタン(60ml)溶液を、上記の1Lフラスコに加えて室温で60分間撹拌した。
次に、上記モンモリロナイトのヘプタンスラリーに、更にヘプタン170mLを追加して内容積1Lの撹拌式オートクレーブに導入し、40℃でプロピレンを240mmol/hr(10g/hr)の一定速度で120分間にて供給した。プロピレン供給終了後、60℃に昇温して2時間そのまま維持し、その後残存ガスをパージして予備重合触媒スラリーをオートクレーブより回収した。回収した予備重合触媒スラリーを静置し、上澄み液を抜き出した。残った固体にトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液8.5mL(6.0mmol)を室温にて加え、室温で10分間撹拌した後、減圧乾燥して固体触媒を回収した。
【0151】
2.プロピレン/プロピレン−エチレンインパクトコポリマーの製造
(1)第一工程:
内容積3Lの撹拌式オートクレーブ内をプロピレンで充分置換した後に、トリイソブチルアルミニウム・n−ヘプタン溶液2.76mL(2.02mmol)を加え、水素200mL、続いて液体プロピレン750gを導入し、65℃に昇温し、その温度を維持した。上記1.で調製した触媒をノルマルヘプタンでスラリー化し、触媒として50mgを圧入し、重合を開始した。槽内温度を65℃に維持し、触媒投入1時間経過後に、残モノマーのパージを行い、アルゴンにて槽内を5回置換した。
【0152】
(2)第二工程:
その後、プロピレンを0.88MPa、続いてエチレンを1.6MPa導入し、内温を80℃に昇温した。その後、予め調製しておいたプロピレンとエチレンの混合ガスを導入し、内圧が2.0MPaで重合中にモノマー組成比が変化しないように調整しながら、30分間重合反応を制御した。その結果、粒子性状の良いプロピレン/プロピレン−エチレンインパクトコポリマーが得られた。
【0153】
その結果、上記で得られたブロック共重合体は、CFC−IRの結果から、ゴム含有量(CP含有量)が27wt%、ゴム(CP)中のエチレン含有量は20wt%(27mol%)であった。また、別途採取したプロピレンホモポリマーのTmは160℃であった。
上記の実施例1と比較例1の重合結果のまとめを表1に示す。
【0154】
【表1】

【0155】
[実施例と比較例の結果の対比による考察]
表1に示すように、本発明の二種の遷移金属化合物を含む触媒を用いたプロピレン/エチレン−α−オレフィン系インパクトコポリマーの製造方法では、従来の触媒を用いる製造方法(比較例1)よりも、重合活性が高く、より高いエチレン含量のエチレン−α−オレフィン共重合体(CP)が得られ、結晶性プロピレン成分(PP)の融点と共に、バランスの取れたインパクトコポリマーを効率よく製造できることが明らかである。
したがって、本発明における構成の要件の合理性と有意性、及び本発明の従来技術に対する優越性が明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0156】
本発明に係るプロピレン/エチレン−α−オレフィン系インパクトコポリマーの製造方法では、より高い融点を有する結晶性プロピレン成分とともに、より高いエチレン含量のエチレン−α−オレフィン共重合体成分を有するプロピレン/エチレン−α−オレフィン系インパクトコポリマーを安定的にかつ効率的に製造できる方法を提供し、産業上、利用可能性が高いものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記成分(A−1)及び(A−2)からそれぞれ選択される少なくとも二種の遷移金属化合物、及び
(B)アルミニウムオキシ化合物(B−1)、上記遷移金属化合物(A)と反応してカチオンに変換することが可能なイオン性化合物又はルイス酸(B−2)、固体酸微粒子(B−3)及びイオン交換性層状珪酸塩(B−4)からなる化合物群の中から選ばれる少なくとも一種を含むことを特徴とする、α−オレフィン重合触媒。
(A−1):一般式(1)で表される遷移金属化合物
【化1】


[ 一般式(1)中、MはTi、Zr又はHfであり、Q1は、二つのシクロペンタジエニル環を連結する架橋基を示し、X1及びY1は、(B)と反応してオレフィン重合能を発現させるσ共有結合性補助配位子である。R、R、R及びRは、互いに同じでも異なっていてもよく、水素、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜12のフェノキシ基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数6〜18のハロゲン含有アリール基、アルキル基が炭素数1〜3のトリアルキルシリル基を有する炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜6の炭化水素基を有するシリル基、又は酸素含有複素環基、硫黄含有複素環基である。
及びRは、それぞれ独立して、それが結合する五員環に対して縮合環を形成する炭素数4〜5の飽和又は不飽和の2価の炭化水素基であり、R又はR由来の6〜7員環から成る縮合環を形成する。R及びRは、水素、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、アルキル基が炭素数1〜3のトリアルキルシリル基を有する炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜6の炭化水素基を有するシリル基、酸素含有複素環基、硫黄含有複素環基又は下記一般式(1−a)で示されるアリール基である。
また、m又はnが2以上の場合、それぞれ、R双方又はR双方が連結して新たな環構造を形成していてもよく、不飽和結合を含んでいてもよい。]
【化2】

[一般式(1−a)中、R11、R12、R13、R14及びR15は、互いに同じでも異なっていてもよく、水素、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜12のフェノキシ基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数6〜18のハロゲン含有アリール基、アルキル基が炭素数1〜3のトリアルキルシリル基を有する炭素数1〜3のアルキル基、又は炭素数1〜6の炭化水素基を有するシリル基であり、また、隣接するR双方で6〜7員環を構成してもよく、6〜7員環が不飽和結合を含んでいてもよい。]
(A−2):一般式(2)で表される遷移金属化合物
【化3】

[一般式(2)中、Mは、Ti、Zr又はHfであり、Qは、二つのシクロペンタジエニル環を連結する架橋基を示し、X及びYは、(B)と反応してオレフィン重合能を発現させるσ共有結合性補助配位子であり、Zは酸素又は硫黄である。
21、R22、R23及びR24は、水素、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、アルキル基が炭素数1〜3のトリアルキルシリル基を有する炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜6の炭化水素基を有するシリル基又は一般式(1−a)で示されるアリール基である。
25は、水素又は炭素数1〜6のアルキル基である。R26及びR27は、互いに同じでも異なっていてもよく、水素、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数6〜18のハロゲン含有アリール基、アルキル基が炭素数1〜3のトリアルキルシリル基を有する炭素数1〜3のアルキル基、又は炭素数1〜6の炭化水素基を有するシリル基であり、また、R26及びR27双方で6〜7員環を構成してもよく、6〜7員環が不飽和結合を含んでいてもよい。
31、R32、R33及びR34は、互いに同じでも異なっていてもよく、水素、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数6〜18のハロゲン含有アリール基、アルキル基が炭素数1〜3のトリアルキルシリル基を有する炭素数1〜3のアルキル基、又は炭素数1〜6の炭化水素基を有するシリル基である。]
【請求項2】
更に、(C)有機アルミニウム化合物を含むことを特徴とする、請求項1に記載のα−オレフィン重合触媒。
【請求項3】
成分(A−1)の遷移金属化合物が一般式(3)で表されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のα−オレフィン重合触媒。
【化4】

[一般式(3)中、MはTi、Zr又はHfであり、Qは、二つのシクロペンタジエニル環を連結する架橋基を示し、X及びYは、(B)と反応してオレフィン重合能を発現させるσ共有結合性補助配位子である。
41、R42、R51及びR52は、水素、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜12のフェノキシ基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数6〜18のハロゲン含有アリール基、アルキル基が炭素数1〜3のトリアルキルシリル基を有する炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜6の炭化水素基を有するシリル基、又は酸素含有複素環基、硫黄含有複素環基である。
43及びR53は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、アルキル基が炭素数1〜3のトリアルキルシリル基を有する炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜6の炭化水素基を有するシリル基、酸素含有複素環基、硫黄含有複素環基又は一般式(1−a)で示されるアリール基である。
44、R45、R46、R47、R54、R55、R56及びR57は、水素、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、アルキル基が炭素数1〜3のトリアルキルシリル基を有する炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜6の炭化水素基を有するシリル基である。]
【請求項4】
一般式(2)のR24が酸素含有複素環基、硫黄含有複素環基又は一般式(1−a)で示されるアリール基であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のα−オレフィン重合触媒。
【請求項5】
一般式(2)のR32又はR33のどちらか一方が炭素数3〜6のアルキル基であり、他方が水素であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のα−オレフィン重合触媒。
【請求項6】
成分(B)は、イオン交換性層状珪酸塩(B−4)であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のα−オレフィン重合触媒。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のα−オレフィン重合触媒を用いて、結晶性プロピレン重合体成分を製造する前段工程、及びエチレンと、炭素数3〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも一種のコモノマーとの共重合体成分を製造する後段工程からなることを特徴とする、プロピレン/エチレン−α−オレフィン系重合体の製造方法。
【請求項8】
前段工程として
(i)全モノマー成分に対して、プロピレンを100〜90重量%、エチレン又はα−オレフィンを0〜10重量%で重合させる工程、
及び後段工程として
(ii)全モノマー成分に対して、プロピレンを10〜90重量%、エチレン及び/又は炭素数4以上のα−オレフィンを10〜90重量%で重合させる工程、
を含むことを特徴とする、請求項7に記載のプロピレン/エチレン−α−オレフィン系重合体の製造方法。
【請求項9】
前段工程がプロピレンを溶媒として用いるバルク重合又はモノマーをガス状に保つ気相重合であり、後段工程が気相で重合させることを特徴とする、請求項7又は8のいずれかに記載のプロピレン/エチレン−α−オレフィン系重合体の製造方法。


【公開番号】特開2012−188603(P2012−188603A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−54876(P2011−54876)
【出願日】平成23年3月13日(2011.3.13)
【出願人】(596133485)日本ポリプロ株式会社 (577)
【Fターム(参考)】